JP2019034990A - 多孔質体の表面処理ポリマー - Google Patents

多孔質体の表面処理ポリマー Download PDF

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Abstract

【課題】多孔質体の表面処理ポリマーの提供。【解決手段】式(1)で示されるポリマー化合物。(X1及びX2は夫々独立して、重合性原子団;R1及びR3は夫々独立して置換/非置換のフェニル基、C(=O)、C(=O)O又はO、CONH又はNHCOO;R2はH、水酸基又は式(2):−O−P(O)−2−O−C2H4−N+(CH3)3;R4はC1〜6のアルキル;m及びnは夫々独立に2〜10の整数;a及びbは夫々独立に2以上の整数;X1及びX2を含む構造単位はランダムの順序)【選択図】なし

Description

本発明は、光反応により高分子多孔質体を表面改質するポリマー、及び表面改質方法に関する。
高分子多孔質体は、広く環境、エネルギー、バイオテクノロジー、医療などの分野において、分離、精製、反応制御などの機器を作製する際の基材として利用されている。多孔質体を作製する手段は、化学発砲、物理的発砲、あるいは粒子の凝集など様々開発されている。そして、多孔質体の細孔を機能化させるには、多孔質体を表面処理する必要がある。
これまで、基材の表面処理は、プラズマ照射、コロナ放電、放射線処理等の高エネルギー処理により官能基を導入する方法が採用されきた(貞本 満、Journal of Vacuum Society Japan, 51巻(1号)15〜18ページ、2008年、井手文雄、繊維機械学会誌, 38巻(4号)173〜185ページ、1985年)。
しかしながら、多孔質体の表面処理に関しては、細孔内への適用が困難である。
貞本 満、Journal of Vacuum Society Japan, 51巻(1号)15〜18ページ、2008年 井手文雄、繊維機械学会誌, 38巻(4号)173〜185ページ、1985年 山口猛央、膜, 33巻(2号)46〜53ページ、2008年
本発明は、多孔質体の表面処理ポリマーを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、光反応性高分子と光ラジカル発生剤との組み合わせにより、当該光反応性高分子で高分子多孔質体を表面修飾するプロセスを開発することに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]次式(1):
(式中、X及びXは、それぞれ独立して、重合した状態の重合性原子団を表し、R及びRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニル基、−C(O)−、−C(O)O−若しくは−O−で示される基、又は−CONH−若しくは−NHCOO−で示される基を表し、Rは、水素原子、水酸基、又は次式(b1):
で示される基を表し、Rは、炭素数1〜6のアルキル基を表し、m及びnは、それぞれ独立して、2〜10の整数を表し、a及びbは、それぞれ独立して、2以上の整数を表し、Xを含む構造単位及びXを含む構造単位はランダムな順序で結合している。)
で示されるポリマー化合物。
[2] 式(I)で示される化合物が次式(2)、(3)又は(4):
(式中、a及びbは、それぞれ独立して、2以上の整数を表し、各モノマーユニットはランダムな順序で結合している。)
で示される構造を有するポリマーである、[1]に記載の化合物。
[3] a/(a+b)の値が0.50〜0.95である、[1]又は[2]に記載の化合物。
[4] 多孔質基材の細孔部を親水化することができる、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の化合物。
[5] [1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物を含む、表面処理剤。
[6] 水溶液の形態である、[5]に記載の処理剤。
[7] 光活性剤をさらに含む、[5]又は[6]に記載の処理剤。
[8] 光活性剤が、多ハロゲン化メチル基を有する化合物からなるものである、[7]に記載の処理剤。
[9] 光照射処理を利用して表面処理を行うものである、[5]〜[8]のいずれか1項に記載の処理剤。
[10] [5]〜[9]のいずれか1項に記載の処理剤を多孔質基材に塗布する工程、及び、塗布された当該基材に光照射処理する工程を含む、多孔質基材の表面処理方法。
[11] [10]に記載の方法により処理されてなる、表面処理多孔質基材。
[12] 多孔質基材の細孔部が親水化されたものである、[11]に記載の基材。
本発明により、多孔質体の表面処理ポリマー化合物が提供される。本発明のポリマー化合物を用いることにより、多孔質体の細孔部にも表面処理することができ、簡便かつ効率のよい表面処理が可能となった。さらに、高分子表面処理層は基材と共有結合しているために、表面処理された多孔質体は安定性及び耐久性が高い。
