WO2020090717A1 - 窓部材 - Google Patents

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駿介 定金
純一 ▲角▼田
加賀谷 修
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Abstract

本発明は、厚さ1.1mm以上の第1のガラス板と、第1のガラス板の主表面と対向する電波透過部材と、を備え、平面視において電波透過部材を備える領域に、第1のガラス板の主表面に対して67.5°の入射角で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)が、60GHz≦F≦100GHzの範囲で下記式(1)を満足する窓部材に関する。 T(F)>-0.0061×F+0.9384 ・・・(1)

Description

窓部材
 本発明は、窓部材に関する。
 近年、通信速度の高速化、通信容量の大容量化に伴い、通信に使用される電波の周波数帯域は、高周波数側に拡大している。例えば、近年の第4世代移動通信システム(以下「4G」という)や第5世代移動通信システム(以下「5G」という)においては、数百MHz~数十GHzの周波数帯域の電波が用いられている。
 このような高周波数帯域の電波は、自動車分野の通信においても採用されており、例えば、欧州のETCでは5.9GHz帯の電波が使用されている。
 このような数十GHzの高周波数帯域の電波を用いて、例えば車内に備えられたミリ波レーダーにより通信を行う場合、例えば、従来の数百MHzオーダーから5Gにおいて「sub6」と呼ばれる6GHz未満の電波の通信と比較して窓ガラス等による電波の損失が顕著となる。
 そこで、特許文献1においては、上記問題を解決するために、一部に電波透過部材を嵌め込んで、部分的に電波透過率の高い領域を形成した窓部材が開示されている。
国際公開第2017/188415号
 しかし、特許文献1においては、所望の電波透過性を得るために必要な条件や、具体的な電波透過部材の材質、窓ガラスの構成等については開示されていない。
 上記に鑑みて、本発明は電波透過性に優れた窓部材を提供することを目的とする。
 上記課題を解決する本発明の窓部材は、厚さ1.1mm以上の第1のガラス板と、第1のガラス板の主表面と対向する電波透過部材と、を備え、平面視において電波透過部材を備える領域に、第1のガラス板の主表面に対して67.5°の入射角で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)が、60GHz≦F≦100GHzの範囲で下記式(1)を満足する。
 T(F)>-0.0061×F+0.9384 ・・・(1)
 また、本発明の一態様において、窓部材は、平面視において電波透過部材を備える領域に、第1のガラス板の主表面に対して67.5°の入射角で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)が、60GHz≦F≦100GHzの範囲で下記式(2)を満足してもよい。
 T(F)>-0.0061×F+0.9784   ・・・(2)
 また、本発明の一態様において、窓部材は、平面視において電波透過部材を備える領域に、第1のガラス板の主表面に対して67.5°の入射角で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)が、60GHz≦F≦100GHzの範囲で下記式(3)を満足してもよい。
 T(F)>-0.0061×F+1.0384 ・・・(3)
 また、本発明の一態様において、窓部材は、平面視において電波透過部材を備える領域に、第1のガラス板の主表面に対して67.5°の入射角で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)が、60GHz≦F≦100GHzの範囲で下記式(4)を満足してもよい。
 T(F)>-0.0061×F+1.0554 ・・・(4)
 また、本発明の一態様において、窓部材は、平面視において電波透過部材を備える第1の領域と、平面視において電波透過部材を備えない第2の領域とを備え、第2の領域において、第1のガラス板の主表面と対向する第2のガラス板を備えてもよい。
 また、本発明の一態様において、窓部材は、第1のガラス板の主表面と対向する全領域に電波透過部材を備え、電波透過部材はガラスからなってもよい。
 また、本発明の一態様において、電波透過部材は少なくとも1層のウレタン樹脂層を備えてもよい。
 また、本発明の一態様において、電波透過部材は、上記したウレタン樹脂層のうち第1のガラス板側とは反対側の面に積層されたポリカーボネート樹脂層をさらに備えてもよい。
 また、本発明の一態様において、上記したウレタン樹脂層は、第1のガラスに隣接してもよい。
 また、本発明の一態様において、窓部材は、第1のガラス板と電波透過部材との間に透明樹脂層を備えてもよい。
 また、本発明の一態様において、透明樹脂層はポリビニルブチラール、エチレンビニールアセテート、シクロオレフィンポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有してもよい。
 また、本発明の一態様において、透明樹脂層は粘着剤層であってもよい。
 また、本発明の一態様において、電波透過部材は、無アルカリガラス又は樹脂からなってもよい。
 また、本発明の一態様において、電波透過部材はシクロオレフィンポリマーからなってもよい。
 また、本発明の一態様において、第1のガラス板及び電波透過部材の少なくとも一方は、各成分の酸化物基準のモル百分率表示の含有量が、ROが、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計、ROが、アルカリ金属酸化物の総量としたとき、
 50≦SiO≦85
 0≦Al≦20
 4≦RO≦22
 0≦RO≦20
 0≦NaO/RO≦0.8
 0≦KO/RO≦0.7
 を満足する組成Aのガラスからなってもよい。また、第1のガラス板および電波透過部材の両方は、組成Aのガラスからなってもよい。
 また、本発明の一態様において、第1のガラス板及び電波透過部材の少なくとも一方は、各成分の酸化物基準のモル百分率表示の含有量で、SiO、Al、Bの総量が72%以上であるガラスからなってもよい。
 また、本発明の一態様において、第1のガラス板及び電波透過部材の少なくとも一方は、各成分の酸化物基準のモル百分率表示の含有量が、ROが、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計、ROが、アルカリ金属酸化物の総量としたとき、
 72≦SiO+Al+B≦98
 55≦SiO≦87
 0≦Al≦20
 5≦B≦25
 0≦RO≦5
 0≦RO≦20
 0≦Al/B≦0.35
 を満足する組成Cのガラスからなってもよい。また、第1のガラス板および電波透過部材の両方は、組成Cのガラスからなってもよい。
 また、本発明の一態様において、窓部材の総厚は3.5mm以上10mm以下であってもよく、電波透過部材の厚みは0.4mm以上2.5mm以下であってもよい。
 本発明の窓部材は、電波透過性に優れる。
図1は、第1の実施形態の窓部材の正面図である。 図2は、図1のX-X線における窓部材の断面図である。 図3は、第1の実施形態の窓部材が自動車用の窓ガラスとして用いられた状態を表す概念図である。 図4は、図3におけるS部分の拡大図である。 図5は、図4のY-Y線における断面図である。 図6Aは、第2の実施形態の窓部材の一例の断面図である。 図6Bは、第2の実施形態の窓部材の一例の断面図である。 図7は、第3の実施形態の窓部材の断面図である。 図8は、第4の実施形態の窓部材の断面図である。 図9は、比較例の窓部材に対する、入射角67.5°で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)の測定結果を示す図である。 図10は、実施例の窓部材に対する、入射角67.5°で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)の測定結果を示す図である。 図11は、実施例の窓部材に対する、入射角67.5°で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)の測定結果を示す図である。
 以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際の製品のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
 本発明の実施形態に係る窓部材は、厚さ1.1mm以上の第1のガラス板と、第1のガラス板の主表面と対向する電波透過部材とを備え、平面視において電波透過部材を備える領域に、第1のガラス板の主表面に対して67.5°の入射角で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)が、60GHz≦F≦100GHzの範囲で下記式(1)を満足する。
 T(F)>-0.0061×F+0.9384 ・・・(1)
 自動車の車内に備えられたミリ波レーダー等を用いて窓ガラス越しに外部と通信を行う際に、電波が、例えばフロントガラス面に対して入射する角度は、窓ガラスの構造や通信相手の位置、ミリ波レーダー進行方向の仰角等によって異なる。しかし、一般的な自動車について、水平面に対するフロントガラスの傾斜角度を鑑みたとき、ミリ波レーダーがフロントガラス面に入射する入射角として、67.5°程度を一つの目安とした。つまり、本発明者らは、67.5°の入射角で窓ガラス面に入射するミリ波の電波透過率T(F)が自動車の窓ガラスのミリ波透過性の指標として重要であり、67.5°近傍の入射角についても、同様にミリ波透過性の評価をする上で有用であることを見出した。なお、該評価では、ミリ波レーダーが水平面と平行な方向に進行する条件としている。
 本発明者らが上記知見をもとに更に検討を重ねた結果、上記の式(1)を満足するような窓部材が、特に自動車の窓ガラスに用いた場合において、数十GHz~100GHzの周波数帯域の電波に対しても高い透過性を有することを見出した。
 なお、上記のとおり、本発明の実施形態に係る窓部材は特に自動車の窓ガラスとして有用であるが、用途は特に限定されず、例えば建築物の窓ガラス等として用いてもよい。
 また、電波透過性を更に良好にするために、本発明の実施形態に係る窓部材は、平面視において電波透過部材を備える領域に、第1のガラス板の主表面に対して67.5°の入射角で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)が、60GHz≦F≦100GHzの範囲で下記式(2)を満足することが好ましい。
 T(F)>-0.0061×F+0.9784 ・・・(2)
 また、電波透過性を更に良好にするために、本発明の実施形態に係る窓部材は、平面視において電波透過部材を備える領域に、第1のガラス板の主表面に対して67.5°の入射角で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)が、60GHz≦F≦100GHzの範囲で下記式(3)を満足することが好ましい。
 T(F)>-0.0061×F+1.0384 ・・・(3)
 また、電波透過性を更に良好にするために、本発明の実施形態に係る窓部材は、平面視において電波透過部材を備える領域に、第1のガラス板の主表面に対して67.5°の入射角で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)が、60GHz≦F≦100GHzの範囲で下記式(4)を満足することが好ましい。
 T(F)>-0.0061×F+1.0554 ・・・(4)
 本発明の実施形態に係る窓部材は、第1のガラス板の主表面と対向する一部の領域が電波透過部材を備えてもよく、第1のガラス板の主表面と対向する全領域が電波透過部材を備えてもよい。
 以下、本発明の第1及び第2の実施形態として第1のガラス板の主表面と対向する一部の領域が電波透過部材を備える窓部材、また、第3の実施形態として第1のガラス板の主表面と対向する全領域が電波透過部材を備える窓部材について説明するが、本発明の実施形態は以下に説明するものに限定されない。
[第1の実施形態]
 図1は、第1の実施形態の窓部材10の正面図であり、図2は図1のX-X線における本実施形態の窓部材10の断面図である。本実施形態の窓部材10は、平面視において電波透過部材12を備える領域である第1の領域Aと、平面視において電波透過部材12を備えない領域である第2の領域Bとを備える。すなわち、第2の領域Bには、電波透過部材12とは異なる材料が備わる。本実施形態において、第1の領域Aは窓部材10の用途に応じて、60GHz~100GHzの周波数の電波に対して高い電波透過性が要求される部分に形成される。例えば、窓部材10を自動車の窓ガラスとして用いる場合は、第1の領域Aはミリ波レーダーの周辺等に形成される。なお、本明細書において電波透過性が高い/低い、等の評価については、特にことわりがない場合、60GHz~100GHzの周波数に対する電波透過性のことを指す。
