JP6070106B2 - 生体材料パターニング用樹脂基材およびその製造方法ならびに生体材料パターニング材およびその製造方法 - Google Patents

生体材料パターニング用樹脂基材およびその製造方法ならびに生体材料パターニング材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、生体材料をパターニングするための生体材料パターニング用樹脂基材およびその製造方法に関する。また、本発明は、生体材料を基板上にパターニングした生体材料パターニング材およびその製造方法にも関する。
近年、再生医療、組織工学の発展に伴って、細胞培養技術の開発は極めて重要な課題となってきた。特に、単純な細胞培養だけではなく、基材上の任意の場所に細胞を接着させて細胞のパターニングを行う技術は、医療分野だけではなく、電気・電子工学、エネルギー分野などに利用するためのバイオテクノロジーとして重要である。そのような細胞パターニング技術では、細胞培養に用いる基材の表面改質技術が重要となる。一般に細胞は疎水性表面に接着しやすく、親水性表面に接着しにくい。従来技術では、このような性質を利用し、基材表面に親水性領域と疎水性領域のパターンを形成させることにより、細胞接着に強弱をつけて細胞パターニングを行っている。
特開2007−269973号公報 特開2006−008975号公報 特開2011−067223号公報
岩崎泰彦ら、「タンパク質および細胞操作のための明確な生体模倣高分子ブラシから生じるナノバイオインターフェイスの制御(Control of Nanobiointerfaces Generated from Well-Defined BiomimeticPolymer Brushes for Protein and Cell Manipulations)」、バイオマクロモレキュールス(Biomacromolecules)、2004年、第5巻、第6号、p.2308−2314
ところで、従来技術では、例えば、感光性ポリマーを塗布するフォトリソグラフィーにより細胞のパターニング培養が可能な細胞培養基材を作製している(例えば、特許文献1等参照)。しかし、このような技術では、感光性ポリマーを塗布して露光した後に、溶媒により可溶部分を除去させる洗浄作業が必要となる。つまり、このような細胞培養基材を作製するためには非常に煩雑な製造工程を経る必要があり、その結果、製造コストが高くなる問題がある。
また、培養基材表面に重合開始基をパターニングし、そこからモノマーを重合して細胞接着性を示さないポリマー層を形成させることにより、細胞のパターニング培養が可能な細胞培養基材を作製する技術が提案されている(例えば、非特許文献1等参照)。この技術でも同様に、細胞培養基材の作製に煩雑な工程が必要とされるだけではなく、モノマー重合の際に厳密な雰囲気制御が要求される等の問題もある。このため、この技術でも、製造コストが高くなる問題がある。
また、温度応答性高分子と光応答性スピロベンゾピランを含む高分子を培養基材にコーティングし、光照射により細胞の接着を制御する細胞培養基材が提案されている(例えば、特許文献2等参照)。この技術では、光照射部の高分子鎖の親水性/疎水性の変化に基づいて、細胞接着を阻害することによりパターニングを行っている。しかし、このように明確な親水性領域および疎水姓領域を有する細胞培養基材では、細胞パターニングを行った後の非接着領域で別細胞を培養することが困難になる問題があり、異種細胞の共培養は難しい。
さらに、凹凸構造を有する基材表面の凸部に光触媒含有層を作製し、光照射により細胞接着を阻害することにより、培養基材の凹部のみにおいて細胞培養を可能とする細胞培養パターニング基材が提案されている(例えば、特許文献3等参照)。この技術では、細胞接着阻害を行う部位において、光触媒などの化合物を用いて細胞接着を阻害している。このため、この細胞培養パターニング基材では、細胞パターニングを行った後の非接着領域で別細胞を培養することは不可能である。
本発明の課題は、洗浄等の煩雑な工程および厳密な雰囲気制御を必要とせずに作製することができると共に2種以上の生体材料をパターニングすることもできる生体材料パターニング用樹脂基材を提供することにある。
