WO2020203770A1 - 細胞培養用足場材料、細胞培養用容器、細胞培養用担体、細胞培養用繊維及び細胞の培養方法 - Google Patents
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Abstract
適度な親水性と強度とを備え、細胞の播種後の定着性が高く、高効率に細胞増殖が可能な細胞培養用足場材料を提供する。 本発明に係る細胞培養用足場材料は、合成樹脂を含有する細胞培養用足場材料であって、前記合成樹脂の窒素含有量が0.1質量%以上10質量%以下である。
Description
本発明は、細胞を培養するために用いられる細胞培養用足場材料に関する。また、本発明は、上記細胞培養用足場材料を用いた細胞培養用容器、細胞培養用担体、細胞培養用繊維及び細胞の培養方法に関する。
学術分野、創薬分野及び再生医療分野等の研究開発において、ヒト、マウス、ラット、ブタ、ウシ及びサル等の動物細胞が用いられている。動物細胞を培養するために用いられる足場材料として、ラミニン及びビトロネクチン等の接着タンパク質、並びにマウス肉腫由来のマトリゲル等の天然高分子材料が用いられている。
また、下記の特許文献1~3に示すように合成樹脂を用いた足場材料も知られている。
下記の特許文献1には、ポリビニルアセタール化合物からなる成形物又は該ポリビニルアセタール化合物と水溶性多糖類とからなる成形物からなり、該ポリビニルアセタール化合物のアセタール化度が20~60モル%である細胞培養用担体が開示されている。
下記の特許文献2には、未分化細胞を未分化の状態で培養するための足場材料であって、ハイドロゲルからなる足場材料が開示されている。
また、下記の特許文献3には、多能性幹細胞の未分化性を維持するための細胞培養方法であって、ポリロタキサンブロック共重合体で被覆された表面を有する培養器上で該多能性幹細胞を培養する工程を含む方法が開示されている。
足場材料として天然高分子材料を用いることで、播種後の細胞の定着性を高めることができる。しかしながら、天然高分子材料は、高価であったり、天然由来物質であるためロット間のばらつきが大きかったり、動物由来の成分による安全上の懸念があったりする。
一方、特許文献1~3に記載のような合成樹脂を用いた足場材料は、天然高分子材料を用いた足場材料と比べて、安価であり、ロット間のばらつきが小さく、かつ安全性に優れる。しかしながら、特許文献1~3に記載の合成樹脂を用いた足場材料は、親水性が非常に高いため、該足場材料が液体培地によって膨潤し、該足場材料が剥がれるなどして強度に劣ることがある。また、特許文献1~3に記載の合成樹脂を用いた足場材料では、細胞の播種後の定着性が低く、細胞が十分に増殖しないことがある。
従来、適度な親水性と強度とを備え、細胞の播種後の定着率が高く、高効率に細胞増殖が可能な細胞培養用足場材料を作製することは困難であった。
本発明の目的は、適度な親水性と強度とを備え、細胞の播種後の定着性が高く、高効率に細胞増殖が可能な細胞培養用足場材料を提供することである。また、本発明は、上記細胞培養用足場材料を用いた細胞培養用容器、細胞培養用担体、細胞培養用繊維及び細胞の培養方法を提供することも目的とする。
本発明の広い局面によれば、合成樹脂を含有する細胞培養用足場材料であって、前記合成樹脂の窒素含有量が0.1質量%以上10質量%以下である、細胞培養用足場材料が提供される。
本発明に係る細胞培養用足場材料のある特定の局面では、前記合成樹脂が、ブレンステッド塩基性基を1モル%以上50モル%以下で含む。
本発明に係る細胞培養用足場材料の他の特定の局面では、前記ブレンステッド塩基性基がアミン系塩基性基である。
本発明に係る細胞培養用足場材料のさらに他の特定の局面では、前記合成樹脂が、アミン構造を有する構成単位、イミン構造を有する構成単位およびアミド構造を有する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位を備える。
本発明に係る細胞培養用足場材料のさらに他の特定の局面では、前記合成樹脂が、アミド構造を有する構成単位を備える。
本発明に係る細胞培養用足場材料のさらに他の特定の局面では、前記合成樹脂が、イミン構造を有する構成単位およびアミン構造を有する構成単位の両方を備える。
本発明に係る細胞培養用足場材料のさらに他の特定の局面では、前記細胞が、体細胞、幹細胞、前駆細胞又は分化細胞である。
本発明の広い局面によれば、上述した細胞培養用足場材料を備える、細胞培養用容器が提供される。
本発明の広い局面によれば、上述した細胞培養用足場材料と、多糖類と、を含有する、細胞培養用担体が提供される。
本発明の広い局面によれば、上述した細胞培養用足場材料を備える、細胞培養用繊維が提供される。
本発明の広い局面によれば、上述した細胞培養用足場材料を用いる、細胞の培養方法が提供される。
本発明によれば、適度な親水性と強度とを備え、細胞の播種後の定着性が高く、高効率に細胞増殖が可能な細胞培養用足場材料並びに上記細胞培養用足場材料を用いた細胞培養用容器、細胞培養用担体、細胞培養用繊維及び細胞の培養方法が提供される。
以下に、実施形態を挙げて本発明の説明を行うが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
[細胞培養用足場材料]
本発明に係る細胞培養用足場材料は、合成樹脂を含有する細胞培養用足場材料であって、上記合成樹脂の窒素含有量が0.1質量%以上10質量%以下である。
本発明者らは鋭意検討した結果、窒素含有量が0.1質量%以上10質量%以下である合成樹脂を用いることで、上述の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記合成樹脂の窒素含有量は、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
合成樹脂の元素組成はX線光電子分光法によって分析できる。X線光電子分光法で用いられる装置としては、例えば、アルバック・ファイ社製「多機能走査型X線光電子分光分析装置(XPS)」が挙げられる。検出された全元素の総量を100%とし、全元素中における窒素の占有率(%)を窒素含有量とする。
なお、本発明に係る細胞培養用足場材料には、窒素含有量が0.1質量%以上10質量%以下である合成樹脂のみからなる態様が含まれる。
本発明に係る細胞培養用足場材料は、適度な親水性と強度とを備えるため、細胞の播種後の定着性が向上する。特にフィーダー細胞や接着タンパク質を含まない無血清培地培養において、細胞播種後の初期定着率が向上する。細胞培養用足場材料は、上述の要件を満たせば成分は特に制限されない。
合成樹脂は、重合性モノマー(以下、単に「モノマー」ともいう)を重合(重縮合も含む)させて得られるポリマー(以下、単に「ポリマー」ともいう)を主成分とするものをいう。上記ポリマーは、1種のみのモノマーを重合させたホモポリマーであってもよく、2種以上のモノマーを重合させたコポリマーであってもよい。
