WO2021187363A1

WO2021187363A1 - フィルター装置

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Publication number: WO2021187363A1
Application number: PCT/JP2021/010071
Authority: WO
Inventors: 朋崇政木
Original assignee: 株式会社パイオラックス
Priority date: 2020-03-18
Filing date: 2021-03-12
Publication date: 2021-09-23
Also published as: JPWO2021187363A1; JP7296521B2

Abstract

フィルター本体からのコイルバネの脱落を防止すると共に、コイルバネが絡みにくいフィルター装置を提供する。このフィルター装置１０は、一端側にシール部３１、他端側にバネ支持座３３を有する枠体３０、及び、メッシュ部材５０を有するフィルター本体２０と、バネ支持座３３に対して近接離反可能にフィルター本体２０に組付けられるバネ支持部材６０と、バネ支持座３３とバネ支持部材６０との間に装着されるコイルバネ８０とを備え、フィルター本体２０とバネ支持部材６０との間に、両者を抜け止めすると共に、所定距離だけ近接離反可能に連結する組付け部が設けられている。

Description

フィルター装置

　本発明は、自動車の自動変速機等の流通路に配置され、流体中の異物を捕獲するための、フィルター装置に関する。

　例えば、自動車の内燃機関や自動変速機等には、燃料やオイル等の流体が流通する流通路が形成されているが、燃料やオイル等の流体には、粉塵やコンタミ等の異物が混入している場合がある。そのため、流通路中に、異物を捕獲するためのフィルターが配置されることがある。

　このようなフィルターとしては、外周に開口を形成した枠体に、メッシュ部材を張設したものがある。そして、枠体の一端側を、流通路に形成された流通孔に当接した状態で配置して、流体を流通孔を介して枠体内に誘導して、メッシュ部材によって異物を捕獲するようになっている。

　また、フィルターの中でも、枠体を、弾性部材を利用して流通孔側に向けて付勢して、枠体と流通孔とのシール性を高めて、異物の捕獲性能を向上させる構造も知られている。

　このようなものとして、下記特許文献１には、フィルター本体を樹脂製枠体とメッシュ材とで一体成形して、フィルター本体を弾性体を介在させて所定の部位に取付ける構成であって、樹脂製枠体の適所に、弾性体の一部を抜け外れることなく弾性的に係止できる係止部を一体に設けた、弾性体付きフィルターが記載されている。

　その実施形態では、弾性体はコイルバネとなっている。また、樹脂製枠体の外周の、径方向に対向する２箇所に、係止爪部をそれぞれ突設されている。そして、コイルバネの一端側を、樹脂製枠体の外周に配置して、一対の係止爪部で係止することで、樹脂製枠体にコイルバネが取付けられるようになっている。なお、コイルバネの他端は、流通路の、流通孔に対向する位置の内面に当接するようになっている。

実開平７－３４９０５号公報

　上記特許文献１の弾性体付きフィルターでは、コイルバネの一端が、樹脂製枠体に形成した一対の係止爪部に係止しているだけなので、生産時や搬送時に樹脂製枠体からコイルバネが外れてしまうことがあった。また、コイルバネは、樹脂製枠体の外周に配置され、他端が剥き出しとなっているので、例えば、搬送パレットに複数の弾性体付きフィルターを載置して搬送するときや、複数の弾性体付きフィルターをまとめて梱包したときに、コイルバネどうしが絡みやすいという問題があった。

　したがって、本発明の目的は、フィルター本体からコイルバネが脱落することを防止できると共に、搬送時等の際にコイルバネどうしが絡みにくい、フィルター装置を提供することにある。

　上記目的を達成するため、本発明に係るフィルター装置は、流通路の途中に形成された流通孔、及び、該流通孔に対向する位置に形成された設置面の間に配置されるものであって、外周及び軸方向一端側に開口が形成された筒状をなすと共に、一端側に前記流通孔の周縁に当接するシール部、他端側にバネ支持座を有する枠体、及び、前記枠体の外周に形成された開口を覆うメッシュ部材を有するフィルター本体と、前記フィルター本体の前記バネ支持座に対して近接離反可能に前記フィルター本体に組付けられるバネ支持部材と、前記バネ支持座に一端を支持され、前記バネ支持部材に他端を支持されて、前記バネ支持座と前記バネ支持部材との間に装着され、前記流通路に配置されたときに前記シール部を前記流通孔の周縁に圧接させるコイルバネとを備え、前記フィルター本体と前記バネ支持部材との間に、両者を抜け止めすると共に、所定距離だけ近接離反可能に連結する組付け部が設けられていることを特徴とする。

