WO2023047477A1

WO2023047477A1 - ステントおよびステントデリバリーシステム

Info

Publication number: WO2023047477A1
Application number: PCT/JP2021/034669
Authority: WO
Inventors: 完太佐々木; 俊野口
Original assignee: オリンパス株式会社
Priority date: 2021-09-22
Filing date: 2021-09-22
Publication date: 2023-03-30
Also published as: US20240245539A1; EP4406517A1; KR20240033284A; CN117999050A; JPWO2023047477A1

Abstract

ステントは、ワイヤを編み込んで形成されたステントであって、直線部が交差する複数の直線交差部と、軸方向の一方である第一方向側に屈曲して凸となる山型屈曲部と、前記軸方向の他方である第二方向側に屈曲して凸となる谷型屈曲部と、が交差する複数の掛合部と、を備え、前記複数の直線交差部は、第一直線交差部と、第二直線交差部と、を有し、前記複数の掛合部は、第一掛合部と、第二掛合部と、第三掛合部と、第五掛合部と、を有し、前記第一掛合部と前記第二掛合部とは、前記軸方向において異なる位置に配置され、前記第二掛合部と前記第三掛合部とは、前記軸方向において異なる位置に配置される。

Description

ステントおよびステントデリバリーシステム

　本発明は、ステントおよびステントデリバリーシステムに関する。

　消化管等に生じた狭窄や閉塞（以下、「狭窄等」と称する。）に対して、ステントを留置して拡張する手技が知られている。ステントを狭窄等に留置するためにステントデリバリーシステムが用いられている。ステントデリバリーシステムは、内視鏡の処置具チャネルを挿通してステントを狭窄等まで搬送する。

　例えば特許文献１に記載されたステントは、Ｖ字形状に曲がる二つのベンディングポイントが互いに掛止された形態に形成されており、曲げられた場合であっても形状追従性が高い。

特開平７－２６５４３８号公報

　しかしながら、特許文献１に記載されたベンディングポイントが互いに掛止された形態のような形状追従性が高い部分を備えたステントは、ステントデリバリーシステムに収容されたときに、ワイヤの重なりが多い形状追従性が高い部分がかさばりやすく、収容しにくい。また、収容されたステントにおいて形状追従性が高い部分がかさばった箇所は拡径する力が強くなるため、収容されたステントはステントデリバリーシステムとの間で生じる摺動抵抗が大きくなるため、リリースしにくい。

　上記事情を踏まえ、本発明は、形状追従性が高く、かつ、収容およびリリースしやすいステントおよび当該ステントを備えたステントデリバリーシステムを提供することを目的とする。

　上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
　本発明の第一の態様に係るステントは、ワイヤを編み込んで形成されたステントであって、直線部が交差する複数の直線交差部と、軸方向の一方である第一方向側に屈曲して凸となる山型屈曲部と、前記軸方向の他方である第二方向側に屈曲して凸となる谷型屈曲部と、が交差する複数の掛合部と、を備え、前記複数の直線交差部は、第一直線部と第二直線部とが交差する第一直線交差部と、第三直線部と第四直線部とが交差する第二直線交差部と、を有し、前記複数の掛合部は、前記第一直線部の前記第一方向側に連なる前記山型屈曲部である第一山と、前記谷型屈曲部である第一谷と、が交差する第一掛合部と、前記第二直線部および前記第四直線部の前記第一方向側に連なる前記山型屈曲部である第二山と、前記谷型屈曲部である第二谷と、が交差する第二掛合部と、前記第三直線部の前記第一方向側に連なる前記山型屈曲部である第三山と、前記谷型屈曲部である第三谷と、が交差する第三掛合部と、前記第一直線部および前記第三直線部の前記第二方向側に連なる前記谷型屈曲部である第五谷と、前記山型屈曲部である第五山と、が交差する第五掛合部と、を有し、前記第一掛合部と前記第二掛合部とは、前記軸方向において異なる位置に配置され、前記第二掛合部と前記第三掛合部とは、前記軸方向において異なる位置に配置される

　本発明の第二の態様に係るストデリバリーシステムは、操作部と、前記操作部から遠位側で延びるように構成される外筒部材と、前記操作部から遠位側で延びるように構成され、前記外筒部材の内側にある内筒部材と、前記外筒部材と前記内筒部材の間に収容される上記ステントを備え、前記操作部は、前記外筒部材または前記内筒部材を長手方向に移動させることで前記ステントを留置するよう構成される。

