JP2019118345A - 幹細胞培養用足場材料及びそれを用いた幹細胞培養方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】適度な親水性と強度を備え、未分化性を維持しながら、幹細胞の播種後の定着性が高く、高効率に細胞増殖が可能な幹細胞培養用足場材料及びそれを用いた幹細胞培養方法を提供する。【解決手段】合成樹脂を含有する幹細胞培養用足場材料であって、合成樹脂がポリビニルアセタール樹脂を含み、ポリビニルアセタール樹脂の水膨潤倍率が70%以下の幹細胞培養用足場材料。【選択図】なし
Description
本発明は、幹細胞培養用足場材料及びそれを用いた幹細胞培養方法に関する。
幹細胞は創薬や再生医療への応用が期待されている。幹細胞は、自己複製能と分化能を有する細胞であり、全ての細胞種へ分化可能な多能性幹細胞と、同系列の体組織の構成細胞種へのみ分化可能な組織幹細胞および組織前駆細胞がある。多能性幹細胞は、例えばヒト胚性幹細胞(hESC)や、ヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)などのヒト多能性幹細胞(hPSC)等が挙げられる。幹細胞を安全に、そして再現性良く培養し、増殖させることは、これらの細胞を医療応用する上では必須の基盤技術となる。特に、再生医療の産業利用上においては、幹細胞を未分化状態で多量に扱う必要がある。そのため、天然および合成の高分子やフィーダー細胞を用いて幹細胞の増殖を行うと共に、多能性能(または多分化能)を維持する技術について広範な研究が行われている。特に天然高分子としてラミニン、ヴィトロネクチンなどの接着タンパク質やマウス肉腫由来のマトリゲルを使用すると播種後の細胞定着性が非常に高いことが知られている。
しかし、天然高分子は生産性が非常に低いため高価であること、天然由来物質であるためロット間にバラツキが見られること、動物由来の成分による安全性上の懸念があることが課題として挙げられる。
上記課題を解決するために、合成樹脂を使用した幹細胞培養樹脂担体が提案されている。例えば、特許文献1の実施例の欄には、マウス線維芽細胞の培養において、親水性かつ耐水性に優れる足場材を提供するためにアセタール化度が20〜60モル%のポリビニルアセタール化合物が開示されている。特許文献2の実施例の欄にはマウスES細胞の培養において、アクリルポリマーによって構成されたハイドロゲルが開示されている。特許文献3の実施例の欄にはマウスiPS細胞の培養において、親水性かつ柔軟なポリロタキサンゲルが開示されている。
しかしながら、特許文献1には、親水性が高いため培地中で膨潤し、足場材樹脂が剥がれる問題があった。また、幹細胞や多能性幹細胞の播種後の定着性が低く、十分に増殖しないという問題があった。特許文献2には、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩、および、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、N,N’−ジメチルアクリルアミドを使用しており、親水性が高いため培地中で膨潤し、足場材樹脂が剥がれる問題があった。特許文献3には、親水性が高いため培地中で膨潤し、足場材樹脂が剥がれる問題があった。柔軟な足場材であるために心筋細胞への分化が促進されるという問題があった。
以上より、適度な親水性と強度を備える幹細胞培養用足場材料及びそれを用いた幹細胞培養方法が求められていた。
本発明は、適度な親水性と強度を備え、幹細胞の播種後の定着性が高く、高効率に細胞増殖が可能な幹細胞培養用足場材料及びそれを用いた幹細胞培養方法を提供することを目的とする。
本発明は、適度な親水性と強度を備え、幹細胞の播種後の定着性が高く、高効率に細胞増殖が可能な幹細胞培養用足場材料及びそれを用いた幹細胞培養方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の内容に関する。
(1)合成樹脂を含有する幹細胞培養用足場材料であって、合成樹脂がポリビニルアセタール樹脂を含み、ポリビニルアセタール樹脂の水膨潤倍率が70%以下の幹細胞培養用足場材料。
(2)ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度が10モル%以上である、(1)記載の幹細胞培養用足場材料。
(3)ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が10モル%以上である、(1)又は(2)記載の幹細胞培養用足場材料。
(4)ポリビニルアセタール樹脂の重合度が250以上である(1)〜(3)のいずれか1項記載の幹細胞培養用足場材料。
(5)ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラールである(1)〜(4)のいずれか1項記載の幹細胞培養用足場材料。
(6)幹細胞が多能性幹細胞である(1)〜(5)のいずれか1項記載の幹細胞培養用足場材料。
(7)細胞の培養領域の少なくとも一部に樹脂膜を備える幹細胞培養用容器であって、樹脂膜が、(1)〜(6)のいずれか1項記載の幹細胞培養用足場材料である幹細胞培養用容器。
(8)(1)〜(6)のいずれか1項記載の幹細胞培養用足場材料を備える幹細胞培養用繊維。
(9)(1)〜(6)のいずれか1項記載の足場材料を用いる多能性幹細胞の培養方法。
(1)合成樹脂を含有する幹細胞培養用足場材料であって、合成樹脂がポリビニルアセタール樹脂を含み、ポリビニルアセタール樹脂の水膨潤倍率が70%以下の幹細胞培養用足場材料。
(2)ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度が10モル%以上である、(1)記載の幹細胞培養用足場材料。
(3)ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が10モル%以上である、(1)又は(2)記載の幹細胞培養用足場材料。
(4)ポリビニルアセタール樹脂の重合度が250以上である(1)〜(3)のいずれか1項記載の幹細胞培養用足場材料。
(5)ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラールである(1)〜(4)のいずれか1項記載の幹細胞培養用足場材料。
(6)幹細胞が多能性幹細胞である(1)〜(5)のいずれか1項記載の幹細胞培養用足場材料。
(7)細胞の培養領域の少なくとも一部に樹脂膜を備える幹細胞培養用容器であって、樹脂膜が、(1)〜(6)のいずれか1項記載の幹細胞培養用足場材料である幹細胞培養用容器。
(8)(1)〜(6)のいずれか1項記載の幹細胞培養用足場材料を備える幹細胞培養用繊維。
(9)(1)〜(6)のいずれか1項記載の足場材料を用いる多能性幹細胞の培養方法。
本発明によれば、適度な親水性と強度を備え、幹細胞の播種後の定着性が高い幹細胞培養用足場材料及びそれを用いた幹細胞培養方法が提供される。
以下に、実施形態を挙げて本発明の説明を行うが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
[幹細胞培養用足場材料]
本発明者らは鋭意検討した結果、所定の水膨潤倍率を備えるポリビニルアルコールから誘導される合成樹脂を用いることで、上述の課題を解決できることを知見し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、合成樹脂を含有する幹細胞培養用足場材料であって、合成樹脂がポリビニルアセタール樹脂を含み、ポリビニルアセタール樹脂の水膨潤倍率が70%以下幹細胞培養用足場材料に関する。