　本発明によれば、コイルバネの一端がフィルター本体の枠体のバネ支持座に支持され、他端がバネ支持部材に支持されていると共に、バネ支持座とバネ支持部材とが、組付部によって、近接離反可能に抜け止め保持されているので、コイルバネは、その伸縮動作が維持されつつ、バネ支持座とバネ支持部材との間で挟持されるため、フィルター本体からコイルバネが脱落することを確実に防止することができる。また、コイルバネの他端は、バネ支持部材に支持されるので、コイルバネの他端の剥き出し状態を防止でき、搬送時や梱包時等におけるコイルバネの絡みを抑制することができる。

本発明に係るフィルター装置の、一実施形態を示す分解斜視図である。同フィルター装置の斜視図である。図フィルター装置を構成するバネ支持部材の平面図である。図２のＡ－Ａ矢視線における断面図である。同フィルター装置を流通路に設置した状態の説明図である。本発明に係るフィルター装置の、他の実施形態を示す分解斜視図である。同フィルター装置の斜視図である。図フィルター装置を構成するバネ支持部材の平面図である。同フィルター装置を流通路に設置した状態の説明図である。

　以下、図面を参照して、本発明に係るフィルター装置の、一実施形態について説明する。

　図５に示すように、自動車の内燃機関や機関自動変速機等の、流通路形成部材１には、燃料やオイル等の流体が流通する流通路２が形成されている。この実施形態の流通路２は、図５の右側方から上方に抜ける略Ｌ字状に屈曲した通路となっている。また、流通路２の上方に抜ける流路には、縮径した流通孔３が形成されている。更に、流通路形成部材１の、前記流通孔３に対向する部分には、上記流通路２の底部をなす支持板５が配置されている。この支持板５の内面が、流通孔３に対向する位置に形成され、フィルター装置１０が設置される設置面６をなしている。なお、流通路２の形状は例示であり、上記態様に限定されるものではない。

　そして、図１に示すように、このフィルター装置１０は、流通孔３及び設置面６の間に配置されるものであって（図５参照）、シール部３１及びバネ支持座３３（以下、単に「支持座３３」ともいう）を有する枠体３０、及び、メッシュ部材５０を有するフィルター本体２０（以下、単に「本体２０」ともいう）と、バネ支持部材６０（以下、単に「支持部材６０」ともいう）と、コイルバネ８０とを備えている。更に、このフィルター装置１０には、本体２０と支持部材６０との間に、両者を抜け止めすると共に、所定距離だけ近接離反可能に連結する組付け部が設けられている。また、この組付け部は、コイルバネ８０の内側に挿入されて配置されるようになっている。

　図１に示すように、コイルバネ８０は、線材を所定ピッチで巻回して形成されている。このコイルバネ８０の一端８１が、本体２０の支持座３３に支持され、他端８３が支持部材６０に支持されて、支持座３３と支持部材６０との間に、コイルバネ８０が装着されるようになっている。すなわち、このコイルバネ８０は、本体２０の外周に配置されるものではなく、本体２０に対して軸方向に位置ずれして配置されるようになっている。言い換えると、コイルバネ８０はフィルター本体２０に対して軸方向に重ならないようになっている。また、図５に示すように、このコイルバネ８０は、フィルター装置１０が流通路２に配置されたときに、シール部３１を流通孔３の周縁に圧接させるものとなっている。

　次に、フィルター本体２０について説明する。

　図１に示すように、本体２０を構成する枠体３０は、その外周に複数の開口３９が形成されていると共に、軸方向の一端側にも開口４１が形成された筒状をなしている。

　より具体的には、この枠体３０は、その軸方向一端側に配置され、略円環状をなしたシール部３１と、枠体３０の軸方向他端側に配置され、前記シール部３１に対して軸方向に所定間隔を空けて平行に配置された、略円盤状をなした支持座３３と、シール部３１及び支持座３３の間に配置された略円環状をなした中間枠部３５と、軸方向に延びる略矩形角柱状をなすと共に、周方向に均等な間隔を空けて配置されて、シール部３１、支持座３３、及び中間枠部３５どうしを互いに連結する複数の柱部３７とから、主として構成されている。

