WO2022153832A1

WO2022153832A1 - コネクタ

Info

Publication number: WO2022153832A1
Application number: PCT/JP2021/048084
Authority: WO
Inventors: 主税佐分; 友佳小泉; 佳吾高橋
Original assignee: 株式会社オートネットワーク技術研究所; 住友電装株式会社; 住友電気工業株式会社
Priority date: 2021-01-14
Filing date: 2021-12-24
Publication date: 2022-07-21
Also published as: CN116648828A; US20240063570A1; JP2022108785A

Abstract

複数の端子群の並び方向におけるサイズを低減する。　コネクタ（１０）は、一対の導電路（７１）にそれぞれ接続される一対の端子（６０）を具備する端子群（２２）を複数有するインナモジュール（１１）と、インナモジュール（１１）を収容するアウタハウジング（１２）と、を備えている。インナモジュール（１１）は、複数の端子群（２２）を支持して一体的に構成されるインナハウジング（２１）を有している。アウタハウジング（１２）は、インナモジュール（１１）を収容する１つの収容室（８４）を有する。

Description

コネクタ

　本開示は、コネクタに関するものである。

　特許文献１に開示されるコネクタは、内導体を誘電体に収容した形態の端子ユニットと、端子ユニットが挿入される収容室を有するハウジングと、を有している。ハウジング内に複数の端子ユニットを収容する場合、例えば特許文献２に開示されるコネクタのような構成が考えられる。特許文献２のコネクタは、ハウジングと、ハウジングの内部に挿入される複数の接触要素と、を備えている。接触要素は、ツイストペアケーブルの２つのコアに圧着接続されている。複数の接触要素は、ハウジング内に、上下二段で並列して配置されている。ハウジング内の各段には、接触要素を収容する空間を並び方向で仕切る壁が設けられている。

特開２０１８－１５２２１５号公報特表２０１５－５２８６２５号公報

　特許文献２のコネクタのように、複数の接触要素（端子金具）の並び方向で収容室を仕切る仕切壁が設けられる構成では、接触要素（端子金具）の並び方向のサイズが大きくなってしまう。そこで、複数の接触要素（端子金具）を収容する構成において、接触要素（端子金具）の並び方向のサイズを低減し得る技術が求められている。

　本開示のコネクタは、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、複数の端子群の並び方向におけるサイズを低減することができる。

　本開示のコネクタは、
　一対の導電路にそれぞれ接続される一対の端子を具備する端子群を複数有するインナモジュールと、
　前記インナモジュールを収容するアウタハウジングと、
を備え、
　前記インナモジュールは、複数の前記端子群を支持して一体的に構成されるインナハウジングを有し、
　前記アウタハウジングは、前記インナモジュールを収容する１つの収容室を有する。

　本開示によれば、複数の端子群の並び方向におけるサイズを低減することができる。

図１は、コネクタの斜視図である。図２は、アウタハウジング、インナモジュール、及びリテーナの斜視図である。図３は、インナモジュールの分解斜視図である。図４は、アウタハウジングの斜視図である。図５は、アウタハウジングの背面図である。図６は、第１支持部に端子群が組み付けられた状態を示す斜視図である。図７は、図６の第１支持部に対して第２支持部を仮保持位置に嵌め込んだ状態を示す斜視図である。図８は、図７の状態において第１支持部に対して第２支持部をロック位置にスライドした状態を示す斜視図である。図９は、図８の第２支持部に対して、さらに端子群が組み付けられた第１支持部を組み付けた状態を示す斜視図である。図１０は、インナモジュールの背面側から見た斜視図である。図１１は、インナモジュールの左右方向に直交する断面を示す断面図である。図１２は、インナモジュールの前後方向に直交する断面を示す断面図である。図１３は、正規姿勢でインナモジュールをアウタハウジングに挿入した状態を示す背面側から見た斜視図である。図１４は、コネクタの背面図である。図１５は、コネクタの左右方向に直交する断面を示す断面図である。図１６は、インナモジュールを反転姿勢でアウタハウジングに挿入した状態を示す背面側から見た斜視図である。図１７は、コネクタを用いた分岐構造の構成図である。

