WO2023163006A1

WO2023163006A1 - 植物栽培装置

Info

Publication number: WO2023163006A1
Application number: PCT/JP2023/006341
Authority: WO
Inventors: 輝亮新木; 浩司松永; 勤松野; 高章町田; 龍亮村田; 俊和森
Original assignee: 株式会社デンソー
Priority date: 2022-02-28
Filing date: 2023-02-22
Publication date: 2023-08-31
Also published as: JPWO2023163006A1; TW202341857A

Abstract

植物栽培装置は、保持具（２０）と、スペーサ（Ｓ）と、第１搬送路（１１Ａ）、第２搬送路（１１Ｂ）を含む複数の搬送路（１１）と、養液槽（１７）と、第１搬出入部（２５）と、第２搬出入部（２６）と、制御部（５０）とを有している。制御部は、第１搬送路の栽培前期区間（Ｓｃｆ）に配置される保持具の植物の生育段階は、第２搬送路の栽培前期区間（Ｓｃｌ）に配置された保持具の植物の生育段階と異なるように、第１搬出入部及び第２搬出入部の少なくとも一方を制御する。又、制御部は、第１搬送路及び第２搬送路の栽培後期区間に配置された保持具において、第１搬送路及び第２搬送路の何れか一方における植物の生育段階が収穫直前段階である場合に、第１搬送路及び第２搬送路の何れか他方における栽培後期区間には、スペーサを配置するように第１搬出入部及び第２搬出入部の少なくとも一方を制御する。

Description

植物栽培装置

関連出願の相互参照

　本出願は、２０２２年２月２８日に出願された日本特許出願２０２２－０２９１３１号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。

　本開示は、植物を保持した保持具を複数の搬送路にて搬送して栽培する植物栽培装置に関する。

　従来、植物を保持する保持具を複数の搬送路に従って搬送しつつ、植物の栽培を行う植物栽培装置に関して、特許文献１に記載された技術が知られている。特許文献１に記載された植物栽培システムでは、Ｕターンユニットにて搬送路を変更する際に、植物を保持する保持具同士の間にスペーサを追加することで、搬送方向に沿った方向における植物の間隔を調整している。これにより、特許文献１の植物栽培システムでは、搬送方向に関する植物の間隔を広げることができる。

国際公開第２０１７／０４２８９１号

　しかしながら、特許文献１の植物栽培システムでは、搬送方向に交差する方向に関して、複数の搬送路が並列に配置されている。そして、植物は搬送方向に従って成長するものではなく、搬送方向に交差する方向にも成長する。つまり、植物の生育が進んでいくと、或る搬送路上の保持具に係る植物と、この搬送路に隣接する搬送路上の保持具に係る植物との間隔が近くなり、栽培密度が高くなってしまうことが考えられる。

　植物の生育が進んでいない状態では、保持具上の植物の占有面積も小さい為、複数の搬送路を搬送する態様でも、搬送方向に交差する方向の間隔の影響は小さい。従って、植物の生育段階に応じて、複数の並列配置された搬送路における植物の間隔についても調整を行う必要性があると考えられる。

　又、特許文献１の植物栽培システムでは、Ｕターンユニットにて搬送路を変更する際に、植物を保持する保持具を搬送路から取り出し、取り出した保持具を逆方向への搬送路に再投入する動作が行われる。そして、特許文献１では、Ｕターンユニットによる保持具の取り出し、再投入の間において、スペーサの投入動作を行うことで、搬送方向における植物の間隔を調整している。

　従って、特許文献１の技術では、植物の間隔を調整する際に、植物を保持した保持具の取り出し、再投入という動作が存在することになる。保持具の取り出し、再投入の動作は、保持具に保持されている植物（例えば、根の部分）にダメージを与える可能性があり、その後の植物の生育に影響を及ぼすことが考えられる。又、保持具の取り出し、再投入の動作は、植物の水耕栽培における各作業のサイクルタイムを短縮する上でボトルネックになっていると考えられる。

　本開示は、上記点に鑑み、植物を保持した保持具を複数の搬送路にて搬送して栽培する植物栽培装置に関し、並列された複数の搬送路における植物の間隔を最適化して栽培効率を向上させることができる植物栽培装置を提供することを目的とする。

　本開示の一態様に係る植物栽培装置は、保持具と、スペーサと、第１搬送路、第２搬送路を含む複数の搬送路と、養液槽と、第１搬出入部と、第２搬出入部と、制御部とを有している。保持具には、栽培対象となる植物が保持されている。スペーサは、複数の保持具における植物の間隔を調整する。搬送路には、保持具及びスペーサが並んだ状態でスライド移動可能に保持されており、複数の搬送路は、相互に並列するように配置されている。養液槽は、搬送路の下方に配置され、植物の成長を促す為の栽培養液を蓄えている。

　第１搬出入部は、複数の搬送路の一端側に配置され、搬送路の一端側を介して、搬送路に対する保持具及びスペーサの搬入及び搬出を行う。第２搬出入部は、複数の搬送路の他端側に配置され、搬送路の他端側を介して、搬送路に対する保持具及びスペーサの搬入及び搬出を行う。制御部は、第１搬出入部及び第２搬出入部の作動を制御して、搬送路に対して保持具又はスペーサを時間経過毎に追加搬入することで、搬送路に保持された保持具及びスペーサを玉突き式にスライド移動させて搬送路から搬出する。

　そして、保持具が搬送路の一端側から他端側へ到達するまでの栽培区間は、栽培前期区間と、栽培後期区間により構成されている。栽培前期区間は、搬送路の一端側を基準として定められている。栽培後期区間は、搬送路の他端側を基準として定められている。

　制御部は、第１搬送路の栽培前期区間に配置される保持具の植物の生育段階は、第２搬送路の栽培前期区間に配置された保持具の植物の生育段階と異なるように、第１搬出入部及び第２搬出入部の少なくとも一方を制御する。

　又、制御部は、第１搬送路及び第２搬送路の栽培後期区間に配置された保持具において、第１搬送路及び第２搬送路の何れか一方における植物の生育段階が収穫直前段階である場合に、第１搬送路及び第２搬送路の何れか他方における栽培後期区間には、スペーサを配置するように第１搬出入部及び第２搬出入部の少なくとも一方を制御する。

　植物栽培装置によれば、第１搬出入部及び第２搬出入部の作動を制御して、搬送路に対して保持具又はスペーサを時間経過毎に追加搬入することで、搬送路に保持された保持具及びスペーサを玉突き式にスライド移動させて搬送路から搬出して植物を栽培できる。

　そして、植物栽培装置によれば、第１搬送路の栽培前期区間に配置される保持具の植物の生育段階は、第２搬送路の栽培前期区間に配置された保持具の植物の生育段階と異なるように、第１搬出入部及び第２搬出入部の作動が行われる。これにより、植物の生育段階の初期にあたる栽培前期区間では、複数の搬送路における植物の間隔をできるだけ小さくして栽培密度を高めることができる。

　更に、植物栽培装置によれば、第１搬送路及び第２搬送路の何れか一方の栽培後期区間に、収穫直前段階の植物を保持する保持具が配置されている場合に、何れか他方の栽培後期区間には、スペーサが配置される。これにより、複数の搬送路が並列している構成の栽培後期区間において、搬送路と交差する方向に間隔を設け、植物が収穫直前段階から生育する為に十分なスペースを確保することができ、植物の栽培効率を向上させることができる。

　つまり、植物栽培装置によれば、栽培前期区間、栽培後期区間のそれぞれに適した態様で、保持具に保持される植物の間隔を調整することができ、植物の栽培効率を向上させることができる。

　本開示についての上記目的及びその他の目的、特徴や利点は、添付図面を参照した下記詳細な説明から、より明確になる。
第１実施形態に係る植物栽培装置の概略構成図である。植物栽培装置の栽培ユニットに関する構成図である。植物栽培装置の搬送路、養液槽、保持具の構成を示す説明図である。搬送路における第１搬出入口の構成を示す説明図である。搬送路からの保持具の搬出動作の一例を示す説明図である。第１実施形態に係る植物栽培装置の制御系を示すブロック図である。第１実施形態に係る保持具及びスペーサと植物の生育段階との関係を示す説明図である。植物栽培装置の栽培工程における初期状態を示す説明図である。栽培工程の第１生育期間に移行した状態を示す説明図である。第１生育期間における収穫動作を示す説明図である。第１生育期間における収穫後の保持具搬送動作の説明図である。第１生育期間におけるスペーサ回収動作の説明図である。第１生育期間における保持具搬入動作の説明図である。第１生育期間におけるスペーシング付随動作の説明図である。第１生育期間におけるスペーシング動作の説明図である。栽培工程の第２生育期間に移行した状態を示す説明図である。第２生育期間における収穫動作を示す説明図である。第２生育期間における収穫後の保持具搬送動作の説明図である。第２生育期間におけるスペーサ回収動作の説明図である。第２生育期間における保持具搬入動作の説明図である。第２生育期間におけるスペーシング付随動作の説明図である。第２生育期間におけるスペーシング動作の説明図である。第２実施形態の第１生育期間における第１収穫動作を示す説明図である。第２実施形態の第１生育期間における第１押込動作を示す説明図である。第２実施形態の第１生育期間における第２収穫動作を示す説明図である。第２実施形態の第１生育期間における第２押込動作を示す説明図である。第２実施形態の第１生育期間における保持具戻し動作を示す説明図である。第２実施形態の第１生育期間における第１スペーサ移動動作を示す説明図である。第２実施形態の第１生育期間における第１搬入動作を示す説明図である。第２実施形態の第１生育期間における第２スペーサ移動動作を示す説明図である。第２実施形態の第１生育期間における第２搬入動作を示す説明図である。

　以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各実施形態において、先行する実施形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の実施形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。

　（第１実施形態）
　本開示における第１実施形態について、図１～図２２を参照して説明する。また、各図における上下、左右、前後を示す矢印は、実施形態における各構成の位置関係の理解を容易にする為に、三次元空間の直交座標系（例えば、Ｘ軸、Ｙ軸、Ｚ軸）に対応する基準として例示したものである。従って、本開示に係る植物栽培装置１の姿勢等は、各図に示す状態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。

　本開示に係る植物栽培装置１は、屋内にて植物の水耕栽培を行う為の装置であり、苗状態の植物を収穫可能な状態まで生育する。植物栽培装置１は、複数の搬送路１１を有する栽培ユニット１０と、保持具２０及びスペーサＳと、第１搬出入ユニット２５と、第２搬出入ユニット２６と、養液循環装置３０と、栽培用照明装置３５と、空調装置４０と、制御部５０と、を有している。

