WO2023042598A1 - X線不透過性充填材、歯科用x線不透過性充填材、x線不透過性充填材の製造方法、及び、歯科用硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

歯科用硬化性組成物に必要なX線不透過性を付与でき、しかも硬化体の透過性を低下させ難く、審美的な修復を可能とするX線不透過性充填材、その製造方法、当該X線不透過性充填材を用いた歯科用硬化性組成物を提供すること。 重合性単量体を含む硬化性組成物に配合することにより前記硬化性組成物及びその硬化体にX線不透過性を付与するX線不透過性充填材であって、結晶性希土類金属フッ化物粒子を主成分として含み、且つ、X線回折パターンにおける前記結晶性希土類金属フッ化物粒子に由来する最大強度ピークの半値全幅が0.3°以上である第1の粉体、及び、前記第1の粉体を表面処理した第2の粉体からなる群より選択されるいずれかの粉体からなるX線不透過性充填材、その製造方法、当該X線不透過性充填材を用いた歯科用硬化性組成物。

Description

X線不透過性充填材、歯科用X線不透過性充填材、X線不透過性充填材の製造方法、及び、歯科用硬化性組成物
 本発明は、X線不透過性充填材、歯科用X線不透過性充填材、X線不透過性充填材の製造方法、及び、歯科用硬化性組成物に関する。
 歯科治療において、齲蝕を除去した後の窩洞には、歯科用充填材料を充填した後、これを硬化させることにより窩洞を硬化体で塞ぐ。このような歯科用充填材料としては、一般的に、重合性単量体と、充填材と、重合開始剤とを主成分として含む硬化性組成物が用いられる。
 この硬化性組成物に配合する充填材としては、一般的に、無機酸化物充填材、特にシリカ系充填材が用いられている。しかし、シリカ系充填材はX線不透過性が低い。このため、歯科治療時のレントゲン撮影やCT撮影時に、窩洞内の硬化物が造影されず、治療箇所の判別が困難である。
 歯科用硬化性組成物のX線不透過性を向上させる手段として、原子番号の大きい原子を含有する充填材を用いる方法が知られている。たとえば、特許文献1には、「重合性の有機結合剤と、放射線不透過性の成分と、さらに必要に応じて用いられる無機充填剤とを基材とする放射線不透過性の歯科用材料であって、該放射線不透過性の成分として、元素の周期系の希土類金属(元素番号57~71)のフッ化物またはこれらフッ化物の混合物を、全重量基準で、1~50重量%の量で含有する放射線不透過性の歯科用修復材」が記載されている。
特公平3-17803
 しかし、希土類金属フッ化物からなるX線不透過性充填材を用いた場合には、特許文献1の図2に示されるように、その配合量の増加に伴い、歯科用硬化性組成物を硬化させたときに得られる硬化体の透明性が低下する。このため、十分なX線不透過性を得ようとする場合には、審美的な修復は困難となる。
 そこで、本発明は、歯科用硬化性組成物に必要なX線不透過性を付与でき、しかも硬化体の透過性を低下させ難く、審美的な修復を可能とするX線不透過性充填材を提供することを目的とする。また、本発明は、前記X線不透過性充填材からなる歯科用X線不透過性充填材、前記X線不透過性充填材の製造方法、及び、前記X線不透過性充填材を用いた歯科用硬化性組成物を提供することを目的とする。なお、以下の説明において単に「硬化体」と記載した場合は、硬化性組成物あるいは歯科用硬化性組成物の硬化体を意味し、重合性単量体を硬化させた場合に得られる硬化体については「重合性単量体の硬化体」と称する。
 本発明は、上記課題を解決するものであり、本発明の第一の形態は、重合性単量体を含む硬化性組成物に配合することにより前記硬化性組成物及びその硬化体にX線不透過性を付与するX線不透過性充填材であって、結晶性希土類金属フッ化物粒子を主成分として含み、且つ、X線回折パターンにおける前記結晶性希土類金属フッ化物粒子に由来する最大強度ピークの半値全幅(以下、「最大ピーク半値幅」ともいう。)が0.3°以上である第1の粉体、及び、前記第1の粉体を表面処理した第2の粉体からなる群より選択されるいずれかの粉体からなることを特徴とするX線不透過性充填材である。
 上記形態のX線不透過性充填材(以下、「本発明のX線不透過性充填材」ともいう。)においては、前記第1の粉体が、電子顕微鏡によって測定される平均1次粒子径が5~300nmである結晶性希土類金属フッ化物粒子、及び、前記平均1次粒子径が1~500nmである結晶性希土類金属フッ化物粒子の凝集粒子、からなる群より選択される少なくとも一方の粒子を主成分として含む粉体であることが好ましい。また、前記結晶性希土類金属フッ化物粒子が、結晶性フッ化イッテルビウム粒子であることが好ましい。前記結晶性希土類金属フッ化物粒子が、結晶性フッ化ランタン粒子、結晶性フッ化セリウム粒子、及び、結晶性フッ化ガドリニウム粒子、からなる群より選択される少なくとも1種の粒子を含むことが好ましい。前記半値全幅が0.77°以下であることが好ましい。前記半値全幅が0.47°~0.68°であることが好ましい。前記半値全幅が0.51°~0.59°であることが好ましい。
 本発明の第二の形態は、本発明のX線不透過性充填材からなることを特徴とする歯科用X線不透過性充填材(以下、「本発明の歯科用X線不透過性充填材」ともいう。)である。
 本発明の第三の形態は、本発明のX線不透過性充填材を製造する方法であって、結晶性希土類金属フッ化物粒子を主成分として含み、且つ、前記結晶性希土類金属フッ化物粒子に由来する最大ピーク半値幅が0.3°未満である原料粉体をメカノケミカル処理して、前記半値全幅を0.3°以上とする工程を含む、ことを特徴とするX線不透過性充填材の製造方法である。
 上記形態の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう。)においては、前記メカノケミカル処理が湿式ビーズミル処理である、ことが好ましい。
 本発明の第四の形態は、重合性単量体及び本発明のX線不透過性充填材を含むことを特徴とする歯科用硬化性組成物である。
 上記形態の歯科用硬化性組成物(以下、「本発明の歯科用硬化性組成物」ともいう。)においては、前記結晶性希土類金属フッ化物粒子が、結晶性フッ化イッテルビウム粒子であり、前記重合性単量体の硬化体の25℃におけるナトリウムd線に対する屈折率が1.45~1.60である、ことが好ましい。また、下式(1)を満たすことが好ましい。
・式(1) -0.02≦(n-n)≦0.1
〔前記式(1)中、nは、前記結晶性希土類金属フッ化物粒子の屈折率を意味し、nは、前記重合性単量体の硬化体の屈折率を意味する。〕
