WO2022220183A1

WO2022220183A1 - 保持装置

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Publication number: WO2022220183A1
Application number: PCT/JP2022/017169
Authority: WO
Inventors: 隆夫佐藤; 正則進
Original assignee: 本田技研工業株式会社
Priority date: 2021-04-14
Filing date: 2022-04-06
Publication date: 2022-10-20
Also published as: JPWO2022220183A1

Abstract

保持装置は、第１部材と、第１部材に対して移動可能に設けられ、エネルギ蓄積装置を保持する保持部を有する第２部材と、保持部を、第１位置と第１位置とは異なる第２位置との間で移動可能なように第１部材と第２部材とを連結する連結部と、を備える。連結部は、第１位置に位置する保持部によって保持されたエネルギ蓄積装置の重心位置である第１重心位置の高さと、第２位置に位置する保持部によって保持されたエネルギ蓄積装置の重心位置である第２重心位置の高さとが、一致するように第１部材と第２部材とを連結する。

Description

保持装置

　本発明は、エネルギ蓄積装置を保持する保持装置に関する。

　この種の装置として、従来、筐体に開閉可能に設けられた蓋部の開閉動作に伴い、ホルダに保持されたバッテリの姿勢を変化させて、筐体からバッテリを取り出しおよび筐体内にバッテリを収容可能に構成された装置が知られている（例えば特許文献１参照）。特許文献１記載の装置では、ホルダと一体の蓋部が、ヒンジを支点にして筐体の下端部に回動可能に支持される。

特開２０１８－１６３７５７号公報

　しかしながら、上記特許文献１記載の装置では、バッテリの姿勢変化に伴いバッテリの鉛直方向における重心位置が変化する。このため、バッテリの重力に抗してバッテリを姿勢変化させる必要があり、バッテリの取り出しおよび収容が困難となるおそれがある。

　本発明の一態様である保持装置は、第１部材と、第１部材に対して移動可能に設けられ、エネルギ蓄積装置を保持する保持部を有する第２部材と、保持部を、第１位置と第１位置とは異なる第２位置との間で移動可能なように第１部材と第２部材とを連結する連結部と、を備える。連結部は、第１位置に位置する保持部によって保持されたエネルギ蓄積装置の重心位置である第１重心位置の高さと、第２位置に位置する保持部によって保持されたエネルギ蓄積装置の重心位置である第２重心位置の高さとが、一致するように第１部材と第２部材とを連結する。

　本発明の他の態様である保持装置は、第１部材と、第１部材に対して移動可能に設けられ、エネルギ蓄積装置を保持する保持部を有する第２部材と、保持部を、第１位置と該第１位置とは異なる第２位置との間で移動可能なように第１部材と第２部材とを連結する連結部と、を備える。連結部は、一端側および他端側に、第１部材および第２部材にそれぞれ連結された一端側第１連結部および他端側第１連結部をそれぞれ有する第１連結部材と、一端側および他端側に、第１連結部材とは異なる位置で第１部材および第２部材にそれぞれ連結された一端側第２連結部および他端側第２連結部をそれぞれ有する第２連結部材と、を有する。

　本発明によれば、保持装置へのエネルギ蓄積装置の着脱性を向上させることができる。

本発明の第１実施形態に係る保持装置の全体構成を概略的に示す斜視図であり、バッテリが取り外された状態を示す図。本発明の第１実施形態に係る保持装置の全体構成を概略的に示す斜視図であり、バッテリが格納された状態を示す図。本発明の第１実施形態の対比例としての保持装置の構成を概略的に示す断面図。本発明の第１実施形態に係る保持装置の要部構成を概略的に示す断面図。図３の保持装置に含まれる連結部の動作の一例を示す図。図４Ａの連結部の複数の動作を重ねて示す図。図４Ａの第１変形例を示す図。図５Ａの連結部の複数の動作を重ねて示す図。図４Ａの第２変形例を示す図。図６Ａの連結部の複数の動作を重ねて示す図。図４Ａの第３変形例を示す図。図７Ａの連結部の複数の動作を重ねて示す図。図４Ａの第４変形例を示す図。図８Ａの連結部の複数の動作を重ねて示す図。図３の保持装置に含まれる着脱機構の構成および動作を概略的に示す図。本発明の第２実施形態に係る保持装置を構成する連結部の要部構成および動作の一例を概略的に示す図。図１０Ａの連結部の複数の動作を重ねて示す図。図３の変形例を示す図。

－第１実施形態－
　以下、図１Ａ～図９を参照して本発明の第１実施形態について説明する。本発明の第１実施形態に係る保持装置は、バッテリなどの蓄電池（二次電池）を着脱可能に保持するように構成される。図１Ａ，図１Ｂは、第１実施形態に係る保持装置１００の全体構成を概略的に示す斜視図であり、図１Ａは、バッテリ２００が取り外された状態を、図１Ｂは、バッテリ２００の収容状態をそれぞれ示す。なお、以下では、便宜上、図示のように互いに直交する３軸方向を前後方向、左右方向および上下方向と定義し、この定義に従い各部の構成を説明する。上下方向は、重力方向（鉛直方向とも呼ぶ）に相当する。

　図１Ａ、図１Ｂに示すように、保持装置１００は、ハウジング１０と、ハウジング１０に移動可能に設けられたホルダ２０とを有する。ハウジング１０は、上壁１１と、底壁１２と、左右の側壁１３，１４と、後壁１５とを有し、全体が略ボックス状に形成される。ハウジング１０は、前面の開口部１６を介して内部に略ボックス状の収容空間ＳＰを形成し、収容空間ＳＰにホルダ２０が収容される。

　図１Ａに示すように、ホルダ２０は、左右一対の収容部２１を有する。左右の収容部２１の構成は互いに同一である。収容部２１は、前面、後面、左右の側面および底面がそれぞれ閉塞され、上面が開放された凹部２１ａを有する。ホルダ２０の左右の側壁２２，２３と、左右の側壁２２，２３の間の隔壁２４とにより、各凹部２１ａの左右の側壁が構成される。凹部２１ａは、バッテリ２００の外形形状に対応して平面視略矩形状に形成され、バッテリ２００の底部が凹部２１ａに嵌合され、これによりバッテリ２００が保持される。

　バッテリ２００は、重量が例えば１０ｋｇ程度の可搬式バッテリであり、その上面には取っ手２０１が設けられる。なお、バッテリ２００は１０ｋｇより軽くてもよく、重くてもよい。バッテリ２００は、全体が略直方体形状を呈する。バッテリ２００は左右方向長さに対して前後方向長さが短い扁平形状等、他の形状であってもよい。バッテリ２００は、例えばリチウムイオンバッテリであり、種々の用途に用いることができる。一例を挙げると、二輪または四輪の電動車両に搭載された走行モータの電力源として用いることができる。

　図１Ａでは、ホルダ２０の収容部２１がハウジング１０から前方に突出してホルダ全体が傾斜している。以下では、このような収容部２１の位置ないし姿勢を傾斜位置ないし傾斜姿勢と呼ぶ。図１Ｂでは、収容部２１がハウジング１０に格納されている。以下では、このような収容部２１の位置ないし姿勢を格納位置ないし格納姿勢と呼ぶ。格納姿勢では、収容部２１がハウジング１０内で起立する。格納位置におけるハウジング１０に対するホルダ２０の収容割合は、傾斜位置における収容割合よりも大きい。

　ホルダ２０（収容部２１）が傾斜姿勢であるとき、収容部２１は前側に傾斜し、収容部２１の上面がハウジング１０から露出する。ユーザは、バッテリ２００の取っ手２０１を把持した状態で、図１Ａの矢印Ａ１に示すように、収容部２１の上方からバッテリ２００を凹部２１ａに挿入する。バッテリ２００の挿入方向（矢印Ａ１の方向）は、鉛直下方ではなく、収容部２１の傾斜に対応した方向、つまり下方かつ後方に傾斜した方向である。