　複数の柱部３７は、シール部３１、支持座３３、中間枠部３５に対して直交して配置されており、これらの間に、矩形状をなした前記開口３９が複数形成されている。また、前記中間枠部３５は、シール部３１及び支持座３３の間のほぼ中央に配置されている。ただし、中間枠部３５はなくてもよく、シール部３１及び支持座３３の間に、２つ以上配置してもよい。また、柱部３７は、この実施形態の場合、４本となっているが、２つでも３つでもよく、５つ以上であってもよい。

　そして、枠体３０の軸方向一端側に位置するシール部３１が、流通孔３の周縁に当接し、枠体３０の軸方向他端側に位置する支持座３３に、コイルバネ８０の一端８１が支持されるようになっている。

　そして、メッシュ部材５０は、枠体３０の、外周に形成された複数の開口３９を覆うものとなっている。なお、メッシュ部材５０及び枠体３０は、例えば、図示しない型枠にメッシュ部材５０をセットした後、枠体３０を射出成形することで、一体形成されるようになっている。ただし、枠体３０の開口３９を覆うように、メッシュ部材５０を接着剤等で固着するようにしてもよい。

　また、複数の柱部３７の先端側外周からは、外面にテーパ面４３ａを設けた爪部４３が突設されている。図５に示すように、この爪部４３は、フィルター装置１０が、流通孔３及び設置面６の間に配置された状態で、流通路２の内周と枠体３０の外周との隙間に配置されて、フィルター本体２０の傾き時に流通路２の内周に当接可能となっている。したがって、フィルター本体２０が傾いたときに、爪部４３が、流通路２の内周に当接して、フィルター本体２０の傾きを抑制して、安定した姿勢に維持するため、流通孔３の周縁に対するシール部３１のシール性を向上させるようになっている。

　更に図４に示すように、支持座３３の裏側（設置面６との対向面側）からは、薄肉の円形台状をなした隆起部４４が隆起しており、この隆起部４４の裏側中央から、略円柱状をなした軸部４５が、支持座３３の面方向に対して垂直な方向に、所定長さで延設されている。この軸部４５は、コイルバネ８０の内側に挿入される。

　そして、コイルバネ８０の一端８１側から軸部４５が挿入されることで、コイルバネ８０の一端８１が隆起部４４の外周に配置されて、コイルバネ８０のガタツキが抑制されつつ、コイルバネ８０の一端８１が支持座３３の裏面に当接して支持されるようになっている（図４参照）。

　更に、軸部４５の延出方向の先端側（軸方向の他端側）に、軸部４５よりも拡径した拡径部４７が設けられている。図４に示すように、この拡径部４７の先端側（他端側）の外周には、軸部最先端に向けて先細テーパ状をなしたテーパ面４７ａが形成されている。また、拡径部４７の、頂部（最も高く突出した部分）を挟んで、テーパ面４７ａとは反対側の外周にも、テーパ状をなした係合面４７ｂが形成されている。

　なお、上記のフィルター本体を構成する枠体の形状や構造としては、少なくとも、シール部及びバネ支持座があれば、上記態様に限定されるものではない。例えば、中間枠部３５や爪部４３はなくてもよい（この態様については後述の実施形態で説明する）。更に、上記軸部の形状や構造も、フィルター本体とバネ支持部材とを抜け止め保持できれば、上記態様に限定されない。また、枠体を構成する各部分（シール部、バネ支持座、中間枠部、柱部等）は、全て一体形成されている。

　次に、バネ支持部材６０について説明する。

　このバネ支持部材６０は、本体２０の支持座３３に対して、近接離反可能に本体２０に組付けられるものである。また、この支持部材６０は、本体２０の他端側（支持座３３側）から所定間隔を空けて、本体２０に対して軸方向に位置ずれした位置に配置されるようになっている。

　図１及び図３に示すように、この実施形態の支持部材６０は、中央に円形の軸孔６１ａが形成された略円環状をなした底壁６１と、該底壁６１の外周から放射状に延出した複数の連結部６１ｂ（ここでは４つ）を介して、底壁６１の外側に連設された略円筒状の保護壁６７とを有している。

