WO2021111722A1

WO2021111722A1 - エレベーターの通常運転復帰装置および通常運転復帰方法

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Publication number: WO2021111722A1
Application number: PCT/JP2020/037741
Authority: WO
Inventors: 潤鳥谷部; 勇来齊藤
Original assignee: 株式会社日立製作所
Priority date: 2019-12-02
Filing date: 2020-10-05
Publication date: 2021-06-10
Also published as: JPWO2021111722A1; JP7307814B2

Abstract

保守員が保守作業で塔内にいる状態では通常運転に復帰させないようにして、保守作業を行う保守員の安全性を向上させるための、エレベーターの保守作業を終了してからエレベーターを通常運転に復帰させる装置であり、ピット内で保守作業を行うピット保守装置と、エレベーター乗りかごの上で保守作業を行うかご上保守装置と、保守員がピット内での保守作業を終了後にピットから出て保守運転から通常運転に変更する最下階ホール設置ピット保守復帰装置と、保守員がかご上での保守作業を終了後にかご上から出て保守運転から通常運転に変更するホール設置かご上保守復帰装置と、かご内に入って保守運転から通常運転に変更するかご内設置かご上保守復帰装置とを備える。

Description

エレベーターの通常運転復帰装置および通常運転復帰方法

　本発明は、エレベーターの通常運転復帰装置および通常運転復帰方法に関する。

　従来、エレベーター昇降路の最下階の下側に設けられるピットに保守員が入って保守作業を行う場合、保守員はピット内に設置する停止スイッチを押下するか、または、運転モード切替えスイッチを保守運転モードに切り替えて保守作業を行っていた。

　しかし、エレベーター用の欧州規格であるＥＮ８１－２０／５０内の新規追加項目として、ピット内の保守作業終了後に通常運転に復帰する場合、保守員はピットの外部に出て、通常運転に復帰するという要請がある。つまり、この要請は、保守員がピット内の保守作業を終えてエレベーターを通常運転に復帰させる場合には、保守員の安全性を考慮して、保守員は必ずピットの外に出てからエレベーターを通常運転に復帰させることを義務付けたものということができる。

　さらに、日本の標準化規格である、ＪＩＳ－Ａ－４３０７－１／２では、上記ピット内の保守作業に加えて、かご上の保守作業も追加された。そして、保守作業終了後の通常運転への復帰作業では、保守員がピットまたはかご上から外部にでるか、かごの中に入って通常運転に復帰させる操作を行うことになった。

　特許文献１には、乗りかごの上での保守員の保守作業が終了した場合に、保守員の操作により、乗りかご上面と乗り場床面とがあった状態から、乗りかご床面と乗り場床面を同一の高さの位置まで自動的に移動させてから運転を停止する技術が記載されている。

特開昭６２－６０７８８号公報

　しかしながら、特許文献１に記載された技術では、昇降路の塔内に保守員がいる状態で、誤ってピット停止スイッチまたはかご上停止スイッチを通常状態に復帰させてしまったり、運転モード切替えスイッチを通常運転モードに戻してしまったりする場合も起こり得る。このような場合には、エレベーターが自動で通常運転に復帰してしまうため、ピット内やかご上にいる保守員に危険が及ぶ可能性が考えられる。

　本発明は、上記問題点に鑑み、保守員が保守作業を完了して、確実に昇降路の外へ脱出した後に保守運転から通常運転に復帰させるエレベーターの通常運転復帰装置および通常運転復帰方法を提供することを目的とする。

