WO2019130904A1 - 鞍乗型電動車両 - Google Patents

Abstract

電動二輪車（１）は、車軸（３１）の左端部（３１ｒ）を支持し、右端部（３１ａ）を支持していないリアアーム（７０）と、車軸（３１）によって支持されているステータ（３３）と、車軸（３１）によって回転可能に支持されているロータ（３４）とを有している電動モータ（３０）と、ロータ（３４）とステータ（３３）とを収容し且つ外部から区画されている収容室を構成し、ロータ（３４）が内側に固定されているモータハウジング（４０）と、を有している。後輪（２０）は、モータハウジング（４０）の外側に取り付けられており、且つモータハウジング（４０）から右方に取り外し可能である。

Description

鞍乗型電動車両

　本発明は鞍乗型電動車両に関する。

　特許文献１では、後輪を駆動する電動モータが後輪の車軸に設けられている二輪車（いわゆるインホイールモータ方式の電動二輪車）が提案されている。特許文献１の車両では、電動モータのロータと後輪とが減速機構を介することなく連結されている。このような構造はダイレクト駆動方式と称される。この構造によると、減速機構による動力損失が生じないので、後輪を効率的に駆動できる。

特開２０１２－２０６７１０号公報

　特許文献１の車両では、ロータは後輪のリムの内面に固定され、モータハウジングはロータに取り付けられている。そのため、タイヤの補修作業やメンテナンス作業のために後輪だけを車体から取り外すことができず、作業性を確保するのが難しい。

　本発明の目的の１つは、補修やメンテナンスなどの作業の作業性を向上できる鞍乗型電動車両を提供することにある。

　（１）本開示で提案する鞍乗型電動車両の一形態は、車輪と、右方と左方のうち一方の方向である第１の方向にある第１の端部と、右方と左方のうち他方の方向である第２の方向にある第２の端部とを有している車軸と、車体フレームに連結され、前記車軸の前記第１の端部を支持し、前記車軸の前記第２の端部を支持していないアームと、前記車軸によって支持されているステータと、前記車軸によって回転可能に支持されているロータとを有している電動モータと、前記ロータと前記ステータとを収容し且つ外部から区画されている収容室を構成し、前記ロータが内側に固定されているモータハウジングと、を有し、前記車輪は、前記モータハウジングの外側に取り付けられており、且つ前記モータハウジングから前記第２の方向に取り外し可能である。これによると、車軸の２つの端部（第１の端部と第２の端部）のうち一方はアームによって支持されていないので、車輪を取り外す作業が容易となり、補修やメンテナンスなどの作業の作業性を向上できる。この形態は前輪を電動モータで駆動する車両に適用されてもよいし、後輪を電動モータで駆動する車両に適用されてもよい。また、この形態は、二輪車だけでなく、２つの前輪を有し、後輪を電動モータで駆動する３輪車両や、２つの後輪を有し、前輪を電動モータで駆動する３輪車両に適用されてもよい。

　（２）（１）の鞍乗型電動車両において、前記モータハウジングは、左右方向で組み合わされる第１ハウジング部材と第２ハウジング部材とを有し、前記第１ハウジング部材と前記第２ハウジング部材は、第１の固定具によって互いに取り付けられ、前記車輪は、前記第１の固定具とは異なる第２の固定具によって前記第１ハウジング部材と前記第２ハウジング部材のうち少なくとも一方に取り付けられてもよい。この車両によると、第２の固定具を外すことによって車輪をモータハウジングから外した場合でも、モータハウジングが閉じた状態が維持され得る。第１の固定具と第２の固定具は、例えば螺子やボルトである。なお、この車両において、モータハウジングは３つの部材によって構成されてもよい。

　（３）（１）の鞍乗型電動車両において、前記車輪は、前記第１の固定具を覆う部分を有してもよい。この車両によると、車輪を取り外す際に、誤って第１の固定具を外してしまうことを防ぐことができる。

　（４）（１）乃至（３）の鞍乗型電動車両において、前記車輪は、リム部と、前記リム部から内側に突出し前記モータハウジングに取り付けられる被取付部とを有し、前記モータハウジングは、左右方向において互いに組み合わされる右ハウジング部材と左ハウジング部材とを有し、前記右ハウジング部材と前記左ハウジング部材は、互いに固定されるフランジ部をそれぞれ有し、前記車輪の前記被取付部は、前記モータハウジングの前記フランジ部に対して前記第２の方向に位置してもよい。これによると、車輪をモータハウジングから取り外す際に車輪の被取付部がモータハウジングのフランジ部に干渉することを防ぐことができる。