　本発明のステントは、形状追従性が高く、かつ、収容およびリリースしやすい。

本発明の第一実施形態に係るステントを備える内視鏡システムの全体構成を示す図である。同ステントの全体構成を示す図である。同ステントを周方向に展開した展開図である。図２および図３に示す領域Ｆ１の拡大図である。同ステントのズレとピッチを説明する図である。ステントデリバリーシステムの先端部の断面図である。ズレが大きい同ステントを示す図である。同ステントの変形例の展開図である。本発明の第二実施形態に係るステントを周方向に展開した展開図である。図９に示す領域Ｆ２の拡大図である。第一実施形態に係るステントステントの拡張力測定の結果である。

（第一実施形態）
　本発明の第一実施形態に係るステント１００を備える内視鏡システム３００について、図１から図７を参照して説明する。図１は、内視鏡システム３００の全体構成を示す図である。

［内視鏡システム３００］
　内視鏡システム３００は、内視鏡２００と、内視鏡２００のチャネルに挿通されるステントデリバリーシステム１５０と、を備える。

［内視鏡２００］
　内視鏡２００は、公知の側視型の軟性内視鏡であり、長尺の挿入部２１０と、挿入部２１０の基端部に設けられた操作部２２０と、を備える。なお、内視鏡２００は直視型の軟性内視鏡であってもよい。

　挿入部２１０は、先端部に設けられた先端硬質部２１１と、先端硬質部２１１の基端側に設けられた湾曲操作可能な湾曲部２１２と、湾曲部２１２の基端側に設けられた可撓管部２１３と、を有する。先端硬質部２１１の側面には、ライトガイド２１５およびＣＣＤを有する撮像ユニット２１６が外部に露出した状態で設けられている。

　挿入部２１０には、ステントデリバリーシステム１５０等の内視鏡用処置具を挿通させるための処置具チャネル２３０が形成されている。処置具チャネル２３０の先端部２３０ａは、先端硬質部２１１の側面において開口している。処置具チャネル２３０の基端部は、操作部２２０まで延びている。

　処置具チャネル２３０の先端硬質部２１１には、起上台２１４が設けられている。起上台２１４の基端部は、先端硬質部２１１に回転可能に支持されている。起上台２１４の先端部に固定された不図示の起上台操作ワイヤは、挿入部２１０内を通して基端側に延びている。

　湾曲部２１２は、上下方向や左右方向に湾曲自在に構成されている。湾曲部２１２の先端側に操作ワイヤの先端が固定されている。操作ワイヤは挿入部２１０内を通して操作部２２０まで延びている。

　操作部２２０の基端側には、操作ワイヤを操作するノブ２２３や撮像ユニット２１６等を操作するスイッチ２２４が設けられている。使用者は、ノブ２２３を操作することで湾曲部２１２を所望の方向に湾曲させることができる。

　操作部２２０の先端側には、処置具チャネル２３０に連通する鉗子口２２２が設けられている。使用者は、鉗子口２２２からステントデリバリーシステム１５０等の内視鏡用処置具を挿入することができる。鉗子口２２２には体液の漏れを防ぐために鉗子栓２２５が取り付けられる。

［ステントデリバリーシステム１５０］
　ステントデリバリーシステム１５０は、全体として細長に形成され、ステント１００と、外筒部材１１０と、内筒部材１２０と、操作部１４０と、を備える。

　外筒部材１１０は、樹脂等で筒状に形成されており、可撓性を有する。外筒部材１１０は、内視鏡２００の処置具チャネル２３０を挿通可能である。

　内筒部材１２０は、外筒部材１１０の内径よりも小さい外径を有し、外筒部材１１０の内部空間（ルーメン）に通すことができる。内筒部材１２０は、樹脂等で形成されており、可撓性を有する。内筒部材１２０の先端には、外筒部材１１０の外径よりも大きい外径を有するチップ１３０が設けられている。

　ステント１００は、図１に示すように、ステントデリバリーシステム１５０の先端部に収容される。ステント１００は、内部に内筒部材１２０が通されて縮径した状態で、内筒部材１２０と外筒部材１１０との間の隙間に収容される。

　操作部１４０は、外筒部材１１０および内筒部材１２０の基端側に接続し、外筒部材１１０を内筒部材１２０に対して相対的に長手方向に移動可能に構成される。操作者は操作部１４０を操作することにより、外筒部材１１０が内筒部材１２０に対して移動させることで収容されたステント１００を露出させた結果、ステント１００が留置することができる。また、ステント１００を露出させている際に、操作者が外筒部材１１０が内筒部材１２０に対して逆の方向に移動させるよう操作することで、ステント１００を再収容させることもできる。

［ステント１００］
　図２は、ステント１００の全体構成を示す図である。
　ステント１００は、ワイヤを編み込んで形成されており、円筒形状を有する。ステント１００は、胆管、食道、十二指腸、小腸、大腸等の消化器系体内管腔等に留置され、主として管腔を拡張・保持する目的で使用される。

