WO2019164010A1 - 膀胱がん用抗腫瘍剤および膀胱がんの処置方法 - Google Patents

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  • the effect of treatment was determined according to the following criteria.
  • the evaluation object was confirmed by image diagnosis by MRI (nuclear magnetic resonance imaging), and judged according to the following criteria.
  • CR Complete Response
  • PR Partial Response
  • SD stable disease
  • PD progressive disease

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Abstract

本発明の課題は、膀胱がんに対して効果を示す膀胱がん用抗腫瘍剤、および膀胱がんの処置方法を提供することである。本発明によれば、1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩もしくはプロドラッグを含む膀胱がん用抗腫瘍剤が提供される。

Description

膀胱がん用抗腫瘍剤および膀胱がんの処置方法
 本発明は、膀胱がん用抗腫瘍剤、および膀胱がんの処置方法に関する。
 1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシン(以下、「化合物A」と称することがある。)は、優れた抗腫瘍活性を有し、抗腫瘍剤として有用であることが知られている(特許文献1)。また化合物Aは、マウスへの経口投与でも強い抗腫瘍活性を有することが知られている(非特許文献1~3)。また化合物Aの塩、プロドラッグ、注射剤および製造方法についても知られている(特許文献2~6)。
 膀胱がんは、膀胱の尿路上皮(移行上皮)粘膜より発生する悪性腫瘍であり、病理組織学的には、その約90%以上は尿路上皮がんである。膀胱がんに対する化学療法には、内服や点滴などにより全身に抗がん剤を作用させる全身抗がん剤治療と、膀胱内に抗がん剤を注入する膀胱内注入療法がある。ゲムシタビン、シスプラチン及びパクリタキセルなどの単剤及び併用療法が、現在膀胱がんの治療に行われる化学療法である。しかしながら、これらの薬剤でも、治療効果が不十分な場合があり、新しい化学療法が望まれている。
国際公開第1997/038001号パンフレット 国際公開第2013/146833号パンフレット 国際公開第2011/074484号パンフレット 国際公開第2014/027658号パンフレット 国際公開第2016/068341号パンフレット 国際公開第2017/150511号パンフレット
キャンサー・レターズ、1998年、第129巻、p103-110 キャンサー・レターズ、1999年、第144巻、p177-182 オンコロジー・レポーツ、2002年、第9巻、p1319-1322
 これまでのところ、化合物Aが膀胱がんに対して具体的に治療効果を奏することは報告されていない。本発明の課題は、膀胱がんに対して効果を示す膀胱がん用抗腫瘍剤、および膀胱がんの処置方法を提供することにある。
 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、化合物Aが膀胱がんに対して治療効果を奏することを見出し、本発明を完成するに至った。
 すなわち、本発明は、下記を提供する。
(1) 1回の投与量が20~200mg/mであり、1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩もしくはプロドラッグを含む膀胱がん用抗腫瘍剤。
(2) 1回の投与量が20~200mg/mであり、週1回の投与を3週間行った後に4週目は休薬するコースを複数回繰り返す、(1)に記載の抗腫瘍剤。
(3) 1回の投与量が40~200mg/mである、(1)または(2)に記載の抗腫瘍剤。
(4) 1回の投与量が80~150mg/mである、(1)または(2)に記載の抗腫瘍剤。
(5) 1回の投与量が80~100mg/mである、(1)または(2)に記載の抗腫瘍剤。
(6) 注射剤である、(1)から(5)の何れか一項に記載の抗腫瘍剤。
(7) 1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩もしくはプロドラッグの治療有効用量を、対象(ヒトを含む哺乳動物)に投与することを含み、1回の投与量が20~200mg/mである、膀胱がんの処置方法、または、
膀胱がん患者に抗腫瘍剤を投与する方法であって、
抗腫瘍剤が、1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩もしくはプロドラッグを含む、方法。
(8) 1回の投与量が20~200mg/mであり、週1回の投与を3週間行った後に4週目は休薬するコースを複数回繰り返す、(7)に記載の方法。
(9) 1回の投与量が40~200mg/mである、(7)または(8)に記載の方法。
