WO2019176165A1

WO2019176165A1 - 車両走行管理装置、車両走行管理方法、及び車両走行管理システム

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Publication number: WO2019176165A1
Application number: PCT/JP2018/041833
Authority: WO
Inventors: 匡栗原; 穣福森; 吉之助福原; 慶中島; 俊介川崎
Original assignee: 本田技研工業株式会社
Priority date: 2018-03-15
Filing date: 2018-11-12
Publication date: 2019-09-19

Abstract

車両走行行動に対する広告価値をインセンティブに変換して、ユーザに還元すること。　車種条件、走行条件、及びインセンティブ情報を含む車両走行価値指標３２３を記憶する車両走行価値指標エリア３２３０と、車両の車種情報及び走行情報を取得する走行履歴データ作成部３１１と、走行履歴データ作成部３１１が取得した車両の車種情報及び走行情報と、車両走行価値指標エリア３２３０に記憶された車両走行価値指標と、に基づいて、車両５のユーザに対して還元されるインセンティブを算出するインセンティブ算出付与部３１４と、を備える車両走行管理サーバシステム３０。

Description

車両走行管理装置、車両走行管理方法、及び車両走行管理システム

　本発明は、車両走行に係る車両の広告価値を管理する車両走行管理装置、車両走行管理方法、及び車両走行管理システムに関する。

　従来、バスやトラック等の車両に広告を掲載した、いわゆるラッピングカーはよく知られている。例えば、バスやトラック等は、主な運行ルートが決まっているため、広告主は、広告効果が発揮されやすい運行ルートのバス等に、広告を掲載させることができる。
　これに対して、ユーザの運転する車両（移動体）に広告媒体を貼り付け、その状態で街中を走行した場合に、当該車両の走行状況（例えば、走行位置、走行日時）が、広告主が予め指定した条件を満たすものであった場合に、当該車両のユーザに対して当該広告主からポイント（特典）を付与する広告管理システムが知られている（特許文献１）。
　また、ユーザの運転する車両（移動体）の走行データに基づいて、当該車両の運転者（ユーザ）が安全運転及び／又は環境にやさしい環境に配慮した運転を行っているか否かを判定し、判定結果に応じて、当該車両の運転者（ユーザ）に対してポイントを付与する車両環境サービスシステムが知られている（特許文献２）。

特開２０１７－２０７７９６号公報特開２００７－２９３６２６号公報

　特許文献１に開示された広告管理システムは、広告主により指定される広告媒体を予め車両に貼り付け、当該車両が、広告主により予め指定される走行位置や走行日時に走行することにより、当該広告媒体に示した広告に関する広告効果を発揮させるものである。特許文献１に開示された広告管理システムにおいては、車両の外観に（目立つように）広告媒体を貼り付ける（設置する）ことを前提に走行に応じた広告対価を受けるというインセンティブは働くものである。しかしながら、一般の多数のユーザにとっては、車両に広告を設置して車両を広告媒体として走行することには抵抗がある。
　また、特許文献２に開示された車両環境サービスシステムは、エコドライブ、安全運転、運転の習熟度（スキル）等に応じて、ポイントを付与するものである。しかしながら、当該ポイント付与は、エコドライブや安全運転を促すためのものであり、宣伝効果に対する価値としてのポイントではない。

　この点、例えば、新車の発売時期に合わせて当該車両自体の広告をする場合、従来、車の販売店に新車を展示したり、試乗車を用意して、来店客が試乗して走行する等により、新車の宣伝を行っている。これらは、いずれも、車の販売店を訪れる客を中心とする広告宣伝であって、車の販売店に来店しないユーザに対しては当該車両の宣伝効果が少ないという課題があった。
　この点、車両を運転することには、パーソナルな移動を可能とする点で価値があるが、それ以外の車両走行それ自体の価値については、これまで評価されてこなかった。しかしながら、例えば、スポーツカーや新型車両で街中を走行すれば、当該車両の販売店を訪れる客以外に、多数の人に注目されることで、自動車会社のブランド訴求や新車宣伝につながる可能性がある。しかしながら、これまで例えば、スポーツカーや新型車両の車両保有者に対して、街中を走行すること自体の宣伝効果に対する還元を行う仕組みは存在しなかった。

　本発明は、このような問題に鑑みてなされたものである。本発明は、ユーザが車両を走行することによる当該車両の走行自体が人の目に触れることに基づく、車両や当該車両のブランド宣伝としての価値を想定し、車両走行行動に対する広告価値をインセンティブに変換して、ユーザに還元する。そうすることで、車両走行自体に対する強い動機付けをユーザに与えることを可能とする、車両走行管理装置、車両走行管理方法、及び車両走行管理システムを提供することを目的とする。

　（１）　本発明に係る車両走行管理装置（例えば、後述の「車両走行管理サーバシステム３０」）は、車種条件、走行条件、及びインセンティブ情報を含む車両走行価値指標（例えば、後述の「車両走行価値指標３２３」）を記憶する車両走行価値指標記憶部（例えば、後述の「車両走行価値指標エリア３２３０」）と、車両の車種情報及び走行情報を取得する走行情報取得部（例えば、後述の「走行履歴データ作成部３１１」）と、前記走行情報取得部が取得した車両の車種情報及び走行情報と、前記車両走行価値指標記憶部に記憶された車両走行価値指標と、に基づいて、前記車両のユーザに対して還元されるインセンティブを算出するインセンティブ算出付与部（例えば、後述の「インセンティブ算出付与部３１４」）と、を備える。

　（１）の車両走行管理装置によると、車両の走行実績に対して、車両走行行動に対する広告価値に応じたインセンティブを算出することができる。

　（２）　（１）に記載の車両走行管理装置（例えば、後述の「車両走行管理サーバシステム３０」）において、前記車両走行価値指標に含まれる前記走行条件は、少なくとも前記車両の走行位置情報を含み、前記インセンティブ算出付与部（例えば、後述の「インセンティブ算出付与部３１４」）は、前記走行情報取得部（例えば、後述の「走行履歴データ作成部３１１」）により取得された前記車両の車種情報が前記車両走行価値指標に含まれる前記車種条件を満たすとともに、前記車両の走行情報が前記車両走行価値指標に含まれる前記走行条件を満たすときに、前記車両走行価値指標に含まれるインセンティブ情報に基づいて、前記車両のユーザに対して還元されるインセンティブを算出するようにしてもよい。

　これによると、車両の車種及び当該車両の走行位置に対して、当該車両の走行活動に対する広告価値に応じたインセンティブを算出することができる。

　（３）　（１）又は（２）に記載の車両走行管理装置（例えば、後述の「車両走行管理サーバシステム３０」）において、前記走行情報取得部（例えば、後述の「走行履歴データ作成部３１１」）は、さらに、前記車両の走行データを取得し、前記インセンティブ算出付与部（例えば、後述の「インセンティブ算出付与部３１４」）は、前記車両のユーザに対して還元されるインセンティブを算出する際に、さらに、前記車両の走行データに基づいて、前記車両の運転技術度を算出し、算出された前記車両の運転技術度（例えば、後述の「運転技術度合い」）に基づいて、前記車両のユーザに対して還元されるインセンティブを加減するようにしてもよい。

　これによると、車両を走行する際に、例えば、乱暴な運転を控え、安全な運転を促すことができ、また、車両が高級車の場合など、高級車にふさわしい安定した走行、ふらつかない走行、穏やかな加減速など、運転技能の高い車両走行行動に対する広告価値をさらに高めることができる。

　（４）　（２）に記載の車両走行管理装置（例えば、後述の「車両走行管理サーバシステム３０」）において、前記車種条件は、前記走行条件に含まれる前記車両の走行位置情報に対応する地域において、前記車両の車種に該当する車両台数の前記地域における車両の全体登録台数に対しての割合が所定の閾値に等しいか又は所定の閾値未満であるようにしてもよい。

　これによると、地域で該当車種が希少な車両の走行行動に対する広告価値に応じたインセンティブを算出することができる。

　（５）　（１）に記載の車両走行管理装置（例えば、後述の「車両走行管理サーバシステム３０」）において、前記車両走行価値指標に含まれる前記車種条件を満たす車両に対して、前記車両走行価値指標に含まれる前記走行条件を提供する車両走行価値指標提供部（例えば、後述の「車両走行価値指標提供部３１３」）を備えるようにしてもよい。

　これによると、車両のユーザに対して当該車両の走行行動に対する広告価値を高めるための協力を得ることができる。

　（６）　（１）に記載の車両走行管理装置（例えば、後述の「車両走行管理サーバシステム３０」）において、前記インセンティブ算出付与部（例えば、後述の「インセンティブ算出付与部３１４」）は、さらに、前記インセンティブ算出付与部により算出される前記車両のユーザに対して還元されるインセンティブを前記車両のユーザに対して付与するようにしてもよい。

　これによると、車両走行自体に対する強い動機付けをユーザに与えることを可能とするとともに、インセンティブを付与する販売店にとって、顧客囲い込みに役立ち、サービス等の収益増大につながる。

　（７）　（６）に記載の車両走行管理装置（例えば、後述の「車両走行管理サーバシステム３０」）において、前記インセンティブ算出付与部（例えば、後述の「インセンティブ算出付与部３１４」）により前記車両のユーザに対して付与されるインセンティブを前記車両のユーザ毎に管理するインセンティブ情報管理部（例えば、後述の「インセンティブ情報管理部３１５」）を備えるようにしてもよい。

　これによると、車両のユーザは、インセンティブの利用がよりしやすくなる。

　（８）　（１）から（６）の何れかに記載の車両走行管理装置（例えば、後述の「車両走行管理サーバシステム３０」）と通信網（例えば、後述の「通信網５０」）を介して通信可能に接続される前記車両のユーザ用のユーザ端末（例えば、後述の「車載ナビゲーション装置１０」、「携帯端末２０」）であって、前記インセンティブ算出付与部（例えば、後述の「インセンティブ算出付与部３１４」）により前記車両のユーザに対して付与されるインセンティブを管理するインセンティブ情報管理部（例えば、後述の「インセンティブ情報管理部１１５」、「インセンティブ情報管理部２１５」）を備えるユーザ端末を備えるようにしてもよい。

　これによると、車両のユーザ側でインセンティブを管理することで、車両のユーザのインセンティブの利用用途が拡大し、車両走行自体に対するより一層強い動機付けをユーザに与えることを可能とする。

　（９）　（１）から（７）の何れかに記載の車両走行管理装置（例えば、後述の「車両走行管理サーバシステム３０」）は、前記車両に設置可能なユーザ端末（例えば、後述の「車載ナビゲーション装置１０」、「携帯端末２０」、「ユーザ端末６０」）により構成されるようにしてもよい。

