WO2023188852A1

WO2023188852A1 - 薬液投与装置

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Publication number: WO2023188852A1
Application number: PCT/JP2023/004286
Authority: WO
Inventors: 中島健太郎
Original assignee: テルモ株式会社
Priority date: 2022-03-30
Filing date: 2023-02-09
Publication date: 2023-10-05
Also published as: CN118234532A

Abstract

薬液投与装置（１０）は、プライミング液（Ｓ２）を先端部から送出可能なプライミング液送出具（２６）と、薬液（Ｓ１）の充填されたプレフィルドシリンジ（９０）とを選択的に接続可能なコネクタ（２４）を備える。コネクタ（２４）は、プレフィルドシリンジ（９０）と接続可能な第１接続部（９２）と、第１接続部（９２）とは異なる箇所に設けられプライミング液送出具（２６）と接続可能な第２接続部（９４）とを備える。

Description

薬液投与装置

　本発明は、プライミング液送出具とプレフィルドシリンジとを選択的に接続可能なコネクタを有した薬液投与装置に関する。

　本出願人は、所望の投与量の薬液を適切なタイミングで生体に投与するための薬液投与装置を提案している（国際公開第２０１８／１７３９６２号参照）。薬液投与装置は、パッチ式の針付きチューブが接続され、針付きチューブは、薬液の充填された筒体の筒先部にコネクタが接続可能であり、コネクタは、送液チューブを介してパッチ部から突出した穿刺針に接続される。コネクタを筒体の筒先部に接続すると共に穿刺針を患者の皮膚に穿刺した後、筒体内の薬液が針付きチューブを介して患者の体内へと投与される。

　薬液投与装置では、患者の皮下に外針を留置し、該外針を通じて体内に薬液投与を行うことが行われており、薬液の投与前に、送液チューブ内にプライミング液を送出することで送液チューブの洗浄を行った後、薬液の充填された筒体をコネクタに接続して薬液の投与を行うことが望まれている。

　（１）本発明の態様は、生体に挿入されて留置されるカテーテルと、前記カテーテルに向けて薬液を流通させることが可能なチューブと、内部に充填されたプライミング液を先端部から送出可能なプライミング液送出具と、前記薬液の充填されたプレフィルドシリンジとを選択的に接続可能であり、前記チューブの基端部に設けられたコネクタと、前記コネクタの内部に設けられ基端方向に突出した中空針と、を備えた薬液投与装置であって、前記コネクタは、前記プレフィルドシリンジと接続可能な第１接続部と、前記第１接続部とは異なる箇所に設けられ、前記プライミング液送出具と接続可能な第２接続部と、を備える、薬液投与装置である。

　この薬液投与装置によれば、コネクタは、第２接続部を介してプライミング液送出具と接続可能であるため、装置本体のプレフィルドシリンジを接続する前にプライミングを行うことが可能である。コネクタの第１接続部にプレフィルドシリンジを接続するとき、プレフィルドシリンジによって先端方向に向けた圧力が付与されることがないため、薬液が先端方向に漏出することが防止される。

　（２）上記の（１）記載の薬液投与装置において、前記第１接続部は、前記チューブの前記基端部に接続される第１接続部材に設けられ、前記第２接続部は、前記第１接続部材の基端部に着脱可能に装着される第２接続部材に設けられてもよい。

　（３）上記の（２）記載の薬液投与装置において、前記第２接続部材は、前記プライミング液送出具の先端部に接続される円筒状の第１筒体と、前記第１筒体の外側を覆うと共に前記第１接続部材に係合される第２筒体と、を備えてもよい。

　（４）上記の（３）記載の薬液投与装置において、前記第２筒体は、前記第１接続部材の前記第１接続部の外側に配置され該第１接続部に対して接近又は離間する方向に傾動可能なアームを有し、前記アームには、前記第１接続部の外周面に形成された係合孔へ係合する係合部を有してもよい。

　（５）上記の（１）～（４）のいずれか１つに記載の薬液投与装置において、前記第１接続部及び前記第２接続部は、単一の接続部材の互いに異なる部分であってもよい。

　（６）上記の（５）記載の薬液投与装置において、前記中空針は、前記接続部材と一体成形されてもよい。

　（７）上記の（１）～（６）のいずれか１つに記載の薬液投与装置において、前記第２接続部は、前記中空針の先端に向かい合うと共に前記プライミング液送出具の先端ノズル部が挿入されて嵌合可能なテーパ状の嵌合孔を有してもよい。

　（８）上記の（３）又は（４）記載の薬液投与装置において、前記第１筒体及び前記第２筒体の少なくとも一方に保持され、前記中空針の穿刺されるキャップを備えてもよい。

　本発明によれば、コネクタは、第２接続部を介してプライミング液送出具と接続可能であるため、装置本体のプレフィルドシリンジを接続する前にプライミングを行うことが可能である。コネクタの第１接続部にプレフィルドシリンジを接続するとき、プレフィルドシリンジによって先端方向に向けた圧力が付与されることがないため、薬液が先端方向に漏出することが防止される。

図１は、第１実施形態に係る薬液投与装置の全体平面図である。図２は、図１に示す薬液投与装置の全体断面図である。図３は、図１の薬液投与装置のコネクタに装置本体を装着した状態を示す全体平面図である。図４は、図２に示す薬液投与装置のコネクタにプライミング液送出具を装着した状態を示す全体断面図である。図５は、図２の薬液投与装置における針部近傍を示す拡大断面図である。図６は、図１の薬液投与装置の先端近傍を示す拡大平面図である。図７は、変形例に係るホルダを有した薬液投与装置の先端近傍を示す拡大平面図である。図８は、図６の先端近傍を裏面から見た拡大平面図である。図９Ａは、図１のＩＸＡ－ＩＸＡ線に沿った断面図であり、図９Ｂは、図９Ａにおけるカテーテル保持部の拡大断面図である。図１０は、図６の針部近傍を側方から見た拡大側面図である。図１１は、台座部側から見たホルダの平面図である。図１２は、図２の薬液投与装置におけるコネクタ近傍の拡大断面図である。図１３は、図１２の薬液投与装置における弁体近傍の拡大断面図である。図１４は、図１３に示す弁体を先端方向から見た正面図である。図１５は、図２の薬液投与装置におけるプレフィルドシリンジとの接続部分近傍を示す拡大断面図である。図１６は、第２実施形態の薬液投与装置におけるコネクタ近傍を示す拡大断面図である。図１７は、図１６のコネクタにプライミング液送出具が接続された状態を示す拡大断面図である。図１８は、図１６のコネクタに装置本体が接続された状態を示す拡大断面図である。

　第１実施形態に係る薬液投与装置１０は、使用者（生体）１２の腹部等の体表１２ａ上に留置されて、体内（生体内）に薬液Ｓ１を自動的に投与するように構成される。例えば、薬液投与装置１０は、使用者１２に医療処置を行った後に所定時間経過したタイミングで薬液Ｓ１を使用者１２に投与する場合、又は、時間をかけて徐々に薬液Ｓ１を投与する場合等に使用される。薬液投与装置１０が投与する薬液Ｓ１は、特に限定されるものではない。薬液Ｓ１としては、抗体薬、抗がん剤、化学療法剤、麻酔薬、抗生物質、インスリン、血液製剤、栄養剤等の液体の医薬品があげられる。

　図１及び図２に示されるように、薬液投与装置１０は、針部１４と、針部１４を保持するカテーテルハブ１６と、カテーテルハブ１６に先端が保持されカテーテル３０と接続され前記薬液Ｓ１の流通可能なチューブ１８と、前記カテーテルハブ１６を保持するホルダ２０と、前記ホルダ２０の裏面に固定され前記使用者１２の体表１２ａに沿って貼着される貼付体２２と、前記チューブ１８の基端部に設けられるコネクタ２４とを備える。図３及び図４に示すようにコネクタ２４には、内部に充填されたプライミング液Ｓ２（生理食塩水）を先端部から送出可能なプライミング液送出具２６と、内部に充填された薬液Ｓ１を送出可能な装置本体２８とが選択的に接続可能である。