ポリビニルアセタール樹脂の水膨潤倍率は70%以下であれば特に制限されないが、
50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましく、20%以下がよりさらに好ましい。
本発明者らは鋭意検討した結果、所定の水膨潤倍率を備えるポリビニルアルコールから誘導される合成樹脂を用いることで、上述の課題を解決できることを知見し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、合成樹脂を含有する幹細胞培養用足場材料であって、合成樹脂がポリビニルアセタール樹脂を含み、ポリビニルアセタール樹脂の水膨潤倍率が70%以下幹細胞培養用足場材料に関する。
ポリビニルアセタール樹脂の水膨潤倍率は70%以下であれば特に制限されないが、
50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましく、20%以下がよりさらに好ましい。
なお、水膨張倍率を測定は以下の方法で行うことができる。
1.ポリビニルアセタール樹脂1gをテトラヒドロフラン5gに溶解させ、PET上に塗布して膜厚100μmの樹脂フィルムを得る。
2.得られた樹脂フィルムを1cm×3cmに切り出し、試験片を得る。
3.得られた試験片を純水50gに24時間浸漬後、目開き200メッシュの平織金網を用いて濾過することにより膨潤試験片を得る。
4.水膨潤倍率を下記式により算出した。
水膨潤倍率(%)=(膨潤試験片重量−試験片重量)/(試験片重量) × 100
1.ポリビニルアセタール樹脂1gをテトラヒドロフラン5gに溶解させ、PET上に塗布して膜厚100μmの樹脂フィルムを得る。
2.得られた樹脂フィルムを1cm×3cmに切り出し、試験片を得る。
3.得られた試験片を純水50gに24時間浸漬後、目開き200メッシュの平織金網を用いて濾過することにより膨潤試験片を得る。
4.水膨潤倍率を下記式により算出した。
水膨潤倍率(%)=(膨潤試験片重量−試験片重量)/(試験片重量) × 100
なお、本発明の幹細胞培養用足場材料には、合成樹脂のみからなる態様が含まれることは無論である。
この幹細胞培養用足場材料は、適度な親水性と強度を備えるため、幹細胞の播種後の定着性が向上する。特にフィーダー細胞や接着タンパク質を含まない無血清培地培養において、幹細胞播種後の初期定着率が向上する。
この幹細胞培養用足場材料は、適度な親水性と強度を備えるため、幹細胞の播種後の定着性が向上する。特にフィーダー細胞や接着タンパク質を含まない無血清培地培養において、幹細胞播種後の初期定着率が向上する。
足場材料として合成樹脂を用いる場合、アセタール化度が高いと水酸基の割合の低下により樹脂の親水性が低下することで、足場材料への幹細胞の播種後の定着性の低下や、または細胞培養に必要な多糖類等の透過性の低下が懸念される。一方、アセタール化度が低すぎると、足場材料の強度の維持を図ることが困難となる。アセタール化度を60モル%以下に設定して足場材料の親水性と強度の調和を図ることで、幹細胞の播種後の定着性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
幹細胞培養用足場材料は、上述の要件を満たせば成分は特に制限されないが、合成樹脂を含有することが好ましい。
合成樹脂は、重合性モノマー(以下、単に「モノマー」ともいう)を重合(重縮合も含む)して得られるポリマー(以下、単に「ポリマー」ともいう)を主成分とするものをいう。上記ポリマーは一種または二種以上の重合性モノマーのコポリマーも含む。
合成樹脂は、重合性モノマー(以下、単に「モノマー」ともいう)を重合(重縮合も含む)して得られるポリマー(以下、単に「ポリマー」ともいう)を主成分とするものをいう。上記ポリマーは一種または二種以上の重合性モノマーのコポリマーも含む。
上記ポリマーとしては、例えば、(不)飽和炭化水素、芳香族炭化水素、(不)飽和脂肪酸、芳香族カルボン酸、(不)飽和ケトン、芳香族ケトン、(不)飽和アルコール、芳香族アルコール、(不)飽和アミン、芳香族アミン、(不)飽和チオール、芳香族チオール、有機ケイ素化合物の1種以上の重合性モノマーからなるポリマーが挙げられる。
具体的な上記ポリマーとしては、例えば、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、セルロース、ポリペプチド等が挙げられる。これらのなかでも、幹細胞の定着性の観点より、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリビニルアセタールが好ましく、ポリビニルアセタールがより好ましい。
なお、これらのポリマーは、一種類で用いてもよいし、二種類以上組み合わせて用いてもよい。二種類以上のポリマーを組み合わせる場合は、二種類以上のポリマーを混合して用いてもよいし、二種類以上のポリマーの骨格を化学結合させたポリマーとして用いてもよい。したがって、合成樹脂として、複数のものを組み合わせる場合には、ポリ(メタ)アクリル酸エステルと、ポリビニルアセタールを組み合わせることが好ましい。
具体的な上記ポリマーとしては、例えば、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、セルロース、ポリペプチド等が挙げられる。これらのなかでも、幹細胞の定着性の観点より、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリビニルアセタールが好ましく、ポリビニルアセタールがより好ましい。
なお、これらのポリマーは、一種類で用いてもよいし、二種類以上組み合わせて用いてもよい。二種類以上のポリマーを組み合わせる場合は、二種類以上のポリマーを混合して用いてもよいし、二種類以上のポリマーの骨格を化学結合させたポリマーとして用いてもよい。したがって、合成樹脂として、複数のものを組み合わせる場合には、ポリ(メタ)アクリル酸エステルと、ポリビニルアセタールを組み合わせることが好ましい。
本明細書における、ポリ(メタ)アクリル酸エステルは、モノマーである(メタ)アクリル酸エステルを重合することによって得られる重合体であるが、(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマーを共重合したものも含む。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては特に限定されないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール類、(メタ)アクリル酸ホスホリルコリンより選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては特に限定されないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール類、(メタ)アクリル酸ホスホリルコリンより選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソテトラデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸環状アルキルエステルとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、4−(メタ)アクリロイルモルホリン、3−(メタ)アクリロイル−2−オキサゾリジノン、 N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、6−(メタ)アクリルアミドヘキサン酸などが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール類としては、例えば、メトキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレート、エトキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸ホスホリルコリンとしては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマーとしては、特に限定はなく、(メタ)アクリル酸、エチレン、ビニルエステル等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、本明細書において、上記(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸を総称するものであり、上記(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを総称するものとする。
