WO2023068333A1 - 酸発生剤の製造方法 - Google Patents

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広樹 加藤
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Abstract

式(d0-1)で表され、pKaが0.50以上であるカルボン酸と、含窒素塩基化合物及びオニウム化合物からなる群より選択される少なくとも一種とを反応させて、式(d0-p)で表される中間体(d0-p)を得る工程、及び、中間体(d0-p)と、式(c0)で表される化合物とをイオン交換反応させて、式(d0)で表される化合物を得る工程を有する、酸発生剤の製造方法を採用する。式中、Xは臭素原子又はヨウ素原子である。Rはヒドロキシ基等である。nb1は1~5の整数であり、1≦nb1+nb2≦5である。Yは2価の連結基又は単結合である。Mp'は、logPOWが4.8以下の有機アンモニウムカチオン、又はlogPOWが4.8以下のオニウムカチオンである。Xは対アニオンである。Mm+はオニウムカチオンである。 [化1]

Description

酸発生剤の製造方法
 本発明は、酸発生剤の製造方法に関する。
 本願は、2021年10月22日に日本に出願された、特願2021-173044号に基づき優先権主張し、その内容をここに援用する。
 近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化(高エネルギー化)が行われている。
 レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が求められる。
 このような要求を満たすレジスト材料として、従来、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)と、を含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。
 レジストパターンの形成においては、露光により酸発生剤成分(B)から発生する酸の挙動がリソグラフィー特性に大きな影響を与える一要素とされる。これに対し、酸発生剤成分(B)とともに、露光により酸発生剤成分(B)から発生する酸の拡散を制御する酸拡散制御剤成分(D)を併有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。
 化学増幅型レジスト組成物において使用される酸拡散制御剤成分(D)としては、脂肪族アミンもしくは環式アミン等の含窒素有機化合物、又は露光により分解して酸拡散制御性(塩基性)を失う光崩壊性塩基などが知られている。
 光崩壊性塩基は、レジスト膜の露光部では、カチオン部が分解してアニオン部が酸となる(すなわち、酸を発生する)ことで酸拡散制御性(塩基性)を失うため、クエンチャーとして作用せず、レジスト膜の未露光部でクエンチャーとして作用する。具体的には、光崩壊性塩基は、レジスト膜の未露光部で、酸発生剤成分(B)から発生する酸とイオン交換反応を生じてクエンチング効果を発揮する。かかる光崩壊性塩基の配合により、酸発生剤成分(B)から発生する酸のレジスト膜露光部から未露光部への拡散が制御されて、リソグラフィー特性の向上が図られる。
 リソグラフィー技術のさらなる進歩、応用分野の拡大等が進むなか、リソグラフィー特性向上のため、多種多様な酸発生剤成分(B)、酸拡散制御剤成分(D)が開発されている。そして、これらの成分を、高収率で得ることのできる製造方法が求められている。
 例えば、特許文献1には、第1のアンモニウム塩化合物に、孤立電子対を有する含窒素化合物を反応させて製造される第2のアンモニウム塩化合物の製造方法であって、前記第1のアンモニウム塩化合物は、1級、2級又は3級の第1のアンモニウムカチオンを有し、前記含窒素化合物の共役酸は、前記第1のアンモニウムカチオンよりも酸解離定数(pKa)が大きいことを特徴とする、アンモニウム塩化合物の製造方法、及びこの製造方法により製造されるアンモニウム塩化合物と、当該含窒素化合物の共役酸よりも疎水性が高いスルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンと、を塩交換させる工程を有する化合物の製造方法が開示されている。この化合物の製造方法によれば、不純物の少ない酸発生剤を高収率で得られる、とされている。
特開2014-15433号公報
 リソグラフィー特性のさらなる向上のため、レジスト組成物に配合可能な成分について様々な検討がされている。この中でも、特に、レジスト膜の露光部で、露光により酸を発生する酸発生剤(酸発生剤成分(B)、光崩壊性塩基など)の分子構造に対する要求がある。その中で、例えば、アニオン部が比較的に疎水性の高いオニウム塩系酸発生剤が開発されている。
 しかしながら、このようにアニオン部が特定の構造を有するオニウム塩系酸発生剤について、特許文献1に記載されたような従来の製造方法では、収率が充分ではなく、より効率的な製造方法が必要である。
 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、レジスト組成物用の酸発生剤を、より高い収率で製造することができる製造方法を提供することを課題とする。
 上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
 すなわち、本発明の一態様は、下記一般式(d0-1)で表され、酸解離定数(pKa)が0.50以上であるカルボン酸と、含窒素塩基化合物及びオニウム化合物からなる群より選択される少なくとも一種と、を反応させて、下記一般式(d0-p)で表される中間体を得る工程(I)、及び前記工程(I)で得た中間体と、下記一般式(c0)で表される化合物と、をイオン交換反応させて、下記一般式(d0)で表される化合物を得る工程(II)を有することを特徴とする、酸発生剤の製造方法である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
[式中、Xは、臭素原子又はヨウ素原子である。Rは、ヒドロキシ基、アルキル基、フッ素原子又は塩素原子である。nb1は、1~5の整数であり、nb2は、0~4の整数であり、1≦nb1+nb2≦5である。Yは、2価の連結基又は単結合である。Mpは、オクタノール/水分配係数(logPOW)が4.8以下の有機アンモニウムカチオン、又はlogPOWが4.8以下のオニウムカチオンである。m’は、1以上の整数である。Xは、対アニオンである。Mm+は、オニウムカチオンである。mは、1以上の整数である。]
 本発明の一態様に係る酸発生剤の製造方法によれば、レジスト組成物用の酸発生剤を、より高い収率で製造することができる。
 本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
 「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
 「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
 「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
 「置換基を有してもよい」と記載する場合、水素原子(-H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(-CH-)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
 本明細書及び本特許請求の範囲において、化学式で表される構造によっては、不斉炭素が存在し、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在し得るものがある。その場合は一つの化学式でそれら異性体を代表して表す。それらの異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
(酸発生剤の製造方法)
 本実施形態の酸発生剤の製造方法は、下記の工程(I)及び工程(II)を有する。
 工程(I):一般式(d0-1)で表され、酸解離定数(pKa)が0.50以上であるカルボン酸と、含窒素塩基化合物及びオニウム化合物からなる群より選択される少なくとも一種と、を反応させて、一般式(d0-p)で表される中間体を得る工程
 工程(II):前記工程(I)で得た中間体と、一般式(c0)で表される化合物と、をイオン交換反応させて、一般式(d0)で表される化合物を得る工程
