WO2021064786A1 - エレベーターの索状体の状態推定装置およびエレベーターシステム - Google Patents
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Abstract
エレベーターの索状体の振動の節部においても、腹部の振幅を安定に推定できる状態推定装置およびエレベーターシステムを提供する。エレベーターシステム(1)の状態推定装置(21)は、一対の接触体(22)と、接触検知部(23)と、振幅推定部(24)と、を備える。一対の接触体(22)は、エレベーターの索状体の基本振動の節部に沿って、索状体に関して互いに対称な位置に設けられる。接触検知部(23)は、一対の接触体(22)の少なくとも一方への節部の接触を検知する。振幅推定部(24)は、一対の接触体(22)の各々への接触の開始時刻および終了時刻のうち少なくとも2種類の時刻に基づいて索状体の基本振動の腹部の振幅を推定する。
Description
本発明は、エレベーターの索状体の状態推定装置およびエレベーターシステムに関する。
特許文献1は、エレベーターの異常状態検出装置の例を開示する。異常状態検出装置は、ガバナーロープの画像をキャプチャするTOFカメラ(TOF:Time Of Flight)を備える。異常状態検出装置は、TOFカメラがキャプチャした画像に基づいて、TOFカメラが設けられた位置におけるガバナーロープの振動方向および振幅を計算する。異常状態検出装置は、計算した振動方向および振幅に基づいてガバナーロープの最大振幅を推定する。
しかしながら、特許文献1の異常状態検出装置は、振幅の大きさに基づいてガバナーロープの最大振幅を推定する。一方、ロープの振動の節部の振幅は微小であるため、節部において計測される振幅の大きさは、外乱の影響を受けやすい。このため、特許文献1の異常状態検出装置において、TOFカメラが節部に設けられるときに、振幅を安定に推定できない場合がある。
本発明は、このような課題を解決するためになされた。本発明の目的は、エレベーターの索状体の振動の節部においても、腹部の振幅を安定に推定できる状態推定装置およびエレベーターシステムを提供することである。
本発明に係るエレベーターの索状体の状態推定装置は、エレベーターの索状体の基本振動の節部に沿って、索状体に関して互いに対称な位置に設けられる一対の接触体と、一対の接触体の少なくとも一方への節部の接触を検知する接触検知部と、一対の接触体の各々への接触の開始時刻および終了時刻のうち少なくとも2種類の時刻に基づいて索状体の基本振動の腹部の振幅を推定する振幅推定部と、を備える。
本発明に係るエレベーターシステムは、エレベーターの索状体の基本振動の節部に沿って、索状体に関して互いに対称な位置に設けられる一対の接触体と、一対の接触体の少なくとも一方への節部の接触を検知する接触検知部と、一対の接触体の各々への接触の開始時刻および終了時刻のうち少なくとも2種類の時刻に基づいて索状体の基本振動の腹部の振幅を推定する振幅推定部と、を備える。
本発明に係る状態推定装置またはエレベーターシステムであれば、エレベーターの索状体の振動の節部において腹部の振幅を安定に推定できる。
本発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
実施の形態1.
図1および図2は、実施の形態1に係るエレベーターシステムの構成図である。
図1および図2は、実施の形態1に係るエレベーターシステムの構成図である。
図1に示す例において、エレベーターシステム1は、複数の階床を有する建物2に適用される。エレベーターシステム1において、昇降路3が、建物2の複数の階床にわたって設けられる。エレベーターシステム1において、機械室4が、昇降路3の上方に設けられる。機械室4において、ロープダクト5が、床面に設けられる。ロープダクト5は、機械室4から昇降路3に通じる開口である。エレベーターシステム1において、例えばピット6が、昇降路3の下端部に設けられる。
エレベーターシステム1は、巻上機7と、主ロープ8と、そらせ車9と、かご10と、釣合い錘11と、釣合いロープ12と、張り車13と、を備える。巻上機7は、例えば機械室4に設けられる。巻上機7は、シーブおよびモーターを有する。巻上機7のシーブは、巻上機7のモーターの回転軸に接続される。巻上機7のモーターは、巻上機7のシーブを回転させる駆動力を発生させる機器である。主ロープ8は、巻上機7のシーブおよびそらせ車9に巻き掛けられる。そらせ車9は、例えば機械室4に設けられる。そらせ車9は、シーブである。主ロープ8は、ロープダクト5を通じて機械室4から昇降路3に延びる。かご10および釣合い錘11は、昇降路3において主ロープ8によって吊られている。かご10は、昇降路3の内部を鉛直方向に走行することで乗客などを複数の階床の間で輸送する機器である。釣合い錘11は、主ロープ8を通じて巻上機7のシーブにかかる荷重の釣合いをかご10との間でとる機器である。かご10および釣合い錘11は、巻上機7のシーブの回転によって主ロープ8が移動することで、昇降路3において互いに反対方向に走行する。釣合いロープ12は、主ロープ8の移動によって生じる主ロープ8のかご10の側の自重および主ロープ8の釣合い錘11の側の自重の不均衡を補償する機器である。釣合いロープ12の一端は、かご10に取り付けられる。釣合いロープ12の他端は、釣合い錘11に取り付けられる。釣合いロープ12は、張り車13に巻き掛けられる。張り車13は、釣合いロープ12に張力をかけるシーブである。張り車13は、例えばピット6に設けられる。主ロープ8は、エレベーターの索状体の例である。釣合いロープ12は、エレベーターの索状体の例である。エレベーターの索状体は、例えばワイヤロープ、ベルトロープ、またはチェーンなどを含んでもよい。
エレベーターシステム1は、調速機14と、調速機ロープ15と、張り車16と、を備える。調速機14は、例えば機械室4に設けられる。調速機14は、かご10の過剰な走行速度を抑える機器である。調速機14は、シーブを有する。調速機ロープ15は、調速機14のシーブに巻き掛けられる。調速機ロープ15の両端は、かご10に取り付けられる。調速機ロープ15は、張り車16に巻き掛けられる。張り車16は、調速機ロープ15に張力をかけるシーブである。張り車16は、例えばピット6に設けられる。調速機ロープ15は、エレベーターの索状体の例である。
