WO2022195877A1

WO2022195877A1 - ボタン類搬送装置及びボタン類搬送方法

Info

Publication number: WO2022195877A1
Application number: PCT/JP2021/011493
Authority: WO
Inventors: 龍作渡邉
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2021-03-19
Filing date: 2021-03-19
Publication date: 2022-09-22
Also published as: CN116940259A

Abstract

補助部材を用いることなくボタン類を取付部に正確に位置付けることができ、多様な寸法のボタン類に適用可能なボタン類搬送装置を提供する。本発明は、中央軸部（２２、２２ａ）を有するボタン類（２０、２０ａ）を取付部へと搬送するためのボタン類搬送装置（１００、１００Ａ）に係る。ボタン類搬送装置（１００、１００Ａ）は、ボタン類（２０、２０ａ）を導入位置（Ｉ）から取付部に対応する解放位置（Ｒ）に向けて搬送するための搬送路（Ｇ）と、ボタン類（２０、２０ａ）の中央軸部（２２、２２ａ）を把持可能でありかつ解放位置（Ｒ）において中央軸部（２２、２２ａ）の把持を解除可能な把持部材（１１０、１１０Ａ、１２０、１２０Ａ）と、把持部材（１１０、１１０Ａ、１２０、１２０Ａ）を搬送路（Ｇ）に沿って移動させるための移動部材（１３０、１２０Ａ）とを備える。

Description

ボタン類搬送装置及びボタン類搬送方法

　本発明はボタン類搬送装置に関し、特に中央軸部を有するボタン本体、固定部材等のボタン類を下型等の取付部へと搬送するためのボタン類搬送装置及びボタン類搬送方法に関する。

　雄スナップボタン（スタッド）、雌スナップボタン（ソケット）等のボタン本体を固定部材により衣服等の生地に取り付ける場合、一般に、ボタン本体搬送装置から上型にボタン本体を搬送、供給し、また、固定部材搬送装置から固定部材を下型に搬送、供給し、次いで上型を下型に向かって降下させる。これにより固定部材の中央軸部が生地を上方に貫通し、次いでボタン本体の取り付け用の開口を通った後、上型のパンチで加締められる。これによりボタン本体が固定部材と共に生地に固定される。

　実公昭５９－８９６８号公報（特許文献１）はボタン本体搬送装置の一例を開示している。このボタン本体搬送装置は、プッシャーによりフィンガーをガイド溝に沿って前進させることにより、シュートからガイド溝に導入されたボタン本体をフィンガーによりガイド溝に沿って前方に押しながら取付部（上型）へと搬送するものである。

　従来のボタン本体又は固定部材の搬送装置は、特許文献１の搬送装置のようにフィンガーでボタン本体又は固定部材の円板状の基部を押すものである。そのため、搬送対象のボタン本体等の基部の直径に合わせてプッシャーの長さを調整したり、プッシャー自体を交換していた。また、従来の搬送装置では、上型等の取付部においてボタン本体等を保持するためには、ボタン本体等の基部の直径及び厚さに適合する左右一対のジョーを必要とした。更に、ガイド溝の横幅・高さ寸法を取付対象のボタン本体等の寸法に合わせる必要があり、ボタン本体等の寸法ごとにガイド溝を変更していた。

実公昭５９－８９６８号公報

　従って、本発明の目的は、プッシャーやガイド溝の寸法調整や交換の必要がなく、ジョーが不要であり、多様な寸法のボタン類に適用可能なボタン類搬送装置及びボタン類搬送方法を提供することにある。

　上記課題を解決するため、本発明の一側面によれば、中央軸部を有するボタン類を取付部へと搬送するためのボタン類搬送装置であって、ボタン類を導入位置から前記取付部に対応する解放位置に向けて搬送するための搬送路と、前記ボタン類の前記中央軸部を把持可能でありかつ前記解放位置において前記中央軸部の把持を解除可能な把持部材と、前記把持部材を前記搬送路に沿って移動させるための移動部材とを備えることを特徴とするボタン類搬送装置が提供される。

　本発明では、搬送路に導入されたボタン類の中央軸部を把持部材により把持させ、この把持部材を移動部材が搬送路に沿って解放位置まで移動させ、解放位置において把持部材によるボタン類の中央軸部の把持を解除させることにより、把持部材からボタン類を解放して取付部に配置することができる。ボタン類の中央軸部を把持した把持部材を搬送路に沿って移動させるため、搬送路の横幅・高さ寸法や移動装置の横幅・高さ寸法を多様な寸法のボタン類の直径に合わせる必要がなく、搬送路の横幅・高さ寸法をボタン類の直径よりも大きく設定することができる。そのため、移動部材、搬送路等を調整したり交換することなく、同じ搬送路、把持部材及び移動部材により、多様な寸法のボタン類を搬送可能となる。また、把持部材は取付部に対応する解放位置においてボタン類の中央軸部の把持を解除してボタン類を解放する。これにより、ボタン類をほぼ同じ姿勢及び向きのまま落下させることができる。また、取付部側にジョー等の補助部材を設けることなく、ボタン類を取付部の所定位置に正確に位置付けることが可能となる。

　本発明において、中央軸部を有するボタン類とは、中央に中空円筒状、中実円柱状等のポスト、軸部等を有するボタン本体、固定部材、アイレット等をいう。中央軸部を有するボタン類は図１～図４に例示されるが、それらに限定されるものではない。

