WO2020196140A1 - 光学材料用重合性組成物 - Google Patents
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Abstract
臭気が低減され、かつ短時間成型が可能な光硬化性の高屈折率材料。 (a)下記(1)式で表される化合物を含む重合性組成物、それらを硬化させて得られる樹脂、及び(a)下記(1)式で表される化合物を硬化させて得られる樹脂。 (式中、Rはビニル、アリル、アクリル、メタクリル、プロペニル、マレイミド基を表し、Yは酸素原子もしくは硫黄原子を表し、nは0または1の整数を表し、pは0から2の整数を表し、qは1から3の整数を表し、p+q=3である。)
Description
本発明は、プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録基盤、フィルター等の光学材料、中でもプラスチックレンズ、色調変化材料に好適に使用される。
プラスチック材料は軽量かつ靭性に富み、また加工が容易であることから、各種光学材料、特にレンズに近年多用されている。光学材料、中でもレンズに特に要求される性能は屈折率が高いことであり、レンズの薄肉化、軽量化を可能とする。
これまでの屈折率向上検討は、主として硫黄原子の導入による熱硬化性樹脂を中心に行われている。これらの検討の中で最も優れた方法は、特許文献1に示されるエピスルフィド化合物を使用する方法であり、屈折率1.7以上を達成している。
しかしながら、硫黄を用いた化合物は臭気に難点があるため、硫黄以外の原子を用いた高屈折率材料が求められていた。また熱硬化では重合に時間がかかるため、短時間で成型できる光硬化可能な材料が求められていた。
硫黄以外の原子を用いて光学物性の改善を図る手法として金属原子の導入があるが、合成が困難なこと、および毒性の観点から問題があった。また、安全性が高いとされるビスマスを用いた手法は特許文献2および3において提案されているが、いずれも合成が困難であり実用的でなかった。さらに、特許文献2および3に記載のこれらの樹脂は熱硬化性樹脂であり、重合硬化に時間がかかっていた。ビスマスを用いた光硬化性樹脂の実用例はこれまでになかった。
臭気が低減され、かつ短時間成型が可能な光硬化性の高屈折率材料を提供する。さらにはビスマスを用いた、高い屈折率を有する光硬化性樹脂を簡便に得る方法、およびその方法により得られる光硬化性樹脂を提供する。
本発明者らは、このような状況に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、上記課題を解決し、本発明に至った。
具体的には、本発明は以下の態様を含む。
[1](a)下記(1)式で表される化合物を含む、重合性組成物。
(1)
(式中、
Rはビニル、アリル、アクリル、メタクリル、プロペニル、マレイミド基を表し、
Yは酸素原子または硫黄原子を表し、
nは0または1の整数を表し、
pは0から2の整数を表し、
qは1から3の整数を表し、
p+q=3である。)
(式中、
Rはビニル、アリル、アクリル、メタクリル、プロペニル、マレイミド基を表し、
Yは酸素原子または硫黄原子を表し、
nは0または1の整数を表し、
pは0から2の整数を表し、
qは1から3の整数を表し、
p+q=3である。)
[2]さらに、(b)チオール基を1分子中に2個以上有する化合物を含有する、[1]に記載の重合性組成物。
[3]さらに、(c)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有する化合物を含有する、[1]又は[2]のいずれかに記載の重合性組成物。
[4](a)化合物が下記(1A)式で表される化合物である、[1]~[3]のいずれかに記載の重合性組成物。
(1A)
(式中、
pは0から2の整数を表し、
qは1から3の整数を表し、
p+q=3である。)
(式中、
pは0から2の整数を表し、
qは1から3の整数を表し、
p+q=3である。)
[5]前記(b)チオール基を1分子中に2個以上有する化合物が、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼンから選択される1種以上である、[2]~[4]のいずれかに記載の重合性組成物。
[6]前記(c)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基を有する化合物が、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタアクリレート)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、およびジメチル(メタ)アクリルアミドから選ばれる少なくとも1種以上の化合物である、[3]~[5]のいずれかに記載の重合性組成物。
[7]上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の重合性組成物を、硬化触媒の存在下で重合硬化して得られる樹脂。
[8]上記[7]に記載の樹脂を含む光学材料。
[9]上記[7]に記載の樹脂を含む色調変化材料。
本発明の重合性組成物を用いることにより、ビスマスを用いた光学材料が提供可能となった。すなわち、臭気が低減され、かつ短時間成型が可能な光硬化性の高屈折率材料を得ることが可能となった。また、色調変化性を有しており、色調変化デバイス等の用途へ提供可能となった。
本発明の一実施形態において、(a)(1)式で表される化合物を含む、重合性組成物が提供される。
(1)
(式中、
Rはビニル、アリル、アクリル、メタクリル、プロペニル、マレイミド基を表し、
Yは酸素原子もしくは硫黄原子を表し、
nは0または1の整数を表し、
pは0から2の整数を表し、
qは1から3の整数を表し、
p+q=3である。)
(式中、
Rはビニル、アリル、アクリル、メタクリル、プロペニル、マレイミド基を表し、
Yは酸素原子もしくは硫黄原子を表し、
nは0または1の整数を表し、
pは0から2の整数を表し、
qは1から3の整数を表し、
p+q=3である。)
以下、各構成成分について説明する。
(a)(1)式で表される化合物(以下「(a)化合物」とも称する)は、下記の条件を満たすすべての化合物を包含する。これらは単独でも使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
(1)
(式中、