　［本開示の実施形態の説明］
　最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
　本開示のコネクタは、
　（１）一対の導電路にそれぞれ接続される一対の端子を具備する端子群を複数有するインナモジュールと、
　前記インナモジュールを収容するアウタハウジングと、
を備え、
　前記インナモジュールは、複数の前記端子群を支持して一体的に構成されるインナハウジングを有し、
　前記アウタハウジングは、前記インナモジュールを収容する１つの収容室を有する。
　本開示の構成によれば、アウタハウジングは、複数の端子群を有するインナモジュールを１つの収容室に収容する構成であるため、複数の端子群をそれぞれ別個に収容するために収容室内の空間を仕切る壁（複数の端子群の並び方向に仕切る壁）を設ける必要がない。そのため、コネクタは、複数の端子群の並び方向におけるサイズを低減することができる。
　（２）一対の端子は、一対の導電路が撚り合わされたツイストペア線に接続され、インナハウジングは、端子を収容するためのスリット状の開口を有する複数の第１支持部と、開口を閉鎖するように第１支持部を支持する第２支持部と、を有することが好ましい。この構成によれば、コネクタは、スリット状の開口に対して平行となる姿勢で端子を収容させることができる。そのため、コネクタは、一対の端子をそれぞれインナハウジングに対して突き刺すような姿勢で挿入する構成に比べて、ツイストペア線の撚り解き長を短くできる。
　（３）複数の第１支持部は、同一形状であることが好ましい。この構成によれば、コネクタの構成部品の種類の数を低減することができる。
　（４）第２支持部には、一対の第１支持部によって挟まれることで開口を閉鎖する板部が設けられていることが好ましい。この構成によれば、一つの第２支持部で一対の第１支持部の開口をそれぞれ閉鎖することができる。コネクタは、一対の第１支持部の開口をそれぞれ別々の部分で閉鎖する構成に比べて、板部の板厚方向（端子群の並び方向）におけるサイズを低減することができる。
　（５）アウタハウジングには、インナモジュールの挿入方向に沿って延びる溝部が設けられており、インナハウジングには、溝部に入り込むリブが設けられており、インナモジュールがアウタハウジングに正規姿勢で挿入される際にリブが溝部に入り込み、インナモジュールがアウタハウジングに正規姿勢とは異なる姿勢で挿入される際にリブがアウタハウジングと干渉することが好ましい。この構成によれば、インナモジュールがアウタハウジングに正規姿勢とは異なる姿勢で挿入される場合に、リブがアウタハウジングに干渉するため、インナモジュールの誤挿入を検知することができる。
　（６）一対の導電路をシースで包囲することによって電線が構成され、電線は、端子よりもインナモジュールの外面側へ突出する突出部を有し、インナハウジングの外面には、突出部を露出させる開口部が設けられていることが好ましい。この構成によれば、突出部が開口部から露出することで、開口部を設けない構成に比べて、電線が開口部に入り込む分、インナモジュールのサイズを低減することができる。
　（７）シースの軸線方向と直交する方向における開口部の幅が、シースの直径よりも小さいことが好ましい。この構成によれば、シースが開口部から抜け出ることを防ぐことができる。
　（８）開口部の開口縁の内面には、電線側に向けて拡がるテーパ部が設けられていることが好ましい。この構成によれば、テーパ部を設けない構成に比べて、シースの外面を開口部側に近づけることができ、インナモジュールのサイズを低減することができる。
　（９）アウタハウジングには、収容室の内側に突出して、開口部から露出する突出部に接触する凸部が設けられていることが好ましい。この構成によれば、コネクタは、電線のガタつきを抑えることができる。

　［本開示の実施形態の詳細］
　［実施例１］
　本開示のコネクタを具体化した実施例１を、図１～図１７を参照して説明する。本実施例１において、上下の方向については、図１～１６にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。前後の方向については、図１～４，６～１１，１３，１５，１６にあらわれる左方、右方を、それぞれ前方、後方と定義する。左右の方向は、図１～４，６～１１，１３，１５，１６にあらわれる手前側、奥側を、それぞれ右方、左方と定義する。

（コネクタの構成）
　図１に示す本実施例１のコネクタ１０は、例えば、幹線ハーネスの途中に接続される分岐用コネクタとして構成される。コネクタ１０は、図２に示すように、インナモジュール１１と、アウタハウジング１２と、リテーナ１３と、を備えている。インナモジュール１１は、アウタハウジング１２に収容される。図３に示すように、インナモジュール１１は、インナハウジング２１と、一対の端子群２２とを備えている。端子群２２の数は、幹線ハーネスを構成する導電路の系統数と同じ数である。

　インナハウジング２１は、図２、図３に示すように、一対の第１支持部３１と、第２支持部３２とを組み付けて一体的に構成されている。第１支持部３１と第２支持部３２は、例えば合成樹脂等の絶縁性材料からなる部品である。インナハウジング２１は、一対の端子群２２を支持し、一対の端子群２２とともにインナモジュール１１として一体的に構成される。

　図３に示すように、一対の第１支持部３１は、同一形状である。第１支持部３１は、前後方向に長く、上下方向一端側の一部が開放された箱状である。第１支持部３１には、前後方向に長い２つの端子収容溝４１が左右に整列して形成されている。２つの端子収容溝４１は、ともに上下方向一端側に開放されている。図３に示す下側の第１支持部３１において、端子収容溝４１は、第１支持部３１の上面を下方に凹ませた形態である。図３に示す上側の第１支持部３１において、端子収容溝４１は、第１支持部３１の下面を上方に凹ませた形態である。端子収容溝４１は、端子６０を収容するための開口（開口縁）４１Ａを有している。端子収容溝４１の開口４１Ａは、前後方向に長細いスリット状になっている。端子収容溝４１の開口４１Ａが後述する第２支持部３２によって閉鎖されるように、一対の第１支持部３１によって第２支持部３２が挟まれる。