上記ポリマーとしては、例えば、飽和又は不飽和炭化水素、芳香族炭化水素、飽和又は不飽和脂肪酸、芳香族カルボン酸、飽和又は不飽和ケトン、芳香族ケトン、飽和又は不飽和アルコール、芳香族アルコール、飽和又は不飽和アミン、芳香族アミン、飽和又は不飽和チオール、芳香族チオール、有機ケイ素化合物等の1種以上の重合性モノマーからなるポリマーが挙げられる。
具体的な上記ポリマーとしては、例えば、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、セルロース、ポリペプチド等が挙げられる。
細胞の定着性をより一層高める観点からは、上記合成樹脂(ポリマー)は、ポリ(メタ)アクリル酸エステル又はポリビニルアセタール樹脂であることが好ましく、ポリビニルアセタール樹脂であることがより好ましい。
上記ポリマーは、一種類のみを用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。二種類以上のポリマーを組み合わせる場合は、二種類以上のポリマーを混合して用いてもよく、二種類以上のポリマーの骨格を化学結合させたポリマーとして用いてもよい。したがって、合成樹脂として、複数のものを組み合わせる場合には、ポリ(メタ)アクリル酸エステルと、ポリビニルアセタールとを組み合わせることが好ましい。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸類」とは、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸からなる群より選択される少なくとも1種をいう。またポリ(メタ)アクリル酸類は、そのモノマーである(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリル酸を重合することによって得られる重合体であるが、(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリル酸以外のモノマーを共重合したものも含む。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては特に限定されないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール類、(メタ)アクリル酸ホスホリルコリンからなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、特に制限はないが、炭素原子数1~3のアルコキシ基、テトラヒドロフルフリル基等の種々の置換基で置換されていてもよい。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、メトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸環状アルキルエステルとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N’-ジメチル(メタ)アクリルアミド、(3-(メタ)アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、4-(メタ)アクリロイルモルホリン、3-(メタ)アクリロイル-2-オキサゾリジノン、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、6-(メタ)アクリルアミドヘキサン酸等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール類としては、例えば、メトキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレート、エトキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸ホスホリルコリンとしては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマーとしては、特に限定はなく、(メタ)アクリル酸、エチレン、ビニルエステル等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又は「メタクリレート」を意味する。
合成樹脂のなかでも、ポリビニルアセタール樹脂を用いることが好ましい。以下、ポリビニルアセタール樹脂について説明する。
(ポリビニルアセタール樹脂)
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより合成することができる。ポリビニルアセタール樹脂は、側鎖にアセチル基と水酸基とアセタール基とを有する。
ポリビニルアセタール樹脂は、側鎖にその他の置換基(アセチル基、水酸基、アセタール基以外の置換基)を有するポリビニルアセタール樹脂(以下、変性ポリビニルアセタール樹脂ということがある)であってもよい。その他の置換基としては、後述するブレンステッド塩基性基を有する置換基が好ましい。
ポリビニルアルコールのアセタール化に用いられるアルデヒドとしては、特に限定されない。上記アルデヒドとしては、例えば、炭素数が1~10のアルデヒド等が挙げられる。上記アルデヒドは、鎖状脂肪族基、環状脂肪族基又は芳香族基を有していてもよい。上記アルデヒドは、鎖状アルデヒドであってもよく、環状アルデヒドであってもよい。
上記アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、アクロレイン、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、ペリルアルデヒド、ホルミルピリジン、ホルミルイミダゾール、ホルミルピロール、ホルミルピペリジン、ホルミルトリアゾール、ホルミルテトラゾール、ホルミルインドール、ホルミルイソインドール、ホルミルプリン、ホルミルベンゾイミダゾール、ホルミルベンゾトリアゾール、ホルミルキノリン、ホルミルイソキノリン、ホルミルキノキサリン、ホルミルシンノリン、ホルミルプテリジン、ホルミルフラン、ホルミルオキソラン、ホルミルオキサン、ホルミルチオフェン、ホルミルチオラン、ホルミルチアン、ホルミルアデニン、ホルミルグアニン、ホルミルシトシン、ホルミルチミン、及びホルミルウラシル等が挙げられる。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記アルデヒドは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、又はペンタナールであることが好ましく、ブチルアルデヒドであることがより好ましい。したがって、ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルブチラール樹脂であることがより好ましい。
上記アルデヒドの添加量は、目的とするアセタール基量にあわせて適宜設定することができる。特に、ポリビニルアルコール100モル%に対して、上記アルデヒドの添加量を60~95モル%、好ましくは65~90モル%とすると、アセタール化反応が効率よく行われ、未反応のアルデヒドも除去しやすいため好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、ビニル化合物が共重合されていてもよい。上記ポリビニルアセタール樹脂は、ビニル化合物との共重合体であってもよい。本発明では、ビニル基と共重合体したポリビニルアセタール樹脂も、ポリビニルアセタール樹脂とみなす。上記ビニル化合物は、ビニル基(H2C=CH-)を有する化合物である。上記ビニル化合物は、ビニル基を有する構成単位を有する重合体であってもよい。
