WO2020116347A1 - 防護服 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の防護服では、着用者の呼気等によって、服本体の内部の環境が悪化していくため、着用者は、作業を長時間、快適に行うことが困難であった。 【解決手段】異物に対する人体の防護に用いられる防護服であって、人体の少なくとも一部を覆う服本体を具備し、服本体に、服本体の内部を換気するためのファンが埋め込まれた防護服により、服本体の内部の環境の悪化を抑制することで、作業を長時間、快適に行える防護服を提供できる。
Description
本発明は、異物に対する人体の防護に用いられる防護服に関するものである。
従来、つなぎ形態の防護服本体の前面に、上方より股下部の近傍位置まで開閉可能なファスナーを取付けると共に、防護服本体の内側の背後位置に、廃棄時の防護服本体を収納するための収納袋部を取付け、この収納袋部の内面と外面の双方に結束バンドを取付けたことにより、防護服の廃棄時に、表面に付着したウイルスが飛散しないようにして、二次感染を防ぐことができる感染防護服が存在した(例えば、特許文献1参照)。
しかし、従来の防護服では、着用者の呼気や汗、体温等によって、服本体の内部の環境が悪化(例えば、湿度、温度、炭酸ガス濃度等が上昇)していくため、作業を長時間、快適に行うことは困難であった。
本第一の発明の防護服は、異物に対する人体の防護に用いられる防護服であって、人体の少なくとも一部を覆う服本体を具備し、服本体に、服本体の内部を換気するためのファンが埋め込まれた防護服である。
上記構成において、ファンは、服本体の、口または鼻に近い位置に埋め込まれることは好適である。ファンは、服本体の、口または鼻に近い位置であれば、例えば、口と同じ高さに埋め込まれてもよいし、口に対応する位置から7.5cm以下または7.5cm未満の距離の位置に埋め込まれてもよいし、口に対応する位置から10cm以下または10cm未満の距離の位置に埋め込まれてもよいし、口に対応する位置から15cm以下または15cm未満の距離の位置に埋め込まれてもよいし、のどぼとけの位置に埋め込まれてもよく、その埋め込み位置は問わない。ただし、例えば、服本体が人体の全部を覆う場合、ファンは、着用者の視界を遮らない位置に埋め込まれることは好適である。
かかる構成により、服本体の内部の環境の悪化を抑制することで、作業を長時間、快適に行うことが可能な防護服を提供できる。
また、本第二の発明の防護服は、第一の発明に対して、ファンは、服本体の、口に対応する位置からの距離が閾値以下または閾値未満の位置に埋め込まれる防護服である。閾値は、例えば、10cm、15cm、7.5cm等であるが、その数値は問わない。ただし、閾値は、例えば、小さい値ほど、高い換気効率を得やすくなるため、好適である。
かかる構成により、呼気が籠りやすい口付近にファンが存在することで、服本体の内部の効率的な換気が可能な防護服を提供できる。
また、本第三の発明の防護服は、第一または第二の発明に対して、ファンは、服本体の、体の中央に対応する位置に埋め込まれる防護服である。
かかる構成により、服本体の内部の効率的な換気が可能な防護服を提供できる。
また、本第四の発明の防護服は、第一から第三いずれか1つの発明に対して、ファンは、プロペラと、プロペラを少なくとも内蔵する筐体とを有する防護服である。
かかる構成により、ファンを埋め込むことで、服本体の内部の換気が可能な防護服を提供できる。
なお、第四の発明において、筐体の、プロペラの回転面に平行な方向の最大径は、例えば、35mmから50mmの範囲であってもよい。
かかる構成により、小型のファンを埋め込むことで、着用感の悪化を抑えつつ、服本体の内部の換気が可能な防護服を提供できる。
なお、第四の発明において、筐体の、プロペラの回転面に垂直な方向の最大厚は、5mmから7mmの範囲であってもよい。
かかる構成により、小型かつ薄型のファンを埋め込むことで、着用感の悪化を一層抑えつつ、服本体の内部の換気が可能な防護服を提供できる。
または、第一から第三いずれか1つの発明において、ファンは、プロペラと、プロペラを少なくとも内蔵する筐体とを有し、筐体の、プロペラの回転面に垂直な方向の最大厚は、プロペラの回転面に平行な方向の最大径に対して、10分の1から5分の1の範囲であってもよい。
かかる構成により、薄型のファンを埋め込むことで、着用感を損なうことなく、服本体の内部の換気が可能な防護服を提供できる。
こうして、小型または薄型の少なくとも一方の特徴を有するファンを埋め込むことで、着用感と、換気効率とのバランスが取れた防護服を提供できる。
また、本第五の発明の防護服は、第一から第四いずれか1つの発明に対して、ファンは、プロペラと、プロペラを駆動するモータと、モータに電力を供給するバッテリと、プロペラ、モータ、およびバッテリを内蔵する筐体とを具備する防護服である。
かかる構成により、バッテリ内蔵型のファンを埋め込むことで、例えば、服本体にバッテリを取り付けるための部材等が不要となる結果、着用感を損なうことなく、服本体の内部の換気が可能な防護服を提供できる。