 なお、本実施形態の窓部材10は第2の領域Bにおいて第1のガラス板11の主表面と対向する第2のガラス板13を備える。
 本実施形態において、窓部材10の総厚は3.5mm以上10mm以下であることが好ましく、また、電波透過部材12および第2のガラス板13の厚みは、各々、0.4mm以上2.5mm以下が好ましく、0.5mm以上1.5mm以下がより好ましい。この場合、第1のガラス板11が厚くなるため、第1のガラス板11に物体が衝突したときのクラック発生が起こりにくく、かつクラックが発生したとしてもクラックの距離が伸びにくくなるため好ましい。なお、第1のガラス板11は特にことわりがない限り、例えば、車両に取り付けたときに車外側に位置し、電波透過部材12および第2のガラス板13は、第1のガラス板11よりも車内側に位置するものとする。
 本実施形態における第1のガラス板11及び第2のガラス板13の組成は特に限定されない。例えば、各成分の酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを50~80%、Bを0~10%、Alを0.1~25%、LiO、NaO及びKOからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属酸化物を合計で3~30%、MgOを0~25%、CaOを0~25%、SrOを0~5%、BaOを0~5%、ZrOを0~5%及びSnOを0~5%含むガラス板を、第1のガラス板11及び第2のガラス板13として使用できる。
 また、後述する電波透過部材の説明において例示する、電波透過部材として使用できるガラスの板を、第1のガラス板11及び第2のガラス板13の少なくとも一方のガラス板として用いてもよい。特にミリ波に対して優れた電波透過性を得るには、第1のガラス板11を後述の組成Aのガラス、または後述の組成Cのガラスにより構成することが好ましい。
 また、第1のガラス板11の厚さは、強度確保のため、特に強度の指標となる飛び石耐性を高めるため、1.1mm以上であればよく、1.5mm以上が好ましく、1.8mm以上がより好ましい。また、第1のガラス板11の厚さの上限は特に限定されないが、厚くなれば重量も増えるため、通常は3.0mm以下が望ましい。
 なお、第1のガラス板11と第2のガラス板13の組成や、これらの厚さは、同じでも異なってもよい。
 電波透過部材12を構成する材料は、所定のミリ波の電波透過を高くできる材料であれば特に限定されないが、低誘電率の材料や、低tanδ(誘電正接;δは損失角)の材料が好ましく、特にtanδが低いことで、誘電損失の小さい材料が好ましく用いられる。なお、誘電正接(tanδ)は、25℃、28GHzで、日本工業規格(JIS R 1641:2007)に規定されている方法により、空洞共振器及びベクトルネットワークアナライザを用いて測定された値である。例えば、以下に挙げるものを電波透過部材12として使用できる。以下、電波透過部材12として「ガラス材料」と「ガラス材料以外の材料」とに分けて説明する。
 (ガラス材料)
 電波透過部材12を構成する材料としては、例えばガラスが挙げられ、一例として無アルカリガラスを使用できる。無アルカリガラスは、アルカリ成分の酸化物基準のモル百分率表示の含有量が合計で1.0%以下のガラスである。また、無アルカリガラスとしては、該含有量が合計で0.1%以下のガラスも好ましく使用できる。また、他の成分の含有量は特に限定されないが、例えば各成分の酸化物基準のモル百分率表示の含有量が、
 50%≦SiO≦80%
 0%≦Al≦30%
 0%≦B≦25%
 0%≦MgO≦25%
 0%≦CaO≦25%
 0%≦SrO≦25%
 0%≦BaO≦25%
 0%≦ZrO≦5%
 5%≦RO≦40%(ROは、MgO、CaO、SrO、BaOの合計量を表す)
 を満足することが好ましい。
 また、電波透過部材12を構成するガラスとしては、例えば、以下に示す組成(以下、「組成A」、「組成B」、「組成C」ともいう。)のガラスを使用できる。なお、組成A、組成B(組成C)のガラスは、電波透過部材12に限らず、第1のガラス板11に適用してもよい。また、組成A、組成B(組成C)のガラスを、第1のガラス板11に適用する場合、電波透過部材12は、組成A、組成B(組成C)のガラスを適用してもよく、後述する、組成A、組成B(組成C)のガラスとは異なる種々の電波透過部材としての材料を適用してもよい。以下、組成Aのガラス、組成B(組成C)のガラスの詳細について各々説明する。
 (組成Aのガラス)
 組成Aのガラスは、各成分の酸化物基準のモル百分率表示の含有量が以下の関係を満足するガラスである。
 50≦SiO≦85
 0≦Al≦20
 4≦RO≦22(ROは、アルカリ金属酸化物の合計量を表す)
 0≦RO≦20(ROは、MgO、CaO、SrO、BaOの合計量を表す)
 0≦NaO/RO≦0.8
 0≦KO/RO≦0.7
 組成Aのガラスについて、以下、詳細に説明する。
 組成Aのガラスの比重は2.4以上、3.0以下が好ましい。また、組成Aのガラスのヤング率は60GPa以上、100GPa以下が好ましい。また、組成Aのガラスの50℃から350℃までの平均線膨張係数は50×10-7/℃以上、120×10-7/℃以下が好ましい。組成Aのガラスがこれらの条件を満たせば、窓部材として好適に使用できる。
 組成Aのガラスは、耐候性を確保するために一定量以上のSiOを含むことが好ましく、その結果、組成Aのガラスの比重は2.4以上となり得る。組成Aのガラスの比重は、好ましくは2.45以上である。また、組成Aのガラスの比重が3.0以下であることによって脆くなりにくく、かつ軽量化が実現される。組成Aのガラスの比重は、好ましくは2.6以下である。
 組成Aのガラスは、ヤング率が大きくなることで高い剛性を有することになり、自動車窓用途等により適するようになる。組成Aのガラスのヤング率は、好ましくは65GPa以上、より好ましくは70GPa以上、さらに好ましくは72GPa以上である。一方、ヤング率を高くするためにSiOを増やすと溶解性が低下するため、組成Aのガラスの適切なヤング率は100GPa以下であり、好ましくは85GPa以下、より好ましくは78GPa以下である。
 また、組成Aのガラスは、平均線膨張係数が大きいことで、物理強化が可能となり、窓部材により好ましく使用できる。組成Aのガラスの50℃から350℃までの平均線膨張係数は、より好ましくは60×10-7/℃以上、さらに好ましくは80×10-7/℃以上である。一方、平均線膨張係数が大きくなりすぎると成形工程、徐冷工程、または物理強化工程において、ガラス板の温度分布に起因する熱応力が発生しやすくなり、ガラス板の熱割れが起きるおそれがある。また、ガラス板と支持部材などとの膨張差が大きくなり、歪発生の原因となり、ガラス板の割れに繋がるおそれもある。組成Aのガラスの50℃から350℃までの平均線膨張係数は、より好ましくは110×10-7/℃以下、さらに好ましくは98×10-7/℃以下である。
 また、組成Aのガラスは、ヤング率E(GPa)と平均線膨張係数α(×10-7/℃)との積E×αが4900以上であることが好ましい。組成AのガラスにおいてE×αが4900より小さいと、物理強化を入れることが難しくなり、自動車用ガラスとしての用途が限定される。組成AのガラスにおけるE×αは、より好ましくは5200以上、さらに好ましくは5800以上、特に好ましくは6200以上である。また、組成AのガラスにおけるE×αは9000以下が好ましい。組成AのガラスにおけるE×αが9000より大きいと、曲げ成形時の温度不均一などにより生じる残留応力が大きくなりやすくなり、さらに、温度不均一によって生じる熱応力も大きくなって、製造工程中でガラス板が熱割れしやすくなる。組成AのガラスにおけるE×αは、より好ましくは8600以下、さらに好ましくは7900以下、特に好ましくは7500以下である。
 また、組成Aのガラスは、Tが1750℃以下であることが好ましい。また、組成Aのガラスは、Tが1350℃以下であることが好ましく、T-Tが-50℃以上であることが好ましい。組成Aのガラスは、Tが1750℃以下であり、かつTが1350℃以下であり、かつT-Tが-50℃以上であることがより好ましい。なお、本明細書において、Tは、ガラス粘度が10(dPa・s)となる温度を表し、Tは、ガラス粘度が10(dPa・s)となる温度を表し、Tはガラスの液相温度を表す。
 TまたはTがこれら所定温度より大きくなると、フロート法、フュージョン法、ロールアウト法、ダウンドロー法等によって大きなガラス板を製造することが困難になる。Tは、より好ましくは1600℃以下、さらに好ましくは1500℃以下である。Tは、好ましくは1350℃以下、より好ましくは1300℃以下、さらに好ましくは1250℃以下である。TおよびTの下限は特に限定されないが、耐候性やガラス比重を維持するためには、典型的にはTは1200℃以上、Tは800℃以上である。Tはより好ましくは1300℃以上、さらに好ましくは1400℃以上である。Tは、より好ましくは900℃以上、さらに好ましくは1000℃以上である。
 更に、フロート法での製造を可能とするため、T-Tは、-50℃以上とすることが好ましい。この差が-50℃より小さいと、ガラス成形時にガラス中に失透が発生し、ガラスの機械的特性が低下する、透明性が低下する等の問題が生じて、品質の良いガラスを得られなくなるおそれがある。T-Tは、より好ましくは0℃以上、さらに好ましくは+20℃以上である。
 また、組成Aのガラスは、Tが400℃以上、750℃以下が好ましい。なお、本明細書において、Tは、ガラスのガラス転移点を表す。Tがこの所定温度範囲内であれば、通常の製造条件範囲内でガラスの曲げ加工を行うことができる。Tが400℃より低いと、成形性には問題は生じないが、アルカリ含有量、あるいはアルカリ土類含有量が大きくなりすぎて、ガラスの熱膨張が過大になる、耐候性が低下する等の問題が起きやすくなる。また、Tが400℃より低いと、成形温度域において、ガラスが失透し成形できなくなるおそれがある。Tは、より好ましくは450℃以上、さらに好ましくは480℃以上、特に好ましくは520℃以上である。一方、Tが高すぎると、ガラス曲げ加工時に高い温度が必要になり、製造が困難になる。Tは、より好ましくは600℃以下、さらに好ましくは550℃以下である。
 また、組成Aのガラスは、組成を調整することで低tanδ(誘電正接;δは損失角)となり、その結果、誘電損失を下げ、高いミリ波の電波透過率を達成できる。同様に組成を調整することで比誘電率も調整でき、用途に合わせた比誘電率を達成できる。
 また、組成Aのガラスは、酸化物基準のモル百分率表示で、SiOの含有量が50%以上、85%以下である。また、組成Aのガラスは、Alの含有量が0%以上、20%以下である。SiOおよびAlは、ヤング率の向上に貢献することにより、自動車用途、建築用途等に必要とされる強度を確保しやすくする。Alおよび/またはSiOが少ないと、耐候性を確保しにくくなり、また、平均線膨張係数が大きくなりすぎてガラス板が熱割れするおそれがある。Alおよび/またはSiOは、多すぎても、ガラス溶融時の粘性が増加しガラス製造が困難になるおそれがある。またAlが多すぎると、電波透過率も低くなるおそれがある。
 組成AのガラスのSiOの含有量は65%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましく、72%以上が特に好ましい。組成AのガラスのSiOの含有量は、80%以下がより好ましく、77%以下がさらに好ましく、75%以下が特に好ましい。
 組成AのガラスのAlの含有量は、耐候性改善のため0.1%以上が好ましい。組成AのガラスのAlの含有量は、Tを低く保ちガラスを製造しやすくする観点、および電波透過率を良くする観点から5%以下がより好ましく、1%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましい。
 電波透過率を向上させるため、組成AのガラスのSiO+AlすなわちSiO含有量とAl含有量の合計は、50%以上80%以下が好ましい。また、温度T、Tを低く保ちガラスを製造しやすくすることを更に考慮すると、SiO+Alは少ない方がよいため、80%以下が好ましい。SiO+Alは76%以下がより好ましく、74%以下がさらに好ましい。但し、SiO+Alが少なすぎると、耐候性が低下するおそれがあり、また、平均線膨張係数が大きくなりすぎるおそれがある。そのためSiO+Alは65%以上がより好ましく、72%以上がさらに好ましい。