　図１１に示すように、端子収容溝４１の前端部には、前側抜止め凹部４１Ｂが形成されている。端子収容溝４１における前側抜止め凹部４１Ｂよりも後方の位置には、後側抜止め凹部４１Ｃが形成されている。後側抜止め凹部４１Ｃに後方で隣接する位置には、抜止め凸部４１Ｄが形成されている。

　図３に示すように、端子収容溝４１を構成する壁部（上下方向に延びる壁部）において、前端側を除く部分には、外側（他方の第１支持部側）に向かって幅狭になる傾斜部４１Ｅが設けられている。端子収容溝４１の左右方向外側の壁部には、一対の爪部４１Ｆが設けられている。爪部４１Ｆは、端子収容溝４１の前端よりもわずかに後方の位置、および端子収容溝４１の後端の位置に設けられている。端子収容溝４１の前端には、後端側の部分よりも幅狭となる幅狭部４１Ｇが設けられている。第１支持部３１の前壁には、前端面から２つの端子収容溝４１に個別に貫通した２つの挿入口４２が形成されている。

　図３に示すように、第１支持部３１の左右壁部には、左右方向内側（端子収容溝４１側）に凹む凹部４３が設けられている。凹部４３は、端子収容溝４１と左右方向で重なる位置に設けられている。凹部４３の上下方向の一端（他方の第１支持部３１とは反対側の端）には、左右方向内側（端子収容溝４１側）に凹む端部溝４３Ａ，４３Ｂ（上側の第１支持部３１参照）が設けられている。凹部４３には、前端側に上下方向の幅が広くなる幅広部４３Ｃ（上側の第１支持部３１参照）が設けられている。幅広部４３Ｃの後端側は、前方に向かって上下方向の幅が徐々に広くなっている。

　図３に示すように、第１支持部３１の左右壁部には、前端側の部分（端子収容溝４１と左右方向で重なる部分）よりも厚肉な厚肉部４４が設けられている。厚肉部４４における上下方向の一端側（他方の第１支持部３１側）には、凹み部４４Ａが設けられている。凹み部４４Ａは、厚肉部４４の上下方向の一方面（他方の第１支持部３１側の面）を他方面側（他方の第１支持部３１とは反対側）に凹ませた形態である。

　図３に示すように、第１支持部３１の後端には、左右壁部のそれぞれから後方に延出する延出壁４５が設けられている。延出壁４５の左右方向外側の面（他方の延出壁４５とは反対側の面）には、位置決め凸部４５Ａが設けられている。位置決め凸部４５Ａの前面は、後方に向かって延出壁４５に近づく傾斜になっている。位置決め凸部４５Ａの後面は、前面に比べて傾斜が緩やかになっている。

　図３に示すように、第１支持部３１の底壁部４６（他方の第１支持部３１とは反対側の壁部）の後端には、開口部４６Ａが設けられている。開口部４６Ａは、底壁部４６を上下方向に貫通している。開口部４６Ａは、上下方向から見て矩形状である。開口部４６Ａの後端は、後方に開放されている。開口部４６Ａの後端は、前後方向に直交する方向において、延出壁４５の前端と重なる位置に設けられている。開口部４６Ａは、後述する電線７０の突出部７７を露出させる。

　図３に示すように、第１支持部３１の前壁の上下方向一端（他方の第１支持部３１側の端）において、前方に凹む前側凹部４６Ｂが設けられている。第１支持部３１の底面（他方の第１支持部３１側とは反対側の面）において、前壁の後側に隣接する位置に、前後方向に長い第１外側凹部４６Ｃが設けられている。第１支持部３１の底面（他方の第１支持部３１側とは反対側の面）において、第１外側凹部４６Ｃに離間した後側に左右方向全体に亘って凹む第２外側凹部４６Ｄが設けられている。第２外側凹部４６Ｄは、左右方向に長い。第１支持部３１の底面（他方の第１支持部３１側とは反対側の面）において、第２外側凹部４６Ｄを前後から挟む位置に、円弧状に凹む長溝４６Ｅが設けられている。

　第２支持部３２は、端子収容溝４１の開口４１Ａを閉鎖するように第１支持部３１を支持する。図３に示すように、第２支持部３２は、後述するリブ５３Ｃを除いて上下対称な形状の単一部品からなる。第２支持部３２は、板部５１と、一対の前側側壁５２と、一対の後側側壁５３とを備えている。板部５１は、前後方向に長い矩形板状である。板部５１は、端子収容溝４１を閉鎖する。板部５１は、一対の第１支持部３１によって挟まれることで、両方の端子収容溝４１の開口４１Ａを閉鎖する。板部５１の両板面には、前後方向に長い一対の突起部５１Ａが設けられている。突起部５１Ａは、第１支持部３１の端子収容溝４１に対応する位置に設けられている。一対の前側側壁５２は、板部５１の前端側部分から上下方向に延出している。一対の後側側壁５３は、板部５１の後端側部分から上下方向に延出している。前側側壁５２及び後側側壁５３は、板部５１に直交している。板部５１の前端は、前側側壁５２及び後側側壁５３よりも前側に突出している。