　図１、図２に示すように、植物栽培装置１は、複数の搬送路１１及び養液槽１７を備える栽培ユニット１０を有している。複数の搬送路１１は、搬送レール１２によって構成されている。搬送レール１２は、２本の搬送路１１を構成するように形成されており、前後方向に沿って、直線状に水平方向へ伸びるように設けられている。

　尚、本実施形態でいう「前後方向」は、植物栽培装置１における植物Ｐの搬送方向であり、搬送路１１及び搬送レール１２の長手方向でもある。又、「水平方向」は厳密な水平方向である必要はなく、実質的に水平方向であればよい。従って、水平方向に対して若干傾斜した方向も含まれる。

　図１、図２に示すように、搬送レール１２における２本の搬送路１１は左右方向に並んで平行に伸びている。第１実施形態においては、搬送レール１２の左側に配置されている搬送路１１を第１搬送路１１Ａといい、搬送レール１２の右側に配置されている搬送路１１を第２搬送路１１Ｂという。従って、第１搬送路１１Ａと第２搬送路１１Ｂは、左右方向に相互に隣接するように配置されている。

　つまり、図１、図２に示すように、栽培ユニット１０における複数の搬送路１１は、偶数本の搬送路１１ということができ、第１搬送路１１Ａと第２搬送路１１Ｂが左右方向に交互に並んで配置されている。

　搬送レール１２は、複数の保持具２０やスペーサＳを長手方向に沿ってスライド移動可能に支持している。具体的には、図３～図５に示すように、搬送レール１２における搬送路１１側の側面には、溝部１３がそれぞれ形成されている。溝部１３の内部には、保持具２０及びスペーサＳの端縁が嵌入される。これにより、溝部１３によって、保持具２０及びスペーサＳの両端が支持されることになる為、搬送レール１２は、搬送路１１の搬送方向に従って、保持具２０及びスペーサＳをスライド移動可能に保持することができる。

　そして、搬送レール１２の一端側（即ち、後方側の端部）には、搬送路１１に対し保持具２０やスペーサＳを搬出・搬入する為の第１搬出入口１５が設けられている。一方、搬送レール１２の他端側（即ち、前方側の端部）には、搬送路１１に対して保持具２０やスペーサＳを搬出・搬入する為の第２搬出入口１６が設けられている。

　図４、図５に示すように、第１搬出入口１５及び第２搬出入口１６においては、溝部１３の上側を構成する規制片１４が取り除かれている。従って、第１搬出入口１５及び第２搬出入口１６に対して、保持具２０及びスペーサＳの上下方向への移動が可能となる為、搬送路１１に対する保持具２０等の搬入や、保持具２０等の搬送路１１からの取り出しを容易に行うことが可能となっている。

　尚、図３に示すように、搬送路１１における第１搬出入口１５及び第２搬出入口１６を除いた部分においては、溝部１３は、規制片１４を有する構成となっている。この為、搬送路１１をスライド移動する際に、保持具２０やスペーサＳが上方に変位することはなく、搬送方向に従った円滑なスライド移動を実現することができる。

　そして、搬送レール１２は、保持具２０やスペーサＳが前後方向における一方側から搬入されるごとに、支持されている複数の保持具２０、スペーサＳが前後方向における他方側に向かって、スライド移動するように構成されている。

　つまり、各搬送路１１では、保持具２０が前後方向における一方側から搬入されるごとに支持された複数の保持具２０、スペーサＳが前後方向における他方側に向けて、搬入された保持具２０の個数分ずつスライド移動される。各搬送路１１では、保持具２０及びスペーサＳの搬出入に伴って、保持具２０やスペーサＳの玉突き式の搬送が行われる。

　栽培ユニット１０において、搬送路１１を構成する搬送レール１２の下方には、養液槽１７が配置されている。養液槽１７は、上側が開放された断面略Ｕ字状の長尺の水槽であり、内部に栽培養液Ｗが蓄えられている。栽培養液Ｗは、栽培対象である植物Ｐの成長を促す為に、適切な成分及びｐＨに調整されている。図３、図４に示すように、養液槽１７は、搬送レール１２の第１搬送路１１Ａ及び第２搬送路１１Ｂの下方に位置するように形成されている。

　栽培ユニット１０には、搬送レール１２の数に応じて、複数の養液槽１７が設けられており、各養液槽１７は、循環用配管３１を介して、養液循環装置３０に接続されている。養液循環装置３０は、栽培養液Ｗを循環させる為のウォーターポンプ、栽培養液Ｗの成分やｐＨを調整する調整機構、栽培養液Ｗの浄化・殺菌を行う機構を有している。従って、植物栽培装置１では、養液循環装置３０の制御によって、循環用配管３１を介して、各養液槽１７を栽培養液Ｗが循環するように構成されている。

　次に、搬送路１１を搬送される保持具２０及びスペーサＳについて図面を参照して説明する。図３、図４に示すように、保持具２０は、植物栽培装置１における栽培対象である植物Ｐを１株ごとに保持する部材である。尚、１株とは、単一の種子から生育される１つの個体をいう。

　保持具２０は、摺動性の高い材料（例えば樹脂や金属等）で一体成形されており、支持部２１、穴部２２を有している。保持具２０における支持部２１は、長方形を為す板状部分と、板状部分の中央に配置された突出部により構成されている。保持具２０における支持部２１は、上述した溝部１３内部に嵌入可能な厚みで形成されている。従って、支持部２１における左右両側の端縁をそれぞれ、搬送レール１２の溝部１３に嵌入させることで、搬送路１１に沿った保持具２０のスライド移動を実現することができる。

　保持具２０の中央に位置する突出部には、突出部を上下方向に貫通する穴部２２が形成されている。穴部２２の内部には、図示しない培地が充填されており、培地によって植物Ｐが保持されている。従って、図３、図４に示すように、保持具２０の穴部２２の上方から植物Ｐの葉が伸び、穴部２２の下方からは、植物Ｐの根Ｐｒが伸びた状態で、植物Ｐは保持具２０に保持される。

　尚、穴部２２に充填される培地としては、例えば、寒天等のゲル状培地を使用してもよいし、ウレタン、ロックウール等の固形培地を使用してもよい。又、保持具２０の構成は一例であり、上記以外の構成としてもよい。例えば、上記では保持具２０を一体成形としたが、複数の部品で構成されてもよい。例えば、保持具２０が車輪を備え、搬送レール１２に対して車輪により移動する構成としてもよい。

　そして、植物栽培装置１では、保持具２０に保持されている植物Ｐの間隔を調整する為に、搬送路１１に対してスペーサＳが使用される。
スペーサＳは、保持具２０と共通の部品で構成される。即ち、スペーサＳは、穴部２２の内部に培地を充填せず、植物Ｐを保持していない状態の保持具と換言することができる。尚、保持具２０における穴部２２は上下方向に貫通しているが、スペーサＳにおける穴部２２は閉塞されている。

　従って、スペーサＳの支持部における左右両側の端縁をそれぞれ、搬送レール１２の溝部１３に嵌入させることで、搬送路１１に沿ったスペーサＳのスライド移動を実現することができる。つまり、スペーサＳが搬送路１１の前後方向における一方側から搬入されるごとに、搬送路１１上の保持具２０及びスペーサＳが、搬入されたスペーサＳの数に応じて、搬送路１１を他方側に向けてスライド移動することになる。

　こうして、保持具２０及びスペーサＳを搬送路１１に沿って搬送しつつ、植物Ｐを栽培する栽培ユニット１０には、栽培用照明装置３５が設けられている。栽培用照明装置３５は、図示は省略するが、各搬送路１１の上方に配置された複数の光源の発光態様を制御して、搬送路１１上の植物Ｐに光を当てる為の装置である。尚、栽培用照明装置３５で制御される光源の種類は特に限定されるものではなく、例えば、ＬＥＤや蛍光灯等を利用することができる。

　又、植物栽培装置１は、屋内にて植物の水耕栽培を行う為、屋内の空調環境を植物Ｐの生育に適した環境に整える為の空調装置４０を有している。空調装置４０は、室内における温度、湿度、送風量等を調整可能に構成されており、例えば、一般的な空調装置を用いることができる。

　ここで、植物栽培装置１では、第１搬出入口１５から投入した保持具２０の植物Ｐは、搬送路１１を搬送される過程で成長していき、十分に成長した段階で、第２搬出入口１６から搬出されて収穫される。従って、搬送路１１の一端側である第１搬出入口１５から他端側である第２搬出入口１６に到達するまでの搬送路１１全体の区間は、植物Ｐを栽培する為の栽培区間Ｓｃと定義することができる。

　又、図１、図２に示すように、栽培区間Ｓｃは、栽培前期区間Ｓｃｆと、栽培後期区間Ｓｃｌとに区分される。栽培前期区間Ｓｃｆは、搬送路１１における一端側である第１搬出入口１５を基準として定められ、栽培区間Ｓｃのうち第１搬出入口１５側に位置する。一方、栽培後期区間Ｓｃｌは、搬送路１１における他端側である第２搬出入口１６を基準として定められ、栽培区間Ｓｃのうち第２搬出入口１６側に位置する。

　そして、図１、図２に示すように、栽培ユニット１０における第１搬出入口１５側には、第１搬出入ユニット２５が配置されており、栽培ユニット１０における第２搬出入口１６側には、第２搬出入ユニット２６が配置されている。

　第１搬出入ユニット２５は、各搬送路１１の第１搬出入口１５に対する保持具２０及びスペーサＳの搬出及び搬入を行う為のハンド２７と、ハンド２７を前後方向、左右方向、上下方向に移動させる為のユニット本体部２９とを有している。

　そして、第２搬出入ユニット２６は、搬送路１１の第２搬出入口１６に対する保持具２０及びスペーサＳの搬出及び搬入を行う為のハンド２７と、ハンド２７を前後方向、左右方向、上下方向に移動させる為のユニット本体部２９とを有している。

　各ハンド２７は、２本の爪部材２８を有しており、保持具２０又はスペーサＳの下方に爪部材２８を配置することで、保持具２０又はスペーサＳの搬入動作及び搬出動作を可能としている。この点については、後に図面を参照して説明する。