本発明の局面に係る生体材料パターニング材の製造方法は、準備工程付着工程および加工工程を備える。準備工程では、シンナモイル基を有するポリジメチルシロキサンから成り、第1架橋領域、第2架橋領域および未架橋領域のうち、未架橋領域を含む少なくとも2種の領域から成るパターンが形成される基材が準備される。なお、第2架橋領域は、第1架橋領域における架橋度と異なる架橋度を有する。以下、第1架橋領域および第2架橋領域を併せて「架橋領域」と称する場合がある。架橋領域は、シンナモイル基が多量化した架橋構造を含むポリジメチルシロキサンから形成されている。なお、シンナモイル基を架橋化させるための照射光としては、例えば、紫外線、可視光、X線等が挙げられる。また、架橋領域は、未架橋領域と同一の平面上に形成されてもよいし、未架橋領域よりも下方に形成されてもよいし、未架橋領域よりも上方に形成されてもよい。すなわち、架橋領域は、窪んでいてもよいし、隆起していてもよい。なお、架橋領域が窪んでいる生体材料パターニング用樹脂基材は、例えば、特開2012−144610号公報に記載される技術により形成することができる。また、基材は、フィルムであってもよいし、コーティング膜であってもよい。また、ここにいう「生体材料」とは、例えば、細胞、菌、ウィルス、抗原、抗体、タンパク質、脂質、糖質、酵素等である。付着工程では、架橋領域に細胞が付着された後に未架橋領域に細胞が付着される。なお、架橋領域が複数存在する場合、各架橋領域に異種の生体材料が付着されてもよい。加工工程では、付着工程後に架橋領域の架橋度を部分的に変化させる加工および未架橋領域を部分的に架橋させる加工の少なくとも一方の加工が行われる。なお、加工工程では、フォトマスクを介して基材に対して光を照射して基材を加工してもよいし、基材にレーザー光を直接、照射して基材を加工してもよい。また、この加工は、可視光線の照射等、生体材料に死滅・失活させないような手段により行われることが好ましい。
このため、この生体材料パターニング材の製造方法を利用すれば、例えば、細胞の共培養を行うことができる。また、付着工程において架橋領域または未架橋領域に付着された細胞や菌等は、新たな架橋領域を住処として好めばその架橋領域に移動して新たなパターンを形成する。そして、細胞等の移動後に空いた領域には、新たな細胞や菌をパターニングすることができる。すなわち、このようにすれば、段階的に3種以上の生体材料のパターニングを行うことができる。
本発明の第1実施形態に係る生体材料パターニング用樹脂基材の斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る生体材料パターニング用樹脂基材の斜視図である。 光架橋性高分子のシンナモイル基が二量化する前の状態を示す模式的断面図である。 光架橋性高分子のシンナモイル基が二量化した後の状態を示す模式的断面図である。 270nmの波長の紫外線をシートメッシュ越しにPVCi-g-PDMSフィルムに2時間照射して作製した細胞パターニング用樹脂基材のAFM画像である(左上:形状像、右上:濃淡図、下:断面図)。 広域波長の紫外線をシートメッシュ越しにPVCi-g-PDMSフィルムに1時間照射して作製した細胞パターニング用樹脂基材のAFM画像である(左上:形状像、右上:濃淡図、下:断面図)。 270nmの波長の紫外線をシートメッシュ越しにPVCi-g-PDMSフィルムに(a)2時間および(b)4時間照射して作製した細胞パターニング用樹脂基材上で7日間細胞培養したときの顕微鏡写真である。 広域波長の紫外線をシートメッシュ越しにPVCi-g-PDMSフィルムに1時間照射して作製した細胞パターニング用樹脂基材上で(a)3日間および(b)7日間細胞培養したときの顕微鏡写真である。
−第1実施形態−
本発明の第1実施形態に係る生体材料パターニング用樹脂基材100は、図1に示されるように、架橋領域Rc0および未架橋領域Rn0によるパターンPn0を有する。このような生体材料パターニング用樹脂基材100は、例えば、以下に説明する光架橋性高分子から形成される基板に対して、パターンPn0に対応するフォトマスクを介して光を照射することにより、または、レーザー光線を直接、照射することにより作製される。以下、この光架橋性高分子およびその製造方法ならびに生体材料パターニング用樹脂基材100の製造方法について詳述する。
<光架橋性高分子>
光架橋性高分子は、光の照射を受けて架橋構造を形成する光架橋性官能基を含む高分子である。光架橋性官能基は、光の光線量に応じた量の架橋構造を形成する。そして、この光架橋性高分子においてそのような架橋構造が形成されると、光架橋性高分子は、その架橋構造形成量に応じて体積が減少する。なお、このような体積の減少は光の照射方向に沿って生じる。また、本実施の形態において、光の光線量は、照射面積当たりのエネルギー(mJ/cmまたはmW・s/cm)で表される。また、光架橋性官能基特有の光吸収ピークでの吸光度が照射時間0分における初期吸光度aに対して1/2になるまでの時間は、180分以下であることが好ましく、60分以下であることがより好ましい。この時間が短ければ短いほど加工時間を短縮することできる。すなわち、この時間は0分に近いことが好ましい。このような架橋構造を生じさせる光は、光架橋性官能基の種類に依存するが、例えば、紫外線(UV光)、可視光線、X線等である。なお、紫外線の波長領域は10nm以上400nm以下であり、可視光線の波長領域は400nm超830nm以下であり、X線の波長領域は1pm以上10nm以下である。