　本実施形態のステント１００は、その外周面側を樹脂フィルム等で被覆したいわゆるカバードステントではなく、フィルム等で被覆されないアンカバードステントである。ただし、ステント１００は、樹脂フィルム等で被覆してカバードステントとして用いることもできる。

　以降の説明において、ステント１００の長手軸方向（軸方向）Ａの一方を「第一方向Ａ１」といい、ステント１００の長手軸方向Ａの他方を「第二方向Ａ２」という。また、ステント１００の周方向Ｃの一方を「第一周方向Ｃ１」といい、ステント１００の周方向Ｃの他方を「第二周方向Ｃ２」という。

　図３は、ステント１００を周方向Ｃに展開した展開図である。
　ステント１００は、屈曲を繰り返しながら周方向Ｃに傾いて延びるワイヤＷにより、網目を周面に有する円管状に形成されている。ステント１００は、複数の直線交差部１と、複数の掛合部２と、を有する。

　図４は、図２および図３に示す領域Ｆ１の拡大図である。
　直線交差部１は、ワイヤＷの直線部１０が直線交差して形成される。直線部１０は、周方向Ｃに傾いて延びるワイヤＷの略直線状の部分であり、ゆるやかに湾曲している部分も含む。

　掛合部（絡合部）２は、山型屈曲部３と、谷型屈曲部４とが交差して形成される。山型屈曲部（山）３は、周方向Ｃに傾いて延びるワイヤＷが長手軸方向Ａに折り返して屈曲し、第一方向Ａ１側に凸となる凸部である。谷型屈曲部（谷）４は、周方向Ｃに傾いて延びるワイヤＷが長手軸方向Ａに折り返して屈曲し、第二方向Ａ２側に凸となる凸部（第一方向Ａ１側に凹となる凹部）である。掛合部２において、山型屈曲部３と谷型屈曲部４とがフック状に交差することで、山型屈曲部３と谷型屈曲部４とは、分離不能ではあるが相対移動可能に連結される。

　図２および図３に示すように、第一領域Ｅ１と第二領域Ｅ２とは、長手軸方向Ａにおいて交互に配置される。第一領域Ｅ１は、複数の直線交差部１が周方向Ｃに配列する領域である。また、第二領域Ｅ２は、複数の掛合部２と１個の直線交差部１が周方向Ｃに配列する領域である。第二領域Ｅ２に配置される１個の直線交差部１は、ワイヤＷが長手軸方向Ａに移動（段上がり、段下がり）するために設けられている。

　以降の説明において、第二領域Ｅ２に配置される１個の直線交差部１を、「段移動交差部１５」ともいう。図３に示すように、段移動交差部１５は、第二領域Ｅ２ごとに一個ずつ配置されている。複数の段移動交差部１５は、周方向Ｃにおいて異なる位置に配置されている。

　ステント１００は、複数の掛合部２が周方向Ｃに配列する第二領域Ｅ２が複数設けられているため、曲げられた場合であっても形状追従性が高い。

［第一直線交差部１Ａ］
　直線部１０である第一直線部１１と第二直線部１２とは、図４に示すように、直線交差部１である「第一直線交差部１Ａ」において交差する。具体的には、ステント１００の径方向Ｒ（図２参照）から見て、第一直線部１１と第二直線部１２とは、第一直線交差部１Ａにおいて交差する。第一直線交差部１Ａにおいて、第一直線部１１は第二直線部１２の径方向Ｒにおける外側を通過する。

［第二直線交差部１Ｂ］
　直線部１０である第三直線部１３と第四直線部１４とは、図４に示すように、直線交差部１である「第二直線交差部１Ｂ」において交差する。具体的には、ステント１００の径方向Ｒ（図２参照）から見て、第三直線部１３と第四直線部１４とは、第二直線交差部１Ｂにおいて交差する。第二直線交差部１Ｂにおいて、第三直線部１３は第四直線部１４の径方向Ｒにおける内側を通過する。

　第一直線交差部１Ａと第二直線交差部１Ｂは、周方向Ｃに隣り合う直線交差部１である。第一直線交差部１Ａと第二直線交差部１Ｂは、同じ第一領域Ｅ１に配置されている。

［第一掛合部２１］
　第一直線部１１の第一方向Ａ１側には、山型屈曲部３である「第一山３１」が連なっている。第一山３１は、谷型屈曲部４である第一谷４１と交差して掛合部２である「第一掛合部２１」を形成する。

