WO2023095634A1 - 乗物用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】エアバッグ及びエアバッグを展開させるインフレータを備えたエアバッグモジュールを備えた乗物用シートにおいて、エアバッグモジュールの展開挙動を安定させる。 【解決手段】 シートバックの骨組を構成するシートバックフレーム枠部19と、シートバックフレーム枠部の左右方向一方側に結合されたフレームブラケット34と、エアバッグモジュール23を保持し、フレームブラケットの締結点P1、P2において締結されるべきモジュールブラケット36と、シートバックフレーム枠部の背面に結合されたパンフレーム20とを有し、パンフレームは、左右方向一方側において、締結点の下方において、シートバックフレーム枠部の上部から左右方向一方側に延出する延出部32を含み、エアバッグモジュールの少なくとも一部は延出部の前方に位置している。

Description

乗物用シート
 エアバッグを備えた乗物用シートに関する。
 車両用シートであって、シートバックの骨格となるバックフレームと、バックフレームの背面側を覆うとともに、表面においてバックフレームに結合されたパンフレーム(背面パネル)とを備え、エアバッグモジュール(エアバッグ装置)がパンフレームの表面に取り付けられたものが公知である(例えば、特許文献1)。
特許第5169864号公報
 特許文献1に記載の車両用シートでは、エアバッグモジュールがパンフレームに取り付けられているため、エアバッグモジュールの展開挙動が不安定になる虞がある。
 本発明は、以上の背景を鑑み、エアバッグ及びエアバッグを展開させるインフレータを備えたエアバッグモジュールを備えた乗物用シートにおいて、エアバッグモジュールの展開挙動を安定させることを課題とする。
 上記課題を解決するために、本発明に係る乗物用シート(1)は、シートバックの骨組を構成するシートバックフレーム枠部(19)と、前記シートバックフレーム枠部の左右方向一方側に結合されたフレームブラケット(34)と、エアバッグモジュール(23)を保持し、前記フレームブラケットの締結点(P1、P2)において締結されるべきモジュールブラケット(36)と、前記シートバックフレーム枠部の背面に結合されたパンフレーム(20)とを有し、前記パンフレームは、前記左右方向一方側において、前記締結点の下方において、前記シートバックフレーム枠部の上部から前記左右方向一方側に延出する延出部(32)を含み、前記エアバッグモジュールの少なくとも一部は前記延出部の前方に位置していることを特徴とする。
 この態様によれば、エアバッグモジュールがシートバックフレーム枠部に支持されるため、エアバッグモジュールの展開挙動が安定する。エアバッグモジュールの一部が延出部によって後方から覆われるため、エアバッグモジュールを後方からの荷重に対して保護することができる。更に、締結点と延出部とが背面視で重ならないため、エアバッグモジュールの組付が容易になる。
 また、本発明の一態様によれば、前記延出部と前記エアバッグモジュールとの間には前後方向に隙間(S)が設けられているとよい。
 この態様によれば、延出部に後方から荷重が加わったときに、エアバッグモジュールに直接荷重が加わらない。よって、エアバッグモジュールの姿勢が変わることが防止でき、より確実に乗員の保護を図ることができる。
 また、本発明の一態様によれば、前記左右方向一方側の前記シートバックフレーム枠部に結合され、前記シートバックの外形を画定する成形部材(80)を含み、前記成形部材は前記延出部に結合されているとよい。
 この態様によれば、延出部が成形部材によって補強されるため、延出部の剛性を高めることができる。
 また、本発明の一態様によれば、前記成形部材は前記延出部の前方において前記シートバックフレーム枠部に結合されているとよい。
 この態様によれば、後方から荷重が加わったときに、延出部によって遮られるため、成形部材とシートバックフレーム枠部との結合部分に加わることが防止できる。
 また、本発明の一態様によれば、前記延出部の上縁は前記シートバックフレーム枠部の上縁よりも下方に位置しているとよい。
 この態様によれば、延出部の上方にスイッチ等の部材を設けるためのスペースを確保することができる。
 また、本発明の一態様によれば、前記延出部の前記左右方向一方側の外縁と、組付後の前記エアバッグモジュールの前記左右方向一方側の外縁と前後に対応する位置にあるとよい。
 この態様によれば、延出部の左右一方側の外縁とエアバッグモジュールの左右一方側の外縁とが前後に対応する位置に設けられることによって、延出部とエアバッグモジュールとの間に左右方向に段差が形成されることが抑制できる。これにより、シートバックの意匠性が向上する。
 また、本発明の一態様によれば、前記フレームブラケットと前記パンフレームとはそれぞれ板金部材によって形成され、前記フレームブラケットの板厚は前記パンフレームの板厚よりも大きいとよい。
 この態様によれば、展開時にエアバッグモジュールをより強固にシートバックフレームに支持させることができるため、エアバッグの展開挙動がより安定する。
 また、本発明の一態様によれば、前記シートバックフレーム枠部は左右一組のサイドフレームと、2つの前記サイドフレームを接続するアッパフレームとを有し、前記フレームブラケットは前記左右方向一方の側に位置する前記サイドフレームの前縁及び後縁にそれぞれ結合されているとよい。
 この態様によれば、フレームブラケットをより強固にサイドフレームに結合させることができるため、エアバッグの展開挙動をより安定させることができる。
 また、本発明の一態様によれば、前記成形部材は折曲形成されたワイヤ部材であり、前記成形部材は前記サイドフレームに結合された成形部材上部(81)及び成形部材下部(83)と、前記サイドフレームの前記左右方向一方側において、前記成形部材上部及び前記成形部材下部を上下に接続する成形部材中央部(82)とを有し、前記成形部材中央部は前記延出部に延在する上半部(82A)と、前記上半部の下端から下方に延びる下半部(82B)とを含み、前記締結点の後方には、前記成形部材と、前記延出部と、前記サイドフレームとによって画定され、前後方向に貫通する通孔(X)が設けられているとよい。
 この態様によれば、前後方向に貫通する通孔が設けられているため、通孔に締結用のツールを挿入することで、フレームブラケットとモジュールブラケットとの締結を容易に行うことができる。
 特許第4524768号公報には、乗物用シート(車両用シート)であって、エアバッグモジュールを力布で包み込み、エアバッグの膨張圧を表皮部材(トリムカバー)の破断部となる縫目に集中させ、エアバッグをより速やかに膨張展開可能としたものが開示されている。この乗物用シートにおいては、エアバッグモジュールはシートバックのサイドフレームの左右方向外面に取付固定されている。サイドフレームにはエアバッグモジュールの前後に掛止孔が設けられている。掛止孔には折曲形成された金属ワイヤ部材である力布取付部材(止め金)のフック(掛け軸部)が差し込まれて掛け止めされている。力布は一端側において表皮部材の破断部となる縫目に縫合され、他端側において力布取付部材に掛け止めされている。
 このような車両用シートでは、力布取付部材がエアバッグモジュールの前面前側に配置されている。これにより、力布取付部材の前面とエアバッグモジュールの前面との間に段差が生じ、車両用シートに着座した乗員が異物感を覚える虞がある。
 そこで、エアバッグモジュール、力布、及び、力布を車両用シートのフレームに結合させるための力布取付部材を備えた乗物用シートにおいて、エアバッグの膨張圧を受圧できるように力布を配置するとともに、乗員に与える異物感を低減することが課題となっている。
 上記課題を解決するために、本発明に係る乗物用シート(1、201)は、シートバック(5)の骨格を構成する左右一対のサイドフレームと、左右一方側に位置する前記サイドフレーム(26、226)に支持され、前記左右一方側に位置する前記サイドフレームの前記左右一方側の面に力布取付部材(102、402)を介して対峙し、前記左右一方側の斜め前方に展開するエアバッグ(61)を備えたエアバッグモジュール(23)と、前記サイドフレームに支持され、前記エアバッグモジュールを前方から覆うパッド部材(21)と、前記パッド部材の表面を覆う表皮部材(22)と、一端において前記表皮部材に結合され、前記エアバッグモジュールの前面と前記パッド部材との間を通過して、前記力布取付部材に向かって延び、他端において前記力布取付部材に結合された力布(110)とを有し、前記力布取付部材は前記エアバッグモジュールの前縁よりも後方に位置していることを特徴とする。
 この態様によれば、エアバッグが斜め前方展開するとエアバッグモジュールの前面前側に位置する力布に膨張圧が加わる。更に、力布取付部材がエアバッグモジュールの前縁後方に位置しているため、力布取付部材がエアバッグモジュールよりも前方に突出せず、乗員に与える異物感を低減することができる。
 また、本発明の一態様によれば、前記力布取付部材は前記エアバッグモジュールの後縁よりも前方に位置しているとよい。
 この態様によれば、力布取付部材がエアバッグモジュールの後縁から後方に突出することが防止できる。これにより、後方から乗員がシートバックに触れたときに乗員が受ける異物感を低減することができ、乗物用シートの快適性が向上する。
 また、本発明の一態様によれば、前記力布取付部材は側面視で前記エアバッグモジュールの外縁(O)よりも内側に位置しているとよい。
 この態様によれば、力布取付部材がエアバッグモジュールに対して前後及び上下のいずれの方向にも突出しないように配置することができる。これにより、シートバックの小型化が容易になる。
 また、本発明の一態様によれば、前記力布取付部材は前記サイドフレームに結合する上下一対の結合部(104)と、上下に延在し、前記力布が掛け止めされる力布取付部(108)とを有し、前記力布取付部の上下方向の長さ(D)は、上側に位置する前記結合部の上縁及び下側に位置する前記結合部の下縁の上下方向の距離(D)よりも大きいとよい。
 この態様によれば、2つの結合部の距離よりも大きな幅を有する力布を力布取付部に取り付けることができる。これにより、力布によってエアバッグの膨張圧をより確実に受圧することができる。
 また、本発明の一態様によれば、前記力布取付部は前記左右一方側に位置する前記サイドフレームの前方に位置しているとよい。
 この態様によれば、力布の組付が容易になる。
 また、本発明の一態様によれば、前記力布取付部材は折曲形成された棒状部材によって形成され、前記結合部にそれぞれ接続され、前方に延びる上下一対の第1延出部(106A)と、前記第1延出部の延出端から上下方向に沿って互いに相反する方向に延びる一対の軸部(106B)と、前記軸部の延出端からそれぞれ前方に延びる上下一対の第2延出部(106C)とを含み、前記力布取付部は前記第2延出部の延出端を上下に接続し、前記力布取付部と、上下一対の前記軸部とは略平行をなすとよい。
 この態様によれば、力布が膨張圧を受圧したときに力布取付部材が軸部において捩じれ変形させることができる。これにより、受圧時に力布取付部での変形を防止することができる。よって、力布をより上下方向に広げた状態で維持することができ、力布によってエアバッグの膨張圧をより確実に受圧することができる。
 また、本発明の一態様によれば、前記サイドフレームには、前記左右一方側の前記サイドフレームに結合され、前記左右一方側に延びるフレーム側接続部(44)、及び、前記フレーム側接続部の左右外縁から前方に延びる板状をなし、左右に貫通する掛止孔(100)が形成されたフレーム側平板部(42)を備えたフレームブラケット(34)が設けられ、前記エアバッグモジュールはモジュールブラケット(36)を介して前記フレームブラケットに結合され、前記モジュールブラケットは、前記左右一方側の前記サイドフレーム又は前記フレーム側接続部に結合され、前記フレーム側平板部の左右外方に延びるモジュール側接続部(51)、及び前記モジュール側接続部から前方に延びて、前記フレーム側平板部に前記力布取付部材を介して対峙し、前記左右一方側の側面に前記エアバッグモジュールを保持するモジュール側平板部(50)を備え、前記結合部は前記掛止孔に掛け止めされ、前記第1延出部は前記フレーム側平板部と前記モジュール側平板部とによって挟持されているとよい。
 この態様によれば、第1延出部がフレーム側平板部及びモジュール側平板部によって挟持されることによって、力布取付部材が受圧時に位置ずれを防止することができる。これにより、力布が受圧時に移動し難くなり、力布によってエアバッグの膨張圧をより確実に受圧することができる。よって、エアバッグの展開挙動をより安定させることができる。
 また、本発明の一態様によれば、前記力布取付部は前記フレームブラケットの前側に位置しているとよい。
 また、この態様によれば、軸部における捩じれ変形によって力布取付部がフレームブラケットに衝突し難くなる。よって、エアバッグの展開時に力布取付部とフレームブラケットとの衝突による異音の発生が抑制できる。
 また、本発明の一態様によれば、前記フレーム側接続部及び前記モジュール側接続部にはそれぞれ2つの前記結合部の後方において前後方向に貫通する切欠部(44A、51A)が設けられているとよい。
 この態様によれば、結合部が掛止孔に掛け止めされていることを作業者が切欠部を介して後方から視認することができる。よって、乗物用シートの組立作業性を向上させることができる。
 また、本発明の一態様によれば、前記左右一方側の前記サイドフレームに結合され、前記左右一方側の前記サイドフレームから前記左右一方側に延出し、前記シートバックの外形を画定する成形部材(80)と、左右の前記サイドフレームの後方に延在するパンフレーム(20)とを含み、前記成形部材は両端において前記左右一方側の前記サイドフレームに結合された棒状部材によって形成され、前記パンフレームは前記サイドフレームの前記左右一方側に延出し、前記成形部材の少なくとも一部に結合されたパンフレーム延出部(32)を含み、前記結合部がそれぞれ前記成形部材、前記パンフレーム、及び前記サイドフレームによって画定される貫通孔(X)の前方に位置しているとよい。
 この態様によれば、結合部が掛止孔に掛け止めされていることを作業者が貫通孔を介して後方から視認することができる。よって、乗物用シートの組立作業性を向上させることができる。
 また、本発明の一態様によれば、前記サイドフレームには、前記左右一方側に切り起こされたフレーム側接続部(244)、及び、前記フレーム側接続部の前方に設けられ、左右に貫通する掛止孔(260)が形成されたフレーム側平板部(248)が設けられ、前記エアバッグモジュールはモジュールブラケット(236)を介して前記サイドフレームに結合され、前記モジュールブラケットは、前記フレーム側接続部に結合され、前記フレーム側平板部の前記左右一方側に延びるモジュール側接続部(252)、及び前記モジュール側接続部に接続され、前方に延び、前記フレーム側平板部に前記力布取付部材を介して対峙し、前記左右一方側の側面に前記エアバッグモジュールを保持するモジュール側平板部(250)を備え、前記結合部は前記掛止孔に掛け止めされ、前記第1延出部は前記フレーム側平板部と前記モジュール側平板部とによって挟持されているとよい。
 この態様によれば、1つのブラケットを用いてエアバッグモジュールと力布をサイドフレームに結合させることができ、乗物用シートの構成を簡素にすることができる。
 特許第6211839号公報は、乗物用シートであって、シートバックフレームのシート外側の面に、エアバッグ及びインフレータを備えたエアバッグモジュールが固定されたものが開示されている。この乗物用シートにおいては、シートバックフレームのシート外側の面はクッションパッドの一部である側面パッド部が設けられている。側面パッド部には開口が形成され、その開口にエアバッグモジュールが格納されている。エアバッグモジュールはシートバックフレームに締結され、シート外方からトリムカバーによって覆われている。
 このような乗物用シートでは、エアバッグモジュールのシート外側の面とトリムカバーとの間にはクッションパッドが設けられていないため、シートバックのシート外側の面に十分な弾性を持たせることが難しい。
 そこで、シートバックフレーム枠部(シートバックフレーム)の左右外側に結合されたエアバッグモジュールを備えた乗物用シートにおいて、エアバッグモジュールの左右外方にパッド部材を設けることが課題となっている。
 上記課題を解決するために、本発明に係る乗物用シート(1、470、570)は、シートバックフレーム枠部(19)と、前記シートバックフレーム枠部の左右方向外側に結合されたフレームブラケット(34)と、エアバッグモジュール(23)を支持し、前記フレームブラケットに締結されるべきモジュールブラケット(36)と、前記シートバックフレーム枠部及び前記エアバッグモジュールを覆うパッド部材(21)とを有し、前記パッド部材は、前記シートバックフレーム枠部及び前記エアバッグモジュールを前方から覆う前パッド部材(70)と、前記前パッド部材の前記左右方向外側の端部に結合され、後方に延び、前記シートバックフレーム枠部及び前記エアバッグモジュールを左右外方から覆う側パッド部材(71)と、前記側パッド部材の後端から左右方向内側に延び、前記シートバックフレーム枠部及び前記エアバッグモジュールを後方から覆う後パッド部材(72)とを含み、前記後パッド部材には前記後パッド部材の内縁から前記左右方向外側に延び、前記エアバッグモジュールの後方に至るスリット(75、475)が設けられていることを特徴とする。
 この態様によれば、エアバッグモジュールをシートバックフレーム枠部と側パッド部材との間にスリットを介して挿入することができる。これにより、エアバッグモジュールが左右外方に側パッド部材を設けられた状態でエアバッグモジュールをシートバック枠部に組み付けることができる。これにより、シートバックの左右外側面の弾性を高めることができる。更に、エアバッグモジュールの後方に後パッド部材が設けられるため、シートバックの後面の弾性を高めることができる。このように、シートバックの左右外側面及び後側面の弾性が高められることによって、乗物用シートの快適性を向上させることができる。
 上記の態様において、好ましくは、前記スリットは直線状をなすとよい。
 この態様によれば、スリットの構成が簡素になる。
 上記の態様において、好ましくは、前記スリットは略水平をなすとよい。
 この態様によれば、後パッド部材の下端を左右外方に押し出すことによって、スリットを容易に開口させることができ、エアバッグモジュールの組付が容易になる。
 上記の態様において、好ましくは、前記後パッド部材の上部には前後に貫通する補助スリット(76、576)が設けられているとよい。
 この態様によれば、後パッド部材の下部が左右外方に移動し易くなるため、パッド部材とシートバックフレーム枠部との隙間が開き易くなる。これにより、乗物用シートの組立を行う作業者がエアバッグモジュールをシートバックフレーム枠部及びパッド部材との隙間に容易に挿入することができる。よって、エアバッグモジュールの組付が容易になる。
 上記の態様において、好ましくは、前記パッド部材は前記前パッド部材の上端と前記後パッド部材の上端とをそれぞれ接続するとともに、前記シートバックフレーム枠部、及び前記エアバッグモジュールを上側から覆う上パッド部材(73)とを含み、前記後パッド部材と前記上パッド部材との結合部分には、前後に貫通する補助スリット(76)が設けられているとよい。