 本実施形態の製造方法により製造される酸発生剤は、レジスト組成物用として有用なものである。ここでいう酸発生剤とは、露光により酸を発生する化合物であり、酸成分として作用するもののみならず、相対的に塩基成分として作用するもの(酸拡散制御剤)を包含する。
 以下、本実施形態の酸発生剤の製造方法について、各工程で使用する原料(特定のカルボン酸、含窒素塩基化合物及びオニウム化合物からなる群より選択される少なくとも一種、一般式(c0)で表される化合物)について、並びに、工程(I)及び工程(II)での操作について順に詳述する。
 ≪特定のカルボン酸≫
 本実施形態の製造方法における工程(I)では、下記一般式(d0-1)で表され、酸解離定数(pKa)が0.50以上であるカルボン酸(以下このカルボン酸を、特定のカルボン酸又は化合物(d0-1)ともいう)を使用する。
 特定のカルボン酸(化合物(d0-1))は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
[式中、Xは、臭素原子又はヨウ素原子である。Rは、ヒドロキシ基、アルキル基、フッ素原子又は塩素原子である。nb1は、1~5の整数であり、nb2は、0~4の整数であり、1≦nb1+nb2≦5である。Yは、2価の連結基又は単結合である。]
 前記一般式(d0-1)中、Xは、臭素原子又はヨウ素原子である。
 前記一般式(d0-1)中、Rは、ヒドロキシ基、アルキル基、フッ素原子又は塩素原子である。Rにおけるアルキル基としては、炭素原子数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。Rは、上記の中でも、ヒドロキシ基が好ましい。
 前記一般式(d0-1)中、nb1は、1~5の整数であり、nb2は、0~4の整数であり、1≦nb1+nb2≦5である。
 nb1は、1~3の整数であることが好ましい。
 nb2は、0~3の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
 前記一般式(d0-1)中、Yは、2価の連結基又は単結合である。
 Yにおける2価の連結基としては、酸素原子を含む2価の連結基が好適に挙げられる。酸素原子を含む2価の連結基としては、例えば、酸素原子(エーテル結合:-O-)、エステル結合(-C(=O)-O-)、オキシカルボニル基(-O-C(=O)-)、アミド結合(-C(=O)-NH-)、カルボニル基(-C(=O)-)、カーボネート結合(-O-C(=O)-O-)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。この組み合わせに、さらにスルホニル基(-SO-)が連結されていてもよい。Yが酸素原子を含む2価の連結基である場合、Yは、酸素原子以外の原子を含んでもよい。酸素原子以外の原子としては、例えば、炭素原子、水素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
 Yは、上記の中でも、酸素原子を含む2価の連結基、単結合であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。
 本発明において「酸解離定数(pKa)」とは、対象物質の酸強度を示す指標として一般的に用いられているもの、平衡定数Kaの負の常用対数(-logKa)をいう。
 かかる特定のカルボン酸(化合物(d0-1))のpKaは、常法により測定して求めることができる。また、かかる特定のカルボン酸(化合物(d0-1))のpKaは、「ACD/Labs」(商品名、Advanced Chemistry Development社製)、「Chem3D」(商品名、株式会社ヒューリンクス製)等の公知のソフトウェアを用いた計算値を用いることもできる。
 特定のカルボン酸(化合物(d0-1))について、酸解離定数(pKa)は、0.50以上であり、pKaは0.50以上5.0以下が好ましく、pKaは0.75以上5.0以下がより好ましく、pKaは1.0以上4.75以下がさらに好ましい。
 化合物(d0-1)のpKaが、前記範囲の下限値以上であれば、最終目的物を、より高い収率で製造しやすくなり、一方、前記範囲の上限値以下であれば、レジスト組成物用の酸発生剤としての機能が発揮されやすくなる。
 以下に、好適な特定のカルボン酸(化合物(d0-1))の具体例を挙げる。
 尚、具体例とともに示すpKaは、「Chem3D ver15.1.0.144」(商品名、株式会社ヒューリンクス製)のソフトを用いて計算した値を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
 ≪含窒素塩基化合物及びオニウム化合物からなる群より選択される少なくとも一種≫
 本実施形態の製造方法における工程(I)では、含窒素塩基化合物及びオニウム化合物からなる群より選択される少なくとも一種(以下これらをまとめて化合物(X0)ともいう)を使用する。
 前記化合物(X0)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 なお、前記化合物(X0)において、オニウム化合物には、含窒素塩基化合物に該当するものは含まれないものとする。
 本実施形態において、前記化合物(X0)としては、例えば、下記一般式(X0)で表される化合物が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
[式中、Mpは、オクタノール/水分配係数(logPOW)が4.8以下の有機アンモニウムカチオン、又はlogPOWが4.8以下のオニウムカチオンである。m’は、1以上の整数である。X’は、対アニオンである。]
 本発明において「logPOW」とは、オクタノール/水分配係数の常用対数値をいう。「logPOW」は、広範囲の化合物に対し、その親水性/疎水性を特徴づけることのできる有効なパラメータである。一般的には、実験によらず計算によって分配係数は求められ、本発明においては、CAChe Work System Pro Version 6.1.12.33により計算された値を示す。
 logPOWの値が0をはさんでプラス側に大きくなると疎水性が増し、マイナス側で絶対値が大きくなると水溶性が増すことを意味する。logPOWは、有機化合物の水溶性と負の相関があり、有機化合物の親疎水性を見積もるパラメータとして広く利用されている。
 前記一般式(X0)中、Mpは、オクタノール/水分配係数(logPOW)が4.8以下の有機アンモニウムカチオン、又はlogPOWが4.8以下のオニウムカチオンである。m’は、1以上の整数である。
 Mpにおける有機アンモニウムカチオンについて、logPOWは、4.8以下であり、logPOWは-1.0以上4.8以下であることが好ましく、logPOWは-1.0以上3.0以下であることがより好ましく、logPOWは-1.0以上2.0以下であることがさらに好ましく、logPOWは-1.0以上1.0以下であることが特に好ましく、logPOWは-0.5以上0以下であることが最も好ましい。
 有機アンモニウムカチオンのlogPOWが、前記範囲の上限値以下であれば、最終目的物を、より高い収率で製造しやすくなり、一方、前記範囲の下限値以上であれば、工程(I)の反応効率を高められやすくなる。
 Mpにおける有機アンモニウムカチオンとしては、例えば、下記一般式(ca-p1)で表されるカチオン、又は下記一般式(ca-p2)で表されるカチオンが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
[式中、R~Rは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基、又は水素原子である。但し、R~Rのうち少なくとも1つは、置換基を有してもよい炭化水素基である。あるいは、R~Rのうち少なくとも2つが相互に結合して、式中の窒素原子と共に脂環構造を形成してもよい。R11は、当該R11が結合した窒素原子と共に芳香環を形成する基である。R12は、アルキル基又はハロゲン原子である。yは0~5の整数である。]
 前記一般式(ca-p1)中、R~Rにおける炭化水素基としては、それぞれ独立に、炭素原子数1~15の炭化水素基が好ましく、炭素原子数1~10の炭化水素基がより好ましい。また、R~Rにおける炭化水素基の炭素原子数の合計は、1~20であることが好ましく、3~18であることがより好ましく、4~15であることがさらに好ましい。
 R~Rのそれぞれにおける炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は環状の炭化水素基が挙げられる。