　これによると、例えば、通信網５０に接続されたサーバ装置（図示せず）等から必要に応じてダウンロードする等により、車両走行価値指標を予めユーザ端末の記憶部に記憶しておくことで、例えば、ユーザ端末が車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０の場合、走行情報等を通信網５０を介して送信する必要がなく、当該ユーザ端末において自動的に取得して、車両走行行動に対するインセンティブが車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０において算出し、管理することが可能となる。
　また、ユーザ端末が車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０とは異なる端末の場合であっても、ユーザ端末を車両に設置することで、例えば車載ネットワークや近距離通信等を介して走行情報等を取得することで、車両走行行動に対するインセンティブをユーザ端末において算出し、管理することが可能となる。
　（１０）　本発明に係る車両走行管理方法は、車種条件、走行条件、及びインセンティブ情報を含む車両走行価値指標（例えば、後述の「車両走行価値指標３２３」）を記憶する車両走行価値指標記憶ステップと、車両の車種情報及び走行情報を取得する走行情報取得ステップと、前記走行情報取得ステップにおいて取得した車両の車種情報及び走行情報と、前記車両走行価値指標記憶ステップにおいて記憶された車両走行価値指標と、に基づいて、前記車両のユーザに対して還元されるインセンティブを算出するインセンティブ算出付与ステップと、をコンピュータが実行する。

　（８）の車両走行管理方法によると、（１）の車両走行管理装置と同様の効果を奏する。

　本発明によれば、ユーザが車両を走行することによる当該車両の走行自体が人の目に触れることに基づく、車両や当該車両のブランド宣伝としての価値を想定し、車両走行行動に対する広告価値をインセンティブに変換して、ユーザに還元することで、車両走行自体に対する強い動機付けをユーザに与えることを可能とする。

本発明の実施形態である車両走行管理システム全体の基本的構成を示すブロック図である。本発明の実施形態における車載ナビゲーション装置の機能構成を示す機能ブロック図である。車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０に表示される、車両走行価値指標配信を要求するための画面の例を示す図である。本発明の実施形態における携帯端末の機能構成を示す機能ブロック図である。本発明の実施形態における車両走行管理サーバシステムの機能構成を示す機能ブロック図である。本発明の実施形態における広告主用端末の機能構成を示す機能ブロック図である。本発明の実施形態における走行情報の収集及び走行履歴データの作成時の基本的動作を示すフローチャートである。本発明の実施形態におけるインセンティブ算出処理時の基本的動作を示すフローチャートである。本発明の実施形態の変形例における車載ナビゲーション装置の機能構成を示す機能ブロック図である。本発明の実施形態の変形例における携帯端末の機能構成を示す機能ブロック図である。

　＜車両走行管理システム１の全体構成＞
　以下、本発明の車両走行管理システムの好ましい一実施形態について、図を参照しながら詳細に説明する。図１に、車両走行管理システム１の全体構成を示す。

　図１に示すように、車両走行管理システム１は、車載ナビゲーション装置１０と、携帯端末２０と、車両走行管理サーバシステム３０と、広告主用端末４０と、車両５と、を含んで構成される。これら各装置及び各端末は、通信網５０を介して相互に通信可能に接続される。ここで、車載ナビゲーション装置１０と車両５ａの組と、携帯端末２０と車両５ｂの組をそれぞれ一組ずつ図示しているが、これらの組数に特に制限はない。また、以下の説明において、車載ナビゲーション装置１０が搭載された車両５ａや、携帯端末２０を利用するユーザが乗車する車両５ｂを区別することなく呼ぶ場合には、末尾のアルファベットを省略して、単に「車両５」と呼ぶ。
　なお、図中では、これら各装置及び各端末にて送受信される情報についても図示しているが、これらの情報はあくまで一例である。本実施形態にて、図示をしている以外の情報が送受信されるようにしてもよい。

　車載ナビゲーション装置１０は、車載ナビゲーション装置１０の位置情報（すなわち、車両５ａの位置情報）を測位する機能を有する。車載ナビゲーション装置１０が測位した位置情報は、車両走行管理サーバシステム３０に対して適宜送信される。また、車載ナビゲーション装置１０は、車両５ａに乗車したユーザに対して、例えば当該車両がポイント等のインセンティブ情報付与の対象となる、日時や場所等を指定した走行ルート情報を表示する機能も有する。車載ナビゲーション装置１０は、ユーザの要求に基づき、当該走行ルート情報に基づく経路案内等を行うことができる。
　車載ナビゲーション装置１０は、移動体である車両５ａに据え付けられたカーナビゲーション装置や、移動体である車両５ａに簡易的に設置され可搬可能なＰＮＤ（Portable Navigation Device）により実現することができる。

　携帯端末２０は、車両５ｂに乗車したユーザが利用する携帯端末である。携帯端末２０は、上述した車載ナビゲーション装置１０と同様に、携帯端末２０の位置情報（すなわち、車両５ｂの位置情報）を測位する機能を有する。携帯端末２０が測位した位置情報は、車載ナビゲーション装置１０が測位した位置情報と同様に、車両走行管理サーバシステム３０に対して適宜送信される。
　携帯端末２０は、スマートフォン、携帯電話機、タブレット端末、ノートパソコン、その他の携帯可能な電子機器により実現することができる。

　車両走行管理サーバシステム３０は、本実施形態特有の処理として、ユーザの車両から取得した車両の車種情報及び走行情報を含む走行履歴情報と、予め設定された車両走行価値指標と、に基づいて、当該車両の走行が車両走行価値指標に該当するか否かを判断し、車両の走行が所定の車両走行価値指標に該当すると判断された場合、当該車両走行価値指標に基づいて、当該車両のユーザに対して還元される例えばポイント等のインセンティブを算出し付与する装置である。
　ここで、予め設定された車両走行価値指標は、車種情報、走行場所、及び走行日時等を含む走行条件と、それぞれの走行条件に基づいて付与されるポイント等のインセンティブ情報を含む。

　本発明において、車両５のカテゴリー種別、車種（車種名）、車種の下位分類であるグレード、外装色等のいずれかの情報を車種情報という。車種情報は、カテゴリー種別、車種名、及び車種の下位分類のうちいずれか、又は全部を含んでもよい。
　カテゴリー種別とは、例えばミニバンやセダン等のような種別をいう。
　車種（車種名）とは、例えば「ステップワゴン（登録商標）」、「インスパイア（登録商標）」等のような車種名である。
　車種の下位分類のグレードとは、当該車種に属する車の装備や内装等に基づいて、例えば「松」「竹」「梅」のように区別されたランク（格）をいう。また、車種の下位分類の外装色とは、車の外装色（ボディーカラー）をいう。

　走行場所としては、例えば、自動車メーカのブランドを代表する車種の販売強化エリア及び／又は販売店の周辺での走行、新車発売時期に合わせた当該新車の繁華街や観光地及び／又は販売店の周辺での走行、旧型の人気車種、さらには強調したいイメージカラーの車両の地域イベント会場及び／又は販売店の周辺での走行、Ｆ１イベント等のクルマ関連のイベントに合わせて、スポーツタイプの車両のイベント会場及び／又は販売店の周辺での走行、若者に人気のある車両の例えば大学卒業式の会場付近及び／又は販売店の周辺での走行等が例として挙げられるが、これらに限定されない。走行場所としては、例えばエリア、走行道路、交差点等を指定してもよい、また走行のみならず、例えば、イベント会場の駐車場に駐車することを条件として指定してもよい。
　なお走行日時としては、走行場所を走行する日時を指定する。走行日時としては、走行場所において人手が予想される時間帯、例えばイベント開催前後の時間帯等が例として挙げられる。なお、走行日時は、所定の日付及び／又は日付の範囲でもよい、また所定の曜日や休日等でもよい、また所定の日付及び／又は日付の範囲、所定の曜日や休日等における所定の時間帯でもよい。

　車両走行管理サーバシステム３０は、車載ナビゲーション装置１０や携帯端末２０から、各車両５の時刻情報を含む位置情報を取得することにより、各車両５の位置情報についてのデータである走行履歴データ３２１を作成する。また、車両走行管理サーバシステム３０は、予め設定された車両走行価値指標に係る走行条件に含まれる位置を含む地図情報を記憶する。
　そして、車両走行管理サーバシステム３０は、車両５の走行履歴データ３２１に基づいて、当該車両５の走行場所及び走行日時が車両走行価値指標の走行条件に該当する場合には、当該車両５をインセンティブ付与対象車両として抽出し、当該車両走行価値指標に基づいて、当該車両５の運転者及び／又はオーナーであるユーザに対して還元される例えばポイント等のインセンティブを算出し付与する。以下、特に断らない限り、車両５のユーザは、車両５の運転者及び／又はオーナーを指す。
　なお、後述するように、車両走行管理サーバシステム３０は、車両５の走行データに基づいて、予め設定された運転技術指標に基づいて、当該車両５の運転技術度合い（運転技術レベル）を算出し、当該車両５の運転技術度合いに応じて、付与するインセンティブの加減を行うようにしてよい。より具体的には、運転技術度合いが高い場合には、付与するインセンティブに運転技術度合いレベルに応じた加点を加え、逆に運転技術度合いが低い場合には、付与するインセンティブに運転技術度合いレベルに応じた減点を行うようにしてもよい。なお、運転技術指標として、安全運転に係る指標、エコ運転ドライブに係る指標を含むようにしてもよい。そうすることで、例えば車両５の安全運転度合い（安全運転レベル、安定走行レベル）を算出し、当該車両５の安全運転度合いに応じて、付与するインセンティブの加減を行うようにしてよい。また、環境にやさしいエコ運転度合い（例えばエコ運転レベル、エコ運転走行レベル）を算出し、当該車両５のエコ運転度合いに応じて、付与するインセンティブの加減を行うようにしてよい。なお、車両走行価値指標、運転技術指標は、例えば広告主であるインセンティブ付与者が任意に設定することができる。

　車両走行管理サーバシステム３０は、例えば、汎用のサーバ装置に本実施形態特有のソフトウェアを組み込むことにより実現することができる。ここで、サーバ装置は、１つのコンピュータ又は複数のコンピュータから構成される分散システムでもよい。

　通信網５０は、インターネットや携帯電話網といったネットワークや、これらを組合せたネットワークにより実現される。

　車両５は、車載ナビゲーション装置１０や携帯端末２０のユーザが乗車する移動体である。車両５は、例えば、四輪自動車や自動二輪車等を含んでもよい。
　以上、車両走行管理システム１の全体構成について説明した。
　次にそれぞれの構成について説明する。

　＜車載ナビゲーション装置１０が備える機能ブロック＞
　車載ナビゲーション装置１０が備える機能ブロックについて図２のブロック図を参照して説明をする。
　ここで、車載ナビゲーション装置１０は、車両５ａから電源の供給を受けており、車両５ａに乗車したユーザにより車両５ａのイグニッションスイッチがオン（エンジンを起動）にされることによって自動起動する。そして、車載ナビゲーション装置１０は、車両５ａに乗車したユーザにより車両５ａのイグニッションスイッチがオフ（エンジンを停止）にされるまで稼働する。

　図２に示すように、車載ナビゲーション装置１０は、制御部１１と、記憶部１２と、通信部１３と、センサ部１４と、表示部１５と、入力部１６とを含んで構成される。

　制御部１１は、マイクロプロセッサ等の演算処理装置から構成され、１０を構成する各部の制御を行う。制御部１１の詳細については、後述する。

　記憶部１２は、半導体メモリ等で構成されており、ファームウェアやオペレーティングシステムと呼ばれる制御用のプログラムや、経路案内処理を行うためのプログラムや、車両走行管理サーバシステム３０に対して、車種情報、位置情報、走行データ等の送信処理を行うためのプログラムといった各プログラム、さらにその他、地図情報１２１等の種々の情報が記憶される。図中には、記憶部１２が記憶する情報として、車両走行管理サーバシステム３０に対して提供する情報である、地図情報１２１、位置情報１２２及び識別情報１２３を図示する。

