WO2022163750A1

WO2022163750A1 - 金属端子付き車両用窓ガラス

Info

Publication number: WO2022163750A1
Application number: PCT/JP2022/003053
Authority: WO
Inventors: 徹古賀; 信貴小嶌
Original assignee: Ａｇｃ株式会社
Priority date: 2021-02-01
Filing date: 2022-01-27
Publication date: 2022-08-04
Also published as: DE112022000958T5; US20230371135A1; CN116762239A; JPWO2022163750A1

Abstract

ガラス板の主面上に配置された遮蔽層の上に配置された導電体と金属端子とを、無鉛半田によって接続してから数日以上経過したとしても、ガラス板の主面上に配置された遮蔽層、または遮蔽層の上に配置された導電体にクラックが発生することを抑制し、かつ遮蔽層の下のガラス板の表面が剥離することを抑制できる、金属端子付き車両用窓ガラスを提供する。　金属端子付き車両用窓ガラスは、ガラス板と、ガラス板の少なくとも一方の主面上に配置される遮蔽層と、遮蔽層の上に配置される導電体と、無鉛半田を介して導電体と電気的に接続される金属端子と、金属端子に固定される導線と、を備え、金属端子は端子接続部に無鉛半田により接続される台座部を備え、導電体は、台座部と無鉛半田により接続される端子接続部と、端子部と連結され、端子接続部の長手方向または横手方向の幅よりも幅が狭い連結部と、を備え、平面視において、端子接続部と連結部とは、端子接続部の全周の３０％以下で連結されており、端子接続部の縁部は、台座部を構成する台座縁部に対して台座部から離間する方向に３ｍｍを超えない位置にある。

Description

金属端子付き車両用窓ガラス

　本発明は、金属端子付き車両用窓ガラスに関する。

　車両用窓ガラスには、例えば、防曇や融氷のために、ガラス板の表面に導電体からなる電熱部材が設けられることがある。また、車両用窓ガラスには、ラジオ、テレビ、無線通信、又はセンサ用として、ガラス板の表面に導電体からなるアンテナが設けられることがある。

　導電体に給電、又は信号等を受送信するため、金属端子が、半田を介して車両用窓ガラスの導電体に電気的に接続される。さらに、金属端子は、車両内に配置された電源や信号源と電気的に接続される導線に固定される。従来は、導電体は、有鉛半田により金属端子と接続されていた。有鉛半田は、接着機能に優れ、高い塑性変形能を有するので、半田付け時の残留応力緩和が容易である。そのため、ガラス板の表面上の導電体と金属端子とは、有鉛半田により容易に接着できた。ところが、近年、鉛の人体や環境への影響が指摘されており、車両用窓ガラス用途には無鉛半田を使用することが好ましいとされている。

　例えば、特許文献１には、ガラス基板と、ガラス基板上の導電層と、導電層上の無鉛半田よって接続される金属端子と、を備える金属端子付きの車両用窓ガラスが開示されている。また、特許文献２には、金属端子付きの車両用窓ガラスにおいて、ガラス板の表面上の端子接続部（導電体）と金属端子とを無鉛半田によって接続すると、無鉛半田は弾性率の低い鉛を用いないため有鉛半田に比べ弾性率が大きく、温度変化に伴って生じる応力が大きくなりやすいので、半田付け時等のガラス板の温度変化に伴ってガラス板に残留応力が生じ、その結果、ガラス板の表面にクラックが生じやすいことが開示されている。そして、特許文献２には、ガラス板の残留応力に起因するガラス板のクラックについては、ガラス板の上に配置された導電体に金属端子を半田付けする際に、ガラス板を予熱することでガラス板の残留応力を抑制することが出来ることが開示されている。

特開２０１８－１５９１２８号公報特許第６１８６７２５号公報

　通常、金属端子付きの車両用窓ガラスは、ガラス板の主面上に遮蔽層が配置され、遮蔽層の上に導電体が配置されており、導電体は、金属端子と無鉛半田によって接続される。ところで、金属端子を半田付けする際のガラス板の温度変化により生じるガラス板の残留応力に起因するクラック（初期クラック）とは別に、金属端子を半田付けしてから数日以上経過してから、ガラス板の主面上に配置された遮蔽層、または遮蔽層の上に配置された導電体の物理的に弱い箇所を起点として、遮蔽層や導電体にクラックが生じることがある。そして、遮蔽層、または導電体に生じたクラックにより、遮蔽層の下のガラス表面が部分的に剥離してしまうことがあった。

　本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、ガラス板の主面上に配置された遮蔽層の上に配置された導電体と金属端子とを、無鉛半田によって接続してから数日以上経過したとしても、遮蔽層、または導電体にクラックが発生することを抑制し、かつ、遮蔽層、または導電体に生じたクラックによって、遮蔽層の下のガラス板の表面が、剥離することを抑制できる金属端子付きの車両用窓ガラスを提供することを目的とする。

　本発明の一観点による金属端子付き車両用窓ガラスは、ガラス板と、ガラス板の少なくとも一方の主面上に配置される遮蔽層と、遮蔽層の上に配置される導電体と、無鉛半田を介して導電体と電気的に接続される金属端子と、金属端子に固定される導線と、を備え、金属端子は、端子接続部に無鉛半田により接続される台座部を備え、導電体は、台座部と無鉛半田により接続される端子接続部と、端子部と連結され、端子接続部の長手方向または横手方向の幅よりも幅が狭い連結部と、を備え、平面視において、端子接続部と連結部とは、端子接続部の全周の３０％以下で連結されており、端子接続部の縁部は、台座部を構成する台座縁部に対して台座部から離間する方向に３ｍｍを超えない位置にある。

　本発明の一観点による金属端子付き車両用窓ガラスによれば、ガラス板の主面上に配置された遮蔽層の上に配置された導電体と金属端子とを、無鉛半田によって接続してから数日以上経過したとしても、ガラス板の主面上に配置された遮蔽層、または遮蔽層の上に配置された導電体にクラックが発生することを抑制し、かつ遮蔽層の下のガラス板の表面が剥離することを抑制できる。

