JP2018009086A - 重合体、感光性樹脂組成物および細胞培養基板の製造方法 - Google Patents

重合体、感光性樹脂組成物および細胞培養基板の製造方法 Download PDF

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愛 柴崎
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Abstract

【課題】スフェロイドの接着抑制能を有し、且つ耐水性に優れた隔壁を形成することを可能とする重合体を提供する。【解決手段】ビニルエーテル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、芳香族ビニルセグメントから選ばれる主鎖からなり、かつスルホン基、ビニル基を含有する側鎖からなる重合体。【選択図】なし

Description

本発明は、新規な重合体、感光性樹脂組成物および細胞培養基板の製造方法に関する。
細胞培養技術では、生体内と同等の機能を有する組織(スフェロイド)の培養が注目されている。スフェロイドとは、細胞が多数凝集して形成された3次元状の細胞組織体である。スフェロイド培養は、従来の単層培養に比べ、細胞の機能を長期間維持することが可能で、より生体に近い培養法である。細胞を3次元で培養することにより、細胞を2次元で培養する場合に比べて、その生存状態を長期間に亘って維持できるということが知られている(特許文献1〜2)。
しかしながら、3次元細胞培養では、2次元細胞培養に比べて、細胞が比較的弱く接着する表面を有する細胞培養基板が用いられるため、形成されるスフェロイドが培養液中に遊離する問題が知られている(特許文献2)。
この問題を解決するため、細胞を保持するための細胞保持キャビティ内において、細胞を培養する方法が開示されている(特許文献2)。このキャビティを形成する隔壁としては、培養後の細胞組織体を取り出すときの容易性を考慮して、細胞組織体との接着力が弱い、水溶性樹脂を含有する感光性樹脂組成物から形成される隔壁が用いられることがある(特許文献3)。
国際公開第2007/097120号 特開2006−121991号公報 特開2014−023508号公報
スフェロイド培養に用いられる隔壁には、スフェロイドが接着しないよう細胞接着抑制能が求められる。また、培養液が水を含むことから、スフェロイド培養に用いられる隔壁には、基材から剥離しないよう耐水性が求められる。
本発明の課題は、スフェロイドの接着抑制能を有し、且つ耐水性に優れた隔壁を形成することを可能とする重合体および感光性樹脂組成物、ならびに当該感光性樹脂組成物を用いた細胞培養基板の製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、以下の構成を有する重合体を用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]〜[12]である。
[1]式(a1)に示す構造単位(a1)を有する重合体。
Figure 2018009086
[式(a1)中、R1はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または−ORA基であり、RAは水素原子または炭素数1〜20の1価の有機基であり、R2は、直接結合、または−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−NRB−および炭素数6〜20のアリーレン基から選ばれる少なくとも1種の構造を有する基であり、RBは水素原子または炭素数1〜20の1価の有機基であり、R3は、炭素数1〜30の2価の有機基であり、R4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基である。]
[2]R2が、水酸基を有する基である前記[1]の重合体。
[3]前記重合体中に含まれる構造単位(a1)の含有割合が、5〜35モル%である前記[1]または[2]の重合体。
[4]式(a2)に示す構造単位(a2)をさらに有する前記[1]〜[3]のいずれか1項の重合体。
Figure 2018009086
[式(a2)中、R5はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、R6は光ラジカル発生基を有する基である。)
[5]光ラジカル発生基が式(g1)に示す構造を有する基である前記[4]の重合体。
Figure 2018009086
[式(g1)中、R11は炭素数6〜30のアリーレン基であり、R12は炭素数6〜30のアリール基であり、ただし、前記アリーレン基およびアリール基は、置換基を有してもよい。]
[6]前記重合体中に含まれる構造単位(a2)の含有割合が、0.1〜30モル%である前記[4]または[5]の重合体。
[7]前記[1]〜[6]のいずれか1項の重合体、および光ラジカル重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物。
[8]水をさらに含有する前記[7]の感光性樹脂組成物。
[9]前記[4]〜[6]のいずれか1項の重合体を、固形分中20〜100質量%含有する感光性樹脂組成物。
[10]水をさらに含有する前記[9]の感光性樹脂組成物。
[11]細胞培養基材上に、前記[7]〜[10]のいずれか1項の感光性樹脂組成物の樹脂膜を形成する工程1と、前記樹脂膜の少なくとも一部分を選択的に露光する工程2と、露光後の前記樹脂膜を現像液を用いて現像してパターン化樹脂膜を形成する工程3とを有する、細胞培養基板の製造方法。
[12]細胞培養基材が、プラズマ処理基材である前記[11]の細胞培養基板の製造方法。
本発明によれば、スフェロイドの接着抑制能を有し、且つ耐水性に優れた隔壁を形成することを可能とする重合体および感光性樹脂組成物、ならびに当該感光性樹脂組成物を用いた細胞培養基板の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について好適態様も含めて説明する。
〔重合体(A)〕
本発明の重合体(A)は、以下に記載する式(a1)に示す構造単位(a1)を有する。重合体(A)を用いることにより、細胞組織体との接着力が弱い、細胞非接着性を有する樹脂膜であり、また耐水性に優れた樹脂膜を形成することができる。
《基の説明》
重合体(A)の説明で現れる各基について、以下に説明する。
1価の有機基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環含有炭化水素基、芳香環含有炭化水素基等の1価の炭化水素基;ヒドロキシアルキル基、アルキレングリコール基、ポリアルキレングリコール基、アルカノイルアルキル基等の酸素含有基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基は直鎖状でも分岐状でもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基が挙げられる。
脂環含有炭化水素基には、単環の脂環式炭化水素基と橋かけ環炭化水素基がある。単環の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;シクロヘキシルメチル基等のシクロアルキル置換アルキル基が挙げられる。橋かけ環炭化水素基としては、例えば、イソボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデカニル基が挙げられる。
芳香環含有炭化水素としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基が挙げられる。
アルカノイルアルキル基としては、例えば、2−アセチルエチル基、2−プロピオニルエチル基、1,1−ジメチル−2−アセチルエチル基が挙げられる。
アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル基置換アルキル基、橋かけ環炭化水素基、アリール基およびアラルキル基としては、前記例示の基が挙げられる。