　地図情報１２１には、道路や施設等の地物に関する情報、道路情報、施設位置情報、駐車場情報等の情報が含まれる。また、地図情報１２１には他にも、道路及び道路地図等の背景を表示するための表示用地図データ、ノード（例えば道路の交差点、屈曲点、端点等）の位置情報及びその種別情報、各ノード間を結ぶ経路であるリンクの位置情報及びその種別情報、全てのリンクのコスト情報（例えば距離、所要時間等）に関するリンクコストデータ等を含む道路ネットワークデータ等が含まれる。

　道路情報としては道路の種別や信号機等のいわゆる道路地図の情報が保存されている。
　施設位置情報としては、走行場所として指定される、例えばイベント会場、販売店、大学卒業式の会場等の位置情報が緯度経度の情報として保存されている。また、施設位置情報として、施設の識別情報（施設ＩＤ）、名称、施設種別（及び／又はジャンル）、電話番号、住所、営業時間、商品役務等に関する施設情報、等の付帯的な情報が含まれていてもよい。
　また、駐車場情報としては、駐車場の位置情報が緯度経度の情報として保存されている。駐車場が施設の駐車場である場合には、施設と駐車場を紐付けて保存される。

　位置情報１２２は、後述のセンサ部１４により測位された車載ナビゲーション装置１０の位置情報（すなわち、車両５ａの位置情報）である。位置情報１２２には、測位された位置を示す情報のみならず、測位を行った時刻である測位時刻も含まれるようにするとよい。

　また、識別情報１２３は、車載ナビゲーション装置１０を識別するための情報である。識別情報１２３としては、例えば車載ナビゲーション装置１０に一意に割り当てられた製造番号等を利用することができる。また、他にも、通信部１３が携帯電話網等のネットワークである通信網５０に接続するために、通信部１３に挿入されたＳＩＭ（Subscriber Identity Module）に付与された電話番号を識別情報１２３として利用することができる。また、他にも、車両５ａに固有に付与されたＶＩＮ（車両識別番号）やナンバープレートの番号を識別情報１２３として利用することができる。

　これらの記憶部１２に格納される各情報については、記憶部１２に予め記憶しておく構成としてもよいし、通信網５０に接続された車両走行管理サーバシステム３０や、他のサーバ装置（図示を省略する。）等から必要に応じて適宜ダウンロードされる構成としてもよい。さらに、ユーザの入力等に応じて適宜修正されてもよい。

　通信部１３は、ＤＳＰ（Digital Signal Processor）等を有し、３Ｇ（3rd Generation）、ＬＴＥ（Long Term Evolution）やＷｉ－Ｆｉ（登録商標）といった規格に準拠して、通信網５０を介して他の装置（例えば、車両走行管理サーバシステム３０）との間の無線通信を実現する。通信部１３は、例えば、後述の位置情報送信部１１２が、記憶部１２に格納されている位置情報１２２及び識別情報１２３を、車両走行管理サーバシステム３０に対して送信するために利用される。ただし、通信部１３と他の装置との間で送受信されるデータに特に制限はなく、位置情報１２２及び識別情報１２３以外の情報が送受信されるようにしてもよい。

　センサ部１４は、例えばＧＰＳ（Global Positioning System）センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ等により構成される。センサ部１４は、位置情報を検出する位置検出手段としての機能を備え、ＧＰＳセンサによりＧＰＳ衛星信号を受信し、車載ナビゲーション装置１０の位置情報（緯度及び経度）を測位する。センサ部１４による測位は、上述したように所定の時間間隔（例えば数秒間隔）で行われる。なお、時間間隔は数秒間隔に限定されず、任意に設定してもよい。測位した位置情報は、位置情報１２２として記憶部１２に格納される。なお、位置情報には、位置情報を測位した時刻情報を含めてもよい。そうすることで、車両５が、いつ、どこに位置していたか、を算出することが可能となる。
　なお、センサ部１４は、ジャイロセンサ、加速度センサにより測定される角速度や、加速度に基づいて車載ナビゲーション装置１０の位置情報の測位精度をさらに高めることも可能である。
　また、センサ部１４は、ＧＰＳ通信が困難又は不可能となった場合に、ＡＧＰＳ（Assisted Global Positioning System）通信を利用し、通信部１３から取得される基地局情報によって車載ナビゲーション装置１０の位置情報を算出することも可能である。

　表示部１５は、液晶ディスプレイ、又は有機エレクトロルミネッセンスパネル等の表示デバイスにより構成される。表示部１５は、制御部１１からの指示を受けて画像を表示する。表示部１５が表示する情報としては、例えば、車載ナビゲーション装置１０の現在位置、地図情報１２１から読み出された車載ナビゲーション装置１０の現在位置周辺の地図情報、ユーザに設定された目的地、車両走行管理サーバシステム３０から提供される車両走行価値指標、当該車両走行価値指標に含まれる走行ルート情報、当該車両５のユーザに対して付与された（各インセンティブの積算値とその内訳を含む）インセンティブの一覧、及び各種のユーザインタフェース等が挙げられる。

　入力部１６は、テンキーと呼ばれる物理スイッチや表示部１５の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置（図示を省略する。）等で構成される。入力部１６からの操作入力、例えばユーザによるテンキーの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御部１１に出力することで、ユーザによる選択操作や、地図の拡大縮小等の操作を実現することができる。

　なお、この他、図示しないが、車載ナビゲーション装置１０は、スピーカやマイク等を備えることもできる。スピーカは、運転者に対して音声出力を行い、マイクは、運転者によって発せられた音声等を集音する。
　そうすることで、情報をスピーカから音声で出力したり、マイクを介して音声入力された運転者による各種の選択、指示を音声認識技術により、制御部１１に入力したりすることもできる。

　次に、制御部１１の詳細について説明をする。制御部１１はＣＰＵ（Central Processing Unit）、ＲＡＭ（Random access memory）、ＲＯＭ（Read Only Memory）、及びＩ／Ｏ（Input / output）等を有するマイクロプロセッサにより構成される。ＣＰＵは、ＲＯＭ又は記憶部１２から読み出した各プログラムを実行し、その実行の際にはＲＡＭ、ＲＯＭ、及び記憶部１２から情報を読み出し、ＲＡＭ及び記憶部１２に対して情報の書き込みを行い、通信部１３、センサ部１４、表示部１５、及び入力部１６と信号の授受を行う。そして、このようにして、ハードウェアとソフトウェア（プログラム）が協働することにより本実施形態における処理は実現される。

　制御部１１は、機能ブロックとして、ログイン処理部１１０、経路案内部１１１、位置情報送信部１１２、車両走行価値指標要求部１１３、及びインセンティブ情報表示部１１４を備える。

＜ログイン処理部１１０＞
　車載ナビゲーション装置１０は、運転者により車両５のイグニッションスイッチがオン（エンジンを始動）にされることによって自動起動する。車載ナビゲーション装置１０は、運転者により車両５のイグニッションスイッチがオフ（エンジンを停止）にされるまで稼働する。
　ログイン処理部１１０は、車載ナビゲーション装置１０が自動起動されると、車両走行管理サーバシステム３０に対して、例えば、車両５を識別する識別番号（例えば車両ＩＤ）及びパスワードを用いてログイン処理を実行し、車種情報、センサ部２４により算出した車両５の現在位置情報、及び計時部（図示せず）から取得した現在時刻情報等を車両走行管理サーバシステム３０に送信する。
　この場合に、イグニッションスイッチがオン（エンジンを起動）にされ、車載ナビゲーション装置１０が自動起動した直後に測位された位置情報１２２により特定される位置を最初の車両位置、すなわち出発位置として車両走行管理サーバシステム３０に送信することができる。さらに、イグニッションスイッチがオフ（エンジン停止）される直前に測位された位置情報１２２により特定される位置を最終の車両位置、すなわち駐車位置として車両走行管理サーバシステム３０に送信することができる。
　この場合、出発位置を表す位置情報１２２であることを示す起動情報や、駐車位置を表す位置情報１２２であることを示す停止情報を、位置情報１２２に追加してから、車両走行管理サーバシステム３０に送信するようにしてもよい。例えば、起動情報であることを示すフラグを１にして送信したり、停止情報であることを示すフラグを１にして送信したりするとよい。なお、イグニッションスイッチがオフ（エンジン停止）される直前に測位された位置情報１２２（すなわち、駐車位置）については、イグニッションスイッチがオン（エンジンを起動）にされ、車載ナビゲーション装置１０が再度起動した際に送信されてもよい。

＜経路案内部１１１＞
　経路案内部１１１は、ユーザによって入力又は選択された走行ルートの経路案内処理を行う部分である。
　走行ルートの経路案内処理は、一般的なカーナビゲーションシステムにおける経路案内処理と同等である。すなわち、経路案内部１１１は、記憶部１２に記憶されている地図情報１２１に基づいて走行ルートの地図を生成し、この地図上にセンサ部１４により測位された車載ナビゲーション装置１０の現在位置と走行ルート情報とを重ね、これを表示部１５に表示することにより経路案内を行うことができる。
　なお、経路案内部１１１は、車両走行管理サーバシステム３０から提供される車両走行価値指標に含まれるインセンティブ付与対象となる走行ルート情報を経路案内用のルート情報として利用することができる。
　この場合、経路案内部１１１は、さらに、インセンティブ付与対象となる走行ルート上又は走行地域上に当該インセンティブを例えばシンボル表示して、当該車両５の走行が走行条件を満たした場合（例えば、走行ルートを通過した場合）に、シンボル表示された当該インセンティブを捕捉したことを示す表示を行うようにしてもよい。そうすることで、ユーザは、ゲーム感覚的にインセンティブを獲得したことを視認することが可能となり、走行ルート又は走行地域を走行するモチベーションを高めることができる。

　さらに、この場合に、図示を省略したスピーカから経路案内用の音声を出力するようにしてもよい。また、道路の混雑状況の情報や天気の情報等を通信部１３による通信により取得して、この取得した情報を経路案内処理に利用するようにしてもよい。例えば、通信部１３を介してＶＩＣＳ（登録商標）（Vehicle Information Communication System）等から取得した道路状況（例えば、渋滞状況等）を経路案内処理に利用するようにしてもよい。なお、経路案内処理については、当業者によく知られているので、これ以上の詳細な説明は省略する。

＜位置情報送信部１１２＞
　位置情報送信部１１２は、通信部１３を利用した無線通信により、記憶部１２に格納されている位置情報１２２及び識別情報１２３を、車両走行管理サーバシステム３０に対して送信する部分である。
　位置情報送信部１１２による、車両走行管理サーバシステム３０に対する位置情報１２２及び識別情報１２３の送信は、車両５ａに乗車したユーザにより車両５ａのイグニッションスイッチがオン（エンジンを起動）にされ、車載ナビゲーション装置１０が自動起動してから、車両５ａのイグニッションスイッチがオフ（エンジンを停止）にされるまでの間、周期的に行われる。例えば、所定の時間間隔（例えば数秒間隔）でセンサ部１４が測位を行う都度、リアルタイムに送信が行われる。