　上記課題を解決するために、例えば請求の範囲に記載の構成を採用する。
　本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、本発明は、エレベーターの保守作業を終了してからエレベーターを通常運転に復帰させるエレベーターの通常運転復帰装置であって、ピット内で保守作業を行うピット保守装置と、エレベーター乗りかごの上で保守作業を行うかご上保守装置と、保守員がピット内での保守作業を終了後にピットから出て保守運転から通常運転に切り替える最下階ホール設置ピット保守復帰装置と、保守員がかご上での保守作業を終了後にかご上から出て保守運転から通常運転に切り替えるホール設置かご上保守復帰装置と、保守員がかご上での保守作業を終了後にかご上から出てエレベーター乗りかご内に入って保守運転から通常運転に変更するかご内設置かご上保守復帰装置と、を備える。

　本発明によれば、保守員が保守作業終了後に塔内にいる可能性がある場合には、高速運転が禁止され、保守員が確実に昇降路外部へ脱出した後に、手動により保守運転から通常運転に復帰させるので、保守作業を行う保守員の安全性を向上させることができる。
　上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。

本発明の一実施の形態例であるエレベーターの通常運転復帰装置の全体構成を示す概略図である。本発明の一実施の形態例であるエレベーターの通常運転復帰装置の機能を示すブロック図である。本発明の一実施の形態例であるエレベーターの通常運転復帰装置および通常運転復帰方法において、エレベーターの運転切り替えを行うスイッチ動作について説明するための図である。本発明の一実施の形態例であるエレベーターの通常運転復帰装置のハードウェア構成を示す図である。本発明の一実施の形態例であるエレベーターの通常運転復帰方法の手順を示すフローチャートである。

＜本発明のエレベーターの通常運転復帰装置の全体構成＞
　以下、図１～図５を参照して本発明のエレベーターの通常運転復帰装置および通常運転復帰方法の一実施の形態例（以下、「本例」と称する）について説明する。
　図１に示すように、エレベーター乗りかご１には、エレベーター乗りかご１のドアゾーンを検出するためのポジテクタ・遮蔽板２が設置されている。
　また、最下階のホールには、ハッチドアスイッチ３、最下階ホール設置ピット保守復帰装置４が設置されている。

　最下階以外の各ホールには、ハッチドアスイッチ３と、ホール設置かご上保守復帰装置１０が設けられている。なお、昇降路の塔内には、停止スイッチ５、ピット保守装置６、かご上保守装置７、ガバナエンコーダ８が設けられている。ガバナエンコーダ８は、不図示の巻上機と接続されており、このガバナエンコーダ８によって、エレベーター乗りかご１の停止位置が検出される。また、エレベーター乗りかご１内には、かご内に設置されるかご内設置かご上保守復帰装置９が設けられている。

　なお、図１には示していないが、本例のエレベーターの通常運転復帰装置の全体の制御を司る制御装置を含む制御盤が不図示の機械室に設けられている。また、機械室がないエレベーターの場合には、同様の機能を有する制御盤が塔内のいずれかの場所に設けられている。

　図２は、図１に示した本例のエレベーターの通常運転復帰装置の動作を制御する不図示の制御盤の中の制御装置の機能ブロック図である。
　本例のエレベーターの通常運転復帰装置は、保守作業開始信号入力部２０と制御部２１を備える。制御部２１は、上述した不図示の制御盤が保有する主たる機能を含む。保守作業開始信号入力部２０は、制御盤の操作による保守作業開始信号を受信して、制御部２１に送る。

　制御部２１は、ピット侵入可否判定部２２、かご上搭乗可否判定部２３、ピット保守制御部２４、かご上保守制御部２５、ハッチドア制御部２６およびエレベーター速度制御部２７を備える。
　まず、機械室の制御盤等に設けられる保守スイッチが押下されて、保守作業が開始される。すると、保守作業開始信号入力部２０は、この保守作業の開始信号を受信して制御部２１に供給する。このとき、エレベーター乗りかご１は、保守作業のために停止している。

　保守作業の開始信号を受信した制御部２１のピット侵入可否判定部２２は、エレベーター最下階から保守員がピットに侵入可能かどうかを判定する。
　そして、ピット侵入可否判定部２２がピットへの侵入が可能であると判定すると、ピット保守制御部２４は、このピット侵入が可能である旨の信号を受けて、ピット保守装置運転モード切替えスイッチ接点６ａ（図２では、「ピット保守切替えスイッチ接点６ａ」と略記）を切り替えてピット保守装置６を保守運転側に作動させる。