 この態様によれば、作業者が後パッド部材の下部を左右外方に移動させたときに、荷重が加わり易い位置に設けることができる。これにより、後パッド部材の下部が左右外方に移動し易くなるため、パッド部材とシートバックフレーム枠部との隙間が開き易くなる。
 上記の態様において、好ましくは、前記補助スリットは前記後パッド部材の上端内縁から左右外方に向かって上方に傾斜しているとよい。
 この態様によれば、後パッド部材の下部が左右外方により移動し易くなるため、パッド部材とシートバックフレーム枠部との隙間が開き易くなる。
 上記の態様において、好ましくは、前記フレームブラケットと前記モジュールブラケットとは締結点(P1、P2)において互いに締結され、前記締結点は背面視で前記補助スリットの下方に配置されているとよい。
 この態様によれば、後パッド部材の下端を左右外方に移動させることによって、補助スリットが設けられている部分においてパッド部材が変形し、締結点が露出する。これにより、フレームブラケットとモジュールブラケットとの締結が容易になる。
 上記の態様において、好ましくは、前記スリットは前記フレームブラケットの下側に設けられているとよい。
 この態様によれば、エアバッグモジュールを上方に移動させることで、モジュールブラケットをフレームブラケットに整合させることができるため、エアバッグモジュールの組付が容易になる。
 上記の態様において、好ましくは、前記スリットは前記後パッド部材の内縁から左右外縁まで延在しているとよい。
 この態様によれば、スリットが後パッド部材の内縁から左右外縁まで延在していない場合に比べて、スリットが開き易くなる。これにより、エアバッグモジュールが挿入し易くなり、エアバッグモジュールの組付が容易になる。
 上記の態様において、好ましくは、前記側パッド部材には前記エアバッグモジュールの左右外側において、左右方向に貫通する展開孔(77)が設けられ、前記展開孔は前記スリットの前方に位置しているとよい。
 この態様によれば、スリット及び展開孔が前後に異なる位置に設けられる。これにより、スリット及び展開孔が前後に同じ位置に設けられる場合に比べて、パッド部材が展開孔及びスリットの近傍において変形し難くなり、パッド部材の形が保たれ易くなる。
 上記の態様において、好ましくは、前記パッド部材の後面を覆う後側表皮部材(93)と、前記パッド部材の左右外側を覆う外側表皮部材(92)とを含む表皮部材(22)を有し、前記後側表皮部材の左右外縁と前記外側表皮部材の後縁とは上下に延在する線ファスナ(97)によって互いに結合され、前記側パッド部材には前記線ファスナに対応する位置において左右内方に凹み、前記線ファスナを収容する収容凹部(98)が設けられ、前記収容凹部は前記スリットの開口端(75A)と異なる位置に設けられているとよい。
 この態様によれば、スリットの開口端と収容凹部とが異なる位置に設けられるため、スリットの開口端と収容凹部とが重なる位置に設けられる場合に比べて、後パッド部材のスリットの開口端が設けられる部分の剛性を高めることができる。
 上記の態様において、好ましくは、前記シートバックフレーム枠部の前記左右方向外側に結合された成形部材(80)を有し、前記エアバッグモジュールは前記成形部材の前方に位置し、前記後パッド部材は前記成形部材の後方に位置しているとよい。
 この態様によれば、成形部材が設けられた場合であっても、スリットを開き、エアバッグモジュールをスリットに挿入することによって、エアバッグモジュールを成形部材の前方に移動させることができる。
 上記の態様において、好ましくは、前記スリットは左右方向に延在し、前記スリットの左右方向の幅(L1)は前記エアバッグモジュールの左右方向の幅(L2)以上であるとよい。
 この態様によれば、エアバッグモジュールをスリットに容易に挿入することができる。
 上記の態様において、好ましくは、前記スリットは前記成形部材の上端(Q1)よりも下方、且つ、前記成形部材の下端(Q2)よりも上方に位置しているとよい。
 この態様によれば、スリットを介してエアバッグモジュールを成形部材の近傍に挿入することができる。
 上記の態様において、好ましくは、前記スリットと前記成形部材とは前後に重なり、前記成形部材の前記スリットと重なる部分の前記左右方向外側の端部(R2)と、前記スリットの前記左右方向外側の端部(R1)との距離(L3)は、前記エアバッグモジュールの左右方向の幅以上であるとよい。
 この態様によれば、スリットを開くことによって、スリットの左右方向外側の端部と成形部材の左右方向外側の端部との間にエアバッグモジュールよりも幅広の挿入口が形成される。これにより、成形部材の前方に向けたエアバッグモジュールの挿入が容易になる。
 上記の態様において、好ましくは、前記成形部材は、前記シートバックフレーム枠部の前記左右方向外側の側縁上部に結合され、前記左右方向外側に延びる成形部材上部(81)と、前記成形部材上部の前記左右方向外側の端部から下方に延びる成形部材中央部(82)と、前記成形部材中央部の下端から左右方向内側に向けて下方に傾斜する方向に延びる成形部材下部(83)とを備え、前記スリットは前記成形部材下部に前後方向に重なる位置に設けられているとよい。
 この態様によれば、エアバッグモジュールをスリットの下側から挿入したときに、エアバッグモジュールの移動が成形部材によって阻害され難くなる。
 上記課題を解決するために、本発明に係る乗物用シートは、シートバックの骨組を構成するシートバックフレーム枠部と、シートバックフレーム枠部の左右方向一方側に結合されたフレームブラケットと、エアバッグモジュールを保持し、フレームブラケットの締結点において締結されるべきモジュールブラケットと、シートバックフレーム枠部の背面に結合されたパンフレームとを有し、パンフレームは、左右方向一方側において、締結点の下方において、シートバックフレーム枠部の上部から左右方向一方側に延出する延出部を含み、エアバッグモジュールの少なくとも一部は延出部の前方に位置している態様によれば、エアバッグモジュールがサイドフレームに支持されるため、エアバッグモジュールの展開挙動が安定する。エアバッグモジュールの一部が延出部によって後方から覆われるため、エアバッグモジュールを後方からの荷重に対して保護することができる。更に、締結点と延出部とが背面視で重ならないため、エアバッグモジュールの組付が容易になる。
 また、延出部とエアバッグモジュールとの間には前後方向に隙間が設けられている態様によれば、延出部に後方から荷重が加わったときに、エアバッグモジュールに直接荷重が加わらない。よって、エアバッグモジュールの姿勢が変わることが防止でき、より確実に乗員の保護を図ることができる。
 また、左右方向一方側のシートバックフレーム枠部に結合され、シートバックの外形を画定する成形部材を含み、成形部材は延出部に結合されている態様によれば、延出部が成形部材によって補強されるため、延出部の剛性を高めることができる。
 また、成形部材は延出部の前方においてシートバックフレーム枠部に結合されている態様によれば、後方から荷重が加わったときに、延出部によって遮られるため、成形部材とシートバックフレーム枠部との結合部分に加わることが防止できる。
 また、延出部の上縁はシートバックフレーム枠部の上縁よりも下方に位置している態様によれば、延出部の上方にスイッチ等の部材を設けるためのスペースを確保することができる。
 また、延出部の左右方向一方側の外縁と、組付後のエアバッグモジュールの左右方向一方側の外縁と前後に対応する位置にある態様によれば、延出部の左右一方側の外縁とエアバッグモジュールの左右一方側の外縁とが前後に対応する位置に設けられることによって、延出部とエアバッグモジュールとの間に左右方向に段差が形成されることが抑制できる。これにより、シートバックの意匠性が向上する。
 また、フレームブラケットとパンフレームとはそれぞれ板金部材によって形成され、フレームブラケットの板厚はパンフレームの板厚よりも大きい態様によれば、展開時にエアバッグモジュールをより強固にシートバックフレームに支持させることができるため、エアバッグの展開挙動がより安定する。
 また、本発明の一態様によれば、シートバックフレーム枠部は左右一組のサイドフレームと、2つのサイドフレームを接続するアッパフレームとを有し、フレームブラケットは左右方向一方の側に位置するサイドフレームの前縁及び後縁にそれぞれ結合されている態様によれば、フレームブラケットをより強固にサイドフレームに結合させることができるため、エアバッグの展開挙動をより安定させることができる。
 また、本発明の一態様によれば、成形部材は折曲形成されたワイヤ部材であり、成形部材はサイドフレームに結合された成形部材上部及び成形部材下部と、サイドフレームの左右方向一方側において、成形部材上部及び成形部材下部を上下に接続する成形部材中央部とを有し、成形部材中央部は延出部に延在する上半部と、上半部の下端から下方に延びる下半部とを含み、締結点の後方には、成形部材と、延出部と、サイドフレームとによって画定され、前後方向に貫通する通孔が設けられている態様によれば、前後方向に貫通する通孔が設けられているため、通孔に締結用のツールを挿入することで、フレームブラケットとモジュールブラケットとの締結を容易に行うことができる。
 上記課題を解決するために、本発明に係る乗物用シートは、シートバックの骨格を構成する左右一対のサイドフレームと、左右一方側に位置するサイドフレームに支持され、左右一方側に位置するサイドフレームの左右一方側の面に力布取付部材を介して対峙し、左右一方側の斜め前方に展開するエアバッグを備えたエアバッグモジュールと、サイドフレームに支持され、エアバッグモジュールを前方から覆うパッド部材と、パッド部材の表面を覆う表皮部材と、一端において表皮部材に縫合され、エアバッグモジュールの前面とパッド部材との間を通過して、力布取付部材に向かって延び、他端において力布取付部材に結合された力布とを有し、力布取付部材はエアバッグモジュールの前縁よりも後方に位置している態様によれば、エアバッグが斜め前方展開するとエアバッグモジュールの前面前側に位置する力布に膨張圧が加わる。更に、力布取付部材がエアバッグモジュールの前縁後方に位置しているため、力布取付部材がエアバッグモジュールよりも前方に突出せず、乗員に与える異物感を低減することができる。
 また、力布取付部材はエアバッグモジュールの後縁よりも前方に位置している態様によれば、力布取付部材がエアバッグモジュールの後縁から後方に突出することが防止できる。これにより、後方から乗員がシートバックに触れたときに乗員が受ける異物感を低減することができ、乗物用シートの快適性が向上する。
 また、力布取付部材は側面視でエアバッグモジュールの外縁よりも内側に位置している態様によれば、力布取付部材がエアバッグモジュールに対して前後及び上下のいずれの方向にも突出しないように配置することができる。これにより、シートバックの小型化が容易になる。
 また、力布取付部材はサイドフレームに結合する上下一対の結合部と、上下に延在し、力布が掛け止めされる力布取付部とを有し、力布取付部の上下方向の長さは、上側に位置する結合部の上縁及び下側に位置する結合部の下縁の上下方向の距離よりも大きい態様によれば、2つの結合部の距離よりも大きな幅を有する力布を力布取付部に取り付けることができる。これにより、力布によってエアバッグの膨張圧をより確実に受圧することができる。
 また、力布取付部は左右一方側に位置するサイドフレームの前方に位置している態様によれば、力布の組付が容易になる。
 また、力布取付部材は折曲形成された棒状部材によって形成され、上下一対の結合部と、結合部にそれぞれ接続され、前方に延びる上下一対の第1延出部と、第1延出部の延出端から上下方向に沿って互いに相反する方向に延びる一対の軸部と、軸部の延出端からそれぞれ前方に延びる上下一対の第2延出部とを含み、力布取付部は第2延出部の延出端を上下に接続し、力布取付部と、上下一対の軸部とは略平行をなす態様によれば、力布が膨張圧を受圧したときに力布取付部材が軸部において捩じれ変形させることができる。これにより、受圧時に力布取付部での変形を防止することができる。よって、力布をより上下方向に広げた状態で維持することができ、力布によってエアバッグの膨張圧をより確実に受圧することができる。
 また、サイドフレームには、左右一方側のサイドフレームに結合され、左右一方側に延びるフレーム側接続部、及び、フレーム側接続部の左右外縁から前方に延びる板状をなし、左右に貫通する掛止孔が形成されたフレーム側平板部を備えたフレームブラケットが設けられ、エアバッグモジュールはモジュールブラケットを介してフレームブラケットに結合され、モジュールブラケットは、左右一方側のサイドフレーム又はフレーム側接続部に結合され、フレーム側平板部の左右外方に延びるモジュール側接続部、及びモジュール側接続部から前方に延びて、フレーム側平板部に力布取付部材を介して対峙し、左右一方側の側面にエアバッグモジュールを保持するモジュール側平板部を備え、結合部は掛止孔に掛け止めされ、第1延出部はフレーム側平板部とモジュール側平板部とによって挟持されている態様によれば、第1延出部がフレーム側平板部及びモジュール側平板部によって挟持されることによって、力布取付部材が受圧時に位置ずれを防止することができる。これにより、力布が受圧時に移動し難くなり、力布によってエアバッグの膨張圧をより確実に受圧することができる。よって、エアバッグの展開挙動をより安定させることができる。
 また、力布取付部はフレームブラケットの前側に位置している態様によれば、軸部における捩じれ変形によって力布取付部がフレームブラケットに衝突し難くなる。よって、エアバッグの展開時に力布取付部とフレームブラケットとの衝突による異音の発生が抑制できる。
 また、フレーム側接続部及びモジュール側接続部にはそれぞれ2つの結合部の後方において前後方向に貫通する切欠部が設けられている態様によれば、結合部が掛止孔に掛け止めされていることを作業者が切欠部を介して後方から視認することができる。よって、乗物用シートの組立作業性を向上させることができる。
 また、左右一方側のサイドフレームに結合され、左右一方側のサイドフレームから左右一方側に延出し、シートバックの外形を画定する成形部材と、左右のサイドフレームの後方に延在するパンフレームとを含み、成形部材は両端において左右一方側のサイドフレームに結合された棒状部材によって形成され、パンフレームはサイドフレームの左右一方側に延出し、成形部材の少なくとも一部に結合されたパンフレーム延出部を含み、結合部がそれぞれ成形部材、パンフレーム、及びサイドフレームによって画定される貫通孔の前方に位置している態様によれば、結合部が掛止孔に掛け止めされていることを作業者が貫通孔を介して後方から視認することができる。よって、乗物用シートの組立作業性を向上させることができる。
 また、サイドフレームには、左右一方側に切り起こされたフレーム側接続部、及び、フレーム側接続部の前方に設けられ、左右に貫通する掛止孔が形成されたフレーム側平板部が設けられ、エアバッグモジュールはモジュールブラケットを介してサイドフレームに結合され、モジュールブラケットは、フレーム側接続部に結合され、フレーム側平板部の左右一方側に延びるモジュール側接続部、及びモジュール側接続部に接続され、前方に延び、フレーム側平板部に力布取付部材を介して対峙し、左右一方側の側面にエアバッグモジュールを保持するモジュール側平板部を備え、結合部は掛止孔に掛け止めされ、第1延出部はフレーム側平板部とモジュール側平板部とによって挟持されている態様によれば、1つのブラケットを用いてエアバッグモジュールと力布をサイドフレームに結合させることができ、乗物用シートの構成を簡素にすることができる。
 上記課題を解決するために、本発明に係る乗物用シートは、シートバックフレーム枠部と、シートバックフレーム枠部の左右方向外側に結合されたフレームブラケットと、エアバッグモジュールを支持し、フレームブラケットに締結されるべきモジュールブラケットと、シートバックフレーム枠部及びエアバッグモジュールを覆うパッド部材とを有し、パッド部材は、シートバックフレーム枠部及びエアバッグモジュールを前方から覆う前パッド部材と、前パッド部材の左右方向外側の端部に結合され、後方に延び、シートバックフレーム枠部及びエアバッグモジュールを左右外方から覆う側パッド部材と、側パッド部材の後端から左右方向内側に延び、シートバックフレーム枠部及びエアバッグモジュールを後方から覆う後パッド部材とを含み、後パッド部材には後パッド部材の内縁から左右方向外側に延び、エアバッグモジュールの後方に至るスリットが設けられている態様によれば、エアバッグモジュールをシートバックフレーム枠部と側パッド部材との間にスリットを介して挿入することができる。これにより、エアバッグモジュールが左右外方に側パッド部材を設けられた状態でエアバッグモジュールをシートバック枠部に組み付けることができる。これにより、シートバックの左右外側面の弾性を高めることができる。更に、エアバッグモジュールの後方に後パッド部材が設けられるため、シートバックの後面の弾性を高めることができる。このように、シートバックの左右外側面及び後側面の弾性が高められることによって、乗物用シートの快適性を向上させることができる。
 また、上記の態様において、スリットは直線状をなす構成によれば、スリットの構成が簡素になる。
 また、上記の態様において、スリットは略水平をなす構成によれば、後パッド部材の下端を左右外方に押し出すことによって、スリットを容易に開口させることができ、エアバッグモジュールの組付が容易になる。
 また、上記の態様において、後パッド部材の上部には前後に貫通する補助スリットが設けられている態様によれば、後パッド部材の下部が左右外方に移動し易くなるため、パッド部材とシートバックフレーム枠部との隙間が開き易くなる。これにより、乗物用シートの組立を行う作業者がエアバッグモジュールをシートバックフレーム枠部及びパッド部材との隙間に容易に挿入することができる。よって、エアバッグモジュールの組付が容易になる。
 また、上記の態様において、パッド部材は前パッド部材の上端と後パッド部材の上端とをそれぞれ接続するとともに、シートバックフレーム枠部、及びエアバッグモジュールを上側から覆う上パッド部材とを含み、後パッド部材と上パッド部材との結合部分には、前後に貫通する補助スリットが設けられている態様によれば、作業者が後パッド部材の下部を左右外方に移動させたときに、荷重が加わり易い位置に設けることができる。これにより、後パッド部材の下部が左右外方に移動し易くなるため、パッド部材とシートバックフレーム枠部との隙間が開き易くなる。
 また、上記の態様において、補助スリットは後パッド部材の上端内縁から左右外方に向かって上方に傾斜している態様によれば、後パッド部材の下部が左右外方により移動し易くなるため、パッド部材とシートバックフレーム枠部との隙間が開き易くなる。
 また、上記の態様において、フレームブラケットとモジュールブラケットとは締結点において互いに締結され、締結点は背面視で補助スリットの下方に配置されている態様によれば、後パッド部材の下端を左右外方に移動させることによって、補助スリットが設けられている部分においてパッド部材が変形し、締結点が露出する。これにより、フレームブラケットとモジュールブラケットとの締結が容易になる。