　具体的には、ステント１００の径方向Ｒから見て、第一山３１と第一谷４１とは、第一交差部Ｇ１と第二交差部Ｇ２とにおいて交差する。第二交差部Ｇ２は、第一交差部Ｇ１よりも第一直線交差部１Ａに近い。第一交差部Ｇ１において、第一山３１は第一谷４１の径方向Ｒにおける外側を通過する。第二交差部Ｇ２において、第一山３１は第一谷４１の径方向Ｒにおける内側を通過する。

［第二掛合部２２］
　第二直線部１２および第四直線部１４の第一方向Ａ１側には、山型屈曲部３である「第二山３２」が連なっている。第二山３２は、谷型屈曲部４である第二谷４２と交差して掛合部２である「第二掛合部２２」を形成する。

　具体的には、ステント１００の径方向Ｒから見て、第二山３２と第二谷４２とは、第三交差部Ｇ３と第四交差部Ｇ４とにおいて交差する。第三交差部Ｇ３は、第四交差部Ｇ４よりも第一直線交差部１Ａに近い。第四交差部Ｇ４は、第三交差部Ｇ３よりも第二直線交差部１Ｂに近い。第三交差部Ｇ３において、第二山３２は第二谷４２の径方向Ｒにおける外側を通過する。第四交差部Ｇ４において、第二山３２は第二谷４２の径方向Ｒにおける内側を通過する。

［第三掛合部２３］
　第三直線部１３の第一方向Ａ１側には、山型屈曲部３である「第三山３３」が連なっている。第三山３３は、谷型屈曲部４である第三谷４３と交差して掛合部２である「第三掛合部２３」を形成する。

　具体的には、ステント１００の径方向Ｒから見て、第三山３３と第三谷４３とは、第五交差部Ｇ５と第六交差部Ｇ６とにおいて交差する。第五交差部Ｇ５は、第六交差部Ｇ６よりも第二直線交差部１Ｂに近い。第五交差部Ｇ５において、第三山３３は第三谷４３の径方向Ｒにおける外側を通過する。第六交差部Ｇ６において、第三山３３は第三谷４３の径方向Ｒにおける内側を通過する。

［第四掛合部２４］
　第四直線部１４の第二方向Ａ２側には、谷型屈曲部４である「第四谷４４」が連なっている。第四谷４４は、山型屈曲部３である第四山３４と交差して掛合部２である「第四掛合部２４」を形成する。

　具体的には、ステント１００の径方向Ｒから見て、第四山３４と第四谷４４とは、第七交差部Ｇ７と第八交差部Ｇ８とにおいて交差する。第八交差部Ｇ８は、第七交差部Ｇ７よりも第二直線交差部１Ｂに近い。第七交差部Ｇ７において、第四谷４４は第四山３４の径方向Ｒにおける外側を通過する。第八交差部Ｇ８において、第四谷４４は第四山３４の径方向Ｒにおける内側を通過する。

［第五掛合部２５］
　第一直線部１１および第三直線部１３の第二方向Ａ２側には、谷型屈曲部４である「第五谷４５」が連なっている。第五谷４５は、山型屈曲部３である第五山３５と交差して掛合部２である「第五掛合部２５」を形成する。

　具体的には、ステント１００の径方向Ｒから見て、第五山３５と第五谷４５とは、第九交差部Ｇ９と第十交差部Ｇ１０とにおいて交差する。第九交差部Ｇ９は、第十交差部Ｇ１０よりも第二直線交差部１Ｂに近い。第十交差部Ｇ１０は、第九交差部Ｇ９よりも第一直線交差部１Ａに近い。第九交差部Ｇ９において、第五谷４５は第五山３５の径方向Ｒにおける外側を通過する。第十交差部Ｇ１０において、第五谷４５は第五山３５の径方向Ｒにおける内側を通過する。

［第六掛合部２６］
　第二直線部１２の第二方向Ａ２側には、谷型屈曲部４である「第六谷４６」が連なっている。第六谷４６は、山型屈曲部３である第六山３６と交差して掛合部２である「第六掛合部２６」を形成する。

　具体的には、ステント１００の径方向Ｒから見て、第六山３６と第六谷４６とは、第十一交差部Ｇ１１と第十二交差部Ｇ１２とにおいて交差する。第十一交差部Ｇ１１は、第十二交差部Ｇ１２よりも第一直線交差部１Ａに近い。第十一交差部Ｇ１１において、第六谷４６は第六山３６の径方向Ｒにおける外側を通過する。第十二交差部Ｇ１２において、第六谷４６は第六山３６の径方向Ｒにおける内側を通過する。

［第一掛合部２１と第二掛合部２２と第三掛合部２３の配置］
　第一掛合部２１と第二掛合部２２とは、長手軸方向Ａにおいて異なる位置に配置される。具体的には、第二掛合部２２は、長手軸方向Ａにおいて第一掛合部２１より第一方向Ａ１側に配置される。