　ユニット本体部２９は、ハンド２７を前後方向に移動させる為の機構部と、ハンド２７を左右方向に移動させる為の機構部と、ハンド２７を上下方向に移動させる為の機構部とを有している。各機構部は、例えば、所定方向に伸びるビームと、ビームに従って移動するスライダと、所定方向への駆動源としてのモータ等により構成される。

　これにより、第１搬出入ユニット２５、第２搬出入ユニット２６は、複数の搬送路１１を対象として、保持具２０及びスペーサＳの搬入動作及び搬出動作を実現することができる。従って、第１搬出入ユニット２５は第１搬出入部の一例に相当し、第２搬出入ユニット２６は第２搬出入部の一例に相当する。

　ここで、搬送路１１に対する保持具２０等の搬入・搬出動作について、図面を参照して説明する。以下の説明では、搬送路１１の第２搬出入口１６からの保持具２０の搬出動作を例に挙げて説明する。

　図５に示すように、搬送路１１の第２搬出入口１６から、植物Ｐを保持する保持具２０の搬出動作を行う場合、第２搬出入ユニット２６は、ハンド２７の位置を、上下方向及び左右方向における所定位置に移動させる。この場合の所定位置とは、上下方向に関しては、保持具２０の下方であって、養液槽１７の上端よりも上方の位置であり、左右方向に関しては、搬送対象となる保持具２０が位置する搬送路１１の中央部分を意味する。

　上下方向及び左右方向における所定位置にハンド２７を移動させると、第２搬出入ユニット２６は、前後方向に沿ってハンド２７を移動させる。これにより、ハンド２７に設けられた２本の爪部材２８の間に、保持具２０に保持されている植物Ｐの根Ｐｒが位置することになる。

　搬送対象となる保持具２０の全体が爪部材２８に載るように、ハンド２７を前後方向に移動させた後、第２搬出入ユニット２６は、ハンド２７を上下方向及び前後方向に移動させる。上述したように、第２搬出入口１６には規制片１４がない為、ハンド２７を上方に移動させると共に、前方側に移動させることで、搬送対象である保持具２０を植物Ｐと共に、搬送路１１から搬出することができる。

　尚、図５においては、搬送路１１からの保持具２０の搬出動作を例示して説明したが、スペーサＳの搬出動作についても同様の動作により実現することができる。又、保持具２０等の搬出動作とは、逆の順番でハンド２７の動作を行うことで、搬送路１１に対する保持具２０等の搬入動作を行うことができる。この点に関する説明については省略する。

　次に、第１実施形態に係る植物栽培装置１の制御系について、図６を参照して説明する。制御部５０は、ＣＰＵ、ＲＯＭ及びＲＡＭ等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。

　制御部５０は、ＲＯＭ内に記憶された栽培制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行って、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を制御する。制御部５０は制御部の一例に相当する。各種制御対象機器には、第１搬出入ユニット２５、第２搬出入ユニット２６、養液循環装置３０、栽培用照明装置３５、空調装置４０が含まれている。

　そして、制御部５０の入力側には、図６に示すように、周辺機器や各種の制御用センサが接続されている。周辺機器の一例としては、カメラ５１が挙げられる。カメラ５１は、栽培ユニット１０における各搬送路１１上の保持具２０で保持されている植物Ｐの生育段階を確認する為の撮影装置である。カメラ５１は、その撮影範囲に応じて、栽培ユニット１０の上方に複数配置されており、栽培ユニット１０で栽培中の全ての植物Ｐの状態を撮影可能に設けられている。

　そして、植物栽培装置１における制御用センサとしては、養液用センサ群５２、照明用センサ群５３、空調用センサ群５４を挙げることができる。養液用センサ群５２は、各養液槽１７、養液循環装置３０、循環用配管３１を循環する栽培養液Ｗに関する物理量を検出する為のセンサ群である。養液用センサ群５２には、例えば、栽培養液Ｗの流量を検出する為の流量センサ、栽培養液ＷのｐＨを検出する為のｐＨセンサが含まれる。

　照明用センサ群５３は、栽培ユニット１０に対して照射される光を制御する為の制御用センサ群である。照明用センサ群５３には、例えば、栽培用照明装置３５による光強度を検出する光強度センサが含まれている。そして、空調用センサ群５４は、植物栽培装置１が配置されている屋内の空調環境を制御する為の制御用センサ群である。空調用センサ群５４には、例えば、屋内における屋内空気の温度を検出する温度センサ、屋内における屋内空気の湿度を検出する湿度センサ、屋内空気に含まれる二酸化炭素の濃度を検出する為のＣＯ２センサ等が含まれる。

　そして、第１実施形態の制御部５０は、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御部が一体に構成されたものである。従って、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成（即ち、ハードウェア及びソフトウェア）が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御部を構成している。

　例えば、制御部５０のうち、第１搬出入ユニット２５、第２搬出入ユニット２６の作動を制御して、栽培ユニット１０における複数の搬送路１１に対する保持具２０及びスペーサＳの搬出入を行う構成は、搬出入制御部５０Ａに相当する。従って、後述する図８～図２２における保持具２０又はスペーサＳの搬出入動作は、制御部５０の搬出入制御部５０Ａによって実現される。

　又、制御部５０のうち、養液用センサ群５２による検出結果を用いて、栽培養液Ｗの循環流量や、栽培養液Ｗの成分やｐＨを調整するように、養液循環装置３０の作動を制御する構成は、循環制御部５０Ｂに相当する。

　そして、制御部５０のうち、照明用センサ群５３による検出結果を用いて、栽培ユニット１０における植物Ｐに照射される光の強度を調整するように、栽培用照明装置３５の作動を制御する構成は、照明制御部５０Ｃに相当する。

　更に、制御部５０のうち、空調用センサ群５４による検出結果を用いて、屋内空気の環境を植物Ｐの栽培に適した状況になるように、空調装置４０の作動を制御する構成は、空調制御部５０Ｄに相当する。

　続いて、第１実施形態に係る植物栽培装置１における植物Ｐの栽培工程について、図８～図２２を参照して説明する。尚、図８～図２２においては、図示を明確にする為、栽培ユニット１０を構成する搬送レール１２及び養液槽１７の数を省略している。実際には、図１等に示すように、栽培ユニット１０は、複数の搬送レール１２及び複数の養液槽１７が左右方向に並んで配置されている。又、各搬送レール１２における第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂに載置される保持具２０及びスペーサＳの数についても省略して示している。実際には、図１等に示すように、栽培前期区間Ｓｃｆ、栽培後期区間Ｓｃｌのいずれについても、より多くの保持具２０やスペーサＳが配置される。

　ここで、植物栽培装置１における植物Ｐの栽培工程では、搬送路１１上の保持具２０に保持された植物Ｐの生育段階が進むごとに、搬送路１１上の保持具２０やスペーサＳを前後方向にスライド移動させる。

　従って、植物栽培装置１における栽培工程の説明に際して、保持具２０と植物Ｐの生育段階との関係性を図７に示すように定義して、第１保持具２０Ａ～第４保持具２０Ｄと呼ぶこととする。第１保持具２０Ａは、生育段階が苗段階である植物Ｐを保持している保持具２０を指すものと定義する。

　第２保持具２０Ｂは、生育段階が成長段階である植物Ｐを保持している保持具２０を指すものと定義する。成長段階は、苗段階の次の生育段階である為、第１保持具２０Ａは、植物Ｐが苗段階から成長段階へと成長するに伴って、第２保持具２０Ｂとなる。

　第３保持具２０Ｃは、生育段階が収穫直前段階である植物Ｐを保持している保持具２０を指すものとして定義する。収穫直前段階は、成長段階の次の生育段階である為、第２保持具２０Ｂは、植物Ｐが成長段階から収穫直前段階へと成長するに伴って、第３保持具２０Ｃとなる。

　第４保持具２０Ｄは、生育段階が収穫段階である植物Ｐを保持している保持具２０を指すものとして定義する。収穫段階は、収穫直前段階の次の生育段階である為、第３保持具２０Ｃは、植物Ｐが収穫直前段階から収穫段階へと成長するに伴って、第４保持具２０Ｄとなる。

　尚、第１実施形態においては、植物栽培装置１によって栽培養液Ｗ、光、空調の状態が制御されている為、養分、光、空気といった植物Ｐの成長条件は一定の条件に保たれている。従って、第１実施形態では、植物Ｐの生育段階は、栽培ユニット１０にて栽培対象となっている期間が予め定められた期間を経過するごとに進行するものとする。この点、保持具２０に保持されている植物Ｐの状態を確認することで、生育段階を判定するように構成しても良い。

　そして、上述したように、スペーサＳは、植物Ｐを保持していない状態の保持具２０ということができる。この為、スペーサＳは、第１保持具２０Ａ～第４保持具２０Ｄのいずれとも、植物Ｐの生育段階が異なっているということができる。

　次に、植物栽培装置１における植物Ｐの栽培工程の説明に際して、植物栽培装置１の初期状態について、図面を参照して説明する。図８に示すように、植物Ｐの栽培工程の説明における初期状態としては、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数の第１保持具２０Ａが配置され、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第３保持具２０Ｃが配置されている。

　初期状態における第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数の第２保持具２０Ｂが配置されており、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数のスペーサＳが配置されている。

　図８に示す初期状態にて、予め定められた生育期間を経過して第１生育期間になると、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂ上の植物Ｐが成長する。これにより、図９に示すように、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆに位置する保持具２０において、植物Ｐが苗段階から成長段階に成長する為、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数の第２保持具２０Ｂが配置された状態となる。

　そして、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌに位置する保持具２０では、植物Ｐが収穫直前段階から収穫段階に成長する為、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第４保持具２０Ｄが配置された状態となる。

　又、第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間Ｓｃｆに位置する保持具２０では、植物Ｐが成長段階から収穫直前段階に成長する為、第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間Ｓｃｆには、第３保持具２０Ｃが配置された状態となる。

　この点、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数のスペーサＳが配置されている。上述したように、スペーサＳは植物Ｐを保持していない為、生育期間の経過による変化は起きない。

　図９に示すように、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第４保持具２０Ｄが配置されている。即ち、収穫段階まで成長した植物Ｐを保持する保持具２０が栽培後期区間Ｓｃｌに存在している為、第１搬送路１１Ａを対象とした植物Ｐの収穫が行われる。

　具体的には、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌから第４保持具２０Ｄを搬出する収穫動作と、収穫動作に伴って空いた栽培後期区間Ｓｃｌに対して、栽培前期区間Ｓｃｆの保持具２０をスライド移動させる保持具搬送動作が行われる。