エレベーターシステム1は、制御ケーブル17と、制御盤18と、を備える。制御ケーブル17は、制御信号などを通信するケーブルである。制御ケーブル17の一端は、かご10に接続される。制御ケーブル17の他端は、例えば昇降路3の壁面に取付けられる。制御盤18は、エレベーターの動作を制御する装置である。制御盤18は、例えば機械室4に設けられる。制御盤18は、例えば制御ケーブル17を通じてかご10との間で制御信号を通信する。制御ケーブル17は、エレベーターの索状体の例である。
以下において、次のように設定されるxyz直交座標系を用いて説明する。x軸の正の方向は、鉛直下方向である。yz平面は、水平面である。z軸の方向は、巻上機7のシーブの回転軸の方向である。
図2は、エレベーターシステム1において、建物揺れ19が発生している状態を示す図である。建物揺れ19は、例えば地震、または風などの外乱によって発生する建物2の揺れである。建物揺れ19の発生によって、建物2に固定されている巻上機7および調速機14などは、建物2とともに揺れる。これにより、エレベーターの索状体の例である主ロープ8、釣合いロープ12、調速機ロープ15、および制御ケーブル17は、振動を加えられる。ここで、建物揺れ19の周波数および索状体の固有振動数が一致するときに、索状体の揺れは、共振現象によって大きくなる。エレベーターシステム1において共振現象が発生する場合に、索状体は、基本振動によって共振することが多い。基本振動は、最も低い固有振動数に対応する振動である。図2に示す例において、主ロープ8のかご10の側の部分の基本振動による共振現象が発生している。
この例において、主ロープ8のかご10の側の部分は、巻上機7のシーブから昇降路3に引き出されてかご10に取り付けられる。このため、主ロープ8のかご10の側の部分の基本振動の節は、巻上機7のシーブから引き出される点N1、およびかご10に取り付けられる点N2である。主ロープ8のかご10の側の部分の基本振動の腹は、2つの節の中間の点Mである。主ロープ8のかご10の側の部分は、平衡位置20を中心として振動する。平衡位置20は、2つの節を結ぶ線分上の位置である。
なお、釣合いロープ12のかご10の側の部分の基本振動の節は、例えば張り車13から引き出される点およびかご10に取り付けられる点である。このとき、釣合いロープ12のかご10の側の部分の基本振動の腹は、2つの節の中間の点である。また、調速機ロープ15の基本振動の節は、例えば調速機14のシーブから引き出される点および張り車16から引き出される点である。このとき、調速機ロープ15の基本振動の腹は、2つの節の中間の点である。また、制御ケーブル17の基本振動の節は、例えばかご10に取り付けられる点である。このとき、制御ケーブル17の基本振動の腹は、例えばかご10から下がる部分の下端部である。以下において、主ロープ8のかご10側の部分を、索状体の振動部分の例とする。
エレベーターシステム1は、状態推定装置21を備える。状態推定装置21は、エレベーターの索状体の振動部分の揺れの状態を推定する装置である。状態推定装置21は、例えば機械室4のロープダクト5に設けられる。
続いて、状態推定装置21の構成を説明する。
図3は、実施の形態1に係る状態推定装置の構成図である。
この例において、状態推定装置21は、主ロープ8のy軸方向の揺れの状態を推定するように設けられる。状態推定装置21は、例えばz軸方向など水平方向の他の方向の揺れの状態を推定するように設けられてもよい。
図3は、実施の形態1に係る状態推定装置の構成図である。
この例において、状態推定装置21は、主ロープ8のy軸方向の揺れの状態を推定するように設けられる。状態推定装置21は、例えばz軸方向など水平方向の他の方向の揺れの状態を推定するように設けられてもよい。
状態推定装置21は、一対の接触体22と、接触検知部23と、振幅推定部24と、を備える。
一対の接触体22は、例えばロープダクト5の縁の部分に設けられる。一対の接触体22の各々は、主ロープ8の振動部分の節部に沿って設けられる。ここで、主ロープ8の節部は、振動部分の基本振動の節側の端部において振動する部分である。節部は、振動部分の基本振動の腹Mよりも節N1または節N2のいずれかに近い部分である。節部は振動部分の振動する部分であるため、節部は、節N1または節N2そのものではない。また、主ロープ8の腹部は、振動部分の腹の部分である。腹部は、振動部分の基本振動の節N1および節N2よりも腹Mに近い部分である。腹部は、腹Mそのものであってもよい。一対の接触体22は、平衡位置20にある主ロープ8に関して互いに対称な位置に設けられる。一対の接触体22は、主ロープ8を挟んで対向する。この例において、一方の接触体22は、主ロープ8の平衡位置20よりy軸の正側に配置される。他方の接触体22は、主ロープ8の平衡位置20よりy軸の負側に配置される。一対の接触体22の各々は、主ロープ8の平衡位置20から距離Yだけ離して配置される。一対の接触体22の間隔は、ロープダクト5の幅より狭い。この例において、ロープダクト5の幅は、振動部分に共振現象が発生しても主ロープ8が接触しない幅に設定されている。一対の接触体22の各々の下端は、振動体の節N1からx軸方向に距離x0だけ離れた位置に配置される。
接触検知部23は、一対の接触検知センサー25を備える。一方の接触検知センサー25は、主ロープ8の平衡位置20よりy軸の正側に配置される接触体22に対応する。他方の接触検知センサー25は、主ロープ8の平衡位置20よりy軸の負側に配置される接触体22に対応する。接触検知センサー25は、対応する接触体22への主ロープ8の接触の開始および終了を検知するセンサーである。接触検知センサー25は、例えば力センサーまたは圧力センサーである。接触検知センサー25は、接触の強弱を検知することなく接触の有無を検知する例えばプッシュスイッチなどであってもよい。