　図３に示すように、前側側壁５２の上下端における前端を除く部分には、他方の前側側壁５２側に突出する前側係止部５２Ａが設けられている。後側側壁５３の内面（他方の後側側壁５３と対向する面）における前端側には、板部５１を挟む両側に後側溝部５３Ａが設けられている。後側溝部５３Ａは、外面側（他方の後側側壁５３とは反対側）に凹む。後側溝部５３Ａの前端は、後方に向かって他方の後側側壁５３に近づく傾斜になっている。後側溝部５３Ａの後方に隣接する位置には、他方の後側側壁５３側に突出する後側係止部５３Ｂが設けられている。

　図１０に示すように、両方の後側側壁５３の外面（他方の後側側壁５３とは反対側の面）には、前後に亘って延びるリブ５３Ｃが設けられている。図３では右側の後側側壁５３のリブ５３Ｃのみが表れている。リブ５３Ｃは、前後方向から見た断面で矩形状である。インナモジュール１１がアウタハウジング１２に正規姿勢で挿入される際に、リブ５３Ｃは、後述するアウタハウジング１２の溝部８４Ａに入り込む。

　図１１に示すように、第２支持部３２の板部５１によって端子収容溝４１の開口４１Ａが閉鎖されるように、一対の第１支持部３１が第２支持部３２を挟む。一つの第２支持部３２で一対の第１支持部３１の開口４１Ａをそれぞれ閉鎖することができる。上側の第１支持部３１は、下側の第１支持部３１に対して上下反転した姿勢で第２支持部３２に支持されている。

　図３に示すように、端子群２２は、一対の端子６０を備えている。端子６０は、全体として前後方向に細長い形状である。端子６０の前端部には角筒部６１が形成され、端子６０の後端部にはオープンバレル状の圧着部６２が形成されている。圧着部６２は、導電路７１の分断部７２に対し、圧着によって導通可能に固着されている。図示は省略するが、一対の導電路７１は、撚り合わされたツイストペア線として構成されている。角筒部６１の前端部には、前後方向に対して直角な方向へ突出した前側スタビライザ６１Ａが形成されている。角筒部６１の後端部には、前後方向に対して直角な方向へ突出した後側スタビライザ６１Ｂが形成されている。

　図３に示すように、圧着部６２は、導電路７１の分断部７２に対して導通可能に固着されている。各導電路７１における分岐部位は、各導電路７１を分断した分断部７２となっている。分断部７２では、絶縁被覆７３が除去されて導体７４が露出されている。絶縁被覆７３によって被覆された一対の導体７４が、シース７５によって一括して包囲されることで、電線７０が構成されている。電線７０は、シース７５の端部に取り付けられたかしめリング７６を備えている。かしめリング７６は、分断部７２の一部を一方側（他方の端子群２２側）から覆う被覆部７６Ａを有している。被覆部７６Ａは、分断部７２よりも左右方向外側に突出している。導電路７１に固着された端子６０は、導電路７１の分断部７２から一直線状に延出している。

　図１１に示すように、端子６０は、第１支持部３１の端子収容溝４１に収容されている。上側の端子６０は、下側の端子６０に対して上下反転した姿勢でインナハウジング２１に支持されている。

　図１１に示すように、電線７０は、端子６０よりもインナモジュール１１の外側（上下方向外側）へ突出する突出部７７を有している。上側の電線７０の突出部７７は、シース７５の上端、及びかしめリング７６の上端によって構成されている。上側の電線７０の突出部７７は、端子６０よりも上方へ突出している。下側の電線７０の突出部７７は、シース７５の下端、及びかしめリング７６の下端によって構成されている。下側の電線７０の突出部７７は、端子６０よりも下方へ突出している。突出部７７は、第１支持部３１の開口部４６Ａから外部に露出する。

　図１２に示すように、シース７５の軸線方向（前後方向）と直交する方向（左右方向）における開口部４６Ａの幅Ｌ１は、シース７５の左右方向の幅（直径（外径））Ｌ２よりも小さい。開口部４６Ａの幅Ｌ１は、かしめリング７６の左右方向の幅（直径（外径））Ｌ３よりも小さい。開口部４６Ａの幅Ｌ１は、かしめリング７６の左右方向の幅（直径（外径））Ｌ３の６０％～８０％の大きさであることが好ましい。開口部４６Ａの開口縁の内面には、電線７０側に向けて拡がるテーパ部４６Ｆが設けられている。電線７０の突出部７７は、テーパ部４６Ｆ内に入り込んでいる。

　アウタハウジング１２は、例えば合成樹脂等の絶縁性材料からなる角筒状の単一部品である。図４、図５に示すように、アウタハウジング１２は、左右対称な一対の側壁部８１と、左右両側壁部８１の下端縁同士を連結した形態の底壁部８２と、左右両側壁部８１の上端縁同士を連結した形態の上壁部８３とを有する。アウタハウジング１２は、インナモジュール１１を収容する１つの収容室８４を有する。収容室８４は、アウタハウジング１２の内部に設けられている。収容室８４の前後両端は、アウタハウジング１２の外部へ開放されている。収容室８４の内部は、仕切壁などで仕切られていない。