　図１０に示す収穫動作では、第２搬出入ユニット２６の作動を制御することによって、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌから、第２搬出入口１６を介して、第４保持具２０Ｄが搬出される。これにより、第４保持具２０Ｄが回収されると共に、収穫段階の植物Ｐが栽培ユニット１０から取り出され、植物Ｐの収穫を行うことができる。

　図１１に示す保持具搬送動作では、図１０に示す収穫動作に伴って、空きとなる第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌに対して、栽培前期区間Ｓｃｆに位置する第２保持具２０Ｂをスライド移動させる。具体的には、第１搬出入ユニット２５の作動によって、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆに対して、複数のスペーサＳが第１搬出入口１５から搬入される。

　従って、収穫動作、保持具搬送動作を完了すると、図１１に示すように、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数のスペーサＳが配置され、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第２保持具２０Ｂが配置された状態となる。そして、第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数の第３保持具２０Ｃが配置され、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数のスペーサＳが配置された状態となる。

　尚、収穫動作、保持具搬送動作は、図１０、図１１に示す態様に限定されるものではない。搬送路１１の栽培後期区間Ｓｃｌから一つの第４保持具２０Ｄを回収する収穫動作と、搬送路１１の栽培前期区間Ｓｃｆに対して一つのスペーサＳを搬入する保持具搬送動作と、を交互に行う態様であっても良い。

　図１１に示す状態となった場合、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数のスペーサＳが配置された状態である。この時、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第２保持具２０Ｂが配置されており、成長段階の植物Ｐを保持している。成長段階の植物Ｐは、搬送路１１の範囲内で十分な成長を見込める為、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌに複数のスペーサＳを配置しておく利点がない。

　この為、収穫動作、保持具搬送動作を完了すると、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間ＳｃｌからスペーサＳを回収するスペーサ回収動作と、第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間に新たな保持具２０を搬入する保持具搬入動作が行われる。

　図１２に示すスペーサ回収動作では、第２搬出入ユニット２６の作動を制御することによって、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌから、第２搬出入口１６を介して、スペーサＳが搬出される。これにより、スペーサＳが栽培ユニット１０の外部に回収される。

　図１３に示す保持具搬入動作では、第１搬出入ユニット２５の作動を制御して、第１搬出入口１５から、新たな保持具２０として、第１保持具２０Ａが第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間Ｓｃｆへ搬入される。保持具搬入動作は、所定の生育期間という時間の経過毎に、植物Ｐを保持する保持具２０を搬送路１１に対して追加搬入する動作ということができる。

　そして、第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間Ｓｃｆへ第１保持具２０Ａを搬入することで、複数の第３保持具２０Ｃは、玉突き式に第２搬出入口１６側へスライド移動して、第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間Ｓｃｆから栽培後期区間Ｓｃｌへ移動する。

　従って、スペーサ回収動作、保持具搬入動作を完了すると、図１３に示すように、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数のスペーサＳが配置され、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第２保持具２０Ｂが配置された状態となる。そして、第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数の第１保持具２０Ａが配置され、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第３保持具２０Ｃが配置された状態となる。

　尚、スペーサ回収動作、保持具搬入動作は、図１２、図１３に示す態様に限定されるものではない。搬送路１１の栽培後期区間Ｓｃｌから一つのスペーサＳを回収するスペーサ回収動作と、搬送路１１の栽培前期区間Ｓｃｆに対して一つの保持具２０を搬入する保持具搬入動作と、を交互に行う態様であっても良い。

　図１３に示す状態となった場合、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第２保持具２０Ｂが配置され、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第３保持具２０Ｃが配置された状態である。この状態で各植物Ｐの生育段階が進むと、第３保持具２０Ｃの植物Ｐが収穫直前段階から収穫段階へと成長することになり、他方の搬送路１１（第１搬送路１１Ａ）の上方まで植物Ｐの葉が及ぶ可能性がある。そうすると、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂのいずれの栽培後期区間Ｓｃｌにおける植物Ｐの生育に影響が出ると考えられる為、複数の搬送路１１の並列方向へのスペーシング動作が必要になる。

　第１実施形態に係る植物栽培装置１では、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌの何れか一方に、収穫直前段階の植物Ｐを保持した第３保持具２０Ｃが位置する場合には、スペーシング付随動作、スペーシング動作が実行される。

　上述したように、図１３に示す状態は、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第３保持具２０Ｃが配置されている為、スペーシング付随動作、スペーシング動作が実行される。

　図１４に示すスペーシング付随動作は、スペーシング動作に付随する事前準備にあたる動作である。具体的には、スペーシング付随動作では、第１搬出入ユニット２５の作動を制御して、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆに配置されているスペーサＳが、第１搬出入口１５から搬出される。

　図１５に示すスペーシング動作は、第３保持具２０Ｃが配置された栽培後期区間Ｓｃｌに対して、左右方向に隣り合う栽培後期区間ＳｃｌにスペーサＳを配置する為の動作である。具体的には、図１５に示すスペーシング動作では、第２搬出入ユニット２６の作動を制御して、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌに対して、第２搬出入口１６からスペーサＳを搬入する。第１搬送路１１Ａの栽培後期区間ＳｃｌへスペーサＳを搬入することで、複数の第２保持具２０Ｂは、玉突き式に第１搬出入口１５側へスライド移動して、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌから栽培前期区間Ｓｃｆへ移動する。

　これにより、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌに配置された第３保持具２０Ｃに対して、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌに配置されたスペーサＳが隣り合うように調整され、第３保持具２０Ｃに係る植物Ｐの成長に十分な間隔を確保できる。

　尚、スペーシング付随動作、スペーシング動作は、図１４、図１５に示す態様に限定されるものではない。搬送路１１の栽培前期区間Ｓｃｆから一つのスペーサＳを回収するスペーシング付随動作と、搬送路１１の栽培後期区間Ｓｃｌに対して一つのスペーサＳ搬入するスペーシング動作と、を交互に行う態様であってもよい。

　スペーシング付随動作、スペーシング動作を完了すると、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数の第２保持具２０Ｂが配置され、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数のスペーサＳが配置された状態になる。そして、第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数の第１保持具２０Ａが配置され、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第３保持具２０Ｃが配置された状態になる。即ち、図８に示す初期状態から、保持具２０及びスペーサＳの配置を第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの間で入れ替えた状態となる。

　図１４、図１５に示すスペーシング付随動作、スペーシング動作を完了した後、予め定められた生育期間を経過して第２生育期間になると、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂ上の植物Ｐが成長する。これにより、図１６に示すように、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆに位置する保持具２０では、植物Ｐが成長段階から収穫直前段階に成長する為、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆには、第３保持具２０Ｃが配置された状態となる。

　そして、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌには、スペーシング動作によって、複数のスペーサＳが配置されている。上述したように、スペーサＳは植物Ｐを保持していない為、生育期間の経過による変化は起きない。

　又、第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間Ｓｃｆに位置する保持具２０において、植物Ｐが苗段階から成長段階に成長する為、第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数の第２保持具２０Ｂが配置された状態となる。

　そして、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌに位置する保持具２０では、植物Ｐが収穫直前段階から収穫段階に成長する為、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第４保持具２０Ｄが配置された状態となる。

　図１６に示すように、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第４保持具２０Ｄが配置されている。即ち、収穫段階まで成長した植物Ｐを保持する保持具２０が栽培後期区間Ｓｃｌに存在している為、第２搬送路１１Ｂを対象とした植物Ｐの収穫が行われる。

　具体的には、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌから第４保持具２０Ｄを搬出する収穫動作と、収穫動作に伴って空いた栽培後期区間Ｓｃｌに対して、栽培前期区間Ｓｃｆの保持具２０をスライド移動させる保持具搬送動作が行われる。

　図１７に示す収穫動作では、第２搬出入ユニット２６の作動を制御することによって、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌから、第２搬出入口１６を介して、第４保持具２０Ｄが搬出される。これにより、第４保持具２０Ｄが回収されると共に、収穫段階の植物Ｐが栽培ユニット１０から取り出され、植物Ｐの収穫を行うことができる。

　図１８に示す保持具搬送動作では、図１７に示す収穫動作に伴って、空きとなる第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌに対して、栽培前期区間Ｓｃｆに位置する第２保持具２０Ｂをスライド移動させる。具体的には、第１搬出入ユニット２５の作動によって、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆに対して、複数のスペーサＳが第１搬出入口１５から搬入される。

　従って、収穫動作、保持具搬送動作を完了すると、図１８に示すように、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数の第３保持具２０Ｃが配置され、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数のスペーサＳが配置された状態となる。そして、第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数のスペーサＳが配置され、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第２保持具２０Ｂが配置された状態となる。

　尚、収穫動作、保持具搬送動作は、図１７、図１８に示す態様に限定されるものではない。搬送路１１の栽培後期区間Ｓｃｌから一つの第４保持具２０Ｄを回収する収穫動作と、搬送路１１の栽培前期区間Ｓｃｆに対して一つのスペーサＳを搬入する保持具搬送動作と、を交互に行う態様であっても良い。

　図１８に示す状態となった場合、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数のスペーサＳが配置された状態である。この時、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第２保持具２０Ｂが配置されており、成長段階の植物Ｐを保持している。成長段階の植物Ｐは、搬送路１１の範囲内で十分な成長を見込める為、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌに複数のスペーサＳを配置しておく利点がない。

　この為、収穫動作、保持具搬送動作を完了すると、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間ＳｃｌからスペーサＳを回収するスペーサ回収動作と、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間に新たな保持具２０を搬入する保持具搬入動作が行われる。

　図１９に示すスペーサ回収動作では、第２搬出入ユニット２６の作動を制御することによって、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌから、第２搬出入口１６を介して、スペーサＳが搬出される。これにより、スペーサＳが栽培ユニット１０の外部に回収される。

　図２０に示す保持具搬入動作では、第１搬出入ユニット２５の作動を制御して、第１搬出入口１５から、新たな保持具２０として、第１保持具２０Ａが第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆへ搬入される。保持具搬入動作は、所定の生育期間という時間の経過毎に、植物Ｐを保持する保持具２０を搬送路１１に対して追加搬入する動作ということができる。

　そして、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆへ第１保持具２０Ａを搬入することで、複数の第３保持具２０Ｃは、玉突き式に第２搬出入口１６側へスライド移動して、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆから栽培後期区間Ｓｃｌへ移動する。