なお、光架橋性高分子の分子量は、特に限定されず、数平均分子量で1000以上であることが好ましく、数平均分子量で2000以上5000000以下の範囲内にあることがより好ましい。光架橋性高分子の数平均分子量がこの範囲内であれば、光架橋性高分子からフィルムなどを形成し易くできるだけでなく、光架橋性高分子における体積減少をより顕著なものとすることができるからである。
この光架橋性高分子では、光架橋性官能基による架橋構造形成に伴って分子の移動が生じる。光架橋性高分子は、このときに変形を生じ易い構造を有していることが好ましい。架橋構造形成時において、光架橋性高分子が体積変化し易くなるだけでなく、架橋構造が形成され易くなるからである。また、架橋構造形成時において、そのフィルム等に亀裂等が生じ難い。以下、この光架橋性高分子の化学構造について詳述する。
(1)高分子主鎖構造
光架橋性高分子の高分子主鎖は、ホモポリマーであってもよいし、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合等の共重合体であってもよい。また、この高分子主鎖は、合成高分子であってもよいし、天然高分子であってもよいし、半合成高分子(改質天然高分子)であってもよい。この高分子主鎖は柔軟性を有することが好ましい。柔軟性を有する高分子主鎖としては、例えば、ポリジメチルシロキサン系ポリマー、ポリエチレングリコール系ポリマー、スチレン‐ブタジエン共重合ポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ポリマー、イソプレン−イソブチレン共重合ポリマー、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ポリマー、ハロゲン化ブチルポリマー等のガラス転移温度が低いゴム系高分子、エラストマー系高分子が例示される。なお、このようなポリマーの好ましいガラス転移温度は−140℃以上20℃以下の範囲内である。
また、高分子主鎖に柔軟な側鎖を導入することによって柔軟性を確保するようにしてもかまわない。なお、そのような側鎖としては、例えば、ケイ素鎖、炭素鎖などを基本骨格とする長鎖構造を有するものが挙げられる。かかる場合、高分子主鎖は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(PET)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルベンゼンスルホン酸、ポリマレイン酸、ポリスチレン、ポリビニルピリジン、ポリビニルカルバゾール、ポリジメチルアミノスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリアリルアミン、アクリル酸系ポリマー等の比較的柔軟性に乏しいものであってもよい。なお、アクリル酸系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド・アクリルアミドアルキルスルホン酸・(メタ)アクリロニトリル・ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ置換(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート・ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート・ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アミノ置換アルキルエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシエチルメタクリレート、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアルキル置換(メタ)アクリルアミド等のホモポリマー、共重合体が挙げられる。さらに、本発明の趣旨を損ねない範囲で、他のモノマー、オリゴマーを共重合させてもよい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」との表記は、「アクリル」または「メタクリル」を意味するものとして使用されている。
上述の柔軟な側鎖は、ケイ素数または炭素数が20以上50000以下の範囲内のケイ素鎖または炭素鎖であることが好ましい。ケイ素数または炭素数がこの範囲内であれば、フィルム等の成形品を形成しやすいだけでなく、光架橋性官能基の相対的な濃度が適度に維持され、架橋構造が形成され易くなるからである。
上述のケイ素鎖としては、例えば、ポリシロキサン、シリコーンなどの構造が挙げられる。また、上述の炭素鎖としては、例えば、イソプレン、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、エチレン−プロピレン、ブタジエン−ニトリル、クロロプレン、エチレングリコール、プロピレングリコール、アクリル酸系モノマー、ウレタン系モノマー等のホモポリマー、共重合体が挙げられる。