光反応性ポリマー(PMEPMA82)のH-NMRスペクトルである。 光反応性ポリマー(PMEPMA82)のIRスペクトルである。 光反応性ポリマー(PHEPMA82)のH-NMRスペクトルである 光反応性ポリマー(PHEPMA82)のIRスペクトルである。 光反応性ポリマー(PBEPMA82)のH-NMRスペクトルである。 光反応性ポリマー(PBEPMA82)のIRスペクトルである。 PMEPMAにて表面処理した後のPE_AQ800表面の走査電子顕微鏡(SEM)像である。 ローダミン6G で染色した後のPE_AQ800試片の蛍光画像である。 表面処理後の水濡れ性を接触角測定により評価した結果を示す図である。 多孔質基材に塗布されたポリマーが多孔質の細孔部に入り込んで細孔部の表面を被覆する様子を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
1.ポリマー化合物
本発明は、次式(1):
で示される構造を有する二元系ポリマーである。
式(1)中、X及びXは、それぞれ独立して、重合した状態の重合性原子団を表す。X及びXは、例えば、ビニル系モノマー残基、アセチレン系モノマー残基、エステル系モノマー残基、アミド系モノマー残基、エーテル系モノマー残基及びウレタン系モノマー残基等が挙げられ、これらの中でも、ビニル系モノマー残基が好ましい。また、Xを含む構造単位及びXを含む構造単位は、ランダムな順序で結合している。
及びRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニル基、−C(O)−、−C(O)O−若しくは−O−で示される基、又は−CONH−若しくは−NHCOO−で示される基を表し、好ましくは−C(O)O−で示される基である。
は、水素原子、水酸基、又は次式(b1):
で示される基を表し、好ましくは上記(b1)で示される基である。
及びRにおけるフェニル基の置換基の具体例としては、例えば、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I)、水酸基、チオール基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アミノ基、シリル基、メタンスルホニル基、炭素数1〜6のアルキル基(C1−6アルキル基;他の炭素数も同様に表記できる)、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−8シクロアルキル基、C6−10アリール基、C1−6アルコキシ基、C2−7アシル基又はC2−7アルコキシカルボニル基などを挙げることができる。
及びRは同一であっても、異なっていてもよい。重合反応性の点では同一であることが、得られる共重合体のモノマーユニット組成を制御する観点から好ましい。
は、C1−6アルキル基を表す。
m及びnは、それぞれ独立して2〜10の整数を表し、好ましくは2である。
a及びbは、それぞれ独立して、2以上の整数を表す。
式(1)において、Xを含む構造単位の具体例としては、限定はされないが、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2−アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、N−(2−メタクリルアミド)エチルホスホリルコリン、4−メタクリロイルオキシブチルホスホリルコリン、6−メタクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン、10−メタクリロイルオキシデシルシルホスホリルコリン、4−スチリルオキシブチルホスホリルコリン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2ートリメチルアンモニウムエチルメタクリレート、3−カルボキシプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート等に由来する構造単位が好ましく挙げられる。これらの中でも、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)に由来する構造単位が特に好ましい。MPC及びその他のホスホリルコリン系化合物(モノマー化合物)は、市販品を使用してもよいし、常法に基づいて容易に調製することもできる。
また、Xを含む構造単位の具体例としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート等に由来する構造単位が挙げられる。
式(1)において、Xを含む構造単位の具体例としては、限定はされないが、例えば、下記式(b2)で表されるモノマー化合物(N−エチル−N−フェニルアミノイルメタクリレート)に由来する構造単位が好ましく挙げられる。
式(1)で示されるポリマーにおいて、a及びbは、互いに独立して、2以上の整数であればよいが、ここで、a/(a+b)の値は0.50〜0.95であり、好ましくは0.70〜0.90である。0.50未満では十分に多孔質内部が親水性とならない。また0.95よりも大きいときは、光反応が効果的に生じないために、表面被覆が完全になされない可能性がある。b/(a+b)の値は0.50〜0.05であり、好ましくは0.30〜0.10である。