 該直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、炭素原子数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1~5の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
 該環状の炭化水素基としては、脂環式炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよい。
 脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素原子数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ベンジル基が好ましい。
 R~Rにおける炭化水素基が有してもよい置換基としては、アルコキシ基、水酸基、オキソ基(=O)、アミノ基等が挙げられる。
 上記一般式(ca-p2)中、R11は、当該R11が結合した窒素原子と共に芳香環を形成する基である。該芳香環は、4~7員環が好ましく、4~6員環がより好ましく、6員環がさらに好ましい。
 上記一般式(ca-p2)中、R12におけるアルキル基は、上記R~Rにおける直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基と同様のものが挙げられる。
 上記一般式(ca-p2)中、yは0~5の整数であり、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
 以下に、化合物(X0)のカチオン部として、Mpにおける有機アンモニウムカチオンの具体例を示す。合わせて、各有機アンモニウムカチオンについて、CAChe Work System Pro Version 6.1.12.33により計算されたlogPOW値を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
 Mpにおけるオニウムカチオンについて、logPOWは、4.8以下であり、logPOWは-1.0以上4.8以下であることが好ましく、logPOWは-1.0以上3.0以下であることがより好ましく、logPOWは-1.0以上2.0以下であることがさらに好ましく、logPOWは-1.0以上1.5以下であることが特に好ましく、logPOWは-0.5以上0.5以下であることが最も好ましい。
 有機アンモニウムカチオンのlogPOWが、前記範囲の上限値以下であれば、最終目的物を、より高い収率で製造しやすくなり、一方、前記範囲の下限値以上であれば、レジスト組成物用の酸発生剤(特に酸拡散制御剤)としての機能が発揮されやすくなる。
 Mpにおけるオニウムカチオンとしては、例えば、下記一般式(ca-p3)で表されるカチオン、又は下記一般式(ca-p4)で表されるカチオンが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
[式中、R21~R23は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基である。R24~R27は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基である。]
 前記一般式(ca-p3)中、R21~R23における炭化水素基、該炭化水素基が有してもよい置換基についての説明は、上述した一般式(ca-p1)中のR~Rにおける炭化水素基、該炭化水素基が有してもよい置換基についての説明と同様である。
 R21~R23のそれぞれにおける炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数1~5の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であることがさらに好ましい。
 前記一般式(ca-p4)中、R24~R27における炭化水素基、該炭化水素基が有してもよい置換基についての説明は、上述した一般式(ca-p1)中のR~Rにおける炭化水素基、該炭化水素基が有してもよい置換基についての説明と同様である。
 R24~R27のそれぞれにおける炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数1~5の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であることがさらに好ましい。
 以下に、化合物(X0)のカチオン部として、Mpにおけるオニウムカチオンの具体例を示す。合わせて、各オニウムカチオンについて、CAChe Work System Pro Version 6.1.12.33により計算されたlogPOW値を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
 前記一般式(X0)中、X’における対アニオンとしては、例えば、水酸化物イオン(OH)が挙げられる。
 本実施形態における化合物(X0)は、含窒素塩基化合物及びオニウム化合物からなる群より選択される少なくとも一種であり、上記の中でも、上記一般式(ca-p1)で表されるカチオンと水酸化物イオンとの水酸化物、上記一般式(ca-p2)で表されるカチオンと水酸化物イオンとの水酸化物、上記一般式(ca-p3)で表されるカチオンと水酸化物イオンとの水酸化物、及び上記一般式(ca-p4)で表されるカチオンと水酸化物イオンとの水酸化物からなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、上記一般式(ca-p1)で表されるカチオンと水酸化物イオンとの水酸化物、上記一般式(ca-p3)で表されるカチオンと水酸化物イオンとの水酸化物、及び上記一般式(ca-p4)で表されるカチオンと水酸化物イオンとの水酸化物からなる群より選択される少なくとも一種がより好ましい。
 ≪一般式(c0)で表される化合物≫
 本実施形態の製造方法における工程(II)では、下記一般式(c0)で表される化合物(化合物(c0))を、イオン交換反応用の化合物として使用する。
 化合物(c0)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
[式中、Xは、対アニオンである。Mm+は、オニウムカチオンである。mは、1以上の整数である。]
 前記一般式(c0)中、Xは、対アニオンである。Xとしては、一般式(d0-p)で表される中間体よりも酸性度が低い酸になり得るイオンが挙げられ、具体的には、臭素イオン、塩素イオン等のハロゲンイオン、BF 、AsF 、SbF 、PF 、ClO 等が挙げられる。これらの中でも、Xは、ハロゲンイオンが好ましく、塩素イオンがより好ましい。
 前記一般式(c0)中、Mm+は、オニウムカチオンである。mは、1以上の整数である。Mm+におけるオニウムカチオンとしては、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオンが挙げられる。
 好ましいカチオン部((Mm+1/m)としては、下記の一般式(ca-1)~(ca-5)でそれぞれ表される有機カチオンが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
[式中、R201~R207、およびR211~R212は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアルケニル基を表す。R201~R203、R206~R207、R211~R212は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。R208~R209は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1~5のアルキル基を表す。R210は、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいSO-含有環式基である。L201は、-C(=O)-または-C(=O)-O-を表す。Y201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基またはアルケニレン基を表す。xは1または2である。W201は(x+1)価の連結基を表す。]
 上記の一般式(ca-1)~(ca-5)中、R201~R207、およびR211~R212におけるアリール基としては、炭素原子数6~20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
 R201~R207、およびR211~R212におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素原子数1~30のものが好ましい。