　ホルダ２０は、収容部２１の前方に略板状の蓋２５を有する。蓋２５は、収容部２１と一体に設けられ、収容部２１と一体に移動する。蓋２５は、ハウジング１０の前面の開口部１６を覆うように略矩形状を呈し、図１Ｂに示す格納姿勢では、開口部１６が蓋２５によって閉塞される。この格納姿勢では、後述するようにバッテリ２００の底面の端子（接続部）が、保持装置内の端子（接続部）に接続され、保持装置側から供給された電力によってバッテリ２００が充電される。なお、格納姿勢において、バッテリ２００の電力を保持装置側に供給するように構成することもできる。すなわち、保持装置１００は、バッテリ２００の充電用だけでなく、バッテリ２００からの放電用として用いることもできる。

　ホルダ２０は、収容部２１が傾斜位置と格納位置との間を移動可能なように、連結部を介してハウジング１０に連結される。以下、連結部の構成について説明する。連結部は、ハウジング１０の左右の側壁１３，１４と、ホルダ２０の左右側壁２２，２３との間にそれぞれ設けられる。すなわち、互いに対向する側壁１３，１４の左右方向内側の側面と、側壁２２，２３の左右方向外側の側面との間に設けられる。左右の連結部の構成は互いに同一である。以下では、左右いずれか一方（例えば右側）の連結部の構成について説明する。まず、本実施形態の対比例について説明する。

　図２は、本実施形態の対比例としての保持装置１００Ａの構成を概略的に示す断面図である。なお、図２には、ホルダ２０（収容部２１）の格納位置および傾斜位置におけるバッテリ２００の重心位置Ｇ１，Ｇ２がそれぞれ示される。図２の例では、ホルダ２０の底部が、左右方向に延在する回動軸２１０を介してハウジング１０の側壁１４に前後方向に回動可能に支持される。このため、重心位置Ｇ１の高さ（軸線ＣＬ１）と重心位置Ｇ２の高さ（軸線ＣＬ２）とは、互いに異なる。

　その結果、格納位置と傾斜位置との間でホルダ２０が移動されるとき、バッテリ２００の重力の影響により、ホルダ２０に衝撃が作用する、あるいはホルダ２０の移動が妨げられるおそれがある。または、バッテリ２００の重力の影響により、ホルダ２０の移動速度が速すぎ、あるいは遅すぎとなるおそれがある。このため、ホルダ２０を移動する際の操作性（蓋２５の開閉操作性）、すなわち開閉力が、バッテリ２００の有無によって変化し、保持装置１００に対するバッテリ２００の着脱性が損なわれる。

　また、図２の例では、収容部２１を格納位置から傾斜位置に移動するとき、ホルダ２０の後端角部がハウジング１０の後壁１５に接触することを避けるため、ホルダ２０の後壁２６とハウジング１０の後壁１５との間に隙間ＣＬを空ける必要がある。このため、ハウジング１０が前後方向に大型化する。そこで、バッテリ２００の着脱性を向上するとともに、ハウジング１０の大型化を避けるため、本実施形態は以下のように連結部を構成する。

　図３は、本発明の第１実施形態に係る保持装置１００の要部構成を概略的に示す断面図である。なお、図３では、便宜上、断面形状を表すハッチングの図示を省略する。図３に示すように、保持装置１００は、前後一対の連結部、すなわち後側に設けられた第１連結部３０と、前側に設けられた第２連結部４０とを有する。なお、図３には、バッテリ２００の重心位置Ｇ１，Ｇ２を通る仮想線Ｌ１が示される。仮想線Ｌ１は、格納位置において水平方向（前後方向）に延在し、仮想線Ｌ１に垂直な軸線Ｌ２が、バッテリ２００の挿抜方向となる。軸線ＣＬ０によって示される重心位置Ｇ１，Ｇ２の高さは、互いに同一である。

　図３に示すように、第１連結部３０は、細長に形成された第１リンク３１を有する。第１リンク３１は、格納位置において上下方向に延在し、その長手方向の一端部（上側端部）３１ａは、ハウジング１０の側壁１４の後部に設けられたリンク支持部１４ａに、左右方向に延在する回動軸３２を支点にして回動可能に支持される。第１リンク３１の長手方向の他端部３１ｂは、ホルダ２０の側壁２３の後部に設けられたリンク支持部２３ａに、左右方向に延在する回動軸３３を支点にして回動可能に支持される。格納位置において、リンク支持部２３ａは軸線ＣＬ０上に位置し、リンク支持部１４ａはリンク支持部２３ａの上方に位置する。

　第２連結部４０は、細長に形成された第２リンク４１を有する。第２リンク４１は、格納位置において上下方向に延在し、その長手方向の一端部（下側端部）４１ａは、ハウジング１０の側壁１４の前部に設けられたリンク支持部１４ｂに、左右方向に延在する回動軸４２を支点にして回動可能に支持される。第２リンク４１の長手方向の他端部４１ｂは、ホルダ２０の側壁２３の前部に設けられたリンク支持部２３ｂに、左右方向に延在する回動軸４３を支点にして回動可能に支持される。格納位置において、リンク支持部２３ｂは軸線ＣＬ０上に位置し、リンク支持部１４ｂはリンク支持部２３ｂの下方に位置する。

　図４Ａは、ホルダ２０の収容部２１の格納位置と傾斜位置とにおける連結部３０，４０の動作を示す図であり、図４Ｂは、各位置の連結部３０，４０を重ねて示す図である。なお、図４Ｂでは、格納位置における連結部３０，４０（第１リンク３１，第２リンク４１）を実線で、傾斜位置における連結部３０，４０を点線で示す。

　図３，図４Ａ，図４Ｂに示すように、ホルダ２０とともに収容部２１が格納位置から傾斜位置に移動すると、第１リンク３１は回動軸３２を支点にして前方かつ上方に回動し、第２リンク４１は回動軸４２を支点にして前方かつ下方に回動する。これによりバッテリ２００（仮想線Ｌ１）と収容部２１とが、ハウジング１０の開口部１６よりも前方に突出するとともに、その上側が前方に傾く。このとき、図４Ａに示すように、第１リンク３１の回動は、ハウジング１０の側壁１４の内側面からホルダ２０の側壁２３に向けて延出されたストッパ３５（規制部）により制限される。

　これにより、ユーザは、ハウジング１０の上壁１１（図３）に干渉することなく、仮想線Ｌ１に垂直な軸線Ｌ２に沿って、バッテリ２００を収容部２１に挿入または収容部２１から抜くことができる。すなわち収容部２１に挿抜することができる。なお、ストッパ３５を、ホルダ２０の側壁２３の外側面からハウジング１０の側壁１４に向けて延出してもよい。図４Ａに示すように、格納位置では、軸線Ｌ２と重力方向の鉛直線Ｌ０とが一致する。なお、傾斜位置における軸線Ｌ２と鉛直線Ｌ０とのなす角θが、格納位置における軸線Ｌ２と鉛直線Ｌ０とのなす角よりも大きくなるのであれば、格納位置において軸線Ｌ２と鉛直線Ｌ０とは一致しなくてもよい。例えば、バッテリ２００は前方または後方に傾斜して格納されてもよい。

　収容部２１が傾斜位置に位置するときのバッテリ２００の重心位置Ｇ２は、図３に示すリンク支持部１４ａ，１４ｂ，２３ａ，２３ｂの位置を適宜設定することにより調整することができる。すなわち、連結部３０，４０は、ホルダ２０の固定的な回動軸（例えば図２の回動軸２１０）を有しないリンク構造であるため、収容部２１が格納位置から傾斜位置に移動した後のバッテリ２００の重心位置Ｇ２を、リンクの設定を変更することで容易に調整することが可能である。

