JP2019174821A - ポジ型レジスト組成物、及びレジストパターン形成方法 - Google Patents

ポジ型レジスト組成物、及びレジストパターン形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポジ型レジスト組成物、レジストパターン形成方法、酸拡散制御剤及び高分子化合物の提供。【解決手段】露光により酸を発生し、かつ、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト組成物であって、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)と、下記一般式(m0)で表される化合物(m)とを含有することを特徴とする、ポジ型レジスト組成物。[式(m0)中、Z01〜Z04は、電子吸引性の置換基、Rb21及びRb22は、アルキル基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は水酸基、Rb1は、置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基又はアルケニル基であり、n1及びn2は、0〜3の整数、X0-は有機アニオン。][化1]【選択図】なし

Description

本発明は、ポジ型レジスト組成物、レジストパターン形成方法、光反応性クエンチャー及び高分子化合物に関する。
リソグラフィー技術においては、例えば基板の上にレジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、所定のパターンが形成されたマスクを介して、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。
露光した部分が現像液に溶解する特性に変化するレジスト材料をポジ型、露光した部分が現像液に溶解しない特性に変化するレジスト材料をネガ型という。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。
微細な寸法のパターンを形成できるレジスト材料として、従来、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分とを含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。かかるレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、レジストパターン形成時に選択的露光を行うと、露光部において、酸発生剤成分から酸が発生する。露光した部分が現像液に溶解する特性に変化するレジスト材料を用いた場合には、該酸の作用により露光部の極性が変化して、現像液に対する溶解性が変化した、ポジ型のレジストパターンが形成される。
微細な寸法のレジストパターンには、ラインワイズラフネス(LWR)が低減されていること、感度や解像度が良好であること、といった種々のリソグラフィー特性が求められる。リソグラフィー特性を良好なものとするため、酸発生剤成分については、様々な検討がされてきている。
例えば特許文献1には、所定量のフッ素原子を含有する酸発生剤成分を採用したことにより、LWRとプローブ欠陥を低減できるレジスト組成物が記載されている。
また、特許文献2には、所定量のフッ素原子を含有するトリフェニルスルホニウム骨格を有する酸発生剤成分を採用したことにより、ラインエッジラフネス等のリソグラフィー特性が向上できるレジスト組成物が記載されている。
特開2011−253017号公報 特開2005−91976号公報
今後、リソグラフィー技術のさらなる進歩、レジストパターンの微細化がますます進むなか、レジスト材料には、種々のリソグラフィー特性の向上が求められる。
特許文献1〜2に記載されているような従来の酸発生剤を用いた場合、種々のリソグラフィー特性には未だ改良の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、リソグラフィー特性に優れたレジストパターンを形成することができるレジスト組成物、及び該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することを課題とする。
本発明の第一の態様は、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト組成物であって、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)と、下記一般式(m0)で表される化合物(m)とを含有することを特徴とする、ポジ型レジスト組成物である。
Figure 2019174821
[一般式(m0)中、
01〜Z04は、それぞれ独立に電子吸引性の置換基であり、
Rb21及びRb22は、それぞれ独立に、アルキル基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は水酸基であり(但し、Rb21及びRb22が有していてもよい置換基に電子吸引性の置換基は含まないものとする。)、
Rbは、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルケニル基であり、
n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、
X0-は有機アニオンである。]
本発明の第二の態様は、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト組成物であって、酸の作用により現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)を含有し、前記基材成分(A)が、樹脂成分(A2)を含有し、前記樹脂成分(A2)が、下記一般式(a6−1)で表される化合物から誘導される構成単位(a6)を有する高分子化合物を含む、ポジ型レジスト組成物である。
Figure 2019174821
[一般式(a6−1)中、
01〜Z04は、それぞれ独立に電子吸引性の置換基であり、
Rb21及びRb22は、それぞれ独立に、アルキル基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は水酸基であり(但し、Rb21及びRb22が有していてもよい置換基に電子吸引性の置換基は含まないものとする。)、
Rbは、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルケニル基であり、
n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜3の整数である。
X11−1は、一般式(a6−1−1)〜(a6−1−3)のいずれかで表される有機アニオンである。一般式(a6−1−1)〜(a6−1−3)中、Rb201は、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、
Rb204は、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、
Rb205は、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。
Rb206〜Rb208は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である(但し、Rb206〜Rb208の少なくとも1つは、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である)。
Rb102は、フッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。Yb101は、単結合または酸素原子を含む2価の連結基である。Vb101〜Vb103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基、フッ素化アルキレン基、アリーレン基またはフッ素化アリーレン基である。Lb101〜Lb102は、それぞれ独立に、単結合または酸素原子である。Lb103〜Lb105は、それぞれ独立に、単結合、−CO−又は−SO−である。n101は0又は1である。]
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様のポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法である。
本発明の第四の態様は、下記一般式(m0−d)で表される化合物(md)からなることを特徴とする、光反応性クエンチャーである。
Figure 2019174821
[一般式(m0−d)中、
01〜Z04は、それぞれ独立に電子吸引性の置換基であり、
Rb21及びRb22は、それぞれ独立に、アルキル基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は水酸基であり(但し、Rb21及びRb22が有していてもよい置換基に電子吸引性の置換基は含まないものとする。)、
Rbは、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルケニル基であり、
n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜3の整数である。
X0は、一般式(d1−1)〜(d1−3)のいずれかで表される有機アニオンである。
一般式(d1−1)〜(d1−3)中、Rd〜Rdは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。ただし、式(d1−2)中のRdにおける、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は2つ以上結合していないものとする。Ydは単結合、又は2価の連結基である。]
本発明の第五の態様は、下記一般式(a6−1)で表される化合物から誘導される構成単位を有する高分子化合物である。
Figure 2019174821
[一般式(a6−1)中、
01〜Z04は、それぞれ独立に電子吸引性の置換基であり、
Rb21及びRb22は、それぞれ独立に、アルキル基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は水酸基であり(但し、Rb21及びRb22が有していてもよい置換基に電子吸引性の置換基は含まないものとする。)、
Rbは、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルケニル基であり、
n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜3の整数である。
X11−1は、一般式(a6−1−1)〜(a6−1−3)のいずれかで表される有機アニオンである。一般式(a6−1−1)〜(a6−1−3)中、Rb201は、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、
Rb204は、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、
Rb205は、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。
Rb206〜Rb208は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である(但し、Rb206〜Rb208の少なくとも1つは、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である)。
Rb102は、フッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。Yb101は、単結合または酸素原子を含む2価の連結基である。Vb101〜Vb103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基、フッ素化アルキレン基、アリーレン基またはフッ素化アリーレン基である。Lb101〜Lb102は、それぞれ独立に、単結合または酸素原子である。Lb103〜Lb105は、それぞれ独立に、単結合、−CO−又は−SO−である。n101は0又は1である。]
本発明によれば、リソグラフィー特性に優れたレジストパターンを形成できるレジスト組成物、及び該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することができる。
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH=CH−COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基(Rα)は、水素原子以外の原子又は基であり、たとえば炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。
「ヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子を有機基で置換したもの、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンのベンゼン環に、水酸基以外の置換基が結合したもの、等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
「ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位」とは、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ビニル安息香酸誘導体」とは、ビニル安息香酸のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のカルボキシ基の水素原子を有機基で置換したもの、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のベンゼン環に、水酸基およびカルボキシ基以外の置換基が結合したもの、等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
「スチレン誘導体」とは、スチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたものを意味する。
「スチレンから誘導される構成単位」、「スチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、スチレン又はスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
上記α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、炭素数1〜5のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1〜5が好ましく、1が最も好ましい。
「置換基を有していてもよい」と記載する場合、水素原子(−H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(−CH−)を2価の基で置換する場合の両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
<ポジ型レジスト組成物>
本発明の第一の態様であるポジ型レジスト組成物(以下、単に「レジスト組成物」と記載することがある。)は、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト組成物であって、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)と、下記一般式(m0)で表される化合物(m)とを含有することを特徴とする。
Figure 2019174821
[一般式(m0)中、
01〜Z04は、それぞれ独立に電子吸引性の置換基であり、
Rb21及びRb22は、それぞれ独立に、アルキル基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は水酸基であり(但し、Rb21及びRb22が有していてもよい置換基に電子吸引性の置換基は含まないものとする。)、
Rbは、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルケニル基であり、
n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、
X0-は有機アニオンである。]
本実施形態において、ポジ型レジスト組成物は、露光により酸を発生する酸発生能を有するものであり、(A)成分が露光により酸を発生してもよく、(A)成分とは別に配合された添加剤成分が露光により酸を発生してもよい。
具体的には、本実施形態において、ポジ型レジスト組成物は、
(1)露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するものであってもよく;
(2)(A)成分が露光により酸を発生する成分であってもよく;
(3)(A)成分が露光により酸を発生する成分であり、かつ、さらに(B)成分を含有するものであってもよい。
すなわち、上記(2)及び(3)の場合、(A)成分は、「露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が増大する基材成分」となる。この場合の(A)成分としては、例えば、後述の一般式(a6−1)で表される化合物から誘導される構成単位(a6)を有する高分子化合物が好ましい。このような高分子化合物としては、露光により酸を発生する構成単位を有する樹脂を用いることができる。露光により酸を発生する構成単位としては、公知のものを用いることができる。
本実施形態において、レジスト組成物は、上記(1)の場合であることが特に好ましい。
本発明の第一の態様のポジ型レジスト組成物が含有する酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)については、後述する本発明の第1の実施形態において説明する基材成分(A)と同様のものが挙げられる。
[化合物(m)]
化合物(m)は、下記一般式(m0)で表される。化合物(m)は、露光により分解し、酸を発生する化合物である。
Figure 2019174821
[一般式(m0)中、
01〜Z04は、それぞれ独立に電子吸引性の置換基であり、
Rb21及びRb22は、それぞれ独立に、アルキル基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は水酸基であり(但し、Rb21及びRb22が有していてもよい置換基に電子吸引性の置換基は含まないものとする。)、
Rbは、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルケニル基であり、
n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、
X0-は有機アニオンである。]
〔Z01〜Z04
一般式(m0)中、Z01〜Z04は、それぞれ独立に電子吸引性の置換基である。
01〜Z04の電子吸引性の置換基としては、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、エステル基、スルホキシド基、シアノ基、アミド基、カルボキシ基、カルボニル基等が挙げられる。
これらの置換基の中でも、レジスト組成物の感度を向上させる観点から、ハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基が好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子又は塩素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基が好ましく、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基がより好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
01〜Z04の電子吸引性の置換基はそれぞれ独立に、同一であっても異なっていてもよいが、合成における操作性を容易とする観点から、Z01〜Z04は同一の電子吸引性の置換基であることが好ましく、Z01〜Z04は同種のハロゲン原子であることがより好ましく、Z01〜Z04はフッ素原子であることが特に好ましい。
〔Rb21及びRb22
一般式(m0)中、Rb21及びRb22は、それぞれ独立に、アルキル基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は水酸基である。但し、Rb21及びRb22が有していてもよい置換基に、上述の電子吸引性の置換基は含まない。
《アルキル基》
Rb21及びRb22におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
《置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基》
Rb21及びRb22における脂環式炭化水素基としては、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜8のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
Rb21及びRb22が有していてもよい置換基としては、アルキル基が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることがより好ましい。
上記のなかでもRb21及びRb22としては、アルキル基が好ましい。該アルキル基としては炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
〔Rb
