JP2022049291A - 個別隔離服、フェイスシールド - Google Patents

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Abstract

【課題】多数の感染が疑われる患者に対して、感染を有効に抑制しつつ、患者を移動させること。【解決手段】個別隔離服1は、患者Pの身体全体を覆う柔軟なカバー部2と、カバー部2を水平方向に形状を維持する複数の水平支持体3a~3fと、カバー部2内に患者Pの身体が進入可能な開閉可能な装着用開口部26とを備え、患者Pを個別に隔離し、カバー部2は、その底面25に患者Pが立った状態で、垂直方向に伸長及び折り畳み可能に構成され、患者Pを個別隔離服1に患者Pを収容したまま移動させることで、感染を有効に抑制しつつ、患者を移動させることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、個別隔離服に係り、感染を疑われる患者が、他者に感染させないように移動可能な個別隔離服、フェイスシールドに関する。
従来、医療従事者が、患者からの感染を予防するために、防護服や防護ガウン、防護エプロンのようなものを医療従事者が装着することが一般的である。
一方、感染が疑われる患者は、通常は、個別に陰圧に管理され、排気フィルターを介して排気される感染症病床を備えた隔離室(アイソレータ)内に隔離される。
しかしながら、パンデミックのような感染を疑われる患者が多数存在する特別の場合は、全員に隔離室を提供することができない場合が生じる。特に、無症状で強い感染力を有するものの、その患者の感染の検査の結果に時間が掛かるような場合もあり、多数の感染が疑われる患者に対応する必要が生じる。このような場合では、多数の患者を院内で院内感染を防止しながら移動させる必要も生じる。
そこで特許文献1に記載された隔離用カバーでは、ストレッチャーに載置した患者に感染防止用のカバーを掛けることで、患者を隔離し院内感染を防止しながら移動させるようにしたものが開示された。また特許文献2に記載された簡易アイソレータでは、車椅子と一体になった隔離室により、院内感染を防止しながら移動させるようにしたものが開示された。さらに、特許文献3に記載の院内感染防止用具では、患者が、全体がカバー体を被せられた点滴スタンドの中に入って、院内感染を防止しながら自力で徒歩により移動させるようにしたものが開示された。
これらのような発明であれば、院内感染を抑制しながら患者を移動させることができる。
特開2005-205069号公報 特開2012-110453号公報 特開2012-231891号公報
しかしながら、特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載の発明を実施する場合、ストレッチャー、車椅子、点滴スタンドの保有台数に制限されるという課題があった。特許文献3の発明では、点滴スタンドを使用するため比較的台数の準備が容易であるといえ、患者自身が歩いて移動できる。但し移動する場合は患者自身が点滴スタントを持ち歩かねばならないため、自由度が制限されるという課題があった。
本発明の個別隔離服は、上記課題を解決するため、患者の身体全体を覆う柔軟なカバー部と、当該カバー部を水平方向に形状を維持する複数の水平支持体と、前記カバー部内に患者の身体が進入可能な開閉可能な装着用開口部とを備え、患者を個別に隔離する個別隔離服であって、前記カバー部は、その底面に患者が立った状態で、垂直方向に伸長及び折り畳み可能なことを特徴とする。
また、この個別隔離服は、前記複数の水平支持体が重ねられている状態で折り畳まれるようにしてもよい。
前記カバー部の頂部を、患者の身体の肩若しくは頭部に支持された頂部支持部により支持されるようにしてもよい。
前記カバー部の本体の下部は、患者の下肢を分離して挿入し、歩行可能に収容する一対の下肢収容部を備えてもよい。
前記下肢収容部の底部は、患者の足がカバー部に覆われたまま、履物が装着可能に構成されてもよい。
前記下肢収容部の底部は、患者の足部を固定する足固定部を備え、患者の足部が足固定部に固定されることで、歩行可能に構成されていてもよい。
前記カバー部は、挿入した患者の両腕をそれぞれ可動な状態で収容可能な上肢収容部を備えてもよい。
前記上肢収容部の先端は、患者の手が露出されるように開放されるとともに、その袖口が患者の手首に密着するように構成されてもよい。
前記カバー部の患者の関節の位置に、折り畳まれたギャザー部と、当該ギャザー部を伸縮可能にする弾性部材を備えてもよい。
前記カバー部は、患者において、前面側、背面側、腕の先端部に開放可能に非常用開放部を備えて構成されてもよい。
前記装着用開口部が、前記カバー部の頂部に配置された頂部開閉部を備えて構成されてもよい。
前記装着用開口部は、前記カバー部の内部からも外部からも開閉可能に構成されてもよい。
顔を覆う部分のカバー部をハーフミラーにより構成してもよい。
顔を覆う部分のカバー部にフィルター部材を備えた通気口を備えてもよい。
前記カバー部は、患者の背面側若しくは側面にスリット若しくは孔を備えてもよい。
前記スリット若しくは孔には、フィルターが設けられていてもよい。
前記カバー部は、患者の背面側をフィルター部材により構成してもよい。
前記カバー部内に、保冷剤若しくは保温剤を収容するとともに、カバー部の外部から出し入れ可能な開口部を備えた空調用収容部を設けてもよい。
前記空調用収容部は、通気性のある材料で保冷剤であるドライアイスを収容するとともに、カバー部下端に排気用孔を設けてもよい。
前記カバー部において、通常は閉止しており、外部から内部に収容された患者の診察が可能に手を挿入可能な診察用開口部を設けてもよい。
前記カバー部内で、患者により支持される呼吸用のボンベを収容するボンベ収容部を備えてもよい。
個別隔離服は、患者の身体の上半身を覆う、底部に装着用開口部を備えた柔軟なカバー部と、当該カバー部を水平方向に形状を維持する複数の水平支持体を備えた本体部を備え、患者を個別に隔離する個別隔離服であって、前記カバー部は、その底面に患者の頭部を挿入した状態で、垂直方向に伸長及び折り畳み可能ものとすることもできる。
また、個別隔離服は、患者の肩から下の上半身を覆う、底部に装着用開口部を備えた柔軟なカバー部と、当該カバー部を水平方向に形状を維持する複数の水平支持体を備えた本体部と、前記本体部に接続され患者の頭部を覆うフェイスシールドとを備え、患者を個別に隔離する個別隔離服であって、前記カバー部は、その底部に患者の頭部を挿入し、頂部から頭部を露出させた状態で、垂直方向に伸長及び折り畳み可能なものとすることもできる。
本体部の底部に装着用開口部を備えた個別隔離服では、患者の下肢の全部または一部を覆う下肢収容部をさらに備えたものとすることができる。
本発明の個別隔離服は、多数の感染が疑われる患者に対して、感染を有効に抑制しつつ、患者を移動させることができる。
本実施形態の個別隔離服を装着した正面側の斜視図。 本実施形態の個別隔離服の分解斜視図。 (a)は、頂部支持部4の一例を示す斜視図、(b)は、この頂部支持部4を用いた個別隔離服1の頭部の斜視図。 本実施形態の個別隔離服の頭部の開閉を示す斜視図。 本実施形態の個別隔離服を頭部側から見た平面図。 本実施形態の個別隔離服を装着した背面側の斜視図。 図6のA-A断面図。 上肢収容部の袖部を示す斜視図。 関節部分の伸縮部を示す模式図。 (a)頂部支持部材の別例を示す模式図。(b)頂部支持部材のさらに別例を示す模式図。 頂部支持部材のさらに別例を示す模式図。 個別隔離服の細部の構成を示す模式図。 (a)は、未使用の場合の診察用開口部の状態を示す図、(b)使用中の場合の診察用開口部の状態を示す図。 下肢収容部の別例を示す模式図。 個別隔離服の細部の構成を示す図。 空調用収容部の構成を示す図。 呼吸補助装置の構成を示す図。 カバー部の前部非常用開放部を閉止した状態の斜視図。 カバー部の前部非常用開放部を開放した状態の斜視図。 本実施形態の個別隔離服を折り畳んだ状態の斜視図。 本実施形態の個別隔離服の装着中の状態を表す斜視図。 (a)第2の実施形態の個別隔離服を示す斜視図。(b)第2の実施形態の個別隔離服を搬送する状態を示す斜視図。 第3の実施形態の個別隔離服を示す図。 (a)~(c)は、下肢収容部の異なる態様を示す図。 第4の実施形態の個別隔離服を示す図。 第4の実施形態の個別隔離服の別例を示す図。
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した個別隔離服1の一実施形態を図1~図21にしたがって説明する。