振幅推定部24は、接触検知部23が検知した接触の開始および終了の信号を取得しうるように、接触検知部23に接続される。振幅推定部24は、接触の開始および終了の時刻を取得しうるように、例えば時計機能を搭載する。
エレベーターシステム1の制御盤18は、運転モード管理部26を備える。運転モード管理部26は、エレベーターの運転モードを管理する部分である。エレベーターの運転モードは、例えば通常運転モードおよび管制運転モードを含む。通常運転モードは、乗客などを輸送する通常時の運転モードである。管制運転モードは、例えば診断運転などを行う異常発生時などの運転モードである。
続いて、図4および図5を用いて、状態推定装置21による索状体の揺れの状態の推定の例を説明する。
図4および図5は、実施の形態1に係る状態推定装置による推定の例を示す図である。
図4および図5は、実施の形態1に係る状態推定装置による推定の例を示す図である。
図4の左側において、エレベーターシステム1に接触体22が設けられていなかった場合の主ロープ8の振動部分の揺れが示される。主ロープ8の振動部分の長さは、節N1から節N2までの長さLである。節N1から腹Mまでの長さは、L/2である。主ロープ8の振動部分の基本振動において、振幅のx軸方向の分布は、正弦関数状である。このため、節N1を基準としたx軸方向の位置x0における振幅Y´は、腹部の振幅A´を用いて次の式(1)で表される。
一方、図4の右側において、接触体22が設けられているエレベーターシステム1における主ロープ8の振動部分の揺れが示される。位置x0において主ロープ8の平衡位置20から距離Yを隔てて設けられている接触体22によって、位置x0における主ロープ8の変位は、Yを超えない範囲に制限される。ここで、節N1から接触体22までの長さx0は、振動部分の長さLに対して十分短い。このため、接触体22が設けられているエレベーターシステム1における位置x0より下方の振動部分の振動は、エレベーターシステム1に接触体22が設けられていなかった場合の振動部分の全体の振動と同様とみなすことができる。このとき、接触体22が設けられているエレベーターシステム1における振動部分の振動は、接触体22の間隔による変位Yのオフセットを加えた振動として近似できる。このため、エレベーターシステム1における腹部の振幅Aは、エレベーターシステム1に接触体22が設けられていなかった場合の腹部における振幅A´を用いて次の式(2)で表される。
なお、x0はLに対して十分短い。このとき、A=A´としてもよい。このため、エレベーターシステム1における腹部の振幅Aは、次の式(3)で表される。
図5の上側において、エレベーターシステム1に接触体22が設けられていなかった場合の、主ロープ8の節部である位置x0における変位の時間変化のグラフが示される。このグラフにおいて、横軸は時間変化を表す。縦軸は主ロープ8の平衡位置20からの変位を表す。グラフの太い実線は、節部の変位を表す。このとき、節部は、振幅がY´の正弦関数状に振動する。このため、振動の周期をTとすると、平衡位置20における節部の速度v´は、次の式(4)で表される。
一方、図5の下側において、接触体22が設けられているエレベーターシステム1について、主ロープ8の節部である位置x0における変位の時間変化のグラフが示される。このグラフにおいて、横軸は時間変化を表す。縦軸は主ロープ8の平衡位置20からの変位を表す。グラフの太い実線は、節部の実際の変位を表す。グラフの太い破線は、エレベーターシステム1に接触体22が設けられていなかった場合における振幅がY´の正弦関数状の振動を表す。
2つの接触体22によって、主ロープ8の節部の変位は、Yを超えない範囲に制限される。この例において、節部は、主ロープ8の平衡位置20よりy軸の負側に配置される接触体22に振動によって接触する。当該接触体22に対応する接触検知センサー25は、節部の接触体22への接触の開始を検知する。このとき、主ロープ8の振動部分の接触体22より下方の部分は、慣性によってそのまま運動する。ここで、x0はLに対して十分短いため、接触体22より下方の部分は、エレベーターシステム1に接触体22が設けられていなかった場合と同様に振動する。この間に接触体22に接触している節部の変位は、接触体22によってYのまま変動しない。接触体22より下方の部分の変位が最大となった後に、当該部分は平衡位置20に戻る方向に運動する。
その後の時刻t1において、接触体22より下方の部分が平衡位置20に戻るときに、節部は、接触していた接触体22から離れる。当該接触体22に対応する接触検知センサー25は、節部の接触体22への接触の終了を検知する。主ロープ8の節部は、y軸の正の方向に速度vで平衡位置20を通過する。
その後の時刻t2において、節部は、主ロープ8の平衡位置20よりy軸の正側に配置される接触体22に接触する。当該接触体22に対応する接触検知センサー25は、節部の接触体22への接触の開始を検知する。主ロープ8の振動部分の接触体22より下方の部分は、慣性によってそのまま運動する。この間に接触体22に接触している節部の変位は、接触体22によってYのまま変動しない。接触体22より下方の部分の変位が最大となった後に、当該部分は平衡位置20に戻る方向に運動する。
その後の時刻t3において、接触体22より下方の部分が平衡位置20に戻るときに、節部は、接触していた接触体22から離れる。当該接触体22に対応する接触検知センサー25は、節部の接触体22への接触の終了を検知する。主ロープ8の節部は、y軸の負の方向に速度vで平衡位置20を通過する。
その後の時刻t4において、節部は、主ロープ8の平衡位置20よりy軸の負側に配置される接触体22に再び接触する。当該接触体22に対応する接触検知センサー25は、節部の接触体22への接触の開始を検知する。ここで、接触体22より下方の部分は、エレベーターシステム1に接触体22が設けられていなかった場合と同様に振動する。このため、主ロープ8は、建物揺れ19による振動において同様の運動を周期Tで繰り返す。主ロープ8が接触体22に接触しながら振動しているときに、振幅推定部24は、接触検知部23が検知した節部の接触体22への接触の開始時刻および終了時刻を取得する。