　従って、スペーサ回収動作、保持具搬入動作を完了すると、図２０に示すように、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数の第１保持具２０Ａが配置され、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第３保持具２０Ｃが配置された状態となる。そして、第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数のスペーサＳが配置され、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第２保持具２０Ｂが配置された状態となる。

　尚、スペーサ回収動作、保持具搬入動作は、図１９、図２０に示す態様に限定されるものではない。搬送路１１の栽培後期区間Ｓｃｌから一つのスペーサＳを回収するスペーサ回収動作と、搬送路１１の栽培前期区間Ｓｃｆに対して一つの保持具２０を搬入する保持具搬入動作と、を交互に行う態様であっても良い。

　図２０に示す状態となった場合、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第３保持具２０Ｃが配置され、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第２保持具２０Ｂが配置された状態である。この状態で各植物Ｐの生育段階が進むと、第３保持具２０Ｃの植物Ｐが収穫直前段階から収穫段階へと成長することになり、他方の搬送路１１（第２搬送路１１Ｂ）の上方まで植物Ｐの葉が及ぶ可能性がある。そうすると、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂのいずれの栽培後期区間Ｓｃｌにおける植物Ｐの生育にも影響が出ると考えられる為、図１４、図１５と同様に、スペーシング付随動作、スペーシング動作が実行される。

　図２１に示すスペーシング付随動作は、スペーシング動作に付随する事前準備にあたる動作である。具体的には、スペーシング付随動作では、第１搬出入ユニット２５の作動を制御して、第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間Ｓｃｆに配置されているスペーサＳが、第１搬出入口１５から搬出される。

　スペーシング動作は、第３保持具２０Ｃが配置された栽培後期区間Ｓｃｌに対して、左右方向に隣り合う栽培後期区間ＳｃｌにスペーサＳを配置する為の動作である。具体的には、図２２に示すスペーシング動作では、第２搬出入ユニット２６の作動を制御して、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌに対して、第２搬出入口１６からスペーサＳを搬入する。第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間ＳｃｌへスペーサＳを搬入することで、複数の第２保持具２０Ｂは、玉突き式に第１搬出入口１５側へスライド移動して、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌから栽培前期区間Ｓｃｆへ移動する。

　これにより、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌに配置された第３保持具２０Ｃに対して、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌに配置されたスペーサＳが隣り合うように調整され、第３保持具２０Ｃに係る植物Ｐの成長に十分な間隔を確保できる。

　尚、スペーシング付随動作、スペーシング動作は、図２１、図２２に示す態様に限定されるものではない。搬送路１１の栽培前期区間Ｓｃｆから一つのスペーサＳを回収するスペーシング付随動作と、搬送路１１の栽培後期区間Ｓｃｌに対して一つのスペーサＳ搬入するスペーシング動作と、を交互に行う態様であってもよい。

　スペーシング付随動作、スペーシング動作を完了すると、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数の第１保持具２０Ａが配置され、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第３保持具２０Ｃが配置された状態になる。そして、第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数の第２保持具２０Ｂが配置され、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数のスペーサＳが配置された状態になる。
即ち、この状態における保持具２０及びスペーサＳの配置は、図８に示す初期状態と同じ配置となる。従って、図８の初期状態からの栽培工程を繰り返すことで、栽培前期区間Ｓｃｆ、栽培後期区間Ｓｃｌごとに適切な栽培密度を実現しながら、植物Ｐの水耕栽培を継続することができる。

　図８～図２２を参照して説明したように、植物栽培装置１では、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間では、それぞれが異なる生育段階となるように、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂに対する保持具２０及びスペーサＳの搬出入が行われる。これにより、植物Ｐの栽培初期にあたる栽培前期区間では、複数の搬送路１１における植物Ｐの栽培密度を高めて、植物栽培装置１による栽培効率を高めることができる。

　又、図１３、図２０に示すように、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌの何れか一方に、複数の第３保持具２０Ｃが配置されていた場合、何れか他方の栽培後期区間Ｓｃｌに複数のスペーサＳが配置される。図１４、図２１に示すスペーシング付随動作、図１５、図２２に示すスペーシング動作を行うことで、植物栽培装置１は、栽培後期区間Ｓｃｌにおける第３保持具２０Ｃ上の植物Ｐの生育に関して、搬送路１１が並列している左右方向に十分な間隔を確保できる。これにより、植物栽培装置１は、栽培後期区間Ｓｃｌにおける植物Ｐの生育に関して、栽培効率を高めることができる。

　図１５、図２２に示すスペーシング動作では、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌのうち、第３保持具２０Ｃが配置されていない側に対し、第２搬出入口１６を介して、スペーサＳを搬入するように第２搬出入ユニット２６が制御される。これにより、第３保持具２０Ｃが配置されていない側の搬送路１１にて、複数の保持具２０及びスペーサＳが第１搬出入口１５側へスライド移動する。

　これにより、図１５、図２２に示すスペーシング動作を行うことで、複数の搬送路１１の栽培後期区間Ｓｃｌにおいて、第３保持具２０ＣとスペーサＳが左右方向に隣り合う配置を確実に実現することができる。

　又、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌの何れか一方から第４保持具２０Ｄを回収する際に、何れか他方の栽培後期区間Ｓｃｌに対するスペーサ回収動作と、栽培前期区間Ｓｃｆに対する保持具搬入動作が行われる。図１２、図１９に示すように、スペーサ回収動作では、スペーシング動作にて栽培後期区間Ｓｃｌに搬入されたスペーサＳが回収される為、搬送路１１上を有効に活用して、植物Ｐの水耕栽培を行うことができる。

　そして、保持具搬入動作では、図１３、図２０に示すように、スペーサ回収動作であいたスペースを埋めるべく、新たな保持具２０（第１保持具２０Ａ）が栽培前期区間Ｓｃｆに搬入される。これにより、新たな植物Ｐの水耕栽培が開始されることになる為、植物Ｐの継続的な水耕栽培を実現することができる。

　更に、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌの何れか一方から第４保持具２０Ｄを回収する際に、何れか一方の栽培前期区間Ｓｃｆに対してスペーサＳを搬入する保持具搬送動作が行われる。図１１、図１８に示すように、保持具搬送動作を行うことで、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの何れか一方に配置されている複数の保持具２０等を第２搬出入口１６側へスライド移動させると共に、栽培前期区間ＳｃｆにスペーサＳを配置することができる。

　ここで、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの何れか一方の栽培前期区間Ｓｃｆは、その後のスペーシング付随動作の対象となる。即ち、スペーシング動作の前提として、栽培前期区間Ｓｃｆに配置されている保持具２０又はスペーサＳを、第１搬出入口１５から搬出する必要が生じる。

　仮に、スペーシング付随動作の対象となる栽培前期区間Ｓｃｆにおいて、植物Ｐを保持する保持具２０が配置されていた場合、スペーシング付随動作で栽培前期区間Ｓｃｆから取り出す際に、保持具２０に係る植物Ｐや根Ｐｒがダメージを受けることが考えられる。植物Ｐや根Ｐｒがダメージを受けた場合、植物Ｐのその後の生育に影響を及ぼすことが想定される。

　この点、植物栽培装置１においては、保持具搬送動作にて、栽培前期区間Ｓｃｆに対してスペーサＳが搬入される為、スペーシング付随動作では、植物ＰのないスペーサＳが取り出される。又、図８～図２２に示すように、第１保持具２０Ａの搬入及び第４保持具２０Ｄの搬出を除いて、植物Ｐを保持する保持具２０が搬送路１１から取り出されることはない。この為、保持具２０に保持されている植物Ｐに対して、ダメージを与えることなく、水耕栽培を行うことができ、栽培効率を向上させることができる。

　以上説明したように、第１実施形態に係る植物栽培装置１によれば、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間では、それぞれの保持具２０における植物Ｐが異なる生育段階となるように、保持具２０及びスペーサＳの搬出入が行われる。これにより、植物Ｐの栽培初期にあたる栽培前期区間では、複数の搬送路１１における植物Ｐの栽培密度を高めて、植物栽培装置１による栽培効率を高めることができる。

　又、図１３、図２０に示すように、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌの何れか一方に、複数の第３保持具２０Ｃが配置されていた場合、何れか他方の栽培後期区間Ｓｃｌには、複数のスペーサＳが配置される。スペーシング付随動作及びスペーシング動作を行うことで、植物栽培装置１は、栽培後期区間Ｓｃｌにおける第３保持具２０Ｃ上の植物Ｐの生育に関して、搬送路１１が並列している左右方向に十分な間隔を確保できる。これにより、植物栽培装置１は、栽培後期区間Ｓｃｌにおける植物Ｐの生育に関して、栽培効率を高めることができる。

　そして、スペーシング動作では、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌのうち、収穫直前段階の植物Ｐを保持していない側に対し、第２搬出入口１６を介して、スペーサＳを搬入するように第２搬出入ユニット２６が制御される。

　これにより、収穫直前段階の植物Ｐが配置されていない側の搬送路１１にて、複数の保持具２０及びスペーサＳが第１搬出入口１５側へスライド移動する。つまり、図１５、図２２に示すスペーシング動作を行うことで、複数の搬送路１１の栽培後期区間Ｓｃｌにおいて、第３保持具２０ＣとスペーサＳが左右方向に隣り合う配置を確実に実現することができる。

　又、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌの何れか一方から第４保持具２０Ｄを回収する際に、植物栽培装置１では、何れか他方の栽培後期区間Ｓｃｌに対するスペーサ回収動作と、栽培前期区間Ｓｃｆに対する保持具搬入動作が行われる。図１２、図１９に示すように、スペーサ回収動作では、スペーシング動作にて栽培後期区間Ｓｃｌに搬入されたスペーサＳが回収される為、搬送路１１上を有効に活用して、植物Ｐの水耕栽培を行うことができる。

　更に、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌの何れか一方から第４保持具２０Ｄを回収する際に、植物栽培装置１では、何れか一方の栽培前期区間Ｓｃｆに対してスペーサＳを搬入する保持具搬送動作が行われる。図１１、図１８に示すように、保持具搬送動作を行うことで、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの何れか一方に配置されている複数の保持具２０等を第２搬出入口１６側へスライド移動させると共に、栽培前期区間ＳｃｆにスペーサＳを配置することができる。

　この点、植物栽培装置１においては、保持具搬送動作にて、栽培前期区間Ｓｃｆに対してスペーサＳが搬入される為、スペーシング付随動作では、植物ＰのないスペーサＳが取り出される。