(10) 1回の投与量が80~150mg/mである、(7)または(8)に記載の方法。
(11) 1回の投与量が80~100mg/mである、(7)または(8)に記載の方法。
(12) 抗腫瘍剤が注射剤である、(7)から(8)の何れか一項に記載の方法。
(A) 1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩もしくはプロドラッグを、膀胱がんの処置に用いるための方法であって、治療有効用量をそのような処置が必要な対象(ヒトを含む哺乳動物)に投与する工程を含む方法。
(B) 1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩もしくはプロドラッグの治療有効用量を、対象に投与することを含む、膀胱がんの処置方法。
(C) 膀胱がん用抗腫瘍剤の製造のための、1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩もしくはプロドラッグの使用。
(D) 膀胱がんの治療において使用するための、1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩もしくはプロドラッグ。
 化合物Aは、膀胱がんに対して治療効果を奏する。すなわち、本発明によれば、膀胱がんに対して効果を示す膀胱がん用抗腫瘍剤および膀胱がんの処置方法が提供される。
図1は、臨床試験で化合物Aを投与された患者の血漿中濃度のCmax値を示したグラフである。 図2は、マウス膀胱がん細胞株MBT2に対する抗腫瘍活性の評価の結果を示す。
 本発明において「~」で表す範囲は、特に記載した場合を除き、両端の値を含む。
 「対象」とは、その予防もしくは治療を必要とするヒト、マウス、サル、家畜等の哺乳動物であり、好ましくは、その予防もしくは治療を必要とするヒトである。
 「予防」とは、発症の阻害、発症リスクの低減または発症の遅延などを意味する。
 「治療」とは、対象となる疾患または状態の改善または進行の抑制(維持または遅延)などを意味する。
 「処置」とは、各種疾患に対する予防または治療などを意味する。
 「腫瘍」とは、良性腫瘍または悪性腫瘍を意味する。
 「良性腫瘍」とは、腫瘍細胞およびその配列がその由来する正常細胞に近い形態をとり、浸潤性または転移性のない腫瘍を意味する。
 「悪性腫瘍」とは、腫瘍細胞の形態やその配列がその由来する正常細胞と異なっており、浸潤性または転移性を示す腫瘍を意味する。
 以下、本発明を詳細に説明する。
 本発明は、1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシン(化合物A)またはその塩もしくはプロドラッグを含む、膀胱がん用抗腫瘍剤である。
(化合物Aまたはその塩もしくはプロドラッグ)
 まず、化合物Aまたはその塩もしくはプロドラッグについて説明する。
 塩としては、薬学的に許容される塩が挙げられ、具体的には、鉱酸塩、有機カルボン酸塩およびスルホン酸塩が挙げられる。好ましい塩としては、鉱酸塩およびスルホン酸塩が挙げられる。
 鉱酸塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩および硫酸塩が挙げられ、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩または硫酸塩が好ましく、塩酸塩がより好ましい。有機カルボン酸塩としては、例えば、ギ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、アスパラギン酸塩、トリクロロ酢酸塩およびトリフルオロ酢酸塩が挙げられる。スルホン酸塩としては、例えば、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、メシチレンスルホン酸塩およびナフタレンスルホン酸塩が挙げられ、メタンスルホン酸塩が好ましい。
 化合物Aの塩は、無水物、水和物または溶媒和物であってもよい。本明細書で単に「塩」というとき、その形態は、無水物、水和物または溶媒和物であり得る。本明細書で「無水物」というときは、特に記載した場合を除き、水和物でも溶媒和物でもない状態にある場合をいう。元来、水和物または溶媒和物を形成しない物質であっても、結晶水、水和水および相互作用する溶媒を持たない化合物Aの塩は、本発明でいう「無水物」に含まれる。無水物は、「無水和物」ということもある。化合物Aの塩が水和物であるとき、水和水の数は特に限られず、一水和物、二水和物等であり得る。溶媒和物の例としては、メタノール和物、エタノール和物、プロパノール和物および2-プロパノール和物が挙げられる。
 特に好ましい化合物Aの塩の具体的な例は、下記である。
1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシンのメタンスルホン酸塩;
1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシンの塩酸塩;
ならびに上記の塩のいずれかの無水物。
 プロドラッグとは、投与後、プロドラッグとして機能する官能基が体内の酵素や胃液等による反応により切断され、目的の薬理活性を示す化合物に変換される化合物またはその塩をいう。