図１は、金属端子の一実施形態の斜視図である。図２は、図１に示す金属端子を備えた、金属端子付き車両用窓ガラスの基本実施形態の斜視図である。図３は、本発明の第１実施形態のガラス板に配置される導電体の平面図である。図４は、第１実施形態の金属端子と導電体とが接続された状態を示す平面図である。図５は、第１実施形態の拡大図である。図６は、図５におけるVI－VI線に沿う断面図である。図７Ａ乃至Ｆは、第１実施形態の幾つかの変形例を示す平面図である。図８Ｇ乃至Ｉは、第１実施形態の幾つかの他の変形例を示す平面図である。図９は、本発明の第２実施形態の拡大図である。図１０は、図９におけるX－X線に沿う断面図である。図１１Ａ乃至Ｆは、第２実施形態の幾つかの変形例を示す平面図である。図１２Ｇ乃至Ｉは、第２実施形態の幾つかの他の変形例を示す平面図である。図１３は、第３実施形態の拡大図である。図１４は、図１３におけるXIV－XIV線に沿う断面図である。図１５Ａ乃至Ｆは、第３実施形態の幾つかの変形例を示す平面図である。図１６Ｇ乃至Ｉは、第３実施形態の幾つかの他の変形例を示す平面図である。図１７Ａ及びＢは、第４実施形態の幾つかの変形例を示す平面図である。図１８は、金属端子付き車両用窓ガラスの他の例を示す斜視図である。

　以下、添付図面にしたがって、本発明による、金属端子付き車両用窓ガラスの幾つかの実施形態について説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定するものではない。

　（金属端子）
　金属端子付きの車両用窓ガラスに取り付けられる金属端子について、添付図面に基づいて説明する。図１は、金属端子の一実施形態の斜視図である。

　図１に示すように、金属端子１０は、脚連結部１１と、脚連結部１１に接続する第１脚部１２と、第１脚部１２に接続する第１台座部１４と、脚連結部１１に接続する第２脚部１３と、第２脚部１３に接続する第２台座部１５と、を備える。第１脚部１２及び第２脚部１３は、脚連結部１１を導電体から離間させる機能を備える。金属端子１０は、脚連結部１１に接続される導線接続部１６を備える。脚連結部１１は、第１脚部１２と第２脚部１３と導線接続部１６とを連結する。

　脚連結部１１は、その上面が略矩形状であり、二つの長辺と二つの短辺とを有する。二つの長辺は略平行であり、二つの短辺は略平行である。第１脚部１２及び第２脚部１３は、脚連結部１１の短辺の各々に接続される。第１脚部１２及び第２脚部１３の幅は、脚連結部１１の短辺の長さに等しい。

　第１台座部１４は、第１脚部１２の幅方向に突出する。同様に、第２台座部１５は、第２脚部１３の幅方向に突出する。第１台座部１４及び第２台座部１５は、脚連結部１１の短辺より長い。

　第１台座部１４及び第２台座部１５は、ガラス板に形成される導電体と半田を介して電気的に接続される部分である。第１台座部１４には、２個の窪み１４Ａが形成される。窪み１４Ａを形成することにより、窪み１４Ａの形成面の反対面が突出する。同様に、第２台座部１５には、２個の窪み１５Ａが形成される。窪み１５Ａを形成することにより、窪み１５Ａの形成面の反対面が突出する。なお、窪み１４Ａ及び１５Ａの個数は、２個に限定されない。

　導線接続部１６は、脚連結部１１に接続する延出部１６Ａと、延出部１６Ａに接続する固定部１６Ｂと、を備える。延出部１６Ａは、脚連結部１１の長辺に接続され、脚連結部１１に面一である。延出部１６Ａは、第１台座部１４及び第２台座部１５の突出部と同じ方向に延びる。

　固定部１６Ｂは、導線を固定する機能を備える。本実施形態では、固定部１６Ｂは、加締め部として構成される。加締め部は、対向する一対の壁部と、一対の壁部の端部を連結する壁連結部とを有し、延出部１６Ａの方向と反対方向から見た正面視において、Ｕ字形状を有する。Ｕ字形状の加締め部は、第１台座部１４及び第２台座部１５の側に向けて開口する。ただし、Ｕ字形状の加締め部は、第１台座部１４及び第２台座部１５が突出する方向とは反対側に向けて開口されてもよい。また、固定部１６Ｂは、加締め部以外の構成として、ロウ接部、又は溶接部であってもよい。

　金属端子１０は、銅、真鍮、鉄、クロム及び銅、真鍮、鉄及びクロム含有合金からなる群のうち、少なくとも１つを含んでいる。金属端子１０の表面には、必要に応じて表面加工（すずめっきなど）が施されていてもよい。また、金属端子１０の板厚は、０．４ｍｍ以上０．８ｍｍ以下であることが好ましい。金属端子１０は、金属板を打ち抜き（プレス）、屈曲（ベンディング）させて得られる。

　また、固定部１６Ｂと、固定部１６Ｂに固定される導線の一部とは、絶縁体からなる保護部材で覆われていてもよい。絶縁体は、絶縁性材料で形成され、例えば、樹脂で形成される。樹脂は、可撓性に優れる材料であることが好ましい。樹脂の種類は、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、天然ゴム、合成ゴム、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン又はポリイミドなどが用いられる。固定部１６Ｂと、固定部１６Ｂに固定される導線の一部とが、絶縁体からなる保護部材で覆われていると、金属端子１０や導線に外力が加わって金属端子１０が変形し、車両用窓ガラスや金属製の車両ボデーと直接接触したとしても、車両用窓ガラスを傷つけることがなく、また、車両ボデーと短絡することがないため、好ましい。

　（金属端子付き車両用窓ガラス）
　金属端子付き車両用窓ガラスについて、添付図面に基づいて説明する。図２は。金属端子付き車両用窓ガラスの基本実施形態の斜視図である。

　図２に示す金属端子付き車両用窓ガラス１００は、ガラス板３０と、ガラス板３０の少なとも一方の主面上に配置される導電体４０と、半田５０を介して導電体４０と電気的に接続される金属端子１０と、を備える。図２において、ガラス板３０の主面上には、遮蔽層７０が配置され、遮蔽層７０の上に導電体４０が配置される。