　図３，図４Ａ，図４Ｂに示すように、本実施形態では、重心位置Ｇ２の高さが重心位置Ｇ１の高さと等しくなるように、リンク支持部１４ａ，１４ｂ，２３ａ，２３ｂの位置ないし回動軸３２，３３，４２，４３の位置が設定され、これに応じてリンク３１，４１の長さが設定される。これにより、格納位置におけるバッテリ２００の重心位置Ｇ１の高さと傾斜位置におけるバッテリ２００の重心位置Ｇ２の高さとが等しくなる。このため、バッテリ２００が収容部２１に保持された状態で、収容部２１を格納位置と傾斜位置との間で移動するとき、バッテリ２００の重力の影響によりホルダ２０の開閉操作性が悪化することを抑制できる。その結果、保持装置１００に対するバッテリ２００の着脱が容易になる。

　また、本実施形態では、連結部３０，４０がリンク構造であるため、図３に示すように、ホルダ２０の後壁２６とハウジング１０の後壁１５との間に隙間ＣＬ（図２）を設ける必要がない。このため、ハウジング１０が前後方向に大型化することを抑制することができ、装置全体をコンパクトに構成できる。

　格納位置におけるバッテリ２００の重心位置Ｇ１の高さと、傾斜位置におけるバッテリ２００の重心位置Ｇ２の高さとを、互いに等しく設定するようなリンク構造には、上述した以外に種々のものがある。以下、図４Ａ，図４Ｂの変形例としていくつかの例を、主に図４Ａ，図４Ｂとの相違点に着目して説明する。

　図５Ａ，図５Ｂは、第２連結部４０が複数のリンクによって構成される例である。なお、第１連結部３０の構成は、図４Ａ，図４Ｂと同一である。図５Ａ，図５Ｂに示すように、第２連結部４０は、それぞれ細長に形成された複数のリンク４１１～４１３を有する。リンク４１２とリンク４１３とは同一長さに形成される。リンク４１１は、リンク４１２，４１３よりも長尺に形成される。なお、リンク４１１がリンク４１２，４１３よりも短尺に形成されてもよく、リンク４１２，４１３と同一長さに形成されてもよい。

　リンク４１１の一端部は、ホルダ側のリンク支持部２３ｂに回動軸４３を支点にして回動可能に支持される。リンク４１１は、回動軸４３から後方かつ下方に斜めに延在し、その他端側には、前後一対のリンク４１２，４１３の一端部が、左右方向に延在する回動軸４４，４５を支点にしてそれぞれ回動可能に連結される。リンク４１２，４１３は格納位置で上下方向に延在し、その他端部（下端部）は、ハウジング１０の側壁１４に設けられたリンク支持部１４ｃ，１４ｄに、左右方向に延在する回動軸４６，４７を支点にして回動可能に支持される。リンク支持部１４ｃ，１４ｄ間の距離は、回動軸４４，４５間の距離に等しい。このため、リンク４１２，４１３は、平行リンクを構成する。

　図５Ａ，図５Ｂの例では、収容部２１が格納位置から傾斜位置に移動すると、リンク４１１は、平行リンクとしてのリンク４１２，４１３によって回動姿勢を規制されながら、全体が前方かつ下方に移動する。これにより仮想線Ｌ１に垂直な軸線Ｌ２が前方に傾斜し、軸線Ｌ２に沿ったバッテリ２００の挿抜が可能となる。このとき、格納位置と傾斜位置のバッテリ２００の重心位置Ｇ１，Ｇ２の高さは互いに等しいため、格納位置と傾斜位置との間のホルダ２０の操作が容易である。

　図５Ａ，図５Ｂにおいて、ハウジング１０の前側のリンク支持部１４ｃは、図４Ａ，図４Ｂのハウジング１０の前側のリンク支持部１４ｂよりも後方に位置する。ハウジング１０は、リンク支持部１４ｂ，１４ｃよりも後方に設けることはできず、ハウジング１０の前端部の位置は、リンク支持部１４ｂ，１４ｃの位置によって規定される。図５Ａ，図５Ｂでは、傾斜位置においてリンク４１１が全体的に前方に移動する。これにより、図５Ａ，図５Ｂの例は、図４Ａ，図４Ｂの例よりも、傾斜位置において収容部２１をハウジング１０からより前方に突出させることができる。その結果、バッテリ２００の挿抜が一層容易となる。なお、リンク４１１とリンク４１１に連結された一対のリンク４１２，４１３とによって第２連結部４０を構成する代わりに、リンク４１１とリンク４１１に連結された単一のリンク（例えばリンク４１３）とよって第２連結部４０を構成してもよい。

　図６Ａ，図６Ｂは、第１連結部３０と第２連結部４０の双方が、ハウジング１０の上部からホルダ２０を支持する例である。図６Ａ，図６Ｂに示すように、第２リンク４１の一端部は、ハウジング側のリンク支持部１４ｂに回動軸４２を支点にして回動可能に支持される。第２リンク４１は、格納位置で回動軸４２から後方かつ下方に斜めに延在し、第２リンク４１の他端部は、ホルダ側のリンク支持部２３ｂに回動軸４３を支点にして回動可能に支持される。

　図６Ａ，図６Ｂの例では、リンク支持部１４ｂがリンク支持部２３ｂよりも上方に設けられる。このため、第２リンク４１には、第１リンク３１と同様、バッテリ２００とホルダ２０の自重による引張力が作用する。リンク３１，４１に圧縮力が作用する場合には、座屈を防止するために、板厚を厚くする、リブを設ける、あるいは高強度の材料を用いる等、リンク３１，４１を高強度に構成する必要がある。この点、図６Ａ，図６Ｂの例では、第２リンク４１に引張力が作用するので、図４Ａ，図４Ｂのものよりも第２リンク４１を、例えば薄肉に構成することができ、ハウジング１０の側壁１４とホルダ２０の側壁２３との間に第２連結部４０を容易に設けることができる。

　図７Ａ，図７Ｂは、第２連結部４０が複数のリンク４１１～４１３によって構成され、かつ、軸線ＣＬ０よりも上方に設けられたリンク支持部１４ｃ，１４ｄによって支持される例である。すなわち、図５Ａ，図５Ｂの一部の構成と図６Ａ，図６Ｂの一部の構成とを組み合わせた例である。なお、傾斜位置では、リンク４１１が仮想線Ｌ１に重なって位置する。図７Ａ，図７Ｂでは、傾斜位置における収容部２１のハウジング１０からの突出量を増加させることができる。また、リンク４１１、４１２には引張力が作用するので、図５Ａ、図５Ｂのものよりも、リンク４１１，４１２を例えば薄肉に構成することができる。リンク４１３に関しては、図５Ａ，図５Ｂの例では引張力が作用し、図７Ａ，図７Ｂの例では圧縮力が作用する。なお、図７Ａ，図７Ｂでは、リンク４１２の前方にストッパ３５が設けられ、ストッパ３５によりリンク４１２の回動が制限される。

　図８Ａ，図８Ｂは、ハウジング１０とホルダ２０の下部に第１リンク３１と第２リンク４１とが設けられる例である。なお、仮想線Ｌ１は、バッテリ２００の重心位置Ｇ１，Ｇ２を通り、かつ、第１リンク３１のホルダ側の回動軸３３と第２リンク４１のホルダ側の回動軸４３とを通る仮想線である。図８Ａ，図８Ｂでは、重心位置Ｇ１，Ｇ２と回動軸３３，４３とが同一直線（仮想線Ｌ１）上に位置するが、回動軸３３，４３のいずれか一方は同一直線上になくてもよい。すなわち、重心位置Ｇ１，Ｇ２と回動軸３３とを結ぶ直線上に回動軸４３がなくてもよく、または重心位置Ｇ１，Ｇ２と回動軸４３とを結ぶ直線上に回動軸３３がなくてもよい。