<実施形態の基本構成>
本実施形態の個別隔離服1は、例えばパンデミックの発生により医療機関や救急搬送において多数の感染が疑われる患者に対して、十分な感染予防をしつつ、患者を移動させることを目的としている。すなわち本実施形態の個別隔離服1とは、感染が疑われる患者を隔離して周囲への感染を抑制する服である。このことは、逆に、感染していない患者を隔離することで、その患者への感染を防止する服でもある。
図1は、本実施形態の個別隔離服1を装着した正面側の斜視図であり、図2は、その分解斜視図である。
<カバー部2>
個別隔離服1は、感染を抑制する目的のため、患者Pの身体全体を覆う柔軟な透明の樹脂製のシートからなるカバー部2を備える。カバー部2は、本体部21、上肢収容部22、下肢収容部23を備える。これらをまとめてカバー部2という。
<本体部21>
カバー部2は、患者Pの頭部、胴部、腰部を覆う概ね円柱状の形状の本体部21を備える。
<頂部支持部4>
図3(a)は、頂部支持部4の一例を示す斜視図であり、図3(b)は、この頂部支持部4を用いた個別隔離服1の頭部の斜視図である。図3(a)に示すように、頂部支持部4は、軸状の軸部41と、上端に配置された係合部42と、下端に配置された肩係合部43を備える。頂部支持部4は、例えば、樹脂で一体に成形される。上端部の係合部42は、装着用開口部26に配置された水平支持体3を構成する頂部3aに係合される。この場合、頂部3aには、係合部42と着脱可能に係合することができる係止部31を設けている。一方、頂部支持部4の下端部に配置された肩係合部43は、患者Pの肩に掛止できるような、断面が逆U字状の板状に形成されている。
個別隔離服1を装着した患者Pは、頂部支持部4の上端の係合部42を頂部3aの係止部31に係合する。そして、頂部支持部4の下端に配置された肩係合部43を患者Pの肩に掛け止める。このように、頂部支持部4をセットすることで、水平支持体3である頂部3aを患者Pの肩により垂直上方に付勢して支持する。頂部3aは、このように支持されるため、患者Pの頭部の本体部21の樹脂シートの形状が筒状に維持される。また、患者Pの頭部に、蓋部24が干渉することなく、患者Pは、自由に頭部を動かすことができる。
<蓋部24>
図4は、個別隔離服1の頂部の開閉を示す頂部開閉部の斜視図である。本体部21の装着用開口部26には、蓋部24が配置される。蓋部24は、水平支持体3として機能する枠部24aとともに、ここに張設された透明シート24bを備え、枠部24aの周囲にファスナー27aを備える。ファスナー27bは、本体部21の装着用開口部26に設けられた頂部3aの周縁に配設される。オープンタイプのファスナー27は、分離したファスナー27aとファスナー27bが一体となり、ファスナー27の開閉により、頂部開閉部を構成する蓋部24を開放又は閉止することができる。頂部を閉止する場合は、ファスナーのカバー部2の内部に伸びた紐27dを引っ張り、スライダー27cを動かして、ファスナー27により蓋部24を閉止して、装着用開口部26を閉鎖する。なお、介助者により、スライダー27cのタブ27eにより外部からスライダー27cをスライドさせて蓋部を閉止することもできる。
ここで、ファスナーは、服飾用のファスナーのほか、フリーザバッグなど食品用のスライダーを備えない圧着式のファスナー、若しくはスライダーを備えた気密ファスナーなど、その種類は限定されないが、気密性があり、低コストで、廃棄が容易なものが望まれる。
また、蓋部24の水平支持体3として機能する枠部24aを省略してもよい。この場合は、蓋部24が柔軟な構成となるが、ファスナー27を閉止することで、形状が保持される。
なお、ファスナー27を省略して、図22(a)に示す第2の実施形態の巾着部124dなどのような簡易な構成を採用するようにしてもよい。
また装着用開口部26を覆うようなシートを粘着剤や面ファスナーで貼り付けるような簡易なものでもよい。
<上肢収容部22>
図1に示すように本実施形態の上肢収容部22は先端が閉止された袋状に形成されている。上肢収容部22の開口部22aは、筒状の本体部21の両側部の肩に対応する位置に開口された上肢開口部21aから連通するように溶着や接着により気密に接続される。
本体部21から連通して左右両側に突出して腕の部分を収容する一対の袋状の上肢収容部22、22を備える。上肢収容部22は、先端から基端に向けて断面積が大きくなる形状で、患者Pが、腕の抜き差しを容易にしている。
<下肢収容部23>
図1~3に示すように、本体部21から連通して下方に突出して脚の部分を収容する一対の下肢収容部23、23を備える。
カバー部2の下肢収容部23は、患者Pの脚を覆う部分で、2本の垂直の円筒状に形成され、下部開口部23bには、底板25bを備えた底部25が配置されて封止されている。
本体部21と下肢収容部23とは、腰部3dにより接続される。腰部3dは一対の下肢開口部21bが開口したシートが張設される。シートはカバー部2と共通のものである。下肢開口部21bに周縁には、それぞれ下肢収容部23の上部開口部23aの周縁と溶着され、気密に構成される。したがって、本体部21と下肢収容部23とは、気密の状態に接続されている。
<カバー部2の材料>
図2に示すように、カバー部2は、透明な樹脂シートにより構成される。カバー部2を構成する各シート状部材の素材はとくに限定されないが、軽量で、弾力があり、一定の強度があるものが好ましい。また、透明度が高く、曇りにくいことも望まれる。必要に応じて、防曇処理を行うことも好ましい。一方、逆に患者Pのプライバシー保護の観点から身体が見えにくくするように、顔以外は、着色したり不透明は材料としたりすることもできる。また、エンボス加工などにより患者Pの肌に貼りつきにくい材料も好ましい。
具体例としては、例えば、通気性を有しない素材である、塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、などによって形成されたシートを挙げることができる。なお、製造上の問題から、溶着が可能であることが好ましい。また、接着性が高いものも好ましい。
なお、カバー部2の材料は、透明な材料に限定されるわけではなく、布帛、編物、不織布や紙などのような不透明なシート状の材料であっても、飛沫を抑制することができる柔軟な材料であれば、患者Pの顔の部分を除いて使用することができる。特に、フィルターの機能がある通気性のある不織布なども好ましい。
<水平支持体3>
カバー部2の本体部21と下肢収容部23には、複数の水平な環状の弾性を有する樹脂製の水平支持体3が環状に配置され形状が維持されている。カバー部2は水平支持体3である頂部3a、首部3b、胸部3c、腰部3d、腿部3e、膝部3fを備え、それぞれの位置でカバー部2に貼りついて形状を維持する。頂部3aは、装着用開口部26に配置される。以下、これらをまとめて言う場合は、水平支持体3という。水平支持体3は、カバー部2の水平形状を弾性で維持できれば、Pの周囲に空間ができ目的は十分達成できるので、外力により変形が可能な程度とすることも好ましい。そのため、患者Pが車椅子に腰掛ける場合でも、水平支持体3が変形することにより、ひじ掛けの間隔にかかわらず車椅子に乗車可能になっている。また、ストレッチャーやCTスキャナー、MRIなどで仰臥位をとっても、背面の水平支持体3が変形して支障がでない。
<水平支持体3の材料>
水平支持体3は、ばね性を有し、折れ曲がりにくい樹脂製の線材などが好ましく、塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)などの線材を挙げることができる。
また、水平支持体3の材料としては、アルミニウム、鉄などの金属の線材なども使用できる。
さらに、廃棄物の処理の観点から、植物由来の竹ひご、ラタン、紙、撚紐のような材料も採用しうる。
また、水平支持体3は、カバー部2と同体若しくは別体の気密な袋に圧搾空気等を充填して弾性を付与したような構成でもよい。
なお、水平支持体3は、その位置により異なる材料で構成してもよい。
また、製造上の観点から、カバー部2の樹脂シートと溶着可能な材料が好ましい。また、接着による場合も、カバー部2の樹脂シートと接着可能な材料が好ましい。
<底部25>
図5は、本実施形態の個別隔離服1の蓋部24を省略して、装着用開口部26を頭部側から鉛直下方を見た平面図である。カバー部2は、図1に示すように患者Pの全身をすっぽり覆うように構成されている。底部25には、患者Pの足底を接する状態で底板25bが配置される。底板25bの周縁は、下肢収容部23の下部開口部23bの周縁と溶着され、気密に構成されている。底板25bのそれぞれの中央部には、その患者Pの足の位置を固定するアーチ状の足固定部25aを備える。足固定部25aは、サンダルのように足を挿入することで足の甲が固定される。そのため、脚部の動きにより、患者Pは個別隔離服1を着たまま底板25bにより歩行が可能となっている。