　図５に示すように、針部１４は、使用者１２の体内（皮下）に留置されるカテーテル３０と、該カテーテル３０の内部を貫通する内針３２とを備える。針部１４は、使用者１２の体表１２ａから体内にカテーテル３０を挿入して留置することで薬液Ｓ１の導入部を構成する。

　カテーテル３０は、可撓性を有し内部に薬液Ｓ１の流通可能な内腔（図示せず）を備えた管体である。カテーテル３０の内腔は、カテーテル３０の先端開口に連通すると共に、カテーテル３０の基端側（矢印Ａ方向）においてカテーテルハブ１６内の空間部４２に連通する。カテーテル３０の先端部は、カテーテルハブ１６の下面（体表１２ａの対向面）から先端方向（矢印Ｂ方向）へ向けて斜め下方へ突出する（図９Ａ参照）。カテーテル３０の基端部は、カテーテルハブ１６に対してかしめピン（図示せず）を加締めることで固定される。

　内針３２の一部が、カテーテル３０の内部に貫通する。内針３２の先端側はカテーテル３０の内腔に挿通される。内針３２の基端は、カテーテルハブ１６の内部に挿通され、後述するニードルハブ４６の先端に保持される。カテーテル３０の内部に内針３２が挿通されることで、カテーテル３０及び内針３２が径方向に重なった多重針３４が構成される。多重針３４にはプロテクタ３６が装着される。プロテクタ３６は、管状でありカテーテル３０の外周を覆うように装着される。

　使用者１２は、カテーテル３０及び内針３２からなる多重針３４を体内に穿刺した後、穿刺状態でカテーテル３０から内針３２を引き抜く（針部１４からニードルハブ４６を基端側（矢印Ａ方向）へ離脱させる）ことで、カテーテル３０を使用者１２の体内に留置する。

　図２に示すようにカテーテルハブ１６は、カテーテル３０の基端を支持するハブ本体３８と、前記ハブ本体３８の側部から突出すると共にチューブ１８の先端が接続されるサイドポート４０とを備える。ハブ本体３８は、先端から基端に向けて直線状に延在し、ハブ本体３８の内部には、空間部４２を有する。空間部４２は、カテーテル３０の内腔とサイドポート４０に接続されるチューブ１８の流通路５０と連通する。ハブ本体３８の基端には、把持部材４４の接着されたニードルハブ４６が着脱可能に装着される。

　サイドポート４０は、ハブ本体３８の先端近傍から基端方向に向けて斜めに突出して分岐する。サイドポート４０の基端は、チューブ１８の先端が挿入される接続ポート４８を有する。

　チューブ１８は、内部に薬液Ｓ１の流通可能な流通路５０を有した可撓管から形成される。チューブ１８の先端部及び基端部の外周には、管状の継ぎ管５２ａ、５２ｂがそれぞれ装着される。継ぎ管５２ａと共にチューブ１８の先端部がカテーテルハブ１６の接続ポート４８に対して接着、溶着、かしめ等の適宜の固定方法によって固定される。これにより、チューブ１８の流通路５０が接続ポート４８を通じてカテーテルハブ１６の空間部４２と連通する。

　継ぎ管５２ｂと共にチューブ１８の基端部が、後述するコネクタ２４におけるチューブホルダ９６の内部に挿入され、接着、溶着、かしめ等の適宜の固定方法によって固定される（図４参照）。

　図６に示すようにホルダ２０は、平板状に形成され貼付体２２が固定される台座部５４と、前記台座部５４の上部に設けられカテーテルハブ１６を保持するカテーテル保持部５６及びポート保持部５８とを有する。

　台座部５４は、上面視で略円形状に形成される。台座部５４の表面には、カテーテル保持部５６及びポート保持部５８が設けられる。台座部５４の裏面には、貼付体２２が固定される。台座部５４は、先端に設けられる切欠６０ａと、略中央に設けられる開口６０ｂとを備える。切欠６０ａ及び開口６０ｂは、台座部５４の裏面までそれぞれ貫通する（図８～図９Ｂ参照）。

　図６及び図９Ａに示されるように、カテーテル保持部５６は、カテーテルハブ１６のハブ本体３８を保持する。カテーテル保持部５６は、筒状に形成され台座部５４の中央に配置される。カテーテル保持部５６は、カテーテル３０の延在方向に沿って延在する。カテーテル保持部５６の先端は、台座部５４に向かうように傾斜して配置される（図９Ａ及び図９Ｂ参照）。換言すれば、カテーテル保持部５６は、先端から基端方向（矢印Ｂ方向）に向けて上方へ傾斜する。カテーテル保持部５６の上部には、導入孔６１が開口する。導入孔６１は、後述する第１収容孔６２と連通する。

　図５及び図９Ａに示すカテーテル保持部５６の内部には、第１収容孔６２が形成される。第１収容孔６２は、カテーテル保持部５６の先端及び基端に開口する。第１収容孔６２は、台座部５４の切欠６０ａ及び開口６０ｂと連通する（図９Ｂ参照）。カテーテル保持部５６の基端から第１収容孔６２にカテーテルハブ１６のハブ本体３８が挿入され保持される。このとき、ハブ本体３８の先端部の下部が切欠６０ａ内に配置される。すなわち、ホルダ２０が貼付体２２と共に体表１２ａに固定されたとき、切欠６０ａを通じてハブ本体３８の先端部が体表１２ａに近い位置に配置される（図９Ａ参照）。

　ハブ本体３８の下部の一部は、開口６０ｂに挿入され保持される。カテーテル保持部５６の第１収容孔６２にカテーテルハブ１６のハブ本体３８が挿入されたとき、導入孔６１を通じて接着剤Ｄが第１収容孔６２の内部に注入される。接着剤Ｄによってカテーテル保持部５６にハブ本体３８が固定される。なお、ハブ本体３８の固定方法は特に限定せず、例えば、カテーテル保持部５６とハブ本体３８との嵌合等でもよい。

　図５及び図１０に示すようにポート保持部５８は、カテーテルハブ１６のサイドポート４０を保持する。ポート保持部５８は、カテーテル保持部５６の側部から基端方向に向けて斜めに突出する。ポート保持部５８は、筒状に形成され台座部５４の表面に配置される。ポート保持部５８の内部には、第２収容孔６４が形成される。第２収容孔６４にはカテーテルハブ１６のサイドポート４０が挿入され保持される。

　ポート保持部５８は、カテーテル保持部５６側が開口している。ポート保持部５８は、該ポート保持部５８の延在方向から見て断面Ｕ字形状である。ポート保持部５８は、サイドポート４０を上方から覆う上壁６６ａを有する。上壁６６ａは、サイドポート４０の上面に当接して保持する。なお、図７に示すように、ポート保持部５８に上壁６６ａを有していないホルダ２０ａであってもよく、その場合、接着剤等によってハブ本体３８をホルダ２０ａに対して固定する。

　ポート保持部５８は、上壁６６ａと直交してポート保持部５８の側部を構成する側壁６６ｂを有する。側壁６６ｂによってポート保持部５８のカテーテル保持部５６と反対側の側部が覆われる。ポート保持部５８は、カテーテル保持部５６側に開口した開口部６６ｃを有する。開口部６６ｃを通じてポート保持部５８のカテーテル保持部５６側が開放されている。ポート保持部５８にサイドポート４０を組み付けるとき、開口部６６ｃを通じてサイドポート４０が前記ポート保持部５８の第２収容孔６４に収容される。

