JP2010065082A - スフェロイド含有ハイドロゲルおよびその製造方法、ならびにスフェロイド含有ハイドロゲル積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ハイドロゲルと、前記ハイドロゲル内に、互いに接触しないように配置され、直径70μm〜400μmの均一な大きさを有する2以上のスフェロイドと、を含むスフェロイド含有ハイドロゲルである。
【選択図】なし
Description
また、ゾル−ゲル転移を示すゲル化物質中にスフェロイドを形成する方法(例えば、特許文献1参照)が知られている。
本発明は、内包される2以上のスフェロイドが互いに接触しないように配置された機能維持性が良好なスフェロイド含有ハイドロゲルおよびその積層体、ならびに、均一な大きさを有する複数のスフェロイドを含有するハイドロゲルの効率的な製造方法を提供することを課題とする。
前記ハイドロゲル複合体形成工程は、親水性高分子を含む感光性組成物を、前記基板上の前記スフェロイドが形成された側に配置して前記スフェロイドと接触させる工程と、前記感光性組成物を硬化させる工程と、を含むことが好ましい。
また前記基材上の親水性領域は、末端に重合性置換基を有するポリアルキレングリコール基の3以上と前記ポリアルキレングリコール基と結合する3価以上の連結基とを有する分岐ポリアルキレングリコール誘導体に由来するポリマーを含むことが好ましい。
また前記親水性領域は、温度応答性層上に形成されていることが好ましい。
さらに前記疎水性領域は前記基材上にアレイ状に形成されていることもまた好ましい。
スフェロイドがハイドロゲル中に内包され、特定の均一な大きさであることによりスフェロイドの機能維持性が良好かつ均質にそろったスフェロイド含有ハイドロゲルを構成することができる。
また本発明においては、ハイドロゲルに含まれる2以上のスフェロイドの大きさが均一である。ここで、均一であるとは大きさが等しいことに加えて、各々のスフェロイドの大きさに有意差がなく、スフェロイドの生体機能性も均質であることも含むものである。
尚、本発明におけるスフェロイド含有ハイドロゲルの詳細については、スフェロイド含有ハイドロゲルの製造方法と併せて後述する。
かかる構成であることにより、均一な大きさを有する複数のスフェロイドを含有するハイドロゲルを効率的に製造することができる。
以下、本発明のスフェロイド含有ハイドロゲルの製造方法について詳細に説明する。
前記基板における基材としては、通常用いられる基材を特に制限なく用いることができる。基材の材質としては、例えば、ガラス、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、シリコーン、ダイヤモンド、金属、及びセラミックス等を挙げることができる。本発明においては、基材と架橋体との接着性の観点から、ガラス又は熱可塑性樹脂であることが好ましく、ガラスであることがより好ましい。
細胞接着性タンパク質で表面処理された基材を用いて、基板を構成することにより、例えば、基板上で細胞を培養する場合に、より効率的に細胞集合体を形成することができる。
ここで、細胞接着性タンパク質としては、例えば、コラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、テイネシン及びエラスチン等を挙げることができ、中でも、細胞集合体の形成性の観点から、コラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチン、ビトロネクチンが好ましく、コラーゲン、ゼラチンがより好ましい。
前記温度応答性層は、下限臨界溶解温度以上で疎水性を示し、下限臨界溶解温度以下で親水性を示す温度応答性ポリマーを含んで構成することができる。本発明においては、細胞培養温度下(通常、37℃)では疎水性を示し、ハイドロゲル複合体から基板を剥離する温度条件下では親水性を示す温度応答性ポリマーであることが好ましい。
前記下限臨界溶解温度は、特に限定されないが、スフェロイドの転写性の観点から、細胞培養温度よりも低い温度であることが好ましい。
前記温度応答性ポリマーの具体例としては、例えば、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド(T=32℃)、ポリ−N−n−プロピルアクリルアミド(T=21℃)、ポリ−N−n−プロピルメタクリルアミド(T=32℃)、ポリ−N−エトキシエチルアクリルアミド(T=約35℃)、ポリ−N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド(T=約28℃)、ポリ−N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド(T=約35℃)、及びポリ−N,N−ジエチルアクリルアミド(T=32℃)等が挙げられる。
また、培養する細胞の種類によって下限臨界溶解温度を調節する必要がある場合や、温度応答性層と基材との相互作用を高める必要が生じた場合や、温度応答性層の親水・疎水性のバランスを調整する必要がある場合などには、上記以外の他のモノマー類を更に加えて共重合してもよい。更に本発明に使用する上記ポリマーとその他のポリマーとのグラフトまたはブロック共重合体、あるいは本発明のポリマーと他のポリマーとの混合物を用いてもよい。また、ポリマー本来の性質が損なわれない範囲で架橋することも可能である
前記シランカップリング剤で表面処理する方法としては、例えば、DATES((N,N’-diethylamino)dithiocarbamoylpropyl(triethoxy)silane)を用いて、表面処理する方法等を挙げることができる。
また、モノマーの重合方法としては、通常のラジカル重合であっても、RAFT重合(Reversible Addition-Fragmentation Chain Transfer Polymerization)等であってもよい。
本発明における親水性高分子としては、スフェロイドの形成性の観点から、親水性基としてノニオン性基を含む高分子であることが好ましく、ポリアルキレングリコール基を含む高分子であることがより好ましい。
前記分岐ポリアルキレングリコール誘導体としては、例えば、日油(株)製のSUNBRIGHT(登録商標)PTEシリーズ、HGEOシリーズ等を挙げることができる。