 組成AのガラスのBの含有量は0%以上、15%以下が好ましい。Bは、溶解性の向上やガラス強度の向上のために含有させ得る。また、Bはミリ波の電波透過率を高くする効果がある。一方、Bの含有量が多すぎると、溶解・成形中にアルカリ元素が揮散しやすくなり、ガラス品質が低下するおそれがある。また、Bの含有量が多すぎると平均線膨張係数が小さくなり物理強化がしにくくなる。Bの含有量は、10%以下がより好ましく、3%以下がさらに好ましく、Bを実質的に含まないことが特に好ましい。なお、ガラスがある成分を「実質的に含まない」とは、不純物として不可避的に混入する場合を除き、その成分は積極的に添加されないことを意味する。
 組成AのガラスにおけるMgOの含有量は、0%以上、20%以下が好ましい。MgOは、ガラス原料の溶解を促進し、耐候性を向上させる成分である。MgOの含有量は、0.1%以上がより好ましい。MgOの含有量が20%以下であれば、失透しにくくなる。また、MgOは、ミリ波の電波透過率を高くする効果が期待できる。MgOの含有量は、10%以下がより好ましく、7%以下がさらに好ましく、4%以下がよりさらに好ましく、1%以下が特に好ましく、0.2%以下が最も好ましい。
 組成Aのガラスは、CaO、SrO、および/またはBaOを、ガラスの誘電損失量を低減させるために一定量含み得る。CaOの含有量は0%以上、20%以下が好ましい。SrOの含有量は0%以上、15%以下が好ましい。BaOの含有量は0%以上、15%以下が好ましい。組成AのガラスにCaO、SrO、および/またはBaOが含まれると、ガラスの溶解性も改善し得る。CaOの含有量は3%以上がより好ましく、これによりガラスの誘電損失量が減少しひいてはミリ波の電波透過率が向上する。また、CaOを3%以上添加することで、ガラスの溶解性の向上(Tの低下、およびTの低下)ももたらされ得る。CaOの含有量は5%以上がより好ましく、7%以上がさらに好ましく、8%以上がよりさらに好ましく、9%以上が一層好ましく、11%以上が最も好ましい。CaOの含有量を20%以下、SrOの含有量を15%以下、およびBaOの含有量を15%以下にすることで、ガラスの比重の増加が避けられ、低脆性および強度が維持される。ガラスが脆くなるのを防ぐために、CaOの含有量は15%以下がより好ましく、12%以下がさらに好ましい。SrOの含有量は、3%以下がより好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。BaOの含有量は、3%以下がより好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。
 本明細書において、「RO」は、MgO、CaO、SrO、およびBaOの含有量の合計を表す。組成Aのガラスは、ROが0%以上、20%以下である。ROが20%以下であれば、耐候性が向上する。組成AのガラスにおけるROはより好ましくは16%以下、さらに好ましくは13%以下である。
 また、製造時における温度T、Tを下げる観点から、あるいはヤング率を高くする観点から、組成AのガラスのROは0%超が好ましく、5%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましい。
 組成AのガラスにおけるNaOの含有量は、0%以上、18%以下が好ましい。NaOおよびKOは、ガラスの溶解性を向上させる成分であり、いずれかまたは両方をそれぞれ0.1%以上含有させることがより好ましい。それにより、Tを1750℃以下、Tを1350℃以下に抑えやすくなる。また、組成AのガラスにNaOを含有させることで、化学強化が可能となる。NaOの含有量はより好ましくは4%以上であり、さらに好ましくは6%以上である。
 一方、NaOが多すぎると、平均線膨張係数が大きくなりすぎてガラス板が熱割れしやすくなる。NaOの含有量はより好ましくは16%以下であり、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは8%以下である。
 組成AのガラスにおけるKOの含有量は、0%以上、18%以下が好ましい。KOは、ガラスの溶解性を向上させる成分であり、0.1%以上含有させることがより好ましい。それにより、Tを1750℃以下、Tを1350℃以下に抑えやすくなる。KOの含有量はより好ましくは2%以上であり、さらに好ましくは5%以上である。
 一方、KOの含有量が多すぎると、平均線膨張係数が大きくなりすぎてガラス板が熱割れしやすくなる。KOの含有量が18%超となると耐候性が低下して好ましくない。KOの含有量はより好ましくは12%以下であり、さらに好ましくは8%以下である。
 組成Aのガラスは、NaOとKOをともに含有させることで、溶解性を維持しつつ、耐候性を改善できるためより好ましく、さらに、ミリ波の電波透過率も高くするのにも効果がある場合がある。NaOおよび/またはKOの含有量が少ないと、ガラスの平均線膨張係数を大きくできず熱強化ができなくなるおそれがある。組成Aのガラスは、NaOおよび/またはKOの含有量を上記所定量にすることで、他の部材との整合性も良い窓用材料として利用できるようになる。また、組成Aのガラスは、NaOおよび/またはKOの含有量を上記範囲とすることで高いミリ波の電波透過率が得られる。
 また、組成AのガラスにおけるLiOの含有量は、0%以上、18%以下が好ましい。LiOは、ガラスの溶解性を向上させる成分であり、また、ヤング率を大きくしやすくし、ガラスの強度向上にも寄与する成分である。組成AのガラスにLiOを含有させることで、化学強化が可能となる。さらにミリ波の電波透過率も高くする効果が生じ得る。LiOを含有させる場合は、0.1%以上であってもよく、さらに好ましくは1%以上であってもよく、3%以上であってもよい。
 一方、LiOの含有量が多すぎると、ガラス製造時に失透もしくは分相が生じ、製造が困難になるおそれがある。LiOの含有量はより好ましくは10%以下である。また、熱膨張係数を低下させ、物理強化ができなくなるおそれがあるため、自動車窓用ガラスとしてはLiOを含有しすぎても好ましくない。そのため、組成AのガラスにおけるLiOの含有量は、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは3%以下であり、実質的に含有しないことが特に好ましい。
 また、本明細書において、「RO」はアルカリ金属酸化物の総量を表す。これは通常、LiO、NaOおよびKOの含有量の合計を意味する。組成AのガラスのROは4%以上、22%以下である。組成AのガラスにおけるROが22%以下であれば、耐候性が向上する。組成AのガラスのROは、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは18%以下、より一層好ましくは17%以下、特に好ましくは15%以下である。
 また、製造時における温度T、Tを下げる観点から、組成AのガラスにおけるROは4%以上とする。組成AのガラスにおけるROは、より好ましくは9%以上、さらに好ましくは13%以上、特に好ましくは14%以上である。
 組成AのガラスにおけるNaO/ROは、ミリ波の電波透過率を高くするために0以上0.8以下とする。NaO/ROが小さすぎても大きすぎても、ミリ波の電波透過率を高くする効果が十分に得られないおそれがある。組成AのガラスにおけるNaO/ROの下限は、LiOを含有する場合は、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.3以上である。また、組成AのガラスがLiOを含有しない場合、NaO/ROの下限は、LiOを含有する場合と比べて若干大きいほうが良く、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.4以上である。
 組成AのガラスにおけるNaO/ROの上限は、LiOを含有する場合は、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下、さらに好ましくは0.4以下である。また、組成AのガラスがLiOを含有しない場合、NaO/ROの上限は、LiOを含有する場合と比べて若干大きいほうが良く、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.55以下である。
 組成AのガラスにおけるKO/ROは、ミリ波の電波透過率を高くするために0以上0.7以下とする。KO/ROが小さすぎても大きすぎても、ミリ波の電波透過率を高くする効果が十分に得られないおそれがある。組成AのガラスにおけるKO/ROの下限は、LiOを含有する場合、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.3以上である。また、組成AのガラスがLiOを含有しない場合、KO/ROの下限は、LiOを含有する場合と比べて若干大きいほうが良く、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.4以上である。
 組成AのガラスにおけるKO/ROの上限は、LiOを含有する場合、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下、さらに好ましくは0.4以下である。また、組成AのガラスがLiOを含有しない場合、KO/ROの上限は、LiOを含有する場合と比べて若干大きいほうが良く、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下である。
 また、組成AのガラスにおけるFeの含有量は、0.001%以上、5%以下が好ましい。組成AのガラスにおけるFeの含有量が0.001%未満であると、遮熱性が求められる用途に使用できなくなるおそれがあり、また、ガラス板の製造のために、鉄の含有量の少ない高価な原料を使用する必要が生じる場合がある。さらに、組成Aのガラスは、Feの含有量が0.001%未満であると、ガラス溶融時に、必要以上に溶融炉底面に熱輻射が到達し、溶融窯に負荷がかかるおそれもある。組成AのガラスにおけるFeの含有量は、より好ましくは0.01%以上、さらに好ましくは0.05%以上である。
 一方、組成AのガラスにおけるFeの含有量が5%超であると、製造時、輻射による伝熱が妨げられて原料が溶融しにくくなるおそれがある。さらに、組成AのガラスにおけるFeの含有量が多くなりすぎると、可視域の光透過率の低下が起こるため、自動車窓用途での使用に適さなくなるおそれがある。組成AのガラスにおけるFeの含有量は、より好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.3%以下である。
 また、組成AのガラスにおけるTiOの含有量は、0.001%以上、5%以下が好ましい。例えば、組成AのガラスがTiOを含有しない場合、ガラス板の製造の際に、溶融ガラス表面に泡層が生成するおそれがあるが、泡層が生成すると、溶融ガラスの温度が上がらず、清澄しづらくなり、生産性を低下させる傾向がある。そこで、溶融ガラス表面に生成した泡層を薄化または消失させるために、消泡剤としてチタン化合物が、溶融ガラス表面に生成した泡層に供給され得る。チタン化合物は、溶融ガラス中に取り込まれ、TiOとして存在することとなる。組成AにおけるガラスのTiOの含有量は、0.05%以上がより好ましい。また、TiOは紫外域の光に対して吸収を持つため紫外線をカットしたい場合は添加することが好ましい。その場合のTiOの含有量は、好ましくは0.1%以上であってもよく、さらに0.5%以上であってもよい。しかしながら、TiOの含有量が多すぎると液相温度が上昇し、失透が生じるおそれがある。また、可視域の光に対して吸収をもち、黄色の着色が生じるおそれもあるので、組成AのガラスにおけるTiOの含有量は、5%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.2%以下がさらに好ましい。
 組成Aのガラスは、該ガラス中に水分が存在すると、近赤外線領域の光に対して吸収を持つため、近赤外線領域の光の透過率が減少し、赤外線照射機器(レーザーレーダーなど)の利用に好適ではない。ここで、ガラス中の水分は一般的にβ-OH値という値で表現できる。組成Aのガラスのβ-OH値は、0.5mm-1以下が好ましく、0.4mm-1以下がより好ましく、0.3mm-1以下がさらに好ましく、0.2mm-1以下が特に好ましい。β-OHはFT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計)を用いて測定したガラスの透過率より、下記式によって得られる。
 β-OH=(1/X)log10(T/T)[mm-1
  X:サンプルの厚み[mm]
  T:参照波数4000cm-1における透過率[%]
