WO2022114213A1

WO2022114213A1 - 保持装置、バッテリー、バッテリー保持機構、及び電動自転車

Info

Publication number: WO2022114213A1
Application number: PCT/JP2021/043793
Authority: WO
Inventors: 哲郎赤松; 満小川
Original assignee: パナソニックＩｐマネジメント株式会社
Priority date: 2020-11-30
Filing date: 2021-11-30
Publication date: 2022-06-02
Also published as: JPWO2022114213A1; DE112021006208T5

Abstract

電動自転車のフレームに対するバッテリーの固定を二段階固定にして安全性を高めるとともに、利用者がバッテリーの取り外し作業を簡単に行うことができるようにすることを目的とする。電動自転車１のフレーム１０に固定されたロック装置６に対して、バッテリー本体３を着脱自在に保持するために用いられる保持装置４である。保持装置４は、バッテリー本体３に固定されるベース部４１と、ロック装置６の係止部６１が係止するように構成されたストッパー４２と、ベース部４１に対して移動自在となりストッパー４２を移動させる操作レバー４３と、を備える。操作レバー４３は、ストッパー４２が係止部６１に係止する係止位置と、ストッパー４２が係止部６１に係止しない非係止位置との間で、移動自在である。

Description

保持装置、バッテリー、バッテリー保持機構、及び電動自転車

　本開示は、保持装置、バッテリー、バッテリー保持機構、及び電動自転車に関する。

　特許文献１には、電動自転車において、電動自転車のフレームに対してバッテリーを着脱自在に固定する構造が開示されている。この構造では、フレームに鍵穴とレバーが設けられており、利用者はバッテリーをフレームから取り外す場合に、鍵穴に鍵を挿し込んで一方向に回転させることで、バッテリーの固定を解除する。次いで、利用者は、レバーを回転させることでバッテリーをフレームに沿ってスライドさせる。この手順を経ることにより、利用者はバッテリーを取り外すことができる。

　上記した従来の技術では、利用者が鍵穴に鍵を挿し込んで回転させた段階で、バッテリーの固定は解除される。言い換えれば、従来の技術におけるバッテリーの固定は、一段階固定である。そして、利用者は、バッテリーの固定を解除した後に、フレームに設置されたレバーを回動させることでバッテリーをフレームに沿って強制的にスライドさせ、その後に、バッテリーを掴んでフレームから外す必要がある。そのため、バッテリーの取り外し作業に手間が掛かる。

国際公開第２０１３／１８６８１４号

　本開示は、電動自転車のフレームに対するバッテリーの固定を二段階固定にして安全性を高めるとともに、利用者がバッテリーの取り外し作業を簡単に行うことができるようにすることを、目的とする。

　第１の態様に係る保持装置は、電動自転車のフレームに固定されたロック装置に対して、バッテリー本体を着脱自在に保持するために用いられる保持装置である。前記保持装置は、前記ロック装置に対する動きを規制する第１ロック部及び第２ロック部を有する。第１ロック部及び第２ロック部によって、前記ロック装置に対する動きが規制されることで第１状態となる。第１ロック部による規制が解除され、かつ、第２ロック部によって前記ロック装置に対する動きが規制されることで第２状態となる。前記第１状態と前記第２状態とにおいて、前記ロック装置と前記保持装置との相対位置が変わらない。

　第１の態様に係る前記保持装置によれば、前記第１状態から前記第２状態を経てロックが解除されるが、前記第２状態では前記ロック装置と前記保持装置との相対位置が変わらないため、第１ロック部による規制が解除されて前記第２状態となっても前記バッテリー本体が脱落せず、安全性を高めることができる。

　第２の態様に係る保持装置は、電動自転車のフレームに固定されたロック装置に対して、バッテリー本体を着脱自在に保持するために用いられる保持装置である。前記保持装置は、前記バッテリー本体に固定されるベース部と、前記ロック装置の係止部が係止するように構成されたストッパーと、前記ベース部に対して移動自在となり前記ストッパーを移動させる操作レバーと、を備える。前記操作レバーは、前記ストッパーが前記係止部に係止する係止位置と、前記ストッパーが前記係止部に係止しない非係止位置との間で、移動自在である。

　したがって、第２の態様に係る前記保持装置によれば、前記係止部を移動自在に構成して、前記電動自転車の前記フレームに対するバッテリーの固定を第一のロック解除操作と第二のロック解除操作の二段階で行い、安全性を高めることができる。加えて、利用者は、前記バッテリー側に設けられた前記操作レバーを指で操作しながら、前記バッテリーを取り外すことができるため、前記バッテリーの取り外し作業を簡単に行うことができる。

　第３の態様に係る前記保持装置は、第２の態様に加えて、前記操作レバーの押込み部は、前記ベース部の前記バッテリー本体に対向する対向面に対して直交する方向に移動自在である。

　したがって、第３の態様に係る前記保持装置によれば、利用者は、前記バッテリーを前後方向から掴んだ状態で、前記操作レバーを簡単に押し込み操作することができる。

　第４の態様に係る前記保持装置は、第２又は第３の態様に加えて、前記操作レバーは、前記係止位置を保持するように前記対向面に対して直交する方向に付勢されている。

　したがって、第４の態様に係る前記保持装置によれば、利用者は、前記操作レバーを押し込んでいないときにはロックを維持し、付勢に抗して前記操作レバーを押し込んだときにロックを解除することができる。

　第５の態様に係る前記保持装置は、第２の態様に加えて、前記操作レバーの前記押込み部は、前記ベース部の前記バッテリー本体に対向する前記対向面に対して平行な方向に移動自在である。

　したがって、第５の態様に係る前記保持装置によれば、利用者は、前記バッテリーを前後方向から掴んだ状態で、前記操作レバーを簡単に押し込み操作することができる。

　第６の態様に係る前記保持装置は、第２又は第５の態様に加えて、前記操作レバーは、前記係止位置を保持するように前記対向面に対して平行な方向に付勢されている。

　したがって、第６の態様に係る前記保持装置によれば、利用者は、前記操作レバーを押し込んでいないときにはロックを維持し、付勢に抗して前記操作レバーを押し込んだときにロックを解除することができる。

　第７の態様に係る前記保持装置は、第２から第６の態様のいずれか１つに加えて、前記操作レバーの少なくとも一部を覆うように前記ベース部に固定されるカバー部材を、更に備える。前記カバー部材は、前記ベース部に対して着脱自在である。

　したがって、第７の態様に係る前記保持装置によれば、前記バッテリーの一端部を構成する前記保持装置のうち、破損や変形が比較的生じやすいと想定される前記カバー部材を、簡単に交換することができる。

　第８の態様に係る前記バッテリーは、第１から第７の態様のいずれか１つに係る前記保持装置と、前記保持装置がその一端部に固定された前記バッテリー本体と、を備える。

　したがって、第８の態様に係る前記バッテリーによれば、前記電動自転車の前記フレームに対する前記バッテリーの固定を二段階で行い、安全性を高めることができる。加えて、利用者は、前記操作レバーを指で操作しながら前記バッテリーを取り外すことができるため、前記バッテリーの取り外し作業を簡単に行うことができる。

　第９の態様に係るバッテリー保持機構は、第１から第７の態様のいずれか１つに係る前記保持装置と、前記係止部が設けられた前記ロック装置と、を備える。前記係止部は、前記保持装置の前記ストッパーに係止する前記係止位置と、前記ストッパーに係止しない前記非係止位置との間で、移動自在である。

　したがって、第９の態様に係る前記バッテリー保持機構によれば、前記電動自転車の前記フレームに対する前記バッテリーの固定を二段階で行い、安全性を高めることができる。加えて、利用者は、前記バッテリー側に設けられた前記操作レバーを指で操作しながら、前記バッテリーを取り外すことができるため、前記バッテリーの取り外し作業を簡単に行うことができる。

　第１０の態様に係る前記バッテリー保持機構は、第９の態様に加えて、前記ロック装置は、前記係止部を移動自在に保持するメインロック部を備える。

　したがって、第１０の態様に係る前記バッテリー保持機構によれば、前記メインロック部の操作に基づいて行うメインロックにより、前記バッテリーを前記フレームに対して安定的に固定することができる。

　第１１の態様に係る前記電動自転車は、第９又は第１０の態様の前記バッテリー保持機構と、前記バッテリー保持機構の前記保持装置が固定された前記バッテリー本体と、前記バッテリー保持機構の前記ロック装置が固定された前記フレームと、を備える。前記保持装置は、前記バッテリー本体の上端部に固定されている。

　したがって、第１１の態様に係る前記電動自転車によれば、前記電動自転車の前記フレームに対する前記バッテリーの固定を二段階で行い、安全性を高めることができる。加えて、利用者は、前記バッテリー側に設けられた前記操作レバーを指で操作しながら、前記バッテリーを取り外すことができるため、前記バッテリーの取り外し作業を簡単に行うことができる。

　第１２の態様に係る保持装置は、電動自転車のフレームに固定されたロック装置に対して、バッテリー本体を着脱自在に保持するために用いられる保持装置である。前記保持装置は、前記バッテリー本体に固定されるベース部と、前記ロック装置に含まれる第１係止部が係止するように構成された前記ストッパーと、前記ロック装置に含まれる第２係止部に係止するように構成された前記操作レバーと、を備える。前記第１係止部は、第１方向に移動可能である。前記第２係止部と前記操作レバーの少なくとも一方は、前記第２係止部と前記操作レバーが互いに係止する係止位置と、前記第２係止部と前記操作レバーが互いに係止しない非係止位置との間で、前記第１方向とは異なる第２方向に移動可能である。

　したがって、第１２の態様に係る前記保持装置によれば、前記電動自転車の前記フレームに対するバッテリーの固定を二重に行い、安全性を高めることができる。加えて、利用者は、前記第２係止部と前記操作レバーの少なくとも一方を操作しながら、前記バッテリーを取り外すことができるため、前記バッテリーの取り外し作業を簡単に行うことができる。

　第１３の態様に係る前記保持装置では、第１２の態様に加えて、前記操作レバーは、前記ベース部に対して前記第２方向に移動可能な前記操作レバーである。

　したがって、第１３の態様に係る前記保持装置によれば、利用者は、前記バッテリー側に設けられた前記操作レバーを指で操作しながら、前記バッテリーを取り外すことができるため、前記バッテリーの取り外し作業を簡単に行うことができる。

　第１４の態様に係る前記保持装置では、第１３の態様に加えて、前記操作レバーは、前記係止位置を保持するように付勢されている。

　したがって、第１４の態様に係る前記保持装置によれば、利用者は、前記操作レバーを押し込んでいないときにはサブロックを維持し、付勢に抗して前記操作レバーを押し込んだときにサブロックを解除することができる。