<底板25bの材料>
本実施形態の底部25の底板25bは、歩行をするときの接地面となるため、素材は限定されないが、軽量で割れにくく弾力性のある天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン、発泡樹脂などにより構成されることも好ましい。また、ベニヤ板など木材の合板などで形成してもよい。また、板状でなく、織物や編み物により構成してもよい。
<個別隔離服1の製造>
本体部21は、所定の寸法のシートに、予め水平支持体3a~3cとなる線材を溶着又は接着した上で筒状に形成し、溶着や接着で気密に接合する。あるいは、筒状に形成した本体部21の内部若しくは外部に水平支持体3となる線材を溶着又は接着してもよい。
一端が開放した袋状の上肢収容部22の開放した開口部22aは、周縁を本体部21に開口された上肢開口部21aの周縁に気密に溶着又は接着される。
本体部21の上部は、ファスナー27を介して蓋部24が取り付けられる。
本体部21の開放した下部は、接続部28により閉止される。
図5に示すように、接続部28は、本体部21の開放した下部の周縁に沿った枠部28aにシート28bが張設される。シート28bには、一対の下肢開口部28cが開口される。接続部28は、本体部21の開放した下部の周縁に枠部28aが気密に溶着又は接着される。
接続部28の一対の下肢開口部28cには、それぞれ下肢収容部23が気密に溶着又は接着される。
下肢収容部23は、所定の寸法のシートに、予め水平支持体3d~3eとなる線材を溶着又は接着した上で筒状に形成し、溶着や接着で気密に接合する。あるいは、筒状に形成した下肢収容部23の内部若しくは外部に水平支持体3d~3eとなる線材を溶着又は接着してもよい。
このように筒状に構成された下肢収容部23の上部開口部23aと、接続部28の一対の下肢開口部28cとが、気密に溶着又は接着される。
下肢収容部23の下端の開口部には、底部25が気密に溶着又は接着される。
底部25は、板状の円形の部材である底板25bを備え、その周縁を下肢収容部23の下部開口部23bと気密に溶着又は接着される。
(実施形態の具体的構成)
上述した基本的な個別隔離服1の基本構成に加え、以下のような構成を選択的に採用することができる。
〇<背面スリット51、膝裏スリット52、通気口53、脇スリット57、排便用開口部58>
図6は、本実施形態の個別隔離服1を装着した背面側の斜視図である。個別隔離服1は防疫の対象となる細菌やウィルスの感染力が強い場合は、できるだけ気密構造を維持する。一方、飛沫感染のみで、空気感染のおそれが無いような場合には背面を開放してもよい。
図6に示すように、例えば、背面に水平なスリットを形成して、吸排気を可能にするとともに、放熱性を高める。また、胴部の動きをよくすることができる。
また、患者Pの膝裏に膝裏スリット52を設けてもよい。膝裏スリット52は、主に運動機能の向上に資する。感染力の高い場合は、背面スリット51を省略し膝裏スリット52のみとしてもよい。
また、患者Pの臀部に対応する位置に、排便用開口部58を設けてもよい。排便用開口部58は、腹部から股間を通って背面に達するファスナーにより開閉自由に構成され、排便時にはファスナーを開放して、便座に座り排便をすることが可能となっている。なお、排便用開口部58は、臀部の周囲を開放するような位置に設けてもよい。
図7は、図6のA-A部分の断面図を示す。スリット51に加え、又はスリット51に替えて、通気用の孔である通気口53を背面に複数設けてもよい。通気口53は、カバー部2に開口した孔であるが、開口部53aには、図7に示すように、医療用マスクと同様の飛沫を吸着する不織布などからなるフィルター53bを配設する。
〇<伸縮部29>
図9は、関節部分の伸縮部29を示す模式図である。カバー部2には、患者Pの動きに対応するため、伸縮部29が設けられる。伸縮部29が設けられるのは、例えば患者Pの関節に対応する位置である。例えば、肩、腰、股関節、膝関節などである。伸縮部29の構成は、カバー部2のシートを折り曲げ、その状態でその折り曲げ部を跨ってゴムなどの弾性体を接続したものである。このように構成することで、患者Pの運動の自由度を高めることが可能となっている。
〇<袖部22b>
図8は、上肢収容部22の変形例の袖部22bを示す。本実施形態では、上肢収容部22は、密閉した袋状であるが、図8に示すようにその先端を開放して袖部22bを形成するようにしてもよい。袖部22bの周端には、弾性体が配置され、袖部22bから露出した患者Pの手首に密着するように構成されている。患者Pの手には医療用の手袋6が装着される。手袋6は指に密着していれば、キーボードの操作なども操作できる。さらにこの手袋6に導電性を持たせれば、スマートフォンなどの静電容量の変化によるタッチパネルの操作も可能となる。なお、袖部22bから手を抜いたときには、袖部22bが配置された弾性体で収縮して開口部を閉止する。但し、原則一旦個別隔離服1を装着したら、袖部22bから手を引き抜いてはいけない。一度、内側に引き抜いた手を再度外部に露出する場合には、カバー部2内は不潔エリアであるので、汚染の可能性がある手袋6の消毒が必須となる。
〇<下肢収容部23(別例)>
図14は下肢収容部23の別例を示す模式図である。本実施形態の個別隔離服1では、下肢収容部23の底部25は、底板25bが設けられ、患者Pは、足を足固定部25aに固定させて歩行可能に構成しているが、図14に示す別例のように、下肢収容部23の底部25を、カバー部2と一体の柔軟なシート部材で構成するようにしてもよい。このように構成した場合には、下肢収容部23に収容された患者Pの足を、下肢収容部23を構成するシート部材の上から靴7を装着する。このように構成することで、患者Pは、個別隔離服1を装着したまま、靴7により歩行が可能となる。
〇<頂部支持部4(別例1)>
図10(a)は、頂部支持部4の別例を示す模式図である。この頂部支持部4は、蓋部24下面の周縁部と当接する上部リング44と、患者Pの頭部に装着する頭部保持部46と、90度おきに上部リング44と頭部保持部46とを連結して位置を固定する支持軸45とを備える。頭部保持部46は、患者Pの頭部に環装されるリング状の部分と、ここに支持されて患者Pの頭部を覆う帽子状の部分とから構成される。
患者Pは、この頂部支持部4を頭部に装着することで、閉止した蓋部24に当接して支持することで、個別隔離服1の頭部の形状を維持することができる。
〇<頂部支持部4(別例2)>
図10(b)は、頂部支持部4のさらに別例を示す模式図である。この頂部支持部4では、全体がドーナツ型のバルーンにより構成されている。このドーナツ型のクッション部47は、蓋部24と患者Pの間に挿入される。クッション部47を患者Pが被るようにして装着すると、蓋部24は患者Pの頭部に支持されるとともに、患者Pは、比較的自由に頭部を動かすことができる。
〇<頂部支持部4(別例3)>
図11は、頂部支持部4のさらに別例を示す模式図である。この頂部支持部4では、水平支持体3のうち首部3bに架け渡した左右の肩ベルト48により、首部3bを垂直方向に支持する。一方、頂部3aは、首部3bに支持された着脱可能な支持ステー49により支持される。つまり、頂部3aは、患者Pの肩により支持されることになる。
このように構成することで、患者Pは、個別隔離服1の重量を肩で支持するために、圧迫感がない。また、頭部は何ら束縛されないので自由に動かすことができる。
<フェイスシールド8>
図12は、個別隔離服1の細部の構成例を示す模式図である。図12に示すフェイスシールド8は、カバー部2の本体部21の患者Pの顔の位置に設けられる。本体部21の顔の位置には顔部開口部21cが開口されている。フェイスシールド8は、この顔部開口部21cを密閉するように、例えば、面ファスナーなどで、開閉可能に貼り付けられている。通常は気密に本体部21の顔部開口部21c貼り付けられているが、診断時などに剥がされて、顔部開口部21cから患者Pの顔を露出させることができる。
このフェイスシールド8は、PETなどの透明な樹脂製で構成され、透過率80%程度の半透過膜によりハーフミラーとして構成され、患者Pからは外部が見通せるが、外部からは患者Pの顔が見えにくくなって、プライバシーを保護することができる。
<通気孔54>