また、本第六の発明の防護服は、第一から第五いずれか1つの発明に対して、服本体には、ファンが埋め込まれる埋込孔が形成され、埋込孔の周囲に本体側着脱部が設けられ、ファンは、プロペラと、プロペラを少なくとも内蔵する筐体とを有し、筐体には、吸気孔および排気孔が形成され、吸気孔の周囲に、本体側着脱部と着脱可能に係合するファン側着脱部が設けられる防護服である。
かかる構成により、着脱可能なファンを装着することで、服本体の内部の換気が可能となる防護服を提供できる。
なお、第六の発明において、吸気孔は、筐体の、プロペラの回転面と対向する位置に設けられ、排気孔は、筐体の、プロペラの回転面を含む平面と直交する位置に設けられてもよい。これにより、服本体の内部の効率的な換気が可能となる。
また、本第七の発明の防護服は、第六の発明に対して、ファンが服本体から離脱している場合、埋込孔は、ファン側着脱部と同等の部材を有する蓋で密閉される防護服である。
かかる構成により、ファンを外した状態では、蓋を装着することで、服本体の内部の気密性を保つことができる防護服を提供できる。
なお、第六の発明において、ファンは、服本体の内部から外部への排気を行う排気ファンであり、埋込孔には、服本体の内部から外部への排気のみを許容し、服本体の外部から内部への吸気を許容しない単方向バルブが埋め込まれてもよい。この場合、本体側着脱部は、埋込孔の周囲に設けられてもよいし、単方向バルブに設けられてもよい。それによって、ファンが服本体から離脱している場合でも、服本体の内部に外気が入り込むことがなくなり、蓋は不要になる。
本発明によれば、服本体に、その内部を換気するためのファンを埋めこんだことで、服本体の内部の環境の悪化を抑制することができ、その結果、作業を長時間、快適に行うことが可能な防護服を提供できる。
以下、防護服の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の機能を有するので、再度の説明を省略する場合がある。
本実施の形態において、異物に対する人体の防護に用いられる防護服であり、ファン21が埋め込まれた防護服1について説明する。
異物は、例えば、病原体、化学物質、放射性物質などであるが、人体に影響を与え得るものであれば、その種類は問わない。
防護服1は、例えば、ウイルスや細菌等の病原体に対する感染予防に用いられる防護服であることは好適である。防護服1は、特に、例えば、エボラや鳥インフルエンザ等の高病原性微生物に対する感染防止用の防護服であることは、より好適である。防護服1は、高病原性ウイルス等の高リスクの病原体の感染源に対して、例えば、医療や検査等の作業を行う医師、看護師、検疫職員等の人員の感染防止に有益である。
ただし、防護服1は、例えば、毒物や薬品等の化学物質に対する曝露防止に用いられる防護服であってもよい。また、防護服1は、例えば、アスベスト等の発がん性物質や、核廃棄物等の放射性物質を含んだ粉塵の吸引防止に用いられる防護服であってもよい。さらに、防護服1は、例えば、放射性物質からの放射線の被ばく防止に用いられる防護服であってもよく、その用途は問わない。防護服1は、高リスクの物質に対して作業する人員の防護にも有益である。
なお、本実施の形態における防護服1は、例えば、バックエントリー(リアエントリーともいう)仕様の防護服である。バックエントリー仕様とは、ユーザが防護服を着たり脱いだりするための開閉部12を、背面側に設けた仕様である。背面側とは、側面も含んでよいし、側面を含まなくてもよい。ただし、防護服1は、服本体11の前面に開閉部12が設けられたフロントエントリー仕様であってもよく、開閉部12の位置は問わない。
図1は、本実施の形態における防護服1の正面図である。防護服1は、服本体11、および1または2以上のファン21を備える。
服本体11は、人体の少なくとも一部を覆う部材である。少なくとも一部とは、例えば、図1に示されているような、手以外の部分か、または全身が好適である。ただし、少なくとも一部とは、手および足以外の部分でもよいし、頭部および胴体でもよい。あるいは、少なくとも一部とは、例えば、頭部以外の部分でもよいし、胴体のみでも構わない。このように、服本体11によって覆われる人体の範囲は問わない。
服本体11は、頭部を覆うフード111、または靴を覆うシューカバー112のうち、1以上の部材との一体型であることは好適である。一体型とは、服本体11と、フード111またはシューカバー112のうち1以上の部材とが、一の生地で形成されていることでもよい。または、一体型とは、例えば、服本体11とは別体であるフード111またはシューカバー112のうち1以上の部材が、服本体11に対し、着脱不能に縫い付けられた又は接着されたものでもよい。
別体とは、フード111等の部材が、服本体11とは別に製造された後、組み合わせて着用されるように形成されていることであってもよい。別体であるフード111等の部材は、服本体11に対し、例えば、マジックテープ(登録商標:以下同様)のような面ファスナー等の部材を介して着脱可能に結合されることは好適である。フード111等の部材は、服本体11と同じ材質で形成されることは好適であるが、異なる材質で形成されてもよい。
服本体11は、フード111およびシューカバー112との一体型であることは、より好適である。フード111およびシューカバー112との一体型である服本体11を、例えば、全身防護服と呼んでもよい。