　また、底壁６１の軸孔６１ａの表面側（設置面６に当接する裏面とは反対側の面）の周縁からは、周方向に均等な間隔を空けて、複数の係合片６３が、本体２０の支持座３３側に向けて延設されている。各係合片６３は、その他端（固定端）側が底壁６１に連結されて、底壁６１に対して直交して延びており、撓み変形可能となっている。

　また、各係合片６３は、内面及び外面が円弧状をなした横断面扇状の、帯状片となっている（図３参照）。各係合片６３の内面が、軸部４５の外周形状（円周形状）に適合する円弧状をなすことで、軸部４５に対するガイド性が高められている。また、複数の係合片６３の最大外径は、コイルバネ８０の内径よりも小さくなるように形成されている。そのため、図４に示すように、複数の係合片６３は、コイルバネ８０の内側に挿入配置されるようになっている。なお、各係合片６３の外面側も円弧状をなすことで、コイルバネ８０の内周に引っ掛かりにくく絡みにくくなっている。

　そして、図４及び図５に示すように、複数の係合片６３の内側に、枠体３０の軸部４５が、軸方向に移動可能となるように挿入配置されると共に、複数の係合片６３の外側に、コイルバネ８０が配置されるようになっている。また、コイルバネ８０の他端８３側から、複数の係合片６３が挿入されて、同コイルバネ８０の他端８３が、底壁６１の表面側の、係合片６３の周縁に当接して支持される。なお、この状態では、コイルバネ８０の内側に挿入配置された複数の係合片６３によって、コイルバネ８０の姿勢が保持されるようになっている。

　各係合片６３の一端（自由端）側の内側からは、係合片６３と同一の周方向幅で、係合突部６５がそれぞれ突設されている。また、図４に示すように、係合突部６５の一端側の外面に、テーパ面６５ａが形成されている。更に、係合突部６５の、頂部（最も高く突出した部分）を挟んで、テーパ面６５ａとは反対側の外面に、係合面６５ｂが形成されている。

　そして、各係合片６３の係合突部６５の係合面６５ｂに、軸部４５の拡径部４７の係合面４７ｂが係脱可能に係合するようになっている（図４及び図５参照）。すなわち、図４に示すように、コイルバネ８０によって本体２０が付勢されて、枠体３０の支持座３３が支持部材６０の底壁６１から最大限離れた状態では、各係合片６３の係合突部６５の係合面６５ｂに、軸部４５の拡径部４７の係合面４７ｂが係合して、本体２０と支持部材６０との両者が抜け止め保持される。

　したがって、本発明における上記「組付け部」とは、この実施形態の場合、フィルター本体２０に設けた軸部４５と、該軸部４５の外側に設けた拡径部４７と、支持部材６０に設けた係合片６３と、該係合片６３の内側に設けた係合突部６５とから構成されている。

　一方、図５に示すように、フィルター装置１０を流通路２内に設置した状態では、コイルバネ８０の付勢力によって付勢された、本体２０の枠体３０のシール部３１が、流通孔３の裏側周縁に圧接される。この際、流通孔３からの反力によって、枠体３０のシール部３１が押圧されて、コイルバネ８０の付勢力に抗して、枠体３０の支持座３３が、支持部材６０の底壁６１に近接する方向に押されるため、各係合片６３の係合突部６５の係合面６５ｂから、軸部４５の拡径部４７の係合面４７ｂが離反するようになっている。

　すなわち、このフィルター装置１０においては、本体２０側の軸部４５及び拡径部４７と、バネ支持部材６０側の複数の係合片６３及び係合突部６５とによって、本体２０の支持座３３とバネ支持部材６０の底壁６１とが近接離反するように、軸方向移動可能（軸方向にスライド可能）に抜け止め保持されるようになっている。

　なお、本発明における「組付け部」としては、例えば、バネ支持部材側に、軸部及び拡径部を設け、フィルター本体側に、複数の係合片及び係合突部を設けて、それらの内側に前記軸部を挿入する構成としてもよい。また、この実施形態では、軸部４５に拡径部４７を設けて、該拡径部４７に、係合片６３の内側の係合突部６５が係脱するようになっているが、例えば、軸部にガイド溝を設けて、このガイド溝に、係合片内側の係合突部がスライドガイド可能に挿入されると共に、ガイド溝の他端部内面に、係合突部が係合することで、フィルター本体とバネ支持部材とを抜け止め保持させてもよい。更に、この実施形態における組付け部（本体２０の軸部４５及び拡径部４７、支持部材６０の係合片６３及び係合突部６５）は、コイルバネ８０の内側に挿入されて配置されているが、本発明における「組付け部」は、コイルバネの外側に配置される構成であってもよい。