　第１５の態様に係る前記保持装置では、第１３又は第１４の態様に加えて、前記操作レバーは、前記ベース部に対して平行な方向に付勢されている。

　したがって、第１５の態様に係る前記保持装置によれば、利用者は、前記バッテリーを掴んだ状態のままで、簡単に前記操作レバーを押し込み操作することができる。

　第１６の態様に係る前記保持装置は、第１３から第１５の態様のいずれか１つに加えて、弾性部材を更に備える。前記操作レバーは、前記弾性部材によって付勢されている。

　したがって、第１６の態様に係る前記保持装置によれば、利用者は、前記操作レバーを押し込んでいないときには前記弾性部材の付勢力によってサブロックを維持し、該付勢力に抗して前記操作レバーを押し込んだときにサブロックを解除することができる。

　第１７の態様に係る前記保持装置では、第１３から第１６の態様のいずれか１つに加えて、前記操作レバーは、前記ベース部に回転可能に連結される支軸部と、前記ロック装置の前記第２係止部に係止するように構成された作用部と、利用者が押し込むための前記押込み部と、を有する。前記支軸部と前記押込み部との間の距離は、前記支軸部と前記作用部との間の距離よりも、大きい。

　したがって、第１７の態様に係る前記保持装置によれば、前記押込み部の移動幅を確保しやすく、また、前記作用部において大きな力を作用させやすい。

　第１８の態様に係る前記保持装置は、第１３から第１７の態様のいずれか１つに加えて、前記操作レバーの少なくとも一部を覆うように前記ベース部に固定される前記カバー部材を、更に備える。前記カバー部材は、前記ベース部に対して着脱可能である。

　したがって、第１８の態様に係る前記保持装置によれば、前記バッテリーの一端部を構成する前記保持装置のうち、破損や変形が比較的生じやすいと想定される前記カバー部材を、簡単に交換することができる。

　第１９の態様に係る前記保持装置は、第１２から第１８の態様のいずれか１つに加えて、前記ベース部に固定されるロックプレートを、更に備える。前記ロックプレートの表面が、前記ストッパーの表面を構成する。

　したがって、第１９の態様に係る前記保持装置によれば、前記バッテリーの一端部を構成する前記保持装置のうち、破損や変形等が比較的生じやすいと想定される前記ロックプレートを、簡単に交換することができる。

　第２０の態様に係る前記保持装置は、第１３から第１６の態様のいずれか１つに加えて、前記ベース部に固定される前記カバー部材を、更に備える。前記操作レバーは、利用者が押し込むための前記押込み部を有する。前記カバー部材は、前記操作レバーのうち少なくとも前記押込み部を除いた部分を覆うように、前記ベース部に固定される。

　したがって、第２０の態様に係る前記保持装置によれば、前記バッテリーの一端部を構成する前記保持装置において、前記操作レバーの操作性を確保しながら、前記カバー部材によって前記操作レバーを保護することができる。

　第２１の態様に係る前記保持装置は、第１３から第１６の態様のいずれか１つに加えて、前記ベース部に固定される前記カバー部材を、更に備える。前記操作レバーは、前記ロック装置の前記第２係止部に係止する前記作用部を有する。前記カバー部材は、前記操作レバーのうち少なくとも前記作用部を除いた部分を覆うように、前記ベース部に固定される。

　したがって、第２１の態様に係る前記保持装置によれば、前記操作レバーの操作性を確保しながら、前記カバー部材によって前記操作レバーを保護することができる。

　第２２の態様に係る前記バッテリーは、第１２から第２１の態様のいずれか１つに係る前記保持装置と、前記保持装置がその一端部に固定された前記バッテリー本体と、を備える。

　したがって、第２２の態様に係る前記バッテリーによれば、前記電動自転車の前記フレームに対する前記バッテリーの固定を二重に行い、安全性を高めることができる。加えて、利用者は、前記操作レバーを指で操作しながら前記バッテリーを取り外すことができるため、前記バッテリーの取り外し作業を簡単に行うことができる。

　第２３の態様に係る前記バッテリー保持機構は、第１２から第２１の態様のいずれか１つに係る前記保持装置と、前記第１係止部と前記第２係止部とを含む前記ロック装置と、を備える。前記第１係止部は、前記保持装置の前記ストッパーに係止する前記係止位置と、前記ストッパーに係止しない前記非係止位置との間で、前記第１方向に移動可能である。

　したがって、第２３の態様に係る前記バッテリー保持機構によれば、前記電動自転車の前記フレームに対する前記バッテリーの固定を二重に行い、安全性を高めることができる。加えて、利用者は、前記バッテリー側に設けられた前記操作レバーを指で操作しながら、前記バッテリーを取り外すことができるため、前記バッテリーの取り外し作業を簡単に行うことができる。

　第２４の態様に係る前記バッテリー保持機構では、第２３の態様に加えて、前記ロック装置は、前記操作レバーが係止するように構成された前記第２係止部と、前記第１係止部を移動可能に保持する前記メインロック部と、を一体に備える。

　したがって、第２４の態様に係る前記バッテリー保持機構によれば、前記メインロック部の操作に基づいて行うメインロックと、前記操作レバーの操作に基づいて行うサブロックの両方で、前記バッテリーを前記フレームに対して安定的に固定することができる。

　第２５の態様に係る前記電動自転車は、第２３又は第２４の態様の前記バッテリー保持機構と、前記バッテリー保持機構の前記保持装置が固定された前記バッテリー本体と、前記バッテリー保持機構の前記ロック装置が固定された前記フレームと、を備える。前記保持装置は、前記バッテリー本体の上端部に固定されている。

　したがって、第２５の態様に係る前記電動自転車によれば、前記電動自転車の前記フレームに対する前記バッテリーの固定を二重に行い、安全性を高めることができる。加えて、利用者は、前記バッテリー側に設けられた前記操作レバーを指で操作しながら、前記バッテリーを取り外すことができるため、前記バッテリーの取り外し作業を簡単に行うことができる。

図１は、一実施形態の電動自転車の側面図である。図２は、同上の電動自転車の要部側面図である。図３は、図２のＡ－Ａ線断面図である。図４は、同上の電動自転車が備えるバッテリーの斜め上方より見た斜視図である。図５は、同上のバッテリー及びこれを支持するホルダーの斜め上方より見た分解斜視図である。図６は、同上のバッテリーの上端部の斜め上方より見た分解斜視図である。図７は、同上のバッテリーの上端部の斜め下方より見た分解斜視図である。図８は、同上の電動自転車のバッテリーを取り外したフレームの斜め下方より見た斜視図である。図９は、同上の電動自転車の保持装置及びロック装置を含む部分のロックされている状態の断面図である。図１０は、同上の部分のロックバーが後退した状態の断面図である。図１１は、同上の部分のストッパーが後退してロックが解除された状態の断面図である。図１２は、同上のバッテリーを取り外される途中の状態の断面図である。図１３は、変形例１のバッテリー及びこれを支持するホルダーの斜め上方より見た分解斜視図である。図１４は、同上のバッテリーが備える底カバーの正面図である。図１５Ａは、図１４のｄ－ｄ線断面図であり、図１５Ｂは、図１４のｅ－ｅ線断面図である。図１６は、同上の電動自転車の要部側面図である。図１７は、図１６のＡ矢視図である。図１８は、図１７のｂ－ｂ線断面図である。図１９は、同上の電動自転車においてバッテリーの固定が解除された状態の要部斜視図である。図２０は、図１９のｃ－ｃ線断面図である。図２１は、同上の電動自転車が備えるバッテリーの斜視図である。図２２は、同上のバッテリーの上端部の分解斜視図である。図２３Ａは、同上のバッテリーが備える保持装置において操作レバーが係止位置にあるときを示す、カバー部材を外した上面図であり、図２３Ｂは、同上の保持装置において操作レバーが非係止位置にあるときを示す、カバー部材を外した上面図である。図２４は、同上の操作レバーの側面図である。図２５は、同上のバッテリーにロックユニットを組み合わせた斜視図である。図２６は、同上のロックユニットの分解斜視図である。図２７は、同上の電動自転車の変形例２の要部断面図である。図２８は、同上の電動自転車の変形例３の要部断面図である。

　１．一実施形態
　１－１．電動自転車の全体構造
　図１に示す一実施形態の電動自転車１は、電動アシスト自転車である。一実施形態の電動自転車１は、フレーム１０と、フレーム１０に回転自在に連結された二つの車輪１１と、フレーム１０に取り付けられたハンドル部１２、サドル部１３、及びモーターユニット１５とを備える。二つの車輪１１は、前輪１１１と後輪１１２である。このうち後輪１１２が、モーターユニット１５から出力される駆動力によって回転駆動される。

　本文において用いる上下方向は、電動自転車１が水平面上に置かれたときを基準として定義される。本文において用いられる前後左右の各方向は、電動自転車１の運転者を基準として定義される。つまり、運転者が電動自転車１に乗って進行する方向が前方、これの反対側が後方であり、運転者から見て左の方向が左方、運転者から見て右の方向が右方である。

　フレーム１０は、ヘッドチューブ１０１、トップチューブ１０２、ダウンチューブ１０３、シートチューブ１０４、シートステー１０５、チェーンステー１０６、及びブラケット１０７を有する。フレーム１０（つまりフレーム１０を構成する上記の各部）は、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属で形成されるが、非金属を一部に含んでもよい。フレーム１０の全体が非金属で形成されてもよく、フレーム１０の材質は特に限定されない。

　ヘッドチューブ１０１には、ハンドル部１２が回転自在に取り付けられている。ハンドル部１２の下端部からは、フロントフォーク１２１が下方に延長されている。フロントフォーク１２１には、前輪１１１が回転可能に取り付けられている。

　ヘッドチューブ１０１には、トップチューブ１０２の前端部が固定されている。トップチューブ１０２の後端部は、シートチューブ１０４に固定されている。シートチューブ１０４の上端には、サドル部１３が接続されている。シートチューブ１０４の下端部には、ブラケット１０７が固定されている。ダウンチューブ１０３は、ブラケット１０７から前斜め上方に向けて伸びたチューブであり、ヘッドチューブ１０１には、ダウンチューブ１０３の前端部が固定されている。言い換えれば、ダウンチューブ１０３は、ヘッドチューブ１０１からブラケット１０７に向けて、後ろ斜め下方に向けて伸びたチューブであり、ダウンチューブ１０３の後端部は、ブラケット１０７に固定されている。

　ブラケット１０７の下側には、モーターユニット１５が固定されている。ブラケット１０７の後端部には、チェーンステー１０６の前端部が固定されている。トップチューブ１０２の後端部には、シートステー１０５の前端部が固定されている。シートステー１０５の後端部は、チェーンステー１０６の後端部に連結されており、この連結部分に後輪１１２が回転自在に装着されている。