アルカンジイル基としては、例えば、メタン−1,1−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基が挙げられる。
アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、トルイレン基、キシリレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、フェナントリレン基、−Ar−R−Ar−で表される基(式中、Arはアルキル基等の置換基を有してもよいフェニレン基であり、2つのArは同一でも異なってもよく、Rは直接結合、または炭素数1〜8のアルカンジイル基等の2価の基である)が挙げられる。
《構造単位(a1)》
重合体(A)は、式(a1)に示す構造単位(a1)を有する。構造単位(a1)を有する重合体(A)は、細胞接着抑制能および架橋形成性の点で好ましい。
Figure 2018009086
式(a1)中の各記号の意味は以下のとおりである。
1は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または−ORA基である。RAは水素原子または炭素数1〜20の1価の有機基である。R1は、好ましくは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは水素原子またはメチル基である。
2は、直接結合であるか、または“−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−NRB−および炭素数6〜20のアリーレン基”から選ばれる少なくとも1種の構造を有する基であり、RBは水素原子または炭素数1〜20の1価の有機基である。R2は、細胞非接着性の観点から、水酸基を有する基であることが好ましい。前記列挙の構造を有する基には、前記列挙の構造そのものも包含され、すなわちR2は、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−NRB−または炭素数6〜20のアリーレン基そのものでもよい。また、R2は、−O−RC−、−C(=O)−O−RC−、−C(=O)−NRB−RC−、−Ar−RC−(Arは炭素数6〜20のアリーレン基)であってもよい。
2は、細胞非接着性の観点から、−C(=O)−O−RC−が好ましい。
*を、式(a1)中でR2が結合している炭素原子と結合する位置を示す場合に、R2中の前記列挙の構造の結合位置は、*−O−、*−C(=O)−O−、*−C(=O)−NRB−、*−Ar−であることが好ましい。
Cは、炭素数1〜24の2価の有機基であり、その炭素数は好ましくは2〜18、より好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜9、特に好ましくは3〜6である。
2価の有機基としては、例えば、2価の炭化水素基が挙げられる。2価の炭化水素基は、好ましくは2価の脂肪族炭化水素基であり、直鎖状でも分岐状でもよい。例えば、アルカンジイル基が挙げられる。
2価の有機基としては、2価の炭化水素基中の少なくとも1組の炭素−炭素結合間に酸素原子を有するエーテル結合含有基、2価の炭化水素基またはエーテル結合含有基が有する少なくとも1つの水素原子を置換基に置き換えてなる基であってもよい。置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、スルホ基、チオール基、リン酸基、アルデヒド基が挙げられ、水酸基が好ましい。
2価の有機基中のエーテル結合の個数としては、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜3である。2価の有機基中の置換基の個数は、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3、更に好ましくは1〜2である。
Cは、好ましくは、アルカンジイル基、アルカンジイル基中の少なくとも1組の炭素−炭素結合間に酸素原子を有するエーテル結合含有基、これらの基が有する少なくとも1つの水素原子を水酸基に置き換えてなる基である。
3は、炭素数1〜30の2価の有機基である。前記有機基は、好ましくは、−O−C(=O)−*1に示す2価の基を有する。ここで*1は式(a1)中のR3が結合している炭素原子との結合手である。また、前記有機基は、好ましくは、−O−C(=O)−NH−に示す2価の基を有する。
3の前記有機基は、例えば、*2−RD−OHとイソシアネート基含有(メタ)アクリレートとにおける、OH基およびイソシアネート基が反応することにより形成された、−O−C(=O)−NH−を有する基のうち、式(a1)中の炭素−炭素二重結合に該当する部分を除外した基である。ここで*2は式(a1)中のR3が結合している硫黄原子との結合手である。RDは前記RCとして記載した2価の有機基であり、好適例も同様である。イソシアネート基含有(メタ)アクリレートについては公知の化合物を用いることができ、製造方法の欄にて後述する。
4は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基である。R4は、好ましくは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは水素原子またはメチル基である。
重合体(A)は、構造単位(a1)を有しており、よってスルフィニル基および不飽和二重結合を有している。すなわち、重合体(A)は、親水性基であるスルフィニル基と、ラジカル重合可能な不飽和二重結合とを含む側鎖を有する。例えば光ラジカル重合開始剤を用いた光架橋により重合体(A)を架橋し、樹脂膜を現像することにより、パターン化樹脂膜(例えばスフェロイドサイズを制御する枠)を形成することができる。パターン化樹脂膜は、スルフィニル基により細胞接着抑制能に優れ、また架橋構造により耐水性にも優れている。特に、重合体(A)がスルフィニル基および不飽和二重結合を同一構造単位中に有することで、細胞接着抑制能と耐水性とを両立でき、例えば高膜厚のパターン膜を形成することができる。
また、例えば、重合体が水酸基を有する場合において前記水酸基を架橋性官能基として用い、メラミン系架橋剤などの架橋剤を用いたカチオン反応による架橋形式は、架橋反応が進行するとともに、親水性に寄与する水酸基が減少して、パターン化樹脂膜の細胞接着抑制能が低下してしまう。一方、ラジカル反応系の上記形式であれば、不飽和二重結合による架橋反応が進行するため、特に重合体(A)が水酸基を更に有する場合、カチオン反応系のような「架橋反応の進行に伴う、親水性基に寄与する水酸基の減少」を防止することができる。このため、細胞接着抑制能および耐水性をさらに優れたレベルで両立することができる。
《構造単位(a2)》
重合体(A)は、式(a2)に示す構造単位(a2)をさらに有することが好ましい。構造単位(a2)を有する重合体(A)は、ポリマー型光ラジカル重合開始剤としても作用することができる。この場合、培養細胞に対して毒性を有する可能性のある、低分子量のラジカル重合開始剤の使用量を低減できる点で好ましい。
Figure 2018009086
式(a2)中の各記号の意味は以下のとおりである。
5は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、好ましくは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、より好ましくは水素原子またはメチル基である。
6は、光ラジカル発生基を有する基であり、好ましくは光ラジカル発生基を有する有機基である。光ラジカル発生基とは、光照射によりラジカルを発生する基であり、例えば、公知の光ラジカル重合開始剤に由来する官能基が挙げられ、具体的には、カルボニルのα位が光解裂する構造を有する基、オキシムエステル構造を有する基が挙げられる。
式(a2)の一態様として、式(a2’)が挙げられる。
Figure 2018009086
式(a2’)中、R5はそれぞれ独立に式(a2)中の同一記号と同義であり、R2は式(a1)中の同一記号と同義であり、R6'は光ラジカル発生基を有する基である。