　図２及び図３に示すように、前記保護壁６７は、コイルバネ８０の外側を囲んで保護するものである。この実施形態の場合、コイルバネ８０の他端８３側を保護する。また、保護壁６７は底壁６１に対して直交配置されており、かつ、複数の係合片６３の延出長さと同じ長さで延設されている（図４参照）。ただし、複数の係合片６３の延出長さは、特に限定されず、コイルバネ８０の外周を所定長さで囲むように延びていればよい。

　更に、保護壁６７には、周方向に均等な間隔を空けて、複数の圧接片６９が形成されている。図１及び図２に示すように、各圧接片６９の両側には、保護壁６７の他端から保護壁６７の延出方向に沿って延びる一対のスリット６９ａ，６９ａが形成されており、これらのスリット６９ａ，６９ａにより、圧接片６９が撓み変形可能に設けられている。各圧接片６９は、その一端（固定端）が保護壁６７の一端側に連結されており、保護壁６７の他端側に向けて延びている。更に各圧接片６９の他端（自由端）外周からは、突部７０が突設されている。なお、この突部７０の一端側外面には、テーパ面７０ａが形成されている。図５に示すように、この突部７０は、フィルター装置１０が流通路２内に配置する際に、流通路２の内壁２ａに圧接して、フィルター装置１０を流通路２内で仮固定させる。

　上記構成からなるフィルター装置１０において、本体２０と支持部材６０とを組付ける際は、例えば、次のようにして行う。

　まず、図１に示すように、本体２０と支持部材６０との間に、コイルバネ８０を配置する。その後、コイルバネ８０の他端８３の内側に、支持部材６０の複数の係合片６３を挿入して、底壁６１で支持する。次いで、本体２０の軸部４５を、コイルバネ８０の一端８１の内側を通過させて、複数の係合片６３の内側に挿入し、本体２０を、その支持座３３が、支持部材６０の底壁６１に近接する方向に押込んでいく。

　すると、軸部４５の拡径部４７のテーパ面４７ａが、複数の係合突部６５のテーパ面６５ａを押圧して、複数の係合片６３を外方に向けて撓み変形させる。更に軸部４５を押込んで、拡径部４７の頂部が、係合突部６５の頂部を通り超えると、各係合片６３が弾性復帰して、係合突部６５の係合面６５ｂが、拡径部４７の係合面４７ｂに係合する（図４参照）。

　その結果、図４に示すように、コイルバネ８０の一端８１が支持座３３に支持され、コイルバネ８０の他端８３が支持部材６０に支持されて、本体２０と支持部材６０との間に、コイルバネ８０が圧縮状態で保持されつつ、組付け部（本体２０の軸部４５及び拡径部４７、支持部材６０の係合片６３及び係合突部６５）を介して、本体２０と支持部材６０が抜け止め状態で組付けられるようになっている。すなわち、圧縮保持されたコイルバネ８０によって、本体２０の支持座３３が、支持部材６０から離反する方向に付勢されるが、軸部４５の拡径部４７の係合面４７ｂが、複数の係合片６３の係合突部６５の各係合面６５ｂに係合することで、本体２０と支持部材６０が抜け止め保持される。

　また、この状態では、コイルバネ８０の内側に、複数の係合片６３が配置されると共に、複数の係合片６３の内側に、軸部４５が軸方向移動可能に配置された状態となっている。そのため、図４に示す状態から、コイルバネ８０の付勢力に抗して、本体２０が支持部材６０に近接する方向に押された場合に、軸部４５が複数の係合片６３によってガイドされつつ移動して、コイルバネ８０の伸縮動作が妨げられないようになっている。

　なお、上記の組付け手順は、上記手順に限定されるものではない。例えば、本体２０のバネ支持座３３上にコイルバネ８０の一端８１を当接して支持させ、軸部４５の外周にコイルバネ８０を配置した状態から、本体２０に対して支持部材６０を押込むようにしてもよい。

　また、バネ支持部材の形状や構造としては、例えば、保護壁６７はなくてもよく、上記態様に限定されるものではない。また、複数の係合片や係合突部の形状や構造も、フィルター本体とバネ支持部材とを抜け止め保持できれば、上記態様に限定されない。また、バネ支持部材を構成する各部分（底壁、複数の係合片、係合突部、保護壁等）は、全て一体形成されている。