Rbは、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルケニル基である。
《置換基を有していてもよいアリール基》
Rbにおけるアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
《置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルケニル基》
Rbにおけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。
Rbにおけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
《Rbにおける置換基》
Rbが有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、アリール基、アリールチオ基、下記一般式(ca−r−1)〜(ca−r−7)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2019174821
[一般式(ca−r−1)〜(ca−r−7)中、R’201はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい環式基、鎖状のアルキル基、または鎖状のアルケニル基である。]
R’201の置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基は、後述する第2実施形態において説明する一般式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる他、置換基を有していてもよい環式基又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基として後述する一般式(a1−r−2)で表される酸解離性基と同様のものも挙げられる。
Rbとしては、置換基を有していてもよいアリール基が好ましい。
〔n1及びn2〕
n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、0又は1であることがより好ましい。
一般式(m0)で表される化合物のカチオン部は、下記一般式(m0−1)で表されるカチオン部が好ましい。
Figure 2019174821
[一般式(m0−1)中、
011〜Z014は、それぞれ独立にハロゲン原子であり、
Rb221及びRb222は、それぞれ独立に、アルキル基であり、
Rbは、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルケニル基であり、
n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜3の整数である。]
一般式(m0−1)中、Z011〜Z014は、それぞれ独立にハロゲン原子であり、フッ素原子又は塩素原子であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。
一般式(m0−1)中、Rb221及びRb222は、それぞれ独立に、アルキル基であり、該アルキル基としては、前記一般式(m0)においてRb21及びRb22において説明したアルキル基と同様の基が挙げられる。中でも、Rb221及びRb222は、メチル基又はエチル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
一般式(m0−1)中、Rb、n1及びn2についての説明は、前記一般式(m0)における、Rb、n1及びn2についての説明と同様である。
さらに、一般式(m0)で表される化合物のカチオン部は、下記一般式(m0−1−1)で表されるカチオン部がより好ましい。
Figure 2019174821
[一般式(m0−1−1)中、
Rb221及びRb222は、それぞれ独立に、アルキル基であり、
n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、
Rb321は、アルキル基又は前記一般式(ca−r−1)〜(ca−r−7)のいずれかで表される置換基であり、n31は0〜5の整数である。]
一般式(m0−1−1)中、Rb221及びRb222としては、アルキル基としては炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
n31は0〜5の整数であり、0〜3の整数であることがより好ましい。
一般式(m0−1−1)中、Rb321は、アルキル基又は前記一般式(ca−r−1)〜(ca−r−7)のいずれかで表される置換基である。
Rb321がアルキル基である場合には、メチル基又はエチル基が好ましい。
Rb321が前記一般式(ca−r−1)〜(ca−r−7)のいずれかで表される置換基である場合には、前記一般式(ca−r−1)で表される基が好ましい。この場合、前記一般式(ca−r−1)で表される基中のR’201としては、炭素数1〜5の無置換のアルキル基が好ましい。
以下に、化合物(m0)のカチオン部の具体例を記載する。
Figure 2019174821
〔X0-
X0-で表される有機アニオンとしては特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤等に提案されてきた化合物の各種の有機アニオンを使用することができる。
X0-で表される有機アニオンとして例えば、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、スルホニルメチドアニオン、カンファースルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン等が挙げられる。
より具体的に、X0-で表される有機アニオンとして好ましくは、後述する一般式(m−an−1)〜(m−an−3)のいずれかで表されるアニオン、又は後述する一般式(d1−1)〜(d1−3)のいずれかで表される有機アニオンと同様のものが挙げられる。
本発明の第一の態様であるポジ型レジスト組成物中、化合物(m)の含有割合は、特に限定されず、所望とするポジ型レジスト組成物の性質等に応じて適宜調整できる。
上述した一般式(m0)で表される化合物(m)は、露光により分解して酸を発生し得る。化合物(m)のカチオン部は、電子吸引性の置換基が導入されていることにより分解しやすい構造となっている。このため、本発明のポジ型レジスト組成物によれば、レジストパターンを形成する際の感度を高める効果がある。
[化合物(m)の製造方法]
上記化合物(m)の製造方法について説明する。
化合物(m)の製造方法は特に限定されず、化合物(m)としては、公知の方法を利用して製造でき、例えば、以下の第1〜第3工程により得ることができる。
化合物(m)は、例えば、一般式(m1)で表される化合物と、塩化チオニル(又は塩化チオニル誘導体)とを反応させ、一般式(m2)で表される化合物を合成する第1工程と、得られた一般式(m2)で表される化合物に所望の置換基を導入し、一般式(m3)で表される化合物を得る第2工程と、得られた一般式(m3)で表される化合物を用いた塩交換により、化合物(m0)を得る第3工程と、を含む製造方法により、製造することができる。
Figure 2019174821
[式中、Rzは前記一般式(m0)におけるZ01〜Z04に対応し、それぞれ独立に電子吸引性の置換基である。
Rbは、前記一般式(m0)におけるRb21及びRb22に対応し、それぞれ独立に、アルキル基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は水酸基である。
nは前記一般式(m0)におけるn1及びn2に対応し、それぞれ独立に、0〜3の整数である。]
Figure 2019174821
[式中、Rzは前記一般式(m0)におけるZ01〜Z04に対応し、それぞれ独立に電子吸引性の置換基である。
Rbは、前記一般式(m0)におけるRb21及びRb22に対応し、それぞれ独立に、アルキル基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は水酸基である。
nは前記一般式(m0)におけるn1及びn2に対応し、それぞれ独立に、0〜3の整数である。
Rb−mは、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルケニル基を有する化合物である。
Rbは、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルケニル基である。]
Figure 2019174821
[式中、Rzは前記一般式(m0)におけるZ01〜Z04に対応し、それぞれ独立に電子吸引性の置換基である。
Rbは、前記一般式(m0)におけるRb21及びRb22に対応し、それぞれ独立に、アルキル基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は水酸基である。
nは前記一般式(m0)におけるn1及びn2に対応し、それぞれ独立に、0〜3の整数である。X0-は有機アニオンである。
Rbは、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルケニル基である。]
上記式(m1)〜(m3)で表される各化合物は、市販のものを用いてもよく、公知の製造方法により合成したものを用いてもよい。
第1工程〜第2工程で用いる溶媒としては、使用する塩化チオニル、化合物(m1)〜(3)、化合物Rb−m、トリフルオロメタンスルホン酸無水物等が溶解可能で、かつそれらと反応しないものであればよく、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。
第3工程においては、後述する一般式(m−an−1)〜(m−an−3)のいずれかで表されるアニオン、又は後述する一般式(d1−1)〜(d1−3)のいずれかで表される有機アニオンと塩交換することにより、化合物(m0)を誘導することができる。
反応終了後、反応液中の化合物を単離、精製してもよい。単離、精製には、従来公知の方法が利用でき、例えば、濃縮、溶媒抽出、蒸留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等をいずれか単独又はこれら2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のようにして得られる化合物の構造は、H−核磁気共鳴(NMR)スペクトル法、13C−NMRスペクトル法、19F−NMRスペクトル法、赤外線吸収(IR)スペクトル法、質量分析(MS)法、元素分析法、X線結晶回折法等の一般的な有機分析法により確認できる。
本発明の第一の態様のポジ型レジスト組成物として、以下に示す第1〜2の各実施形態のポジ型レジスト組成物が挙げられる。
≪第1実施形態≫
第1実施形態のポジ型レジスト組成物(以下、「第1のポジ型レジスト組成物」ともいう)は、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト組成物であって、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)(以下、「(A)成分」と記載する)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B1)(以下、「(B1)成分」と記載する)と、光反応性クエンチャー(D1)(以下、「(D1)成分」と記載する)と、を含有し、前記(B1)成分が、化合物(m)を含むことを特徴とする。
かかる第1のポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行うと、露光部にて(B1)成分から酸が発生する。該酸の作用により(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。一方、未露光部においては、(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大しない。このため、露光部と未露光部とでアルカリ現像液に対する溶解性の差が生じる。よって、該露光後のレジスト膜をアルカリ現像すると、露光部が除去され、ポジ型レジストパターンが形成される。
[(A)成分]
本発明のポジ型レジスト組成物が含有する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)について説明する。
本実施形態において、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、加えて、ナノレベルの感光性樹脂パターンを形成しやすい。
基材成分として用いられる有機化合物は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、「低分子化合物」という場合は、分子量が500以上4000未満の非重合体を示す。
重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。以下、「樹脂」という場合は、分子量が1000以上の重合体を示す。
重合体の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量を用いるものとする。
(A)成分としては、樹脂を用いてもよく、低分子化合物を用いてもよく、これらを併用してもよい。
(A)成分は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するものである。
また、本実施形態において(A)成分は、露光により酸を発生するものであってもよい。
本実施形態において、(A)成分は、現像液に対する溶解性が変化する樹脂成分(A1)を含んでいることが好ましい。樹脂成分(A1)は、一般式(a9−1)で表される構成単位(a9)、又はヒドロキシ基を有する芳香族炭化水素基を含む構成単位(a10)を有するものが好ましい。
さらに、上記構成単位(a9)又は(a10)に加えて、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(以下、「構成単位(a1)」ということがある。)、一般式(a12−1)で表される構成単位(a12)、−SO−含有環式基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基又はこれら以外の複素環式基を有する構成単位(以下、「構成単位(a2)」ということがある。)、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(以下、「構成単位(a3)」と記載することがある。)、又は酸非解離性環式基を含む構成単位(以下、「構成単位(a4)」と記載することがある。)を有することが好ましい。
(構成単位(a9))
構成単位(a9)は、下記一般式(a9−1)で表される。
Figure 2019174821
[一般式(a9−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Ya91は単結合または2価の連結基であり、R91は置換基を有していてもよい炭化水素基であり、Ya92は2価の連結基である。]
一般式(a9−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
nは自然数であり、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。
一般式(a9−1)中、Ya91における2価の連結基は、後述の式(a2−1)中のYa21の2価の連結基と同様のものが挙げられる。Ya91は単結合であることが好ましい。
前記式(a9−1)中、Ya92における2価の連結基は、上記Ya91における2価の連結基と同様、後述の式(a2−1)中のYa21の2価の連結基と同様のものが挙げられる。中でも、式(a9−1)中のYa92における2価の連結基において、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
また、式(a9−1)中のYa92における2価の連結基において、ヘテロ原子を有していてもよい2価の連結基としては、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、−C(=S)−、一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−−Y21、[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m’は0〜3の整数である。]等が挙げられる。なかでも、−C(=O)−、−C(=S)−が好ましい。
一般式(a9−1)中、R91における炭化水素基としては、アルキル基、1価の脂環式炭化水素基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。
91におけるアルキル基は、炭素数1〜8が好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が好ましいものとして挙げられる。
91における1価の脂環式炭化水素基は、炭素数3〜20が好ましく、炭素数3〜12がより好ましく、多環式でもよく、単環式でもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
91におけるアリール基は、炭素数6〜18であるものが好ましく、炭素数6〜10であるものがより好ましく、具体的にはフェニル基が特に好ましい。
91におけるアラルキル基は、炭素数7〜10もアラルキル基が好ましく、炭素数7〜10のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基が挙げられる。
91における炭化水素基は、当該炭化水素基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていることが好ましく、当該炭化水素基の水素原子の30〜100%がフッ素原子で置換されていることがより好ましい。なかでも、上述したアルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基であることが特に好ましい。
91における炭化水素基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、オキソ基(=O)、水酸基(−OH)、アミノ基(−NH)、−SO−NH等が挙げられる。また、その炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−NH−、−N=、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が挙げられる。
91において、置換基を有する炭化水素基としては、前記の一般式(a2−r−1)、〜(a2−r−7)、でそれぞれ表されるラクトン含有環式基が挙げられる。
またR91において、置換基を有する炭化水素基としては、後述する一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基;下記化学式で表される、置換アリール基、1価の複素環式基などが挙げられる。以下の式(r−ar−1)〜(r−ar−8)、(r−hr−1)〜(r−hr−10)中、「*」はYa92との結合手を示す。
Figure 2019174821
以下に前記一般式(a9−1)で表される構成単位の具体例を示す。下記式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2019174821
Figure 2019174821
上記一般式(a9−1)で表される構成単位としては、下記一般式(a9−1−1)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 2019174821
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Ya91は単結合または2価の連結基であり、R91は置換基を有していてもよい炭化水素基であり、R92は酸素原子又は硫黄原子である。]
一般式(a9−1−1)中、Ya91、R91、Rについての説明は前記同様である。また、R92は酸素原子又は硫黄原子である。
以下に前記一般式(a9−1−1)で表される構成単位の具体例を示す。下記式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2019174821
(A1)成分が含有する構成単位(a9)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A1)成分が構成単位(a9)を有する場合、構成単位(a9)の割合は、該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜60モル%であることが好ましく、3〜55モル%がより好ましく、10〜50モル%が特に好ましい。構成単位(a9)の割合を下限値以上とすることにより、現像特性やELマージン等のリソグラフィー特性が向上し、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
(構成単位(a10))
構成単位(a10)は、ヒドロキシ基を有する芳香族炭化水素基を含む構成単位である。
構成単位(a10)としては、
下記一般式(a10)−1−1〜(a10)−1−2、
下記一般式(a10)−2−1〜(a10)−2−2、
下記一般式(a10)−3−1〜(a10)−3−4、
下記一般式(a10)−4−1〜(a10)−4−4、
のいずれかで表される構成単位(a10)が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2019174821
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。nは自然数である。)
Figure 2019174821
(式中、nは自然数である。)
Figure 2019174821
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。nは自然数である。)