かかる構成の分岐ポリアルキレングリコール誘導体は、親水性の架橋体を形成することができる。かかる親水性の架橋体は、細胞非接着性の経時安定性が良好であり、例えば、本発明における分岐ポリアルキレングリコール誘導体を用いて基材上に親水性領域と疎水性領域とが高精度に形成された基板は、該基板上で細胞を培養した場合に、疎水性領域にのみ特異的に細胞が接着するため、高精度に区画化された細胞集合体を形成することができる。また、前記親水性領域は細胞非接着性の経時安定性が良好であり、長期に渡って細胞が3次元的凝集状態を形成した細胞凝集塊(スフェロイド)を維持することができる。また形成されるスフェロイドは、疎水性領域に応じた大きさとなるため、均一な大きさを有するスフェロイド集合体を容易に形成することができる。
また前記ポリアルキレングリコール基の含有数は、経時安定性と良好なスフェロイド形成性の点から、4以上であることが好ましく、4以上64以下であることがより好ましく、4以上16以下であることが更に好ましい。
また前記重合性置換基としては重合性の官能基を有する置換基であってポリアルキレングリコールの末端に結合可能なものであれば特に制限はない。重合性置換基のポリアルキレングリコールの末端への結合態様としては、ポリアルキレングリコールに由来する酸素原子を介した結合態様であっても、ポリアルキレングリコールの末端水酸基が他の元素に置換された結合態様であってもよい。
本発明における重合性の官能基としては、通常用いられる重合性官能基を特に制限なく用いることができ、例えば、エチレン性不飽和結合を有する基、アジド基等を挙げることができる。本発明においては、親水性領域のパターン形成性の観点から、エチレン性不飽和結合を有する基及びアジド基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、アジド基であることがより好ましい。
具体的には例えば、カルボニル基、アリーレン基、アルキレンカルボニル基、カルボニルアリーレン基、カルバモイルアリーレン基等を挙げることができる。
更に連結基の価数としては少なくとも2価であればよく、3価以上の連結基であってポリアルキレングリコールと2以上の重合性官能基とを連結する連結基であってもよい。
また、ポリアルキレングリコール基の重合度としては、親水性の観点から5以上であればよく、5〜1000の重合度を有するポリアルキレングリコール基を好ましく用いることができ、より好ましくは10〜500である。
具体的には例えば、糖類に由来する連結基、多価アルコールに由来する連結基、多価カルボン酸に由来する連結基、配位結合を介して前記ポリアルキレングリコール基を含む基を結合可能な金属原子等を挙げることができる。
本発明においてL3は、単結合、又は、カルボニル基、カルボニルフェニレン基、カルバモイルフェニレン基から選ばれる2価の連結基であることがより好ましい。
また、iは1又は2を表す。
iが2の場合、2つのR5は同一でも異なっていてもよい。
qは1〜70の整数を表す。本発明においては、親水性と架橋反応性の観点から、pが1のとき、qは1〜64であることが好ましく、2〜10であることがより好ましい。またpが2のとき、qは1〜32であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
本発明における分岐ポリアルキレングリコール誘導体を用いて、前記基材上に親水性領域を形成する方法としては、例えば、分岐ポリアルキレングリコール誘導体を含む感光性組成物を用いて基材上に感光性組成物層を形成し、架橋反応により親水性領域を形成することができる。
前記感光性組成物においては、前記分岐ポリアルキレングリコール誘導体を1種単独で含有することもできるし、2種以上を含有することもできる。
また前記感光性組成物は、前記分岐ポリアルキレングリコール誘導体に加えて、光重合開始剤、溶剤、細胞培養液、界面活性剤、緩衝液、消泡剤、防腐剤等の各種の添加剤等を含んで構成することができる。
前記溶剤として具体的には、ベンゼン、トルエン、THF、DMF、クロロホルム等の有機溶媒、及び水を好ましく用いることができる。また、溶剤は1種単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
前記基板を作製する方法は、必要に応じて、前記硬化工程後に加熱工程、洗浄工程、乾燥工程、滅菌工程等を更に含むことができる。
基材上に形成された感光性組成物層の層厚としては、特に制限はなく基板の使用目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5nm〜1000μmとすることができる。本発明においては、スフェロイドの形成性と維持性の観点から、10nm〜1000nmとすることが好ましく、10nm〜500nmであることがより好ましい。
また露光波長及び露光量についても特に制限はなく、前記感光性組成物に応じて適宜選択することができる。露光波長としては、例えば200〜400nmとすることができ、280〜400nmであることが好ましい。露光量としては、例えば、0.1〜1000mJ/cm2とすることができ、1〜200mJ/cm2であることが好ましく、10〜20mJ/cm2であることがより好ましい。
親水性領域と疎水性領域とを前記大きさで構成することにより、機能性の高いスフェロイドをより効率的に作成することができ、更により長期に渡って維持することが可能となる。
本発明における親水性領域及び疎水性領域の形状及び大きさは、上述の硬化工程における露光処理を、マスクを介した露光処理とすることで、容易にかつ高い精度で制御することができる。
基材上に複数の親水性領域と疎水性領域とが形成された基板を用いることで、疎水性領域にのみ細胞が配置され、親水性領域に細胞が接着しないことにより、基板上の疎水性領域にのみスフェロイドが形成される。
また各種細胞の培養条件は、細胞に応じて適宜選択できるが、例えば、5%CO2、37℃とすることができる。
また、倍地中の細胞の播種濃度としては例えば、1×104〜1×108cells/mLとすることでき、1×104〜1×106cells/mLであることが好ましい。
予めフィーダー細胞層を形成することで、培養細胞のスフェロイド形成がより効率的に進行し、スフェロイドの安定性が向上する。前記フィーダー細胞としては、例えば、COS−1細胞、血管内皮細胞(例えば、大日本製薬製「ヒト臍帯静脈血管内皮細胞」)、繊維芽細胞等を挙げることができる。