 また、上記の態様において、スリットはフレームブラケットの下側に設けられている態様によれば、エアバッグモジュールを上方に移動させることで、モジュールブラケットをフレームブラケットに整合させることができるため、エアバッグモジュールの組付が容易になる。
 また、上記の態様において、スリットは後パッド部材の内縁から左右外縁まで延在している態様によれば、スリットが後パッド部材の内縁から左右外縁まで延在していない場合に比べて、スリットが開き易くなる。これにより、エアバッグモジュールが挿入し易くなり、エアバッグモジュールの組付が容易になる。
 また、上記の態様において、側パッド部材にはエアバッグモジュールの左右外側において、左右方向に貫通する展開孔が設けられ、展開孔はスリットの前方に位置している態様によれば、スリット及び展開孔を前後に異なる位置に設けられる。よって、スリット及び展開孔が前後に同じ位置に設けられる場合に比べて、パッド部材が展開孔及びスリットの近傍において変形し難くなり、パッド部材の形が保たれ易くなる。
 また、上記の態様において、パッド部材の後面を覆う後側表皮部材と、パッド部材の左右外側を覆う外側表皮部材とを含む表皮部材を有し、後側表皮部材の左右外縁と外側表皮部材の後縁とは上下に延在する線ファスナによって互いに結合され、側パッド部材には線ファスナに対応する位置において左右内方に凹み、線ファスナを収容する収容凹部が設けられ、収容凹部はスリットの開口端と異なる位置に設けられている態様によれば、スリットの開口端と収容凹部とが異なる位置に設けられるため、スリットの開口端と収容凹部とが重なる位置に設けられる場合に比べて、後パッド部材のスリットの開口端が設けられる部分の剛性を高めることができる。
 また、上記の態様において、シートバックフレーム枠部の左右方向外側に結合された成形部材を有し、エアバッグモジュールは成形部材の前方に位置し、後パッド部材は成形部材の後方に位置している態様によれば、成形部材が設けられた場合であっても、スリットを開き、エアバッグモジュールをスリットに挿入することによって、エアバッグモジュールを成形部材の前方に移動させることができる。
 また、上記の態様において、スリットは左右方向に延在し、スリットの左右方向の幅はエアバッグモジュールの左右方向の幅以上である態様によれば、エアバッグモジュールをスリットに容易に挿入することができる。
 また、上記の態様において、スリットは成形部材の上端よりも下方、且つ、成形部材の下端よりも上方に位置している態様によれば、スリットを介してエアバッグモジュールを成形部材の近傍に挿入することができる。
 また、上記の態様において、スリットと成形部材とは前後に重なり、成形部材のスリットと重なる部分の左右方向外側の端部と、スリットの左右方向外側の端部との距離は、エアバッグモジュールの左右方向の幅以上である態様によれば、スリットを開くことによって、スリットの左右方向外側の端部と成形部材の左右方向外側の端部との間にエアバッグモジュールよりも幅広の挿入口が形成される。これにより、成形部材の前方に向けたエアバッグモジュールの挿入が容易になる。
 また、上記の態様において、成形部材は、シートバックフレーム枠部の左右方向外側の側縁上部に結合され、左右方向外側に延びる成形部材上部と、成形部材上部の左右方向外側の端部から下方に延びる成形部材中央部と、成形部材中央部の下端から左右方向内側に向けて下方に傾斜する方向に延びる成形部材下部とを備え、スリットは成形部材下部に前後方向に重なる位置に設けられている態様によれば、エアバッグモジュールをスリットの下側から挿入したときに、エアバッグモジュールの移動が成形部材によって阻害され難くなる。
第1実施形態に係る乗物用シートの斜視図 パッド部材及び表皮部材を取り外したときの乗物用シートの正面図 図1のIII-III断面図 パッド部材及び表皮部材を取り外したときの乗物用シートの左上部の斜視図 正面から見たときのエアバッグモジュールのサイドフレームへの取付構造を示す分解斜視図 背面から見たときのエアバッグモジュールのサイドフレームへの取付構造を示す分解斜視図 パッド部材及び表皮部材を取り外したときの乗物用シートの左上部の(A)正面図、及び(B)背面図 パッド部材及び表皮部材を取り外したときの乗物用シートの背面図 パッド部材、表皮部材、及びエアバッグモジュールを取り外したときの乗物用シートの左上部の側面図 表皮部材を取り外したときの乗物用シートの背面図 エアバッグモジュールの(A)組付前、(B)組付時、及び(C)組付後を示す説明図 第2実施形態に係る乗物用シートの斜視図 パッド部材及び表皮部材を取り外したときの乗物用シートの正面図 図12のXIV-XIV断面図 パッド部材及び表皮部材を取り外したときの乗物用シートの左上部の斜視図 正面から見たときのエアバッグモジュールのサイドフレームへの取付構造を示す分解斜視図 背面から見たときのエアバッグモジュールのサイドフレームへの取付構造を示す分解斜視図 パッド部材及び表皮部材を取り外したときの乗物用シートの左上部の(A)正面図、及び(B)背面図 パッド部材及び表皮部材を取り外したときの乗物用シートの背面図 パッド部材、表皮部材、及びエアバッグモジュールを取り外したときの乗物用シートの左上部の側面図 表皮部材を取り外したときの乗物用シートの背面図 エアバッグモジュールの(A)組付前、(B)組付時、及び(C)組付後を示す説明図 エアバッグの展開時の力布ワイヤの変形を説明するための説明図 第3実施形態に係る乗物用シートにおいて、背面から見たときのエアバッグモジュールのサイドフレームへの取付構造を示す分解斜視図 第3実施形態に係る乗物用シートの横断面図 第4実施形態に係る乗物用シートの斜視図 パッド部材及び表皮部材を取り外したときの乗物用シートの正面図 図26のXXVIII-XXVIII断面図 パッド部材及び表皮部材を取り外したときの乗物用シートの左上部の斜視図 正面から見たときのエアバッグモジュールのサイドフレームへの取付構造を示す分解斜視図 背面から見たときのエアバッグモジュールのサイドフレームへの取付構造を示す分解斜視図 パッド部材及び表皮部材を取り外したときの乗物用シートの左上部の(A)正面図、及び(B)背面図 パッド部材及び表皮部材を取り外したときの乗物用シートの背面図 パッド部材、表皮部材、及びエアバッグモジュールを取り外したときの乗物用シートの左上部の側面図 表皮部材を取り外したときの乗物用シートの背面図 エアバッグモジュールの(A)組付前、(B)組付時、及び(C)組付後を示す説明図 表皮部材を取り外したときの(A)第5実施形態、及び(B)第6実施形態に係る乗物用シートの背面図 力布の(A)第1変形例及び(B)第2変形例を示す説明図 力布取付部材の変形例を用いたエアバッグモジュールのサイドフレームへの取付構造を示す分解斜視図 力布の(A)第3変形例及び(B)第4変形例を示す説明図
 以下、図面を参照して、本発明に係る乗物用シートを自動車の最後尾の後部座席に適用した実施形態を説明する。以下では、自動車の前方を基準として、前後、左右及び上下方向を記載する。
<<第1実施形態>>
 図1に示すように、本発明に係る乗物用シート1は、前後に2列座席が設けられた自動車において、2列目の後部座席の左側部分を構成する。乗物用シート1は自動車のフロア2上に設けられ、着座者の臀部を支持するシートクッション4と、シートクッション4の後部に支持され、背凭れとして機能するシートバック5と、各シートバック5の上部に設けられたヘッドレスト6とを有する。
 シートクッション4は左右に延び、乗員2人分の着座面9を構成している。シートクッション4の下方には、フロア2の上面に結合し、前後に延びる左右一組のロアレール10が設けられている。ロアレール10にはそれぞれ、アッパレールがロアレール10の延在方向に沿ってスライド移動可能に結合している。シートクッション4はロアレール10及びアッパレールを介して、フロア2に前後にスライド移動可能に支持されている。
 シートバック5は上下に延び、前方を向く面を有する略直方体状をなしている。シートバック5の前面には2名の乗員の背中を支持する支持面12が形成されている。シートバック5はその下端において、公知のリクライニング機構を介して、シートクッション4を構成するフレームの後端に回動可能に結合されている。
 ヘッドレスト6はシートバック5の上端に左右に並んで2つ設けられている。ヘッドレスト6はそれぞれ下端においてシートバック5に対して左右方向を軸線とする回動可能に結合しているとよい。また、乗物用シート1は所定のストラップを操作することによって、シートバック5が前方に倒されて、フロア2に形成された収納スペースに収納される床下収納シートであってもよい。
 次に、シートバック5の構造について説明する。図2及び図3に示すように、シートバック5は、骨格としてのシートバックフレーム18(図2参照)と、シートバックフレーム18に支持されたパッド部材21(図3参照)と、パッド部材21の前面に設けられ、シートバック5の外面を構成する表皮部材22(図3参照)と、シートバックフレーム18に支持されたエアバッグモジュール23(図2及び図3参照)を有している。
 図2に示すように、シートバックフレーム18は、シートバック5の骨格を形成し、略四角形な枠型をなすシートバックフレーム枠部19と、シートバックフレーム枠部19の後方に配置されたパンフレーム20(プレート)とを備えている。シートバックフレーム枠部19は上下に延びる左右一組のサイドフレーム26(サイドメンバ)と、左右に延びて左右のサイドフレーム26のそれぞれの上端に結合するアッパフレーム27と、左右に延びて左右のサイドフレーム26のそれぞれの下部に結合するロアフレーム(不図示)とを含む。左右のサイドフレーム26の上部をそれぞれ構成するサイドフレーム上部26Uとアッパフレーム27とは、1本の円形のパイプ材28を逆U字状の門型に屈曲させることによって形成されている。左右のサイドフレーム26の下部をそれぞれ構成するサイドフレーム下部26D(図3参照)は、左右方向を向く面を有する板金部材29によって形成されている。板金部材29は上部において、パイプ材28の端部にそれぞれシート内方の面において溶接されている。板金部材29の前後縁はそれぞれシート内方に向かって折り曲げられている。左右のサイドフレーム26の下端は、シートクッション4を構成するフレームにリクライニング機構を介して回動可能に結合している。本実施形態では、図3に示すように、サイドフレーム下部26Dは2つの板金部材29が左右に対向するように配置され、互いに結合されることによって形成されている。
 図2及び図4に示すように、左側のサイドフレーム下部26Dには上下方向略中央部において左右方向内側(すなわち、右側)に折り曲げられ、左右方向内側(右側)に屈曲したフレーム屈曲部30が設けられている。
 パンフレーム20は金属製の板状部材であり、2つのサイドフレーム26及びアッパフレーム27の後面側に、面が前後を向くように配置されている。図2及び図6に示すように、パンフレーム20はサイドフレーム26、アッパフレーム27及びロアフレームの後部を覆うパンフレーム基部31と、パンフレーム基部31から車外側(左側)のサイドフレーム26の左側に延出するパンフレーム延出部32とを備えている。パンフレーム基部31は、上縁においてアッパフレーム27に溶接され、下縁においてロアフレームに溶接され、左右の側縁において左右のサイドフレーム26の適所に溶接されている。これにより、パンフレーム20はシートバックフレーム枠部19の背面に結合されている。図2に示すように、パンフレーム基部31の適所には、補強用のビード31Aや肉抜き孔31Bが複数設けられていてもよい。
 図3に示すように、左右方向一方側(本実施形態では、左側)のサイドフレーム26は一つのフレームブラケット34が直接結合されている。図6に示すように、フレームブラケット34にはエアバッグモジュール23を保持する1つのモジュールブラケット36(リテーナ)が締結されている。これにより、エアバッグモジュール23はモジュールブラケット36とフレームブラケット34とを介して、サイドフレーム26に結合している。エアバッグモジュール23は、図4に示すように、サイドフレーム26の延在方向に沿って延びる略直方体状をなし、その外面が左右方向を向くように配置されている。
 図5及び図6に示すように、フレームブラケット34は折曲加工された板金部材であり、図3に示すように、フレームブラケット34の板厚はパンフレーム20の板厚よりも大きい。このように板厚が設定されているため、フレームブラケット34はパンフレーム20よりも剛性が十分高く、変形し難い。
 フレームブラケット34は、概ね左右方向を向く略方形な板状のブラケット基部42と、ブラケット基部42の前縁に接続されたブラケット前片43(図5参照)と、ブラケット基部42の後端に接続されたブラケット傾斜片44(図6参照)とを有している。
 図5に示すように、ブラケット前片43は、ブラケット基部42の前端から右方に延びる板状をなしている。図7(A)に示すように、ブラケット前片43は左側のサイドフレーム下部26Dを形成する板金部材29の前面に溶接されている。本実施形態では、ブラケット前片43はその右縁上端近傍及び右縁下端近傍においてそれぞれ、板金部材29の前面に溶接されている。なお、図7(A)及び(B)においては、溶接部分はドットのハッチングによって着色されている。
 図3及び図6に示すように、ブラケット傾斜片44は後方に向かって右側(車内側)に傾斜する板状をなしている。図7(B)に示すように、ブラケット傾斜片44の後縁は右方に折り曲げられ、板金部材29の後面に溶接されている。本実施形態では、ブラケット傾斜片44はその右縁上端及び右縁下端においてそれぞれ、板金部材29の後面に溶接されている。これにより、フレームブラケット34は、シートバックフレーム枠部19の左側のサイドフレーム26の前縁及び後縁にそれぞれ結合されている。
 図5及び図6に示すように、フレームブラケット34及び板金部材29それぞれに位置決め孔45、46が設けられているとよい。本実施形態では、ブラケット基部42に2つの貫通孔である位置決め孔45が設けられ、板金部材29にもまた対応する位置に2つの貫通孔である位置決め孔46が設けられている。溶接時に、ブラケット基部42に設けられた位置決め孔45と、板金部材29に設けられ、対応する位置決め孔46とに治具を挿入することによって、フレームブラケット34を板金部材29に対して適切な位置に維持することが容易になる。これにより、フレームブラケット34を板金部材29に適切な位置に容易に溶接することができる。また、フレームブラケット34と板金部材29との溶接を容易にするため、図6に示すように、パンフレーム20にはフレームブラケット34の後方において前後に貫通する溶接作業用孔47が設けられている。
 図6に示すように、ブラケット傾斜片44には2つのスタッドボルト48が設けられている。より詳細には、スタッドボルト48はブラケット傾斜片44に設けられた貫通孔に通されて溶接されることによって、ブラケット傾斜片44に固定されている。
 図5及び図6に示すように、モジュールブラケット36は折曲加工された板金部材であり、前後及び上下に延びる板状のリテーナ基部50と、リテーナ基部50の後縁に接続し後方に向かって右側に傾斜する板状のリテーナ傾斜片51とを備えている。
 図6に示すように、リテーナ傾斜片51には厚さ方向に貫通するボルト孔52が設けられている。リテーナ傾斜片51はブラケット傾斜片44の後面に沿うように配置されている。ボルト孔52にスタッドボルト48が通され、各スタッドボルト48にナット49(締結具)を締め付つけることによって、モジュールブラケット36はフレームブラケット34に締結されている。本実施形態では、ナット49として袋ナット(キャップナット)が用いられている。以下では、フレームブラケット34とモジュールブラケット36とが締結される点、より詳細には、スタッドボルト48の軸中心と、ブラケット傾斜片44の後面との交点を締結点Pと記載する。
 モジュールブラケット36には、ブラケット傾斜片44のスタッドボルト48に対応する位置にそれぞれボルト孔52が設けられている。これにより、フレームブラケット34及びモジュールブラケット36は2つの締結点P1、P2(図7参照)において締結されている。
 本実施形態では、図5及び図6に示すように、モジュールブラケット36の上下方向の幅と、フレームブラケット34の上下方向の幅は実質的に同一となっている。より詳細には、ブラケット基部42の上下方向の幅とリテーナ基部50の上下方向の幅とは概ね等しく、フレームブラケット34とモジュールブラケット36が締結されているときには、ブラケット基部42の上縁及びリテーナ基部50の上縁と、ブラケット基部42の下縁及びリテーナ基部50の下縁とはそれぞれ上下方向に揃う位置に配置されている。
 図3に示すように、エアバッグモジュール23は、エアバッグ61と、エアバッグ61の内部にガスを放出し、エアバッグ61を膨張展開させるインフレータ62と、エアバッグ61及びインフレータ62を収容する略直方体状のケース63とを備えている。インフレータ62は略円柱状をなし、その外周面に径外方向に突出する雄ねじ部64を備えている。
 図5に示すように、ケース63は有底な四角筒状をなし、開口を有するケース本体63Aとケース本体63Aの開口を閉じる蓋体63Bとを備えている。ケース本体63Aの内部にエアバッグ61及びインフレータ62が収容されている。図6に示すように、エアバッグ61はケース63の内部に折り畳まれた状態で収容されている。蓋体63Bの左前縁には、エアバッグ61の膨張展開によって開裂し、開口する開裂部65が設けられている。ケース本体63Aの底壁には所定の位置にその厚さ方向に貫通する貫通孔66が設けられている。
 雄ねじ部64はケース63の内部から貫通孔66を通って外部に突出している。図5に示すように、リテーナ基部50には厚さ方向に貫通するボルト孔56が設けられ、雄ねじ部64がボルト孔52に挿入されている。雄ねじ部64にナット67を締め付けることによって、ケース63がリテーナ基部50に締結されている。これにより、エアバッグモジュール23はモジュールブラケット36に結合されて、リテーナ基部50の左側面に保持されている。モジュールブラケット36とフレームブラケット34が締結点P1、及びP2において締結されることによって、エアバッグモジュール23は左側のサイドフレーム26に組み付けられる。このとき、エアバッグモジュール23はケース63が上下に延び、ケース本体63Aの開口が左右外方(本実施形態では、左方)に向くように配置されて、リテーナ基部50の左側に結合されている。組付け後、エアバッグモジュール23はフレームブラケット34及びモジュールブラケット36を介して、左側のサイドフレーム26に結合され、左側のサイドフレーム26に支持される。本実施形態では、モジュールブラケット36がフレームブラケット34に締結されたときに、雄ねじ部64とフレームブラケット34とが干渉することを避けるため、ブラケット基部42に2つの貫通孔58が設けられている。図5及び図6に示すように、貫通孔58と位置決め孔45とは連結し、一体となっていてもよい。