  T:水酸基吸収波数3600cm-1付近における最小透過率[%]
 組成Aのガラスは、上述のようにガラス中に水分が存在すると、近赤外線領域の光に対して吸収を持つ。そのため、組成Aのガラスは、遮熱性を高めるため、β-OH値は0.05mm-1以上が好ましく、0.10mm-1以上がより好ましく、0.15mm-1以上がさらに好ましい。
 (組成B、組成Cのガラス)
 また、第1のガラス板11および/または電波透過部材12には、各成分の酸化物基準のモル百分率の表示の合計含有量で、SiO、B、Alの総量が72%以上になる「組成B」のガラスを用いてもよい。「組成B」のガラスを第1のガラス板11に使用することで、ガラス強度を確保しやすく、特に飛び石耐性が高められ好ましい。さらに、組成Bのガラスを第1のガラス板11に用いることで、ミリ波の電波透過率を高く維持でき好ましい。
 この場合、電波透過部材12と第2のガラス板13は、同一のガラス板(組成B)でもよい。所望のミリ波の電波透過率が得られる範囲であれば、第2のガラス板13は第1のガラス板11と同じガラス組成(=組成B)でもよい。なお、第2のガラス板13は化学強化処理が施されていると、より高い強度が得られる。
 また、組成Bのガラスとしては、各成分の酸化物基準のモル百分率表示の含有量が以下の関係を満足するガラス(「組成C」ともいう)がより好ましい。
 72≦SiO+Al+B≦98
 55≦SiO≦87
 0≦Al≦20
 0≦B≦25
 0≦RO≦5(ROは、アルカリ金属酸化物の合計量を表す)
 0≦RO≦20(ROは、MgO、CaO、SrO、BaOの合計量を表す)
 組成Cのガラスにおける、より好ましい組成範囲について、以下、詳細に説明する。
 上記のように、組成Cのガラスは、SiO+Al+Bの含有量が72%以上、98%以下である。SiO+Al+Bの含有量が72%未満だと、ガラスを構成するネットワーク成分が少なくなり、ガラスにクラックが発生しやすくなる。また、発生したクラックの距離が伸びやすくなるおそれがある。さらに、ミリ波の電波透過率も低くなるおそれがある。組成CのガラスにおけるSiO+Al+Bの含有量は、78%以上が好ましく、83%以上がより好ましく、86%以上がさらに好ましく、89%以上がより一層好ましく、92%以上が特に好ましい。一方でネットワーク成分が多くなりすぎると、ガラスを溶解する温度やガラスを成形する温度が高温となり、ガラス板の製造が困難になるおそれがある。そのため、組成CのガラスにおけるSiO+Al+Bの含有量は、97%以下が好ましく、96%以下がより好ましく、95%以下がさらに好ましく、94%以下がより一層好ましい。
 組成CのガラスにおけるSiOの含有量は、ミリ波の電波透過率を向上させ、かつ、ガラスへのクラック発生抑制および発生したクラックの距離を伸びにくくする観点から、55%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、63%以上がさらに好ましく、66%以上がより一層好ましく、67%以上が特に好ましい。一方、組成Cのガラスは、SiOの含有量が多くなりすぎると、ガラスを溶解する温度やガラスを成形する温度に高温となり、ガラス板の製造が困難になるおそれがある。そのため、組成CのガラスにおけるSiOの含有量は、87%以下が好ましく、80%以下より好ましく、75%以下がさらに好ましく、70%以下がより一層好ましく、69%以下が特に好ましい。
 組成Cのガラスは、耐候性改善のためにAlを含有してもよい。組成CのガラスがAlを含有する場合、Alの含有量は、5%以上が好ましく、8%以上がより好ましく、9%以上がさらに好ましく、10%以上がより一層好ましく、11%以上が特に好ましい。一方、組成CのガラスにおいてAlの含有量が多すぎるとミリ波の電波透過率が低下するおそれがある、また、失透しやすくなる。そのため、組成CのガラスにおけるAlの含有量は、20%以下が好ましく、18%以下がより好ましく、16%以下がさらに好ましく、14%以下がより一層好ましく、13%以下が特に好ましく、12%以下が最も好ましい。
 組成Cのガラスには、溶解性の向上やガラス強度の向上、ミリ波の電波透過率を高めるためにBを含有させ得る。組成CのガラスがBを含有する場合、Bの含有量は、0%超、25%以下が好ましい。一方、組成Cのガラスにおいて、Bの含有量が多すぎると、溶解・成形中にアルカリ元素が揮散しやすくなり、ガラスの品質低下を招くおそれがある。そのため、組成CのガラスにおけるBの含有量は、23%以下がより好ましく、21%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましく、19%以下がより一層好ましく、18%以下が特に好ましい。なお、組成CのガラスにおけるBの含有量は、7%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、12%以上がさらに好ましく、14%以上がより一層好ましく、16%以上が特に好ましい。
 また、ミリ波の電波透過率を向上させるため、組成CのガラスのSiO+AlすなわちSiO含有量とAl含有量の合計は、65%以上85%以下が好ましい。ミリ波の電波透過率を高めるため、および温度T、Tを低く保ちガラスを製造しやすくすることを更に考慮すると、SiO+Alは少ない方がよく、80%以下が好ましい。組成CのガラスにおけるSiO+Alは78%以下がより好ましく、76%以下がさらに好ましく、74%以下が特に好ましく、72%以下が一層好ましく、71%以下が最も好ましい。但し、組成CのガラスにおけるSiO+Alが少なすぎると、耐候性が低下するおそれがあり、また、平均線膨張係数が大きくなりすぎるおそれがある。そのため、組成CのガラスにおけるSiO+Alは68%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。
 組成Cのガラスは、Al/Bの値が0.35以下であるとよい。組成CのガラスにおけるAl/Bの値が0.35以下であると、ミリ波の電波透過率をより高めることができて好ましい。さらに、組成CのガラスにおけるAl/Bの値が0.35以下であると、ガラスを溶解しやすくなるため、製造時におけるガラスの粘性を下げることができ、Tを1750℃以下、Tを1350℃以下に抑えやすくなる。組成CのガラスにおけるAl/Bの値は、さらに好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.28以下である。
 また、組成Cのガラスは、アルカリ金属酸化物の総量を表すROが5%以下であれば、ミリ波の電波透過率を高くでき、かつ耐候性の向上も期待でき好ましい。組成CのガラスのROは、4%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましく、1%以下がより一層好ましく、0.5%以下が特に好ましい。また、組成Cのガラスは、製造時における温度T、Tを下げる観点から、もしくは、ガラス融液への直接通電による加熱をしやすくするために、ROを微量含んでもよい。その場合、ROの含有量は、0.001%以上が好ましく、0.005%以上がより好ましく、0.007%以上がさらに好ましく、0.01%以上がより一層好ましく、0.02%以上が特に好ましく、0.03%以上が最も好ましい。一方、組成Cのガラスは、ROの含有量が多くなりすぎるとミリ波の電波透過性が低下するおそれがあるため、ROは、0.4%以下が好ましく、0.3%以下がより好ましく、0.2%以下がさらに好ましく、0.1%以下がより一層好ましく、0.08%以下が特に好ましく、0.06%以下が最も好ましい。
 また、組成CのガラスにおけるNaOの含有量は、0%以上、4%以下がより好ましい。NaOおよびKOは、ガラスの溶解性を向上させる成分であり、いずれかまたは両方をそれぞれ0.001%以上含有させることがより好ましい。組成CのガラスにおけるNaOの含有量は、さらに好ましくは0.005%以上であり、特に好ましくは0.01%以上、より一層好ましくは0.02%以上であり、最も好ましくは0.03%以上である。
 一方、組成CのガラスはNaOが多すぎると、ミリ波の電波透過率が低下するおそれがある。組成CのガラスにおけるNaOの含有量は、さらに好ましくは3%以下であり、特に好ましくは2%以下、一層好ましくは1%以下、最も好ましくは0.5%以下である。
 また、組成CのガラスにおけるKOの含有量は、0%以上、4%以下がより好ましい。組成CのガラスにおけるNaOおよびKOは、ガラスの溶解性を向上させる成分であり、いずれかまたは両方をそれぞれ0.001%以上含有させることがより好ましい。組成CのガラスにおけるKOの含有量は、さらに好ましくは0.005%以上であり、特に好ましくは0.01%以上、より一層好ましくは0.02%以上であり、最も好ましくは0.03%以上である。
 一方、組成CのガラスはKOが多すぎると、電波透過率が低下するおそれがある。組成CのガラスにおけるKOの含有量は、さらに好ましくは3%以下であり、特に好ましくは2%以下、より一層好ましくは1%以下、最も好ましくは0.5%以下である。
 組成Cのガラスは、NaOとKOをともに含有させることで、溶解性を維持しつつ、耐候性を改善できるためより好ましく、さらに、電波透過率も高くするのにも効果がある場合がある。組成Cのガラスは、NaOおよび/またはKOの含有量を上記所定量にすることで、他の部材との整合性も良い窓用材料として利用できるようになる。また、組成Cのガラスは、NaOおよび/またはKOの含有量を上記範囲とすることで高いミリ波の電波透過率が得られる。
 また、組成CのガラスにおけるLiOの含有量は、0%以上、5%以下が好ましい。LiOは、ガラスの溶解性を向上させる成分であり、また、ヤング率を大きくしやすくし、ガラスの強度向上にも寄与する成分である。さらにミリ波の電波透過率も高くする効果が生じ得る。組成CのガラスにおいてLiOを含有させる場合は、0.001%以上であればよく、さらに好ましくは0.002%以上であればよく、0.003%以上であればよい。
 一方、組成CのガラスにおいてLiOの含有量が多すぎると、ガラス製造時に失透もしくは分相が生じ、製造が困難になるおそれがある。そのため、組成CのガラスにおけるLiOの含有量は、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下であり、特に好ましくは0.5%以下であり、より一層好ましくは0.1%以下であり、最も好ましくは実質的に含有しないことが特に好ましい。
 組成CのガラスにおけるNaO/ROは、ミリ波の電波透過率を高くするために0以上0.9以下がより好ましい。組成CのガラスにおいてNaO/ROが小さすぎても大きすぎても、ミリ波の電波透過率を高くする効果が十分に得られないおそれがある。組成CのガラスにおけるNaO/ROの下限は、LiOを含有する場合は、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.3以上である。一方、組成CのガラスにおいてLiOを含有しない場合は、NaO/ROの下限は、LiOを含有する場合と比べて若干大きいほうが良く、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.4以上である。
 組成CのガラスにおけるNaO/ROの上限は、LiOを含有する場合は、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下、さらに好ましくは0.4以下である。組成CのガラスにおいてLiOを含有しない場合は、NaO/ROの上限は、LiOを含有する場合と比べて若干大きいほうが良く、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.6以下である。
 組成CのガラスにおけるKO/ROは、ミリ波の電波透過率を高くするために0以上0.7以下がより好ましい。組成CのガラスにおいてKO/ROが小さすぎても大きすぎても、ミリ波の電波透過率を高くする効果が十分に得られないおそれがある。組成CのガラスにおけるKO/ROの下限は、LiOを含有する場合、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.3以上である。一方、組成CのガラスにおいてLiOを含有しない場合は、KO/ROの下限は、LiOを含有する場合と比べて若干大きいほうが良く、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.4以上である。
 組成CのガラスにおけるKO/ROの上限は、LiOを含有する場合、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下、さらに好ましくは0.4以下である。組成CのガラスにおいてLiOを含有しない場合は、KO/ROの上限は、LiOを含有する場合と比べて若干大きいほうが良く、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下である。