 本発明のX線不透過性充填材及び本発明の歯科用X線不透過性充填材は、従来の希土類金属フッ化物からなるX線不透過性充填材と異なり、重合性単量体を含む硬化性組成物に配合した場合に、その配合量を増やしても硬化体の透明性を低下させ難い。したがって、本発明のX線不透過性充填材を含む本発明の歯科用硬化性組成物を用いることにより、審美性に優れ、且つ治療箇所をレントゲン写真等で容易に確認できる治療が可能となる。また、本発明のX線不透過性充填材は、歯科用途に限らず、接着材や塗料等の様々な用途の重合硬化性組成物においても、硬化体における透明性とX線不透過性との両立を実現できる。さらに、本発明の製造方法によれば、上記したような優れた特長を有する本発明のX線不透過性充填材を、入手が容易な材料を用いて効率的に製造することができる。
本図は、実施例1~11及び比較例1~4について、X線不透過性充填材に含まれる結晶性希土類金属フッ化物粒子の最大ピーク半値幅と硬化体のコントラスト比との関係を示すグラフである。 本図は、実施例1~11及び比較例1~4について、X線不透過性充填材の製造に用いた原料粉体(結晶性希土類金属フッ化物粒子)のメカノケミカル処理時間とX線不透過性充填材に含まれる結晶性希土類金属フッ化物粒子の最大ピーク半値幅との関係を示すグラフである。 本図は、実施例1~11及び比較例1~4について、X線不透過性充填材の製造に用いた原料粉体(結晶性希土類金属フッ化物粒子)のメカノケミカル処理時間と硬化体のコントラスト比との関係を示すグラフである。 本図は、実施例1~11及び比較例1~4について、X線不透過性充填材の製造に用いた原料粉体(結晶性希土類金属フッ化物粒子)のメカノケミカル処理時間とX線不透過性充填材に含まれる結晶性希土類金属フッ化物粒子の平均1次粒子径との関係を示すグラフである。 本図は、実施例16~22及び比較例7~13について、重合性単量体または重合性単量体の硬化体の屈折率と、硬化性組成物または硬化体のコントラスト比との関係を示すグラフである。 本図は、実施例23~29及び比較例14~20について、重合性単量体または重合性単量体の硬化体の屈折率と、硬化性組成物または硬化体のコントラスト比との関係を示すグラフである。 本図は、実施例30~36及び比較例21~27について、重合性単量体または重合性単量体の硬化体の屈折率と、硬化性組成物または硬化体のコントラスト比との関係を示すグラフである。 本図は、実施例37~43及び比較例28~34について、重合性単量体または重合性単量体の硬化体の屈折率と、硬化性組成物または硬化体のコントラスト比との関係を示すグラフである。
 本発明者らは、従来の希土類金属フッ化物からなるX線不透過性充填材の有する前記課題、すなわち、重合性単量体を含む硬化性組成物に配合したときに配合量を増やすと硬化体の透明性が大きく低下するという課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、本発明者らは、偶然にも、X線不透過性充填材として知られている結晶性フッ化イッテルビウムを、湿式ビーズミル装置を用いて長時間メカノケミカル処理を行って得た粉体を用いた場合には、配合量を増やしても上記硬化体の透明性が低下し難いことを見出した。そして、本発明者らは、当該知見に基づきさらに検討を行った結果、下記(i)及び(ii)に示す事実を見出し本発明を完成するに至った。
(i)上記メカノケミカル処理によって結晶粒子の結晶性が低下する。
(ii)結晶粒子の結晶性は、前記粉体のX線回折測定により得られた回折パターンにおける結晶性フッ化イッテルビウムに由来する最大強度ピークの半値全幅(最大ピーク半値幅)により把握される。そして、前記粉体の微細化が殆ど起こらないような状態であっても、結晶性低下の度合いがある程度を超えた場合、透明性低下防止効果が得られる。
 前記硬化性組成物に対するX線不透過性充填材の配合量を増やしても硬化体の透明性を低下させ難いという本発明のX線不透過性充填材の効果が発現する理由は必ずしも明らかではない。また、本発明は何ら論理に拘束されるものではない。しかしながら、本発明者らの検討により見出された下記(1)~(5)に示す事実に基づき、本発明者等は、前記理由は次のようなものであると推定している。
(1)前記最大ピーク半値幅と硬化体の透明性(コントラスト比)との間には比較的明瞭な相関がみられたこと(後述する図1参照。)。
(2)前記最大ピーク半値幅は、メカノケミカル処理時間にほぼ比例して増大すること(後述する図2参照。)。
(3)粉体の平均1次粒子径と硬化体の透明性(コントラスト比)との間には相関がみられなかったこと(後述する図3及び図4参照。)。
(4)マトリックス樹脂(重合性単量体の硬化体)の屈折率が特定の値となる場合に限って透明性低下防止効果がみられるというわけではなく、比較的広い屈折率の範囲のマトリックス樹脂に対して上記効果がみられたこと(後述する図5~図8参照。)。
(5)前記(4)と関連して、(重合性単量体とその硬化体とでは屈折率が異なるところ)硬化を行う前のペースト状態の硬化性組成物及び硬化後の硬化体の両方で透明低下防止効果がみられたこと(後述する図5~図8参照。)。
 すなわち、本発明のX線不透過性充填材の効果が発現する理由は次の通りであると推定される。まず、樹脂マトリックスに無機微粒子が分散した系における透明性の低下は両者の界面における光の乱反射の影響が大きいと考えられる。一方、前記メカノケミカル処理によって結晶性希土類金属フッ化物粒子の表面近傍が表面から内部に向かって徐々に非晶質化する。このため、結晶性希土類金属フッ化物粒子の表面近傍においては、内部から表面に向かって一定の勾配をもって屈折率が徐々に低下する層(以下、「屈折率傾斜層」ともいう。)が形成される。そして、形成された屈折率傾斜層内に、樹脂マトリックスの屈折率と一致する屈折率を有する部分が含まれることになる。この場合、反射光の割合が減少し(透過光の割合が増加し)、透明性の低下が抑制される。
 以下、本発明について詳しく説明する。なお、本明細書においては特に断らない限り、数値x及びyを用いた「x~y」という表記は「x以上y以下」を意味するものとする。かかる表記において数値yのみに単位を付した場合には、当該単位が数値xにも適用されるものとする。また、本明細書において、「(メタ)アクリル系」との用語は「アクリル系」及び「メタクリル系」の両者を意味する。同様に、「(メタ)アクリレート」との用語は「アクリレート」及び「メタクリレート」の両者を意味し、「(メタ)アクリロイル」との用語は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両者を意味する。
 1.本発明のX線不透過性充填材について