上記(メタ)アクリル酸環状アルキルエステルとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、4−(メタ)アクリロイルモルホリン、3−(メタ)アクリロイル−2−オキサゾリジノン、 N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、6−(メタ)アクリルアミドヘキサン酸などが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール類としては、例えば、メトキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレート、エトキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸ホスホリルコリンとしては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマーとしては、特に限定はなく、(メタ)アクリル酸、エチレン、ビニルエステル等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、本明細書において、上記(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸を総称するものであり、上記(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを総称するものとする。
合成樹脂のなかでも、ポリビニルアセタール樹脂を用いることが好ましい。以下、ポリビニルアセタール樹脂について説明する。
ポリビニルアセタール樹脂としては、アセタール化度が10モル%以上であれば特に制限なく様々なものを用いることができる。
ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)とアルデヒド(R-CHO)を脱水縮合させる方法(アセタール化反応)により製造することができる。なお、アセタール化反応において、適宜、酸触媒を用いることができる。
ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)とアルデヒド(R-CHO)を脱水縮合させる方法(アセタール化反応)により製造することができる。なお、アセタール化反応において、適宜、酸触媒を用いることができる。
アセタール基、アセチル基、水酸基のそれぞれのモル比(モル%)を、l、m、nとしl+m+n=100とした際、lは5〜60、mは0〜50、nは0〜45が好ましく、lは30〜60、mは10〜30、nは10〜40がより好ましい。
上記範囲であると、ポリビニルアセタール樹脂が培養培地の水分によって膨潤し難く、細胞の定着が良好な結果となる。ここで、樹脂全体基準のアセタール基のモル比(モル%)が「アセタール化度」、アセチル基のモル比(モル%)が「アセチル化度」に相当する。
なお、ポリビニルアルコールに後述のブチルアルデヒドを反応させた場合、つまり上記反応式において、Rが―CH2CH2CH3のとき、樹脂全体基準のブチラール基のモル比(モル%)が「ブチラール化度」に相当する。
上記範囲であると、ポリビニルアセタール樹脂が培養培地の水分によって膨潤し難く、細胞の定着が良好な結果となる。ここで、樹脂全体基準のアセタール基のモル比(モル%)が「アセタール化度」、アセチル基のモル比(モル%)が「アセチル化度」に相当する。
なお、ポリビニルアルコールに後述のブチルアルデヒドを反応させた場合、つまり上記反応式において、Rが―CH2CH2CH3のとき、樹脂全体基準のブチラール基のモル比(モル%)が「ブチラール化度」に相当する。
上記アセチル基のモル比率が上記範囲内であれば、上記アセタール化度が60モル%以下であっても、上記足場材水分によって膨潤し難く、強度を好適に保つことが可能である。
アセタール化度は10モル%以上であれば特に制限されないが、アセタール化度が20モル%以上が好ましく、アセタール化度が30モル%以上がより好ましい。上記足場材水分によって膨潤し難く、強度を好適に保つことが可能になるからである。
アセタール化度は10モル%以上であれば特に制限されないが、アセタール化度が20モル%以上が好ましく、アセタール化度が30モル%以上がより好ましい。上記足場材水分によって膨潤し難く、強度を好適に保つことが可能になるからである。
またアセチル化度は、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上さらに好ましい。
上記アルデヒドの種類は特に限定されないが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、アクロレイン、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、ペリルアルデヒド、ホルミルピリジン、ホルミルイミダゾール、ホルミルピロール、ホルミルピペリジン、ホルミルピペリジン、ホルミルトリアゾール、ホルミルテトラゾール、ホルミルインドール、ホルミルイソインドール、ホルミルプリン、ホルミルプリン、ホルミルベンゾイミダゾール、ホルミルベンゾトリアゾール、ホルミルキノリン、ホルミルイソキノリン、ホルミルキノキサリン、ホルミルシンノリン、ホルミルプテリジン、ホルミルフラン、ホルミルオキソラン、ホルミルオキサン、ホルミルチオフェン、ホルミルチオラン、ホルミルチアン、ホルミルアデニン、ホルミルグアニン、ホルミルシトシン、ホルミルチミン、ホルミルウラシルなどが挙げられる。上記アルデヒドは鎖状であっても環状であっても良い。
上記アルデヒドはホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナールであることが好ましく、ブチルアルデヒドがさらに好ましい。
上記ポリビニルアルコールはビニル化合物との共重合体であっても良い。ビニル化合物としては、エチレン、アリルアミン、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、マレイミド、イタコン酸、(メタ)アクリル酸類が挙げられる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸類」とは、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸からなる群より選択される少なくとも1種をいう。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸類」とは、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸からなる群より選択される少なくとも1種をいう。