上記式(1)で示されるポリマーの重量平均分子量は、限定はされないが、例えば分子量の範囲は、1000から500000であり、好ましくは10000から100000である。1000未満では、光反応する前の基材への被覆性が悪いために、表面被覆が完全になされない可能性がある。また500000よりも大きいときは、ポリマー溶液の粘性が高くなりすぎ、細孔内に効率よく導入されない。
式(1)で示されるポリマーの合成については、モノマー化合物の調製及びそれらの重合を含め、基本的には、当業者の技術水準に基づき、常法により行うことができる。
式(1)で示される化合物の具体例は、例えば次式(2)、(3)又は(4)の化合物が挙げられる。
2.表面処理剤
本発明の多孔質基材用表面処理剤は、前述の通り、上記二元系ポリマーを主要成分として含むものであり、多孔質基材の表面に塗布した後、光照射処理を利用して表面処理が行われる。これにより、対象である多孔質基材の表面部(多孔質の細孔部以外の部分)だけでなく、細孔部も親水化することができる。
本発明の表面処理剤は、上記二元系ポリマー以外に、一般的に基材の表面処理剤の成分として用いられる任意の他の成分(例えば、各種溶媒等)を含むものであってもよい。溶媒としては、例えば、水とエタノールとの混合溶媒等が挙げられる。また、本発明の表面処理剤は、助剤として光活性剤、例えば多ハロゲン化メチル基を持つ化合物を含めることができる。
多ハロゲン化メチル基を持つ化合物としては、例えば2,2,2−トリブロモエタノール、p−ニトロ−ω−トリブロモアセトフェノン、ヘキサブロモジメチルスルホンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は光活性剤として機能する。例えば、光(例えばUV光)の照射によりこれらの光活性剤が光解離して生じたラジカルが開始剤となり、ポリマーの側鎖にある芳香環のアミノ基に対し、パラ位の活性化された炭素とメチル基が置換し、さらにハロゲン(例えばBr)が解離して生じたラジカルがポリマーと結合して架橋する。
本発明の表面処理剤は、通常、溶液状のものであることが好ましく、主要成分として含まれる前記二元系ポリマーの濃度は、0.01%〜10重量%であり、好ましくは0.1〜2重量%である。0.01重量%未満では表面にポリマーが完全に被覆されない。一方、10重量%を超えると、粘度上昇のために細孔内へのポリマーの侵入が妨げられる。
助剤の濃度は、0.005〜5重量%である。
本発明の表面処理剤の対象基材となる多孔質基材としては、例えば各種疎水性ポリマー材料等が挙げられ、限定されるものではない。疎水性ポリマー材料としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(メタクリル樹脂;PMMA)等のアクリル系ポリマー;架橋ポリジメチルシロキサン(PDMS)等の各種シリコーンゴム(置換シリコーン、変性シリコーンを含む等);ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート等の有機物からなるもの;金属又はセラミックス多孔体に、有機分子で表面を処理した基材等が挙げられる。
多孔質基材の形状は、特に限定はされず、例えば、板状、ビーズ状などが挙げられる。
多孔質基材を利用する分野は幅広く、特に環境、エネルギー、バイオテクノロジー、食品及び医療又は歯科関連の分野にわたる。本発明のポリマー化合物を用いて表面処理することにより得られた多孔質基材は、上記分野における製造、精製、分析などの過程で、隔膜材料、吸着体、支持体、反応促進体等として利用される。また医療分野では、例えば組織再生医療デバイス、人工臓器等に利用され、歯科分野では、例えば、歯科材料、歯科用器具、歯科用補綴物等に利用される。
3.表面処理方法
本発明の表面処理方法は、対象基材である多孔質基材の表面部のみならず、細孔部を親水化する方法であり、具体的には、上述した本発明の表面処理剤を多孔質基材に塗布する工程(塗布工程)、及び、塗布された多孔質基材に光照射処理をする工程(光照射工程)を含む方法である。
塗布工程においては、光反応性ポリマーである前記二元系ポリマーを主要成分として含む表面処理剤を用いて行えばよい。
光照射工程は、多孔質基材に塗布した表面処理剤(液)が乾燥した後、光を照射すればよい。照射光としては、ラジカルを生じさせることができるものがよいため、紫外線(UV光)が好ましい。照射光の線量は、限定はされず、当業者の通常の技術常識に基づいて、適宜設定することができる。
上記工程により、多孔質基材に塗布されたポリマーは、多孔質の細孔部に入り込んで細孔部の表面を被覆する(図10)。
実施例
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
光反応性ポリマー(PMEPMA)の合成
(1)光反応性モノマー(EPMA)の合成