フード111は、例えば、PVCシートやポリエステルフィルム等の透明素材でできたバイザー111aを有する。
図2は、防護服1の背面図である。防護服1は、例えば、開閉部12、コード13、1または2以上のタブ14、および1または2以上の第二タブ15をさらに備える。
開閉部12は、ユーザが防護服1を着たり脱いだりする着脱用の部位であり、開閉可能な部位である。開閉部12は、異物に対するリスクを低減できる位置に設けられることは好適である。リスクを低減できる位置とは、異物が入らない又は入りにくい位置であり、特に、異物が付着しない又は付着し難い位置であることは好適である。かかる位置は、通常、防護服1の背面側である。
また、開閉部12は、異物に対するリスクを低減できる位置であり、かつユーザが防護服1を一人で着脱しやすい位置に設けられることは、より好適である。つまり、リスクを低減するべく背面側に開閉部12を設けると、通常、防護服1を一人で着脱することが難しくなる。そこで、本実施の形態では、背面側の、出来るだけ一人で着脱しやすい位置に、開閉部12を設けるようにしている。
開閉部12は、例えば、図2に示されているように、服本体11の背面に設けられる。背面とは、服本体11の背中側の面である。背面は、通常、側面は含まないが、側面も含むと考えてもよい。背面は、例えば、「後ろ見頃」と称してもよい。
開閉部12の位置は、例えば、背面の中心線に沿う位置、またはその近傍が、脱ぎやすさの点で好適である。中心線とは、例えば、背骨の線といってもよい。
なお、背面の中心線とは、上述した背骨の線のような、鉛直方向の中心線に限らず、例えば、水平方向の中心線でもよい。なお、本実施形態において、鉛直とは、概ね鉛直である場合も含んでよいし、水平とは、概ね水平である場合も含んでよく、広く解し得る。
ただし、開閉部12の位置は、服本体11の背面側であれば、どこでも構わない。また、開閉部12の方向性も問わない。
開閉部12は、例えば、ジップアップで構成されることは、気密性の点で好適である。ジップアップは、例えば、ジッパー、ファスナー、チャックなどとも呼ばれる。ただし、開閉部12は、例えば、面ファスナー、ボタン、ホックといった、ジップアップ以外の部材で構成されてもよい。
詳しくは、服本体11の背面に裂け目が形成されており、開閉部12は、この裂け目に沿って服本体11に付加(例えば、縫い付け、接着等)される一対のテープと、これら一対のテープの裂け目側の辺に設けられる一対のエレメント(務歯)と、これら一対のエレメントを?み合わせたり、その?み合わせを解いたりするスライダーとを有する。
コード13は、開閉部12の開閉操作のためのコードである。コード13は、例えば、紐、織テープ、鎖等で構成されるが、その素材は問わない。コード13は、通常、開閉部12を構成するジップアップのスライダーに設けられる。
タブ14は、ユーザが一人で防護服1を脱ぐ際に指でつまむ部位であり、開閉部12に設けられる。タブ14は、開閉部12の内側に設けられることは、病原体の指先への付着を防ぐ点で、好適である。内側とは、人体に接する側であり、開閉部12を閉じた状態で、開閉部12の下に隠れ、外界から遮断される位置である。
服本体11には、通常、開閉部12の内側に、1または2以上のタブ14が設けられる。1以上のタブ14は、開閉部12の最上位またはその近傍に位置することは好適である。開閉部12の最上位とは、例えば、後頭部の高さであり、1以上のタブ14がかかる高さに位置することは、ユーザが両腕を、指先が後頭部の位置に来るように回した状態で、容易にタブ14をつまめる点で好適である。
第二タブ15は、シューカバー112に設けられる。第二タブ15は、ユーザがシューカバー112またはこれと一体型の服本体11を一人で脱ぐことを容易にするための部位である。例えば、服本体11が左右一対のシューカバー112と一体型である場合、一対のシューカバー112の各々に第二タブ15が設けられることは好適である。ただし、一対のシューカバー112のいずれか一方に第二タブ15が設けられ、他方には、第二タブ15は設けられなくてもよい。
第二タブ15は、例えば、左右一対のシューカバー112各々の、足のかかとに対応する位置に設けられる。左のシューカバー112のかかとに設けられた第二タブ15は、ユーザが一人で防護服1を脱ぐ際に、右足で踏みつける部位である。右のシューカバー112のかかとに設けられた第二タブ15は、ユーザが一人で防護服1を脱ぐ際に、左足で踏みつける部位である。
ファン21は、服本体11に埋め込まれ、当該服本体11の内部を換気する。
埋め込まれることは、例えば、服本体11に、ファン21の吸気孔214a(図4参照:後述)に対応する形状およびサイズを有する埋込孔11aが形成され、その埋込孔11aに、ファン21が、固定的に又は着脱可能に、埋め込まれることである。固定的に埋め込まれることは、ファン21の外周部が、服本体11の、埋込孔11aの周囲に対し、例えば、固着されることでもよいし、着脱可能に取り付けられることでもよい。固着とは、固定的に又は取り外し困難に付着されていることである。固着は、例えば、接着、縫い付け等であるが、その態様は問わない。