上記(メタ)アクリル酸類のうち、(メタ)アクリル酸エステルとしては特に限定されないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール類、(メタ)アクリル酸ホスホリルコリンより選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソテトラデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸環状アルキルエステルとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、4−(メタ)アクリロイルモルホリン、3−(メタ)アクリロイル−2−オキサゾリジノン、 N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、6−(メタ)アクリルアミドヘキサン酸などが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール類としては、例えば、メトキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレート、エトキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸ホスホリルコリンとしては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸類は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、本明細書において、上記(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸を総称するものであり、上記(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを総称するものとする。
上記(メタ)アクリル酸環状アルキルエステルとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、4−(メタ)アクリロイルモルホリン、3−(メタ)アクリロイル−2−オキサゾリジノン、 N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、6−(メタ)アクリルアミドヘキサン酸などが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール類としては、例えば、メトキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレート、エトキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸ホスホリルコリンとしては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸類は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、本明細書において、上記(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸を総称するものであり、上記(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを総称するものとする。
上記アセタール化度が10%を超えるように調整する方法は特に限定されないが、上記アルデヒドをアセタール化反応の際に上記アルデヒドを過剰量添加することでアセタール化反応が十分に進行させることが可能である。
ポリビニルアセタール樹脂は、その一部がアレニウス塩基性基またはアレニウス酸性基により変性されていることが好ましい。フィーダー細胞や接着タンパク質を含まない無血清培地培養において、幹細胞播種後の初期定着率が向上し、幹細胞の培養がし易くなるからである。
上記アレニウス塩基性基は、水中で解離して水酸化物イオンを生じる化合物の総称であり、例えば、アミンが挙げられる。
上記アミンとしては、例えば、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、複素環式化合物、アミノ酸が挙げられる。
複素環式化合物としては、特に限定されないが、ピロール、ピペリジン、ピリジン、ヘキサメチレンイミン、アザトロピリデン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピリミジン、ピラジン、モルホリン、チアジン、トリアゾール、テトラゾール、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、ベンゾトリアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、ポルフィリン、クロリン、コリン、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル等が挙げられる。
アミノ酸としては、特に限定されないが、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン等が挙げられる。
上記ポリビニルアセタール樹脂を上記アレニウス塩基性基により変性する方法としては特に限定されないが、上記アリルアミンやマレイミド、(メタ)アクリルアミド類との共重合によって得られる。
上記アミンとしては、例えば、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、複素環式化合物、アミノ酸が挙げられる。
複素環式化合物としては、特に限定されないが、ピロール、ピペリジン、ピリジン、ヘキサメチレンイミン、アザトロピリデン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピリミジン、ピラジン、モルホリン、チアジン、トリアゾール、テトラゾール、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、ベンゾトリアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、ポルフィリン、クロリン、コリン、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル等が挙げられる。
アミノ酸としては、特に限定されないが、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン等が挙げられる。
上記ポリビニルアセタール樹脂を上記アレニウス塩基性基により変性する方法としては特に限定されないが、上記アリルアミンやマレイミド、(メタ)アクリルアミド類との共重合によって得られる。
上記アレニウス酸性基は、水中で解離して水素イオンを生じる化合物の総称であり、例えば、カルボン酸、含フッ素アルコール、スルホン酸挙げられる。
上記カルボン酸としては、特に限定されないが、カルボキシル基が挙げられる。
上記含フッ素アルコールとしては、特に限定されないが、
上記スルホン酸としては、特に限定されないが、スルホ基が挙げられる。
上記ポリビニルアセタール樹脂を上記アレニウス酸性基により変性する方法としては特に限定されないが、上記イタコン酸や(メタ)アクリル酸との共重合によって得られる。
上記カルボン酸としては、特に限定されないが、カルボキシル基が挙げられる。
上記含フッ素アルコールとしては、特に限定されないが、
上記スルホン酸としては、特に限定されないが、スルホ基が挙げられる。