　図６及び図８に示すように、貼付体２２は、可撓性を有してホルダ２０の台座部５４よりも面方向に広いシート状に形成される。貼付体２２は、台座部５４の先端より先端方向（矢印Ｂ方向）に延出した楕円形状である。貼付体２２は、カテーテル３０の挿通される第１貼付部６８と、第１貼付部６８の基端に配置されホルダ２０の固定される第２貼付部７０とを有する。第１貼付部６８は、貼付体２２の中央から先端方向（矢印Ｂ方向）に配置される。第２貼付部７０は、貼付体２２の中央から基端方向（矢印Ｂ方向）に配置される。第１貼付部６８と第２貼付部７０とが貼付体２２の略中央で分割される。上面から見て、第１及び第２貼付部６８、７０はそれぞれ略半円状である。

　貼付体２２の裏面は、使用者１２の体表１２ａに貼着される貼付面２２ａであり、前記貼付面２２ａは粘着性を有している。貼付面２２ａには、該貼付面２２ａを覆うように剥離シート７２が貼着される。

　剥離シート７２は、薄いシート状に形成され貼付面２２ａに重ねられるように熱溶着等によって融着される。剥離シート７２は、第１貼付部６８に融着される第１シート７４と、第２貼付部７０に融着される第２シート７６とを有する。

　第１及び第２シート７４、７６は、貼付体２２の外縁部から外側に突出して使用者１２が把持可能な第１及び第２把持片７８、８０をそれぞれ有する。第１及び第２把持片７８、８０は、貼付体２２の先端及び基端に沿った長手方向と直交する幅方向（図６及び図８中、矢印Ｃ方向）に突出する。使用者１２の体表１２ａにホルダ２０及び貼付体２２を固定するとき、剥離シート７２が第１シート７４、第２シート７６の順番で貼付体２２から剥がされる。これにより、剥離シート７２が貼付体２２の貼付面２２ａから剥がされることで貼付面２２ａが露出する。

　このとき、使用者１２によって第１及び第２把持片７８、８０が把持され、第１及び第２シート７４、７６が貼付体２２に対して幅方向（矢印Ｃ方向）に剥がされる。第２把持片８０を把持して第２シート７６を第２貼付部７０から剥がす。剥離シート７２の剥離方向は、貼付体２２の長手方向と直交する幅方向（矢印Ｃ方向）であり、剥離方向は幅方向一方及び幅方向他方のいずれでもよい。

　なお、貼付体２２の貼付面２２ａに貼り付けられる剥離シート７２の面には、貼付面２２ａに対して剥離を容易化するコーティングがなされている。

　貼付体２２は、ホルダ２０の台座部５４の裏面に融着されることで固定される。台座部５４の裏面と貼付体２２の第２貼付部７０との間には、前記ホルダ２０と前記貼付体２２とを接合する融着部８２を備える（図６及び図１１参照）。

　図１１に示すように融着部８２は、ホルダ２０の外縁部から内側に配置され、ホルダ２０の外周に沿って略環状に延在する。融着部８２は、一般融着部８４と、該一般融着部８４よりも接合力が小さい剥離補助部８６ａ、８６ｂとを有する。一般融着部８４は、ホルダ２０の裏面と貼付体２２とを熱溶着することで形成される。一般融着部８４によってホルダ２０の台座部５４と貼付体２２とが強固に固定される。

　ホルダ２０の台座部５４と貼付体２２とが融着されるとき、前記貼付体２２の貼付面２２ａには予め剥離シート７２が融着されている。そのため、平面視において、融着部８２に対応する位置において剥離シート７２と貼付体２２とが融着される。融着部８２に対応する位置における剥離シート７２と貼付体２２との接合力が、融着部８２以外の位置における剥離シート７２と貼付体２２との接合力より大きくなる。

　剥離補助部８６ａ、８６ｂは、一般融着部８４の一部を切り欠くように設けられた一組の非融着部８８であり、前記一般融着部８４の内周側に配置される。剥離補助部８６ａ、８６ｂは、一般融着部８４の内周部から径方向外側に向けて略矩形状に切り欠かれる。なお、剥離補助部８６ａ、８６ｂの形状は矩形状に限定されない。なお、剥離補助部８６ａ、８６ｂは、一組の非融着部ではなく、一組の弱融着部、あるいは非融着部及び弱融着部を組み合わせてもよい。

　剥離補助部８６ａ、８６ｂは、貼付体２２の第２貼付部７０から第２シート７６を幅方向（剥離方向）に沿って剥離するときに最大荷重となる位置に配置される。第２貼付部７０に対して第２シート７６が幅方向に剥がされるため、融着部８２（一般融着部８４）の幅方向外端となる位置が融着部８２において最初に第２シート７６が剥がれ始める位置となる。そのため、剥離シート７２を剥がすときの荷重（剥離抵抗）が最も大きくなる最大荷重となる。

　第２シート７６の剥離方向は、幅方向一方及び幅方向他方のいずれでもよいため、２つの剥離方向に対応して融着部８２（一般融着部８４）の幅方向外端となる２か所に剥離補助部８６ａ、８６ｂが配置される。第２シート７６の剥離方向において、剥離補助部８６ａ、８６ｂによって融着部８２の融着範囲（融着面積）が一般融着部８４の融着範囲よりも小さい。

　剥離補助部８６ａ、８６ｂは、融着部８２（一般融着部８４）の周方向においてホルダ２０のポート保持部５８から離間した位置に配置される。剥離補助部８６ｂは、ポート保持部５８から先端方向に離間する。

　なお、剥離補助部８６ａ、８６ｂは、一般融着部８４の一部を切り欠いてホルダ２０の台座部５４及び貼付体２２に融着されない非融着部８８である場合に限定されない。例えば、一般融着部８４の一部に、該一般融着部８４の接合力より小さな接合力で融着された融着部（第２の融着部）を設けてもよい。ホルダ２０と貼付体２２とを熱溶着によって融着するとき、融着する部位における一部の溶着温度を低くすることで、融着部８２の一部に、一般融着部８４よりも接合力の小さな融着部８２を設けることが可能である。

　図１及び図１２に示すように、コネクタ２４は、後述する装置本体２８のプレフィルドシリンジ９０と接続可能な第１接続部９２と、プライミング液Ｓ２を送出可能なプライミング液送出具２６と接続可能な第２接続部９４と、チューブ１８の基端を保持し第１接続部９２に装着されるチューブホルダ９６と、前記第１接続部９２に保持され基端方向に突出する中空針９８とを有する。

　第１接続部９２は、チューブホルダ９６を介してチューブ１８の基端部に接続される第１接続部材１００を有する。

　第１接続部材１００は、先端に形成されチューブホルダ９６と共にチューブ１８の基端を保持する先端接続部１０２と、基端に形成され装置本体２８又は第２接続部９４が選択的に接続される基端接続部１０４と、前記先端接続部１０２と前記基端接続部１０４との間に配置される中間部１０５とを備える。

　図１３に示すように、先端接続部１０２は、先端に向けて開口した円筒状に形成される。先端接続部１０２の内部には、チューブホルダ９６が挿入され保持されるホルダ孔１０６と、該ホルダ孔１０６の基端に配置され弁体１０８が収容される弁孔１１０とを有する。ホルダ孔１０６は、先端から基端方向（矢印Ａ方向）に向けて徐々に縮径してチューブホルダ９６が内部に保持される。

　弁孔１１０は、ホルダ孔１０６に対して縮径した断面円形状である。図１３に示す弁孔１１０の基端面１１０ａは、第１接続部材１００の軸方向と直交する平坦面である。基端面１１０ａには、弁体１０８が当接すると共に、中央に後述する連通路１２２が開口する。これにより、第１接続部材１００におけるデッドボリュームを小さく抑えることができる。

　図１３及び図１４に示すように、弁体１０８は、シリコーンゴム等の弾性材料から円板状に形成される。弁体１０８は、径方向寸法に対して軸方向寸法（厚さ寸法）が小さな一定厚さで形成される。