図12に示すように、フェイスシールド8の両脇には、通気孔54が設けられる。通気孔54は、通気口53と同様に開口部と、これを封止するフィルター部材とから構成され、患者Pがマスクなしでも、病原体が外部に漏れださないようになっている。
<診察用開口部55>
図12に示すように、例えば、本体部21の患者Pの胸の部分には、診察用開口部55が設けられる。図13(a)は、未使用の場合の診察用開口部55の状態を示す図である。診察用開口部55は、例えば巾着状のゴムシート55aから形成され、ゴム等の弾性部材により不使用時には開口部55bが閉じるような構成となって、感染を防止している。また、図13(b)は、使用中の場合の診察用開口部55の状態を示す図である。図13(b)に示すように、医師の診断等の場合は、手を診察用開口部55に挿入することで、直接患者Pの触診や聴診ができ、終了後は直ちに密閉される。このように、感染を最小限に抑制しながら容易に診察をすることができる。
また、例えばCOVID-19によるSARS-CoV-2の曝露者の判定はPCR検査(ポリメラーゼ連鎖反応:polymerase chain reaction)が必要となる。検査には患者Pの口や鼻からのサンプル採取が必要になる。このような場合、図示は省略したが、診察用開口部55として患者Pの口や鼻からのサンプル採取用の数センチ程度の診察用開口部55を患者Pの鼻や口の近傍に設ける。このような用途では使用頻度が少ないため、開口部を使用しないときは、粘着シールなどで密封する。
このような構成はPCR検査に限らず、採血を目的として診察用開口部55を患者Pの腕近傍に設けるようにしてもよい。あるいは、点滴や注射が必要な場合でも、診察用開口部55を所定位置に設けておけば、個別隔離服1を装着したまま、点滴や注射をすることができる。
<開口窓56>
図12に示すように、例えば、本体部21の前面など、適宜投薬・飲食等の目的で、開口窓56を設けてもよい。その位置や大きさ、開閉の方法等は、その目的により適宜決定される。この開口窓56は、聴診や、心電図の測定など、診察用開口部55より大きな開口部が必要な場合に設けてもよい。その場合例えば、ファスナーをU字型に設けることで大きな開口窓56とすることができる。
<収納用ポケット21d>
本体部21内には、収納用ポケット21dを設けることができる。例えば、飲料水や、医薬品、タオル、ティシューなどを、個別隔離服1内に収納しておくことで、個別隔離服1を無用に開放する必要がなくなる。また、スマートフォンなどを収容しておけば、上肢収容部22から手を引き抜けば操作をすることもできる。
<空調用収容部9>
図15は、個別隔離服1における空調用収容部9及び呼吸補助装置10を示す斜視図である。他の構成については一部省略している。図15に示すように、空調用収容部9は、本体部21の前側内部に配置される。他の構成は省略してある。空調用収容部9は、カバー部2内の温度を調節する構成である。例えば夏季において外気温が高温の場合に、カバー部2内の温度が上昇する場合がある。その場合、個別隔離服1の性質上、内部の換気をするには、十分な感染防止をしなければならない。
図16は、空調用収容部9の構成を示す図である。空調用収容部9では、本体部21内に、メッシュ状の布帛によるポケット91を設け、ここにドライアイスのような保冷剤・保温剤92を収容する。ドライアイスは大気の熱を奪って昇華して低温の炭酸ガスを発生する。昇華した低温の炭酸ガスは空気より重いため、メッシュ状のポケット91を通って本体部21から、図16に示す下肢収容部23へと下降していく。このとき、本実施形態では、下肢収容部23の裾の部分に排気口23cが設けられている。排気口23cは、開口部がフィルターで封止されて、病原体の漏出を抑制している。
また、外気温が低い場合は、使い捨てカイロのような保冷剤・保温剤92を収容する。
なお、保冷剤・保温剤92は、外部からファスナーを備えた交換用開口部93によって介助者により交換することができる。
なお、空調用収容部9のポケット91に収容するものは、保冷剤・保温剤92に限定されず、例えばシリカゲルのような除湿剤や、活性炭などの脱臭防臭剤、フィトンチッドを発生する芳香剤、二酸化塩素等の空間除菌剤などを収容してもよい。さらに、電池駆動の小型のオゾン発生器や、加湿器、空気清浄機などを収容することで、個別隔離服1内の環境を整えることも望ましい。
<呼吸補助装置10>
図15に示すように、呼吸補助装置10は、患者Pにより保持される。
図17は、呼吸補助装置の構成を示す図である。個別隔離服1は、機械的な強度に欠けるため、酸素ボンベ10cなどの重量物を含むため、患者Pにより支持される。呼吸補助装置10は、患者Pに装着されるベスト10aを備える。このベスト10aには、患者Pの胸の位置に収容用のポケット10bを備える。ポケット10bには、酸素ボンベ10cが収容される。酸素ボンベ10cからは、チューブ10dを介し、酸素マスク10eに酸素が供給される。酸素マスク10eからは患者Pに酸素が供給される。
なお、酸素ボンベ10cを保持するためにベスト10aを例示したが、患者Pが酸素ボンベ10cを保持できれば、ベストに限らず、ショルダーベルトやウエストベルト等により保持されてもよい。また、保持される位置も患者の前部に限らず背部でもよい。また供給される気体は酸素に限定されるものではない。また、酸素マスク10eに限定されるものではなく、カニューレなどでもよく、さらにカバー部2内の雰囲気に放出するようにしてもよい。
<非常用開放部>
図18は、カバー部2の前部非常用開放部2a、腕部非常用開放部2bを閉止した状態の斜視図であり、図19は、カバー部2の前部非常用開放部2a、腕部非常用開放部2bを開放した状態の斜視図である。
患者Pの状態により、患者Pが立位を維持できないような場合がある。患者Pが立位を維持できない場合は、蓋部24を開放して、個別隔離服1を折り畳むことによって、離脱させることが困難となる場合がある。そのような場合は、ストレッチャー(図22(b)参照)などで、患者Pを仰臥位で載置して搬送することがある。そして、緊急に患者Pの治療を行ったり、治療用の病床へ転移させたりする必要がある場合がある。このような場合に、緊急措置として装着用開口部26からの個別隔離服1の離脱が困難な場合には、非常用開放部としての前部非常用開放部2aを開放することで、患者Pを仰臥位のままで、患者Pの治療を行ったり、治療用の病床へ転移させたりすることができる。
また、図18に示すように左右の上肢収容部22の先端部近傍には、腕部非常用開放部2bが設けられ、図19に示すように、この腕部非常用開放部2bが設けられ、を開放することで患者Pの腕の先を簡単に露出させることができる。
さらに、図18に示すように左右の下肢収容部23の先端部近傍には、足部非常用開放部2cが設けられ、図19に示すように、この足部非常用開放部2cを開放することで患者Pの足の先を簡単に露出させることができる。
前部非常用開放部2aは、例えば、図18、図19に示した例ではファスナーにより開閉自在に構成している。しかしながら前部非常用開放部2aは、常時使用するものではなく、緊急時に開放するものである。その一方で、個別隔離服1は原則として使い捨てが前提とされる。これらのことから、構造の簡易化とコスト削減のため、本実施形態では前部非常用開放部2aは、カバー部2のシート部材に脆弱部を設け、ここを破断することで開放するようにしている。この際水平支持体3が開放の障害とならないように、各水平支持体3も、開放可能な接続部や脆弱部を備え、通常時には破断することなく、緊急時には容易に開放できるように構成している。また、破断のためのティアテープを配したり、指掛け用のフックの付いたワイヤを引くことで、前部非常用開放部2aが破断されて開放されたりするような構成でもよい。また、腕部非常用開放部2bや足部非常用開放部2cも同様の構成とすることができる。
水平支持体3(3b~3f)については、前部非常用開放部2aの部分で、係合が解除できるような接続部を設けたり、簡単に切断できる脆弱部を備えたりしている。
<後部非常用開放部>
図示を省略するが、非常用開放部として、前部非常用開放部2aと同様の構成を背面側に設けてもよい。この場合は、患者Pが伏臥位において、背面側から個別隔離服1を開放し、患者Pを個別隔離服1から離脱させることができる。
この場合、前部に比べて背部は気密性の要求が低いので、例えば、破断用に破線状の切れ込みを設けるなどして、前部非常用開放部2aよりも簡易な構成で、容易に開放できる構成とすることもできる。
(第1の実施形態の作用)
本実施形態の個別隔離服1では、上述のような構成を備えるため、以下のような作用を奏する。