　モーターユニット１５には、クランクアーム１８が回転自在に挿し通されている。モーターユニット１５の内部には、前側のスプロケット１９１が設けられている。後輪１１２のハブには、後側のスプロケット１９２が固定されている。前側のスプロケット１９１と後側のスプロケット１９２の間には、チェーン１９３が掛け回されている。

　更に、一実施形態の電動自転車１は、モーターユニット１５に電力を供給するためのバッテリー２と、バッテリー２をフレーム１０に対して着脱自在に装着するためのロックユニット５とを備える。

　図４に示すように、バッテリー２は、バッテリー本体３と、バッテリー本体３の長手方向の一端部に固定された保持装置４とを備える。バッテリー本体３の長手方向の一端部は、バッテリー本体３の上端部である。

　図９に示すように、ロックユニット５は、バッテリー２が着脱自在に装着されるロック装置６と、ロック装置６をフレーム１０に固定する固定構造７とで構成されている。一実施形態の電動自転車においては、ロック装置６が、バッテリー２の一部（つまり保持装置４）を着脱自在に固定する。これにより、バッテリー２は、ロック装置６を含むロックユニット５に着脱自在に固定され、ひいては、ロックユニット５を介してフレーム１０に着脱自在に装着される。

　一実施形態の電動自転車１において、ロックユニット５は、フレーム１０のダウンチューブ１０３に取り付けられている。ダウンチューブ１０３には、切り欠き部分１０８が設けられている。切り欠き部分１０８は、ダウンチューブ１０３の長手方向（図２、図９等に示す第１方向９１）と直交する方向（図２、図９等に示す第２方向９２）のうちの前斜め下方に向けて開口している。バッテリー２は、ロックユニット５を介して、切り欠き部分１０８に嵌まるような形態でダウンチューブ１０３に装着される。

　以下においては、これら各構成について更に詳しく説明する。

　１－２．バッテリー本体
　図２～図５等に示すように、バッテリー２の主体を構成するバッテリー本体３は、複数の蓄電池セル３１と、これら複数の蓄電池セル３１を囲む筒型のケース３２と、ケース３２の外表面に取り付けられたカバー部３３と、ケース３２の下端を覆う底カバー３５とを備える。カバー部３３は、ケース３２の外表面に取り付けられた状態で、バッテリーの表面の一部を構成する。

　一実施形態のバッテリー本体３は、蓄電池セル３１を複数備えるが、蓄電池セル３１は少なくとも１つ備えればよい。ケース３２の長手方向は、バッテリー本体３の長手方向と一致し、また、バッテリー２の長手方向と一致する。ケース３２の外周面のうち左右両側の部分には、カバー部３３を引っ掛けるための溝３２１，３２２がそれぞれ形成されている（図３参照）。溝３２１，３２２はそれぞれ、ケース３２の長手方向に一直線状に伸びた有底溝であり、ケース３２の長手方向の全長にわたって形成されている。

　カバー部３３は、カバー部３３の主体を構成する断面弧状のカバー部材３３０と、カバー部材３３０をケース３２に装着するための断面弧状のカバー保持部材３３１とを有する。カバー部３３の周縁部（つまりカバー保持部材３３１の周縁部）には、カバー部３３をケース３２に引っ掛けるための爪構造３３２が設けられている。爪構造３３２は、左側の爪３３３と右側の爪３３４を含む。左側の爪３３３が、ケース３２の左側の溝３２１に引っ掛かり、右側の爪３３４が、ケース３２の右側の溝３２２に引っ掛かることで、カバー部３３はケース３２の外周面の一部を覆うようにケース３２に仮固定される。更にカバー部３３は、複数の固定具３６（図４参照）を用いて保持装置４と底カバー３５とに本固定される。

　加えて、カバー部３３の周縁部（つまりカバー保持部材３３１の周縁部）には、リブ構造３３５が設けられている。リブ構造３３５は、カバー部３３の左側の端縁部（つまりカバー保持部材３３１の左側の端縁部）から突出する左リブ３３６と、カバー部３３の右側の端縁部（つまりカバー保持部材３３１の右側の端縁部）から突出する右リブ３３７とを含む。左リブ３３６と右リブ３３７はそれぞれ、カバー部３３の長手方向に一直線状に伸びたリブである。カバー部３３の長手方向は、ケース３２の長手方向と一致する。左リブ３３６と右リブ３３７は、左右方向において互いに離れる方向に突出している。

　リブ構造３３５は、左リブ３３６の上端部から延長された左側の指掛け部３３８と、右リブ３３７の上端部から延長された右側の指掛け部３３９とを更に含む。左側の指掛け部３３８と右側の指掛け部３３９はともに、互いに近づく方向に延長されかつ途中で上方に向けて折れ曲がったＬ字状のリブで構成されている。

　図５に示すように、フレーム１０の切り欠き部分１０８の下端部には、バッテリー２の下端部を着脱自在に保持するためのホルダー１０９が設けられている。

　図２、図３等に示すように、バッテリー２がフレーム１０の切り欠き部分１０８に装着された状態において、バッテリー２の外表面の一部を構成するカバー部３３は、外部に露出する。この状態において、カバー部３３の周縁部（つまりカバー保持部材３３１の周縁部）と、フレーム１０の切り欠き部分１０８との間には、隙間２００が形成される。隙間２００は、バッテリー２と切り欠き部分１０８との間に利用者の指が挟まることを抑えるための隙間である。隙間２００は、８ｍｍ以上であることが好ましい。

　隙間２００は、バッテリー２の左端縁に沿って形成される左側の隙間２０１と、バッテリー２の右端縁に沿って形成される右側の隙間２０２と含む。バッテリー２がフレーム１０の切り欠き部分１０８に装着された状態において、左側の隙間２０１と右側の隙間２０２はそれぞれ、バッテリー２の長手方向に一直線状に形成される。バッテリー２がフレーム１０の切り欠き部分１０８に装着された状態において、バッテリー２の長手方向は、切り欠き部分１０８の長手方向と一致し、また、フレーム１０のうちバッテリー２が装着される部分の長手方向（詳しくはダウンチューブ１０３の長手方向（図２、図９等に示す第１方向９１）と一致する。

　バッテリー２がフレーム１０の切り欠き部分１０８に装着された状態において、バッテリー本体３のリブ構造３３５は、隙間２００の前方に位置する。リブ構造３３５に含まれる左リブ３３６は、左側の隙間２０１の前方に位置し、リブ構造３３５に含まれる右リブ３３７は、右側の隙間２０２の前方に位置する。したがって、仮に、泥等が前方から隙間２００に向けて飛散してきても、リブ構造３３５に当たって止められる。そのため、泥等が隙間２００内に侵入することは抑えられる。しかも、左リブ３３６と右リブ３３７が存在することで、利用者は左リブ３３６と右リブ３３７にそれぞれ自身の指を当ててバッテリー２を安定的に把持することが可能である。左リブ３３６と右リブ３３７の先端部は、滑らかに丸まっていることが好ましい。

　１－３．保持装置
　次に、バッテリー２の上端部を構成する保持装置４について、図４－図７等に基づいて説明する。保持装置４は、電動自転車１のフレーム１０に固定されたロック装置６に対して、バッテリー本体３を着脱自在に保持するために用いられる。

　保持装置４は、複数の固定具４９（図６参照）を用いて、バッテリー本体３が備えるケース３２の上端部に固定される。各固定具４９は、例えばビスである。バッテリー２において、無底筒形であるケース３２の上端開口が保持装置４によって塞がれ、ケース３２の下端開口が底カバー３５によって塞がれる。

　保持装置４は、ケース３２の上端開口を塞ぐようにケース３２に固定されるベース部４１と、第１ロック部であり第２ロック部でもあるストッパー４２が形成されたストッパー部材４２０と、ベース部４１に対して移動自在となりストッパー４２を移動させる操作レバー４３と、ストッパー部材４２０及び操作レバー４３に付勢力を与える弾性部材４４と、操作レバー４３の少なくとも一部と弾性部材４４とを覆うようにベース部４１に固定されたカバー部材４５とを備える。ストッパー４２は、ロック装置６の一部が選択的に係止することができるように構成されている。ここでのロック装置６の一部は、後述する係止部６１（つまりロックバー６３４、図８及び図９参照）である。なお、便宜上、以下の説明において係止部６１を第１係止部６１として説明する。

　図６に示すように、ベース部４１は、樹脂を用いて成形されたベース部材であって、ケース３２の上端開口を塞ぐ平板状の本体４１１と、本体４１１から上方に突出した周壁部４１２とを、一体に有する。本体４１１のうちバッテリー本体３に対向する対向面４１４と反対側の面（つまり上面）には、操作レバー４３を回転自在に配するための領域４１０が設けられている。周壁部４１２には、操作レバー４３の一部を回転自在に挿入するための切り欠き部分４１３が形成されている。切り欠き部分４１３に挿入される操作レバー４３の一部は、後述する支軸部４３１である。

　周壁部４１２は、本体４１１のうち領域４１０を囲む部分から、バッテリー本体３から離れる方向（つまり上方）に向けて突出している。本体４１１と周壁部４１２とで囲まれる空間に、ストッパー部材４２０、操作レバー４３及びカバー部材４５が回転自在に配置される。言い換えれば、本体４１１の領域４１０とこれを囲む周壁部４１２によって、ストッパー部材４２０、操作レバー４３及びカバー部材４５を収容する収容凹部が形成される。収容凹部は、バッテリー本体３から離れる方向に向けて開放されている。

　ストッパー部材４２０は、ストッパー４２を一体に備える。ストッパー４２は、ロック装置６の第１係止部６１が係止するように構成される。ストッパー４２は、対向面４１４に対して直交する方向のうち、本体４１１から離れる方に向けて突出している。

　操作レバー４３は、ストッパー４２が第１係止部６１に係止する係止位置と、ストッパー４２が第１係止部６１に係止しない非係止位置との間で、移動自在である。操作レバー４３は、レバー本体４３０と、レバー本体４３０の一端側においてベース部４１に向けて突出する円柱状の支軸部４３１と、レバー本体４３０の支軸部４３１と反対側の端部に形成された押込み部４３３と、支軸部４３１と押込み部４３３との間において形成される作用部４３２とを、一体に有する。支軸部４３１は、ベース部４１の切り欠き部分４１３に挿入されることで、本体４１１に対して回転自在に連結される。操作レバー４３の押込み部４３３は、ベース部４１の対向面４１４に対して直交する方向（図９における第１方向９１）に移動自在である。