　弁体１０８の中央には、スリット状の開閉孔１１２が形成される。図１４に示される弁体１０８の軸方向から見て、開閉孔１１２の形状は一文字である。開閉孔１１２は、弁体１０８の中央部から径方向外側へ向けて一直線状に延在し、且つ、厚さ方向に貫通する。なお、開閉孔１１２の形状は、一文字（スリット状）に限定されるものではなく、例えば、十文字であってもよい。

　弁体１０８の基端面には、後述する中空針９８から連通路１２２へ供給されるプライミング液Ｓ２又は薬液Ｓ１の圧力が付与される。圧力が付与されたとき、開閉孔１１２の周縁が先端方向に押されることで開閉孔１１２が先端方向に向けて弾性変形する（図１３中、二点鎖線形状参照）。これにより、開閉孔１１２が開放された開放状態となり、コネクタ２４において第１接続部材１００の連通路１２２とチューブホルダ９６に保持されたチューブ１８とが開閉孔１１２を通じて連通する。開閉孔１１２を開くときに薬液Ｓ１によって弁体１０８に付与される開放圧力は、装置本体２８が駆動したときの駆動力によって弁体１０８に付与される圧力よりも低い範囲である。これにより、低い圧力で弁体１０８の開閉孔１１２が開くため、薬液Ｓ１の投与完了時に弁体１０８からの背圧により、第１ガスケット１６２（図１５参照）が変形してデッドボリュームが増大することを防ぐ。

　弁体１０８の基端面に対して圧力が付与されていないとき、開閉孔１１２は閉塞されており、第１接続部材１００の連通路１２２とチューブ１８との連通が弁体１０８によって遮断される。

　図１２に示すように、基端接続部１０４は、中間部１０５の基端に設けられ、基端方向（矢印Ａ方向）に向けて開口した円筒状である。基端接続部１０４は、先端接続部１０２及び中間部１０５よりも大径である。基端接続部１０４の外周壁には、矩形状に開口した一対の係合孔１１４を備える。一対の係合孔１１４は、外周壁を径方向に貫通する。一対の係合孔１１４は、基端接続部１０４の軸線を中心として向かい合う。基端接続部１０４に対して第２接続部９４が接続されるとき、後述する第２接続部９４のアーム１４２が係合孔１１４に係合される。

　基端接続部１０４の外周壁は、内周面から径方向内側へ突出した一対のコネクタ爪部１１６を備える。図１５に示すように第１接続部材１００に対して装置本体２８のプレフィルドシリンジ９０の先端部が接続されるとき、先端部に形成された係合凹部１７４に対してコネクタ爪部１１６が係合される。これにより、基端接続部１０４を介して装置本体２８が第１接続部材１００の基端に接続される。

　中間部１０５は、円筒状に形成され、先端に形成される分離壁１１８と、前記分離壁１１８の中央から基端方向（矢印Ａ方向）に突出する支持部１２０と、前記分離壁１１８の内部に形成される連通路１２２とを有する。連通路１２２は、分離壁１１８の中央部を貫通して弁孔１１０と連通する。

　支持部１２０は、分離壁１１８から基端接続部１０４の先端まで軸方向に沿って延在し、内部には針嵌合孔１２４が形成される。針嵌合孔１２４の先端は連通路１２２と連通する。針嵌合孔１２４には中空針９８が嵌合されて保持される。なお、中空針９８は、接着剤やインサート成形による固定によって保持されてもよい。

　第２接続部９４は、第１接続部材１００の基端部に着脱可能に装着される第２接続部材１２６を有する。第２接続部材１２６は、プライミング液送出具２６の先端部が接続される第１筒体１２８と、前記第１筒体１２８の外側を覆うと共に前記第１接続部材１００に係合される第２筒体１３０と、前記第１及び第２筒体１２８、１３０の先端に保持されるキャップ１３２とを有する。

　第１筒体１２８は、円筒状に形成され、第２筒体１３０の内部に圧入されることで一体的に保持される。第１筒体１２８は、先端に設けられキャップ１３２を保持可能な保持端１３４と、該保持端１３４の基端に配置される中間壁１３６とを有する。

　保持端１３４は、先端に向けて開口し、該保持端１３４の内部にキャップ１３２の基端部が挿入されることでキャップ１３２を保持する。保持端１３４の外周面は、第２筒体１３０の内周面に係合されることで一体的に保持される。中間壁１３６は、第１筒体１２８の軸方向と直交して形成され、中間壁１３６の中央には挿通孔１３８が形成される。挿通孔１３８は、中間壁１３６を軸方向に貫通する。

　第１筒体１２８の基端は、基端方向（矢印Ａ方向）に向けて開口した嵌合孔１４０を有し、嵌合孔１４０は、基端から先端に向けてテーパ状に形成される。嵌合孔１４０には、プライミング液送出具２６におけるバレル１７６の先端ノズル部１７６ａが挿入され、第１筒体１２８の基端にバレル１７６の先端部が接続される。このとき、バレル１７６の先端ノズル部１７６ａが、先端方向に向けてテーパ形状に形成されるため、嵌合孔１４０に対してテーパ嵌合される。

　第２筒体１３０は、第１筒体１２８よりも大径な円筒状に形成される。第２筒体１３０の先端は、先端方向に向けてテーパ状に形成される。第２筒体１３０の先端は、第１接続部材１００の基端接続部１０４の内部に挿入可能である。第２筒体１３０の外周には、一対のアーム１４２が設けられる。

　アーム１４２は、弾性変形可能である。アーム１４２は、第２筒体１３０の軸中心を挟んで対称となる位置に配置される。アーム１４２は、第２筒体１３０の外周面から径方向外側に平行に配置されると共に、延在方向に沿った略中央部が前記外周面に対して支持される。アーム１４２は、略中央部を中心として傾動可能である。アーム１４２の先端には、径方向内方へ突出した係合部１４４を有する。係合部１４４は、径方向内方に向けて先細となる爪状である。

　アーム１４２が傾動することで、係合部１４４が第１接続部材１００に接近又は離間可能である。

　第２接続部材１２６が第１接続部材１００の基端接続部１０４に接続されるとき、弾性によってアーム１４２の係合部１４４が基端接続部１０４の係合孔１１４に係合される。これにより、第１接続部材１００の基端に第２接続部材１２６が接続される。第１接続部材１００と第２接続部材１２６とが軸方向（矢印Ａ、Ｂ方向）及び回転方向への相対移動が阻止された状態で接続される。

　キャップ１３２は、例えば、ゴム等の弾性材料で軸方向から見て断面円形状に形成される。キャップ１３２の軸中心には、中空針９８の挿入される針挿入孔１４６が貫通する。キャップ１３２は、第１筒体１２８の先端と第２筒体１３０の先端との間に保持される。

　図１２及び図１３に示すように、チューブホルダ９６は、先端が開口した有底円筒状である。チューブホルダ９６の外周面は、先端から基端方向に向けてテーパ状に形成され、チューブホルダ９６が第１接続部材１００のホルダ孔１０６へ挿入することで嵌合されて固定される。

　チューブホルダ９６の内部には、先端方向に開口するチューブ孔１４８が形成される（図１２参照）。継ぎ管５２ｂの装着されたチューブ１８の基端部がチューブ孔１４８へ挿入され、接着、溶着、かしめ等の適宜の固定方法によって固定される。

　チューブホルダ９６の基端には、中央に形成され軸方向に貫通してチューブ１８の流通路５０と連通する貫通孔１５０と、前記貫通孔１５０の径方向外側に配置される環状の弁座１５２とを有する。