<個別隔離服1の折り畳み>
図20は、本実施形態の個別隔離服を折り畳んだ状態の斜視図である。図20に示すように、個別隔離服1はカバー部2が柔軟な樹脂製のシートから構成されているので、提灯のように、垂直方向に折り畳むことができる。折り畳んだ状態では、水平支持体3a~3fと底板25bとが重なるようになり、極めてコンパクトに折り畳むことができる。図20に示すように、個別隔離服1を折り畳んだ状態では、蓋部24を開放すれば、底板25bが露出した状態となる。
<個別隔離服1の装着手順>
<手順1>患者Pが個別隔離服1を装着するためには、折り畳まれた個別隔離服1の蓋部24を開放した状態で底板25bが露出した状態で床に載置する。次に、患者Pは、左右の底板25bの足固定部25aに左右の足をそれぞれ固定する。
<手順2>図21は、装着中の状態を表す斜視図である。次に、図21に示すように患者P若しくは介助者が頂部3aを掴んで上方に引き上げる。そうすると、カバー部2の本体部21は、蛇腹のように上方に延びる。このとき複数の水平支持体3a~3dにより水平方向の形状を維持したまま、垂直方向に伸び、頂部3aが患者Pの頭部の高さを超える。また、下肢収容部23も、数の水平支持体3e、3fにより水平方向の形状を維持したまま、垂直方向に伸び、患者Pの下肢が脚部を覆う。
<手順3>図4に示すように、患者Pは、本体部21の内部から、ファスナー27のスライダー27cからカバー部2の内部に伸びた紐27dを引っ張り、スライダー27cを動かして、ファスナー27により蓋部24を閉止して、装着用開口部26を閉鎖する。あるいは、介助者が外部からファスナー27のスライダー27aのタブ27eによりスライダー27cをスライドさせ蓋部24を閉止する。
<手順4>そのままでは、蓋部24は支えがないため、頭部と干渉してしまう。そこで、図3(b)に示すように、頂部支持部4により頂部3aを患者Pの肩により支持する。そのため、患者Pの頭部は、蓋部24と干渉することがない。
<手順5>患者Pの左右の上肢を左右の上肢収容部22に挿入する。
なお、手順3、手順4の順序は、いずれかの順番でもよい。
<通常時の個別隔離服1からの離脱の手順>
基本的には、装着の反対の手順となる。
<手順1>左右の上肢を左右の上肢収容部22から抜脱する。
<手順2>頂部支持部4を肩から取り外す。
<手順3>蓋部24を開放する。
<手順4>カバー部2を鉛直下方向に折り畳む。
<手順5>足を左右の底板25bの足固定部25aから抜き取る。
以上で離脱が完了する。この場合も手順2と手順3は逆でもよい。個別隔離服1は、このコンパクトに折り畳まれた状態で廃棄処分する。もちろん消毒して再使用するようにしてもよい。
<緊急時の個別隔離服1からの離脱の手順>
患者Pが急変して重症となった場合に、患者Pが立位を維持することが困難となる場合がある。このような緊急時には患者Pを仰臥位として、前部非常用開放部2aを開放することにより個別隔離服1から離脱させる。また、後部非常用開放部(不図示)を設けた場合は、緊急時には患者Pを伏臥位として、後部非常用開放部を開放することにより個別隔離服1から離脱させることができる。
(第1の実施形態の効果)
本実施形態の個別隔離服1では、以下のような効果を奏する。
(1)本実施形態の個別隔離服1によれば、容易に患者Pの感染を抑制できるように隔離することができる。
(2)また、本実施形態の個別隔離服では、患者Pが足を底部25の底板25bの足固定部25aに挿入して固定すれば、個別隔離服1を装着したままで歩行することができる。
(3)また、水平支持体3が変形可能な弾性部材から構成されているので、患者Pは、立位から歩行したり、車椅子に着座したり、ストレッチャーなどに仰臥する場合の障害とはならない。
(4)本実施形態の個別隔離服1を折り畳んだ状態で、患者Pが、左右の足を個別隔離服1の底板25bにそれぞれ載置し、そのままカバー部2を引き上げれば、容易に装着することができる。また、患者Pが立った状態でカバー部2を引き下げて折り畳めば、簡単に脱離することができる。
(5)頂部支持部4を備え、患者Pの肩や頭部により個別隔離服1の頂部を支持することができるため、個別隔離服1の形状が維持できるとともに、患者は左右の手を自由に使うことができる。
(6)個別隔離服1の頂部に設けられた頂部開閉部を構成する蓋部24により、装着用開口部26を自在に開閉することができる。蓋部24はファスナー27により開閉自由となっている。また、分離することもできる。
(7)ファスナー27のスライダー27cには、内側に紐27dと外側にタブ27eを備えているので、個別隔離服1の内外から、いずれからも開閉することができる。
(8)患者Pの左右の腕は、それぞれ上肢収容部22、22に収容されることで、本体部21から突出させることができる。突出した患者Pの両手は、柔軟な上肢収容部222のシートを介して物などを掴むことが可能となっている。
(9)背面側に背面スリット51、膝裏スリット52、通気口53を設けたため、前面からの飛沫感染などは抑制しながら、換気を良好にし、また、動きやすくすることができる。特に通気口53には、フィルター53bを備えているので、感染を防止しながら換気ができる。
(10)上肢収容部22の先端は、別例のようにゴムなどの弾性体を用いて収縮する袖部22bを備えれば、患者Pが手袋6を装着することで感染を抑制しながらキーボードなど細かい作業などもできる。手袋6を導電性とすることでスマートフォンの操作も可能となる。
(11)本実施形態の個別隔離服1は、下肢収容部23の基端部に収縮部29を備え、ギャザー部29aと弾性体29bとにより、患者Pが歩行するときに伸縮して、個別隔離服1の緩みやつっぱりを吸収して、歩行を容易にする。収縮部29は、肩、腰、膝などに設けることもできる。
(12)頂部支持部4は、図3(a)、(b)に示す実施形態のような態様や、図10(a)、(b)、図11に示すような構成を備えるため、患者Pの肩や頭部で、カバー部2の頂部を支持して、その形状を維持することができる。
(13)また、図12の示すようなフェイスシールド8を備えれば、顔部開口部21cから患者Pの顔の部分を開放することができる。このため、個別隔離服1を装着したまま直接患者Pの診断、治療を行ったり、患者Pが飲食などを行ったりすることができる。
(14)また、フェイスシールド8を着色したり、ハーフミラーにしたりすることで、患者Pのプライバシーを保護することができる。
(15)図12に示すように患者Pの顔の近傍にフィルター付きの通気孔54を備えているため、患者Pはマスクを着用することなく、個別隔離服1内に外気を流通させることができる。
(16)図12に示すように、診察用開口部55を設けているため、個別隔離服1を着用したまま感染を抑制しながら、医療従事者が患者Pに直接接触して診察や治療を行うことができる。診察用開口部55を配置する位置により、PCR検査のサンプルの採取や、注射や点滴など様々な目的で使用することができる。この場合は、粘着シールを張り付けることで、不使用時には、気密にすることができる。
(17)また、図12に示すように適宜開口窓56を設ければ、個別隔離服1を着用したまま感染を抑制しながら、医薬品などの授受の他、大きな開口部で聴診や心電図の検査などをすることができる。
(18)図16に示すように、空調用収容部9を備えているため、個別隔離服1内の温度を調節することができる。
また、図15に示すような排気口23cを備えているため、空調用収容部9にドライアイスを用いたような場合に、炭酸ガスが個別隔離服1に充満することを抑制することができる。
(19)図17に示すような、患者Pが呼吸補助装置10を備えることで、個別隔離服1を着用したまま感染を抑制しながら、患者Pの呼吸の補助をすることができる。
(20)図18、20に示すような前部非常用開放部2aや、後部非常用開放部(不図示)を備えたため、患者Pが装着用開口部26からの離脱ができないような緊急時であっても、速やかに患者Pを個別隔離服1から離脱させることができる。
(21)本実施形態の個別隔離服1は、基本的に樹脂製のシートからなるカバー部2と、この形状を維持する水平支持体3とから構成されるため、簡易に製造することができる。
(22)また、樹脂製のシートからなるカバー部2と、この形状を維持する水平支持体3とから構成されるため、低コストで製造できるので、使い捨てに向いた構成である。
(23)使用後は、小さく折り畳むことができるので、使用後はポリエチレン袋などに密封して管理すれば、コンパクトに管理することができ、かつ使用後の個別隔離服1からの感染を抑制することができる。