　図６及び図７に示すように、支軸部４３１と押込み部４３３との間の距離は、支軸部４３１と作用部４３２との間の距離よりも大きい。そのため、一実施形態の保持装置４においては、押込み部４３３の移動幅を確保しやすく、また、作用部４３２において大きな力を作用させやすいという利点がある。操作レバー４３は、支軸部４３１を中心として、支軸部４３１の軸線回りに揺動自在である。

　図９等に示すように、弾性部材４４は、操作レバー４３とは別体に設けられたコイル状のスプリングである。弾性部材４４は、本体４１１とストッパー部材４２０との間に、圧縮状態を維持するように配置されている。弾性部材４４は、ストッパー部材４２０及び操作レバー４３に対して常に付勢力を付与するように設けられている。ストッパー部材４２０及び操作レバー４３に与えられる付勢力は、ベース部４１の対向面４１４に対して直交する方向（図９における第１方向９１）の付勢力である。ストッパー部材４２０及び操作レバー４３は、弾性部材４４によって付勢されることで、利用者の押し込み操作による外力が働かないときには図９に示す係止位置を保持する。

　カバー部材４５は、例えばビスからなる固定具を用いて、ベース部４１の本体４１１に対して着脱自在に固定されている。固定具をベース部４１から外してカバー部材４５をベース部４１から取り外すことにより、ストッパー部材４２０と操作レバー４３の少なくとも一方が交換可能である。また、カバー部材４５をいったん外して弾性部材４４を交換することも可能である。

　カバー部材４５は、収容凹部（領域４１０）の上方への開口を塞ぎ、操作レバー４３の一部、ストッパー部材４２０及び弾性部材４４を覆うように、ベース部４１に固定されている。

　１－４．ロック装置
　ロック装置６は、フレーム１０に固定されるロックユニット５の主体を構成する装置であり、図９等に示すように、バッテリー２の一部を構成する保持装置４を、着脱自在に固定することができる。一実施形態の電動自転車１においては、保持装置４とロック装置６とで、バッテリー２をフレーム１０に保持させるためのバッテリー保持機構８が構成される。

　ロック装置６は、鍵を用いて操作可能なメインロック部６３と、メインロック部６３と一体に組み合わされたロックホルダー６４とを備える。なお、ロックホルダー６４はバッテリー２をフレーム１０に取り付ける際、バッテリー２がフレーム１０の切り欠き部分１０８以外の場所に直接当たらないように保護する効果もある。すなわち、ロックホルダー６４によって、フレーム１０が保護される。メインロック部６３は、シリンダー錠で構成され、シリンダー（不図示）、ロックケース６３３及び鍵穴６３１（図２等参照）を有する。

　シリンダーは、その一端面に設けられた鍵穴６３１に所定の鍵を挿し込んで回すことで、自身の内筒部分が回転するように構成されている。ロック装置６は、シリンダーの内筒部分が回転することに伴って、ロックバー６３４の先端部分がロックケース６３３から突没するように構成されている。

　一実施形態の電動自転車１では、メインロック部６３が移動自在に保持するロックバー６３４が、保持装置４のストッパー４２に係止する第１係止部６１を構成している。つまり、ロックバー６３４の先端部分を下方に突出させた状態で、ロックバー６３４の先端部分がストッパー４２に係止することで、バッテリー２はフレーム１０の切り欠き部分１０８から外れないように固定される。メインロック部６３を操作してロックバー６３４を後退させたときには、ロックバー６３４は、ストッパー４２との係止を維持している。これにより、フレーム１０に対するバッテリー２のメインロックが解除される。

　利用者の押し込み操作による外力が操作レバー４３に加わらないときには、係止位置にあるロックバー６３４の先端部分が、ストッパー部材４２０のストッパー４２に係止し、これにより、バッテリー２がフレーム１０の切り欠き部分１０８から外れないように固定される。

　１－５．固定構造
　固定構造７は、ロック装置６と組み合わさってロックユニット５を構成する構造であって、ロック装置６を、フレーム１０の切り欠き部分１０８の長手方向の端部（具体的には切り欠き部分１０８の上端部）に固定する機能を有する。切り欠き部分１０８の長手方向は、フレーム１０のうちバッテリー２が装着される部分（つまりダウンチューブ１０３）の長手方向と一致する。

　固定構造７は、固定構造７の主要部分を構成する第１板金７１と、第１板金７１を補助する第２板金７２と、第１板金７１をフレーム１０に対して固定するための第１構造と、第１板金７１をロック装置６に対して固定するための第２構造とを含む。第２板金７２は、第１板金７１よりも小型の板金である。

　第１板金７１とフレーム１０とを固定する構造は、第１板金７１に設けられた少なくとも１つの孔と、この孔に挿し込まれる少なくとも１つの固定具７７１とを含む。固定具７７１は、例えばビスであり、第１板金７１に形成された孔に挿し通され、フレーム１０に固定される。

　第１板金７１とロック装置６を固定する構造は、第１板金７１に設けられた少なくとも１つの孔７６２と、これに挿し込まれる少なくとも１つの固定具７７２と、ロック装置６のロックケース６３３に設けられた少なくとも１つの孔７６３とを含む。一実施形態の固定構造７において、少なくとも１つの孔７６２は、複数の孔７６２（具体的には３つの孔７６２）であり、少なくとも１つの固定具７７２は、複数の固定具７７２（具体的には３つの固定具７７２）であり、少なくとも１つの孔７６３は、複数の孔７６３（具体的には３つの孔７６３）である。第１板金７１の各孔７６２は、貫通したねじ孔である。各固定具７７２は、例えばビスであり、対応する孔７６３に挿し通され、かつ対応する孔７６２に挿し込まれた状態で、第１板金７１に固定される。これにより、第１板金７１とロック装置６とが固定される。

　第２板金７２とフレーム１０を固定する構造は、第２板金７２に設けられた少なくとも１つの孔と、この孔に挿し込まれる少なくとも１つの固定具７７３とを含む。固定具７７３は、例えばビスであり、第２板金７２に形成された孔に挿し通され、フレーム１０に固定される。

　第２板金７２と、第１板金７１及びロック装置６とを固定する構造は、第２板金７２に設けられた少なくとも１つの孔と、これに挿し込まれる少なくとも１つの固定具７７４と、ロック装置６のロックケース６３３に設けられた少なくとも１つの孔と、第１板金７１に設けられた少なくとも１つの孔とを含む。一実施形態の固定構造７において、少なくとも１つの孔は、１つの孔であり、少なくとも１つの固定具７７４は、１つの固定具７７４であり、少なくとも１つの孔は、１つの孔であり、少なくとも１つの孔は、１つの孔である。固定具７７４は、例えばビスである。固定具７７４は、第２板金７２に設けられた孔を通じて、対応する第１板金７１に設けられた孔に挿し込まれる。これにより、第２板金７２は、第１板金７１に対して固定され、かつ、ロック装置６に対して固定される。

　１－６．作用効果
　上記の構成を備える一実施形態の電動自転車１では、利用者のキー操作に基づいた第一のロック解除操作と、操作レバー４３を利用した第二のロック解除操作の両方を利用して、バッテリー２をフレーム１０に対して二段階解除とすることができる。利用者は、例えばバッテリー２を片手で掴んだ状態のまま、操作レバー４３を簡単に押し込み操作することができる。

　ロック解除操作を行う前は、図９に示す第１状態となっている。第１ロック部であるストッパー４２は、ロック装置６の第１係止部６１によって動きが規制される。また、第２ロック部であるストッパー４２は、ロック装置６の第１係止部６１の動きを規制している。このように、第１ロック部及び第２ロック部によって、ロック装置６に対する動きが規制される状態が第１状態である。

　バッテリー２をフレーム１０から取り外すときには、まず、第一のロック解除操作を行う。第一のロック解除操作は、鍵穴６３１に鍵を挿し込んで所定方向に回し、図１０に示すようにロックバー６３４（第１係止部６１）を上方に後退させる動作である。これにより、第一のロック解除操作が終了して第２状態となる。すなわち、第１ロック部による規制が解除され、かつ、第２ロック部によってロック装置６に対する動きが規制される状態が第２状態である。この段階では、ロック装置６によって第１ロック部に対する動きの規制が解除されたものの、第２ロック部によってロック装置６に対する動きを規制しているため、第１係止部６１はまだストッパー４２に係止した状態であり、バッテリー２のフレーム１０へのロックは解除されていない。第１状態と第２状態とにおいて、ロック装置６と保持装置４との相対位置が変わらない。

　次いで、第二のロック解除操作を行う。第二のロック解除操作は、利用者が、バッテリー２の上端部を例えば左手で掴み、そのまま左手の親指で押込み部４３３を下方（第１方向９１に沿う方向）に押し込む動作である。或いは、利用者はバッテリー２の上端部を右手で掴み、そのまま右手の人差し指で押込み部４３３を下方に押し込む動作である。押込み部４３３が押し込まれることで、図１１に示すように、保持装置４内で操作レバー４３に押されてストッパー部材４２０が下方に移動し、ストッパー４２が下方に移動して、第１係止部６１とストッパー４２との係止が解除され、第二のロック解除操作が終了する。

　次いで、利用者は、図１２に示すように、バッテリー２を掴んだままで、バッテリー２を安全かつ簡単に取り外すことが可能である。

　また、バッテリー２をフレーム１０に取り付けるときには、バッテリー２の下端部をまず切り欠き部分１０８の下端部（つまりホルダー１０９）に乗せ、切り欠き部分１０８の下端部を中心としてバッテリー２を後方に回転させる。ストッパー４２は、第１係止部６１に当たる位置で付勢力に抗していったん下方に後退した後に、該付勢力によって元の位置（係止位置）に復帰する（図１０参照）。これにより、第１係止部６１はストッパー４２に係止される。

　次いで、利用者は鍵穴６３１に鍵を挿し込んで、前記所定方向とは逆方向に回し、ロックバー６３４を更に下方に移動させることで、ロックバー６３４を保持装置４のストッパー４２に係止させ、ロックが施される。

　このように、一実施形態の電動自転車１によれば、電動自転車１のフレーム１０に対するバッテリー２の固定を二段階固定にして、安全性を高めることができる。加えて、利用者は、バッテリー２のフレーム１０からの取り外し作業と、バッテリー２のフレーム１０への取り付け作業を、安全かつ簡単に行うことができる。

　加えて、一実施形態の電動自転車１によれば、鍵穴６３１に鍵を挿し込んで所定方向に回す第一のロック解除操作が行われた後に、第二のロック解除操作が行われるまでは、バッテリー２は切り欠き部分１０８に嵌まった状態を維持し、ロック装置６と保持装置４との相対位置は変わらない。なお、相対位置が変わらないとは、設計上許容されるがたつきがある場合も含む。がたつきは例えば０．２ｍｍから０．６ｍｍの範囲が好ましい。これにより、第一のロック解除操作が行われた直後に、バッテリー２が前方に倒れることがないので、例えばダウンチューブ１０３と前輪１１１との距離を短く設計することができる等、フレーム１０の設計の自由度が高められる。