また、光架橋性高分子100質量部に対する柔軟な高分子鎖(主鎖および側鎖の少なくとも一方)の含有率は、10質量部以上80質量部以下の範囲内であることが好ましい。
(2)光架橋性官能基
光架橋性官能基としては、例えば、アジド基、クロロメチル基、光開始ラジカル発生基、光多量化官能基等を挙げることができる。光多量化官能基としては、例えば、光二量化官能基が挙げられる。光二量化官能基としては、例えば、シンナモイル基、クマリン基、チミン基、キノン基、マレイミド基、カルコン基、ウラシル基、アントラセン基等が挙げられる。このような光二量化官能基は、π電子共役構造を含んでおり、[A+A](Aは2、4などの整数)光環化付加反応によって二量化される。なお、ここにいう「光環化付加反応」とは、π電子系の骨格を形成する反応をいう。また、上記光二量化官能基のうちクマリン基、チミン基、アントラセン基には、二量化−単量化の可逆性がある。具体的には、クマリン基は、310nm以上の長波長紫外線が照射されると二量化し、250〜260nm程度の短波長紫外線が照射されると単量化する。チミン基は、280nm前後の長波長紫外線が照射されると二量化し、240nm前後の短波長紫外線が照射されると単量化する。アントラセン基は、長波長紫外線が照射されると二量化し、加熱されたり300nm以下の短波長紫外線が照射されたりすると単量化する。光架橋性官能基は、光架橋性高分子に少なくとも1種類含まれていればよく、複数種類含まれていてもよい。特に、光二量化官能基は、光の照射時間に応じて光架橋性高分子の体積を減少させ易く好ましい。また、光二量化官能基が1種類である場合、同種の光二量化官能基のみが存在するため架橋構造の形成を制御し易い。一方、光二量化官能基が複数種類含まれている場合、異種の光二量化官能基は架橋構造の形成光波長が異なる。かかる場合、異なる波長の光を用いて光架橋性高分子の体積を減少させることができる。なお、光二量化官能基がシンナモイル基である場合の二量化形成モデルは以下の化学式に示される通りである。
なお、シンナモイル基特有の光吸収ピークは280nm付近にあり、シンナモイル基は、この波長の紫外線を吸収して二量化する。シンナモイル基の二量化前では高分子主鎖が互いに離間しているが、シンナモイル基の二量化後では高分子主鎖同士が互いに接近している。その結果、光架橋性高分子の自由体積が減少することとなる。なお、マレイミド基は380nm以下の紫外線が照射されると二量化し、カルコン基は360nm前後の紫外線が照射されると二量化する。
光架橋性高分子の100質量部に対する光架橋性官能基の含有率は10質量部以上90質量部以下の範囲内であることが好ましい。光架橋性官能基の含有率がこの範囲内であれば、適度な量の架橋構造を形成することができると共に、光架橋性高分子の体積変化を適度なものとすることができるからである。
<光架橋性高分子の製造方法>
本発明の第1実施形態に係る光架橋性高分子は、(a)光架橋性官能基を有するモノマー(マクロモノマーを含む)、オリゴマー等を重合する方法(以下「重合法」という)、(b)高分子に光架橋性官能基を導入する方法(以下「官能基導入法」という)等により製造することができる。以下、上述の2種類の製造方法について詳述する。
(1)重合法
重合法では、上述の通り、光架橋性官能基を有するモノマー、オリゴマー等(以下「光架橋性官能基含有モノマー等」という)が重合される。なお、この重合法では、光架橋性官能基含有モノマー等に、光架橋性官能基を有さない他のモノマー、オリゴマー等(以下「光架橋性官能基非含有モノマー等」という)が共重合されてもよい。光架橋性官能基非含有モノマー等としては、例えば、<光架橋性高分子>の欄に記載されている高分子主鎖を構成するモノマー、オリゴマー等が例示される。
光架橋性官能基を有するモノマーとしては、例えば、アジド基、クロロメチル基、光開始ラジカル発生基、光多量化官能基等を有する各種モノマーを挙げることができる。このようなモノマーの具体例としては、例えば、アジド基、クロロメチル基、光開始ラジカル発生基、光多量化官能基を有するビニルモノマー、プロピレンモノマー、ブテンモノマー、塩化ビニルモノマー、テレフタル酸モノマー、1,3−プロパンジオール、ε−カプロラクタムモノマー、ウンデカンラクタムモノマー、ラウリルラクタムモノマー、ビスフェノールモノマー、アクリル酸モノマー、ジメチルシロキサンモノマー、エチレングリコールモノマー、スチレンモノマー、ブタジエンモノマー、イソプレンモノマー、イソブチレンモノマー等が挙げられる。なお、これらのモノマーに代えてオリゴマーを用いることもできる。