(24)また、樹脂製のシートからなるカバー部2と、この形状を維持する水平支持体3とから構成されるため、保存用のポリエチレン袋ごと償却すれば、使用後の個別隔離服1からの感染を抑制しながら最終処分をすることができる。
(別例)
本実施形態では、以下のようにしても実施できる。
〇本体部21の背面部全面のフィルター
なお、図示は省略するが、個別隔離服1の本体部21の背面側全体を、医療用マスクと同様の飛沫を吸着する不織布などからなるフィルター素材から構成してもよい。このように構成することで、感染を抑制しながら大きな面積で換気することができる。
(第2の実施形態)
図22(a)は、第2の実施形態の個別隔離服101を示す斜視図であり、図22(b)は、第2の実施形態の個別隔離服101を搬送する状態を示す斜視図である。以下本発明を実施する第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と共通の構成は説明を省略し、異なる構成のみを説明する。また、第1の実施形態の構成は、矛盾がない限り第2の実施形態においても実施できる。
<下肢収容部123>
第1の実施形態の個別隔離服1は、下肢収容部23は、一対の筒状の部分から構成されている。これに対し、第2の実施形態の個別隔離服101の下肢収容部123は、図22(a)に示すように、本体部121から連続する1本の筒状として構成されている。下肢収容部123をこのように一本の筒状とすれば、自力歩行はできないが、構造を極めて簡易とすることができる。
水平支持体103a~103gは、第1の実施形態と同様に弾力性を有しているため、変形することができる。このため、例えば、感染の有無が不明な患者を緊急車両で救急搬送するような場合に、図22(b)に示すようにストレッチャーで搬送すれば、容易に感染防止をしながら、患者Pを搬送することができる。また、図示しない車椅子での搬送もできる。
<頂部開閉部の別例(巾着)>
第1の実施形態の頂部開閉部は、蓋部24により構成されているが、第2の実施形態の個別隔離服1の頂部開閉部では、図22(a)に示すように巾着部124dにより構成されている。巾着部124dは、本体部121と同じ筒状のシートが上部にそのまま延長されて、その端部は折り返されて溶着されパイプ状に加工されている。このパイプ状の部分には、締結紐124eが挿入され、外部に露出された両端部が相互に締結されて巾着部124dの端部が緊縛され密封される。
このような構成とすることで、極めて簡易な構成とすることができる。
<上肢収容部>
第1の実施形態では、一対の上肢収容部22により、両腕が収容されている。第2の実施形態では、この上肢収容部22は省略され、上肢は本体部21に収容されている。
(第2の実施形態の作用)
このように構成された第2の実施形態の個別隔離服101では、患者Pを隔離した状態で搬送することができる。
また、救急隊員などの介護者がいれば、その装着も極めて簡単にできる。
第2の実施形態の個別防護服101では、患者Pが自立した状態の他、そのままストレッチャーに寝かしたり、あるいは、車椅子に着座させたりすることも可能である。
<個別隔離服101の製造方法>
個別隔離服101では、頂部103aから底部103gまで同一形状である。このため、筒状の連続した樹脂製のシートに水平支持体103(103a~103g)を溶着又は接着する。頂部103aの上部は、樹脂製のシートの延長部から巾着部124dを形成する。また、底部103gより下方も樹脂製のシートの延長部を設け、底部103gの枠内に底板125を固定し、ここに樹脂製のシートの延長部を折り畳んで溶着又は接着して底部を封止する。
(第2の実施形態の効果)
本実施形態の個別隔離服101では、以下のような効果を奏する。
(25)極めて簡易な構成でありながら、患者Pからの感染を有効に抑制することができる。
(26)個別隔離服101では、極めて容易に製造することができ、低コストで製造できるため、使い捨ての目的に好適に適用できる。
(第2の実施形態の別例)
○第1の実施形態の頂部開閉部に替えて、装着用開口部として、底部開閉部(不図示)を設けてもよい、但し、基本的な構成は天地を入れ替えて使用するに足りる。すなわち、立位の患者Pに対して、開放した装着用開口部を患者Pの頭部から被せて、カバー部102を全身に展開すればよい。
(第3の実施形態)
図23は、第3の実施形態の個別隔離服201を示す図である。第1の実施形態の個別隔離服1や、第2の個別隔離服101では、基本的に患者Pの全身が包まれる一体型のものであった。第3の実施形態の個別隔離服201は、患者Pの頭部、胴部を覆う本体部221と、下肢収容部223とが分離していることが特徴である。
<本体部221>
本体部221は、第1の実施形態と基本構造は共通しており、水平支持体303を備えるが、第1の実施形態の本体部21より延長部221eにより下方の長く延長されている。延長部分は、下肢収容部223の態様により、十分に隔離できる長さとすることができる。この場合、基本的に第1の実施形態の接続部28のような開口部を閉鎖するような構成はなく、そのまま開放されている。下方の開口部221fは、巾着状にして、開口面積を小さくすることも好ましい。
本実施形態の個別隔離服201では、装着は、装着用開口部である本体部221の下方の開口部221fから患者Pの頭部を挿入することで装着することができる。そのため、本体部221の上端部は開閉する必要がないため、第1の実施形態の個別隔離服1のような装着用開口部を設ける必要がない。
<下肢収容部223>
図24(a)~(c)は、下肢収容部223の異なる態様を示す図である。図24(a)に示す下肢収容部223aは、図23に示すように通常の靴の上から重ねて履く使い捨てのシューズカバーであり、例えば、PE樹脂からなる薄手のシートや、不織布などから構成される。開口部は、ボムなどの弾性部材で、靴を履いたまま歩行可能に構成されている。
図24(b)に示す下肢収容部223bは、膝下若しくは膝上の長靴状に構成された態様である。
図24(c)に示す下肢収容部223cは、ズボンのように患者Pの下半身全体を包むような態様である。この場合、通常のズボンのように足首までを覆い、足首から先を、図24(a)に示す下肢収容部223aのようなもので、分離可能に構成することもできる。
下肢収容部223の下面は、一時的な院内の移動であれば他の部分と同じ構成でもよい。なお、図24(a)に示すような底面223dが装着されて、外出して地面に接触しても破れないように樹脂やゴムで補強されるように構成されてもよい。
(第3の実施形態の作用)
第3の実施形態の個別隔離服201では、本体部221と下肢収容部223とが、分離されており、本体部221と、下肢収容部223は、それぞれ分けて装着する。
下肢収容部223は、患者Pが素足で、若しくは靴を履いた状態で装着する。
(第3の実施形態の効果)
第3の実施形態の個別隔離服201では、以下のような効果を奏する。
(27)本体部221と下肢収容部323が分離しているため、容易に製造することができる。第1の実施形態の個別隔離服1のような頂部の装着用開口部を別途設ける必要がなく、構造を簡単なものとすることができる。
(28)本体部221と下肢収容部223が分離しており、下肢収容部223は、水平支持体3がないため、歩行しやすい。
(29)本体部221が、開放している場合は、飛沫の拡散をしながら、換気も良好で、熱気が籠りにくく、温度の高い環境でも蒸れにくい。
(30)本体部221の下部が開放している場合は、排便が容易にできる。
(31)患者Pの身長に対する自由度が大きい。
(32)本体部221と下肢収容部223の着脱がいずれも容易にできる。
(第4の実施形態)
図25は、第4の実施形態の個別隔離服301を示す図である。第4の実施形態の個別隔離服301は、第1の個別隔離服1が、主に院内感染を防止することを目的に、使い捨てを前提とし、より気密性を重視したものである。これに対し、個別隔離服301は、外出を目的としたり、着用を嫌がる子供に着用させたりすることを目的として、一定の再利用も想定して外観を重視したものとなっている。第1の実施形態では、医療従事者が患者Pを観察するために全体を透明な素材で構成していた。一方本実施形態の個別隔離服301は、積極的に全体を着色することで、患者Pのプライバシーを保護するとともに、外部にメッセージを発信することができる。
また、本実施形態の個別隔離服301は、外出して長時間の着用を想定し、全体を分割することで、気密性の向上より、装着したときの快適性を高めている。
<本体部321>