 プロドラッグを形成する基としては、例えば、Stella VJら、Prodrugs: Challenges and Rewards. Parts 1 and 2、2007年、American Association of Pharmaceutical Scientistsに記載されている基が挙げられる。
 化合物Aのプロドラッグとは、生体内における生理条件下で酵素や胃液等による反応により化合物Aまたはそのリン酸化合物に変換する化合物またはその塩をいう。
 化合物Aのプロドラッグとしては、国際公開第2016/068341号公報の説明を援用および参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
 より具体的には、例えば、国際公開第2016/068341号公報に記載の一般式[1]で表わされるチオヌクレオシド誘導体またはその塩が本願明細書に組み込まれ、その好適な範囲も国際公開第2016/068341号公報に記載のものと同一である。
 本発明において、化合物Aまたはその塩もしくはプロドラッグは、一種のみを用いてもよく、または二種以上を含有してもよい。
 次に、化合物Aまたはその塩もしくはプロドラッグの製造法について説明する。化合物Aは、例えば、特許文献1およびジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー、1999年、第64巻、p7912-7920に記載の方法で製造することができる。化合物Aの塩またはその水和物もしくは溶媒和物は、例えば、特許文献4に記載の方法で製造することができる。化合物Aのプロドラッグは、例えば、国際公開第2016/068341号公報に記載の方法で製造することができる。
 本発明にかかる化合物Aまたはその塩もしくはプロドラッグは、抗腫瘍剤として、また医薬組成物の有効成分として用いることができる。
(膀胱がん用抗腫瘍剤)
 本発明によれば、1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩もしくはプロドラッグを含む、膀胱がん用抗腫瘍剤が提供される。
 膀胱がんは、好ましくは尿路上皮がんである。
 本発明の抗腫瘍剤は、通常、乳化剤、界面活性剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、安定化剤および吸収促進剤などの添加剤を含んでいてもよい。
 本発明の抗腫瘍剤の投与経路としては、静脈内、動脈内、直腸内、腹腔内、筋肉内、腫瘍内または膀胱内注射する方法、経口投与、経皮投与および/または坐剤などの方法が挙げられる。投与方法としては、シリンジまたは点滴による投与が挙げられる。
 化合物Aまたはその塩もしくはプロドラッグの1日当たりの投与量は、20mg/m以上であり、好ましくは40mg/m以上であり、好ましくは60mg/m以上であり、好ましくは80mg/m以上である。1日当たりの投与量の上限値は、200mg/mであり、好ましくは150mg/mであり、さらに好ましくは120mg/mであり、特に好ましくは100mg/mである。1日当たりの投与量は、好ましくは20~200mg/mであり、より好ましくは40mg/m~200mg/mであり、さらに好ましくは40mg/m~150mg/mであり、さらに好ましくは80mg/m~150mg/mであり、さらに一層好ましくは80mg/m~120mg/mであり、特に好ましくは80mg/m~100mg/mである。このような投与量の範囲とすることで、副作用を最小限として抗腫瘍剤としての治療効果を最大化することができる。
 投与方法としては、1回の投与量が20~200mg/mとし、週1回の投与を3週間行った後に4週目は休薬するコースを複数回繰り返すことができる。この場合、1回の投与量は、上記の1日当たりの投与量と同様であるが、好ましくは40mg/m~200mg/mであり、より好ましくは40mg/m~150mg/mであり、さらに好ましくは80mg/m~150mg/mであり、さらに一層好ましくは80mg/m~120mg/mであり、特に好ましくは80mg/m~100mg/mである。
 本発明の膀胱がん用抗腫瘍剤の剤形の例としては、液状医薬製剤が挙げられ、例えば注射剤が挙げられる。投与剤形は、各々当業者に公知慣用の製剤方法により製造できる。
 液状医薬製剤は、化合物Aまたはその塩と、分子量100以下の多価アルコールと、水と、を含有することが好ましい。
 液状医薬製剤において、化合物Aまたはその塩の含有量は、1~50mg/mLであることが好ましく、5~50mg/mLであることがより好ましく、10~30mg/mLであることが特に好ましい。
 分子量100以下の多価アルコールは、炭素数3または4の多価アルコールであることが好ましく、グリセリン、プロピレングリコールまたはブタンジオールであることがより好ましく、グリセリンであることが特に好ましい。なお、ブタンジオールとしては、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオールが挙げられるが、1,3-ブタンジオールが特に好ましい。多価アルコールの分子量の下限は特に限定されないが、一般的には50以上である。
 液状医薬製剤の分子量100以下の多価アルコールの含有量は、0.5~10質量%であることが好ましく、0.5~5質量%であることがより好ましく、1.0~2.5質量%であることがさらに好ましい。