ここで、t2-t1などの主ロープ8の節部が一対の接触体22の間で運動している時間は、t3-t2などの節部の接触が継続している時間より十分短い。このため、節部が平衡位置20を通過する速度v´は、v´=vとして近似できる。一対の接触体22の間隔は2Yであるので、振幅推定部24は、例えば次の式(5)によってvを算出する。
また、振幅推定部24は、例えば次の式(6)によって主ロープ8の振動の周期Tを算出する。
振幅推定部24は、式(4)から式(6)に基づいて、次の式(7)のようにY´を算出する。
振幅推定部24は、式(3)および式(7)に基づいて、腹部の振幅Aを推定する。
振幅推定部24は、推定した振幅Aが閾値を超える場合に、索状体の異常振動を検出する。閾値は、例えば昇降路3に設けられる振れ止めに索状体が接触する振幅などに対応する値として予め設定される。振幅推定部24は、異常振動を検出する場合に、検出信号を制御盤18の運転モード管理部26に出力する。運転モード管理部26は、振幅推定部24から検出信号が入力されるときに、エレベーターの運転モードを通常運転モードから管制運転モードに切り替える。
続いて、図6を用いて、エレベーターシステム1の動作の例を説明する。
図6は、実施の形態1に係るエレベーターシステムの動作の例を示すフローチャートである。
図6は、実施の形態1に係るエレベーターシステムの動作の例を示すフローチャートである。
ステップS1において、状態推定装置21は、接触検知部23によって主ロープ8の節部が接触体22に接触したかを判定する。判定結果がNoの場合に、状態推定装置21についてのエレベーターシステム1の動作は、ステップS1に進む。判定結果がYesの場合に、状態推定装置21についてのエレベーターシステム1の動作は、ステップS2に進む。
ステップS2において、状態推定装置21は、接触検知部23によって主ロープ8の節部の接触体22への接触の開始時刻および終了時刻として、t1、t2、t3、およびt4を順次取得する。その後、状態推定装置21についてのエレベーターシステム1の動作は、ステップS3に進む。
ステップS3において、振幅推定部24は、主ロープ8の節部の速度vおよび主ロープ8の振動の周期Tを、開始時刻および終了時刻に基づいて推定する。その後、状態推定装置21についてのエレベーターシステム1の動作は、ステップS4に進む。
ステップS4において、振幅推定部24は、主ロープ8の節部の速度vおよび振動の周期Tに基づいて、腹部の振幅Aを推定する。その後、状態推定装置21についてのエレベーターシステム1の動作は、ステップS5に進む。
ステップS5において、振幅推定部24は、推定した振幅Aが閾値を超えるかを判定する。判定結果がNoの場合に、状態推定装置21についてのエレベーターシステム1の動作は、ステップS1に進む。判定結果がYesの場合に、エレベーターシステム1の動作は、ステップS6に進む。
ステップS6において、制御盤18の運転モード管理部26は、エレベーターの運転モードを管制運転モードに切り替える。その後、索状体の揺れの状態の推定に係るエレベーターシステム1の動作は、終了する。
なお、振幅推定部24は、一方の接触体22への接触の開始時刻および終了時刻、ならびに他方の接触体22への接触の開始時刻および終了時刻からなる4種類の時刻のうち、いずれか2種類の時刻に基づいて腹部の振幅を推定してもよい。振幅推定部24は、いずれか1種類の時刻の間隔によって周期Tを算出してもよい。1種類の時刻は、例えばいずれかの接触体22への接触の開始時刻である。このとき、当該1種類の時刻の間隔は、当該接触体22への接触の開始時刻から、当該接触体22への次の接触の開始時刻までの時間である。
また、接触検知部23は、一方の接触体22に対応する接触検知センサー25のみを備えてもよい。主ロープ8の節部は、振動の半周期の間に、平衡位置20から接触体22の位置まで速度vで変位し、接触を継続し、接触体22の位置から平衡位置20まで速度vで変位する。このため、振幅推定部24は、接触の継続時間をΔtとして、例えば次の式(8)によってvを算出してもよい。なお、接触の継続時間Δtは、いずれかの接触体22への接触の開始時刻から当該接触体22への接触の終了時刻までの時間である。
以上に説明したように、実施の形態1に係る状態推定装置21は、一対の接触体22と、接触検知部23と、振幅推定部24と、を備える。一対の接触体22は、エレベーターの索状体の基本振動の節部に沿って、索状体に関して互いに対称な位置に設けられる。接触検知部23は、一対の接触体22の少なくとも一方への節部の接触を検知する。振幅推定部24は、一対の接触体22の各々への接触の開始時刻および終了時刻のうち少なくとも2種類の時刻に基づいて索状体の基本振動の腹部の振幅を推定する。
また、実施の形態1に係るエレベーターシステム1は、一対の接触体22と、接触検知部23と、振幅推定部24と、を備える。一対の接触体22は、エレベーターの索状体の基本振動の節部に沿って、索状体に関して互いに対称な位置に設けられる。接触検知部23は、一対の接触体22の少なくとも一方への節部の接触を検知する。振幅推定部24は、一対の接触体22の各々への接触の開始時刻および終了時刻のうち少なくとも2種類の時刻に基づいて索状体の基本振動の腹部の振幅を推定する。
また、実施の形態1に係るエレベーターシステム1は、一対の接触体22と、接触検知部23と、振幅推定部24と、を備える。一対の接触体22は、エレベーターの索状体の基本振動の節部に沿って、索状体に関して互いに対称な位置に設けられる。接触検知部23は、一対の接触体22の少なくとも一方への節部の接触を検知する。振幅推定部24は、一対の接触体22の各々への接触の開始時刻および終了時刻のうち少なくとも2種類の時刻に基づいて索状体の基本振動の腹部の振幅を推定する。
接触の開始時刻および終了時刻は、索状体の接触体22への接触の有無が切り替わる時刻である。ここで、接触の有無は、二値の情報であるため、外乱の影響を受けにくい。このため、接触の開始時刻および終了時刻は、外乱の影響を受けにくい。したがって、振幅推定部24は、エレベーターの索状体の節部において、腹部の振幅を安定に推定できる。