　図８Ａ，図８Ｂに示すように、第１リンク３１は第２リンク４１よりも短尺に形成される。格納位置において、第１リンク３１のホルダ側のリンク支持部２３ａは、ハウジング側のリンク支持部１４ａよりも下方かつ後方に位置する。第２リンク４１のハウジング側のリンク支持部１４ｂは、リンク支持部１４ａの前方に位置する。第２リンク４１のホルダ側のリンク支持部２３ｂは、リンク支持部１４ｂの上方かつ後方に位置するとともに、リンク支持部１４ａの上方に位置する。なお、図８Ａでは、第１リンク３１の移動軌跡上ではなく、第２リンク４１の移動軌跡上にストッパ３５が設けられる。

　図８Ａ，図８Ｂにおいて、収容部２１が格納位置から傾斜位置に移動すると、第１リンク３１は回動軸３２を支点にして前方に回動するとともに、第２リンク４１は回動軸４２を支点にして前方に回動する。このとき、短尺の第１リンク３１の回動角は、長尺の第２リンク４１の回動角よりも大きい。これにより重心位置Ｇ１、Ｇ２の高さを互いに等しくしつつ、収容部２１を前方に大きく傾斜させ、鉛直線Ｌ０と軸線Ｌ２とのなす角θをより増大することができる。図８Ａ，図８Ｂでは、第２連結部４０が単一のリンク４１によって構成されるため、図５Ａ，図５Ｂのものよりも部品点数が少なく、構成が容易である。さらに、前側のリンク支持部１４ｂの位置が図４Ａ，図４Ｂのもよりも後方に位置するので、傾斜位置における収容部２１の突出量を増大することができる。

　なお、第１連結部３０と第２連結部４０とを、上述した以外の構成とすることもできる。例えば、図４Ａ，図４Ｂにおける第１連結部３０と第２連結部４０とを上下反転し、第１リンク３１を軸線ＣＬ０の下方に、第２リンク４１を軸線ＣＬ０の上方に設けるようにしてもよい。図６Ａ，図６Ｂおよび図７Ａ，図７Ｂにおける第１連結部３０と第２連結部４０とを上下反転して構成してもよい。図８Ａ，図８Ｂにおける第１連結部３０と第２連結部４０とを上下反転して構成してもよい。

　図４Ａ，図４Ｂの構造を例にして、バッテリ２００の底面に設けられた端子の接続動作について説明する。図９は、端子の接続動作の一例を概略的に示す図である。端子は、着脱機構５０を介して、収容部２１の格納位置から傾斜位置への移動に連動してバッテリ２００に着脱される。より詳しくは、バッテリ２００の底面には、前側かつ左右方向中央部に凹状のレセプタクル２００ａが設けられ、そのレセプタクル２００ａに向けて下方から上方にプラグ５６ａが移動するとともに、レセプタクル２００ａにプラグ５６ａが嵌合し、端子の接点同士が接続するように構成される。図９では、便宜上、着脱機構５０と図３の連結部３０，４０とがそれぞれ実線で示される。特に、着脱機構５０は太線で示される。

　図９に示すように、第１リンク３１は、回動軸３３から延設された延設部３１ｃを有し、全体が屈曲して構成される。着脱機構５０は、ハウジング１０の側壁１４とホルダ２０の側壁２３との間に配置された複数の細長のリンク５１～５３、すなわち横リンク５１と、縦リンク５２と、連結リンク５３とを有する。横リンク５１は、バッテリ２００の重心位置Ｇ１，Ｇ２の上方に配置され、格納位置で略前後方向に延在する。横リンク５１の前後方向中央部は、ホルダ２０の側壁２３に設けられたリンク支持部２９に、左右方向に延在する回動軸５４を支点にして回動可能に支持される。横リンク５１の前端部は、縦リンク５２の一端部に、左右方向に延在する回動軸５５を支点にして回動可能に連結される。

　縦リンク５２は上下方向に延在し、その下端部にプレート５６が固定される。プレート５６は、ホルダ２０の凹部２１ａの底面に沿って左右方向に延在し、プレート５６の上面には、バッテリ２００のレセプタクル２００ａに対応する位置にプラグ５６ａが突設される。好ましくは、縦リンク５２が収容部２１の左右に設けられ、プレート５６の左右両端部が左右の縦リンク５２によって支持される。横リンク５１の後端部は、連結リンク５３の一端部に、左右方向に延在する回動軸５７を支点にして回動可能に連結される。連結リンク５３は上下方向に延在し、その下端部に、左右方向に延在する回動軸５８を支点にして回動可能に第１リンク３１の延設部３１ｃが連結される。

　着脱機構５０は以下のように動作する。図９に示す格納位置において、第１リンク３１は上下方向に延在し、第１リンク３１（延設部３１ｃ）の下端部に回動軸５８が位置する。これにより連結リンク５３が下方に引っ張られ、横リンク５１は回動軸５４を支点にして略水平姿勢となり、縦リンク５２が回動軸５５を介して上方に引っ張られる。その結果、プレート５６が上方に移動し、バッテリ２００の底面のレセプタクル２００ａにプラグ５６ａが嵌合する。これによりバッテリ２００の端子と保持装置側の端子の接点同士が接触し、バッテリ２００の充電を行うことができる。この状態のプラグ５６ａの位置を、接続位置と呼ぶ。

　充電後のバッテリ２００を取り外す場合、ユーザはホルダ２０の収容部２１を傾斜位置に移動する。このとき、回動軸３２を支点にして第１リンク３１が上方に回動するため、連結リンク５３は延設部３１ｃを介して上方に押し上げられる。これにより回動軸５４を支点にして横リンク５１が回動し、縦リンク５２が下方に押し下げられる。その結果、プレート５６がバッテリ２００の底面よりも下方に移動し、プラグ５６ａがレセプタクル２００ａから離脱する。この状態のプラグ５６ａの位置を、離間位置と呼ぶ。

　このように収容部２１の格納位置から傾斜位置への移動に連動し、着脱機構５０を介してプラグ５６ａが接続位置から離間位置に移動する。このため、プラグ５６ａをレセプタクル２００ａに嵌合および離脱する操作を、ホルダ２０の操作と別に行う必要がなく、バッテリ２００の充電を容易に行うことができる。また、傾斜位置の収容部２１の凹部２１ａにバッテリ２００を挿抜するとき、プラグが凹部２１ａの底面よりも下方に退避しているため、バッテリ２００の自重によってホルダ２０に衝撃が作用した場合であっても、プラグ５６ａやレセプタクル２００ａの端子が損傷することを防止できる。

　本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
（１）保持装置１００は、ハウジング１０と、ハウジング１０に対して移動可能に設けられ、バッテリ２００を保持する収容部２１を有するホルダ２０と、バッテリ２００が収容される格納位置とバッテリ２００が着脱される傾斜位置との間を収容部２１が移動可能なようにハウジング１０とホルダ２０とを連結する連結部３０，４０と、を備える（図１Ａ，図３）。連結部３０，４０は、格納位置に位置する収容部２１によって保持されたバッテリ２００の重心位置Ｇ１の高さ（軸線ＣＬ０）と、傾斜位置に位置する収容部２１によって保持されたバッテリ２００の重心位置Ｇ２の高さ（軸線ＣＬ０）とが、一致するようにハウジング１０とホルダ２０とを連結する（図３）。