本発明においては、スフェロイドのハイドロゲル中における保持性の観点から、スフェロイドを形成した後も、細胞培養を継続することが好ましい。したがって細胞培養は、細胞を播種してから少なくとも5日間行うことが好ましく、7〜30日間であることがより好ましい。
細胞培養を5日間以上行うことで、スフェロイドが生体内機能に近い状態になり、スフェロイドの基板からハイドロゲルへの転写性が向上し、スフェロイドのハイドロゲル中における保持性がより良好になる。
基板上のスフェロイドが形成された側に、ハイドロゲルとスフェロイドとが接触するようにハイドロゲルを配置することで、基板とスフェロイドとハイドロゲルとを含み、基板上のスフェロイドがハイドロゲル中に転写されたハイドロゲル複合体が形成される。
またハイドロゲルを基板上に配置する方法としては、ハイドロゲルと基板上のスフェロイドが接触できれば特に制限なく、通常用いられる方法を適用することができる。
また、親水性高分子の架橋方法は、親水性高分子の種類に応じて適宜選択することができる。
また前記重合性置換基としては重合性の官能基を有する置換基であってポリアルキレングリコールの末端に結合可能なものであれば特に制限はない。重合性置換基のポリアルキレングリコールの末端への結合態様としては、ポリアルキレングリコールに由来する酸素原子を介した結合態様であっても、ポリアルキレングリコールの末端水酸基が他の元素に置換された結合態様であってもよい。
本発明における重合性の官能基としては、通常用いられる重合性官能基を特に制限なく用いることができ、例えば、エチレン性不飽和結合を有する基、アジド基等を挙げることができる。本発明においては、親水性領域のパターン形成性の観点から、エチレン性不飽和結合を有する基及びアジド基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、エチレン性不飽和結合を有する基であることがより好ましい。
具体的には例えば、カルボニル基、アリーレン基、アルキレンカルボニル基、カルボニルアリーレン基、カルバモイルアリーレン基等を挙げることができる。
更に連結基の価数としては少なくとも2価であればよく、3価以上の連結基であってポリアルキレングリコールと2以上の重合性官能基とを連結する連結基であってもよい。
また、ポリアルキレングリコール基の重合度としては、親水性の観点から5以上であればよく、5〜1000の重合度を有するポリアルキレングリコール基を好ましく用いることができ、より好ましくは10〜500である。
具体的には例えば、糖類に由来する連結基、多価アルコールに由来する連結基、多価カルボン酸に由来する連結基、配位結合を介して前記ポリアルキレングリコール基を含む基を結合可能な金属原子等を挙げることができる。
本発明においてL3は、単結合、又は、カルボニル基、カルボニルフェニレン基、カルバモイルフェニレン基から選ばれる2価の連結基であることがより好ましい。
また、iは1又は2を表す。
iが2の場合、2つのR5は同一でも異なっていてもよい。
qは1〜70の整数を表す。本発明においては、親水性と架橋反応性の観点から、pが1のとき、qは2〜64であることが好ましく、2〜10であることがより好ましい。またpが2のとき、qは1〜32であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
その他の成分としては、例えば、光重合開始剤、細胞培養液、界面活性剤、緩衝液、消泡剤、防腐剤等の各種の添加剤等を挙げることができる。
基板上に付与された感光性組成物が形成する感光性組成物層の層厚としては、基板上のスフェロイドが感光性組成物によって被覆される層厚以上であれば特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。例えば、50〜3000μmとすることができる。中でも、50μm〜1000μmとすることが好ましく、50μm〜300μmであることがより好ましい。
露光に用いる光源としては、前記感光性組成物層を硬化可能な光源であって、生細胞に対する障害が少ない光源であることが好ましい。光源としては例えば、低圧又は高圧水銀ランプを好適に用いることができ、10〜2000Wの高圧水銀ランプであることが好ましい。
また露光波長及び露光量については、生細胞に対する障害が少ない条件であれば特に制限はなく、前記感光性組成物に応じて適宜選択することができる。露光波長としては、例えば200〜400nmとすることができ、320〜400nmであることが好ましい。露光量としては、例えば、1〜200mW/cm2とすることができ、5〜100mW/cm2であることが好ましく、10〜50mW/cm2であることがより好ましい。
また基板上の疎水性領域に温度応答性ポリマーを配置した場合、スフェロイド基板上でハイドロゲルを形成した後に、温度を下げることによって、スフェロイドは基板から効率的に剥離されてハイドロゲルへ転写することができる。これによりハイドロゲルをはがすことによってスフェロイドはより効率的にハイドロゲル内に回収される。
また、ハイドロゲル複合体を形成してから基板を剥離するまでの時間については特に制限はないが、スフェロイドの保持性の観点から、複合体形成直後から72時間以内であることが好ましく、24時間以内であることがより好ましい。
(参考例1)
〜分岐ポリアルキレングリコール誘導体(4PA20K)の合成〜
4−アジド−安息香酸12g(93.6mmol)を40mLの塩化チオニルに溶解し、1.5時間、加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮、少量のヘキサンを加えて再度減圧で濃縮した後、真空下で乾燥し、白色固体として目的物の4−アジド−安息香酸クロリド9.3g(51.2mmol、収率70%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.11-8.15 (2H, m), 7.11-7.16 (2H, m).
1H-NMRの積分比より算出した末端水酸基の重合性置換基への置換率は、85%であった。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.05 (8H, d, J = 8.6 Hz), 7.07 (8H, d, J = 8.6 Hz), 4.46 (8H, t, J = 4.9 Hz), 3.89-3.39 (2145H, m).