　図４に示すように、左右両側壁部８１の外面（他方の側壁部８１側とは反対側の面）には、第１被係止部８１Ａと、第２被係止部８１Ｂとが設けられている。第１被係止部８１Ａ、及び第２被係止部８１Ｂは、左右方向外側（他方の側壁部８１側とは反対側）に突出している。第１被係止部８１Ａは、第２被係止部８１Ｂの下方側に離間して設けられている。第１被係止部８１Ａ及び第２被係止部８１Ｂは、後述するリテーナ１３の係止部１３Ｅが係止する。

　図５、図１５に示すように、上壁部８３の内面には、弾性抜止片８５が形成されている。弾性抜止片８５は、上壁部８３に対して上下方向へ弾性的に相対変位し得るようになっている。アウタハウジング１２には、上壁部８３の外面を間隔を空けて覆う形態のロックアーム８６が形成されている。ロックアーム８６は、アウタハウジング１２の前端部から後方へ片持ち状に延出した形態であり、弾性変形可能である。

　図５に示すように、左右両側壁部８１の下端部には、それぞれ溝部８４Ａが形成されている。溝部８４Ａは、側壁部８１の前端部の内側（他方の側壁部８１側）に形成され、前後方向（インナモジュール１１の挿入方向）に細長く延びた形態である。溝部８４Ａの後端は、アウタハウジング１２の後方の外部空間へ開放されている。溝部８４Ａは、他方の側壁部８１側へ開放されている。溝部８４Ａの前端部は、閉塞された形態であり、位置決め部として機能する。

　図５に示すように、底壁部８２及び上壁部８３には、それぞれ他方の壁部に向かって突出する凸部８４Ｂが設けられている。凸部８４Ｂは、底壁部８２及び上壁部８３のそれぞれにおける、左右方向の中心に設けられている。底壁部８２及び上壁部８３には、凸部８４Ｂを左右方向で挟んだ両側にガタ詰め部８４Ｃが設けられている。底壁部８２及び上壁部８３には、凸部８４Ｂを左右方向で挟んだ両側にガタ詰め部８４Ｃが設けられている。左右両側壁部８１にも、他方の側壁部８１側に突出する一対のガタ詰め部８４Ｃが設けられている。

　図２に示すように、リテーナ１３は、底壁１３Ａと、一対の側壁１３Ｂとを備えている。一対の側壁１３Ｂは、底壁１３Ａの左右両端から上方に立ち上がっている。底壁１３Ａの上面には、上方に突出するリテーナ側凸部１３Ｃが設けられている。側壁１３Ｂの内面（他方の側壁１３Ｂ側の面）には、外側（他方の側壁１３Ｂ側とは反対側）に凹むリテーナ側凹部１３Ｄが設けられている。リテーナ側凹部１３Ｄの上端は、第１被係止部８１Ａ又は第２被係止部８１Ｂに引っ掛かる係止部１３Ｅになっている。係止部１３Ｅが第１被係止部８１Ａに係止することで、リテーナ１３がアウタハウジング１２に対して仮係止状態となる。係止部１３Ｅが第２被係止部８１Ｂに係止することで、リテーナ１３がアウタハウジング１２に対して本係止状態となる。

（コネクタの組み立て）
　次に、コネクタ１０の組み立てについて説明する。図６に示すように、第１支持部３１に、電線７０に接続された端子群２２を組み付ける。端子６０は、端子収容溝４１の延び方向（前後方向）に沿う姿勢（図３に示す姿勢）で、端子収容溝４１の開口４１Ａに挿入される。端子収容溝４１に収容された端子６０は、図１１に示すように、前側スタビライザ６１Ａと前側抜止め凹部４１Ｂとの嵌合、及び後側スタビライザ６１Ｂと後側抜止め凹部４１Ｃとの嵌合により、第１支持部３１に対する前後方向への相対変位が規制される。図６に示すように、かしめリング７６の被覆部７６Ａは、凹み部４４Ａに入り込む。爪部４１Ｆは、端子６０に係止して抜け止めを行う。

　続いて、図７に示すように、端子６０が組み付けられた第１支持部３１に対して、第２支持部３２を仮保持位置に嵌め込む。第２支持部３２の一対の前側側壁５２を、第１支持部３１の凹部４３の後端側に嵌め込む。前側側壁５２の前側係止部５２Ａは、端部溝４３Ｂ（図３参照）と、端部溝４３Ａの後端側に係止する。