2-(N-エチルアニリノ)エタノール(8.26g)とトリエチルアミン(5.57g)を3つ口フラスコに入れ、ジクロロメタン(80mL)を加えて溶解した。メタクリル酸クロライド(5.75g)をジクロロメタン(20 mL)に溶解し、滴下ロートに入れ、ゆっくり滴下した。-2°Cで24時間反応させた後、形成されたトリエチルアミン塩酸塩をガラスフィルターで除去した。エバポレートによりジクロロメタンを除去し、溶解しているトリエチルアミン塩酸塩を析出させるため、ヘキサンを加えた。トリエチルアミン塩酸塩が析出しなくなるまでこの操作を繰り返した。さらに、未反応のメタクリル酸クロライドとN-エチルアニリノエチルメタクリレート(EPMA)を分離するため、塩酸水溶液で抽出を行った。得られたEPMAヘキサン溶液に無水硫酸マグネシウムを加え脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ過後、エバポレートによりヘキサンを除去し、オイル状のEPMAを得た。
(2)光反応性ポリマー(PMEPMA)の合成
次いで、ガラス製のアンプルに2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)(2.36g)およびEPMA(0.470g)、開始剤として、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(8.21mg)を秤量した。エタノールを用いてモノマー濃度0.5 mol/L、開始剤濃度2.5 mmol/Lとなるように希釈した。十分に溶液中の酸素をアルゴンで除去後、アンプルを封管した。反応はシリコーンオイルバスを用いて60℃にて3時間行なった。反応終了後、エーテル:クロロホルム=8:2の溶媒を用いて再沈殿法により未反応のモノマーを除去した。減圧乾燥し白色粉末のPMEPMAを得た。
得られたPMEPMAのMPCユニットモル分率はH-NMR測定の結果、a/(a+b)の値が0.82であった。収量は1.76g、収率は62%であった。また、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定により分子量を求めた結果、数平均分子量(Mn)は5.8 x 104、重量平均分子量(Mw)は1.7 x 105、多分散度は2.9であった。図1は得られたPMEPMA82のH-NMRスペクトルである。図2は得られたPMEPMA82のIRスペクトルである。
MPCとEPMA の仕込みモル比を90/10に変化させた以外は実施例1と同様の操作にて共重合反応を行った。収量は1.77g、収率は61%であった。また、GPC測定により分子量を求めた結果、Mnは5.2 x 104、Mwは1.4 x 105、多分散度は2.7であった。
MPCとEPMA の仕込みモル比を70/30に変化させた以外は実施例1と同様の操作にて共重合反応を行った。収量は1.53g、収率は55%であった。また、GPC測定により分子量を求めた結果、Mnは6.1 x 104、Mwは1.9 x 105、多分散度は3.1であった。
実施例1のMPCの代わりに、2ーヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を用いて、EPMAと共重合反応を行い、PHEPMAを得た。
ガラス製のアンプルに2ーヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)(0.520g)およびEPMA(0.230g)、開始剤として、2, 2’ーアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(4.11mg)を秤量した。エタノールを用いてモノマー濃度0.5 mol/L、開始剤濃度2.5 mmol/Lとなるように希釈した。十分に溶液中の酸素をアルゴンで除去後、アンプルを封管した。反応はシリコーンオイルバスを用いて60℃にて8時間行なった。反応終了後、エーテル:クロロホルム=8:2の溶媒を用いて再沈殿法により未反応のモノマーを除去した。減圧乾燥し白色粉末のPHEPMAを得た。得られたPHEPMAのHEMAユニットモル分率はH-NMR測定の結果、a/(a+b)の値が0.83であった。図3は得られたPHEPMA82のH-NMRスペクトルである。図4は得られたPHEPMA82のIRスペクトルである。
実施例1のMPCの代わりに、n-ブチルメタクリレート(BMA)を用いて、EPMAと共重合反応を行い、PBEPMAを得た。
ガラス製のアンプルにn-ブチルメタクリレート(BMA)(0.570g)およびEPMA(0.230g)、開始剤として、2, 2’ーアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(4.11mg)を秤量した。テトラヒドロフランを用いてモノマー濃度0.5 mol/L、開始剤濃度2.5 mmol/Lとなるように希釈した。十分に溶液中の酸素をアルゴンで除去後、アンプルを封管した。反応はシリコーンオイルバスを用いて60℃にて8時間行なった。反応終了後、メタノール溶媒を用いて再沈殿法により未反応のモノマーを除去した。減圧乾燥し白色粉末のPBEPMAを得た。得られたPBEPMAのBMAユニットモル分率はH-NMR測定の結果、a/(a+b)の値が0.81であった。図5は得られたPBEPMA82のH-NMRスペクトルである。図6は得られたPBEPMA82のIRスペクトルである。