　ガラス板３０は、例えば、ソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス又は石英ガラスなどが特に制限なく用いられる。これらのうちでも、ソーダライムガラスが特に好ましい。ガラス板３０は、未強化ガラス又は強化ガラスのいずれでもよい。未強化ガラスは、溶融ガラスを板状に成形し、徐冷したものである。強化ガラスは、未強化ガラスの表面に圧縮応力層を形成したものである。強化ガラスは、物理強化ガラス（例えば、風冷強化ガラス）又は化学強化ガラスのいずれでもよい。ガラス板３０が、物理強化ガラスである場合は、均一に加熱したガラス板を軟化点付近の温度から急冷し、ガラス表面とガラス内部との温度差によってガラス表面に圧縮応力を生じさせることで、ガラス表面を強化してもよい。ガラス板３０が、化学強化ガラスである場合は、イオン交換法などによってガラス表面に圧縮応力を生じさせることでガラス表面を強化してもよい。また、ガラス板３０は、透明であることが好ましいが、透明性を損なわない程度に着色されたガラス板であってもよい。ガラス板３０の板厚は、特に限定されないが、０．５ｍｍ以上５．０ｍｍ以下であることが好ましい。

　導電体４０は、例えば、導電性銀ペースト（電気抵抗率は０．５乃至９．０×１０^－８Ω・ｍである材料）をガラス板３０の主面上に印刷又は塗布した後に焼成することにより形成される。導電体４０の厚みは、３μｍ以上１５μｍ以下であることが好ましく、より好ましくは、３μｍ以上１０μｍ以下である。

　半田５０は、無鉛半田で構成される。無鉛半田は、鉛をほとんど含まない半田である。無鉛半田の種類は、特に限定されないが、Ｓｎ－Ａｇ系半田、Ｓｎ－Ａｇ－Ｉｎ系半田、Ｓｎ－Ａｇ－Ａｌ－Ｚｎ系半田、Ｓｎ－Ａｌ－Ｉｎ－Ａｇ－Ｃｕ－Ｚｎ系半田又はＳｎ－Ａｇ－Ｃｕ系半田などのＳｎ（スズ）及びＡｇ（銀）を含むものが好ましい。この場合、Ｓｎ（スズ）の含有量が、９５質量％以上であることが好ましい。

　金属端子１０は、ガラス板３０に設けられた導電体４０の上に半田５０を介して配置される。金属端子１０の第１台座部１４及び第２台座部１５が、半田５０を介して導電体４０と電気的に接続される。脚連結部１１が、第１脚部１２及び第２脚部１３により、導電体４０から離間される。

　この基本実施形態では、導線接続部１６が、導線６０の延びる方向を向く。

　導線６０が、導線接続部１６の固定部１６Ｂに加締めにより固定される。導線６０は、芯線と、芯線を被覆する絶縁体とで構成される。導線６０の一端の芯線が、絶縁体から突出されて固定部１６Ｂにより加締められる。これにより、導線６０と導電体４０とは、金属端子１０及び半田５０を介して電気的に接続される。

　芯線は、例えば、金属で形成される。金属の種類は、特に限定されないが、例えば、金、銀、ニッケル、銅、アルミニウム、錫、コバルト、又はこれらの元素のうちの少なくとも１つの元素を含む合金などが用いられる。芯線は、１本の線状導電性材料であってもよく、または、複数本の線状導電性材料を束ねたものであってもよい。芯線の直径は、２ｍｍ乃至８ｍｍ程度であるが、これに限定されない。絶縁体は、絶縁性材料で形成され、例えば、樹脂で形成される。樹脂は、可撓性に優れる材料であることが好ましい。樹脂の種類は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリイミドなどが用いられる。

　金属端子１０は、金属端子付き車両用窓ガラス１００を車両に取り付けた際に、車内側面に配置されることが好ましい。

　遮蔽層７０は、黒色などの暗色不透明である。遮蔽層７０は、例えば、ウレタンシーラントなどを紫外線による劣化から保護する機能を有する。遮蔽層７０は、例えば、セラミックペーストをガラス板３０の面上に塗布した後、焼成することにより形成される。遮蔽層７０の厚みは、３μｍ以上１５μｍ以下であることが好ましい。また、遮蔽層７０の幅は、特に限定されないが、２０ｍｍ以上３００ｍｍ以下であることが好ましい。

　次に、導電体４０と台座部（第１台座部１４及び第２台座部１５を含む）との関係について説明する。

　本願の発明者等は、金属端子をガラス板の上に形成された遮蔽層の上に形成された導電体に無鉛半田を介して接続した後、金属端子を半田付けする際のガラス板の温度変化により生じるガラス板の残留応力に起因するクラック（初期クラック）とは別に、数日以上経過してから、遮蔽層、または導電体の物理的に弱い箇所を起点として遮蔽層や導電体にクラックが生じ、その結果、遮蔽層の下のガラス表面が部分的に剥離することについて検討した。その結果、無鉛半田の広がりと、導電体４０と台座部の大きさとが、遮蔽層の上に形成された導電体に無鉛半田を介して接続した後、数日以上経過してから、遮蔽層や導電体の物理的に弱い箇所を起点として、遮蔽層や導電体にクラックが発生することに関連することを見出し、発明者等は本発明を創作するに至った。

　（第１実施形態）
　本発明の第１実施形態に係る金属端子付き車両用窓ガラスについて説明する。図３は、ガラス板３０に配置された導電体４０の平面図である。導電体４０は、金属端子の第１及び第２台座部の各々について、バスバー部４１と、端子接続部４２と、バスバー部４１と端子接続部４２とを接続する３個の連結部４３と、を備える。バスバー部４１と、端子接続部４２と、連結部４３とは、電気的に接続される。

　導電体４０のバスバー部４１は、連結部４３の少なくとも一部よりも広い幅を有する。バスバー部４１の幅を広くすることにより、電気抵抗を下げ、通電時の温度上昇を抑制できる。

　図３において、端子接続部４２は、無鉛半田を介して金属端子の第１台座部１４及び第２台座部１５（不図示）と電気的に接続される部分である。端子接続部４２とバスバー部４１とは、連結部４３を介して、金属端子１０（不図示）からの給電、又は信号等の受送信を行う。

　図４は、金属端子１０（破線で示される）と導電体４０とが接続された状態を示す平面図である。図４に示すように、第１台座部１４及び第２台座部１５が、端子接続部４２の領域において半田５０（不図示）により接続される。

　図５は、図４の拡大図である。図５においては、金属端子１０の外形を点線で示す。導電体４０は、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する長辺の一方に連結される２個の連結部４３と、長辺の他方に連結される連結部４３と、を有する。導電体４０は、合計３個の連結部４３を有する。３個の連結部４３の幅は等しい。