上記共重合体は、ポリビニルアセタール樹脂とビニル化合物とのブロック共重合体であってもよく、ポリビニルアセタール樹脂にビニル化合物がグラフトしたグラフト共重合体であってもよい。上記共重合体は、グラフト共重合体であることが好ましい。
上記共重合体は、例えば、以下の(1)~(3)の方法により合成することができる。(1)ビニル化合物が共重合されたポリビニルアルコールを用いてポリビニルアセタール樹脂を合成する方法。(2)ポリビニルアルコールと、ビニル化合物が共重合されたポリビニルアルコールとを用いてポリビニルアセタール樹脂を合成する方法。(3)グラフト共重合させる前のポリビニルアセタール樹脂にビニル化合物をグラフト共重合させる方法。
上記ビニル化合物としては、エチレン、ビニルアミン、アリルアミン、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、マレイミド、イタコン酸、(メタ)アクリル酸類が挙げられる。上記ビニル化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記(メタ)アクリル酸類のうち、(メタ)アクリル酸エステルとしては特に限定されないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール類、(メタ)アクリル酸ホスホリルコリンより選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸環状アルキルエステルとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N’-ジメチル(メタ)アクリルアミド、(3-(メタ)アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、4-(メタ)アクリロイルモルホリン、3-(メタ)アクリロイル-2-オキサゾリジノン、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、6-(メタ)アクリルアミドヘキサン酸等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール類としては、例えば、メトキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレート、エトキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸ホスホリルコリンとしては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸類は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記合成樹脂は、その一部にブレンステッド塩基性基を有することが好ましい。この場合、フィーダー細胞や接着タンパク質を含まない無血清培地培養において、細胞播種後の初期定着率が向上し、細胞の培養がし易くなる。
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記合成樹脂は、ブレンステッド塩基性基を1モル%以上50モル%以下で含むことが好ましく、1モル%以上30モル%以下で含むことがより好ましい。
上記ブレンステッド塩基性基は、水素イオンH+を他の物質から受け取ることができる官能基の総称である。上記ブレンステッド塩基性基としては、例えば、アミン構造を有する置換基、イミン構造を有する置換基、アミド構造を有する置換基、イミド構造を有する置換基等のアミン系塩基性基が挙げられる。
従って、上記合成樹脂は、イミン構造を有する構成単位、アミン構造を有する構成単位、アミド構造を有する構成単位、及びイミド構造を有する構成単位からなる群より選択される少なくとも一種の構成単位を備えることが好ましい。上記合成樹脂は、イミン構造を有する構成単位、アミン構造を有する構成単位及びアミド構造を有する構成単位からなる群より選択される少なくとも一種の構成単位を備えることが好ましい。
上記合成樹脂は、イミン構造を有する構成単位およびアミン構造を有する構成単位の両方を備えることが好ましい。
本発明において、上記イミン構造とは、C=N結合を有する構造をいう。上記合成樹脂は、イミン構造を側鎖に有することが好ましい。また、上記イミン構造は、合成樹脂の主鎖を構成する炭素原子に直接結合していてもよく、アルキレン基等の連結基を介して主鎖に結合していてもよい。なお、上記イミン構造を側鎖に有するとは、上記イミン構造を合成樹脂のグラフト鎖に有することを含む。上記イミン構造を有する構成単位としては、例えば、下記式(11)又は下記式(12)に示す構成単位が挙げられる。
上記式(11)中、R1はイミン構造を有する基を表す。
上記式(12)中、R1はイミン構造を有する基を表し、R2はアルキレン基を表す。上記アルキレン基の炭素数は、好ましくは1以上、好ましくは12以下、より好ましくは5以下である。上記アルキレン基の炭素数が上記下限以上及び上記上限以下であると、細胞培養用足場材料の強度を高めることができる。
上記アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等の直鎖状アルキレン基、メチルメチレン基、メチルエチレン基、1-メチルペンチレン基、1,4-ジメチルブチレン基等の分岐状アルキレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロヘキシレン基等の環状アルキレン基等が挙げられる。上記アルキレン基は、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等の直鎖状アルキル基であることが好ましく、メチレン基又はエチレン基であることがより好ましい。
上記式(11)中のR1及び上記式(12)中のR1としては、下記式(13)に示す基が挙げられる。
上記式(13)中、R3は水素原子又は炭素数1~18の炭化水素基を表し、R4は炭素数1~18の炭化水素基を表す。
上記炭化水素基としては、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、及び芳香族系炭化水素基等が挙げられる。なお、上記炭化水素基は、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族系炭化水素基のいずれか一種のみからなるものであってもよく、これらが2種以上用いられたものであってもよい。
上記飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。上記飽和炭化水素基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はn-ブチル基であることが好ましい。