　（５）（１）乃至（４）の鞍乗型電動車両において、前記車輪は、リム部と、前記リム部から内側に突出しているエアバルブとを有し、前記モータハウジングは、左右方向において互いに組み合わされる右ハウジング部材と左ハウジング部材とを有し、前記右ハウジング部材と前記左ハウジング部材との間にシール部材が配置され、前記車軸に直交する方向で見たときに、前記エアバルブと前記シール部材は交差しない。この構造によると、電動モータに十分な径を確保することが容易となる。

　（６）（５）の鞍乗型電動車両において、前記モータハウジングは、左右方向において互いに組み合わされる右ハウジング部材と左ハウジング部材とを有し、前記右ハウジング部材と前記左ハウジング部材は、互いに固定されるフランジ部をそれぞれ有し、前記車輪の側面視において、前記フランジ部の少なくとも一部は前記エアバルブと重なってもおい。これによると、半径方向のサイズが大きな電動モータ（出力トルクが大きい電動モータ）を実現できる。

　（７）（５）の鞍乗型電動車両において、前記エアバルブの端部は前記モータハウジングの外周面よりも前記第１の方向に位置してもよい。これによると、車輪がモータハウジングに取り付けられている状態でタイヤに空気を入れるために、空気ポンプから伸びているチューブの先端をエアバルブに接続したとき、チューブの先端とモータハウジングの外周面との干渉を抑えることができる。

　（８）（１）の鞍乗型電動車両において、前記車輪は、リム部と、前記リム部から内側に突出し前記モータハウジングに取り付けられる被取付部とを有し、前記モータハウジングは、左右方向において互いに組み合わされる右ハウジング部材と左ハウジング部材とを有し、前記右ハウジング部材と前記左ハウジング部材は、互いに固定されるフランジ部をそれぞれ有し、前記エアバルブは前記フランジ部よりも前記第１の方向に位置し、前記被取付部は前記フランジ部に対して前記第２の方向に位置してもよい。これによると、「エアバルブはフランジ部よりも第１の方向に位置している」ので、エアバルブとフランジ部とが交差しないため、モータハウジングの半径方向でのサイズを大きくできる。「被取付部はフランジ部よりも第２の方向に位置している」ので、車輪をモータハウジングから取り外す際に車輪の被取付部がモータハウジングのフランジ部に干渉することを防ぐことができる。

本開示で提案する鞍乗型電動車両の一例を示す側面図である。 後輪、電動モータ、及びリアアームを示す斜視図である。 後輪、電動モータ、及びリアアームを示す斜視図であり、後輪と電動モータのハウジングとが分離されている様子が示されている。 後輪、電動モータ、及びリアアームを示す側面図である。 図４に示すＶＡ－ＶＡ線での断面図である。 図５Ａの拡大図である。 リアアームによって構成されている部品ハウジングの内部を示す斜視図である。 部品ハウジングを構成するアーム後部材を示す斜視図である。この図では、モータハウジングに向く側が示されている。 ブレーキシューが取り付けられているアーム後部材を示す斜視図である。 車軸に形成されているケーブル通路の変形例を示す断面図である。 鞍乗型電動車両の変形例を示す断面図である。

　以下において、本開示で提案する鞍乗型電動車両の例を説明する。本明細書では、鞍乗型電動車両の一例として、電動二輪車を説明する。鞍乗型電動車両は、電動の三輪車両や、電動の四輪車両などであってもよい。

　図１乃至図８において、Ｙ１及びＹ２が示す方向をそれぞれ前方及び後方と称し、Ｚ１及びＺ２が示す方向をそれぞれ上方及び下方と称する。Ｘ１及びＸ２が示す方向をそれぞれ右方及び左方と称する。

　電動二輪車１は、本開示で提案する電動車両の実施形態の一例である。電動二輪車１では、後輪２０の左側にリアアーム７０が配置されている。そのことに伴って、複数の部品、複数の部材、及び複数の部の左右方向における位置関係が示されている。これらの位置関係は左右方向において反対でもよい。すなわち、以下の説明において「右」は「左」と読み替えられ、「左」は「右」と読み替えられてもよい。