 R201~R207、およびR211~R212におけるアルケニル基としては、炭素原子数が2~10であることが好ましい。
 R201~R207、およびR210~R212が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、アリール基、下記の一般式(ca-r-1)~(ca-r-7)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
[式中、R’201は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基である。]
 置換基を有してもよい環式基:
 該環式基は、環状の炭化水素基であることが好ましく、該環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。また、脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
 R’201における芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素原子数は3~30であることが好ましく、炭素原子数5~30がより好ましく、炭素原子数5~20がさらに好ましく、炭素原子数6~15が特に好ましく、炭素原子数6~10が最も好ましい。ただし、該炭素原子数には、置換基における炭素原子数を含まないものとする。
 R’201における芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、又はこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環などが挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
 R’201における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香環から水素原子を1つ除いた基(アリール基:例えばフェニル基、ナフチル基など)、前記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えばベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素原子数は、1~4であることが好ましく、炭素原子数1~2がより好ましく、炭素原子数1が特に好ましい。
 R’201における環状の脂肪族炭化水素基は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が挙げられる。
 この構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
 前記脂環式炭化水素基は、炭素原子数が3~20であることが好ましく、3~12であることがより好ましい。
 前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素原子数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素原子数7~30のものが好ましい。中でも、該ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンがより好ましい。
 なかでも、R’201における環状の脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンから水素原子を1つ以上除いた基が好ましく、ポリシクロアルカンから水素原子を1つ除いた基がより好ましく、アダマンチル基、ノルボルニル基が特に好ましく、アダマンチル基が最も好ましい。
 脂環式炭化水素基に結合してもよい、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素原子数が1~10であることが好ましく、炭素原子数1~6がより好ましく、炭素原子数1~4がさらに好ましく、炭素原子数1~3が特に好ましい。
 直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[-CH-]、エチレン基[-(CH-]、トリメチレン基[-(CH-]、テトラメチレン基[-(CH-]、ペンタメチレン基[-(CH-]等が挙げられる。
 分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、-C(CH)(CHCH)-、-C(CH)(CHCHCH)-、-C(CHCH-等のアルキルメチレン基;-CH(CH)CH-、-CH(CH)CH(CH)-、-C(CHCH-、-CH(CHCH)CH-、-C(CHCH-CH-等のアルキルエチレン基;-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-等のアルキルトリメチレン基;-CH(CH)CHCHCH-、-CHCH(CH)CHCH-等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素原子数1~5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
 また、R’201における環状の炭化水素基は、複素環等のようにヘテロ原子を含んでもよい。具体的には、下記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、下記一般式(a5-r-1)~(a5-r-4)でそれぞれ表される-SO-含有環式基、その他下記の化学式(r-hr-1)~(r-hr-16)でそれぞれ表される複素環式基が挙げられる。化学式中の*は、結合手であることを示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
[式中、Ra’21は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、-COOR”、-OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は-SO-含有環式基であり;A”は酸素原子(-O-)もしくは硫黄原子(-S-)を含んでいてもよい炭素原子数1~5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、n’は0~2の整数であり、m’は0または1である。*は結合手であることを示す。]
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000016
[式中、Ra’51はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、-COOR”、-OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は-SO-含有環式基であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素原子数1~5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、n’は0~2の整数である。*は結合手であることを示す。]
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000017
 前記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)中、Ra’21におけるアルキル基としては、炭素原子数1~6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
 Ra’21におけるアルコキシ基としては、炭素原子数1~6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記Ra’21におけるアルキル基として挙げたアルキル基と酸素原子(-O-)とが連結した基が挙げられる。
 Ra’21におけるハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
 Ra’21におけるハロゲン化アルキル基としては、前記Ra’21におけるアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
 Ra’21における-COOR”、-OC(=O)R”において、R”はいずれも水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は-SO-含有環式基である。
