WO2023007591A1

WO2023007591A1 - 鞍乗り型車両、車両、及び、乗員保護具

Info

Publication number: WO2023007591A1
Application number: PCT/JP2021/027785
Authority: WO
Inventors: 裕相京
Original assignee: 本田技研工業株式会社
Priority date: 2021-07-27
Filing date: 2021-07-27
Publication date: 2023-02-02
Also published as: JPWO2023007591A1

Abstract

鞍乗り型車両、車両、及び、乗員保護具において、エアバッグをコンパクトにし、且つ、エアバッグを乗員に良好に付着させる。　鞍乗り型車両は、乗員用のシート（１７）と、シート（１７）よりも前方に設けられるエアバッグ（４２）とを備え、エアバッグ（４２）は、展開時に上方に展開する上方展開部（４３）と、展開時に上方展開部（４３）の上部から上方展開部（４３）の後外側方に延出する第１展開部（５０）と、展開時に第１展開部（５０）から屈曲して下方に延びる下方展開部（５１）とを備える。

Description

鞍乗り型車両、車両、及び、乗員保護具

　本発明は、鞍乗り型車両、車両、及び、乗員保護具に関する。

　従来、乗員用のシートの前方にエアバッグを備え、このエアバッグが、乗員の前方で上方に展開する部分と、乗員の側方を通って乗員の後方に向かって延びる部分とを備える鞍乗り型車両が知られている（例えば、特許文献１参照）。特許文献１では、エアバッグによって乗員を前方及び左右の両側方から囲むことでエアバッグを乗員に付着させ、乗員を効果的に保護する。

特開平１０－６９０１号公報

　しかしながら、上記従来のエアバッグでは、乗員の後方に向かって延びる部分が大型であるため、エアバッグの容積が大きくなり、エアバッグの展開に必要なガスの量が多くなる。このため、エアバッグをコンパクトにし、且つ、エアバッグを乗員に良好に付着させることが望まれる。
　本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、鞍乗り型車両、車両、及び、乗員保護具において、エアバッグをコンパクトにし、且つ、エアバッグを乗員に良好に付着させることを目的とする。

　鞍乗り型車両は、乗員用のシートと、前記シートよりも前方または前記シートの前部に設けられるエアバッグとを備える鞍乗り型車両において、前記エアバッグは、展開時に上方に展開する上方展開部と、展開時に前記上方展開部の上部から前記上方展開部の外側方または後方または後外側方に延出する第１展開部と、展開時に前記第１展開部から屈曲して下方に延びる下方展開部とを備えることを特徴とする。
　車両は、乗員用の乗車位置より前方に設けられるエアバッグを備える車両において、前記車両は、前記乗車位置に乗員が立ち乗りする立ち乗り型車両であり、前記エアバッグは、展開時に上方に展開する上方展開部と、展開時に前記上方展開部の上部から前記上方展開部の外側方または後方または後外側方に延出する第１展開部と、展開時に前記第１展開部から屈曲して下方に延びる下方展開部とを備えることを特徴とする。
　乗員保護具は、車両に乗車する乗員が装着する乗員用装備具と、エアバッグとを備え、前記エアバッグは、前記乗員用装備具に支持されて前記乗員の胴体の前面側に位置し、前記エアバッグは、展開時に上方に展開する上方展開部と、展開時に前記上方展開部の上部から前記上方展開部の外側方または後方または後外側方に延出する第１展開部と、展開時に前記第１展開部から屈曲して下方に延びる下方展開部とを備えることを特徴とする。

　エアバッグをコンパクトにし、且つ、エアバッグを乗員に良好に付着させることができる。

図１は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。図２は、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を前方から見た正面図である。図３は、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を示す左側面図である。図４は、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を上方から見た平面図である。図５は、展開したエアバッグを前方から見た正面図である。図６は、図５のＶＩ－ＶＩ断面図である。図７は、第２の実施の形態のエアバッグが展開して乗員を保護している状態を示す左側面図である。図８は、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を上方から見た平面図である。図９は、第３の実施の形態のエアバッグが展開して乗員を保護している状態を上方から見た平面図である。図１０は、第４の実施の形態に係る鞍乗り型車両の左側面図である。図１１は、第４の実施の形態の変形例を示す左側面図である。図１２は、第５の実施の形態における立ち乗り型車両の左側面図である。図１３は、第６の実施の形態において、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を前方から見た正面図である。図１４は、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を示す左側面図である。図１５は、第７の実施の形態において、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を前方から見た正面図である。

　以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号ＦＲは車体前方を示し、符号ＵＰは車体上方を示し、符号ＬＨは車体左方を示す。

［実施の形態］
　図１は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両１０の側面図である。
　鞍乗り型車両１０は、車体フレーム１１と、車体フレーム１１に支持されるパワーユニット１２と、前輪１３を操舵自在に支持するフロントフォーク１４と、後輪１５を支持するスイングアーム１６と、乗員用のシート１７とを備える車両である。
　鞍乗り型車両１０は、乗員がシート１７に跨るようにして着座する車両である。シート１７は、車体フレーム１１の後部の上方に設けられる。

　車体フレーム１１は、車体フレーム１１の前端部に設けられるヘッドパイプ１８と、ヘッドパイプ１８の後方に位置するフロントフレーム１９と、フロントフレーム１９の後方に位置するリアフレーム２０とを備える。フロントフレーム１９の前端部は、ヘッドパイプ１８に接続される。
　シート１７は、リアフレーム２０に支持される。

　フロントフォーク１４は、ヘッドパイプ１８によって左右に操舵自在に支持される。前輪１３は、フロントフォーク１４の下端部に設けられる車軸１３ａに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル２１は、フロントフォーク１４の上端部に取り付けられる。

　スイングアーム１６は、車体フレーム１１に支持されるピボット軸２２に支持される。ピボット軸２２は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム１６の前端部には、ピボット軸２２が挿通される。スイングアーム１６は、ピボット軸２２を中心に上下に揺動する。
　後輪１５は、スイングアーム１６の後端部に設けられる車軸１５ａに支持される。

　パワーユニット１２は、前輪１３と後輪１５との間に配置され、車体フレーム１１に支持される。
　パワーユニット１２は、内燃機関である。パワーユニット１２は、クランクケース２３と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部２４とを備える。シリンダー部２４の排気ポートには、排気装置２５が接続される。
　パワーユニット１２の出力は、パワーユニット１２と後輪１５とを接続する駆動力伝達部材によって後輪１５に伝達される。

　また、鞍乗り型車両１０は、前輪１３を上方から覆うフロントフェンダー２６と、後輪１５を上方から覆うリアフェンダー２７と、乗員が足を載せるステップ２８と、パワーユニット１２が使用する燃料を蓄える燃料タンク２９とを備える。
　フロントフェンダー２６は、フロントフォーク１４に取り付けられる。リアフェンダー２７及びステップ２８は、シート１７よりも下方に設けられる。燃料タンク２９は、車体フレーム１１に支持される。

　燃料タンク２９は、シート１７の前方且つヘッドパイプ１８の後方に配置される。
　シート１７に着座した乗員Ｒは、両方の腕Ｒ１を前方に延ばしてハンドル２１を把持するとともに、両足をステップ２８に乗せ、両方の脚Ｒ２で燃料タンク２９及び車体フレーム１１等の車体を挟んで車体を保持する。