上記芳香族系炭化水素基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基、t-ブチルフェニル基、及びベンジル基等が挙げられる。
上記イミン構造を有する構成単位は、上記式(11)で表される構造を有し、かつ上記式(13)中、R3が水素原子、メチル基、又はエチル基であり、R4がメチル基、エチル基又はプロピル基である構成単位であることが好ましい。
上記合成樹脂において、イミン構造を有する構成単位の含有量は、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは1.0モル%以上、好ましくは20.0モル%以下、より好ましくは15.0モル%以下である。上記含有量が上記下限以上であると、経時粘度安定性を良好にすることができる。上記含有量が上記上限以下であると、細胞の定着性を高めることができる。
上記合成樹脂としてポリビニルアセタール樹脂(変性ポリビニルアセタール樹脂)を用いる場合、後述するアセタール化度に対する、イミン構造を有する構成単位の含有量の比(イミン構造を有する構成単位の含有量/アセタール化度)は、好ましくは0.001以上、好ましくは0.5以下である。上記比(イミン構造を有する構成単位の含有量/アセタール化度)が上記下限以上及び上記上限以下であると、高い強度及び優れた接着性を両立して、接着後の耐久性を向上させることが可能となる。
上記合成樹脂は、アミン構造を有する構成単位又はアミド構造を有する構成単位を有することが好ましい。
上記合成樹脂は、上記アミン構造又はアミド構造を側鎖に有することが好ましい。また、上記アミン構造又はアミド構造は、合成樹脂の主鎖を構成する炭素原子に直接結合していてもよく、アルキレン基等の連結基を介して主鎖に結合していてもよい。更に、上記アミン構造におけるアミン基は第一級アミン基でもよく、第二級アミン基でもよく、第三級アミン基でもよく、第四級アミン基でもよい。これらのなかでも、細胞の定着性を高める観点から、第一級アミン基が好ましい。
なお、上記アミン構造又はアミド構造を側鎖に有するとは、合成樹脂のグラフト鎖において、上記アミン構造又はアミド構造を有することを意味する。
特に、上記アミン構造は、-NH2であることが好ましい。なお、本発明において、アミド構造とは、-C(=O)-NH-を有する構造をいう。なかでも、上記アミン構造を有する構成単位は、下記式(21)に示す構造であることが好ましい。また、上記アミド構造を有する構成単位は、下記式(31)に示す構造であることが好ましい。
上記式(31)中、R1は水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基を表す。上記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、及びシクロアルケニル基等が挙げられる。
上記合成樹脂において、上記アミン構造又はアミド構造を有する構成単位の含有量は、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.5モル%以上、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。上記含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、付加特性を充分なものとすることができる。上記含有量が上記上限以下であると、溶解性が上がりすぎることがなく、沈殿法による合成樹脂粉末(例えば変性ポリビニルアセタール樹脂粉末)の取り出しが容易となる。
上記合成樹脂において、上記アミン構造又はアミド構造を有する構成単位と、イミン構造を有する構成単位との合計の含有量は、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.5モル%以上、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。
上記合成樹脂において、イミン構造とアミン構造又はアミド構造との双方を有する場合、アミン構造又はアミド構造を有する構成単位の含有量に対する、イミン構造を有する構成単位の含有量の比(イミン構造を有する構成単位/アミン構造又はアミド構造を有する構成単位)は、0.5/99.5~99.5/0.5であることが好ましい。上記比が0.5/99.5以上であると、経時粘度安定性を充分なものとすることができ、上記比が99.5/0.5以下であると、細胞の定着性の観点より架橋性能を充分に発揮することができる。上記比(イミン構造を有する構成単位/アミン構造又はアミド構造を有する構成単位)は、5/95以上であることが好ましく、75/25以下であることが好ましい。
上記合成樹脂は、アミン構造を有する構成単位、イミン構造を有する構成単位およびアミド構造を有する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位を備えることが好ましい。
上記合成樹脂は、イミン構造を有する構成単位およびアミン構造を有する構成単位の両方を備えることが好ましい。
なお、上記イミン構造を有する構成単位の含有量、上記イミド構造を有する構成単位の含有量、上記アミン構造を有する構成単位の含有量、アミド構造を有する構成単位の含有量は、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)により測定することができる。
上記合成樹脂としてポリビニルアセタール樹脂を用いる場合、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は特に限定されないが、好ましくは54モル%以上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは65モル%以上、好ましくは90モル%以下、より好ましくは85モル%以下である。上記アセタール化度上記下限以上であると、細胞の定着性に優れ、高効率に細胞増殖を行うことができる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、溶剤への溶解性を良好なものとすることができる。
上記アセタール化度が上記下限値を超えるように調整する方法は特に限定されないが、アセタール化反応の際に上記アルデヒドを過剰量添加することでアセタール化反応を十分に進行させることが可能である。
上記合成樹脂としてポリビニルアセタール樹脂を用いる場合、ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度(アセチル基量)は特に限定されないが、好ましくは0.0001モル%以上、好ましくは5モル%以下である。