　本発明の一実施形態において、前記把持部材による前記ボタン類の前記中央軸部の把持を前記解放位置において解除するための解除機構を備える。本発明の一実施形態において、前記把持部材により前記ボタン類の前記中央軸部を把持させるための把持機構を備える。解除機構による把持部材の把持解除はボタン類が解放位置にある時に行われる。把持機構による把持部材の把持はボタン類が導入位置にある時に行われても、導入位置から解放位置に向かう途中で行われてもよい。

　本発明の一実施形態において、前記把持部材は、前記解放位置において前記中央軸部の把持を解除することにより前記ボタン類を前記取付部の所定位置へと落下させる。本形態において取付部の所定位置は解放位置の真下に設定され、解放位置からこの所定位置へとボタン類を落下させる。この際、上述したようにボタン類をほぼ同じ姿勢及び向きに保つことができ、ボタン類を取付部の所定位置に正確に位置付けることができる。

　本発明の一実施形態において、前記把持部材は、第１把持部を含むフィンガーと、第２把持部を含むフロントプッシャーとを含み、前記移動部材はリアプッシャーを含む。本形態において、ボタン類の中央軸部は、フィンガーの第１把持部とフロントプッシャーの第２把持部との間で把持され、フィンガー及びフロントプッシャーはリアプッシャーによって搬送路に沿って移動する。リアプッシャーは取付部の駆動装置と連動させるか、取付部の駆動装置とは別の動力源（例：シリンダー）により搬送路を前後方向に往復移動させることができる。

　本発明の別の側面によれば、搬送路においてボタン類の中央軸部を把持部材で把持する工程と、前記ボタン類が解放位置に到達するまで前記把持部材を搬送路に沿って移動させる工程と、前記解放位置において前記把持部材による前記中央軸部の把持を解除して、前記ボタン類を落下させる工程とを含むことを特徴とするボタン類搬送方法が提供される。

　本発明では、ボタン類の中央軸部を把持した把持部材を搬送路に沿って移動させるため、搬送路の横幅・高さ寸法や移動部材の横幅・高さ寸法をボタン類の直径に合わせる必要がなく、搬送路の横幅・高さ寸法をボタン類の直径よりも大きく設定することができる。そのため、同じ搬送路、把持部材及び移動部材により、多様な寸法のボタン類を搬送可能となる。また、把持部材は取付部に対応する解放位置においてボタン類の中央軸部の把持を解除してボタン類を解放する。これにより、ボタン類を解放位置においてほぼ同じ姿勢及び向きのまま落下させることができる。これにより、取付部側にジョー等の補助部材を設けることなく、ボタン類を取付部の所定位置に正確に位置付けることが可能となる。

図１は、ボタン本体の一例であるスタッド（雄スナップ部材）を固定部材により衣服等の生地に取り付ける直前の配列構成を示す断面図である。図２は、スタッド及び固定部材を生地に取り付けた状態を示す断面図である。図３は、ボタン本体の別の例であるソケット（雌スナップ部材）を別の種類の固定部材により生地に取り付ける直前の配列構成を示す断面図である。図４は、ソケット及び固定部材を生地に取り付けた状態を示す断面図である。図５は、本発明の第１実施形態に係るボタン類搬送装置の断面図であり、フィンガー、フロントプッシャー及びリアプッシャーは初期状態にある。図６はフィンガー及びフロントプッシャーを拡大した断面図である。図７は、図５におけるフィンガー等を取り去り、プッシャーガイド溝を拡大した示す断面図である。図８は、図５のＡ－Ａ線断面図である。図９は、フィンガー及びフロントプッシャーの先端が導入位置を通過した直後の時点を示すボタン類搬送装置の断面図である。図１０は、フィンガーの第１把持部とフロントプッシャーの第２把持部が固定部材を把持した時点を示すボタン類搬送装置の断面図である。図１１は図１０の囲いＣ１の拡大図である。図１２は、フィンガーの第１把持部とフロントプッシャーの第２把持部が固定部材の中央軸部を把持した状態を拡大した断面図である。図１３は、固定部材が解放位置に到達した時点を示すボタン類搬送装置の断面図である。図１４は、フィンガーの第１把持部とフロントプッシャーの第２把持部が固定部材を解放した状態を示すボタン類搬送装置の断面図である。図１５は図１４の囲いＣ２の拡大図であり、連結軸が前方に変位する前の時点を示す。図１６は図１４の囲いＣ２の拡大図であり、連結軸が図１５の時点から前方に変位した時点を示す。図１７は図１４の囲いＣ３の拡大図であり、リアプッシャーの連結部の左側部がフィンガーの胴部の後端部上に重なる直前の状態を示す。図１８は図１４の囲いＣ３の拡大図であり、リアプッシャーの連結部の左側部がフィンガーの胴部の後端部上に重なった状態を示す。図１９は、本発明の第２実施形態に係るボタン類搬送装置の図６と同様の断面図である。図２０は図１９のボタン類搬送装置の第１把持部と第２把持部が固定部材を把持した時点を示す断面図である。図２１は、固定部材が解放位置に到達した時点を示すボタン類搬送装置の断面図である。図２２は、フィンガーの第１把持部とプッシャーの第２把持部が固定部材を解放した状態を示すボタン類搬送装置の断面図である。図２３は図２１の囲いＣ４の拡大図であり、図２１の時点を示す。図２４は図２１の囲いＣ４の拡大図であり、図２２は時点を示す。