着脱可能に埋め込まれることは、例えば、服本体11およびファン21の各々に着脱部が設けられており、これら2つの着脱部が離脱可能に結合されることである。詳しくは、例えば、図3に示すように、服本体11の、埋込孔11aの周囲に、凸部を有する本体側着脱部11bが設けられる。また、ファン21の外周部には、本体側着脱部11b側の凸部と係合する凹部を有するファン側着脱部214c(図4参照:後述)が設けられる。そして、凹部が凸部と係合することで、ファン側着脱部214cは、本体側着脱部11bと結合し、凹部が凸部から外れることで、ファン側着脱部214cは、本体側着脱部11bから離脱する。
または、本体側着脱部11bおよびファン側着脱部214cは、例えば、3本以上のネジまたはボルトや、スナップフィット、ツイストロック、マジックテープ等で結合されてもよく、ファン21の服本体11に対する着脱を可能にする機構は問わない。
なお、ファン21が服本体11から離脱している場合、埋込孔11aは、例えば、ファン側着脱部214cと同等の部材を有する円形状の蓋31で密閉される。なお、蓋31は、矩形状や六角形状等でもよく、その形状は問わない。着用者は、例えば、換気なしで作業を行う際には、服本体11からファンを外し、蓋31を装着すればよい。それによって、服本体11の内部の気密性が保たれるので、着用者は、作業を安全に行える。
なお、蓋31には、1または2以上の通気孔が形成され、かかる通気孔に、空気を通し、異物を通さないフィルタが設けられていてもよい。フィルタは、例えば、マスクの生地で形成されるが、その素材は問わない。それによって、異物に対する防護性能を保ちつつ、通気性が確保されるので、着用者は、ファン21に代えて蓋31を装着した状態でも、作業を快適かつ安全に行える。ただし、このようなフィルタ付きの1以上の通気孔は、必須ではない。
または、埋込孔11aには、単方向バルブ(図示しない)が埋め込まれてもよい。埋め込まれる単方向バルブは、服本体11の内部から外部への排気、または服本体11の外部から内部への吸気のうち、いずれか一方のみを許容し、他方を許容しないバルブである。埋込孔11aには、通常、服本体11の内部から外部への排気のみを許容し、服本体11の外部から内部への吸気を許容しない単方向バルブが埋め込まれる。本体側着脱部11bは、埋込孔11aの周囲に設けられてもよいし、単方向バルブに設けられてもよい。それによって、ファン21が服本体11から離脱している場合でも、服本体11の内部に外気が入り込むことがなくなり、蓋31は不要になる。
換気とは、服本体11の内部の空気を、服本体11の外部の空気(外気)と入れ換えることである。
ファン21は、通常、服本体11の前面側の、口または鼻に近い位置に埋め込まれる。かかる位置に埋め込まれる理由は、口または鼻から排出された呼気が、口または鼻から遠い位置と比べて、より多く存在するからである。ただし、ファン21は、服本体11の前面側の、口または鼻から遠い位置に埋め込まれてもよいし、服本体11の背面側に埋め込まれても構わない。
また、ファン21は、通常、口よりも低い位置または口と同じ高さの位置に埋め込まれる。かかる位置に埋め込まれる理由は、ファン21が着用者の視界を遮らないようにするためである。
ファン21は、例えば、服本体11の、口に対応する位置からの距離が、閾値以下または閾値未満の位置に埋め込まれる。口に対応する位置からの距離とは、例えば、着用者が防護服1を着用した状態で、口の中心点からファン21の中心点までの距離であるが、口の下側の輪郭線と、ファン21の上側の輪郭線との間の最短距離などでもよく、その計測方法は問わない。閾値は、例えば、10cm、15cm、7.5cm等であるが、その数値は問わない。ただし、閾値は、例えば、その値が小さいほど、高い換気効率を得やすくなるため、好適である。
すなわち、ファン21は、服本体11の、例えば、口に対応する位置から10cm以下または10cm未満の距離の位置に埋め込まれることは好適であり、特に、例えば、口に対応する位置から7.5cm以下または7.5cm未満の距離の位置に埋め込まれることは、より好適である。ただし、ファン21は、例えば、口に対応する位置から15cm以下または15cm未満の距離の位置に埋め込まれてもよく、その服本体11に対する埋め込み位置は問わない。なお、口に対応する位置からの距離が閾値以下または閾値未満の位置とは、例えば、口に対応する位置であってもよいことは言うまでもない。
なお、閾値は、服本体11のサイズによって異なる値でもよい。服本体11のサイズとは、例えば、160cm、120cm等の寸法であるが、大人用、子供用、Mサイズ、Sサイズ等の区分でもよい。服本体11のサイズによって異なる値とは、例えば、服本体11のサイズに応じた値であり、具体的には、例えば、服本体の寸法が160cmの場合は10cm、服本体11の寸法が120cmの場合は7.5cmなどであるが、その数値は問わない。
たたし、口に対応する位置からの距離とは、例えば、鼻に対応する位置からの距離に対し、予め決められた値(例えば、口と鼻の間の距離)を加算または減算した結果でもよいし、口と鼻の中間の位置からの距離でもよいし、口と予め決められた位置関係にある体の部位(例えば、鼻や顎等)または服本体11の部分(例えば、バイザー111aの下側の輪郭線の中点等)からの距離でも構わない。