 また、組成Cのガラスは、耐候性向上やガラス板作製時の失透抑制や分相抑制のため、MgO、CaO、SrO、およびBaOの含有量の合計を表すROを含んでもよい。組成CのガラスにおけるROの含有量は、1%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、3%以上がさらに好ましく、3.5%以上がより一層好ましく、4%以上が特に好ましい。一方で、組成CのガラスにおいてROは含有量が多すぎると失透が出やすくなる場合もあり、さらにミリ波の電波透過性も低下するおそれがあるので、ROの含有量は20%以下が好ましい。組成CのガラスにおけるROの含有量は、17%以下が好ましく、14%以下がより好ましく、11%以下がさらに好ましく、8%以下がより一層好ましく、6%以下が特に好ましい。
 組成CのガラスにおけるMgOの含有量は、0%以上、10%以下がより好ましい。MgOは、ガラス原料の溶解を促進し、耐候性を向上させる成分である。組成CのガラスにおけるMgOの含有量は、0.1%以上がより好ましい。組成CのガラスにおいてMgOの含有量が10%以下であれば、失透しにくくなる。また、組成CのガラスにおいてMgOが多すぎると、ミリ波の電波透過率が下がるおそれがあるため、MgOの含有量は、3%以下がさらに好ましく、1%以下が特に好ましく、0.6%以下が一層好ましく、0.3%以下が特に好ましい。
 組成Cのガラスは、CaO、SrO、および/またはBaOを、ガラスの誘電損失量を低減させるために一定量含み得る。組成CのガラスにおけるCaOの含有量は0%以上、10%以下がより好ましい。組成CのガラスにおけるSrOの含有量は0%以上、10%以下が好ましい。組成CのガラスにおけるBaOの含有量は0%以上、10%以下が好ましい。組成Cのガラスは、CaO、SrO、および/またはBaOが含まれると、ガラスの溶解性も改善し得る。組成CのガラスにおけるCaOの含有量は0.1%以上がより好ましく、これによりガラスの誘電損失量が減少しひいてはミリ波の電波透過率が向上する。また、組成CのガラスにおいてCaOを3%以上添加することで、ガラスの溶解性の向上(Tの低下、およびTの低下)ももたらされ得る。組成CのガラスにおけるCaOの含有量は4%以上がより好ましく、5%以上がさらに好ましい。また、組成CのガラスにおけるCaOの含有量を10%以下、SrOの含有量を10%以下、およびBaOの含有量を10%以下にすることで、ガラスの比重の増加が避けられ、低脆性および強度が維持される。ガラスが脆くなるのを防ぐために、組成CのガラスにおけるCaOの含有量は8%以下がより好ましく、6%以下がさらに好ましい。また、組成CのガラスにおけるSrOの含有量は、7%以下がより好ましく、4%以下がさらに好ましく、1%以下が一層好ましく、0.5%以下が最も好ましい。さらに、組成CのガラスにおけるBaOの含有量は、3%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましく、1%以下が特に好ましく、実質的に含有しないことが一層好ましい。
 また、組成CのガラスにおけるFeの含有量は、0.001%以上、5%以下が好ましい。組成CのガラスにおけるFeの含有量が0.001%未満であると、遮熱性が求められる用途に使用できなくなるおそれがあり、また、ガラス板の製造のために、鉄の含有量の少ない高価な原料を使用する必要が生じる場合がある。さらに、組成CのガラスにおけるFeの含有量が0.001%未満であると、ガラス溶融時に、必要以上に溶融炉底面に熱輻射が到達し、溶融窯に負荷がかかるおそれもある。組成CのガラスにおけるFeの含有量は、より好ましくは0.01%以上、さらに好ましくは0.05%以上である。
 一方、組成CのガラスにおけるFeの含有量が5%超であると、製造時、輻射による伝熱が妨げられて原料が溶融しにくくなるおそれがある。さらに、組成CのガラスにおけるFeの含有量が多くなりすぎると、可視域の光透過率の低下が起こるため、自動車窓用途での使用に適さなくなるおそれがある。組成CのガラスにおけるFeの含有量は、より好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.3%以下である。
 また、組成CのガラスにおけるTiOの含有量は、0.001%以上、5%以下が好ましい。例えば、TiOを含有しない場合、ガラス板の製造の際に、溶融ガラス表面に泡層が生成するおそれがあるが、泡層が生成すると、溶融ガラスの温度が上がらず、清澄しづらくなり、生産性を低下させる傾向がある。そこで、溶融ガラス表面に生成した泡層を薄化または消失させるために、消泡剤としてチタン化合物が、溶融ガラス表面に生成した泡層に供給され得る。チタン化合物は、溶融ガラス中に取り込まれ、TiOとして存在することとなる。組成CにおけるガラスのTiO含有量は、0.01%以上が好ましく、0.02%以上がより好ましく、0.03%以上がさらに好ましい。またTiOは紫外域の光に対して吸収を持つため紫外線を遮断する場合は添加するとよい。その場合、組成CのガラスにおけるTiOの含有量は、好ましくは0.1%以上であってもよく、さらに0.5%以上であってもよい。しかしながら、組成CのガラスにおけるTiOの含有量が多すぎると液相温度が上昇し、失透が生じるおそれがある。また、可視域の光に対して吸収が発生し、黄色の着色が生じるおそれもあるので、組成CのガラスにおけるTiOの含有量は5%以下に留めることが好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.2%以下がさらに好ましい。
 また、組成Cのガラスは、組成を調整することで低tanδ(誘電正接;δは損失角)となり、その結果、誘電損失を下げ、高いミリ波の電波透過率を達成できる。同様に組成を調整することで比誘電率も調整でき、用途に合わせた比誘電率を達成できる。
 組成Cのガラスは、該ガラス中に水分が存在すると、近赤外線領域の光に対して吸収を持つため、近赤外線領域の光の透過率が減少し、赤外線照射機器(レーザーレーダーなど)の利用に好適ではない。ここで、ガラス中の水分は一般的にβ-OH値という値で表現できる。組成Cのガラスのβ-OH値は、0.5mm-1以下が好ましく、0.4mm-1以下がより好ましく、0.3mm-1以下がさらに好ましく、0.2mm-1以下が特に好ましい。β-OHはFT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計)を用いて測定したガラスの透過率より、下記式によって得られる。
 β-OH=(1/X)log10(T/T)[mm-1
  X:サンプルの厚み[mm]
  T:参照波数4000cm-1における透過率[%]
  T:水酸基吸収波数3600cm-1付近における最小透過率[%]
 組成Cのガラスは、上述のようにガラス中に水分が存在すると、近赤外線領域の光に対して吸収を持つ。そのため、組成Cのガラスは、遮熱性を高めるため、β-OH値は0.05mm-1以上が好ましく、0.10mm-1以上がより好ましく、0.15mm-1以上がさらに好ましい。
 組成Cのガラスの比重は2.1以上、2.8以下が好ましい。また、組成Cのガラスのヤング率は50GPa以上、90GPa以下が好ましい。また、組成Cのガラスの50℃から350℃までの平均線膨張係数は30×10-7/℃以上、50×10-7/℃以下が好ましい。組成Cのガラスがこれらの条件を満たせば、窓部材として好適に使用できる。
 組成Cのガラスは、耐候性を確保するために一定量以上のSiOを含むことが好ましく、その結果、組成Cのガラスの比重は2.1以上となり得る。組成Cのガラスの比重は、好ましくは2.2以上である。組成Cのガラスの比重が2.8以下であることによって脆くなりにくく、かつ軽量化が実現される。組成Cのガラスの比重は、より好ましくは2.6以下、特に好ましくは2.5以下、一層好ましくは2.4以下、最も好ましくは2.3以下である。
 組成Cのガラスは、ヤング率が大きくなることで高い剛性を有することになり、自動車窓用途等により適するようになる。組成Cのガラスのヤング率は、好ましくは50GPa以上、より好ましくは52GPa以上、さらに好ましくは54GPa以上、特に好ましくは56GPa以上、一層好ましくは57GPa以上、最も好ましくは58GPa以上である。一方でガラス板の熱割れを抑制するためには、ヤング率は低いほうがよく、組成Cのガラスの適切なヤング率は80GPa以下であり、好ましくは75GPa以下、より好ましくは70GPa以下、特に好ましくは65GPa以下、一層好ましくは63GPa以下、最も好ましくは62GPa以下である。
 また、組成Cのガラスは、平均線膨張係数を小さくすることで、ガラス板の温度分布に起因する熱応力の発生が抑制され、ガラス板の熱割れが起きにくくなるので好ましい。組成Cのガラスの50℃から350℃までの平均線膨張係数は、より好ましくは30×10-7/℃以上、さらに好ましくは31×10-7/℃以上である。一方、平均線膨張係数が大きくなりすぎると成形工程、徐冷工程、または物理強化工程において、ガラス板の温度分布に起因する熱応力が発生しやすくなり、ガラス板の熱割れが起きるおそれがある。また、ガラス板と支持部材などとの膨張差が大きくなり、歪発生の原因となり、ガラス板の割れに繋がるおそれもある。組成Cのガラスの50℃から350℃までの平均線膨張係数は、より好ましくは45×10-7/℃以下、さらに好ましくは40×10-7/℃以下、特に好ましくは36×10-7/℃以下、より一層好ましくは34×10-7/℃以下であり、最も好ましくは32×10-7/℃以下である。
 また、組成Cのガラスは、ヤング率E(GPa)と平均線膨張係数α(×10-7/℃)との積E×αが1500以上であることが好ましい。組成CのガラスにおいてE×αが1500より小さいと、窓ガラスとして剛性が得られにくくなり、自動車用ガラスとしての用途が限定される。組成CのガラスにおけるE×αは、より好ましくは1600以上、さらに好ましくは1700以上である。また、組成CのガラスにおけるE×αは3000以下が好ましい。組成CのガラスにおけるE×αが3000より大きいと、曲げ成形時の温度不均一などにより生じる残留応力が大きくなりやすくなり、さらに、温度不均一によって生じる熱応力も大きくなって、製造工程中でガラス板が熱割れしやすくなる。組成CのガラスにおけるE×αはより好ましくは3000以下、さらに好ましくは2500以下、特に好ましくは2200以下、一層好ましくは2000以下、最も好ましくは1800以下である。
 また、組成Cのガラスは、Tが1750℃以下であることが好ましい。また、組成Cのガラスは、Tが1350℃以下であることが好ましい。また、組成Cのガラスは、T-Tが-50℃以上であることが好ましい。本明細書において、Tは、ガラス粘度が10(dPa・s)となる温度を表し、Tは、ガラス粘度が10(dPa・s)となる温度を表し、Tはガラスの液相温度を表す。
 TまたはTがこれら所定温度より大きくなると、フロート法、フュージョン法、ロールアウト法、ダウンドロー法等によって大きな板を製造することが困難になる。Tは、より好ましくは1700℃以下、さらに好ましくは1670℃以下である。Tは、好ましくは1350℃以下、より好ましくは1300℃以下、さらに好ましくは1250℃以下である。TおよびTの下限は特に限定されないが、耐候性やガラス比重を維持するためには、典型的にはTは1500℃以上、Tは1100℃以上である。Tはより好ましくは1550℃以上、さらに好ましくは1600℃以上である。Tは、より好ましくは1150℃以上、さらに好ましくは1200℃以上である。
 更に、フロート法での製造を可能とするため、T-Tは、-50℃以上とすることが好ましい。この差が-50℃より小さいと、ガラス成形時にガラス中に失透が発生し、ガラスの機械的特性が低下する、透明性が低下する等の問題が生じて、品質の良いガラスを得られなくなるおそれがある。T-Tは、より好ましくは0℃以上、さらに好ましくは+20℃以上である。
 また、組成Cのガラスは、Tが550℃以上、750℃以下が好ましい。Tがこの所定温度範囲内であれば、通常の製造条件範囲内でガラスの曲げ加工を行うことができる。Tが550℃より低いと、成形性には問題は生じないが、耐候性が低下する等の問題が起きやすくなる。また、Tが550℃より低いと、成形温度域において、ガラスが失透し成形できなくなるおそれがある。Tは、より好ましくは600℃以上、さらに好ましくは620℃以上、特に好ましくは640℃以上である。一方、Tが高すぎると、ガラス曲げ加工時に高い温度が必要になり、製造が困難になる。Tは、より好ましくは700℃以下、さらに好ましくは650℃以下、特に好ましくは630℃以下である。