　また、リアルタイムに車両走行管理サーバシステム３０に送信する替わりに、複数個まとめて（例えば３分間分の間に数秒間隔で更新された位置情報１２２と、識別情報１２３とをまとめて）、一度に送信するようにしてもよい。すなわち、いわゆるバースト送信をするようにしてもよい。所定の時間間隔の長さや、リアルタイムに送信するか、それともバースト送信するかは、本実施形態を適用する環境等に応じて、任意に設定することができる。また、イグニッションオフ時に、イグニッションオン時からイグニッションオフ時までの走行した位置情報をまとめて送信するようにしてもよい。
　このようにして、リアルタイム送信やバースト送信を行うことにより、位置情報送信部１１２は、センサ部１４が測位した車両５ａの移動経路を特定するための位置情報１２２と、識別情報１２３とを、車両走行管理サーバシステム３０に対して送信する。

　なお、位置情報送信部１１２は、運転技術に係る走行データを車両走行管理サーバシステム３０に対して送信するようにしてもよい。ここで、運転技術に係る走行データは、例えば、車速情報、加減速情報、車間距離情報、車線変更情報等を含む、車両５の運転者による運転に係るデータである。後述するように、車両走行管理サーバシステム３０は、車両５の運転技術に係る走行データに基づいて、予め設定された基準に基づいて、当該車両５の運転技術度合い（運転技術レベル）、安全運転度合い（安全運転レベル、安定走行レベル）、及び／又はエコ運転度合い（例えばエコ運転レベル、エコ運転走行レベル）を算出し、運転技術度合い、安全運転度合い、及び／又はエコ運転度合いに応じて、付与するインセンティブの加減を行うようにしてよい。より具体的には、例えば、運転技術度合いが高い場合には、付与するインセンティブに運転技術度合いレベルに応じた加点を加え、逆に運転技術度合いが低い場合には、付与するインセンティブに運転技術度合いに応じた減点を行うようにしてもよい。ここで運転技術度合いが高い場合とは、例えば車速を所定の時間、所定の車速範囲以内に維持する場合、穏やかな加減速による安定した走行、又は車間距離を所定の時間、所定の距離以上に維持する場合、等が一例として挙げられる。なお、安全運転度合いレベル、エコ運転度合いレベルについても同様に、各レベルに応じて付与するインセンティブの加減を行うようにしてもよい。以下、特に断らない限り、運転技術に係る走行データを単に走行データともいう。

＜車両走行価値指標要求部１１３＞
　車両走行価値指標要求部１１３は、車両５が、当該車両に適用される車両走行価値指標に含まれる走行ルート情報、及び当該走行ルートに対応するインセンティブ情報等を車両走行管理サーバシステム３０に対して要求する部分である。車両走行価値指標要求部１１３は、この要求に応じて車両走行管理サーバシステム３０から提供される車両走行価値指標を表示部１５及び／又は経路案内部１１１に対して出力する。そうすることで、ユーザは、車両走行管理サーバシステム３０に対して、当該車両に係る車両走行価値指標を選択することができる。これにより、経路案内部１１１は、車両走行価値指標要求部１１３から提供される走行ルート情報に基づいて、経路案内を行うことができる。
　車両走行価値指標要求部１１３は、図３に示すように、表示部１５に、例えば「車両走行価値指標配信要求ＯＮ」ボタンを表示して、ユーザによる当該ボタンのタッチ操作により、ＯＮに操作された場合、通信部１３を介して、当該車両に適用される車両走行価値指標の提供を要求するようにしてもよい。
　なお、ユーザは、車両走行価値指標要求部１１３のＯＮをデフォルトとして設定しておくことができる。そうすることで、車両走行管理サーバシステム３０は、当該車両５から受信する車種情報に基づいて、当該車両５が車両走行価値指標の車種条件に該当する場合には、当該車両走行価値指標に基づいて、当該車両に係る車両走行価値指標に含まれる走行日時や走行場所等を指定した走行ルート情報を提供することができる。

＜インセンティブ情報表示部１１４＞
　インセンティブ情報表示部１１４は、ユーザからの要求に基づいて、車両走行管理サーバシステム３０から、当該ユーザに付与されたインセンティブ情報の取得履歴、インセンティブ情報の利用（消費）履歴、及び現在残存しているインセンティブ情報等を取得して、例えば表示部１５に表示する。これにより、ユーザは、これまでに取得したインセンティブ情報とその利用状況等を含めて最新の情報を照会し、有効なクーポン等のインセンティブを利用することができる。
　なお、インセンティブ情報表示部１１４は、現時点でユーザ毎に取得されたインセンティブを車両５側（すなわち、車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０）に保持するように、インセンティブ情報を車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０にエクスポートすることができるようにしてもよい。そうすることで、車両走行管理サーバシステム３０とオフライン状態においても、ユーザは、インセンティブを利用可能とすることができる。
　以上、車載ナビゲーション装置１０の構成について説明した。

　＜携帯端末２０が備える機能ブロック＞
　次に、携帯端末２０が備える機能ブロックについて図４のブロック図を参照して説明をする。
　ここで、上述した車載ナビゲーション装置１０は、車両５ａから電源の供給を受けていたが、携帯端末２０は自身が備えるバッテリ（図示を省略する。）から電源の供給を受ける。ただし、バッテリを充電するために携帯端末２０が車両５ｂのシガーソケット等から電源の供給を受けるようにしてもよい。

　図４に示すように、携帯端末２０は、制御部２１と、記憶部２２と、通信部２３と、センサ部２４と、表示部２５と、入力部２６と、近距離通信部２７とを含んで構成される。
　ここで、制御部２１と、記憶部２２と、通信部２３と、センサ部２４と、表示部２５と、入力部２６は、上述した車載ナビゲーション装置１０が含む同名の機能ブロックと同等の機能を有している。
　例えば、制御部２１は、機能ブロックとして、ログイン処理部２１０、経路案内部２１１、位置情報送信部２１２、車両走行価値指標要求部２１３、及びインセンティブ情報表示部２１４を備えるようにしてもよい。同様に、記憶部２２は、例えば、地図情報２２１、位置情報２２２及び識別情報２２３を記憶するように構成してもよい。
　この場合、上述した車載ナビゲーション装置１０の説明における「車載ナビゲーション装置１０」の文言を「携帯端末２０」を置き換え、上述した車載ナビゲーション装置１０の説明における、「車両５ａ」の文言を「車両５ｂ」と置き換えることにより、携帯端末２０の各機能ブロックの説明となるので、重複する再度の説明は省略する。

　一方で、携帯端末２０は、近距離通信部２７を含んでいる点等で、車載ナビゲーション装置１０と相違するので、この相違点について、以下説明をする。
　近距離通信部２７は、ＮＦＣ（Near Field Communication）やＢｌｕｅｔｏｏｔｈ（登録商標）といった規格に準拠した非接触の近距離通信、又はＵＳＢ（Universal Serial Bus）ケーブル等を介した有線による近距離通信を行うための部分である。
　一方で、車両５ｂは、近距離通信部２７と通信を行うための近距離通信部を備える。例えば車両５ｂのＥＣＵ（Electronic Control Unit）が近距離通信部を備える。
　そして、携帯端末２０がＥＣＵと近距離通信により通信することができる場合とは、すなわち、携帯端末２０が車両５ｂの車内に存在する場合である。この場合、携帯端末２０のセンサ部２４が測位する位置情報は、車両５ｂの位置情報に相当することになる。

　そこで、携帯端末２０は、近距離通信部２７を介してＥＣＵと近距離通信できる間は、位置情報送信部２１２を起動させる。そして、起動した位置情報送信部２１２が、車載ナビゲーション装置１０の位置情報送信部１１２と同様にして、センサ部２４が測位した車両５ｂの移動経路を特定するための位置情報２２２と、識別情報２２３とを、車両走行管理サーバシステム３０に対して送信する。

　例えば、ユーザが携帯端末２０を所持して車両５ｂに乗車し、イグニッションスイッチ等の車両５ｂの起動スイッチをオンにすると、車両５ｂと携帯端末２０とが接続（ペアリング）され、携帯端末２０で測位した位置情報２２２及び識別情報２２３が携帯端末２０から車両走行管理サーバシステム３０に送信される。この場合、車両５ｂと携帯端末２０とのペアリング直後に測位された位置情報１２２により特定される位置を最初の車両位置、すなわち出発位置として車両走行管理サーバシステム３０に送信することができる。

　さらに、イグニッションスイッチ等の車両５ｂの起動スイッチがオフにされると、車両５ｂと携帯端末２０とのペアリングが解除される。この場合、解除された直前に測位された位置情報１２２により特定される位置を最終の車両位置、すなわち駐車位置として車両走行管理サーバシステム３０に送信することができる。
　この場合に、リアルタイムで送信してもよく、バースト送信してもよい点や、駐車位置に到着したと判断された場合には、バースト送信をリアルタイムの送信に切り替えても良い点や、出発位置又は駐車位置であることを示す起動情報や停止情報を追加しても良い点や、再起動時に駐車位置を送信しても良い点も位置情報送信部１１２と同様である。

　なお、車両５ｂが位置情報を測位する機能を有している場合には、センサ部２４が測位する位置情報ではなく、車両５ｂが測位する位置情報を位置情報１２２として車両走行管理サーバシステム３０に送信するようにしてもよい。この場合、携帯端末２０から、センサ部２４を省略するようにしてもよい。
　以上、携帯端末２０の構成について説明した。

　＜車両走行管理サーバシステム３０が備える機能ブロック＞
　次に、車両走行管理サーバシステム３０が備える機能ブロックについて図５のブロック図を参照して説明をする。

　図５に示すように、車両走行管理サーバシステム３０は、制御部３１と、記憶部３２と、通信部３３と、表示部３４と、入力部３５と、を含んで構成される。

　制御部３１は、マイクロプロセッサ等の演算処理装置から構成され、車両走行管理サーバシステム３０を構成する各部の制御を行う。制御部３１の詳細については、後述する。

　記憶部３２は、半導体メモリ等で構成されており、ファームウェアやオペレーティングシステムと呼ばれる制御用のプログラムや、情報分析処理を行うためのプログラムといった各プログラム、さらにその他、地図情報等の種々の情報が記憶される。図中には、記憶部３２が記憶する情報として、ユーザの車両から取得した車種情報及び走行情報を含む走行履歴データ３２１、地図情報３２２、車両走行価値指標３２３、及びユーザに付与されたインセンティブデータ３２４を図示する。これらの情報はそれぞれ、走行履歴データエリア３２１０、地図情報エリア３２２０、車両走行価値指標エリア３２３０、及びインセンティブデータエリア３２４０に、例えばファイル、テーブル、又はデータベース等として記憶することができる。

　走行履歴データ３２１は、車載ナビゲーション装置１０及び携帯端末２０のそれぞれから受信した、ユーザを識別する識別情報、車両５を識別する識別情報、車種情報、走行情報、走行データ等に基づいて作成更新される走行履歴情報データである。走行履歴データ３２１は、後述の走行履歴データ作成部３１１により作成及び更新される。走行履歴データ３２１の詳細については、走行履歴データ作成部３１１の説明の際に後述する。