　電動二輪車１は、図１に示すように、前輪２と、前輪２を支持するフロントフォーク３と、フロントフォーク３の上部に連結されているハンドルバー４とを有している。ハンドルバー４の右端及び左端にはグリップ４ａが設けられている。例えば、一方のグリップ（右側のグリップ４ａ）はアクセルグリップであり、ライダーは右側のグリップ４ａを通して後述する電動モータ３０（図５Ａ参照）の出力を調整できる。ハンドルバー４の後方にはシート５が配置されている。電動二輪車１はいわゆるスクータタイプの車両であり、シート５とフロントフォーク３との間に、ライダーが足を置くためのスペースや、足を載せるためのフットボード６が設けられている。電動二輪車１はスクータタイプの車両でなくてもよい。すなわち、電動二輪車１は、ライダーが足で車体を挟むようにして乗ることのできる車両であってもよい。

［後輪とリアアーム］
　図１に示すように、電動二輪車１は、その後部に、後輪２０と、後輪２０を上下動可能に支持するリアアーム７０とを有している。後輪２０にはタイヤ１３が取り付けられている。リアアーム７０の前端にはピボット軸９（図２参照）が設けられている。リアアーム７０はピボット軸９を介して車体フレームに連結され、ピボット軸９を中心として上下動可能となっている。リアアーム７０は、後輪２０の車軸３１（図５Ａ参照）を支持している。電動二輪車１は後輪２０を駆動する電動モータ３０（図５Ａ参照）を有している。電動二輪車１はインホイールモータ方式の車両であり、電動モータ３０は車軸３１上に配置され、後輪２０の内側に位置している。電動二輪車１はバッテリ（不図示）や、インバータを有している。バッテリから供給される直流はインバータによって交流に変換されて電動モータ３０に供給される。

　リアアーム７０は、後輪２０に対して右方又は左方のうち一方にのみ配置され、車軸３１の右端部と左端部のうち一方だけを支持している。すなわち、車軸３１は片持ち梁状となっている。電動二輪車１の例では、リアアーム７０は後輪２０の左方にのみ配置され、車軸３１の左端部３１ｒだけを支持している（図５Ａ参照）。図２に示すように、リアアーム７０はピボット軸９の左部分から後方に伸びている左アーム７１と、ピボット軸９の右部分から後方に伸びている右アーム７９とを有している。左アーム７１の後部（詳細には、後述するアーム後部材７２）は後輪２０の左方に位置し、後輪２０の車軸３１の左端部３１ｒを支持している（図５Ａ参照）。左アーム７１の後部は筒状に形成された部分７２ａを有し、この部分７２ａの内側に車軸３１の左部が挿入されている（図５Ａ参照、以下において部分７２ａを「軸保持部」と称する。）。

　右アーム７９は左アーム７１の長さよりも短くなっており、右アーム７９の後端は車軸３１に達していない。電動二輪車１の例では、右アーム７９の後端は後輪２０よりも前方に位置している。そのため、車軸３１の右端部３１ａは右アーム７９によって支持されていない。すなわち、右アーム７９は車軸３１の右端部３１ａに接続していない。なお、車軸３１は右端部３１ａから左端部３１ｒまで連続した１つの部材である。

　このように車軸３１の一方の端部だけがリアアーム７０によって支持される構造によると、例えば車両のメンテナンス作業や補修作業の際に、作業者は後輪２０や後タイヤ１３にアクセスし易くなるので、作業性が向上され得る。また、後において詳説するように、モータハウジング４０に必要なシール部材の数を減らすことができる。

　なお、本明細書において、車軸３１の左端部３１ｒが支持されるとは、リアアーム７０の軸保持部７２ａが後述する電動モータ３０よりも左方に位置することを意味している。したがって、車軸３１の左端部３１ｒは軸保持部７２ａに位置していてもよいし、軸保持部７２ａから左方向に突出していてもよい。また、車軸３１の右端部３１ａが支持されていないとは、車軸３１が有する電動モータ３０よりも右方の部分に、リアアーム７０が接続していないことを意味する。