　図１３に示すように弁座１５２は、チューブホルダ９６の基端から基端方向（矢印Ａ方向）に突出する。弁座１５２の基端には、弁体１０８の先端面が当接する。チューブホルダ９６の弁座１５２と第１接続部材１００の分離壁１１８の先端面との間に弁体１０８が挟持される。弁座１５２は、弁体１０８の開閉孔１１２より径方向外側に配置されて弁体１０８と当接する（図１３及び図１４参照）。このとき、図１３に示すように弁座１５２の基端部が弁体１０８の先端面が当接して若干だけ基端方向（矢印Ａ方向）へ食い込むことで、弁孔１１０の基端面１１０ａと前記弁座１５２との間に前記弁体１０８が加締められ保持される（図１３参照）。

　図１２及び図１５に示すように、中空針９８は、金属から形成され内部に針孔１５４を有した針体であり、装置本体２８又は第２接続部材１２６と第１接続部材１００の連通路１２２とを接続する。第１接続部材１００における支持部１２０の針嵌合孔１２４に中空針９８が嵌合されることで、前記中空針９８が第１接続部材１００の軸中心に保持される。なお、中空針９８は嵌合ではなく、接着剤やインサート成形による固定で保持されるものであってもよい。また、中空針９８は、プラスチック製で一体成形されるものであってもよい。中空針９８の先端は、針孔１５４を介して連通路１２２と連通する。

　中空針９８の基端は鋭利な形状で形成され、該基端には、針孔１５４と連通する基端開口１５６が形成される。中空針９８の基端は、支持部１２０の基端から基端方向（矢印Ａ方向）に所定長さだけ露出する。中空針９８の基端は、基端接続部１０４の内部に収容され、前記基端接続部１０４の基端から基端方向（矢印Ａ方向）へ突出しない。中空針９８の外周は、基端接続部１０４によって囲まれる（図１２参照）。

　図１２に示すように第２接続部材１２６を第１接続部材１００に接続したとき、基端接続部１０４の内部に露出している中空針９８の基端が、キャップ１３２の針挿入孔１４６を通じて第１筒体１２８の挿通孔１３８に挿入される。これにより、中空針９８の基端がキャップ１３２の基端方向に突出すると共に、前記キャップ１３２によって前記中空針９８と前記第１筒体１２８との間がシールされる。中空針９８の基端開口１５６が第１筒体１２８の内部に配置され、第１筒体１２８の内部と連通することで、第１接続部材１００の連通路１２２と第１筒体１２８の内部とが中空針９８によって接続されて連通する。

　図３に示すように装置本体２８は、薬液Ｓ１を貯留すると共に適宜のタイミングで先端部から前記薬液Ｓ１を送出する機能を有し、各構成を収容する収容空間（図示せず）が内部に形成されたケース１５８を備える。

　ケース１５８の内部には、薬液Ｓ１を貯留するプレフィルドシリンジ９０と、該プレフィルドシリンジ９０内の第１ガスケット１６２を移動させる移動機構１６４と、該移動機構１６４の駆動制御を行う制御部１６６と、各構成要素に電力を供給可能な電源部（図示せず）とを備える。

　図１５に示すようにプレフィルドシリンジ９０は、軸方向（矢印Ａ、Ｂ方向）に沿って筒状に形成され、内部に薬液Ｓ１が充填される。プレフィルドシリンジ９０の先端部は、ケース１５８の先端から所定長さだけ軸方向（矢印Ｂ方向）に突出して外部に露出している（図３参照）。

　プレフィルドシリンジ９０の先端部には、縮径すると共にパッキン１６８で封止された送出ノズル部１７０を備える。パッキン１６８は、送出ノズル部１７０の外周側を覆うように設けられた筒状のカバー部材１７２の先端と送出ノズル部１７０の先端との間に挟持される。これにより、パッキン１６８によってプレフィルドシリンジ９０の内部に薬液Ｓ１が封入された状態で保持される。カバー部材１７２の外周には、径方向内方に窪んだ係合凹部１７４が形成される。係合凹部１７４には、第２接続部材１２６のコネクタ爪部１１６が係合可能である。

　図４に示すようにプライミング液送出具２６は、筒状のバレル１７６と、該バレル１７６の内部に移動可能に設けられる第２ガスケット１７８と、前記第２ガスケット１７８の連結されたロッド１８０とを有する。ロッド１８０の基端は、バレル１７６の基端から基端方向へ突出する。バレル１７６の先端ノズル部１７６ａは、バレル１７６よりも小径であると共に、先端に向けてテーパ形状に形成される。バレル１７６の内部において、先端ノズル部１７６ａと第２ガスケット１７８との間にプライミング液Ｓ２が充填される。バレル１７６の先端ノズル部１７６ａが、コネクタ２４における第１筒体１２８の嵌合孔１４０に対してテーパ嵌合される。これにより、バレル１７６の先端ノズル部１７６ａと第１筒体１２８の嵌合孔１４０とが液密に接続される。

　第２ガスケット１７８は、ロッド１８０の先端に連結され、使用者１２が先端方向に向けてロッド１８０を押すことで、前記第２ガスケット１７８がバレル１７６に沿って先端方向（矢印Ｂ方向）へ移動する。これにより、バレル１７６の内部のプライミング液Ｓ２が、第２ガスケット１７８によって先端方向に押されてバレル１７６の先端部（先端ノズル部１７６ａ）の開口部から送出される。

　次に、薬液投与装置１０を用いて使用者１２に対して薬液Ｓ１を投与する場合について説明する。薬液投与装置１０の使用にあたり、使用者１２の体表１２ａに針部１４を留置し、プライミング液送出具２６を接続してカテーテル３０の内部をプライミング液Ｓ２で満たした後、装置本体２８を接続して使用者１２に対する薬液Ｓ１の自動投与を行う。

　最初に、針部１４及びチューブ１８の内部をプライミング液Ｓ２で満たす第１回目のプライミングを行う。

　図１及び図２に示される薬液投与装置１０のコネクタ２４に対し、第２接続部材１２６の基端に対してプライミング液送出具２６を接続する（図４参照）。プライミング液送出具２６におけるバレル１７６の先端ノズル部１７６ａを、コネクタ２４の第１筒体１２８の基端から嵌合孔１４０へ挿入する。バレル１７６の先端ノズル部１７６ａが、第１筒体１２８の嵌合孔１４０に嵌合されて液密に保持される。これにより、バレル１７６の内部と第１筒体１２８の内部とが連通する。バレル１７６内のプライミング液Ｓ２がバレル１７６の先端ノズル部１７６ａから嵌合孔１４０の内部へと流入する。

　使用者１２がプライミング液送出具２６のロッド１８０を先端方向（矢印Ｂ方向）に向けて押すことで、第２ガスケット１７８がバレル１７６に沿って先端方向へ移動し、それに伴って、バレル１７６内のプライミング液Ｓ２がバレル１７６の先端ノズル部１７６ａから第１筒体１２８の嵌合孔１４０へと送出される。

　第１筒体１２８内のプライミング液Ｓ２は、中空針９８の基端開口１５６及び針孔１５４を通じて先端方向へ流通して連通路１２２内に導入される。

　連通路１２２内へ供給されたプライミング液Ｓ２によって、弁体１０８の基端面が先端方向（矢印Ｂ方向）に向けて押圧される。開閉孔１１２を中心として弁体１０８の中央部が先端方向に向けて湾曲するように弾性変形し、それに伴って、開閉孔１１２が開放される。開閉孔１１２を通じてプライミング液Ｓ２が連通路１２２から弁孔１１０を通じてチューブ１８の流通路５０へと流れる。

　チューブ１８の流通路５０からサイドポート４０を通じて、プライミング液Ｓ２がカテーテル３０の空間部４２へ流入した後、プライミング液Ｓ２がカテーテル３０の空間部４２へと流通する。これにより、チューブ１８、空間部４２及びカテーテル３０の内部がプライミング液Ｓ２で満たされ、第１回目のプライミングが完了する。