Figure 2019174821
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。nは自然数である。)
上記一般式(a10)−1−2、(a10)−3−3〜(a10)−3−4、でそれぞれ表される構成単位(a10)において、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
nは自然数であり、1〜9が好ましく、1〜7がより好ましく、1〜5であることが特に好ましく、1〜3であることが極めて好ましい。
以下に上記一般式(a10)−1−1で表される構成単位の具体例を記載する。
Figure 2019174821
以下に上記一般式(a10)−1−2で表される構成単位の具体例を記載する。
Figure 2019174821
以下に上記一般式(a10)−2−1で表される構成単位の具体例を記載する。
Figure 2019174821
以下に上記一般式(a10)−2−2で表される構成単位の具体例を記載する。
Figure 2019174821
以下に上記一般式(a10)−3−1で表される構成単位の具体例を記載する。
Figure 2019174821
以下に上記一般式(a10)−3−2で表される構成単位の具体例を記載する。
Figure 2019174821
以下に上記一般式(a10)−3−3で表される構成単位の具体例を記載する。
Figure 2019174821
以下に上記一般式(a10)−3−4で表される構成単位の具体例を記載する。
Figure 2019174821
以下に上記一般式(a10)−4−1で表される構成単位の具体例を記載する。
Figure 2019174821
以下に上記一般式(a10)−4−2で表される構成単位の具体例を記載する。
Figure 2019174821
以下に上記一般式(a10)−4−3で表される構成単位の具体例を記載する。
Figure 2019174821
以下に上記一般式(a10)−4−4で表される構成単位の具体例を記載する。
Figure 2019174821
(A1)成分が含有する構成単位(a10)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A1)成分が構成単位(a10)を有する場合、構成単位(a10)の割合は、該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜60モル%であることが好ましく、10〜50モル%がより好ましい。構成単位(a10)の割合を下限値以上とすることにより、現像特性やELマージン等のリソグラフィー特性が向上し、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
(構成単位(a1))
構成単位(a1)は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位である。
「酸分解性基」は、酸の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、たとえば、酸の作用により分解して極性基を生じる基が挙げられる。
極性基としては、たとえばカルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SOH)等が挙げられる。これらのなかでも、構造中に−OHを含有する極性基(以下「OH含有極性基」ということがある。)が好ましく、カルボキシ基または水酸基が好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
酸分解性基としてより具体的には、前記極性基が酸解離性基で保護された基(たとえばOH含有極性基の水素原子を、酸解離性基で保護した基)が挙げられる。
ここで「酸解離性基」とは、
(i)酸の作用により、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基、又は、
(ii)酸の作用により一部の結合が開裂した後、さらに脱炭酸反応が生じることにより、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る基、
の双方をいう。
酸分解性基を構成する酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する極性基よりも極性の低い基であることが必要で、これにより、酸の作用により該酸解離性基が解離した際に、該酸解離性基よりも極性の高い極性基が生じて極性が増大する。その結果、(A1)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、相対的に、現像液に対する溶解性が変化し、現像液が有機系現像液の場合には溶解性が減少する。
酸解離性基としては、特に限定されず、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものを使用することができる。
上記極性基のうち、カルボキシ基または水酸基を保護する酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(a1−r−1)で表される酸解離性基(以下、便宜上「アセタール型酸解離性基」ということがある)が挙げられる。
Figure 2019174821
[式中、Ra’、Ra’は水素原子またはアルキル基、Ra’は炭化水素基、Ra’は、Ra’、Ra’のいずれかと結合して環を形成してもよい。*は結合手を意味する。]
一般式(a1−r−1)中、Ra’、Ra’のアルキル基としては、上記α置換アクリル酸エステルについての説明で、α位の炭素原子に結合してもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
Ra’の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく;直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジメチルエチル基、1,1−ジエチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、2,2,−ジメチルブチル基等が挙げられる。
Ra’が環状の炭化水素基となる場合、脂肪族でも芳香族でもよく、また多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜8のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
芳香族炭化水素基となる場合、含まれる芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基);前記アリール基の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基);等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
Ra’が、Ra’、Ra’のいずれかと結合して環を形成する場合、該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
上記極性基のうち、カルボキシ基を保護する酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(a1−r−2)で表される酸解離性基が挙げられる(下記式(a1−r−2)で表される酸解離性基のうち、アルキル基により構成されるものを、以下、便宜上「第3級アルキルエステル型酸解離性基」ということがある)。
Figure 2019174821
[一般式(a1−r−2)中、Ra’〜Ra’は炭化水素基であり、Ra’、Ra’は互いに結合して環を形成してもよい。*は結合手を意味する。]
Ra’〜Ra’の炭化水素基としては前記Ra’と同様のものが挙げられる。Ra’は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。Ra’、Ra’が互いに結合して環を形成する場合、下記一般式(a1−r2−1)で表される基が挙げられる。
一方、Ra’〜Ra’が互いに結合せず、独立した炭化水素基である場合、下記一般式(a1−r2−2)で表される基が挙げられる。
Figure 2019174821
[一般式(a1−r2−1)又は(a1−r2−2)中、Ra’10は炭素数1〜10のアルキル基、Ra’11はRa’10が結合した炭素原子と共に脂肪族環式基を形成する基、Ra’12〜Ra’14は、それぞれ独立に炭化水素基を示す。*は結合手を意味する。]
一般式(a1−r2−1)中、Ra’10の炭素数1〜10のアルキル基のアルキル基は、一般式(a1−r−1)におけるRa’の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基として挙げた基が好ましい。一般式(a1−r2−1)中、Ra’11が構成する脂肪族環式基は、一般式(a1−r−1)におけるRa’の環状のアルキル基として挙げた基が好ましい。
一般式(a1−r2−2)中、Ra’12及びRa’14はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、該アルキル基は、一般式(a1−r−1)におけるRa’の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基として挙げた基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状アルキル基であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
一般式(a1−r2−2)中、Ra’13は、一般式(a1−r−1)におけるRa’の炭化水素基として例示された直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であることが好ましい。これらの中でも、Ra’の環状のアルキル基として挙げられた基であることがより好ましい。
前記一般式(a1−r2−1)で表される基の具体例を以下に挙げる。以下の式中、「*」は結合手を示す。
Figure 2019174821
前記一般式(a1−r2−2)で表される基の具体例を以下に挙げる。
Figure 2019174821
また、上記極性基のうち水酸基を保護する酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(a1−r−3)で表される酸解離性基(以下、便宜上「第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基」ということがある)が挙げられる。
Figure 2019174821
[一般式(a1−r−3)中、Ra’〜Ra’はアルキル基を示す。*は結合手を意味する。]
一般式(a1−r−3)中、Ra’〜Ra’は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、1〜3がより好ましい。
また、各アルキル基の合計の炭素数は、3〜7であることが好ましく、3〜5であることがより好ましく、3〜4であることが最も好ましい。
構成単位(a1)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位;ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位の水酸基における水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位;ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位の−C(=O)−OHにおける水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位等が挙げられる。
構成単位(a1)としては、上記のなかでも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
構成単位(a1)として、下記一般式(a1−1)又は(a1−2)で表される構成単位が好ましい。
Figure 2019174821
[一般式(a1−1)又は(a1−2)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vaはエーテル結合、ウレタン結合、又はアミド結合を有していてもよい2価の炭化水素基であり、na1は0〜2であり、Raは上記一般式(a1−r−1)〜(a1−r−2)で表される酸解離性基である。Waはna2+1価の炭化水素基であり、na2は1〜3であり、Raは上記一般式(a1−r−1)または(a1−r−3)で表される酸解離性基である。]
前記一般式(a1−1)中、炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
Vaの炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。Vaにおける2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
またVaとしては上記2価の炭化水素基がエーテル結合、ウレタン結合、又はアミド結合を介して結合したものが挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
前記Vaにおける2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基);前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基);等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記一般式(a1−2)中、Waにおけるna2+1価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。該脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味し、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、或いは直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基と構造中に環を含む脂肪族炭化水素基とを組み合わせた基が挙げられ、具体的には、上述の一般式(a1−1)のVaで表される基と同じ基が挙げられる。
前記na2+1価は、2〜4価が好ましく、2又は3価がより好ましい。
前記一般式(a1−2)で表される構成単位としては、特に、下記一般式(a1−2−01)で表される構成単位が好ましい。
Figure 2019174821
一般式(a1−2−01)中、Raは上記一般式(a1−r−1)または(a1−r−3)で表される酸解離性基である。na2は1〜3の整数であり、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。cは0〜3の整数であり、0又は1であることが好ましく、1であることがより好ましい。Rは前記と同じである。
以下に上記一般式(a1−1)又は(a1−2)で表される構成単位の具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2019174821
Figure 2019174821
Figure 2019174821
Figure 2019174821
Figure 2019174821
(A1)成分が含有する構成単位(a1)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A1)成分中の構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、20〜80モル%が好ましく、20〜75モル%がより好ましく、25〜70モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、感度、解像性、LWR等のリソグラフィー特性も向上する。また、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
(構成単位(a12))
構成単位(a12)は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位であって、下記一般式(a12−1)で表される構成単位である。
Figure 2019174821
[一般式(a12−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Yaは炭素原子である。XaはYaとともに脂環式炭化水素基を形成するために必要な原子団である。Ra01は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。]
《R》
前記一般式(a12−1)中、Rにおける炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
《Xa》
前記一般式(a12−1)において、XaがYaとともに形成する脂環式炭化水素基の炭素数は特に限定されないが、5〜25であることが好ましく、より好ましくは5〜20、更に好ましくは5〜15である。
また、この脂環式炭化水素基は、単環式のものであってもよいし、多環式のものであってもよい。脂環式部分の具体的な構造としては、例えば、下記の式(Xa−1)〜(Xa−50)でそれぞれ表される構造を挙げることができる。
Figure 2019174821
Figure 2019174821
Figure 2019174821
Figure 2019174821
Figure 2019174821
Figure 2019174821
特に、前記一般式(a12−1)におけるXaがYaとともに形成する脂環式炭化水素基は、モノシクロ、ビシクロ、トリシクロ又はテトラシクロ構造等を有する基であることが好ましい。
前記脂環式炭化水素基の具体的な例としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、及びシクロドデカニル基等のシクロアルキル基;アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基(デカリニル基)、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基等を挙げることができる。
これらのなかでも、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、及びシクロドデカニル基等のシクロアルキル基;アダマンチル基、デカリン残基、ノルボルニル基等が好ましい。特に、炭素数5〜15のシクロアルキル基であることが好ましい。
また、前記脂環式炭化水素基は、置換されたものであってもよいし、非置換のものであってもよい。置換基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、臭素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アルキルオキシカルボニ基等を挙げることができる。
《Ra01
前記Ra01の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、下記の式(Ra01−1)〜(Ra01−3)でそれぞれ表される構造に由来する基を挙げることができる。
尚、Ra01が下記の(Ra01−2)に由来する基(即ち、ナフチル基)である場合、前記一般式(a12−1)におけるYaに結合する結合位置は、1位及び2位のいずれであってもよい。
また、Ra01が下記の(Ra01−3)に由来する基(即ち、アントリル基)である場合、前記一般式(a12−1)におけるYaに結合する結合位は、1位、2位及び9位のいずれであってもよい。
また、このアリール基は、置換基を有していてもよい。置換基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アルキルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
Figure 2019174821
Figure 2019174821
[一般式(a12−1−1)において、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Ra001は炭素数1〜4のアルキル基であり、Yaは炭素原子であり、XaはYaとともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団であり、n1は0〜3の整数である。]
一般式(a12−1−1)におけるRa001の炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、一般式(a12−1−1)におけるn1は、0〜3の整数であり、0又は1であることがより好ましい。
一般式(a12−1−1)における「XaがYaとともに形成する脂環式炭化水素基」については、前述の一般式(a12−1)における「XaがYaとともに形成する脂環式炭化水素基」の説明をそのまま適用することができる。
以下に、構成単位(a12)の具体例を記載する。以下の式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
Figure 2019174821
(A1)成分が含有する構成単位(a12)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A1)成分中の構成単位(a12)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、50〜80モル%が好ましく、10〜75モル%がより好ましく、10〜70モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、感度、解像性、LWR等のリソグラフィー特性も向上する。また、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