 R”におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、炭素原子数は1~15が好ましい。R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素原子数1~10であることが好ましく、炭素原子数1~5であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。R”が環状のアルキル基の場合は、炭素原子数3~15であることが好ましく、炭素原子数4~12であることがさらに好ましく、炭素原子数5~10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
 R”における「ラクトン含有環式基」とは、その環骨格中に-O-C(=O)-を含む環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。ラクトン含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。R”におけるラクトン含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、前記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表される基と同様のものが挙げられる。
 R”における「カーボネート含有環式基」とは、その環骨格中に-O-C(=O)-O-を含む環(カーボネート環)を含有する環式基を示す。カーボネート環をひとつ目の環として数え、カーボネート環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。カーボネート含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
 R”における「-SO-含有環式基」とは、その環骨格中に-SO-を含む環を含有する環式基を示し、具体的には、-SO-における硫黄原子(S)が環式基の環骨格の一部を形成する環式基である。その環骨格中に-SO-を含む環をひとつ目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。-SO-含有環式基は、単環式基であってもよく多環式基であってもよい。
 -SO-含有環式基は、特に、その環骨格中に-O-SO-を含む環式基、すなわち-O-SO-中の-O-S-が環骨格の一部を形成するスルトン(sultone)環を含有する環式基であることが好ましい。
 -SO-含有環式基として、より具体的には、前記一般式(a5-r-1)~(a5-r-4)でそれぞれ表される基と同様のものが挙げられる。
 Ra’21におけるヒドロキシアルキル基としては、炭素原子数が1~6であるものが好ましく、具体的には、前記Ra’21におけるアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
 Ra’21としては、上記の中でも、それぞれ独立に水素原子又はシアノ基であることが好ましい。
 前記一般式(a2-r-2)、(a2-r-3)、(a2-r-5)中、A”における炭素原子数1~5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に-O-または-S-が介在する基が挙げられ、例えば-O-CH-、-CH-O-CH-、-S-CH-、-CH-S-CH-等が挙げられる。A”としては、炭素原子数1~5のアルキレン基または-O-が好ましく、炭素原子数1~5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
 以下に、一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。具体例を表す化学式中の*は、結合手であることを示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000018
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000019
 前記一般式(a5-r-1)~(a5-r-2)中、A”は、前記一般式(a2-r-2)、(a2-r-3)、(a2-r-5)中のA”と同様である。
 Ra’51におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、-COOR”、-OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ前記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)中のRa’21についての説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
 以下に、一般式(a5-r-1)~(a5-r-4)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。式中の「Ac」は、アセチル基を示す。*は結合手であることを示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000020
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000021
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000022
 R’201の環式基における置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
 置換基としてのアルキル基としては、炭素原子数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基が最も好ましい。
 置換基としてのアルコキシ基としては、炭素原子数1~5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
 置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
 置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素原子数1~5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
 置換基としてのカルボニル基は、環状の炭化水素基を構成するメチレン基(-CH-)を置換する基である。
 置換基を有してもよい鎖状のアルキル基:
 R’201の鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
 直鎖状のアルキル基としては、炭素原子数が1~20であることが好ましく、炭素原子数1~15であることがより好ましく、炭素原子数1~10が最も好ましい。
 分岐鎖状のアルキル基としては、炭素原子数が3~20であることが好ましく、炭素原子数3~15であることがより好ましく、炭素原子数3~10が最も好ましい。具体的には、例えば、1-メチルエチル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基などが挙げられる。
 置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基:
 R’201の鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、炭素原子数が2~10であることが好ましく、炭素原子数2~5がより好ましく、炭素原子数2~4がさらに好ましく、炭素原子数3が特に好ましい。直鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1-メチルビニル基、2-メチルビニル基、1-メチルプロペニル基、2-メチルプロペニル基などが挙げられる。
 鎖状のアルケニル基としては、上記の中でも、直鎖状のアルケニル基が好ましく、ビニル基、プロペニル基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
 R’201の鎖状のアルキル基またはアルケニル基における置換基としては、たとえば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、上記R’201における環式基等が挙げられる。