上記ポリビニルアセタール樹脂を上記アレニウス酸性基により変性する方法としては特に限定されないが、上記イタコン酸や(メタ)アクリル酸との共重合によって得られる。
幹細胞培養用足場材料の変性度は、幹細胞培養用足場材料の全モル%基準で、0.1〜40モル%が好ましく、0.1〜30モル%がより好ましく、0.1〜10モル%がより好ましい。変性度は、各変性基の使用目的が異なるため、変性基毎に調整することが好ましい。具体的な各変性基の変性度は、幹細胞培養用足場材料の全モル%基準で以下の数値範囲に設定することが好ましい。
エチレン基変性の場合、0.1〜40モル%が好ましく、1〜40モル%がより好ましく、1〜10モル%がより好ましい。
アミノ基変性の場合、0.1〜30モル%が好ましく、0.1〜10モル%がより好ましい。
具体的には、アミノ基を有する構成単位が1〜10モル%含むことが好ましい。
カルボキシル変性の場合、0.1〜30モル%が好ましく、0.1〜10モル%がより好ましい。
エチレン基変性の場合、0.1〜40モル%が好ましく、1〜40モル%がより好ましく、1〜10モル%がより好ましい。
アミノ基変性の場合、0.1〜30モル%が好ましく、0.1〜10モル%がより好ましい。
具体的には、アミノ基を有する構成単位が1〜10モル%含むことが好ましい。
カルボキシル変性の場合、0.1〜30モル%が好ましく、0.1〜10モル%がより好ましい。
なお、ポリビニルアセタール樹脂における、アセタール化度(モル%)、アセチル化度(モル%)、水酸基量(モル%)等の構成量は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定した値である。
ここで、本明細書で用いられる用語の説明を行う。
「幹細胞」とは、自己複製能と分化能を有する細胞をいう。幹細胞のうち、自己複製能を有し、かつ、1つの細胞から、内胚葉、中胚葉、外胚葉の全ての細胞へ分化できるものを「多能性幹細胞」という。
多能性幹細胞としては、例えば、人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell、以下「iPS細胞」という。)、胚性幹細胞(embryonic stem cells、以下「ES細胞」という。)、Muse細胞(multilinege differentiating stress enduring cells)、胚性がん細胞(embryonic germ cell)、胚性生殖幹細胞(embryonic germ cell)、mGS細胞(multipotent germ stem cell)等が挙げられる。
幹細胞のうち、自己複製能を有し、外胚葉系組織、内胚葉系組織、中胚葉系組織、生殖系組織のいずれかに属し、それが属している臓器の構成細胞種への限られた分化能を示すものを「組織幹細胞」および「組織前駆細胞」という。
組織幹細胞および組織前駆細胞としては、例えば、神経幹細胞、神経堤幹細胞、網膜幹細胞、角膜幹細胞、ケラチノサイト表皮幹細胞、メラノサイト幹細胞、乳腺幹細胞、肝幹細胞、腸幹細胞、気道幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、心臓幹細胞、血管内皮前駆細胞、血管周皮細胞、骨格筋幹細胞、脂肪幹細胞、腎前駆細胞、精子幹細胞等が挙げられる。
本発明の幹細胞足場材料を使用することで、上記幹細胞種は特に問わないが、幹細胞足場材料として使用することができる。なかでも、多能性幹細胞、特にiPS細胞の培養に用いられることが好ましい。フィーダー細胞や接着タンパク質を含まない無血清培地培養において、幹細胞播種後の初期定着率が向上し、幹細胞の培養を好適に行うことができる。
この様な幹細胞としては、例えば「もっとよくわかる!幹細胞と再生医療」(羊土社、長船健二著)に記載の幹細胞を挙げることができる。
「幹細胞」とは、自己複製能と分化能を有する細胞をいう。幹細胞のうち、自己複製能を有し、かつ、1つの細胞から、内胚葉、中胚葉、外胚葉の全ての細胞へ分化できるものを「多能性幹細胞」という。
多能性幹細胞としては、例えば、人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell、以下「iPS細胞」という。)、胚性幹細胞(embryonic stem cells、以下「ES細胞」という。)、Muse細胞(multilinege differentiating stress enduring cells)、胚性がん細胞(embryonic germ cell)、胚性生殖幹細胞(embryonic germ cell)、mGS細胞(multipotent germ stem cell)等が挙げられる。
幹細胞のうち、自己複製能を有し、外胚葉系組織、内胚葉系組織、中胚葉系組織、生殖系組織のいずれかに属し、それが属している臓器の構成細胞種への限られた分化能を示すものを「組織幹細胞」および「組織前駆細胞」という。
組織幹細胞および組織前駆細胞としては、例えば、神経幹細胞、神経堤幹細胞、網膜幹細胞、角膜幹細胞、ケラチノサイト表皮幹細胞、メラノサイト幹細胞、乳腺幹細胞、肝幹細胞、腸幹細胞、気道幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、心臓幹細胞、血管内皮前駆細胞、血管周皮細胞、骨格筋幹細胞、脂肪幹細胞、腎前駆細胞、精子幹細胞等が挙げられる。
本発明の幹細胞足場材料を使用することで、上記幹細胞種は特に問わないが、幹細胞足場材料として使用することができる。なかでも、多能性幹細胞、特にiPS細胞の培養に用いられることが好ましい。フィーダー細胞や接着タンパク質を含まない無血清培地培養において、幹細胞播種後の初期定着率が向上し、幹細胞の培養を好適に行うことができる。
この様な幹細胞としては、例えば「もっとよくわかる!幹細胞と再生医療」(羊土社、長船健二著)に記載の幹細胞を挙げることができる。
ポリビニルアセタール樹脂の重合度の下限は、100が好ましく、200がより好ましく、500がさらに好ましく、1500がさらにより好ましい。重合度が上記範囲であると、細胞培養にしようする培地で膨潤しても足場材強度を好適に保つことが出来ることから、細胞増殖性が向上する。重合度の上限は6000が好ましく、3000がより好ましく、2500がさらに好ましい。重合度が上記範囲であると、取り扱い性が良く、足場材を好適に成形出来る。
[幹細胞の培養方法]
上述の幹細胞培養用足場材料によれば、様々な幹細胞を培養することができるが、その特性を考慮すると、幹細胞のなかでも多能性幹細胞の培養に用いることが好ましい。一般的に、多能性幹細胞は播種後の培養の定着率が低いとされているが、上述の幹細胞培養用足場材料は、培養培地の水分によって膨潤し難く、適度な親水性と強度を維持できるので、多能性幹細胞の播種後の定着率が向上するからである。
上述の幹細胞培養用足場材料によれば、様々な幹細胞を培養することができるが、その特性を考慮すると、幹細胞のなかでも多能性幹細胞の培養に用いることが好ましい。一般的に、多能性幹細胞は播種後の培養の定着率が低いとされているが、上述の幹細胞培養用足場材料は、培養培地の水分によって膨潤し難く、適度な親水性と強度を維持できるので、多能性幹細胞の播種後の定着率が向上するからである。
[幹細胞培養用容器]
本発明は上述の幹細胞培養用足場材料を用いた幹細胞培養用容器にも関する。即ち、幹細胞培養用容器であって、幹細胞培養用容器は、幹細胞の培養領域の少なくとも一部に、上述の幹細胞足場材料からなる樹脂膜を備える幹細胞培養用容器に関する。