　又、図８～図２２に示すように、植物栽培装置１では、搬送路１１に対する第１保持具２０Ａの搬入及び第４保持具２０Ｄの搬出を除いて、植物Ｐを保持する保持具２０が搬送路１１から取り出されることはない。この為、植物栽培装置１によれば、保持具２０に保持されている植物Ｐに対して、ダメージを与えることなく、水耕栽培を行うことができ、栽培効率を向上させることができる。

　尚、本実施形態における「生育段階の相違」には、植物Ｐが保持されていない状態も含まれる。例えば、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆに植物Ｐが保持された保持具２０（即ち、第１保持具２０Ａ～第４保持具２０Ｄの何れか）、第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間ＳｃｆにスペーサＳが配置されている場合、両者の生育段階は異なるものと取り扱う。

　（第２実施形態）
　次に、上述した実施形態と異なる第２実施形態について、図２３～図３１を参照して説明する。第２実施形態では、第１搬出入ユニット２５、第２搬出入ユニット２６の構成や植物栽培装置１における植物Ｐの栽培工程における動作態様が上述した実施形態と相違している。その他の基本的構成等については、上述した実施形態と同様である為、再度の説明を省略する。

　第２実施形態に係る植物栽培装置１の栽培ユニット１０は、第１実施形態と同様に、第１搬出入ユニット２５及び第２搬出入ユニット２６を有している。第１搬出入ユニット２５は、栽培ユニット１０の第１搬出入口１５側に配置されており、ハンド２７、ユニット本体部２９を有している。第２搬出入ユニット２６は、栽培ユニット１０の第２搬出入口１６側に配置されており、ハンド２７、ユニット本体部２９を有している。

　各ハンド２７には、前後方向に伸縮可能な押込部材２９Ａが取り付けられている。押込部材２９Ａの伸縮量は、制御部５０によって決定され、ハンド２７に搭載された機構部の駆動を制御することで実現される。図２４、図２６、図２７に示すように、押込部材２９Ａは、前後方向に伸縮することで、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂ内に挿入可能に構成されている。植物栽培装置１は、各ハンド２７における押込部材２９Ａの伸縮によって、搬送路１１上に配置されている保持具２０を押し込んで、スライド移動させることができる。

　次に、第２実施形態に係る植物栽培装置１における植物Ｐの栽培工程について、図２３～図３１を参照して説明する。尚、図２２～図３２においては、植物Ｐの栽培工程における第１生育期間について説明する。第２生育期間における植物栽培装置１の動作については、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂに対する動作が第１生育期間と入れ替わる点を除いて、同様の動作である為、その説明を省略する。

　第２実施形態における植物Ｐの栽培工程の説明に際して、植物栽培装置１の初期状態は上述した第１実施形態と同様であるものとする。即ち、図８に示すように、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数の第１保持具２０Ａが配置され、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第３保持具２０Ｃが配置されている。

　そして、図８に示す初期状態にて、予め定められた生育期間を経過して第１生育期間になると、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂ上の植物Ｐが成長する。これにより、図９に示すように、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数の第２保持具２０Ｂが配置され、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第４保持具２０Ｄが配置された状態となる。又、第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間Ｓｃｆには、第３保持具２０Ｃが配置され、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数のスペーサＳが配置された状態となる。

　図９に示すように、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの何れか一方の第２搬出入口１６側に、第４保持具２０Ｄが位置している場合、第２実施形態に係る植物栽培装置１は、第１収穫動作を実行する。第１収穫動作は、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの何れか一方の第２搬出入口１６側に第４保持具２０Ｄが位置している場合に、第４保持具２０Ｄに保持されている植物Ｐを収穫する動作である。

　図２３に示すように、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌにおける第２搬出入口１６側に、収穫段階まで成長した植物Ｐを保持する保持具２０が栽培後期区間Ｓｃｌに存在している。この為、第１搬送路１１Ａを対象とした第１収穫動作が行われ、第４保持具２０Ｄに保持された植物Ｐの収穫が行われる。

　具体的には、図２３に示す第１収穫動作では、第２搬出入ユニット２６の作動を制御することによって、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌから、第２搬出入口１６を介して、第４保持具２０Ｄが搬出される。これにより、第４保持具２０Ｄが回収され、収穫段階の植物Ｐが栽培ユニット１０から取り出され、植物Ｐの収穫を行うことができる。

　第１収穫動作の後、植物栽培装置１は、第１搬送路１１Ａ上の保持具２０を第２搬出入口１６側へスライド移動させる為に、第１押込動作を実行する。第１押込動作は、第１収穫動作に伴って空きとなった栽培後期区間Ｓｃｌのスペースに対して、押込部材２９Ａを挿入して搬送路１１上の保持具２０を押し込むことでスライド移動させる動作である。

　図２４では、空きとなった第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌに対して、栽培前期区間Ｓｃｆに位置する第２保持具２０Ｂを押し込んで、第２保持具２０Ｂ及び第４保持具２０Ｄを第２搬出入口１６側へスライド移動させる。具体的には、第１搬出入ユニット２５の作動によって、押込部材２９Ａを伸縮させて第１搬送路１１Ａ上の第２保持具２０Ｂを押し込むことで、第１搬送路１１Ａ上の第２保持具２０Ｂ及び第４保持具２０Ｄを第２搬出入口１６側にスライド移動させる。

　これにより、第１搬送路１１Ａの第２保持具２０Ｂ及び第４保持具２０Ｄが全体として第２搬出入口１６側へスライド移動する為、第１収穫動作で生じたスペースに、新たな第４保持具２０Ｄが配置される。

　第１押込動作によって第２搬出入口１６側に第４保持具２０Ｄが配置される為、植物栽培装置１は、第２搬出入口１６に配置された第１押込動作で第２搬出入口１６側に配置された第４保持具２０Ｄを対象とした第２収穫動作を実行する。第２収穫動作は、第１押込動作によって第２搬出入口１６に配置された第４保持具２０Ｄから植物Ｐを収穫する動作である。

　図２５に示す第２収穫動作では、第２搬出入ユニット２６の作動を制御することによって、第１押込動作によって第２搬出入口１６に移動してきた第４保持具２０Ｄが、第２搬出入口１６を介して搬出される。これにより、第１収穫動作と同様に、第４保持具２０Ｄが回収され、収穫段階の植物Ｐが栽培ユニット１０から取り出され、植物Ｐの収穫を行うことができる。

　第２収穫動作の後、植物栽培装置１は、第１搬送路１１Ａ上の保持具２０を第２搬出入口１６側へスライド移動させる為に、第２押込動作を実行する。第２押込動作は、第２収穫動作に伴って空きとなった栽培後期区間Ｓｃｌのスペースに対して、押込部材２９Ａを挿入して搬送路１１上の保持具２０を押し込むことでスライド移動させる動作である。

　図２６では、スペースとなった第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌに対して、栽培前期区間Ｓｃｆに位置する第２保持具２０Ｂを押し込んで、第２保持具２０Ｂを第２搬出入口１６側へスライド移動させる。具体的には、第１搬出入ユニット２５の作動によって、押込部材２９Ａを伸縮させて第１搬送路１１Ａ上の第２保持具２０Ｂを押し込むことで、第１搬送路１１Ａ上の第２保持具２０Ｂを第２搬出入口１６側にスライド移動させる。

　これにより、第１搬送路１１Ａの第２保持具２０Ｂ及び第４保持具２０Ｄが全体として第２搬出入口１６側へスライド移動する。この為、第２収穫動作で生じた空きとなった部分に、第２保持具２０Ｂが配置され、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌに、複数の第２保持具２０Ｂが配置され、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆが空いた状態になる。

　第２押込動作によって栽培前期区間Ｓｃｆが空いた状態になった場合、栽培後期区間Ｓｃｌに位置している複数の保持具２０に対して、保持具戻し動作が行われる。保持具戻し動作は、押込部材２９Ａを挿入して搬送路１１の栽培後期区間Ｓｃｌに位置している複数の保持具２０を栽培前期区間Ｓｃｆに押し戻すことで、栽培後期区間Ｓｃｌが空いた状態を作り出す動作である。

　図２７では、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌに複数の第２保持具２０Ｂが位置している為、第２搬出入口１６側から押し込んで、複数の第２保持具２０Ｂを栽培前期区間Ｓｃｆに位置するようにスライド移動させる。

　具体的には、第２搬出入ユニット２６の作動によって、押込部材２９Ａを伸縮させて第１搬送路１１Ａ上の第２保持具２０Ｂを押し込むことで、第１搬送路１１Ａ上の第２保持具２０Ｂを第１搬出入口１５側にスライド移動させる。第１搬送路１１Ａ上の複数の第２保持具２０Ｂを栽培前期区間Ｓｃｆに配置することで、保持具戻し動作を終了する。

　保持具戻し動作を終了した段階において、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌと、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌの何れか一方は保持具戻し動作によって空いた状態になっており、何れか他方には複数のスペーサＳが配置されている。保持具戻し動作を終了すると、植物栽培装置１は、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂにおける栽培後期区間Ｓｃｌにおいて、第２搬出入口１６側に位置するスペーサＳを対象とした第１スペーサ移動動作を実行する。

　図２８では、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌにおいて、第２搬出入口１６側に配置されているスペーサＳを、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌに移動させる。具体的には、第２搬出入ユニット２６のハンド２７の動作を制御して、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌから、第２搬出入口１６側に位置するスペーサＳを取り出す。そして、取り出したスペーサＳを、第１搬送路１１Ａの第２搬出入口１６を介して、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌに搬入する。このとき、第２搬送路１１Ｂから第１搬送路１１Ａへ移動されたスペーサＳは、第１搬送路１１Ａの第２搬出入口１６側に配置される。

　第１スペーサ移動動作では、第２搬出入口１６側に配置されているスペーサＳが第２搬送路１１Ｂから取り出されている為、第１実施形態におけるスペーサ回収動作の一部に相当する。又、第１スペーサ移動動作では、取り出したスペーサＳを、第１搬送路１１Ａにおける栽培後期区間Ｓｃｌに搬入している為、第１実施形態におけるスペーシング動作の一部に相当する。即ち、第１スペーサ移動動作は、第１実施形態におけるスペーサ回収動作の一部及びスペーシング動作の一部を兼ねた動作であるといえる。