　鞍乗り型車両１０は、乗員Ｒを保護するエアバッグ装置４０を備える。
　エアバッグ装置４０は、シート１７よりも前方に配置され、車両側面視で燃料タンク２９の後端部に対し車幅方向に重なる位置に設けられる。
　エアバッグ装置４０は、燃料タンク２９の後端部に設けられるエアバッグ収納部２９ａに配置される。エアバッグ収納部２９ａは、例えば燃料タンク２９の後端部が凹んだ凹部であり、この凹部内にエアバッグ装置４０が配置される。

　エアバッグ装置４０は、インフレーター４１と、インフレーター４１が放出するガスによって膨張するエアバッグ４２とを備える。エアバッグ４２は、折り畳まれた状態でエアバッグ収納部２９ａに収納されている。エアバッグ４２は、シート１７に対する乗員Ｒの着座位置よりも前方に配置され、乗員よりも前方に位置する。また、エアバッグ４２は、前輪１３及びシート１７と同様に車幅方向の中央に配置される。

　鞍乗り型車両１０は、鞍乗り型車両１０に作用する衝撃を検知する加速度センサ（不図示）を備える。この加速度センサは鞍乗り型車両１０の制御部（不図示）に電気的に接続され、制御部はインフレーター４１に電気的に接続される。制御部は、検知された加速度に基づいてエアバッグ装置４０の作動及び非作動を判断する。制御部は、エアバッグ装置４０を作動させる場合、インフレーター４１を作動させてエアバッグ４２内にガスを放出する。エアバッグ４２は、ガスの圧力で膨張し、展開する。
　エアバッグ４２は、エアバッグ収納部２９ａを上方から覆うカバー（不図示）によって覆われている。エアバッグ４２は、膨張する際、上記カバーを押し退けて展開する。

　図２は、エアバッグ４２が展開して乗員Ｒを保護している状態を前方から見た正面図である。図３は、エアバッグ４２が展開して乗員Ｒを保護している状態を示す左側面図である。図４は、エアバッグ４２が展開して乗員Ｒを保護している状態を上方から見た平面図である。図５は、展開したエアバッグ４２を前方から見た正面図である。
　エアバッグ４２は、エアバッグ収納部２９ａ（図１）から上方に展開する上方展開部４３と、上方展開部４３の上部から分岐して後外側方に延出する左右一対の第１展開部５０と、各第１展開部５０から屈曲して下方に延びる左右一対の下方展開部５１とを備える。
　また、エアバッグ４２は、インフレーター４１に接続されるインフレーター接続部４４（図５）を、上方展開部４３の下端部に備える。

　図６は、図５のＶＩ－ＶＩ断面図である。
　図２～図６を参照し、上方展開部４３は、車幅方向の中央に配置され、乗員Ｒの胴体Ｒ３を前方から覆う。
　上方展開部４３は、車幅方向の中央に対し左右の一方側でエアバッグ収納部２９ａ（図１）から上方に延出する一側上方展開部４５と、車幅方向の中央に対し左右の他方側でエアバッグ収納部２９ａから上方に延出する他側上方展開部４６とを一体に備える。
　一側上方展開部４５と他側上方展開部４６とは車幅方向（左右方向）に繋がっており、互いに略平行で略鉛直に上方へ延びる。
　上方展開部４３は、胴体Ｒ３の上部の位置であって、乗員Ｒの頭部Ｒ４の下方の位置まで上方に延びる。

　上方展開部４３は、上方展開部４３内の空間を一側上方展開部４５と他側上方展開部４６とに左右に仕切る仕切り部４７を、上方展開部４３の後面４３ａに備える。
　仕切り部４７は、後面４３ａにおける車幅方向の中央部を縫い合わせて前方へ突出させた壁部である。仕切り部４７は、上方展開部４３内に突出する。仕切り部４７は、上方展開部４３の車幅方向の中央の位置を、上方展開部４３の展開方向に沿って上下に延在する。
　仕切り部４７は、上方展開部４３内の後部のみに設けられており、上方展開部４３内の前部では、一側上方展開部４５と他側上方展開部４６とは連通している。

　上方展開部４３の後面４３ａには、一側上方展開部４５の後面と他側上方展開部４６の後面とを車幅方向に接続する接続部材４８が取り付けられる。
　接続部材４８は、車幅方向に延びる帯状の紐である。接続部材４８は、上方展開部４３が展開した状態において車幅方向に略水平に延びる。
　接続部材４８は、上方展開部４３の上下の中間部に設けられる。

　上方展開部４３は、展開した状態では、図６に示す上面視で、仕切り部４７を起点としてＶ字状に折り曲がっている。上方展開部４３は、図５に示すように、正面視では、仕切り部４７を折り曲げ線として、後方に開放するＶ字状に折り曲がる。これにより、展開した状態では、上方展開部４３の後面４３ａの形状は、胴体Ｒ３の前面に沿うようにＶ字状となる。このため、上方展開部４３を胴体Ｒ３に良好に付着させることができる。
　接続部材４８は、上方展開部４３が展開した状態において、上方展開部４３の折り曲がりの程度を規制し、上方展開部４３を良好なＶ字形状にする。このため、上方展開部４３を胴体Ｒ３に良好に付着させることができる。

　インフレーター接続部４４（図５）は、上方展開部４３の下部において、一側上方展開部４５の下端部、及び、他側上方展開部４６の下端部にそれぞれ設けられる。
　インフレーター接続部４４は、エアバッグ４２を展開させるガスの流入口であり、インフレーター４１が放出するガスは、インフレーター接続部４４から上方展開部４３に流入する。このガスは、上方展開部４３内を上方に流れ、上方展開部４３の上端部４３ｂから第１展開部５０に流れる。
　なお、インフレーター接続部４４は、一側上方展開部４５及び他側上方展開部４６にそれぞれ設けられているが、インフレーター接続部４４は少なくとも１か所に設けられれば良い。また、インフレーター接続部４４は、上方展開部４３の下端部に設けられているが、これに限らず、インフレーター接続部４４は、上方展開部４３の上下の中間部よりも下方の位置に設けられても良い。

　第１展開部５０は、上方展開部４３の上端部４３ｂに左右一対で設けられる。第１展開部５０は、上方展開部４３の上端部４３ｂから車幅方向外側の斜め後方に延びる。また、第１展開部５０は、後方に向かうに従って上方に位置するように傾斜している。
　詳細には、一方（左側）の第１展開部５０は、一側上方展開部４５の上端部４５ａから車幅方向外側の斜め後方に延びる。
　他方（右側）の第１展開部５０は、他側上方展開部４６の上端部４６ａから車幅方向外側の斜め後方に延びる。
　各第１展開部５０は、上方展開部４３よりも細い棒状である。第１展開部５０の基端部は、上方展開部４３内に連通している。

　第１展開部５０は、胴体Ｒ３の上部の前方に位置する上方展開部４３の上端部４３ｂから、車幅方向外側の斜め後方に延び、乗員Ｒの腕Ｒ１の上方を通って腕Ｒ１の後方に延びる。
　詳細には、第１展開部５０は、シート１７に着座してハンドル２１を把持する乗員Ｒの腕Ｒ１の上腕の上方を通って、車幅方向外側の斜め後方に延びる。すなわち、第１展開部５０は、腕Ｒ１の上腕を上方から覆う。