　図１は、ボタン本体の一例であるスタッド（雄スナップ部材）１０を固定部材２０により衣服等の生地ｆに取り付ける直前の配列構成を示す断面図である。図２は、スタッド１０及び固定部材２０を生地ｆに取り付けた状態を示す断面図である。以下、ボタン本体（１０、１０ａ）及び固定部材（２０、２０ａ）についての上下は、別途指定しない限り、図１～図４の紙面に基づくものとする。スタッド１０は、ほぼ円板状の基部１１と、基部１１から上方に突出する環状の係合部１２とを備える。係合部１２は、雌スナップ部材であるソケット１０ａ（図３等参照）の被係合部１２ａと着脱可能である。基部１１の中央には開口１３が設けられる。固定部材２０は、円板状の基部２１と、基部２１の中央から上方に延びる円筒状の中央軸部２２とを備える。スタッド１０を生地ｆに取り付けるに際し、固定部材２０の中央軸部２２が生地ｆを上方に貫通し、次いでスタッド１０の開口１３に通された後、取付部である上型により加締められる。これにより、スタッド１０が固定部材２０と共に生地ｆに固定される。

　図３は、ボタン本体の別の例であるソケット（雌スナップ部材）１０ａを固定部材２０とは別の種類の固定部材２０ａにより生地ｆに取り付ける直前の配列構成を示す断面図である。図４は、ソケット１０ａ及び固定部材２０ａを生地ｆに取り付けた状態を示す断面図である。ソケット１０ａは、円板状の基部１１ａと、基部１１ａから上方に突出するほぼ環状の被係合部１２ａとを備える。被係合部１２ａ内にはばね１４が収容される。基部１１ａの中央には開口１３ａが設けられる。固定部材２０ａは、基部２１ａと、基部２１ａの中央から上方に延びる円筒状の中央軸部２２ａとを備える。ソケット１０ａも既述したスタッド１０と同様に、固定部材２０ａと共に生地ｆに固定される。以上における固定部材２０、２０ａは中央軸部２２、２２ａを有するボタン類の例示であり、本発明の搬送対象である。また、係合部１２を中央軸部としてスタッド１０を本発明の搬送対象であるボタン類に含めることができる。また、ここに例示はしないが、ボタン本体側に加締め用の中央軸部を有するものも本発明の搬送対象である。

　図５は、本発明の第１実施形態に係るボタン類搬送装置（以下、単に「搬送装置」ともいう。）１００の断面図である。搬送装置１００は、中央軸部（２２、２２ａ）を有するボタン類（２０、２０ａ）を取付部の一例である図示しない下型へと搬送、供給するためのものである。以下、搬送装置１００による搬送対象のボタン類を、上述した中央軸部２２を有する固定部材２０として説明するが、これに限定されるものではない。搬送装置１００は、固定部材２０の搬送路であるガイド溝Ｇと、把持部材としてのフィンガー１１０及びフロントプッシャー１２０と、移動部材としてのリアプッシャー１３０と、ストップレバー１４０とを備える。なお、フロントプッシャー１２０は後述するようにフィンガー１１０を移動させる点から移動部材の一構成要素でもあると言える。図５においてフィンガー１１０、フロントプッシャー１２０及びリアプッシャー１３０は初期状態にある。図６は、フィンガー及びフロントプッシャーを拡大した断面図である。

　ガイド溝Ｇは、固定部材２０を導入位置Ｉ（図７にも示される）から図５において破線で示す解放位置Ｒに向かって直線状に延びる。以下、ガイド溝Ｇが延びる方向を前後方向といい、別途指定しない限り、導入位置Ｉから解放位置Ｒに向かう側を「前」、解放位置Ｒから導入位置Ｉに向かう側を「後」とする。また、ガイド溝Ｇの底面ＧＢｓ（図８参照）側を「下」、底面ＧＢｓから離れる側を「上」とする。図８を参照して、ガイド溝Ｇは、底部ＧＢが有する底面ＧＢｓと、左側部ＧＬが有する左側面ＧＬｓと、右側部ＧＲが有する右側面ＧＲｓとによって規定され、上方に開放する。ガイド溝Ｇの底部ＧＢ等は解放位置Ｒよりも後方で終端する。ガイド溝Ｇの前端付近には、フロントプッシャー１２０のそれ以上前方への移動を制限するストップブロック１５０が設けられる。