図1Aは実施の形態に係る幹細胞培養用容器の斜視概念図、図1Bはその側面断面概念図である。幹細胞培養用容器の形状は特に制限されないが、例えば図1Aに示すような有底円柱状のシャーレ1を用意し、その底面の幹細胞の培養領域に、図1Bに示すように樹脂膜12を設ける態様が挙げられる。
本発明は上述の幹細胞培養用足場材料を用いた幹細胞培養用容器にも関する。即ち、幹細胞培養用容器であって、幹細胞培養用容器は、幹細胞の培養領域の少なくとも一部に、上述の幹細胞足場材料からなる樹脂膜を備える幹細胞培養用容器に関する。
図1Aは実施の形態に係る幹細胞培養用容器の斜視概念図、図1Bはその側面断面概念図である。幹細胞培養用容器の形状は特に制限されないが、例えば図1Aに示すような有底円柱状のシャーレ1を用意し、その底面の幹細胞の培養領域に、図1Bに示すように樹脂膜12を設ける態様が挙げられる。
幹細胞培養用足場材料は、幹細胞の培養において、平面培養(二次元培養方法)に用いることの他に、生体内により近い状態、例えば多孔質膜やハイドロゲルなどの基材上での幹細胞の培養(三次元培養方法)に用いることができる。細胞培養用足場材料をバイオリアクター等に用いることにより、効率良く幹細胞を増殖させることができるからである。
細胞培養用足場材料は、適度な親水性と強度を備えることから、二次元培養方法に用いられることが好ましい。
細胞培養用足場材料は、適度な親水性と強度を備えることから、二次元培養方法に用いられることが好ましい。
平面培養(二次元培養方法)用容器としては、形状や大きさは特に限定されないが、1つまたは複数のウェル(穴)を備える細胞培養用テストプレートや、細胞培養用フラスコが挙げられる。例えば、図2に示すような6つのウェルを有する幹細胞培養用容器を用いることができる。上記マイクロプレートのウェルの数は限定されず、例えば、2、4、6、12、24、48、96、384等が挙げられる。
上記ウェルの形状は特に限定されないが、真円、楕円、三角形、正方形、長方形、五角形等が挙げられる。上記ウェル底面の形状は特に限定されないが、平底、丸底、凹凸等が挙げられる。
1つまたは複数のウェル(穴)を備える細胞培養用テストプレートや、細胞培養用フラスコの材質は特に限定されないが、高分子樹脂や金属、無機材料が挙げられる。上記高分子樹脂としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイソプレン、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン等が挙げられる。金属としては、ステンレス、銅、鉄、ニッケル、アルミ、チタン、金、銀、白金等が挙げられる。無機材料としては、酸化ケイ素(ガラス)、酸化アルミ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、窒化ケイ素等が挙げられる。
上記ウェルの形状は特に限定されないが、真円、楕円、三角形、正方形、長方形、五角形等が挙げられる。上記ウェル底面の形状は特に限定されないが、平底、丸底、凹凸等が挙げられる。
1つまたは複数のウェル(穴)を備える細胞培養用テストプレートや、細胞培養用フラスコの材質は特に限定されないが、高分子樹脂や金属、無機材料が挙げられる。上記高分子樹脂としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイソプレン、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン等が挙げられる。金属としては、ステンレス、銅、鉄、ニッケル、アルミ、チタン、金、銀、白金等が挙げられる。無機材料としては、酸化ケイ素(ガラス)、酸化アルミ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、窒化ケイ素等が挙げられる。
上述の他にも、細胞培養用足場材料は、幹細胞を培地中で自由に浮遊させて成長させる浮遊培養方法に用いることができる。
[多能性幹細胞の培養方法]
多能性幹細胞の培養方法においては、合成樹脂を含有する幹細胞培養用足場材料上に細胞塊を播種することが好ましい。
細胞塊は、コンフルエントになった培養容器に細胞剥離剤を添加し、ピペッティングにより均一に破砕処理することで得ることが出来る。細胞剥離剤としては、特に限定されないが、エチレンジアミン/リン酸緩衝溶液が好ましい。細胞塊の大きさは50〜200μmであることが好ましい。
多能性幹細胞の培養方法においては、合成樹脂を含有する幹細胞培養用足場材料上に細胞塊を播種することが好ましい。
細胞塊は、コンフルエントになった培養容器に細胞剥離剤を添加し、ピペッティングにより均一に破砕処理することで得ることが出来る。細胞剥離剤としては、特に限定されないが、エチレンジアミン/リン酸緩衝溶液が好ましい。細胞塊の大きさは50〜200μmであることが好ましい。
[その他の実施の形態]
本発明は、上述の幹細胞培養用足場材料の他にも、その他の実施の形態として、幹細胞培養用足場材料を用いた発明が提供される。
例えば、上述の幹細胞培養用足場材料と、多糖類と、を含有する幹細胞培養用担体(媒体)が提供される。多糖類としては、特に制限なく様々な多糖類を用いることができる。なかでも水溶性多糖類が好ましい。
本発明は、上述の幹細胞培養用足場材料の他にも、その他の実施の形態として、幹細胞培養用足場材料を用いた発明が提供される。
例えば、上述の幹細胞培養用足場材料と、多糖類と、を含有する幹細胞培養用担体(媒体)が提供される。多糖類としては、特に制限なく様々な多糖類を用いることができる。なかでも水溶性多糖類が好ましい。
その他にも、幹細胞培養用足場材料を備える幹細胞培養用繊維が提供される。この場合、幹細胞培養用足場材料は、繊維上に塗布されていることが好ましい。また幹細胞培養用足場材料は、繊維中に含漬されたり、練り込まれている形態であってもよい。幹細胞培養用繊維は、フラスコなどの平面構造には接着しにくいが、線維(fibril)状構造などの立体構造には接着しやすい幹細胞の二次元培養方法に適している。幹細胞のなかでも、特に脂肪幹細胞の培養に適している。
上記幹細胞培養用足場材料は架橋されていても良い。架橋されることで水膨潤性を抑制し、好適に強度を上げることができるからである。幹細胞培養用足場材料に更に架橋剤を加えて架橋させてもよい。
架橋剤としては特に限定されないが、ポリアルコールやポリカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、金属石鹸、多糖類等が挙げられる。
ポリアルコールとしては特に限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ウンデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、カテコール、ピロガロール、ジボロン酸、メチレンジボロン酸、エチレンジボロン酸、プロピレンジボロン酸、フェニレンジボロン酸、ビフェニルジボロン酸、ビスフェノール誘導体等が挙げられる。
ポリカルボン酸としては特に限定されないが、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、ポリ(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては特に限定されないが、グリコール酸、乳酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、酒石酸、シトマル酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、セレブロン酸、キナ酸、シキミ酸、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、クレオソート酸、バニリン酸、シリング酸、ピロカテク酸、レソルシル酸、プロトカテク酸、ゲンチジン酸、オルセリン酸、没食子酸、マンデル酸、ベンジル酸、アトロラクチン酸、メリロト酸、フロレト酸、クマル酸、ウンベル酸、コーヒー酸、フェルラ酸、シナピン酸、ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