 図2及び図8に示すようにパンフレーム延出部32は左側のサイドフレーム26の上部から左側に延び、背面視で組付け後のエアバッグモジュール23の左端後方に達している。これにより、図8に示すように、パンフレーム延出部32は、背面視で2つのスタッドボルト48(すなわち、2つの締結点P1、P2の)いずれよりも上方に位置し、スタッドボルト48(すなわち、締結点P1、P2)はそれぞれパンフレーム延出部32とは上下に異なる位置に設けられている。換言すれば、図8に示すように、パンフレーム20は左側のサイドフレーム26から左方に延出する拡張部150を備え、締結点P1、P2が露出するように、拡張部150の締結点P1、P2に対応する位置に切欠部152が設けられた態様をなす。図9に示すように、パンフレーム延出部32はエアバッグモジュール23の後方に離間した位置にあり、パンフレーム20(より詳細にはパンフレーム延出部32)とエアバッグモジュール23との間には前後方向に隙間Sが設けられている。
 図2、及び図8に示すように、エアバッグモジュール23の上部はパンフレーム延出部32の前方に配置されている。これにより、パンフレーム延出部32は背面視においてエアバッグモジュール23の上半分に重なり、エアバッグモジュール23の上半分がパンフレーム延出部32によって後方から覆われている。パンフレーム延出部32の上縁はエアバッグモジュール23の上縁と上下方向に概ね揃う位置にあり、パンフレーム延出部32の下縁は上下方向においてエアバッグモジュール23の上縁及び下縁の間に位置している。本実施形態では、パンフレーム延出部32の下縁はエアバッグモジュール23の上下方向略中央に位置している。
 図8に示すように、パンフレーム延出部32の左側の外縁は組付後のエアバッグモジュール23の上部左側の外縁に沿って延在している。本実施形態では、パンフレーム延出部32の左側の外縁とエアバッグモジュール23の上部左側の外縁とは前後に整合する位置にあり、両者は背面視で概ね重なり合っている。これにより、パンフレーム延出部32とエアバッグモジュール23との間に左右方向に段差が形成されることが抑制されて、シートバック5の意匠性が向上する。
 図2に示すように、パンフレーム延出部32の上縁はパンフレーム基部31の上縁よりも下側に設けられ、パンフレーム延出部32の上縁はシートバックフレーム枠部19の上縁よりも下方に位置している。これにより、エアバッグモジュール23の左縁よりも右方且つシートバックフレーム枠部19の右縁よりも左方であり、シートバックフレーム枠部19の上縁よりも下方、且つエアバッグモジュール23よりも上方にリクライニング用のスイッチノブN等を配置するための空間Uを確保することができる。
 パッド部材21は、ポリウレタンフォーム等の可撓性を有するクッション材から形成されている。パッド部材21は、図3及び図8に示すように、シートバックフレーム枠部19及びエアバッグモジュール23を前方から覆う前パッド部材70(図3参照)と、前パッド部材70の左右方向外側(すなわち、左側)の端部に結合され、後方に延びる側パッド部材71(図3参照)と、側パッド部材71の後端から左右方向内側(すなわち、右側)に延びる後パッド部材72(図3、及び図8参照)と、前パッド部材70の上端、後パッド部材72の上端、及び側パッド部材71の上端を接続する上パッド部材73(図8参照)とを含む。後パッド部材72はシートバックフレーム枠部19及びエアバッグモジュール23を後方から覆い、上パッド部材73はシートバックフレーム枠部19、及びエアバッグモジュール23を上側から覆っている。
 図10に示すように、後パッド部材72には内縁(右縁)から左右方向外側(左側)に延びるスリット75が設けられている。スリット75は後パッド部材72を貫通する孔であり、フレームブラケット34の下方に設けられている。図8に示すように、スリット75は直線状をなして略水平に延び(すなわち、左右方向に延在し)、エアバッグモジュール23の後方に達している。本実施形態では、スリット75は背面視でエアバッグモジュール23の下端に沿って、後パッド部材72の右縁から左方に延び、エアバッグモジュール23の下部左端の後方に達している。図8に示すように、スリット75の左右方向の幅L1はエアバッグモジュール23の左右方向の幅L2以上に設定されている。スリット75は後パッド部材72の左右方向略中央部から右方向に延び、後パッド部材72の右端に達して開口端75Aを形成している。すなわち、スリット75の右縁には、右方向に向けて開口する開口端75Aが形成されている。
 後パッド部材72と上パッド部材73との結合部分には、前後に貫通する補助スリット76が設けられている。補助スリット76もまた前後に貫通する孔である。本実施形態では、補助スリット76は後パッド部材72の上端内縁(右縁)から左右外方(すなわち、左方)に向かって延びている。本実施形態では、補助スリット76は直線状をなし、後パッド部材72の上端右縁から左方に向かって上方に傾斜している。このとき、補助スリット76の延在方向と水平方向とのなす角度は概ね45度となっているとよい。
 スリット75は背面視で2つの締結点P1、P2のいずれよりも下方に位置し、補助スリット76は2つの締結点P1、P2のいずれよりも上方に位置している。すなわち、2つの締結点P1、P2は背面視でスリット75及び補助スリット76との間に位置している。
 側パッド部材71(図3参照)はエアバッグモジュール23の左右外側(すなわち、左側)において上下に延在する直方体状をなし、エアバッグモジュール23を左外側から覆っている。図3に示すように、側パッド部材71の前部には展開孔77が設けられている。展開孔77は側パッド部材71を左右方向に貫通する孔であり、エアバッグモジュール23の左右外側(すなわち、左側)に形成されている。本実施形態では、図1に示すように、展開孔77はシートバック5の延在方向に沿って上下方向に延びるように形成され、図3に示すように、展開孔77はスリット75の前方に位置している。
 図4に示すように、乗物用シート1はシートバックフレーム枠部19、より詳細には左側のサイドフレーム26に結合された成形部材80を備えている。成形部材80は折曲形成されたワイヤ部材によって形成され、図7(A)に示すように、両端部においてそれぞれ左側のサイドフレーム26に溶接されている。図9に示すように、成形部材80はエアバッグモジュール23の後方に配置され、エアバッグモジュール23と成形部材80との間には前後方向に隙間Tが形成されている。このように、成形部材80はワイヤ部材によって構成することで、成形部材80を軽量化することができ、成形部材80の構造を簡素にすることができる。
 図4に示すように、成形部材80は左側のサイドフレーム26の上部に溶接され、左側のサイドフレーム26から左外方に延出する成形上部81(成形部材上部)と、成形上部81の左端から下方に延びる成形中央部82(成形部材中央部)と、成形中央部82の下端から右下方に延び、左側のサイドフレーム26の下部に溶接された成形下部83(成形部材下部)とを備えている。
 図5に示すように、成形上部81の左右内端(本実施形態では、右端部)には左側のサイドフレーム26の上部に沿って下方に折り曲げられることによって形成された折曲部81Aが設けられている。これにより、成形上部81は左右方向に延在する本体部81Bと、その内端において本体部81Bの左右内端(右端)から下方に延出する延出部81Cとが形成されている。図7(A)に示すように、上側取付部85は折曲部81A、より詳細には延出部81Cに設けられ、成形上部81は上側取付部85において左側のサイドフレーム26の上部左側面に溶接により結合されている。図5に示すように、上側取付部85はパンフレーム延出部32の上部前方に位置し、成形部材80はパンフレーム延出部32の前方において左側のサイドフレーム26に結合されている。これにより、上側取付部85のサイドフレーム26に溶接された部分がパンフレーム延出部32によって後方から覆われるため、後方からの荷重に対してその溶接された部分を保護することができる。成形上部81の中央部及び左端部はそれぞれパンフレーム延出部32の上縁に前後に整合する位置にあり、背面視で成形上部81の中央部はパンフレーム延出部32の上縁に沿って左右に延在している。
 図4に示すように、成形中央部82は左側のサイドフレーム26の左側(左方)において成形上部81と成形下部83とを上下に接続している。成形中央部82は成形上部81の左端から下方に延び、パンフレーム延出部32の左縁に沿って延在する上半部82Aと、上半部82A下端から下方に延びる下半部82Bとを含む。上半部82Aは背面視でパンフレーム延出部32の左縁上端から左縁下端までの範囲に設けられた部分であり、上半部82Aの下端、すなわち下半部82Bの上端は、パンフレーム延出部32の左縁下端に前後に整合する位置にある。これにより、成形中央部82はパンフレーム延出部32よりも下方に延出する態様となっている。上半部82A及び下半部82Bとはそれぞれ左側のサイドフレーム26の左右外方(すなわち、左方)に位置し、図8に示すように、下半部82Bと左側のサイドフレーム26の左側面には左右方向に隙間Wが形成されている。
 本実施形態では、成形中央部82の上半部82Aはパンフレーム延出部32の左縁に結合されている。より具体的には図7(B)に示すように、上半部82Aは2箇所(図7(B)の着色されている部分参照)においてパンフレーム延出部32の左縁に溶接されている。
 図7(A)に示すように、成形下部83は成形中央部82の下端から右下方に概ね直線状に延びた本体部86と、本体部86の下端に接続し、左側のサイドフレーム26の左側面に溶接された下側取付部87とを備えている。本体部86は右方向(左右方向内側)に向けて下方に傾斜している。成形部材80には、成形中央部82の下半部82Bと本体部86との間において、左右内側に屈曲した成形屈曲部88が形成されている。下側取付部87は成形部材80の下端が左側のサイドフレーム26に沿って若干下方に折り曲げられることによって形成されている。図2、図7(B)及び図8に示すように、成形屈曲部88はフレーム屈曲部30よりも上方に位置し、下側取付部87はフレーム屈曲部30よりも下方に位置している。また本体部86の上部は左側のサイドフレーム26に対して左側に位置し、本体部86の上部と左側のサイドフレーム26との間には左右方向に隙間Vが形成されている。
 これにより、図7(B)及び図8に示すように、成形中央部82の下半部82B及び成形下部83は、パンフレーム延出部32の下縁、及び、左側のサイドフレーム26の下部を接続している。すなわち、成形部材80はパンフレーム延出部32の下縁、及び、左側のサイドフレーム26の下部の間に延在する部分を含む。また、成形中央部82の下半部82Bの右縁及び成形下部83の右縁と、パンフレーム延出部32の下縁と、左側のサイドフレーム26の下部左縁とによって、前後方向に貫通する通孔X(図8参照)が画定されている。
 本実施形態では、図8に示すように、成形中央部82の少なくとも一部(本実施形態では上半部82A及び下半部82Bを含む成形中央部82の概ね全領域)は、背面視においてエアバッグモジュール23の左右外縁(すなわち、左縁)に沿って延びている。
 パンフレーム延出部32はエアバッグモジュール23の上部(本実施形態では上半分)を後方から覆っている。よって、パッド部材21及び表皮部材22が設けられていないときには、図7(B)及び図8に示すように、エアバッグモジュール23の下部(下半分)が通孔Xを介して後方から視認可能となっている。また、図8に示すように、パンフレーム延出部32の下縁は2つの締結点P1、P2のいずれよりも上方に位置している。2つのスタッドボルト48(すなわち、2つの締結点P1、P2)は共に通孔Xの前方に位置している。すなわち、通孔Xは2つのスタッドボルト48(すなわち、2つの締結点P1、P2)の両方の後方に位置し、パッド部材21及び表皮部材22が設けられていないときには、2つの締結点P1、P2はいずれも通孔Xを介して視認可能となっている。これにより、2つのスタッドボルト48(2つの締結点P1、P2)のいずれにも締結具(例えば、ユニバーサルレンチ)を用いて後方から通孔Xを介してアクセス可能である。
 また、パッド部材21及び表皮部材22が設けられていないときには、モジュールブラケット36の上縁又は下縁が、左側のサイドフレーム26及び成形部材80との間の隙間V、Wを介して後方から視認可能となっている。本実施形態では、モジュールブラケット36の上縁及び下縁が通孔Xを介して後方から視認可能となっている。
 また、図5に示すように、左側のサイドフレーム26には、その剛性を高めるべく、上下に延在する筋状のビード89が設けられている。下側取付部87はそのビード89の後方において、左側のサイドフレーム26に結合されている。本実施形態では、ビード89は左右内側に凹むサイドフレーム凹部89Aとして形成され、下側取付部87はそのサイドフレーム凹部89Aの縁部89Bの近傍に溶接されている。これにより、成形部材80とサイドフレーム26との結合部分は剛性が高められた部分であるビード89の縁部89Bの近傍に設けられて、成形部材80がサイドフレーム26により強固に支持される。
 本実施形態では、図9に示すように成形部材80はパンフレーム20に対して概ね面一をなしている。すなわち、成形部材80及びパンフレーム20は概ね同一の面上に配置されている。成形部材80の下端、より詳細には下側取付部87の後端は側面視でパンフレーム20に近接した位置にある。
 側パッド部材71は前縁において前パッド部材70に結合され、後縁において後パッド部材72に結合されている。図3に示すように、パッド部材21が組み付けられているときには、前パッド部材70は成形部材80の前方、後パッド部材72は成形部材80の後方にそれぞれ配置されている。側パッド部材71は前パッド部材70及び後パッド部材72によって左右内方(すなわち、右方)に引っ張られて、左側から成形部材80に当接している。成形部材80は側パッド部材71の左右内側の面、すなわち右側面に当接し、側パッド部材71の右方への移動を規制している。これにより、側パッド部材71の位置が定められ、シートバック5の外形が形作られる。シートバック5の左側面に右方向に向く荷重が加わったときに、側パッド部材71は成形部材80によって左右内側から支持されて、シートバック5の変形が防止される。すなわち、成形部材80はシートバック5の外形を画定し、シートバック5の形状を形成する機能を果たす。
 図9に示すように、成形部材80はエアバッグモジュール23の後方に位置し、成形部材80とエアバッグモジュール23との間には前後方向に隙間Rが形成されている。
 また、パッド部材21がシートバックフレーム枠部19に組付けられているときには、スリット75は成形部材80の上端よりも下方、且つ、成形部材80の下端よりも上方に位置している。このとき、スリット75と成形部材80とは前後方向に重なっている。本実施形態では、スリット75は成形下部83に前後方向に重なっている。本実施形態では、更に、成形下部83のスリット75と重なる部分の左端部R1(左右方向外端部)と、スリット75の左端部R2(左右方向外端部)との距離L3はエアバッグモジュール23の左右方向の幅L2以上となるように設定されている。
 表皮部材22は布や皮等の複数のシート状部材を接続することによって形成されている。図3に示すように、表皮部材22は前パッド部材70の前面及び側パッド部材71の左側面前部を覆う前側表皮部材91と、側パッド部材71の左側面後部を覆う左側表皮部材92(外側表皮部材)と、後パッド部材72の後面及びパンフレーム20の後面を覆う後側表皮部材93と、上パッド部材73の上面を覆う上側表皮部材94(図8参照)とを含む。上側表皮部材94の前縁は前側表皮部材91の上縁に、上側表皮部材94の左縁は左側表皮部材92の上縁に、上側表皮部材94の後縁は後側表皮部材93の上縁にそれぞれ縫合されている。
 図3に示すように、前側表皮部材91の左縁と左側表皮部材92の前縁は互いに縫合されて、縫合部95を形成している。この縫合部95は、表皮部材22の他の部分(例えば、上側表皮部材94の前縁と前側表皮部材91の上縁との縫合部分など)に比べて小さい荷重によって破断する脆弱部として機能する。縫合部95は上下に延在し、側パッド部材71の前部に設けられた展開孔77の内部に収容されている。
 左側表皮部材92の後縁と後側表皮部材93の左縁とは上下に延在する線ファスナ97によって互いに結合されている。より詳細には、側パッド部材71は左面後縁において内方(すなわち、右方)に凹み、後パッド部材72は後面左縁において前方に凹んでいる。これにより、図3に示すように、パッド部材21には側パッド部材71と後パッド部材72との接続部分において、パッド部材21の内方に凹むファスナ収容凹部98が形成されている。ファスナ収容凹部98は側パッド部材71と後パッド部材72との接続部分であって、線ファスナ97に対応する位置において上下に延在している。線ファスナ97はファスナ収容凹部98に収容されている。
 図10に示すように、ファスナ収容凹部98は開口端75Aの左方に設けられている。すなわち、ファスナ収容凹部98は後パッド部材72の右縁には達しておらず、ファスナ収容凹部98と開口端75Aとが異なる位置に設けられている。これにより、ファスナ収容凹部98と開口端75Aとが重なっている場合に比べて、後パッド部材72のスリット75の開口端75Aが設けられる部分近傍の剛性を高めることができ、パッド部材21の破断を防止することができる。
 図5に示すように、ブラケット基部42の上部及び下部にはそれぞれ、厚さ方向、すなわち左右方向に貫通する掛止孔100が設けられている。掛止孔100には力布ワイヤ102が結合している。本実施形態では、力布ワイヤ102は所定の形状に曲げ加工された金属製の丸パイプであるがこれには限定されず、力布ワイヤ102は曲げ加工された金属丸棒であってもよい。力布ワイヤ102は、図3に示すように、その両端部に設けられ、それぞれ掛止孔100に掛け止めされた上下一対のフック104と、フック104それぞれから前方に延び、エアバッグモジュール23の前方に達する上下一対の接続部106と、2つの接続部106の前端を互いに上下に接続する掛止部108とを備えている。力布ワイヤ102は両端に設けられたフック104が、フレームブラケット34の掛止孔100のそれぞれに掛け止めされることで、フレームブラケット34に係合している。接続部106はそれぞれ後端においてフック104に結合し、ブラケット基部42とリテーナ基部50との間を通過して、エアバッグモジュール23の右前方に達し、前端において左方に屈曲している。図9に示すように、接続部106はブラケット基部42とリテーナ基部50との間においてエアバッグモジュール23によってブラケット基部42に押し付けられている。これにより、力布ワイヤ102はフレームブラケット34とモジュールブラケット36とによって挟持され、その移動が規制されている。
 図3に示すように、乗物用シート1には、エアバッグ61の膨張展開によって表皮部材22を開裂させるための力布110が設けられている。力布110は表皮部材22よりも伸縮性の小さいシート状部材によって形成されている。力布110は一端が縫合部95において、前側表皮部材91及び左側表皮部材92に縫合されている。力布110は一端から力布ワイヤ102の掛止部108に向かって延びている。力布110の他端にはJ字状をなすフック112が設けられ、フック112は力布ワイヤ102の掛止部108に掛け止めされている。
 本実施形態では、掛止部108は通孔Xの前方に位置する部分を含み、力布110は少なくとも一部において通孔Xの前方において力布ワイヤ102に結合している。これにより、図11(A)及び図11(B)に示すように、後パッド部材72を移動させることによって、作業者は力布110及び力布ワイヤ102の結合部分を後方から通孔Xを介して視認することができる。