(構成単位(a2))
構成単位(a2)は、−SO−含有環式基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基又はこれら以外の複素環式基を有する構成単位である。
構成単位(a2)の−SO−含有環式基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基又はこれら以外の複素環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めるうえで有効なものである。
なお、前述の構成単位(a1)がその構造中に−SO−含有環式基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基又はこれら以外の複素環式基を含むものである場合、該構成単位は構成単位(a2)にも該当するが、このような構成単位は構成単位(a1)に該当し、構成単位(a2)には該当しないものとする。
構成単位(a2)は、下記一般式(a2−1)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 2019174821
[一般式(a2−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Ya21は単結合または2価の連結基であり、La21は−O−、−COO−、−CON(R’)−、−OCO−、−CONHCO−又は−CONHCS−であり、R’は水素原子またはメチル基を示す。ただしLa21が−O−の場合、Ya21は−CO−にはならない。Ra21は−SO−含有環式基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基又はこれら以外の複素環式基である。]
Ya21の2価の連結基としては特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
置換基を有していてもよい2価の炭化水素基
2価の連結基としての炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられ、具体的には、上述の一般式(a1−1)におけるVaで例示した基が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、カルボニル基等が挙げられる。
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含んでもよい環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基としては、具体的には、上述の一般式(a1−1)におけるVaで例示した基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。
2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基としては、具体的には、上述の一般式(a1−1)におけるVaで例示された基が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子およびハロゲン化アルキル基としては、前記環状の脂肪族炭化水素基が有する水素原子を置換する置換基として例示したものが挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の連結基
ヘテロ原子を含む2価の連結基におけるヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
Ya21がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとして、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−−Y21、[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m’は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
前記へテロ原子を含む2価の連結基が−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−の場合、そのHはアルキル基、アシル等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y21、−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−中、Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記2価の連結基としての説明で挙げた「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」と同様のものが挙げられる。
21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基において、m’は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基としては、式−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CHa’−C(=O)−O−(CHb’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
本実施形態において、Ya21としては、単結合、又はエステル結合[−C(=O)−O−]、エーテル結合(−O−)、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基若しくはこれらの組合せであることが好ましい。
前記一般式(a2−1)中、Ra21は−SO−含有環式基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基又はこれら以外の複素環式基である。
「−SO−含有環式基」とは、その環骨格中に−SO−を含む環を含有する環式基を示し、具体的には、−SO−における硫黄原子(S)が環式基の環骨格の一部を形成する環式基である。その環骨格中に−SO−を含む環をひとつ目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。−SO−含有環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
−SO−含有環式基は、特に、その環骨格中に−O−SO−を含む環式基、すなわち−O−SO−中の−O−S−が環骨格の一部を形成するスルトン(sultone)環を含有する環式基であることが好ましい。−SO−含有環式基として、より具体的には、下記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2019174821
[式中、Ra’51はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子またはアルキル基であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、n’は0〜2の整数である。]
前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)中、A”は後述する一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中のA”と同様である。Ra’51におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、後述する一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中のRa’21と同様である。
下記に一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。式中の「Ac」は、アセチル基を示す。
Figure 2019174821
Figure 2019174821
Figure 2019174821
本実施形態において、構成単位(a2)が−SO−含有環式基を含む場合、上記の中でも、前記一般式(a5−r−1)で表される基が好ましく、前記化学式(r−sl−1−1)、(r−sl−1−18)、(r−sl−3−1)および(r−sl−4−1)のいずれかで表される基からなる群から選択される少なくとも一種を用いることがより好ましく、前記化学式(r−sl−1−1)で表される基が最も好ましい。
「ラクトン含有環式基」とは、その環骨格中に−O−C(=O)−を含む環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。ラクトン含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
ラクトン含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表される基が挙げられる。以下、「*」は結合手を表す。
Figure 2019174821
[式中、Ra’21はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子またはアルキル基であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、n’は0〜2の整数であり、m’は0または1である。]
前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中、A”は、酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子である。A”における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が挙げられる。A”としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。Ra’21はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基である。
Ra’21におけるアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
Ra’21におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。
該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記Ra’21におけるアルキル基として挙げたアルキル基と酸素原子(−O−)とが連結した基が挙げられる。
Ra’21におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
Ra’21におけるハロゲン化アルキル基としては、前記Ra’21におけるアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
R”は水素原子またはアルキル基であり、R”のアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
下記に一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。
Figure 2019174821
本実施形態において、構成単位(a2)は、前記一般式(a2−r−1)または(a2−r−2)でそれぞれ表される基が好ましく、前記化学式(r−lc−1−1)又は(r−lc−2−7)でそれぞれ表される基がより好ましい。
「カーボネート含有環式基」とは、その環骨格中に−O−C(=O)−O−を含む環(カーボネート環)を含有する環式基を示す。カーボネート環をひとつ目の環として数え、カーボネート環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。カーボネート含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
カーボネート環含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2019174821
[式中、Ra’x31はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子またはアルキル基であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子でありq’は0または1である。p’は、0〜3の整数である。]
前記一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)中のA”は、A”は前記一般式(a2−r−1)中のA”と同様である。
Ra’31におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中のRa’21の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
下記に一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。
Figure 2019174821
上記以外の「複素環式基」とは、炭素に加えて1個以上の炭素以外の原子を含む環式基をいい、後述する化学式(r−hr−1)〜(r−hr−16)にそれぞれ挙げる複素環式基や、窒素含有複素環式基等が挙げられる。窒素含有複素環式基としては、1個又は2個のオキソ基で置換されていてもよい炭素数3〜8のシクロアルキル基が挙げられる。該窒素含有シクロアルキル基としては、例えば、2,5−ジオキソピロリジンや、2,6−ジオキソピペリジンから水素原子を1個以上を除いた基が好適なものとして挙げられる。
(A1)成分が有する構成単位(a2)は1種でも2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a2)を有する場合、構成単位(a2)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜80モル%であることが好ましく、5〜70モル%であることがより好ましく、10〜65モル%であることがさらに好ましく、10〜60モル%が特に好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができ、種々のリソグラフィー特性及びパターン形状が良好となる。
(構成単位(a3))
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(ただし、上述した構成単位(a1)、(a2)に該当するものを除く)である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、解像性の向上に寄与すると考えられる。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、環状の脂肪族炭化水素基(環式基)が挙げられる。該環式基としては、単環式基でも多環式基でもよく、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該環式基としては多環式基であることが好ましく、炭素数は7〜30であることがより好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むものであれば特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
構成単位(a3)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位が好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記の一般式(a3−1)で表される構成単位、一般式(a3−2)で表される構成単位、一般式(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2019174821
[一般式(a3−1)〜(a3−3)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。]
一般式(a3−1)〜(a3−3)中、Rに関する説明は前記同様である。
一般式(a3−1)中、jは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、特に、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
一般式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基は、ノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
一般式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらは、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
(A1)成分が含有する構成単位(a3)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A1)成分中、構成単位(a3)の割合は、当該樹脂成分(A1)を構成する全構成単位の合計に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
構成単位(a3)の割合を下限値以上とすることにより、構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
(構成単位(a4))
構成単位(a4)は、酸非解離性環式基を含む構成単位である。(A1)成分が構成単位(a4)を有することにより、形成されるレジストパターンのドライエッチング耐性が向上する。また、(A1)成分の疎水性が高まる。疎水性の向上は、特に有機溶剤現像の場合に、解像性、レジストパターン形状等の向上に寄与すると考えられる。
構成単位(a4)における「酸非解離性環式基」は、露光により後述の(B)成分から酸が発生した際に、該酸が作用しても解離することなくそのまま当該構成単位中に残る環式基である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位等が好ましい。該環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−7)のいずれかで表される構成単位を例示することができる。
Figure 2019174821
[式(a4−1)〜(a4−7)中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。]
(A1)成分が含有する構成単位(a4)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
構成単位(a4)を(A1)成分に含有させる際、構成単位(a4)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜30モル%であることが好ましく、10〜20モル%であることがより好ましい。
(A1)成分は、
(a1)及び(a10)を有する共重合体、
(a1)及び(a12)を有する共重合体、
(a1)及び(a9)を有する共重合体、
(a10)及び(a12)を有する共重合体、
(a1)、(a2)及び(a10)を有する共重合体、
であることが好ましい。
(A1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソ酪酸ジメチルのようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等により重合させることによって得ることができる。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
本実施形態において、(A1)成分の重量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
(A1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
基材成分(A)中の(A1)成分の割合は、基材成分(A)の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%がより好ましく、75質量%がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該割合が25質量%以上であると、リソグラフィー特性がより向上する。
本実施形態において、(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態において、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
[(B1)成分]
本発明のポジ型レジスト組成物が含有する、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B1)について説明する。
(B1)成分は、露光により酸を発生する酸発生剤成分であり、前記一般式(m0)で表される化合物(m)を含むことを特徴とする。第1実施形態において、化合物(m)は、下記一般式(m0−1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2019174821
[一般式(m0−1)中、
01〜Z04は、それぞれ独立に電子吸引性の置換基であり、
Rb21及びRb22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は水酸基であり(但し、Rb21及びRb22が有していてもよい置換基に電子吸引性の置換基は含まない。)、