　また、保守作業開始信号入力部２０から保守作業の開始信号を受信したかご上搭乗可否判定部２３は、保守員のかご上搭乗が可能であるかどうかを判定する。そして、かご上搭乗が可能であれば、かご上保守制御部２５は、かご上保守装置運転モード切替えスイッチ接点７ａ（図２では、「かご上保守切替えスイッチ接点７ａ」と略記）を切り替えてかご上保守装置７を保守運転側に作動させる。

　ここでエレベーター乗りかご１の位置により、ピットに侵入可能であるか、あるいはかご上に搭乗可能であるかのいずれかになることが多いが、まれにエレベーター乗りかご１の停止位置が、ピットにも侵入可能で、かつかご上にも搭乗可能である場合も起こり得る。このような場合については、図５のフローチャートで後述する。

　制御部２１のハッチドア制御部２６は、ピット保守装置６およびかご上保守装置７による保守作業と連動してハッチドアスイッチ接点３ａのオープン（ＯＦＦ）とクローズ（ＯＮ）の制御を行う。このハッチドアスイッチ接点３ａのＯＮ／ＯＦＦ制御についても図５のフローチャートで詳しく説明する。

　また、図２には、最下階ホール設置ピット保守復帰装置４と最下階ホール設置ピット保守復帰スイッチ接点４ａ、かご内設置かご上保守復帰装置９とかご内設置かご上保守復帰スイッチ接点９ａ、およびホール設置かご上保守復帰装置１０とホール設置かご上保守復帰スイッチ接点１０ａが示されている。
　これらの最下階ホール設置ピット保守復帰スイッチ接点４ａ、ホール設置かご上保守復帰スイッチ接点１０ａおよびかご内設置かご上保守復帰スイッチ接点９ａは、保守員による塔内の保守作業が終了した後に、保守員が手動で押下して、エレベーターを保守運転から通常運転に復帰させるスイッチである。

　また、制御部２１には、エレベーターの速度を保守運転の低速から通常運転の高速に、あるいは通常運転の高速から保守運転の低速に切り替える制御を行うエレベーター速度制御部２７が設けられている。このエレベーター速度制御部２７は、保守員のピット保守装置６およびかご上保守装置７における保守員による保守作業時にはエレベーター速度を低速運転にし、保守員の保守作業が終了すると高速運転にするためのものである。エレベーター速度制御部２７の動作の詳細についても、図５で後述する。

＜保守運転から通常運転へのスイッチ切り替え操作＞
　図３は、本例の通常運転復帰装置および通常運転復帰方法のエレベーターの保守運転と通常運転の切り替え動作について説明するための図である。

　図３に示すように、ハッチドアスイッチ３のハッチドアスイッチ接点３ａは、入力バッファ３ｂと接続されており、入力バッファ３ｂによりハッチドアスイッチ接点３ａのＯＮまたはＯＦＦ状態が取り込まれる。ハッチドアスイッチ接点３ａのＯＦＦはハッチドアのオープンに対応し、ハッチドアスイッチ接点３ａのＯＮはハッチドアのクローズに対応する。

　また、かご上に設けられる停止スイッチ５の停止スイッチ接点５ａは入力バッファ５ｂに接続されており、入力バッファ５ｂにより、停止スイッチ接点５ａのＯＮまたはＯＦＦ状態が取り込まれる。

　なお、図１では、停止スイッチ５は、かご上に設けられているが、停止スイッチ５は、保守員が必要に応じて手動で押下することができるスイッチであり、保守員が侵入する塔内の箇所であればピットを含む複数の箇所に設けられている。保守員は、保守作業の間に危険を感じた場合には、停止スイッチ５を手動で押下してエレベーターを停止させることができる。