5−アミノ−サリチル酸15.3g(0.1mol)を蒸留水80mLと濃塩酸20mLの混合溶液に懸濁させ、室温で30分攪拌した。混合溶液を氷浴中で冷却した後、亜硝酸ナトリウム6.9g(0.1mol)の水溶液10mLを溶液の反応液の液温が5℃を超えないような速度で滴下し、そのまま1時間攪拌した。続いて、アジ化ナトリウム7.15 g(0.11mol)の水溶液30mLを反応液の液温が10℃を超えない速度で滴下した。氷浴を外して室温に戻しつつ、気泡が発生しなくなるまで激しく攪拌した。生成した沈殿を濾取し、さらに沈殿を蒸留水で洗浄した。得られた固体は、暗所で風乾した後、減圧下で完全に乾燥し、5−アジド−サリチル酸を白色固体として12.0g(67.0mmol、収率=67%)得た。
1H-NMR(DMSO-d6) δ: 11.14(1H, bs), 7.41 (1H, d, J = 3.0 Hz), 6.88 (1H, dd, J = 8.5, 3.0 Hz), 6.68 (1H, d, J = 8.4 Hz).
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 7.39 (1H, d, J = 2.9 Hz), 7.26 (1H, dd, J = 8.8, 2.9 Hz), 7.00 (1H, d, J = 8.8 Hz).
1H-NMRの積分比より算出した末端水酸基の重合性置換基への置換率は、85%であった。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.05 (8H, d, J = 8.6 Hz), 7.07 (8H, d, J = 8.6 Hz), 4.46 (8H, t, J = 4.9 Hz), 3.89-3.39 (2145H, m).
参考例2において、マルチアームPEGとしてPTE−20000の代わりにHGEO−20000(日油(株)製、8つのポリエチレングリコール基を有するヘキサグリセリン誘導体)を用いた以外は実施例4と同様にして、目的物とする分岐ポリアルキレングリコール誘導体(8PB20K)1.72g(収率85%)を得た。
1H-NMRの積分比より算出した末端水酸基の重合性置換基への置換率は、85%であった。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.05 (8H, d, J = 8.6 Hz), 7.07 (8H, d, J = 8.6 Hz), 4.46 (8H, t, J = 4.9 Hz), 3.89-3.39 (2145H, m).
5−アミノ−2−ニトロ安息香酸18.1g(0.1mol)を蒸留水80mLと濃塩酸20mLの混合溶液に懸濁させ、室温で30分攪拌した。混合溶液を氷浴中で冷却した後、亜硝酸ナトリウム6.9g(0.1mol)の水溶液10mLを溶液の反応液の液温が5℃を超えないような速度で滴下し、そのまま1時間攪拌した。続いて、アジ化ナトリウム7.15 g(0.11mol)の水溶液30mLを反応液の液温が10℃を超えない速度で滴下した。氷浴を外して室温に戻しつつ、気泡が発生しなくなるまで激しく攪拌した。生成した沈殿を濾取し、さらに沈殿を蒸留水で洗浄した。得られた固体は、暗所で風乾した後、減圧下で完全に乾燥し、5−アジド−2−ニトロ安息香酸を白色固体として19.2g(92.4mmol、収率=92%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 13.99(1H, bs), 8.09-8.06 (1H, m), 7.45-7.42 (2H, m).
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 8.10-8.07 (1H, m), 7.46-7.42 (2H, m).
1H-NMRの積分比より算出した末端水酸基の重合性置換基への置換率は、85%であった。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.05 (8H, d, J = 8.6 Hz), 7.07 (8H, d, J = 8.6 Hz), 4.46 (8H, t, J = 4.9 Hz), 3.89-3.39 (2145H, m).
参考例4において、マルチアームPEGとしてPTE−20000の代わりにHGEO−20000(日油(株)製、8つのポリエチレングリコール基を有するヘキサグリセリン誘導体)を用いた以外は参考例4と同様にして、目的物とする分岐ポリアルキレングリコール誘導体(8PC20K)1.71g(収率85%)を得た。
1H-NMRの積分比より算出した末端水酸基の重合性置換基への置換率は、85%であった。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.05 (8H, d, J = 8.6 Hz), 7.07 (8H, d, J = 8.6 Hz), 4.46 (8H, t, J = 4.9 Hz), 3.89-3.39 (2145H, m).
アクリロイルクロリド181mg(2.0mmol、マルチアームPEGの末端OH基に対して5モル当量)のベンゼン(脱水)溶液(5mL)を用意し、そのまま5分攪拌を続けた後、マルチアームPEG(日油(株)製SUNBRIGHT(登録商標) PTE−20000、4つのポリエチレングリコール基を有するペンタエリスリトール誘導体)2g(0.1mmol)のベンゼン(脱水)溶液(20mL)へゆっくり滴下した。反応溶液を氷浴からはずし、そのまま室温で18時間攪拌した。反応混合物を減圧で濃縮し、ベンゼンを加えて懸濁させたものをろ過して塩を除いた後、再び減圧で濃縮した。粗生成物を少量のベンゼンに溶解し、0℃に冷却したイソプロピルエーテルに滴下して得られた沈殿を濾取する工程を3回繰り返して、得られた白色固体を減圧下で乾燥し、目的物とする分岐ポリアルキレングリコール誘導体(4PD20K)1.74g(収率85%)を得た。
1H-NMRの積分比より算出した末端水酸基の重合性置換基への置換率は、85%であった。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.05 (8H, d, J = 8.6 Hz), 7.07 (8H, d, J = 8.6 Hz), 4.46 (8H, t, J = 4.9 Hz), 3.89-3.39 (2145H, m).
参考例6において、マルチアームPEGとしてPTE−20000の代わりに、HGEO−20000(日油(株)製、8つのポリエチレングリコール基を有するヘキサグリセリン誘導体)を用いた以外は、参考例6と同様にして、目的物とする分岐ポリアルキレングリコール誘導体(8PD20K)1.74g(収率85%)を得た。
1H-NMRの積分比より算出した末端水酸基の重合性置換基への置換率は、85%であった。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.05 (8H, d, J = 8.6 Hz), 7.07 (8H, d, J = 8.6 Hz), 4.46 (8H, t, J = 4.9 Hz), 3.89-3.39 (2145H, m).