上記合成樹脂のアセタール度及びアセチル化度は、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)により測定することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(変性ポリビニルアセタール樹脂)を作製する方法としては、例えば、上記イミン構造を有する単量体と、酢酸ビニルとを共重合させることによって得られたポリ酢酸ビニルをケン化し得られたポリビニルアルコールを、従来公知の方法によりアセタール化する方法が挙げられる。また、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールを、従来公知の方法によりアセタール化することでイミン構造を導入する方法を用いてもよい。アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールを後変性して得られたイミン構造を有する変性ポリビニルアルコールを、従来公知の方法によりアセタール化する方法を用いてもよい。更に、未変性のポリビニルアセタール樹脂を後変性させることでイミン構造を導入してもよい。すなわち、上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールのアセタール化物であってもよい。これらのなかでは、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールをアセタール化してなることでイミン構造を有する変性ポリビニルアセタール樹脂を得る方法が好ましい。特に、このような方法を用いる場合、アセタール化に使用するアルデヒド、酸触媒の量を過剰に添加することでイミン構造を得ることができる。
上記アルデヒドを過剰に添加する方法では、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコール100重量部に対して、アルデヒドを70~150重量部添加することが好ましい。特に、アルデヒドとしては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n-バレルアルデヒド、フェニルアルデヒドが好ましい。
上記酸触媒を過剰に添加する方法では、酸触媒を全体の0.5重量%以上添加することが好ましい。また、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコール100重量部に対して、酸触媒を5.0~70.0重量部添加することが好ましい。特に、酸触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸が好ましい。
上記アセタール化は、公知の方法を用いることができ、水溶媒中、水と水との相溶性のある有機溶媒との混合溶媒中、あるいは有機溶媒中で行うことが好ましい。上記水との相溶性のある有機溶媒としては、例えば、アルコール系有機溶剤を用いることができる。上記有機溶媒としては、例えば、アルコール系有機溶剤、芳香族有機溶剤、脂肪族エステル系溶剤、ケトン系溶剤、低級パラフィン系溶剤、エーテル系溶剤、アミド系溶剤、アミン系溶剤等が挙げられる。
上記アルコール系有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、tert-ブタノール等が挙げられる。
上記芳香族有機溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、安息香酸メチル等が挙げられる。
上記脂肪族エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等が挙げられる。
上記ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン等が挙げられる。
上記低級パラフィン系溶剤としては、ヘキサン、ペンタン、オクタン、シクロヘキサン、デカン等が挙げられる。
上記エーテル系溶剤としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
上記アミド系溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルテセトアミド、N-メチルピロリドン、アセトアニリド等が挙げられる。
上記アミン系溶剤としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、n-ブチルアミン、ジn-ブチルアミン、トリn-ブチルアミン、アニリン、N-メチルアニリン、N,N-ジメチルアニリン、ピリジン等が挙げられる。
これらの有機溶媒は、単体で用いることもできるし、2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。これらのなかでも、樹脂に対する溶解性及び精製時の簡易性の観点から、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフランが特に好ましい。
上記アセタール化は、酸触媒の存在下において行うことが好ましい。上記酸触媒は特に限定されず、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の鉱酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸や、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いられてもよく、2種以上の化合物を併用してもよい。なかでも、塩酸、硝酸、硫酸が好ましく、塩酸が特に好ましい。
上述したように、上記ポリビニルアセタール樹脂は上記ビニル化合物とのグラフト共重合体であってもよい。
上記グラフト共重合体は「ポリビニルアセタールからなるユニット」と「ビニル化合物からなるユニット」とを有するグラフト共重合体(以下、単に「グラフト共重合体」ともいう)を含有する。
本発明において、「ポリビニルアセタールからなるユニット」及び「ビニル化合物からなるユニット」とは、グラフト共重合体中に存在している「ポリビニルアセタール」、「ビニル化合物」からなるユニットのことをいう。
また、ポリビニルアセタールからなるユニット及びビニル化合物からなるユニットを有するグラフト共重合体は、主鎖を構成する「ポリビニルアセタールからなるユニット」又は「ビニル化合物からなるユニット」に、該主鎖とは異なる側鎖を構成する「ポリビニルアセタールからなるユニット」又は「ビニル化合物からなるユニット」が結合した分岐状の共重合体のことをいう。
上記グラフト共重合体の分子量としては特に制限は無いが、数平均分子量(Mn)が10000~600000で、重量平均分子量(Mw)が20000~1200000で、これらの比(Mw/Mn)が2.0~40であることが好ましい。Mn、Mw、Mw/Mnがこのような範囲であると、上記細胞足場材料の強度が好適に保たれる。
上記グラフト共重合体におけるアセタール化度は、例えば上記グラフト共重合体のキシレンにおける可溶分を重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、1H-NMRにより測定することができる。
ポリビニルアセタール樹脂は、イミン構造を有する構成単位、アミン構造を有する構成単位、及びアミド構造を有する構成単位からなる群から選択される少なくとも一種の構成単位を、0.1モル%~30モル%で含むことが好ましく、1モル%~10モル%で含むことがより好ましい。この場合には、播種直後の細胞接着性を高めることができる。