図25に示すように、個別隔離服301の本体部321は、患者Pの首より下を覆うようになっている。本体部321の上面321aは巾着状になっていて、患者Pの頭を露出することができるとともに、首の周囲を弾性体により密着させている。このため、患者Pは、本体部321を肩で支える。一方、患者Pの頭部は本体部321を支える必要がなく、自由に動かすことができる。
また、本体部321の下部は開放されており、装着用開口部を構成する開口部321fを備える。
また、上肢開放部321aは、巾着状に構成して腕を露出し、上肢開放部321aが腕に密着し気密を確保する。露出した腕は、別途、長尺の手袋322cなどで覆う。
<フェイスシールド308>
また、本体部321に載置するような形で、下方が開放された概ね球状のドーム型のフェイスシールド308を備える。フェイスシールド308は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂からできた透明で極めて軽量な素材で構成されている。フェイスシールド308の球状の本体部308aの下部開放部308bは、例えば、粘着剤、面ファスナー、スナップボタン等で、本体部321の上面321aと接続する。患者Pは、本体部321を装着した後で、フェイスシールド308の球状の本体部308aの下部開放部308bから頭を挿入して、下部開放部308bを本体部321の上面321aに接続して固定する。そのため、フェイスシールド308は、患者Pの頭部に触れない状態で固定され、患者Pは自由に頭部を動かすことができる。
フェイスシールド308は、例えば、患者Pの後頭部近傍等に換気用の開口部308cが設けられ、フェイスシールド内の換気を行う。開口部308cは、フィルターを備えることも好ましい。
なお、ここではフェイスシールド308を球状のものを例示したが、形状は、直方体、円柱状、円錐状、不定形状など様々な形状のものが採用でき、さらに飛沫拡散に有効であれば、口の部分のみを覆うもの、顔全体を覆うものでもよい。
あるいは、お面のように目を含め、顔に密着させるような形状でもよい。この場合は、不織布等(別体のマスクを含む)を介して呼吸ができる構成と、視界を確保する構成(裸眼でもレンズを介してもよい。)を含む。
<個別隔離服301の装飾>
図25に示すように個別隔離服301では、子供が喜んで装着するように装飾が行われる。フェイスシール308は、例えば、猫などの動物やアニメのキャラクターなど女児の好み絵柄が描かれている。例えば、猫の例であれば、猫耳308dを装飾的に設ける。さらに、手袋322cは、猫の手を模した形状、色彩とする。下肢収容部323も図24(c)に示すようなズボン型として、猫の足を模したような形状、色彩とする。
図26は、個別隔離服301の別例である。図26に示すように男児の場合は、男児の好む、例えば宇宙服を模したような装飾を施す。フェイスシールド308は、宇宙服のヘルメットのように、ハーフミラーとする。本体部321には、生命維持装置のようなイラストを描き、さらに上肢収容部321dは、蛇腹状のリングを入れて宇宙服のように太くするとともに、手は厚手の手袋とする。さらに下肢収容部323は、太いズボン状で、足は、宇宙靴のような形状とする。色彩も宇宙服のように全体に不透明な金属色とする。
例えば、テーマパークであれば、そのテーマパークのキャラクターを模した個別隔離服301とすれば子供は好んで装着するので、子供が装着を嫌がることが少なくなる。
(第4の実施形態の変更例)
上記のように、子供用の猫や宇宙服の個別隔離服301の例を例示したが、本実施形態は子供用に限定されることなく、大人用として、基本的に買い物などの外出着として利用でできるだけでなく、個別隔離服301の特性を生かして、以下のように積極的に活用して実施することができる。
<大人用の外出着、訪問着としての活用例>
例えば、冠婚葬祭のセレモニーで不特定の多人数が密閉空間で一定時間集合するような場合に、そのセレモニーのTPOに応じた体裁をとることができる。例えば、お正月や成人式、七五三、クリスマス、ハロウィンなどでは、仮装のように、その催しに合った装飾を施すことで、個別隔離服301を装着した方がむしろ積極的に雰囲気を盛り上げることができる。
さらに、入学式や卒業式、入社式などの集団セレモニーでは、多人数が集合しても感染のリスクを下げながら、お揃いの個別隔離服301を装着すれば、組織の一体感を体感することができる。
濃厚接触者が多く、感染リスクの高い感染者の葬儀であれば、色彩を黒色のものとした個別隔離服301とすることで、リスクを下げながら安全に弔意を表現することもできる。
また、結婚式であれば、参加者が全員個別隔離服301を着用すれば、花嫁自身は、個別隔離服301なしで、自由に好きな花嫁衣裳を身に着けることもできる。
お祭りであれば法被のような模様や色彩にしたりしてもよい。また、浴衣や着物のような意匠とすることもできる。フェイスシールド308をお祭りのお面のようにすることで、お祭りの雰囲気を出すことができる。
また、スポーツイベントであれば、例えば応援しているチームのユニフォームを模したデザインのものとすることもできる。このように個別隔離服301を用いることで、個別隔離服301を装着しないよりも、個別隔離服301を装着した方がむしろイベントを盛り上げることもできる。
また、ライブコンサートであれば、フェイスシールド308にタレントの顔を描いたり、本体部321にタレントの名前を大書したりして、好きなタレントにアピールすることができる。また、参加者が全員個別隔離服301を着用すれば、タレント自身は、個別隔離服301なしで、参加者の目の前で自由に歌ったり踊ったりすることができる。
また、オーケストラの演奏などにおいては、ソーシャルディスタンスのため楽団員の距離を過剰にとらなくても、本来の配置で演奏することも可能になる。この場合は、楽器に適合したフェイスシールド308を用いることが好ましい。
なお、フェイスシール308、本体部321、上肢収容部322、下肢収容部323は、それぞれ独立して使用することもできる。例えば、本体部321に接続する本実施形態のフェイスシールド308に替えて、汎用の医療用マスクやフェイスシールドを用いて、本体部321を装着してもよい。
(第4の実施形態の作用)
個別隔離服301は、畳んだ状態の本体部321の下部の開口部321fから患者Pの頭部を挿入させて伸長させ、上面321aより患者Pの頭部のみ露出させる。そして本体部321の上面321aを患者Pの肩で支持する。またフェイスシールド308は、本体部321の上面321aに接続して固定し、支持する。このため、患者Pは、頭部が自由に動かすことができる。
本実施形態では、第1の実施形態のように病院内の使い捨てを想定したものと異なり、外出着として繰り返し用いることも想定している。例えば、PET製のファイスシールド308は、消毒用アルコールによる清拭で簡単に再利用することができる。また、猫の手足部分などは、手を保護する手袋と靴の部分だけ再利用するようにして、他の部分は使い捨てとしてもよい。
(第4の実施形態の効果)
第4の実施形態の個別隔離服301では、以下のような効果を奏する。
(33)患者Pの頭部が独立したフェイスシールド308で覆われるように構成され、頭部だけ露出ができる。
(34)個別隔離服301は、本体部321を患者Pの肩で支持するため、患者Pの頭部に負担を掛けず、患者Pは頭部を自由に動かすことができる。
(35)フェイスシールド308も、本体部321の上面321aに接続して固定し、支持する。このため、フェイスシールド308も、患者Pの頭部の自由な動きを妨げることがない。
(36)女児や男児の好む装飾を施すことで、子供も喜んで個別隔離服301を喜んで装着する。
(37)また、冠婚葬祭のTPOに合わせたデザインとすることで、個別隔離服301を着装しても、違和感を生じにくい。
(38)スポーツイベントやライブコンサートなどでは、逆に雰囲気を盛り上げながら、効果的に感染を防止することができる。このように、大勢の人が集合する場合に、個別隔離服301を積極的に活用することで、感染リスクを抑制しながら、盛り上げることができる。逆に言えば、個別隔離服301を装着したいというモチベーションへのインセンティブとなる。
(39)フェイスシールド308は、PET製の球状の形状であるので、例えば、高濃度のアルコールで清拭すれば、容易に再利用することができる。
(別例)
以上本発明を、第1~4の実施形態により説明したが、以下のように変更して実施することができる。
○第1~4の実施形態は、感染リスクの大小や、目的によって使い分けることができるが、第1~4の実施形態において開示した構成要素は、矛盾がない限り相互に組み合わせて実施することができる。