また、エレベーターシステム1における機器の状態を把握することは、BCP(Business Continuity Planning)情報プラットフォームを構築する上で重要となる。状態推定装置21は、機器の状態の1つとして、エレベーターの索状体の揺れの状態を推定できる。
また、接触体22は節部に設けられるので、状態推定装置21は、振動部分の長さが運転によって変化する主ロープ8などに対しても適用しやすい。また、状態推定装置21は、振動部分において腹部などの複数の箇所にカメラまたは非接触式のセンサーなどの測定機器を設けなくてもよい。
また、エレベーターシステム1における機器の状態を把握することは、BCP(Business Continuity Planning)情報プラットフォームを構築する上で重要となる。状態推定装置21は、機器の状態の1つとして、エレベーターの索状体の揺れの状態を推定できる。
また、接触体22は節部に設けられるので、状態推定装置21は、振動部分の長さが運転によって変化する主ロープ8などに対しても適用しやすい。また、状態推定装置21は、振動部分において腹部などの複数の箇所にカメラまたは非接触式のセンサーなどの測定機器を設けなくてもよい。
また、接触検知部23は、一対の接触体22の各々への節部の接触を検知する。振幅推定部24は、一対の接触体22の各々への接触の開始時刻および終了時刻に基づいて索状体の基本振動の腹部の振幅を推定する。
振幅推定部24は、一対の接触体22の各々への接触の開始時刻および終了時刻からなる4種類の時刻に基づいて腹部の振幅を推定する。当該4種類の時刻は、振動の一周期に満たない時間間隔の間の時刻である。このため、状態推定部は、速やかに振動の推定を行うことができる。
また、振幅推定部24は、一対の接触体22の一方への節部の接触の終了時刻、および一対の接触体22の他方への節部の接触の開始時刻に基づいて、一対の接触体22の間において運動する節部の速度を推定する。振幅推定部24は、一対の接触体22の各々への節部の接触の開始時刻および終了時刻に基づいて索状体の振動の周期を推定する。振幅推定部24は、推定した速度および周期に基づいて腹部の振幅を推定する。
これにより、振幅推定部24は、単純な処理によって腹部の振幅を推定できる。このため、状態推定装置21において、振幅の推定による処理の負荷が低減される。
また、エレベーターシステム1は、運転モード管理部26を備える。運転モード管理部26は、振幅推定部24に推定された腹部の振幅が予め設定された閾値を超えるときに、エレベーターの運転モードを管制運転モードに切り替える。
これにより、索状体が共振現象などによって大きく振動する場合に、管制運転によってエレベーターの運転の継続の可否などが診断できる。このため、例えば異常振動する索状体が周辺の機器に衝突することなどによる障害の発生を予防できる。
また、状態推定装置21は、例えばかご10の上に設けられてもよい。このとき、接触体22は、節N2の側の節部に沿って設けられる。状態推定装置21は、主ロープ8の釣合い錘11の側の振動部分に設けられてもよい。状態推定装置21は、釣合いロープ12、調速機ロープ15、または制御ケーブル17の振動部分に設けられてもよい。また、エレベーターシステム1において、例えば主ロープ8などのローピングは、1:1ローピング、2:1ローピング、またはその他のローピングであってもよい。
また、エレベーターシステム1において、機械室4は設けられなくてもよい。このとき、巻上機7、および調速機14などの機器は、昇降路3の上部または下部などに設けられてもよい。
また、振幅推定部24のハードウェアは、制御盤18と一体であってもよい。
続いて、図7を用いて、エレベーターシステム1のハードウェア構成の例について説明する。
図7は、実施の形態1に係るエレベーターシステムの主要部のハードウェア構成図である。
図7は、実施の形態1に係るエレベーターシステムの主要部のハードウェア構成図である。
エレベーターシステム1の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ1bと少なくとも1つのメモリ1cとを備える。処理回路は、プロセッサ1bおよびメモリ1cと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用のハードウェア1aを備えてもよい。
処理回路がプロセッサ1bとメモリ1cとを備える場合、エレベーターシステム1の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ1cに格納される。プロセッサ1bは、メモリ1cに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、エレベーターシステム1の各機能を実現する。
プロセッサ1bは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ1cは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
処理回路が専用のハードウェア1aを備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
エレベーターシステム1の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、エレベーターシステム1の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。エレベーターシステム1の各機能について、一部を専用のハードウェア1aで実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、ハードウェア1a、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせでエレベーターシステム1の各機能を実現する。
実施の形態2.