また、ファン21は、例えば、服本体11の、体の中央に対応する位置に埋め込まれる。体の中央とは、例えば、左右対称である人体の、対称軸上の位置である。対称軸は、例えば、体の中心線、または背骨といってもよい。対称軸上とは、対称軸の真上でなくても、上と見なし得るほど対称軸から近い位置であればよく、広く解し得る。なお、例えば、口、鼻、のどぼとけ、臍等は、人体の対称軸上に位置する部位である。
ファン21は、例えば、口に対応する位置からの距離が閾値以下または閾値未満の位置であり、かつ対称軸上の位置に埋め込まれる。かかる位置は、具体的には、例えば、図1に示したような、左右の鎖骨の中間に対応する位置であるが、のどぼとけの位置や、バイザー111aの下側の輪郭線の中点からXmm下の位置などでもよい。例えば、X=20、X=30等であるが、Xの値は問わない。
ファン21は、通常、服本体11の内部の空気を、服本体11の外部に排出する排気ファンである。ファン21が排気を行うことによって、服本体11の内部の気圧が外気の気圧よりも低くなり、その結果、服本体11の一部(例えば、開閉部12の隙間、袖口等)または全体(生地の縫い目や織り目等)を通して、外気が服本体11の内部に入り込む。こうして、服本体11の内部が換気される結果、着用者は、作業を快適に行える。
なお、ファン21が排気ファンである場合は、服本体11に、外気を取り込むための1または2以上の取込孔を形成し、1以上の各取込孔にフィルタを取り付けることは好適である。また、フィルタは、服本体11の取込孔に対して、着脱可能であることは好適である。ただし、このようなフィルタ付きの1以上の取込孔は、必須ではない。
フィルタの着脱機構としては、例えば、マジックテープを用いることができる。マジックテープを構成するフック面およびループ面のうち、一方をフィルタの外周部に、他方を服本体11の取込孔の周囲に設けて、それらフック面とループ面とを貼り合わせる又は分離することで、フィルタは、服本体11の取り込み孔に対し、着脱可能に又は交換可能に取り付けられる。または、服本体11の取込孔にメッシュ状のポケットを設け、そのポケット内にフィルタを挿入してもよく、フィルタの取り付け方法は問わない。
例えば、一のフィルタが、対称軸上の、ファン21とは異なる位置に取り付けられてもよい。対称軸上の、ファン21とは異なる位置とは、例えば、ファン21の下側であるが、上側でもよい。
または、2以上のフィルタが、対称軸に関して左右対称な位置に取り付けられてもよい。対称軸に関して左右対称な位置とは、例えば、左の鎖骨の中央と、右の鎖骨の中央であるが、首の左側と右側などでもよい。または、2以上のフィルタが、服本体11の前面側と背面側とに設けられてもよい。
ただし、フィルタの数や取り付け位置は問わない。また、服本体11は、この種のフィルタを有さなくてもよい。
ファン21は、例えば、図4に示すように、プロペラ211と、プロペラ211を駆動するモータ212と、モータ212に電力を供給するバッテリ213と、プロペラ211、モータ212、およびバッテリ213を格納する薄い直方体形状の筐体214とを備える。
筐体214には、プロペラ211の回転面と対向する位置に、服本体11の内部の空気を取り込む吸気孔214aが形成され、また、プロペラ211の回転面を含む平面と直交する位置に、取り込まれた空気を服本体11の外部に排出する排気孔214bが形成される。
プロペラ211の回転面と対向する位置とは、プロペラ211の回転面と向かい合う位置である。かかる位置は、例えば、直方体の下面であるが、直方体の上面でもよい。
プロペラ211の回転面を含む平面と直交する位置とは、プロペラ211の回転面を含む平面と直角に交わる位置である。なお、直角とは、厳密な直角とは限らず、略直角でもよく、広く解する。かかる位置は、例えば、直方体の4つの側面のうち一の側面である。
吸気孔214aおよび排気孔214bを上記のような位置に形成するにより、服本体11の内部の効率的な換気が可能となる。
ただし、例えば、プロペラ211の回転面と対向する位置に排気孔214bが形成され、プロペラ211の回転面を含む平面と直交する位置に吸気孔214aが形成されてもよく、吸気孔214aおよび排気孔214bの各々が筐体214のどの位置に設けられるかは問わない。
なお、直方体形状とは、完全な直方体でなくてもよく、例えば、角が丸みを帯びていたり、面が曲面であったり、対向する2面間でサイズ又は形状のうち1以上が異なっていたりしてもよい。
また、筐体214は、薄い直方体形状に限らず、例えば、薄い円柱形状、薄い多角柱形状(例えば、六角柱や八角柱等)でもよく、その形状は問わない。また、筐体214は、厚くてもよく、その厚みも問わない。
薄型とは、例えば、筐体214の、プロペラ211の回転面に垂直な方向の最大厚が、プロペラ211の回転面に平行な方向の最大径に対して、予め決められた条件を満たすほど薄いことである。
最大厚とは、筐体214の、プロペラ211の回転面に垂直な方向における、最も厚い部分の厚みであり、厚みの最大値といってもよい。最大厚は、例えば、直方体や円柱等の下面から上面までの高さであるが、円盤の最下点と最上点との間の距離でもよい。
また、最大径とは、筐体214の、プロペラ211の回転面に平行な方向における、差し渡しの最大値である。最大径は、例えば、直方体の上面または下面における対角線や、円柱の上面または下面における直径であるが、円盤の直径等でもよい。