Rbは、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルケニル基であり、
n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、
X1-は基材成分(A)のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させることができる酸を発生し得る有機アニオンである。]
一般式(m0−1)中、Z01〜Z04、Rb21、Rb22、Rb、n1及びn2に関する説明は、前記一般式(m0)における説明と同様である。
一般式(m0−1)中、X1-は基材成分(A)のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させることができる酸を発生し得る有機アニオンである。
X1-は、基材成分(A)のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させることができる酸強度の酸を発生しうる有機アニオンであればよい。
一方、第1実施形態のポジ型レジスト組成物は後述する(D1)成分を含有する。詳細は後述するが、(D1)成分は、(B1)成分から発生した酸をトラップするクエンチャーとして作用する成分である。このため、(B1)成分を構成する化合物(m0−1)のアニオン部X1-は、(D1)成分に対し強酸となるような酸を発生し得るアニオン部である。
例えば、酸強度の指標として酸解離定数(pKa)用いて説明する。
本実施形態において、「酸解離定数(pKa)」とは、対象物質の酸強度を示す指標として一般的に用いられているものをいう。なお、本明細書におけるpKaは、25℃の温度条件における値である。また、pKa値は、公知の手法により測定して求めることができる。また、「ACD/Labs」(商品名、Advanced Chemistry Development社製)等の公知のソフトウェアを用いた計算値を用いることもできる。
一般式(m0−1)中、X1-から発生する酸の酸解離定数(pKa)の下限値は特に限定されず、実質的には−15程度である。X1-から発生する酸の酸解離定数(pKa)の上限値は、(D1)成分から生じる酸の酸解離定数(pKa)よりも低い値であればよく、例えば、1.5〜2.0程度の値である。X1-から発生する酸の酸解離定数(pKa)が1.5〜2.0程度の場合であっても、基材成分(A)のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させることができる。
より具体的には、一般式(m0−1)中、X1-としては下記一般式(m−an−1)〜(m−an−3)のいずれかで表されるアニオンが好ましい。
Figure 2019174821
[一般式(m−an−1)〜(m−an−3)中、
101、R104〜R108はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。
104、R105は、相互に結合して環を形成していてもよい。
106〜R107のいずれか2つは、相互に結合して環を形成していてもよい。
102はフッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。
101は単結合または酸素原子を含む2価の連結基である。
101〜V103はそれぞれ独立に単結合、アルキレン基、またはフッ素化アルキレン基である。L101〜L102はそれぞれ独立に単結合または酸素原子である。L103〜L105はそれぞれ独立に単結合、−CO−又は−SO−である。
an1は0又は1である。]
・一般式(m−an−1)
一般式(m−an−1)中、R101は、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。
(R101における置換基を有していてもよい環式基)
前記環式基は、環状の炭化水素基であることが好ましく、該環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
101における芳香族炭化水素基は、前記一般式(a1−1)のVaにおける2価の芳香族炭化水素基で挙げた芳香族炭化水素環、または2以上の芳香環を含む芳香族化合物から水素原子を1つ除いたアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
101における環状の脂肪族炭化水素基は、前記一般式(a1−1)のVaにおける2価の脂肪族炭化水素基で挙げたモノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンから水素原子を1つ除いた基が挙げられ、アダマンチル基、ノルボルニル基が好ましい。
また、R101における環状の炭化水素基は、複素環等のようにヘテロ原子を含んでもよく、具体的には前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基、その他以下の化学式(r−hr−1)〜(r−hr−16)に挙げる複素環式基が挙げられる。
Figure 2019174821
101の環状の炭化水素基における置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
(R101における置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基)
101の鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
(R101における置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基)
101の鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましく、3が特に好ましい。直鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
鎖状のアルケニル基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
101の鎖状のアルキル基またはアルケニル基における置換基としては、たとえば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、上記R101における環式基等が挙げられる。
なかでも、R101は、置換基を有していてもよい環式基が好ましく、置換基を有していてもよい環状の炭化水素基であることがより好ましい。より具体的には、フェニル基、ナフチル基、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基などが好ましい。
一般式(m−an−1)中、Y101は、単結合または酸素原子を含む2価の連結基である。
101が酸素原子を含む2価の連結基である場合、該Y101は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合:−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、オキシカルボニル基(−O−C(=O)−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。当該組み合わせに、さらにスルホニル基(−SO−)が連結されていてもよい。当該組み合わせとしては、たとえば下記一般式(y−al−1)〜(y−al−7)でそれぞれ表される連結基が挙げられる。
Figure 2019174821
[一般式(y−al−1)〜(y−al−7)中、V’101は単結合または炭素数1〜5のアルキレン基であり、V’102は炭素数1〜30の2価の飽和炭化水素基である。]
V’102における2価の飽和炭化水素基は、炭素数1〜30のアルキレン基であることが好ましい。
V’101およびV’102におけるアルキレン基としては、直鎖状のアルキレン基でもよく分岐鎖状のアルキレン基でもよく、直鎖状のアルキレン基が好ましい。
V’101およびV’102におけるアルキレン基として、具体的には、メチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
また、V’101又はV’102における前記アルキレン基における一部のメチレン基が、炭素数5〜10の2価の脂肪族環式基で置換されていてもよい。当該脂肪族環式基は、前記式(a1−r−1)中のRa’の環状の脂肪族炭化水素基から水素原子をさらに1つ除いた2価の基が好ましく、シクロへキシレン基、1,5−アダマンチレン基または2,6−アダマンチレン基がより好ましい。
101としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、前記一般式(y−al−1)〜(y−al−5)でそれぞれ表される連結基が好ましい。
一般式(m−an−1)中、V101は、単結合、アルキレン基、またはフッ素化アルキレン基である。V101におけるアルキレン基、フッ素化アルキレン基は、炭素数1〜4であることが好ましい。V101におけるフッ素化アルキレン基としては、V101におけるアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。なかでも、V101は、単結合、又は炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基であることが好ましい。
一般式(m−an−1)中、R102は、フッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。R102は、フッ素原子または炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。
一般式(m−an−1)で表されるアニオン部の具体例としては、たとえば、Y101が単結合となる場合、トリフルオロメタンスルホネートアニオンやパーフルオロブタンスルホネートアニオン等のフッ素化アルキルスルホネートアニオンが挙げられ;Y101が酸素原子を含む2価の連結基である場合、下記一般式(an−1)〜(an−3)のいずれかで表されるアニオンが挙げられる。
Figure 2019174821
[式中、R”101は、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、前記化学式(r−hr−1)〜(r−hr−6)でそれぞれ表される基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基であり;R”102は、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、又は前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基であり;R”103は、置換基を有していてもよい芳香族環式基、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり;V”101は、フッ素化アルキレン基であり;L”101は、−C(=O)−又は−SO−であり;v”はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、q”はそれぞれ独立に1〜20の整数であり、n”は0または1である。]
R”101、R”102およびR”103の置換基を有していてもよい脂肪族環式基は、前記R101における環状の脂肪族炭化水素基として例示した基であることが好ましい。前記置換基としては、R101における環状の脂肪族炭化水素基を置換してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
R”103における置換基を有していてもよい芳香族環式基は、前記R101における環状の炭化水素基における芳香族炭化水素基として例示した基であることが好ましい。前記置換基としては、R101における該芳香族炭化水素基を置換してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
R”101における置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基は、前記R101における鎖状のアルキル基として例示した基であることが好ましい。R”103における置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基は、前記R101における鎖状のアルケニル基として例示した基であることが好ましい。V”101は、好ましくは炭素数1〜3のフッ素化アルキレン基であり、特に好ましくは、−CF−、−CFCF−、−CHFCF−、−CF(CF)CF−、−CH(CF)CF−である。
一般式(m−an−1)中、an1は0又は1である。
・一般式(m−an−2)
一般式(m−an−2)中、R104、R105は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、一般式(m−an−1)中のR101と同様のものが挙げられる。ただし、R104、R105は、相互に結合して環を形成していてもよい。
104、R105は、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のフッ素化アルキル基であることがより好ましい。
該鎖状のアルキル基の炭素数は1〜10であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜7、さらに好ましくは炭素数1〜3である。R104、R105の鎖状のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。また、R104、R105の鎖状のアルキル基においては、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また、200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。前記鎖状のアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基である。
一般式(m−an−2)中、V102、V103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基、またはフッ素化アルキレン基であり、それぞれ、一般式(m−an−1)中のV101と同様のものが挙げられる。
一般式(m−an−2)中、L101〜L102は、それぞれ独立に単結合又は酸素原子である。
・一般式(m−an−3)
一般式(m−an−3)中、R106〜R108は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、一般式(m−an−1)中のR101と同様のものが挙げられる。
103〜L105は、それぞれ独立に、単結合、−CO−又は−SO−である。
(B1)成分は、上述した酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態においてレジスト組成物が(B1)成分を含有する場合、(B1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.5〜60質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましく、1〜40質量部がさらに好ましい。(B1)成分の含有量を上記範囲とすることで、パターン形成が充分に行われる。また、レジストパターンを形成する際の感度をより高めることができる。
[光反応性クエンチャー(D1)]
(D1)成分は、前記(B1)成分等から露光により発生する酸をトラップするクエンチャー(酸拡散制御剤)として作用するものである。
本発明における(D1)成分は、露光により分解して酸拡散制御性を失う光反応性クエンチャー(D1)である。
[(D1)成分]
(D1)成分としては、露光により分解して酸拡散制御性を失うものであれば特に限定されず、下記一般式(d1−1)で表される化合物(以下「(d1−1)成分」という。)、下記一般式(d1−2)で表される化合物(以下「(d1−2)成分」という。)及び下記一般式(d1−3)で表される化合物(以下「(d1−3)成分」という。)からなる群より選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
(d1−1)〜(d1−3)成分は、露光部においては分解して酸拡散制御性(塩基性)を失うためクエンチャーとして作用せず、未露光部においてクエンチャーとして作用する。
Figure 2019174821
[式中、Rd〜Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。ただし、式(d1−2)中のRdにおける、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していないものとする。Ydは単結合、または2価の連結基である。Mm+はそれぞれ独立にm価の有機カチオンである。]
{(d1−1)成分}
・アニオン部
式(d1−1)中、Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、R101と同様のものが挙げられる。
これらのなかでも、Rdとしては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましい。これらの基が有していてもよい置換基としては水酸基、オキソ基、アルキル基、アリール基、フッ素原子又はフッ素化アルキル基、上記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、エーテル結合、エステル結合、またはこれらの組み合わせが挙げられる。エーテル結合やエステル結合を置換基として含む場合アルキレン基を介していてもよく、下記式(y−al−1)〜(y−al−5)でそれぞれ表される連結基が好ましい。
前記芳香族炭化水素基としてはフェニル基もしくはナフチル基等のアリール基がより好ましい。
前記脂肪族環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
前記鎖状の炭化水素基としては、鎖状のアルキル基が好ましい。鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜10であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状のアルキル基;1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基等の分岐鎖状のアルキル基;が挙げられる。
前記鎖状のアルキル基が置換基としてフッ素原子又はフッ素化アルキル基を有するフッ素化アルキル基である場合、フッ素化アルキル基の炭素数は、1〜11が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4がさらに好ましい該フッ素化アルキル基は、フッ素原子以外の原子を含有してもよい。フッ素原子以外の原子としては、たとえば酸素原子、炭素原子、水素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
Rdとしては、直鎖状のアルキル基を構成する一部又は全部の水素原子がフッ素原子により置換されたフッ素化アルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基を構成する水素原子の全てがフッ素原子で置換されたフッ素化アルキル基(直鎖状のパーフルオロアルキル基)であることが好ましい。
以下に(d1−1)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 2019174821
・カチオン部
式(d1−1)中、Mm+は、m価の有機カチオンである(後述のM’m+と同様、化合物(D0)におけるカチオンを除く)。
m+の有機カチオンとしては、特に限定されず、例えば、下記一般式(ca−1)〜(ca−4)でそれぞれ表されるカチオンと同様のものが挙げられ、下記式(ca−1−1)〜(ca−1−63)でそれぞれ表されるカチオンが好ましい。
(d1−1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
{(d1−2)成分}
・アニオン部
式(d1−2)中、Rdは、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、R101と同様のものが挙げられる。
ただし、Rdにおける、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していない(フッ素置換されていない)ものとする。これにより、(d1−2)成分のアニオンが適度な弱酸アニオンとなり、(D)成分のクエンチング能が向上する。
Rdとしては、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましく、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等から1個以上の水素原子を除いた基(置換基を有していてもよい);カンファー等から1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
Rdの炭化水素基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記式(d1−1)のRdにおける炭化水素基(芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基)が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
以下に(d1−2)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 2019174821
・カチオン部
式(d1−2)中、Mm+は、m価の有機カチオンであり、前記式(d1−1)中のMm+と同様である。