　図２に示すように、リアアーム７０は後輪２０の前方に位置する連結バー７８を有している。連結バー７８は右アーム７９と左アーム７１とに掛け渡されている。リアアームは電動二輪車１の例に限られない。例えば、右アーム７９は車軸３１には接続されていないものの、車体の側面視において後輪２０と重なる部分を有してもよい。他の例では、リアアーム７０は、図５Ａの例とは反対に、車軸３１の右端部３１ａを支持し、車軸３１の左端部３１ｒを支持しなくてもよい。さらに他の例では、リアアーム７０は、右アーム７９や連結バー７８を有していなくてもよい。

［電動モータの概要］
　上述したように、車軸３１には電動モータ３０が配置されている。電動モータ３０は、図５Ａに示すように、ステータ３３と、車軸３１を中心にして回転可能なロータ３４とを有している。ロータ３４はステータ３３に対して半径方向の外方に位置し、ロータ３４とステータ３３は半径方向において互いに向き合っている。図５Ｂに示すように、ステータ３３は、車軸３１の周方向に並ぶ複数の鉄心３３ａと、各鉄心３３ａに巻かれているコイル３３ｂとを有している。ロータ３４は、車軸３１の周方向に並ぶ複数の永久磁石３４ａを有している。

　また、図５Ａに示すように、電動モータ３０は、ステータ３３を支持しているステータフレーム３２を有している。ステータフレーム３２は、車軸３１に固定されている固定部３２ａを有している。ステータ３３はステータフレーム３２によって支持されており、このことによってステータ３３の回転位置が固定されている。なお、車軸３１はリアアーム７０（より詳細には、左アーム７１を構成するアーム後部材７２）に対して相対回転不能となっている。詳細には、リアアーム７０は、図５Ａに示すように、筒状の軸保持部７２ａを有している。車軸３１はこの軸保持部７２ａに挿入され、軸保持部７２ａに対して相対回転不能となっている。電動二輪車１の例では、車軸３１の外周面と軸保持部７２ａの内周面とに、軸方向に伸びているキー溝が形成され、このキ－溝に係合部材３８が配置されている。係合部材３８は、車軸３１の外周面と軸保持部７２ａの内周面とに係合し、それらの相対回転を規制している。車軸３１の回転を規制する構造は、図５Ａに示す例に限られない。

［モータハウジングとそのシール構造］
　図５Ａに示すように、電動二輪車１は、ロータ３４とステータ３３とを収容しているモータハウジング４０を有している。モータハウジング４０は、車軸３１に設けられているベアリング６１、６２によって回転可能に支持されている。ロータ３４（永久磁石３４ａ）はモータハウジング４０の内側に固定されており、モータハウジング４０とベアリング６１、６２とを介して回転可能に支持されている。後輪２０は、ボルトや螺子などの固定具によって、モータハウジング４０の外側に固定されている。したがって、ロータ３４と後輪２０との間の動力伝達経路に減速機構が存在しておらず、ロータ３４は後輪２０と一体的に回転する。すなわち、ロータ３４の回転速度と後輪２０の回転速度は同じとなる。つまり、電動二輪車１はダイレクト駆動方式の車両である

　図５Ａに示すように、モータハウジング４０は、左右方向において互いに組み合わされている左ハウジング部材４１と右ハウジング部材４２とを有している。左ハウジング部材４１は電動モータ３０の左方に位置し、電動モータ３０の左側を覆っている。右ハウジング部材４２は電動モータ３０の右方に位置し、電動モータ３０の右側を覆っている。左ハウジング部材４１は、右側に向かって開いた、側面視で円形の箱形である。右ハウジング部材４２は、左側に向かって開いた、側面視で円形の箱形である。

　図５Ａに示すように、車軸３１の左端部３１ｒはモータハウジング４０の外側に位置し、リアアーム７０（より具体的には、筒状の軸保持部７２ａ）によって支持されている。そのため、車軸３１は左ハウジング部材４１を貫通している。すなわち、左ハウジング部材４１の中心部に開口が形成され、この開口の内側に車軸３１が通されている。左ハウジング部材４１の開口の内周面と車軸３１の外周面との間にはシール部材４４（図５Ｂ参照）が配置されている。シール部材４４は、例えばオイルシールである。電動二輪車１の例では、車軸３１の外側には環状部材３１ｆが嵌められている。シール部材４４は環状部材３１ｆと、左ハウジング部材４１の開口の内周面との間に配置され、それらの間をシールしている。車軸３１には環状部材３１ｆは設けられていなくてもよい。左ハウジング部材４１の開口の内周面と車軸３１との間には、ベアリング６１が配置されている。シール部材４４は、左ベアリング６１に対して左右方向における外側（左側）に位置している。