　これにより、バッテリ２００が保持された状態において収容部２１の移動に伴う重心位置Ｇ１，Ｇ２の上下方向の変化が抑えられ、バッテリ２００の自重によって収容部２１の移動が妨げられることを抑制できる。その結果、収容部２１をホルダ２０ごとスムーズに移動することができ、バッテリ２００の着脱を容易に行うことができる。

（２）連結部３０，４０は、一端部３１ａおよび他端部３１ｂが、ハウジング１０およびホルダ２０にそれぞれ連結された第１リンク３１と、一端部４１ａおよび他端部４１ｂが、第１リンク３１とは異なる位置でハウジング１０およびホルダ２０にそれぞれ連結された第２リンク４１と、を有する（図３）。これにより、簡易な構成で、格納位置の収容部２１によって保持されたバッテリ２００の重心位置Ｇ１の高さと、傾斜位置の収容部２１によって保持されたバッテリ２００の重心位置Ｇ２の高さとを、一致させることができる。

（３）ハウジング１０は、第１リンク３１の一端部３１ａおよび第２リンク４１の一端部４１ａがそれぞれ回動可能に連結されるリンク支持部１４ａ，１４ｂを有する（図３）。ホルダ２０は、第１リンク３１の他端部３１ｂおよび第２リンク４１の他端部４１ｂがそれぞれ回動可能に連結されるリンク支持部２３ａ，２３ｂを有する（図３）。リンク支持部１４ａ，２３ａ間の距離は、第１リンク３１の一端部３１ａから他端部３１ｂまでの長さに相当し、リンク支持部１４ｂ，２３ｂ間の距離は、第２リンク４１の一端部４１ａから他端部４１ｂまでの長さに相当する（図３）。バッテリ２００の重心位置Ｇ１，Ｇ２は、リンク支持部１４ａ，１４ｂ，２３ａ，２３ｂが設けられる位置によって変化するが、本実施形態では、重心位置Ｇ１，Ｇ２の高さが一致するようにリンク支持部１４ａ，１４ｂ，２３ａ，２３ｂが設けられる。これにより、簡易な構成で、重心位置Ｇ１，Ｇ２の高さを一致させることができる。

（４）第１リンク３１は、一端部３１ａにおける回動軸３２が他端部３１ｂにおける回動軸３３よりも高所に位置するように設けられる（図３）。第２リンク４１は、他端部４１ｂにおける回動軸４３が一端部４１ａにおける回動軸４２よりも高所に位置するように設けられる（図３）。これにより、重心位置Ｇ１，Ｇ２の高さを一致させるような構成を容易に実現できる。

（５）第１リンク３１が、一端部３１ａにおける回動軸３２が他端部３１ｂにおける回動軸３３よりも高所に位置するように設けられるとともに、第２リンク４１が、一端部４１ａにおける回動軸４２が他端部４１ｂにおける回動軸４３よりも高所に位置するように設けられるように構成することもできる（図６Ａ）。これにより、第１リンク３１と第２リンク４１とには、それぞれバッテリ２００の自重による引張力が作用するようになる。このため、圧縮力が作用する場合に比べてリンク３１，４１の板厚を薄くすることができ、側壁１４，２３の間にリンク３１，４１を容易に配置できる。

（６）第２連結部４０は、ホルダ側の回動軸４３が設けられたリンク４１１と、リンク４１１に回動可能に連結され、ハウジング側の回動軸４６，４７が設けられたリンク４１２，４１３とを有するように構成することもできる（図５Ａ，図７Ａ）。これにより、傾斜位置におけるホルダ２０の収容部２１のハウジング１０からの突出量を増大することができ、バッテリ２００の挿抜が容易になる。

（７）この場合、リンク４１１には一対のリンク４１２，４１３が回動可能に連結される（図５Ａ，図７Ａ）。これにより、格納位置から傾斜位置にかけてのリンク４１１の姿勢を容易に規定することができる。

（８）さらに一対のリンク４１２，４１３は互いに平行な平行リンクとして構成される（図５Ａ，図７Ａ）。これにより、リンク４１１の移動時の位置および姿勢を、リンク４１２，４１３を介して最適に設定することができる。

（９）保持装置１００は、第１リンク３１の移動（回動）を規制するように第１リンク３１の移動軌跡上に設けられたストッパ３５をさらに備える（図４Ａ）。これにより、第１リンク３１の移動量を規制することができ、バッテリ２００を挿抜する際の傾斜位置に収容部２１を容易に保持することができる。なお、ストッパ３５は、第２リンク４１の移動量を規制するように設けてもよい（図８Ａ）。

（１０）ホルダ２０は、ハウジング１０に収容可能に設けられるとともに、収容部２１が格納位置に位置するときのハウジング１０に対するホルダ２０の収容割合が、収容部２１が傾斜位置に位置するときのハウジング１０に対するホルダ２０の収容割合よりも大きくなるように、ハウジング１０に対して移動可能に設けられる（図１Ａ，図１Ｂ，図３）。これにより、格納位置においてホルダ２０がハウジング１０内に大きく格納される。このため、ハウジング１０からのホルダ２０の突出量が抑えられ、装置全体を凹凸なく構成することができる。

（１１）連結部３０，４０は、収容部２１が、傾斜位置に位置するとき格納位置に位置するときよりもハウジング１０の外側に突出するように、ハウジング１０にホルダ２０を連結する（図３）。これにより、ユーザがバッテリ２００を着脱するときはホルダ２０が突出するが、それ以外ではホルダ２０が格納されるため、防犯の観点でも優れる。

（１２）バッテリ２００は、収容部２１によって規定される基準線、すなわち仮想線Ｌ１に垂直な軸線Ｌ２に沿って収容部２１に着脱可能に設けられる（図３）。収容部２１は、傾斜位置に位置するとき、格納位置に位置するときよりも、鉛直線Ｌ０に対する軸線Ｌ２のなす角θが大きくなるように設けられる（図４Ａ）。これにより、傾斜位置においてハウジング１０と干渉することなくバッテリ２００を挿抜することができる。

（１３）収容部２１は、バッテリ２００を軸線Ｌ２に沿って挿抜可能に保持する凹部２１ａを有する（図３）。これにより、バッテリ２００の収容部２１への挿抜が容易である。

（１４）ハウジング１０は、収容部２１を収容する開口部１６を有する（図１Ａ）。ホルダ２０は、収容部２１が格納位置に位置するとき開口部１６を閉塞し、傾斜位置に位置するとき開口部１６を開放する蓋２５を有する（図１Ａ，図１Ｂ，図３）。これにより、格納位置においてバッテリ２００を密閉した空間に収容することができ、電気部品を良好に保護できる。

（１５）収容部２１は、収容部２１が格納位置に位置するとき、その後壁２６がハウジング１０の内部の後壁１５に隣接して配置される（図３）。これによりハウジング１０を前後方向に小型化することができ、装置全体をコンパクトに構成できる。

（１６）保持装置１００は、バッテリ２００の端子部、すなわちバッテリ２００の底面のレセプタクル２００ａに接離可能に設けられるプラグ５６ａと、収容部２１の格納位置から傾斜位置への移動に連動して、バッテリ２００のレセプタクル２００ａに接続される接続位置からレセプタクル２００ａから離間する離間位置にプラグ５６ａを移動するように構成された着脱機構５０と、をさらに備える（図９）。これにより、バッテリ２００の端子を接続するための操作を、収容部２１を移動するためのホルダ２０の操作と別に行う必要がなく、バッテリ２００の充電が容易である。

－第２実施形態－
　図１０Ａ、図１０Ｂを参照して本発明の第２実施形態について説明する。以下では、第１実施形態との相違点を主に説明する。第２実施形態が第１実施形態と異なるのは、連結部の構成である。すなわち、第１実施形態では、リンク構造により連結部３０，４０を構成したが、第２実施形態では、溝と突起とにより連結部を構成する。