Rはビニル、アリル、アクリル、メタクリル、プロペニル、マレイミド基を表し、
Yは酸素原子もしくは硫黄原子を表し、
nは0または1の整数を表し、
pは0から2の整数を表し、
qは1から3の整数を表し、
p+q=3である。)
(式中、
Rはビニル、アリル、アクリル、メタクリル、プロペニル、マレイミド基を表し、
Yは酸素原子もしくは硫黄原子を表し、
nは0または1の整数を表し、
pは0から2の整数を表し、
qは1から3の整数を表し、
p+q=3である。)
Rはビニル、アリル、アクリル、メタクリル、プロペニル、マレイミド基を表すが、好ましくはビニル、アリル、アクリル、メタクリル基である。
本発明の好ましい実施形態において、(a)化合物は、下記(2)式または(3)式で示される化合物であり得る。本発明の好ましい実施形態において、(a)化合物は、(2)式で示される化合物である。本発明の別の好ましい実施形態において、(a)化合物は、(3)式で示される化合物である。
上記(a)化合物は、ハロゲン化合物にMgを反応させてグリニャール試薬としたのち、トリクロロビスムチンもしくはジクロロフェニルビスムチン、ジフェニルクロロビスムチンと反応させて得ることが出来る。
グリニャール試薬は通常はエーテル溶媒中で調製する。好ましい溶媒はTHFである。反応後は、そのままトリクロロビスムチン、ジクロロフェニルビスムチン、またはジフェニルクロロビスムチンを投入し、簡便にワンポットで(a)化合物を得ることが出来る。
(式中、Xはハロゲン原子を表し、Rはビニル、アリル、アクリル、メタクリル、プロペニル、マレイミド基を表し、Yは酸素原子もしくは硫黄原子を表し、nは0または1の整数を表す。)
(a)(1)式で表される化合物を含む、重合性組成物は、さらに、(b)チオール基を1分子中に2個以上有する化合物、及び/または(c)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有する化合物を含有してもよい。
本発明の一実施形態において、重合性組成物は、(1)式で表される化合物と、(b)チオール基を1分子中に2個以上有する化合物とを含み得る。
本発明の一実施形態において、(1)式で表される化合物と、(b)チオール基を1分子中に2個以上有する化合物とからなる重合性組成物が提供される。
本発明の一実施形態において、重合性組成物は、(1)式で表される化合物と、(c)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有する化合物とを含み得る。
本発明の一実施形態において、(1)式で表される化合物と、(c)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有する化合物とからなる重合性組成物が提供される。
本発明の一実施形態において、重合性組成物は、(1)式で表される化合物と、(b)チオール基を1分子中に2個以上有する化合物と、(c)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有する化合物を含み得る。
本発明の一実施形態において、(1)式で表される化合物と、(b)チオール基を1分子中に2個以上有する化合物と、(c)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有する化合物とからなる重合性組成物が提供される。
(b)チオール基を1分子中に2個以上有する化合物(以下「(b)化合物」とも称する)は、この条件を満たすすべての化合物を包含する。
(b)化合物としては、o-ジメルカプトベンゼン、m-ジメルカプトベンゼン、p-ジメルカプトベンゼン、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、メタンジチオール、1,2-ジメルカプトエタン、2,2-ジメルカプトプロパン、1,3-ジメルカプトプロパン、1,2,3-トリメルカプトプロパン、1,4-ジメルカプトブタン、1,6-ジメルカプトヘキサン、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)エタン、1,5-ジメルカプト-3-オキサペンタン、1,8-ジメルカプト-3,6-ジオキサオクタン、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジチオール、3,4-ジメトキシブタン-1,2-ジチオール、2-メルカプトメチル-1,3-ジメルカプトプロパン、2-メルカプトメチル-1,4-ジメルカプトプロパン、2-(2-メルカプトエチルチオ)-1,3-ジメルカプトプロパン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン、1,1,1-トリス(メルカプトメチル)プロパン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、4、8-ジメルカプトメチル-1、11-ジメルカプト-3、6、9-トリチアウンデカン、4、7-ジメルカプトメチル-1、11-ジメルカプト-3、6、9-トリチアウンデカン、5、7-ジメルカプトメチル-1、11-ジメルカプト-3、6、9-トリチアウンデカン、1、1、3、3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,6,7-テトラメルカプト-4-チアペンタン、エチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ブタンジオールビス(2-メルカプトアセテート)、1,4-ブタンジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,1-ジメルカプトシクロヘキサン、1,2-ジメルカプトシクロヘキサン、1,3-ジメルカプトシクロヘキサン、1,4-ジメルカプトシクロヘキサン、1,3-ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、2,5-ビス(メルカプトメチル)-1,4-ジチアン、2,5-ビス(メルカプトエチル)-1,4-ジチアン、1,2-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、ビス(4-メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4-メルカプトフェニル)エーテル、2,2-ビス(4-メルカプトフェニル)プロパン、ビス(4-メルカプトメチルフェニル)スルフィド、ビス(4-メルカプトメチルフェニル)エーテル、2,2-ビス(4-メルカプトメチルフェニル)プロパン等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、これらは単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