　ガイド溝Ｇは、導入位置Ｉから後方に直線状に延びるプッシャーガイド溝Ｇａ（図７参照）を含む。プッシャーガイド溝Ｇａは、初期状態のフィンガー１１０等が待機する領域である。図７は、図５におけるフィンガー１１０等を取り去り、プッシャーガイド溝Ｇａを拡大して示す断面図である。以下、プッシャーガイド溝Ｇａを除くガイド溝Ｇを、「主ガイド溝Ｇ」ともいう。なお、図５等において、プッシャーガイド溝Ｇａの右側部ＧＲは省略される。プッシャーガイド溝Ｇａは、左右幅すなわち左側面ＧＬｓと右側面ＧＲｓとの間の間隔が比較的小さい後方の第１領域Ｇａ１と、第１領域Ｇａ１よりも左右幅がわずかに大きい前方の第２領域Ｇａ２とを含む。第１領域Ｇａ１の左右幅は、フロントプッシャー１２０及びリアプッシャー１３０を前後方向にぎりぎり案内可能となるように設定される。左側面ＧＬｓにおける第１領域Ｇａ１と第２領域Ｇａ２との境界には段部ｓが設けられる。第２領域Ｇａ２の左側面ＧＬｓは主ガイド溝Ｇの左側面ＧＬｓと実質的に面一である。プッシャーガイド溝Ｇａの右側面ＧＲｓは、主ガイド溝Ｇの右側面ＧＲｓよりもわずかに左方にずれる。そのため、主ガイド溝Ｇの左右幅はプッシャーガイド溝Ｇａの左右幅よりも大きい。主ガイド溝Ｇの左右幅は、多様な寸法のボタン類を搬送できるように設定され、一例である固定部材２０の基部２１の直径よりも大きい。

　図５、図７等を参照して、導入位置Ｉは、ガイド溝Ｇに対して右側面ＧＲｓ側から開口するシュート３０のシュート出口３１に対応する。シュート３０は、多数の固定部材２０が収容されるホッパー（図示せず）から固定部材２０を一定の姿勢で連続的に受け取り、下方のシュート出口３１へと自由落下により搬送する。これによりシュート出口３１から導入位置Ｉへと固定部材２０が基部２１を下にして排出される。導入位置Ｉに対応するガイド溝Ｇの左側面ＧＬｓ側にはストップレバー１４０が配置される。ストップレバー１４０は、シュート出口３１から導入位置Ｉに排出された１つの固定部材２０をシュート出口３１側に押さえ、これにより固定部材２０が不用意にガイド溝Ｇの前方に移動することを防ぐためのものである。

　ガイド溝Ｇの左側部ＧＬには、ストップレバー１４０を受け入れ可能な空間であるレバー収容部１４０ｓが設けられる。ストップレバー１４０は、前方のレバー本体１４１と、レバー本体１４１から後方に延び、レバー本体１４１よりも横幅が小さい基端部１４２とを備える。レバー本体１４１はその右側面から左方に円弧状に窪む押さえ部１４１ａ（図７参照）を含む。ストップレバー１４０の基端部１４２の後端は連結軸１４３を介してガイド溝Ｇの底部ＧＢに回動可能に連結される。更に、基端部１４２の前端とレバー収容部１４０ｓの左側に対応する左側部ＧＬとの間にばね１４４が配置される。ばね１４４は、ストップレバー１４０を、連結軸１４３を中心に時計回り方向に付勢し、これによりレバー本体１４１はレバー収容部１４０ｓから右方のガイド溝Ｇに突き出る突出位置へと付勢される。図７においてストップレバー１４０は、省略したフィンガー１１０又はフロントプッシャー１２０によってレバー収容部１４０ｓ内に引っ込んだ引っ込み位置にある。

　図５を参照して、シュート出口３１からガイド溝Ｇの導入位置Ｉに導入された固定部材２０は、突出位置にあるストップレバー１４０のレバー本体１４１における押さえ部１４１ａ（図７参照）により基部２１又は中央軸部２２がシュート出口３１側に向かって押さえられる。これにより、フィンガー１１０等が初期状態にある際、導入位置Ｉの固定部材２０が不用意にガイド溝Ｇを前方に移動することが阻止される。また、ストップレバー１４０が導入位置Ｉの固定部材２０を押さえることにより、この固定部材２０の次にシュート出口３１からガイド溝Ｇへと出ようとする固定部材２０をシュート出口３１から出る直前の待機位置に保つことができる。

　図６は、フィンガー１１０及びフロントプッシャー１２０を拡大した断面図である。フィンガー１１０は前後方向に細長い部材であり、前端部である第１把持部１１１と、第１把持部１１１から後方に延びる胴部１１２とを備える。胴部１１２は第１把持部１１１よりも左右幅が大きい。第１把持部１１１は、固定部材２０の中央軸部２２を部分的に受け入れつつ右方に押すための左方に窪む凹部１１１ａと、凹部１１１ａの後方付近において右方に突出する凸部１１１ｂとを含む。凹部１１１ａは粗面処理（図１２参照）され、固定部材２０の中央軸部２２との間の摩擦が高められる。凸部１１１ｂは導入位置Ｉにある固定部材２０の中央軸部２２を引っ掛けて固定部材２０を前方に変位させる役割を果たす。フロントプッシャー１２０は、フィンガー１１０を前方に押すための後方のフロントプッシャー（ＦＰ）本体１２１と、ＦＰ本体１２１から前方に延びるＦＰ前方体１２２とを備える。ＦＰ前方体１２２は、右側部１２２ａと、上下部１２２ｂ（図１３において上部１２２ｂが示される）とを含み、左方を開放する枠状の部分である。右側部１２２ａは、ガイド溝Ｇの右側面ＧＲｓにほぼ沿って前後方向に移動する。右側部１２２ａの前端部には左方に隆起する第２把持部１２２ｃが設けられる。第２把持部１２２ｃは、上下部１２２ｂの前端よりも前方に突出する受け部１２２ｄと、上下部１２２ｂの前端から後方において受け部１２２ｄよりも左方に高く隆起する隆起部１２２ｅとを含む。受け部１２２ｄは、後述するように第１把持部１１１の凹部１１１ａにより右方に押された固定部材２０の中央軸部２２を受け、これにより、中央軸部２２が凹部１１１ａと受け部１２２ｄとの間に挟持される。