○第4の実施形態で説明した子供や大人の外出着として個別隔離服301は、第1の実施形態の個別隔離服1や第3の実施形態の個別隔離服201においても同様に実施できる。
○また、特許請求の範囲に記載されている構成である限り、形状などは実施形態に限定されることはない。例えば、各部の寸法や、水平支持体3の数、収納用ポケット21d、背面スリット51、膝裏スリット52、通気口53、通気孔54、診察用開口部55、開口窓56、脇スリット57、排便用開口部58などの配置、数、寸法、形状は、当業者により適切なものが選択される。
○本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、その構成を付加し削除し変更して実施できることは言うまでもない。
P…患者
1、101、201、301…個別隔離服
2…カバー部
2a…前部非常用開放部
2b…腕部非常用開放部
21…本体部
21a…上肢開口部
21b…下肢開口部
21c…顔部開口部
21d…収納用ポケット
22…上肢収容部
22a…開口部
22b…袖部
23…下肢収容部
23a…上部開口部
23b…下部開口部
23c…排気口
24…蓋部
24a…枠部
24b…シート部
24c…ヒンジ部
25…底部
25a…足固定部
25b…底板
26…装着用開口部
27…ファスナー
27a…上部
27b…下部
27c…スライダー
27d…紐
27e…タブ
28…接続部
28a…枠部
28b…シート部
28c…下肢開口部
29…伸縮部
29a…ギャザー部
29b…弾性体
3…水平支持体
31…係止部
3a…頂部
3b…首部
3c…胸部
3d…腰部
3e…腿部
3f…膝部
4…頂部支持部
41…軸部
42…係合部
43…肩係合部
44…上部リング
45…支持軸
46…頭部保持部
47…クッション部
48…肩ベルト
49…支持ステー
51…背面スリット
52…膝裏スリット
53…通気口
53a…開口部
53b…フィルター
54…通気孔
54a…フィルター
55…診察用開口部
56…開口窓
57…脇スリット
58…排便用開口部
6…手袋
7…靴
8…フェイスシールド
9…空調用収容部
91…収容ネット
92…保冷剤・保温剤
93…交換用開口部
10…呼吸補助装置
10a…ベスト
10b…ポケット
10c…酸素ボンベ
10d…チューブ
10e…酸素マスク

Claims (25)

  1. 患者の身体全体を覆う柔軟なカバー部と、
    当該カバー部を水平方向に形状を維持する複数の水平支持体と、
    前記カバー部内に患者の身体が進入可能な開閉可能な装着用開口部と
    を備え、患者を個別に隔離する個別隔離服であって、
    前記カバー部は、その底面に患者が立った状態で、垂直方向に伸長及び折り畳み可能なことを特徴とする個別隔離服。
  2. 前記個別隔離服は、前記複数の水平支持体が重ねられている状態で折り畳まれることを特徴とする請求項1に記載の個別隔離服。
  3. 前記カバー部の頂部を、患者の身体の肩若しくは頭部に支持された頂部支持部により支持されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の個別隔離服。
  4. 前記カバー部の本体の下部は、患者の下肢を分離して挿入し、歩行可能に収容する一対の下肢収容部を備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の個別隔離服。
  5. 前記下肢収容部の底部は、患者の足がカバー部に覆われたまま、履物が装着可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の個別隔離服。
  6. 前記下肢収容部の底部は、患者の足部を固定する足固定部を備え、患者の足部が足固定部に固定されることで、歩行可能に構成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の個別隔離服。
  7. 前記カバー部は、挿入した患者の両腕をそれぞれ可動な状態で収容可能な上肢収容部を備えたことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の個別隔離服。
  8. 前記上肢収容部の先端は、患者の手が露出されるように開放されるとともに、その袖口が患者の手首に密着するように構成されたことを特徴とする請求項7に記載の個別隔離服。
  9. 前記カバー部の患者の関節の位置に、折り畳まれたギャザー部と、当該ギャザー部を伸縮可能にする弾性部材を備えたことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の個別隔離服。
  10. 前記カバー部は、患者において、前面側若しくは背面側に開放可能に非常用開放部を備えて構成されたことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の個別隔離服。
  11. 前記装着用開口部が、前記カバー部の頂部に配置された頂部開閉部を備えて構成されたことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の個別隔離服。
  12. 前記装着用開口部は、前記カバー部の内部からも外部からも開閉可能に構成されていることを特講とする請求項1~11のいずれか一項に記載されている個別隔離服。
  13. 顔を覆う部分のカバー部をハーフミラーにより構成したことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載されている個別隔離服。
  14. 顔を覆う部分のカバー部にフィルター部材を備えた通気口を備えたことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載されている個別隔離服。
  15. 前記カバー部は、患者の背面側若しくは側面にスリット若しくは孔を備えたことを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の個別隔離服。
  16. 前記スリット若しくは孔には、フィルターが設けられていることを特徴とする請求項15に記載の個別隔離服。
  17. 前記カバー部は、患者の背面側をフィルター部材により構成したことを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の個別隔離服。
  18. 前記カバー部内に、保冷剤若しくは保温剤を収容するとともに、カバー部の外部から出し入れ可能な開口部を備えた空調用収容部を設けたことを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載の個別隔離服。
  19. 前記空調用収容部は、通気性のある材料で保冷剤であるドライアイスを収容するとともに、カバー部下端に排気用孔を設けたことを特徴とする請求項18に記載の個別隔離服。
  20. 前記カバー部において、通常は閉止しており、外部から内部に収容された患者の診察が可能に手を挿入可能な診察用開口部を設けたことを特徴とする請求項1~19のいずれか一項に記載の個別隔離服。
  21. 前記カバー部内で、患者により支持される呼吸用のボンベを収容するボンベ収容部を備えたことを特徴とする請求項1~20のいずれか一項に記載の個別隔離服。
  22. 患者の身体の上半身を覆う、底部に装着用開口部を備えた柔軟なカバー部と、
    当該カバー部を水平方向に形状を維持する複数の水平支持体
    を備えた本体部を備え、患者を個別に隔離する個別隔離服であって、
    前記カバー部は、その底部に患者の頭部を挿入した状態で、垂直方向に伸長及び折り畳み可能なことを特徴とする個別隔離服。
  23. 患者の肩から下の上半身を覆う、底部に装着用開口部を備えた柔軟なカバー部と、
    当該カバー部を水平方向に形状を維持する複数の水平支持体
    を備えた本体部と、
    前記本体部に接続され患者の頭部を覆うフェイスシールドと
    を備え、患者を個別に隔離する個別隔離服であって、
    前記カバー部は、その底部に患者の頭部を挿入し、頂部から頭部を露出させた状態で、垂直方向に伸長及び折り畳み可能なことを特徴とする個別隔離服。
  24. 患者の下肢の全部または一部を覆う下肢収容部をさらに備えたことを特徴とする請求項22又は23に記載された個別隔離服。
  25. 患者の頭部の前部若しくは一部を覆うとともに、請求項23に記載の本体部に接続可能なフェイスシールド。
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