　端子接続部４２は、平面視で、その縁部により形状が決定される。第１実施形態では、各端子接続部４２の形状は４個の直線部分の縁部により略矩形状に決定される。縁部は、直線だけでなく、曲線、又は直線と曲線との組み合わせであってもよい。

　なお、端子接続部４２の縁部において、連結部４３との連結箇所を有さない部分は、視認された縁部が端子接続部４２の形状を決定する要素となる。端子接続部４２と連結部４３との連結箇所においては、縁部に沿って延長させた仮想線（二点鎖線）が縁部を構成し、端子接続部４２の形状を決定する要素となる。仮想線を含む連続する縁部により端子接続部４２の全周が決定される。

　図５に示すように、連結部４３は、端子接続部４２の長手方向または横手方向の幅よりも狭い幅を有する。長手方向は、平面視において第一の方向であり、横手方向は、長手方向に直交する第二の方向である。幅は、対向する縁部の間の距離である。連結部４３は、端子接続部４２の長手方向または横手方向の幅よりも狭い幅を一つでも有していればよい。

　第１台座部１４は、平面視で、その台座縁部により形状が決定される。第１実施形態では、第１台座部１４の形状は、４個の直線で構成される縁部と、２個の円弧で構成される縁部とにより決定される。台座縁部は、直線、曲線、又は直線と曲線との組み合わせであってもよい。

　第１台座部１４の縁部は、端子接続部４２の縁部に対して外側に位置する。したがって、端子接続部４２の大きさは、第１台座部１４の大きさより小さい。

　図６は図５のVI－VI線に沿う断面図である。図６には、金属端子付き車両用窓ガラス１００における、ガラス板３０と、ガラス板３０の上に配置される遮蔽層７０と、遮蔽層７０の上に配置される端子接続部４２と、半田５０を介して端子接続部４２と電気的に接続される金属端子１０の第１台座部１４とが示されている。

　第１台座部１４の縁部が端子接続部４２の縁部に対して外側に位置するので、半田５０は、下底が上底より短い、断面視で略台形の形状となる。図６において丸印で囲むように、端子接続部４２の縁部と半田５０の縁部とを一致でき、その結果、遮蔽層７０の上に配置された導電体４０に金属端子１０を無鉛半田で接続してから数日以上経過後に、遮蔽層７０、または導電体４０にクラックが発生することを抑制できる。すなわち、端子接続部４２の縁部と半田５０の縁部とを一致させることで、遮蔽層７０、または導電体４０に生じやすいクラックの起点が発生することを抑制できるため、遮蔽層７０の下のガラス板３０の表面が部分的に剥離することを抑制できる。

　なお、図５に示すように、端子接続部４２と連結部４３とが連結される部分では、半田５０が、連結部４３に沿って端子接続部４２の縁部を超えることが考えられ、端子接続部４２の縁部と半田５０の縁部とを一致させることが難しい場合が生じる。そこで、第１実施形態では、平面視において、端子接続部４２と連結部４３とが、端子接続部４２の全周の３０％以下で連結される。端子接続部４２と連結部４３とが、端子接続部４２の全周の３０％以下で連結されることにより、端子接続部４２の縁部と半田５０の縁部とを一致させる領域を大きくできる。さらに、端子接続部４２と連結部４３とが、端子接続部４２の全周の３０％以下で連結されることで、金属端子１０と導電体４０との接合強度も担保することが出来る。

　端子接続部４２の全周（視認された縁部と二点鎖線を含む）をＬ１とし、端子接続部４２と連結部４３との連結部分の長さ（二点鎖線のみの長さ）Ｌ２とした場合、（Ｌ２／Ｌ１）×１００を計算することにより、端子接続部４２の全周の３０％以下か否か判断できる。

　図７Ａ乃至Ｆ及び図８Ｇ乃至Ｉは、第１実施形態の変形例を示す平面図である。図７Ａ乃至Ｆ及び図８Ｇ乃至Ｉに示す各変形例において、第１台座部１４の縁部は、端子接続部４２の縁部に対して外側に位置する。

　図７Ａに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する長辺のそれぞれに連結される３個の連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計６個の連結部４３を備える。６個の連結部４３の幅は等しい。

　図７Ｂに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する長辺のそれぞれに連結される連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計２個の連結部４３を備える。２個の連結部４３の幅は異なる。

　図７Ｃに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の一の長辺に連結される１個の連結部４３と、を備える。

　図７Ｄに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の一の短辺に連結される１個の連結部４３と、を備える。

　図７Ｅに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する短辺のそれぞれに連結される連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計２個の連結部４３を備える。２個の連結部４３の幅は異なる。

　図７Ｆに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する短辺のそれぞれに連結される連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計２個の連結部４３を備える。２個の連結部４３の幅は等しい。

　図８Ｇに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する長辺のそれぞれに連結される２個の連結部４３と、端子接続部４２の対向する短辺のそれぞれに連結される連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計６個の連結部４３を備える。６個の連結部４３の幅は等しい。

　図８Ｈに示すように、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する短辺のそれぞれに連結される２個の連結部４３と、端子接続部４２の対向する長辺のそれぞれに連結される連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計６個の連結部４３を備える。６個の連結部４３の幅は等しい。

　図８Ｉに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する長辺の一方に連結される２個の連結部４３と、長辺の他方に連結される４個の連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計６個の連結部４３を備える。６個の連結部４３の幅は等しい。

　図７Ａ乃至Ｆ及び図８Ｇ乃至Ｉに示す各変形例の端子接続部４２の面積は等しい。また、図７Ａ乃至Ｆ及び図８Ｇ乃至Ｉに示す各変形例の連結部４３の総面積は等しい。

　図４乃至図８Ｉに示す変形例に関して、第１台座部１４について説明したが、各変形例に関し第１台座部１４について説明した事項は、第２台座部１５にも適用できる。さらに、各変形例についての説明は、第１台座部１４について説明した事項は、２個の台座部（第１台座部１４及び第２台座部１５）を有する金属端子１０とは異なり、１個の台座部又は３個以上の台座部を有する金属端子にも適用できる。

　第１台座部１４の縁部が、端子接続部４２の縁部に対して外側に位置する限りにおいて、端子接続部４２と連結部４３との連結構造は、図７Ａ乃至Ｆ及び図８Ｇ乃至Ｉに示す例に限定されず、適宜変更できる。