参考例6において、マルチアームPEGとしてPTE−20000の代わりに、HGEO−40000(日油(株)製、8つのポリエチレングリコール基を有するヘキサグリセリン誘導体)を用いた以外は、参考例6と同様にして、目的物とする分岐ポリアルキレングリコール誘導体(8PD40K)を得た。
〜基板の作製〜
以下の作業は、すべてイエロールーム内で行った。
参考例1で作製した分岐ポリアルキレングリコール誘導体(マルチアームPEG−アジド:4PA20K)をトルエンに溶解し、感光性組成物Aとして4PA20Kのトルエン溶液(1%)を調製した。基材としてポリ−L−リジンコートスライドガラス(松浪硝子工業(株)製。白切放NO.1スライドガラス丸型21mmΦ。以下「PLLコートガラス」と略す)を使用し、PLLコートガラス上に、感光性組成物Aを110μL滴下後、スピンコート法(500rpm×5秒+3000rpm×20秒+6000rpm×1秒)により成膜し、常温で放置して乾燥させた。これに、石英ガラス製フォトマスク(直径100μmの円形パターンが多数配置されたもの)を密着させ、高圧水銀灯(200W)を用いて40秒間露光を行った後、脱イオン水で洗浄(現像工程:流水15秒間+浸漬20分間)した。常温で乾燥し、表面に微細加工された親水性の架橋体を有する基板を得た。当該基板の表面を、位相差光学顕微鏡(倍率×100)により観察したところ、良好なマイクロパターンが高精度に形成されていることが確認できた。
参考例9において、基材としてPLLコートガラスに代えて、アミノプロピルシランコートガラス(松浪硝子工業(株)製。APSコートNO.1カバーガラス丸型21mmΦ。以下「APSコートガラス」と略す)を用いた以外は、参考例9と同様にして基板を作製し、表面に微細加工された親水性の架橋体を有する基板を得た。当該基板の表面を、位相差光学顕微鏡により観察したところ、良好なマイクロパターンが高精度に形成されていることが確認できた。
参考例9において、基材としてPLLコートガラスに代えて、MASコートガラス(松浪硝子工業(株)製)を用いた以外は、参考例9と同様にして基板を作製し、表面に微細加工された親水性の架橋体を有する基板を得た。当該基板の表面を、位相差光学顕微鏡により観察したところ、良好なマイクロパターンが高精度に形成されていることが確認できた。
参考例9において、基材としてPLLコートガラスに代えて、PLLコート上にコラーゲンをさらにコーティングした「コラーゲンコートガラス」を用いた以外は、参考例9と同様にして基板を作製し、表面に微細加工された親水性の架橋体を有する基板を得た。当該基板の表面を、位相差光学顕微鏡(倍率×100)により観察したところ、良好なマイクロパターンが高精度に形成されていることが確認できた。
尚、コラーゲンコートガラスは、PLLコートガラス上にブタI型コラーゲン(日本ハム(株)製)の0.1%水溶液を400μL滴下し、スピンコート法(350rpm×5秒+500rpm×5秒+1000rpm×10秒+1500rpm×10秒+6000rpm×1秒)にて成膜した後、室温で乾燥する工程を2回繰り返して作製した。
参考例9において、基材としてPLLコートガラスに代えて、PLLコート上にゼラチンをさらにコーティングした「ゼラチンコートガラス」を用いた以外は、参考例9と同様にして基板を作製し、表面に微細加工された親水性の架橋体を有する基板を得た。当該基板の表面を、位相差光学顕微鏡により観察したところ、良好なマイクロパターンが高精度に形成されていることが確認できた。
尚、ゼラチンコートガラスは、PLLコートガラスを用い、ゼラチン(新田ゼラチン社製)の0.1%溶液を400μL滴下し、スピンコート法(350rpm×5秒+500rpm×5秒+1000rpm×10秒+1500rpm×10秒+6000rpm×1秒)にて成膜した後、室温で乾燥して作製した。
参考例13において、コラーゲンコートガラスの作製方法を、PLLコートガラスをブタI型コラーゲン(日本ハム(株)製)の0.02%水溶液に3時間浸漬後、脱イオン水の流水で洗浄、乾燥させる方法に変更した以外は、参考例13と同様の方法で基板を作製した。当該基板の表面を、位相差光学顕微鏡により観察したところ、良好なマイクロパターンが高精度に形成されていることが確認できた。
参考例9において、感光性組成物Aに代えて、マルチアームPEG−アジド(4PA20K)の濃度を0.5%とした感光性組成物Bを用いた以外は、参考例9と同様の方法で基板を作製した。当該基板の表面を、位相差光学顕微鏡により観察したところ、良好なマイクロパターンが高精度に形成されていることが確認できた。
参考例9において、分岐ポリアルキレングリコール誘導体として4PA20Kに代えて、参考例2〜5で合成した各種の分岐ポリアルキレングリコール誘導体をそれぞれ用いた以外は参考例9と同様の方法で基板を作製した。当該基板の表面を、位相差光学顕微鏡により観察したところ、良好なマイクロパターンが高精度に形成されていることが確認できた。
参考例9において、分岐ポリアルキレングリコール誘導体(4PA20K)に代えて、参考例4で合成した分岐ポリアルキレングリコール誘導体(4PC20K)を用い、露光条件として高圧水銀灯(200W)で3秒間とした以外は、参考例9と同様の方法で基板を作製した。当該基板の表面を、位相差光学顕微鏡(倍率×100)により観察したところ、良好なマイクロパターンが高精度に形成されていることが確認できた。
参考例9において、分岐ポリアルキレングリコール誘導体(4PA20K)に代えて、参考例4で合成した分岐ポリアルキレングリコール誘導体(4PC20K)を用い、露光条件をフォトマスク上にフィルター(シグマ光機(株)製、UTVAF36U)を配置して、高圧水銀灯(200W)で10秒間の露光とした以外は、参考例9と同様の方法で基板を作製した。当該基板の表面を、位相差光学顕微鏡(倍率×100)により観察したところ、良好なマイクロパターンが高精度に形成されていることが確認できた。