(d1−2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
{(d1−3)成分}
・アニオン部
式(d1−3)中、Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、R101と同様のものが挙げられ、フッ素原子を含む環式基、鎖状のアルキル基、又は鎖状のアルケニル基であることが好ましい。中でも、フッ素化アルキル基が好ましく、前記Rdのフッ素化アルキル基と同様のものがより好ましい。
式(d1−3)中、Rdは、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、R101と同様のものが挙げられる。
中でも、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、環式基であることが好ましい。
Rdにおけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。Rdのアルキル基の水素原子の一部が水酸基、シアノ基等で置換されていてもよい。
Rdにおけるアルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。なかでも、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
Rdにおけるアルケニル基は、上記R101と同様のものが挙げられ、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基が好ましい。これらの基はさらに置換基として、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を有していても良い。
Rdにおける環式基は、上記R101と同様のものが挙げられ、シクロペンタン、シクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた脂環式基、又は、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基が好ましい。Rdが脂環式基である場合、レジスト組成物が有機溶剤に良好に溶解することにより、リソグラフィー特性が良好となる。また、Rdが芳香族基である場合、EUV等を露光光源とするリソグラフィーにおいて、該レジスト組成物が光吸収効率に優れ、感度やリソグラフィー特性が良好となる。
式(d1−3)中、Ydは、単結合、または2価の連結基である。
Ydにおける2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基(脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基)、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が挙げられる。これらはそれぞれ、前記式(a2−1)におけるYa21の2価の連結基の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
Ydとしては、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、アルキレン基又はこれらの組み合わせであることが好ましい。アルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることがより好ましく、メチレン基又はエチレン基であることがさらに好ましい。
以下に(d1−3)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 2019174821
Figure 2019174821
・カチオン部
式(d1−3)中、Mm+は、m価の有機カチオンであり、前記式(d1−1)中のMm+と同様である。
(d1−3)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D1)成分は、上記(d1−1)〜(d1−3)成分のいずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、0.5〜8質量部であることがより好ましく、1〜8質量部であることがさらに好ましい。
(D1)成分の含有量が好ましい下限値以上であると、特に良好なリソグラフィー特性及びレジストパターン形状が得られる。一方、上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
前記の(d1−1)〜(d1−3)成分の製造方法は、特に限定されず、公知の方法により製造することができる。
(D1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜15.0質量部であることが好ましく、0.5〜10.0質量部であることがより好ましく、1.0〜8.0質量部であることがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、特に良好なリソグラフィー特性及びレジストパターン形状が得られる。前記範囲の上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
((D1−2)成分)
(D1)成分は、上記(D1)成分に該当しない含窒素有機化合物成分(以下、(D1−2)成分という。)を含有していてもよい。
(D1−2)成分としては、酸拡散制御剤として作用するものであり、且つ(D1)成分に該当しないものであれば特に限定されず、公知のものから任意に用いればよい。なかでも、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−ペンチルアミン又はトリ−n−オクチルアミンが特に好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、トリエタノールアミントリアセテート等が挙げられ、トリエタノールアミントリアセテートが好ましい。
また、(D2)成分としては、芳香族アミンを用いてもよい。
芳香族アミンとしては、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン、N−tert−ブトキシカルボニルピロリジン等が挙げられる。
(D1−2)成分は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D1−2)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
(D)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のレジスト組成物が(D)成分を含有する場合、(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜15質量部であることが好ましく、0.3〜12質量部であることがより好ましく、0.5〜12質量部であることがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、レジスト組成物とした際、LWR等のリソグラフィー特性がより向上する。また、より良好なレジストパターン形状が得られる。前記範囲の上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
[特定の化合物(E)]
本実施形態において、レジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、(E)成分という。)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、ホスフィン酸エステルやフェニルホスフィン酸などが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
[(F)成分]
本実施形態において、レジスト組成物は、レジスト膜に撥水性を付与するため、フッ素添加剤(以下「(F)成分」という。)を含有していてもよい。
(F)成分としては、例えば、特開2010−002870号公報、特開2010−032994号公報、特開2010−277043号公報、特開2011−13569号公報、特開2011−128226号公報、に記載の含フッ素高分子化合物を用いることができる。
(F)成分としてより具体的には、下記一般式(f1−1)で表される構成単位(f1)を有する重合体が挙げられる。前記重合体としては、下記一般式(f1−1)で表される構成単位(f1)のみからなる重合体(ホモポリマー);下記一般式(f1−1)で表される構成単位(f1)と、前記構成単位(a1)との共重合体;下記一般式(f1−1)で表される構成単位(f1)と、アクリル酸又はメタクリル酸から誘導される構成単位と、前記構成単位(a1)との共重合体、であることが好ましい。ここで、下記一般式(f1−1)で表される構成単位(f1)と共重合される前記構成単位(a1)としては、1−エチル−1−シクロオクチル(メタ)アクリレートまたは前記一般式(a1−2−01)で表される構成単位が好ましい。
Figure 2019174821
[一般式(f1−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rf102およびRf103はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を表し、Rf102およびRf103は同じであっても異なっていてもよい。nfは1〜5の整数であり、Rf101はフッ素原子を含む有機基である。]
一般式(f1−1)中、Rは前記同様である。Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
一般式(f1−1)中、Rf102およびRf103のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。Rf102およびRf103の炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましい。Rf102およびRf103の炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基として、具体的には、上記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。なかでもRf102およびRf103としては、水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子、フッ素原子、メチル基、またはエチル基が好ましい。
一般式(f1−1)中、nfは1〜5の整数であって、1〜3の整数が好ましく、1又は2であることがより好ましい。
一般式(f1−1)中、Rf101はフッ素原子を含む有機基であって、フッ素原子を含む炭化水素基であることが好ましい。
フッ素原子を含む炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、炭素数は1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10が特に好ましい。
また、フッ素原子を含む炭化水素基は、当該炭化水素基における水素原子の25%以上がフッ素化されていることが好ましく、50%以上がフッ素化されていることがより好ましく、60%以上がフッ素化されていることが、浸漬露光時のレジスト膜の疎水性が高まることから、特に好ましい。
なかでも、Rf101としては、炭素数1〜5のフッ素化炭化水素基が特に好ましく、メチル基、−CH−CF、−CH−CF−CF、−CH(CF、−CH−CH−CF、−CH−CH−CF−CF−CF−CFが最も好ましい。
(F)成分の重量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、1000〜50000が好ましく、5000〜40000がより好ましく、10000〜30000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
(F)成分の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
(F)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(F)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.5〜10質量部の割合で用いられる。
本実施形態において、レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
[(S)成分]
本実施形態において、レジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S)成分ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
たとえば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン(2−ヘプタノン)、メチルイソペンチルケトン、などのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
なかでも、PGMEA、PGME、γ−ブチロラクトン、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてEL又はシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:EL又はシクロヘキサノンの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となるように用いられる。
≪第2実施形態≫
本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト組成物であって、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)(以下、「(A)成分」と記載する)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B2)(以下、「(B2)成分」と記載する)と、を含有し、光反応性クエンチャー(D2)(以下、「(D2)成分」と記載する)と、を含有し、前記光反応性クエンチャー(D2)が、前記一般式(m0)で表される化合物(m)を含むことを特徴とする、ポジ型レジスト組成物である。
第2実施形態のポジ型レジスト組成物は、光反応性クエンチャー(D2)を含有し、該(D2)成分が、前記一般式(m0)で表される化合物(m)を含む。
第2実施形態においては、化合物(m0)は光反応性クエンチャーとして機能する。光反応性クエンチャー(D2)は、前記(B2)成分から発生する酸をトラップするクエンチャー(酸拡散制御剤)として作用するものである。
[(A)成分]
第二実施形態における(A)成分についての説明は前記第1実施形態における(A)成分の説明と同様である。
[(B2)成分]
第二実施形態における(B2)成分について説明する。(B2)成分としては特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが挙げられる。なかでも、オニウム塩系酸発生剤を用いるのが好ましい。
オニウム塩系酸発生剤としては、例えば、下記の一般式(b−1)で表される化合物(以下「(b−1)成分」ともいう)、一般式(b−2)で表される化合物(以下「(b−2)成分」ともいう)、又は一般式(b−3)で表される化合物(以下「(b−3)成分」ともいう)を用いることができる。
Figure 2019174821
[一般式(b−1)〜(b−3)中、R101、R104〜R108はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。R104、R105は、相互に結合して環を形成していてもよい。R106〜R107のいずれか2つは、相互に結合して環を形成していてもよい。R102はフッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。Y101は単結合または酸素原子を含む2価の連結基である。V101〜V103はそれぞれ独立に単結合、アルキレン基、またはフッ素化アルキレン基である。L101〜L102はそれぞれ独立に単結合または酸素原子である。L103〜L105はそれぞれ独立に単結合、−CO−又は−SO−である。M’m+はm価の有機カチオンである。]
{アニオン部}
・(b−1)成分のアニオン部
一般式(b−1)中、R101、Y101、V101、R102についての説明は、前記一般式(m−an−1)で表されるアニオン部における説明と同様である。
・(b−2)成分のアニオン部
一般式(b−2)中、R104〜R105、L101〜L102、V102〜V103についての説明は、前記一般式(m−an−2)で表されるアニオン部における説明と同様である。
・(b−3)成分のアニオン部
一般式(b−3)中、R106〜R108、L103〜L105についての説明は、前記一般式(m−an−3)で表されるアニオン部における説明と同様である。
{カチオン部}
一般式(b−1)、(b−2)及び(b−3)中、M’m+は、m価の有機カチオンであり、なかでもスルホニウムカチオンまたはヨードニウムカチオンであることが好ましく、下記の一般式(ca−1)〜(ca−4)でそれぞれ表されるカチオンが特に好ましい。
Figure 2019174821
[一般式(ca−1)〜(ca−4)中、R201〜R207、およびR211〜R212は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基またはアルケニル基を表し、R201〜R203、R206〜R207、R211〜R212は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。R208〜R209はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、R210は置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基、アルケニル基、又は−SO−含有環式基であり、L201は−C(=O)−または−C(=O)−O−を表し、Y201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基またはアルケニレン基を表し、xは1または2であり、W201は(x+1)価の連結基を表す。]
201〜R207、およびR211〜R212におけるアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
201〜R207、およびR211〜R212におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。
201〜R207、およびR211〜R212におけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
201〜R207、およびR210〜R212が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、アリール基、アリールチオ基、下記一般式(ca−r−1)〜(ca−r−7)でそれぞれ表される基が挙げられる。
置換基としてのアリールチオ基におけるアリール基としては、R101で挙げたものと同様であり、具体的にフェニルチオ基又はビフェニルチオ基が挙げられる。
Figure 2019174821
[一般式(ca−r−1)〜(ca−r−7)中、R’201はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい環式基、鎖状のアルキル基、または鎖状のアルケニル基である。]
R’201の置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基は、上記一般式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる他、置換基を有していてもよい環式基又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基として上記一般式(a1−r−2)で表される酸解離性基と同様のものも挙げられる。
201〜R203、R206〜R207、R211〜R212は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子や、カルボニル基、−SO−、−SO−、−SO−、−COO−、−CONH−または−N(R)−(該Rは炭素数1〜5のアルキル基である。)等の官能基を介して結合してもよい。形成される環としては、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。形成される環の具体例としては、たとえばチオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、チアントレン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H−チオキサンテン環、チオキサントン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、テトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
208〜R209は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、アルキル基となる場合相互に結合して環を形成してもよい。
210は、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよい−SO−含有環式基である。
210におけるアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
210におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。
210におけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
210における、置換基を有していてもよい−SO−含有環式基としては、上記一般式(a2−1)中のRa21の「−SO−含有環式基」と同様のものが挙げられ、上記一般式(a5−r−1)で表される基が好ましい。
201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基又はアルケニレン基を表す。
201におけるアリーレン基は、上記一般式(b−1)中のR101における芳香族炭化水素基として例示したアリール基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
201におけるアルキレン基、アルケニレン基は、上記一般式(a1−1)中のVaにおける2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
前記一般式(ca−4)中、xは、1または2である。
201は、(x+1)価、すなわち2価または3価の連結基である。
201における2価の連結基としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、前記一般式(a2−1)におけるYa21と同様の炭化水素基が例示できる。W201における2価の連結基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、環状であることが好ましい。なかでも、アリーレン基の両端に2個のカルボニル基が組み合わされた基が好ましい。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、フェニレン基が特に好ましい。
201における3価の連結基としては、前記W201における2価の連結基から水素原子を1個除いた基、前記2価の連結基にさらに前記2価の連結基が結合した基などが挙げられる。W201における3価の連結基としては、アリーレン基に2個のカルボニル基が結合した基が好ましい。
一般式(ca−1)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca−1−1)〜(ca−1−63)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 2019174821
Figure 2019174821
Figure 2019174821
[式(ca−1−34)〜(ca−1−36)中、g1、g2、g3は繰返し数を示し、g1は1〜5の整数であり、g2は0〜20の整数であり、g3は0〜20の整数である。]
Figure 2019174821
[式(ca−1−58)中、R”201は水素原子又は置換基であって、置換基としては前記R201〜R207、およびR210〜R212が有していてもよい置換基として挙げたものと同様である。]
前記一般式(ca−3)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記一般式(ca−3−1)〜(ca−3−6)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 2019174821
前記一般式(ca−4)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記化学式(ca−4−1)〜(ca−4−2)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 2019174821
(B2)成分は、上述した酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態においてレジスト組成物が(B2)成分を含有する場合、(B2)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.5〜60質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましく、1〜40質量部がさらに好ましい。(B2)成分の含有量を上記範囲とすることで、パターン形成が充分に行われる。また、レジスト組成物の各成分を有機溶剤に溶解した際、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
[光反応性クエンチャー(D2)]
(D2)成分は、前記(B2)成分から発生する酸をトラップするクエンチャー(酸拡散制御剤)として作用するものであり、前記一般式(m0)で表される化合物(m)を含むことを特徴とする。第2実施形態において、化合物(m)は、下記一般式(m0−2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2019174821
[一般式(m0−1)中、
01〜Z04は、それぞれ独立に電子吸引性の置換基であり、
Rb21及びRb22は、それぞれ独立に、アルキル基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は水酸基であり(但し、Rb21及びRb22が有していてもよい置換基に電子吸引性の置換基は含まないものとする。)、
Rbは、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルケニル基であり、
n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、
X2-は弱酸を発生し得る有機アニオンである。]
一般式(m0−2)中、Z01〜Z04、Rb21、Rb22、Rb、n1及びn2に関する説明は、前記一般式(m0)における説明と同様である。
一般式(m0−2)中、X2-は弱酸を発生し得る有機アニオンである。
ここで「弱酸」とは、上記(B2)成分から発生する酸よりも酸強度の弱い酸であり、酸解離定数(pKa)が0以上、好ましくは0.2以上であり、上限は特に設定されないが、実質的には10程度である酸をいう。
より具体的には、一般式(m0−1)中、X1-としては下記一般式(d1−an−1)〜(d1−an−3)のいずれかで表される有機アニオンで表されるアニオンが好ましい。
Figure 2019174821
[式中、Rd〜Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。ただし、式(d1−an−2)中のRdにおける、S原子に隣接する炭素原子には2つ以上のフッ素原子は結合していないものとする。Ydは単結合、または2価の連結基である。]
一般式(d1−an−1)〜(d1−an−3)における、Rd〜Rdについての説明は、前記一般式(d1−1)〜(d1−3)における、Rd〜Rdについての説明と同様である。
(D2)成分は、上記(d1−1)〜(d1−3)成分のいずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D2)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、0.5〜8質量部であることがより好ましく、1〜8質量部であることがさらに好ましい。
(D2)成分の含有量が好ましい下限値以上であると、特に良好なリソグラフィー特性及びレジストパターン形状が得られる。一方、上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。また、レジストパターンを形成する際の感度をより高めることができる。
[(E)〜(F)成分]
第二実施形態においては、第1実施形態と同様に前記(E)〜(F)成分を含有することが好ましい。
<ポジ型レジスト組成物>
本発明の第2の態様のポジ型レジスト組成物は、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト組成物であって、酸の作用により現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)を含有し、前記基材成分(A)が、樹脂成分(A2)を含有し、前記樹脂成分(A2)が、下記一般式(a6−1)で表される化合物から誘導される構成単位(a6)を有する。
Figure 2019174821
[式(a6−1)中、
01〜Z04は、それぞれ独立に電子吸引性の置換基であり、
Rb21及びRb22は、それぞれ独立に、アルキル基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は水酸基であり(但し、Rb21及びRb22が有していてもよい置換基に電子吸引性の置換基は含まないものとする。)、
Rbは、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルケニル基であり、
n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜3の整数である。
X11−1は、前記の一般式(a6−1−1)〜(a6−1−3)のいずれかで表される有機アニオンである。式(a6−1−1)〜(a6−1−3)中、Rb201は、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、Rb204〜Rb205は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である(但し、Rb204〜Rb205の少なくとも一方は、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である)。Rb206〜Rb208は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である(但し、Rb206〜Rb208の少なくとも1つは、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である)。Rb102は、フッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。Yb101は、単結合または酸素原子を含む2価の連結基である。Vb101〜Vb103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基、フッ素化アルキレン基、アリーレン基またはフッ素化アリーレン基である。L101〜L102は、それぞれ独立に、単結合または酸素原子である。Lb103〜Lb105は、それぞれ独立に、単結合、−CO−又は−SO−である。n101は0又は1である。]
(樹脂成分(A2))
本発明の第2の態様のポジ型レジスト組成物において、基材成分(A)は、露光により酸を発生するアニオン基と、上記一般式(m0)で表される化合物のカチオン部と、を有する化合物から誘導される構成単位(a6)を有する樹脂成分(A2)を含有する。樹脂成分(A2)(以下、「(A2)成分」と記載することがある。)は、露光により酸を発生するアニオン基を側鎖に含み、かつ、一般式(m0)で表される化合物のカチオン部をもつ構成単位(a6)を有する高分子化合物である。
(構成単位(a6))
構成単位(a6)は、上記一般式(a6−1)で表される。
・一般式(a6−1)で表される化合物のカチオン部について
前記一般式(a6−1)中、Z01〜Z04、Rb21、Rb22、Rb、n1及びn2に関する説明は、前記一般式(m0)における説明と同様である。
前記式(a6−1−1)中、Rb201は、前記式(m−an−1)中のR101における、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基と同様の基が挙げられる。
前記式(a6−1−2)中、Rb204〜Rb205は、前記式(m−an−2)中のR104〜R105における、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基とそれぞれ同様の基が挙げられる。但し、Rb204〜Rb205の少なくとも一方は、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。
前記式(a6−1−3)中、Rb206〜Rb208は、前記式(m−an−3)中のR106〜R108における、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基とそれぞれ同様の基が挙げられる。但し、Rb206〜Rb208の少なくとも1つは、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。
Rb102、Yb101、Vb101〜Vb103、Lb101〜Lb102、Lb103〜Lb105は、それぞれ、前記の式(m−an−1)、(m−an−2)、(m−an−3)中のR102、Y101、V101〜V103、L101〜L102、L103〜L105とそれぞれ同様である。
前記式(a6−1−1)〜(a6−1−3)における、Rb201、Rb204〜Rb205の少なくとも一方、Rb206〜Rb208の少なくとも1つが、置換基を有していない鎖状のアルケニル基の場合は、(CH)C=CH−(プロペニル基)またはHC=CH−(ビニル基)となることが好ましい。置換基を有している鎖状のアルケニル基の場合は、当該ビニル基またはプロペニル基にさらに2価の基が結合していることが好ましい。該2価の基としては、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、ウレタン結合、アルキレン基、(ポリ)シクロアルキレン基、フッ素化アルキレン基、アリーレン基、−SO−O−、−SO−、またはこれらの組み合わせであることが好ましい。
以下に、前記式(a6−1−1)で表されるアニオンの好適な具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2019174821
Figure 2019174821
以下に、前記式(a6−1−2)で表されるアニオンの好適な具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2019174821
以下に、前記式(a6−1−3)で表されるアニオンの好適な具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2019174821
一般式(a6−1)で表される化合物から誘導される構成単位として、好ましくは、下記の一般式(a6−11)〜(a6−13)のいずれかで表される構成単位が挙げられる。
Figure 2019174821
[式中、Rα、Z01〜Z04、Rb21、Rb22、Rb、n1、n2、Rb102、Rb205、Rb206、Rb208、Yb101、Vb101〜Vb103、Lb101〜Lb102、Lb103〜Lb105、n101は前記同様である。L11〜L13は、それぞれ独立に単結合または2価の連結基である。]
各式(a6−11)〜(a6−13)中、L11〜L13における2価の連結基としては、エステル結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数5〜30のシクロアルキレン基、炭素数5〜30のポリシクロアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
(A2)成分中、一般式(a6−1)で表される化合物から誘導される構成単位は、1種でも2種以上でもよい。
(A2)成分中、一般式(a6−1)で表される化合物から誘導される構成単位の割合は、当該(A2)成分を構成する全構成単位の合計に対し、0.5〜30モル%であることが好ましく、1〜20モル%であることがより好ましく、1.5〜15モル%が特に好ましい。
一般式(a6−1)で表される化合物から誘導される構成単位の割合を下限値以上とすることにより、ラフネスが低減され、良好なレジストパターン形状が得られやすい。加えて、溶剤溶解性や感度等も向上する。上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができ、また、レジストパターンを形成する際の感度をより高めることができる。
(構成単位(a6−2))
樹脂成分(A2)は、下記一般式(a6−2)で表される化合物から誘導される構成単位(a6−2)を有していてもよい。
Figure 2019174821
[式(a6−2)中、
01〜Z04は、それぞれ独立に電子吸引性の置換基であり、
Rb21及びRb22は、それぞれ独立に、アルキル基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は水酸基であり(但し、Rb21及びRb22が有していてもよい置換基に電子吸引性の置換基は含まないものとする。)、
Rbは、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルケニル基であり、
n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜3の整数である。
X21−1は、前記の一般式(am0−2−1)〜(am0−2−3)のいずれかで表される有機アニオンである。式(am0−2−1)中、Rd100は、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。式(am0−2−2)中、Rd200は、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。ただし、Rd200における、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子が結合していないものとする。式(am0−2−3)中、Rd300〜Rd400は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である(但し、Rd300〜Rd400の少なくとも一方は、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である)。Yd10は、単結合または2価の連結基である。]
・一般式(a6−2)で表される化合物から誘導される構成単位について
前記一般式(a6−2)中、Z01〜Z04、Rb21、Rb22、Rb、n1及びn2についての説明は、それぞれ上記式(m1)中のZ01〜Z04、Rb21、Rb22、Rb、n1及びn2についての説明と同様である。
前記式(am0−2−1)中、Rd100は、前記式(d1−1)中のRdにおける、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基と同様の基が挙げられる。
前記式(am0−2−2)中、Rd200は、前記式(d1−2)中のRdにおける、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基と同様の基が挙げられる。
前記式(am0−2−3)中、Rd300〜Rd400は、前記式(d1−3)中のRd〜Rdにおける、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基とそれぞれ同様の基が挙げられる。但し、Rd300〜Rd400の少なくとも一方は、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。前記式(am0−2−3)中、Yd10は、前記式(d1−3)中のYdにおける、単結合または2価の連結基と同様である。
前記式(am0−2−1)〜(am0−2−3)における、Rd100、Rd200、Rd300〜Rd400の少なくとも1つが、置換基を有していない鎖状のアルケニル基の場合は、(CH)C=CH−(プロペニル基)またはHC=CH−(ビニル基)となることが好ましい。置換基を有している鎖状のアルケニル基の場合は、当該ビニル基またはプロペニル基にさらに2価の基が結合していることが好ましい。該2価の基としては、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、ウレタン結合、アルキレン基、(ポリ)シクロアルキレン基、アリーレン基、またはこれらの組み合わせであることが好ましい。
以下に、前記式(am0−2−1)で表されるアニオンの好適な具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。mは0〜3の整数である。
Figure 2019174821
以下に、前記式(am0−2−2)で表されるアニオンの好適な具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2019174821
以下に、前記式(am0−2−3)で表されるアニオンの好適な具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2019174821
一般式(a6−2)で表される化合物から誘導される構成単位として、好ましくは、下記の一般式(am0−21)〜(am0−23)のいずれかで表される構成単位が挙げられる。
Figure 2019174821
[式中、Rα、Z01〜Z04、Rb21、Rb22、Rb、n1、n2、Yd10、Rd300は前記同様である。L〜Lは、それぞれ独立に単結合または2価の連結基である。]
各式(am0−21)〜(am0−23)中、L〜Lにおける2価の連結基としては、エステル結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数5〜30のシクロアルキレン基、炭素数5〜30のポリシクロアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
(A2)成分中、一般式(a6−2)で表される化合物から誘導される構成単位は、1種でも2種以上でもよい。
(A2)成分中、一般式(a6−2)で表される化合物から誘導される構成単位の割合は、当該(A2)成分を構成する全構成単位の合計に対し、0.5〜30モル%であることが好ましく、1〜20モル%であることがより好ましく、1.5〜15モル%が特に好ましい。