 本発明のX線不透過性充填材は、重合性単量体を含む硬化性組成物に配合することにより前記硬化性組成物及びその硬化体にX線不透過性を付与するX線不透過性充填材である。X線不透過性を付与する対象物となる硬化性組成物に含まれる重合性単量体は重合性を有する化合物であれば特に限定されず、その用途に応じて通常使用されるものが使用できる。例えば、硬化性組成物が歯科用硬化性組成物である場合には、当該用途で汎用的に使用されるラジカル重合性単量体等が使用できる。透明性の観点からは、本発明のX線不透過性充填材の配合対象となる硬化性組成物で使用される重合性単量体は、屈折率の差である「n-n」が特定の範囲内となる条件を満たすものであることが好ましい。ここで、nは、本発明のX線不透過性充填材の主成分である結晶性希土類金属フッ化物粒子の屈折率を意味し、nは、重合性単量体の硬化体の屈折率を意味する。具体的には、下式(1)を満たすことが好ましく、下式(2)を満たすことよりが好ましく、下式(3)を満たすことが最も好ましい。なお、メカノケミカル処理された結晶性希土類金属フッ化物粒子は、上述したように表面近傍に屈折率傾斜層を有すると推定される。しかしながら、メカノケミカル処理された結晶性希土類金属フッ化物粒子全体に占める屈折率傾斜層の割合は非常に小さいため、屈折率傾斜層の有無は、粒子全体の屈折率には実質的に影響しないと考えられる。また、本発明者らは、メカノケミカル処理前後における結晶性希土類金属フッ化物粒子の屈折率には実質的に有意な差が存在しないことを確認した。したがって、X線不透過性充填材の主成分である結晶性希土類金属フッ化物粒子がメカノケミカル処理されたものか否かを問わず、式(1)~(3)に示す屈折率差「n-n」の計算に際しては、屈折率nとして、便宜上、メカノケミカル処理前の結晶性希土類金属フッ化物粒子の屈折率を測定して得られた値を用いた。
・式(1) -0.02≦(n-n)≦0.1
・式(2) -0.01≦(n-n)≦0.07
・式(3)     0≦(n-n)≦0.05
 本発明のX線不透過性充填材は、結晶性希土類金属フッ化物粒子を主成分として含み、且つ、X線回折パターンにおける最大ピーク半値幅が0.3°以上である第1の粉体、及び、第1の粉体を表面処理した第2の粉体からなる群より選択されるいずれかの粉体からなる必要がある。結晶性希土類金属フッ化物粒子を主成分として含む粉体であっても、X線回折パターンにおける最大ピーク半値幅が0.3°未満である場合には、不透明化防止効果が得られにくい。なお、以下の説明において本発明のX線不透過性充填材を構成する粉体について、第1の粉体と第2の粉体とを特に区別しない場合は、単に「粉体」と称す。
 なお、結晶性希土類金属フッ化物粒子以外の成分としては、(i)シランカップリング材等の表面処理剤に由来する物質、または、(ii)後述する本発明の製造方法において原料粉体において使用されたシリカ等のコーティング剤、シランカップリング材等の表面処理剤、もしくは、必要に応じて用いられるその他微量添加剤当に由来する物質等が該当する。また、「結晶性希土類金属フッ化物粒子を主成分として含む」とは、粉体の全質量の85質量%以上が結晶性希土類金属フッ化物粒子で構成されることを意味する。この場合、粉体の全質量の90質量%以上が結晶性希土類金属フッ化物粒子で構成されることが好ましい。
 以下、前記粉体の主成分を構成する結晶性希土類金属フッ化物粒子、及び、最大ピーク半値幅について詳しく説明する。
 1-1.結晶性希土類金属フッ化物粒子について
 結晶性希土類金属フッ化物粒子における希土類金属フッ化物としては、その色調や安全性からフッ化ランタン(LaF)、フッ化セリウム(CeF)、フッ化イッテルビウム(YbF)、又は、フッ化ガドリニウム(GdF)を使用することが好ましく、X線不透過性の観点からフッ化イッテルビウム(YbF)を使用することが最も好ましい。結晶性希土類金属フッ化物粒子の結晶構造は特に限定されず、通常は、希土類金属フッ化物の種類に応じて、常温常圧で安定な結晶構造のものが使用される。なお、これら結晶性希土類金属フッ化物の25℃におけるナトリウムd線に対する屈折率は、通常、1.50~1.65の範囲である。
 第1の粉体は、透明性維持効果及び歯科用硬化性組成物に配合した時における硬化体の光沢性の観点から、電子顕微鏡観察によって測定される平均1次粒子径が1~500nmである結晶性希土類金属フッ化物粒子及び/又はその凝集粒子を主成分として含むことが好ましい。この場合、結晶性希土類金属フッ化物粒子の平均1次粒子径は特に5~300nmであることが好ましい。ここで、上記電子顕微鏡観察によって測定される1次粒子径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、100,000倍の倍率で観察し、得られた観察像中の1次粒子100個の粒子径を求め、その平均値を意味する。
 また、取り扱い易さの観点から、レーザー回折・散乱法によって測定される(凝集粒子を含めた粉体全体の)平均粒子径は0.1~0.6μmであることが好ましく、特に0.1~0.3μmであることが好ましい。
 1-2.最大ピーク半値幅について
 本発明のX線不透過性充填材においては、不透明化防止効果を得るために、最大ピーク半値幅、すなわち前記粉体のX線回折パターンにおける前記結晶性希土類金属フッ化物粒子に由来する最大強度ピークの半値全幅、が0.3°以上である必要がある。不透明化防止効果の高さの観点から、最大ピーク半値幅は、0.4°以上であることが好ましく、特に0.5°以上であることが好ましい。なお、最大ピーク半値幅の上限値は特に限定されないが通常は、40°を超えることはない。但し、後述する表1を踏まえれば、本実施形態のX線不透過性充填材の生産性(メカノケミカル処理時間)の観点から、最大ピーク半値幅は0.77°以下であることが好ましい。また、硬化体の透明性とX線不透過性充填材の生産性とをよりバランス良く両立させる観点から、最大ピーク半値幅は、0.47°~0.68°が好ましく、0.51°~0.59°がさらに好ましい。
 本発明における最大ピーク半値幅は、本発明のX線不透過性充填材となる粉体についてX線回折測定を行うこと決定することができる。具体的には、X線回折装置にて2θが20~120°の範囲で測定試料(粉体)のX線回折測定を行うことで、横軸が2θ(°)、縦軸が回折強度を示すX線回折パターン(チャート)を得る。これにより、結晶性希土類金属フッ化物粒子に由来するピークを同定し、その中で最大強度を有するピークを特定する。例えば、結晶性希土類金属フッ化物粒子の材質がYbFである場合については、2θ=28.0°付近に現れる、結晶面(111)に該当するピークが最大強度を有するピークである。続いて、最大強度を有するピークにおいて最大強度の50%となる強度(50%強度)におけるピーク幅を、最大ピーク半値幅として得る。ここで、ピーク幅は、X線回折パターン(チャート)の横軸と平行を成しかつ50%強度の位置にある直線と、ピークラインとが交差する2つの交点の2θの差の絶対値(単位“deg[°]”)である。なお、測定に際しては、たとえば目開き100μmの篩を用いる等して粗粒を除いた粉体を測定試料とすることが好ましい。
 一般にX線回折における回折ピークの半値全幅と結晶子サイズとの間には、シェラーの式として知られる相関関係があり、結晶子サイズは半値全幅に反比例することが知られている。また、半値全幅には結晶格子の歪も影響を与えており、結晶格子歪が大きいと半値全幅は広がる傾向にある。結晶格子歪が大きく、結晶子径が小さくなって微細な結晶子が様々方向を向くことにより非晶質性が高まると考えられることから最大ピーク半値幅は、希土類金属フッ化物の結晶性の指標であるといえる。