式(a2)および(a2’)において、光ラジカル発生基は、式(g1)に示す構造を有する基であることが好ましい。
Figure 2018009086
式(g1)中、R11は炭素数6〜30のアリーレン基であり、R12は炭素数6〜30のアリール基であり、ただし、前記アリーレン基およびアリール基は、置換基を有してもよい。置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、スルホ基、チオール基、リン酸基、アルデヒド基が挙げられる。
このようなポリマー型光ラジカル重合開始剤の合成方法としては、例えば、光ラジカル発生基を有するエチレン性不飽和化合物と他のラジカル重合性化合物とを共重合する方法;水酸基およびカルボキシル基等の官能基を側鎖に有する重合体を合成し、前記官能基と反応する基を有する光ラジカル重合開始剤等を反応させ、重合体中に光ラジカル発生基を導入する方法;が挙げられる。前記各化合物については公知の化合物を用いることができ、製造方法の欄にて後述する。
《構造単位(a3)》
重合体(A)は、構造単位(a1)以外の構造単位であって、式(a3)に示す構造単位(a3)をさらに有することが好ましい。
Figure 2018009086
式(a3)中、R1およびR2は、それぞれ式(a1)中の同一記号と同義であり、R7は水酸基を有する有機基である。水酸基を有する有機基は、好ましくは、“アルキル基、アルキル基中の少なくとも1組の炭素−炭素結合間に酸素原子を有するエーテル結合含有基、アリール基、アラルキル基”において、より好ましくは、“アルキル基および前記エーテル結合含有基”において、少なくとも1つの水素原子を水酸基に置き換えてなる基が挙げられる。一実施形態において、構造単位(a1)は、構造単位(a3)の水酸基とイソシアネート基含有(メタ)アクリレートのイソシアネート基とが反応して形成される。
前記アルキル基の炭素数は、通常は1〜20、好ましくは2〜10であり、前記アリール基の炭素数は、通常は6〜20であり、前記アラルキル基の炭素数は、通常は7〜30である。R7における水酸基数は、通常は1〜10、好ましくは2〜5である。
7は、細胞接着防止性およびパターン解像性の観点から、式(g2)に示す基が好ましい。
Figure 2018009086
式(g2)中、mは1〜4の整数であり、1または2が好ましく、nは0〜4の整数であり、0〜2の整数が好ましく、0または1がより好ましい。
《構造単位(a4)〜(a7)》
重合体(A)は、構造単位(a1)〜(a3)以外の構造単位であって、式(a4)に示す構造単位(a4)、式(a5)に示す構造単位(a5)、式(a6)に示す構造単位(a6)、および(メタ)アクリレートマクロモノマーに由来する構造単位(a7)から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有してもよい。
Figure 2018009086
式(a4)〜(a6)中、R8は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくは水素原子またはメチル基である。R9は、C1-10アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C1-10アルコキシC1-10アルキル基、または炭素数8〜16の橋かけ環炭化水素基を有する基である。R10は、炭素数1〜10の有機基であり、好ましくはC1-10アルキル基であり、pは0〜5の整数である。RNは、それぞれ独立に水素原子、C1-10アルキル、C2-10アルカノイルC1-10アルキルであり、2つのRNが互いに結合して、RNが結合している窒素原子とともにピペリジン環等の含窒素環等の環を形成してもよい。
上記各構造単位を形成するモノマーについては、製造方法の欄に記載する。
《重合体(A)の構成》
重合体(A)が共重合体である場合、その繰り返しの各構造単位の配列の態様は特に限定されず、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体およびグラフト共重合体のいずれであってもよい。
重合体(A)は構造単位(a1)を有する。重合体(A)の全構造単位100モル%中、構造単位(a1)の含有割合は、架橋形成による耐水性の付与、重合体(A)への水溶性の付与、細胞非接着性の観点から、好ましくは5〜35モル%、より好ましくは10〜30モル%である。
重合体(A)は構造単位(a2)をさらに有してもよい。この場合、重合体(A)の全構造単位100モル%中、構造単位(a2)の含有割合は、細胞接着防止性およびパターン解像性の観点から、好ましくは0.1〜30モル%、より好ましくは1〜20モル%である。
重合体(A)は構造単位(a3)をさらに有することが好ましい。
重合体(A)の全構造単位100モル%中、構造単位(a1)〜(a3)の含有割合の合計は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上である。
重合体の構造および構造単位の含有割合は、実施例記載の条件により測定できる。
重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、通常は1,000〜100,000、好ましくは10,000〜90,000、より好ましくは20,000〜80,000である。また、重合体(A)の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で表される分子量分布は、通常は1.0〜5.0、好ましくは1.0〜3.0である。
Mwが上記範囲にあると、解像性が高く、膜厚の大きい樹脂膜を形成することができる。Mw/Mnが上記範囲にあると、解像性の点で好ましい。MwおよびMnの測定方法の詳細は、実施例に記載したとおりである。
重合体(A)は、細胞非接着性の観点から、水溶性樹脂であることが好ましい。水溶性樹脂とは、25℃、1barでの水100gに対する溶解度が1g以上である樹脂をいう。
重合体(A)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
《重合体(A)の製造方法》
重合体(A)は、例えば、国際公開第2013/022085号の段落[0061]以降に記載された方法に準じて合成することができる。重合体(A)の合成方法としては、例えば、重合後に側鎖となる部分に含酸素環状基を有するモノマーと、必要により他のモノマーとを重合する工程1、得られた重合体の含酸素環状基と、チオール基及び水酸基含有化合物のチオール基とを反応させる工程2、チオール基及び水酸基含有化合物の反応により重合体中に導入されたスルフィド基をスルフィニル基に変換する工程3、チオール基及び水酸基含有化合物の反応により重合体中に導入された水酸基と、イソシアネート基含有(メタ)アクリレートのイソシアネート基とを反応させる工程4を有する方法が挙げられる。
以下の説明中、各々の成分は1種単独でまたは2種以上併用して用いることができる。
工程1では、エポキシ基およびオキセタニル基等の含酸素環状基を有するモノマーを少なくとも含むモノマー成分を、重合開始剤の存在下で重合させ、重合体を得る。モノマー成分は、他のモノマーを更に含んでもよい。
上記含酸素環状基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3−オキセタニル(メタ)アクリレート、ビニルベンジルグリシジルエーテル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルが挙げられる。
上記他のモノマーとしては、例えば、
(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸C1-10アルキル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸C3-10シクロアルキル、(メタ)アクリル酸1−メトキシエチル等の(メタ)アクリル酸C1-10アルコキシC1-10アルキル、(メタ)アクリル酸1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル等の炭素数8〜16の橋かけ環炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類等の(メタ)アクリル酸エステル類;
スチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−エチルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;
ジメチルアクリルアミド等のN,N−ジC1-10アルキル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等のN−C1-10アルキル(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−2−アセチルエチル)(メタ)アクリルアミド等のN−C2-10アルカノイルC1-10アルキル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルピペリジン等の(メタ)アクリルアミド類;
末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリスチレンのマクロモノマー、末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリメチル(メタ)アクリレートのマクロモノマー、末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリブチル(メタ)アクリレートのマクロモノマー、末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリジメチルシロキサンのマクロモノマー等の、末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するマクロモノマー等の(メタ)アクリレートマクロモノマー;
アミノ基や水酸基等の官能基を有する光ラジカル重合開始剤と(メタ)アクリル酸との、アミド化反応やエステル化反応等の反応により得られる、光ラジカル発生基を有するエチレン性不飽和化合物、具体的には、1−(4−ベンゾイル)フェニル−4−(メタ)アクリルピペリジン、N−(3−ベンゾイルフェニル)−2−プロペンアミド、N−(3−ベンゾイル−2,4,6−トリヒドロキシフェニル)−2−プロペンアミド等の(メタ)アクリルアミド系化合物、特開2011−099974号公報の段落[0069]に記載された化合物等の(メタ)アクリレート系化合物;
その他の光ラジカル発生基を有するエチレン性不飽和化合物、具体的には、CH2=CR1−Ar−C(=O)−CR2 2−OHで表される化合物(R1は水素原子またはメチル基であり、R2はそれぞれ独立にC1-8アルキル基であり、2つのR2は相互に結合して環を形成してもよく、Arは1,4−フェニレン基である)等のスチレン系化合物;
が挙げられる。
重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ系開始剤;ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、過酸化ベンゾイル等の過酸化物が挙げられる。重合開始剤の使用量は、モノマー成分100質量部に対して、通常は0.01〜30質量部である。
工程1は、溶媒存在下で行うことが好ましい。溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン等の芳香族系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒;1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられる。
工程1の反応時間は特に限定されないが、通常は0.5〜24時間であり、反応温度は、溶媒の沸点以下で適宜選択すればよいが、通常は0〜120℃である。
工程2では、工程1で得た重合体の含酸素環状基に対して、チオール基及び水酸基含有化合物のチオール基を開環付加させる。
チオール基及び水酸基含有化合物としては、例えば、チオグリセロール、メルカプトエタノールが挙げられ、親水性向上の観点から、チオグリセロールが好ましい。チオール基及び水酸基含有化合物の使用量は、重合体中の含酸素環状基の合計量1モルに対して、通常は1モル以上である。
チオール基及び水酸基含有化合物を付加させる際に、トリエチルアミン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン等の塩基性触媒を用いてもよい。塩基性触媒の使用量は、重合体中の含酸素環状基の合計量1モルに対し、通常は1モル以上である。
工程2は、溶媒存在下で行うことが好ましい。溶媒としては、工程1で使用できる溶媒の他、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒が挙げられる。
工程2の反応時間は特に限定されないが、通常は1〜8時間であり、反応温度は、溶媒の沸点以下で適宜選択すればよいが、通常は40〜100℃である。
工程3では、チオール基及び水酸基含有化合物の開環付加により重合体中に導入されたスルフィド基をスルフィニル基に変換する。なお、本発明の効果が失われない範囲で、重合体中に含まれる複数のスルフィニル基の一部がスルフィド基やスルホニル基となってもよい。
スルフィド基のスルフィニル基への変換には、例えば、酸化剤を用いる。酸化剤としては、例えば、過酢酸、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸等の有機酸化剤;過酸化水素、クロム酸、過マンガン酸塩等の無機酸化剤が挙げられる。
工程3は、溶媒存在下で行うことが好ましい。溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒が挙げられる。
工程3の反応時間は特に限定されないが、通常は1〜24時間であり、反応温度は、溶媒の沸点以下で適宜選択すればよいが、通常は25〜45℃である。
工程4では、チオール基及び水酸基含有化合物の開環付加により重合体中に導入された水酸基と、イソシアネート基含有(メタ)アクリレートのイソシアネート基とを反応させる。系中に水が存在する場合、イソシアネート基の分解を防ぐため、前記反応前に、必要に応じて水を除去する。
イソシアネート基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−(メタ)アクリロキシエチルイソシアネート((メタ)アクリル酸2−イソシアナトエチル)、1,1−ビス((メタ)アクリロキシメチル)エチルイソシアネート、(メタ)アクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2−(5−イソシアネート−1,3,3−トリメチル−シクロヘキシルメチルカルバモイルオキシ)−エチル(メタ)アクリレート、2−(3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−エチル(メタ)アクリレート、2−(4’−イソシアネート−4−ジフェニルメタンカルバモイルオキシ)−エチル(メタ)アクリレート、4−(5−イソシアネート−1,3,3−トリメチル−シクロヘキシルメチルカルバモイルオキシ)−ブチル(メタ)アクリレート、4−(3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−ブチル(メタ)アクリレート、4−(4’−イソシアネート−4−ジフェニルメタンカルバモイルオキシ)−ブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。イソシアネート基含有(メタ)アクリレートの使用量は、重合体中のスルフィニル基および水酸基を有する構造単位1モルに対して、通常は0.1〜1モルである。
工程4では、上記反応に加え、チオール基及び水酸基含有化合物の開環付加により重合体中に導入された水酸基と、イソシアネート基を有する光ラジカル重合開始剤のイソシアネート基とを反応させることで、光ラジカル発生基を導入してもよい。