化合物(a6−2)から誘導される構成単位の割合を下限値以上とすることにより、ラフネスが低減され、良好なレジストパターン形状が得られやすい。加えて、溶剤溶解性や感度等も向上する。上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができ、また、レジストパターンを形成する際の感度をより高めることができる。
(A2)成分としては、構成単位(a6)に加えて、さらに、上記構成単位(a1)を有する高分子化合物を用いることが好ましい。
また、(A2)成分は、構成単位(a6)及び構成単位(a1)に加えて、さらに、上述した構成単位(a10)、構成単位(a12)又はその他の構成単位(構成単位(a2)等)を有していてもよい。
(A2)成分は、構成単位(a6)を有する共重合体であり、
かかる共重合体としては、
(a6)、(a1)及び(a10)を有する共重合体、
(a6)、(a1)及び(a12)を有する共重合体、
(a6)、(a1)及び(a9)を有する共重合体、
(a6)、(a10)及び(a12)を有する共重合体、
(a6)、(a1)、(a2)及び(a10)を有する共重合体、
であることが好ましい。
(A2)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、(A2)成分の分子量分散度(Mw/Mn)は、特に限定されるものではなく、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
≪その他の実施形態≫
本発明のポジ型レジスト組成物は、上記第1の態様における第1〜2実施形態、上記第2の態様の他に、例えば光反応性クエンチャーとしてさらに含窒素化合物成分を含有しているポジ型レジスト組成物であってもよい。
含窒素化合物成分
含窒素化合物成分としては、酸拡散制御剤として作用するものであり、且つ(D1)〜(D2)成分に該当しないものであれば特に限定されず、公知のものから任意に用いればよい。なかでも、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−ペンチルアミン又はトリ−n−オクチルアミンが特に好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、トリエタノールアミントリアセテート等が挙げられ、トリエタノールアミントリアセテートが好ましい。
また、含窒素化合物成分としては、芳香族アミンを用いてもよい。
芳香族アミンとしては、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン、N−tert−ブトキシカルボニルピロリジン等が挙げられる。
含窒素化合物成分は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
含窒素化合物成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
含窒素化合物成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においてレジスト組成物が含窒素化合物成分を含有する場合、含窒素化合物成分は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜15質量部であることが好ましく、0.3〜12質量部であることがより好ましく、0.5〜12質量部であることがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、レジスト組成物とした際、LWR等のリソグラフィー特性がより向上する。また、より良好なレジストパターン形状が得られる。前記範囲の上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
<レジストパターン形成方法>
本発明の第3の態様は、支持体上に、上述の本発明の第1又は第2の態様のポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記露光後のレジスト膜をアルカリ現像してポジ型レジストパターンを形成するレジストパターン形成方法である。
レジストパターン形成方法は、例えば以下のようにして行うことができる。
まず、支持体上に上述のジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施してレジスト膜を形成する。
次に、該レジスト膜に対し、例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介した露光またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等による選択的露光を行った後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。
次に、前記レジスト膜を現像処理する。
現像処理は、アルカリ現像液を用いて行う。
現像処理後、好ましくはリンス処理を行う。リンス処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、純水を用いた水リンスが好ましく、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
現像処理後またはリンス処理後、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。このようにして、レジストパターンを得ることができる。
本発明において現像処理は、アルカリ現像プロセスであっても溶剤現像プロセスであってもよい。
〔支持体〕
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)とに分けられる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。前記レジスト組成物は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUV用としての有用性が高く、なかでもEBまたはEUV用としての有用性がより高い。
レジスト膜の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
液浸露光は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ露光されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル化合物が好ましい。パーフルオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
アルカリ現像液としては、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が挙げられる。
現像処理は、公知の現像方法により実施することが可能であり、たとえば現像液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、支持体表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
リンス液を用いたリンス処理(洗浄処理)は、公知のリンス方法により実施できる。該方法としては、たとえば一定速度で回転している支持体上にリンス液を塗出し続ける方法(回転塗布法)、リンス液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
<光反応性クエンチャー>
本発明の第4の態様は、下記一般式(m0)で表される化合物(m)からなることを特徴とする、光反応性クエンチャーである。
Figure 2019174821
[一般式(m0)中、
01〜Z04は、それぞれ独立に電子吸引性の置換基であり、
Rb21及びRb22は、それぞれ独立に、アルキル基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は水酸基であり(但し、Rb21及びRb22が有していてもよい置換基に電子吸引性の置換基は含まないものとする。)、
Rbは、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルケニル基であり、
n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜3の整数である。
X0は、一般式(d1−an−1)〜(d1−an−3)のいずれかで表される有機アニオンである。
一般式(d1−an−1)〜(d1−an−3)中、Rd〜Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。ただし、式(d1−an−2)中のRdにおける、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は2つ以上結合していないものとする。Ydは単結合、又は2価の連結基である。]
本発明の酸拡散制御剤が含有する化合物(m)に関する説明は、本発明の第1の態様において説明した化合物(m)に関する説明と同様である。
<高分子化合物>
本発明の第5の態様は、下記一般式(a6−1)で表される化合物から誘導される構成単位を有する高分子化合物である。
Figure 2019174821
[一般式(a6−1)中、
01〜Z04は、それぞれ独立に電子吸引性の置換基であり、
Rb21及びRb22は、それぞれ独立に、アルキル基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は水酸基であり(但し、Rb21及びRb22が有していてもよい置換基に電子吸引性の置換基は含まないものとする。)、
Rbは、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルケニル基であり、
n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜3の整数である。
X11−1は、前記の一般式(a6−1−1)〜(a6−1−3)のいずれかで表される有機アニオンである。式(a6−1−1)〜(a6−1−3)中、Rb201は、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、Rb204〜Rb205は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である(但し、Rb204〜Rb205の少なくとも一方は、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である)。Rb206〜Rb208は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である(但し、Rb206〜Rb208の少なくとも1つは、置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である)。Rb102は、フッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。Yb101は、単結合または酸素原子を含む2価の連結基である。Vb101〜Vb103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基、フッ素化アルキレン基、アリーレン基またはフッ素化アリーレン基である。L101〜L102は、それぞれ独立に、単結合または酸素原子である。Lb103〜Lb105は、それぞれ独立に、単結合、−CO−又は−SO−である。n101は0又は1である。]
一般式(a6−1)で表される化合物から誘導される構成単位を有する高分子化合物についての説明は、発明の第1の態様において説明した一般式(a6−1)で表される化合物から誘導される高分子化合物に関する説明と同様である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<化合物(m0)の製造>
〔製造例1〕
(第1工程)
1−ブロモ−3,5−ジフルオロベンゼン96.5g(0.50モル)、マグネシウム13.4g(0.55モル)、テトラヒドロフラン400gを用いて常法により調整した3,5‐ジフルオロフェニルマグネシウムブロマイドのテトラヒドロフラン溶液に、塩化チオニル28.6g(0.48モル)をテトラヒドロフラン50gに希釈した溶液を、系内温度が−5℃を超えない範囲で滴下した。滴下終了後室温で1時間反応を継続し反応を完結させた。
この溶液を、イオン交換水500gに15℃を超えないように加え、1時間攪拌した。その後、酢酸エチル300gを投入し、1時間攪拌した。水層を除去した後、イオン交換水300gで3回洗浄した。有機層を脱溶剤し、得られた茶色の残渣をシクロヘキサンで再結晶することで、ビス(3,5‐ジフルオロフェニル)スルホキシド26.0gを得た。
以下、ビス(3,5‐ジフルオロフェニル)スルホキシドを「化合物(m2)」と記載することがある。
(第2工程)
前記第1工程で合成したビス(3,5‐ジフルオロフェニル)スルホキシド6.86g(0.025モル)をベンゼン30gに溶解させ、トリフルオロメタンスルホン酸無水物8.46g(0.03モル)を系内温度が−5℃を超えない範囲で滴下した。
滴下終了後室温で1時間反応を継続し反応を完結させた。上澄みを除去し、油状沈殿物にイオン交換水50gに15℃を超えないように加え、次いでテトラヒドロフラン75g、トルエン30gを加え、1時間攪拌した。上層を除去し、残った溶液をトルエン30g部で2回洗浄した。その後溶液を炭酸水素ナトリウムで中和し、ジクロロメタン100gを加え抽出し、水層を除去し、さらに有機層をイオン交換水50gで3回洗浄した。有機層を脱溶剤し、結晶が析出してきたところで、メチル-tertブチルエーテル150gを加え、白色の結晶を析出させた。この結晶をろ過して分取し、減圧乾燥することにより、目的物である[ビス(3,5−ジフルオロフェニル)]フェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート6.53g(純度99.9%以上)を得た。
以下、[ビス(3,5−ジフルオロフェニル)]フェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネートを「化合物(m3)」と記載することがある。
(第3工程)
前記第3工程で得た、化合物(m3)(10.0g)をジクロロメタン(200.0g)に溶解させた。その後、水(100.0g)及び化合物2(11.5g)を加え30分攪拌した。その後、有機溶媒相を水(100.0g)で分液操作を繰り返し3回洗浄した。得られた有機溶媒相をメチル−ターシャリーブチルエーテル(800.0g)に60分かけて滴下し、30分攪拌し、ろ過した。得られた粉体を室温で12時間乾燥させることで下記化合物(m0)−1を得た(13.3g)。
Figure 2019174821
〔製造例2〕
(第1及び第2工程)
前記製造例1の第2工程において、ベンゼンの代わりに3,5−ジメチル−4−メトキシベンゼンを用いたこと以外は、前記製造例1と同様の方法により、第1工程及び第2工程を行い、下記化合物(m3−1)を得た。
(第3工程)
前記第1工程及び第2工程で得た、化合物(m3−1)(10.00g)をジクロロメタン(200.0g)に溶解させた。その後、水(100.0g)及び化合物2(10.2g)を加え30分攪拌した。その後、有機溶媒相を水(100.0g)で分液操作を繰り返し3回洗浄した。得られた有機溶媒相をメチル−ターシャリーブチルエーテル(600.0g)に60分かけて滴下し、30分攪拌し、ろ過した。得られた粉体を室温で12時間乾燥させることで下記化合物(m0)−5を得た(13.0g)。
Figure 2019174821
上記と同様の方法で、下記化合物(m0)−2〜(m0)−4、(m0)−6を得た。以下に化合物(m0)−1〜(m0)−6を記載する。
Figure 2019174821
<ポジ型レジスト組成物の調製>
下記表1〜2に示す実施例1〜12、比較例1〜7のポジ型レジスト組成物をそれぞれ調製した。
Figure 2019174821
Figure 2019174821
上記表1〜2中、各記号は以下の意味を示す。[]内の数値は、配合量(質量部)を意味する。
・(A)−1〜(A)−6:下記高分子化合物(A)−1〜(A)−6。
・(B)−1〜(B)−10:上記化合物(m0)−1〜(m0)−5、下記(B)−6〜(B)−10。
・(D)−1、(D)−3〜(D)−4:下記化合物(D)−1、(D)−3〜(D)−4。
・(D)−2:上記(m0)−6。
・(S)−1:PGMEA/PGME=60/40(質量比)の混合溶媒。
Figure 2019174821
Figure 2019174821
Figure 2019174821
Figure 2019174821
<ポジ型レジストパターンの形成>
ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した8インチシリコン基板上に、実施例1〜12、比較例1〜7のポジ型レジスト組成物をそれぞれスピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、温度100℃で60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚50nmのポジ型レジスト膜を形成した。
次に、前記ポジ型レジスト膜に対し、電子線描画装置JEOL−JBX−9300FS(日本電子株式会社製)を用い、加速電圧100kVにて、ターゲットサイズをライン幅50〜26nmの1:1ラインアンドスペースパターン(以下、「LSパターン」)とする描画(露光)を行った。
次いで、23℃にて、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて、60秒間のアルカリ現像を行った。
その後、純水を用いて15秒間水リンスし、110℃で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行った。
その結果、ライン幅50〜26nmの1:1のLSパターンが形成された。
[感度(Eop)の評価]
前記のポジ型レジストパターンの形成方法によってターゲットサイズのLSパターンが形成される最適露光量(μC/cm)を求めた。その結果を「感度(μC/cm)」として表3〜4に示した。
[解像度の評価]
上記Eopにおける限界解像度、具体的には、最適露光量Eopから露光量を少しずつ増大させてLSパターンを形成した際に、倒れずに解像するパターンの最小寸法について、走査型電子顕微鏡(加速電圧800V、商品名:S−9380、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて求めた。
その結果を「解像度(nm)」として表3〜4に示す。
[LWR(ラインワイズラフネス)の評価]
上記で形成したポジ型ジストパターンについて、LWRを示す尺度である3σを求めた。
「3σ」は、走査型電子顕微鏡(加速電圧800V、商品名:S−9380、日立ハイテクノロジーズ社製)により、ラインの長手方向にラインポジションを400箇所測定し、その測定結果から求めた標準偏差(σ)の3倍値(3σ)(単位:nm)を示す。
該3σの値が小さいほど、ライン側壁のラフネスが小さく、より均一な幅のポジ型レジストパターンが得られたことを意味する。その結果を「LWR(nm)」として表3〜4に示す。
Figure 2019174821
Figure 2019174821
上記表3〜4に示したとおり、本発明のポジ型レジスト組成物を用いてレジストパターンを形成すると、比較例よりも感度がよく、さらに解像度が良好で、LWRが低減されたレジストパターンを得ることが確認できた。

Claims (3)

  1. 露光により酸を発生し、かつ、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト組成物であって、
    酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)と、
    露光により酸を発生する酸発生剤成分(B1)と、
    光反応性クエンチャー(D1)と、
    を含有し、
    前記酸発生剤成分(B1)が、下記一般式(m0)で表される化合物(m)を含む、
    ポジ型レジスト組成物。
    Figure 2019174821
    [一般式(m0)中、
    01〜Z04は、フッ素原子であり、
    Rb21及びRb22は、それぞれ独立に、アルキル基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は水酸基であり(但し、Rb21及びRb22が有していてもよい置換基に電子吸引性の置換基は含まないものとする。)、
    Rbは、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルケニル基であり、
    n1及びn2は、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、
    X0-は有機アニオンである。]
  2. 前記基材成分(A)が、樹脂成分(A1)を含み、
    前記樹脂成分(A1)が、
    下記一般式(a9−1)で表される構成単位(a9)、
    又は、ヒドロキシ基を有する芳香族炭化水素基を含む構成単位(a10)を有する、
    請求項1に記載のポジ型レジスト組成物。
    Figure 2019174821
    [一般式(a9−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Ya91は単結合又は2価の連結基であり、R91は置換基を有していてもよい炭化水素基であり、Ya92は2価の連結基である。]
  3. 支持体上に、請求項1又は2に記載のポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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