 後述するように、従来一般的に使用されている希土類金属フッ化物系X線不透過性充填材や試薬として入手可能な(結晶性)希土類金属フッ化物についてX線回折測定を行ったところ、最大ピーク半値幅は0.3°未満(0.17~0.27°)であった。このことから、本発明のX線不透過性充填材を構成する結晶性希土類金属フッ化物粒子の平均的な結晶子径は有意に小さくなっており、全体としては、結晶性がやや低下していると言える。
 なお、本発明者らの検討によれば、(i)前記(1)~(5)に示した事実が確認されていること、及び、(ii)本発明の製造方法におけるメカノケミカル処理においては、1次粒子径がもともと小さく、処理時間を長くしても1次粒子径がほとんど変化しない系においても最大ピーク半値幅は処理時間の長さに応じて大きくなっていることから、おそらく粒子内おける結晶性は不均一なものとなっているものと思われる。しかし、本発明のX線不透過性充填材となる粉体を構成する個別の結晶性希土類金属フッ化物粒子について、その結晶子の状態や結晶格子の歪みの状態を分析することは困難であり、実質的に不可能である。そこで、本発明では、平均化された結晶性の指標として最大ピーク半値幅を用いて本発明のX線不透過性充填材を特定している。また、このような事情から、本発明のX線不透過性充填材は、本発明の製造方法によって得られるX線不透過性充填材であるともいえる。
 2.本発明の製造方法について
 本発明の製造方法は、本発明のX線不透過性充填材を製造する方法であって、結晶性希土類金属フッ化物粒子を主成分として含み、且つ、最大ピーク半値幅が0.3°未満である原料粉体をメカノケミカル処理して、最大ピーク半値幅を0.3°以上とする工程を含むことを特徴とする。
 前記したように、従来一般的に使用されている希土類金属フッ化物系X線不透過性充填材や試薬として入手可能な(結晶性)希土類金属フッ化物粉体の最大ピーク半値幅は、通常、0.3°未満である。このため、原料粉体としては、このような粉体を特に制限なく使用することができる。原料粉体の結晶性が低いことが懸念される場合には、原料粉体のX線回折測定を行って、最大ピーク半値幅が0.3°未満であることを確認してから使用することが好ましい。なお、市販されているX線不透過性充填材用の結晶性希土類金属フッ化物粉体では、ナノシリカで表面コートされたものやシランカップリング剤等で表面処理した粉体も含まれる。本発明の製造方法では、これらの粉体ついてもそのまま原料粉体として使用することができる。後述するメカノケミカル処理において、条件によっては、原料粉体の処置時間を長くすると粒子の粉砕が起こり、2次粒子(凝集粒子)や1次粒子が解砕され、原料粉体の粒子径は小さくなる。しかし、数時間程度のメカノケミカル処理では原料粉体の粒子径に大きな変化は見られない。このようなことから、原料粉体の粒径としては、(本発明のX線不透過性充填材を構成する前記粉体と同様に)電子顕微鏡観察によって測定される平均1次粒子径が1~500nmであることが好ましく、特に5~300nmであることが好ましく、また、レーザー回折・散乱法によって測定される平均粒子径が0.1~0.6μmであることが好ましく、特に0.1~0.3μmであることが好ましい。
 本発明の製造方法では上記原料粉体をメカノケミカル処理して、最大ピーク半値幅を0.3°以上とする。ここでメカノケミカル処理とは原料粉体に機械的エネルギーを与える処理を意味し、機械的摩砕、粉砕、分散の少なくとも一つを行う処理を意味する。結晶性希土類金属フッ化物粉体(あるいは粒子)の結晶性を確実かつ効率的に所望の結晶性に制御することができるという理由から、メカノケミカル処理の方法としては湿式法を採用することが好ましく、湿式ビーズミルを用いた処理法が特に好ましい。湿式法でメカノケミカル処理を実施する場合、媒質としては水やアルコールなどの溶媒、重合性単量体をはじめとした媒質が使用可能である。しかし、X線不透過性充填材の分散性や歯科用組成物への添加の観点から、媒質は、常温(15~25℃)で液状である媒質が好ましい。
 以下、湿式ビーズミルを用いた処理を例に、本発明の製造方法について詳しく説明する。
 湿式ビーズミルを用いたメカノケミカル処理においては、メカノケミカル処理を施す原料粉体と媒質とを混合したスラリーを、撹拌や振動等により動きを与えたメディア(ビーズ)と接触させる。これにより、原料粉体を粉砕・解砕する。メディアとして用いるビーズの材質としては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、あるいは樹脂等が挙げられるが、耐摩耗性に優れ、コンタミネーションが比較的少ないことから、アルミナ、あるいはジルコニアであることが好ましい。用いるビーズの大きさは目的とするX線不透過性充填材の粒径に応じて選択すればよく特段制限はないが、通常は直径0.01mm~0.5mmのビーズを用いることが好ましい。これにより、歯科用硬化性組成物への添加に好ましい粒径のX線不透過性充填材を得ることができる。
 湿式ビーズミルには運転方式により、スラリーとビーズとを直接装置に投入し処理を行うバッチ式や、タンクと装置との間をスラリーが循環する循環式、装置にスラリーを所定回数通過させるパス式等の種類がある。これら運転方式はメカノケミカル処理に用いる原料粉体の量によって選択すればよい。生産性がよく比較的多量の原料粉体を処理可能であることから循環式ビーズミルを用いることが好ましい。
 上記循環式やパス式等の運転方式によってはメカノケミカル処理を実施する際にスラリーとビーズとを分離する必要がある。ビーズ分離方式としてはスリット式、スクリーン式及び遠心分離式等が挙げられる。これらビーズ分離方式は用いるビーズの粒径によって選択すればよく、いずれの方式も特に制限なく用いることができる。メカノケミカル処理に具するスラリーの濃度は媒質100質量部に対して、原料粉体が50質量部以下であることが好ましい。スラリー中の原料粉体が50質量部を超えるとスラリーの粘度が高くなり、メカノケミカル処理が困難となる場合がある。
 スラリーの粘度の上昇はスラリーに分散剤を添加することで抑制可能である。それゆえ、スラリーに分散剤を添加することで、より高濃度のスラリーをメカノケミカル処理することが可能となる。用いる分散剤としては、通常の充填材の分散処理に用いられる公知の界面活性剤であれば特に制限なく用いることができ、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの高分子系界面活性剤等が挙げられる。具体的には、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、脂肪族モノカルボン酸塩、アルキルアミン塩、並びに、アルキルベタイン等が挙げられる。メカノケミカル処理された原料粉体(最大ピーク半値幅が0.3°以上の結晶性希土類金属フッ化物粒子)を用いて歯科用硬化性組成物を調製する場合、歯科用硬化性組成物中でのメカノケミカル処理後の原料粉体の分散性の観点から、分散剤としてカチオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