 次に、乗物用シート1の動作について説明する。例えば前突時などエアバッグ61を展開させて乗員を保護する必要がある場合には、車両に搭載された公知の制御装置からの信号によってインフレータ62が作動し、エアバッグ61の内部にガスが供給される。これにより、エアバッグ61は膨張し、ケース63が左前縁において開口する。
 エアバッグ61はインフレータ62から供給されるガスによって左方に膨張し、力布110に荷重が加わる。力布110に加えられた荷重によって、縫合部95が破断し、表皮部材22に開口が形成される。エアバッグ61は展開孔77及び表皮部材22に形成された開口を通って、シートバック5の左方に膨張する。これにより、乗物用シート1に着座した乗員と車室側壁との間にエアバッグ61が膨張展開する。
 次に、乗物用シート1の組立方法について説明する。シートバックフレーム枠部19にフレームブラケット34及び成形部材80を溶接した後、図11(A)に示すように、作業者はパッド部材21をシートバックフレーム枠部19、フレームブラケット34及び成形部材80に被せる。このとき、前側表皮部材91の後面を前パッド部材70の前面に、左側表皮部材92の右面を側パッド部材71の左側の面にそれぞれ、予め結合(接着)させておくとよい。但し、図11(A)~(C)では、表皮部材22は省略されている。
 パッド部材21がシートバックフレーム枠部19、フレームブラケット34及び成形部材80に被せられたときには、前パッド部材70はシートバックフレーム枠部19、ブラケット及び成形部材80の前側に、側パッド部材71はシートバックフレーム枠部19、ブラケット及び成形部材80の左側に、後パッド部材72はシートバックフレーム枠部19、ブラケット及び成形部材80の後側にそれぞれ配置されている。
 このとき、図3に示すように、前パッド部材70は背面において左側のサイドフレーム26に当接している。これにより、前パッド部材70と成形部材80との間、より詳細には前パッド部材70の背面と成形部材80の右端部分とは前後方向に離れた位置にある。また、側パッド部材71の右側面に成形部材80の左端が当接し、側パッド部材71の右側面と左側のサイドフレーム26の左側面とは左右方向に離間している。これにより、前パッド部材70、側パッド部材71、成形部材80、及び左側のサイドフレーム26の間に収容空間Yが画定されている。
 次に、作業者は、後パッド部材72の下端を把持して左右外方に引き、スリット75を開口させる。このとき、後パッド部材72に加わる荷重によって補助スリット76もまた開口する(図11(B)参照)。これにより、パッド部材21はスリット75及び補助スリット76が設けられている部分において折れ曲がる。
 後パッド部材72のスリット75における折れ曲がりによって、後パッド部材72には、エアバッグモジュール23の左右方向の幅よりも幅広な通孔Z1が形成される。同時に、スリット75の左端部R2と成形部材80(成形下部83)との間にエアバッグモジュール23の左右方向の幅L2よりも幅広な挿入口Z2が形成される。
 作業者は、後パッド部材72の下端を左右外方に引いたまま、力布ワイヤ102を左側のサイドフレーム26と側パッド部材71との間にスリット75を介して挿入し、力布ワイヤ102のフック104を掛止孔100に掛け止めする。その後、作業者は、力布110を力布ワイヤ102に引き寄せて、力布110のフック112を力布ワイヤ102の掛止部108に掛け止めする。このとき、力布ワイヤ102の掛止部108は通孔Xの前方に位置し、後方から通孔Xを介して視認可能となっている。よって、力布ワイヤ102の掛止部108にフック112を掛け止めるときに、作業者は通孔Xを介して、力布ワイヤ102と力布110との結合部分、より具体的にはフック112と掛止部108との結合部分を目視することができる。これにより、フック112を容易に掛止部108に掛け止めすることができ、乗物用シート1の組立が容易になる。
 その後、作業者は、図11(B)に示すように、後パッド部材72の下端を左右外方に引いたまま、モジュールブラケット36に締結されたエアバッグモジュール23を左側のサイドフレーム26とパッド部材21との間にスリット75を介して挿入する。作業者はその後、エアバッグモジュール23を上方に移動させることによって収容空間Yにエアバッグモジュール23を配置する。
 次に、作業者は、後パッド部材72の下端を左右外方に引いたまま、エアバッグモジュール23をモジュールブラケット36とフレームブラケット34とが整合するように配置し、スタッドボルト48をボルト孔52に挿通させる。図11(B)に示すように、作業者は後パッド部材72の下端を左右外方に引き、パッド部材21をスリット75及び補助スリット76が設けられている部分において折れ曲げるとよい。これにより、スリット75及び補助スリット76が開かれて、2つの締結点P1、P2がより確実に視認可能となるとともに、通孔Xを介してより容易にアクセスすることができる。作業者は通孔Xに、ユニバーサルレンチ等の締結用のツールを挿入してナット49を締め付けることによって、モジュールブラケット36をフレームブラケット34に締結する。これにより、エアバッグモジュール23はモジュールブラケット36、及びフレームブラケット34を介して、左側のサイドフレーム26に結合する。このように、通孔Xが設けられることによって、後方から締結用のツールを挿入してナット49をスタッドボルト48に締め付けることができ、エアバッグモジュール23をサイドフレーム26に容易に締結させることができる。
 その後、作業者は後側表皮部材93を後パッド部材72の後面及びパンフレーム20の後面に沿うように配置し、線ファスナ97を用いて後側表皮部材93の左右側縁と左側表皮部材92の後縁とを結合させる。これにより、乗物用シート1の組立が完了する。
 次に、乗物用シート1の効果について説明する。図11(A)に示すように、作業者は後パッド部材72の下端を左下方に引くことによって、スリット75を開くことができる。これにより、作業者がエアバッグモジュール23をスリット75に通過させ易くなり、シートバックフレーム枠部19、より詳細には左側のサイドフレーム26とパッド部材21との間に挿入し易くなる。これにより、エアバッグモジュール23のサイドフレーム26への組付が容易になる。
 図11(B)に示すように、作業者が後パッド部材72の下側を左下方に引くと、後パッド部材72の下部が左方に引っ張られて、後パッド部材72とパンフレーム基部31との間に隙間が生じる。
 このとき、パンフレーム延出部32とスタッドボルト48とが背面視で互いに重なり合っていないため、図11(C)に示すように、スタッドボルト48、すなわち締結点P1、P2が背面側から通孔Xを介して視認可能となる。これにより、作業者がエアバッグモジュール23を下側(上下方向に締結点P1、P2を介してパンフレーム延出部32に対向する側)からボルト孔52とスタッドボルト48とが整合する適正位置(ボルト孔52にスタッドボルト48が通された位置)に移動させると、その間に視界がパンフレーム延出部32に遮られて、モジュールブラケット36の位置を視認できなくなることが防止できる。更に、作業者がモジュールブラケット36をフレームブラケット34に締結するときには、視界がパンフレーム延出部32に遮られないため、モジュールブラケット36をフレームブラケット34に容易に締結することができる。このように、エアバッグモジュール23の適正な位置への移動や、モジュールブラケット36の締結作業が容易になるため、エアバッグモジュール23の組付作業性が向上する。
 図11(B)に示すように、後パッド部材72の下部が左方に引っ張られることによって、スタッドボルト48(すなわち、締結点P)が視認可能となる。このとき、図11(B)から理解できるように、下方に向かうほど、後パッド部材72とパンフレーム基部31との間に隙間は広くなる。本発明ではパンフレーム延出部32の下方にスタッドボルト48が配置されているため、パンフレーム延出部32の上方に設けられるよりも、スタッドボルト48が視認し易い。
 また、エアバッグモジュール23を下方から移動させて、適正な位置に配置するまでの間に、パンフレーム延出部32によってエアバッグモジュール23の移動が阻害され難くなる。よって、図11(B)に示すエアバッグモジュール23の下方からの組付が容易になる。
 組付完了時には、図7(B)に示すように、エアバッグモジュール23の少なくとも一部(上部)がパンフレーム延出部32によって背面側(後側)から覆われる。これにより、エアバッグモジュール23を背面側(後側)からの荷重に対して保護することができる。更に、図3に示すように、パンフレーム延出部32とエアバッグモジュール23との間には前後方向に隙間Sが設けられている。隙間Sが設けられることによって、パンフレーム20の後面に前方に向く荷重が加わったときに、エアバッグモジュール23に荷重が伝わり難くなる。これにより、エアバッグモジュール23に後方からの荷重に対して保護し、後方からの荷重を伝わり難くすることによって、エアバッグモジュール23の姿勢が変更され難くなる。よって、エアバッグ61の展開挙動が安定し、より確実に乗員の保護を図ることができる。更に、隙間Sが設けられることによって、組付時のエアバッグモジュール23の移動が阻害され難くなり、エアバッグモジュール23を適正位置に移動させ易くなる。よって、エアバッグモジュール23の組付作業性が向上する。
 図3に示すように、エアバッグモジュール23の後方に後パッド部材72が設けられている。これにより、図11(B)に示すように、エアバッグモジュール23が後方から後パッド部材72によって覆われる。よって、シートバック5の背面に弾力を持たせることができるため、乗物用シート1の快適性を向上させることができる。
 また、スリット75は直線状をなしているため、その構成が簡素である。また、スリット75は略水平をなし、スリット75がフレームブラケット34の下側に設けられている。これにより、エアバッグモジュール23をスリット75に直交するように挿入し、エアバッグモジュール23を上方に押し上げることで、エアバッグモジュール23を適正な位置に容易に移動させることができる。よって、組付作業時のエアバッグモジュール23の移動方向が簡素になる。また、スリット75が水平をなすように延在しているため、後パッド部材72の下端を左右外方に押し出すことによって、スリット75を容易に開口させることができる。これにより、エアバッグモジュール23の組付作業性が向上する。
 また、本実施形態では、パッド部材21に補助スリット76が設けられているため、後パッド部材72の下部が左右外方に移動し易い。更に、補助スリット76は、後パッド部材72の左右内縁上端に設けられている。これにより、作業者が後パッド部材72の下部を左右外方に移動させたときに、補助スリット76に荷重が加わり易く、補助スリット76が開かれ易くなる。これにより、パッド部材21とサイドフレーム26との隙間が開き易くなり、エアバッグモジュール23をサイドフレーム26及びパッド部材21との隙間により挿入し易くなる。よって、エアバッグモジュール23の組付が容易になる。
 また、補助スリット76は後パッド部材72の内縁から左右外方に向かって上方に傾斜しているため、後パッド部材72の下部の左右外方への移動によって、補助スリット76が開口し易い。よって、後パッド部材72の下部が左右外方により移動し易くなるため、エアバッグモジュール23をサイドフレーム26及びパッド部材21との隙間により挿入し易くなる。
 また、締結点P1,P2が背面視で補助スリット76の下方に配置されている。後パッド部材21の下部の左右外方への移動によって、図11(B)に示すように、パッド部材21が補助スリット76近傍において折れ曲がるため、締結点P1、P2がより露出し、アクセスがより容易になる。これにより、フレームブラケット34とモジュールブラケット36との締結がより容易になる。
 また、スリット75及び展開孔77が前後に異なる位置に設けられているため、スリット75及び展開孔77が前後に同じ位置に設けられる場合に比べて、パッド部材21が展開孔77及びスリット75の近傍において変形し難くなり、パッド部材21の形が保たれ易くなる。更に、ファスナ収容凹部98はスリット75の開口端75Aと異なる位置に設けられているため、ファスナ収容凹部98とスリット75の開口端75Aとが重なる位置に設けられる場合に比べて、後パッド部材72のスリット75の開口端75Aが設けられる部分の剛性を高めることができる。
 図2に示すように、エアバッグモジュール23がパンフレーム20よりも剛性の高いサイドフレーム26に結合されて支持されるため、エアバッグモジュール23がパンフレーム20に結合されている場合に比べて、エアバッグ61の展開挙動が安定する。図3に示すように、フレームブラケット34の板厚はパンフレーム20の板厚よりも大きい。これにより、シートバック5の軽量化を図ることができるとともに、フレームブラケット34の剛性をより高めることができる。これにより、展開時にエアバッグ61をより安定して左側のサイドフレーム26(シートバックフレーム枠部19)に支持させることができるため、エアバッグ61の展開挙動をより安定させることができる。
 更に、フレームブラケット34は左側のサイドフレーム26の前縁及び後縁にそれぞれ結合されている。これにより、フレームブラケット34が左側のサイドフレーム26の前縁及び後縁のいずれか一方に結合されている場合に比べて、エアバッグモジュール23をより強固に左側のサイドフレーム26に結合させることができる。これにより、展開時にエアバッグ61をより安定して左側のサイドフレーム26(シートバックフレーム枠部19)に支持させることができるため、エアバッグ61の展開挙動をより安定させることができる。
<<第2実施形態>>
 図12に示すように、本実施形態に係る乗物用シート1は後述する構成以外の点については第1実施形態と同様の構成を有する。本実施形態に係る乗物用シート1は第1実施形態と同様に、前後に2列座席が設けられた自動車において、2列目の後部座席の左側部分を構成する。
 次に、シートバック5の構造について説明する。図13及び図14に示すように、シートバック5は、骨格としてのシートバックフレーム18(図13参照)と、シートバックフレーム18に支持されたパッド部材21(図14参照)と、パッド部材21の前面に設けられ、シートバック5の外面を構成する表皮部材22(図14参照)と、シートバックフレーム18に支持されたエアバッグモジュール23(図13及び図14参照)を有している。
 図13に示すように、シートバックフレーム18は、シートバック5の骨格を形成し、略四角形な枠型をなすシートバックフレーム枠部19と、シートバックフレーム枠部19の後方に配置されたパンフレーム20(プレート)とを備えている。シートバックフレーム枠部19は上下に延びる左右一組のサイドフレーム26(サイドメンバ)と、左右に延びて左右のサイドフレーム26のそれぞれの上端に結合するアッパフレーム27と、左右に延びて左右のサイドフレーム26のそれぞれの下部に結合するロアフレーム(不図示)とを含む。左右のサイドフレーム26の上部をそれぞれ構成するサイドフレーム上部26Uとアッパフレーム27とは、1本の円形のパイプ材28を逆U字状の門型に屈曲させることによって形成されている。左右のサイドフレーム26の下部をそれぞれ構成するサイドフレーム下部26D(図14参照)は、左右方向を向く面を有する板金部材29によって形成されている。板金部材29は上部において、パイプ材28の端部にそれぞれシート内方の面において溶接されている。板金部材29の前後縁はそれぞれシート内方に向かって折り曲げられている。左右のサイドフレーム26の下端は、シートクッション4を構成するフレームにリクライニング機構を介して回動可能に結合している。本実施形態では、図14に示すように、サイドフレーム下部26Dは2つの板金部材29が左右に対向するように配置され、互いに結合されることによって形成されている。
 図13及び図15に示すように、左側のサイドフレーム下部26Dには上下方向略中央部において左右方向内側(すなわち、右側)に折り曲げられ、左右方向内側(右側)に屈曲したフレーム屈曲部30が設けられている。
 図16及び図17に示すように、フレームブラケット34は折曲加工された板金部材であり、図14に示すように、フレームブラケット34の板厚はパンフレーム20の板厚よりも大きい。このように板厚が設定されているため、フレームブラケット34はパンフレーム20よりも剛性が十分高く、変形し難い。
 フレームブラケット34は、概ね左右方向を向く略方形な板状のブラケット基部42(フレーム側平板部)と、ブラケット基部42の前縁に接続されたブラケット前片43(図16参照)と、ブラケット基部42の後端に接続されたブラケット傾斜片44(フレーム側接続部、図17参照)とを有している。
 ブラケット基部42の前部の上端及び下端にはそれぞれ前縁から後方に切り欠かれた前切欠部42Aが設けられている。前切欠部42Aはそれぞれ略方形をなし、ブラケット基部42の前縁から前後方向略中央部まで延びている。
 図16に示すように、ブラケット前片43は、ブラケット基部42の前端から右方に延びる板状をなしている。図18(A)に示すように、ブラケット前片43は左側のサイドフレーム下部26Dを形成する板金部材29の前面に溶接されている。本実施形態では、ブラケット前片43はその右縁上端近傍及び右縁下端近傍においてそれぞれ、板金部材29の前面に溶接されている。なお、図18(A)及び(B)においては、溶接部分はドットのハッチングによって着色されている。
 ブラケット傾斜片44の後縁上部、及び下部にはそれぞれ、後縁から前方に切り欠かれ、前後に貫通する後切欠部44A(切欠部)が設けられている。本実施形態では、後切欠部44Aは略方形をなし、ブラケット傾斜片44の後縁から前縁まで延び、ブラケット基部42の後縁に達している。
 図16及び図17に示すように、モジュールブラケット36は折曲加工された板金部材であり、前後及び上下に延びる板状のリテーナ基部50(モジュール側平板部)と、リテーナ基部50の後縁に接続し後方に向かって右側に傾斜する板状のリテーナ傾斜片51(モジュール側接続部)とを備えている。
 リテーナ基部50の前部の上端及び下端にはそれぞれ、前縁から後方に切り欠かれた前切欠部50Aが設けられている。前切欠部50Aはそれぞれ略方形をなし、リテーナ基部50の前縁から前後方向略中央部まで延びている。本実施形態では、ブラケット基部42の前切欠部42Aはそれぞれ、対応するリテーナ基部50の前切欠部50Aと略同形をなしている。
 リテーナ傾斜片51の後縁上部、及び下部にはそれぞれ、後縁から前方に切り欠かれ、前後に貫通する後切欠部51A(切欠部)が設けられている。本実施形態では、後切欠部51Aは略方形をなし、リテーナ傾斜片51の後縁から前縁まで延び、リテーナ基部50の後縁に達している。本実施形態では、ブラケット傾斜片44の後切欠部44Aはそれぞれ、対応するリテーナ傾斜片51の後切欠部51Aと略同形をなしている。
 本実施形態では、図16及び図17に示すように、モジュールブラケット36の上下方向の幅と、フレームブラケット34の上下方向の幅は実質的に同一となっている。より詳細には、ブラケット基部42の上下方向の幅とリテーナ基部50の上下方向の幅とは概ね等しく、フレームブラケット34とモジュールブラケット36が締結されているときには、ブラケット基部42の上縁及びリテーナ基部50の上縁と、ブラケット基部42の下縁及びリテーナ基部50の下縁とはそれぞれ上下方向に揃う位置に配置されている。このとき、図20に示すように、ブラケット基部42の前切欠部42A、及びリテーナ基部50の前切欠部50Aは左右方向に重なり合い、且つ側面視(左右方向視)で整合する位置となっている。ブラケット傾斜片44の後切欠部44A、及びリテーナ傾斜片51の後切欠部51Aもまた前後方向に重なり合い、背面視で整合する位置となっている。