　ピットに設けられるピット保守装置６のピット保守装置運転モード切替えスイッチ接点６ａは、通常運転側が入力バッファ６ｂに接続され、保守運転側が入力バッファ６ｃに接続されている。これにより、通常運転側のピット保守装置運転モード切替えスイッチ接点６ａのＯＮまたはＯＦＦ状態は入力バッファ６ｂによって取り込まれ、保守運転側のピット保守装置運転モード切替えスイッチ接点６ａのＯＮまたはＯＦＦ状態は入力バッファ６ｃによって取り込まれる。

　かご上保守装置７のかご上保守装置運転モード切替えスイッチ接点７ａは、通常運転側が入力バッファ７ｂに接続され、保守運転側が入力バッファ７ｃに接続されている。これにより、通常運転側のかご上保守装置運転モード切替えスイッチ接点７ａのＯＮまたはＯＦＦ状態は入力バッファ７ｂによって取り込まれ、保守運転側のかご上保守装置運転モード切替えスイッチ接点７ａのＯＮまたはＯＦＦ状態は入力バッファ７ｃによって取り込まれる。

　ピット保守装置運転モード切替えスイッチ接点６ａ、およびかご上保守装置運転モード切替えスイッチ接点７ａの切替え操作は、図２の制御部２１のピット保守制御部２４およびかご上保守制御部２５により自動で行われる。

　また、最下階ホールには最下階ホール設置ピット保守復帰装置４が設けられている。この最下階ホール設置ピット保守復帰装置４の最下階ホール設置ピット保守復帰スイッチ接点４ａは、入力バッファ４ｂに接続され、入力バッファ４ｂにより最下階ホール設置ピット保守復帰スイッチ接点４ａのＯＮまたはＯＦＦ状態が取り込まれる。
　さらに、エレベーター乗りかご１内には、かご内設置かご上保守復帰装置９が設けられている。このかご内設置かご上保守復帰装置９のかご上保守復帰スイッチ接点９ａは、入力バッファ９ｂに接続され、入力バッファ９ｂによりかご上保守復帰スイッチ接点９ａのＯＮまたはＯＦＦ状態が取り込まれる。

　また、ホールには、ホール設置かご上保守復帰装置１０が設けられている。ホール設置かご上保守復帰装置１０は、全てのホールに設ける必要はなく、高層階エレベーターであれば、通常、いくつかの複数のホールに設けられる。このホール設置かご上保守復帰装置１０のかご上保守復帰スイッチ接点１０ａは、入力バッファ１０ｂに接続され、入力バッファ１０ｂによって、ホール設置かご上保守復帰スイッチ接点１０ａのＯＮまたはＯＦＦの状態が入力バッファ１０ｂによって取り込まれる。

　最下階ホール設置ピット保守復帰スイッチ接点４ａ、かご内設置かご上保守復帰スイッチ接点９ａおよびホール設置かご上保守復帰スイッチ接点１０ａは、塔内での保守作業を終了した保守員が手動で押下して保守運転から通常運転に切り替えるスイッチ接点である。
　したがって、最下階ホール設置ピット保守復帰スイッチ接点４ａ、かご内設置かご上保守復帰スイッチ接点９ａおよびホール設置かご上保守復帰スイッチ接点１０ａは、ピット保守装置運転モード切替えスイッチ接点６ａおよびかご上保守装置運転モード切替えスイッチ接点７ａ等の自動切換えのスイッチ記号とは異なる手動のスイッチ記号で示されている。すなわち、停止スイッチ接点５ａと同じスイッチ記号になっている。