 メカノケミカル処理条件は用いる湿式ビーズミル装置の運転方式やビーズ径、原料粉体の最大ピーク半値幅、及びスラリーの濃度等の条件によって変動する。これら条件は、実際にメカノケミカル処理を実施する装置を用いて予備実験を行い、メカノケミカル処理時間に対するメカノケミカル処理後の原料粉体の最大ピーク半値幅を確認すればよい。また、X線不透過性充填材の製造時には、必要に応じて処理スラリーをサンプリングし、最大ピーク半値幅を適宜確認する。これにより、確実に所望の最大ピーク半値幅を有する結晶性希土類金属フッ化物粒子を主成分として含むX線不透過性充填材を製造することが可能である。
 メカノケミカル処理によって最大ピーク半値幅が0.3°以上とされた原料粉体(メカノケミカル処理済みの結晶性希土類金属フッ化物粒子)は、通常、濃縮や乾固、濾過などの操作を行い、本発明のX線不透過性充填材を得る。なお、湿式処理における媒質として重合性単量体を使用した場合には、これら操作を行わず、そのままの形で使用することもできる。また、得られたX線不透過性充填材については、各種の重合性単量体及びその重合体との親和性向上のため表面処理を行うことができる。表面処理剤としては一般に用いられるシランカップリング剤やチタネートカップリング剤等の化合物を用いることができる。
 3.本発明の歯科用硬化性組成物について
 先に述べたように、本発明のX線不透過性充填材は、歯科用硬化性組成物に配合される充填材(すなわち、歯科用X線不透過性充填材)として特に有用である。歯科用硬化性組成物には、本発明のX線不透過性充填材に加えて、重合性単量体と重合開始剤とが配合される。
 重合性単量体としては、該用途に使用される公知のものが制限なく使用できる。具体的に例示すれば、メチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-シアノメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチルモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ) アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2-ビス{4-[3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ]フェニル}プロパン、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体等を挙げることができる。
 重合性単量体は、単独、或いは2種類以上を組み合わせて用いることができる。ただし、先に述べたように得られる硬化体の透明性の観点からは、重合性単量体は、既述したように屈折率の差である「n-n」が特定の範囲内となる条件を満たすものであることが好ましく、具体的には、式(1)を満たすことが好ましく、式(2)を満たすことがより好ましく、式(3)を満たすことが最も好ましい。重合性単量体の硬化体の屈折率は複数の重合性単量体を組み合わせることで調整可能であり、前記公知の重合性単量体を任意の比率で混合し用いることができる。
 本発明の歯科用硬化性組成物に配合される本発明のX線不透過性充填材の配合量は、歯科用硬化性組成物がペースト状となる範囲であれば特段制限されないが、通常、歯科用硬化性組成物100質量部に対して1~80質量部の範囲であることが好ましく、3~70質量部の範囲であることがより好ましい。さらに、硬化体へのX線不透過性付与と各種物性(例えば、機械的強度や硬度)との観点から、歯科用硬化性組成物100質量部に対するX線不透過性充填材の配合量は10~40質量部であることがさらに好ましい。また、硬化体にX線不透過性を付与する観点から、重合性単量体100質量部に対してX線不透過性充填材を1~400質量部配合することも好ましい。
 重合開始剤としては、重合性単量体を重合させることができる重合開始剤として使用されている、化学重合開始剤、光重合開始剤、あるいは、熱重合開始剤等が、特に制限なく使用できる。
 重合開始剤の配合量は、重合を開始しうる量であれば特に制限されないが、通常、重合性単量体100質量部に対して0.001~10質量部の範囲である。重合速度と得られる硬化体の各種物性(例えば、耐候性や硬度)との観点から、上記基準で0.05~5質量部を配合することが好ましい。
 前記重合開始剤の種類は歯科用硬化性組成物の用途により選択すればよい。歯科用硬化性組成物が、口腔内で硬化させる歯科用充填修復材料である場合には光重合開始剤を使用することが好ましい。また、歯科用硬化性組成物を予め硬化したバルク体を歯科医院や技工所等で切削して利用するミルブランクとする場合には熱重合開始剤を使用することが好ましい。
 光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルケタール類、ベンゾフェノン類、α-ジケトン類、チオキサントン化合物、並びに、ビスアシルホスフィンオキサイド類等が挙げられる。なお、光重合開始剤には、しばしば還元剤が添加される。還元剤としては、芳香族アミン、脂肪族アミン、アルデヒド類、並びに、含イオウ化合物などが例示される。さらに、必要に応じてトリハロメチルトリアジン化合物、アリールヨードニウム塩等を添加することもできる。
 本発明の歯科用硬化性組成物は、上記した成分に加えて、歯科用硬化性組成物、特に歯科用充填修復材料の配合成分として公知の他の成分が配合されていてもよい。このような成分としては、本発明のX線不透過性充填材以外のその他の充填材、重合禁止剤、紫外線吸収剤、染料、帯電防止剤、顔料、香料、有機溶媒、及び増粘剤等の公知の添加剤が挙げられる。
 その他の充填材としては、歯科用硬化性組成物に配合される、有機充填材、或いは無機充填材のいずれも配合することが可能である。有機充填材としては、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、メチルメタクリレート-エチルメタクリレート共重合体、架橋型ポリメチルメタクリレート、架橋型ポリエチルメタクリレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン―スチレン共重合体などの有機高分子からなる粒子が挙げられる。
 無機充填材を具体的に例示すると、石英、シリカ、アルミナ、シリカチタニア、シリカジルコニア、ランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、金属酸化物等の無機粒子が挙げられる。