 本実施形態によるガラス板は、上記、即ち、組成Aのガラス、組成B、組成Cのガラスいずれの態様においても、NiOの含有量が0.01%以下であることが好ましい。本実施形態によるガラス板は、SiO、Al、B、RO、RO、TiO、Fe以外の成分(以下、「その他成分」ともいう)の合計含有量が5%以下であることが好ましい。その他の成分は、例えば、ZrO、Y,Nd、P、GaO、GeO、CeO、MnO、CoO、Cr、V、Se、Au、AgO、CuO、CdO、SO、Cl、F、SnO、Sbなどが挙げられ、金属イオンでもよく、酸化物でもよい。本実施形態によるガラス板は、NiOの含有量が0.01%以下であり、かつ、その他成分の合計含有量は5%以下がより好ましい。
 本実施形態によるガラス板は、NiOを含有させると、NiSの生成によりガラス破壊がもたらされ得るため、その含有量は0.01%以下が好ましい。本実施形態によるガラス板におけるNiOの含有量はより好ましくは0.005%以下であり、NiOが実質的に含まれないことがさらに好ましい。その他成分は諸目的(例えば清澄および着色)のために5%以下含有し得る。その他成分の含有量が5%を超えると、ミリ波の電波透過率を低下させるおそれがある。その他成分の含有量はより好ましくは2%以下であり、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下、より一層好ましくは0.3%以下、最も好ましくは0.1%以下である。また、環境への影響を防ぐため、As、PbOの含有量は、それぞれ0.001%未満がより好ましい。
 CeOは、酸化剤として作用して、FeO量を制御でき、また紫外線を遮断できる。本実施形態におけるガラス板がCeOを含む場合、その含有量は好ましくは0.004%以上、より好ましくは0.01%以上、さらに好ましくは0.05%以上、特に好ましくは0.1%以上である。一方、生産性を高めるため、本実施形態におけるガラス板におけるCeOの含有量は、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.3%以下である。
 Crは、酸化剤として作用して、FeO量を制御できる。本実施形態におけるガラス板がCrを含む場合、その含有量は好ましくは0.002%以上、より好ましくは0.004%以上である。Crは可視域の光に対して着色をもつため、可視光透過率の低下のおそれがある。本実施形態におけるガラス板がCrを含む場合、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.3%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
 SnOは、還元剤として作用して、FeO量を制御できる。本実施形態におけるガラス板がSnOを含む場合、その含有量は好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.04%以上、さらに好ましくは0.06%以上、特に好ましくは0.08%以上である。一方、ガラス板製造時にSnO由来の欠点を抑制するために、本実施形態におけるガラス板におけるSnOの含有量は、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.3%以下、最も好ましくは0.2%以下である。
 また、Pは、本実施形態におけるガラス板の、フロート法での製造においては、フロートバス内でガラスの欠点を発生させやすい。そのため、本実施形態におけるガラス板におけるPの含有量はより好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.1%以下、特に好ましくは0.05%以下、最も好ましくは0.01%未満である。
 (ガラス材料以外の材料)
 また、電波透過部材12を構成する材料として、ガラス以外に例えば、樹脂が挙げられる。樹脂は特に限定されないが、例えば、ABS(acrylonitrile butadiene styrene;アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PVC(polyvinyl chloride;ポリビニルクロライド)、フッ素系樹脂、PC(ポリカーボネート)、COP(シクロオレフィンポリマー樹脂)、SPS(シンジオタクチックポリスチレン樹脂)、変性PPE(変性ポリフェニレンエーテル)、ウレタン樹脂、ポリスチレン(PS)等を使用できる。
 なお、図1に例示する構成において窓部材10は平面視で台形の領域をなす電波透過部材12を1つ備えるが、電波透過部材12の形状や数はこの構成に限定されない。例えば、電波透過部材12は円形等であってもよく、また、電波透過部材12の領域は複数あってもよい。すなわち、窓部材10は複数の第1の領域Aを備えてもよい。電波透過部材12の形状は任意であるが、電波透過部材12の厚さは、取り扱いの観点から0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、1.0mm以上がさらに好ましい。また、軽量性の観点からは2.3mm以下が好ましく、2.0mm以下がより好ましい。さらに、図1に例示する構成では、窓部材10の平面視における第1の領域Aの外縁は、第1のガラス板11の外縁と一部重なっているが、第1の領域Aの外縁は、第1のガラス板11の外縁よりも内側に位置してもよい。その場合、第1の領域Aに樹脂を備え、第2の領域Bに該樹脂(第1の領域A)の周囲を全て囲う第2のガラス板13を備える窓部材10が例示できる。この場合、図2に示す(図1の)X-X線における窓部材の断面図は、第1の領域Aの両側(窓部材10の厚さ方向に略直交する側)に第2の領域Bが配置される構成となる。
 電波透過部材12及び第2のガラス板13は、透明樹脂層14により第1のガラス板11に接合される。
 透明樹脂層14としては、従来自動車の窓ガラスとして用いられている合わせガラスに一般的に採用されているものを使用でき、例えば、ポリビニルブチラール、エチレンビニールアセテート、シクロオレフィンポリマー等を使用できる。透明樹脂層14は、これらを単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。すなわち、透明樹脂層14としては、ポリビニルブチラール、エチレンビニールアセテート、シクロオレフィンポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含有する樹脂の層を使用できる。また、透明樹脂層は加熱前において液状の樹脂を用いてもよい。
 そして、第1のガラス板11、透明樹脂層14、第2のガラス板13及び電波透過部材12を積層し、加熱及び加圧する工程を経ることで、第1のガラス板11と、第2のガラス板13及び電波透過部材12とを、透明樹脂層14を介して接合された構成の窓部材10が得られる。
 なお、図1に示す構成において窓部材10は透明樹脂層14を1層のみ備えるが、本実施形態の窓部材10は、上記例示した2種以上の樹脂により複数層の透明樹脂層を備えてもよい。
 なお、第1のガラス板11と、電波透過部材12との線膨張係数の差が大きいと、上述の加熱の工程により、窓部材10に割れや反りが生じ、外観不良を引き起こすおそれがある。したがって、第1のガラス板の線膨張係数と、電波透過部材の線膨張係数との差は、できるだけ小さい方が好ましい。第1のガラス板と電波透過部材との線膨張係数の差は、各々、所定の温度範囲における平均線膨張係数どうしの差で示してもよい。また、電波透過部材が樹脂材料である場合、特に、ガラス材料に比べ樹脂材料の方が、ガラス転移点が低いので、樹脂材料のガラス転移点以下の温度範囲で、所定の平均線膨張係数差を設定してもよい。なお、第1のガラス板と樹脂材料との線膨張係数の差は、樹脂材料のガラス転移点以下の、所定の温度により、設定してもよい。
 また、透明樹脂層14は、粘着剤からなる粘着剤層を用いてもよく、粘着剤としては特に限定されないが、例えばアクリル系粘着剤やシリコーン系粘着剤等を使用できる。
 透明樹脂層14が粘着剤層である場合、第1のガラス板11と、第2のガラス板13及び電波透過部材12との接合のプロセスにおいて加熱工程を経る必要がないため、上記の割れや反りが生じるおそれが無い。透明樹脂層14の厚さは、0.1mm~1mm程度であればよい。また、第2のガラス板13の厚さは、取り扱いの観点から0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、1.0mm以上がさらに好ましい。また、軽量性の観点から2.3mm以下が好ましく、2.0mm以下がより好ましい。
 本実施形態の窓部材10は、第1のガラス板11、電波透過部材12、第2のガラス板13、透明樹脂層14以外の層(以下「その他の層」ともいう)を本発明の効果を損なわない範囲で備えてもよい。例えば、撥水機能、親水機能、防曇機能等を付与するコーティング層や、赤外線反射膜等を備えてもよい。その他の層の設けられる位置は特に限定されず、窓部材10の表面に設けられてもよく、複数の透明樹脂層14に挟持されるように設けられてもよい。また、本実施形態の窓部材10は、枠体等への取り付け部分や配線導体等を隠蔽する目的で、周縁部の一部または全部に帯状に配設される黒色セラミックス層等を備えてもよい。
 以下、図面を参照して、本実施形態の窓部材10を自動車の窓ガラスとして用いる場合について説明する。
 図3は、本実施形態の窓部材10が自動車100の前方に形成された開口部110に装着され、自動車の窓ガラスとして用いられた状態を表す概念図である。自動車の窓ガラスとして用いられる窓部材10には、車両の走行安全を確保するための、情報デバイスが収納されたハウジング(ケース)120が、車両内部側の表面に取り付けられている。情報デバイスは、カメラやレーダー等を用いて車両の前方に存在する前方車、歩行者、障害物等への追突、衝突防止やドライバーに危険を知らせるためのデバイスで、例えば情報受信デバイスおよび/又は情報送信デバイス等であり、ミリ波レーダー、ステレオカメラ、赤外線レーザー等が含まれ、信号の送受信を行う。当該「信号」とは、ミリ波、可視光、赤外光等を含む電磁波のことである。
 図4は、図3におけるS部分の拡大図であり、本実施形態の窓部材10にハウジング120が取り付けられている部分を示す斜視図である。ハウジング120には、情報デバイスとしてミリ波レーダー201およびステレオカメラ202が格納されている。図4に示すように、本実施形態の窓部材10は、電波透過性に優れる領域である第1の領域Aがミリ波レーダー201およびステレオカメラ202等の情報デバイスの周辺に位置するようにして用いられる。情報デバイスを格納したハウジング120は、通常バックミラー150よりも車外側、窓部材10よりも車内側に取り付けられるが、他の部分に取り付けられてもよい。
 図5は、図4のY-Y線を含み水平線と直交する方向における断面図である。窓部材10は通常、第1のガラス板11が車外側に配置されるが、第1のガラス板11を車内側に配置してもよい。なお、前述のとおり、ミリ波レーダー201等の情報デバイスの通信に用いられる電波300が第1のガラス板11の主表面に対する入射角θは、67.5°で評価できる。
[第2の実施形態]
 図6A及び図6Bは第2の実施形態の窓部材20の例の断面図である。図6Aに示す窓部材20は、第1の領域Aとして、第1のガラス板21に接する電波透過部材22が1層の場合を例示した図である。また、図6Bに示す窓部材20は、第1の領域Aとして、第1のガラス板21に接する電波透過部材22が第1の電波透過部材22a及び第2の電波透過部材22bの2層からなる場合を例示した図である。本実施形態では、電波透過部材22が第1のガラス板21に隣接している点において第1の実施形態と異なる。なお、本実施形態において第2のガラス板23は第1の実施形態と同様に、透明樹脂層24により第1のガラス板21に接合される。本実施形態における第1のガラス板21、第2のガラス板23、透明樹脂層24、その他の層については、第1の実施形態について説明したものと同様である。
 本実施形態では、電波透過部材22は、加熱及び加圧工程を経ることにより第1のガラス板21に直接接合できる材料により構成されており、第1のガラス板21に直接接合されている。
 なお、本実施形態の窓部材20においても、第1の実施形態と同様に、窓部材20の平面視において第1の領域Aの外縁が第1のガラス板11の外縁よりも内側に位置してもよい。つまり、この場合、図6A及び図6Bに示す(図1の)X-X線における窓部材の断面図は、領域Aの両側(窓部材10の厚さ方向に略直交する側)に領域Bが配置される構成としてもよい。