　第二掛合部２２と第三掛合部２３とは、長手軸方向Ａにおいて異なる位置に配置される。具体的には、第三掛合部２３は、長手軸方向Ａにおいて第二掛合部２２より第二方向Ａ２側に配置される。

［第四掛合部２４と第五掛合部２５と第六掛合部２６の配置］
　第四掛合部２４と第五掛合部２５とは、長手軸方向Ａにおいて異なる位置に配置される。具体的には、第五掛合部２５は、長手軸方向Ａにおいて第四掛合部２４より第二方向Ａ２側に配置される。

　第五掛合部２５と第六掛合部２６とは、長手軸方向Ａにおいて異なる位置に配置される。具体的には、第六掛合部２６は、長手軸方向Ａにおいて第五掛合部２５より第一方向Ａ１側に配置される。

［ワイヤＷ］
　第一山３１と第一直線部１１と第五谷４５と第三直線部１３と第三山３３は、周方向Ｃに沿ってジグザグに延びるワイヤＷの連続する一部（第一ワイヤＷ１）である。また、第六谷４６と第二直線部１２と第二山３２と第四直線部１４と第四谷４４とは、周方向Ｃに沿ってジグザグに延びるワイヤＷの連続する一部（第二ワイヤＷ２）である。第一ワイヤＷ１と第二ワイヤＷ２とは、一本の連続するワイヤであってもよいし、異なるワイヤであってもよい。

［他の直線交差部１および掛合部２］
　隣り合う直線交差部１である第一直線交差部１Ａおよび第二直線交差部１Ｂと、第一直線交差部１Ａおよび第二直線交差部１Ｂに連なる６個の掛合部２（第一掛合部２１、第二掛合部２２、第三掛合部２３、第四掛合部２４、第五掛合部２５および第六掛合部２６）は、上記の構成を備える。図３に示すように、ステント１００における他の隣り合う直線交差部１に連なる掛合部２は、段移動交差部１５が設けられた部分を除いて、上記の構成と同様の構成を備える。

［第二領域Ｅ２における掛合部２の配置］
　図３に示すように、第二領域Ｅ２に周方向Ｃに配列する掛合部２は、隣り合う掛合部２と長手軸方向Ａにおいて異なる位置に配置される。具体的には、第二領域Ｅ２に周方向Ｃに配列する掛合部２は、長手軸方向Ａに対して一つずつ交互に配置される。

　図５は、ズレＬ１とピッチＬ２を説明する図である。
　第二領域Ｅ２において最も第一方向Ａ１側にある掛合部２の位置と、同じ第二領域Ｅ２において最も第二方向Ａ２側にある掛合部２の位置と、の長手軸方向Ａにおける長さを「ズレＬ１」と定義する。ここで、掛合部２の位置とは、直線状態に自然拡張したステント１００における掛合部２の中心の位置である。

　長手軸方向Ａに隣り合う第二領域Ｅ２の長手軸方向Ａにおける長さを「ピッチＬ２」と定義する。ここで、二つの第二領域Ｅ２の長手軸方向Ａにおける長さは、第二領域Ｅ２の中心軸ＥＯの間の距離である。中心軸ＥＯは、第二領域Ｅ２において最も第一方向Ａ１側にある掛合部２の位置と、同じ第二領域Ｅ２において最も第二方向Ａ２側にある掛合部２の位置と、の長手軸方向Ａにおける中点を通る周方向Ｃに平行な直線である。

［ステントデリバリーシステム１５０の動作］
　ステントデリバリーシステム１５０を含む内視鏡システム３００を用いたステント留置方法を、胆管内にステント１００を留置する手技を例として説明する。

　図６は、ステントデリバリーシステム１５０の先端部の断面図である。
　ステント１００は、径方向Ｒに縮径した状態で、内筒部材１２０と外筒部材１１０との間の隙間に収容される。ワイヤＷの重なりが多い掛合部２は、径方向Ｒに縮径した状態において、ステント１００の他の部分より、ワイヤＷが径方向Ｒにかさばりやすい。しかしながら、ステント１００は、第二領域Ｅ２において、掛合部２が長手軸方向Ａに分散して配置されているため、径方向ＲにおけるワイヤＷのかさばりを低減できる。そのため、ステント１００は、ステントデリバリーシステムに収容しやすい。

　図７は、ズレＬ１が大きいステント１００を示す図である。
　ステント１００は、ズレＬ１がより大きいほど、図６に示す径方向Ｒに縮径した状態において、径方向ＲへのワイヤＷのかさばりを好適に低減できる。ここで、ズレＬ１は、ピッチＬ２の半分以下であることが望ましい。ズレＬ１がピッチＬ２の半分となるときに、かさばりが最も低減される。ズレＬ１がピッチＬ２の半分より大きい場合、第二領域Ｅ２において周方向Ｃに配列する掛合部２による形状追従性が低下してしまう。