　第１スペーサ移動動作を終了すると、第１スペーサ移動動作によって取り出されたスペーサＳの位置が空いた状態になる為、空いたスペースを埋めるように複数のスペーサＳをスライド移動させる第１搬入動作が行われる。上述したように、図２８に示す第１スペーサ移動動作によって、第２搬送路１１Ｂにおける栽培後期区間Ｓｃｌの第２搬出入口１６側が空いた状態になる為、第２搬送路１１Ｂに対する第１搬入動作が行われる。

　図２９では、第２搬送路１１Ｂの第１搬出入口１５から、第１保持具２０Ａを搬入して押し込むことで、第１搬送路１１Ａ上の複数の保持具２０及びスペーサＳを第２搬出入口１６側へスライド移動させる。

　具体的には、第１搬出入ユニット２５の作動を制御して、第１搬出入口１５から、新たな保持具２０として、第１保持具２０Ａが第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間Ｓｃｆにおける第１搬出入口１５側へ搬入される。従って、第１搬入動作は、第１実施形態における保持具搬入動作の一部に相当する。

　そして、第１搬入動作による第１保持具２０Ａの搬入に伴って、第２搬送路１１Ｂに配置されていた複数の第３保持具２０Ｃ及びスペーサＳが押し込まれる為、第２搬送路１１Ｂにおける栽培後期区間Ｓｃｌの空き部分にスペーサＳが配置される。つまり、第１搬入動作の結果、第２搬送路１１Ｂにおける栽培後期区間Ｓｃｌの第２搬出入口１６側に、スペーサＳが配置された状態になる。

　従って、第１搬入動作を終了すると、第１搬入動作によって、第２搬出入口１６側に配置されたスペーサＳを対象とした第２スペーサ移動動作が行われる。図２９に示すように、第１搬入動作を終了した段階では、第１搬送路１１Ａにおける複数の第２保持具２０Ｂと、第１スペーサ移動動作で移動させたスペーサＳとの間には、スペースが生じている。第２スペーサ移動動作は、第１搬入動作によって第２搬出入口１６側に移動したスペーサＳを取り出して、栽培後期区間Ｓｃｌにスペースを有する搬送路１１に対して、取り出したスペーサＳを、第２搬出入口１６から搬入する動作である。

　図３０に示す第２スペーサ移動動作では、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌにおいて、第２搬出入口１６側に配置されているスペーサＳを取り出し、取り出したスペーサＳを、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌに移動させる。この時、取り出したスペーサＳによって、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌに配置されていたスペーサＳは、第１搬出入口１５側に押し込まれ、スペースを埋めるようにスライド移動する。

　上述のように、第２スペーサ移動動作では、第２搬出入口１６側に配置されているスペーサＳが第２搬送路１１Ｂから取り出されている為、第１スペーサ移動動作と同様に、第１実施形態におけるスペーサ回収動作の一部に相当する。又、第２スペーサ移動動作においても、取り出したスペーサＳを、第１搬送路１１Ａにおける栽培後期区間Ｓｃｌに搬入している為、第１スペーサ移動動作と同様に、第１実施形態におけるスペーシング動作の一部に相当する。即ち、第２スペーサ移動動作についても、第１実施形態におけるスペーサ回収動作の一部及びスペーシング動作の一部を兼ねた動作である。

　第２スペーサ移動動作を終了すると、第２スペーサ移動動作によって取り出されたスペーサＳの位置が空いた状態になる為、空いたスペースを埋めるように複数のスペーサＳをスライド移動させる第２搬入動作が行われる。上述したように、図３０に示す第２スペーサ移動動作によって、第２搬送路１１Ｂにおける栽培後期区間Ｓｃｌの第２搬出入口１６側が空いた状態になる為、第２搬送路１１Ｂに対する第２搬入動作が行われる。

　図３１では、第２搬送路１１Ｂの第１搬出入口１５から、第１保持具２０Ａを搬入して押し込むことで、第１搬送路１１Ａ上の複数の保持具２０及びスペーサＳを第２搬出入口１６側へスライド移動させる。

　具体的には、第１搬出入ユニット２５の作動を制御して、第１搬出入口１５から、新たな保持具２０として、第１保持具２０Ａが第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間Ｓｃｆにおける第１搬出入口１５側へ搬入される。従って、第２搬入動作は、第１実施形態における保持具搬入動作の一部に相当する。

　図３１に示すように、第２搬入動作を終了した段階では、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数の第２保持具２０Ｂが位置し、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数のスペーサＳが位置する状態となる。そして、第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数の第１保持具２０Ａが位置し、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第３保持具２０Ｃが位置する状態となる。

　そして、第２搬入動作を終了すると、植物栽培装置１は、上述した栽培工程の第１生育期間における初期状態（図８参照）から、複数の保持具２０及びスペーサＳの配置を、第１搬送路１１Ａと第２搬送路１１Ｂで入れ替えた状態になっている。即ち、第２実施形態に係る植物栽培装置１においても、第２搬入動作の実行完了によって、栽培工程の第１生育期間を終了すると、栽培ユニット１０は、第１実施形態における第２生育期間の開始直前と同様の状態となる。

　この状態で予め定められた生育期間を経過して第２生育期間になると、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂ上の植物Ｐが成長する。この為、第１搬送路１１Ａの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数の第３保持具２０Ｃが位置し、第１搬送路１１Ａの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数のスペーサＳが位置する状態となる。そして、第２搬送路１１Ｂの栽培前期区間Ｓｃｆには、複数の第２保持具２０Ｂが位置し、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌには、複数の第４保持具２０Ｄが位置する状態となる。

　その後、第２実施形態に係る植物栽培装置１では、第２生育期間に係る第１収穫動作、第１押込動作、第２収穫動作、第２押込動作、保持具戻し動作、第１スペーサ移動動作、第１搬入動作、第２スペーサ移動動作、第２搬入動作が行われる。

　第２生育期間における第１収穫動作は、第２搬送路１１Ｂの第４保持具２０Ｄを対象にする点を除いて、第１生育期間における第１収穫動作と同様である。又、第２生育期間における第１押込動作は、第２搬送路１１Ｂにおける複数の保持具２０を対象とする点を除いて、第１生育期間における第１押込動作と同様である。

　又、第２生育期間における第２収穫動作、第２押込動作、保持具戻し動作についても、第２搬送路１１Ｂにおける複数の保持具２０を対象にする点を除いて、上述した第１生育期間における第２収穫動作、第２押込動作、保持具戻し動作と同様である。

　そして、第２生育期間における第１スペーサ移動動作、第２スペーサ移動動作は、第１搬送路１１Ａから取り出したスペーサＳを第２搬送路１１Ｂへ移動させる点を除いて、第１生育期間における第１スペーサ移動動作、第２スペーサ移動動作と同様である。

　更に、第２生育期間における第１搬入動作、第２搬入動作は、第１保持具２０Ａを搬入する対象が第１搬送路１１Ａである点を除いて、第１生育期間における第１搬入動作、第２搬入動作と同様である。従って、第２実施形態に係る植物栽培装置１で、第２生育期間に行われる各種動作についての詳細な説明は省略する。

　そして、第２実施形態に係る植物栽培装置１において、第２生育期間に係る一連の動作を完了すると、複数の搬送路１１における複数の保持具２０及びスペーサＳの配置は、栽培工程の初期状態（図８参照）と同じ状態になる。従って、第２実施形態に係る植物栽培装置１においても、第１生育期間及び第２生育期間を繰り返すことで、生育期間前の準備作業を低減させて、効率の良い植物Ｐの水耕栽培を実現することができる。

　以上説明したように、第２実施形態に係る植物栽培装置１によれば、第１搬出入ユニット２５等の構成及び栽培工程における動作を変更した場合であっても、上述した実施形態と同様の構成から、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。

　図３１に示すように、第２実施形態に係る植物栽培装置１でも、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌの何れか一方に、複数の第３保持具２０Ｃが配置されていた場合、何れか他方の栽培後期区間Ｓｃｌには、複数のスペーサＳが配置される。

　従って、第２実施形態に係る植物栽培装置１は、栽培後期区間Ｓｃｌにおける第３保持具２０Ｃ上の植物Ｐの生育に関して、搬送路１１が並列している左右方向に十分な間隔を確保できる。これにより、植物栽培装置１は、栽培後期区間Ｓｃｌにおける植物Ｐの生育に関して、栽培効率を高めることができる。

　そして、第１スペーサ移動動作及び第２スペーサ移動動作では、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌのうち、収穫直前段階の植物Ｐを保持していない側に対し、第２搬出入口１６を介して、スペーサＳが搬入される。

　又、第１搬入動作及び第２搬入動作では、収穫直前段階の植物Ｐを保持する第３保持具２０Ｃが配置されている側の搬送路１１において、第３保持具２０Ｃを含む複数の保持具２０が第２搬出入口１６側にスライド移動する。

　つまり、第１スペーサ移動動作、第２スペーサ移動動作、第１搬入動作、第２搬入動作を実行することで、複数の搬送路１１の栽培後期区間Ｓｃｌにおいて、第３保持具２０ＣとスペーサＳが左右方向に隣り合う配置を確実に実現することができる。

　又、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌの何れか一方から第４保持具２０Ｄを回収する際に、第１スペーサ移動動作、第２スペーサ移動動作が行われ、何れか他方の栽培後期区間ＳｃｌからスペーサＳが取り出される。その後、第１搬入動作、第２搬入動作が実行されることで、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂにおける何れか他方の栽培前期区間Ｓｃｆに対して、新たな保持具（第１保持具２０Ａ）が搬入される。スペーサＳの取り出しで空いたスペースを埋めるべく、第１搬出入口１５から第１保持具２０Ａが栽培前期区間Ｓｃｆに搬入される。

　これにより、栽培後期区間Ｓｃｌに位置するスペーサＳが取り出され、搬送路１１上を有効に活用して新たな植物Ｐの水耕栽培が開始されることになる為、効率のよい植物Ｐの水耕栽培を継続して実現できる。

　更に、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの栽培後期区間Ｓｃｌの何れか一方から第４保持具２０Ｄを回収する際に、植物栽培装置１では、第１押込動作、第２押込動作が行われる。即ち、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの何れか一方における第１搬出入口１５側において、第１搬出入ユニット２５の押込部材２９Ａによって、複数の保持具２０が第２搬出入口１６側へスライド移動する。

　ここで、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの何れか一方の栽培前期区間Ｓｃｆは、その後に行われる保持具戻し動作において、栽培後期区間Ｓｃｌに位置している複数の保持具２０が戻されるスペースとなる。又、保持具戻し動作によって空いたスペースには、第１スペーサ移動動作、第２スペーサ移動動作にて、第１搬送路１１Ａ、第２搬送路１１Ｂの何れか他方の栽培後期区間Ｓｃｌから複数のスペーサＳが搬入される。