予め決められた条件は、例えば、最大径に対する最大厚の比率が、10分の1から5分の1の範囲にあることである。または、予め決められた条件は、かかる比率が、例えば、8分の1から6分の1の範囲であることでもよく、比率の数値範囲は問わない。
最大径に対する最大厚の比率が、かかる範囲にある薄型のファン21を埋め込むことで、着用感を損なうことなく、服本体11の内部の換気が可能な防護服1が実現される。
筐体214の、プロペラ211の回転面に平行な方向の最大径は、例えば、35mmから、50mmの範囲である。または、かかる最大径は、40mmから45mmの範囲や、50mmから60mmの範囲などでもよく、その数値範囲は問わない。
また、筐体214の、プロペラ211の回転面に垂直な方向の最大厚は、例えば、5mmから7mmの範囲である。または、かかる最大厚は、例えば、5.5mmから6.5mmの範囲でもよく、その数値範囲も問わない。
最大径および最大厚がかかる範囲にある小型かつ薄型のファン21を埋め込むことで、着用感と、換気効率とのバランスが取れた防護服1が実現される。
吸気孔214aは、通常、円形であるが、例えば、楕円形、細長い矩形等でもよく、その形状は問わない。また、排気孔214bは、例えば、細長い矩形であるが、楕円形でもよいし、2以上の矩形または2以上の円形等の配列でもよく、その形状は問わない。
吸気孔214aの最大径は、例えば、15mmから20mmの範囲であり、排気孔214bの最大径は、例えば、20mmから35mmの範囲である。ただし、吸気孔214aおよび排気孔214bのいずれの最大径も、筐体214の、プロペラ211の回転面に平行な方向の最大径よりも小さな値であればよく、各々の数値範囲は問わない。
なお、バッテリ213は、筐体214に内蔵されていなくてもよい。つまり、ファン21は、バッテリ内蔵型でなくてもよい。その場合、例えば、服本体11の、ファン21が埋め込まれる位置の近傍に、バッテリ213を収納するための収納部(図示しない)が設けられてもよい。
また、バッテリ213は、充電可能であることは好適である。この場合、筐体214は、バッテリ213を充電するための端子をも有することは好適である。端子は、例えば、マイクロUSB端子が好適であるが、ミニUSB端子や、USB以外の端子でもよく、その種類は問わない。
例えば、筐体214の、排気孔214bが形成された側面とは異なる側面に、マイクロUSB端子が設けられてもよい。これによって、充電のためのバッテリ213の着脱が不要となる。または、バッテリ213は、取り外し可能であり、外部の充電器で充電されてもよい。ただし、バッテリ213は、例えば、LR44等の市販品でも構わない。
なお、筐体214は、通常、バッテリ213からモータ212への電源の供給を開始または停止するための電源スイッチも有する。電源スイッチは、例えば、図7に示されるように、筐体214の側面の、マイクロUSB端子に隣接する位置に設けられるが、その位置は問わない。
さらに、筐体214は、プロペラ211のみを内蔵し、モータ212およびバッテリ213は、例えば、別の筐体に収納された状態で、服本体11に取り付けられてもよい。
なお、ファン21が吸気ファンである場合は、例えば、プロペラ211の回転方向が、前述した排気ファンの場合とは逆になり、排気孔214bから外気が取り込まれ、取り込まれた外気は、吸気孔214aから服本体11の内部に排出される結果となる。
従って、ファン21が吸気ファンである場合は、例えば、吸気孔214aにフィルタを設けることは好適であり、服本体11にはフィルタを設けなくてよい。ただし、ファン21が吸気ファンである場合も、服本体11の内部の空気の外部への排出を容易にするために、服本体11にもフィルタを設け、異物に対する防護性を確保しつ、通気性を高めてもよい。
こうして、ファン21が吸気を行うことによって、服本体11の内部の気圧は上昇し、服本体11の内部の空気が、服本体11の一部(例えば、上記フィルタや開閉部12の隙間等)または全体(例えば、生地の縫い目等)を通して、服本体11の外部に排出される。こうして、服本体11の内部が換気される結果、着用者は、作業を快適に行える。
このように、服本体11に埋め込まれる1以上の各ファン21は、通常、排気ファンであるが、吸気ファンでもよい。また、服本体11に2以上のファン21が埋め込まれる場合、2以上のファン21は、同じタイプでもよいし、異なるタイプでもよい。さらに、例えば、排気を行う1または2以上のファン21と、吸気を行う1または2以上のファン21とを服本体11に設けてもよく、服本体11に埋め込むファン21のタイプや数は問わない。
そして、服本体11に埋め込むファン21のタイプや数は、換気性能と装着感とを勘案して決められてもよい。例えば、図1に示したように、服本体11の前面側の、左右の鎖骨の中間の位置に、排気を行うファン21を設け、かつ、図5に示すように、服本体11の背面側の、首の左または右の少なくとも一方の位置に、吸気を行う1つまたは2つのファン21(以下、吸気ファン21aと記す)を設けることで、排気を行う1つのファン21と、1つまたは2つの吸気ファン21aとによる高い換気性能が得られる。また、背面側の1つまたは2つの吸気ファン21aから、着用者の首の周囲を経て、前面側のファン21へと向かう空気の流れが生じる結果、快適な装着感も得られる。