 R’201の置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基は、上述したものの他、置換基を有してもよい環式基又は置換基を有してもよい鎖状のアルキル基として、下記式(a1-r-2)で表される酸解離性基であってもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000023
[式中、Ra’~Ra’はそれぞれ炭化水素基であって、Ra’、Ra’は互いに結合して環を形成してもよい。]
 Ra’~Ra’の炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、鎖状もしくは環状のアルケニル基、又は、環状の炭化水素基が挙げられる。
 なかでも、R’201は、置換基を有してもよい環式基が好ましく、置換基を有してもよい環状の炭化水素基であることがより好ましい。より具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;前記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基;前記一般式(a5-r-1)~(a5-r-4)でそれぞれ表される-SO-含有環式基などが好ましい。
 上記の一般式(ca-1)~(ca-5)中、R201~R203、R206~R207、R211~R212は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子や、カルボニル基、-SO-、-SO-、-SO-、-COO-、-CONH-または-N(R)-(該Rは炭素原子数1~5のアルキル基である。)等の官能基を介して結合してもよい。形成される環としては、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3~10員環であることが好ましく、5~7員環であることが特に好ましい。形成される環の具体例としては、例えばチオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H-チオキサンテン環、チオキサントン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、テトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
 R208~R209は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1~5のアルキル基を表し、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基が好ましく、アルキル基となる場合、相互に結合して環を形成してもよい。
 R210は、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいSO-含有環式基である。
 R210におけるアリール基としては、炭素原子数6~20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
 R210におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素原子数1~30のものが好ましい。
 R210におけるアルケニル基としては、炭素原子数が2~10であることが好ましい。
 R210における、置換基を有してもよいSO-含有環式基としては、「-SO-含有多環式基」が好ましく、上記一般式(a5-r-1)で表される基がより好ましい。
 Y201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基又はアルケニレン基を表す。
 Y201におけるアリーレン基は、炭素原子数6~20の無置換のアリーレン基が挙げられる。
 Y201におけるアルキレン基、アルケニレン基は、炭素原子数6~20の無置換のアルキレン基、アルケニレン基が挙げられる。
 前記式(ca-4)中、xは、1または2である。
 W201は、(x+1)価、すなわち2価または3価の連結基である。
 W201における2価の連結基としては、置換基を有してもよい2価の炭化水素基が例示できる。W201における2価の連結基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、環状であることが好ましい。なかでも、アリーレン基の両端に2個のカルボニル基が組み合わされた基が好ましい。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、フェニレン基が特に好ましい。
 W201における3価の連結基としては、前記W201における2価の連結基から水素原子を1個除いた基、前記2価の連結基にさらに前記2価の連結基が結合した基などが挙げられる。W201における3価の連結基としては、アリーレン基に2個のカルボニル基が結合した基が好ましい。
 前記式(ca-1)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記の化学式(ca-1-1)~(ca-1-72)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000024
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000025
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000026
[式中、g1、g2、g3は繰返し数を示し、g1は1~5の整数であり、g2は0~20の整数であり、g3は0~20の整数である。]
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000027
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000028
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000029
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000030
[式中、R”201は水素原子又は置換基であって、該置換基としては前記R201~R207、およびR210~R212が有していてもよい置換基として挙げたものと同様である。]
 前記式(ca-2)で表される好適なカチオンとして具体的には、ジフェニルヨードニウムカチオン、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムカチオン等が挙げられる。
 前記式(ca-3)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca-3-1)~(ca-3-6)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000031
 前記式(ca-4)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca-4-1)~(ca-4-2)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000032
 前記式(ca-5)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記一般式(ca-5-1)~(ca-5-3)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000033
 上記の中でも、カチオン部((Mm+1/m)は、スルホニウムカチオンが好ましく、一般式(ca-1)で表されるカチオンがより好ましい。
 [工程(I)]
 本実施形態における工程(I)では、下記一般式(d0-1)で表され、酸解離定数(pKa)が0.50以上であるカルボン酸(化合物(d0-1))と、含窒素塩基化合物及びオニウム化合物からなる群より選択される少なくとも一種(化合物(X0))と、を反応させて、下記一般式(d0-p)で表される中間体(化合物(d0-p))を得る。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000034
[一般式(d0-1)中のX、R、nb1、nb2及びYは、上述した一般式(d0-1)中のX、R、nb1、nb2及びYと同じである。
 一般式(X0)中のMp、m’及びX’は、上述した一般式(X0)中のMp、m’及びX’と同じである。
 一般式(d0-p)中のX、R、nb1、nb2及びY、並びに、Mp及びm’は、上述した一般式(d0-1)中のX、R、nb1、nb2及びY、並びに、上述した一般式(X0)中のMp及びm’とそれぞれ同じである。]