 また、本実施形態の窓部材20において、加熱及び加圧工程を経ることにより第1のガラス板21に直接接合できる材料としては、例えばウレタン樹脂が挙げられる。ウレタン樹脂からなる層(ウレタン樹脂層)は、1層で構成してもよいが、強度を向上させるために、複数層積層して電波透過部材22として使用することが好ましい。このように、ウレタン樹脂を電波透過部材22として用いる場合のウレタン樹脂層の層数は、強度及び電波透過性の観点から、1~5層の範囲であればよく、特に複層にすることで第1のガラス板21とウレタン樹脂層との密着性や強度が向上することから、2~5層の範囲が好ましく、2~4層がより好ましく、2層が特に好ましい。また、ウレタン樹脂層の合計の厚さは、透明樹脂層24より厚く第2のガラス板23の端面と接していればよく、強度の観点からは1.0mm以上が好ましく、1.2mm以上がより好ましい。また、ウレタン樹脂層の合計の厚さは、ミリ波の電波透過性の観点からは2mm以下が好ましく、1.8mm以下がより好ましい。なお、図6Aに示す窓部材20は、電波透過部材22として、1種の(樹脂)材料、例えばウレタン樹脂層を1層または複数層(2~5層)積層した場合の断面模式図である。
 また、使用するウレタン樹脂層としては、高いミリ波透過性に加えて強度の観点から、ASTM規格D624, Die Cの試験方法における引裂強度が40KN/m以上のものが好ましく、50KN/m以上のものがより好ましい。さらに、使用するウレタン樹脂層としては、高いミリ波透過性に加え強度の観点から、ASTM規格D412の試験方法における引張強度が30MPa以上のものが好ましく、40MPa以上のものがさらに好ましい。
 また、本実施形態の窓部材20は、電波透過部材22として、加熱及び加圧により第1のガラス板21に直接接合できる材料からなる層を含む、2以上の層を積層して用いてもよい。図6Bに示す窓部材20における電波透過部材22は、第1のガラス板21側から第1の電波透過部材22a、第2の電波透過部材22bがこの順に積層されている場合の断面模式図である。第1の電波透過部材22aは、例えば、1層または複数層(2~5層)のウレタン樹脂層が例示できる。また、第2の電波透過部材22bは、ミリ波の電波に対して高い電波透過性を有していればよく、その材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、フッ素樹脂、PET樹脂、上記した組成Aのガラス、組成Bのガラスまたは組成Cのガラス等を使用できる。なお、第2の電波透過部材22bの材料としては、製造時における耐熱性等の観点から特にポリカーボネート樹脂が好ましく、第1の電波透過部材22aと第2の電波透過部材22bの組合せとしては、ウレタン樹脂層とポリカーボネート樹脂層との組み合わせがより好ましい。また、第2の電波透過部材22bの材料がポリカーボネート樹脂である場合、ポリカーボネート樹脂からなる第2の電波透過部材22bの厚さは、加工性の観点から0.5mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましい。また、ポリカーボネート樹脂からなる第2の電波透過部材22bの厚さは、ミリ波の電波透過性の観点から5mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましい。
 本実施形態の窓部材20の製造においては、一度の加熱及び加圧工程を経ることにより、電波透過部材22の第1のガラス板21への接合と、透明樹脂層24を介した第2のガラス板23の第1のガラス板21への接合とを同時に行うことができる。
 [第3の実施形態]
 図7は第3の実施形態の窓部材30の断面図である。本実施形態の窓部材30は、第1のガラス板31の主表面と対向する全領域に電波透過部材32を備える。本実施形態において電波透過部材32は透明樹脂層34を介して第1のガラス板31に接合される。つまり、本実施形態の窓部材30は、全領域にわたって、第1のガラス板31、透明樹脂層34、電波透過部材32がこの順に積層された積層体である。本実施形態における第1のガラス板31、透明樹脂層34、その他の層については、第1の実施形態について説明したものと同様である。
 本実施形態においては、窓部材30の強度を確保するために、電波透過部材32はガラスにより構成することが好ましく、特に、前述の組成A、組成B、または、組成Cのガラスで構成することが好ましい。
 本実施形態の窓部材30は、第1のガラス板31の主表面と対向する一部の領域(第1の領域A)が電波透過部材を備える構成の窓部材と比較すると、部品数が少なく、また、部品加工の工数も削減できるため、生産性に優れる。また、本実施形態の窓部材30は、第1のガラス板31を従来から自動車の合わせガラスに使用するガラスとし、電波透過部材32として組成A、組成B、または、組成Cのガラスを用いる組み合わせでもよい。さらに、本実施形態では、組成A、組成B、または、組成Cのガラスを、電波透過部材32と第1のガラス板31の両方に用いることで、より高い電波透過性を実現できる。この場合、電波透過部材32と第1のガラス板31におけるガラスの組合せ(組成A~組成Cのガラス)は任意でよい。
 また、本実施形態の窓部材30は全体が電波透過性に優れるため、電波の送受信装置(ミリ波レーダー等)の取り付け位置が制限されない点においても優れる。
 [第4の実施形態]
 図8は第4の実施形態の窓部材40の断面図である。図8に示す窓部材40は、具体的に、第1の実施形態の窓部材10のうち電波透過部材12の部分を、図6Bに示す窓部材20の電波透過部材22に置き換えた実施形態である。つまり、図8に示す第4の実施形態の窓部材40は、透明樹脂層44に接する電波透過部材42が、第1の電波透過部材42a及び第2の電波透過部材42bの2層からなる場合を例示した図である。本実施形態では、領域Aに透明樹脂層44を有し、電波透過部材42を2層とした点において第1の実施形態と異なる。なお、本実施形態において第2のガラス板43は第1の実施形態と同様に、透明樹脂層44により第1のガラス板41に接合される。本実施形態における第1のガラス板41、第2のガラス板43、透明樹脂層44については、第1の実施形態について説明したものと同様である。
 また、図8に示す第4の実施形態の窓部材40のうち、電波透過部材42を構成する、第1の電波透過部材42aおよび第2の電波透過部材42bは、それぞれ、第2の実施形態において説明した第1の電波透過部材22aおよび第2の電波透過部材22bを適用できる。つまり、第4の実施形態の窓部材40のうち、領域Aは、第1のガラス板41、透明樹脂層44、第1の電波透過部材42a、第2の電波透過部材42bの順に積層された構造を有する。
 また、本実施形態の窓部材40において、第1の電波透過部材42aとしては、薄い方が好ましい。第1の電波透過部材42aとしてウレタン樹脂層を用いる場合、ウレタン樹脂層の合計の厚さは、0.5mm以上であればよく0.6mm以上が好ましい。また、ウレタン樹脂層の合計の厚さは、ミリ波の電波透過性の観点からは2.0mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましい。さらに、本実施形態の窓部材40において、第2の電波透過部材42bとしてポリカーボネート樹脂を用いる場合、厚さの範囲は第2の実施形態に示した範囲であればよい。
 以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
 [ガラス板の製造]
 <組成例1~6のガラス板の製造>
 まず、表1に示すガラス組成(単位:モル%)となるように、白金坩堝に原料を投入し、1550℃で2時間溶融した後、カーボン板上に溶融液を流し出して徐冷し、組成例1~6の6種類のガラス板を得た。得られた板の両面を研磨し、所定の寸法のガラス板を得た。得られたガラス板の比重、50℃から350℃までの平均熱膨張係数、T、T、T、ガラス転移点T、β-OHを表1に示す。なお、表中の「-」は測定しなかったことを示し、組成から計算によって求めた値はカッコを付けて示す。なお、組成例1のガラスは、従来自動車の窓部材として用いられている合わせガラスに使用されているガラスである。組成例2~6のガラスは、前述の組成Aに該当するガラスである。
 <組成例7のガラス板の製造>
 また、表1の組成例7に示すガラス組成(単位:モル%)となるように、白金坩堝に原料を投入し、1650℃で2時間溶融した後、カーボン板上に溶融液を流し出して徐冷し、組成例7のガラスの板を得た。得られた板の両面を研磨し、所定の寸法のガラス板を得た。なお、組成例7のガラスは、無アルカリガラスである。
 <組成例8~10のガラス板の製造>
 また、表3の組成例8~10に示すガラス組成(単位:モル%)となるように、白金坩堝に原料を投入し、1650℃で2時間溶融した後、カーボン板上に溶融液を流し出して徐冷し、組成例8~10のガラスの板を得た。得られた板の両面を研磨し、所定の寸法のガラス板を得た。なお、組成例8~9のガラスは、組成Cに該当する無アルカリガラス、組成例10のガラスは組成Aに該当するガラスである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 [窓部材の製造]
 <実施例1>
 第1のガラス板として、組成例1のガラス板(300mm×300mm、厚さ2mm)を、透明樹脂層としてポリビニルブチラール(PVB)製フィルム(積水化学工業株式会社製、300mm×300mm、厚さ0.76mm)を、電波透過部材として、組成例7のガラス板(300mm×300mm、厚さ2mm)を用いた。第1のガラス板、透明樹脂層、電波透過部材をこの順で積層し、真空包装器を用いて、真空化させた後、加熱(120℃,30分)することで仮圧着をさせた。さらに、オートクレーブを用いて圧着処理(1MPa,130℃,3時間)を行うことで、実施例1の窓部材を得た。
 <実施例2>
 電波透過部材としてシクロオレフィンポリマー(COP)製の樹脂板(日本ゼオン株式会社製、300mm×300mm、厚さ2mm、100℃における線膨張係数70×10-6-1)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2の窓部材を得た。
 <実施例3>
 電波透過部材としてポリカーボネート(PC)製の樹脂板(タキロンシーアイ株式会社製、300mm×300mm、厚さ2mm、100℃における線膨張係数56×10-6-1)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3の窓部材を得た。
 <比較例1>
 電波透過部材に代えて、実施例1における第1のガラス板と同様に組成例1のガラス板を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の窓部材を得た。
 なお、組成例1のガラス板を2枚、PVBを介して接合する比較例1の構成は、従来自動車の窓ガラスとして使用されている合わせガラスと同様の構成である。
 <実施例4>
 実施例1と同様に、第1のガラス板として組成例1のガラス板を、電波透過部材として組成例7のガラス板を用いた。第1のガラス板の一方の主面に、透明粘着剤(株式会社タイカ製)を厚さが0.5mmとなるように塗布して透明樹脂層(粘着剤層)を形成し、その上に電波透過部材をロールラミネート処理により接合する事で、実施例4の窓部材を得た。
 <実施例5>
 電波透過部材として、実施例2と同様のシクロオレフィンポリマー(COP)製の樹脂板を用いた点以外は実施例4と同様にして、実施例5の窓部材を得た。
 <実施例6>
 電波透過部材として、実施例3と同様のポリカーボネート(PC)製の樹脂板を用いた点以外は実施例4と同様にして、実施例6の窓部材を得た。
 <実施例7>
 第1のガラス板として組成例1のガラス板を、電波透過部材として、2層構造のウレタン製の樹脂板(シーダム(株)製ハイグレス SHG7180、300mm×300mm、厚さ1.27mm、100℃における線膨張係数10×10-5-1)を用いた。
 第1のガラス板の表面に、2層構造のウレタン製の樹脂板を配置し、実施例1と同様の条件で、真空包装器を用いて仮圧着をさせ、さらに、オートクレーブを用いて圧着処理を行うことで、実施例7の窓部材を得た。
 <実施例8>
 電波透過部材として、実施例2で用いたものに比べて線膨張係数が小さいシクロオレフィンポリマー(COP)製の樹脂板(日本ゼオン株式会社製、300mm×300mm、厚さ2mm)を用いた点以外は実施例1と同様にして、実施例8の窓部材を得た。
 <実施例9~13>
 第1のガラス板及び電波透過部材として、組成例2、3、4、5及び6のガラス板(いずれも300mm×300mm、厚さ2mm)を用いた点以外は実施例1と同様にして、実施例9、10、11、12及び13の窓部材を得た。
 <実施例14>
 電波透過部材として、ポリスチレン(PS)製の樹脂板(出光興産株式会社製、300mm×300mm、厚さ2mm、100℃における線膨張係数20×10-6-1)を用いた点以外は実施例1と同様にして、実施例14の窓部材を得た。