イソシアネート基を有する光ラジカル重合開始剤としては、例えば、下記式に示す化合物が挙げられる。イソシアネート基を有する光ラジカル重合開始剤の使用量は、重合体中のスルフィニル基および水酸基を有する構造単位1モルに対して、通常は0.01〜0.3モルである。
Figure 2018009086
工程4は、溶媒存在下で行うことが好ましい。溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。
工程4の反応時間は特に限定されないが、通常、1〜10時間であり、反応温度は、通常、20〜80℃である。
上記各工程において、各反応生成物の単離は、必要に応じて、ろ過、洗浄、乾燥、再結晶、再沈殿、透析、遠心分離、各種溶媒による抽出、中和、クロマトグラフィー等の通常の手段を適宜組み合わせて行えばよい。
〔感光性樹脂組成物〕
本発明の感光性樹脂組成物は、上述した重合体(A)と、光ラジカル重合開始剤(B)とを含有する。重合体(A)が光ラジカル重合開始剤としても作用できる場合、具体的には重合体(A)が構造単位(a2)を有する場合、本発明の感光性樹脂組成物は、光ラジカル重合開始剤(B)を含有しなくともよい。以下、前記組成物を単に「本発明の組成物」ともいう。
本発明の組成物は、重合体(A)を、固形分100質量%中、通常は20質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上の範囲で含有する。このような態様であれば、耐水性および細胞非接着性が高い樹脂膜を形成可能な組成物が得られる傾向にある。重合体(A)の含有量の上限値は、他の成分の量により決定され、例えば重合体(A)が光ラジカル重合開始剤としても作用できる場合、100質量%であってもよい。固形分とは、溶媒(D)以外の成分をいう。
〈光ラジカル重合開始剤(B)〉
光ラジカル重合開始剤(B)は、光照射によりラジカル重合性基の重合を開始することのできる化合物であり、例えば光照射によりラジカルを発生する化合物である。重合開始剤(B)を含む樹脂膜に対する露光処理によって、例えば前記ラジカルが発生し、重合体(A)やラジカル重合性基を有する化合物(C)等に作用して架橋構造が形成され、現像液に対して難溶な膜となる。重合体(A)が光ラジカル重合開始剤としても作用できる場合、本発明の組成物は、重合体(A)以外の重合開始剤(B)をさらに含有してもよい。
重合開始剤(B)としては、例えば、特開2008−276194号公報、特開2003−241372号公報、特表2009−519991号公報、特表2009−531730号公報、国際公開第2010/001691号、および特開2011−132215号公報に記載の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤(B)としては、例えば、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物、オキシムエステル化合物、ベンゾイン化合物、およびベンゾフェノン化合物が挙げられる。アシルホスフィンオキサイド化合物について数例挙げると、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドが挙げられる。
重合開始剤(B)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物において、光ラジカル重合開始剤(B)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、通常は0.1〜10質量部、好ましくは0.3〜5質量部、より好ましくは0.5〜5質量部の範囲である。このような態様であれば、露光部の硬化が充分となり、耐熱性が向上し;露光光に対する透明性が低下することなく、解像性が高いパターン化樹脂膜が得られる傾向にある。
重合体(A)が光ラジカル重合開始剤としても作用できる場合、本発明の組成物において、光ラジカル重合開始剤(B)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、通常は10質量部以下、好ましくは5質量部以下、より好ましくは1質量部以下の範囲である。このような態様であれば、培養細胞に対する、重合開始剤(B)による毒性の影響を低減または排除することができる。
〈ラジカル重合性基を有する化合物(C)〉
本発明の組成物は、重合体(A)以外の、ラジカル重合性基を有する化合物(C)(以下「ラジカル重合性化合物(C)」ともいう)を含有してもよい。ラジカル重合性化合物(C)を用いることで、パターン化樹脂膜の機械的強度、耐熱性および耐薬品性を向上させることができる。
ラジカル重合性化合物(C)としては、例えば、(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。(メタ)アクリレート化合物は、好ましくは、(メタ)アクリロイルオキシ基を2以上有する多官能(メタ)アクリレートであり、より好ましくは、(メタ)アクリロイルオキシ基を2〜6有する多官能(メタ)アクリレートである。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,2−エタンジオールジ(メタ)アクリレート等のC2-18アルカンジオールジ(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等のモノまたはポリシクロアルカンジメタノールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリC2-8アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシ)イソシアヌレート、ここでこれらの化合物はAO変性またはカプロラクトン変性されていてもよく;トリ(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェートが挙げられる。本明細書において、AO変性とは、エチレンオキシド(EO)変性およびプロピレンオキシド(PO)変性等のアルキレンオキシド変性を意味する。
ラジカル重合性化合物(C)は1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物において、ラジカル重合性化合物(C)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、通常は50質量部以下、好ましくは30質量部以下、より好ましく20質量部以下の範囲である。このような態様であれば、感度および解像性に優れた組成物が得られる傾向にある。
〈溶媒(D)〉
本発明の組成物は、溶媒(D)を含有することが好ましい。溶媒(D)を用いることで、前記組成物の取扱い性を向上させたり、粘度および保存安定性を調節したりすることができる。
本発明の組成物は、水を含有することが好ましい。したがって溶媒(D)としては、水を少なくとも含む溶媒が好ましく、例えば、水、および水を含む混合溶媒が挙げられる。混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、n−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル等のアルコール類や、シクロペンタノン等のケトン類が挙げられる。混合溶媒では、通常は20質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上が水である。
溶媒(D)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物において、溶媒(D)の含有量は、好ましくは30〜90質量%、より好ましくは40〜85質量%、さらに好ましくは45〜80質量%の範囲である。
〈その他添加剤〉
本発明の組成物には、その他、密着助剤、レベリング剤、界面活性剤、増感剤、無機フィラー等の各種添加剤を、本発明の目的および特性を損なわない範囲で含有させることができる。
〈組成物の調製方法〉