(b)化合物として好ましい化合物は、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、2,5-ビス(メルカプトメチル)-1,4-ジチアン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン、1,2,6,7-テトラメルカプト-4-チアペンタン、4、8-ジメルカプトメチル-1、11-ジメルカプト-3、6、9-トリチアウンデカン、4、7-ジメルカプトメチル-1、11-ジメルカプト-3、6、9-トリチアウンデカン、5、7-ジメルカプトメチル-1、11-ジメルカプト-3、6、9-トリチアウンデカン、1、1、3、3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼンが挙げられる。さらに最も好ましい化合物の具体例としては、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼンが挙げられる。
(a)化合物と、(b)化合物との割合は任意であるが、好ましい組成の範囲は、(a)化合物中の二重結合の数/(b)化合物中のSH基の数の比が0.5~10.0であり、より好ましくは0.8~5.0であり、最も好ましくは0.9~1.2である。上記の比が0.5未満であるか、または10.0を超えた場合、十分に重合せず耐熱性が低下する場合がある。
(c)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有する化合物(以下「(c)化合物」とも称する)は、この条件を満たすすべての化合物を包含する。
(c)化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタアクリレート)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、およびジメチル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、これらは単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
(a)化合物と、(c)化合物との割合は任意である。(c)化合物を混合することにより、重合性組成物の粘度をハンドリングしやすい範囲に調整したり、溶液の均一性を向上させたり、硬化後に均質な硬化物を作製することができる。また、(c)化合物を混合することにより、硬化後の樹脂の機械強度、屈折率等の光学特性を調整することができる。
(a)化合物と、(b)化合物と、(c)化合物との割合は任意である。好ましい組成の範囲は、[(a)化合物中の二重結合の数+(c)化合物中の二重結合の数]/(b)化合物中のSH基の数の比が0.5~10.0であり、より好ましくは0.8~5.0であり、最も好ましくは0.9~1.2である。上記の比が0.5未満であるか、または10.0を超えた場合、十分に重合せず耐熱性が低下する場合がある。
本発明の別の実施形態において、上記(a)化合物を、重合硬化して得られる樹脂が提供される。
本発明の重合性組成物および(a)化合物は不飽和二重結合を含む重合性基を有するため、重合反応により硬化し、樹脂が得られる。重合反応としては、光による重合硬化や熱による重合硬化応等が挙げられるが、短時間で重合可能である光重合硬化の方が好ましい。熱硬化と光硬化とを組み合わせてもよい。
本発明の重合性組成物を重合反応させて光学材料を得るに際して、重合反応を促進するため重合触媒を添加することが好ましい。すなわち、本発明の組成物は前記光学材料用組成物と重合触媒とを含む重合硬化性組成物でありうる。したがって、本発明の一実施形態では、重合触媒を含む重合性組成物を、紫外線または可視光の照射により硬化させることを特徴とする硬化物の製造方法が提供される。
本発明の(a)化合物を重合反応させる反応は、重合硬化触媒の存在下または非存在下で実施することができる。本発明の一実施形態において、(a)化合物を重合反応させる反応は、重合硬化触媒の存在下で行われてよい。本発明の別の実施形態において、(a)化合物を重合反応させる反応は、重合硬化触媒の非存在下で行われてよい。
光重合反応の場合、本発明の重合性組成物または(a)化合物を、光線(活性エネルギー線)の照射により硬化させることにより、硬化物としての樹脂が製造される。光線としては、組成物の硬化が可能であれば特に制限されないが、通常、紫外線、可視光線、放射線、電子線であり、好ましくは紫外線または可視光であり、より好ましくは重合速度が速いことから紫外線である。光線の照射強度は特に制限されないが、通常10~100000mW/cm2である。照射時間は特に制限されないが、通常1分間~数時間、例えば1~60分間である。照射温度は特に制限されず、室温付近で重合可能である。重合性組成物または(a)化合物が室温で固体の場合は、融点以上の温度まで加熱しながら光硬化を行う場合もある。
重合触媒としては、特に制限はなく、反応物の種類、重合条件等に合わせて、適宜選択すればよい。光重合の場合、光(好ましくは活性エネルギー線)の照射によりラジカルを発生する化合物(光分解型ラジカル重合開始剤)が好ましく、具体例としては、ベンゾイン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体等が挙げられるが、これらに限定されない。その中でも市販品として、ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン(チバ・スペシャルティケミカルズの商品名イルガキュア(Irgacure)(登録商標)184)、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(イルガキュア(Irgacure)(登録商標)651)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(イルガキュア(Irgacure)(登録商標)2959)等が好ましく使用される。