　（第２実施形態）
　次に、本発明の第２実施形態による金属端子付き車両用窓ガラスについて説明する。第１実施形態と同様の構成には同様の符号を付して、同様な構成についての説明を省略する場合がある。図９は、第２実施形態の拡大図であり、図１０は、図９におけるX－X線に沿う断面図である。

　図９に示すように、第２実施形態では、第１台座部１４の台座縁部が、端子接続部４２の縁部の直上に位置する。この構成で、第２実施形態は、第１実施形態とは異なる。

　導電体４０は、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する長辺の一方に連結される２個の連結部４３と、長辺の他方に連結される１個の連結部４３と、を有する。導電体４０は、合計３個の連結部４３を有する。３個の連結部４３の幅は等しい。

　第１実施形態と同様に、連結部４３は、端子接続部４２の長手方向または横手方向の幅よりも狭い幅を有する。また、導電体４０のバスバー部４１は、連結部４３の少なくとも一部よりも広い幅を有する。

　全ての第１台座部１４の台座縁部が、端子接続部４２の縁部の直上に位置する必要はなく、台座縁部の９０％以上が、端子接続部４２の縁部の直上に位置すればよい。

　図１０には、金属端子付き車両用窓ガラス１００における、ガラス板３０と、ガラス板３０の上に配置される遮蔽層７０と、遮蔽層７０の上に配置される端子接続部４２と、半田５０を介して端子接続部４２と電気的に接続される金属端子１０の第１台座部１４とが示されている。

　第１台座部１４の台座縁部が、端子接続部４２の縁部の直上に位置するので、半田５０は、断面視で矩形の形状となる。その結果、図１０において丸印で囲むように、端子接続部４２の縁部と半田５０の縁部とを一致でき、ガラス板３０の上に形成された遮蔽層７０と、遮蔽層７０の上に形成された導電体４０に無鉛半田を介して接続した後、数日以上経過してから、遮蔽層７０、または導電体４０にクラックが発生することを抑制でき、遮蔽層７０の下のガラス板３０の表面が部分的に剥離することを抑制できる。さらに、第１台座部１４の台座縁部が、端子接続部４２の縁部の直上に位置することとで、金属端子１０と導電体４０との接合強度も担保することが出来る。

　図９に示すように、平面視において、端子接続部４２と連結部４３とは、端子接続部４２の全周の３０％以下で連結される。第２実施形態において、第１台座部１４の大きさ及び連結部４３の連結部分の幅を第１実施形態と同様にすると、第２実施形態では端子接続部４２の全周が長くなる。その結果、例えば、平面視において、端子接続部４２と連結部４３とは、端子接続部４２の全周の２０％以下で連結されることになる。

　図１１Ａ乃至Ｆ及び図１２Ｇ乃至Ｉは、第２実施形態の幾つかの変形例を示す平面図である。図１１Ａ乃至Ｆ及び図１２Ｇ乃至Ｉに示す各変形例において、第１台座部１４の台座縁部が、端子接続部４２の縁部の直上に位置する。

　図１１Ａに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する長辺のそれぞれに連結される３個の連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計６個の連結部４３を備える。６個の連結部４３の幅は等しい。

　図１１Ｂに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する長辺のそれぞれに連結される連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計２個の連結部４３を備える。２個の連結部４３の幅は異なる。

　図１１Ｃに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の一の長辺に連結される１個の連結部４３と、を備える。

　図１１Ｄに示すように、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の一の短辺に連結される１個の連結部４３と、を備える。

　図１１Ｅに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する短辺のそれぞれに連結される連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計２個の連結部４３を備える。２個の連結部４３の幅は異なる。

　図１１Ｆに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する短辺のそれぞれに連結される連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計２個の連結部４３を備える。２個の連結部４３の幅は等しい。

　図１２Ｇに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する長辺のそれぞれに連結される２個の連結部４３と、端子接続部４２の対向する短辺のそれぞれに連結される連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計６個の連結部４３を備える。６個の連結部４３の幅は等しい。

　図１２Ｈに示変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する短辺のそれぞれに連結される２個の連結部４３と、端子接続部４２の対向する長辺のそれぞれに連結される連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計６個の連結部４３を備える。６個の連結部４３の幅は等しい。

　図１２Ｉに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する長辺の一方に連結される２個の連結部４３と、長辺の他方に連結される４個の連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計６個の連結部４３を備える。６個の連結部４３の幅は等しい。

　図１１Ａ乃至Ｆ及び図１２Ｇ乃至Ｉの各変形例の端子接続部４２の面積は等しい。また、図１１Ａ乃至Ｆ及び図１２Ｇ乃至Ｉの各変形例の連結部４３の総面積は等しい。

　図９から図１２Ｉに示す各変形例に関して、第１台座部１４について説明したが、各変形例の第１台座部１４についての説明は、第２台座部１５にも適用できる。さらに、変形例の第１台座部１４についての説明は、２個の台座部（第１台座部１４及び第２台座部１５）を有する金属端子１０とは異なり、１個の台座部又は３個以上の台座部を有する金属端子にも適用できる。

　第１台座部１４の台座縁部が端子接続部４２の縁部の直上に位置する限りにおいて、端子接続部４２と連結部４３との連結構造は、図１１及び図１２に限定されず、適宜変更できる。

　（第３実施形態）
　次に、第３実施形態の金属端子付き車両用窓ガラスについて説明する。第１実施形態及び第２実施形態と同様の構成には同様の符号を付して、同様な構成についての説明を省略する場合がある。図１３は、第３実施形態の拡大図であり、図１４は、図１３におけるXIV－XIV線に沿う断面図である。

　図１３に示すように、第３実施形態では、端子接続部４２の縁部が、第１台座部１４の台座縁部に対して、平面視で外側に位置し、かつ、第１台座部１４を構成する台座縁部に対して第１台座部１４から離間する方向に３ｍｍを超えない位置にある。この構成が、第１実施形態及び第２実施形態とは異なる。したがって、第１台座部１４を構成する台座縁部と端子接続部４２の縁部との距離が３ｍｍ未満である。

　導電体４０は、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する長辺の一方に連結される２個の連結部４３と、長辺の他方に連結される連結部４３と、を有する。導電体４０は、合計３個の連結部４３を有する。３個の連結部４３の幅は等しい。