本発明の組成物は、各成分を均一に混合することにより調製できる。また、異物を取り除くために、各成分を均一に混合した後、得られた混合物をフィルター等で濾過してもよい。
本発明の組成物の23℃における粘度は、通常は0.1〜10,000cP、好ましくは100〜5,000cP、より好ましくは100〜3,000cPである。粘度は、JIS Z8803に準拠した方法により測定される値である。
〔細胞培養基板の製造方法〕
本発明の細胞培養基板の製造方法は、細胞培養基材上に、本発明の感光性樹脂組成物の樹脂膜を形成する工程1と、前記樹脂膜の少なくとも一部分を選択的に露光する工程2と、露光後の前記樹脂膜を現像液を用いて現像してパターン化樹脂膜を形成する工程3とを有し、さらに、前記パターン化樹脂膜を加熱処理する工程4を有してもよい。
[工程1]
工程1では、例えば、本発明の感光性樹脂組成物を細胞培養基材上に塗布・乾燥し、樹脂膜を形成する。乾燥条件は、オーブンやホットプレートを用いて、例えば、50〜120℃で1〜30分間加熱する。樹脂膜の膜厚は、通常は1〜100μm、好ましくは3〜70μm、より好ましくは5〜50μmである。膜厚が足りない場合は、2度塗りにより樹脂膜を形成してもよい。
組成物の塗布方法としては、例えば、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、インクジェット法が挙げられる。
細胞培養基材としては、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアセタール、トリアセチルセルロース、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリレート、ポリメタクリレートおよびセルロースから選ばれる少なくとも1種等の樹脂からなる樹脂基材;ガラス、セラミック、ステンレス鋼等の材料からなる基材;シリコンウエハ基材が挙げられる。ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクタン等の生分解性ポリマー等からなる樹脂基材であってもよい。
基材表面は、凹凸を有する微細構造を有していてもよい。このような微細構造を設けることで、細胞組織体の前記表面への接着性を調整することができる。例えば、微細網目構造が挙げられ、前記網目構造としては、例えば、円形状、楕円形状、スクエア形状やハニカム形状等の多角形状が挙げられる。
基材としては、細胞培養に用いられる公知の基材を用いることができ、例えば、特開2002−335949号公報に記載されたハニカム構造体フィルムや、ORGANOGENIX(株)製の3次元培養プレートから外枠を外した下面基板が挙げられる。
基材としては、細胞を保持し細胞組織体を形成する点から、細胞接着性の表面を有する基材を用いることが好ましい。細胞接着性の表面は、例えば、カルボキシル基、アミノ基等の電荷を有する官能基が導入された表面、アルギニン・グリシン・アスパラギン酸配列等の細胞接着性ペプチドが導入された表面、細胞接着性を有する高分子が固定された表面である。
前記電荷を有する官能基は、基材表面をプラズマ等で処理することによって導入することができる。前記細胞接着性を有する高分子としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリビニル硫酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルアミン等の電荷を有する合成高分子、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、デキストラン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、キチン等の電荷を有する多糖類、コラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチン、ハイドロネクチン、ラミニン等の細胞接着性タンパク質、細胞接着性タンパク質や細胞接着性ペプチドを固定した合成高分子が挙げられる。
基材は、プラズマ処理基材であることが好ましい。具体的には、基材における樹脂膜が形成される面が、プラズマ処理されていることが好ましい。プラズマ処理により、パターン化樹脂膜と基材との接着性を向上させることができる。
プラズマ処理には、好ましくは酸素成分を含むソースガスを用い、より好ましくはO2、O3、N2OおよびN2O/N2から選ばれる少なくとも1種のソースガスを用いる。
プラズマ処理は、好ましくは5〜300秒間、より好ましくは30〜120秒間行う。ソースガスの流入速度は、例えば20〜300ml/分、好ましくは50〜150ml/分である。ソースガスの解離に用いる、電極への印加電力は、例えば1〜500W、好ましくは10〜200Wである。
[工程2]
工程2では、所望のマスクパターンを介して、例えばコンタクトアライナー、ステッパーまたはスキャナーを用いて、上記樹脂膜に対して露光を行う。露光光としては、紫外線、可視光線などが挙げられ、通常、波長200〜500nmの光(例:i線(365nm))を用いる。重合体(A)中の光ラジカル発生基や光ラジカル重合開始剤(B)の種類に応じて露光光の波長は適宜選択する。露光量は、感光性樹脂組成物中の各成分の種類、含有量および樹脂膜の厚さなどによって異なるが、露光光にi線を使用する場合、露光量は、通常は100〜10,000mJ/cm2である。
また、架橋反応をより進めるため、露光後に加熱処理を行うことが好ましい。以下、この処理を「PEB処理」ともいう。PEB条件は、感光性樹脂組成物中の各成分の種類、含有量および樹脂膜の厚さなどによって異なるが、通常は50〜120℃で、1〜60分間程度である。
[工程3]
工程3では、現像液により前記露光後の樹脂膜を現像して、非露光部を溶解・除去することにより、基材上に所望のパターンを有するパターン化樹脂膜(隔壁)を形成する。パターン化樹脂膜の膜厚は、通常は1〜100μm、好ましくは3〜70μm、より好ましくは5〜50μmである。
現像液としては、例えば、水、または水を含む混合溶媒が好ましい。混合溶媒としては、溶媒(D)の欄に記載した混合溶媒が挙げられる。現像方法としては、例えば、シャワー現像法、スプレー現像法、浸漬現像法、パドル現像法が挙げられる。例えば浸漬現像法での現像条件は、樹脂膜が形成された基材を、20〜40℃の現像液に1〜10分間程度浸漬する条件が挙げられる。
[工程4]
必要に応じて、加熱によりパターン化樹脂膜をさらに硬化させる。加熱条件は特に限定されないが、例えば100〜300℃の温度で30分〜10時間程度加熱する。硬化を充分に進行させたり、パターン形状の変形を防止したりするため、多段階で加熱することもできる。
〔細胞培養基板〕
上記製造方法で得られる細胞培養基板は、細胞培養基材と、本発明の感光性樹脂組成物由来のパターン化樹脂膜とを有する。パターン化樹脂膜は、例えば、前記組成物の樹脂膜を露光および現像して形成される。
以下、細胞培養基板の一態様について説明する。
細胞培養基板は、本発明の感光性樹脂組成物の樹脂膜に、細胞、およびこの細胞から形成された細胞組織体(特にスフェロイド)を保持するための、1つまたは複数の孔が形成された構造を有する。パターン化樹脂膜は、孔を画定する隔壁であり、細胞組織体のサイズを制御することができ、したがって良好な細胞組織体を作成できる。
孔は、樹脂膜を貫通して形成されている。孔の底面は、基材の表面により構成され、孔の側面は、樹脂膜により構成されている。基材の表面は、細胞保持の観点から、細胞接着性を有することが好ましい。また、基材の隔壁形成面は、隔壁との接着性を向上させるために、プラズマ処理されていることが好ましい。
隔壁は、培養後に細胞組織体を孔内から取り出す際の容易性を考慮して、細胞非接着性を有することが好ましい。本発明の感光性樹脂組成物は、細胞非接着性の重合体(A)を含有することから、前記性質を有する隔壁を形成することができる。
孔の底面の形状は特に限定されず、例えば、円形状、楕円形状、多角形状が挙げられる。孔の底面の面積は、細胞および細胞組織体の大きさ・種類等によって適宜決定される。