　上述したように、車軸３１の右端部３１ａはリアアーム７０によって支持されていない。そのため、図５Ａに示すように、車軸３１の右端部３１ａは右ハウジング部材４２を貫通していない。すなわち、車軸３１の右端部３１ａはモータハウジング４０の内側に位置し、右ハウジング部材４２は右端部３１ａの右側を覆っている。したがって、左ハウジング部材４１とは異なり、右ハウジング部材４２にはシール部材は不要となる。すなわち、モータハウジング４０と車軸３１の外周面との間に必要なシール部材の数を減らすことができる。その結果、ロータ３４の回転（モータハウジング４０の回転）に対する摩擦抵抗が低減され、電動モータ３０が効率的に駆動され得る。車軸３１の右端部３１ａにはベアリング６２が嵌められており、右ハウジング部材４２はこのベアリング６２を介して車軸３１によって回転可能に支持されている。右ハウジング部材４２の中心には凹部４２ｂが形成されており、この凹部の内側にベアリング６２が配置されている。

　左ハウジング部材４１と右ハウジング部材４２のそれぞれは金属によって一体的に形成されている部材である。すなわち、左ハウジング部材４１は、螺子やボルトなどの固定具によって互いに固定された複数の部材によって構成されたものではない。同様に、右ハウジング部材４２は、螺子やボルトなどの固定具によって互いに固定された複数の部材によって構成されたものではない。したがって、モータハウジング４０の外壁は２つの部材（ハウジング部材４１、４２）だけで構成されている。

　図５Ｂに示すように、左ハウジング部材４１は、その右縁部に、外周面から半径方向に突出しているフランジ部４１ａを有している。同様に、右ハウジング部材４２は、その左縁部に、外周面から半径方向に突出しているフランジ部４２ａを有している。フランジ部４１ａ、４２ａはボルトや螺子などの複数の固定具４９（図３参照）によって互いに固定されている。左ハウジング部材４１のフランジ部４１ａと右ハウジング部材４２のフランジ部４２ａとの間にリング状のシール部材４３が配置されている。フランジ部４１ａ、４２ａはハウジング部材４１、４２の外周面から半径方向に突出しているので、シール部材４３の配置が容易となる。なお、電動二輪車１とは異なり、左ハウジング部材４１の右縁部と右ハウジング部材４２の左縁部はフランジ状に形成されていなくてもよい。

　ロータ３４は２つのハウジング部材４１、４２のうち一方の内側に固定されている。電動二輪車１では、ロータ３４は左ハウジング部材４１の内側に固定されている。モータハウジング４０のこの構造によると、必要なシール部材の数を減らすことができる。例えば、後輪のリム部にロータが固定され、右ハウジング部材と左ハウジング部材のそれぞれがリム部に固定される従来の構造においては、２つのシール部材（リム部と右ハウジング部材との間のシール部材と、リム部と左ハウジング部材との間のシール部材）が必要とされる。これに対して、モータハウジング４０では、一方のハウジング部材の内側にロータ３４が固定され、２つのハウジング部材４１、４２が互いに直接的に固定されるので、それらの間のシール部材は１つで足りる。

　このように、モータハウジング４０の収容室（ロータ３４とステータ３３とが配置される収容室）は、外部から区画されている。すなわち、収容室を規定する部材の縁に、外部からモータハウジング４０への水分浸入を防ぐシール部材４３、４４が配置されている。シール部材４３、４４は、ハウジング部材４１、４２の縁に沿って例えば環状に形成される。シール部材４３、４４の材料は特に限定されない。シール部材４３、４４は金属でもよいし、樹脂でもよい。また、シール部材４３、４４はハウジング部材４１、４２の縁に塗布するものでもよい。

　図５Ａに示すように、左ハウジング部材４１の左右方向での幅は、右ハウジング部材４２の左右方向での幅よりも大きい。ロータ３４は、大きな幅を有する左ハウジング部材４１の内側に固定されている。このことによって、ロータ３４の取り付け強度が確保し易くなる。また、左ハウジング部材４１の幅は右ハウジング部材４２の幅よりも大きいので、ハウジング部材４１、４２のフランジ部（縁部）４１ａ、４２ａの位置はモータハウジング４０の左右方向での中心（後輪２０の左右方向での中心Ｃ１）に対して右方向にずれている。このことによって、後輪２０のリム部２１に形成されている部品とモータハウジング４０との干渉を抑えることが容易となる。電動二輪車１では、リム部２１にはエアバルブ２２が取り付けられている。エアバルブ２２とハウジング部材４１、４２の縁部４１ａ、４２ａとの干渉を避けることができている。