　次に、上記構成からなる本発明に係るフィルター装置１０の作用効果について説明する。

　このフィルター装置１０は、例えば、図５に示すような流通路形成部材１の流通路２内に配置される。この際には、流通路形成部材１の流通孔３とは反対側から、フィルター装置１０を挿入していく。すると、支持部材６０の、複数の圧接片６９の突部７０が、流通路２の内壁２ａに押圧されて、各圧接片６９が内方に撓み変形しながら押込まれていく。そして、本体２０の枠体３０のシール部３１が、流通孔３の裏側周縁に当接するまで押込んだ後、流通路形成部材１の流通孔３とは反対側の部分に、支持板５を配置することで、支持板５の設置面６に、支持部材６０が設置される。その結果、図５に示すように、流通孔３及び設置面６の間に、フィルター装置１０が配置される。

　そして、この実施形態の場合、支持部材６０の保護壁６７は、流通路２の内壁２ａに圧接される突部７０を有しているので、上記のようなフィルター装置１０の配置作業の際に、複数の圧接片６９に設けた突部７０が、流通路２の内壁２ａに圧接されるようになっている。そのため、フィルター装置１０を、流通路２内で仮固定することができると共に、流通路２内でガタツキを少なくして配置することができる。

　また、上記のように、フィルター装置１０が流通孔３及び設置面６の間に配置された状態では、図５に示すように、コイルバネ８０の付勢力によって付勢された、本体２０の枠体３０のシール部３１が、流通孔３の裏側周縁に圧接される。そのため、流通孔３と本体２０とのシール性を高めることでき、流通孔３を流通する流体を、枠体３０内にしっかりと流通させて、流体中の粉塵やコンタミ等の異物を、メッシュ部材５０で確実に捕獲することができる。

　そして、このフィルター装置１０においては、コイルバネ８０の一端８１が本体２０の枠体３０の支持座３３に支持され、他端８３が支持部材６０（ここでは支持部材６０の底壁６１）に支持されていると共に、本体２０と支持部材６０とが組付け部（ここでは、本体２０の軸部４５及び拡径部４７、支持部材６０の係合片６３及び係合突部６５）によって、所定距離で近接離反可能（軸方向にスライド可能）に抜け止め保持されている。そのため、コイルバネ８０は、その伸縮動作が維持されつつ、支持座３３と支持部材６０との間で挟持されるため、本体２０からコイルバネ８０が脱落することを確実に防止することができる。

　また、図４に示すように、コイルバネ８０の他端８３は、支持部材６０（ここでは支持部材６０の底壁６１）に支持されるので、コイルバネ８０の他端８３の剥き出し状態を防止することができる。そのため、例えば、搬送パレットに複数のフィルター装置１０を載置して搬送するときや、複数のフィルター装置１０をまとめて梱包したとき等において、隣接するフィルター装置１０のコイルバネ８０の線材間に入り込みにくくなり、コイルバネ８０どうしを絡みにくくすることができる。

　更に、この実施形態においては、組付け部（ここでは本体２０の軸部４５及び拡径部４７、支持部材６０の係合片６３及び係合突部６５）は、コイルバネ８０の内側に挿入されて配置されている。そのため、コイルバネ８０の遊びを抑えることができる（コイルバネ８０が揺れたり変形したりすることを抑制できる）。その結果、搬送時や梱包時等に、コイルバネ８０どうしを、より絡みにくくすることができる。また、組付け部を、コイルバネ８０の内側空間を利用して配置することができ、コイルバネ外側に組付け部が存在する場合に比べて、フィルター装置１０のコンパクト化を図ることができる。

　また、この実施形態における組付け部は、支持部材６０から延出し、コイルバネ８０の内側に挿入される複数の係合片６３と、支持座３３から延出し、複数の係合片６３の内側に挿入される軸部４５と、各係合片６３の内側から突設し、軸部４５にスライド可能に係合する係合突部６５とから構成されている。