金属石鹸としては特に限定されないが、ステアリン酸、ラウリン酸、リシノール酸、オクチル酸などの脂肪酸と、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウムなどの金属の塩が挙げられる。
多糖類としては特に限定されないが、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、セルロース、キチン、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、ヒアルロン酸、キシログルカン、グルコマンナン酸等が挙げられる。
架橋剤としては特に限定されないが、ポリアルコールやポリカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、金属石鹸、多糖類等が挙げられる。
ポリアルコールとしては特に限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ウンデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、カテコール、ピロガロール、ジボロン酸、メチレンジボロン酸、エチレンジボロン酸、プロピレンジボロン酸、フェニレンジボロン酸、ビフェニルジボロン酸、ビスフェノール誘導体等が挙げられる。
ポリカルボン酸としては特に限定されないが、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、ポリ(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては特に限定されないが、グリコール酸、乳酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、酒石酸、シトマル酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、セレブロン酸、キナ酸、シキミ酸、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、クレオソート酸、バニリン酸、シリング酸、ピロカテク酸、レソルシル酸、プロトカテク酸、ゲンチジン酸、オルセリン酸、没食子酸、マンデル酸、ベンジル酸、アトロラクチン酸、メリロト酸、フロレト酸、クマル酸、ウンベル酸、コーヒー酸、フェルラ酸、シナピン酸、ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
金属石鹸としては特に限定されないが、ステアリン酸、ラウリン酸、リシノール酸、オクチル酸などの脂肪酸と、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウムなどの金属の塩が挙げられる。
多糖類としては特に限定されないが、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、セルロース、キチン、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、ヒアルロン酸、キシログルカン、グルコマンナン酸等が挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが本発明は以下の実施例に限定解釈されることはない。
[実施例1]
(ポリビニルブチラールの調製)
攪拌装置を備えた反応機に、イオン交換水2700mL、平均重合度2000、鹸化度79モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として35重量%塩酸を、塩酸濃度が0.2重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn−ブチルアルデヒド(n−BA)15gを添加した。その後、n−ブチルアルデヒド(n−BA)72gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラール樹脂が析出した。析出してから15分後に、35重量%塩酸を、塩酸濃度が1.8重量%になるように添加し、50℃に加熱し、50℃で2時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラール樹脂を水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラールを得た。
得られたポリビニルブチラールは、平均重合度2000、水酸基量38モル%、アセチル基量21モル%、アセタール化度41モル%であった。
(ポリビニルブチラールの調製)
攪拌装置を備えた反応機に、イオン交換水2700mL、平均重合度2000、鹸化度79モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として35重量%塩酸を、塩酸濃度が0.2重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn−ブチルアルデヒド(n−BA)15gを添加した。その後、n−ブチルアルデヒド(n−BA)72gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラール樹脂が析出した。析出してから15分後に、35重量%塩酸を、塩酸濃度が1.8重量%になるように添加し、50℃に加熱し、50℃で2時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラール樹脂を水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラールを得た。
得られたポリビニルブチラールは、平均重合度2000、水酸基量38モル%、アセチル基量21モル%、アセタール化度41モル%であった。
(細胞培養用容器の調製)
得られたポリビニルブチラール1gをブタノール19gに溶解させることで、ポリビニルブチラール溶液を得た。得られたポリビニルブチラール溶液150μLをφ22mmのカバーガラス上に吐出し、スピンコーターを用いて2000rpm、20秒回転させて平滑な樹脂膜を得た。得られた上記樹脂膜をカバーガラスごとφ22mmのポリスチレンディッシュに投入することで細胞培養用容器を得た。
得られたポリビニルブチラール1gをブタノール19gに溶解させることで、ポリビニルブチラール溶液を得た。得られたポリビニルブチラール溶液150μLをφ22mmのカバーガラス上に吐出し、スピンコーターを用いて2000rpm、20秒回転させて平滑な樹脂膜を得た。得られた上記樹脂膜をカバーガラスごとφ22mmのポリスチレンディッシュに投入することで細胞培養用容器を得た。
以下の条件において樹脂膜を備える細胞培養用容器について試験を行った。
(細胞塊培養試験の方法)
得られた細胞培養用容器にリン酸緩衝生理食塩水1mLを加えて37℃のインキュベーター内で1時間静置後、培養容器内のリン酸緩衝生理食塩水を除いた。35mmディッシュにコンフルエント状態になったh−iPS細胞252G1のコロニーを加え、次に1mLの0.5mMエチレンジアミン/リン酸緩衝溶液を加え、室温で2分静置した。その後、エチレンジアミン/リン酸緩衝溶液を除き、1mLのTeSRE8培地でピペッティングにより50〜200μmに砕かれた細胞塊を1.0×105を培養容器に播種し、培地TeSR E8(STEM CELL社製)1mLおよび、ROCK−Inhibitor(Y27632)10μM存在下、37℃、CO2濃度5%のインキュベーター内で培養を行った。24時間毎に培地を750μL除き、新たなTeSR E8を250μL加えることで培地交換を行った。