合成樹脂として、ポリビニルアセタール樹脂を用いる場合のポリビニルアセタール樹脂の平均重合度は、好ましくは100以上、より好ましくは200以上、更に好ましくは500以上、特に好ましくは1500以上、好ましくは6000以下、より好ましくは3000以下、更に好ましくは2500以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、細胞培養に使用する培地で膨潤しても細胞培養用足場材料の強度を好適に保つことができ、細胞増殖性が向上する。上記平均重合度が上記上限以下であると、取り扱い性を高めることができ、細胞培養用足場材料の成形性を高めることができる。
(細胞培養用足場材料の他の詳細)
本発明に係る細胞培養用足場材料は、細胞を培養するために用いられる。本発明に係る細胞培養用足場材料は、細胞を培養する際の該細胞の足場として用いられる。本発明に係る細胞培養用足場材料では、細胞塊が播種されることが特に好ましい。ただし、本発明に係る細胞培養用足場材料では、細胞塊が播種されなくてもよい。
上記細胞としては、ヒト、マウス、ラット、ブタ、ウシ及びサル等の動物細胞が挙げられる。また、上記細胞としては、体細胞、幹細胞、前駆細胞及び分化細胞(Differentiated cells)等が挙げられる。上記体細胞は、癌細胞であってもよい。
上記分化細胞としては、神経細胞、心筋細胞、網膜細胞及び肝細胞等が挙げられる。
上記幹細胞としては、多能性幹細胞、組織幹細胞及び組織前駆細胞等が挙げられる。
上記組織幹細胞及び上記組織前駆細胞は、自己複製能を有し、外胚葉系組織、内胚葉系組織、中胚葉系組織及び生殖系組織のいずれかに属し、それが属している臓器の構成細胞種への限られた分化能を示す細胞をいう。
組織幹細胞および組織前駆細胞としては、例えば、神経幹細胞、神経堤幹細胞、網膜幹細胞、角膜幹細胞、ケラチノサイト表皮幹細胞、メラノサイト幹細胞、乳腺幹細胞、肝幹細胞、腸幹細胞、気道幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、心臓幹細胞、血管内皮前駆細胞、血管周皮細胞、骨格筋幹細胞、脂肪幹細胞、腎前駆細胞及び精子幹細胞等が挙げられる。
上記細胞は、体細胞、幹細胞、前駆細胞又は分化細胞であることが好ましい。上記体細胞は、癌細胞、神経細胞、心筋細胞、網膜細胞、又は肝細胞であることが好ましい。
[細胞の培養方法]
本発明に係る細胞の培養方法は、上述した細胞培養用足場材料を用いる培養方法である。本発明に係る細胞培養用足場材料を用いて、様々な細胞を培養することができる。該細胞としては、上述した細胞が挙げられる。本発明に係る細胞培養用足場材料は、培養培地の水分によって膨潤し難く、適度な親水性と強度とを維持できるので、細胞の播種後の定着率が向上するからである。
上記細胞の培養方法では、上記細胞培養用足場材料上に細胞塊を播種する工程を備えることが好ましい。上記細胞塊は、コンフルエントになった培養容器に細胞剥離剤を添加し、ピペッティングにより均一に破砕処理することで得ることができる。細胞剥離剤としては、特に限定されないが、エチレンジアミン/リン酸緩衝溶液が好ましい。細胞塊の大きさは50μm~200μmであることが好ましい。
[細胞培養用容器]
本発明は上述した細胞培養用足場材料を備える細胞培養用容器にも関する。即ち、細胞培養用容器であって、細胞培養用容器は、細胞の培養領域の少なくとも一部に、上述の細胞足場材料を備える細胞培養用容器に関する。上記細胞培養用容器では、上記細胞培養用足場材料が、膜状であることが好ましく、樹脂膜であることが好ましい。細胞培養用容器では、容器本体と、容器本体の表面上に上記細胞培養用足場材料(樹脂膜)が配置されている。
図1Aは実施の形態に係る細胞培養用容器の斜視概念図、図1Bはその側面断面概念図である。細胞培養用容器の形状は特に制限されないが、例えば図1Aに示すような有底円柱状のシャーレ1を用意し、その底面の細胞の培養領域に、図1Bに示すように樹脂膜12を設ける態様が挙げられる。
細胞培養用足場材料は、細胞の培養において、平面培養(二次元培養方法)に用いることの他に、生体内により近い状態、例えば多孔質膜やハイドロゲルなどの基材上での細胞の培養(三次元培養方法)に用いることができる。細胞培養用足場材料をバイオリアクター等に用いることにより、効率良く細胞を増殖させることができるからである。
細胞培養用足場材料は、適度な親水性と強度を備えることから、二次元培養方法に用いられることが好ましい。
平面培養(二次元培養方法)用容器としては、形状や大きさは特に限定されないが、1つまたは複数のウェル(穴)を備える細胞培養用テストプレートや、細胞培養用フラスコが挙げられる。例えば、図2に示すような6つのウェルを有する細胞培養用容器を用いることができる。上記マイクロプレートのウェルの数は限定されず、例えば、2、4、6、12、24、48、96、384等が挙げられる。
上記ウェルの形状は特に限定されないが、真円、楕円、三角形、正方形、長方形、五角形等が挙げられる。上記ウェル底面の形状は特に限定されないが、平底、丸底、凹凸等が挙げられる。
1つまたは複数のウェル(穴)を備える細胞培養用テストプレートや、細胞培養用フラスコの材質は特に限定されないが、高分子樹脂や金属、無機材料が挙げられる。上記高分子樹脂としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイソプレン、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン等が挙げられる。金属としては、ステンレス、銅、鉄、ニッケル、アルミ、チタン、金、銀、白金等が挙げられる。無機材料としては、酸化ケイ素(ガラス)、酸化アルミ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、窒化ケイ素等が挙げられる。
上述の他にも、細胞培養用足場材料は、細胞を培地中で自由に浮遊させて成長させる浮遊培養方法に用いることができる。
[その他の実施の形態]
本発明は、上述の細胞培養用足場材料の他にも、その他の実施の形態として、細胞培養用足場材料を用いた発明が提供される。
例えば、本発明では、上述した細胞培養用足場材料と、多糖類とを含有する細胞培養用担体(媒体)が提供される。多糖類としては、特に制限なく様々な多糖類を用いることができる。なかでも水溶性多糖類が好ましい。
また、本発明では、上述した細胞培養用足場材料を備える細胞培養用繊維が提供される。この場合、細胞培養用足場材料は、繊維上に塗布されていることが好ましい。また細胞培養用足場材料は、繊維中に含漬されたり、練り込まれたりしている形態であってもよい。細胞培養用繊維は、フラスコなどの平面構造には接着しにくいが、線維(fibril)状構造などの立体構造には接着しやすい細胞の三次元培養方法に適している。
上記細胞培養用足場材料は架橋されていてもよい。架橋されることで水膨潤性を抑制し、好適に強度を上げることができるからである。架橋剤を用いることによって、架橋された細胞培養用足場材料を得ることができる。