 工程(I)において、化合物(d0-1)と化合物(X0)との反応は、例えば水中で行う。
 化合物(d0-1)と化合物(X0)との混合比については、例えば、化合物(d0-1)1モルに対して、好ましくは化合物(X0)が0.9~1.0モルである。
 工程(I)の反応時間は、例えば、5分間以上24時間以下が好ましく、10分間以上120分間以下がより好ましく、10分間以上60分間以下がさらに好ましい。
 工程(I)の反応温度は、0℃以上50℃以下が好ましく、10℃以上30℃以下がより好ましい。
 化合物(d0-1)と化合物(X0)との反応が終了した後、反応液中の化合物を単離、精製してもよい。単離、精製には、従来公知の方法が利用でき、例えば、濃縮、溶媒抽出(液液抽出)、蒸留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等を適宜組み合わせて用いることができる。
 本実施形態によれば、溶媒抽出(液液抽出)を利用した場合、反応液に有機溶媒を加えて混合した後、水相での中間体(化合物(d0-p))の回収率を高められる。かかる場合に使用できる有機溶媒としては、例えば、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒が挙げられる。
 以下に、工程(I)で得られる中間体(化合物(d0-p))の具体例を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000035
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000036
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000037
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000038
 [工程(II)]
 本実施形態における工程(II)では、前記工程(I)で得た中間体(化合物(d0-p))と、下記一般式(c0)で表される化合物(化合物(c0))と、をイオン交換反応させて、最終目的物である下記一般式(d0)で表される化合物(化合物(d0))を得る。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000039
[一般式(d0-p)中のX、R、nb1、nb2及びY、並びに、Mp及びm’は、上述した一般式(d0-1)中のX、R、nb1、nb2及びY、並びに、上述した一般式(X0)中のMp及びm’とそれぞれ同じである。
 一般式(c0)中のX、Mm+及びmは、上述した一般式(c0)中のX、Mm+及びmと同じである。
 一般式(d0)中のX、R、nb1、nb2及びY、並びに、Mm+及びmは、上述した一般式(d0-1)中のX、R、nb1、nb2及びY、並びに、上述した一般式(c0)中のMm+及びmとそれぞれ同じである。]
 工程(II)において、化合物(d0-p)と化合物(c0)とのイオン交換反応は、例えば、有機溶媒と水との混合溶媒中で行う。
 ここでの有機溶媒としては、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒;テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、プロピオニトリル又はこれらの混合溶剤等が挙げられる。
 化合物(d0-p)と化合物(c0)との混合比については、例えば、化合物(d0-p)1モルに対して、好ましくは化合物(c0)が0.9~1.0モルである。
 工程(II)の反応時間は、例えば、5分間以上24時間以下が好ましく、10分間以上120分間以下がより好ましく、10分間以上60分間以下がさらに好ましい。
 工程(II)の反応温度は、0℃以上50℃以下が好ましく、10℃以上30℃以下がより好ましい。
 化合物(d0-p)と化合物(c0)とのイオン交換反応が終了した後、その反応液中の化合物を単離、精製してもよい。単離、精製には、従来公知の方法が利用でき、例えば、濃縮、溶媒抽出(液液抽出)、蒸留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等を適宜組み合わせて用いることができる。
 本実施形態によれば、溶媒抽出(液液抽出)を利用した場合、有機相での最終目的物(化合物(d0))の回収率を高められる。また、有機相からの回収後、水洗を行う場合でも、高い収率が維持される。
 上記のようにして得られる最終目的物(化合物(d0))の構造は、H-核磁気共鳴(NMR)スペクトル法、13C-NMRスペクトル法、19F-NMRスペクトル法、赤外線吸収(IR)スペクトル法、質量分析(MS)法、元素分析法、X線結晶回折法等の一般的な有機分析法により同定できる。
 各工程で使用する原料は、市販のものを用いてもよく、合成したものを用いてもよい。
 以下に、工程(II)で得られる最終目的物(化合物(d0))の具体例を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000040
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000041
 以上説明した本実施形態の酸発生剤の製造方法は、置換基として臭素原子又はヨウ素原子が結合したベンゼン環を有し、かつ、酸解離定数(pKa)が0.50以上であるカルボン酸と、オクタノール/水分配係数(logPOW)が4.8以下のカチオン部を持つ含窒素塩基化合物及びオニウム化合物からなる群より選択される少なくとも一種と、を反応させて、中間体を得る工程(I)、及び、前記工程(I)で得た中間体と、オニウム塩と、をイオン交換反応させて、最終目的物である酸発生剤を得る工程(II)を有する。
 かかる製造方法では、工程(I)において、logPOWが4.8以下のカチオン部を持ち、水溶性が高められた中間体が得られる。このため、有機溶媒での洗浄などによる、中間体の回収率低下が抑えられる。加えて、工程(II)において、工程(I)で使用する特定のカルボン酸に由来する、置換基として臭素原子又はヨウ素原子が結合したベンゼン環を有し、かつ、共役酸のpKaが0.50以上である脂溶性の最終目的物が得られる。このため、水での洗浄などによる、最終目的物の回収率低下が抑えられる。かかる工程(I)と工程(II)とが組み合わされていることによって、本実施形態の酸発生剤の製造方法においては、レジスト組成物用の酸発生剤を、より高い収率で製造することができる。
 本実施形態の製造方法により製造される酸発生剤は、露光により発生する酸のpKaが0.50以上であり、pKaが相対的に低い酸を発生する酸発生剤と併用することで、レジスト組成物において酸拡散制御剤(光崩壊性塩基)として利用が可能である。
 加えて、当該酸発生剤は、そのアニオン部に、EUVやEBに対して高い吸収性を示すヨウ素原子又は臭素原子を有する。これにより、EUVやEBを露光光源とするリソグラフィーにおいて、感度の向上が期待される。さらに、アニオン部に、ヨウ素原子又は臭素原子を有することで、レジスト膜の疎水性が高められ、現像液に対する溶解性も適度に調整できることが期待され、リソグラフィー特性をより向上できる可能性がある。
 上述した実施形態では、工程(I)と工程(II)とを有する製造方法について説明したが、本発明はこれに限定されず、工程(I)及び工程(II)に加え、必要に応じてさらに他の工程を有していてもよい。
 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
 本実施例では、化学式(d0-1-1)で表される化合物を「化合物(d0-1-1)」と表記する。他の化学式で表される化合物についても同様に表記する。
<使用した原料>
 以下に、原料として使用したカルボン酸、含窒素塩基化合物及びオニウム化合物からなる群より選択される少なくとも一種(化合物(X))、イオン交換反応用の化合物(化合物(c0))を示す。
・カルボン酸
 化合物(d0-1-1)~(d0-1-10)、化合物(d1-1-1)~(d1-1-4)について、それぞれのpKaの値を示した。
 ここでのpKaは、「Chem3D ver15.1.0.144」(商品名、株式会社ヒューリンクス製)のソフトを用いて計算した値である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000042
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000043
・含窒素塩基化合物及びオニウム化合物からなる群より選択される少なくとも一種(化合物(X))