また、光多量化官能基を有するモノマーとしては、例えば、光二量化官能基を有するモノマーが挙げられる。光二量化官能基を有するモノマーとしては、例えば、シンナモイル基、クマリン基、チミン基、キノン基、マレイミド基、カルコン基、ウラシル基またはアントラセン基を有するビニルモノマー、プロピレンモノマー、ブテンモノマー、塩化ビニルモノマー、テレフタル酸モノマー、1,3−プロパンジオール、ε‐カプロラクタムモノマー、ウンデカンラクタムモノマー、ラウリルラクタムモノマー、ビスフェノールモノマー、アクリル酸モノマー、ジメチルシロキサンモノマー、エチレングリコールモノマー、スチレンモノマー、ブタジエンモノマー、イソプレンモノマー、イソブチレンモノマー等が挙げられる。なお、これらのモノマーに代えてオリゴマーを用いることもできる。
光架橋性官能基含有モノマー等、光架橋性官能基非含有モノマー等を重合する方法としては、例えば、ラジカル重合、イオン重合、重縮合、開環重合等が挙げられる。また、その重合に用いられる溶媒は、光架橋性官能基含有モノマー等、光架橋性官能基非含有モノマー等が溶解するものであればよい。このような溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、酢酸エチル、塩化メチル、クロロホルム、エーテル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、n−ヘキサン等の公知の溶媒が挙げられる。
なお、本重合法では、必要に応じて重合開始剤を使用してもよい。かかる場合、重合開始剤は、上記溶媒に溶解する必要がある。このような重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム・過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、過酸化水素・t−ブチルハイドロパーオキシド・クメンハイドロパーオキシド等のパーオキシド類、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル等が挙げられる。なお、過硫酸塩・パーオキシド類等の酸化性開始剤は、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等と併用されることによりレドックス開始剤としても使用することができる。なお、このような重合開始剤を用いることなく、光架橋性官能基含有モノマー等、光架橋性官能基非含有モノマー等に光、放射線等を照射することにより重合を開始させてもよいし、光架橋性官能基含有モノマー等、光架橋性官能基非含有モノマー等を加熱することによって重合させてもよい。
重合温度は、モノマーの耐熱温度、重合開始剤の種類に依存するため、一義的に決定することは困難であるが、例えば、50℃以上100℃以下の範囲内において設定することができる。また、重合時間も、特に限定されないが、通常、4時間以上48時間以下の範囲内である。
光架橋性官能基含有モノマー等、光架橋性官能基非含有モノマー等の重合が完了すれば、光架橋性高分子が生成される。光架橋性高分子は、公知の方法により精製することができる。例えば、重合完了後の光架橋性高分子が溶液中に存在している場合、再沈殿法により光架橋性高分子を精製することができる。再沈殿法では、光架橋性高分子を含む溶液を光架橋性高分子の貧溶媒または非溶媒に添加させる。このとき、光架橋性高分子が析出して沈殿すると共に溶媒中に未反応のモノマー等の不純物が溶解する。その後、この沈殿物を濾過して溶媒を除去することにより光架橋性高分子が精製される。なお、必要に応じて、光架橋性高分子を良溶媒に再溶解させて、上記と同様の操作を複数回繰り返してもよい。
(2)官能基導入法
官能基導入法では、上述の通り、高分子に光架橋性官能基が導入される。高分子は、合成高分子であってもよいし、天然高分子であってもよいし、半合成高分子(改質天然高分子)であってもよい。なお、合成高分子を形成するためのモノマーとしては、ビニルモノマー、プロピレンモノマー、ブテンモノマー、塩化ビニルモノマー、テレフタル酸モノマー、1,3−プロパンジオール、ε‐カプロラクタムモノマー、ウンデカンラクタムモノマー、ラウリルラクタムモノマー、ビスフェノールモノマー、アクリル酸モノマー、ジメチルシロキサンモノマー、エチレングリコールモノマー、スチレンモノマー、ブタジエンモノマー、イソプレンモノマー、イソブチレンモノマー等が挙げられる。なお、これらのモノマーに代えてオリゴマーを用いることもできる。また、当然のことながらこれらのモノマー、オリゴマーは、光架橋性官能基を有さない。また、天然高分子としては、澱粉、セルロース、キチン、キトサン、タンパク質等が挙げられる。当然のことながらこれらの天然高分子は、光架橋性官能基を有さない。
合成高分子の製造条件(重合の種類、溶媒、重合開始剤、重合温度、重合時間、精製等)は、上述の重合法に示された製造条件と同様である。そして、この官能基導入法では、天然高分子、半合成高分子または上述のモノマー等を重合して得られる合成高分子中の官能基に、光架橋性官能基を含む化合物(以下「光架橋性官能基含有化合物」という)を反応させることにより高分子に光架橋性官能基を導入して、光架橋性高分子を得る。