　２．変形例
　一実施形態の電動自転車１が備える各構成は、いずれも一例に過ぎず、同様の作用効果を奏する範囲内において適宜変形を施すことが可能である。

　２－１．変形例１
　変形例１の保持装置４について、図１３～図２６に基いて説明する。変形例１の保持装置４は、上述した実施形態の保持装置４と大部分において同じであるため、上述した実施形態の保持装置４の構成と同じ構成については同符号を付して説明を省略し、主に異なる構成について説明する。

　（保持装置）
　変形例１の保持装置４は、電動自転車１のフレーム１０に固定されたロック装置６に対して、バッテリー本体３を着脱可能に保持するために用いられる保持装置４であり、この点は上述した実施形態と同じである。

　変形例１の保持装置４は、ストッパー４２がロック装置６に含まれる第１係止部６１に係止するように構成されている点、係止部材（操作レバー４３）がロック装置６に含まれる第２係止部６２に係止するように構成されている点で、上述した実施形態と異なる。

　第１係止部６１は、第１方向９１に移動可能である。第２係止部６２と係止部材の少なくとも一方は、第２係止部６２と係止部材が互いに係止する係止位置と、第２係止部６２と係止部材が互いに係止しない非係止位置との間で、第１方向９１とは異なる第２方向９２に移動可能である。

　図１３に示すように、カバー部３３の上縁部（つまりカバー保持部材３３１の上縁部）には、切り欠き３４が設けられている。切り欠き３４は、係止部材としての操作レバー４３の押込み部４３３を外部に突出させるための切り欠きであり、下方に向けて凹んだ形状を有する。切り欠き３４は、左側及び右側の指掛け部３３８，３３９のうち一方の上方に位置し、バッテリー２では左側の指掛け部３３８の上方に位置する。

　バッテリー本体３の下端部を構成する底カバー３５は、バッテリー２をフレーム１０の切り欠き部分１０８に装着するときと、バッテリー２をフレーム１０の切り欠き部分１０８から取り外すときの両方において、切り欠き部分１０８の下端部に摺接するように構成されている。図１４、図１５Ａに示すように、底カバー３５の前面には、バッテリー２の着脱時の回転を円滑にガイドする凹曲面３５０が、左右に距離をあけた２箇所に設けられている。凹曲面３５０は、バッテリー２の着脱時の回転中心点を基準として、球状に凹んだ凹曲面である。左右の凹曲面３５０の間には、凹曲面３５０よりも前側に突出する突出部３５２が設けられている（図１５Ｂ参照）。

　図１６、図１９、図１３等に示すように、ホルダー１０９には、バッテリー２の下端部の凹曲面３５０が当たるように構成された凸曲面１００が、設けられている。凸曲面１００は、バッテリー２の着脱時の回転中心点を基準として、球状に突出した凸曲面である。バッテリー２の着脱時には、バッテリー２の凹曲面３５０がホルダー１０９の凸曲面１００に摺接することによって、バッテリー２の安定的な回転が実現される。

　変形例１における隙間２００は、バッテリー２と切り欠き部分１０８との間に、異物や利用者の指が挟まることを抑えるための隙間である。隙間２００は、バッテリー２とフレーム１０との間に、８ｍｍ以上の距離を隔てさせる隙間であることが好ましい。ここでの距離は、リブ構造３３５（隆起構造）のうち最も外側に位置する部分（つまり最も隆起した部分）と、フレーム１０の切り欠き部分１０８のうち最も外側に位置する部分との間の距離である。

　左側の隙間２０１（図３参照）は、バッテリー２の左端縁とフレーム１０の切り欠き部分１０８との間に、８ｍｍ以上の距離を隔てさせる隙間であることが好ましい。ここでの距離は、左リブ３３６（左隆起部）のうち最も外側に位置する部分（つまり最も隆起した部分）と、フレーム１０の切り欠き部分１０８のうち最も外側に位置する部分との間の距離である。

　同様に、右側の隙間２０２は、バッテリー２の右端縁とフレーム１０の切り欠き部分１０８との間に、８ｍｍ以上の距離を隔てさせる隙間であることが好ましい。ここでの距離は、右リブ３３７（右隆起部）のうち最も外側に位置する部分（つまり最も隆起した部分）と、フレーム１０の切り欠き部分１０８のうち最も外側に位置する部分との間の距離である。

　図２２に示すように、変形例１におけるベース部４１は、本体４１１と、周壁部４１２と、本体４１１から周壁部４１２と同方向に突出した突起部４１３１とを、一体に有する。

　周壁部４１２は、本体４１１のうち領域４１０を囲む部分から、バッテリー本体３から離れる方向（つまり上方）に向けて突出している。本体４１１と周壁部４１２とで囲まれる空間に、操作レバー４３が回転可能に配置される。言い換えれば、本体４１１の領域４１０とこれを囲む周壁部４１２によって、操作レバー４３を収容する収容凹部４１５が形成される。収容凹部４１５は、バッテリー本体３から離れる方向に向けて開放されている。

　周壁部４１２には、操作レバー４３の一部を外側に突出させるための開口４１８が設けられている。開口４１８から突出する操作レバー４３の一部は、係止部としての作用部４３２と押込み部４３３とを含む部分である。変形例１のバッテリー２では、開口４１８のうち作用部４３２を外側に突出させる第１部分と、押込み部４３３を外側に突出させる第２部分とが、一つながりに設けられているが、開口４１８の第１部分と第２部分とが不連続に設けられてもよい。

　突起部４１３１には、固定具４８を用いて、金属製のロックプレート４６が着脱可能に固定されている。ロックプレート４６は、ステンレス等の金属製の板材を折り曲げた補強プレートであって、樹脂製の突起部４１３１にロックプレート４６が固定されることで、ストッパー４２が構成される。突起部４１３１にロックプレート４６が固定された状態で、ロックプレート４６の表面が、ストッパー４２の表面を構成する。

　操作レバー４３は、レバー本体４３０と、レバー本体４３０からベース部４１に向けて突出する円柱状の支軸部４３１と、レバー本体４３０から左右方向の一側に突出した作用部４３２と、レバー本体４３０から左右方向の一側に突出した押込み部４３３とを、一体に有する。支軸部４３１は、ベース部４１の前記穴に挿入されることで、本体４１１に対して回転可能に連結される。作用部４３２は、ロック装置６の一部に対して選択的に係止することができるように構成されている。ここでのロック装置６の一部は、第２係止部６２（凹部６４５）である（図２０参照）。押込み部４３３は、利用者が指で押し込むための部分であり、その先端面に利用者の指が当たるように構成されている。

　図２３Ａ及び図２３Ｂに示すように、作用部４３２と押込み部４３３は、レバー本体４３０のうち互いに異なる部分から、同一の側に向けて突出している。変形例１のバッテリー２では、作用部４３２と押込み部４３３はともに左方向に突出している。押込み部４３３のレバー本体４３０からの突出量は、作用部４３２のレバー本体４３０からの突出量よりも大きい。押込み部４３３のレバー本体４３０からの突出量は、作用部４３２のレバー本体４３０からの突出量の２倍以上であることや、作用部４３２のレバー本体４３０からの突出量の３倍以上であることが好ましい。

　操作レバー４３を支軸部４３１の軸方向に見たとき、支軸部４３１と押込み部４３３との間の距離は、支軸部４３１と作用部４３２との間の距離よりも大きい。そのため、変形例１の保持装置４においては、押込み部４３３の移動幅を確保しやすく、また、作用部４３２において大きな力を作用させやすいという利点がある。

　また、支軸部４３１の軸方向において、支軸部４３１のレバー本体４３０からの突出量は、押込み部４３３のレバー本体４３０からの突出量よりも大きい（図２４参照）。支軸部４３１の軸方向において、支軸部４３１は、操作レバー４３の他の部分（つまりレバー本体４３０、作用部４３２、及び押込み部４３３のそれぞれ）よりも大きな寸法を有することが、支軸部４３１の強度を確保する点で好ましい。支軸部４３１の軸方向において、作用部４３２は、レバー本体４３０に対して支軸部４３１が突出する側とは反対側（つまり上側）に突出している。

　操作レバー４３は、支軸部４３１を中心として、図２３Ａに示す係止位置と図２３Ｂに示す非係止位置との間で、左右方向に揺動可能である。操作レバー４３が係止位置にあるとき、作用部４３２は、周壁部４１２の開口４１８を通じて外側に突出する。外側に突出した作用部４３２は、ロック装置６の第２係止部６２に係止することができる。これに対して、操作レバー４３が非係止位置にあるとき、作用部４３２は開口４１８を通じて外側に突出しない。操作レバー４３が非係止位置にあるとき、作用部４３２は、ロック装置６の第２係止部６２に係止することができない。

　弾性部材４４は、操作レバー４３とは別体に設けられたコイル状のスプリングである。弾性部材４４は、周壁部４１２と操作レバー４３との間に、圧縮状態を維持するように配置されている。弾性部材４４は、操作レバー４３に対して常に付勢力を付与するように設けられている。操作レバー４３に与えられる付勢力は、ベース部４１に対して平行な方向（つまり平板状の本体４１１に対して平行な方向）の付勢力である。操作レバー４３は、弾性部材４４によって付勢されることで、利用者の押し込み操作による外力が働かないときには図２３Ａに示す係止位置を保持する。

　カバー部材４５は、固定具４８を用いて、ベース部４１の本体４１１に対して着脱可能に固定されている。固定具４８は、カバー部材４５とロックプレート４６を、ベース部４１に対して一括的に固定する固定具である。固定具４８は、例えばビスである。ベース部４１から固定具４８を外すことで、カバー部材４５とロックプレート４６の両方を外すことができ、カバー部材４５とロックプレート４６の少なくとも一方が交換可能である。また、カバー部材４５をいったん外して弾性部材４４を交換することも可能である。

　カバー部材４５は、収容凹部４１５の上方への開口を塞ぎ、操作レバー４３の一部と弾性部材４４とを覆うように、ベース部４１に固定されている。ここでの操作レバー４３の一部は、操作レバー４３のうち作用部４３２と押込み部４３３を除いた部分である。

　図２１、図２２に示すように、カバー部材４５には、作用部４３２の左右方向の移動を可能とするための切り欠き４５１が設けられている。作用部４３２は、切り欠き４５１の範囲内において左右方向に揺動可能である。操作レバー４３は、作用部４３２が切り欠き４５１に当たることで、左右方向の一側（つまり右側）の移動が規制される。また、操作レバー４３は、操作レバー４３の一部が周壁部４１２に当たることで、左右方向の他側（つまり左側）の移動が規制される。