　地図情報３２２は、上述した地図情報１２１や地図情報２２１と同じ情報である。地図情報３２２は、地図情報１２１や地図情報２２１と同様に、予め記憶しておく構成としてもよいし、通信網５０に接続されたサーバ装置（図示を省略する。）等から必要に応じて適宜ダウンロードされる構成としてもよい。さらに、ユーザの入力等に応じて適宜修正されてもよい。

　車両走行価値指標３２３は、インセンティブ付与の適用される車種情報、走行場所、走行日時等の走行条件、及び当該走行条件を満たす場合に付与されるインセンティブに係る情報等を含む。なお、前述したように、インセンティブ付与の適用される運転技術指標を含むようにしてもよい。例えば運転技術度合いに応じて付与するインセンティブを加減するような場合には、運転技術度合いに対応するインセンティブ加減情報を含むようにしてもよい。同様に、安全運転度合いに応じて付与するインセンティブを加減するような場合には、インセンティブ付与の適用される安全運転指標を含むとともに安全運転度合いに対応するインセンティブ加減情報を含むようにしてもよい。また、エコ運転度合いに応じて付与するインセンティブを加減するような場合には、インセンティブ付与の適用されるエコ運転指標を含むとともにエコ運転度合いに対応するインセンティブ加減情報を含むようにしてもよい。
　車両走行価値指標３２３は、予め記憶しておく構成としてもよいし、通信網５０に接続されたサーバ装置（図示を省略する）等から必要に応じて適宜ダウンロードされる構成としてもよい。さらに、後述する広告主用端末４０を介して広告主等のインセンティブ付与者からの入力に基づいて適宜作成更新されてもよい。車両走行価値指標３２３の詳細については、車両走行価値指標作成部３１２の説明の際に後述する。

　ユーザに付与されたインセンティブデータ３２４は、後述するインセンティブ情報管理部３１５によりインセンティブの付与されたユーザ毎に、これまでに当該ユーザに対して付与されたインセンティブ情報を管理する。

　通信部３３は、ＤＳＰ（Digital Signal Processor）等を有し、３Ｇ（3rd Generation）ＬＴＥ（Long Term Evolution）やＷｉ－Ｆｉ（登録商標）といった規格に準拠して、通信網５０を介した他の装置との間の無線通信を実現する。通信部３３は、例えば、車載ナビゲーション装置１０及び携帯端末２０のそれぞれから送信される識別情報、車種情報、走行情報、走行データ等を受信するために利用される。また、他にも通信部３３は、例えば、車載ナビゲーション装置１０及び携帯端末２０に対して当該車両に適用される車両走行価値指標に含まれる走行ルート情報、当該走行ルートに対応するインセンティブ情報、及び当該車両のユーザが既に獲得している利用可能なインセンティブに係る情報等を送信するために利用される。
　ただし、通信部３３と他の装置との間で送受信されるデータに特に制限はなく、これらの情報以外の情報が送受信されるようにしてもよい。

　表示部３４は、液晶ディスプレイ、又は有機エレクトロルミネッセンスパネル等の表示デバイスにより構成される。表示部３４は、制御部３１からの指示を受けて画像を表示する。表示部３４が表示する情報としては、例えば、記憶部３２から読み出される各情報（走行履歴データ３２１、地図情報３２２、車両走行価値指標３２３、付与されたインセンティブデータ３２４）及び各種のユーザインタフェース等が挙げられる。

　入力部３５は、キーボードやマウス等の入力装置（図示を省略する。）等で構成される。入力部１６からの操作入力に基づいて、例えば、走行履歴データ３２１や地図情報３２２の修正や、車両走行価値指標３２３等の修正処理を行うことが可能となる。これらの操作は、例えば、車両走行管理サーバシステム３０を管理する事業者により行われる。

　次に、制御部３１の詳細について説明をする。制御部３１はＣＰＵ（Central Processing Unit）、ＲＡＭ（Random access memory）、ＲＯＭ（Read Only Memory）、及びＩ／Ｏ（Input / output）等を有するマイクロプロセッサにより構成される。ＣＰＵは、ＲＯＭ又は記憶部３２から読み出した各プログラムを実行し、その実行の際にはＲＡＭ、ＲＯＭ、及び記憶部３２から情報を読み出し、ＲＡＭ及び記憶部３２に対して情報の書き込みを行い、通信部３３、表示部３４、及び入力部３５と信号の授受を行う。そして、このようにして、ハードウェアとソフトウェア（プログラム）が協働することにより本実施形態における処理は実現される。

　制御部３１は、機能ブロックとして、ログイン処理部３１０、走行情報取得部としての走行履歴データ作成部３１１、車両走行価値指標作成部３１２、車両走行価値指標提供部３１３、インセンティブ算出付与部３１４、及びインセンティブ情報管理部３１５を含む。

＜ログイン処理部３１０＞
　ログイン処理部３１０は、車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０からのログイン処理を実行して、車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０と接続処理を行う。
　同様に、ログイン処理部１１０は、広告主用端末４０からのログイン処理を実行して、広告主用端末４０と接続処理を行う。

＜走行履歴データ作成部３１１＞
　走行履歴データ作成部３１１は、車両５から受信した車種情報、走行情報、及び安全運転に係る走行データ等に基づいて、当該車両５の出発位置から到着位置（駐車位置）までの時刻情報を含む走行場所を、ユーザ及び／又は車両の識別情報、並びに車種情報に関連付けて適宜作成する部分である。また、当該車両５の走行データに基づいて、走行中における運転技術レベル、安全運転レベル、安定走行レベル、エコ運転レベル、エコ運転走行レベル等を適宜作成するようにしてもよい。

　走行履歴データ３２１のデータ構造の一例について説明する。
　走行履歴データ３２１は、上述したようにして車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０から受信した位置情報等に基づいて走行履歴データ作成部３１１が特定した、「出発位置」、「出発位置」から「到着位置（駐車位置）」までに走行した「走行位置」、及び到着位置である「駐車位置」をその時刻情報とともに含み、識別情報及び／又は車種情報に関連付けられる。
　ここで、「識別情報」は、上述したように位置情報の送信元である車載ナビゲーション装置１０や携帯端末２０を識別するための情報である。すなわち、車載ナビゲーション装置１０や携帯端末２０に対応する車両５及び又はユーザを識別する情報である。走行履歴データ作成部３１１は、出発位置、走行位置、及び到着位置（駐車位置）を識別情報に紐づけて格納する。また、「車種情報」は、上述したように位置情報の送信元である車載ナビゲーション装置１０や携帯端末２０の搭載された車両５の車種情報である。

　走行履歴データ３２１は、出発位置から到着位置までの間の走行時間帯情報、及び車両５の到着位置（駐車位置）に対応する施設（例えば、イベント会場、大学構内等）と、そこに何時から何時まで駐車したかを示す駐車時間帯情報を含むようにしてもよい。駐車時間については、当該駐車位置に到着した時刻と当該駐車位置を出発した時刻とから算出することができる。
　また、走行履歴データ３２１は、走行位置から特定される車両５の走行した走行場所（例えば道路及び／又は走行エリア等）を含むようにしてもよい。地図情報から走行場所（例えば道路及び／又は走行エリア等）を算出することができる。

　走行履歴データ３２１は、当該車両５の走行データに基づいて、走行中における運転技術レベル、安全運転レベル、安定走行レベル、エコ運転レベル、エコ運転走行レベル等を含むようにしてもよい。ここで、当該車両５の運転技術レベル、安全運転レベル、安定走行レベル、エコ運転レベル、エコ運転走行レベル等は、当該車両の上述した走行場所を走行中における運転技術、安全運転、安定走行、エコ運転、エコ運転走行等に係る評価点である。

　このため、走行履歴データ作成部３１１は、予め設定された段階別評価又は点数評価に基づいて、当該車両５の走行データを解析することで、運転技術、安全運転、安定走行、エコ運転、エコ運転走行等に係る評価点を算出することができる。段階別評価としては例えば５段階評価としてもよい。また点数評価としては、最高点を１００点として点数をつけてもよい。より具体的には、走行履歴データ作成部３１１は、例えば、走行データに含まれる車速情報、加減速情報、車間距離情報、急ブレーキ情報等に基づいて、ユーザが例えば、安定した走行、ふらつかない走行、穏やかな加減速など、運転技能の高い車両走行を行っているか否かを評価する。同様に、走行履歴データ作成部３１１は、ユーザが安全運転を行っているか否か、又はエコ運転を行っているか否か等を評価することができる。
　運転技術度合いに係る評価基準としては、例えば適切な車速を所定時間維持すること、適切な車間距離を所定時間維持すること、急ブレーキ回数ゼロが所定時間維持すること、穏やかな加減速等が一例として挙げられる。

　以上のように、走行履歴データ作成部３１１は、何れかの車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０から位置情報及び識別情報の送信が一度開始されてから終了するまでの間、受信した位置情報及び識別情報等に基づいて上述した各情報を作成し格納することにより走行履歴データ３２１を作成更新する。

＜車両走行価値指標作成部３１２＞
　次に、車両走行価値指標作成部３１２について説明する。車両走行価値指標作成部３１２は、例えば、後述の広告主用端末４０から入力される、インセンティブの適用される車種情報、走行場所、及び走行日時等に係る走行条件と当該走行条件に基づいて付与されるポイント等のインセンティブ情報等を、当該広告主の望む車両走行価値指標３２３として記憶部３２（車両走行価値指標エリア３２３０）に記憶させる。なお、当該インセンティブに運転技術度合い、安全運転度合い、及び／又はエコ運転度合いに応じて加点又は減点をする場合、例えば、広告主用端末４０から入力される、インセンティブ付与の適用される運転技術指標、安全運転指標、及び／又はエコ運転指標を記憶部３２（車両走行価値指標エリア３２３０）に記憶させるとともに、運転技術度合いに対応するインセンティブ加減情報、安全運転度合いに対応するインセンティブ加減情報、及び／又はエコ運転度合いに対応するインセンティブ加減情報を含むことができる。なお、車両走行価値指標３２３に運転技術度合い、安全運転度合い及び／又はエコ運転度合いに係る条件を付加することで、広告主の望む車種に係る車両が運転技能の高い車両走行、安全運転、及び／又はエコ運転をする動機が高まり、それにより当該車両の高印象にもつながるという効果を奏することができる。
　なお、車両走行価値指標３２３は、広告主用端末４０からの入力データのみに基づいて作成更新される構成に限定されない。例えば、車両走行管理サーバシステム３０を管理する事業者又は管理者により入力部３５等を介して入力される入力データに基づいて車両走行価値指標３２３を作成更新してもよい。また、車両走行管理サーバシステム３０におけるバッチ処理により車両走行価値指標３２３を記憶させるようにしてもよい。