あるいは、光重合反応に用いる重合触媒として、酸化剤と還元剤との共存でラジカル(遊離基)を発生する化合物(レドックス系重合開始剤)を使用することも好ましい。具体例としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酸化水素、t-ブチルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド等の過酸化物等から選択される酸化物と、L-アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム等から選択される還元性化合物とを組み合わせた系が挙げられる。
あるいは、光重合反応に用いる重合触媒として、可視光等の光の照射によりラジカルを発生する光レドックス触媒も好ましく使用される。具体例としては、ルテニウム(II)ポリピリジル錯体(例えば、Ru(bpz)3-(PF6)2触媒等)、イリジウム(III)フェニルピリジル錯体等の遷移金属錯体が挙げられる。
熱重合反応の場合、本発明の組成物または(a)化合物を、加熱によって重合(硬化)させることで硬化物としての樹脂が製造される。
熱重合反応に用いる重合触媒として、加熱によりラジカルを発生する化合物(熱分解型ラジカル重合開始剤)が好ましい。具体例としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;t-ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-2(-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)等のアゾ化合物が挙げられる。
重合触媒一種を単独でまたは複数種を混合して使用することができる。
重合触媒の添加量は、組成物の成分または(a)化合物、混合比及び重合硬化方法によって変化するため一概には決められないが、通常は重合性組成物または(a)化合物の合計100質量%に対して、0.0001質量%~10質量%、好ましくは、0.001質量%~5質量%、より好ましくは、0.01質量%~1質量%、最も好ましくは、0.01質量%~0.5質量%である。添加量が10質量%より多いと急速に重合する場合がある。添加量が0.0001質量%より少ないと十分に硬化せず耐熱性が不良となる場合がある。したがって、本発明の好ましい一形態において、樹脂の製造方法は重合触媒を前記重合性組成物または(a)化合物の総量に対して0.0001~10質量%添加し、重合硬化させる工程を含む。
本発明の組成物または(a)化合物の加熱による重合(硬化)は通常、以下のようにして行われる。即ち、硬化時間は通常1~100時間であり、硬化温度は通常-10℃~140℃である。重合は所定の重合温度で所定時間保持する工程、0.1℃~100℃/hの昇温を行う工程、0.1℃~100℃/hの降温を行う工程によって、あるいはこれらの工程を組み合わせて行う。なお、硬化時間とは昇温過程等を含めた重合硬化時間をいい、所定の重合(硬化)温度で保持する工程に加えて、所定の重合(硬化)温度へと昇温・冷却工程を含む。
重合硬化工程(光重合及び熱重合)は特に限定されないが、金属、セラミック、ガラス、樹脂製等の金型を用いた硬化工程であることが好適である。具体的には、組成物または(a)化合物の各成分(光学材料組成物の各成分または(a)化合物、重合触媒等)を混合する。これらは、全て同一容器内で同時に撹拌下に混合しても、各原料を段階的に添加混合しても、数成分を別々に混合後さらに同一容器内で再混合しても良い。また、各原料及び副原料はいかなる順序で混合してもよい。混合にあたり、設定温度、これに要する時間等は基本的には各成分が十分に混合される条件であれば良い。このようにして得られた重合性組成物または(a)化合物はモールド等の型に注型し、加熱や紫外線等の光線の照射によって重合硬化反応が進められた後、型から外される。このようにして、本発明の重合性組成物または(a)化合物を硬化した樹脂が得られる。重合反応(硬化工程)は、空気中、又は、窒素等の不活性ガス雰囲気下、減圧下又は加圧下のいずれの雰囲気下でも行うことができる。
硬化終了後、得られた樹脂を50~150℃の温度で10分~5時間程度アニール処理を行うことは、歪を除くために好ましい処理である。さらに得られた樹脂に対して、必要に応じてハードコート、反射防止、等の表面処理を行ってもよい。
本発明の樹脂を製造する際、重合性組成物または(a)化合物に紫外線吸収剤、酸化防止剤、密着性改善剤、離型剤等の添加剤を加え、得られる樹脂の実用性をより向上させることもできる。
本発明の重合性組成物または(a)化合物は、上述のようにして高い屈折率、光重合硬化性、熱重合硬化性等の少なくとも一つの特性に優れた樹脂を与えることができる。このように、上記組成物または(a)化合物を硬化させて得られる樹脂(硬化物)もまた、本発明の一実施形態である。
(a)化合物を硬化させて得られる樹脂(硬化物)の色調の変化は、光の照射、酸化還元、電気的刺激、力学的刺激、温度等、色調の変化をもたらす刺激であればいかなる刺激によってもたらされても良い。色調の変化をもたらす刺激としては、上記の中で、光の照射、電気的刺激、酸化還元が好ましく、光の照射、電気的刺激がより好ましい。
本発明の一実施形態は、本発明の重合性組成物または(a)化合物を重合硬化して得られる樹脂を用いて作製される成形体を提供する。成形体は、例えば、光学材料(部材)、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料等の他、塗料や接着剤の材料、色調変化材料等の各種用途に有用である。中でも、光学材料、例えば、眼鏡レンズ、(デジタル)カメラ用撮像レンズ、光ビーム集光レンズ、光拡散用レンズ等のレンズ、LED用封止材、光学用接着剤、光伝送用接合材料、プリズム、フィルター、回折格子、ウォッチガラス、表示装置用のカバーガラス等の透明ガラスやカバーガラス等の光学用途;LCDや有機ELやPDP等の表示素子用基板、カラーフィルター用基板、タッチパネル用基板、ディスプレイバックライト、導光板、ディスプレイ保護膜、反射防止フィルム、防曇フィルム等のコーティング剤(コーティング膜)等の表示デバイス用途;光メモリ、電子ペーパー等の記録媒体;紫外線チェッカー等のセンサー材料;窓ガラス、サングラス、自動車用ウィンドウガラス等の調光材料;繊維製品、化粧品素材、フォトクロミック材料、その他プリント材等の色調変化材料等が好適である。上記光学材料としては、特に、光学用接着剤、プリズム、コーティング剤であることが好適である。