　下方展開部５１は、第１展開部５０の後端部から屈曲して下方に延びる。下方展開部５１は、第１展開部５０に連続して延びる棒状であって、上方展開部４３よりも細い棒状である。下方展開部５１は、上方展開部４３に対し車幅方向外側に位置する。下方展開部５１は、腕Ｒ１の後方を通って下方に延びており、腕Ｒ１を後方から覆う。
　下方展開部５１は、正面視では、下方に向かうに従って車幅方向内側に位置するように傾斜している。

　下方展開部５１は、図２に示すように、下方展開部５１と腕Ｒ１とが前後に重なる部分において、腕Ｒ１よりも下方に延出する。
　図５を参照し、下方展開部５１の展開方向の長さＬ１は、上方展開部４３の展開方向の長さＬ２よりも短い。

　エアバッグ４２が展開した状態では、エアバッグ４２は、乗員Ｒを周囲から囲み、乗員Ｒに付着する。
　詳細には、上方展開部４３は、胴体Ｒ３に前方から当接し、胴体Ｒ３を保護する。
　左右の第１展開部５０は、腕Ｒ１の上腕を上方から覆い、腕Ｒ１を保護する。
　左右の下方展開部５１は、腕Ｒ１の上腕を後方から覆い、腕Ｒ１を保護する。
　エアバッグ４２は、第１展開部５０が腕Ｒ１を上方から覆うとともに、上方展開部４３の側部と下方展開部５１との間に腕Ｒ１を挟むことで、腕Ｒ１に巻き付く。このため、エアバッグ４２を乗員Ｒに良好に付着させることができる。左側の第１展開部５０及び下方展開部５１は、左の腕Ｒ１に巻き付き、右側の第１展開部５０及び下方展開部５１は、右の腕Ｒ１に巻き付く。

　また、第１展開部５０は、上方展開部４３の上端部４３ｂから分岐した棒状であり、下方展開部５１は第１展開部５０に連続する棒状である。これにより、第１展開部５０及び下方展開部５１の容量が小さくなるため、第１展開部５０及び下方展開部５１を迅速に展開できる。また、第１展開部５０及び下方展開部５１が棒状であるため、第１展開部５０及び下方展開部５１を腕Ｒ１に巻き付け易い。

　エアバッグ装置４０には、エアバッグ４２の展開後にエアバッグ４２をインフレーター４１から切り離す切り離し機構４９（図１）が設けられる。切り離し機構４９は、例えば、エアバッグ４２内のガスの圧力によって作動して、エアバッグ４２をインフレーター４１から切り離す。また、切り離し機構４９は、エアバッグ４２の一部を熱によって溶かしてエアバッグ４２をインフレーター４１から切り離しても良い。
　インフレーター４１が作動してエアバッグ４２が展開すると、エアバッグ４２は乗員Ｒに付着するとともに、インフレーター４１から切り離される。このため、エアバッグ４２の展開後に、エアバッグ４２がインフレーター４１に引っ張られて乗員Ｒからずれることが抑制される。
　切り離し機構４９は、切り離されたエアバッグ４２からのガスの流出を抑制する逆止弁（不図示）を備える。このため、エアバッグ４２は、切り離された後も膨張した状態を維持し、乗員Ｒに良好に付着する。

　以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、鞍乗り型車両１０は、乗員用のシート１７と、シート１７よりも前方に設けられるエアバッグ４２とを備え、エアバッグ４２は、展開時に上方に展開する上方展開部４３と、展開時に上方展開部４３の上部から上方展開部４３の後外側方に延出する第１展開部５０と、展開時に第１展開部５０から屈曲して下方に延びる下方展開部５１とを備える。
　この構成によれば、第１展開部５０が上方展開部４３の上部から延出し、下方展開部５１が第１展開部５０から下方に延びるため、第１展開部５０及び下方展開部５１を小さくでき、エアバッグ４２をコンパクトにできる。さらに、上方展開部４３、第１展開部５０、及び下方展開部５１を乗員Ｒに巻き付けるようにして、エアバッグ４２を乗員Ｒに良好に付着させることができる。

　また、下方展開部５１の展開方向の長さＬ１は、上方展開部４３の展開方向の長さＬ２よりも短い。
　この構成によれば、上方展開部４３が長いため、上方展開部４３によって乗員Ｒを効果的に保護できる。また、下方展開部５１が短いため、下方展開部５１の容量を乗員Ｒに対するエアバッグ４２の付着に必要十分な大きさとして、第１展開部５０及び下方展開部５１を迅速に展開できる。

　また、エアバッグ４２を展開させるガスの流入口であるインフレーター接続部４４は、上方展開部４３に設けられ、ガスは、上方展開部４３内を上方に流れて第１展開部５０に流入する。
　この構成によれば、上方展開部４３内を上方に流れるガスによって、上方展開部４３及び第１展開部５０を効率良く展開させることができる。

　さらに、第１展開部５０は、上方展開部４３から後外側方に延出する。
　この構成によれば、乗員Ｒの頭部Ｒ４を避けて第１展開部５０を後方に向けて展開できるため、第１展開部５０及び下方展開部５１を乗員Ｒに良好に付着させることができる。また、乗員Ｒの頭部Ｒ４の側方の部位を第１展開部５０によって保護できる。

　また、第１展開部５０は、上方展開部４３の上端部４３ｂから分岐して左右一対設けられる。
　この構成によれば、第１展開部５０が上方展開部４３の上端部４３ｂから分岐するため、第１展開部５０をコンパクトにできる。また、左右一対の第１展開部５０によって、エアバッグ４２を乗員Ｒに良好に付着させることができる。

　また、第１展開部５０は、上方展開部４３よりも細い棒状である。
　この構成によれば、第１展開部５０が棒状であるため、第１展開部５０の周囲とのクリアランスを確保できる。このため、第１展開部５０をスムーズに展開できるとともに、第１展開部５０を乗員Ｒに巻き付けるようにして乗員Ｒに付着させ易い。

　また、エアバッグ４２内にガスを噴出してエアバッグ４２を展開させるインフレーター４１がエアバッグ４２に接続され、エアバッグ４２の展開後にエアバッグ４２をインフレーター４１から切り離す切り離し機構４９が設けられる。
　この構成によれば、エアバッグ４２の展開後にエアバッグ４２がインフレーター４１から切り離されるため、エアバッグ４２の展開後に、エアバッグ４２がインフレーター４１によって下方にずらされることが抑制される。このため、エアバッグ４２を乗員Ｒに良好に付着させることができる。また、エアバッグ４２で乗員Ｒを把持しつつ、エアバッグ４２を切り離しできる。

　また、上方展開部４３は、シート１７に着座する乗員Ｒの胴体Ｒ３の前面に沿って上方に展開し、第１展開部５０は、シート１７に着座して操舵用のハンドル２１を把持する乗員Ｒの腕Ｒ１を上方から覆い、下方展開部５１は、下方展開部５１と上方展開部４３との間に腕Ｒ１を挟む。
　この構成によれば、上方展開部４３、第１展開部５０、及び下方展開部５１を乗員Ｒの腕Ｒ１に巻き付けるようにして、エアバッグ４２を乗員Ｒに良好に付着させることができる。

　なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
　上記実施の形態では、エアバッグ４２は、シート１７よりも前方に設けられるものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。エアバッグ４２は、シート１７の前部であって、乗員Ｒの着座位置よりも前方に設けられても良い。また、エアバッグ装置４０は、シート１７に内蔵して配置されても良い。
　また、上記実施の形態では、仕切り部４７は、上方展開部４３内の後部のみに設けられるものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。仕切り部４７は、一側上方展開部４５と他側上方展開部４６とを完全に仕切るように、上方展開部４３の後面４３ａから前面まで延びても良い。また、仕切り部４７は、上方展開部４３内の前部のみに設けられても良い。
　また、第１展開部５０及び下方展開部５１は、左右一対設けられるものとして説明したが、左右の一方のみに設けられても良い。
　また、上記実施の形態では、第１展開部５０は、上方展開部４３の上端部４３ｂから分岐するものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。第１展開部５０は、上方展開部４３の上部から分岐していれば良く、上方展開部４３の上部において上端部４３ｂの下方の位置から分岐しても良い。
　さらに、上記実施の形態では、鞍乗り型車両１０として自動二輪車を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を２つ備える３輪の鞍乗り型車両及び４輪以上を備える鞍乗り型車両に適用可能である。

［第２の実施の形態］
　以下、図７及び図８を参照して、本発明を適用した第２の実施の形態について説明する。この第２の実施の形態において、上記実施の形態（第１の実施の形態）と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
　本第２の実施の形態は、第１展開部２５０の展開方向が、上記実施の形態と異なる。

　図７は、第２の実施の形態のエアバッグ２４２が展開して乗員Ｒを保護している状態を示す左側面図である。図８は、エアバッグ２４２が展開して乗員Ｒを保護している状態を上方から見た平面図である。
　エアバッグ２４２は、エアバッグ収納部２９ａ（図１）に収納される。エアバッグ２４２は、切り離し機構４９を介してインフレーター４１に接続される。

　エアバッグ２４２は、上方展開部４３と、上方展開部４３の上部から分岐して外側方に延出する左右一対の第１展開部２５０と、各第１展開部２５０から屈曲して下方に延びる左右一対の下方展開部２５１とを備える。

　第１展開部２５０は、上方展開部４３の上端部４３ｂに左右一対で設けられる。第１展開部２５０は、上方展開部４３の上端部４３ｂから車幅方向外側に延びる。第１展開部５０は、上方展開部４３に対し真横に延びる。
　詳細には、一方（左側）の第１展開部２５０は、一側上方展開部４５の上端部４５ａから車幅方向外側に延びる。
　他方（右側）の第１展開部２５０は、他側上方展開部４６の上端部４６ａから車幅方向外側に延びる。
　各第１展開部２５０は、上方展開部４３よりも細い棒状である。第１展開部２５０の基端部は、上方展開部４３内に連通している。

　第１展開部２５０は、胴体Ｒ３の上部の前方に位置する上方展開部４３の上端部４３ｂから、車幅方向外側に延び、乗員Ｒの腕Ｒ１の上方を通って腕Ｒ１の外側方に延びる。
　詳細には、第１展開部２５０は、シート１７に着座してハンドル２１を把持する乗員Ｒの腕Ｒ１の上腕の上方を通って、車幅方向外側に延びる。すなわち、第１展開部２５０は、腕Ｒ１の上腕を上方から覆う。

　下方展開部２５１は、第１展開部２５０の車幅方向外側の端部から屈曲して下方に延びる。下方展開部２５１は、第１展開部２５０に連続して延びる棒状であって、上方展開部４３よりも細い棒状である。下方展開部２５１は、上方展開部４３に対し車幅方向外側に位置する。下方展開部２５１は、腕Ｒ１の外側方を通って下方に延びており、腕Ｒ１を車幅方向外側から覆う。

　下方展開部２５１は、図７に示すように、下方展開部２５１と腕Ｒ１とが車幅方向に重なる部分において、腕Ｒ１よりも下方に延出する。
　下方展開部２５１の展開方向の長さＬ３は、上方展開部４３の展開方向の長さＬ２（図５）よりも短い。

　エアバッグ２４２が展開した状態では、エアバッグ２４２は、乗員Ｒを周囲から囲み、乗員Ｒに付着する。
　詳細には、上方展開部４３は、胴体Ｒ３に前方から当接し、胴体Ｒ３を保護する。
　左右の第１展開部２５０は、腕Ｒ１の上腕を上方から覆い、腕Ｒ１を保護する。
　左右の下方展開部２５１は、腕Ｒ１の上腕を車幅方向外側から覆い、腕Ｒ１を保護する。
　エアバッグ２４２は、第１展開部２５０が腕Ｒ１を上方から覆うとともに、上方展開部４３の側部と下方展開部２５１との間に腕Ｒ１を挟むことで、腕Ｒ１に巻き付く。このため、エアバッグ２４２を乗員Ｒに良好に付着させることができる。左側の第１展開部２５０及び下方展開部２５１は、左の腕Ｒ１に巻き付き、右側の第１展開部２５０及び下方展開部２５１は、右の腕Ｒ１に巻き付く。なお、第１展開部２５０及び下方展開部２５１は、腕Ｒ１において上腕よりも前方の部分に巻き付いても良い。

　以上説明したように、本発明を適用した第２の実施の形態によれば、鞍乗り型車両１０は、乗員用のシート１７と、シート１７よりも前方に設けられるエアバッグ２４２とを備え、エアバッグ２４２は、展開時に上方に展開する上方展開部４３と、展開時に上方展開部４３の上部から上方展開部４３の外側方に延出する第１展開部２５０と、展開時に第１展開部２５０から屈曲して下方に延びる下方展開部２５１とを備える。
　この構成によれば、第１展開部２５０が上方展開部４３の上部から延出し、下方展開部２５１が第１展開部２５０から下方に延びるため、第１展開部２５０及び下方展開部２５１を小さくでき、エアバッグ２４２をコンパクトにできる。さらに、上方展開部４３、第１展開部２５０、及び下方展開部２５１を乗員Ｒに巻き付けるようにして、エアバッグ２４２を乗員Ｒに良好に付着させることができる。

［第３の実施の形態］
　以下、図９を参照して、本発明を適用した第３の実施の形態について説明する。この第３の実施の形態において、上記実施の形態（第１の実施の形態）と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
　本第３の実施の形態は、第１展開部３５０の展開方向が、上記実施の形態と異なる。

　図９は、第３の実施の形態のエアバッグ３４２が展開して乗員Ｒを保護している状態を上方から見た平面図である。
　エアバッグ３４２は、エアバッグ収納部２９ａ（図１）に収納される。エアバッグ３４２は、切り離し機構４９を介してインフレーター４１に接続される。

　エアバッグ３４２は、上方展開部４３と、上方展開部４３の上部から分岐して後方に延出する左右一対の第１展開部３５０と、各第１展開部３５０から屈曲して下方に延びる左右一対の下方展開部３５１とを備える。

　第１展開部３５０は、上方展開部４３の上端部４３ｂに左右一対で設けられる。第１展開部３５０は、上方展開部４３の上端部４３ｂから後方に延びる。第１展開部５０は、上方展開部４３に対し真後ろに延びる。
　詳細には、一方（左側）の第１展開部３５０は、一側上方展開部４５の上端部４５ａから後方に延びる。
　他方（右側）の第１展開部３５０は、他側上方展開部４６の上端部４６ａから後方に延びる。
　各第１展開部３５０は、上方展開部４３よりも細い棒状である。第１展開部３５０の基端部は、上方展開部４３内に連通している。