　続いて、図８に示すように、第１支持部３１に対して、第２支持部３２を仮保持位置からロック位置まで前方にスライドさせる。第２支持部３２の一対の前側側壁５２を、第１支持部３１の凹部４３の後端側に嵌め込む。前側側壁５２における後側溝部５３Ａの前側に隣接する壁部が第１支持部３１の位置決め凸部４５Ａを乗り越える際に、一対の延出壁４５が内側（他方の延出壁４５側）に撓み変形する。一対の延出壁４５互いに左右方向で離間して対向しているため、内側（他方の延出壁４５側）に撓み変形し易くなっている。前側側壁５２における後側溝部５３Ａの前側に隣接する壁部が位置決め凸部４５Ａを乗り越えた後、第１支持部３１の位置決め凸部４５Ａが後側溝部５３Ａ内に入り込む。図１０に示すように、後側側壁５３の後側係止部５３Ｂは、延出壁４５の上下方向の端部を覆う状態となる。図８に示すように、板部５１の前端は、第１支持部３１の前側凹部４６Ｂに嵌まり込む。板部５１は、第１支持部３１の一対の端子収容溝４１を閉鎖する。

　続いて、図９に示すように、下側の第１支持部３１の組み付けと同様に、端子群２２が組み付けられた上側の第１支持部３１を、第２支持部３２に組み付ける。上側の第１支持部３１に対して仮保持位置に嵌め込まれた第２支持部３２を、ロック位置にスライドさせる。図１１に示すように、二対の端子収容溝４１の開口４１Ａは、板部５１によって閉鎖される。

　図１２に示すように、電線７０の突出部７７は、第１支持部３１の開口部４６Ａから外部に露出する。電線７０が開口部４６Ａに入り込む分、インナモジュール１１の上下方向のサイズを低減することができる。開口部４６Ａの幅Ｌ１（シース７５の軸線方向（前後方向）と直交する方向における幅）がシース７５の直径Ｌ２よりも小さいため、シース７５が開口部４６Ａから抜け出ることを防ぐことができる。突出部７７は、テーパ部４６Ｆ内に入り込んでいる。シース７５の外面を開口部４６Ａ側に近づけることができ、インナモジュール１１のサイズを低減することができる。以上のようにして、インナモジュール１１が完成する。

　続いて、図２の矢印で示すように、アウタハウジング１２の収容室８４に対して、後方からインナモジュール１１を挿入する。インナモジュール１１を挿入する前に、アウタハウジング１２に対してリテーナ１３を仮係止状態（図１３参照）にしておく。図１３、図１４は、インナモジュール１１を正規姿勢でアウタハウジング１２に挿入した状態を示している。インナモジュール１１は、リブ５３Ｃが溝部８４Ａに対応する（前後方向で重なる）向きとなることで正規姿勢となる。インナモジュール１１がアウタハウジング１２に正規姿勢で挿入される際に、リブ５３Ｃがアウタハウジング１２の溝部８４Ａに入り込む。インナモジュール１１が正規姿勢となると、アウタハウジング１２の凸部８４Ｂは、長溝４６Ｅ内を前後方向に通過するため、インナモジュール１１と干渉しない。挿入の過程では、弾性抜止片８５は、インナモジュール１１（第１支持部３１の前壁）との干渉によって弾性変形し、その後さらに挿入が進むと弾性復帰して第１外側凹部４６Ｃに係止（一次係止）する。

　図１４に示すように、アウタハウジング１２の凸部８４Ｂは、開口部４６Ａから露出する電線７０の突出部７７に接触する。上側の凸部８４Ｂは、上側の突出部７７に対して上方から接触している。下側の凸部８４Ｂは、下側の突出部７７に対して下方から接触している。一対の電線７０は、上下の凸部８４Ｂによって上下方向で挟まれるように支持される。８つのガタ詰め部８４Ｃは、インナモジュール１１の外面に接触している。図１４では、上側と下側のガタ詰め部８４Ｃのみが見えている。

　インナモジュール１１が正規姿勢でアウタハウジング１２に挿入された後、図１５に示すように、リテーナ１３をアウタハウジング１２に対して本係止状態にする。リテーナ側凸部１３Ｃは、第１支持部３１の第２外側凹部４６Ｄに係止（二次係止）する。これにより、インナモジュール１１のアウタハウジング１２からの抜け出しが規制される。

　図１６は、インナモジュール１１を上下反転した姿勢（反転姿勢）でアウタハウジング１２に挿入した状態を示している。インナモジュール１１がアウタハウジング１２に反転姿勢で挿入される際に、図１６に示すように、リブ５３Ｃがアウタハウジング１２の側壁部８１と干渉する。これにより、インナモジュール１１がアウタハウジング１２に反転姿勢で挿入されたことを検知することができる。

　図１７は、コネクタ１０の適用例を示している。コネクタ１０は、図１７に示すように、一対の導電路７１によって構成される幹線ハーネスの途中に接続されている。コネクタ１０は、幹線ハーネスから通信回路９１を分岐させる機能を有する。通信回路９１は、回路基板９２にプリント回路として形成されたものである。回路基板９２には図示しない基板用コネクタが実装されている。基板用コネクタは、回路基板９２に固定される図示しない基板側ハウジングに、タブ状の２対の分岐側端子９３を取り付けたものである。分岐側端子９３は、通信回路９１に接続されている。コネクタ１０を基板用コネクタに嵌合すると、幹線ハーネスから通信回路９１が分岐された状態となる。