光架橋性官能基含有化合物としては、例えば、アジド基、クロロメチル基、光開始ラジカル発生基、光多量化官能基などを有するビニル化合物、アルコール、カルボン酸、アミン、エステル、エーテル等が挙げられる。また、光多量化官能基を有する化合物としては、例えば、シンナモイル基、クマリン基、チミン基、キノン基、マレイミド基、カルコン基ウラシル基またはアントラセン基を有するビニル化合物、アルコール、カルボン酸、アミン、エステル、エーテル等の光二量化官能基を含む化合物が挙げられる。
なお、光架橋性官能基含有化合物の反応条件は、特に限定されず、その種類および高分子主鎖の構造に依存するため、一般の有機化学的手法に基づいて決定すればよい。
<生体材料パターニング用樹脂基材の製造方法>
生体材料パターニング用樹脂基材100(図1参照)は、フィルム成形工程および露光工程を経て製造される。以下、これらの工程について詳述する。
フィルム成形工程では、スピンコート法、バーコート法、押出し法等の方法により光架橋性高分子のフィルム(以下「光架橋性高分子フィルム」という)を成形する。なお、この光架橋性高分子フィルムの成形条件は、光架橋性高分子の種類、所望の膜厚等によって適宜変更すればよい。また、光架橋性高分子フィルムの作製に際し、光架橋性高分子のみを使用してもよいし、本発明の趣旨を損なわない範囲で光架橋性高分子に他の高分子をブレンドしてもよい。なお、他の高分子は、他の光架橋性高分子であってもよいし、光架橋性を有さない高分子であってもよい。
露光工程では、パターンPn0に対応するフォトマスクを介して光架橋性高分子フィルムに光を照射することにより、または、光架橋性高分子フィルムにレーザー光線を直接、照射することにより、光架橋性高分子フィルム上に架橋領域Rc0および未架橋領域Rn0のパターンPn0を形成する(図1参照)。なお、本発明の実施の形態では、上述の理由により架橋領域Rc0が窪んだ状態となる(図1参照)。この現象を更に詳細に説明すると以下のとおりである。
露光工程を開始するに際し、図3に示されるように、光架橋性高分子フィルム1の表面に例えばメッシュ状のフォトマスク2が被覆される。そして、図4に示されるように、フォトマスク2の上方からフォトマスク2および光架橋性高分子フィルム1に向かって紫外線が照射されると、光架橋性高分子フィルム1のフォトマスク被覆箇所ではフォトマスク2によって紫外線が遮られる一方、光架橋性高分子シート1の非被覆箇所には紫外線が照射される。したがって、光架橋性高分子フィルム1の非被覆箇所では、二量化基であるシンナモイル基3同士が二量化し、その結果、高分子主鎖4同士が接近して光架橋性高分子フィルム1の非被覆箇所の体積が減少する。なお、このとき、紫外線として280nm付近のフィルタリングされた紫外線ではなく広域波長領域の紫外線を使用することにより効率的に体積減少を促進することができる。
<生体材料パターニング材の製造方法>
生体材料パターニング材は、洗浄工程および塗布工程を経て製造される。以下、これらの工程について詳述する。
洗浄工程では、生体材料パターニング用樹脂基材100が洗浄される。塗布工程では、洗浄後の生体材料パターニング用樹脂基材100に、生体材料を含む液が塗布される。なお、このとき、生体材料は、生体材料パターニング用樹脂基材100の凹凸構造ならびに架橋領域Rc0および未架橋領域Rn0の僅かな物理的・化学的物性の差に応じて架橋領域Rc0または未架橋領域Rn0に沿ったパターンを形成する。なお、この生体材料パターニング用樹脂基材100に2種類の生体材料パターンを形成したい場合、生体材料パターニング用樹脂基材100に、再度、異なる種類の生体材料を含む液が塗布される。
<生体材料パターニング用樹脂基材および生体材料パターニング材の特徴>
(1)
第1実施形態に係る生体材料パターニング用樹脂基材100は、光照射によって架橋領域Rc0および未架橋領域Rn0のパターンPn0を形成することができると共に架橋領域Rc0を窪ませることができる。すなわち、この生体材料パターニング用樹脂基材100は、洗浄などの煩雑な工程および厳密な雰囲気制御を必要とせずに作製することができる。また、この生体材料パターニング用樹脂基材100は、架橋領域Rc0/未架橋領域Rn0という僅かな表面弾性率・表面自由エネルギーの差および凹凸構造等により生体材料のパターニングを行うことができる。このため、この生体材料パターニング用樹脂基材100は、2種の生体材料をパターニングすることも可能である。
(2)
第1実施形態に係る生体材料パターニング材では、細胞の共培養等を行うことができる。
<変形例>
(A)