 これらその他の充填材の粒径、形状は、特に限定されず、一般的に歯科用材料として使用されている、球状や不定形の、平均粒子径0.001μm~100μmの粒子を目的に応じて適宜使用すればよい。また、これらその他の充填材の屈折率も特に限定されず、一般的な歯科用硬化性組成物の充填材が有する1.4~2.6の範囲のものが制限なく使用できる
 本発明の歯科用硬化性組成物にその他の充填材を配合する場合の配合量も、歯科用硬化性組成物がペースト状となる範囲であれば特に限定されない。しかし、歯科用硬化性組成物を歯科用充填修復材料として用いる場合には、X線不透過性充填材とその他の充填剤との合計量が、重合性単量体100質量部に対して、25~400質量部であることが好ましく、40~250質量部とすることがより好ましい。
 本発明のX線不透過性充填材を配合した硬化性組成物は、上記した歯科用途に制限されず、接着剤、塗料、光学材料等に使用することができるが、特に歯科用充填修復材料として使用することが好適である。
 本発明の歯科用硬化性組成物の製造方法は特に制限されるものではなく、公知の硬化性組成物の製造方法を適宜採用すればよい。具体的には、(i)光重合系の歯科用硬化性組成物の場合には暗所において、または、(ii)熱重合系の歯科用硬化性組成物の場合には室温もしくは低温下において、本発明の歯科用硬化性組成物を構成するX線不透過性充填材、重合性単量体、重合性開始剤、及び必要に応じて配合されるその他の配合成分を所定量秤取り、これらを混合してペースト状の歯科用硬化性組成物を調製すればよい。このようにして製造された本発明の歯科用硬化性組成物は、使用時まで遮光下もしくは室温下、または、低温下で保管される。化学重合系の歯科用硬化性組成物の場合には、混和することで活性種を生じる2種類以上の成分を物理的に分離した状態で、上記光重合系または熱重合系の歯科用硬化性組成物と同様にして製造及び保管される。
 本発明の歯科用硬化性組成物を硬化させる手段としては、用いた重合開始剤の重合開始機構に従い適宜、公知の重合手段を採用すればよい。具体的には、硬化手段としては、カーボンアーク、キセノンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプ、蛍光灯、太陽光、ヘリウムカドミウムレーザー、アルゴンレーザー等の光源による光照射、もしくは、加熱重合器等を用いた加熱、または、これらを組み合わせた方法等が何等制限なく使用できる。光照射により歯科用硬化性組成物を重合させる場合には、その照射時間は、光源の波長・強度、硬化体の形状や材質によって異なるため、予備的な実験によって予め決定しておけばよい。しかし、一般には、照射時間が5~60秒程度の範囲になるように、歯科用硬化性組成物に含まれる各種成分の配合割合を調整しておくことが好ましい。
 以下、実施例により本発明を具体的に示すが、本発明はこれらの実施例によって何等限定されるものではない。
 先ず、実施例及び比較例において、調製される硬化性組成物の原材料として使用した物質及びその略号、ならびに、上記原材料及び調製された硬化性組成物の評価方法について説明する。
 1.物質とその略号
 1-1.重合性単量体
  UDMA:1,6-ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)-2,2,4-トリメチルヘキサン
  3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
  BisGMA:2,2-ビス[4-[2-ヒドロキシ-3-(メタクリロイルオキシ)プロピルオキシ]フェニル]プロパン
  D-2.6E:2,2-ビス[4-(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン
 1-2.重合開始剤
 CQ:カンファーキノン(東京化成工業株式会社製)
 DMBE:ジメチル安息香酸エチル(東京化成工業株式会社製)
 1-3.充填材
 (1)結晶性希土類金属フッ化物粒子(原料粉体)
 X線不透過性充填材の原材料(原料粉体)としては下記に示す結晶性希土類金属フッ化物粒子を用いた。
  RF1:YbF-40(平均1次粒子径40nm、平均2次粒子径0.6μm、屈折率1.55のフッ化イッテルビウム、Sukgyung社製)
  RF2:YbF-100(平均1次粒子径100nm、平均2次粒子径0.6μm、屈折率1.55のフッ化イッテルビウム、Sukgyung社製)
  RF3:YbF-200(平均1次粒子径200nm、平均2次粒子径0.6μm、屈折率1.55のフッ化イッテルビウム、Treibacher社製)
  RF4:YbF-300(平均1次粒子径300nm、平均2次粒子径0.6μm、屈折率1.55のフッ化イッテルビウム、Treibacher社製)
  RF5:LaF(平均1次粒子径400nm、平均2次粒子径0.6μm、屈折率1.58のフッ化ランタン、富士フィルム和光純薬株式会社製)
  RF6:CeF(平均1次粒子径350nm、平均2次粒子径0.7μm、屈折率1.63のフッ化セリウム、富士フィルム和光純薬株式会社製)
  RF7:GdF(平均1次粒子径390nm、平均2次粒子径0.6μm、屈折率1.62のフッ化ガドリニウム、富士フィルム和光純薬株式会社製)
 なお、平均1次粒子径、平均2次粒子径及び屈折率は、後述の評価方法に基づき決定された値である。
 2.各種評価方法
 2-1.平均1次粒子径の測定
 X線不透過性充填材を構成する結晶性希土類金属フッ化物粒子の平均1次粒子径は、走査型電子顕微鏡を用いて以下の手順により求めた。まず、X線不透過性充填材を試料台上にカーボンペーストで固定した後に、導電処理(白金蒸着)を施した測定用試料を準備した。次に、この測定用試料を、電子顕微鏡(JSM-7800F PRIME、日本電子株式会社製)にて100,000倍の倍率で観察し、得られた観察像中の1次粒子100個の平均粒子径を平均1次粒子径として求めた。また、同様の手順により原料粉体の平均一次粒子径も求めた。
 2-2.平均2次粒子径の測定
 X線不透過性充填材を構成する結晶性希土類金属フッ化物粒子の平均2次粒子径は粒度分布測定により以下の手順で求めた。まず、0.1gの粉体(X線不透過性充填材)をイオン交換水10mLに懸濁した懸濁液を準備した。次に、この懸濁液を超音波照射した状態で、粒度分布計(LS13-320、BECKMAN COULTER社製)を用いて粒度分布測定を行い、体積粒度分布を得た。そして、体積粒度分布の小径側から累積50%となる粒子径(D50v値)をX線不透過性充填材を構成する結晶性希土類金属フッ化物粒子の平均2次粒子径とした。また、同様の手順により原料粉体の平均2次粒子径も求めた。
 2-3.屈折率の測定
 2-3-1.重合性単量体の屈折率n