　車両走行価値指標３２３のデータ構造の一例について説明する。
　車両走行価値指標３２３は、インセンティブ付与対象となる車種情報、当該車種情報に合致する車両５の対象とする走行場所、走行日時、当該走行条件を満たす場合に付与されるインセンティブ情報を含む。また、当該車両の運転技術度合いに応じてインセンティブの加点又は減点をする場合、車両走行価値指標３２３は、運転技術度合いに係る評価基準（運転技術指標）と当該運転技術度合いに対応するインセンティブの加点値又は減点値を含むようにしてもよい。同様に、当該車両の安全運転度合いに応じてインセンティブの加点又は減点をする場合、車両走行価値指標３２３は、安全運転度合いに係る評価基準（安全運転指標）と当該安全運転度合いに対応するインセンティブの加点値又は減点値を含むようにしてもよい。同様に、当該車両のエコ運転度合いに応じてインセンティブの加点又は減点をする場合、車両走行価値指標３２３は、エコ運転度合いに係る評価基準（エコ運転指標）と当該エコ運転度合いに対応するインセンティブの加点値又は減点値を含むようにしてもよい。

　車種情報は、前述したように、車両５のカテゴリー種別、車種（車種名）、車種の下位分類であるグレード、外装色等のいずれかの情報を含む。インセンティブ付与対象とする車種情報としては、例えば、自動車メーカのブランドを代表する車種、新車、旧型の人気車種、若者に人気のある車種、走行地域で希少な車種等、広告主の想定する広告価値に基づいて設定することができる。
　走行場所は、走行履歴データ３２１の走行場所と同様に、車両５の走行位置及び／又は駐車位置を示す情報であって、例えば、道路名、当該道路の範囲、地域名（エリア名）等で示すようにしてもよい。また、緯度経度の範囲を指定してもよい。例えば、繁華街や観光地のエリア、販売店に周辺のエリア、イベント会場の周辺のエリア等が一例として挙げられる。
　走行日時は、当該走行場所を走行する日時情報である。例えば、年月日による範囲、所定の曜日（又は休祭日）の所定の時間帯等が挙げられる。具体的には、キャンペーンや新車販売直後からの一定期間、イベント開催の前後の時間帯等が一例として挙げられる。
　インセンティブは、例えば、施設の提供する商品やサービスの割引情報であるクーポンや特別なポイント付与等を含む特典情報、車の販売店の提供サービス（例えば、アフターサービス）に係る割引等が一例として挙げられる。
　なお、インセンティブについては、時間帯及び走行場所等で多くの人出が予想される場合、走行地域で希少な車種である場合、トータルの走行距離等でインセンティブを増減してもよい。

＜車両走行価値指標提供部３１３＞
　次に、車両走行価値指標提供部３１３について説明をする。車両走行価値指標提供部３１３は、記憶部３２に記憶された車両走行価値指標３２３に係るインセンティブ付与の適用される車種情報、走行場所、走行日時等の走行条件、及び当該走行条件を満たす場合に付与されるインセンティブに係る情報を当該車種情報に該当する車両５のユーザに対して、車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０を介して提供する。
　より具体的には、車両走行管理サーバシステム３０は、例えば、ログイン処理等により車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０と通信可能な状態にされた状態において、例えば、前述した図３に示すように、車載ナビゲーション装置１０（車両走行価値指標要求部１１３）又は携帯端末２０（車両走行価値指標要求部２１３）から、当該ユーザの運転する車両５に係る車種情報に適用される車両走行価値指標に係る配信要求を受信すると、車両走行価値指標提供部３１３は、当該車両５に係る車種情報に基づいて、記憶部３２に記憶された車両走行価値指標３２３を検索することで、当該車両５に係る車種情報をインセンティブ付与対象とする車両走行価値指標３２３を抽出する。車両走行価値指標提供部３１３は、抽出した車両走行価値指標３２３を車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０に送信することで、当該車両５の運転者であるユーザに対して、走行場所、走行日時等の走行条件、及び当該走行条件を満たす場合に付与されるインセンティブに係る情報を提供することができる。
　ここで、当該車両５に係る車種情報をインセンティブ付与対象とする車両走行価値指標３２３を抽出できなかった場合、車両走行価値指標提供部３１３は、当該車両をインセンティブ対象とする車両走行価値指標が無い旨を通知する。
　また、当該車両５に係る車種情報をインセンティブ付与対象とする車両走行価値指標３２３を抽出した場合、車両走行価値指標提供部３１３は、抽出された車両走行価値指標の一覧を通知するようにしてもよい。この場合、ユーザは、一覧の中から車両走行価値指標を選択して、選択情報を車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０を介して車両走行管理サーバシステム３０に対して、送信するようにしてもよい。そうすることで、車両走行価値指標提供部３１３は、選択された車両走行価値指標に係る日時や場所を指定した走行ルート情報を車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０に提供することができる。
　なお、当該車両５に係る車種情報をインセンティブ付与対象とする車両走行価値指標３２３を抽出した場合、車両走行価値指標提供部３１３は、予め設定された優先判定条件に基づいて、優先度の高い車両走行価値指標に係る日時や場所を指定した走行ルート情報を車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０に提供するようにしてもよい。ここで、優先判定条件としては、例えば、現在の日時が車両走行価値指標に係る日時の範囲に含まれるか、又は近接していること、当該車両の現在位置が車両走行価値指標に係る走行場所の範囲に含まれるか、又は近接していること等が一例として挙げられる。ただし、これらは、一例であって、限定されない。例えば、車両走行管理サーバシステム３０の管理者により、適宜設定することようにしてもよい。また、ユーザが、優先判定条件を予め選択、設定するようにしてもよい。

　また、前述したように、ユーザは、例えば車載ナビゲーション装置１０の車両走行価値指標要求部１１３又は携帯端末２０の車両走行価値指標要求部２１３をＯＮにデフォルト設定しておくことで、車両走行価値指標提供部３１３は、当該車両５から受信する車種情報に基づいて、当該車両５が車両走行価値指標の車種条件に該当する場合には、当該車両走行価値指標に基づいて、当該車両に係る車両走行価値指標に含まれる走行日時や走行場所等を指定した走行ルート情報を提供する（すなわち、リコメンドする）ことができる。

＜インセンティブ算出付与部３１４＞
　次に、インセンティブ算出付与部３１４について説明をする。インセンティブ算出付与部３１４は、車両の走行履歴データ３２１と車両走行価値指標３２３とに基づいて、当該車両５の車種情報及び走行情報が所定の車両走行価値指標３２３に該当するか否かを判断する。インセンティブ算出付与部３１４は、車両５の走行履歴データ３２１等に基づいて、当該車両５がインセンティブ付与対象の所定の車両走行価値指標３２３に該当すると判定した場合、車両走行価値指標３２３に含むインセンティブの値に基づいて、インセンティブを算出して、算出されたインセンティブを当該車両５のユーザに対して付与する。
　より具体的には、インセンティブ算出付与部３１４は、車両５の車種情報が所定の車両走行価値指標３２３に含まれる車種情報に合致するとともに、当該車両５の走行日時及び走行場所が当該車両走行価値指標３２３に含まれるインセンティブ付与対象走行日時及びインセンティブ付与対象走行場所に合致する場合、当該車両５のユーザに対して当該車両走行価値指標３２３に規定されるインセンティブ情報に基づいて例えばポイント等のインセンティブ（「走行条件インセンティブ」ともいう）を算出する。インセンティブ算出においては、インセンティブ付与対象走行場所の走行回数に基づいて（例えば比例して）インセンティブを算出してもよい。また、インセンティブ付与対象走行場所における走行距離に基づいて（例えば比例して）インセンティブを算出してもよい。また、インセンティブ付与対象走行場所における走行時間に基づいて（例えば比例して）インセンティブを算出してもよい。
　また、インセンティブ算出付与部３１４は、当該走行場所の走行中における走行データに基づいて前述したように、当該車両５の運転技術度合い（運転技術レベル）を判定して、判定した運転技術度合いに応じてインセンティブ（「運転技術インセンティブ」ともいう）の加減値を求めて、前述した走行条件インセンティブに対して運転技術インセンティブ値を加減することで、当該車両５のユーザに対して付与するインセンティブを算出するようにしてもよい。同様に、インセンティブ算出付与部３１４は、当該車両５の安全運転度合い（安全運転レベルや安定走行レベル）を判定して、判定した安全運転度合いに応じてインセンティブ（「安全運転インセンティブ」ともいう）の加減値を求めて、前述した走行条件インセンティブに対して安全運転インセンティブ値を加減することで、当該車両５のユーザに対して付与するインセンティブを算出するようにしてもよい。同様に、インセンティブ算出付与部３１４は、当該車両５のエコ運転度合い（エコ運転レベルやエコ走行レベル）を判定して、判定したエコ運転度合いに応じてインセンティブ（「エコ運転インセンティブ」ともいう）の加減値を求めて、前述した走行条件インセンティブに対してエコ運転インセンティブ値を加減することで、当該車両５のユーザに対して付与するインセンティブを算出するようにしてもよい。

＜インセンティブ情報管理部３１５＞
　次に、インセンティブ情報管理部３１５について説明をする。インセンティブ情報管理部３１５は、車両走行価値指標３２３に基づいてインセンティブの付与された車両５毎（すなわちユーザ毎）に、これまでに当該車両５のユーザに対して付与された（車両走行価値指標３２３と紐づけられた）各種インセンティブ情報を管理する。より具体的には、インセンティブ情報管理部３１５は、各車両５のユーザに付与されたインセンティブの利用要求に対して、利用されるインセンティブを提供すること、車両５のユーザにより利用されたインセンティブを消費（消却）するとともに、各車両５のユーザに付与されたインセンティブ情報の取得履歴、インセンティブ情報の利用（消費）履歴、現在残存しているインセンティブ情報等を車両５のユーザ毎に管理する。より具体的には、各車両５のユーザの識別情報に紐づけて、各車両５のユーザに付与されたインセンティブ情報の取得履歴、インセンティブ情報の利用（消費）履歴、及び現在残存しているインセンティブ情報等を管理する。
　また、有効期間条件付きのインセンティブについては、有効期間を過ぎた場合に、当該インセンティブを無効化する等のインセンティブ情報の管理を行う。また、インセンティブ情報管理部３１５は、車両５のユーザからのインセンティブ照会要求に応じて、車両５のユーザがこれまで取得したインセンティブ情報とその利用状況等を含めて最新の情報を提供することができる。
　なお、インセンティブ情報管理部３１５は、現時点で車両５のユーザ毎に取得されたインセンティブを車両５側（すなわち、車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０）に保持するように、インセンティブ情報を車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０にエクスポートすることができるようにしてもよい。そうすることで、車両走行管理サーバシステム３０とオフライン状態においても、インセンティブを利用可能とすることができる。
　また、逆に、車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０に保持されるインセンティブ情報を車両走行管理サーバシステム３０にインポートすることができるようにしてもよい。
　また、後述するように、インセンティブ情報管理部３１５は、広告主用端末４０からの要求に対して、当該広告主が設定した車両走行価値指標３２３に対して、当該車両走行条件に合致した走行を行った車両５に関する情報を提供するようにしてもよい。
　以上、車両走行管理サーバシステム３０の構成について説明した。

＜広告主用端末４０＞
　次に、広告主用端末４０について概説する。図６に広告主用端末４０の構成を示す。
　図６に示すように、広告主用端末４０は、少なくとも、制御部４１と、記憶部４２と、通信部４３と、表示部４５と、入力部４６とを備える。各部の構成は、例えば、携帯端末２０及び車両走行管理サーバシステム３０の対応する各部の構成とそれぞれ同様である。