　フィンガー１１０は、胴部１１２の前後方向のほぼ中間において連結軸１１３を介してフロントプッシャー１２０のＦＰ前方体１２２の上下部１２２ｂに回動可能に連結される。フィンガー１１０の胴部１１２は、後端部１１２ｂと後端部１１２ｂの前方に隣り合い、左方に膨らむ膨出部１１２ａとを含む。後端部１１２ｂは後端へと右方に傾斜する傾斜左側面１１２ｂａを有する。フィンガー１１０の胴部１１２における後端部１１２ｂと膨出部１１２ａとの境界部と、フロントプッシャー１２０のＦＰ前方体１２２の右側部１２２ａとの間には、ばね１１４が配置される。ばね１１４は、フィンガー１１０を、連結軸１１３を中心に時計回り方向に付勢する。これによりフィンガー１１０の胴部１１２はガイド溝Ｇの右方に変位しようとするが、初期状態においてプッシャーガイド溝Ｇａの第１領域Ｇａ１の左側面ＧＬｓに膨出部１１２ａが接して、右方への変位が制限される。この時、フィンガー１１０の第１把持部１１１は、フロントプッシャー１２０の第２把持部１２２ｃに対して離れる開状態にある。後述するようにフィンガー１１０及びフロントプッシャー１２０がガイド溝Ｇを前進して膨出部１１２ａがプッシャーガイド溝Ｇａの第２領域Ｇａ２に入ると、膨出部１１２ａが段部ｓから左方に変位する。これによりフィンガー１１０の第１把持部１１１は、フロントプッシャー１２０の第２把持部１２２ｃに近付く閉状態となる。

　リアプッシャー１３０は、図示しない駆動装置によりガイド溝Ｇを前後方向に往復移動することができる。リアプッシャー１３０は、フロントプッシャー１２０を前方に押すための後方のリアプッシャー（ＲＰ）本体１３１と、ＲＰ本体１３１から前方に延びる枠状の連結部１３２とを備える。連結部１３２は、ＦＰ本体１２１の左側面に重なる左側部１３２ａと、ＦＰ本体１２１の上下面に重なる上下部１３２ｂとを含む。フロントプッシャー１２０のＦＰ本体１２１は、前方と後方に上下に貫通する２つの長孔１２３を有する。各長孔１２３には連結軸１２４が通され、各連結軸１２４の両端部はリアプッシャー１３０の連結部１３２の上下部１３２ｂに連結される。更に、ＦＰ本体１２１とＲＰ本体１３１との間にはばね１２５が配置される。ばね１２５は、ＲＰ本体１３１をＦＰ本体１２１から後方に離れるように押圧する。これにより、通常、各連結軸１２４は各長孔１２３の後端に接する位置にある。このように各連結軸１２４が各長孔１２３の後端に接するフロントプッシャー１２０及びリアプッシャー１３０の状態を、以下、「離れ状態」という。離れ状態において、リアプッシャー１３０の連結部１３２の左側部１３２ａの前端は、フロントプッシャー１２０のＦＰ本体１２１の前端よりもわずかに後方に位置する。

　図５の初期状態において、フィンガー１１０、フロントプッシャー１２０及びリアプッシャー１３０は最も後方に位置する。この状態においてはまた、フィンガー１１０の第１把持部１１１とフロントプッシャー１２０の第２把持部１２２ｃは開状態にあり、フロントプッシャー１２０とリアプッシャー１３０は離れた状態にある。更に、シュート出口３１からガイド溝Ｇの導入位置Ｉに１つの固定部材２０が導入され、この固定部材２０を突出位置にあるストップレバー１４０が押さえている。初期状態からリアプッシャー１３０がガイド溝Ｇを前進すると、フロントプッシャー１２０及びフィンガー１１０を前方に押し、これによりフロントプッシャー１２０及びフィンガー１１０がガイド溝Ｇを前進する。

　図９は、フィンガー１１０及びフロントプッシャー１２０の先端が導入位置Ｉを通過した直後の時点を示す搬送装置１００の断面図である。フィンガー１１０が導入位置Ｉを越える際、導入位置Ｉにある固定部材２０の中央軸部２２がフィンガー１１０の第１把持部１１１の凸部１１１ｂに引っ掛かり、これにより固定部材２０がガイド溝Ｇを前方に移動する。また、フィンガー１１０又はフロントプッシャー１２０は突出位置のストップレバー１４０を左方に押しのけるように前進する。これによりストップレバー１４０は、ばね１４４に付勢に抗してレバー収容部１４０ｓ内の引っ込み位置へと回動する。ストップレバー１４０は、フィンガー１１０、フロントプッシャー１２０及びリアプッシャー１３０が固定部材２０の下型への搬送を終えて初期位置にほぼ戻るまで、フィンガー１１０又はフロントプッシャー１２０により引っ込み位置に保たれる。また、フロントプッシャー１２０の先端部である受け部１２２ｄが導入位置Ｉにある固定部材２０とシュート出口３１から出る直前の待機位置にある固定部材２０との間に入り込み、これら２つの固定部材２０を分離する。シュート出口３１は、フィンガー１１０等が固定部材２０の搬送を終えて初期位置にほぼ戻るまで、フィンガー１１０又はフロントプッシャー１２０により閉状態に保たれる。