 硬化性組成物の調製に使用した重合性単量体の屈折率nは、アッベ屈折率計(DR-A1-Plus、株式会社アタゴ社製)を用いて、25℃においてナトリウムd線に対する屈折率として測定した。
 2-3-2.重合体(重合性単量体の硬化体)の屈折率n
 硬化性組成物の調製に使用した重合性単量体(但し、硬化処理のために微量の重合開始剤(0.2重量%のカンファーキノン及び0.35重量%のN,N-ジメチル-p-安息香酸エチル)を含む)を、型に設けられた貫通孔(直径7mm、貫通孔長さ0.5mm)に充填した後、貫通孔の両側開口部をポリプロピレンフィルムで圧接しながら封止した。その後、貫通孔内に充填された重合性単量体に対して、光量500mW/cmのハロゲン型歯科用光照射器(Demetron LC、サイプロン社製)を用いて30秒間光照射することで硬化させた。その後、型から取り出した重合性単量体の硬化体について、2-3-1と同様の手順で屈折率nを測定した。
 2-3-3.結晶性希土類フッ化物粒子の屈折率n
 25℃の恒温室において、100mLのサンプル瓶中、結晶性希土類フッ化物粒子1gを無水トルエン50mL中に懸濁した。この懸濁液をスターラーで撹拌しながら1-ブロモトルエンを少しずつ滴下し、懸濁液が最も透明となった時点の懸濁液の屈折率を2-3-1と同様の手順で測定し、得られた値を結晶性希土類フッ化物粒子の屈折率nとした。なお、既述したように、メカノケミカル処理後の結晶性希土類フッ化物粒子の屈折率nは、メカノケミカル処理前の結晶性希土類フッ化物粒子の屈折率で代用した。
 2-4.硬化性組成物及び硬化体の透明性(コントラスト比)評価
 各実施例及び比較例で調製した硬化性組成物を、内径0.7cm、深さ0.1cmのポリアセタール製モールドに充填した。硬化性組成物の透明性を評価する場合には、このモールドを試料とした。また、硬化体の透明性を評価する場合には、上記と同様にモールド内に硬化性組成物を充填した後に歯科用の光照射器(TOKUSO POWER LIGHT、株式会社トクヤマ社製)を用い、照射距離0.5cmで20秒間光照射して硬化させたものを試料とした。透明性の評価は、各試料について色差計(SE7700、株式会社日本電色社製)にて黒背景及び白背景下にてY値を測定し、下式により透明性(コントラスト比:Yb/Yw)を算出した。
  Yb/Yw = 黒背景下でのY値(Yb)/白背景下でのY値(Yw)。
 3.X線不透過性充填材の製造
 X線不透過性充填材としては、1-3(1)に原料粉体として列挙した結晶性希土類金属フッ化物粒子(YbF―40、YbF-100、YbF―200、YbF-300、LaF、CeF及びGdF)、及び、これら原料粉体についてメカノケミカル処理を行った粉体を使用した。表1に、実施例及び比較例のX線不透過性充填材の略号、X線不透過性充填材の製造に使用した結晶性希土類金属フッ化物粒子(原料粉体そのもの、または、原料粉体をメカノケミカル処理した粉体)の略号、原料粉体のメカノケミカル処理時間、平均1次粒子径(メカノケミカル処理した原料粉体についてはメカノケミカル処理後の値)、最大ピークの2θ及び最大ピーク半値幅、ならびに、屈折率nを示す。
 なお、メカノケミカル処理は、湿式ビーズミルSC50{三井鉱山株式会社製}を用いて実施した。そして、イオン交換水100質量部に対して5.0質量部の結晶性希土類金属フッ化物粒子を混合したスラリーを、メディアとしてφ0.3mmジルコニアビーズ100gを用い、回転数3000rpmにて分散処理した。分散処理において使用した結晶性希土類金属フッ化物粒子の種類及び処理時間を表1に示す。また、最大ピーク半値幅の測定には、原料粉体あるいはメカノケミカル処理後の粉体について、目開き100μmの篩により粗粒を除去して得られた測定用試料を用いた。そして、この測定用試料をX線回折装置{Smartlab、株式会社リガク製}の試料台に充填した後、X線回折測定を行うことで、横軸を2θ(°)とし、縦軸を回折強度とするX線回折パターン(チャート)を得た。ここで、表1に示す2θ及び最大ピーク半値幅(deg:°)は、X線回折パターン(チャート)上の結晶面(111)のピークに関する値である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 4.実施例及び比較例
 実施例1
 80質量部のUDMA及び20質量部の3Gからなる重合性単量体100質量部に対して、重合開始剤として0.2重量部のCQ及び0.35重量部のDMBEを加え、6時間撹拌し液状組成物を調製した。この液状組成物に対して、X線不透過性充填材としてF1を重合性単量体100質量部に対して、150質量部(60wt%)となるように加えた後、メノウ乳鉢で混合し、得られた混合物を真空下にて脱泡して気泡を取り除くことにより、ペースト状の硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物の硬化体について、透明性(コントラスト比)を評価した。結果を表2に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 実施例2~15、比較例1~6
 実施例1において、配合する重合性単量体、重合開始剤及びX線不透過性充填材として表2に示す材料を用いた以外は実施例1と同様にして実施例2~15及び比較例1~6の硬化性組成物を調製した。そして、得られた硬化性組成物の硬化体の透明性(コントラスト比)を評価した。結果を併せて表2に示した。
 表2に示されるように、用いたX線不透過性充填材の最大ピーク半値幅が0.3°を下回る比較例1~6では、得られた硬化体は比較的不透明(コントラスト比は高く、0.63~0.70)であった。一方、メカノケミカル処理を施された最大ピーク半値幅が0.3°以上である結晶性希土類金属フッ化物粒子を含むX線不透過性充填材を用いた実施例1~15では、良好な透明性(コントラスト比:0.06~0.43)の硬化体が得られた。また、各硬化体は最大ピーク半値幅の値が大きくなるにつれて硬化体の透明性は高くなった(コントラスト比は低くなった)。
 実施例16~22、比較例7~13
 実施例2において、配合する重合性単量体の組成を表3に記載したように変更した以外は実施例2と同様にして実施例16~22の硬化性組成物を調製し、また、比較例1において、配合する重合性単量体の組成を表3に記載したように変更した以外は比較例1と同様にして比較例7~13の硬化性組成物を調製した。そして、得られたペースト状の硬化性組成物及びその硬化体の透明性を評価した。結果を併せて表3に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表3に示されるように、同一のX線不透過性充填材を用いている実施例において(あるいは比較例において)、重合性単量体組成によって重合性単量体及び重合性単量体の硬化体の屈折率は異なる。しかし、同一の重合性単量体組成を有する実施例と比較例とを比較すると、最大ピーク半値幅が0.3°以上であるX線不透過性充填材:F1-3hを用いた実施例16~22では、最大ピーク半値幅が0.3°を下回るX線不透過性充填材:RF1を用いた比較例7~13と比較して硬化性組成物及び硬化体のコントラスト比は低くなっており、透明性が高くなっていることが確認された。