　［本例の建築モデルデータ支援装置のハードウェア構成］
　図４は、図１に示した本例の建築モデルデータ支援装置のハードウェア構成を示す図である。
　図４に示すように、本例のエレベーターの通常運転復帰装置は、バス３０に接続されたＣＰＵ（Central Processing Unit）３１、ＲＯＭ（Read Only Memory）３２、ＲＡＭ（Random Access Memory）３３、不揮発性ストレージ３４を備える。また、外部との通信を行うための通信インタフェース（通信部Ｉ／Ｆ）３５を備える。

　ＣＰＵ３１は、本例の通常運転復帰装置の制御部２１を含む各部の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをＲＯＭ３２から読み出して実行する。すなわち、図２で示した制御部２１のピット侵入可否判定部２２、かご上搭乗可否判定部２３、ピット保守制御部２４、かご上保守制御部２５、ハッチドア制御部２６およびエレベーター速度制御部２７の各機能はＣＰＵ３１によって実現されることになる。

　ＲＡＭ３３には、本例のエレベーターの通常運転復帰装置の特に制御部２１内で行われる演算処理の途中で発生した変数等が一時的に書き込まれる。ＣＰＵ３１がＲＯＭ３２に記録されているプログラムコードを実行することにより、上述した本例の通常運転復帰装置の各種機能が実現される。

　通信インタフェース３５としては、例えば、ＮＩＣ（Network Interface Card）等が用いられる。この通信インタフェース３５は、図１には示されていないが、必要に応じて外部機器との通信に用いられる。

　不揮発性ストレージ３４は、ＳＳＤ（Solid State Drive）等の不揮発性のメモリで構成され、ＣＰＵ３１が動作するために必要なプログラムやデータ等が記憶され格納される。また、図４では、入力部３６と出力部３７が設けられているが、これらは本例の通常運転復帰装置のハードウェア構成として、必ずしも必須のものではない。

＜本発明のエレベーターの通常運転復帰方法の手順の説明＞
　以下、図５のフローチャートを用いて、エレベーターの保守作業終了後に保守運転から通常運転へ復帰させる手順について説明する。
　機械室の不図示の保守スイッチからの保守作業開始信号が受信されると、図２の制御部２１の制御の下で保守員による保守作業が開始される（Ｓ１０１）。そして、エレベーター乗りかご１の停止位置がガバナエンコーダ８により検出され、制御部２１のピット侵入可否判定部２２は、保守員がピットに侵入できない位置にエレベーター乗りかご１が停止しているか否かを判定する（Ｓ１０２）。

　ステップＳ１０２で、保守員がピットに侵入できない位置にエレベーター乗りかご１があるとピット侵入可否判定部２２が判定した場合（Ｓ１０２のＹＥＳ）には、続いて最下階＋１階ホール、つまり最下階の１つ上のホールからかご上に保守員が搭乗可能であるか否かが判定される。すなわち、保守員が搭乗可能な位置にエレベーター乗りかご１が停止しているか否かが、かご上搭乗可否判定部２３により判定される（Ｓ１０３）。

　ステップＳ１０３で、最下階＋１階ホールからエレベーター乗りかご１の上に搭乗可能な位置にかごが停止しているとかご上搭乗可否判定部２３が判定した場合（Ｓ１０３のＹＥＳ）には、保守員がエレベーター乗りかご１の上に搭乗したとみなして、ハッチドア制御部２６は、ハッチドアスイッチ接点３ａをＯＦＦ（オープン）にする（Ｓ１０６）。

　すると、ハッチドア制御部２６がハッチドアを開き、かご上保守制御部２５は、かご上保守装置運転モード切替えスイッチ接点７ａをＯＮにする（Ｓ１０７）。そして、かご上保守装置運転モード切替えスイッチ接点７ａがＯＮになると、制御部２１は、保守員がかご上に搭乗したとみなして、高速運転を禁止する（Ｓ１０８）。