多孔質体への光反応
基材として、孔のサイズが61μmの多孔質ポリエチレン試片(旭化成株式会社製サイファインTM AQグレード:PE_AQ800)を用いた。PMEPMA82 (0.20g)および2,2,2-トリブロモエタノール(100mg)を秤量し、PMEPMA濃度が0.50 wt%となるようにエタノールを加えて溶解した。得られた溶液にPE_AQ800を1分間浸漬した。風乾後、UV光(254nm)(光強度)を3分間照射することにより、PMEPMAを反応した。UV 照射後、エタノール中に一晩撹拌しながら浸漬し、未反応のPMEPMAを除去した。
光反応性ポリマーとしてPMEPMA91を使用した以外は、実施例6と同様の操作で、多孔質体への光反応を行なった。
光反応性ポリマーとしてPMEPMA73を使用した以外は、実施例6と同様の操作で、多孔質体への光反応を行なった。
走査型電子顕微鏡(SEM)による表面観察
PMEPMAにて表面処理後のPE_AQ800表面を走査電子顕微鏡(SEM)により観察した。図7に示すように、表面処理後も孔のサイズに大きな変化はなかった。PMEPMAはPE_AQ800の表面にのみ薄膜層を形成しているため、多孔体物質としての性質に影響はない。
染色による表面反応の評価
PMEPMAで表面処理したPE_AQ800試片を2ppmのローダミン6G水溶液に30秒間浸漬した。その後、50mL中の水中で50回リンスし、蛍光顕微鏡にて観察した。ローダミン6Gはカチオン性で脂溶性蛍光色素であり、リン脂質極性基を選択的に染色する。蛍光顕微鏡による観察画像を図8に示す。孔の内部まで蛍光が観察され、PMEMAが孔の内部においてもUV照射により架橋反応したことが確認された。図8はローダミン6G で染色した後のPE_AQ800試片の蛍光画像である。
接触角測定による表面のぬれ性評価
表面処理後の水濡れ性を接触角測定により評価した(図9)。対照サンプルとして、平滑表面を有する環状ポリオレフィン(CPO)を用いた。
CPO表面の接触角が100度程度であるのに対し、PMEPMA73, PMEPMA82, PMEPMA9で表面処理後の接触角は50-65度程度と親水的であった。PMEPMAがCPO基材表面で光架橋し、表面がホスホリルコリン基で覆われたことにより親水化したと考えられる。一方、PE_AQ800表面は多孔質構造を有するため、120度程度の高い接触角を示した。PMEPMAで表面処理後は45-80度程度と低い値を示し、多孔体であっても表面処理が可能であることが示された。

Claims (12)

  1. 次式(1):
    (式中、X及びXは、それぞれ独立して、重合した状態の重合性原子団を表し、R及びRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニル基、−C(O)−、−C(O)O−若しくは−O−で示される基、又は−CONH−若しくは−NHCOO−で示される基を表し、Rは、水素原子、水酸基、又は次式(b1):
    で示される基を表し、Rは、炭素数1〜6のアルキル基を表し、m及びnは、それぞれ独立して、2〜10の整数を表し、a及びbは、それぞれ独立して、2以上の整数を表し、Xを含む構造単位及びXを含む構造単位はランダムな順序で結合している。)
    で示されるポリマー化合物。
  2. 式(I)で示される化合物が次式(2)、(3)又は(4):
    (式中、a及びbは、それぞれ独立して、2以上の整数を表し、各モノマーユニットはランダムな順序で結合している。)
    で示される構造を有するポリマーである、請求項1に記載の化合物。
  3. a/(a+b)の値が0.50〜0.95である、請求項1又は2に記載の化合物。
  4. 多孔質基材の細孔部を親水化することができる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物を含む、表面処理剤。
  6. 水溶液の形態である、請求項5に記載の処理剤。
  7. 光活性剤をさらに含む、請求項5又は6に記載の処理剤。
  8. 光活性剤が、多ハロゲン化メチル基を有する化合物からなるものである、請求項7に記載の処理剤。
  9. 光照射処理を利用して表面処理を行うものである、請求項5〜8のいずれか1項に記載の処理剤。
  10. 請求項5〜9のいずれか1項に記載の処理剤を多孔質基材に塗布する工程、及び、塗布された当該基材に光照射処理する工程を含む、多孔質基材の表面処理方法。
  11. 請求項10に記載の方法により処理されてなる、表面処理多孔質基材。
  12. 多孔質基材の細孔部が親水化されたものである、請求項11に記載の基材。
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