参考例10〜14において、分岐ポリアルキレングリコール誘導体(4PA20K)に代えて、参考例2で合成した分岐ポリアルキレングリコール誘導体(4PB20K)又は参考例4で合成した分岐ポリアルキレングリコール誘導体(4PC20K)を用い、露光条件をフォトマスク上にフィルター(シグマ光機(株)製、UTVAF36U)を配置して、高圧水銀灯(200W)で10秒間の露光とした以外は、参考例10〜14とそれぞれ同様の方法で基板を作製した。当該基板の表面を、位相差光学顕微鏡により観察したところ、良好なマイクロパターンが高精度に形成されていることが確認できた。
参考例6及び参考例7で作製した分岐ポリアルキレングリコール誘導体(4PD20K、8PD20K)の濃度が1%であって、光重合開始剤としてIRGACURE2959の濃度が0.05%となるようにトルエンに溶解して、感光性組成物Dを調製した。基材としてポリ−L−リジンコートスライドガラス(松浪硝子工業(株)製。白切放NO.1スライドガラス丸型21mmΦ。以下「PLLコートガラス」と略す)を使用し、PLLコートガラス上に、感光性組成物Dを110μL滴下後、スピンコート法(500rpm×5秒+3000rpm×20秒+6000rpm×1秒)により成膜し、常温で放置して乾燥させた。これに、石英ガラス製フォトマスク(直径100μmの円形パターンが多数配置されたもの)を密着させ、高圧水銀灯(200W)を用いて40秒間露光を行った後、脱イオン水で洗浄(現像工程:流水15秒間+浸漬20分間)した。常温で乾燥し、表面に微細加工された親水性の架橋体を有する基板を得た。当該基板の表面を、位相差光学顕微鏡(倍率×100)により観察したところ、いずれの分岐ポリアルキレングリコール誘導体を用いた場合にも、良好なマイクロパターンが高精度に形成されていることが確認できた。
参考例9で作製した後、滅菌作業を行った基板を、FALCON社製12ウェルプレート底面にセットした。培地としてMEMα(血清としてFBS(ウシ胎児血清)を10容量%含む。以下、使用した培地は全て同様に血清を含んでいる)を添加し、そこに骨芽細胞株MC3T3−E1を細胞濃度1×106cells/mLにて播種した。培養条件5%CO2、37℃で培養したところ、24時間以内に基材上に形成した疎水性領域に対応するパターン状に並び、均一な大きさを有する骨芽細胞スフェロイドのアレイが形成された。形成された骨芽細胞スフェロイドのアレイを位相差光学顕微鏡(倍率×40)により観察した様子を図1に示す。
また、同様にして他の参考例で作製した基板を用いた場合においても、同様に基材上に形成した疎水性領域に対応するパターン状に並び、均一な大きさ(約100μm)を有する骨芽細胞スフェロイドのアレイが形成された。
ハイドロゲル複合体を形成して1時間後に、形成したハイドロゲル複合体から、ハイドロゲルをピンセットで剥離したところ、スフェロイドが基板からハイドロゲルに転写されたスフェロイド含有ハイドロゲルが得られた。
得られたスフェロイド含有ハイドロゲルは、12ウェルプレートの底面にセットして培地としてMEMαを添加し、培養条件5%CO2、37℃で培養を14日間継続した。スフェロイド含有ハイドロゲルの培養8日後の状態を図2に示す。
MTT(3-(4,5-Dimethyl-2-thiazolyl)-2,5-diphenyltetrazolium Bromide、和光純薬製)の0.5mg/ml溶液(Memα:GIBCO社製)を調製した。
12ウェルプレートの底面にセットしたスフェロイド含有ハイドロゲルに上記MTT溶液2mlを加えて、3時間インキュベートした。
実施例1において、分岐ポリアルキレングリコール誘導体として、8PD20Kの代わりに4PD20Kを含む培地溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてスフェロイド含有ハイドロゲルを作製した。
同様にMTT染色にて、スフェロイドが均一な大きさ(約100μm)を維持したまま生存していることが確認された。
実施例1において、分岐ポリアルキレングリコール誘導体として、8PD20Kの代わりに8PD40Kを含む培地溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてスフェロイド含有ハイドロゲルを作製した。
同様にMTT染色にて、スフェロイドが均一な大きさ(約100μm)を維持したまま生存していることが確認された。
〜スフェロイド含有ハイドロゲル積層体の作製〜
得られたスフェロイド含有ハイドロゲルは、12ウェルプレートの底面にセットして培地としてMEMαを添加し、培養条件5%CO2、37℃で培養を1日間継続した。その後、基板を剥離した側同士が接触するように2層を積層してスフェロイド含有ハイドロゲル積層体を作製した。得られたハイドロゲル積層体について、さらに10日培養を継続した。
また、基板を剥離した側とその反対側とが接触するように5層を積層してハイドロゲル積層体を作製した。得られたスフェロイド含有ハイドロゲル積層体について、さらに10日培養を継続した。
いずれのスフェロイド含有ハイドロゲル積層体においても、スフェロイドが均一な大きさ(約100μm)を維持したまま生存していることが確認された。
参考例9で作製した後、滅菌作業を行った基板を、FALCON社製12ウェルプレート底面にセットした。培地としてDMEMを添加し、そこにウシ膝関節軟骨細胞を細胞濃度1×106cells/mLにて播種した。培養条件5%CO2、37℃で培養したところ、24時間以内に基材上に形成した疎水性領域に対応するパターン状に並び、均一な大きさ(約100μm)を有するウシ膝関節軟骨細胞スフェロイドのアレイが形成された。