孔の深さは、パターン化樹脂膜の膜厚により決定され、通常は1〜100μm、好ましくは3〜70μm、より好ましくは5〜50μmである。この範囲であれば、隔壁で区画される領域に細胞および細胞組織体を良好に保持することができる。
細胞培養基板を用いて細胞を培養する際には、隔壁で区画される領域において、細胞を培養し、細胞組織体(特にスフェロイド)を形成する。例えば、細胞を含む培養液を細胞培養基板上に入れ、孔の底面に播種された細胞が、当該底面である基材の表面上で3次元的に結合した細胞組織体を形成する。細胞組織体は、培養液中に浮遊することなく孔の底面に接着した状態で、隔壁により区画された領域に安定して保持されたまま長期間にわたって培養される。
細胞としては、細胞同士の間で互いに結合を形成するものであれば、動物種や臓器・組織の種類は特に限定されない。例えば、ヒトやブタ、イヌ、ラット、マウス等の動物由来の肝臓、膵臓、腎臓、神経、皮膚等から採取される初代細胞、および株化細胞が挙げられ、具体的には、HepG2細胞、HeLa細胞、F9細胞等の癌細胞、および正常細胞が挙げられる。具体例を挙げれば、3T3細胞等の線維芽細胞;ES細胞、iPS細胞、間葉系幹細胞等の幹細胞;HEK293細胞等の腎細胞;NT2細胞等の神経細胞;UV♀2細胞、HMEC−1細胞等の内皮細胞;H9c2細胞等の心筋細胞;Caco−2細胞等の上皮細胞;またはこれらに遺伝子操作等を施した細胞が挙げられる。細胞は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。培養液としては、細胞の生存状態および機能を維持できるよう、必要な塩類および/または栄養成分を適切な濃度で含む水溶液を用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」の意味で用いる。
[1]物性の測定方法
[1−1]重合体のMw、MnおよびMw/Mnの測定方法
重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、下記条件下で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定した。
・カラム:東ソー社製カラムの「TSKgel αM」および
「TSKgel α2500」を直列に接続
・溶媒:臭化リチウムおよびリン酸を添加したN−メチル−2−ピロリドン
・温度:40℃
・検出方法:屈折率法
・標準物質:ポリスチレン
・GPC装置:東ソー社製、装置名「HLC-8020-GPC」
[1−2]重合体に含まれる構造単位の含有割合の測定方法
重合体の構造および構造単位の含有割合は、1H−NMRおよび13C−NMR分析により測定した。装置名「ECP−400P」(JEOL社製)を用い、重クロロホルム、重メタノールおよび重水から、重合体の溶解性の最も高い重溶媒を選択した。
[2]重合体(A)の合成
[合成例1]重合体(A1)の合成
以下の合成経路に従い、重合体(A1)を得た。
Figure 2018009086
グリシジルメタクリレート7.6gおよびスチレン2.4gと、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)0.2gと、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)45.0gとを混合しフラスコに入れた。これに窒素を吹き込み、75℃まで昇温し、6時間重合させ、その後チオグリセロール8gを加え60℃で4時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、30%過酸化水素水を滴下し、40℃で5時間反応させた。その後、水を除去し、得られた重合体に対して、メタクリル酸−2−イソシアナトエチル2gを40℃で4時間反応させることで重合体(A1)のポリマー溶液を得た。重合体(A1)は再沈殿にて精製した。上記合成経路中の重合体(A1)において、各数字は各構造単位の含有割合(モル%)である。
重合体(A1)と水を混合し、濃度を1質量%に調整したところ、重合体(A1)は水に溶解していた。また、得られた重合体(A1)の重量平均分子量は38,000、分子量分布は2.5であった。
[合成例2]重合体(A2)の合成
以下の合成経路に従い、重合体(A2)を得た。
Figure 2018009086
グリシジルメタクリレート6.6g、スチレン1.0gおよび1−(4−ベンゾイル)フェニル−4−アクリルピペリジン2.5gと、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.2gと、N,N’−ジメチルホルムアミド45.0gとを混合しフラスコに入れた。これに窒素を吹き込み、80℃まで昇温し、6時間重合させ、その後チオグリセロール8gを加え60℃で4時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、30%過酸化水素水を滴下し、40℃で5時間反応させた。その後、水を除去し、得られた重合体に対して、メタクリル酸2−イソシアナトエチル0.8gを40℃で4時間反応させることで重合体(A2)のポリマー溶液を得た。重合体(A2)は再沈殿にて精製した。上記合成経路中の重合体(A2)において、各数字は各構造単位の含有割合(モル%)である。
重合体(A2)と水を混合し、濃度を1質量%に調整したところ、重合体(A2)は水に溶解していた。また、得られた重合体(A2)の重量平均分子量は34,000、分子量分布は2.2であった。
[合成例3]重合体(A3)の合成
以下の合成経路に従い、重合体(A3)を得た。
Figure 2018009086
グリシジルメタクリレート7.6gおよびスチレン2.4gと、重合開始剤として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)0.2gと、N,N’−ジメチルホルムアミド45.0gとを混合しフラスコに入れた。これに窒素を吹き込み、75℃まで昇温し、6時間重合させ、その後チオグリセロール8gを加え60℃で4時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、30%過酸化水素水を滴下し、40℃で5時間反応させた。その後、水を除去し、得られた重合体に対して、メタクリル酸−2−イソシアナトエチル2gと上記合成経路中に示す光ラジカル発生基を有するイソシアネート化合物0.8gとを40℃で4時間反応させることで重合体(A3)のポリマー溶液を得た。重合体(A3)は再沈殿にて精製した。上記合成経路中の重合体(A3)において、各数字は各構造単位の含有割合(モル%)である。
重合体(A3)と水を混合し、濃度を1質量%に調整したところ、重合体(A3)は水に溶解していた。また、得られた重合体(A3)の重量平均分子量は31,000、分子量分布は2.0であった。
[合成例4]重合体(RA1)の合成
以下の合成経路に従い、重合体(RA1)を得た。
Figure 2018009086
グリシジルメタクリレート7.1gおよびスチレン2.8gと、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.2gと、N,N’−ジメチルホルムアミド45.0gとを混合しフラスコに入れた。これに窒素を吹き込み、75℃まで昇温し、6時間重合させ、その後チオグリセロール8gを加え60℃で4時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、30%過酸化水素水を滴下し、40℃で5時間反応させることで重合体(RA1)のポリマー溶液を得た。重合体(RA1)は再沈殿にて精製した。上記合成経路中の重合体(RA1)において、各数字は各構造単位の含有割合(モル%)である。
重合体(RA1)と水を混合し、濃度を1質量%に調整したところ、重合体(RA1)は水に溶解していた。また、得られた重合体(RA1)の重量平均分子量は32,000、分子量分布は2.5であった。
[3]感光性樹脂組成物の製造
[実施例1〜3および比較例1〜2]