　図１０Ａは、第２実施形態に係る保持装置１００を構成するホルダ２０の収容部２１の格納位置と傾斜位置とにおける連結部６０の動作を示す図であり、図１０Ｂは、各位置の連結部６０を重ねて示す図である。なお、図１０Ａでは、ハウジング１０の左右の側壁１３，１４の内側面を示す。図１０Ａ，図１０Ｂに示すように、ハウジング１０の左右の側壁１３，１４の内側面には、上下一対の溝１７，１８が設けられる。上側の溝１７は、軸線ＣＬ０に沿って所定長さにわたり前後方向に延在する。下側の溝１８は、溝１７の後方において所定長さにわたり上下方向に延在する。

　溝１７，１８には、ホルダ２０の左右の側壁の２２，２３の外側面から左右方向外側に突設された上下一対の突起２７，２８がそれぞれ係合される。突起２７の位置は、収容部２１（図１Ａ）により保持されたバッテリ２００の重心位置Ｇ１，Ｇ２と同一である。なお、便宜上、突起２７，２８を仮想線Ｌ１によって接続して示す。突起２７，２８は、それぞれ溝１７，１８に沿って移動可能であり、突起２７，２８と溝１７，１８とにより連結部６０が構成される。なお、上側の溝１７と突起２７の組み合わせを第１連結部６１、下側の溝１８と突起２８の組み合わせを第２連結部６２と呼ぶ場合がある。

　収容部２１がハウジング１０に格納された格納位置では、突起２７が溝１７の後端部に位置し、突起２８が溝１８の下端部に位置する。一方、収容部２１がハウジング１０から突出した傾斜位置では、突起２７が溝１７の前端部に位置し、突起２８が溝１８の上端部に位置する。なお、格納位置では、突起２７，２８のいずれか一方が溝１７，１８の端部に当接し、傾斜位置では、突起２７，２８のいずれか一方が溝１７，１８の端部に当接する。これにより、ハウジング１０に対するホルダ２０の移動が制限される。このとき、溝１７，１８の端部がストッパとして機能する。したがって、ストッパを別途設ける必要がない。

　第２実施形態では、突起２７，２８が溝１７，１８に係合して突起２７，２８の位置が規制されながら、ホルダ２０の収容部２１が格納位置から傾斜位置に移動する。より具体的には、突起２７は軸線ＣＬ０に沿って水平方向に移動する。このため、格納位置におけるバッテリ２００の重心位置Ｇ１の高さと傾斜位置における重心位置Ｇ２の高さとを等しくすることができる。その結果、バッテリ２００の自重によって収容部２１の移動が妨げられることが抑制され、バッテリ２００の着脱を容易に行うことができる。

　なお、連結部６０を構成する一対の溝１７，１８を第１溝、第２溝と称し、第１溝と第２溝とに係合する一対の突起２７，２８を第１突起、第２突起と称するとき、図１０Ａ，図１０Ｂでは、第１溝と第２溝とをハウジング１０に、第１突起と第２突起とをホルダ２０に設けた。しかしながら、溝と突起の配置はこれに限らず、第１溝と第２溝とをホルダ２０に、第１突起と第２突起とをハウジング１０に設けてもよい。第１溝と第２突起とをハウジングに、第２溝と第１突起とをホルダに設けてもよい。

　第２実施形態は、第１実施形態と異なる以下のような作用効果を奏することができる。
（１）連結部６０は、互いに所定距離隔てて設けられた第１連結部６１と第２連結部６２とを有する（図１０Ａ）。第１連結部６１は、ホルダ２０に設けられた突起２７と、突起２７が係合するようにハウジング１０に設けられた溝１７とを有し、第２連結部６２は、ホルダ２０に設けられた突起２８と、突起２８が係合するようにハウジングに設けられた溝１８とを有する（図１０Ａ）。これにより部品点数の増加を抑えた安価な構成により、収容部２１が格納位置から傾斜位置に移動するときのバッテリ２００の重心位置Ｇ１，Ｇ２の高さを等しくすることができる。

（２）第１連結部６１の溝１７は、突起２７が溝１７に沿って直線状に移動可能となるように前後方向に延設され、第２連結部６２の溝１８は、突起２８が溝１８に沿って直線状に移動可能となるように上下方向に延設される（図１０Ａ）。このように一対の直線状の溝１７，１８に突起２７，２８を係合することで、簡易な構成によって傾斜位置における収容部２１の姿勢を容易に調整することができる。

（３）溝１７と溝１８とは、互いに異なる方向に延設される（図１０Ａ）。このように一対の溝１７，１８を異なる方向に延設することで、ホルダ２０の移動に伴い収容部２１を容易に傾斜させることができ、バッテリ２００の挿抜が容易になる。

（４）溝１７は、水平方向（前後方向）に延設される（図１０Ａ）。これにより収容部の移動に伴うバッテリ２００の重心位置の高さを一定に保つことができる。また、溝１８と突起２８との係合により、収容部２１の格納位置から傾斜位置への移動に伴い、収容部２１を徐々に傾斜させることができる。

　以下、他の実施形態または変形例について説明する。上記実施形態では、収容部２１が傾斜位置に位置するときにバッテリ２００を着脱するようにしたが、傾斜位置以外でバッテリ２００を着脱するようにしてもよい。図１１は、その一例を示す図である。図１１は、図３と同様、第１連結部３０（第１リンク３１）と第２連結部４０（第２リンク４１）とを介して収容部２１がホルダ２０と一体に移動可能に支持される。但し、図１２では、傾斜姿勢の収容部２１の上方を覆うカバー部１９がハウジング１０に設けられる。

　このため、収容部２１は、傾斜姿勢であるとき、ハウジング１０に格納される。一方、収容部２１が起立姿勢であるとき、収容部２１の上方が開放され、この状態でバッテリ２００が挿抜される。すなわち、バッテリ２００の仮想線Ｌ１に垂直な鉛直方向の軸線Ｌ２に沿ってバッテリ２００が挿抜される。なお、バッテリ２００の挿抜方向（軸線Ｌ２の方向）は上述したものに限らず、例えば水平方向であってもよい。すなわち、バッテリ２００が収容される第１位置は格納位置に限らず、バッテリ２００が着脱される第２位置は傾斜位置に限らない。

　上記実施形態では、第１部材としてのハウジング１０と第２部材としてのホルダ２０とを連結部３０，４０，６０を介して連結するようにしたが、第１部材と第２部材の構成は上述したものに限らない。保持部としての収容部２１を、ホルダ２０が左右方向に複数備えるのではなく上下方向に複数備えるようにしてもよい。ホルダ２０に複数の収容部２１を設けるのではなく、単一の収容部２１（保持部）を設けるようにしてもよい。上記実施形態では、ホルダ２０が蓋２５を有するようにしたが、蓋部を省略し、保持部の一部が露出した状態で格納されてもよい。上記実施形態では、保持装置１００にバッテリ２００を保持するようにしたが、キャパシタを保持するようにしてもよく、本発明が適用される蓄電装置はバッテリなどの蓄電部に限らない。

　上記実施形態では、収容部２１が、バッテリ２００が収容される格納位置（第１位置）とバッテリ２００が着脱される傾斜位置（第２位置）との間を移動可能に構成されたが、第１位置と第２位置とは上述した以外の位置であってもよい。格納位置で、収容部２１の全体がハウジング１０に収容されるのでなく、その一部が収容されるようにしてもよい。傾斜位置で、収容部２１の一部がハウジング１０から突出するのではなく、全体が突出するようにしてもよい。