　なお、電動二輪車１とは異なり、左ハウジング部材４１の幅は、右ハウジング部材４２の幅と同じでもよいし、右ハウジング部材４２の幅が左ハウジング部材４１の幅よりも大きくでもよい。ロータ３４は、小さな幅を有するハウジング部材に取り付けられてもよい。

　図５Ｂに示すように、モータハウジング４０は、左ハウジング部材４１の内側に固定されるロータフレーム４５を有している。ロータフレーム４５は、例えば左ハウジング部材４１の内側に溶接される。ロータフレーム４５は車軸３１を取り囲む環状であり、ロータ３４を構成する複数の永久磁石３４ａは、ロータフレーム４５の内周面に固定されている。電動二輪車１とは異なり、モータハウジング４０はロータフレーム４５を有していなくてもよい。すなわち、永久磁石３４ａは左ハウジング部材４１の内側に直接的に固定されてもよい。

［電線のレイアウト］
　上述したように、ステータ３３はコイル３３ｂを有している。図５Ｂに示すように、モータハウジング４０内には、コイル３３ｂに接続している複数の電線を含む電気ケーブル３５が配置されている。電線はステータ３３に取り付けられているバスバー３３ｃを介してコイル３３ｂに接続される。電動モータ３０は、ロータ３４の回転位置を検知するためのセンサ（不図示）と、センサに接続しているセンサ基板３６と、センサ基板３６を保持するホルダー３３ｆとを含んでいる。電気ケーブル３５はこのセンサ基板３６から伸びている電線も含んでもよい。なお、電気ケーブル３５とコイル３３ｂとの結線の方法や、センサ基板３６の支持方法は、図で示す例に限られない。例えば、ケーブル３５の電線はバスバー３３ｃを介することなく直接コイル３３ｂに接続されてもよい。また、センサ基板３６の支持にホルダー３３ｆは利用されず、例えばステータフレーム３２や他の部材に取り付けられてもよい。

　図５Ｂに示すように、車軸３１には、左右方向（軸方向）に伸びているケーブル通路（貫通孔）３１ｂが形成されている。ケーブル通路３１ｂの一方の端部３１ｃはモータハウジング４０内で開口している。ケーブル通路３１ｂの他方の端部３１ｄ（図５Ａ参照）はモータハウジング４０外で開口している（以下では、端部３１ｃを「モータ側開口端」と称し、端部３１ｄを「バッテリ側開口端」と称する。）。後において詳説するように、モータハウジング４０の左方には部品ハウジング７０Ｈが設けられており、バッテリ側開口端３１ｄは部品ハウジング７０Ｈ内で開口している。電気ケーブル３５はこのケーブル通路３１ｂに通されて、モータハウジング４０の内側から外側に引き出されている。

　図５Ｂに示すように、モータ側開口端３１ｃは車軸３１の外周面に位置している。ケーブル通路３１ｂは、軸方向において直線的に伸びている直線部３１ｅと、軸方向と半径方向（軸方向に直交する方向）の双方に対して斜めに形成されている傾斜部３１ｇとを有している。傾斜部３１ｇは直線部３１ｅからモータ側開口端３１ｃに向かって斜めに伸びている。ケーブル通路３１ｂのこの構造によると、電気ケーブル３５の屈曲部の角度が９０度よりも小さくなるので、ケーブル通路３１ｂに電気ケーブル３５を通すことが容易となる。