　第３実施形態を示す図１４には、金属端子付き車両用窓ガラス１００における、ガラス板３０と、ガラス板３０の上に配置される遮蔽層７０と、遮蔽層７０の上に配置される端子接続部４２と、半田５０を介して端子接続部４２と電気的に接続される金属端子１０の第１台座部１４とが示されている。

　第１台座部１４を構成する台座縁部に対して第１台座部１４から離間する方向に３ｍｍを超えない位置にあるので、半田５０は、上底が下底より短い、断面視で略台形の形状となる。その結果、図１４において丸印で囲むように、端子接続部４２の縁部と半田５０の縁部とを一致でき、ガラス板３０の上に形成された遮蔽層７０と、遮蔽層７０の上に形成された導電体４０に無鉛半田を介して接続した後、数日以上経過してから、遮蔽層７０、または導電体４０にクラックが発生することを抑制でき、遮蔽層７０の下のガラス板３０の表面が部分的に剥離することを抑制できる。さらに、端子接続部４２の縁部が、第１台座部１４の台座縁部に対して外側に位置し、かつ、第１台座部１４を構成する台座縁部に対して第１台座部１４から離間する方向に３ｍｍを超えない位置にすることとで、金属端子１０と導電体４０との接合強度も担保することが出来る。

　図１３に示すように、第３実施形態では、平面視において、端子接続部４２と連結部４３とは、端子接続部４２の全周の３０％以下で連結される。第１台座部１４の大きさ及び連結部４３の連結部分の幅を第１実施形態及び第２実施形態と同様にすると、第３実施形態では端子接続部４２の全周が長くなる。その結果、例えば、平面視において、端子接続部４２と連結部４３とは、端子接続部４２の全周の１０％以下で連結されることになる。

　図１５Ａ乃至Ｆ及び図１６Ｇ乃至Ｉは、第３実施形態の幾つかの変形例を示す平面図である。図１５Ａ乃至Ｆ及び図１６Ｇ乃至Ｉに示す各変形例において、端子接続部４２の縁部が、第１台座部１４の台座縁部に対して外側に位置し、かつ、第１台座部１４を構成する台座縁部に対して第１台座部１４から離間する方向に３ｍｍを超えない位置にある。

　図１５Ａに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する長辺のそれぞれに連結される３個の連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計６個の連結部４３を備える。６個の連結部４３の幅は等しい。

　図１５Ｂに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する長辺のそれぞれに連結される連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計２個の連結部４３を備える。２個の連結部４３の幅は異なる。

　図１５Ｃに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の一の長辺に連結される１個の連結部４３と、を備える。

　図１５Ｄに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の一の短辺に連結される１個の連結部４３と、を備える。

　図１５Ｅに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する短辺のそれぞれに連結される連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計２個の連結部４３を備える。２個の連結部４３の幅は異なる。

　図１５Ｆに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する短辺のそれぞれに連結される連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計２個の連結部４３を備える。２個の連結部４３の幅は等しい。

　図１６Ｇに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する長辺のそれぞれに連結される２個の連結部４３と、端子接続部４２の対向する短辺のそれぞれに連結される連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計６個の連結部４３を備える。６個の連結部４３の幅は等しい。

　図１６Ｈに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する短辺のそれぞれに連結される２個の連結部４３と、端子接続部４２の対向する長辺のそれぞれに連結される連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計６個の連結部４３を備える。６個の連結部４３の幅は等しい。

　図１６Ｉに示す変形例では、導電体４０は、バスバー部４１と、端子接続部４２と、端子接続部４２の対向する長辺の一方に連結される２個の連結部４３と、長辺の他方に連結される４個の連結部４３と、を備える。導電体４０は、合計６個の連結部４３を備える。６個の連結部４３の幅は等しい。

　図１５Ａ乃至Ｆ及び図１６Ｇ乃至Ｉの各変形例の端子接続部４２の総面積は等しい。また、図１５Ａ乃至Ｆ及び図１６Ｇ乃至Ｉの各変形例の連結部４３の総面積は等しい。

　図１３から図１６Ｉの各変形例に関して、第１台座部１４について説明したが、各変形例の第１台座部１４について説明した事項は、第２台座部１５にも適用できる。さらに、各変形例の第１台座部１４について説明した事項は、２個の台座部（第１台座部１４及び第２台座部１５）を有する金属端子１０とは異なり、１個の台座部又は３個以上の台座部を有する金属端子にも適用できる。

　端子接続部４２の縁部が、第１台座部１４の台座縁部に対して外側に位置し、かつ、第１台座部１４を構成する台座縁部に対して第１台座部１４から離間する方向に３ｍｍを超えない位置する限りにおいて、端子接続部４２と連結部４３との連結構造は、図１５Ａ乃至Ｆ及び図１６Ｇ乃至Ｉに限定されず、適宜変更できる。

　（第４実施形態）
　次に、第４実施形態の金属端子付き車両用窓ガラスについて説明する。第１実施形態から第３実施形態と同様の構成には同様の符号を付して、同様な構成についての説明を省略する場合がある。

　図１７Ａ及びＢは、第４実施形態の拡大図である。図１７Ａ及びＢに示すように、第４実施形態の各変形例では、端子接続部４２の縁部の一部分が、第１台座部１４の台座縁部に対して外側に位置し、かつ、第１台座部１４を構成する台座縁部に対して第１台座部１４から離間する方向に３ｍｍを超えない位置にある。

　一方、第１台座部１４の縁部は、端子接続部４２の縁部の他の部分に対して外側に位置する。

　したがって、端子接続部４２の縁部は、第１台座部１４の外側に位置する部分と、内側に位置する部分がある。

　図１７Ａに示される端子接続部４２は、平面視で矩形である。端子接続部４２の縁部の一部分（短辺）が、第１台座部１４の短辺を超える場所に位置する。一方、端子接続部４２の縁部の他の部分（長辺）が、第１台座部１４の長辺より内側の場所に位置する。連結部４３は、端子接続部４２の縁部の一部分（短辺）と、バスバー部４１とに連結される。

　図１７Ｂに示される端子接続部４２は、平面視で楕円形である。端子接続部４２の縁部の一部分（長軸の側）が、第１台座部１４の短辺を超える場所に位置する。一方、端子接続部４２の縁部の他の部分（短軸の側）が、第１台座部１４の長辺より内側の場所に位置する。連結部４３は、端子接続部４２の縁部の一部分（長軸の側）に連結される。