　術者は口等の自然開口から患者の体腔内に内視鏡２００の挿入部２１０を挿入する。その際、術者は必要に応じてノブ２２３等を操作して湾曲部２１２を湾曲させる。

　術者は、内視鏡２００の処置具チャネル２３０にガイドワイヤを通し、内視鏡２００で観察しながらガイドワイヤを胆管内に挿入する。続いて術者は、Ｘ線透視下でガイドワイヤを操作して胆管内の狭窄部位を突破させ、ガイドワイヤの先端部を狭窄部位（目標位置）よりも肝臓側に移動させる。

　術者は、内視鏡２００の鉗子栓２２５から突出したガイドワイヤの基端部を、ステントデリバリーシステム１５０のチップ１３０の貫通孔に挿入する。

　術者は、ガイドワイヤを保持しながらステントデリバリーシステム１５０を押し込むことにより、ガイドワイヤに沿ってステントデリバリーシステム１５０を前進させる。ステントデリバリーシステム１５０の先端部が内視鏡２００の処置具チャネル２３０の先端部から突出する。ステントデリバリーシステム１５０の先端部が狭窄部位（目標位置）を突破したら、術者はステントデリバリーシステム１５０を進退させて、ステント１００の留置位置を決定する。なお、術者はガイドワイヤを用いずにステントデリバリーシステム１５０を処置具チャネル２３０に挿入してもよい。

　ステント１００の目標位置を決定したら、術者は、外筒部材１１０を内筒部材１２０に対して後退させる。その結果、図１に示すように、ステント１００が先端側から徐々に露出して拡張する。

　径方向Ｒに縮径した状態において、ワイヤＷの重なりが多い掛合部２がかさばった部分は、拡径する力が強くなる。しかしながら、ステント１００は、第二領域Ｅ２において、掛合部２が長手軸方向Ａに分散して配置されているため、掛合部２が拡径しようとする力を分散できる。そのため、収容されたステントはステントデリバリーシステム１５０の外筒部材１１０との摺動抵抗が小さくなるため、リリースしやすい。

　ステント１００が完全に露出すると、ステント１００は、全体において拡張し、ステント１００の内径が、内筒部材１２０の外径よりも大きくなる。これに伴い、ステント１００と内筒部材１２０との係止が解除される。

　ステント１００と内筒部材１２０との係止が解除された後、術者が内筒部材１２０を後退させると、ステント１００は留置位置に留まり、内筒部材１２０がステント１００から抜去される。

　術者は、ステント１００を除くステントデリバリーシステム１５０を体外に引き出すと、ステント１００の留置手技が終了する。

　本実施形態に係るステント１００によれば、ワイヤＷの重なりが多い掛合部２を備えており形状追従性が高い。また、ステント１００は、ワイヤＷの重なりが多い掛合部２が長手軸方向Ａに分散して配置されるため、ステントデリバリーシステム１５０に収容しやすく、ステントデリバリーシステム１５０からリリースしやすい。

　以上、本発明の第一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。

（変形例１－１）
　上記実施形態において、第二領域Ｅ２において周方向Ｃに配列する掛合部２は、長手軸方向Ａに対して一つずつ交互に配置される。しかしながら、第二領域Ｅ２における掛合部２の配置態様はこれに限定されない。図８は、ステント１００の変形例であるステント１００Ａの展開図である。ステント１００Ａは、ステント１００と比較して、第二領域Ｅ２における掛合部２の配置態様のみが異なる。

　ステント１００Ａにおいて、第二領域Ｅ２において周方向Ｃに配列する掛合部２は、長手軸方向Ａにおいて、第一位置Ｐ１と第二位置Ｐ２と第三位置Ｐ３のいずれかに配置される。第一位置Ｐ１、第二位置Ｐ２および第三位置Ｐ３は、第一方向Ａ１側から第二方向Ａ２側に向かって配列している。

　第一周方向Ｃ１から第二周方向Ｃ２に向かって、第一位置Ｐ１に配置された掛合部２（２Ｐ１）と、第二位置Ｐ２に配置された掛合部２（２Ｐ２）と、第三位置Ｐ３に配置された掛合部２（２Ｐ３）とが繰り返し配列している。ステント１００Ａにおいて、ワイヤＷの重なりが多い掛合部２が長手軸方向Ａにより分散して配置される。