 液状医薬製剤は、pHが1.5~6.9であることが好ましく、1.5~6.5であることがより好ましく、2.0~6.5であることがより一層好ましく、2.0~5.0であることがさらに好ましく、2.0~4.0であることがさらに一層好ましく、2.6~3.2であることが特に好ましく、2.8~3.0であることが最も好ましい。
 液状医薬製剤としては、国際公開第2017/150511号公報の説明を援用および参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。なお、液状医薬製剤の好適な組成や好適な配合比も国際公開第2017/150511号公報に記載のものと同一である。
 本発明の膀胱がん用抗腫瘍剤は、膀胱がんの処置に有効に使用できる。本発明の膀胱がん用抗腫瘍剤は、抗がん剤として使用することができる。
 本発明は、膀胱がん患者に抗腫瘍剤を投与する方法であって、抗腫瘍剤が、1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩もしくはプロドラッグを含む、方法を提供する。
 本発明は、1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩もしくはプロドラッグを、膀胱がんの処置に用いるための方法であって、治療有効用量をそのような処置が必要な対象(ヒトを含む哺乳動物)に投与する工程を含む方法を提供する。
 対象としては、前治療としてゲムシタビンを投与された患者でもよい。
 対象としては、前治療としてゲムシタビンを投与された患者であり、Partial Response以上の効果が認められなかった患者でもよい。
 対象としては、前治療としてゲムシタビンを含む併用化学療法が実施された患者でもよい。
 対象としては、前治療としてゲムシタビンを含む併用化学療法が実施された患者であり、Partial Response以上の効果が認められなかった患者でもよい。
 対象としては、他の化学療法が実施された患者でもよい。
 対象としては、他の化学療法では改善が見込めない患者でもよい。
 本発明によれば、上記のような従来は治療効果が見込めない患者に対しても、改善効果が得られる。
 本発明は、1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩もしくはプロドラッグの治療有効用量を、対象に投与することを含む、膀胱がんの処置方法を提供する。
 本発明は、膀胱がん用抗腫瘍剤の製造のための、1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩もしくはプロドラッグの使用を提供する。
 本発明は、膀胱がんの治療において使用するための、1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩もしくはプロドラッグを提供する。
 以下に実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
実施例1
<化合物Aのメタンスルホン酸塩の調製>
 1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシンのメタンスルホン酸塩(以下、化合物Aとも言う)を、国際公開第2013/146833号パンフレットに記載の方法(段落0487~段落0492に記載の実施例22を参照)に準じて合成し、以下の試験で用いた。
<液状医薬組成物の調製>
 化合物Aのメタンスルホン酸塩を適量の注射用水に溶かし、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを調整した。化合物Aの濃度が20mg/mLとなるように適量の注射用水を加えて混合した。
 また1.5質量%の濃度になるようにグリセリン(メルク社製、分子量92)を添加した。この液状医薬製剤のpHは、2.9であった。この液をメンブランフィルター(0.22μm)を用いてろ過し、液状医薬製剤を得た。
 この液状医薬製剤を、以下の治療で用いた。なお、治療は、米国テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター(以下、MDACC)および米国コロラド州デンバー市にあるサラ・キャノン研究所(以下、SCRI)で行っている。
<投与および治療効果の判定>
 がん患者に対して、第1週目~第3週目までは週1回、化合物Aを静脈注射により投与し、第4週目は投薬しないという投薬サイクルを繰り返した。具体的には、28日間を1サイクルとして、第1日目、第8日目および第15日目に化合物Aを投与し、この28日間からなるサイクルを繰り返した。化合物Aの1回の投与当たりの投与量は、8mg/m~135mg/m(40mg/m~100mg/mを含む)とした。
 治療の効果は、以下の基準で判定した。
 MRI(核磁気共鳴画像法;magnetic resonance imaging)による画像診断により評価対象を確認し、以下の基準で判定した。
CR(Complete Response):腫瘍が完全に消失した状態
PR(Partial Response):腫瘍の大きさの和が30%以上減少した状態 
SD(Stable Disease):腫瘍の大きさが変化しない状態