　図１７Ａ及びＢに示す各変形例の形状においても、端子接続部４２の縁部と半田５０（不図示）の縁部とを一致でき、ガラス板３０の上に形成された遮蔽層７０と、遮蔽層７０の上に形成された導電体４０に無鉛半田を介して接続した後、数日以上経過してから、遮蔽層７０、または導電体４０にクラックが発生することを抑制でき、遮蔽層７０の下のガラス板３０の表面が部分的に剥離することを抑制できる。さらに、端子接続部４２の縁部の一部分が、第１台座部１４の台座縁部に対して外側に位置し、かつ、第１台座部１４を構成する台座縁部に対して第１台座部１４から離間する方向に３ｍｍを超えない位置することとで、金属端子１０と導電体４０との接合強度も担保することが出来る。

　図１７Ａ及びＢに示す各変形例に関して、第１台座部１４について説明したが、第１台座部１４についての説明は、第２台座部１５にも適用できる。さらに、第１台座部１４についての説明は、２個の台座部（第１台座部１４及び第２台座部１５）を有する金属端子１０とは異なり、１個の台座部又は３個以上の台座部を有する金属端子にも適用できる。

　端子接続部４２の縁部の一部分が、第１台座部１４の台座縁部に対して外側に位置し、かつ、第１台座部１４を構成する台座縁部に対して第１台座部１４から離間する方向に３ｍｍを超えない位置にある限り、端子接続部４２と連結部４３との連結構造は、図１７Ａ及びＢに示す変形例に限定されず、適宜変更できる。

　本発明のさらに別の形態の金属端子付き車両用窓ガラスを図に基づいて説明する。図１８に示すように、金属端子付き車両用窓ガラス２００は、第１のガラス板３２と第２のガラス板３３とを接合する中間膜３４を有する合わせガラス３５で構成される。第１のガラス板３２が、第１実施形態乃至第４実施形態の各々におけるガラス板を構成し、第２のガラス板３３が、追加のガラス板を構成する。金属端子付き車両用窓ガラス２００は、一例として車両のウインドシールドに適用される。金属端子付き車両用窓ガラス２００に対し、金属端子付き車両用窓ガラス１００と同様に第１実施形態から第４実施形態を適用できる。金属端子付き車両用窓ガラス２００が車体に組み付けられた場合、第１のガラス板３２が車外側に配置され、第２のガラス板３３が車内側に配置される。そして、第１のガラス板３２の車内側の面に遮蔽層７０が形成され、遮蔽層７０の上に導電体４０が形成される。なお、第２のガラス板３３が、第１実施形態乃至第４実施形態の各々におけるガラス板を構成し、第１のガラス板３２が、追加のガラス板を構成してもよい。第２のガラス板３３が、第１実施形態乃至第４実施形態の各々におけるガラス板を構成し、金属端子付き車両用窓ガラス２００が、車体に組み付けられる場合、第２のガラス板３３の車内側の面に遮蔽層７０が形成され、遮蔽層７０の上に導電体４０が形成される。

　第１のガラス板３２及び第２のガラス板３３は、第１実施形態乃至第４実施形態におけるガラス板３０と同様のガラス板を適用できる。したがって、第１のガラス板３２及び第２のガラス板３３は、未強化ガラス又は強化ガラスのいずれでもよい。なお、第１のガラス板３２及び第２のガラス板３３の厚みは同じであってもよいし、異なっていてもよい。

　例えば、車外側に配置される第１のガラス板３２の板厚は、１．１ｍｍ以上３．０ｍｍ以下であることが好ましい。車外側に配置される第１のガラス板３２の板厚が１．１ｍｍ以上であると、耐飛び石性能等の強度が十分であり、３．０ｍｍ以下であると、合わせガラス３５の質量が大きくなり過ぎず、車両の燃費の点で好ましい。車外側に配置される第１のガラス板３２の板厚は、１．５ｍｍ以上２．８ｍｍ以下がより好ましく、１．８ｍｍ以上２．６ｍｍ以下が更に好ましい。車内側に配置される第２のガラス板３３の板厚は、０．５ｍｍ以上２．３ｍｍ以下であることが好ましい。車内側に配置される第２のガラス板３３の板厚が０．５ｍｍ以上であると、ハンドリング性がよく、２．３ｍｍ以下であることにより質量が大きくなり過ぎず好ましい。

　また、第１のガラス板３２及び第２のガラス板３３のいずれか一方、もしくは両方が、合わせガラス３５を車体に組み付けた場合に、下辺側（エンジンフード側）から上辺側（ルーフ側）に向かうに従って厚みが厚くなる楔形状であってもよい。

　第１のガラス板３２及び第２のガラス板３３は、例えば、フロート法などにより板状に成形され、重力成形又はプレス成形などにより高温で曲げ成形される。合わせガラス３５は、長手方向及び短手方向の両方に湾曲した複曲形状でもよい。あるいは、合わせガラス３５は、長手方向のみに湾曲した単曲形状や、短手方向のみに湾曲した単曲形状でもよい。合わせガラス３５が湾曲している場合、車外側に向けて凸となるように湾曲していることが好ましい。合わせガラス３５が湾曲している場合、曲率半径は１０００ｍｍ以上１０００００ｍｍ以下であることが好ましい。第１のガラス板３２と第２のガラス板３３の曲率半径は同じでもよいし、異なっていてもよい。第１のガラス板３２と第２のガラス板３３の曲率半径が異なっている場合は、第１のガラス板３２の曲率半径の方が第２のガラス板３３の曲率半径よりも大きい。

　中間膜３４は、第１のガラス板３２と第２のガラス板３３とを接合する。中間膜３４は、ポリビニルブチラール（ＰＶＢ）からなる中間膜のほか、特に耐水性が要求される場合には、エチレン酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）が好ましく用いられ、さらに、アクリル系光重合型プレポリマー、アクリル系触媒重合型プレポリマー、アクリル酸エステル・酢酸ビニルの光重合型プレポリマー又はポリビニルクロライドなども使用可能である。中間膜３４は、単層構造又は複数層構造のいずれでもよい。