(細胞塊培養試験の方法)
得られた細胞培養用容器にリン酸緩衝生理食塩水1mLを加えて37℃のインキュベーター内で1時間静置後、培養容器内のリン酸緩衝生理食塩水を除いた。35mmディッシュにコンフルエント状態になったh−iPS細胞252G1のコロニーを加え、次に1mLの0.5mMエチレンジアミン/リン酸緩衝溶液を加え、室温で2分静置した。その後、エチレンジアミン/リン酸緩衝溶液を除き、1mLのTeSRE8培地でピペッティングにより50〜200μmに砕かれた細胞塊を1.0×105を培養容器に播種し、培地TeSR E8(STEM CELL社製)1mLおよび、ROCK−Inhibitor(Y27632)10μM存在下、37℃、CO2濃度5%のインキュベーター内で培養を行った。24時間毎に培地を750μL除き、新たなTeSR E8を250μL加えることで培地交換を行った。
(培養評価の方法)
(1)細胞接着密度
細胞播種後24時間経過時の細胞接着密度(個/mm2)を、10×10倍の位相差顕微鏡(オリンパス社製、IX73)を用いてカウントすることで算出した。
(2)細胞増殖数
培養試験開始から5日経過後の細胞塊を、1mLのTrypLE Express(1X)Phenol Red(ThermoFisher社製)を用いて細胞塊を剥離し、単一細胞にした後、細胞数をセルカウンター(NanoEntek社製、EVE)を用いてカウントを行った。
(3)未分化性
アルカリフォスファターゼ(ALP)染色試験キット(Vector社製、SK−5300)を使用して未分化性の確認を行った。
(1)細胞接着密度
細胞播種後24時間経過時の細胞接着密度(個/mm2)を、10×10倍の位相差顕微鏡(オリンパス社製、IX73)を用いてカウントすることで算出した。
(2)細胞増殖数
培養試験開始から5日経過後の細胞塊を、1mLのTrypLE Express(1X)Phenol Red(ThermoFisher社製)を用いて細胞塊を剥離し、単一細胞にした後、細胞数をセルカウンター(NanoEntek社製、EVE)を用いてカウントを行った。
(3)未分化性
アルカリフォスファターゼ(ALP)染色試験キット(Vector社製、SK−5300)を使用して未分化性の確認を行った。
[実施例2]
n−ブチルアルデヒド(n−BA)の添加量を15gおよび98gとしたこと以外は、実施例1同様にして試験を行った。
n−ブチルアルデヒド(n−BA)の添加量を15gおよび98gとしたこと以外は、実施例1同様にして試験を行った。
[実施例3]
ポリビニルアルコールを平均重合度250としたこと以外は、実施例1同様にして試験を行った。
ポリビニルアルコールを平均重合度250としたこと以外は、実施例1同様にして試験を行った。
[実施例4]
n−ブチルアルデヒド(n−BA)の添加量を15gおよび60gとしたこと以外は、実施例3同様にして試験を行った。
n−ブチルアルデヒド(n−BA)の添加量を15gおよび60gとしたこと以外は、実施例3同様にして試験を行った。
[比較例1]
足場材樹脂を用いず、ポリスチレンディッシュのみで実施例1同様にて試験を行った。
足場材樹脂を用いず、ポリスチレンディッシュのみで実施例1同様にて試験を行った。
[比較例2]
n−ブチルアルデヒド(n−BA)の添加量を5gおよび18gに変更したこと以外は、実施例1同様にして試験を行った。
n−ブチルアルデヒド(n−BA)の添加量を5gおよび18gに変更したこと以外は、実施例1同様にして試験を行った。
[比較例3]
ポリビニルアルコールを平均重合度250、n−ブチルアルデヒド(n−BA)の添加量を5gおよび18gに変更したこと以外は、実施例1同様にして試験を行った。
ポリビニルアルコールを平均重合度250、n−ブチルアルデヒド(n−BA)の添加量を5gおよび18gに変更したこと以外は、実施例1同様にして試験を行った。
Claims (9)
- 合成樹脂を含有する幹細胞培養用足場材料であって、
前記合成樹脂がポリビニルアセタール樹脂を含み、
前記ポリビニルアセタール樹脂の水膨潤倍率が70%以下の幹細胞培養用足場材料。 - 前記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度が10モル%以上である、請求項1記載の幹細胞培養用足場材料。
- 前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が10モル%以上である、請求項1又は2記載の幹細胞培養用足場材料。
- 前記ポリビニルアセタール樹脂の重合度が250以上である請求項1〜3のいずれか1項記載の幹細胞培養用足場材料。
- 前記ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラールである請求項1〜4のいずれか1項記載の幹細胞培養用足場材料。
- 前記幹細胞が多能性幹細胞である請求項1〜5のいずれか1項記載の幹細胞培養用足場材料。
- 細胞の培養領域の少なくとも一部に樹脂膜を備える幹細胞培養用容器であって、
前記樹脂膜が、請求項1〜6のいずれか1項記載の幹細胞培養用足場材料である幹細胞培養用容器。 - 請求項1〜6のいずれか1項記載の幹細胞培養用足場材料を備える幹細胞培養用繊維。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の足場材料を用いる多能性幹細胞の培養方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020230886A1 (ja) * | 2019-05-15 | 2020-11-19 | 積水化学工業株式会社 | 細胞培養用足場材料により形成された樹脂膜、細胞培養用担体及び細胞培養用容器 |
Citations (4)
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JP2006314285A (ja) * | 2005-05-13 | 2006-11-24 | Kuraray Co Ltd | 細胞培養用担体及び該細胞培養用担体を用いた細胞培養方法 |
JP2009273444A (ja) * | 2008-05-19 | 2009-11-26 | Univ Of Tsukuba | 細胞培養支持体、その製造方法及び該支持体を用いた細胞培養方法 |
JP2010158180A (ja) * | 2009-01-06 | 2010-07-22 | Hokkaido Univ | 足場材料 |
-
2018
- 2018-12-27 JP JP2018245334A patent/JP2019118345A/ja active Pending
Patent Citations (4)
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JOURNAL OF BIOMEDICAL MATERIALS RESEARCH A, 2014, VOL.102A, PP.247-253, JPN6021028724, ISSN: 0004841848 * |
高分子化学, 1995年,第12巻, 第121号,185〜190頁, JPN6022032297, ISSN: 0004841847 * |
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