　制御部４１は各プログラムを実行することによって、広告主用端末４０を所定の手段（以下、「車両走行価値指標管理制御部」と総称する）として機能させる。
　また、制御部４１は車両走行価値指標管理制御のための各プログラムを実行することによって、広告主用端末４０に、所定のステップ（以下、「車両走行価値指標管理制御ステップ」と総称する）を実行させる。

　以下、制御部４１の有する機能を車両走行価値指標管理制御の観点から説明する。なお、車両走行価値指標管理制御ステップ（方法）の観点に基づく説明は、「部」を「ステップ」に置き換えることで説明できるため、省略する。

　図６に示すように、制御部４１は、ログイン処理部４１０と、車両走行価値指標編集部４１１と、車両走行データ照会部４１２と、を備える。

＜ログイン処理部４１０＞
　ログイン処理部４１０は、例えば、広告主を識別する識別番号（広告主ＩＤ）及びパスワードを用いて、車両走行管理サーバシステム３０に対してログイン処理を実行する。

＜車両走行価値指標編集部４１１＞
　車両走行価値指標編集部４１１は、例えば広告主用端末４０の管理者の入力に基づき、車両走行管理サーバシステム３０の記憶部３２に記憶される、車両走行価値指標３２３に含まれる走行条件（例えば、当該インセンティブの適用される車種情報、走行場所、及び走行日時等）、それぞれの走行条件に基づいて付与されるポイント等のインセンティブ情報をリアルタイムに作成更新することができる。
　また、車両走行価値指標編集部４１１は、運転技術指標と運転技術度合いに対応するインセンティブの加点値又は減点値等をリアルタイムに作成更新することができる。同様に、車両走行価値指標編集部４１１は、安全運転指標と安全運転度合いに対応するインセンティブの加点値又は減点値等をリアルタイムに作成更新することができる。また、車両走行価値指標編集部４１１は、エコ運転指標とエコ運転度合いに対応するインセンティブの加点値又は減点値等をリアルタイムに作成更新することができる。

＜車両走行データ照会部４１２＞
　車両走行データ照会部４１２は、当該広告主が設定した車両走行価値指標３２３に対して、車両走行管理サーバシステム３０の記憶部３２に記憶される、当該車両走行価値指標３２３に合致した走行を行った車両５に関する走行実績情報を照会することができる。
　そうすることで、例えば、広告主用端末４０の管理者は、当該広告主がターゲットとしている車両のユーザに対して、例えば当該車両走行価値指標３２３（例えば、走行日時や走行場所等の設定）が適切であったか等について分析することができる。
　例えば、自動車メーカーは、車両走行価値指標に含まれる車種情報、走行場所、及び走行日時を工夫することで、当該車種に係る多様な広告戦略を展開することができる。例えば、販売店は、宣伝価値を左右する車種や年式、新車であれば発売日からの経過期間に応じて、また露出度合を左右する走行時間や走行場所に応じて、インセンティブを付与することができる。そして、付与したインセンティブにより販売店での定期メンテナンス等のサービスの利用を促すことができ、販売店にとって顧客囲い込みに寄与するとともに、アフターサービス提供機会の拡大、及びアフターサービス等の収益機会増大につながる販売促進が可能となる。

　以上、本発明の車両走行管理システム１の各機能部の実施形態を、車両５に搭載される車載ナビゲーション装置１０、又は車両５と信号接続（ペアリング）された携帯端末２０、車両走行管理サーバシステム３０、及び広告主用端末４０の構成に基づいて説明した。

（車両走行管理システム１の動作）
　以上、車両走行管理システム１の構成について説明した。続いて、車両走行管理システム１の動作について車載ナビゲーション装置１０を例として説明する。
　まず、車両５の出発位置から駐車位置までの走行履歴データ３２１を記録する走行履歴データ作成部３１１の処理の流れについて説明する。図７は、車両５の出発位置から駐車位置までの走行履歴データ３２１を記録する走行履歴データ作成部３１１の処理の流れを示すフローチャートである。

　図７を参照すると、ステップＳ１０１において、ログイン処理部１１０は、車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０と接続処理を行い、車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０から受信した車両ＩＤをキーとして、当該車両５の車種情報、車両５の現在位置及び現在時刻等を管理するための走行履歴データ３２１を、走行履歴データエリア３２１０に作成する。

　ステップＳ１０２において、走行履歴データ作成部３１１は、車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０から定期的に受信する、車両ＩＤ、車両５の現在位置情報、現在時刻情報等に基づいて、当該車両ＩＤをキーとする走行履歴データ３２１を追記して記憶する。
　なお、図示しないが、走行履歴データ作成部３１１は、車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０から、定期的に受信する、例えば、車速情報、車間距離情報、急ブレーキ情報等を含む走行データに基づいて、当該車両ＩＤをキーとする走行履歴データ３２１に走行データを追記して記憶するように構成することができる。

　ステップＳ１０３において、車両５のイグニッションスイッチがオフ（エンジンを停止）にされることによる車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０の稼働停止される場合、走行履歴データ作成部３１１は走行履歴データの作成を終了する。そうでない場合、ステップＳ１０２に移る。

　以上の処理フローにより、車両走行管理サーバシステム３０（走行履歴データ作成部３１１）は、車両５の出発位置から到着位置（駐車位置）までの走行履歴データ３２１を作成する。

　次に、車両走行管理サーバシステム３０（インセンティブ算出付与部３１４、インセンティブ情報管理部３１５）により、走行履歴データエリア３２１０に記録された所定の車両の出発位置から到着位置（駐車位置）までの走行履歴データ３２１、及び車両走行価値指標エリア３２３０に記録された車両走行価値指標３２３に基づいて、車両５のユーザに対して還元されるインセンティブを算出して付与する処理の流れを説明する。図８は、車両のユーザに対して還元されるインセンティブを算出して付与する処理の流れを示すフローチャートである。

　図８を参照すると、ステップＳ２０１において、車両走行管理サーバシステム３０（インセンティブ算出付与部３１４）は、車両ＩＤに基づいて、出発位置から到着位置（駐車位置）までの未処理の走行履歴データ３２１を抽出して、時刻順（昇順）にソートする。

　ステップＳ２０２において、走行履歴データエリア３２１０に格納されている全ての車両ＩＤの未処理の走行履歴データ３２１の入力が終了したか否かを判定する。全ての車両ＩＤの未処理の走行履歴データ３２１の入力が終了した場合（Ｙｅｓ）、処理を終了する。全ての車両ＩＤの未処理の走行履歴データ３２１の入力が終了していない場合（Ｎｏ）、ステップＳ２０３に進む。

　ステップＳ２０３において、車両走行管理サーバシステム３０（インセンティブ算出付与部３１４）は、当該車両ＩＤの車種情報、出発時刻から到着時刻までの走行日時、及び走行位置に該当する、車両走行価値指標３２３を車両走行価値指標エリア３２３０に記録された車両走行価値指標３２３の中から抽出する。

　ステップＳ２０４において、車両走行管理サーバシステム３０（インセンティブ算出付与部３１４）は、車両走行価値指標３２３が抽出できたか否かを判定する。抽出できた場合（Ｙｅｓ）、ステップＳ２０５に移る。車両走行価値指標３２３が抽出できなかった場合（Ｎｏ）、ステップＳ２０１に移る。

　ステップＳ２０５において、車両走行管理サーバシステム３０（インセンティブ算出付与部３１４）は、当該車両ＩＤに対して当該車両走行価値指標３２３に規定されるインセンティブ情報に基づいてインセンティブ（「走行条件インセンティブ」ともいう）を算出する。

　ステップＳ２０６において、車両走行管理サーバシステム３０（インセンティブ情報管理部３１５）は、ステップＳ２０５において算出されたインセンティブを、当該車両ＩＤ（又は当該車両ＩＤのユーザ）に紐づけて、インセンティブデータ３２４をインセンティブデータエリア３２４０に作成する。
　より具体的には、車両走行管理サーバシステム３０（インセンティブ情報管理部３１５）は、ステップＳ２０５において算出されたインセンティブを当該車両ＩＤ（又は当該車両ＩＤのユーザ）のインセンティブデータの取得履歴及び現在残存しているインセンティブデータに追加する。

　ステップＳ２０７において、車両走行管理サーバシステム３０（インセンティブ算出付与部３１４）は、ステップＳ２０３において抽出された車両走行価値指標３２３の未処理の指標があるか否かを判定する。未処理の指標がある場合（Ｙｅｓ）、ステップＳ２０５に移る。未処理の指標がない場合（Ｎｏ）、ステップＳ２０１に移る。
　以上の処理フローにより、車両走行管理サーバシステム３０は、車両５のユーザに対して還元されるインセンティブを算出して付与することができる。

　以上、本発明の好ましい実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。

　本発明の車両走行管理サーバシステム３０の備える各機能部の実施形態は、１台のコンピュータでも、１箇所にある又は数箇所に分散され、通信網によって相互接続された多数のコンピュータでも分散して実行するように展開できる。また、クラウド上の複数の仮想コンピュータを用いて構成することもできる。

［変形例１］
　車両走行管理サーバシステム３０の備える車両走行価値指標作成部３１２を例えば、別サーバ（別コンピュータ）に分散させることで、車両走行価値指標管理装置として分散化させてもよい。
　また、車両走行管理サーバシステム３０の備えるインセンティブ情報管理部３１５を例えば、別サーバ（別コンピュータ）に分散させることで、インセンティブ情報管理装置として分散化させてもよい。
　また、車両走行価値指標作成部３１２及びインセンティブ情報管理部３１５をそれぞれ別サーバ（別コンピュータ）に分散させてもよい。
　また、走行履歴データ作成部３１１を例えば別サーバ、例えばＦＣＤ（Ｆｌｏａｔｉｎｇ　Ｃａｒ　Ｄａｔａ）サーバに分散させてもよい。
　また、車両走行管理サーバシステム３０を、例えば車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０等の車両に設置可能なユーザ端末上に構成することもできる。

［変形例２］
　車両走行管理サーバシステム３０の備えるインセンティブ情報管理部３１５を車両走行管理サーバシステム３０に換えて、例えば車載ナビゲーション装置１０Ａ又は携帯端末２０Ａが備えるようにしてもよい。
　この場合の車載ナビゲーション装置１０Ａの機能構成を示す機能ブロックを図９に、携帯端末２０Ａの機能構成を示す機能ブロックを図１０に示す。
　図９に示すように、車載ナビゲーション装置１０Ａの制御部１１は、インセンティブ情報管理部１１５を備えると共に、記憶部１２は、当該ユーザに対して付与されたインセンティブデータ１２４を記憶するように構成される。
　同様に、図１０に示すように、携帯端末２０Ａの制御部２１は、インセンティブ情報管理部２１５を備えると共に、記憶部２２は、当該ユーザに対して付与されたインセンティブデータ２２４を記憶するように構成される。
　この場合、上述した車両走行管理サーバシステム３０の備えるインセンティブ算出付与部３１４は、算出したインセンティブをネットワークを介して車載ナビゲーション装置１０Ａ又は携帯端末２０Ａに対して送信するように構成される。
　そして、車載ナビゲーション装置１０Ａのインセンティブ情報管理部１１５は、車両走行管理サーバシステム３０から送信されるインセンティブを取得することで、自身に付与されたインセンティブを管理することができる。
　なお、車載ナビゲーション装置１０Ａの備えるインセンティブ情報管理部１１５及び携帯端末２０Ａの備えるインセンティブ情報管理部２１５は、それぞれ車両走行管理サーバシステム３０の備えるインセンティブ情報管理部３１５と同等の機能を備えることから、重複する再度の説明は省略する。
　なお、車載ナビゲーション装置１０Ａのインセンティブ情報表示部１１４Ａは、インセンティブ情報表示部１１４の機能説明において「車両走行管理サーバシステム３０」を「インセンティブ情報管理部１１５」に置き換えることにより説明される。携帯端末２０Ａのインセンティブ情報表示部２１４Ａも同様である。