（本実施例の効果）
　以上のように、本開示のコネクタ１０によれば、アウタハウジング１２は、複数の端子群２２を有するインナモジュール１１を１つの収容室８４に収容する構成であるため、複数の端子群２２をそれぞれ別個に収容するために収容室８４内の空間を仕切る壁（複数の端子群２２の並び方向に仕切る壁）を設ける必要がない。そのため、コネクタ１０は、複数の端子群２２の並び方向におけるサイズを低減することができる。

　本開示の一対の端子６０は、一対の導電路７１が撚り合わされたツイストペア線に接続されている。インナハウジング２１は、端子６０を収容するためのスリット状の開口４１Ａを有する一対の第１支持部３１と、開口４１Ａを閉鎖するように第１支持部３１を支持する第２支持部３２と、を有する。これによれば、コネクタ１０は、スリット状の開口４１Ａに対して平行となる姿勢で端子６０を収容させることができる。そのため、コネクタ１０は、一対の端子をそれぞれインナハウジング２１に対して突き刺すような姿勢で挿入する構成に比べて、ツイストペア線の撚り解きを短くできる。

　本開示の一対の第１支持部３１は、同一形状である。これによれば、コネクタ１０の構成部品の種類を低減することができる。

　本開示のコネクタ１０は、第２支持部３２には、一対の第１支持部３１によって挟まれることで開口４１Ａを閉鎖する板部５１が設けられている。これによれば、一つの第２支持部３２で一対の第１支持部３１の開口４１Ａをそれぞれ閉鎖することができる。コネクタ１０は、一対の第１支持部３１の開口４１Ａをそれぞれ別々の部分で閉鎖する構成に比べて、板部５１の板厚方向（端子群２２の並び方向）におけるサイズを低減することができる。

　本開示のアウタハウジング１２は、インナモジュール１１の挿入方向に沿って延びる溝部８４Ａが設けられている。インナハウジング２１には、溝部８４Ａに入り込むリブ５３Ｃが設けられている。インナモジュール１１がアウタハウジング１２に正規姿勢で挿入される際にリブ５３Ｃが溝部８４Ａに入り込む。インナモジュール１１がアウタハウジング１２に正規姿勢とは異なる姿勢で挿入される際にリブ５３Ｃがアウタハウジング１２と干渉する。これによれば、インナモジュール１１がアウタハウジング１２に正規姿勢とは異なる姿勢で挿入される場合に、リブ５３Ｃがアウタハウジング１２に干渉するため、インナモジュール１１の誤挿入を検知することができる。

　本開示のコネクタ１０は、一対の導電路７１をシース７５で包囲することによって電線７０が構成されている。電線７０は、端子６０よりもインナモジュール１１の外面側へ突出する突出部７７を有している。インナハウジング２１の外面には、突出部７７を露出させる開口部４６Ａが設けられている。これによれば、突出部７７が開口部４６Ａから露出することで、開口部４６Ａを設けない構成に比べて、電線７０が開口部４６Ａに入り込む分、インナモジュール１１のサイズを低減することができる。

　本開示のコネクタ１０は、シース７５の軸線方向と直交する方向における開口部４６Ａの幅が、シース７５の直径よりも小さい。これによれば、シース７５が開口部４６Ａから抜け出ることを防ぐことができる。

　本開示のコネクタ１０は、開口部４６Ａの開口縁の内面に、電線７０側に向けて拡がるテーパ部４６Ｆが設けられている。これによれば、テーパ部４６Ｆを設けない構成に比べて、シース７５の外面を開口部４６Ａ側に近づけることができ、インナモジュール１１のサイズを低減することができる。

　本開示のアウタハウジング１２には、収容室８４の内側に突出して、開口部４６Ａから露出する突出部７７に接触する凸部８４Ｂが設けられている。これによれば、コネクタ１０は、電線７０のガタつきを抑えることができる。

　［他の実施例］
　本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、請求の範囲によって示される。本発明には、請求の範囲と均等の意味及び請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記のような実施形態も含まれることが意図される。
　上記実施例１では、インナモジュール１１が一対の端子群２２を備える構成を例示したが、インナモジュール１１が３つ以上の端子群２２を備えていてもよい。例えば、各端子群２２の端子収容溝４１の開口４１Ａの向きが上下方向となるように、３つ以上の端子群２２を上下方向に並べる構成としてもよい。
　上記実施例１では、第１支持部３１に前後方向に長い形状の端子収容溝４１が設けられる構成であったが、端子６０を前後方向に差し込む貫通孔が設けられていてもよい。
　上記実施例１では、一対の第１支持部３１が互いに上下反転した姿勢で第２支持部３２に支持されていたが、一対の第１支持部３１がともに同じ姿勢（上下反転していない姿勢）で第２支持部３２に支持されていてもよい。この場合、第２支持部３２には、外側に向いた一方の端子収容溝４１の開口４１Ａを覆う構成が設けられていてもよい。
　上記実施例１では、一対の端子６０が互いに上下反転した姿勢でインナハウジング２１に支持されていたが、一対の端子６０がともに同じ姿勢（上下反転していない姿勢）でインナハウジング２１に支持されていてもよい。
　上記実施例１では、両方の後側側壁５３にリブ５３Ｃが設けられていたが、一方の後側側壁５３のみにリブ５３Ｃが設けられていてもよい。第２支持部３２の後側側壁５３にリブ５３Ｃが設けられていたが、第２支持部３２の他の部分（前側側壁５２など）に設けられていてもよい。
　上記実施例１では、第１支持部３１の開口部４６Ａにテーパ部４６Ｆが設けられていたが、テーパ部４６Ｆが設けられていなくてもよい。