 図16に示すように、ケース63は有底な四角筒状をなし、開口を有するケース本体63Aとケース本体63Aの開口を閉じる蓋体63Bとを備えている。ケース本体63Aの内部にエアバッグ61及びインフレータ62が収容されている。図17に示すように、エアバッグ61はケース63の内部に折り畳まれた状態で収容されている。蓋体63Bの左前縁には、エアバッグ61の膨張展開によって開裂し、開口する開裂部65が設けられている。
 インフレータ62からエアバッグ61の内部にガスが導入されると、開裂部65が裂け、エアバッグ61は左斜め前方に向かって膨張展開する。ケース本体63Aの底壁には所定の位置にその厚さ方向に貫通する貫通孔66が設けられている。
 図13及び図19に示すようにパンフレーム延出部32は左側のサイドフレーム26の上部から左側に延び、背面視で組付け後のエアバッグモジュール23の左端後方に達している。これにより、図19に示すように、パンフレーム延出部32は、背面視で2つのスタッドボルト48(すなわち、2つの締結点P1、P2の)いずれよりも上方に位置し、スタッドボルト48(すなわち、締結点P1、P2)はそれぞれパンフレーム延出部32とは上下に異なる位置に設けられている。換言すれば、図19に示すように、パンフレーム20は左側のサイドフレーム26から左方に延出する拡張部150を備え、締結点P1、P2が露出するように、拡張部150の締結点P1、P2に対応する位置に切欠部152が設けられた態様をなす。図20に示すように、パンフレーム延出部32はエアバッグモジュール23の後方に離間した位置にあり、パンフレーム20(より詳細にはパンフレーム延出部32)とエアバッグモジュール23との間には前後方向に隙間Sが設けられている。
 パッド部材21は、ポリウレタンフォーム等の可撓性を有するクッション材から形成されている。パッド部材21は、図14及び図19に示すように、シートバックフレーム枠部19及びエアバッグモジュール23を前方から覆う前パッド部材70(図14参照)と、前パッド部材70の左右方向外側(すなわち、左側)の端部に結合され、後方に延びる側パッド部材71(図14参照)と、側パッド部材71の後端から左右方向内側(すなわち、右側)に延びる後パッド部材74(図14、及び図19参照)と、前パッド部材70の上端、後パッド部材74の上端、及び側パッド部材71の上端を接続する上パッド部材73(図19参照)とを含む。後パッド部材74はシートバックフレーム枠部19及びエアバッグモジュール23を後方から覆い、上パッド部材73はシートバックフレーム枠部19、及びエアバッグモジュール23を上側から覆っている。
 図21に示すように、後パッド部材74には内縁(右縁)から左右方向外側(左側)に延びるスリット75が設けられている。スリット75は後パッド部材74を貫通する孔であり、フレームブラケット34の下方に設けられている。図19に示すように、スリット75は直線状をなして略水平に延び(すなわち、左右方向に延在し)、エアバッグモジュール23の後方に達している。本実施形態では、スリット75は背面視でエアバッグモジュール23の下端に沿って、後パッド部材74の右縁から左方に延び、エアバッグモジュール23の下部左端の後方に達している。図19に示すように、スリット75の左右方向の幅L1はエアバッグモジュール23の左右方向の幅L2以上に設定されている。スリット75は後パッド部材74の左右方向略中央部から右方向に延び、後パッド部材74の右端に達して開口端75Aを形成している。すなわち、スリット75の右縁には、右方向に向けて開口する開口端75Aが形成されている。
 図15に示すように、乗物用シート1はシートバックフレーム枠部19、より詳細には左側のサイドフレーム26に結合された成形部材80を備えている。成形部材80は折曲形成されたワイヤ部材(棒状部材)によって形成され、図18(A)に示すように、両端部においてそれぞれ左側のサイドフレーム26に溶接されている。図20に示すように、成形部材80はエアバッグモジュール23の後方に配置され、エアバッグモジュール23と成形部材80との間には前後方向に隙間Tが形成されている。このように、成形部材80はワイヤ部材によって構成することで、成形部材80を軽量化することができ、成形部材80の構造を簡素にすることができる。
 また、パッド部材21がシートバックフレーム枠部19に組付けられているときには、スリット75は成形部材80の上端よりも下方、且つ、成形部材80の下端よりも上方に位置している。このとき、スリット75と成形部材80とは前後方向に重なっている。本実施形態では、スリット75は成形下部83に前後方向に重なっている。本実施形態では、更に、成形下部83のスリット75と重なる部分の左端部R1(左右方向外端部)と、スリット75の左端部R2(左右方向外端部)との距離L3はエアバッグモジュール23の左右方向の幅L2以上となるように設定されている。
 表皮部材22は布や皮等の複数のシート状部材を接続することによって形成され、パッド部材21の表面を覆うように設けられる。より具体的には、図14に示すように、表皮部材22は前パッド部材70の前面及び側パッド部材71の左側面前部を覆う前側表皮部材91と、側パッド部材71の左側面後部を覆う左側表皮部材92(外側表皮部材)と、後パッド部材74の後面及びパンフレーム20の後面を覆う後側表皮部材93と、上パッド部材73の上面を覆う上側表皮部材94(図19参照)とを含む。上側表皮部材94の前縁は前側表皮部材91の上縁に、上側表皮部材94の左縁は左側表皮部材92の上縁に、上側表皮部材94の後縁は後側表皮部材93の上縁にそれぞれ縫合されている。
 図16及び図17に示すように、ブラケット基部42の上部及び下部にはそれぞれ、厚さ方向、すなわち左右方向に貫通する掛止孔100が設けられている。図17に示すように、掛止孔100はそれぞれブラケット基部42に設けられた後切欠部44Aの前側に位置している。図19に示すように下側の後切欠部44Aは通孔Xの前方に位置している。
 掛止孔100には力布ワイヤ102が結合している。力布ワイヤ102は曲げ加工された棒状部材であり、本実施形態では、力布ワイヤ102は金属製の丸パイプによって構成されている。但し、力布ワイヤ102の態様はこれには限定されず、力布ワイヤ102は曲げ加工された金属丸棒であってもよい。力布ワイヤ102は、図14に示すように、その両端部に設けられ、それぞれ掛止孔100に掛け止めされた上下一対のフック104(結合部)と、フック104それぞれに接続され、フレームブラケット34及びモジュールブラケット36の間を通過して、フレームブラケット34及びモジュールブラケット36それぞれの前方にまで延出する上下一対の接続部106と、上下に延在し、2つの接続部106の前端を互いに上下に接続する掛止部108(力布取付部)とを備えている(図16参照)。掛止部108はエアバッグモジュール23の前端右側に位置し、エアバッグモジュール23は力布ワイヤ102を介して、左側のサイドフレーム26に左右方向に対峙している。力布ワイヤ102は両端に設けられたフック104はそれぞれフレームブラケット34の掛止孔100に掛け止めされている。これにより、力布ワイヤ102がフレームブラケット34を介して左側のサイドフレーム26に結合する。
 下側の掛止孔100は、後切欠部44A、及び通孔Xの前方に位置している。よって、図19に示すように、下側のフック104が掛止孔100に掛け止めされているときには、通孔X、及び下側の後切欠部44Aを介して、下側のフック104を視認することができる。これにより、力布ワイヤ102がフレームブラケット34に取り付けられていることを目視により確認することができるため、乗物用シート1の組立作業性を向上させることができる。
 接続部106は、フック104にそれぞれ接続され、それぞれ前方に延びる上下一対の第1延出部106Aと、第1延出部106Aの各延出端から上下方向に沿って互いに相反する方向に延びる上下一対の軸部106Bと、軸部106Bの各延出端からそれぞれ前方に延びる上下一対の第2延出部106Cとを含む。掛止部108は第2延出部106Cの延出端をそれぞれ上下に接続している。図20に示すように、掛止部108及び2つの軸部106Bは互いに略平行をなす。
 第1延出部106Aはブラケット基部42とリテーナ基部50との間を通過して、ブラケット基部42及びリテーナ基部50の前方にまで延びている。換言すれば、リテーナ基部50はブラケット基部42に力布ワイヤ102(第1延出部106A)を介して左右方向に対峙している。図20に示すように、第1延出部106Aは後部においてリテーナ基部50からブラケット基部42に押付けられ、リテーナ基部50及びブラケット基部42によって挟持されている。これにより、力布ワイヤ102の移動が規制されている。
 第1延出部106Aはブラケット基部42とリテーナ基部50との間から、ブラケット基部42の前切欠部42A、及びリテーナ基部50の前切欠部50Aに左右に整合する位置にまで延びている。図20に示すように、軸部106B及び第1延出部106Aの結合部分はブラケット基部42の前切欠部42A、及びリテーナ基部50の前切欠部50Aに左右に整合する位置にある。換言すれば、ブラケット基部42の前切欠部42A及びリテーナ基部50の前切欠部50Aはそれぞれ、軸部106Bそれぞれに対応する位置から前方に切り欠かれるように形成されている。2つの軸部106Bはそれぞれブラケット基部42及びリテーナ基部50の前方に位置している。
 図20に示すように、力布ワイヤ102はエアバッグモジュール23の前縁よりも後方に位置している。より詳細には、掛止部108はエアバッグモジュール23の前縁よりも後方、且つ、左側のサイドフレーム26、フレームブラケット34、及びモジュールブラケット36のいずれよりも前方に位置している。
 力布ワイヤ102はエアバッグモジュール23の後縁よりも前方に位置している。本実施形態では、力布ワイヤ102は側面視でエアバッグモジュール23の外縁O(図20参照)よりも内側に位置している。
 掛止部108はフレームブラケット34の前方、且つ、モジュールブラケット36の前方に位置している。掛止部108の上端は上側に位置するフック104よりも上方に位置し、掛止部108の下端は下側に位置するフック104よりも下方に位置する。図20に示すように、掛止部108の上下方向の長さDは、上側に位置するフック104の上縁及び下側に位置するフック104の下縁の上下方向の距離Dよりも大きい。
 軸部106Bはそれぞれリテーナ基部50の前切欠部50A、及び、ブラケット基部42の前切欠部42Aの右側から上下方向外方に延出している。第2延出部106Cはそれぞれフレームブラケット34及びモジュールブラケット36の上下方向外方に位置している。
 図14に示すように、乗物用シート1には、エアバッグ61の膨張展開によって表皮部材22を開裂させるための力布110が設けられている。力布110は表皮部材22よりも伸縮性の小さいシート状部材によって形成されている。力布110は一端が縫合部95において、前側表皮部材91及び左側表皮部材92に縫合されている。力布110は一端から、エアバッグモジュール23の前面とパッド部材74との間を通過して、力布ワイヤ102の掛止部108に向かって延びている。力布110の他端にはJ字状をなすフック112が設けられ、フック112は力布ワイヤ102の掛止部108に掛け止めされている。これにより、力布110は他端において力布ワイヤ102に掛け止めされ、左側のサイドフレーム26に結合されている。すなわち、力布ワイヤ102は、力布110をサイドフレーム26に取り付けるための力布取付部材として機能する。
 本実施形態では、掛止部108は通孔Xの前方に位置する部分を含み、力布110は少なくとも一部において通孔Xの前方において力布ワイヤ102に結合している。これにより、図22(A)及び図22(B)に示すように、後パッド部材74を移動させることによって、作業者は力布110及び力布ワイヤ102の結合部分を後方から通孔Xを介して視認することができる。
 次に、乗物用シート1の動作について説明する。例えば前突時などエアバッグ61を展開させて乗員を保護する必要がある場合には、車両に搭載された公知の制御装置からの信号によってインフレータ62が作動し、エアバッグ61の内部にガスが供給される。これにより、エアバッグ61は膨張し、ケース63が左前縁において開口する。
 エアバッグ61にインフレータ62からガスが導入されると、エアバッグ61の膨張によって開裂部65が裂け、エアバッグ61が左斜め前方に膨張する。力布110がエアバッグモジュール23の前面前側に位置しているため、展開時にエアバッグ61が力布110に後方から当接し、力布110に膨張圧が加えられる。これにより、縫合部95が開裂し、エアバッグ61が乗物用シート1に着座する乗員の左側、すなわち、乗員と車室側壁との間に膨張展開する。このように、力布110を設けることによって、縫合部95がより迅速に開裂し、エアバッグ61をより迅速に膨張展開させることができる。
 次に、乗物用シート1の組立方法について説明する。シートバックフレーム枠部19にフレームブラケット34及び成形部材80を溶接した後、図22(A)に示すように、作業者はパッド部材21をシートバックフレーム枠部19、フレームブラケット34及び成形部材80に被せる。このとき、前側表皮部材91の後面を前パッド部材70の前面に、左側表皮部材92の右面を側パッド部材71の左側の面にそれぞれ、予め結合(接着)させておくとよい。但し、図22(A)~(C)では、表皮部材22は省略されている。
 次に、作業者は、後パッド部材74の下端を把持して左右外方に引き、スリット75を開口させる。このとき、後パッド部材74に加わる荷重によって補助スリット76もまた開口する(図22(B)参照)。これにより、パッド部材21はスリット75及び補助スリット76が設けられている部分において折れ曲がる。
 このとき、図19に示すように、通孔X、及び下側の後切欠部44Aを介して、下側のフック104を視認することができる。よって、力布ワイヤ102がフレームブラケット34に取り付けられていることを目視により確認することができるため、乗物用シート1の組立作業性を向上させることができる。
 図14に示すように、力布ワイヤ102は左側のサイドフレーム26の前方に位置している。これにより、フック112をサイドフレーム26によって阻害されることなく掛止部108に右側から容易に掛け止めすることができ、力布110の組付が容易である。
 その後、作業者は、図22(B)に示すように、後パッド部材74の下端を左右外方に引いたまま、モジュールブラケット36に締結されたエアバッグモジュール23を左側のサイドフレーム26とパッド部材21との間にスリット75を介して挿入する。作業者はその後、エアバッグモジュール23を上方に移動させることによって収容空間Yにエアバッグモジュール23を配置する。
 次に、作業者は、後パッド部材74の下端を左右外方に引いたまま、エアバッグモジュール23をモジュールブラケット36とフレームブラケット34とが整合するように配置し、スタッドボルト48をボルト孔52に挿通させる。
 その後、作業者は後側表皮部材93を後パッド部材74の後面及びパンフレーム20の後面に沿うように配置し、線ファスナ97を用いて後側表皮部材93の左右側縁と左側表皮部材92の後縁とを結合させる。これにより、乗物用シート1の組立が完了する。
 次に、乗物用シート1の効果について説明する。図14に示すように、力布ワイヤ102はエアバッグモジュール23の前縁後方に位置している。これにより、力布ワイヤ102はエアバッグモジュール23の前縁よりも前方に突出することがない。よって、乗員が乗物用シート1に着座してシートバック5に凭れかかったときに、乗員が表皮部材22、及びパッド部材21(前パッド部材70)を隔てて、力布ワイヤ102が存在していることを察知して異物感を覚えることが防止できる。このように乗員に異物感を与えることを防止することによって、乗物用シート1の快適性を向上させることができる。
 更に、力布ワイヤ102はエアバッグモジュール23の後縁よりも前方に位置している。これにより、乗員がパンフレーム延出部32の下側の部分に、シートバック5の後方から触れたときに、乗員が表皮部材22、及びパッド部材21(前パッド部材70)を介して力布ワイヤ102による異物感を覚えることが防止できる。
 また、図20に示すように、力布ワイヤ102は側面視でエアバッグモジュール23の外縁内側に位置し、エアバッグモジュール23に対して前後及び上下のいずれの方向にも突出しない。これにより、力布ワイヤ102がエアバッグモジュール23に対して前後及び上下のいずれの方向に突出している場合に比べて、シートバック5を小型化することができる。
 掛止部108の上下方向の長さDは、上側のフック112の上縁及び下側のフック112の下縁の距離D(以下、フック距離)よりも大きい。これにより、図20に示すように、フック距離Dよりも幅広の力布110を上下方向に広げた状態で掛止部108に掛け止めすることができる。すなわち、掛止部108をフック距離Dに等しいか、又は小さくした場合に比べて、力布110の幅を大きくすることができ(図17参照)、エアバッグ61の膨張圧を受圧できる面積を広げることができる。よって、エアバッグ61の膨張圧を力布110によってより確実に受圧することができる。
 図23には、エアバッグ61が膨張したときの力布110の位置、及び、力布ワイヤ102の外形が二点鎖線によって示されている。図23に示すように、エアバッグ61が膨張して力布110に膨張圧が加わると、力布110は前方に広がるように押し出される(図23の矢印参照)。このとき、掛止部108には右斜め前に向く荷重が加わる。これにより、力布ワイヤ102は、図23の二点鎖線に示すように、軸部106Bにおいて捩じれ変形する。軸部106Bにおける捩じれ変形によって荷重が吸収され、掛止部108の変形が防止される。これにより、力布110がより上下方向に広げた状態で維持されるため、力布110によってエアバッグ61の膨張圧をより確実に受圧することができる。
 図20に示すように、第1延出部106Aはリテーナ基部50及びブラケット基部42によって挟持されて、力布ワイヤ102の移動が規制されている。受圧時の力布ワイヤ102の位置ずれを防止することができる。受圧時の力布ワイヤ102の移動が防止されることで、受圧時に力布110が移動し難くなり、力布110によってエアバッグ61の膨張圧をより確実に受圧することができる。これにより、エアバッグ61の展開挙動をより安定させることができる。
 また、掛止部108はフレームブラケット34の前方に位置していている。よって、図23に示すように、軸部106Bにおいて捩じれ変形したときに、掛止部108がフレームブラケット34に衝突することによる異音の発生が防止できる。同様に、掛止部108はモジュールブラケット36の前方に位置しているため、軸部106Bにおいて捩じれ変形したときに、掛止部108がモジュールブラケット36に衝突することによる異音の発生が防止できる。また、掛止部108がフレームブラケット34よりも前方に位置しているため、フレームブラケット34の錆が力布110に付着することが防止できる。