実施の形態2において、実施の形態1で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
実施の形態2において、実施の形態1で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
図8は、実施の形態2に係る状態推定装置の構成図である。
状態推定装置21は、変位増幅器27を備える。変位増幅器27は、主ロープ8の節部の長手方向に垂直な方向の変位を増幅する機器である。変位増幅器27は、例えば主ロープ8の節部に負の剛性を生じさせる。すなわち、変位増幅器27は、節部が平衡位置20から変位するにつれて、当該変位をより強く増幅させる。これにより、状態推定装置21は、主ロープ8の制振装置としても動作する。
変位増幅器27は、例えば2つの電磁石28を有する。電磁石28は、通電によって磁界を発生させるコイル29と、鉄心30と、を備える。電磁石28のコイル29は、第1コイルの例である。一方の電磁石28は、主ロープ8の平衡位置20よりy軸の正側に配置される接触体22に対応する。他方の電磁石28は、主ロープ8の平衡位置20よりy軸の負側に配置される接触体22に対応する。電磁石28は、対応する接触体22について、主ロープ8の平衡位置20から遠い側に配置される。電磁石28の磁極は、接触体22を挟んで主ロープ8の節部に向けられる。
ここで、主ロープ8は、例えば強磁性体で形成される。あるいは、主ロープ8は、表面に強磁性体を備えることによって強磁性を有してもよい。電磁石28のコイル29が発生させる磁界は、主ロープ8に引力を生じさせる。磁界による引力は、節部が電磁石28に近づくほど強くなる。このため、電磁石28は、磁界によって節部に負の剛性を生じさせる。
主ロープ8は、張力などによって平衡位置20に引き戻す復元力を受ける。復元力は、節部の変位の大きさに対して線形な力を生じさせる。一方、負の剛性は、節部の変位の大きさに対して非線形な力を生じさせる。このため、節部の変位が大きくなる場合に、負の剛性によって節部が平衡位置20に戻らなくなる不安定な変位の範囲がある。接触体22は、不安定な範囲まで節部が接触しないように、不安定な変位の範囲よりも平衡位置20に近い位置に配置される。なお、接触体22は、例えば非磁性体で形成される。
接触検知部23は、電流計31を備える。電磁石28のコイル29を貫く磁束は、強磁性を有する主ロープ8の節部の位置に応じて変化する。ここで、節部が接触体22に接触するときに、節部は、急に停止する。これにより、電磁石28のコイル29を貫く磁束は、急に変化する。磁束の変化によって、電磁石28のコイル29に誘導起電力がパルス状に生じる。これにより、電磁石28のコイル29にパルス電流が流れる。接触検知部23の電流計31は、例えばこのように接触の開始によって流れるパルス電流を検出することで、節部の接触体22への接触の開始を検知する。同様に、節部の接触体22への接触が終了するときにも、節部は、急に運動を再開する。接触検知部23の電流計31は、例えばこのように接触の終了によって流れるパルス電流を検出することで、節部の接触体22への接触の開始を検知する。
以上に説明したように、実施の形態2に係る状態推定装置21は、変位増幅器27を備える。変位増幅器27は、索状体の節部の長手方向に垂直な方向の変位を増幅する。
節部の微小な変位が増幅されることによって、接触検知部23は、節部の接触体22への接触をより安定に検知できる。
また、状態推定装置21は、索状体の制振装置を兼ねることができる。このため、状態推定装置21および制振装置のエレベーターシステム1への適用がより容易になる。
状態推定装置21が制振装置として働くことによって、異常振動にまで至らない索状体の揺れが抑制される。これにより、エレベーターシステム1がより安定に運転されるようになる。また、制振装置としての制振能力を超える規模の建物揺れ19に対して、状態推定装置21は、索状体の揺れの状態を推定することでエレベーターシステム1の障害の発生を抑えることができる。
また、状態推定装置21は、索状体の制振装置を兼ねることができる。このため、状態推定装置21および制振装置のエレベーターシステム1への適用がより容易になる。
状態推定装置21が制振装置として働くことによって、異常振動にまで至らない索状体の揺れが抑制される。これにより、エレベーターシステム1がより安定に運転されるようになる。また、制振装置としての制振能力を超える規模の建物揺れ19に対して、状態推定装置21は、索状体の揺れの状態を推定することでエレベーターシステム1の障害の発生を抑えることができる。
また、一対の接触体22の各々は、変位増幅器27の変位の増幅によって索状体の節部が基本振動の平衡位置20に戻らなくなる位置より平衡位置20に近い位置に配置される。
これにより、一対の接触体22の各々は、節部が不安定な位置まで変位することを抑制する制限部材として働く。このため、変位増幅器27は、節部の振動による変位を安定に増幅することができる。
また、変位増幅器27は、第1コイルを備える。第1コイルは、節部の変位を増幅する磁界を発生させる。接触検知部23は、節部の接触体22への接触の開始または終了のときの第1コイルを貫く磁束の変化で生じる起電力によって、節部の接触体22への接触を検知する。
節部の接触体22への接触の開始または終了のときの誘導起電力は、パルス状に発生する。このため、当該起電力の検知は、外乱の影響を受けにくい。これにより、接触検知部23は、接触を安定に検知できる。また、変位増幅器27の電磁石28のコイル29は、接触検知部23を兼ねることができる。これにより、状態推定装置21の構成がより簡単になる。このため、状態推定装置21は、エレベーターシステム1により適用しやすくなる。なお、接触検知部23は、例えば電圧計によってパルス状の誘導起電力を検知してもよい。
実施の形態3.