　第１展開部３５０は、胴体Ｒ３の上部の前方に位置する上方展開部４３の上端部４３ｂから、後方に延び、乗員Ｒの頭部Ｒ４の外側方且つ乗員Ｒの肩Ｒ５の上方を通って肩Ｒ５の後方に延びる。
　詳細には、第１展開部３５０は、シート１７に着座してハンドル２１を把持する乗員Ｒの肩Ｒ５の真上を通って、後方に延びる。すなわち、第１展開部３５０は、肩Ｒ５を上方から覆う。

　下方展開部３５１は、第１展開部３５０の後端部から屈曲して下方に延びる。下方展開部３５１は、第１展開部３５０に連続して延びる棒状であって、上方展開部４３よりも細い棒状である。下方展開部２５１は、上方展開部４３の後方に位置しており、正面視では、上方展開部４３の上部に後方から重なる。下方展開部２５１は、肩Ｒ５の後方を通って下方に延びており、肩Ｒ５を含む胴体Ｒ３の上部を後方から覆う。
　下方展開部３５１の展開方向（上下方向）の長さは、上方展開部４３の展開方向の長さＬ２（図５）よりも短い。

　エアバッグ３４２が展開した状態では、エアバッグ３４２は、乗員Ｒを周囲から囲み、乗員Ｒに付着する。
　詳細には、上方展開部４３は、胴体Ｒ３に前方から当接し、胴体Ｒ３を保護する。
　左右の第１展開部３５０は、肩Ｒ５を上方から覆い、肩Ｒ５を保護する。
　左右の下方展開部３５１は、肩Ｒ５を後方から覆い、肩Ｒ５を保護する。
　エアバッグ３４２は、第１展開部３５０が肩Ｒ５を上方から覆うとともに、上方展開部４３の後面４３ａと下方展開部３５１との間に肩Ｒ５を挟むことで、肩Ｒ５に巻き付く。このため、エアバッグ３４２を乗員Ｒに良好に付着させることができる。左側の第１展開部３５０及び下方展開部３５１は、左の肩Ｒ５に巻き付き、右側の第１展開部３５０及び下方展開部３５１は、右の肩Ｒ５に巻き付く。

　以上説明したように、本発明を適用した第３の実施の形態によれば、鞍乗り型車両１０は、乗員用のシート１７と、シート１７よりも前方に設けられるエアバッグ３４２とを備え、エアバッグ３４２は、展開時に上方に展開する上方展開部４３と、展開時に上方展開部４３の上部から上方展開部４３の後方に延出する第１展開部３５０と、展開時に第１展開部３５０から屈曲して下方に延びる下方展開部３５１とを備える。
　この構成によれば、第１展開部３５０が上方展開部４３の上部から延出し、下方展開部３５１が第１展開部３５０から下方に延びるため、第１展開部３５０及び下方展開部３５１を小さくでき、エアバッグ３４２をコンパクトにできる。さらに、上方展開部４３、第１展開部３５０、及び下方展開部３５１を乗員Ｒに巻き付けるようにして、エアバッグ３４２を乗員Ｒに良好に付着させることができる。

［第４の実施の形態］
　以下、図１０を参照して、本発明を適用した第４の実施の形態について説明する。この第４の実施の形態において、上記実施の形態（第１の実施の形態）と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
　本第４の実施の形態は、エアバッグ装置４０がスクーター型の鞍乗り型車両４１０に搭載される点が、上記実施の形態と異なる。

　図１０は、第４の実施の形態に係る鞍乗り型車両４１０の左側面図である。
　鞍乗り型車両４１０は、車体フレーム４１１と、車体フレーム４１１に支持されるパワーユニット４１２と、前輪４１３を操舵自在に支持するフロントフォーク４１４と、後輪４１５を支持するスイングアーム４１６と、乗員用のシート４１７とを備える車両である。
　鞍乗り型車両４１０は、乗員Ｒがシート４１７に跨るようにして着座するスクーター型の自動二輪車である。シート４１７は、車体フレーム４１１の後部の上方に設けられる。乗員Ｒが足を置く床状のステップフロア４２２は、シート４１７の前下方に設けられる。

　車体フレーム４１１は、車体フレーム４１１の前端部に設けられるヘッドパイプ４１８と、ヘッドパイプ４１８から下方に延びるダウンフレーム４１９と、ダウンフレーム４１９の下端部から後方に延びるロアフレーム４２０と、ロアフレーム４２０の後端部から後上方に延びるシートフレーム４２１とを備える。シート４１７は、シートフレーム４２１に支持される。

　フロントフォーク４１４は、ヘッドパイプ４１８によって左右に操舵自在に支持される。乗員Ｒが把持する操舵用のハンドル４２３は、フロントフォーク４１４の上端部に取り付けられる。

　パワーユニット４１２は、後輪４１５の駆動源であるエンジン（内燃機関）とスイングアーム４１６とが一体に設けられるユニットスイング型のエンジンである。パワーユニット４１２は、車両側面視で、シート４１７の真下に位置する。
　パワーユニット４１２は、パワーユニット４１２の前部に接続されるリンク部材４２４を介して車体フレーム４１１の後部に連結され、リンク部材４２４を中心に上下に揺動する。

　鞍乗り型車両４１０は、車体カバーとして、車体フレーム４１１の前端部を前方及び左右の側方から覆うフロントカバー４２６と、ヘッドパイプ４１８及びダウンフレーム４１９を後方から覆うインナーカバー４２７と、シート４１７の下方且つダウンフレーム４１９とシートフレーム４２１との間で車体を上方及び左右の両側方から覆うセンタートンネル部４２８と、センタートンネル部４２８の後方でシート４１７の下方の車体を左右の側方から覆うリアカバー４２９とを備える。

　インナーカバー４２７は、シート４１７に着座した乗員Ｒの脚Ｒ２を前方から覆うレッグシールドである。
　センタートンネル部４２８は、インナーカバー４２７の後方に位置する。センタートンネル部４２８は、車幅方向の中央部でステップフロア４２２から上方に膨出するトンネル状である。センタートンネル部４２８は、前後に延びるトンネル状のカバーであり、センタートンネル部４２８内には、例えば燃料タンク等の部品が配置される。
　乗員Ｒは、センタートンネル部４２８を左右に跨いでステップフロア４２２にそれぞれ足を乗せる。

　エアバッグ装置４０は、シート４１７よりも前方で、センタートンネル部４２８の上方においてインナーカバー４２７の後面部に取り付けられる。エアバッグ装置４０は、車幅方向の中央に配置される。エアバッグ装置４０は、図１０ではヘッドパイプ４１８に後方から重なる位置に設けられるが、ヘッドパイプ４１８よりも高い位置に配置されても良い。
　詳細には、センタートンネル部４２８の上方においてインナーカバー４２７の後面の上部には、エアバッグ装置４０を収納するエアバッグ収納部４２７ａが設けられる。
　エアバッグ４２は、エアバッグ収納部４２７ａから乗員Ｒに向けて展開する。
　第４の実施の形態では、エアバッグ装置４０は、上記実施の形態（第１の実施の形態）の構造に比して乗員Ｒから遠い位置に配置される。このため、エアバッグ装置４０は、シート４１７に着座する乗員Ｒに適切に付着できるように長さ等が変更されても良い。
　また、エアバッグ４２に替えて、上記第２の実施の形態のエアバッグ２４２または上記第３の実施の形態のエアバッグ３４２をエアバッグ収納部４２７ａに配置しても良い。
　なお、エアバッグ４２は、エアバッグ収納部４２７ａ内に替えて、シート４１７の前部内に収納されても良い。