　つまり、第２実施形態に係る植物栽培装置１においても、図２３～図３１に示すように、搬送路１１に対する第１保持具２０Ａの搬入及び第４保持具２０Ｄの搬出を除いて、植物Ｐを保持する保持具２０が搬送路１１から取り出されることはない。この為、植物栽培装置１によれば、保持具２０に保持されている植物Ｐに対して、ダメージを与えることなく、水耕栽培を行うことができ、栽培効率を向上させることができる。

　本開示は上述の実施形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。

　上述した実施形態においては、所定の生育期間の経過をきっかけとして、収穫動作、保持具搬送動作、スペーサ回収動作、保持具搬入動作、スペーシング付随動作、スペーシング動作を行う態様であった、この態様に限定されるものではない。栽培対象である植物Ｐの生育段階が進んだことを契機として、収穫動作等を開始できればよく、生育期間の経過に限らず、種々の態様を採用することができる。

　例えば、カメラ５１等で撮影した植物Ｐの画像を解析して、植物Ｐの生育段階を特定しても良いし、保持具２０に保持されている植物Ｐの重量を重量センサ等で検出して、植物Ｐの生育段階を特定しても良い。

　又、上述した実施形態に係る植物栽培装置１では、栽培用照明装置３５にて照射される光を用いて、植物Ｐの水耕栽培を行う構成であったが、この態様に限定されるものではない。即ち、植物栽培装置１による水耕栽培に際して、太陽光（自然光）を利用する態様を採用することも可能である。

　そして、上述した実施形態においては、栽培ユニット１０の第１搬出入口１５側、第２搬出入口１６側において、それぞれ、搬送路１１に対するスペーサＳの搬出入が行われる。この為、搬送路１１における第１搬出入口１５側、第２搬出入口１６側に、それぞれ搬出されたスペーサＳを収容しておく為のスペーサ収容部を設けても良い。第１搬出入口１５又は第２搬出入口１６と、スペーサ収容部との間でスペーサＳの移動を行うことで、スペーサＳの搬出入に関する作業効率を向上させることができる。

　又、上述した実施形態では、栽培ユニット１０における複数の搬送路１１の第１搬出入口１５から、第１保持具２０Ａ（即ち、苗段階の植物Ｐを保持する保持具２０）を搬入する構成であったが、この態様に限定されるものではない。植物栽培装置１の構成として、育苗が行われる育苗場から第１搬出入ユニット２５まで、第１保持具２０Ａを移動させる構成を含めてもよく、例えば、スタッカークレーン等を用いることができる。

　そして、上述した実施形態では、栽培ユニット１０から第４保持具２０Ｄ（即ち、収穫段階の植物Ｐを保持する保持具２０）を取り出した時点で、植物Ｐの収穫としていたが、この態様に限定されるものではない。植物栽培装置１の構成として、栽培ユニット１０から搬出された第４保持具２０Ｄを作業場に移動させる構成を含めても良い。例えば、栽培ユニット１０の第２搬出入口１６側に、シューターや動力式のベルトコンベア等を配置して、栽培ユニット１０から搬出された第４保持具２０Ｄを予め定められた作業場に移動させても良い。

　又、上述した実施形態では、搬送路１１の一端側に対して保持具２０又はスペーサＳを搬入する動作と、搬送路１１の他端側から保持具２０又はスペーサＳを搬出する動作をそれぞれ別の動作としていたが、この態様に限定されるものではない。例えば、搬送路１１の一端側に保持具２０又はスペーサＳを搬入する際に、既に搬送路１１に配置されている保持具２０やスペーサＳを押し込み、押し込みに連動して搬送路１１の他端側から保持具２０又はスペーサＳが押し出される態様を一動作としても良い。

　上述した第２実施形態では、第１搬出入ユニット２５、第２搬出入ユニット２６のハンド２７に、それぞれ押込部材２９Ａを設けた構成を採用したが、この態様に限定されるものではない。搬出入ユニットを、搬送路１１に対する保持具２０やスペーサＳの搬出、搬入を担うユニットと、搬送路１１上における保持具２０やスペーサＳの押込みによるスライド移動を担うユニットを個別に構成することも可能である。

　本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。

Claims

　栽培対象となる植物（Ｐ）が保持された保持具（２０）と、
　複数の前記保持具における前記植物の間隔を調整する為のスペーサ（Ｓ）と、
　前記保持具及び前記スペーサが並んだ状態でスライド移動可能に保持された第１搬送路（１１Ａ）と第２搬送路（１１Ｂ）を含み、相互に並列するように配置された複数の搬送路（１１）と、
　前記搬送路の下方に配置され、前記植物の成長を促す為の栽培養液を蓄える養液槽（１７）と、
　複数の前記搬送路の一端側に配置され、前記搬送路の一端側を介して、前記搬送路に対する前記保持具及び前記スペーサの搬入及び搬出を行う第１搬出入部（２５）と、
　複数の前記搬送路の他端側に配置され、前記搬送路の他端側を介して、前記搬送路に対する前記保持具及び前記スペーサの搬入及び搬出を行う第２搬出入部（２６）と、
　前記第１搬出入部及び前記第２搬出入部の作動を制御して、前記搬送路に対して前記保持具又は前記スペーサを時間経過毎に追加搬入することで、前記搬送路に保持された前記保持具及び前記スペーサを玉突き式にスライド移動させて前記搬送路から搬出する制御部（５０）と、を有する植物栽培装置であり、
　前記保持具が前記搬送路の一端側から他端側へ到達するまでの栽培区間（Ｓｃ）は、前記搬送路の一端側を基準として定められた栽培前期区間（Ｓｃｆ）と、前記搬送路の他端側を基準として定められた栽培後期区間（Ｓｃｌ）により構成されており、
　前記制御部は、
　前記第１搬送路の前記栽培前期区間に配置される前記保持具の前記植物の生育段階は、前記第２搬送路の前記栽培前期区間に配置された前記保持具の前記植物の生育段階と異なるように、前記第１搬出入部及び前記第２搬出入部の少なくとも一方を制御し、
　前記第１搬送路及び前記第２搬送路の前記栽培後期区間に配置された前記保持具において、前記第１搬送路及び前記第２搬送路の何れか一方における前記植物の生育段階が予め定められた生育段階を超えた収穫直前段階である場合に、前記第１搬送路及び前記第２搬送路の何れか他方における前記栽培後期区間には、前記スペーサを配置するように前記第１搬出入部及び前記第２搬出入部の少なくとも一方を制御する植物栽培装置。
　前記制御部は、
　前記第１搬送路及び前記第２搬送路の前記栽培後期区間に、それぞれ前記植物を保持した前記保持具が配置され、且つ、前記第１搬送路及び前記第２搬送路の何れか一方の前記栽培後期区間に配置された前記保持具における前記植物の生育段階が前記収穫直前段階である場合、
　前記第２搬出入部の作動によって、前記第１搬送路及び前記第２搬送路の何れか他方における他端側から前記スペーサを搬入して、前記保持具及び前記スペーサを一端側へスライド移動させる請求項１に記載の植物栽培装置。
　前記制御部は、
　前記第１搬送路及び前記第２搬送路の何れか一方の前記栽培後期区間において、前記収穫直前段階であった前記植物を前記保持具と共に回収する際に、
　前記第２搬出入部の作動によって、前記第１搬送路及び前記第２搬送路の何れか他方の他端側から、前記栽培後期区間に配置されている前記スペーサを搬出すると共に、
　前記第１搬出入部の作動によって、前記第１搬送路及び前記第２搬送路の何れか他方の一端側から、前記第１搬送路及び前記第２搬送路の何れか一方の前記栽培前期区間に配置されている前記保持具とは異なる生育段階の前記植物を保持する前記保持具を搬入して、前記保持具及び前記スペーサを他端側へスライド移動させる請求項１又は２に記載の植物栽培装置。
　前記制御部は、
　前記第１搬送路及び前記第２搬送路の何れか一方の前記栽培後期区間において、前記収穫直前段階であった前記植物を前記保持具と共に回収する際に、
　前記第１搬出入部の作動によって、前記第１搬送路及び前記第２搬送路の何れか一方の一端側から前記栽培前期区間へ前記スペーサを搬入して、前記保持具及び前記スペーサを他端側へスライド移動させる請求項２又は３に記載の植物栽培装置。
　前記制御部は、
　前記第１搬送路及び前記第２搬送路の前記栽培後期区間に、それぞれ前記植物を保持した前記保持具が配置され、且つ、前記第１搬送路及び前記第２搬送路の何れか一方の前記栽培後期区間に配置された前記保持具における前記植物の生育段階が前記収穫直前段階である場合、
　前記第２搬出入部に設けられ、前記第１搬送路又は前記第２搬送路に対して挿入可能に構成された押込部材の作動によって、前記第１搬送路及び前記第２搬送路の何れか他方における他端側から前記押込部材を挿入して、前記保持具を一端側へスライド移動させる請求項１に記載の植物栽培装置。
　前記制御部は、
　前記第１搬送路及び前記第２搬送路の何れか一方の前記栽培後期区間において、前記収穫直前段階であった前記植物を前記保持具と共に回収する際に、
　前記第２搬出入部の作動によって、前記第１搬送路及び前記第２搬送路の何れか他方の他端側から、前記栽培後期区間に配置されている前記スペーサを搬出すると共に、
　前記第１搬出入部の作動によって、前記第１搬送路及び前記第２搬送路の何れか他方の一端側から、前記第１搬送路及び前記第２搬送路の何れか一方の前記栽培前期区間に配置されている前記保持具とは異なる生育段階の前記植物を保持する前記保持具を搬入して、前記保持具及び前記スペーサを他端側へスライド移動させる請求項５に記載の植物栽培装置。
　前記制御部は、
　前記第１搬送路及び前記第２搬送路の何れか一方の前記栽培後期区間において、前記収穫直前段階であった前記植物を前記保持具と共に回収する際に、
　前記第１搬出入部に設けられ、前記第１搬送路又は前記第２搬送路に対して挿入可能に構成された押込部材の作動によって、前記第１搬送路及び前記第２搬送路の何れか一方の一端側から前記押込部材を挿入して、前記保持具を他端側へスライド移動させる請求項５又は６に記載の植物栽培装置。