　なお、カバー部材４５は、操作レバー４３の少なくとも一部を覆うものであればよく、例えば、操作レバー４３の全部を覆うことも可能である。カバー部材４５は、操作レバー４３のうち少なくとも押込み部４３３を除いた部分を覆うようにベース部４１に固定されるものでもよいし、操作レバー４３のうち少なくとも作用部４３２を除いた部分を覆うようにベース部４１に固定されるものでもよい。

　（ロック装置）
　ロック装置６は、フレーム１０に固定されるロックユニット５の主体を構成する装置であり、図１８等に示すように、バッテリー２の一部を構成する保持装置４を、着脱可能に固定することができる。変形例１の電動自転車１においては、保持装置４とロック装置６とで、バッテリー２をフレーム１０に保持させるためのバッテリー保持機構８が構成される。

　図２５、図２６等に示すように、ロック装置６は、鍵を用いて操作可能なメインロック部６３と、メインロック部６３と一体に組み合わされたロックホルダー６４とを備える。メインロック部６３は、シリンダー錠で構成されている。メインロック部６３は、鍵穴６３１（図２等参照）を有する円筒状のシリンダー６３２と、シリンダー６３２と一体に組み合わされたロックケース６３３と、ロックケース６３３に収容されたロックバー６３４とを備える。ロックケース６３３は、ロックバー６３４が移動可能に収容される角筒状の第１部分６３３１と、固定構造７に連結するための第２部分６３３２とを、一体に有する。

　ロックバー６３４の移動方向は、第１方向９１と同一である。当該方向においてロックバー６３４が移動可能な量は、６ｍｍから１０ｍｍの範囲内で設定されることが好ましく、例えば８ｍｍである。第１方向９１においてロックバー６３４が移動可能な量は、第１方向９１においてロック装置６がフレーム１０に対して位置調整可能な量よりも大きく設定されていること（言い換えれば、第１方向９１においてロック装置６がフレーム１０に対して位置調整可能な量が、第１方向９１においてロックバー６３４が移動可能な量よりも小さく設定されていること）が好ましい。

　シリンダー６３２は、その一端面に設けられた鍵穴６３１に所定の鍵を挿し込んで回すことで、自身の内筒部分が回転するように構成されている。ロック装置６は、シリンダー６３２の内筒部分が回転することに伴って、ロックバー６３４の先端部分がロックケース６３３の第１部分６３３１から突出する量が、切り替わるように構成されている。

　変形例１の電動自転車１では、メインロック部６３が移動可能に保持するロックバー６３４が、保持装置４のストッパー４２に係止する第１係止部６１を構成している。つまり、ロックバー６３４の先端部分を第１部分６３３１から下方に突出させた状態で、ロックバー６３４の先端部分がストッパー４２に係止することで（図１８参照）、バッテリー２はフレーム１０の切り欠き部分１０８から外れないように固定される。メインロック部６３を操作してロックバー６３４を第１部分６３３１に没入させたときには、ロックバー６３４は、ストッパー４２に係止しない位置に移動する。これにより、フレーム１０に対するバッテリー２のメインロックが解除される。

　ロックホルダー６４は、ロックケース６３３に含まれる凸状の第１部分６３３１が嵌まり込む矩形状の貫通孔６４１と、メインロック部６３の一部が嵌まり込む位置決め片６４３とを有する。第１部分６３３１が貫通孔６４１に嵌まり込んだ状態で、ロックバー６３４は、第１部分６３３１の開口を通じて、保持装置４に向けて突出することができる。メインロック部６３の一部には、位置決め片６４３が嵌まり込むための円弧状の切り欠き６３８が設けられている。位置決め片６４３の先端縁は、切り欠き６３８と合致するように円弧状に凹んだ形状を有する。

　図１８等に示すように、ロックホルダー６４の一部は、ロック装置６がフレーム１０に固定された状態において、切り欠き部分１０８の上端部をその外側から覆うように設けられている。ここでのロックホルダー６４の一部は、ロックホルダー６４のうち、ロック装置６がフレーム１０に固定された状態において最も外側に位置する部分から、上方に向けて突出するように設けられた部分である。この部分をロックホルダー６４が備えることで、バッテリー２をフレーム１０に装着するときに、フレーム１０のうち切り欠き部分１０８を除いた部分にバッテリー２が直接当たることが抑えられ、フレーム１０が保護される。

　図１８及び図２０に示すように、ロックホルダー６４の下面６４０（つまり保持装置４に対向する面）には、操作レバー４３の作用部４３２が係止することのできる凹部６４５が形成されている。変形例１の電動自転車１では、ロックホルダー６４の凹部６４５が、操作レバー４３が係止する第２係止部６２を構成している。

　利用者の押し込み操作による外力が操作レバー４３に加わらないときには、係止位置にある操作レバー４３の作用部４３２が凹部６４５に係止し、これにより、バッテリー２がフレーム１０の切り欠き部分１０８から外れないように固定される。操作レバー４３に外力を加えて非係止位置に移動させたときには、操作レバー４３の作用部４３２は、凹部６４５に係止しない位置にまで移動する。これにより、バッテリー２のフレーム１０に対するサブロックが解除される。

　このように、変形例１の電動自転車１では、フレーム１０に対するバッテリー２の固定が、キー操作によるメインロックと、操作レバー４３を用いたサブロックとで二重に行われる。

　ロック装置６に対してバッテリー２を二重にロックするにあたって、ロック装置６の第１係止部６１と第２係止部６２の相対位置は、高精度に定められることが望ましい。これに対して、変形例１のロック装置６では、第１係止部６１（つまりロックバー６３４）を移動可能に保持するメインロック部６３と、操作レバー４３が係止するように構成された第２係止部６２（つまりロックホルダー６４の凹部６４５）とが、一体に構成されている。そのため、第１係止部６１と第２係止部６２の相対位置は、高精度に定められる。

　（固定構造）
　固定構造７は、ロック装置６と組み合わさってロックユニット５を構成する構造であって、ロック装置６を、フレーム１０の切り欠き部分１０８の長手方向の端部（具体的には切り欠き部分１０８の上端部）に固定する機能を有する。切り欠き部分１０８の長手方向は、フレーム１０のうちバッテリー２が装着される部分（つまりダウンチューブ１０３）の長手方向と一致する。

　固定構造７は、フレーム１０に対して位置調整可能に固定され、かつ、ロック装置６に対して位置調整可能に固定される構造である。固定構造７とフレーム１０は、第１方向９１の所定範囲内において位置調整可能に固定され、固定構造７とロック装置６は、第２方向９２の所定範囲内において位置調整可能に固定される。第２方向９２は、第１方向９１とは異なる方向である。第１方向９１と第２方向９２は、互いに直交することが好ましい。

　更に、固定構造７の寸法は、第３方向９３において調整可能である。固定構造７の寸法が調整可能であることで、フレーム１０の寸法に製造段階でばらつきが生じても、該ばらつきを固定構造７の寸法調整で吸収することができる。第３方向９３は、第１方向９１とは異なる方向である。第１方向９１と第３方向９３は、互いに直交することが好ましい。

　変形例１の固定構造７において、第１方向９１は、切り欠き部分１０８の長手方向であり、フレーム１０のうちバッテリー２が装着される部分（つまりダウンチューブ１０３）の長手方向であり、また、フレーム１０にバッテリー２が装着されたときのバッテリー２の長手方向である。第２方向９２は、ダウンチューブ１０３の前後の幅方向であり、第１方向９１と直交する。第３方向９３は、第２方向９２と同じくダウンチューブ１０３の前後の幅方向であり、第１方向９１と直交する。第１方向９１を上下方向と言い換え、第２方向９２及び第３方向９３を前後方向と言い換えることも可能である。

　以下、固定構造７の具体的な構造について更に説明する。固定構造７は、固定構造７の主要部分を構成する第１板金７１と、第１板金７１を補助する第２板金７２と、第１板金７１をフレーム１０に対して位置調整可能に固定するための第１構造と、第１板金７１をロック装置６に対して位置調整可能に固定するための第２構造とを含む。第２板金７２は、第１板金７１よりも小型の板金である。

　第１板金７１は、コーナー部分７１５を有するＬ字状の板金である。第１板金７１のうち、コーナー部分７１５を挟んだ第１側の部分７１１が、フレーム１０に対して位置調整可能に固定される平板状の部分である。第１板金７１のコーナー部分７１５を挟んだ第２側の部分７１２が、ロック装置６に対して位置調整可能に固定される平板状の部分である。コーナー部分７１５は、第１側の部分７１１と第２側の部分７１２とを滑らかに繋ぐように、円弧状に湾曲している。

　第１板金７１とフレーム１０とを固定する第１構造は、第１板金７１の第１側の部分７１１に設けられた少なくとも１つの孔７６１と、これに挿し込まれる少なくとも１つの固定具７７１とを含む。

　変形例１の固定構造７において、少なくとも１つの孔７６１は、複数の孔７６１（具体的には２つの孔７６１）であり、少なくとも１つの固定具７７１は、複数の固定具７７１（具体的には２つの固定具７７１）である。各孔７６１は、第１方向９１を長手方向とする貫通した長孔である。各固定具７７１は、例えばビスであり、対応する孔７６１に挿し通され、かつフレーム１０に固定される。各固定具７７１が対応する孔７６１に挿し通された状態で、各固定具７７１が対応する孔７６１に対して第１方向９１に移動可能な範囲内において、第１板金７１とフレーム１０は、第１方向９１に位置調整可能に固定される。

　図２６に示すように、第１板金７１とロック装置６を固定する第２構造は、第１板金７１の第２側の部分７１２に設けられた少なくとも１つの孔７６２と、これに挿し込まれる少なくとも１つの固定具７７２と、ロック装置６のロックケース６３３に設けられた少なくとも１つの孔７６３とを含む。変形例１の固定構造７において、少なくとも１つの孔７６２は、複数の孔７６２（具体的には３つの孔７６２）であり、少なくとも１つの固定具７７２は、複数の固定具７７２（具体的には３つの固定具７７２）であり、少なくとも１つの孔７６３は、複数の孔７６３（具体的には３つの孔７６３）である。第２側の部分７１２の各孔７６２は、貫通したねじ孔である。ロックケース６３３の各孔７６３は、第２方向９２を長手方向とする貫通した長孔である。各固定具７７２は、例えばビスであり、対応する孔７６３に挿し通され、かつ対応する孔７６２に挿し込まれた状態で、第１板金７１に固定される。これにより、第１板金７１とロック装置６とが固定される。各固定具７７２が、対応する孔７６３に挿し通された状態で第２方向９２に移動可能な範囲内において、第１板金７１とロック装置６は、第２方向９２に位置調整可能である。