　合わせガラス３５の周縁部には、黒色などの暗色不透明の遮蔽層（不図示）が、全周にわたって帯状に形成されていてもよい。この遮蔽層は、第１のガラス板３２と第２のガラス板３３の両方に設けられていてもよいし、いずれか一方にのみに設けられていてもよい。遮蔽層は、合わせガラス３５を車体に接着保持するウレタンシーラントなどを紫外線による劣化から保護する機能を有する。

　金属端子付き車両用窓ガラス２００において、第２のガラス板３３には、周縁部に円弧状で、第２のガラス板３３の板厚方向に貫通するように形成された切欠部３６が形成される。切欠部３６により露出された第１のガラス板３２の車内側の表面に導電体４０が形成される。遮蔽層が形成されている場合、導電体４０は遮蔽層の上に形成される。

　金属端子１０の第１台座部１４及び第２台座部１５が、半田５０を介して第１のガラス板３２に配置された導電体４０の端子接続部４２（不図示）と電気的に接続される。導線６０と導電体４０とは、金属端子１０及び半田５０を介して電気的に接続される。

　金属端子付き車両用窓ガラス２００においても、第１実施形態乃至第４実施形態における金属端子付き車両用窓ガラス１００と同様の端子接続部４２と台座部（第１台座部１４及び第２台座部１５）との関係が適用されるため、ガラス板３０の上に形成された遮蔽層７０と、遮蔽層７０の上に形成された導電体４０に無鉛半田を介して接続した後、数日以上経過してから、遮蔽層７０、または導電体４０にクラックが発生することを抑制でき、遮蔽層７０の下のガラス板３０の表面が部分的に剥離することを抑制できる。さらに、金属端子１０と導電体４０との接合強度も担保することが出来る。

　図１８に示す実施形態による金属端子付き車両用窓ガラス１００及び第１実施形態乃至第４実施形態による金属端子付き車両用窓ガラス２００において、図示していないが、導電体４０により複数のバスバー部４１が、例えば、ガラス板３０の周縁部に沿って形成される。それぞれのバスバー部４１に金属端子１０が電気的に接続され、さらに電源の陽極と陰極とに接続される。例えば、それぞれのバスバー部４１の間を接続する熱線が配置される。

　熱線は、例えば、微細なタングステンなどのワイヤーである。この場合、複数のワイヤーは、互いに離間するように配置されてもよいし、ワイヤーを交差させたメッシュ形状であってもよい。また、熱線に代えて、透明な導電膜が形成されてもよい。透明導電膜は、例えば、Ａｇ膜などの金属膜、ＩＴＯ（酸化インジウム・スズ）膜などの金属酸化膜、又は導電性微粒子を含む樹脂膜を例示できる。透明導電膜は、複数種類の膜を積層したものであってもよい。

　以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行うことができる。金属端子付き車両用窓ガラスは、例えば、ウインドシールド、リヤガラス、サイドドアガラス及びクォータガラスに適用できる。
　なお、２０２１年２月１日に出願された日本国特願２０２１－０１４３４２号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

１０　金属端子、１１　脚連結部、１２　第１脚部、１３　第２脚部、１４　第１台座部、１５　第２台座部、１６　導線接続部、１６Ａ　延出部、１６Ｂ　固定部、３０　ガラス板、３２　第１のガラス板、３３　第２のガラス板、３４　中間膜、３５　合わせガラス、３６　切欠部、４０　導電体、４１　バスバー部、４２　端子接続部、４３　連結部、５０　半田、６０　導線、７０　遮蔽層、１００、２００　金属端子付き車両用窓ガラス

Claims

　ガラス板と、前記ガラス板の少なくとも一方の主面上に配置される遮蔽層と、前記遮蔽層の上に配置される導電体と、無鉛半田を介して前記導電体と電気的に接続される金属端子と、前記金属端子に固定される導線と、を備える金属端子付き車両用窓ガラスであって、
　前記金属端子は、台座部を備え、
　前記導電体は、前記台座部と無鉛半田により接続される端子接続部と、前記端子接続部と連結され、前記端子接続部の長手方向または横手方向の幅よりも幅が狭い連結部と、を備え、
　平面視において、前記端子接続部と前記連結部とは、前記端子接続部の全周の３０％以下で連結されており、
　前記端子接続部の縁部は、前記台座部を構成する台座縁部に対して前記台座部から離間する方向に３ｍｍを超えない位置にある、金属端子付き車両用窓ガラス。
　前記台座部の前記台座縁部が、前記端子接続部の縁部の直上に位置する、請求項１に記載の金属端子付き車両用窓ガラス。
　前記台座部の前記台座縁部が、前記端子接続部の縁部に対して外側に位置する、請求項１に記載の金属端子付き車両用窓ガラス。
　前記導電体は、前記連結部の少なくとも一部よりも幅が広いバスバー部を備え、
　前記バスバー部は、前記連結部により前記端子接続部と接続されている、請求項１から３のいずれか一項に記載の金属端子付き車両用窓ガラス。
　前記金属端子は、銅、真鍮、鉄、クロム並びに銅、真鍮、鉄及びクロム含有合金からなる群のうち、少なくとも１つを含む、請求項１から４のいずれか一項に記載の金属端子付き車両用窓ガラス。
　前記ガラス板が強化ガラスである、請求項１から５のいずれか一項に記載の金属端子付き車両用窓ガラス。
　前記ガラス板が未強化ガラスである、請求項１から６のいずれか一項に記載の金属端子付き車両用窓ガラス。
　前記無鉛半田は、スズの含有量が９５質量％以上である、請求項１から７のいずれか一項に記載の金属端子付き車両用窓ガラス。
　前記車両用窓ガラスは、第１のガラス板と、中間膜と、前記中間膜により接合される第２のガラス板を有する合わせガラスである、請求項１から８のいずれか一項に記載の金属端子付き車両用窓ガラス。
　前記第２のガラス板は、前記第２のガラス板の板厚方向に貫通するように形成された切欠部を有し、前記切欠部により露出した前記第１のガラス板の表面に前記金属端子が配置される、請求項９に記載の金属端子付き車両用窓ガラス。
　前記車両用窓ガラスが車両に組付けられた場合、前記第１のガラス板が車外側に配置され、前記第２のガラス板が車内側に配置される、請求項９または１０に記載の金属端子付き車両用窓ガラス。
　前記車両用窓ガラスが車両に組付けられた場合、前記第１のガラス板が車内側に配置され、前記第２のガラス板が車外側に配置される、請求項９に記載の金属端子付き車両用窓ガラス。