　図１０は、フィンガー１１０の第１把持部１１１とフロントプッシャー１２０の第２把持部１２２ｃが固定部材２０を把持した時点を示す搬送装置１００の断面図である。図９の時点からリアプッシャー１３０がフィンガー１１０及びフロントプッシャー１２０を前進させると、フィンガー１１０の膨出部１１２ａがプッシャーガイド溝Ｇａの第１領域Ｇａ１から第２領域Ｇａ２に移る。図１１は図１０の囲いＣ１の拡大図である。膨出部１１２ａが第１領域Ｇａ１よりも幅広の第２領域Ｇａ２に移ると、ばね１１４の付勢により膨出部１１２ａがわずかに左方（図１１の紙面における上方）に変位し、フィンガー１１０は連結軸１１３を中心に時計回り方向にわずかに回動する。これによりフィンガー１１０の第１把持部１１１が開位置から閉位置へと変位し、フロントプッシャー１２０の第２把持部１２２ｃとの間で固定部材２０の中央軸部２２を把持する。図１１を参照して、フィンガー１１０の胴部１１２の膨出部１１２ａが第２領域Ｇａ２に移った状態において、フィンガー１１０の胴部１１２の後端部１１２ｂは、リアプッシャー１３０の連結部１３２における左側部１３２ａの内側面（ＦＰ本体１２１に対面する面）よりもわずかに左方に突き出る。第１実施形態のボタン類搬送装置１００において、フィンガー１１０の第１把持部１１１、膨出部１１２ａ、連結軸１１３、ばね１１４、フロントプッシャー１２０の第２把持部１２２ｃ、第１及び第２領域Ｇａ１、Ｇａ２を含むプッシャーガイド溝Ｇａ等が把持機構を構成する。

　図１２は、フィンガー１１０の第１把持部１１１とフロントプッシャー１２０の第２把持部１２２ｃが固定部材２０の中央軸部２２を把持した状態を拡大した断面図である。第１把持部１１１と第２把持部１２２ｃが閉状態となると、固定部材２０の中央軸部２２が第１把持部１１１の凹部１１１ａと第２把持部１２２ｃの受け部１２２ｄとの間で挟持される。このように第１把持部１１１と第２把持部１２２ｃとの間で把持することができる中央軸部の直径は比較的広範囲であるため、中央軸部を有する多様なボタン類に搬送装置１００を適用することができる。ガイド溝Ｇの左側面ＧＬｓは第２領域Ｇａ２から前方において実質的に面一であるため、フロントプッシャー１２０がストップブロック１５０によって前進を制限され、固定部材２０が解放位置Ｒに到達するまで第１把持部１１１と第２把持部１２２ｃは閉状態すなわち固定部材２０の中央軸部２２を把持した状態を保つことができる。

　図１３は、固定部材２０が解放位置Ｒに到達した時点を示す搬送装置１００の断面図である。フロントプッシャー１２０はリアプッシャー１３０により図１０の時点からガイド溝Ｇを更に前進すると、図１３の時点でストップブロック１５０によりそれ以上の前進が制限される。この時点で、フィンガー１１０の第１把持部１１１とフロントプッシャー１２０の第２把持部１２２ｃにより把持された固定部材２０は解放位置Ｒに到達する。解放位置Ｒはガイド溝Ｇの前端よりも前方にある。図１３の時点では、フロントプッシャー１２０とリアプッシャー１３０は離れ状態にある。

　図１４は、フィンガー１１０の第１把持部１１１とフロントプッシャー１２０の第２把持部１２２ｃが固定部材２０を解放した状態を示す搬送装置１００の断面図である。図１３の時点でフロントプッシャー１２０がストップブロック１５０により前進が制限された後もリアプッシャー１３０は、フロントプッシャー１２０との間のばね１２５を圧縮しつつ前進を続ける。これにより２つの連結軸１２４は各長孔１２３の後端から前方に変位する。図１５及び図１６は図１４の囲いＣ２の拡大図である。図１５は連結軸１２４が前方に変位する前の時点を示し、図１６は連結軸１２４が図１５の時点から前方に変位した時点を示す。