　そして、保守員が保守作業を終えると、かご上保守制御部２５は、かご上保守装置運転モード切替えスイッチ接点７ａをＯＦＦにする（Ｓ１０９）。ここでかご上保守装置運転モード切替えスイッチ接点７ａがＯＦＦになっても、すぐにはエレベーターの通常運転に復帰しない。その後、保守員はかご上から外部に出て、かご上用の復帰作業を行う（Ｓ１１０）。

　このかご上用の復帰作業は、保守員によってかご内設置かご上保守復帰スイッチ接点９ａまたはホール設置かご上保守復帰スイッチ接点１０ａが押下されて初めて実現される。その後、制御部２１は高速運転禁止モードを解除し（Ｓ１１９）、ハッチドア制御部２６はハッチドアスイッチ接点３ａをＯＮにしてハッチドアを閉じる（Ｓ１２０）。
　そして、高速運転が可能な通常運転とし（Ｓ１２１）、保守作業を完了する（Ｓ１２２）。ここで通常運転とは、エレベーターが通常に運転されている状態をいい、エレベーターの待機状態を含むエレベーターの高速運転をいう。

　なお、ステップＳ１０３で、かご上搭乗可否判定部２３が、最下階＋１階ホールでかご上搭乗ができないと判定した場合には（Ｓ１０３のＮＯ）、ピットにも侵入ができず、かつ最下階＋１階からかご上にも搭乗することができないので、ステップＳ１２１の通常運転に進む。

　次に、ステップＳ１０２で、ピット侵入可否判定部２２が、保守員がピットに侵入できない位置にエレベーターかご１が停止していない、つまり保守員がピットに侵入できる位置にエレベーター乗りかご１が停止していると判定した場合（Ｓ１０２のＮＯ）の手順について説明する。

　ピットに侵入できる位置にエレベーター乗りかご１が停止している場合であっても、かご上搭乗可否判定部２３は、エレベーター乗りかご１のかご上に保守員が搭乗可能であるか否かを判定する（Ｓ１０４）。そして、ステップＳ１０４で、エレベーター乗りかご１の上に搭乗できるホール階がないと、かご上搭乗可否判定部２３が判定した場合（Ｓ１０４のＮＯ）には、エレベーターの昇降路の塔内に侵入するリスクはピットへの侵入のみとなる。

　そこで、ハッチドア制御部２６は、ハッチドアスイッチ接点３ａをＯＦＦにしてハッチドアを開き（Ｓ１１１）、ピット保守制御部２４は、ピット保守装置６のピット保守装置運転モード切替えスイッチ接点６ａをＯＮにする（Ｓ１１２）。すると、制御部２１は、保守員がピットに侵入したとみなして高速運転を禁止する（Ｓ１１３）。

　そして、保守員が保守作業を終えると、ピット保守制御部２４は、ピット保守装置６のピット保守装置運転モード切替えスイッチ接点６ａをＯＦＦにする（Ｓ１１４）。ここで、ピット保守装置６のピット保守装置運転モード切替えスイッチ接点６ａがＯＦＦになっても、すぐにはエレベーターの通常運転に復帰しない。その後、保守員は、ピットから外部に出てピット用の復帰作業を行う（Ｓ１１５）。その後、保守員は高速運転禁止モードを解除（Ｓ１１９）して、ステップＳ１２０～Ｓ１２２の処理を行う。

　ステップＳ１０４で、ホールからエレベーター乗りかご１のかご上に搭乗可能であると、かご上搭乗可否判定部２３が判定した場合（Ｓ１０４のＹＥＳ）には、続いて、かご上搭乗可否判定部２３は、かご上搭乗可能な位置にエレベーター乗りかご１が停止しているかどうかを判定する（Ｓ１０５）。
　そして、ステップＳ１０５で、かご上搭乗可否判定部２３が、かご上搭乗可能な位置にエレベーター乗りかご１がないと判定した場合（Ｓ１０５のＮＯ）には、既に述べたステップＳ１１１～Ｓ１１５の処理、すなわちピットに保守員が浸入したとみなしたときの処理と同じ処理が行われる。