 <実施例15~18>
 第1のガラス板及び電波透過部材として、組成例8~11のガラス板(いずれも300mm×300mm、厚さ2mm)を用いた点以外は実施例1と同様にして、実施例15~18の窓部材を得た。
 <実施例19~21>
 第1のガラス板として、組成例8~10のガラス板(いずれも300mm×300mm、厚さ3.2mm)、電波透過部材として組成8~10のガラス板(いずれも300mm×300mm、厚さ0.8mm)を用いた点以外は実施例1と同様にして、実施例19~21の窓部材を得た。
 <実施例22>
 電波透過部材として、実施例7で用いた2層のウレタン製の樹脂板と(第1のガラス板とは反対側の面に積層した)実施例3と同様のポリカーボネート(PC)製の厚さ1mmの樹脂板を用いた。
 第1のガラス板の表面に、2層構造のウレタン製の樹脂板およびポリカーボネート樹脂板をこの順に配置し、実施例1と同様の条件で、真空包装器を用いて仮圧着をさせ、さらに、オートクレーブを用いて圧着処理を行うことで、実施例22の窓部材を得た。
 <実施例23>
 電波透過部材として、実施例7で用いた2層のウレタン製の樹脂板を0.635mmの厚さとし、(第1のガラス板とは反対側の面に積層した)実施例3と同様のポリカーボネート(PC)製の厚さ1mmの樹脂板を用いた。
 第1のガラス板の表面に、実施例1と同様の透明樹脂層(PVB製フィルム)、2層構造のウレタン製の樹脂板およびポリカーボネート樹脂板をこの順に配置し、実施例1と同様の条件で、真空包装器を用いて仮圧着をさせ、さらに、オートクレーブを用いて圧着処理を行うことで、実施例23の窓部材を得た。
 [電波透過率T(F)の測定]
 実施例1~23及び比較例1の窓部材について、入射角が67.5°で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)を、60GHz≦F(GHz)≦100GHzの範囲でシミュレーションにより算出した。シミュレーションでは、実施例1~23および比較例1について、使用した各材料の誘電率と誘電正接に基づき導出した挿入損失(S21パラメータ)を、(ミリ波)透過率へ換算した。なお、実施例1、4、6及び比較例1の窓部材については、自由空間法にて、作製した窓部材の電波透過性を測定した。
 電波透過性は、アンテナを対向させ、それらの中間に、得られた各窓部材を入射角が67.5°となるように設置し、周波数79GHzの電波に対し、100mmΦの開口部にて電波透過性基板がない場合を0dBとしたときの、電波透過損失を測定した結果より、電波透過率を算出した。その結果、実施例1、4、6及び比較例1の窓部材における79GHzの電波透過率は、シミュレーションと同等の結果が得られた。
 比較例1のシミュレーション結果を図9に、実施例4~7、9及び14のシミュレーション結果を図10に示す。図9及び図10中の点線は、下記式(1)~式(4)を示す。このとき、窓部材は、下記式(1)を満たせばよく、下記式(2)を満たせば好ましく、下記式(3)を満たせばより好ましく、下記式(4)を満たせばさらに好ましい。
 T(F)>-0.0061×F+0.9384 ・・・(1)
 T(F)>-0.0061×F+0.9784 ・・・(2)
 T(F)>-0.0061×F+1.0384 ・・・(3)
 T(F)>-0.0061×F+1.0554 ・・・(4)
 なお、実施例1~3、8及び10~13のシミュレーション結果は図示しないが、実施例1は実施例4と、実施例2及び8は実施例5と、実施例3は実施例6とほぼ同様であり、実施例10~13は実施例9と同様かまたはそれ以上の高い透過率を示し、いずれの実施例も60GHz≦F(GHz)≦100GHzの範囲で上記式(1)を満足し、さらに上記式(2)も満足した。
 図11に実施例15、17、18、19、21、22、23のシミュレーション結果を図10と同様にして示す。尚、実施例16、20は図示しないが、実施例16は実施例15と、実施例20は実施例19とほぼ同様であり、いずれも60GHz≦F(GHz)≦100GHzの範囲で上記式(1)を満足し、さらに上記式(2)~上記式(4)も満足した。また、実施例22、23は60GHz≦F(GHz)≦100GHzの範囲で上記式(1)及び上記式(2)を満足した。なお、図9~図11の縦軸の透過率の単位は「%」としているため、これらの図の透過率の値は、式(1)~式(4)の左辺に100を掛けた値に相当する。
 [窓部材の評価]
 <電波透過性>
 上記の電波透過率の測定結果を用いて、周波数79GHzにおける電波透過損失が3dBより大きいものを不良(×)、3dB以下であるものを良好(○)と評価した。評価結果を表2及び表3に示す。
 <外観>
 各例の窓部材について、目視で反りや割れの有無を判定し、反りや割れが確認されなかったものを○、反りや割れの兆候が見られたものを△と評価した。結果を表2及び表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 
 67.5°の入射角で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)が、60GHz≦F(GHz)≦100GHzの範囲で式(1)を満足しない周波数がある比較例1の窓部材は、電波透過性に劣った。
 一方、 67.5°で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)が、60GHz≦F(GHz)≦100GHzの範囲で式(1)および式(2)を満足する実施例1~23の窓部材は、電波透過性に優れた。
 さらに、67.5°で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)が、60GHz≦F(GHz)≦100GHzの範囲で式(3)を満足する実施例1~8および実施例14~21の窓部材は、電波透過性に優れた。また、実施例1~5、実施例8、実施例14~21は、67.5°の入射角で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)が、60GHz≦F(GHz)≦100GHzの範囲で式(4)も満足した。
 なお、実施例1~3の窓部材は、電波透過性には優れたものの、反りや割れの兆候が見られた。このことは、これらの例では第1のガラス板と電波透過部材との線膨張係数の差が比較的大きいにもかかわらず、加熱を伴う製造方法を採用したことに起因すると考えられる。
 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2018年10月31日出願の日本特許出願(特願2018-205674)及び2019年10月3日出願の日本特許出願(特願2019-183289)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
 10、20、30、40 窓部材
 11、21、31、41 第1のガラス板
 12、22、32、42 電波透過部材
 22a、42a 第1の電波透過部材
 22b、42b 第2の電波透過部材
 13、23、43 第2のガラス板
 14、24、34、44 透明樹脂層
 100 自動車
 110 開口部
 120 ハウジング
 150 バックミラー
 201 ミリ波レーダー
 202 ステレオカメラ
 300 電波
 A 第1の領域
 B 第2の領域

Claims (20)

  1.  厚さ1.1mm以上の第1のガラス板と、
     前記第1のガラス板の主表面と対向する電波透過部材と、
     を備え、
     平面視において前記電波透過部材を備える領域に、前記第1のガラス板の主表面に対して67.5°の入射角で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)が、60GHz≦F≦100GHzの範囲で下記式(1)を満足する窓部材。
     T(F)>-0.0061×F+0.9384 ・・・(1)
  2.  平面視において前記電波透過部材を備える領域に、前記第1のガラス板の主表面に対して67.5°の入射角で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)が、60GHz≦F≦100GHzの範囲で下記式(2)を満足する請求項1に記載の窓部材。
     T(F)>-0.0061×F+0.9784 ・・・(2)
  3.  平面視において前記電波透過部材を備える領域に、前記第1のガラス板の主表面に対して67.5°の入射角で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)が、60GHz≦F≦100GHzの範囲で下記式(3)を満足する請求項2に記載の窓部材。
     T(F)>-0.0061×F+1.0384 ・・・(3)
  4.  平面視において前記電波透過部材を備える領域に、前記第1のガラス板の主表面に対して67.5°の入射角で入射する周波数F(GHz)の電波の透過率T(F)が、60GHz≦F≦100GHzの範囲で下記式(4)を満足する請求項3に記載の窓部材。
     T(F)>-0.0061×F+1.0554 ・・・(4)
  5.  平面視において前記電波透過部材を備える第1の領域と、平面視において前記電波透過部材を備えない第2の領域とを備え、前記第2の領域において、前記第1のガラス板の主表面と対向する第2のガラス板を備える請求項1~4のいずれか一項に記載の窓部材。
  6.  前記第1のガラス板の主表面と対向する全領域に前記電波透過部材を備え、前記電波透過部材はガラスからなる請求項1~4のいずれか一項に記載の窓部材。
  7.  前記電波透過部材は、少なくとも1層のウレタン樹脂層を備える請求項1~5のいずれか1項に記載の窓部材。
  8.  前記電波透過部材は、前記ウレタン樹脂層のうち前記第1ガラス板側とは反対側の面に積層されたポリカーボネート樹脂層をさらに備える請求項7に記載の窓部材。
  9.  前記ウレタン樹脂層は、前記第1のガラスに隣接する、請求項7又は8に記載の窓部材。
  10.  前記第1のガラス板と前記電波透過部材との間に透明樹脂層を備える請求項1~8のいずれか1項に記載の窓部材。
  11.  前記透明樹脂層はポリビニルブチラール、エチレンビニールアセテート、シクロオレフィンポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する請求項10に記載の窓部材。
  12.  前記透明樹脂層は粘着剤層である請求項10に記載の窓部材。
  13.  前記電波透過部材は、無アルカリガラス又は樹脂からなる、請求項10~12のいずれか1項に記載の窓部材。
  14.  前記電波透過部材はシクロオレフィンポリマーからなる請求項13に記載の窓部材。
  15.  前記第1のガラス板及び前記電波透過部材の少なくとも一方は、各成分の酸化物基準のモル百分率表示の含有量が、ROが、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計、ROが、アルカリ金属酸化物の総量としたとき、
     50≦SiO≦85
     0≦Al≦20
     4≦RO≦22
     0≦RO≦20
     0≦NaO/RO≦0.8
     0≦KO/RO≦0.7
     を満足する組成Aのガラスからなる請求項1~6のいずれか1項に記載の窓部材。
  16.  前記第1のガラス板及び前記電波透過部材の両方は、前記組成Aのガラスからなる請求項15に記載の窓部材。
  17.  前記第1のガラス板及び前記電波透過部材の少なくとも一方は、各成分の酸化物基準のモル百分率表示の含有量で、SiO、Al、Bの総量が72%以上であるガラスからなる請求項1~6のいずれか1項に記載の窓部材。
  18.  前記第1のガラス板及び前記電波透過部材の少なくとも一方は、各成分の酸化物基準のモル百分率表示の含有量が、ROが、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計、ROが、アルカリ金属酸化物の総量としたとき、
     72≦SiO+Al+B≦98
     55≦SiO≦87
     0≦Al≦20
     5≦B≦25
     0≦RO≦5
     0≦RO≦20
     0≦Al/B≦0.35
     を満足する組成Cのガラスからなる請求項17に記載の窓部材。
  19.  前記第1のガラス板及び前記電波透過部材の両方は、前記組成Cのガラスからなる請求項18に記載の窓部材。
  20.  総厚が3.5mm以上10mm以下であり、前記電波透過部材の厚みが0.4mm以上2.5mm以下である請求項1~19のいずれか1項に記載の窓部材。
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