　プライミング液送出具２６によるプライミング液Ｓ２の供給を停止すると、弁体１０８の基端面に対する圧力付与がなくなるため、開放されていた開閉孔１１２が弁体１０８の弾性によって元の形状へと戻って開閉孔１１２が閉塞される。

　次に、針部１４を使用者１２の体内に留置する。使用者１２が、針部１４（多重針３４）を把持して体表１２ａの所望の位置へと位置決めした後、多重針３４からプロテクタ３６を先端方向へ向けて取り外す。

　多重針３４の先端を体内に穿刺した後、第１シート７４（剥離シート７２）の第１把持片７８を把持して貼付体２２から幅方向に剥がす。第１シート７４を貼付体２２の裏面から剥がすことで、第１貼付部６８の貼付面２２ａが露出する。第１貼付部６８の貼付面２２ａを粘着力によって使用者１２の体表１２ａに沿って貼り付ける。これにより、針部１４の先端が使用者１２に穿刺された状態で体表１２ａに固定される。すなわち、針部１４の保持された貼付体２２の先端側（第１貼付部６８）のみが体表１２ａに固定される。

　次に、ニードルハブ４６及び把持部材４４を針部１４に対して基端方向（矢印Ａ方向）に引き抜くことで、カテーテルハブ１６に対するニードルハブ４６の係合が解除され、ニードルハブ４６に保持された内針３２をカテーテルハブ１６から抜き出す。このとき、針部１４のカテーテル３０は体表１２ａに固着されているため、カテーテル３０の内部から内針３２が抜き取られてカテーテル３０のみが体内に留置される。

　カテーテル３０の留置が完了した後、使用者１２は、第２シート７６の第２把持片８０を把持して貼付体２２に対して幅方向に剥がす。第２シート７６は、貼付体２２の幅方向一方から幅方向他方に向けて貼付面２２ａから剥離されていく。このとき、剥離シート７２と貼付体２２との接合力は、融着部８２に対応する位置で大きくなるが、融着部８２の幅方向外端に剥離補助部８６ａ、８６ｂが設けられ、幅方向外端における融着面積が一般融着部８４より小さいため、剥離するときに必要とされる荷重（剥離抵抗）が小さくなる。

　そのため、ホルダ２０と貼付体２２との融着によって、融着部８２に対応する位置における剥離シート７２の接合力が増大しても、第２シート７６を貼付体２２から容易に剥がすことが可能である。

　第２シート７６を貼付体２２の裏面から剥がすことで、第２貼付部７０の貼付面２２ａが露出する。第２貼付部７０の貼付面２２ａを粘着力によって使用者１２の体表１２ａに沿って貼り付ける。貼付体２２の第１貼付部６８に加えて第２貼付部７０が体表１２ａに固定される。すなわち、貼付体２２の貼付面２２ａの全体で体表１２ａに貼り付けられて固定される。これにより、カテーテルハブ１６を保持するホルダ２０が貼付体２２と共に使用者１２の体表１２ａに固定される。

　次に、針部１４及びチューブ１８の内部をプライミング液Ｓ２で再び満たす第２回目のプライミングを行う。

　第２回目のプライミングは、第１回目のプライミングで使用したバレル１７６に残っているプライミング液Ｓ２を利用して行われる。なお、第２回目のプライミングは、第１回目のプライミングと同一であるため、詳細な説明については省略する。

　上述した第２回目のプライミングを行うことで、チューブ１８及びカテーテル３０内に満たされたプライミング液Ｓ２によって、カテーテル３０の穿刺された体表１２ａからの血液や細胞等の逆流が好適に防止される。血液等の凝固に起因したカテーテル３０及びチューブ１８の詰まりが防止される。

　第２回目のプライミングが完了した後、第２接続部材１２６と共にプライミング液送出具２６を取り外す。

　使用者１２が、第２接続部材１２６におけるアーム１４２の基端を径方向内方に向けて押す。アーム１４２の基端が径方向内方に弾性変形し、それに伴って、アーム１４２の先端が径方向外方に移動することで、係合部１４４が係合孔１１４から離脱する。これにより、第１接続部材１００に対する第２接続部材１２６の接続が解除される。

　第２接続部材１２６と共にプライミング液送出具２６を基端方向（矢印Ａ方向）に向けて引き抜くことで、第１接続部材１００の基端接続部１０４から第２接続部材１２６及びプライミング液送出具２６が取り外される。

　次に、図３に示すようにコネクタ２４に対して装置本体２８を装着して薬液Ｓ１の投与を行う。

　図１５に示すように装置本体２８におけるプレフィルドシリンジ９０の先端部を、コネクタ２４における第１接続部材１００の基端接続部１０４の内部に挿入する。これにより、パッキン１６８の軸中心に中空針９８の基端が穿刺される。中空針９８の基端は、送出ノズル部１７０の内部に挿入され、コネクタ爪部１１６がカバー部材１７２の係合凹部１７４に係合される。これにより、コネクタ２４の基端接続部１０４に対して装置本体２８の先端部が接続される。

　使用者１２が、ケース１５８に設けられた電源スイッチ１８２を投入して装置本体２８を起動させた後、制御部１６６によって薬液投与装置１０による薬液投与開始のタイミングを計る。投与開始タイミングになると、制御部１６６からの制御信号によって移動機構１６４が駆動し、第１ガスケット１６２を先端方向に向けて移動させる。第１ガスケット１６２の移動に伴って、プレフィルドシリンジ９０内の薬液Ｓ１が先端方向に向けて押し出され、薬液Ｓ１が、送出ノズル部１７０内に配置された中空針９８の基端開口１５６及び針孔１５４を通じて第１接続部材１００の連通路１２２へと流れる。

　連通路１２２内へ供給された薬液Ｓ１によって、弁体１０８の基端面が先端方向に向けて押され、開閉孔１１２を中心として弁体１０８の中央部が先端方向に向けて弾性変形する。これにより、弁体１０８の開閉孔１１２が開放される。このとき、開閉孔１１２を開く開放圧力は、装置本体２８の駆動力によって弁体１０８の基端面に対して薬液Ｓ１から付与される圧力よりも低い範囲である。

　薬液Ｓ１は、開閉孔１１２から弁孔１１０を経てチューブ１８の流通路５０からカテーテルハブ１６の空間部４２へと流通する。空間部４２からカテーテル３０の内腔を通じて使用者１２の体内へと投与される。

　装置本体２８から体内への薬液Ｓ１の投与が完了し、薬液Ｓ１の流通が停止することで、弾性によって弁体１０８が元の形状へと戻って開閉孔１１２が閉塞される。これにより、使用者１２の体内への薬液Ｓ１の投与が完了する。

　以上のように、第１実施形態では、カテーテル３０の基端を保持するカテーテルハブ１６と、チューブ１８の基端に設けられ装置本体２８が装着されるコネクタ２４とを備え、カテーテルハブ１６とコネクタ２４の基端との間で薬液Ｓ１が流通する流路には、薬液Ｓ１が送出された際に開くスリット状の開閉孔１１２を有した円板状の弁体１０８を備える。

　これにより、カテーテル３０が使用者１２の体内に留置されていないとき、コネクタ２４に装置本体２８を接続するときに生じる先端方向への圧力に起因した装置本体２８からカテーテル３０への薬液Ｓ１の漏出が弁体１０８によって確実に防止される。また、カテーテル３０が体内に留置されているとき、投与前の薬液Ｓ１の漏出が弁体１０８によって確実に防止される。カテーテル３０が体内に留置され装置本体２８から薬液Ｓ１を送出するとき、装置本体２８の移動機構１６４を小さな駆動力で駆動させスリット状に形成された開閉孔１１２を小さな力で容易に開放して薬液Ｓ１を送出することが可能となる。