　ステップＳ１０５でかご上搭乗可能な位置にエレベーター乗りかご１があると、かご上搭乗可否判定部２３が判定した場合（Ｓ１０５のＹＥＳ）には、かご上およびピットのいずれにも保守員の搭乗または侵入が可能となるため、全てのリスクを考慮して、かご上およびピットの両方に保守員が浸入したとみなす。
　なお、一般的には、昇降路の塔内に入る保守員は一人であるが、ステップ１０５のＹＥＳの場合のように、かご上とピットのどちらにも保守員が侵入できる場合には、間違いをなくすためにも、かご上とピットの両方に保守員が侵入したとみなして以後の処理を行う。これにより、保守作業を行う保守員の危険リスクの回避をより確実に行うことができる。

　したがって、ステップＳ１０５でかご上搭乗可能な位置にエレベーター乗りかご１があると、かご上搭乗可否判定部２３が判定した場合（Ｓ１０５のＹＥＳ）には、ハッチドア制御部２６は、ハッチドアスイッチ接点３ａをＯＦＦにしてハッチドアを開く（Ｓ１１６）。
　そして、制御部２１のエレベーター速度制御部２７は、ピット保守装置６のピット保守装置運転モード切替えスイッチ接点６ａおよびかご上保守装置７のかご上保守装置運転モード切替えスイッチ接点７ａのＯＮ状態およびＯＦＦ状態如何に関わらず、保守員が塔内に侵入したとみなしてエレベーターの高速運転を禁止する（Ｓ１１７）。

　保守員による塔内における保守作業が完了すると、保守員は塔内から脱出し、かご内設置かご上保守復帰装置９またはホール設置かご上保守復帰装置１０のいずれかを使ってかご上保守復帰スイッチ接点９ａまたはホール設置かご上保守復帰スイッチ接点１０ａを手動で押下して復帰作業を行う。
　さらに、保守員は、最下階ホール設置ピット保守復帰装置４の最下階ホール設置ピット保守復帰スイッチ接点４ａを手動で押下して復帰作業を行う（Ｓ１１８）。その後、既に説明したステップＳ１１９～Ｓ１２２の処理を行って、全体の処理を終了する。

　以上、本発明の一実施の形態例としてのエレベーターの通常運転復帰装置およびエレベーターの通常運転復帰方法について説明した。
　上述した各構成、機能、処理部等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現することもできる。また、上記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを実行することによりソフトウェアで実現することもできる。なお、各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、ＳＳＤ（Solid State Drive）等の記録装置、または、ＩＣカード、ＳＤカード、ＤＶＤ等の記録媒体に置くことができる。

　また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。

　なお、上述した実施の形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に記述したものであり、必ずしも記述した全ての構成を備えるものに限定されない。実施の形態例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
　すなわち、本発明は、明細書または図面に開示した実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した内容を逸脱しない限りにおいて、他の応用例及び変形例を含むことは勿論である。