なお、図5において、服本体11の背面側に設けられた開閉部12の最上位が、首の中央よりも低い場合は、服本体11の前面側の、左右の鎖骨の中間の位置に、排気を行うファン21を設け、かつ、服本体11の背面側の、首の中央の位置に、1つの吸気ファン21aを設けてもよい。これによって、排気を行う1つのファン21と、1つの吸気ファン21aとによる高い換気性能が得られる。また、背面側の吸気ファン21aから、着用者の首の周囲を経て、前面側のファン21へと向かう空気の流れが生じる結果、快適な装着感も得られる。
また、図5において、服本体11の背面側に埋め込まれた1つまたは2つの吸気ファン21aは、1つまたは2つのフィルタに置き換えられてもよい。この場合、1つのファン21のみを有し、1つのフィルタも有さない場合と比べ、排気性能が向上するのに加えて、1つまたは2つのフィルタから、着用者の首の周囲を経て、前面側のファン21へと向かう空気の流れが生じる結果、快適な装着感が得られる。
以下、本実施の形態における防護服1の具体的な着用例について説明する。本例における防護服1の、非着用時における前面側の外観を図6に示す。この防護服1は、服本体11、および服本体11の前面側に埋め込まれたファン21を備える。ファン21は、排気ファンである。ファン21の外観を図7に示す。なお、服本体11の、例えば背面側に、図示しないフィルタが設けられることは好適である。
防護服1は、エボラや鳥インフルエンザ等の高病原性微生物に対する感染予防用である。例えば、航空機内でウイルス感染の疑われる患者が発生し、検疫所の職員が機内に赴く場面を想定する。
職員は、事前に、例えば、マスク、インナーの手袋、靴等を装着しておく。その後、職員は、防護服1を着用するべく、コード13を下に引っぱり、開閉部12を開く。職員は、開いた開閉部12から、まず、両手を挿入し、次に、頭部をフード111内に収めた後、一方の脚、他方の脚の順に挿入していく。全身が防護服1内に収まると、職員は、コード13を上に引っぱり、開閉部12を閉じる。その後、職員は、インナーの手袋の上から、防護服1の袖口をたくし込むようにして、アウターの手袋を装着する。なお、かかる着用作業は、職員一人でも行えるが、他の職員が手伝っても構わない。
こうして職員により着用された防護服1の前面側の外観を、図8に示す。この防護服1において、ファン21は、服本体11の前面側の、左右の鎖骨の中間の位置に設けられている。
防護服1の着用が完了すると、職員は、機内に乗り込み、例えば、患者の検査、機内の消毒等の活動を行う。
活動中、職員の口や鼻から吐き出される呼気は、服本体11の内部の、顔や首の周囲に多く滞留し、湿度や温度や炭酸ガス濃度が上昇していく。職員は、作業開始前、または作業開始後の適宜なタイミングで、ファン21の電源スイッチをオンする。
これにより、服本体11の内部の、特に顔や首の周囲の空気が、服本体11の外部に排出される。その結果、服本体11の内部の気圧は低下し、外気が、服本体11の全体または一部(例えば、背面側のフィルタ)を通して、服本体11の内部に取り込まれる。
こうして、服本体11の内部が換気され、湿度や温度や炭酸ガス濃度の上昇は抑制される。その結果、職員は、長時間、快適に作業を行える。
活動を終えた職員は、所定の場所に移動し、防護服1を自力で脱ぐ。着用者は、事前に、アウターの手袋を外し、インナーの手袋をアルコール等で手指消毒する。その後、着用者は、コード13を左手で持ち、また、左右一対のタブ14のうち右側のタブ14を右手で持つ。そして、着用者は、右側のタブ14の位置を右手で維持しながら、左手で背面側に持ったコード13を、開閉部12を構成するスライダーが下端に達するまで、引き下ろす。
次に、着用者は、左側のタブ14を左手で持ち、一対のタブ14を持った両手を顔の前に移動させることで、頭部をフード111から抜き取る。次に、着用者は、防護服1から左右の手を抜いた後、立ったまま、左足のシューカバー112のかかと付近に設けられた第二タブ15を、右足のつま先で踏み付けながら、左足を抜き取る。さらに、右足のシューカバー112のかかと付近に設けられた第二タブ15を、左足のつま先で踏み付けながら、右足を抜き取れば、防護服1の脱衣は完了する。
以上、本実施の形態によれば、防護服1は、異物に対する人体の防護に用いられる防護服であって、人体の少なくとも一部を覆う服本体11を具備し、服本体11に、服本体11の内部を換気するためのファン21が埋め込まれた防護服である。かかる構成により、服本体11の内部の環境の悪化を抑制することで、作業を長時間、快適に行うことが可能な防護服1を提供できる。
また、上記構成において、ファン21は、服本体11の、口に対応する位置からの距離が閾値以下または閾値未満の位置に埋め込まれる。従って、呼気が籠りやすい口付近にファン21が存在することで、服本体11の内部の効率的な換気が可能な防護服1を提供できる。
また、上記構成において、ファン21は、服本体11の、体の中央に対応する位置に埋め込まれることにより、服本体11の内部の効率的な換気が可能な防護服1を提供できる。