 実施例23~29、比較例14~20
 用いたX線不透過性充填材をF5-3h(LaF)及びRF5(LaF)に変更した以外は実施例16~22及び比較例7~13と同様にして、実施例23~29及び比較例14~20の硬化性組成物を調製した。そして、得られたペースト状の硬化性組成物及びその硬化体の透明性を評価した。結果を併せて表4に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 表4に示されるように、LaF系においても重合性単量体組成が同一の実施例と比較例とを比較すると、硬化性組成物及びその硬化体の双方において実施例の方が透明性が高く(コントラスト比は低く)なっていることが確認された。
 実施例30~36、比較例21~27
 用いたX線不透過性充填材をF6-3h(CeF)及びRF6(CeF)に変更した以外は実施例16~22及び比較例7~13と同様にして、実施例30~36及び比較例21~27の硬化性組成物を調製した。そして、得られたペースト状の硬化性組成物及びその硬化体の透明性を評価した。結果を併せて表5に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 表5に示されるように、CeF系においても重合性単量体組成が同一の実施例と比較例を比較すると、硬化性組成物及びその硬化体の双方において実施例の方が透明性が高く(コントラスト比は低く)なっていることが確認された。
 実施例37~43、比較例28~34
 用いたX線不透過性充填材をF7-3h(GdF)及びRF7(GdF)に変更した以外は実施例16~22及び比較例7~13と同様にして、実施例37~43及び比較例28~34の硬化性組成物を調製した。そして、得られたペースト状の硬化性組成物及びその硬化体の透明性を評価した。結果を併せて表6に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 表6に示されるように、GdF系においても重合性単量体組成が同一の実施例と比較例とを比較すると、硬化性組成物及びその硬化体の方法において実施例の方が透明性が高く(コントラスト比は低く)なっていることが確認された。
 5.X線造影性の評価
 各実施例の硬化性組成物についてISO13116-2014に準じて試験を行った。その結果、いずれの実施例の硬化性組成物から得られた硬化体においても、当該硬化体と同一の厚みを有するアルミニウム材を上回るX線不透過性を示した。よって、いずれの実施例の硬化性組成物から得られた硬化体も、X線に対して十分な不透過性を有することが確認された。なお、歯科材料として必要とされる実用的なX線不透過性は、硬化体と同一の厚みを有するアルミニウム材と同等程度前後あるいはそれ以上のX線不透過性を示すことが必要である。ここで、硬化体と同一の厚みを有するアルミニウム材と同等程度前後のX線不透過性を示す本発明のX線不透過性充填材の配合量は、硬化性組成物100質量部に対して概ね3~10質量部程度であった。
 なお、以上に説明した各実施例の硬化性組成物は、歯科用硬化性組成物として好適に用いることができるものである。また、参考までに、表1~6に示す実験データに基づいて作成した各種グラフを図1~図8に示す。

 

Claims (13)

  1.  重合性単量体を含む硬化性組成物に配合することにより前記硬化性組成物及びその硬化体にX線不透過性を付与するX線不透過性充填材であって、
     結晶性希土類金属フッ化物粒子を主成分として含み、且つ、X線回折パターンにおける前記結晶性希土類金属フッ化物粒子に由来する最大強度ピークの半値全幅が0.3°以上である第1の粉体、及び、前記第1の粉体を表面処理した第2の粉体からなる群より選択されるいずれかの粉体からなる、
    ことを特徴とするX線不透過性充填材。
  2.  前記第1の粉体が、電子顕微鏡によって測定される平均1次粒子径が1~500nmである結晶性希土類金属フッ化物粒子、及び、前記平均1次粒子径が1~500nmである結晶性希土類金属フッ化物粒子の凝集粒子、からなる群より選択される少なくとも一方の粒子を主成分として含む粉体である、請求項1に記載のX線不透過性充填材。
  3.  前記結晶性希土類金属フッ化物粒子が、結晶性フッ化イッテルビウム粒子である、請求項1又は2に記載のX線不透過性充填材。
  4.  前記結晶性希土類金属フッ化物粒子が、結晶性フッ化ランタン粒子、結晶性フッ化セリウム粒子、及び、結晶性フッ化ガドリニウム粒子、からなる群より選択される少なくとも1種の粒子を含む、請求項1又は2に記載のX線不透過性充填材。
  5.  前記半値全幅が0.77°以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のX線不透過性充填材。
  6.  前記半値全幅が0.47°~0.68°である、請求項1~4のいずれか1項に記載のX線不透過性充填材。
  7.  前記半値全幅が0.51°~0.59°である、請求項1~4のいずれか1項に記載のX線不透過性充填材。
  8.  請求項1~7のいずれか1項に記載のX線不透過性充填材からなることを特徴とする歯科用X線不透過性充填材。
  9.  請求項1~7のいずれか1項に記載のX線不透過性充填材を製造する方法であって、
     結晶性希土類金属フッ化物粒子を主成分として含み、且つ、X線回折パターンにおける前記結晶性希土類金属フッ化物粒子に由来する最大ピークの半値全幅が0.3°未満である原料粉体をメカノケミカル処理して、前記半値全幅を0.3°以上とする工程を含む、
    ことを特徴とするX線不透過性充填材の製造方法。
  10.  前記メカノケミカル処理が湿式ビーズミル処理である、請求項9に記載のX線不透過性充填材の製造方法。
  11.  重合性単量体及び請求項1~8のいずれか1項に記載のX線不透過性充填材を含むことを特徴とする歯科用硬化性組成物。
  12.  前記結晶性希土類金属フッ化物粒子が、結晶性フッ化イッテルビウム粒子であり、前記重合性単量体の硬化体の25℃におけるナトリウムd線に対する屈折率が1.45~1.60である、請求項11に記載の歯科用硬化性組成物。
  13.  下式(1)を満たす請求項11または12に記載の歯科用硬化性組成物。
    ・式(1) -0.02≦(n-n)≦0.1
    〔前記式(1)中、nは、前記結晶性希土類金属フッ化物粒子の屈折率を意味し、nは、前記重合性単量体の硬化体の屈折率を意味する。〕
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