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、得られたモノマー及びレンズの評価は以下の方法で行った。
NMR:日本電子株式会社製(ECX-400)を用い測定した。
融点:柳本製作所社製の融点測定器を用い測定した。
屈折率:アタゴ社製アッベ屈折計NAR-4Tを用い、d線での屈折率を25℃で測定した。
NMR:日本電子株式会社製(ECX-400)を用い測定した。
融点:柳本製作所社製の融点測定器を用い測定した。
屈折率:アタゴ社製アッベ屈折計NAR-4Tを用い、d線での屈折率を25℃で測定した。
合成例1
(トリスチリルビスムチンの合成例)
窒素雰囲気下にて、THF(25ml)に塩化ビスマス(III)(BiCl3:1.16g(3.00mmol)を分散させた。この分散液を0℃まで冷却し、(4-ビニルフェニル)マグネシウムブロミド(1.0M、10ml、10mmol)を滴下し、温度を保ったまま一時間攪拌した。その後、還流しながらさらに2時間攪拌した。反応終了後、氷浴中で冷やしながら飽和塩化アンモニウム水溶液100mlを加え、50mlジエチルエーテルで3回抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去し、アルミナカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)にて目的物を単離した。さらにヘキサンから再結晶することで、トリスチリルビスムチンを淡黄色結晶として収率78%(1.22g、2.34mmol)で得た。なお、本化合物には硫黄化合物のような臭気は無い。
(トリスチリルビスムチンの合成例)
窒素雰囲気下にて、THF(25ml)に塩化ビスマス(III)(BiCl3:1.16g(3.00mmol)を分散させた。この分散液を0℃まで冷却し、(4-ビニルフェニル)マグネシウムブロミド(1.0M、10ml、10mmol)を滴下し、温度を保ったまま一時間攪拌した。その後、還流しながらさらに2時間攪拌した。反応終了後、氷浴中で冷やしながら飽和塩化アンモニウム水溶液100mlを加え、50mlジエチルエーテルで3回抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去し、アルミナカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)にて目的物を単離した。さらにヘキサンから再結晶することで、トリスチリルビスムチンを淡黄色結晶として収率78%(1.22g、2.34mmol)で得た。なお、本化合物には硫黄化合物のような臭気は無い。
トリスチリルビスムチンの融点、NMR測定結果を以下に示す。
融点:70.8-72.1℃
1H-NMR(400MHz,CDCl3,δ);7.70(d,J=8.2Hz, 6H),7,41(d,J=7.7Hz,6H),6.68(dd,J=17.7,10.9Hz,3H),5.75(d,J=17.7Hz,3H),5.23(d,J=10.9Hz,3H).
13C-NMR(100MHz、CDCl3,δ);154.9,137.6,136.9, 130.2,128.3,114.0.
融点:70.8-72.1℃
1H-NMR(400MHz,CDCl3,δ);7.70(d,J=8.2Hz, 6H),7,41(d,J=7.7Hz,6H),6.68(dd,J=17.7,10.9Hz,3H),5.75(d,J=17.7Hz,3H),5.23(d,J=10.9Hz,3H).
13C-NMR(100MHz、CDCl3,δ);154.9,137.6,136.9, 130.2,128.3,114.0.
合成例2
(フェニルジスチリルビスムチンの合成例)
窒素雰囲気下にて、塩化ビスマス(III)(BiCl3: 1.05g(3.33mmol))のジエチルエーテル(10ml)分散液に、トリフェニルビスムチン(Ph3Bi: 0.734g(1.67mmol))のジエチルエーテル(10ml)分散液を滴下し、室温にて8時間攪拌した。この混合液を0℃まで冷却し、(4-ビニルフェニル)マグネシウムブロミド(1.0M、 12ml、12mmol)を滴下し、温度を保ったまま一時間攪拌した。その後、還流しながらさらに2時間攪拌した。反応終了後、氷浴中で冷やしながら飽和塩化アンモニウム水溶液100mlを加え、50mlジエチルエーテルで3回抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去し、アルミナカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製することで、フェニルジスチリルビスムチンを淡黄色粘性体として収率56%(1.39g、2.82mmol)で得た。なお、本化合物には硫黄化合物のような臭気は無い。
(フェニルジスチリルビスムチンの合成例)
窒素雰囲気下にて、塩化ビスマス(III)(BiCl3: 1.05g(3.33mmol))のジエチルエーテル(10ml)分散液に、トリフェニルビスムチン(Ph3Bi: 0.734g(1.67mmol))のジエチルエーテル(10ml)分散液を滴下し、室温にて8時間攪拌した。この混合液を0℃まで冷却し、(4-ビニルフェニル)マグネシウムブロミド(1.0M、 12ml、12mmol)を滴下し、温度を保ったまま一時間攪拌した。その後、還流しながらさらに2時間攪拌した。反応終了後、氷浴中で冷やしながら飽和塩化アンモニウム水溶液100mlを加え、50mlジエチルエーテルで3回抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去し、アルミナカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製することで、フェニルジスチリルビスムチンを淡黄色粘性体として収率56%(1.39g、2.82mmol)で得た。なお、本化合物には硫黄化合物のような臭気は無い。
フェニルジスチリルビスムチンのNMR測定結果を以下に示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl3,δ);7.77-7.63(6H),7.44-7.28(7H),6.68(dd,J=17.7,10.9Hz,3H),5.75(d,J=17.7Hz,3H),5.23(d,J=10.9Hz,3H).