　これら複数の固定具７７２は、フレーム１０の切り欠き部分１０８の側から、挿し込むことができる。そのため、ロックユニット５をフレーム１０に取り付ける作業を容易に行うことが可能である。

　第２板金７２は、コーナー部分７２５を有するＬ字状の板金である。第２板金７２のうち、コーナー部分７２５を挟んだ第１側の部分７２１が、フレーム１０に対して位置調整可能に固定される平板状の部分である。第２板金７２のコーナー部分７２５を挟んだ第２側の部分７２２が、第１板金７１及びロック装置６に対して位置調整可能に固定される平板状の部分である。

　第２板金７２とフレーム１０を固定する構造は、第２板金７２の第１側の部分７２１に設けられた少なくとも１つの孔７６４と、これに挿し込まれる少なくとも１つの固定具７７３とを含む。

　変形例１の固定構造７において、少なくとも１つの孔７６４は、複数の孔７６４（具体的には２つの孔７６４）であり、少なくとも１つの固定具７７３は、複数の固定具７７３（具体的には２つの固定具７７３）である。各固定具７７３は、例えばビスである。各孔７６４は、固定具７７１が挿し込まれるねじ孔である。各固定具７７３は、第１方向９１が長手方向となるようにフレーム１０に形成された長孔を通じて、対応する孔７６４に挿し込まれる。これにより、第２板金７２とフレーム１０は、第１方向９１に位置調整可能に固定される。

　第２板金７２と、第１板金７１及びロック装置６とを固定する構造は、第２板金７２の第２側の部分７２２に設けられた少なくとも１つの孔７６５と、これに挿し込まれる少なくとも１つの固定具７７４と、ロック装置６のロックケース６３３に設けられた少なくとも１つの孔７６６と、第１板金７１の第２側の部分７１２に設けられた少なくとも１つの孔７６７とを含む。変形例１の固定構造７において、少なくとも１つの孔７６５は、１つの孔７６５であり、少なくとも１つの固定具７７４は、１つの固定具７７４であり、少なくとも１つの孔７６６は、１つの孔７６６であり、少なくとも１つの孔７６７は、１つの孔７６７である。固定具７７４は、例えばビスである。

　第２板金７２の孔７６５は、第３方向９３を長手方向とする貫通した長孔である。第２板金７２とロック装置６とを固定するための固定具７７４は、第１板金７１とロック装置６とを固定するための３つの固定具７７２のうちの１つで、構成されている。ロックケース６３３の孔７６６は、第１板金７１とロック装置６とを固定するための３つの孔７６３のうちの１つで、構成されている。第１板金７１の孔７６７は、貫通したねじ孔であり、第１板金７１とロック装置６とを固定するための３つの孔７６２のうちの１つで、構成されている。

　固定具７７４は、第３方向９３を長手方向とする孔７６５を通じて、対応する孔７６７に挿し込まれる。これにより、第２板金７２は、第１板金７１に対して第３方向９３に位置調整可能に固定され、かつ、ロック装置６に対して第３方向９３に位置調整可能に固定される。ロック装置６が備えるロックケース６３３の第２部分６３３２には、第２板金７２の一部７２８が嵌まるための凹部６３３５が設けられている。第２板金７２の一部７２８は、第２側の部分７２２の一部であり、より具体的には、第２側の部分７２２のうち孔７６５が設けられた部分である。第２板金７２の一部７２８は、凹部６３３５に嵌まった状態で、第３方向９３の所定範囲内で移動可能である。第２板金７２の一部７２８が凹部６３３５に嵌まることで、第２板金７２とロック装置６との相対的な位置決め作業を、容易に行うことが可能になる。

　このように、変形例１の固定構造７では、共通の固定具７７４（７７２）を用いて、第２板金７２とロック装置６とが第１板金７１に対して一括して固定される。第３方向９３は、第２方向９２と同一であることが好ましい。

　加えて、変形例１のロックユニット５は、ロック装置６が固定構造７に対して第２方向９２にスライド可能に係止する係止構造を、更に備えている。この係止構造は、ロック装置６に設けられたＬ字状のフック６５と、フック６５が挿し通されるように固定構造７に設けられた挿通孔７８とを含む。

　フック６５は、ロックケース６３３から第１板金７１に向けて（つまり上方に）突出している。フック６５は、ロックケース６３３から第１方向９１に伸びる第１部分６５１と、第１部分６５１の一部（具体的には先端部分）から第２方向９２に伸びる第２部分６５２とを有する。第２部分６５２は、第２方向の後ろ側に伸びている。挿通孔７８は、第１板金７１の第２側の部分７１２を貫通する矩形状の孔である。変形例１のロックユニット５においては、第１部分６５１が挿通孔７８に挿し通され、かつ、第２部分６５２が第１板金７１の第２側の部分７１２に当たった状態で、フック６５が第１板金７１に対してスライド可能に係止される。これにより、バッテリー２の荷重がロックユニット５に掛かったときに、該荷重に起因してロックユニット５が変形することが抑えられる。

　（作用効果）
　上記の構成を備える一実施形態の電動自転車１では、利用者のキー操作に基づいたメインロック機能と、操作レバー４３を利用したサブロック機能の両方を利用して、バッテリー２をフレーム１０に対して二重固定することができる。利用者は、例えばバッテリー２を片手で掴んだ状態のまま、操作レバー４３を簡単に押し込み操作することができる。

　具体的には、バッテリー２をフレーム１０から取り外すときには、まず鍵穴６３１に鍵を挿し込んで所定方向に回し、ロックバー６３４を引き上げてロック装置６内に没入させることで、ロックバー６３４を保持装置４のストッパー４２から離間させ、メインロックを解除することができる。この段階において、保持装置４の作用部４３２はロック装置６に係止されており、サブロックは維持されている。

　次いで、利用者はバッテリー２の上端部を例えば左手で掴み、そのまま左手の親指で押込み部４３３を水平方向に押し込むことができる。或いは、利用者はバッテリー２の上端部を右手で掴み、そのまま右手の人差し指で押込み部４３３を水平方向に押し込むことができる。押込み部４３３が押し込まれることで、保持装置４内で操作レバー４３が動作し、作用部４３２によるサブロックが解除される。利用者は、バッテリー２を掴んだままで、バッテリー２を安全かつ簡単に取り外すことが可能である。

　バッテリー２をフレーム１０に取り付けるときには、バッテリー２の下端部をまず切り欠き部分１０８の下端部（つまりホルダー１０９）に乗せ、切り欠き部分１０８の下端部を中心としてバッテリー２を後方に回転させる。保持装置４の操作レバー４３は、作用部４３２がロック装置６に当たる位置で付勢力に抗していったん動作した後に、該付勢力によって元の位置（係止位置）に復帰する。このとき、保持装置４の作用部４３２はロック装置６に係止され、サブロックが自動的に施される。次いで、利用者は鍵穴６３１に鍵を挿し込んで、前記所定方向とは逆方向に回し、ロックバー６３４を下げてロック装置６から突出させることで、ロックバー６３４を保持装置４のストッパー４２に係止させ、メインロックを施すことができる。

　このように、一実施形態の電動自転車１によれば、電動自転車１のフレーム１０に対するバッテリー２の固定を二重固定にして、安全性を高めることができる。加えて、利用者は、バッテリー２のフレーム１０からの取り外し作業と、バッテリー２のフレーム１０への取り付け作業を、安全かつ簡単に行うことができる。

　加えて、一実施形態の電動自転車１によれば、メインロックが解除された後に、サブロックが解除されるまでは、バッテリー２は切り欠き部分１０８に嵌まった状態を維持し、ロック装置６と保持装置４との相対位置は変わらない。ここでの相対位置が変わらない、との文言には、設計上許容されるがたつきが存在する場合も含まれる。がたつきは、例えば０．６ｍｍ以内のがたつきであることが好ましく、０．２ｍｍ以内のがたつきであることが一層好ましい。つまり、メインロックが解除された直後に、バッテリー２が前方に倒れることがないので、例えばダウンチューブ１０３と前輪１１１との距離を短く設計することができる等、フレーム１０の設計の自由度が高められる。

　そして、一実施形態の電動自転車１によれば、バッテリー２が切り欠き部分１０８に装着された状態において、バッテリー２の一部を構成するカバー部３３が外部に露出し、カバー部３３が、バッテリー２のうちカバー部３３を除いた部分を保護するように機能する。加えて、バッテリー２が切り欠き部分１０８に装着された状態において、カバー部３３と切り欠き部分１０８との間には隙間２００が形成されるので、バッテリー２を装着するときに、バッテリー２と切り欠き部分１０８との間に異物や利用者の指が挟まることは抑えられる。

　また、一実施形態の電動自転車１によれば、フレーム１０に対してバッテリー２を着脱可能に装着するために用いられるロック装置６の位置を、第１方向９１と第２方向９２の２方向において、フレーム１０に対して調整することができる。加えて、一実施形態の電動自転車１によれば、ロック装置６とフレーム１０との間に介在する固定構造７の寸法を、第３方向９３において調整することができる。

　２－２．変形例２
　変形例２の保持装置４について、図２７に基いて説明する。変形例２の保持装置４は、上述した実施形態及び変形例１の保持装置４と大部分において同じであるため、上述した実施形態及び変形例１の保持装置４の構成と同じ構成については同符号を付して説明を省略し、主に異なる構成について説明する。

　上述した実施形態及び変形例１の電動自転車１において、リブ構造３３５はカバー保持部材３３１の周縁部に設けられているが、変形例２のように、カバー部材３３０の周縁部に設けられてもよい。変形例２の場合、カバー部材３３０の左側の端縁部に、左リブ３３６が設けられ、カバー部材３３０の右側の端縁部に、右リブ３３７が設けられている。カバー部材３３０の左側の端縁部は、右側に折り返すようにＬ字状に折れ曲がっており、この折れ曲がった部分が、カバー保持部材３３１の左側の端縁部よりも左側に突出した左リブ３３６を構成している。カバー部材３３０の右側の端縁部は、左側に折り返すようにＬ字状に折れ曲がっており、この折れ曲がった部分が、カバー保持部材３３１の右側の端縁部よりも右側に突出した右リブ３３７を構成している。なお、ここでのＬ字状に折れ曲がるという文言は、直角に折れ曲がることに限定されず、鋭角に折れ曲がることや、鈍角に折れ曲がることを含む。左リブ３３６と右リブ３３７の先端部（つまりＬ字状に折れ曲がった角部分）は、滑らかに丸まった外形を有することが好ましい。

