JP6718610B2 - 細胞培養用基材、その製造方法、および細胞培養用基材における物性の制御方法 - Google Patents
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Description
図1には、本発明の一実施形態にかかる細胞培養用基材1の構造を模式的に示す。本実施形態にかかる細胞培養用基材1は、特定の高分子材料から構成されている。この特定の高分子材料は、第1のモノマー由来成分11と、第2のモノマー由来成分12とを含む共重合体である。第1のモノマー由来成分11は、光照射によって多量化する官能基を有する。また、第2のモノマー由来成分12は、温度の変化によって物性(例えば、弾性率、水に対する溶解度(透過率)など)が変化するという性質(温度応答性)を有する。
上記の式(2)において、数値「x」は、1以上100以下の値を取り得る。xの値は、第1のモノマー由来成分との混合比、および、所望とするLCSTの値などに応じて適宜変更することができる。xの値は、1以上20以下とすることが好ましい。xの値を20以下とすることで、第1のモノマー由来成分の混合比を適量に調整することができる。また、LCSTを体温付近に調整しやすくなる。
なお、上記の式(3)において、mは2以上5000以下の整数であり、nは2以上5000以下の整数であり、xは1以上100以下の数値であることが好ましい。
続いて、細胞培養用基材1の製造方法について説明する。本実施形態にかかる製造方法は、光照射によって多量化する官能基を有する第1のモノマーと、温度の変化によって物性(例えば、弾性率、水に対する溶解度など)が変化する第2のモノマーとを共重合させる工程を有する。以下では、先ず、細胞培養用基材1の材料となる第1のモノマーおよび第2のモノマーについて説明する。
第1のモノマーは、光照射によって多量化する官能基を有する。第1のモノマーとしては、エチレンモノマー、ビニルモノマー、プロピレンモノマー、ブテンモノマー、塩化ビニルモノマー、テレフタル酸モノマー、1,3−プロパンジオール、ε−カプロラクタムモノマー、ウンデカンラクタムモノマー、ラウリルラクタムモノマー、ビスフェノールモノマー、アクリル酸モノマー、メタクリル酸モノマー、ジメチルシロキサンモノマー、エチレングリコールモノマー、スチレンモノマー、ブタジエンモノマー、イソプレンモノマー、イソブチレンモノマー等が挙げられる。
第2のモノマーは、温度の変化によって水との親和状態(すなわち、親水性/疎水性に関する化学的性質)が変化するという性質(温度応答性ともいう)を有する。
続いて、第1のモノマーと第2のモノマーを共重合させる方法について説明する。重合方法としては、例えば、ラジカル重合、イオン重合、重縮合、開環重合等が挙げられる。また、その重合に用いられる溶媒は、第1のモノマーおよび第2のモノマーが溶解するものであればよい。このような溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、酢酸エチル、塩化メチル、クロロホルム、エーテル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、n−ヘキサン、N,N’−ジメチルホルムアミド等の公知の溶媒が挙げられる。
続いて、第1のモノマーおよび第2のモノマーを製造する際に行われる官能基導入方法について説明する。官能基導入法では、ポリマーの主鎖を構成するモノマーの主構造に対して、種々の性質を有する官能基が導入される。この官能基導入法では、モノマーの主構造の官能基(例えば、OH基など)に、光照射などによって多量化する官能基、温度応答性を有する官能基、温度応答性および生体適合性を有する官能基などの種々の活性機能を有する官能基を含む化合物を反応させる。これにより、モノマーの主構造の官能基が、活性機能を有する官能基に置換される。ここでの反応条件は、特に限定されず、その種類および構造に応じて、一般の有機化学的手法に基づいて決定することができる。
続いて、本実施形態にかかる細胞培養用基材1において、その物性を制御する方法について説明する。この物性の制御方法としては、細胞培養用基材に対して光を照射して、前記細胞培養用基材の弾性率を変化させるという方法が挙げられる。
以上のように、本実施形態にかかる細胞培養用基材は、可逆的な光二量化反応を示す官能基(例えば、クマリン)を有する第1のモノマー由来成分(例えば、MAC)と、生体適合性および温度応答性を示す第2のモノマー由来成分(例えば、PEGMA)とを共重合させて得られる。この細胞培養用基材は、光照射により弾性率を変化させることができる。
以下、実施例を示して本発明の実施の形態をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例では、7−メタクリロイルオキシクマリン(MAC)と、メトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレート(PEGMA)とを用いて、光照射によりゾル−ゲル相転移する光応答性グラフト共重合体(P(MAC−co−PEGMA))を合成した。
実施例1で合成した共重合体P(MAC−co−PEGMA)を有する細胞培養用基材について、光照射によるゲル化挙動を観察した。さらに、光照射時間とゲル弾性率との関係についても調べた。
治具 :直径8mmパラレルプレート
測定温度:25℃
歪み :0.1%
周波数 :15.9〜0.0159Hz
実施例3では、実施例1で合成した共重合体P(MAC−co−PEGMA)で形成された細胞培養用基材を用いて細胞培養を行った。本実施例では、弾性率の異なる細胞培養用基材(P(MAC−co−PEGMA)ハイドロゲル)の表面上に、マウス線維芽細胞(L929)を播種し、各細胞培養用基材上における細胞挙動を調べた。
実施例4では、細胞培養用基材用共重合体(P(MAC−co−PEGMA))をリン酸緩衝生理食塩水(PBS(−))に溶解(濃度5.0mg/ml)し、各温度における透過率を測定した。透過率の評価には、濁度測定を用いた。
以上の結果より、光二量化反応を示すP(MAC−co−PEGMA)を用いることにより、光照射時間により弾性率を制御できるハイドロゲル(細胞培養用基材)を得ることができることがわかった。また、P(MAC−co−PEGMA)は体温付近でLCSTを示すことも明らかになった。
11 :MAC由来成分(第1のモノマー由来成分)
12 :PEGMA由来成分(第2のモノマー由来成分)
Claims (8)
- 光照射によって多量化する官能基を有する第1のモノマー由来成分と、
温度の変化によって物性が変化する第2のモノマー由来成分と
を含む共重合体を有し、
前記第2のモノマー由来成分は、以下の式(2)
光照射および温度変化の少なくとも何れかによって弾性率が変化する細胞培養用基材。 - 前記第2のモノマー由来成分は、生体適合性を有する、請求項1に記載の細胞培養用基材。
- 前記第1のモノマー由来成分は、以下の式(1)
- 30℃以上40℃以下の範囲内に下限臨界共溶温度(LCST)を有する、請求項1から3の何れか1項に記載の細胞培養用基材。
- 前記共重合体はグラフト共重合体である、請求項1から4の何れか1項に記載の細胞培養用基材。
- 光照射によって多量化する官能基を有する第1のモノマーと、温度応答性を有する第2のモノマーとを共重合させて共重合体を得る工程と、
前記共重合体を原料として細胞培養用基材を形成する工程と
を備え、
前記第2のモノマーは、メトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレートである、細胞培養用基材の製造方法。 - 前記第1のモノマーは、7−メタクリロイルオキシクマリンである、請求項6に記載の細胞培養用基材の製造方法。
- 請求項1から5の何れか1項に記載の細胞培養用基材に対して光を照射すること、および、請求項1から5の何れか1項に記載の細胞培養用基材の温度を変化させること
の少なくとも何れかによって前記細胞培養用基材の弾性率を変化させる、細胞培養用基材における物性の制御方法。
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