　１…エレベーター乗りかご、
　２…ポジテクタ・遮蔽板、
　３…ハッチドアスイッチ、
　　３ａ…ハッチドアスイッチ接点、
　　３ｂ…ハッチドアスイッチ入力バッファ、
　４…最下階ホール設置ピット保守復帰装置、
　　４ａ…最下階ホール設置ピット保守復帰スイッチ接点、
　　４ｂ…最下階ホール設置ピット保守復帰入力バッファ、
　５…停止スイッチ、
　　５ａ…停止スイッチ接点、
　　５ｂ…停止スイッチ入力バッファ、
　６…ピット保守装置、　
　　６ａ…ピット保守装置運転モード切替えスイッチ接点、
　　６ｂ…ピット保守装置運転モード切替えスイッチ通常側入力バッファ、
　　６ｃ…ピット保守装置運転モード切替えスイッチ保守側入力バッファ、
　７…かご上保守装置、
　　７ａ…かご上保守装置運転モード切替えスイッチ接点、
　　７ｂ…かご上保守装置運転モード切替えスイッチ通常側入力バッファ、
　　７ｃ…かご上保守装置運転モード切替えスイッチ保守側入力バッファ、
　８…ガバナエンコーダ、
　９…かご内設置かご上保守復帰装置、
　　９ａ…かご内設置かご上保守復帰スイッチ接点、
　　９ｂ…かご内設置のかご上保守復帰入力バッファ、
　１０…ホール設置かご上保守復帰装置、
　　１０ａ…ホール設置かご上保守復帰スイッチ接点、
　　１０ｂ…ホール設置かご上保守復帰入力バッファ
　２０…保守作業開始信号入力部
　２１…制御部、
　　２２…ピット侵入可否判定部、
　　２３…かご上搭乗可否判定部、
　　２４…ピット保守制御部、
　　２５…かご上保守制御部２５、
　　２６…ハッチドア制御部、
　　２７…エレベーター速度制御部

Claims

　エレベーターの保守作業を終了してからエレベーターを通常運転に復帰させるエレベーターの通常運転復帰装置であって、
　ピット内で保守作業を行うピット保守装置と、
　エレベーター乗りかごの上で保守作業を行うかご上保守装置と、
　保守員がピット内での保守作業を終了後にピットから出て保守運転から通常運転に切り替える最下階ホール設置ピット保守復帰装置と、
　保守員がかご上での保守作業を終了後にかご上から出て保守運転から通常運転に切り替えるホール設置かご上保守復帰装置と、
　保守員がかご上での保守作業を終了後にかご上から出てエレベーター乗りかご内に入って保守運転から通常運転に切り替えるかご内設置かご上保守復帰装置と、を備える
　エレベーターの通常運転復帰装置。
　保守作業の開始時に、エレベーター乗りかごの位置を検出するガバナエンコーダと、
　前記エレベーター乗りかごの位置がピットに侵入できるか否かを判断するピット侵入可否判定部と、
　前記エレベーター乗りかごの位置がかご上に搭乗できるか否かを判断するかご上搭乗可否判定部と、を備える
　請求項１に記載のエレベーターの通常運転復帰装置。
　さらに、保守員がピット内またはかご上で保守作業を終了したのちに、最下階ホール設置ピット保守復帰装置または前記ホール設置かご上保守復帰装置または前記かご内設置かご上保守復帰装置に対してエレベーター速度を低速の保守運転から高速の通常運転に復帰させるエレベーター速度制御部を備える、
　請求項２に記載のエレベーターの通常運転復帰装置。
　エレベーターの保守作業を終了してからエレベーターを通常運転に復帰させるエレベーターの通常運転復帰方法であって、
　保守作業の開始時に、エレベーター乗りかごの位置を検出するステップと、
　前記エレベーター乗りかごの位置が、ピット侵入できない位置にあり、かつ最下階でかご上搭乗可能である場合には、保守員がかご上に搭乗したとみなしてかご上保守スイッチを保守側に切り替えてエレベーターの高速運転を禁止するステップと、
　前記保守員によるピット侵入ができる位置にかごがあって、かつ各階ホールのいずれからも保守員がかご上に搭乗できない場合には、保守員がピットに搭乗したとみなして、ピット保守スイッチを保守側に切り替えてエレベーターの高速運転を禁止するステップと、
　前記保守員によるピット侵入ができる位置にかごがあって、かつ各階ホールのいずれかのホールから保守員がかご上に搭乗できる場合には、かご上とピットのいずれかに保守員が搭乗または侵入したとみなして、ピット保守スイッチを保守側に切り替えるとともに、かご上保守スイッチを保守側に切り替えてエレベーターの高速運転を禁止するステップと、
　保守作業が終了した後に、保守運転から通常運転に復帰するステップと、を含む、
　エレベーターの通常運転復帰方法。