13C-NMR(100MHz、CDCl3,δ);155.3, 138.1,137.8,137.2,137.1,130.8,128.5,128.1,114.3.
1H-NMR(400MHz,CDCl3,δ);7.77-7.63(6H),7.44-7.28(7H),6.68(dd,J=17.7,10.9Hz,3H),5.75(d,J=17.7Hz,3H),5.23(d,J=10.9Hz,3H).
13C-NMR(100MHz、CDCl3,δ);155.3, 138.1,137.8,137.2,137.1,130.8,128.5,128.1,114.3.
合成例3
(ジフェニルスチリルビスムチンの合成例)
窒素雰囲気下にて、塩化ビスマス(III)(BiCl3: 3.15g(10.0mmol))のジエチルエーテル(30ml)分散液に、トリフェニルビスムチン(Ph3Bi: 8.81g(20.0mmol))のジエチルエーテル(30ml)分散液を滴下し、室温にて8時間攪拌した。この混合液を0℃まで冷却し、(4-ビニルフェニル)マグネシウムブロミド(1.0M、 36ml、36mmol)を滴下し、温度を保ったまま一時間攪拌した。その後、還流しながらさらに2時間攪拌した。反応終了後、氷浴中で冷やしながら飽和塩化アンモニウム水溶液100mlを加え、50mlジエチルエーテルで3回抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去し、アルミナカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製することで、ジフェニルスチリルビスムチンを淡黄色粘性体として収率76%(10.6g、22.8mmol)で得た。なお、本化合物には硫黄化合物のような臭気は無い。
(ジフェニルスチリルビスムチンの合成例)
窒素雰囲気下にて、塩化ビスマス(III)(BiCl3: 3.15g(10.0mmol))のジエチルエーテル(30ml)分散液に、トリフェニルビスムチン(Ph3Bi: 8.81g(20.0mmol))のジエチルエーテル(30ml)分散液を滴下し、室温にて8時間攪拌した。この混合液を0℃まで冷却し、(4-ビニルフェニル)マグネシウムブロミド(1.0M、 36ml、36mmol)を滴下し、温度を保ったまま一時間攪拌した。その後、還流しながらさらに2時間攪拌した。反応終了後、氷浴中で冷やしながら飽和塩化アンモニウム水溶液100mlを加え、50mlジエチルエーテルで3回抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去し、アルミナカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製することで、ジフェニルスチリルビスムチンを淡黄色粘性体として収率76%(10.6g、22.8mmol)で得た。なお、本化合物には硫黄化合物のような臭気は無い。
ジフェニルスチリルビスムチンのNMR測定結果を以下に示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl3,δ);7.79-7.68(6H),7.45-7.29(8H),6.67(dd,J=17.7,10.9Hz,1H),5.75(d,J=17.2Hz,1H),5.23(d,J=10.9Hz,1H).
13C-NMR(100MHz、CDCl3,δ);155.2,137.9,137.6,137.0,130.6,128.3,127.8,114.1.
1H-NMR(400MHz,CDCl3,δ);7.79-7.68(6H),7.45-7.29(8H),6.67(dd,J=17.7,10.9Hz,1H),5.75(d,J=17.2Hz,1H),5.23(d,J=10.9Hz,1H).
13C-NMR(100MHz、CDCl3,δ);155.2,137.9,137.6,137.0,130.6,128.3,127.8,114.1.