また、上記構成において、ファン21は、プロペラ211と、プロペラ211を少なくとも内蔵する筐体214とを有し、筐体214の、プロペラ211の回転面に平行な方向の最大径は、35mmから50mmの範囲である。このような薄型のファン21を埋め込むことで、着用感の悪化を抑えつつ、服本体11の内部の換気が可能な防護服1を提供できる。
なお、上記構成において、筐体214の、プロペラ211の回転面に垂直な方向の最大厚は、5mmから7mmの範囲であってもよく、このような薄型のファン21を埋め込むことで、着用感の悪化を抑えつつ、服本体11の内部の換気が可能な防護服1を提供できる。
また、上記構成において、筐体214の、プロペラ211の回転面に平行な方向の最大径は、35mmから50mmの範囲であり、かつ、筐体214の、プロペラ211の回転面に垂直な方向の最大厚は、5mmから7mmの範囲であってもよく、このような小型かつ薄型のファン21を埋め込むことで、着用感の悪化を一層抑えつつ、服本体11の内部の換気が可能な防護服1を提供できる。
または、上記構成において、筐体214の、プロペラ211の回転面に垂直な方向の最大厚は、プロペラ211の回転面に平行な方向の最大径に対して、10分の1から5分の1の範囲であってもよい。
このような薄型のファン21を埋め込むことで、着用感を損なうことなく、服本体11の内部の換気が可能な防護服1を提供できる。
こうして、小型または薄型の少なくとも一方の特徴を有するファン21を埋め込むことで、着用感と、換気効率とのバランスが取れた防護服1を提供できる。
また、上記構成において、ファン21は、プロペラ211と、プロペラ211を駆動するモータ212と、モータ212に電力を供給するバッテリ213と、プロペラ211、モータ212、およびバッテリ213を内蔵する筐体214とを具備する。このような、バッテリ内蔵型のファン21を埋め込むことで、例えば、服本体11にバッテリ213を取り付けるための部材等が不要となる結果、着用感を損なうことなく、服本体11の内部の換気が可能な防護服1を提供できる。
また、上記構成において、服本体11には、ファン21が埋め込まれる埋込孔11aが形成され、埋込孔11aの周囲に本体側着脱部11bが設けられ、ファン21は、プロペラ211と、プロペラ211を少なくとも内蔵する筐体214とを有し、筐体214には、プロペラ211の回転面と対向する位置に吸気孔214aが形成され、プロペラ211の回転面を含む平面と直交する位置に排気孔214bが形成され、吸気孔214aの周囲に、本体側着脱部11bと着脱可能に係合するファン側着脱部214cが設けられる。このような、着脱可能なファン21を装着することで、服本体11の内部の換気が可能となる防護服1を提供できる。
また、上記構成において、ファン21が服本体11から離脱している場合、埋込孔11aは、ファン側着脱部214cと同等の部材を有する蓋31で密閉される。従って、ファン21を外した状態では、蓋31を装着することで、服本体11の内部の気密性を保つことができる防護服1を提供できる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
以上のように、本発明にかかる防護服は、服本体に、その内部を換気するためのファンを埋めこんだことで、服本体の内部の環境の悪化を抑制することができ、その結果、作業を長時間、快適に行うことが可能な防護服を提供できるという効果を有し、防護服等として有用である。
Claims (6)
- 異物に対する人体の防護に用いられる防護服であって、
人体の少なくとも一部を覆う服本体を具備し、
前記服本体に、当該服本体の内部を換気するためのファンが埋め込まれ、
前記ファンは、
前記服本体の、口または鼻に近い位置であり、
口と同じ高さ、または口に対応する位置から7.5cm以下または7.5cm未満の距離の位置、または口に対応する位置から10cm以下または10cm未満の距離の位置、または口に対応する位置から15cm以下または15cm未満の距離の位置、またはのどぼとけの位置に埋め込まれた防護服。 - 前記ファンは、
前記服本体の、体の中央に対応する位置に埋め込まれる請求項1記載の防護服。 - 前記ファンは、
プロペラと、
前記プロペラを少なくとも内蔵する筐体とを有する請求項1または請求項2記載の防護服。 - 前記ファンは、
プロペラと、
前記プロペラを駆動するモータと、
前記モータに電力を供給するバッテリと、
前記プロペラ、前記モータ、および前記バッテリを内蔵する筐体とを具備する請求項1から請求項3いずれか一項に記載の防護服。 - 前記服本体には、
前記ファンが埋め込まれる埋込孔が形成され、
前記埋込孔の周囲に本体側着脱部が設けられ、
前記ファンは、
プロペラと、
前記プロペラを少なくとも内蔵する筐体とを有し、
前記筐体には、吸気孔および排気孔が形成され、
前記吸気孔の周囲に、前記本体側着脱部と着脱可能に係合するファン側着脱部が設けられる請求項1から請求項4いずれか一項に記載の防護服。 - 前記ファンが前記服本体から離脱している場合、前記埋込孔は、前記ファン側着脱部と同等の部材を有する蓋で密閉される請求項5記載の防護服。
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