架橋剤としては特に限定されないが、ポリアルコールやポリカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、金属石鹸、多糖類等が挙げられる。
ポリアルコールとしては特に限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ウンデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、カテコール、ピロガロール、ジボロン酸、メチレンジボロン酸、エチレンジボロン酸、プロピレンジボロン酸、フェニレンジボロン酸、ビフェニルジボロン酸、ビスフェノール誘導体等が挙げられる。
ポリカルボン酸としては特に限定されないが、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、ポリ(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては特に限定されないが、グリコール酸、乳酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、酒石酸、シトマル酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、セレブロン酸、キナ酸、シキミ酸、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、クレオソート酸、バニリン酸、シリング酸、ピロカテク酸、レソルシル酸、プロトカテク酸、ゲンチジン酸、オルセリン酸、没食子酸、マンデル酸、ベンジル酸、アトロラクチン酸、メリロト酸、フロレト酸、クマル酸、ウンベル酸、コーヒー酸、フェルラ酸、シナピン酸、ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
金属石鹸としては特に限定されないが、ステアリン酸、ラウリン酸、リシノール酸、オクチル酸などの脂肪酸と、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウムなどの金属の塩が挙げられる。
多糖類としては特に限定されないが、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、セルロース、キチン、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、ヒアルロン酸、キシログルカン、グルコマンナン酸等が挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが本発明は以下の実施例に限定解釈されることはない。なお、得られた合成樹脂における、アミン構造、イミン構造、アミド構造を有する構成単位の含有量(モル%)、アセタール化度(モル%)、アセチル基量(モル%)、水酸基量(モル%)は、合成樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて測定した。
[実施例1]
(ポリビニルブチラール樹脂の調製)
攪拌装置を備えた反応機に、イオン交換水2700mLと、上記式(21)に示すアミノ基を有する構成単位を2モル%含有するポリビニルアルコール(平均重合度250、鹸化度97モル%)300gと投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として35質量%塩酸を、塩酸濃度が0.2質量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn-ブチルアルデヒド(n-BA)22gを添加した。その後、n-ブチルアルデヒド(n-BA)148gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラールが析出した。析出してから15分後に、35質量%塩酸を、塩酸濃度が1.8質量%になるように添加し、550℃に加熱した後、50℃で2時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラールを水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラール樹脂を得た。
得られたポリビニルブチラール樹脂は、平均重合度250、水酸基量20モル%、アセチル基量1モル%、アセタール化度77モル%であった。
得られた樹脂の元素組成をX線光電子分光法(装置:アルバック・ファイ社製、多機能走査型X線光電子分光分析装置(XPS)、PHI 5000VersaProbe III)によって分析し、検出された全元素の総量を100%とし、全元素中における窒素の占有率(%)を窒素含有量とした。
(細胞培養用容器の調製)
得られたポリビニルブチラール樹脂1gをブタノール19gに溶解させることで、ポリビニルブチラール樹脂溶液を得た。得られたポリビニルブチラール樹脂溶液150μLをφ22mmのカバーガラス(松浪社製、22丸No.1をエアダスターで除塵して使用)上に吐出し、スピンコーターを用いて2000rpm、20秒回転させて平滑な樹脂膜を得た。得られた上記樹脂膜をカバーガラスごとφ22mmのポリスチレンディッシュに配置することにより細胞培養用容器を得た。
得られた細胞培養用容器を用いて、以下の条件で試験を行った。
(細胞培養試験の方法)
得られた細胞培養用容器にリン酸緩衝生理食塩水1mLを加えて37℃のインキュベーター内で1時間静置した。ディッシュ内のリン酸緩衝生理食塩水を除いた後、キメラマウス由来ヒト新鮮肝細胞(フェニックスバイオ社製、PXB-cells)を3×104cells播種した。次いで、培地RM-101(東洋合成社製)1mLを添加し、37℃、CO2濃度5%のインキュベーター内で培養を行った。
(評価)
(1)初期接着性(播種後の定着性)
細胞培養試験において、細胞の播種から24時間後にトリプシンを用いて細胞を剥離した。オートセルカウンター(NanoEntech社製、オートセルカウンターEVE)を用いて、細胞数を測定した。
<初期接着性の評価基準>
○○○:細胞数が2.5×104cells以上
○○:細胞数が1.5×104cells以上2.5×104cells未満
○:細胞数が1.0×104cells以上1.5×104cells未満
×:細胞数が1.0×104cells未満
(2)細胞増殖性
細胞培養試験において、細胞の播種から3日後にトリプシンを用いて細胞を剥離した。オートセルカウンター(NanoEntech社製、オートセルカウンターEVE)を用いて、細胞数を測定した。
<細胞増殖性の評価基準>
○○○:細胞数が2.0×105cells以上
○○:細胞数が1.0×105cells以上2.0×105cells未満
○:細胞数が5.0×104cells以上1.0×105cells未満
×:細胞数が5.0×104cells未満
[実施例2]
上記式(21)に示すアミノ基を有する構成単位を2モル%含有するポリビニルアルコール(平均重合度250、鹸化度97モル%)に代えて、平均重合度1600、鹸化度97モル%、上記式(21)に示すアミノ基を有する構成単位を2モル%含有するポリビニルアルコールを使用したこと以外は、実施例1と同様にして試験を行った。