　図１１は、第４の実施の形態の変形例を示す左側面図である。
　図１１に示すように、鞍乗り型車両４１０は、センタートンネル部４２８を備えずに、ステップフロア４２２が、車幅方向の中央を跨ぐ略平坦面として形成されても良い。この場合においても、エアバッグ４２は、シート４１７よりも前方で、インナーカバー４２７の後面部の上部に取り付けられる。

［第５の実施の形態］
　以下、図１２を参照して、本発明を適用した第５の実施の形態について説明する。この第５の実施の形態において、上記実施の形態（第１の実施の形態）と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
　本第５の実施の形態は、エアバッグ装置４０が立ち乗り型車両５１０に搭載される点が、上記実施の形態と異なる。

　図１２は、第５の実施の形態における立ち乗り型車両５１０の左側面図である。
　立ち乗り型車両５１０は、車体フレーム５１１と、乗員Ｒが乗車する板状のデッキ部５１２と、車体フレーム５１１の前端部によって左右に操舵自在に支持される操舵部５１３と、操舵部５１３の下端部に支持される前輪５１４と、車体の後端部に設けられる後輪５１５とを備える車両である。デッキ部５１２は、車体フレーム５１１に支持される。
　操舵部５１３は、車体フレーム５１１の前端部に支持されるステアリング軸５１６と、ステアリング軸５１６の上端部に設けられるハンドル５１７とを備える。

　乗員Ｒは、ハンドル５１７よりも後方でデッキ部５１２上に立つとともに、ハンドル５１７を手で把持することで立ち乗り型車両５１０に乗車する。
　立ち乗り型車両５１０は、いわゆるキックボードであり、乗員Ｒが立った姿勢で乗車する車両である。
　乗員Ｒの乗車位置５１８は、デッキ部５１２上においてハンドル５１７の後方且つ後輪５１５の前方に位置する。

　ハンドル５１７の後面部には、箱状のエアバッグ収納部５２０が設けられる。
　エアバッグ装置４０は、エアバッグ収納部５２０に収納される。
　エアバッグ収納部５２０及びエアバッグ装置４０は、乗車位置５１８に対し前方且つ上方に設けられる。
　エアバッグ４２は、エアバッグ収納部５２０から後上方に展開し、図３と同様に、上方展開部４３、第１展開部５０、及び下方展開部５１によって乗員Ｒを周囲から囲むようにして乗員Ｒに付着する。第１展開部５０及び下方展開部５１は、腕Ｒ１に巻き付く。
　なお、図１２に仮想線で示すように、エアバッグ収納部５２０をハンドル５１７よりも下方でステアリング軸５１６の後面に設け、このエアバッグ収納部５２０にエアバッグ装置４０を収納しても良い。
　また、エアバッグ４２に替えて、上記第２の実施の形態のエアバッグ２４２または上記第３の実施の形態のエアバッグ３４２をエアバッグ収納部５２０に配置しても良い。

　以上説明したように、本発明を適用した第５の実施の形態によれば、車両は、乗員Ｒ用の乗車位置５１８より前方に設けられるエアバッグ４２を備え、車両は、乗車位置５１８に乗員Ｒが立ち乗りする立ち乗り型車両５１０であり、エアバッグ４２は、展開時に上方に展開する上方展開部４３と、展開時に上方展開部４３の上部から上方展開部４３の後外側方に延出する第１展開部５０と、展開時に第１展開部５０から屈曲して下方に延びる下方展開部５１とを備える。
　この構成によれば、第１展開部５０が上方展開部４３の上部から延出し、下方展開部５１が第１展開部５０から下方に延びるため、第１展開部５０及び下方展開部５１を小さくでき、エアバッグ４２をコンパクトにできる。さらに、上方展開部４３、第１展開部５０、及び下方展開部５１を乗員Ｒに巻き付けるようにして、エアバッグ４２を乗員Ｒに良好に付着させることができる。

［第６の実施の形態］
　以下、図１３及び図１４を参照して、本発明を適用した第６の実施の形態について説明する。この第６の実施の形態において、上記実施の形態（第１の実施の形態）と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
　本第６の実施の形態は、エアバッグ４２が、乗員Ｒが装着する乗員用装備具６７１に設けられる点が、上記実施の形態と異なる。

　図１３は、第６の実施の形態において、エアバッグ４２が展開して乗員Ｒを保護している状態を前方から見た正面図である。図１４は、エアバッグ４２が展開して乗員Ｒを保護している状態を示す左側面図である。
　乗員保護具６７０は、乗員Ｒが装着する乗員用装備具６７１と、乗員用装備具６７１に支持されるエアバッグ４２とを備える。

　乗員用装備具６７１は、胴体Ｒ３の下部に着脱可能に装着されるベルトである。
　乗員用装備具６７１は、胴体Ｒ３の外周に巻き付く帯状のベルト部６７１ａと、ベルト部６７１ａの前面に設けられるケース状のエアバッグ収納部６７１ｂとを備える。エアバッグ収納部６７１ｂは、胴体Ｒ３の下部の前方に位置する。

　エアバッグ４２は、折り畳まれた状態でエアバッグ収納部６７１ｂに収納されている。また、インフレーター４１（図１）も、エアバッグ収納部６７１ｂに収納されている。エアバッグ４２は、胴体Ｒ３の下部の前方に位置する。

　エアバッグ４２は、エアバッグ収納部６７１ｂから上方に展開する。
　エアバッグ４２が展開した状態では、エアバッグ４２は、乗員Ｒを周囲から囲み、乗員Ｒに付着する。
　図１３及び図１４に示される乗員用装備具６７１のエアバッグ４２の展開状態は、上記実施の形態（図２～図４参照）と同じであるため、ここでは詳細な説明は省略する。

　以上説明したように、本発明を適用した第６の実施の形態によれば、乗員保護具６７０は、鞍乗り型車両１０に乗車する乗員Ｒが装着する乗員用装備具６７１と、エアバッグ４２とを備え、エアバッグ４２は、乗員用装備具６７１に支持されて乗員Ｒの胴体Ｒ３の前面側に位置し、エアバッグ４２は、展開時に上方に展開する上方展開部４３と、展開時に上方展開部４３の上部から上方展開部４３の後外側方に延出する第１展開部５０と、展開時に第１展開部５０から屈曲して下方に延びる下方展開部５１とを備える。
　この構成によれば、第１展開部５０が上方展開部４３の上部から延出し、下方展開部５１が第１展開部５０から下方に延びるため、第１展開部５０及び下方展開部５１を小さくでき、エアバッグ４２をコンパクトにできる。さらに、上方展開部４３、第１展開部５０、及び下方展開部５１を乗員Ｒに巻き付けるようにして、エアバッグ４２を乗員Ｒに良好に付着させることができる。また、エアバッグ４２は、非作動時は、エアバッグ収納部６７１ｂに収納され、乗員Ｒを保護する際に展開する。このため、例えば、常に展開した状態で乗員Ｒに装着されるエアバッグに比して、通気性が良い。