先の実施の形態では特に言及しなかったが、生体材料パターニング用樹脂基材の製造方法の露光工程において、パターンPn0の形成後、(i)パターンPn0に対応するフォトマスクの配置方法を変えたり、(ii)そのフォトマスクの上に別のフォトマスクを重ねたり、(iii)そのフォトマスクを別のフォトマスクに置き換えたりした後に、さらに露光を行うことによってパターンPn0を加工してもよい。かかる場合、例えば、(i)パターンPn0形成後の未架橋領域Rn0に対して先とは異なる量の光を照射して先の架橋領域Rc0の架橋度とは異なる架橋度を有する新たな架橋領域を形成してもよいし、(ii)パターンPn0形成後の架橋領域Rc0に対して部分的に光を照射して先の架橋領域Rc0の架橋度とは異なる架橋度を有する新たな架橋領域を形成してもよいし、(iii)前2つの新たな架橋領域を同時に形成してもよい。なお、かかる場合、新たな架橋領域の窪み度合いは先の架橋領域Rc0の窪み度合いと異なり、その結果、複雑な凹凸構造が形成されることになる。このようにしてパターンPn0を加工すれば、未架橋領域Rn0および複数種類の架橋領域を利用した3種以上の生体材料のパターニングを行うことができる。
また、パターンPn0の加工は、生体材料が細胞や菌等の移動可能なものであれば、生体材料パターニング材が製造された後、すなわち細胞や菌等が生体材料パターニング用樹脂基材にパターニングされた後に行われてもかまわない。かかる場合、細胞や菌等は、新たな架橋領域を住処として好めばその架橋領域に移動して新たなパターンを形成する。そして、細胞等の移動後に空いた領域には、新たな細胞や菌をパターニングすることができる。すなわち、このようにすれば、段階的に3種以上の生体材料のパターニングを行うことができる。
(B)
先の実施の形態では特に言及しなかったが、未架橋領域Rn0を、架橋領域Rc0の架橋度と異なる架橋度を有するように光架橋させてもよい。かかる場合であっても、先の実施の形態に係る生体材料パターニング用樹脂基材と同様の効果を奏することができる。
−第2実施形態−
本発明の第2実施形態に係る生体材料パターニング用樹脂基材100Aは、図2に示されるように、架橋領域Rc1および未架橋領域Rn1によるパターンPn1を有する。このような生体材料パターニング用樹脂基材100Aは、例えば、光架橋性高分子から形成される基板に対して、パターンPn1に対応するフォトマスクを介して光を照射することにより、または、レーザー光線を直接、照射することにより作製される。なお、この生体材料パターニング用樹脂基材100Aは、架橋領域Rc1が窪まず未架橋領域Rn1と同一平面上に存在すること以外、第1実施形態に係る生体材料パターニング用樹脂基材100と同一である。このような生体材料パターニング用樹脂基材100Aは、第1実施形態で例示された比較的柔軟性に乏しい骨格を高分子主鎖として採用することにより実現することができる。このため、ここでは、光架橋性高分子およびその製造方法ならびに生体材料パターニング用樹脂基材100Aの製造方法の説明を省略する。なお、本実施形態においても第1実施形態の変形例を適用することは可能である。
<実施例>
以下、実施例を示して本発明の実施の形態をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<光架橋性高分子の合成>
シンナモイル基を含むモノマーであるケイ皮酸ビニル(VCi)と、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含むマクロモノマー(PDMS macromonomer)とを共重合して光架橋性高分子であるグラフト共重合体(PVCi-g-PDMS)を合成した。
具体的には、先ず、5.48gのVCiおよび2.44gのPDMS macromonomerを、全モノマー量が20質量%になるように31.68mLのベンゼンに溶解させて溶液を調製した。次いで、この溶液に対して、窒素雰囲気下、開始剤として0.40gの2,2’-Azobis isobutyronitrile (AIBN)を添加した後(全モノマー量に対して5.0質量%)、窒素雰囲気下、70℃で8時間、その溶液を加熱し続けることにより重合を行ってPVCi-g-PDM
Sを合成した(以下の化学式参照)。
(なお、化学式中、PVCi-g-PDMS中のlは5以上100000以下の整数であり、mは5以上5000以下の整数であり、nは2以上5000以下の整数である。)
続いて、PVCi-g-PDMSの溶液をメタノール/n−ヘキサン(2:1)の混合液600mLに滴下してPVCi-g-PDMSを沈殿させた。このとき、未反応のモノマーは溶媒に溶解する。このため、濾過等の手法によって溶媒を除去することによりPVCi-g-PDMSから未反応のモノマーを除去した。そして、再度、PVCi-g-PDMSを50mLのベンゼンに溶解させた後に、その溶液をメタノール/n−ヘキサン(2:1)の混合溶液300mLに滴下してPVCi-g-PDMSを沈殿させることにより、PVCi-g-PDMSを精製した。そして、先と同様にして溶媒を除去した後、さらにメタノール/n−ヘキサン(2:1)の混合溶液にてPVCi-g-PDMSを洗浄して精製処理を終了した。得られたPVCi-g-PDMSの組成をH‐NMRによって決定した。H‐NMRの測定結果から算出したPVCi-g-PDMSの組成を表1に示した。