　上記実施形態では、リンク構造により、または溝と突起との係合により、連結部３０，４０，６０を構成したが、第１位置の重心位置Ｇ１（第１重心位置）の高さ（上下方向位置）と、第２位置の重心位置Ｇ２（第２重心位置）の高さとが一致するように連結するのであれば、連結部を上述した以外の形態としてもよい。上記実施形態では、一端部３１ａ（一端側第１連結部）と他端部３１ｂ（他端側第１連結部）とを有する第１リンク３１（第１連結部材）により第１連結部３０を構成し、一端部４１ａ（一端側第２連結部）と他端部４１ｂ（他端側第２連結部）とを有する第２リンク４１（第２連結部材）により第２連結部４０を構成したが、第１連結部材と第２連結部材とをリンク以外によって構成してもよい。一端側第１連結部または他端側第１連結部を、第１リンク３１の一端部３１ａ以外の一端側または他端部３１ｂ以外の他端側に設けてもよい。一端側第２連結部または他端側第２連結部を、第２リンク４１の一端部４１ａ以外の一端側または他端部４１ｂ以外の他端側に設けてもよい。

　上記実施形態では、ハウジング１０に、第１リンク３１の一端部３１ａと第２リンク４１の一端部４１ａとがそれぞれ回動可能に連結されるリンク支持部１４ａ（一端側第１被連結部）とリンク支持部１４ｂ（一端側第２被連結部）とを設け、ホルダ２０に、第１リンク３１の他端部３１ｂと第２リンク４１の他端部４１ｂとがそれぞれ回動可能に連結されるリンク支持部２３ａ（他端側第１被連結部）とリンク支持部２３ｂ（他端側第２被連結部）とを設けたが、重心位置の高さが一致するように設けられるのであれば、一端側第１被連結部、一端側第２被連結部、他端側第１被連結部および他端側第２被連結部を、上述した以外の位置に設けてもよい。

　上記実施形態（図５Ａ，図７Ａ）では、ホルダ側のリンク支持部２３ｂに連結される端部（他端側第２連結部）を有するリンク４１１（第１構成部材）と、リンク４１１に回動可能に連結され、ハウジング側のリンク支持部１４ｃ，１４ｄに連結される端部（一端側第２連結部）を有する一対のリンク４１２，４１３（第２構成部材）とにより、第２連結部４０（第２連結部材）を構成した。より詳しくは、一対のリンク４１２，４１３を平行に設けたが、一対の第２構成部材は平行でなくてもよい。第１構成部材と単一の第２構成部材とにより第２連結部材を構成してもよい。

　上記実施形態（図３等）では、収容部２１が格納位置（第１位置）から傾斜位置（第２位置）に移動するとき、第１連結部材としての第１リンク３１が第１部材としてのハウジング１０から第２部材としてのホルダ２０に延出するように構成したが、その代わりに第２部材から第１部材に延出するように構成してもよい。あるいは、第１部材から第２部材に延出するとともに、第２部材から第１部材に延出するように構成してもよい。上記実施形態では、ストッパ３５により第１リンク３１の移動を規制するようにしたが、第１連結部材の移動軌跡上に設けられる規制部の構成は上述したものに限らない。例えば第１連結部材の回動軸に規制部を設けるようにしてもよい。

　上記実施形態（図１０Ａ）では、第１連結部６１が、ホルダ２０に設けられた突起２７（第１係合部）とハウジング１０に設けられた溝１７（第１被係合部）を有し、第２連結部６２が、ホルダ２０に設けられた突起２８（第２係合部）とハウジング１０に設けられた溝１８（第２被係合部）とを有するようにしたが、これら係合部と被係合部の構成は上述したものに限らない。例えば被係合部がレール状に構成されてもよい。上記実施形態では、溝１７が前後方向（第１方向）に直線状に延設され、溝１８が上下方向（第２方向）に直線状に延設されるようにしたが、第１方向と第２方向は上述した以外の方向であってもよい。被係合部が非直線状に形成されてもよい。

　上記実施形態では、収容部２１に設けられた凹部２１ａにより、バッテリ２００を軸線Ｌ２（基準線）に沿って挿抜可能に保持するようにしたが、凹部以外（例えば凸部）によってバッテリ２００を保持するようにしてもよい。バッテリ２００（蓄電池）を収容部２１に収容して保持するのではなく、蓄電池を載置する載置部を設け、載置部で蓄電池を保持するようにしてもよい。上記実施形態では、格納姿勢において収容部２１がハウジング１０の後壁１５の前面（壁面）に隣接して配置されるようにしたが、第１部材の内部の他の壁面に隣接して配置されてもよい。

　上記実施形態（図９）では、着脱機構５０により、収容部２１の格納位置から傾斜位置への移動に連動して、ホルダ２０の下方に設けられたプラグ５６ａ（可動接続部）が、バッテリ２００のレセプタクル２００ａ（接続部）に接続される接続位置から接続部から離間する離間位置に移動するようにしたが、移動機構としての着脱機構５０の構成は上述したものに限らない。アクチュエータを用いて可動接続部を接続位置から離間位置に、または離間位置から接続位置に移動するようにしてもよい。

　なお、連結部を、第１位置に位置する保持部によって保持された蓄電池の重心位置の高さと第２位置に位置する保持部によって保持された蓄電池の重心位置の高さとが一致するように第１部材と第２部材とを連結するように構成するのであれば、あるいは、連結部を、一端側および他端側に、第１部材および第２部材にそれぞれ連結された一端側第１連結部および他端側第１連結部をそれぞれ有する第１連結部材と、一端側および他端側に、第１連結部材とは異なる位置で第１部材および第２部材にそれぞれ連結された一端側第２連結部および他端側第２連結部をそれぞれ有する第２連結部材と、を有するように構成するのであれば、連結部の構成はいかなるものでもよい。

　上記実施形態では、電力を溜めるバッテリ２００を保持部（収容部）により保持するようにしたが、本発明は、燃料電池に用いる水素を貯蔵する水素容器（可搬水素タンク）等、他のエネルギ蓄積装置を保持する場合にも同様に適用できる。すなわち、エネルギ蓄積には、電力等のエネルギを蓄積する場合だけでなく、エネルギ（電力）を生成するためのエネルギ源（燃料電池用の水素）を蓄積する場合が含まれる。したがって、可搬型エネルギ蓄積装置（エネルギ蓄積器）は、上述した可搬型のバッテリ（電力蓄積器）に限らず、水素タンク（エネルギ源蓄積器）でもよい。上記実施形態では、バッテリ２００の接続部と保持装置の接続部とを接続した状態で電力の授受を行うようにしたが、エネルギ蓄積装置が水素タンクである場合には、水素タンクの接続部と保持装置の接続した状態で水素の授受を行うようにしてもよい。上記実施形態では、エネルギ蓄積装置を人間が持つことができる可搬型として、保持装置に対する着脱を人力のみで行うようにしたが、保持装置に対するエネルギ蓄積装置の着脱を、機械または機構を補助的に用いて行うようにしてもよい。これにより大重量のエネルギ蓄積装置を容易に着脱可能となる。

　以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の１つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。

１０　ハウジング、１４ａ，１４ｂ，１４ｃ，１４ｄ　リンク支持部、１６　開口部、２０　ホルダ、２１　収容部、２１ａ　凹部、２３ａ，２３ｂ　リンク支持部、２５　蓋、３０　第１連結部、３１　第１リンク、３１ａ　一端部、３１ｂ　他端部、４０　第２連結部、４１　第２リンク、４１ａ　一端部、４１ｂ　他端部、５０　着脱機構、６０　連結部、６１　第１連結部、６２　第２連結部、１００　保持装置、２００　バッテリ、４１１～４１３　リンク、Ｇ１，Ｇ２　重心位置