　なお、第６の実施の形態において、エアバッグ４２に替えて、エアバッグ２４２（図７）及びエアバッグ３４２（図９）のいずれかをエアバッグ収納部６７１ｂに設けても良い。

［第７の実施の形態］
　以下、図１５を参照して、本発明を適用した第７の実施の形態について説明する。この第７の実施の形態において、上記実施の形態（第１の実施の形態）と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
　本第７の実施の形態は、エアバッグ４２が、乗員Ｒが装着する乗員用装備具７７１に設けられる点が、上記実施の形態と異なる。

　図１５は、第７の実施の形態において、エアバッグ４２が展開して乗員Ｒを保護している状態を前方から見た正面図である。
　乗員保護具７７０は、乗員Ｒが装着する乗員用装備具７７１と、乗員用装備具７７１に支持されるエアバッグ４２とを備える。

　乗員用装備具７７１は、胴体Ｒ３に着脱可能に装着されるジャケットである。このジャケットは、例えばベストタイプのジャケットである。
　乗員用装備具７７１は、胴体Ｒ３を前方から覆うジャケット前面部７７１ａの下部に、ケース状のエアバッグ収納部７７１ｂを備える。エアバッグ収納部７７１ｂは、胴体Ｒ３の下部の前方に位置する。

　エアバッグ４２は、折り畳まれた状態でエアバッグ収納部７７１ｂに収納されている。また、インフレーター４１（図１）も、エアバッグ収納部７７１ｂに収納されている。エアバッグ４２は、胴体Ｒ３の下部の前方に位置する。
　なお、エアバッグ収納部７７１ｂは、エアバッグ４２用に上記ジャケットに設けられるポケットであっても良い。また、エアバッグ収納部７７１ｂは、エアバッグ４２を上記ジャケットに取り付け可能にするボタン及びファスナー等の固定具であっても良い。

　エアバッグ４２は、エアバッグ収納部７７１ｂから上方に展開する。
　エアバッグ４２が展開した状態では、エアバッグ４２は、乗員Ｒを周囲から囲み、乗員Ｒに付着する。
　図１５に示される乗員用装備具７７１のエアバッグ４２の展開状態は、上記実施の形態（図２～図４参照）と同じであるため、ここでは詳細な説明は省略する。

　以上説明したように、本発明を適用した第７の実施の形態によれば、乗員保護具７７０は、鞍乗り型車両１０に乗車する乗員Ｒが装着する乗員用装備具７７１と、エアバッグ４２とを備え、エアバッグ４２は、乗員用装備具７７１に支持されて乗員Ｒの胴体Ｒ３の前面側に位置し、エアバッグ４２は、展開時に上方に展開する上方展開部４３と、展開時に上方展開部４３の上部から上方展開部４３の後外側方に延出する第１展開部５０と、展開時に第１展開部５０から屈曲して下方に延びる下方展開部５１とを備える。
　この構成によれば、第１展開部５０が上方展開部４３の上部から延出し、下方展開部５１が第１展開部５０から下方に延びるため、第１展開部５０及び下方展開部５１を小さくでき、エアバッグ４２をコンパクトにできる。さらに、上方展開部４３、第１展開部５０、及び下方展開部５１を乗員Ｒに巻き付けるようにして、エアバッグ４２を乗員Ｒに良好に付着させることができる。また、エアバッグ４２は、非作動時は、エアバッグ収納部７７１ｂに収納され、乗員Ｒを保護する際に展開する。このため、例えば、常に展開した状態で乗員Ｒに装着されるエアバッグに比して、通気性が良い。

　なお、第７の実施の形態において、エアバッグ４２に替えて、エアバッグ２４２（図７）及びエアバッグ３４２（図９）のいずれかをエアバッグ収納部７７１ｂに設けても良い。

［上記実施の形態によりサポートされる構成］
　上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。

　（構成１）乗員用のシートと、前記シートよりも前方または前記シートの前部に設けられるエアバッグとを備える鞍乗り型車両において、前記エアバッグは、展開時に上方に展開する上方展開部と、展開時に前記上方展開部の上部から前記上方展開部の外側方または後方または後外側方に延出する第１展開部と、展開時に前記第１展開部から屈曲して下方に延びる下方展開部とを備えることを特徴とする鞍乗り型車両。
　この構成によれば、第１展開部が上方展開部の上部から延出し、下方展開部が第１展開部から下方に延びるため、第１展開部及び下方展開部を小さくでき、エアバッグをコンパクトにできる。さらに、上方展開部、第１展開部、及び下方展開部を乗員に巻き付けるようにして、エアバッグを乗員に良好に付着させることができる。

　（構成２）前記下方展開部の展開方向の長さは、前記上方展開部の展開方向の長さよりも短いことを特徴とする構成１記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、上方展開部が長いため、上方展開部によって乗員を効果的に保護できる。また、下方展開部が短いため、下方展開部の容量を乗員への付着に必要十分な大きさとして、第１展開部及び下方展開部を迅速に展開できる。

　（構成３）前記エアバッグを展開させるガスの流入口は、前記上方展開部に設けられ、前記ガスは、前記上方展開部内を上方に流れて前記第１展開部に流入することを特徴とする構成１または２記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、上方展開部内を上方に流れるガスによって、上方展開部及び第１展開部を効率良く展開させることができる。

　（構成４）前記第１展開部は、前記上方展開部から後外側方に延出することを特徴とする構成１から３のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、乗員の頭部を避けて第１展開部を後方に向けて展開できるため、第１展開部及び下方展開部を乗員に良好に付着させることができる。また、乗員の頭部の側方の部位を第１展開部によって保護できる。

　（構成５）前記第１展開部は、前記上方展開部の上端部から分岐して左右一対設けられることを特徴とする構成１から４のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、第１展開部が上方展開部の上端部から分岐するため、第１展開部をコンパクトにできる。また、左右一対の第１展開部によって、エアバッグを乗員に良好に付着させることができる。

　（構成６）前記第１展開部は、前記上方展開部よりも細い棒状であることを特徴とする構成１から５のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、第１展開部が棒状であるため、第１展開部の周囲とのクリアランスを確保できる。このため、第１展開部をスムーズに展開できるとともに、第１展開部を乗員に巻き付けるようにして乗員に付着させ易い。

　（構成７）前記エアバッグ内にガスを噴出して前記エアバッグを展開させるインフレーターが前記エアバッグに接続され、前記エアバッグの展開後に前記エアバッグを前記インフレーターから切り離す切り離し機構が設けられることを特徴とする構成１から６のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、エアバッグの展開後にエアバッグがインフレーターから切り離されるため、エアバッグの展開後に、エアバッグがインフレーターによって下方にずらされることが抑制される。このため、エアバッグを乗員に良好に付着させることができる。また、エアバッグで乗員を把持しつつ、エアバッグを切り離しできる。

　（構成８）前記上方展開部は、前記シートに着座する乗員の胴体の前面に沿って上方に展開し、前記第１展開部は、前記シートに着座して操舵用のハンドルを把持する前記乗員の腕を上方から覆い、前記下方展開部は、前記下方展開部と前記上方展開部との間に前記腕を挟むことを特徴とする構成１から７のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、上方展開部、第１展開部、及び下方展開部を乗員の腕に巻き付けるようにして、エアバッグを乗員に良好に付着させることができる。