実施例1
(a)化合物としてトリスチリルビスムチン(0.200g、0.385mmol)、(b)化合物としてペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオナート)(0.141g、0.289mmol)、および2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(イルガキュア(Irgacure)(登録商標)651))(3mol%)をジクロロメタン(1.0ml)に溶解させて、室温で攪拌し均一液とした。その後紫外線ランプ(セン特殊光源株式会社製ハンディキュアラブHLR100T-2(強度12,000μW/cm2、波長365nm))を用いて15分間照射し硬化させた。その後減圧乾燥し、ジクロロメタンを除去した。得られた樹脂の屈折率を測定し、その結果を表1に示した。
(a)化合物としてトリスチリルビスムチン(0.200g、0.385mmol)、(b)化合物としてペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオナート)(0.141g、0.289mmol)、および2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(イルガキュア(Irgacure)(登録商標)651))(3mol%)をジクロロメタン(1.0ml)に溶解させて、室温で攪拌し均一液とした。その後紫外線ランプ(セン特殊光源株式会社製ハンディキュアラブHLR100T-2(強度12,000μW/cm2、波長365nm))を用いて15分間照射し硬化させた。その後減圧乾燥し、ジクロロメタンを除去した。得られた樹脂の屈折率を測定し、その結果を表1に示した。
実施例2
(b)化合物として1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン(0.100g、0.385mmol)を使用する以外は、実施例1と同様に行った。得られた樹脂の屈折率を測定し、その結果を表1に示した。
(b)化合物として1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン(0.100g、0.385mmol)を使用する以外は、実施例1と同様に行った。得られた樹脂の屈折率を測定し、その結果を表1に示した。
実施例1~2で得られた樹脂の屈折率は、得られた樹脂の屈折率はポリスチレンの1.59より高かった。
実施例3
(a)化合物としてトリスチリルビスムチン(0.200g、0.385mmol)を、真空オーブン中にて、120℃で3時間加熱し、その後さらに80℃にて12時間加熱し硬化させた。得られた樹脂の屈折率及びアッベ数を測定し、その結果を表2に示した。
(a)化合物としてトリスチリルビスムチン(0.200g、0.385mmol)を、真空オーブン中にて、120℃で3時間加熱し、その後さらに80℃にて12時間加熱し硬化させた。得られた樹脂の屈折率及びアッベ数を測定し、その結果を表2に示した。
実施例4
(a)化合物としてトリスチリルビスムチン(0.200g、0.385mmol)およびAIBN(1mol%)を加え、80℃で5分間加熱し硬化させた。得られた樹脂の屈折率及びアッベ数を測定し、その結果を表2に示した。
(a)化合物としてトリスチリルビスムチン(0.200g、0.385mmol)およびAIBN(1mol%)を加え、80℃で5分間加熱し硬化させた。得られた樹脂の屈折率及びアッベ数を測定し、その結果を表2に示した。
実施例5
(a)化合物としてフェニルジスチリルビスムチン(0.200g、0.407mmol)、およびベンゾイルペルオキシド(BPO)(1mol%)を混合、真空オーブン中にて、100℃で48時間加熱し硬化させた。得られた樹脂の屈折率及びアッベ数を測定し、その結果を表2に示した。
(a)化合物としてフェニルジスチリルビスムチン(0.200g、0.407mmol)、およびベンゾイルペルオキシド(BPO)(1mol%)を混合、真空オーブン中にて、100℃で48時間加熱し硬化させた。得られた樹脂の屈折率及びアッベ数を測定し、その結果を表2に示した。
実施例3~5で得られた樹脂の屈折率は、ポリスチレンの1.59より高かった。また、実施例3~5で得られた樹脂のアッベ数は18.8~21.5となった。
実施例6
(a)化合物としてトリスチリルビスムチン(0.200g、0.385mmol)、ジフェニルスチリルビスムチン(0.200g、0.428mmol)、およびベンゾイルペルオキシド(BPO)(1mol%)を混合し、真空オーブン中にて、85℃で72時間加熱し硬化させた。実施例6で得られた樹脂のフィルム均一性、屈折率、及びアッベ数を測定し、その結果を表3に示した。実施例6では、良好なフィルムが得られた。
(a)化合物としてトリスチリルビスムチン(0.200g、0.385mmol)、ジフェニルスチリルビスムチン(0.200g、0.428mmol)、およびベンゾイルペルオキシド(BPO)(1mol%)を混合し、真空オーブン中にて、85℃で72時間加熱し硬化させた。実施例6で得られた樹脂のフィルム均一性、屈折率、及びアッベ数を測定し、その結果を表3に示した。実施例6では、良好なフィルムが得られた。
実施例7
(a)化合物としてフェニルジスチリルビスムチン(60.0mg、0.122mmol)、(b)化合物としてペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオナート)(0.306g、0.626mmol)、(c)化合物としてネオペンチルジアクリレート(0.240g,1.13mmol)および2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(イルガキュア(Irgacure)(登録商標)TPO))(1mol%)を混合し均一液とした。その後、紫外線照射器(シーシーエス株式会社製HLDL-100U6-4UPSC(強度300mW/cm2、波長365nm))を用いて30秒間照射し硬化させた。その結果を表4~5に示した。
(a)化合物としてフェニルジスチリルビスムチン(60.0mg、0.122mmol)、(b)化合物としてペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオナート)(0.306g、0.626mmol)、(c)化合物としてネオペンチルジアクリレート(0.240g,1.13mmol)および2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(イルガキュア(Irgacure)(登録商標)TPO))(1mol%)を混合し均一液とした。その後、紫外線照射器(シーシーエス株式会社製HLDL-100U6-4UPSC(強度300mW/cm2、波長365nm))を用いて30秒間照射し硬化させた。その結果を表4~5に示した。
実施例8~10