　図１７及び図１８は図１４の囲いＣ３の拡大図である。図１７は、リアプッシャー１３０の連結部１３２の左側部１３２ａがフィンガー１１０の胴部１１２の後端部１１２ｂ上に重なる直前の状態を、図１８は左側部１３２ａが後端部１１２ｂ上に重なった状態を示す。リアプッシャー１３０が前進を続け、各連結軸１２４が前方に変位する際、リアプッシャー１３０の連結部１３２の左側部１３２ａがフィンガー１１０の後端部１１２ｂの傾斜左側面１１２ｂａに接しながら（図１７参照）後端部１１２ｂをばね１１４の付勢に抗して右方にわずかに変位させる（図１８参照）。これによりフィンガー１１０が連結軸１１３を中心に反時計回り方向にわずかに回動して、第１把持部１１１が第２把持部１２２ｃから離れる開位置となる。そのため、第１把持部１１１と第２把持部１２２ｃとによる固定部材２０の中央軸部２２の把持が解放位置Ｒにおいて解放される。第１実施形態のボタン類搬送装置１００において、フィンガー１１０の第１把持部１１１、傾斜左側面１１２ｂａを含むフィンガー１１０の後端部１１２ｂ、連結軸１１３、１２４、ばね１１４、１２５、長孔１２３、フロントプッシャー１２０の第２把持部１２２ｃ、リアプッシャー１３０の左側部１３２ａ等が解放機構を構成する。解放された固定部材２０は落下して下型の所定位置に配置される。固定部材２０は解放位置Ｒに到達した時点（図１３参照）から第１把持部１１１と第２把持部１２２ｃとが開状態となって固定部材２０を解放するまで（図１４参照）タイムラグがあるため、固定部材２０は解放位置Ｒで一時的に停止する。この停止した状態から第１把持部１１１と第２把持部１２２ｃが固定部材２０の中央軸部２２を解放するため、固定部材２０は搬送時の勢いのまま前方に放り出されるようなことはなく、下型の所定位置に固定部材２０を正確に位置付けることができる。

　図１９は、本発明の第２実施形態に係るボタン類搬送装置１００Ａの図６と同様の断面図である。搬送装置１００Ａにおける搬送路（ガイド溝Ｇ）、ストップレバー１４０、ストップブロック１５０については、第１実施形態の搬送装置１００と実質的に共通するため同じ参照番号を用いて説明を省略する。ボタン類搬送装置１００Ａは、把持部材としてのフィンガー１１０Ａと、把持部材と移動部材を兼ねるプッシャー１２０Ａとを備える。以下、フィンガー１１０Ａ及びプッシャー１２０Ａにおいて第１実施形態におけるフィンガー１１０及びフロントプッシャー１２０と実質的に共通する部分については同じ参照番号を用いて説明を省略する。フィンガー１１０Ａは、第１把持部１１１を含む前方のフィンガー本体１１１Ａと、フィンガー本体１１１Ａの後方に分離される分離部１１８とを備える。

　プッシャー１２０Ａは、フィンガー１１０を前方に押すための後方のプッシャー本体１２１Ａと、プッシャー本体１２１Ａから前方に延びる前方体１２２とを備える。フィンガー１１０Ａの分離部１１８は、固定軸１１９によりプッシャー１２０Ａの前方体１２２の後端部に固定される。フィンガー本体１１１Ａは後端付近に左方に膨らむ膨出部１１２Ａを含む。フィンガー本体１１１Ａと分離部１１８との間には、ばね１１４Ａが配置される。フィンガー本体１１１Ａの後端面及び分離部１１８の前面は右方かつ前方に傾斜付けられ、ばね１１４Ａはその軸線がフィンガー本体１１１Ａの後端面及び分離部１１８の前面に対して垂直になるように配置される。ばね１１４Ａはフィンガー本体１１１Ａを前方に押圧すると共に、膨出部１１２Ａを前方かつ左方に付勢する。図１９においてフィンガー１１０Ａ及びプッシャー１２０Ａは初期状態にある。この初期状態において、連結軸１２４Ａは長孔１２３Ａの後端に接する位置にあり、第１把持部１１１と第２把持部１２２ｃは開状態にある。

　図２０は搬送装置１００Ａの第１把持部１１１と第２把持部１２２ｃが固定部材２０の中央軸部２２を把持した時点を示す断面図である。プッシャー１２０Ａは初期位置からガイド溝Ｇを前進して、フィンガー１１０Ａを前方に移動させる。そして、フィンガー１１０Ａの膨出部１１２Ａがプッシャーガイド溝Ｇａの第１領域Ｇａ１から第２領域Ｇａ２に移ると、ばね１１４Ａの付勢により膨出部１１２Ａがわずかに左方に変位し、フィンガー１１０Ａが連結軸１１３Ａを中心に時計回り方向にわずかに回動する。これによりフィンガー１１０の第１把持部１１１が開位置から閉位置へと変位し、プッシャー１２０Ａの第２把持部１２２ｃとの間で固定部材２０の中央軸部２２を把持する。第１実施形態のボタン類搬送装置１００Ａにおいて、フィンガー１１０Ａの第１把持部１１１、膨出部１１２Ａ、分離部１１８、連結軸１１３Ａ、ばね１１４Ａ、プッシャー１２０Ａの第２把持部１２２ｃ、及び第１及び第２領域Ｇａ１、Ｇａ２を含むプッシャーガイド溝Ｇａ等が把持機構を構成する。