　チューブ１８の基端とコネクタ２４との間に弁体１０８を配置することで、コネクタ２４に接続される装置本体２８と、カテーテル３０に接続されるチューブ１８との間で、カテーテル３０に対する薬液Ｓ１の送出状態を弁体１０８によって切り替えることができる。

　プライミング液Ｓ２を送出可能なプライミング液送出具２６がコネクタ２４に対して選択的に接続され、コネクタ２４に配置された環状の弁座１５２が、開閉孔１１２より径方向外側で弁体１０８に当接し、且つ、第１接続部材１００の弁孔１１０の基端面１１０ａ（図１３参照）と弁座１５２とによって弁体１０８が挟持される。これにより、カテーテル３０を体内に留置した状態でコネクタ２４からプライミング液送出具２６を取り外すとき、弁体１０８の先端面に付与される背圧によって弁孔１１０の基端面１１０ａ及び弁座１５２と弁体１０８との間を通じたコネクタ２４側への体液（血液）の浸入が抑制される。

　装置本体２８から薬液Ｓ１が投与されるとき、弁体１０８の開放圧力を、前記装置本体２８が駆動したときの駆動力によって前記弁体１０８に付与される圧力よりも低い範囲とすることで、カテーテル３０を体内に留置して薬液Ｓ１を送出するときに確実に開閉孔１１２を開放させることができ、カテーテル３０が留置されていないときのコネクタ２４とプレフィルドシリンジ９０の接続時、又はカテーテル３０が留置されているとき、弁体１０８の開閉孔１１２を閉じておくことで、気圧変化や温度変化等に起因した薬液Ｓ１の内圧変化による薬液Ｓ１の漏出を確実に防止できる。

　チューブ１８の基端部に配置されるコネクタ２４を有し、コネクタ２４の内部に、基端方向に突出した中空針９８を備えると共に、コネクタ２４が、プレフィルドシリンジ９０と接続可能な第１接続部９２と、前記第１接続部９２と異なる箇所に設けられ、前記プライミング液送出具２６と接続可能な第２接続部９４とを備える。

　これにより、中空針９８の基端がコネクタ２４の内部に収容されるため、プライミング液送出具２６を第２接続部９４に接続し、プライミングを行った後に前記プライミング液送出具２６及び第２接続部９４を抜去までの作業をするときに使用者１２が中空針９８によって誤穿刺することが防止される。コネクタ２４の第１接続部９２にプレフィルドシリンジ９０を接続するとき、該プレフィルドシリンジ９０によって先端方向に向けた圧力が付与されることがないため、薬液Ｓ１が先端方向に漏出することが防止される。

　コネクタ２４は、第２接続部９４を介してプライミング液送出具２６と接続可能であるため、装置本体２８のプレフィルドシリンジ９０を接続する前に、薬液投与装置１０によってプライミングを行うことができる。

　第１接続部９２を、チューブ１８の基端部に接続される第１接続部材１００に設け、第２接続部９４を、前記第１接続部材１００の基端部に着脱可能に装着される第２接続部材１２６に設けている。これにより、プライミング液送出具２６によるプライミング液Ｓ２の送出が完了した後、前記プライミング液送出具２６を第２接続部材１２６と共に第１接続部材１００から取り外すことで、第１接続部材１００の第１接続部９２にプレフィルドシリンジ９０を接続して薬液Ｓ１を投与することができる。

　第２接続部材１２６が、プライミング液送出具２６の先端部に接続される円筒状の第１筒体１２８と、第１筒体１２８の外側を覆って第１接続部材１００に係合される第２筒体１３０とを備える。これにより、第１筒体１２８の嵌合孔１４０に対してバレル１７６の先端ノズル部１７６ａを液密に接続可能であり、且つ、第２筒体１３０によって第１接続部材１００に着脱可能に接続することができる。

　第２接続部材１２６の第２筒体１３０には、第１接続部材１００に対して接近又は離間する方向に傾動可能なアーム１４２を有し、アーム１４２の先端に設けられた係合部１４４を、第１接続部材１００の外周面に形成された係合孔１１４へ係合させる。これにより、第２接続部材１２６を介してプライミング液送出具２６を第１接続部材１００の第１接続部９２に接続できると共に、アーム１４２を傾動させて係合部１４４を係合孔１１４から離脱させることで、コネクタ２４（第１接続部材１００）に対する第２接続部材１２６の接続を容易に解除できる。

　第１接続部９２は、中空針９８の先端に向かい合うと共にプライミング液送出具２６の先端ノズル部１７６ａが挿入されて嵌合可能なテーパ状の嵌合孔１４０を有している。これにより、バレル１７６の先端ノズル部１７６ａが嵌合孔１４０に嵌合されることで、前記バレル１７６の先端ノズル部１７６ａと嵌合孔１４０とが液密に嵌合されるため、プライミング液送出具２６とコネクタ２４とを良好に接続することができる。

　第１筒体１２８及び第２筒体１３０の先端に保持され、中空針９８によって穿刺されるキャップ１３２を備えることで、第１筒体１２８の先端と第２筒体１３０の先端とを液密に接続できるため、キャップ１３２によってプライミング液Ｓ２の漏れが防止される。

　カテーテル３０の基端を保持するカテーテルハブ１６と、カテーテルハブ１６を保持するホルダ２０と、ホルダ２０の裏面に固定され、使用者１２の体表１２ａに沿って貼着されるシート状の貼付体２２とを備える。これにより、使用者１２の体内にカテーテル３０が留置されたとき、ホルダ２０によってカテーテルハブ１６が貼付体２２に対して確実に固定されているため、使用者１２の体動等によってカテーテルハブ１６がカテーテル３０に対して相対移動することを防止できる。そのため、使用者１２の体動等に起因したカテーテル３０の変形を防止できる共に、体内からのカテーテル３０の脱抜を防止できる。

　ホルダ２０が、平板状で貼付体２２が固定される台座部５４と、台座部５４に接続されカテーテルハブ１６の先端部が挿入され保持される筒状のカテーテル保持部５６とを備えることで、平坦な台座部５４によってホルダ２０を貼付体２２に確実に固定できる。カテーテル保持部５６にカテーテル３０（ハブ本体３８）の先端部を挿入することで、ハブ本体３８の先端部を使用者１２の体表１２ａに向かうように保持することができる。

　ホルダ２０は、カテーテルハブ１６のサイドポート４０を保持するポート保持部５８を有し、該ポート保持部５８が、前記サイドポート４０を上方から覆う上壁６６を有している。そのため、サイドポート４０に接続されたチューブ１８が体表１２ａ（台座部５４）から離間する方向へ引っ張られたとき、ポート保持部５８によって台座部５４からのサイドポート４０の浮き上がりを防止することが可能である。そのため、チューブ１８が引っ張られた場合でも、カテーテルハブ１６がホルダ２０から外れることを防止できる。

　台座部５４には、該台座部５４を貫通する切欠６０ａを有し、切欠６０ａ内に、カテーテルハブ１６の先端部の下部が配置されているため、カテーテルハブ１６に保持されるカテーテル３０の先端を体表１２ａにより一層近接して配置することが可能となり、カテーテル３０の体内からの抜けを効果的に抑制できる。

　カテーテルハブ１６を保持するホルダ２０と、ホルダ２０の裏面に融着され使用者１２の体表１２ａに貼着される貼付体２２と、貼付体２２の貼付面２２ａに重ねられ貼付体２２を体表１２ａに固定するときに剥がされる剥離シート７２とを有し、前記ホルダ２０と前記貼付体２２とが融着部８２によって互いに接合され、融着部８２は、一般融着部８４と、該一般融着部８４よりも接合力が小さい剥離補助部８６ａ、８６ｂとを有している。これにより、使用者１２が貼付体２２の貼付面２２ａから剥離シート７２を剥がすとき、剥離補助部８６ａ、８６ｂによって剥離シート７２の剥離抵抗が過大となることを防止できる。そのため、貼付体２２から剥離シート７２を容易に剥離させることができる。剥離シート７２の剥離に伴って、既に体内に留置されているカテーテル３０が抜けてしまうことが防止される。