 本実施形態では、図20に示すように、第2延出部106Cはフレームブラケット34及びモジュールブラケット36の上下方向外方に位置しているため、軸部106Bにおいて捩じれ変形したときに第2延出部106Cもまた、フレームブラケット34及びモジュールブラケット36に衝突せず、異音の発生が防止できる。
<<第3実施形態>>
 第3実施形態に係る乗物用シート201は、第2実施形態に比べて、フレームブラケット34がサイドフレーム26と一体となっている点と、モジュールブラケット36の形状とが異なる。図24及び図25に示すようにサイドフレーム226の上下方向略中央の後縁部には、左方に切り起こされたフレーム側切起部244(フレーム側接続部)が設けられている。フレーム側切起部244には第2実施形態のブラケット傾斜片44と同様に、左後方に向く締結面245が設けられている。締結面245には、厚さ方向に貫通する貫通孔246が2つ設けられ、左斜め後方に突出するようにスタッドボルト247が溶接されている。サイドフレーム226にはフレーム側切起部244の前側において左右方向に向く主面を有する平板状のフレーム側平板部248が設けられている。フレーム側平板部248には第2実施形態と同様に左右方向に貫通する上下一対の掛止孔260が設けられている。
 図25に示すように、モジュールブラケット236は第2実施形態と同様に左右方向に向く主面を有する板状のリテーナ基部250(モジュール側平板部)と、リテーナ基部250の後縁から左斜め後方に延出するリテーナ延出部251(モジュール側接続部)と、リテーナ延出部251の後縁から右斜め後方に延出するリテーナ傾斜片252(モジュール側接続部)とが設けられている。
 図24に示すように、第3実施形態に係る力布ワイヤ102は第2実施形態と同形をなす。図25に示すように、力布ワイヤ102のフック104はそれぞれ掛止孔260に掛け止めされている。モジュールブラケット36はリテーナ基部250が力布ワイヤ102(より具体的には第1延出部106A)を介して左側からフレーム側平板部248に対峙するように配置されている。更に、リテーナ傾斜片252はフレーム側切起部244に締結されることによって、モジュールブラケット236はサイドフレーム226に締結されている。このとき、第1延出部106Aにおいてリテーナ基部250及びフレーム側平板部248によって挟持されている。リテーナ基部250の左側には、第2実施形態と同様に上面視で略方形をなす直方体状のエアバッグモジュール23が保持されている。
 第3実施形態において、第2実施形態と同様に、力布ワイヤ102はエアバッグモジュール23の前端よりも後方、且つ、エアバッグモジュール23の後縁よりも前方に位置している。また、掛止部108はサイドフレーム226の前方、且つモジュールブラケット236の前方に位置している。第2実施形態と同様に、力布ワイヤ102は側面視でエアバッグモジュール23の外縁よりも内側に位置しているとよい。力布ワイヤ102の軸部106Bはサイドフレーム226の前方に位置していてもよい。
 次に、このように構成した乗物用シート201の効果について説明する。第2実施形態と同様に、力布ワイヤ102がエアバッグモジュール23の前端よりも後方に位置しているため、力布ワイヤ102から着座した乗員に異物感を与えることが防止できる。
 フレームブラケット34を要することなく、力布ワイヤ102及びエアバッグモジュール23をサイドフレーム226に結合させることができる。このように、1つのブラケット(モジュールブラケット236)を用いて力布ワイヤ102及びエアバッグモジュール23をサイドフレーム226に結合させることができるため、第2実施形態に比べて乗物用シート201の構成に要する物品点数が減り、乗物用シート201の構成を簡素にすることができる。
<<第4実施形態>>
 図26に示すように、本実施形態に係る乗物用シート1は後述する構成以外の点については第1実施形態と同様の構成を有する。本実施形態に係る乗物用シート1は前後に2列座席が設けられた自動車において、2列目の後部座席の左側部分を構成する。乗物用シート1は自動車のフロア2上に設けられ、着座者の臀部を支持するシートクッション4と、シートクッション4の後部に支持され、背凭れとして機能するシートバック5と、各シートバック5の上部に設けられたヘッドレスト6とを有する。
 次に、シートバック5の構造について説明する。図27及び図28に示すように、シートバック5は、骨格としてのシートバックフレーム18(図27参照)と、シートバックフレーム18に支持されたパッド部材21(図28参照)と、パッド部材21の前面に設けられ、シートバック5の外面を構成する表皮部材22(図28参照)と、シートバックフレーム18に支持されたエアバッグモジュール23(図27及び図28参照)を有している。
 図27に示すように、シートバックフレーム18は、シートバック5の骨格を形成し、略四角形な枠型をなすシートバックフレーム枠部19と、シートバックフレーム枠部19の後方に配置されたパンフレーム20(プレート)とを備えている。シートバックフレーム枠部19は上下に延びる左右一組のサイドフレーム26(サイドメンバ)と、左右に延びて左右のサイドフレーム26のそれぞれの上端に結合するアッパフレーム27と、左右に延びて左右のサイドフレーム26のそれぞれの下部に結合するロアフレーム(不図示)とを含む。左右のサイドフレーム26の上部をそれぞれ構成するサイドフレーム上部26Uとアッパフレーム27とは、1本の円形のパイプ材28を逆U字状の門型に屈曲させることによって形成されている。左右のサイドフレーム26の下部をそれぞれ構成するサイドフレーム下部26Dは、左右方向を向く面を有する板金部材29によって形成されている。板金部材29は上部において、パイプ材28の端部にそれぞれシート内方の面において溶接されている。板金部材29の前後縁はそれぞれシート内方に向かって折り曲げられている。左右のサイドフレーム26の下端は、シートクッション4を構成するフレームにリクライニング機構を介して回動可能に結合している。本実施形態では、図28に示すように、サイドフレーム下部26Dは2つの板金部材29が左右に対向するように配置され、互いに結合されることによって形成されている。
 図28及び図29に示すように、左側のサイドフレーム下部26Dには上下方向略中央部において左右方向内側(すなわち、右側)に折り曲げられ、左右方向内側(右側)に屈曲したフレーム屈曲部30が設けられている。
 パンフレーム20は金属製の板状部材であり、2つのサイドフレーム26及びアッパフレーム27の後面側に、面が前後を向くように配置されている。図31に示すように、パンフレーム20はサイドフレーム26、アッパフレーム27及びロアフレームの後部を覆うパンフレーム基部31と、パンフレーム基部31から車外側(左側)のサイドフレーム26の左側に延出するパンフレーム延出部32とを備えている。パンフレーム20は、上縁においてアッパフレーム27に溶接され、下縁においてロアフレームに溶接され、左右の側縁において左右のサイドフレーム26の適所に溶接されている。図28に示すように、パンフレーム基部31の適所には、補強用のビード31Aや肉抜き孔31Bが複数設けられていてもよい。
 図28に示すように、左側のサイドフレーム26は一つのフレームブラケット34が直接結合されている。フレームブラケット34にはエアバッグモジュール23を保持する1つのモジュールブラケット36(リテーナ)が締結されている。エアバッグモジュール23はモジュールブラケット36とフレームブラケット34とを介して、サイドフレーム26に結合している。エアバッグモジュール23は、サイドフレーム26の延在方向に沿って延びる略直方体状をなし、その外面が左右方向を向くように配置されている。
 図30及び図31に示すように、フレームブラケット34は折曲加工された板金部材であり、概ね左右方向を向く略方形な板状のブラケット基部42と、ブラケット基部42の前縁に接続されたブラケット前片43(図30参照)と、ブラケット基部42の後端に接続されたブラケット傾斜片44(図31参照)とを有している。
 図30に示すように、ブラケット前片43は、ブラケット基部42の前端から右方に延びる板状をなしている。図32(A)に示すように、ブラケット前片43は左側のサイドフレーム下部26Dを形成する板金部材29の前面に溶接されている。本実施形態では、ブラケット前片43はその右縁上端及び右縁下端においてそれぞれ、板金部材29の前面に溶接されている。なお、図32(A)及び(B)においては、溶接部分はドットのハッチングによって着色されている。
 図28及び図31に示すように、ブラケット傾斜片44は後方に向かって右側(車内側)に傾斜する板状をなしている。図32(B)に示すように、ブラケット傾斜片44の後縁は右方に折り曲げられ、板金部材29の後面に溶接されている。本実施形態では、ブラケット傾斜片44はその右縁上端及び右縁下端においてそれぞれ、板金部材29の後面に溶接されている。これにより、フレームブラケット34は、左右方向一方側(本実施形態では、左側)のシートバックフレーム枠部19に結合されている。
 図31に示すように、リテーナ傾斜片51には厚さ方向に貫通するボルト孔52が設けられている。リテーナ傾斜片51はブラケット傾斜片44の後面に沿うように配置されている。ボルト孔52にスタッドボルト48が通され、各スタッドボルト48にナット49(締結具)を締め付つけることによって、モジュールブラケット36はフレームブラケット34に締結されている。本実施形態では、ナット49として袋ナット(キャップナット)が用いられている。以下では、必要に応じて、フレームブラケット34とモジュールブラケット36とが締結される点、すなわちボルト孔52の中心の位置を締結点Pと記載する。
 ケース63は略直方体状をなしている。ケース63は左右外方に開口するケース本体63Aとケース本体63Aの開口を閉じる蓋体63Bとを備えている。ケース本体63Aの内部にエアバッグ61及びインフレータ62が収容されている。図31に示すように、エアバッグ61はケース63の内部に折り畳まれた状態で収容されている。蓋体63Bの左前縁には、エアバッグ61の膨張展開によって開裂し、開口する開裂部65が設けられている。ケース本体63Aの底壁には所定の位置にその厚さ方向に貫通する貫通孔66が設けられている。
 雄ねじ部64はケース63の内部から貫通孔66を通って外部に突出している。図30に示すように、リテーナ基部50には厚さ方向に貫通するボルト孔56が設けられ、雄ねじ部64がボルト孔52に挿入されている。雄ねじ部64にナット67を締め付けることによって、ケース63がリテーナ基部50に締結されている。これにより、エアバッグモジュール23はモジュールブラケット36に結合されて、リテーナ基部50の左側面に保持されている。本実施形態では、モジュールブラケット36がフレームブラケット34に締結されたときに、雄ねじ部64とフレームブラケット34とが干渉することを避けるため、ブラケット基部42に2つの貫通孔58が設けられている。図30及び図31に示すように、貫通孔58と位置決め孔45とは連結し、一体となっていてもよい。
 図27及び図33に示すようにパンフレーム延出部32は左側のサイドフレーム26の左方に延び、背面視でエアバッグモジュール23の左端後方に達している。図34に示すように、パンフレーム延出部32はエアバッグモジュール23の後方に離間した位置にあり、パンフレーム20とエアバッグモジュール23との間には前後方向に隙間Sが設けられている。
 図33に示すように、パンフレーム延出部32は背面視においてエアバッグモジュール23の上半分に重なり、エアバッグモジュール23の上半分がパンフレーム延出部32によって後方から覆われている。パンフレーム延出部32の上縁はエアバッグモジュール23の上縁と上下方向に概ね揃う位置にあり、パンフレーム延出部32の下縁は上下方向においてエアバッグモジュール23の上縁及び下縁の間に位置している。本実施形態では、パンフレーム延出部32の下縁はエアバッグモジュール23の上下方向略中央に位置している。
 パッド部材21は、ポリウレタンフォーム等の可撓性を有するクッション材から形成されている。パッド部材21は、図28及び図35に示すように、シートバックフレーム枠部19及びエアバッグモジュール23を前方から覆う前パッド部材70(図28参照)と、前パッド部材70の左右方向外側(すなわち、左側)の端部に結合され、後方に延びる側パッド部材71(図28参照)と、側パッド部材71の後端から左右方向内側(すなわち、右側)に延びる後パッド部材72(図28、及び図35参照)と、前パッド部材70の上端、後パッド部材72の上端、及び側パッド部材71の上端を接続する上パッド部材73(図35参照)とを含む。後パッド部材72はシートバックフレーム枠部19及びエアバッグモジュール23を後方から覆い、上パッド部材73はシートバックフレーム枠部19、及びエアバッグモジュール23を上側から覆っている。
 図35に示すように、後パッド部材72と上パッド部材73との結合部分には、前後に貫通する補助スリット76が設けられている。補助スリット76もまた前後に貫通する孔である。本実施形態では、補助スリット76は後パッド部材72の上端内縁(右縁)から左右外方(すなわち、左方)に向かって延びている。本実施形態では、補助スリット76は直線状をなし、後パッド部材72の上端右縁から左方に向かって上方に傾斜している。このとき、補助スリット76の延在方向と水平方向とのなす角度は概ね45度となっているとよい。
 図35に示すように、背面視でスリット75は2つの締結点P1、P2のいずれよりも下方に位置し、補助スリット76は2つの締結点P1、P2のいずれよりも上方に位置している。すなわち、2つの締結点P1、P2は背面視でスリット75及び補助スリット76との間に位置している。
 側パッド部材71はエアバッグモジュール23の左右外側(すなわち、左側)において上下に延在する直方体状をなし、エアバッグモジュール23を左外側から覆っている。図28に示すように、側パッド部材71の前部には展開孔77が設けられている。展開孔77は側パッド部材71を左右方向に貫通する孔であり、エアバッグモジュール23の左右外側(すなわち、左側)に形成されている。本実施形態では、図26に示すように、展開孔77はシートバック5の延在方向に沿って上下方向に延びるように形成され、図28に示すように、展開孔77はスリット75の前方に位置している。
 図30に示すように、成形上部81の左右内端(本実施形態では、右端部)には左側のサイドフレーム26の上部に沿って下方に折り曲げられることによって形成された折曲部81Aが設けられている。これにより、成形上部81は左右方向に延在する本体部81Bと、その内端において本体部81Bの左右内端(右端)から下方に延出する延出部81Cとが形成されている。図32(A)に示すように、上側取付部85は折曲部81A、より詳細には延出部81Cに設けられ、成形上部81は上側取付部85において左側のサイドフレーム26の上部左側面に溶接されている。上側取付部85はパンフレーム延出部32の上縁前側に位置している。これにより、上側取付部85がパンフレーム延出部32によって後方から覆われるため、後方からの荷重に対して上側取付部85を保護することができる。成形上部81の中央部及び左端部はそれぞれパンフレーム延出部32の上縁に前後に整合する位置にあり、背面視で成形上部81の中央部はパンフレーム延出部32の上縁に沿って左右に延在している。
 図29に示すように、成形中央部82は成形上部81の左端から下方に延び、パンフレーム延出部32の左右外縁(すなわち、左縁)に沿って延在する上半部82Aと、上半部82A下端から下方に延びる下半部82Bとを備えている。上半部82Aは背面視でパンフレーム延出部32の左縁上端から左縁下端までの範囲に設けられた部分であり、上半部82Aの下端、すなわち下半部82Bの上端は、パンフレーム延出部32の左縁下端に前後に整合する位置にある。上半部82A及び下半部82Bとはそれぞれ左側のサイドフレーム26の左右外方(すなわち、左方)に位置し、図33に示すように、下半部82Bと左側のサイドフレーム26の左側面には左右方向に隙間Wが形成されている。
 本実施形態では、成形中央部82の上半部82Aはパンフレーム延出部32の左縁に結合されている。より具体的には図32(B)に示すように、上半部82Aは2箇所においてパンフレーム延出部32の左縁に溶接されて結合されている。
 図32(A)に示すように、成形下部83は成形中央部82の下端から右下方に概ね直線状に延びた本体部86と、本体部86の下端に接続し、左側のサイドフレーム26の左側面に溶接された下側取付部87とを備えている。本体部86は右方向(左右方向内側)に向けて下方に傾斜している。成形部材80には、成形中央部82の下半部82Bと本体部86との間において、左右内側に屈曲した成形屈曲部88が形成されている。下側取付部87は成形部材80の下端が左側のサイドフレーム26に沿って若干下方に折り曲げられることによって形成されている。図27、図32(B)及び図33に示すように、成形屈曲部88はフレーム屈曲部30よりも上方に位置し、下側取付部87はフレーム屈曲部30よりも下方に位置している。また本体部86の上部は左側のサイドフレーム26に対して左側に位置し、本体部86の上部と左側のサイドフレーム26との間には左右方向に隙間Vが形成されている。
 これにより、図32(B)及び図33に示すように、成形中央部82の下半部82B及び成形下部83は、パンフレーム延出部32の下縁、及び、左側のサイドフレーム26の下部を接続している。すなわち、成形部材80はパンフレーム延出部32の下縁、及び、左側のサイドフレーム26の下部の間に延在する部分を含む。また、成形中央部82の下半部82Bの右縁と、成形下部83の右縁と、パンフレーム延出部32の下縁と、左側のサイドフレーム26の下部左縁とによって、前後方向に貫通する通孔Xが画定されている。
 本実施形態では、図33に示すように、成形中央部82の少なくとも一部(本実施形態では上半部82A及び下半部82Bを含む成形中央部82の概ね全領域)は、背面視においてエアバッグモジュール23の左右外縁(すなわち、左縁)に沿って延びている。
 パンフレーム延出部32はエアバッグモジュール23の上部(本実施形態では上半分)を後方から覆っている。よって、パッド部材21及び表皮部材22が設けられていないときには、図32(B)及び図33に示すように、エアバッグモジュール23の下部(下半分)が通孔Xを介して後方から視認可能となっている。また、図33に示すように、パンフレーム延出部32の下縁は2つの締結点P1、P2のいずれよりも上方に位置している。少なくともパッド部材21及び表皮部材22が設けられていないときには、2つの締結点P1、P2はいずれも通孔Xを介して視認可能であり、いずれも締結具(例えば、ユニバーサルレンチ)を用いて後方から通孔Xを介してアクセス可能である。
 表皮部材22は布や皮等の複数のシート状部材を接続することによって形成されている。図28に示すように、表皮部材22は前パッド部材70の前面及び側パッド部材71の左側面前部を覆う前側表皮部材91と、側パッド部材71の左側面後部を覆う左側表皮部材92(外側表皮部材)と、後パッド部材72の後面及びパンフレーム20の後面を覆う後側表皮部材93と、上パッド部材73の上面を覆う上側表皮部材94(図33参照)とを含む。上側表皮部材94の前縁は前側表皮部材91の上縁に、上側表皮部材94の左縁は左側表皮部材92の上縁に、上側表皮部材94の後縁は後側表皮部材93の上縁にそれぞれ縫合されている。