PD(Progressive Disease):腫瘍の大きさの和が20%以上増加かつ絶対値でも5mm以上増加した状態、あるいは新病変が出現した状態
(膀胱がん患者1)
 化合物Aを1回の投与当たり135mg/mで投与した膀胱がん患者1において、2サイクル(8週間)後に腫瘍縮小効果が確認され、PRと判定された。なお、3サイクルからは副作用が見られたため、90mg/mで投与したがそれでもPRと判定された。投与は7サイクルまで継続している。
この患者は、前治療として、シスプラチン、ゲムシタビン、METHOTREXATE、VINBLASTINE、DOXORUBICIN、PACLITAXELなどによる化学療法を受けていたが、前治療の結果はSD又はPDであった。患者の年齢は78歳、性別は男性であった。
 膀胱がん患者を含む臨床試験で化合物Aを投与された38患者の血漿中濃度のCmax値を示したグラフである(図1)。また臨床試験では、2人以上の患者で最も一般的な薬物関連AEは、発熱、吐き気、悪寒、かゆみ、かぶれ、乾燥皮膚、皮膚剥離、および疲労がみられた。
(試験例1)
マウス膀胱がん細胞株MBT2に対する抗腫瘍活性の評価
 被験物質として、化合物Aのメタンスルホン酸塩(薬剤)を用いた。
 マウス膀胱がん細胞株であるMBT2細胞を10%血清(Thermo Fisher Scientific Inc. 製 Cat.# 10437-028)培地MEM(Thermo Fisher Scientific Inc.製Cat.# 11095-080)で継代培養を行った。本試験中、すべての細胞培養はCO2インキュベータ(37℃、5%CO2設定、水蒸気飽和)中で行った。2000cells/well/100μLとなるように10%血清培地で希釈し、96wellプレートに播種した。翌日に、化合物Aのメタンスルホン酸塩をDMSOに溶解し、100mmol/L DMSO溶液を調製した。順次DMSOで希釈し、最終処理濃度の1000倍濃度のDMSO溶液を調製した。1000倍濃度の化合物AのDMSO希釈溶液を、最高濃度を50μmol/Lとし公比1/3で9濃度を10%血清培地で希釈し調製し、各wellに20μLを添加した。この他、細胞を播種したwellに薬剤の入っていない溶媒のみを添加した群(陽性対照群)、培地のみを入れたwellに薬剤の入っていない溶媒のみを添加した群(陰性対照群)を設けた。全てn=3wellとした。
 薬剤を添加後3日間培養し、細胞内のATP量を指標にCellTiter Glo(登録商標)Reagent(PROMEGA Co.製Cat.# G7570)を用いて細胞生存率を評価した。
 陰性対照群の発光シグナル量を細胞生存率0%,陽性対照群の発光シグナル量を細胞生存率100%として,各ウェルの細胞生存率を求めた。各処理群の細胞生存率の平均値及び標準偏差を算出し表1を作成した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 さらに上記表1から作成したグラフを図2に示す。試験例1における、化合物Aの最大薬効を示す濃度は1,000nM(nmol/L)以上であることが、表1および図2からわかる。一方で40mg/mで投与した際の胆管がん患者における化合物Aの最大血中濃度は1,000nMである。このことから、1回の投与量は、好ましくは40mg/m以上であり、好ましくは60mg/m以上である。また、この試験例1の結果から、1回の投与量が90mg/mであっても、135mg/mであっても、同様の薬効を発揮することができると推察できる。
 本発明の抗腫瘍剤は、膀胱がんに対して治療効果を示す抗腫瘍剤として有用である。

Claims (12)

  1. 1回の投与量が20~200mg/mであり、
    1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩もしくはプロドラッグを含む膀胱がん用抗腫瘍剤。
  2. 1回の投与量が20~200mg/mであり、週1回の投与を3週間行った後に4週目は休薬するコースを複数回繰り返す、請求項1に記載の抗腫瘍剤。
  3. 1回の投与量が40~200mg/mである、請求項1または2に記載の抗腫瘍剤。
  4. 1回の投与量が80~150mg/mである、請求項1または2に記載の抗腫瘍剤。
  5. 1回の投与量が80~100mg/mである、請求項1または2に記載の抗腫瘍剤。
  6. 注射剤である、請求項1から5の何れか一項に記載の抗腫瘍剤。
  7. 1-(2-デオキシ-2-フルオロ-4-チオ-β-D-アラビノフラノシル)シトシンまたはその塩もしくはプロドラッグの治療有効用量を、対象に投与することを含み、
    1回の投与量が20~200mg/mである、膀胱がんの処置方法。
  8. 1回の投与量が20~200mg/mであり、週1回の投与を3週間行った後に4週目は休薬するコースを複数回繰り返す、請求項7に記載の方法。
  9. 1回の投与量が40~200mg/mである、請求項7または8に記載の方法。
  10. 1回の投与量が80~150mg/mである、請求項7または8に記載の方法。
  11. 1回の投与量が80~100mg/mである、請求項7または8に記載の方法。
  12. 抗腫瘍剤が注射剤である、請求項7から11の何れか一項に記載の方法。
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