実施の形態3において、実施の形態1または実施の形態2で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態3で説明しない特徴については、実施の形態1または実施の形態2で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
実施の形態3において、実施の形態1または実施の形態2で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態3で説明しない特徴については、実施の形態1または実施の形態2で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
図9は、実施の形態3に係る状態推定装置の構成図である。
この例において、状態推定装置21は、主ロープ8のz軸方向の揺れの状態を推定するように設けられる。状態推定装置21は、例えばy軸方向など水平方向の他の方向の揺れの状態を推定するように設けられてもよい。
この例において、状態推定装置21は、主ロープ8のz軸方向の揺れの状態を推定するように設けられる。状態推定装置21は、例えばy軸方向など水平方向の他の方向の揺れの状態を推定するように設けられてもよい。
この例において、一方の接触体22は、主ロープ8の平衡位置20よりz軸の正側に配置される。他方の接触体22は、主ロープ8の平衡位置20よりz軸の負側に配置される。
変位増幅器27は、例えば2つの磁石ユニット32を備える。一方の磁石ユニット32は、主ロープ8の平衡位置20よりz軸の正側に配置される接触体22に対応する。他方の磁石ユニット32は、主ロープ8の平衡位置20よりz軸の負側に配置される接触体22に対応する。
この例において、磁石ユニット32は、2つの磁石33と、ヨーク34と、コイル35と、抵抗器36と、を有する。磁石ユニット32のコイル35は、第2コイルの例である。磁石33は、例えば永久磁石または電磁石28である。一方の磁石33は、上側に配置される。他方の磁石33は、下側に配置される。2つの磁石33の各々の磁極は、接触体22を挟んで主ロープ8の節部に向けられる。ヨーク34は、2つの磁石33の各々について、主ロープ8の節部に向けられていない側の磁極にわたって設けられる。ヨーク34は、磁石33の磁束を導く例えば鉄などの透磁率の高い材料で形成される。磁石ユニット32のコイル35は、ヨーク34に巻きつけられる。ヨーク34に導かれる磁石33の磁束は、磁石ユニット32のコイル35を貫く。抵抗器36は、磁石ユニット32のコイル35に電気的に接続される。
ここで、主ロープ8は、例えば強磁性体で形成される。磁石33による磁界は、主ロープ8に引力を生じさせる。磁界による引力は、節部が磁石33に近づくほど強くなる。このため、磁石33は、磁界によって節部に負の剛性を生じさせる。
磁石ユニット32のコイル35を貫く磁束は、強磁性を有する主ロープ8の節部の位置に応じて変化する。このため、接触体22の間における節部の運動によって、磁石ユニット32のコイル35に誘導起電力が生じる。誘導起電力により、磁石ユニット32のコイル35および抵抗器36に電流が流れる。これにより、抵抗器36は、主ロープ8の節部の振動の運動エネルギーをジュール熱に変換する。すなわち、磁石ユニット32は、減衰器としても機能する。
接触検知部23は、電流計31を備える。磁石ユニット32のコイル35を貫く磁束は、強磁性を有する主ロープ8の節部の位置に応じて変化する。ここで、節部が接触体22に接触するときに、節部は、急に停止する。これにより、磁石ユニット32のコイル35を貫く磁束は、急に変化する。磁束の変化によって、磁石ユニット32のコイル35に誘導起電力がパルス状に生じる。これにより、磁石ユニット32のコイル35にパルス電流が流れる。接触検知部23の電流計31は、例えばこのように接触の開始によって流れるパルス電流を検出することで、節部の接触体22への接触の開始を検知する。同様に、節部の接触体22への接触が終了するときにも、節部は、急に運動を再開する。接触検知部23の電流計31は、例えばこのように接触の終了によって流れるパルス電流を検出することで、節部の接触体22への接触の開始を検知する。
以上に説明したように、実施の形態3に係る状態推定装置21の変位増幅器27は、磁石33と、第2コイルと、を備える。磁石33は、索状体の変位を増幅する磁界を発生させる。第2コイルは、磁石33の磁束に貫かれる。接触検知部23は、節部の接触体22への接触の開始または終了のときの第2コイルを貫く磁束の変化で生じる起電力によって、節部の接触体22への接触を検知する。
第2コイルを有する変位増幅器27が減衰器として働くことによって、異常振動にまで至らない索状体の揺れが抑制される。これにより、エレベーターシステム1がより安定に運転されるようになる。