Claims

　第１部材と、
　前記第１部材に対して移動可能に設けられ、エネルギ蓄積装置を保持する保持部を有する第２部材と、
　前記保持部を、第１位置と該第１位置とは異なる第２位置との間で移動可能なように前記第１部材と前記第２部材とを連結する連結部と、を備え、
　前記連結部は、前記第１位置に位置する前記保持部によって保持された前記エネルギ蓄積装置の重心位置である第１重心位置の高さと、前記第２位置に位置する前記保持部によって保持された前記エネルギ蓄積装置の重心位置である第２重心位置の高さとが、一致するように前記第１部材と前記第２部材とを連結することを特徴とする保持装置。
　請求項１に記載の保持装置において、
　前記連結部は、
　一端側および他端側に、前記第１部材および前記第２部材にそれぞれ連結された一端側第１連結部および他端側第１連結部をそれぞれ有する第１連結部材と、
　一端側および他端側に、前記第１連結部材とは異なる位置で前記第１部材および前記第２部材にそれぞれ連結された一端側第２連結部および他端側第２連結部をそれぞれ有する第２連結部材と、を有することを特徴とする保持装置。
　請求項２に記載の保持装置において、
　前記第１部材は、前記一端側第１連結部および前記一端側第２連結部がそれぞれ回動可能に連結される一端側第１被連結部および一端側第２被連結部を有し、
　前記第２部材は、前記他端側第１連結部および前記他端側第２連結部がそれぞれ回動可能に連結される他端側第１被連結部および他端側第２被連結部を有し、
　前記一端側第１被連結部、前記一端側第２被連結部、前記他端側第１被連結部および前記他端側第２被連結部は、前記第１重心位置の高さと前記第２重心位置の高さとが一致するようにそれぞれ設けられることを特徴とする保持装置。
　請求項２または３に記載の保持装置において、
　前記第１連結部材は、前記一端側第１連結部が前記他端側第１連結部よりも高所に位置するように設けられ、
　前記第２連結部材は、前記他端側第２連結部が前記一端側第２連結部よりも高所に位置するように設けられることを特徴とする保持装置。
　請求項２または３に記載の保持装置において、
　前記第１連結部材は、前記一端側第１連結部が前記他端側第１連結部よりも高所に位置するように設けられ、
　前記第２連結部材は、前記一端側第２連結部が前記他端側第２連結部よりも高所に位置するように設けられることを特徴とする保持装置。
　請求項２～５のいずれか１項に記載の保持装置において、
　前記第２連結部材は、前記他端側第２連結部が設けられた第１構成部材と、前記第１構成部材に回動可能に連結され、前記一端側第２連結部が設けられた第２構成部材とを有することを特徴とする保持装置。
　請求項６に記載の保持装置において、
　前記第２構成部材は、前記一端側第２連結部がそれぞれ設けられた一対の第２構成部材であることを特徴とする保持装置。
　請求項７に記載の保持装置において、
　前記一対の第２構成部材は、互いに平行に設けられることを特徴とする保持装置。
　請求項２～８のいずれか１項に記載の保持装置において、
　前記第１部材およびまたは前記第２部材から延出し、前記第１連結部材の移動を規制するように前記第１連結部材の移動軌跡上に設けられた規制部をさらに備えることを特徴とする保持装置。
　請求項１に記載の保持装置において、
　前記連結部は、互いに所定距離隔てて設けられた第１連結部と第２連結部とを有し、
　前記第１連結部は、前記第１部材および前記第２部材のいずれか一方に設けられた第１係合部と、前記第１部材および前記第２部材のいずれか他方に設けられ、前記第１係合部が係合する第１被係合部と、を有し、
　前記第２連結部は、前記第１部材および前記第２部材のいずれか一方に設けられた第２係合部と、前記第１部材および前記第２部材のいずれか他方に設けられ、前記第２係合部が係合する第２被係合部と、を有することを特徴とする保持装置。
　請求項１０に記載の保持装置において、
　前記第１被係合部は、前記第１係合部が前記第１被係合部に沿って直線状に移動可能となるように第１方向に延設され、
　前記第２被係合部は、前記第２係合部が前記第２被係合部に沿って直線状に移動可能となるように第２方向に延設されることを特徴とする保持装置。
　請求項１１に記載の保持装置において、
　前記第１方向と前記第２方向とは互いに異なることを特徴とする保持装置。
　請求項１１または１２に記載の保持装置において、
　前記第１方向は、水平方向であることを特徴とする保持装置。
　請求項１～１３のいずれか１項に記載の保持装置において、
　前記第２部材は、前記第１部材に収容可能に設けられるとともに、前記保持部が前記第１位置に位置するときの前記第１部材に対する前記第２部材の収容割合が、前記保持部が前記第２位置に位置するときの前記第１部材に対する前記第２部材の収容割合よりも大きくなるように、前記第１部材に対して移動可能に設けられることを特徴とする保持装置。
　請求項１４に記載の保持装置において、
　前記保持部は、前記第１位置に位置するときに、該保持部に対して前記エネルギ蓄積装置を着脱不能に、かつ、前記第２位置に位置するときに、該保持部に対して前記エネルギ蓄積装置を着脱可能に、設けられることを特徴とする保持装置。
　請求項１～１５のいずれか１項に記載の保持装置において、
　前記連結部は、前記保持部が、前記第２位置に位置するときに前記第１位置に位置するときよりも前記第１部材の外側に突出するように、前記第１部材と前記第２部材とを連結することを特徴とする保持装置。
　請求項１～１６のいずれか１項に記載の保持装置において、
　前記エネルギ蓄積装置は、前記保持部によって規定される基準線に沿って前記保持部に着脱可能であり、
　前記保持部は、前記第２位置に位置するときに、前記第１位置に位置するときよりも、鉛直線に対する前記基準線のなす角が大きくなるように設けられることを特徴とする保持装置。
　請求項１７に記載の保持装置において、
　前記保持部は、前記エネルギ蓄積装置を前記基準線に沿って挿抜可能に収容して保持する凹部を有することを特徴とする保持装置。
　請求項１～１８のいずれか１項に記載の保持装置において、
　前記第１部材は、前記保持部を収容する開口部を有し、
　前記第２部材は、前記保持部が前記第１位置に位置するときに前記開口部を閉塞し、前記第２位置に位置するときに前記開口部を開放する蓋部を有することを特徴とする保持装置。
　請求項１～１９のいずれか１項に記載の保持装置において、
　前記保持部は、該保持部が前記第１位置に位置するときに、前記第１部材の内部の壁面に隣接して配置されることを特徴とする保持装置。
　請求項１～２０のいずれか１項に記載の保持装置において、
　前記エネルギ蓄積装置の接続部に接離可能に設けられる可動接続部と、
　前記保持部の前記第１位置から前記第２位置への移動に連動して、前記接続部に接続される接続位置から前記接続部から離間する離間位置に前記可動接続部を移動するように構成された移動機構と、をさらに備えることを特徴とする保持装置。
　請求項１～２１のいずれか１項に記載の保持装置において、
　前記エネルギ蓄積装置は、蓄電部を有する蓄電装置であることを特徴とする保持装置。
　第１部材と、
　前記第１部材に対して移動可能に設けられ、エネルギ蓄積装置を保持する保持部を有する第２部材と、
　前記保持部を、第１位置と該第１位置とは異なる第２位置との間で移動可能なように前記第１部材と前記第２部材とを連結する連結部と、を備え、
　前記連結部は、
　一端側および他端側に、前記第１部材および前記第２部材にそれぞれ連結された一端側第１連結部および他端側第１連結部をそれぞれ有する第１連結部材と、
　一端側および他端側に、前記第１連結部材とは異なる位置で前記第１部材および前記第２部材にそれぞれ連結された一端側第２連結部および他端側第２連結部をそれぞれ有する第２連結部材と、を有することを特徴とする保持装置。