　上述したように、ステータフレーム３２は、車軸３１の外周面に固定される固定部３２ａを有している。車軸３１の左端部３１ｒはリアアーム７０の軸保持部７２ａによって支持されている。モータ側開口端３１ｃは、固定部３２ａを挟んで軸保持部７２ａとは反対側に位置している。この構造によると、モータ側開口端３１ｃが軸保持部７２ａの障害とならないので、軸保持部７２ａの位置をステータフレーム３２の固定部３２ａに近づけることができる。言い換えれば、軸保持部７２ａの右端部の位置を、左右方向における後輪２０の中心Ｃ１に近づけることができる。その結果、軸保持部７２ａによる車軸３１の支持強度を増すことができる。電動二輪車１の例では、固定部３２ａと軸保持部７２ａとの間に、モータハウジング４０を支持するベアリング６１が配置されている。ベアリング６１と軸保持部７２ａとがステータフレーム３２の固定部３２ａに近づけられている。モータ側開口端３１ｃの位置は、電動二輪車１の例に限られない。モータ側開口端３１ｃは、ベアリング６１とステータフレーム３２の固定部３２ａとの間に形成されてもよい。

　電動モータ３０は、上述したように、センサ基板３６を有している。図５Ｂに示すように、センサ基板３６は、モータ側開口端３１ｃと同様に、ステータ３３に対して右方に位置している。電動二輪車１とは異なり、センサ基板３６はステータ３３に対して左方に配置されてもよい。

［部品ハウジング］
　上述したように、リアアーム７０の左アーム７１は車軸３１を保持する軸保持部７２ａを有している。軸保持部７２ａは筒状であり、車軸３１は軸保持部７２ａに挿入されている。左アーム７１は、その後部に、モータハウジング４０の左方に位置している部品ハウジング７０Ｈ（図５Ａ参照）を有している。したがって、部品ハウジング７０Ｈは、車軸３１とともに車体フレームに対して上下動する。ケーブル通路３１ｂのバッテリ側開口端３１ｄは、この部品ハウジング７０Ｈの内側に位置している。この構造によると、水や土がケーブル通路３１を通してモータハウジング４０内に浸入することを、防ぐことができる。また、部品ハウジング７０Ｈがリアアーム７０の一部であるので、部品数の増加を抑えることができる。図６に示すように、電動二輪車１では、バッテリ側開口端３１ｄは車軸３１の端面（左方に向いた面）に形成されている。電動二輪車１とは異なり、バッテリ側開口端３１ｄは、モータ側開口端３１ｃと同様に、車軸３１の外周面に形成されてもよい。

　図６に示すように、部品ハウジング７０Ｈには、電装品１１が収容されている。電装品１１は、例えば、電動モータ３０と、電動モータ３０に電力を供給するバッテリ（不図示）との間の電気経路に配置されている部品である。より具体的には、電装品１１は、例えば電気ケーブル３５の電線３５ａの端部に設けられている端子と、バッテリから伸びている電線３７ａの端子とを接続する端子台である。電装品１１は、バッテリから供給される直流を交流に変換して電動モータ３０に供給するインバータを含むモータ駆動装置でもよい。

　電動モータ３０とバッテリとの間の電気経路に配置されている電装品を部品ハウジング７０Ｈに配置することによって、バッテリと電動モータ３０とを電気的に接続するケーブルを短くできる。例えばモータ駆動装置をリアアーム７０とは異なる位置（例えば、シート５の下側）に配置すると、電気ケーブルをモータ駆動装置に向けて迂回させる必要がある。これに対して、モータ駆動装置を部品ハウジング７０Ｈに配置する場合には、バッテリから電動モータ３０までの最短距離に近い経路にケーブルを配置できる。電装品１１は、端子台やモータ駆動装置に限られない。また、部品ハウジング７０Ｈには、複数の電装品が配置されてもよい。

　図５Ａに示すように、電動二輪車１では、部品ハウジング７０Ｈはアーム後部材７２とカバー部材７３とを有している。アーム後部材７２は左方に開いた箱状である。カバー部材７３は、アーム後部材７２の左方に配置され、アーム後部材７２の開口を閉じている。アーム後部材７２とカバー部材７３は左右方向において合体している。すなわち、アーム後部材７２の左縁部とカバー部材７３の右縁部７３ａは、例えば螺子やボルトなどの固定具によって互いに固定されている。軸保持部７２ａはアーム後部材７２に形成されている。

　アーム後部材７２とカバー部材７３との間には、それらの間をシールするシール材７２ｇ（図６参照）が設けられている。このことによって、部品ハウジング７０Ｈの内部に水が入るのを抑えることができる。すなわち、部品ハウジング７０Ｈの収容室も、モータハウジング４０の収容室と同様に、外部から区画されている。シール材７２ｇは、例えば、アーム後部材７２の左縁部に塗布される。シール材７２ｇは、アーム後部材７２の左縁部に取り付けられるＯリングやガスケットでもよい。