[実施例3]
上記式(21)に示すアミノ基を有する構成単位を2モル%含有するポリビニルアルコール(平均重合度250、鹸化度97モル%)に代えて、平均重合度250、鹸化度97モル%のポリビニルアルコールを使用すること以外は実施例1と同様にしてポリビニルアセタールを得た。得られた重合度約250のポリビニルアセタール100重量部、および、N-ビニルピロリドン1重量部を500重量部のテトラヒドロフランに溶解させて樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液にIrgacure184(BASF社製)0.05重量部を溶解させ、PETフィルム上に塗布した。塗布物を25℃にてアイグラフィックス社製、UVコンベア装置「ECS301G1」を用い、365nmの波長の光を積算光量2000mJ/cm2で照射することで複合樹脂溶液を得た。得られた複合樹脂溶液を80℃、3時間真空乾燥させることで複合樹脂を得た。得られた樹脂について、カラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、約4万であった。得られた複合樹脂を3重量%ブタノール溶液に調整し、実施例1と同様にして試験を行った。
[実施例4]
ポリビニルアセタール100重量部に対してN-ビニルピロリドン10重量部を添加したこと以外は、実施例3と同様にして試験を行った。得られた樹脂の重量平均分子量は約6万であった。
[実施例5]
ポリビニルアセタール100重量部に対してN-ビニルピロリドン30重量部を添加したこと以外は、実施例3と同様にして試験を行った。得られた樹脂の重量平均分子量は約5万であった。
[実施例6]
ポリビニルアセタール100重量部に対してN-イソプロピルアクリルアミド2重量部を添加したこと以外は、実施例3と同様にして試験を行った。得られた樹脂の重量平均分子量は約6万であった。
[実施例7]
ポリビニルアセタール100重量部に対してポリアミド2重量部を添加したこと以外は、実施例3と同様にして試験を行った。得られた樹脂の重量平均分子量は約6万であった。
[実施例8]
ポリビニルアセタール100重量部に対してポリ-L-リジン2重量部を添加したこと以外は、実施例3と同様にして試験を行った。得られた樹脂の重量平均分子量は約5万であった。
[実施例9]
N-ビニルピロリドン5重量部、および、ブチルメタクリレート15重量部、エチルアクリレート30重量部、メチルメタクリレート50重量部をテトラヒドロフラン300重量部に溶解させてアクリルモノマー溶液を得た。得られたアクリルモノマー溶液にIrgacure184(BASF社製)2重量部を溶解させ、PETフィルム上に塗布した。塗布物を25℃にてアイグラフィックス社製、UVコンベア装置「ECS301G1」を用い、365nmの波長の光を積算光量2000mJ/cm2で照射することでアクリル樹脂溶液を得た。得られたアクリル樹脂溶液を80℃、3時間真空乾燥させることでアクリル樹脂を得た。得られたアクリル樹脂を3重量%ブタノール溶液に調整し、実施例1と同様にして試験を行った。得られた樹脂の重量平均分子量は約9万であった。
[比較例1]
足場材樹脂を用いず、ポリスチレンディッシュのみで実施例1と同様にて試験を行った。
[比較例2]
n-ブチルアルデヒドの添加量を実施例1の22g、および148gに代えて22g、および、88gとしたこと以外は実施例1と同様にして試験を行った。
[比較例3]
合成樹脂として平均重合度1000、鹸化度98モル%のポリビニルアルコールを使用したこと以外は、実施例1と同様にして試験を行った。
[比較例4]
N-イソプロピルアクリルアミド100重量部、酢酸エチル75重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.5重量部を混合し、窒素雰囲気下、65℃で8時間重合を行うことでポリアクリルアミド樹脂を得た。得られた樹脂について、カラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、約9万(重合度約800)であった。合成樹脂として、得られたポリアクリルアミド樹脂を使用したこと以外は実施例1と同様にして試験を行った。
[比較例5]
N-イソプロピルアクリルアミド100重量部に代えてエチルアクリレート100重量部を使用したこと以外は比較例4と同様にして試験を行った。得られた樹脂の重量平均分子量は約6万であった。
[比較例6]
N-イソプロピルアクリルアミド100重量部に代えてブチルメタクリレート100重量部を使用したこと以外は比較例4と同様にして試験を行った。得られた樹脂の重量平均分子量は約8万であった。
[比較例7]
ポリビニルアセタール30重量部に対してN-ビニルピロリドン70重量部を添加したこと以外は、実施例3と同様にして試験を行った。得られた樹脂の重量平均分子量は約9万であった。
得られた結果をまとめて表1,2に示す。
1…シャーレ
12…樹脂膜
Claims (12)
-
合成樹脂を含有する細胞培養用足場材料であって、
前記合成樹脂は、ポリ(メタ)アクリル酸エステル又はポリビニルアセタール樹脂であり、
前記合成樹脂の窒素含有量が0.1質量%以上10質量%以下であり、
前駆細胞又は分化細胞の培養に用いられる、細胞培養用足場材料。
-
前記合成樹脂が、ブレンステッド塩基性基を1モル%以上50モル%以下で含む、請求項1に記載の細胞培養用足場材料。
-
前記ブレンステッド塩基性基がアミン系塩基性基である、請求項2に記載の細胞培養用足場材料。
-
前記合成樹脂が、アミン構造を有する構成単位、イミン構造を有する構成単位およびアミド構造を有する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位を備える、請求項2又は3に記載の細胞培養用足場材料。
-
前記合成樹脂が、アミド構造を有する構成単位を備える、請求項1,2,4のいずれか1項に記載の細胞培養用足場材料。
-
前記合成樹脂が、イミン構造を有する構成単位およびアミン構造を有する構成単位の両方を備える、請求項1,2,4のいずれか1項に記載の細胞培養用足場材料。
-
前記合成樹脂が、アセタール化度が54モル%以上であるポリビニルアセタール樹脂を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の細胞培養用足場材料。
-
前記合成樹脂が、ポリビニルブチラール樹脂を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の細胞培養用足場材料。
-
請求項1~8のいずれか1項に記載の細胞培養用足場材料を備える、細胞培養用容器。
-
請求項1~8のいずれか1項に記載の細胞培養用足場材料と、
多糖類と、を含有する、細胞培養用担体。
-
請求項1~8のいずれか1項に記載の細胞培養用足場材料を備える、細胞培養用繊維。
-
請求項1~8のいずれか1項に記載の細胞培養用足場材料を用いる、細胞の培養方法。
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