<細胞パターニング用樹脂基材の作製>
PVCi-g-PDMSが10質量%になるようにPVCi-g-PDMSをベンゼンに溶解させ、そのPVCi-g-PDMSベンゼン溶液を3000rpmの回転速度で10分間、シリコンウエハ上にスピンキャストすることによってPVCi-g-PDMSフィルムを調製した。
そして、そのPVCi-g-PDMSフィルムにフォトマスクとしてのシートメッシュ(pitch=12.5μm,hole=7.5μm,bar=5μm)を乗せた後、光照射機(ウシオオプティカル モデュレックス)を用いてそのPVCi-g-PDMSフィルムに広域波長のUV光あるいは干渉フィルターによって制御した270nm近傍のUV光を所定時間照射した。なお、このときの光源からサンプルまでの距離は57cmであり、COHERENT(株式会社インデコ)によりPVCi-g-PDMSフィルム上の光量を測定すると2.0mWであった。原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、その光照射後のPVCi-g-PDMSフィルムの表面構造観察を行った結果を図5および図6に示す。図5および図6に示されるように、UV照射された部分の膜厚が減少しており、シートメッシュに対応する形状がPVCi-g-PDMSフィルム表面に明確に確認された。
そこで次に、細胞の大きさを考慮して、上記のサイズよりも大きな孔を有するメッシュ(pitch=83μm,hole=45μm,bar=38μm)を用意した。そして、先と同様にPVCi-g-PDMSフィルムにそのシートメッシュを乗せた後、光照射機を用いてそのPVCi-g-PDMSフィルムに広域波長のUV光あるいは干渉フィルターによって制御した270n BR>豪゜傍のUV光を所定時間照射して細胞パターニング用樹脂基材を作製した。
<細胞パターニング材の作製(細胞培養)>
先ず、細胞パターニング用樹脂基材をPBSで十分に洗浄した後、その細胞パターニング用樹脂基材を6ウェル細胞用プレートにひいた。次いで、各ウェルをイーグルMEM培地(E:MEM)で3回洗浄して余分なゴミや菌を取り除いた。続いて、マウス繊維芽細胞(L929)の細胞懸濁液を各ウェル内に約5mLずつ分注した後(1×10cells/well)、そのマウス繊維芽細胞(L929)を37℃で5%COのインキュベーター内で3日間あるいは7日間、培養した。培養完了後、各ウェルをE−MEMで2回、PBSで1回洗浄してから位相差顕微鏡で細胞の様子を観察した。その結果を図7および図8に示す。先ず、270nmのUV照射フィルム表面で細胞培養したときの7日目の顕微鏡写真(図7参照)から、2時間UV照射した表面では僅かに細胞パターンを確認することができ、さらに4時間UV照射した表面ではシートメッシュのパターンに対応した細胞パターンを確認することができた。メッシュ状のフォトマスクを用いて光照射しているため、写真から光照射されて表面が凹んでいる部分に細胞が選択的に分布していることがわかる。
さらに、より明確な細胞パターンを形成させるため、広域波長のUV光を30分照射した表面で同様に細胞培養した。図8に示されるように、細胞培養後3日目で既に細胞の分布に明確なパターンが確認でき、7日後になるとさらに明確なパターンに変化していることがわかる。この場合にも、光照射部分であるフィルムの凹部分に細胞が選択的に分布し、メッシュ状のパターンを形成していることがわかる。このような結果は,材料表面の凹凸、架橋形成による表面弾性率・表面自由エネルギー等の僅かな差を細胞が認識して,より居心地のよい表面に分布するためと推察される。
100,100A 生体材料パターニング用樹脂基材
Pn0,Pn1 パターン
Rc0,Rc1 架橋領域
Rn0,Rn1 未架橋領域

Claims (1)

  1. シンナモイル基を有するポリジメチルシロキサンから成り、(a)第1架橋領域、(b)前記第1架橋領域における架橋度と異なる架橋度を有する第2架橋領域および(c)未架橋領域のうち、前記未架橋領域を含む少なくとも2種の領域によりパターンが形成される基材を準備する準備工程と、
    前記架橋領域に細胞が付着された後に前記未架橋領域に細胞が付着される付着工程と
    前記付着工程後に(a)前記架橋領域の架橋度を部分的に変化させる加工および(b)前記未架橋領域を部分的に架橋させる加工の少なくとも一方の加工を行う加工工程と
    を備える、生体材料パターニング材の製造方法。
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