また、節部の接触体22への接触の開始または終了のときの誘導起電力は、パルス状に発生する。このため、当該起電力の検知は、外乱の影響を受けにくい。これにより、接触検知部23は、接触を安定に検知できる。
また、節部の接触体22への接触の開始または終了のときの誘導起電力は、パルス状に発生する。このため、当該起電力の検知は、外乱の影響を受けにくい。これにより、接触検知部23は、接触を安定に検知できる。
なお、磁石ユニット32は、1つの磁石33のみを備えてもよい。磁石ユニット32は、3つ以上の磁石33を備えてもよい。
本発明に係る状態推定装置は、エレベーターシステムに適用できる。本発明に係るエレベーターシステムは、複数の階床を有する建物に適用できる。
1 エレベーターシステム、 2 建物、 3 昇降路、 4 機械室、 5 ロープダクト、 6 ピット、 7 巻上機、 8 主ロープ、 9 そらせ車、 10 かご、 11 釣合い錘、 12 釣合いロープ、 13 張り車、 14 調速機、 15 調速機ロープ、 16 張り車、 17 制御ケーブル、 18 制御盤、 19 建物揺れ、 20 平衡位置、 21 状態推定装置、 22 接触体、 23 接触検知部、 24 振幅推定部、 25 接触検知センサー、 26 運転モード管理部、 27 変位増幅器、 28 電磁石、 29 コイル、 30 鉄心、 31 電流計、 32 磁石ユニット、 33 磁石、 34 ヨーク、 35 コイル、 36 抵抗器、 1a ハードウェア、 1b プロセッサ、 1c メモリ
Claims (9)
- エレベーターの索状体の基本振動の節部に沿って、前記索状体に関して互いに対称な位置に設けられる一対の接触体と、
前記一対の接触体の少なくとも一方への前記節部の接触を検知する接触検知部と、
前記一対の接触体の各々への接触の開始時刻および終了時刻のうち少なくとも2種類の時刻に基づいて前記索状体の基本振動の腹部の振幅を推定する振幅推定部と、
を備えるエレベーターの索状体の状態推定装置。 - 前記索状体の前記節部の長手方向に垂直な方向の変位を増幅する変位増幅器
を備える請求項1に記載のエレベーターの索状体の状態推定装置。 - 前記一対の接触体の各々は、前記変位増幅器の変位の増幅によって前記索状体の前記節部が基本振動の平衡位置に戻らなくなる位置より前記平衡位置に近い位置に配置される
請求項2に記載のエレベーターの索状体の状態推定装置。 - 前記変位増幅器は、前記節部の変位を増幅する磁界を発生させる第1コイルを備え、
前記接触検知部は、前記節部の前記接触体への接触の開始または終了のときの前記第1コイルを貫く磁束の変化で生じる起電力によって前記節部の前記接触体への接触を検知する
請求項2または請求項3に記載のエレベーターの索状体の状態推定装置。 - 前記変位増幅器は、前記索状体の変位を増幅する磁界を発生させる磁石と、前記磁石の磁束に貫かれる第2コイルと、を備え、
前記接触検知部は、前記節部の前記接触体への接触の開始または終了のときの前記第2コイルを貫く磁束の変化で生じる起電力によって前記節部の前記接触体への接触を検知する
請求項2または請求項3に記載のエレベーターの索状体の状態推定装置。 - 前記接触検知部は、前記一対の接触体の各々への前記節部の接触を検知し、
前記振幅推定部は、前記一対の接触体の各々への接触の開始時刻および終了時刻に基づいて前記索状体の基本振動の腹部の振幅を推定する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のエレベーターの索状体の状態推定装置。 - 前記振幅推定部は、前記一対の接触体の一方への前記節部の接触の終了時刻および前記一対の接触体の他方への前記節部の接触の開始時刻に基づいて前記一対の接触体の間において運動する前記節部の速度を推定し、前記一対の接触体の各々への前記節部の接触の開始時刻および終了時刻に基づいて前記索状体の振動の周期を推定し、推定した前記速度および前記周期に基づいて前記腹部の振幅を推定する
請求項6に記載のエレベーターの索状体の状態推定装置。 - エレベーターの索状体の基本振動の節部に沿って、前記索状体に関して互いに対称な位置に設けられる一対の接触体と、
前記一対の接触体の少なくとも一方への前記節部の接触を検知する接触検知部と、
前記一対の接触体の各々への接触の開始時刻および終了時刻のうち少なくとも2種類の時刻に基づいて前記索状体の基本振動の腹部の振幅を推定する振幅推定部と、
を備えるエレベーターシステム。 - 前記振幅推定部に推定された前記腹部の振幅が予め設定された閾値を超えるときに、エレベーターの運転モードを管制運転モードに切り替える運転モード管理部
を備える請求項8に記載のエレベーターシステム。
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