　そのため、組付け部を、複数の係合片６３と、軸部４５と、係合突部６５とからなる、比較的簡単な構造でスライド可能な抜け止め機構を提供できる。

　なお、複数の係合片がバネ支持座から延出し、軸部がバネ支持部材から延出した構造でも、上記と同様の効果を得ることができる。

　更に、この実施形態においては、支持部材６０は、コイルバネ８０の外側を囲む保護壁６７を有している。このように、コイルバネ８０の外側が、支持部材６０の保護壁６７によって囲まれるため、フィルター装置１０の搬送時や梱包時等におけるコイルバネ８０どうしの絡みを確実に防止することができる。

　図６～９には、本発明に係るフィルター装置の、他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。

　前記実施形態と同様に、この実施形態のフィルター装置１０Ａは、フィルター本体２０Ａ（以下、単に「本体２０Ａ」ともいう）と、バネ支持部材６０Ａ（以下、単に「支持部材６０Ａ」ともいう）と、コイルバネ８０とを備えている。

　図９に示すように、この実施形態における流通路形成部材１は、流通路２に、凹部７が形成されており、この凹部７の底面が、フィルター装置１０Ａが設置される設置面７ａをなしている。また、流通路形成部材１の、設置面７ａに対向する部分には、流通孔３を形成した支持板５が配置されている。更に、前記凹部７の、設置面７ａから離れた位置には、流通路２の幅を次第に拡径させる、テーパ面７ｂが形成されている。

　本体２０Ａを構成する枠体３０Ａは、シール部３１と、バネ支持座３３Ａ（以下、単に「支持座３３Ａ」ともいう）と、これらを連結する複数の柱部３７とからなる。この枠体３０Ａには、前記実施形態における枠体３０の中間枠部３５は設けられていない。また、枠体３０Ａは、前記実施形態における枠体３０よりも、軸方向長さが短いものとなっている。なお、複数の柱部３７は、前記実施形態における柱部３７よりも、枠体内方に大きく張り出した角柱状をなしている。

　更に、支持座３３Ａの外周には、フランジ状のフランジ部３８が設けられている。このフランジ部３８は、流通路形成部材１に設けたテーパ面７ｂに接離すると共に、フィルター装置１０Ａが、流通孔３及び設置面７ａの間に配置された状態で、流通路２の内周と枠体３０Ａの外周との隙間に配置され、フィルター本体２０Ａの傾き時に流通路２の内周に当接可能となっている。

　そして、図９に示すように、上記フランジ部３８は、コイルバネ８０によりシール部３１が流通孔３の周縁に圧接された状態で、テーパ面７ｂから離反し、コイルバネ８０の付勢力に抗して、枠体３０Ａの支持座３３Ａが、支持部材６０Ａの底壁６１に近接する方向に最大限押された状態で、テーパ面７ｂに近接すると共に、フィルター本体２０Ａの傾き時に流通路２の内周に当接して、その傾きを抑制して安定姿勢に維持し、流通孔３の周縁に対するシール部３１のシール性を向上させる。

　また、図９に示すように、支持座３３Ａの裏側からは、隆起部４４を介して、軸部４５Ａが延設されており、この軸部４５Ａの延出方向の先端側（軸方向の他端側）に、拡径部４８が設けられている。この軸部４５Ａは、支持部材６０Ａの一対の係合片６３Ａ，６３Ａの内側に挿入配置される。また、拡径部４８の、基端側（一端側）の外周には、軸部４５Ａの軸心に直交する係合面４８ｂが形成されている。

　一方、支持部材６０Ａは、中央に円形の軸孔６１ａを形成した、略円盤状をなした底壁６１を有しており、また、底壁６１の軸孔６１ａの表面側周縁からは、一対の半円筒状をなした係合片６３Ａ，６３Ａが延設されている。一対の係合片６３Ａ，６３Ａは、コイルバネ８０の内側に挿入配置される。また、各係合片６３Ａの一端側の内側からは、係合突部６６が突設されている。更に、各係合突部６６の他端側には、係合片６３Ａの延出方向に直交する係合面６６ｂが形成されている。

　また、底壁６１の、一対の係合片６３Ａ，６３Ａの他端側（固定端）の周縁部には、係合片６３Ａの周方向に沿って、複数のバネ支持突部７１が突設されている。これらのバネ支持突部７１は、コイルバネ８０の他端８３側の内周に配置されて、コイルバネ８０の傾きを規制するようになっている（図９参照）。