　また、上述した実施形態及び変形例１の電動自転車１では、左リブ３３６、右リブ３３７等を含むリブ構造３３５が、カバー保持部材３３１と一体に設けられているが、リブ構造３３５がカバー保持部材３３１と別体に設けられることも好ましい。変形例２では、左リブ３３６、右リブ３３７等を含むリブ構造３３５が、カバー部材３３０と一体に設けられている（言い換えれば、カバー部材３３０の一部によって構成されている）が、リブ構造３３５が、カバー部材３３０と別体に設けられることも好ましい。また、上述した実施形態、変形例１及び変形例２の電動自転車１では、左リブ３３６と右リブ３３７が、互いに左右対称の形状を有しているが、左リブ３３６と右リブ３３７が、互いに左右非対称の形状を有することも好ましい。

　２－３．変形例３
　変形例３の保持装置４について、図２８に基いて説明する。変形例３の保持装置４は、上述した実施形態、変形例１及び変形例２の保持装置４と大部分において同じであるため、上述した実施形態、変形例１及び変形例２の保持装置４の構成と同じ構成については同符号を付して説明を省略し、主に異なる構成について説明する。

　バッテリー２の盗難防止性能を高めるために、変形例３のように、バッテリー本体３のケース３２の上端部に、異物挿入防止用の突起３７を設けることも好ましい。突起３７は、バッテリー２の上端部であってバッテリー２がフレーム１０の切り欠き部分１０８に装着された状態において外部に露出する部分（具体的にはカバー部３３の上端部）に、上方に突出するように（言い換えればロック装置６に近づく方向に突出するように）設けられたリブ状の部分である。バッテリー２が装着された状態において、突起３７は、バッテリー２の上端部を構成する保持装置４と、ロック装置６との間に形成された隙間９５を外部から視認することができないように覆い隠す位置にある。隙間９５は、保持装置４のカバー部材４５と、ロック装置６のロックホルダー６４との間に形成される隙間であり、該隙間を通じて外部から薄板、棒等の異物が挿入されれば、該異物によってロックバー６３４が操作されることも考えられるが、突起３７が存在することによって、ロックバー６３４が外部から操作される可能性が低くなる。

　２－４．その他の変形例
　例えば、一実施形態、変形例１～変形例３の電動自転車１は、電動アシスト自転車であるが、例えば電動モーターの回転力だけで前輪１１１と後輪１１２の少なくとも一方を回転駆動させることのできる電動自転車でもよい。一実施形態、変形例１～変形例３の電動自転車１は車輪１１を２つ備えているが、車輪１１の数は特に限定されず、例えば車輪１１を３つ備えることも可能である。

　また、一実施形態、変形例１～変形例３の電動自転車１において、弾性部材４４は、操作レバー４３とは別体に設けられたコイル状のスプリングであるが、弾性部材４４は、係止位置を保持するための付勢力を操作レバー４３に与えるものであればよく、弾性部材４４が板ばね等の他の部材で構成されてもよい。また、操作レバー４３は、係止位置を保持するように付勢されていればよいので、操作レバー４３とは別に弾性部材４４を備えることは必須でなく、操作レバー４３の少なくとも一部が弾性体で構成され、該弾性体の復元力によって係止位置を保持するように付勢されてもよい。

　また、一実施形態、変形例１～変形例３の電動自転車１は、バッテリー２をフレーム１０から前方に（より詳細には前斜め下方に）取り外すように構成されているが、バッテリー２を取り外す方向がこれとは逆方向になるように、つまり、バッテリー２を取り外す方向が後方となるように（より詳細には後ろ斜め上方となるように）構成されてもよい。この場合、フレーム１０の切り欠き部分１０８は、後方に向けて（より詳細には後ろ斜め上方に向けて）開口する形態となることが好ましい。この場合においても、フレーム１０の切り欠き部分１０８とバッテリー２との間には、指が挟まることを抑えるための隙間２００が形成されることが好ましい。更に、バッテリー２には、隙間２００の後方に位置するようにリブ構造３３５が設けられることが好ましい。

　また、一実施形態、変形例１～変形例３の電動自転車１は、ストッパー４２が形成されたストッパー部材４２０と操作レバー４３とが別体であったが、これらは一体に形成されてもよい。すなわち、操作レバー４３にストッパー４２が形成されてもよい。

　また、一実施形態、変形例１～変形例３の電動自転車１は、ストッパー４２が第１ロック部と第２ロック部とを兼ねていたが、第１ロック部と第２ロック部とがそれぞれ別の部材で構成されてもよい。

　また、一実施形態、変形例１～変形例３の電動自転車１は、電動アシスト自転車であるが、例えば電動モーターの回転力だけで前輪１１１と後輪１１２の少なくとも一方を回転駆動させることのできる電動自転車でもよい。一実施形態、変形例１～変形例３の電動自転車１は車輪１１を２つ備えているが、車輪１１の数は特に限定されず、例えば車輪１１を３つ備えることも可能である。

　また、一実施形態、変形例１～変形例３の電動自転車１においては、係止部材としての操作レバー４３が、第２係止部６２に係止する係止位置と、第２係止部６２に係止しない非係止位置との間で、左右方向に移動可能であるが、操作レバー４３と第２係止部６２の両方が移動可能でもよいし、第２係止部６２だけが移動可能でもよい。つまり、第２係止部６２と操作レバー４３の少なくとも一方が、第２係止部６２と操作レバー４３が互いに係止する係止位置と、第２係止部６２と操作レバー４３が互いに係止しない非係止位置との間で、移動可能であればよい。なお、左右方向は、第４方向と言い換えることも可能である。第４方向は、第１方向９１、第２方向９２及び第３方向９３と直交する方向である。

　また、一実施形態、変形例１～変形例３の電動自転車１において、操作レバー４３が付勢される方向は左方向であるが、この方向は一例に過ぎない。操作レバー４３が付勢される方向は右方向でもよいし、前方、後方等の他の方向でもよい。

　また、一実施形態、変形例１～変形例３の電動自転車１は、バッテリー２をフレーム１０から前方に（より詳細には前斜め下方に）取り外すように構成されているが、バッテリー２を取り外す方向がこれとは逆方向になるように、つまり、バッテリー２を取り外す方向が後方となるように（より詳細には後ろ斜め上方となるように）構成されてもよい。この場合、フレーム１０の切り欠き部分１０８は、後方に向けて（より詳細には後ろ斜め上方に向けて）開口する形態となることが好ましい。この場合においても、フレーム１０の切り欠き部分１０８とバッテリー２との間には、異物や指が挟まることを抑えるための隙間２００が形成されることが好ましい。更に、バッテリー２には、隙間２００の後方に位置するようにリブ構造３３５が設けられ、リブ構造３３５によって隙間２００の少なくとも一部（言い換えれば、隙間２００の一部又は全部）が後方から覆われることが好ましい。

　また、一実施形態、変形例１～変形例３の電動自転車１では、固定構造７が第１板金７１と第２板金７２とを含んでいるが、固定構造７において第２板金７２は必須でなく、固定構造７が第２板金７２を含まないことも有り得る。

　また、一実施形態、変形例１～変形例３の電動自転車１では、第１係止部６１（ロックバー６３４）は第１方向９１に移動可能であるが、第１係止部６１が第２方向９２に移動可能であってもよい。この場合、第１係止部６１は、バッテリー２を係止する係止位置と、バッテリー２を係止しない非係止位置との間で、第２方向９２に移動可能となるように構成される。第２方向９２においてロック装置６がフレーム１０に対して位置調整可能な量は、第２方向９２において第１係止部６１が移動可能な量よりも小さく設定されていることが好ましい。

　１　　電動自転車
　１０　フレーム
　２　　バッテリー
　３　　バッテリー本体
　４　　保持装置
　４１　ベース部
　４１４　対向面
　４２　ストッパー
　４３　操作レバー
　４３３　押込み部
　４５　カバー部材
　６　　ロック装置
　６１　第１係止部
　６３　メインロック部
　８　　バッテリー保持機構

Claims

　電動自転車のフレームに固定されたロック装置に対して、バッテリー本体を着脱可能に保持するために用いられる保持装置であって、
　前記ロック装置に対する動きを規制する第１ロック部及び第２ロック部を有し、
　前記第１ロック部及び前記第２ロック部によって、前記ロック装置に対する動きが規制されることで第１状態となり、
　前記第１ロック部による前記規制が解除され、かつ、前記第２ロック部によって前記ロック装置に対する動きが規制されることで第２状態となり、
　前記第１状態と前記第２状態とにおいて、前記ロック装置と前記保持装置との相対位置が変わらない
　保持装置。
　電動自転車のフレームに固定されたロック装置に対して、バッテリー本体を着脱自在に保持するために用いられる保持装置であって、
　前記バッテリー本体に固定されるベース部と、
　前記ロック装置の係止部が係止するように構成されたストッパーと、
　前記ベース部に対して移動自在となり前記ストッパーを移動させる操作レバーと、を備え、
　前記操作レバーは、前記ストッパーが前記係止部に係止する係止位置と、前記ストッパーが前記係止部に係止しない非係止位置との間で、移動自在である
　保持装置。
　前記操作レバーの押込み部は、前記ベース部の前記バッテリー本体に対向する対向面に対して直交する方向に移動自在である
　請求項２の保持装置。
　前記操作レバーは、前記係止位置を保持するように前記対向面に対して直交する方向に付勢されている
　請求項２又は３の保持装置。
　前記操作レバーの押込み部は、前記ベース部の前記バッテリー本体に対向する対向面に対して平行な方向に移動自在である
　請求項２の保持装置。
　前記操作レバーは、前記係止位置を保持するように前記対向面に対して平行な方向に付勢されている
　請求項２又は５の保持装置。
　前記操作レバーの少なくとも一部を覆うように前記ベース部に固定されるカバー部材を、更に備え、
　前記カバー部材は、前記ベース部に対して着脱自在である
　請求項２から６のいずれか一項の保持装置。
　請求項１から７のいずれか一項の前記保持装置と、
　前記保持装置がその一端部に固定された前記バッテリー本体と、を備える
　バッテリー。
　請求項１から７のいずれか一項の前記保持装置と、
　前記係止部が設けられた前記ロック装置と、を備え、
　前記係止部は、前記保持装置の前記ストッパーに係止する係止位置と、前記ストッパーに係止しない非係止位置との間で、移動自在である
　バッテリー保持機構。
　前記ロック装置は、前記係止部を移動自在に保持するメインロック部を備える
　請求項９のバッテリー保持機構。
　請求項９又は１０の前記バッテリー保持機構と、
　前記バッテリー保持機構の前記保持装置が固定された前記バッテリー本体と、
　前記バッテリー保持機構の前記ロック装置が固定された前記フレームと、を備え、
　前記保持装置は、前記バッテリー本体の上端部に固定されている
　電動自転車。