　なお、第二領域Ｅ２において周方向Ｃに配列する複数の掛合部２は、長手軸方向Ａにおいて４個以上の異なる位置に分散して配置されていてもよい。また、第二領域Ｅ２において周方向Ｃに隣り合う掛合部２において、第一周方向Ｃ１側の掛合部２は、第二周方向Ｃ２側の掛合部２に対して、長手軸方向Ａにおいて第一方向Ａ１側に配置されていてもよく、第二方向Ａ２側に配置されていてもよい。

（第二実施形態）
　本発明の第二実施形態について、図９から図１０を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。第二実施形態に係るステント１００Ｂは、第一実施形態に係るステント１００と同様に、ステントデリバリーシステム１５０に収容される。

　図９は、ステント１００Ｂを周方向Ｃに展開した展開図である。
　ステント１００Ｂは、第一実施形態のステント１００と同様に、ワイヤＷを編み込んで形成されており、円筒形状を有する。また、ステント１００Ｂは、複数の直線交差部１と、複数の掛合部２と、を有する。ステント１００Ｂは、第一実施形態のステント１００と比較して、掛合部２の配置のみが異なる。

［第一掛合部２１と第二掛合部２２と第三掛合部２３の配置］
　図１０は、図９に示す領域Ｆ２の拡大図である。
　第一掛合部２１と第二掛合部２２とは、長手軸方向Ａにおいて異なる位置に配置される。具体的には、第二掛合部２２は、長手軸方向Ａにおいて第一掛合部２１より第一方向Ａ１側に配置される。

［第四掛合部２４と第五掛合部２５と第六掛合部２６の配置］
　第四掛合部２４と第五掛合部２５とは、長手軸方向Ａにおいて異なる位置に配置される。具体的には、第五掛合部２５は、長手軸方向Ａにおいて第四掛合部２４より第一方向Ａ１側に配置される。

　第五掛合部２５と第六掛合部２６とは、長手軸方向Ａにおいて異なる位置に配置される。具体的には、第六掛合部２６は、長手軸方向Ａにおいて第五掛合部２５より第二方向Ａ２側に配置される。

　本実施形態に係るステント１００Ｂによれば、ワイヤＷの重なりが多い掛合部２を備えており形状追従性が高い。また、ステント１００Ｂは、ワイヤＷの重なりが多い掛合部２が長手軸方向Ａに分散して配置されるため、ステントデリバリーシステム１５０に収容しやすく、ステントデリバリーシステム１５０からリリースしやすい。

　以上、本発明の第二実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。

　以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明の技術範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。

　実施例１は、上記実施形態のステント１００である。
　比較例１は、ステント１００のズレＬ１をゼロにしたステントである。

　実施例１および比較例１を用いて、拡張力測定を行った。拡張力測定はＪＩＳ　Ｔ３２６９に定められた「４　半径方向の力の測定」に基づいて実施した。３７°Ｃの槽内に配置されたステントは、ステント全体に対する縮径と拡径とが交互に繰り返し実施される。

　図１１は、ステント１００の拡張力測定の結果である。
　ステントが最も縮径した状態において、実施例１の拡張力は、比較例１の拡張力よりも小さい。実施例１は、第二領域Ｅ２において、掛合部２が長手軸方向Ａに分散して配置されているため、径方向ＲにおけるワイヤＷのかさばりを低減でき、掛合部２が拡径しようとする力を分散できるためである。

　一方、縮径および拡径する過程において、実施例１の拡張力と比較例１の拡張力との差は少ない。すなわち、実施例１のようにステント１００のズレＬ１を設けた場合であっても、ステントの基本機能である狭窄や閉塞を押し広げる機能を維持することができる。

　本発明は、ワイヤ等を編み込んで形成されるステントに適用することができる。

３００　内視鏡システム
２００　内視鏡
１５０　ステントデリバリーシステム
１１０　外筒部材
１２０　内筒部材
１３０　チップ
１００，１００Ａ，１００Ｂ　ステント
１　直線交差部
１０　直線部
１１　第一直線部
１２　第二直線部
１３　第三直線部
１４　第四直線部
１５　段移動交差部
１Ａ　第一直線交差部
１Ｂ　第二直線交差部
２　掛合部（絡合部）
２１　第一掛合部
２２　第二掛合部
２３　第三掛合部
２４　第四掛合部
２５　第五掛合部
２６　第六掛合部
３　山型屈曲部（山）
３１　第一山
３２　第二山
３３　第三山
３４　第四山
３５　第五山
３６　第六山
４　谷型屈曲部（谷）
４１　第一谷
４２　第二谷
４３　第三谷
４４　第四谷
４５　第五谷
４６　第六谷