　融着部８２において、剥離シート７２を剥離するときに最大荷重（最大剥離抵抗）となる位置に剥離補助部８６ａ、８６ｂを配置することで、剥離シート７２の剥離作業を効果的に補助することが可能となる。

　剥離補助部８６ａ、８６ｂを、一般融着部８４の一部を切り欠くように設けられた非融着部８８とすることで、容易に剥離補助部８６ａ、８６ｂを実現することが可能である。

　剥離補助部８６ａ、８６ｂが、融着部８２の内周側に配置されているため、融着部８２の外周側において適切な接合力が得られ、所望の接合力で貼付体２２をホルダ２０に固定することができる。剥離シート７２を貼付体２２から剥離させるとき、剥離シート７２の剥離抵抗が急激に増大することを防止できる。

　剥離補助部８６ａ、８６ｂは、一般融着部８４の接合力より小さな接合力で融着された融着部とすることで、剥離補助部８６ａ、８６ｂを容易に実現することができる。

　貼付体２２が、カテーテル３０の挿通される第１貼付部６８と、第１貼付部６８の基端に配置され前記ホルダ２０の固定される第２貼付部７０とを有し、剥離補助部８６ａ、８６ｂを、前記ホルダ２０と前記第２貼付部７０との間に設ける。これにより、ホルダ２０と貼付体２２とを融着することで、第２貼付部７０から剥離シート７２が剥がれにくくなるが、ホルダ２０と第２貼付部７０との間に剥離補助部８６ａ、８６ｂを設けることで、第２貼付部７０からの剥離性を効果的に高めることが可能となる。

　ホルダ２０は、カテーテルハブ１６のサイドポート４０を保持するポート保持部５８を有し、剥離補助部８６ａ、８６ｂが、融着部８２の周方向においてポート保持部５８から離間した位置に配置される。これにより、サイドポート４０に接続されるチューブ１８に対して引張方向へ荷重が付与され、該チューブ１８と共にサイドポート４０が引っ張られたとき、剥離補助部８６ａ、８６ｂに起因した貼付体２２とホルダ２０との接合状態が低下することがない。

　次に、第２実施形態に係る薬液投与装置２００を図１６～図１８に示す。なお、上述した第１実施形態に係る薬液投与装置１０と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。

　第２実施形態に係る薬液投与装置２００のコネクタ２０２は、図１６に示すように、装置本体２８のプレフィルドシリンジ９０（図１８参照）と接続可能な第１接続部２０４と、プライミング液Ｓ２を送出可能なプライミング液送出具２６（図１７参照）と接続可能な第２接続部２０６とを備えた単一の接続部材２０８を備える。第１接続部２０４は、コネクタ爪部１１６及び中空針２１６を含み、プレフィルドシリンジ９０の送出ノズル部１７０が接続される部位である。第２接続部２０６は、嵌合孔２１８を有し、プライミング液送出具２６の先端ノズル部１７６ａが接続される部位である。

　接続部材２０８は、樹脂製材料から成形によって形成され、先端に形成されチューブ１８の基端を保持する先端接続部２１０と、基端に形成され装置本体２８の接続される基端接続部２１２と、先端接続部２１０と基端接続部２１２との間に配置されプライミング液送出具２６が接続される中間部２１４とを有する。

　単一の接続部材２０８において、第１接続部２０４と第２接続部２０６とが互いに異なる部分であり、基端接続部２１２が前記第１接続部２０４であり、中間部２１４が前記第２接続部２０６である。

　中間部２１４の分離壁１１８には、基端方向（矢印Ａ方向）に向けて突出した中空針２１６を有する。中空針２１６は、接続部材２０８と一体成形で形成される。

　中間部２１４の内部には、バレル１７６の先端ノズル部１７６ａが挿入される嵌合孔２１８を有する。嵌合孔２１８は、中空針２１６の先端に向かい合い、先端方向に向かってテーパ状に形成される。

　図１７に示される接続部材２０８の基端からプライミング液送出具２６のバレル１７６が接続されるときは、バレル１７６の先端ノズル部１７６ａに中空針２１６の基端が挿入されると共に、前記先端ノズル部１７６ａが嵌合孔２１８に対してテーパ嵌合される。これにより、バレル１７６の内部のプライミング液Ｓ２が中空針２１６の針孔１５４を通じて先端方向に供給されると共に、バレル１７６の先端ノズル部１７６ａと接続部材２０８の嵌合孔２１８とが液密に接続される。

　図１８に示される接続部材２０８の基端から装置本体２８のプレフィルドシリンジ９０が接続されるときは、中空針２１６の基端がパッキン１６８の軸中心に穿刺されると共に、プレフィルドシリンジ９０における送出ノズル部１７０の内部に前記基端が挿入される。これにより、プレフィルドシリンジ９０の薬液Ｓ１が中空針２１６の針孔１５４を通じて先端方向へ供給可能となる。

　この第２実施形態の薬液投与装置２００では、プレフィルドシリンジ９０と接続可能な第１接続部２０４と、プライミング液送出具２６と接続可能な第２接続部２０６とを同一の接続部材２０８に設けることで、部品点数及び組付工数を削減して製造コストを削減できると共に、コネクタ２０２を軸方向に小型化することが可能である。

　中空針２１６を、接続部材２０８と一体成形で形成することで、薬液投与装置２００の部品点数及び組付工数を削減可能である。

　なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。

Claims

　生体に挿入されて留置されるカテーテルと、
　前記カテーテルに向けて薬液を流通させることが可能なチューブと、
　内部に充填されたプライミング液を先端部から送出可能なプライミング液送出具と、前記薬液の充填されたプレフィルドシリンジとを選択的に接続可能であり、前記チューブの基端部に設けられたコネクタと、
　前記コネクタの内部に設けられ基端方向に突出した中空針と、
　を備えた薬液投与装置であって、
　前記コネクタは、前記プレフィルドシリンジと接続可能な第１接続部と、
　前記第１接続部とは異なる箇所に設けられ、前記プライミング液送出具と接続可能な第２接続部と、
　を備える、薬液投与装置。
　請求項１記載の薬液投与装置において、
　前記第１接続部は、前記チューブの前記基端部に接続される第１接続部材に設けられ、
　前記第２接続部は、前記第１接続部材の基端部に着脱可能に装着される第２接続部材に設けられる、薬液投与装置。
　請求項２記載の薬液投与装置において、
　前記第２接続部材は、前記プライミング液送出具の先端部に接続される円筒状の第１筒体と、
　前記第１筒体の外側を覆うと共に前記第１接続部材に係合される第２筒体と、
　を備える、薬液投与装置。
　請求項３記載の薬液投与装置において、
　前記第２筒体は、前記第１接続部材の前記第１接続部の外側に配置され該第１接続部に対して接近又は離間する方向に傾動可能なアームを有し、
　前記アームには、前記第１接続部の外周面に形成された係合孔へ係合する係合部を有する、薬液投与装置。
　請求項１記載の薬液投与装置において、
　前記第１接続部及び前記第２接続部は、単一の接続部材の互いに異なる部分である、薬液投与装置。
　請求項５記載の薬液投与装置において、
　前記中空針は、前記接続部材と一体成形される、薬液投与装置。
　請求項５又は６記載の薬液投与装置において、
　前記第２接続部は、前記中空針の先端に向かい合うと共に前記プライミング液送出具の先端ノズル部が挿入されて嵌合可能なテーパ状の嵌合孔を有する、薬液投与装置。
　請求項３記載の薬液投与装置において、
　前記第１筒体及び前記第２筒体の少なくとも一方に保持され、前記中空針の穿刺されるキャップを備える、薬液投与装置。