１０…コネクタ
１１…インナモジュール
１２…アウタハウジング
１３…リテーナ
１３Ａ…底壁
１３Ｂ…側壁
１３Ｃ…リテーナ側凸部
１３Ｄ…リテーナ側凹部
１３Ｅ…係止部
２１…インナハウジング
２２…端子群
３１…第１支持部
３２…第２支持部
４１…端子収容溝
４１Ａ…開口
４１Ｂ…前側抜止め凹部
４１Ｃ…後側抜止め凹部
４１Ｄ…抜止め凸部
４１Ｅ…傾斜部
４１Ｆ…爪部
４１Ｇ…幅狭部
４２…挿入口
４３…凹部
４３Ａ，４３Ｂ…端部溝
４３Ｃ…幅広部
４４…厚肉部
４４Ａ…凹み部
４５…延出壁
４５Ａ…位置決め凸部
４６…底壁部
４６Ａ…開口部
４６Ｂ…前側凹部
４６Ｃ…第１外側凹部
４６Ｄ…第２外側凹部
４６Ｅ…長溝
４６Ｆ…テーパ部
５１…板部
５１Ａ…突起部
５２…前側側壁
５２Ａ…前側係止部
５３…後側側壁
５３Ａ…後側溝部
５３Ｂ…後側係止部
５３Ｃ…リブ
６０…端子
６１…角筒部
６１Ａ…前側スタビライザ
６１Ｂ…後側スタビライザ
６２…圧着部
７０…電線
７１…導電路
７２…分断部
７３…絶縁被覆
７４…導体
７５…シース
７６…かしめリング
７６Ａ…被覆部
７７…突出部
８１…側壁部
８１Ａ…第１被係止部
８１Ｂ…第２被係止部
８２…底壁部
８３…上壁部
８４…収容室
８４Ａ…溝部
８４Ｂ…凸部
８４Ｃ…ガタ詰め部
８５…弾性抜止片
８６…ロックアーム
９１…通信回路
９２…回路基板
９３…分岐側端子

Claims

　一対の導電路にそれぞれ接続される一対の端子を具備する端子群を複数有するインナモジュールと、
　前記インナモジュールを収容するアウタハウジングと、
を備え、
　前記インナモジュールは、複数の前記端子群を支持して一体的に構成されるインナハウジングを有し、
　前記アウタハウジングは、前記インナモジュールを収容する１つの収容室を有するコネクタ。
　一対の前記端子は、一対の前記導電路が撚り合わされたツイストペア線に接続され、
　前記インナハウジングは、
　前記端子を収容するためのスリット状の開口を有する複数の第１支持部と、
　前記開口を閉鎖するように前記第１支持部を支持する第２支持部と、
を有する請求項１に記載のコネクタ。
　複数の前記第１支持部は、同一形状である請求項２に記載のコネクタ。
　前記第２支持部には、一対の前記第１支持部によって挟まれることで前記開口を閉鎖する板部が設けられている請求項２又は請求項３に記載のコネクタ。
　前記アウタハウジングには、前記インナモジュールの挿入方向に沿って延びる溝部が設けられており、
　前記インナハウジングには、前記溝部に入り込むリブが設けられており、
　前記インナモジュールが前記アウタハウジングに正規姿勢で挿入される際に前記リブが前記溝部に入り込み、前記インナモジュールが前記アウタハウジングに前記正規姿勢とは異なる姿勢で挿入される際に前記リブが前記アウタハウジングと干渉する請求項１から請求項４のいずれか一項に記載のコネクタ。
　一対の前記導電路をシースで包囲することによって電線が構成され、
　前記電線は、前記端子よりも前記インナモジュールの外面側へ突出する突出部を有し、
　前記インナハウジングの外面には、前記突出部を露出させる開口部が設けられている請求項１から請求項５のいずれか一項に記載のコネクタ。
　前記シースの軸線方向と直交する方向における前記開口部の幅が、前記シースの直径よりも小さい請求項６に記載のコネクタ。
　前記開口部の開口縁の内面には、前記電線側に向けて拡がるテーパ部が設けられている請求項６又は請求項７に記載のコネクタ。
　前記アウタハウジングには、前記収容室の内側に突出して、前記開口部から露出する前記突出部に接触する凸部が設けられている請求項６から請求項８のいずれか一項に記載のコネクタ。