　（構成９）前記上方展開部は、前記シートに着座する乗員の胴体の前面に沿って上方に展開し、前記第１展開部は、前記シートに着座して操舵用のハンドルを把持する前記乗員の肩を上方から覆い、前記下方展開部は、前記下方展開部と前記上方展開部との間に前記肩を挟むことを特徴とする構成１から７のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、上方展開部、第１展開部、及び下方展開部を乗員の肩に巻き付けるようにして、エアバッグを乗員に良好に付着させることができる。

　（構成１０）乗員用の乗車位置より前方に設けられるエアバッグを備える車両において、前記車両は、前記乗車位置に乗員が立ち乗りする立ち乗り型車両であり、前記エアバッグは、展開時に上方に展開する上方展開部と、展開時に前記上方展開部の上部から前記上方展開部の外側方または後方または後外側方に延出する第１展開部と、展開時に前記第１展開部から屈曲して下方に延びる下方展開部とを備えることを特徴とする車両。
　この構成によれば、第１展開部が上方展開部の上部から延出し、下方展開部が第１展開部から下方に延びるため、第１展開部及び下方展開部を小さくでき、エアバッグをコンパクトにできる。さらに、上方展開部、第１展開部、及び下方展開部を乗員に巻き付けるようにして、エアバッグを乗員に良好に付着させることができる。

　（構成１１）車両に乗車する乗員が装着する乗員用装備具と、エアバッグとを備える乗員保護具において、前記エアバッグは、前記乗員用装備具に支持されて前記乗員の胴体の前面側に位置し、前記エアバッグは、展開時に上方に展開する上方展開部と、展開時に前記上方展開部の上部から前記上方展開部の外側方または後方または後外側方に延出する第１展開部と、展開時に前記第１展開部から屈曲して下方に延びる下方展開部とを備えることを特徴とする乗員保護具。
　この構成によれば、第１展開部が上方展開部の上部から延出し、下方展開部が第１展開部から下方に延びるため、第１展開部及び下方展開部を小さくでき、エアバッグをコンパクトにできる。さらに、上方展開部、第１展開部、及び下方展開部を乗員に巻き付けるようにして、エアバッグを乗員に良好に付着させることができる。

　１０，４１０　鞍乗り型車両（車両）
　１７，４１７　シート
　２１，４２３　ハンドル
　４１　インフレーター
　４２，２４２，３４２　エアバッグ
　４３　上方展開部
　４３ｂ　上端部
　４４　インフレーター接続部（ガスの流入口）
　４９　切り離し機構
　５０，２５０，３５０　第１展開部
　５１，２５１，３５１　下方展開部
　５１０　立ち乗り型車両（車両）
　５１８　乗車位置
　６７０，７７０　乗員保護具
　６７１，７７１　乗員用装備具
　Ｌ１，Ｌ３　長さ（下方展開部の展開方向の長さ）
　Ｌ２　長さ（上方展開部の展開方向の長さ）
　Ｒ　乗員
　Ｒ１　腕
　Ｒ３　胴体
　Ｒ５　肩

Claims

　乗員用のシート（１７，４１７）と、前記シート（１７，４１７）よりも前方または前記シート（１７，４１７）の前部に設けられるエアバッグ（４２，２４２，３４２）とを備える鞍乗り型車両において、
　前記エアバッグ（４２，２４２，３４２）は、展開時に上方に展開する上方展開部（４３）と、展開時に前記上方展開部（４３）の上部から前記上方展開部（４３）の外側方または後方または後外側方に延出する第１展開部（５０，２５０，３５０）と、展開時に前記第１展開部（５０，２５０，３５０）から屈曲して下方に延びる下方展開部（５１，２５１，３５１）とを備えることを特徴とする鞍乗り型車両。
　前記下方展開部（５１，２５１，３５１）の展開方向の長さ（Ｌ１，Ｌ３）は、前記上方展開部（４３）の展開方向の長さ（Ｌ２）よりも短いことを特徴とする請求項１記載の鞍乗り型車両。
　前記エアバッグ（４２，２４２，３４２）を展開させるガスの流入口（４４）は、前記上方展開部（４３）に設けられ、前記ガスは、前記上方展開部（４３）内を上方に流れて前記第１展開部（５０，２５０，３５０）に流入することを特徴とする請求項１または２記載の鞍乗り型車両。
　前記第１展開部（５０）は、前記上方展開部（４３）から後外側方に延出することを特徴とする請求項１から３のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　前記第１展開部（５０，２５０，３５０）は、前記上方展開部（４３）の上端部（４３ｂ）から分岐して左右一対設けられることを特徴とする請求項１から４のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　前記第１展開部（５０，２５０，３５０）は、前記上方展開部（４３）よりも細い棒状であることを特徴とする請求項１から５のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　前記エアバッグ（４２，２４２，３４２）内にガスを噴出して前記エアバッグ（４２，２４２，３４２）を展開させるインフレーター（４１）が前記エアバッグ（４２，２４２，３４２）に接続され、
　前記エアバッグ（４２，２４２，３４２）の展開後に前記エアバッグ（４２，２４２，３４２）を前記インフレーター（４１）から切り離す切り離し機構（４９）が設けられることを特徴とする請求項１から６のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　前記上方展開部（４３）は、前記シート（１７，４１７）に着座する乗員の胴体（Ｒ３）の前面に沿って上方に展開し、
　前記第１展開部（５０，２５０）は、前記シート（１７，４１７）に着座して操舵用のハンドル（２１，４２３）を把持する前記乗員の腕（Ｒ１）を上方から覆い、前記下方展開部（５１，２５１）は、前記下方展開部（５１，２５１）と前記上方展開部（４３）との間に前記腕（Ｒ１）を挟むことを特徴とする請求項１から７のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　前記上方展開部（４３）は、前記シート（１７，４１７）に着座する乗員の胴体（Ｒ３）の前面に沿って上方に展開し、
　前記第１展開部（３５０）は、前記シート（１７，４１７）に着座して操舵用のハンドル（２１，４２３）を把持する前記乗員の肩（Ｒ５）を上方から覆い、前記下方展開部（３５１）は、前記下方展開部（３５１）と前記上方展開部（４３）との間に前記肩（Ｒ５）を挟むことを特徴とする請求項１から７のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　乗員用の乗車位置（５１８）より前方に設けられるエアバッグ（４２，２４２，３４２）を備える車両において、
　前記車両は、前記乗車位置（５１８）に乗員が立ち乗りする立ち乗り型車両（５１０）であり、
　前記エアバッグ（４２，２４２，３４２）は、展開時に上方に展開する上方展開部（４３）と、展開時に前記上方展開部（４３）の上部から前記上方展開部（４３）の外側方または後方または後外側方に延出する第１展開部（５０，２５０，３５０）と、展開時に前記第１展開部（５０，２５０，３５０）から屈曲して下方に延びる下方展開部（５１，２５１，３５１）とを備えることを特徴とする車両。
　車両に乗車する乗員が装着する乗員用装備具（６７１，７７１）と、エアバッグ（４２）とを備える乗員保護具において、
　前記エアバッグ（４２）は、前記乗員用装備具（６７１，７７１）に支持されて前記乗員の胴体（Ｒ３）の前面側に位置し、
　前記エアバッグ（４２）は、展開時に上方に展開する上方展開部（４３）と、展開時に前記上方展開部（４３）の上部から前記上方展開部（４３）の外側方または後方または後外側方に延出する第１展開部（５０）と、展開時に前記第１展開部（５０）から屈曲して下方に延びる下方展開部（５１）とを備えることを特徴とする乗員保護具。