表1に示す成分と溶媒とを混合することで、実施例1〜3および比較例1〜2の感光性樹脂組成物を製造した。溶媒は、感光性樹脂組成物の23℃における粘度(JIS Z8803準拠)が250〜700cPの範囲内になる量で用いた。
なお、表1に示す各種成分の詳細は以下の通りである。
・A1:合成例1で製造した重合体(A1)
・A2:合成例2で製造した重合体(A2)
・A3:合成例3で製造した重合体(A3)
・RA1:合成例4で製造した重合体(RA1)
・B1:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(商品名「LUCIRIN TPO」、BASF(株)製)
・BR1:1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
・C1:多官能アクリレート(商品名「KAYARAD DPHA」、日本化薬社製)
・CR1:ヘキサメトキシメチルメラミン
・D1:水/メタノール=50/50(質量%)の混合溶媒
・D2:水/メタノール=40/60(質量%)の混合溶媒
[比較例3]
比較例3では、感光性樹脂組成物として、市販の感光性樹脂組成物(商品名「Biosurfine−AWP」、東洋合成工業(株)製)を用いた。
Figure 2018009086
表1中「−」は、隔壁の剥離のため評価不能であったことを示す。
[4]評価
[4−1]細胞接着抑制能
細胞培養基材上に、感光性樹脂組成物をスピンコート法にて塗布し、ホットプレートを用いて70℃で10分間加熱し、膜厚10μmの塗膜を形成した。アライナー(Suss Microtec社製、装置名「MA−100」)を用い、高圧水銀灯からの紫外線を、パターンマスクを介して、波長365nmにおける露光量が500mJ/cm2となるように塗膜に照射した。露光後の塗膜を、ホットプレートを用いて70℃で10分間加熱し、水を用いて浸漬現像(23℃、1分間)し、直径400μmのホールパターンを複数有し、高さが10μmの隔壁を形成した。なお、細胞培養基材には、ORGANOGENIX(株)製の3次元培養プレート(製品名「NanoCulture Plate MSパターン 低接着、96ウェル」)の外枠を外し、その表面をプラズマ処理(O2ガス流入速度:100ml/分、出力:100W、時間:1分間)したものを用いた。
上記膜厚や、隔壁の形状については、接触式膜厚計と光学顕微鏡により確認した。
得られた隔壁を有する基材上で細胞培養を行った後、10000μm2の中で隔壁に付着している培養細胞の数を数えることで評価した。評価結果を表1に示す。評価基準は以下のとおりである。
「A」:10000μm2の中で隔壁に付着している培養細胞の数が15Cells未満
「B」:10000μm2の中で隔壁に付着している培養細胞の数が15Cells以上
なお、細胞培養は、以下のとおり行った。ヒト肝癌由来細胞HepG2の水分散液(濃度:10000cell/ml)を培養液として基材上に播種し、37℃のCO2インキュベーターで培養し、培養後の基材を純水で3回洗浄した。培養液は1回/1日で交換しながら5日間培養を継続させた。
[4−2]耐水性
上記細胞培養基材(3次元培養プレート;プラズマ処理済み)上に、感光性樹脂組成物をスピンコート法にて塗布し、ホットプレートを用いて70℃で10分間加熱し、膜厚10μmの塗膜を形成した。アライナー(Suss Microtec社製、装置名「MA−100」)を用い、高圧水銀灯からの紫外線を、パターンマスクを介して、波長365nmにおける露光量が500mJ/cm2となるように塗膜に照射した。露光後の塗膜を、ホットプレートを用いて70℃で10分間加熱し、水を用いて浸漬現像(23℃、1分間)し、直径400μmのホールパターンを複数有し、高さが10μmの隔壁を形成した。
得られた隔壁を有する基材上板を、純水中に23℃で1週間浸漬した。浸漬後の隔壁の剥離の有無により、耐水性を評価した。評価結果を表1に示す。評価基準は以下のとおりである。
「A」:隔壁の剥がれ無し。
「B」:隔壁の剥がれ有り。
[4−3]細胞毒性
上記細胞培養基材(3次元培養プレート;プラズマ処理済み)上に、感光性樹脂組成物をスピンコート法にて塗布し、ホットプレートを用いて70℃で10分間加熱し、膜厚5μmの塗膜を形成した。アライナー(Suss Microtec社製、装置名「MA−100」)を用い、高圧水銀灯からの紫外線を、パターンマスクを介して、波長365nmにおける露光量が500mJ/cm2となるように塗膜に照射した。照射後の基材を2mm×15mmの大きさに切断し、コロニー形成阻害試験法(薬食機発0301第20号第1部細胞毒性試験)に準じて評価した。評価結果を表1に示す。評価基準は以下のとおりである。
「A」:細胞毒性無し。
「B」:細胞毒性有り。

Claims (12)

  1. 式(a1)に示す構造単位(a1)を有する重合体。
    Figure 2018009086
    [式(a1)中、R1はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または−ORA基であり、RAは水素原子または炭素数1〜20の1価の有機基であり、R2は、直接結合、または−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−NRB−および炭素数6〜20のアリーレン基から選ばれる少なくとも1種の構造を有する基であり、RBは水素原子または炭素数1〜20の1価の有機基であり、R3は、炭素数1〜30の2価の有機基であり、R4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基である。]
  2. 2が、水酸基を有する基である請求項1の重合体。
  3. 前記重合体中に含まれる構造単位(a1)の含有割合が、5〜35モル%である請求項1または2の重合体。
  4. 式(a2)に示す構造単位(a2)をさらに有する請求項1〜3のいずれか1項の重合体。
    Figure 2018009086
    [式(a2)中、R5はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、R6は光ラジカル発生基を有する基である。)
  5. 光ラジカル発生基が式(g1)に示す構造を有する基である請求項4の重合体。
    Figure 2018009086
    [式(g1)中、R11は炭素数6〜30のアリーレン基であり、R12は炭素数6〜30のアリール基であり、ただし、前記アリーレン基およびアリール基は、置換基を有してもよい。]
  6. 前記重合体中に含まれる構造単位(a2)の含有割合が、0.1〜30モル%である請求項4または5の重合体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項の重合体、および
    光ラジカル重合開始剤
    を含有する感光性樹脂組成物。
  8. 水をさらに含有する請求項7の感光性樹脂組成物。
  9. 請求項4〜6のいずれか1項の重合体を、固形分中20〜100質量%含有する感光性樹脂組成物。
  10. 水をさらに含有する請求項9の感光性樹脂組成物。
  11. 細胞培養基材上に、請求項7〜10のいずれか1項の感光性樹脂組成物の樹脂膜を形成する工程1と、前記樹脂膜の少なくとも一部分を選択的に露光する工程2と、露光後の前記樹脂膜を現像液を用いて現像してパターン化樹脂膜を形成する工程3とを有する、細胞培養基板の製造方法。
  12. 細胞培養基材が、プラズマ処理基材である請求項11の細胞培養基板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020203770A1 (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 積水化学工業株式会社 細胞培養用足場材料、細胞培養用容器、細胞培養用担体、細胞培養用繊維及び細胞の培養方法
WO2022024997A1 (ja) * 2020-07-27 2022-02-03 株式会社カネカ 有機重合体、硬化性組成物、及び硬化物

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