　図２１は、固定部材２０が解放位置Ｒに到達した時点を示す搬送装置１００Ａの断面図である。フィンガー１１０Ａは図２１の時点でストップブロック１５０によりそれ以上の前進が制限される。この時点で、フィンガー１１０Ａの第１把持部１１１とプッシャー１２０Ａの第２把持部１２２ｃにより把持された固定部材２０は解放位置Ｒに到達する。図２２は、フィンガー１１０Ａの第１把持部１１１とプッシャー１２０Ａの第２把持部１２２ｃが固定部材２０を解放した状態を示す搬送装置１００Ａの断面図である。図２３及び図２４は図２１の囲いＣ４の拡大図であり、図２３は図２１の時点を、図２４は図２２の時点を示す。図２１及び図２３の時点でフィンガー１１０Ａがストップブロック１５０により前進が制限された後もプッシャー１２０Ａは前進を続け、これにより分離部１１８を介してばね１１４Ａが圧縮される。この時、連結軸１２４Ａは長孔１２３Ａの後端から前方に変位する。この際、長孔１２３Ａの内部を変位する連結軸１２４により、フィンガー本体１１１Ａが連結軸１１３Ａを中心に反時計回り方向にわずかに回動し、これにより膨出部１１２Ａがわずかに右方（図２３及び図２４の紙面において下方）に変位すると共に、第１把持部１１１と第２把持部１２２ｃとによる固定部材２０の中央軸部２２の把持が解放位置Ｒにおいて解放される。第２実施形態のボタン類搬送装置１００Ａにおいて、フィンガー１１０Ａの第１把持部１１１、分離部１１８、連結軸１１３Ａ、１２４Ａ、ばね１１４Ａ、長孔１２３Ａ、プッシャー１２０Ａの第２把持部１２２ｃ等が解放機構を構成する。

　１０　ボタン本体（スタッド）
　１０ａ　ボタン本体（ソケット）
　２０、２０ａ　固定部材（ボタン類）
　２１、２１ａ　基部
　２２、２２ａ　中央軸部
　３０　シュート
　３１　シュート出口
　１００、１００Ａ　ボタン類搬送装置
　１１０、１１０Ａ　フィンガー（把持部材）
　１１１　第１把持部
　１１２ａ、１１２Ａ　膨出部
　１１３、１２４、１４３、１１３Ａ、１２４Ａ　連結軸
　１１４、１２５、１４４、１１４Ａ　ばね
　１２０　フロントプッシャー（把持部材）
　１２０Ａ　プッシャー（把持部材）
　１２２ｃ　第２把持部
　１３０　リアプッシャー（移動部材）
　１４０　ストップレバー
　１５０　ストップブロック
　Ｉ　導入位置
　Ｒ　解放位置
　Ｇ　ガイド溝（搬送路）
　Ｇａ　プッシャーガイド溝
　Ｇａ１　第１領域
　Ｇａ２　第２領域
　ＧＬｓ　左側面
　ＧＲｓ　右側面

Claims

　中央軸部（２２、２２ａ）を有するボタン類（２０、２０ａ）を取付部へと搬送するためのボタン類搬送装置（１００，１００Ａ）であって、
　ボタン類（２０、２０ａ）を導入位置（Ｉ）から前記取付部に対応する解放位置（Ｒ）に向けて搬送するための搬送路（Ｇ）と、
　前記ボタン類（２０、２０ａ）の前記中央軸部（２２、２２ａ）を把持可能でありかつ前記解放位置（Ｒ）において前記中央軸部（２２、２２ａ）の把持を解除可能な把持部材（１１０、１１０Ａ、１２０、１２０Ａ）と、
　前記把持部材（１１０、１１０Ａ、１２０、１２０Ａ）を前記搬送路（Ｇ）に沿って移動させるための移動部材（１３０、１２０Ａ）とを備えることを特徴とするボタン類搬送装置。
　前記把持部材（１１０、１１０Ａ、１２０、１２０Ａ）による前記ボタン類（２０、２０ａ）の前記中央軸部（２２、２２ａ）の把持を前記解放位置（Ｒ）において解除するための解除機構を備える請求項１に記載のボタン類搬送装置。
　前記把持部材（１１０、１１０Ａ、１２０、１２０Ａ）により前記ボタン類（２０、２０ａ）の前記中央軸部（２２、２２ａ）を把持させるための把持機構を備える請求項１又は２に記載のボタン類搬送装置。
　前記把持部材（１１０、１１０Ａ、１２０、１２０Ａ）は、前記解放位置（Ｒ）において前記中央軸部（２２、２２ａ）の把持を解除することにより前記ボタン類（２０、２０ａ）を前記取付部の所定位置へと落下させる請求項１～３のいずれか１項に記載のボタン類搬送装置。
　前記把持部材（１１０、１１０Ａ、１２０、１２０Ａ）は第１把持部（１１１）を含むフィンガー（１１０）と第２把持部（１２２ｃ）を含むフロントプッシャー（１２０）とを含み、
　前記移動部材（１３０、１２０Ａ）はリアプッシャー（１３０）を含む請求項１～４のいずれか１項に記載のボタン類搬送装置。
　搬送路（Ｇ）においてボタン類（２０、２０ａ）の中央軸部（２２、２２ａ）を把持部材（１１０、１１０Ａ、１２０、１２０Ａ）で把持する工程と、
　前記ボタン類（２０、２０ａ）が解放位置（Ｒ）に到達するまで前記把持部材（１１０、１１０Ａ、１２０、１２０Ａ）を搬送路（Ｇ）に沿って移動させる工程と、
　前記解放位置（Ｒ）において前記把持部材（１１０、１１０Ａ、１２０、１２０Ａ）による前記中央軸部（２２、２２ａ）の把持を解除して、前記ボタン類（２０、２０ａ）を落下させる工程とを含むことを特徴とするボタン類搬送方法。