 化合物(X0-1)~(X0-18)、化合物(X1-1)~(X1-7)について、それぞれのカチオン部のlogPOWの値を示した。
 ここでのlogPOWは、CAChe Work System Pro Version 6.1.12.33により計算されたlogPOW値である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000044
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000045
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000046
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000047
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000048
・イオン交換反応用の化合物(化合物(c0))
 イオン交換反応用の化合物として、化合物(c0-1)~(c0-5)を用いた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000049
<酸発生剤の製造方法>
 表1~4に示すように原料を組み合わせて、各例の製造方法を行った。
 (実施例1)
 原料として化合物(d0-1-1)、化合物(X0-1)及び化合物(c0-1)を使用して、酸発生剤の製造を行った。
 [工程(I):中間体を得る工程]
 容量200mLビーカーに、4-ヨード安息香酸(化合物(d0-1-1))15.90gと、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(化合物(X0-1))5.55gと、水50gとを入れ、室温で30分間撹拌して溶液を得た。この溶液に、メチルイソブチルケトン64gを加えて室温で30分間撹拌した後、分液し、水相を回収することにより、中間体となるアンモニウム塩(化合物(d0-p-1))18.58gを含む水溶液を得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000050
 [工程(II):最終目的物を得る工程]
 工程(I)で得られたアンモニウム塩(化合物(d0-p-1))の水溶液に、クロリド塩(化合物(c0-1))16.44gと、水150gと、メチルイソブチルケトン150gとを加えて室温で30分間撹拌した後、分液し、有機層を回収した。得られた有機層を水洗後、減圧濃縮することで、最終目的物であるスルホニウム塩(化合物(d0-1))23.86gを得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000051
(実施例2~33、比較例1~11)
 使用する原料として化合物(d0-1-1)、化合物(X0-1)及び化合物(c0-1)の組合せを、表1~4に示す原料の組合せにそれぞれ変更した以外は、実施例1における工程(I)及び工程(II)の操作を同様にして行うことにより、中間体を経て最終目的物を得た。
 以下に、各例における工程(I)で得られた中間体をそれぞれ示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000052
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000053
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000054
 なお、化合物(d0-p-11)は、化合物(d0-p-4)と同一構造である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000055
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000056
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000057
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000058
 なお、実施例29~33における工程(I)で得られた中間体である化合物(d0-p-29)~化合物(d0-p-33)は、実施例15における工程(I)で得られた中間体である化合物(d0-p-15)と同一構造である。
 以下に、各例における工程(II)で得られた最終目的物をそれぞれ示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000059
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000060
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000061
 なお、実施例12~28における工程(II)で得られた最終目的物である化合物(d0-12)~化合物(d0-28)は、実施例11における工程(II)で得られた最終目的物である化合物(d0-11)と同一構造である。
 同様に、比較例5~11における工程(II)で得られた最終目的物である化合物(d1-5)~化合物(d1-11)は、実施例11における工程(II)で得られた最終目的物である化合物(d0-11)と同一構造である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000062
 なお、化合物(d0-29)は、化合物(d0-4)と同一構造である。また、化合物(d0-30)は、化合物(d0-11)と同一構造である。
<各例の製造方法における収率>
 上述した各例の製造方法で使用した原料、各例の製造方法で得られた中間体、各例の製造方法で最終的に得られた最終目的物をまとめて表1~4に示した。
 また、各例の製造方法における収率を表1~4に示した。ここでの収率は、工程(I)の収率と工程(II)の収率とを掛け算することにより算出した。具体的には、以下の計算式によって求めた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000063
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000064
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000065
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000066
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000067
 表1~4に示す結果から、本発明を適用した実施例の製造方法によれば、レジスト組成物用の酸発生剤を、より高い収率で製造することができることが確認された。
 実施例11~19及び比較例5~8、実施例20~24及び比較例9~10、実施例25~28及び比較例11の結果から、中間体を構成するカチオン部のオクタノール/水分配係数(logPOW)が低い値ほど収率が高くなる傾向であることが分かる。

Claims (2)

  1.  下記一般式(d0-1)で表され、酸解離定数(pKa)が0.50以上であるカルボン酸と、含窒素塩基化合物及びオニウム化合物からなる群より選択される少なくとも一種と、を反応させて、下記一般式(d0-p)で表される中間体を得る工程(I)、及び
     前記工程(I)で得た中間体と、下記一般式(c0)で表される化合物と、をイオン交換反応させて、下記一般式(d0)で表される化合物を得る工程(II)
     を有する、酸発生剤の製造方法。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    [式中、Xは、臭素原子又はヨウ素原子である。Rは、ヒドロキシ基、アルキル基、フッ素原子又は塩素原子である。nb1は、1~5の整数であり、nb2は、0~4の整数であり、1≦nb1+nb2≦5である。Yは、2価の連結基又は単結合である。Mpは、オクタノール/水分配係数(logPOW)が4.8以下の有機アンモニウムカチオン、又はlogPOWが4.8以下のオニウムカチオンである。m’は、1以上の整数である。Xは、対アニオンである。Mm+は、オニウムカチオンである。mは、1以上の整数である。]
  2.  前記Mm+が、スルホニウムカチオンである、請求項1に記載の酸発生剤の製造方法。
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