また、同様にして他の参考例で作製した基板を用いた場合においても、同様に基材上に形成した疎水性領域に対応するパターン状に並び、均一な大きさ(約100μm)を有するウシ膝関節軟骨細胞スフェロイドのアレイが形成された。
ハイドロゲル複合体を形成して24時間後に、ハイドロゲル複合体からハイドロゲルをピンセットで剥離したところ、スフェロイドが基板からハイドロゲルに転写されたスフェロイド含有ハイドロゲルが得られた。
得られたスフェロイド含有ハイドロゲルは、12ウェルプレートの底面にセットして培地としてDMEMを添加し、培養条件5%CO2、37℃で培養を14日間継続した。
参考例9で作製した後、滅菌作業を行った基板を、FALCON社製12ウェルプレート底面にセットした。培地としてWilliams‘E培地を添加し、そこに肝細胞を細胞濃度1×106cells/mLにて播種した。培養条件5%CO2、37℃で培養したところ、24時間以内に基材上に形成した疎水性領域に対応するパターン状に並び、均一な大きさ(約100μm)を有する肝細胞スフェロイドのアレイが形成された。
また、同様にして他の参考例で作製した基板を用いた場合においても、同様に基材上に形成した疎水性領域に対応するパターン状に並び、均一な大きさ(約100μm)を有する肝細胞スフェロイドのアレイが形成された。
ハイドロゲル複合体を形成して24時間後に、ハイドロゲル複合体からハイドロゲルをピンセットで剥離したところ、スフェロイドが基板からハイドロゲルに転写されたスフェロイド含有ハイドロゲルが得られた。
得られたスフェロイド含有ハイドロゲルは、12ウェルプレートの底面にセットして培地としてWilliams‘Eを添加し、培養条件5%CO2、37℃で培養を14日間継続した。
白切スライドガラス(松浪硝子工業(株)製、丸型21mmφ)をオゾン洗浄(15分×2回)した。これをカップリング剤DATES((N,N’-diethylamino)dithiocarbamoylpropyl(triethoxy)silane)1ml、クロロホルム8ml、メタノール1ml、濃塩酸85μlの混合溶液に30分浸した。その後、70℃で30分乾燥させ、クロロホルム、メタノール、ミリQ水で順次で洗浄後、デシケーターで減圧乾燥した。
これを無垢テフロン(登録商標)容器にいれ、1時間アルゴンガスでバブリングした4mol/lのIPAAm(イソプロピルアクリルアミド)のTHF溶液で満たした。空気が入らないように石英ガラスを被せて25mW/cm2で10分間、UV照射した。その後、メタノール、ミリQ水で順次洗浄し、乾燥させた。
次いで0.15%のゼラチン水溶液に2時間浸漬後、乾燥してゼラチンコートを行った。
以上のようにして温度応答性層を有するガラス基材を得た。
このようにして作製した基板を用いた以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル複合体を形成した。
ハイドロゲル複合体を形成して24時間後に、25℃の温度条件下で、ハイドロゲル複合体からハイドロゲルをピンセットで剥離したところ、スフェロイドが基板からハイドロゲルに転写されたスフェロイド含有ハイドロゲルが得られた。
得られたスフェロイド含有ハイドロゲルは、12ウェルプレートの底面にセットして培地としてMEMαを添加し、培養条件5%CO2、37℃で培養を14日間継続した。
また、上記においてゼラチンコートの代わりに、フィブロネクチンまたはコラーゲンをコートした基材を用いた場合においても同様の結果が得られた。
参考例9で作製した後、滅菌作業を行った基板を、FALCON社製12ウェルプレート底面にセットし、培地としてDMEM(血清としてFBSを10容量%含む)を用い、ウシ大動脈血管内皮細胞(BAEC)を細胞濃度5×106cells/mL(2mL/well)にて播種した。培養条件5%CO2、37℃で培養したところ、24時間以内に基材上に形成した疎水性領域に対応するパターン状に並んだ。
このBAECがパターン状に培養された基板に、培地としてWilliams‘E(血清としてFBSを10容量%含む)を用い、ラット初代肝細胞を細胞濃度5×106cells/mL(2mL/well)にて播種した。培養条件5%CO2、37℃で培養したところ、24時間以内にパターン化されたBAEC上に均一な大きさを有する肝細胞の細胞塊(スフェロイド)が得られた。
このスフェロイドが形成された基板を用いて、実施例1と同様にしてスフェロイド含有ハイドロゲルを作製した。
得られたスフェロイド含有ハイドロゲルは、12ウェルプレートの底面にセットして培地としてWilliams‘Eを添加し、培養条件5%CO2、37℃で培養を14日間継続した。
パターン化基板を滅菌処理し、FALCON社製12ウェルプレート底面にセットし、培地としてDMEM(血清としてFBSを10容量%含む)を用い、マウス繊維芽細胞(NIH−3T3)を細胞濃度5×106cells/mL(2mL/well)にて播種した。培養条件5%CO2、37℃で培養したところ、24時間以内に基材上に形成した疎水性領域に対応するパターン状に並んだ。このNIH−3T3がパターン状に培養された基板に、培地としてWilliams‘E(血清としてFBSを10容量%含む)を用い、ラット初代肝細胞を細胞濃度5×106cells/mL(2mL/well)にて播種した。培養条件5%CO2、37℃で培養したところ、24時間以内にパターン化されたNIH−3T3上に均一な大きさを有する肝細胞の細胞塊(スフェロイド)が得られた。
このスフェロイドが形成された基板を用いて、実施例1と同様にしてスフェロイド含有ハイドロゲルを作製した。
得られたスフェロイド含有ハイドロゲルは、12ウェルプレートの底面にセットして培地としてWilliams‘Eを添加し、培養条件5%CO2、37℃で培養を14日間継続した。