 図28に示すように、前側表皮部材91の左縁と左側表皮部材92の前縁は互いに縫合されて、縫合部95を形成している。この縫合部95は、表皮部材22において、他の縫合部分(例えば、上側表皮部材94の前縁と前側表皮部材91の上縁との縫合部分など)に比べて小さい荷重によって破断する脆弱部として機能する。縫合部95は上下に延在し、側パッド部材71の前部に設けられた展開孔77の内部に収容されている。
 図35に示すように、ファスナ収容凹部98は開口端75Aの左方に設けられている。すなわち、ファスナ収容凹部98は後パッド部材72の右縁には達しておらず、ファスナ収容凹部98と開口端75Aとが異なる位置に設けられている。これにより、ファスナ収容凹部98と開口端75Aとが重なっている場合に比べて、後パッド部材72のスリット75の開口端75Aが設けられる部分近傍の剛性を高めることができ、パッド部材21の破断を防止することができる。
 図30に示すように、ブラケット基部42の上部及び下部にはそれぞれ、厚さ方向、すなわち左右方向に貫通する掛止孔100が設けられている。掛止孔100には力布ワイヤ102が結合している。力布ワイヤ102は所定の形状に曲げ加工された金属丸棒によって形成されている。力布ワイヤ102は、図28に示すように、その両端部に設けられ、それぞれ掛止孔100に掛け止めされた上下一対のフック104と、フック104それぞれから前方に延び、エアバッグモジュール23の前方に達する上下一対の接続部106と、2つの接続部106の前端を互いに上下に接続する掛止部108とを備えている。力布ワイヤ102は両端に設けられたフック104が、フレームブラケット34の掛止孔100のそれぞれに掛け止めされることで、フレームブラケット34に係合している。接続部106はそれぞれ後端においてフック104に結合し、ブラケット基部42とリテーナ基部50との間を通過して、エアバッグモジュール23の右前方に達し、前端において左方に屈曲している。図34に示すように、接続部106はブラケット基部42とリテーナ基部50との間においてエアバッグモジュール23によってブラケット基部42に押し付けられている。これにより、力布ワイヤ102はフレームブラケット34とモジュールブラケット36とによって挟持され、その移動が規制されている。
 図28に示すように、乗物用シート1には、エアバッグ61の膨張展開によって表皮部材22を開裂させるための力布110が設けられている。力布110は表皮部材22よりも伸縮性の小さいシート状部材によって形成されている。力布110は一端が縫合部95において、前側表皮部材91及び左側表皮部材92に縫合されている。力布110は一端から力布ワイヤ102の掛止部108に向かって延びている。力布110の他端にはJ字状をなすフック112が設けられ、フック112は力布ワイヤ102の掛止部108に掛け止めされている。
 次に、乗物用シート1の組立方法について説明する。シートバックフレーム枠部19にフレームブラケット34及び成形部材80を溶接した後、図36(A)に示すように、作業者はパッド部材21をシートバックフレーム枠部19、フレームブラケット34及び成形部材80に被せる。このとき、前側表皮部材91の後面を前パッド部材70の前面に、左側表皮部材92の右面を側パッド部材71の左側の面にそれぞれ、予め結合(接着)させておくとよい。
 次に、作業者は、後パッド部材72の下端を把持して左右外方に引き、スリット75を開口させる。このとき、図36(B)に示すように、後パッド部材72に加わる荷重によって補助スリット76もまた開口する。これにより、パッド部材21はスリット75及び補助スリット76が設けられている部分において折れ曲がる。
 その後、作業者は、後パッド部材72の下端を左右外方に引いたまま、モジュールブラケット36に締結されたエアバッグモジュール23を左側のサイドフレーム26とパッド部材21との間にスリット75を介して挿入する。作業者はその後、エアバッグモジュール23を上方に移動させることによって収容空間Yにエアバッグモジュール23を配置する。
 次に、作業者は、後パッド部材72の下端を左右外方に引いたまま、エアバッグモジュール23をモジュールブラケット36とフレームブラケット34とが整合するように配置し、スタッドボルト48をボルト孔52に挿通させる。図36(B)に示すように、作業者は後パッド部材72の下端を左右外方に引き、パッド部材21をスリット75及び補助スリット76が設けられている部分において折れ曲げるとよい。これにより、スリット75及び補助スリット76が開かれて、2つの締結点P1、P2がより確実に視認可能となるとともに、通孔Xを介してアクセス可能となる。作業者は通孔Xに締結用のツールを挿入して、ナット49を操作し、モジュールブラケット36をフレームブラケット34に締結する。これにより、エアバッグモジュール23はモジュールブラケット36、及びフレームブラケット34を介して、左側のサイドフレーム26に結合する。
 その後、作業者は後側表皮部材93を後パッド部材72の後面及びパンフレーム20の後面に沿うように配置し、線ファスナ97を用いて後側表皮部材93の左右側縁と左側表皮部材92の後縁とを結合させる。これにより、乗物用シート1の組立が完了する。
 次に、乗物用シート1の効果について説明する。
 本実施形態のように、乗物用シート1のシートバック5には、エアバッグ61を収容したエアバッグモジュール23が設けられることがある。エアバッグモジュール23は、エアバッグ61の展開時の反力に抗することができるように、シートバックフレーム枠部19に固定されることが好ましい。
 更に、シートバック5の前面、左右側面、及び背面にそれぞれクッション性を持たせるため、シートバックフレーム枠部19の前面、左右側面、及び背面に沿ってパッド部材21が設けられる場合がある。このような場合には、パッド部材21のシートバックフレーム枠部19への組付が完了すると、シートバックフレーム枠部19がパッド部材21によって覆われるため、エアバッグモジュール23をシートバックフレーム枠部19に組み付けることが難しい。本実施形態のように、シートバックフレーム枠部19に成形部材80が設けられた場合には、エアバッグモジュール23を成形部材80の前方に配置する必要があるため、エアバッグモジュール23の組付がより困難となる。
 このような問題を解決するため、本実施形態の後パッド部材72にはスリット75が設けられている。図36に示すように、作業者は後パッド部材72の下端を左方向に引っ張ることによって、スリット75を開くことができる。これにより、作業者は、スリット75を介して、エアバッグモジュール23を左側のサイドフレーム26とパッド部材21との間に容易に挿入することができる。本実施形態のように、たとえ成形部材80が設けられた場合であっても、スリット75を適度に開くことで、作業者はエアバッグモジュール23を成形部材80の前方に移動させて、エアバッグモジュール23を左側のサイドフレーム26とパッド部材21との間に挿入することが可能である。このように、後パッド部材72にスリット75が設けられているため、作業者はエアバッグモジュール23をサイドフレーム26に容易に組み付けることができる。
 エアバッグモジュール23の後方に後パッド部材72が設けられて、エアバッグモジュール23が後方から後パッド部材72によって覆われている。これにより、シートバック5の背面にクッション性を持たせることができるため、乗物用シート1の快適性を向上させることができる。
 図33に示すように、スリット75は直線状をなしているため、その構成が簡素である。また、スリット75は略水平をなし、スリット75がフレームブラケット34の下側に設けられている。これにより、エアバッグモジュール23をスリット75に直交するように挿入し、エアバッグモジュール23を上方に押し上げることで、エアバッグモジュール23を適正な位置に容易に移動させることができる。よって、組付作業時のエアバッグモジュール23の移動方向が簡素になる。また、スリット75が水平をなすように延在しているため、後パッド部材72の下端を左右外方に押し出すことによって、スリット75を容易に開口させることができる。これにより、エアバッグモジュール23の組付作業性が向上する。
 本実施形態では、スリット75の左右方向の幅L1はエアバッグモジュール23の左右方向の幅L2以上に設定されている。よって、エアバッグモジュール23をスリット75に容易に挿入することができる。更に、成形部材80のスリット75と重なる部分の左端部R1(左右方向外側の端部)と、スリット75の左端部R2(左右方向外側の端部)との距離L3は、エアバッグモジュール23の左右方向の幅L2以上に設定されている。そのため、作業者は、スリット75を開くことによって、成形部材80のスリット75と重なる部分の左端部R1と、スリット75の左端部R2との間にエアバッグモジュール23よりも幅広の挿入口Z2を形成することができる。これにより、作業者はエアバッグモジュール23を挿入口Z2に容易に挿入することができ、エアバッグモジュール23を容易に成形部材80の前方に向けて移動させることができる。
 また、スリット75は成形部材80の上端Q1よりも下方、且つ、成形部材80の下端Q2よりも上方に位置している。これにより、作業者は、スリット75を介してエアバッグモジュール23を成形部材80の近傍に挿入することができるため、迅速にエアバッグモジュール23を適正な位置に配置することができる。
 また、スリット75は成形下部83に前後方向に重なる位置に設けられている。成形下部83は下方に向かうにつれて、シートバックフレーム枠部19に近づくように(すなわち、右方向に)傾斜している。そのため、例えば成形下部83が下方に延び、その後、右方に略水平に延びる場合に比べて、エアバッグモジュール23をスリット75の下側から挿入したときに、エアバッグモジュール23の上方に向く移動が成形部材80によって阻害され難くなる。これにより、エアバッグモジュール23の組付が容易になる。
<<第5実施形態>>
 第5実施形態に係る乗物用シート470は、第4実施形態に比べてスリット475の形状が異なり、他の構成については同様である。以下の説明では、スリット475以外の構成については第4実施形態と同じ符号を付与し、スリット475以外の構成についての説明を省略する。
 図37(A)に示すように、スリット475は後パッド部材72の内縁(右縁)から略水平に延び、後パッド部材72の左右外縁(左縁)まで延在している。すなわち、後パッド部材72の外端は後パッド部材72の左縁に位置し、後パッド部材72はスリット475によって上下に分割されている。
 次に、このように構成した乗物用シート470の効果について説明する。スリット475が後パッド部材72の右縁から左縁まで延在している場合には、左縁まで延在していない場合(例えば、第4実施形態)に比べて、スリット475が開き易くなる。これにより、エアバッグモジュール23が挿入し易くなり、エアバッグモジュール23の組付が容易になる。
<<第6実施形態>>
 第6実施形態に係る乗物用シート570は、第4実施形態に比べて補助スリット576の形状が異なり、他の構成については同様である。以下の説明では、補助スリット576以外の構成については第4実施形態と同じ符号を付与し、補助スリット576以外の構成についての説明を省略する。
 図37(B)に示すように、補助スリット576は後パッド部材72の上部に設けられ、前後に貫通している。本実施形態では、補助スリット576は後パッド部材72の上部右縁から左方に延び、後パッド部材72の左右方向における略中央部に達している。
 次に、このように構成した乗物用シート570の効果について説明する。後パッド部材72の下端を左方に移動させると、第4実施形態と同様に補助スリット576が開かれる。これにより、エアバッグモジュール23が挿入し易くなり、エアバッグモジュール23の組付が容易になる。
 以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。上記実施形態では、本発明が2列目の後部座席に適用されていたが、2列目には限定されず、3列目以降の後部座席に適用されてもよい。
 上記実施形態では、力布110には力布ワイヤ102に掛け止めするためのフック112が設けられていたが、この態様には限定されない。例えば、図38(A)に示すように、力布110の一端側には輪状をなすように縫合された掛け止め用の紐612が設けられていてもよい。この場合は、掛け止め用の紐612によって形成された輪612Aの内部に力布ワイヤ102を通すことによって、力布110を力布ワイヤ102に結合させることができる。
 また、図38(B)に示すように、力布110の一端側が折り返して輪状をなすように縫合されて、力布110にワイヤ通し613を形成されていてもよい。この場合は、ワイヤ通し613に力布ワイヤ102を通すことによって、力布110を力布ワイヤ102に結合させることができる。
 上記実施形態では、エアバッグモジュール23はシートバックフレーム枠部19の左側に設けられていたが、この態様には限定されない。シートバックフレーム枠部19の右側にフレームブラケット34が結合され、そのフレームブラケット34にエアバッグモジュール23を保持するモジュールブラケット36が締結されていてもよい。
 上記実施形態では、フレームブラケット34はサイドフレーム26とは別体の板金部材として構成されていたがこの態様には限定されない。フレームブラケット34は他の部材と結合して一体となってサイドフレーム26を構成し、シートバックフレーム18の一部として機能するように構成してもよい。
 上記実施形態では、力布取付部材として力布ワイヤ102が用いられていたが、この態様には限定されない。より具体的には、図39に示すように、力布取付部材は力布110を取り付けるためのブラケットである力布ブラケット402によって構成されていてもよい。力布ブラケット402は、左右方向を向く主面を有する板状の本体403と、本体403に結合され、掛止孔100に掛止可能な上下一対のフック状のフック部404(結合部)と、本体403を左右方向に貫通する孔状に形成され、力布110に結合されたフック112が掛止可能な力布取付孔408(力布取付部)とを有するものであってもよい。
 上記第4~第6実施形態では、力布110にはフック112が設けられていたが、この態様には限定されない。例えば力布110の一端側が輪状をなすように縫合され、その輪状をなす部分に力布ワイヤ102を通すことによって、力布ワイヤ102と力布110とを結合させるように構成してもよい。
 上記第4~第6実施形態では、力布110にはJ字状をなすフック112が設けられていたが、この態様には限定されない。図40(A)に示すように、フック611は環状をなすように構成されていてもよい。また、図40(B)に示すように、力布110の一端側を折り返して輪状をなすように縫合することによって、力布110にワイヤ通し613を形成し、そのワイヤ通し613に力布ワイヤ102を通すことによって、力布110は力布ワイヤ102に結合されていてもよい。
 上記実施形態では、エアバッグモジュール23がシートバック5の左側部分に設けられていたが、この態様には限定されない。例えば、車室側壁が乗物用シート1の右側に設けられているときや、隣接する乗物用シート1との間にエアバッグ61を展開させることなどを目的として、エアバッグモジュール23がシートバック5の右側部分に設けられていてもよい。
1   :乗物用シート
19  :シートバックフレーム枠部
23  :エアバッグモジュール
32  :パンフレーム延出部
34  :フレームブラケット
36  :モジュールブラケット
80  :成形部材
81  :成形上部
82  :成形中央部
82A :上半部
82B :下半部
83  :成形下部
P1、P2:締結点
S   :隙間
X   :通孔

Claims (9)

  1.  シートバックの骨組を構成するシートバックフレーム枠部と、
     前記シートバックフレーム枠部の左右方向一方側に結合されたフレームブラケットと、
     エアバッグモジュールを保持し、前記フレームブラケットの締結点において締結されるべきモジュールブラケットと、
     前記シートバックフレーム枠部の背面に結合されたパンフレームとを有し、
     前記パンフレームは、前記左右方向一方側において、前記締結点の下方において、前記シートバックフレーム枠部の上部から前記左右方向一方側に延出する延出部を含み、
     前記エアバッグモジュールの少なくとも一部は前記延出部の前方に位置していることを特徴とする乗物用シート。
  2.  前記延出部と前記エアバッグモジュールとの間には前後方向に隙間が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
  3.  前記左右方向一方側の前記シートバックフレーム枠部に結合され、前記シートバックの外形を画定する成形部材を含み、
     前記成形部材は前記延出部に結合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1つの項に記載の乗物用シート。
  4.  前記成形部材は前記延出部の前方において前記シートバックフレーム枠部に結合されていることを特徴とする請求項3に記載の乗物用シート。
  5.  前記延出部の上縁は前記シートバックフレーム枠部の上縁よりも下方に位置していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乗物用シート。
  6.  前記延出部の前記左右方向一方側の外縁は、組付後の前記エアバッグモジュールの前記左右方向一方側の外縁と前後に対応する位置にあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乗物用シート。
  7.  前記フレームブラケットと前記パンフレームとはそれぞれ板金部材によって形成され、
     前記フレームブラケットの板厚は前記パンフレームの板厚よりも大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乗物用シート。
  8.  前記シートバックフレーム枠部は左右一組のサイドフレームと、2つの前記サイドフレームを接続するアッパフレームとを有し、
     前記フレームブラケットは前記左右方向一方の側に位置する前記サイドフレームの前縁及び後縁にそれぞれ結合されていることを特徴とする請求項3に記載の乗物用シート。
  9.  前記成形部材は折曲形成されたワイヤ部材であり、
     前記成形部材は前記サイドフレームに結合された成形部材上部及び成形部材下部と、前記サイドフレームの前記左右方向一方側において、前記成形部材上部及び前記成形部材下部を上下に接続する成形部材中央部とを有し、
     前記成形部材中央部は前記延出部に延在する上半部と、前記上半部の下端から下方に延びる下半部とを含み、
     前記締結点の後方には、前記成形部材と、前記延出部と、前記サイドフレームとによって画定され、前後方向に貫通する通孔が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の乗物用シート。
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