(a)化合物としてフェニルジスチリルビスムチンと、(c)化合物としてネオペンチルジアクリレートとの重量比((a)/(c))を、10/90~30/70まで変え、更に、(a)化合物としてフェニルジスチリルビスムチンと、(b)化合物としてペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオナート)と、(c)化合物としてネオペンチルジアクリレートとのモル比が下記式:
(((a)×2+(c)×2)/((b)×4))=1/1
を満たす組成について、実施例1と同様の手法により硬化させてそれぞれ樹脂を得た(実施例8~10)。上記式は、((a)×2+(c)×2)で表されるアルケンの官能基数と、((b)×4)で表されるチオールの官能基数とが、一致することを示す。なお、実施例8では光源として水銀ランプを用いた。得られた樹脂のフィルム均一性、屈折率、及びアッベ数を測定し、その結果を表4~5に示した。
(a)化合物としてフェニルジスチリルビスムチンと、(c)化合物としてネオペンチルジアクリレートとの重量比((a)/(c))を、10/90~30/70まで変え、更に、(a)化合物としてフェニルジスチリルビスムチンと、(b)化合物としてペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオナート)と、(c)化合物としてネオペンチルジアクリレートとのモル比が下記式:
(((a)×2+(c)×2)/((b)×4))=1/1
を満たす組成について、実施例1と同様の手法により硬化させてそれぞれ樹脂を得た(実施例8~10)。上記式は、((a)×2+(c)×2)で表されるアルケンの官能基数と、((b)×4)で表されるチオールの官能基数とが、一致することを示す。なお、実施例8では光源として水銀ランプを用いた。得られた樹脂のフィルム均一性、屈折率、及びアッベ数を測定し、その結果を表4~5に示した。
比較例1
比較例1として、フェニルジスチリルビスムチンを含まない組成(モル比:((c)×2)/((b)×4)=1/1とした組成)について、実施例1と同様の手法により硬化させて樹脂を得た(比較例1)。得られた樹脂のフィルム均一性、屈折率、及びアッベ数を測定し、その結果を表4~5に示した。
比較例1として、フェニルジスチリルビスムチンを含まない組成(モル比:((c)×2)/((b)×4)=1/1とした組成)について、実施例1と同様の手法により硬化させて樹脂を得た(比較例1)。得られた樹脂のフィルム均一性、屈折率、及びアッベ数を測定し、その結果を表4~5に示した。
フォロクトミック性
実施例7~10では、良好なフィルムが得られた。また、実施例7、9、10の樹脂は、紫外線ランプ(セン特殊光源株式会社製ハンディキュアラブHLR100T-2(強度12,000μW/cm2、波長365nm))を用いて、5分間光照射することで樹脂が黄色~黒色に着色した。着色した樹脂を24時間暗所に保管していたところ、退色して無色~淡黄色になった。光照射による着色および暗所での静置による退色の操作を、複数回実施したが、同様の現象が繰り返し観測された。一方、比較例1では、無色透明のフィルムが得られたものの、光照射による着色や暗所静置による退色は観測されなかった(表5)。
実施例7~10では、良好なフィルムが得られた。また、実施例7、9、10の樹脂は、紫外線ランプ(セン特殊光源株式会社製ハンディキュアラブHLR100T-2(強度12,000μW/cm2、波長365nm))を用いて、5分間光照射することで樹脂が黄色~黒色に着色した。着色した樹脂を24時間暗所に保管していたところ、退色して無色~淡黄色になった。光照射による着色および暗所での静置による退色の操作を、複数回実施したが、同様の現象が繰り返し観測された。一方、比較例1では、無色透明のフィルムが得られたものの、光照射による着色や暗所静置による退色は観測されなかった(表5)。
Claims (9)
- さらに、(b)チオール基を1分子中に2個以上有する化合物を含有する、請求項1に記載の重合性組成物。
- さらに、(c)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有する化合物を含有する、請求項1又は2のいずれかに記載の重合性組成物。
- 前記(b)チオール基を1分子中に2個以上有する化合物が、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼンから選択される1種以上である、請求項2~4のいずれかに記載の重合性組成物。
- 前記(c)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基を有する化合物が、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタアクリレート)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、およびジメチル(メタ)アクリルアミドから選ばれる少なくとも1種以上の化合物である、請求項3~5のいずれかに記載の重合性組成物。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の重合性組成物を、硬化触媒の存在下で重合硬化して得られる樹脂。
- 請求項7に記載の樹脂を含む光学材料。
- 請求項7に記載の樹脂を含む色調変化材料。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US20220317572A1 (en) * | 2021-04-01 | 2022-10-06 | International Business Machines Corporation | Organometallic photoresists for duv or euv lithography |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US3109851A (en) * | 1959-03-16 | 1963-11-05 | M & T Chemicals Inc | Vinylphenylmetal compounds |
WO1990003036A1 (en) * | 1988-09-12 | 1990-03-22 | Johannes Smid | Homogeneous radiopaque polymer-organobismuth composites |
-
2020
- 2020-03-18 JP JP2021509246A patent/JPWO2020196140A1/ja active Pending
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Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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