Claims

　ワイヤを編み込んで形成されたステントであって、
　直線部が交差する複数の直線交差部と、
　軸方向の一方である第一方向側に屈曲して凸となる山型屈曲部と、前記軸方向の他方である第二方向側に屈曲して凸となる谷型屈曲部と、が交差する複数の掛合部と、
　を備え、
　前記複数の直線交差部は、
　　第一直線部と第二直線部とが交差する第一直線交差部と、
　　第三直線部と第四直線部とが交差する第二直線交差部と、
　を有し、
　前記複数の掛合部は、
　　前記第一直線部の前記第一方向側に連なる前記山型屈曲部である第一山と、前記谷型屈曲部である第一谷と、が交差する第一掛合部と、
　　前記第二直線部および前記第四直線部の前記第一方向側に連なる前記山型屈曲部である第二山と、前記谷型屈曲部である第二谷と、が交差する第二掛合部と、
　　前記第三直線部の前記第一方向側に連なる前記山型屈曲部である第三山と、前記谷型屈曲部である第三谷と、が交差する第三掛合部と、
　　前記第一直線部および前記第三直線部の前記第二方向側に連なる前記谷型屈曲部である第五谷と、前記山型屈曲部である第五山と、が交差する第五掛合部と、
　を有し、
　前記第一掛合部と前記第二掛合部とは、前記軸方向において異なる位置に配置され、
　前記第二掛合部と前記第三掛合部とは、前記軸方向において異なる位置に配置される、
　ステント。
　前記第二掛合部は前記軸方向において前記第一掛合部より前記第一方向側に配置され、
　前記第三掛合部は前記軸方向において前記第二掛合部より前記第二方向側に配置される、
　請求項１に記載のステント。
　前記複数の直線交差部が周方向に配置される第一領域と、
　前記複数の掛合部と１個の前記直線交差部とが前記周方向に配置される第二領域とは、
　前記軸方向において交互に配置される、
　請求項１に記載のステント。
　前記第二領域に配置される前記直線交差部は、前記周方向において異なる位置に配置される、
　請求項３に記載のステント。
　前記第二領域において最も前記第一方向側にある前記掛合部の位置と、同じ前記第二領域において最も前記第二方向側にある前記掛合部の位置との前記軸方向における長さは、
　前記軸方向に隣り合う前記第二領域の前記軸方向における長さの半分以下である、
　請求項３に記載のステント。
　前記複数の掛合部は、
　　前記第四直線部の前記第二方向側に連なる前記谷型屈曲部である第四谷と、前記山型屈曲部である第四山と、が交差する第四掛合部と、
　　前記第二直線部の前記第二方向側に連なる前記谷型屈曲部である第六谷と、前記山型屈曲部である第六山と、が交差する第六掛合部と、
　をさらに備え、
　前記第四掛合部と前記第五掛合部とは、前記軸方向において異なる位置に配置され、
　前記第五掛合部と前記第六掛合部とは、前記軸方向において異なる位置に配置される、
　請求項１に記載のステント。
　前記第二掛合部は前記軸方向において前記第一掛合部より前記第一方向側に配置され、
　前記第三掛合部は前記軸方向において前記第二掛合部より前記第二方向側に配置され、
　前記第五掛合部は前記軸方向において前記第四掛合部より前記第二方向側に配置され、
　前記第六掛合部は前記軸方向において前記第五掛合部より前記第一方向側に配置される、
　請求項６に記載のステント。
　前記第二掛合部は前記軸方向において前記第一掛合部より前記第一方向側に配置され、
　前記第三掛合部は前記軸方向において前記第二掛合部より前記第一方向側に配置され、
　前記第五掛合部は前記軸方向において前記第四掛合部より前記第一方向側に配置され、
　前記第六掛合部は前記軸方向において前記第五掛合部より前記第一方向側に配置される、
　請求項６に記載のステント。
　前記第二掛合部は前記軸方向において前記第一掛合部より前記第一方向側に配置され、
　前記第三掛合部は前記軸方向において前記第二掛合部より前記第二方向側に配置され、
　前記第五掛合部は前記軸方向において前記第四掛合部より前記第一方向側に配置され、
　前記第六掛合部は前記軸方向において前記第五掛合部より前記第二方向側に配置される、
　請求項６に記載のステント。
　操作部と、
　前記操作部から遠位側で延びるように構成される外筒部材と、
　前記操作部から遠位側で延びるように構成され、前記外筒部材の内側にある内筒部材と、
　前記外筒部材と前記内筒部材の間に収容され、請求項１から請求項９のいずれか一項に記載のステントと、
　を備え、
　前記操作部は、前記外筒部材または前記内筒部材を長手方向に移動させることで前記ステントを留置するよう構成される、
　ステントデリバリーシステム。
　前記外筒部材は、内視鏡のチャネルに挿通可能に構成される、
　請求項１０に記載のステントデリバリーシステム。