　そして、各係合片６３Ａの係合突部６６の係合面６６ｂに、軸部４５Ａの拡径部４８の係合面４８ｂが係脱可能に係合するようになっている。すなわち、コイルバネ８０によって本体２０Ａが付勢されて、枠体３０Ａの支持座３３Ａが支持部材６０Ａの底壁６１から最大限離れた状態では、各係合片６３Ａの係合突部６６の係合面６６ｂに、軸部４５Ａの拡径部４８の係合面４８ｂが係合して、本体２０Ａと支持部材６０Ａとの両者が抜け止め保持される。

　したがって、この実施形態では、本体２０Ａに設けた軸部４５Ａと、該軸部４５Ａの外側に設けた拡径部４８と、支持部材６０Ａに設けた係合片６３Ａと、該係合片６３Ａの内側に設けた係合突部６６とが、本発明における「組付け部」をなしている。

　一方、図５に示すように、フィルター装置１０を流通路２の凹部７内に設置した状態では、コイルバネ８０の付勢力によって付勢された、本体２０Ａの枠体３０Ａのシール部３１が、流通孔３の裏側周縁に圧接されると共に、枠体３０Ａの支持座３３Ａが、支持部材６０Ａの底壁６１に近接する方向に押されて、各係合片６３Ａの係合突部６６の係合面６６ｂから、軸部４５Ａの拡径部４８の係合面４８ｂが離反して、係合状態が解除される。

　そして、このフィルター装置１０Ａにおいても、コイルバネ８０の一端８１が本体２０Ａの支持座３３に支持され、他端８３が支持部材６０Ａの底壁６１に支持されていると共に、本体２０Ａと支持部材６０Ａとが組付け部によって、所定距離で近接離反可能に抜け止め保持されるので、コイルバネ８０の伸縮動作を維持しつつ、支持座３３Ａと支持部材６０Ａとの間で挟持されるため、本体２０Ａからコイルバネ８０が脱落することを確実に防止することができる。また、コイルバネ８０の他端８３は支持部材６０Ａに支持されるので、コイルバネ８０の他端８３の剥き出し状態を防止することができ、搬送時や梱包時等に、コイルバネ８０どうしを絡みにくくすることができる。

　また、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。

２　流通路
３　流通孔
６，７ａ　設置面
１０，１０Ａ　フィルター装置
２０，２０Ａ　フィルター本体（本体）
３０，３０Ａ　枠体
３１　シール部
３３，３３Ａ　バネ支持座（支持座）
３９　開口
４１　開口
４５，４５Ａ　軸部
４７，４８　拡径部
５０　メッシュ部材
６０，６０Ａ　バネ支持部材（支持部材）
６５，６６　係合突部
６７　保護壁
７０　突部
８０　コイルバネ

Claims

　流通路の途中に形成された流通孔、及び、該流通孔に対向する位置に形成された設置面の間に配置される、フィルター装置であって、
　外周及び軸方向一端側に開口が形成された筒状をなすと共に、一端側に前記流通孔の周縁に当接するシール部、他端側にバネ支持座を有する枠体、及び、前記枠体の外周に形成された開口を覆うメッシュ部材を有するフィルター本体と、
　前記フィルター本体の前記バネ支持座に対して近接離反可能に前記フィルター本体に組付けられるバネ支持部材と、
　前記バネ支持座に一端を支持され、前記バネ支持部材に他端を支持されて、前記バネ支持座と前記バネ支持部材との間に装着され、前記流通路に配置されたときに前記シール部を前記流通孔の周縁に圧接させるコイルバネとを備え、
　前記フィルター本体と前記バネ支持部材との間に、両者を抜け止めすると共に、所定距離だけ近接離反可能に連結する組付け部が設けられていることを特徴とするフィルター装置。
　前記組付け部は、前記コイルバネの内側に配置されている請求項１記載のフィルター装置。
　前記組付け部は、前記バネ支持部材又は前記バネ支持座の一方から延出し、前記コイルバネの内側に挿入される複数の係合片と、前記バネ支持部材又は前記バネ支持座の他方から延出し、前記複数の係合片の内側に挿入される軸部と、各係合片の内側から突設し、前記軸部にスライド可能に係合する係合突部とから構成されている請求項１又は２記載のフィルター装置。
　前記バネ支持部材は、前記コイルバネの外側を囲む保護壁を有している請求項１～３のいずれか１つに記載のフィルター装置。
　前記保護壁は、前記流通路の内壁に圧接される突部を有している請求項４記載のフィルター装置。