参考例9における基板の作製において、直径100μmの円形パターンの石英ガラスフォトマスクの代わりに、直径200μmの円形パターンの石英ガラスフォトマスクを用いて基板を作製した。これを用いて実施例1と同様にして、スフェロイド含有ハイドロゲルを作製した。
得られたスフェロイド含有ハイドロゲルについて、上記のようにしてMTT染色による生死判定を行ったところ、スフェロイド含有ハイドロゲル中のスフェロイドが均一な大きさ(約200μm)を維持したまま生存していることが確認された。
参考例9における基板の作製において、直径100μmの円形パターンの石英ガラスフォトマスクの代わりに、直径70μmの円形パターンの石英ガラスフォトマスクを用いて基板を作製した。これを用いて実施例1と同様にして、スフェロイド含有ハイドロゲルを作製した。
得られたスフェロイド含有ハイドロゲルについて、上記のようにしてMTT染色による生死判定を行ったところ、スフェロイド含有ハイドロゲル中のスフェロイドが均一な大きさ(約70μm)を維持したまま生存していることが確認された。
参考例9における基板の作製において、直径100μmの円形パターンの石英ガラスフォトマスクの代わりに、直径500μmの円形パターンの石英ガラスフォトマスクを用いて基板を作製した。これを用いて実施例1と同様にして、スフェロイド含有ハイドロゲルを作製した。
得られたスフェロイド含有ハイドロゲルについて、上記のようにしてMTT染色による生死判定を行ったところ、スフェロイド含有ハイドロゲル中のスフェロイド(大きさ約500μm)は生存性が極めて低いことが確認された。
参考例9における基板の作製において、直径100μmの円形パターンの石英ガラスフォトマスクの代わりに、直径50μmの円形パターンの石英ガラスフォトマスクを用いて基板を作製した。これを用いて実施例1と同様にして、スフェロイド含有ハイドロゲルを作製した。
得られたスフェロイド含有ハイドロゲルについて、上記のようにしてMTT染色による生死判定を行ったところ、スフェロイド含有ハイドロゲル中のスフェロイド(大きさ約50μm)は細胞凝集性が悪く、生存性も極めて低いことが確認された。
また、ハイドロゲル中のスフェロイドの大きさを特定の範囲とすることでスフェロイドの機能維持性が良好になること分かる。
Claims (14)
- ハイドロゲルと、
前記ハイドロゲル内に互いに接触しないように配置された、直径70μm〜400μmの均一な大きさを有する2以上のスフェロイドと、を含むスフェロイド含有ハイドロゲル。 - 前記ハイドロゲルは、末端に重合性置換基を有するポリアルキレングリコール基の4以上と前記ポリアルキレングリコール基と結合する4価以上の連結基とを有し、重量平均分子量が10000以上のハイドロゲル形成用マクロモノマーに由来する高分子化合物を含む、請求項1に記載のスフェロイド含有ハイドロゲル。
- 前記ハイドロゲル形成用マクロモノマーは、重合度が50〜5000のポリアルキレングリコール基を4以上有する請求項2に記載のスフェロイド含有ハイドロゲル。
- 前記重合性置換基はエチレン性不飽和結合を有する請求項2または請求項3に記載のスフェロイド含有ハイドロゲル。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のスフェロイド含有ハイドロゲルの2以上が積層されたスフェロイド含有ハイドロゲル積層体。
- 基材ならびに前記基材上に形成された複数の親水性領域および疎水性領域を含む基板上に、細胞を播種する工程と、
播種された細胞を培養して、培養された細胞に由来するスフェロイドを前記基板上の疎水性領域に形成するスフェロイド形成工程と、
前記基板上の前記スフェロイドが形成された側にハイドロゲルを配置してハイドロゲル複合体を形成するハイドロゲル複合体形成工程と、
前記ハイドロゲル複合体から前記基板を剥離して、スフェロイド含有ハイドロゲルを得る工程と、
を含むスフェロイド含有ハイドロゲルの製造方法。 - 前記ハイドロゲル複合体形成工程は、
親水性高分子を含む感光性組成物を、前記基板上の前記スフェロイドが形成された側に配置して前記スフェロイドと接触させる工程と、
前記感光性組成物を硬化させる工程と、
を含む請求項6に記載のスフェロイド含有ハイドロゲルの製造方法。 - 前記感光性組成物は、末端に重合性置換基を有するポリアルキレングリコール基の4以上と前記ポリアルキレングリコール基と結合する4価以上の連結基とを有し、重量平均分子量が10000以上のハイドロゲル形成用マクロモノマーを含有する請求項7に記載のスフェロイド含有ハイドロゲルの製造方法。
- 前記ハイドロゲル形成用マクロモノマーは、重合度が50〜5000のポリアルキレングリコール基を4以上有する請求項8に記載のスフェロイド含有ハイドロゲルの製造方法。
- 前記重合性置換基はエチレン性不飽和結合を有する請求項8または請求項9に記載のスフェロイド含有ハイドロゲルの製造方法。
- 前記スフェロイド形成工程における細胞の培養を、少なくとも5日間行う請求項6〜請求項10のいずか1項に記載のスフェロイド含有ハイドロゲルの製造方法。
- 前記基材上の親水性領域は、末端に重合性置換基を有するポリアルキレングリコール基の3以上と前記ポリアルキレングリコール基と結合する3価以上の連結基とを有する分岐ポリアルキレングリコール誘導体に由来するポリマーを含む請求項6〜請求項11のいずれか1項に記載のスフェロイド含有ハイドロゲルの製造方法。
- 前記親水性領域は、温度応答性層上に形成されている請求項6〜請求項12のいずれか1項に記載のスフェロイド含有ハイドロゲルの製造方法。
- 前記疎水性領域は前記基材上にアレイ状に形成されている請求項6〜請求項13のいずれか1項に記載のスフェロイド含有ハイドロゲルの製造方法。
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