　また、車載ナビゲーション装置１０Ａがインセンティブ情報管理部１１５を備える場合のインセンティブを算出して付与する処理は、図８におけるステップＳ２０６を、以下のように、ステップＳ２０６１とステップＳ２０６２に変更することで実現される（図示省略）。
　ステップＳ２０６１において、車両走行管理サーバシステム３０（インセンティブ算出付与部３１４）は、ステップＳ２０５において算出したインセンティブデータ１２４を、当該車両ＩＤ（又は当該車両ＩＤのユーザ）に紐づけて、当該車両５ａの車載ナビゲーション装置１０Ａに送信する。
　ステップＳ２０６２において、車載ナビゲーション装置１０Ａのインセンティブ情報管理部１１５は、車両走行管理サーバシステム３０から受信したインセンティブデータ１２４をインセンティブデータエリア１２４０に作成する。
　より具体的には、車載ナビゲーション装置１０Ａ（インセンティブ情報管理部１１５）は、ステップＳ２０６１において受信したインセンティブを当該車両ＩＤ（又は当該車両ＩＤのユーザ）のインセンティブデータの取得履歴及び現在残存しているインセンティブデータに追加する。
　なお、携帯端末２０Ａがインセンティブ情報管理部２１５を備える場合のインセンティブを算出して付与する処理は、前述したステップＳ２０６１及びステップＳ２０６２の説明において、「インセンティブデータ１２４」、「インセンティブデータエリア１２４０」、「車載ナビゲーション装置１０Ａ」、及び「インセンティブ情報管理部１１５」を、それぞれ「インセンティブデータ２２４」、「インセンティブデータエリア２２４０」、「携帯端末２０Ａ」、及び「インセンティブ情報管理部２１５」に置き換えることにより説明される。
　このように、車両側（車載ナビゲーション装置１０Ａ又は携帯端末２０Ａ）でユーザのインセンティブを管理することで、ユーザのインセンティブの利用用途が拡大することが期待できる。それにより、車両走行自体に対するより一層強い動機付けをユーザに与えることを可能とする。

［変形例３］
　車両走行管理サーバシステム３０を、例えば車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０等の車両に設置可能なユーザ端末上に構成することもできる。
　車両走行管理サーバシステム３０を、車載ナビゲーション装置１０上に構成する場合、車載ナビゲーション装置１０の制御部１１は、図２に示すクライアント機能部に加えて、図５に示すサーバ機能部とを備えるように構成することができる。この場合、クライアント機能部とサーバ機能部とは、例えばプロセス間通信でデータの送受信を行ってもよい。
　同様に、車両走行管理サーバシステム３０を、携帯端末２０上に構成する場合、携帯端末２０の制御部２１は、図４に示すクライアント機能部に加えて、図５に示すサーバ機能部とを備えるように構成することができる。この場合、クライアント機能部とサーバ機能部とは、例えばプロセス間通信でデータの送受信を行ってもよい。
　また、車両走行管理サーバシステム３０を、車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０とは別のユーザ端末６０上に構成する場合、車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０とユーザ端末６０とは、例えば車載ネットワークや近距離通信等を介して通信するように構成することができる。
　ここで、ユーザ端末６０は、図示しないが、例えば、携帯端末２０、車両走行管理サーバシステム３０等と同様に、少なくとも、制御部と、記憶部と、通信部と、表示部と、入力部とを備える。
　車両走行管理サーバシステム３０を、例えば車載ナビゲーション装置１０又は携帯端末２０等の車両に設置可能なユーザ端末上に構成する場合、前述したように、車両走行価値指標３２３を記憶部に予め記憶しておく構成としてもよいし、通信網５０に接続されたサーバ装置（図示を省略する）等から必要に応じて適宜ダウンロードする構成としてもよい。
　このように、車両走行管理サーバシステム３０をユーザ端末６０側に構成することで、走行情報等を無線通信等の通信網５０を介して送信する必要がなくなり、ユーザは、自分自身の車両走行行動に対するインセンティブをユーザ端末側で算定し管理することが可能となる。このように、ユーザのインセンティブをユーザ端末６０で直接管理することで、ユーザのインセンティブをいつでも利用可能となるとともに、その利用用途が拡大し、それにより、車両走行自体に対するより一層強い動機付けをユーザに与えることが可能となる。

　また、本発明の車両走行管理システム１は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
　換言すると、図２、図４、図５、及び図６の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。すなわち、本発明の車両走行管理機能に関する一連の処理を全体として実行できる機能が各機器に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図２、図４、図５、及び図６の例に限定されない。
　また、１つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。

　一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
　コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータであってもよい。

　このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディアは、例えば、磁気ディスク（フロッピディスクを含む）、ブルーレイディスク、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、ＣＤ－ＲＯＭ（Ｃｏｍｐａｃｔ　Ｄｉｓｋ－Ｒｅａｄ　Ｏｎｌｙ　Ｍｅｍｏｒｙ），ＤＶＤ（Ｄｉｇｉｔａｌ　Ｖｅｒｓａｔｉｌｅ　Ｄｉｓｋ）等により構成される。光磁気ディスクは、ＭＤ（Ｍｉｎｉ－Ｄｉｓｋ）、等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている図２の記憶部１２、図４の記憶部２２、図５の記憶部３２、図６の記憶部４２に含まれるハードディスク等で構成される。

　１　車両走行管理システム
　５、５ａ、５ｂ　車両
　１０　車載ナビゲーション装置
　２０　携帯端末
　１１，２１　制御部
　１１０，２１０　ログイン処理部
　１１１，２１１　経路案内部
　１１２，２１２　位置情報送信部
　１１３，２１３　車両走行価値指標要求部
　１１４，１１４Ａ，２１４，２１４Ａ　インセンティブ情報表示部
　１１５、２１５　インセンティブ情報管理部
　１２，２２　記憶部
　１２１，２２１　地図情報
　１２２，２２２　位置情報
　１２３，２２３　識別情報
　１２４，２２４　インセンティブデータ
　１３，２３　通信部
　１４，２４　センサ部
　１５，２５　表示部
　１６、２６　入力部
　２７　近距離通信部
　３０　車両走行管理サーバシステム
　３１　制御部
　３１０　ログイン処理部
　３１１　走行履歴データ作成部
　３１２　車両走行価値指標作成部
　３１３　車両走行価値指標提供部
　３１４　インセンティブ算出付与部
　３１５　インセンティブ情報管理部
　３２　記憶部
　３２１　走行履歴データ
　３２１０　走行履歴データエリア
　３２２　地図情報
　３２２０　地図情報エリア
　３２３　車両走行価値指標
　３２３０　車両走行価値指標エリア
　３２４　インセンティブデータ
　３２４０　インセンティブデータエリア
　４０　広告主用端末
　４１　制御部
　４１０　ログイン処理部
　４１１　車両走行価値指標編集部
　４１２　車両走行データ照会部
　４２　記憶部
　４３　通信部
　４５　表示部
　４６　入力部
　５０　通信網

Claims

　車種条件、走行条件、及びインセンティブ情報を含む車両走行価値指標を記憶する車両走行価値指標記憶部と、
　車両の車種情報及び走行情報を取得する走行情報取得部と、
　前記走行情報取得部が取得した車両の車種情報及び走行情報と、前記車両走行価値指標記憶部に記憶された車両走行価値指標と、に基づいて、前記車両のユーザに対して還元されるインセンティブを算出するインセンティブ算出付与部と、
　を備える車両走行管理装置。
　前記車両走行価値指標に含まれる前記走行条件は、少なくとも前記車両の走行位置情報を含み、
　前記インセンティブ算出付与部は、前記走行情報取得部により取得された前記車両の車種情報が前記車両走行価値指標に含まれる前記車種条件を満たすとともに、前記車両の走行情報が前記車両走行価値指標に含まれる前記走行条件を満たすときに、前記車両走行価値指標に含まれるインセンティブ情報に基づいて、前記車両のユーザに対して還元されるインセンティブを算出する、請求項１に記載の車両走行管理装置。
　前記走行情報取得部は、さらに、前記車両の走行データを取得し、
　前記インセンティブ算出付与部は、前記車両のユーザに対して還元されるインセンティブを算出する際に、さらに、
　前記車両の走行データに基づいて、前記車両の運転技術度を算出し、
　算出された前記車両の運転技術度に基づいて、前記車両のユーザに対して還元されるインセンティブを加減する、請求項１又は請求項２に記載の車両走行管理装置。
　前記車種条件は、前記走行条件に含まれる前記車両の走行位置情報に対応する地域において、前記車両の車種に該当する車両台数の前記地域における車両の全体登録台数に対しての割合が所定の閾値に等しいか又は所定の閾値未満である、請求項２に記載の車両走行管理装置。
　前記車両走行価値指標に含まれる前記車種条件を満たす車両に対して、前記車両走行価値指標に含まれる前記走行条件を提供する車両走行価値指標提供部を備える請求項１に記載の車両走行管理装置。
　前記インセンティブ算出付与部は、さらに、
　前記インセンティブ算出付与部により算出される前記車両のユーザに対して還元されるインセンティブを前記車両のユーザに対して付与する請求項１に記載の車両走行管理装置。
　前記インセンティブ算出付与部により前記車両のユーザに対して付与されるインセンティブを前記車両のユーザ毎に管理するインセンティブ情報管理部を備える請求項６に記載の車両走行管理装置。
　請求項１から請求項６の何れか１項に記載の車両走行管理装置と通信網を介して通信可能に接続される前記車両のユーザ用のユーザ端末であって、
　前記インセンティブ算出付与部により前記車両のユーザに対して付与されるインセンティブを管理するインセンティブ情報管理部を備えるユーザ端末。
　前記車両走行管理装置は、前記車両に設置可能なユーザ端末により構成される、請求項１から請求項７の何れか１項に記載の車両走行管理装置。
　車種条件、走行条件、及びインセンティブ情報を含む車両走行価値指標を記憶する車両走行価値指標記憶ステップと、
　車両の車種情報及び走行情報を取得する走行情報取得ステップと、
　前記走行情報取得ステップにおいて取得した車両の車種情報及び走行情報と、前記車両走行価値指標記憶ステップにおいて記憶された車両走行価値指標と、に基づいて、前記車両のユーザに対して還元されるインセンティブを算出するインセンティブ算出付与ステップと、をコンピュータが実行する車両走行管理方法。