　図５Ａに示すように、アーム後部材７２は、モータハウジング４０に沿って配置され軸保持部７２ａと交差している側壁部７２ｂと、側面視において車軸３１を取り囲む周壁部７２ｃとを有している。部品ハウジング７０Ｈ（側壁部７２ｂ）とモータハウジング４０（左ハウジング部材４１）と間にはブレーキ装置８０が配置されている。ブレーキ装置８０の配置については、後において詳説する。

　図７に示すように、軸保持部７２ａは、側壁部７２ｂから右方に突出している右突出部７２ｅを有している。アーム後部材７２は、右突出部７２ｅの外周面に形成される複数のリブ７２ｈを有している。複数のリブ７２ｈは車軸３１の周方向に並んでいる。リブ７２ｈは車軸３１と実質的に平行であり、右突出部７２ｅの外周面と側壁部７２ｂの右面と周壁部７２ｃとに接続されている。このリブ７２ｈによって、車軸３１から軸保持部７２ａに作用する力に対する軸保持部７２ａの強度を増すことができる。電動二輪車１では、リアアーム７０は車軸３１の右端部３１ａを支持していないので、軸保持部７２ａの右突出部７２ｅの強度を増す構造は、特に有効である。

　図６に示すように、軸保持部７２ａは、側壁部７２ｂから左方に突出している左突出部７２ｆを有している。アーム後部材７２は、左突出部７２ｆの外周面に形成されている複数のリブ７２ｉを有している。複数のリブ７２ｉは、リブ７２ｈと同様に、車軸３１の周方向に並んでいる。リブ７２ｉは車軸３１と実質的に平行であり、左突出部７２ｆの外周面と側壁部７２ｂの左面と周壁部７２ｃとに接続されている。このリブ７２ｉによって、車軸３１から軸保持部７２ａに作用する力に対する強度を、さらに増すことができる。

　図５Ａに示すように、左突出部７２ｆの長さは、右突出部７２ｅの長さよりも大きい。そのため、側壁部７２ｂは、左右方向における軸保持部７２ａの中心Ｃ２よりも右方に位置している。このことによって、側壁部７２ｂの位置が左右方向における後輪２０の中心Ｃ１に近づくので、リアアーム７０による車軸３１の支持強度をさらに向上できる。

　左アーム７１は、図２に示すように、ピボット軸９から後方に伸びているアーム前部材７５を有している。電動二輪車１の例では、部品ハウジング７０Ｈはアーム前部材７５の後側に接続されている。アーム前部材７５は、その後端に、板状の取付部７５ａを有している。部品ハウジング７０Ｈはこの取付部７５ａに取り付けられている。電動二輪車１では、アーム後部材７２は前壁部７２ｊ（図６参照）を有している。前壁部７２ｊは、螺子やボルトなどの固定具によって、取付部７５ａに接続されている。アーム後部材７２とアーム前部材７５は、同じ材料で形成されてもよいし、互いに異なる材料で形成されてもよい。例えば、アーム後部材７２はアルミニウムで形成され、アーム前部材７５は、例えば鉄で形成されてもよい。

　左アーム７１の構造は、電動二輪車１の例に限られない。例えば、アーム後部材７２とアーム前部材７５は、一体的に形成されてもよい。つまり、アーム後部材７２とアーム前部材７５は固定具によって互いに接続されるのではなく、例えば鋳造によって形成される１つの部材であってもよい。

　電動二輪車１では、アーム前部材７５は管状の部材である。図４に示すように、部品ハウジング７０Ｈの内の収容室とアーム前部材７５の内部は互いに繋がっている。電動二輪車１の例では、アーム後部材７２の前壁部７２ｊには、これを前後方向に貫通する穴７２ｋ（図４及び図６参照）が形成されている。アーム前部材７５の取付部７５ａは環状に形成され、前壁部７２ｊの外周部の前面にボルトや螺子などの固定具７６によって取り付けられている。前壁部７２ｊの外周部（固定具７６が取り付けられている部分）の内側には、凹部７２ｖが形成されている。電装品１１から伸びている電線３７ａ（図６参照）は、この穴７２ｋからアーム前部材７５の内を通り、バッテリに達している。

　部品ハウジング７０Ｈの外壁は、その内部を外部とを繋ぐ通気孔を有している。通気孔によって、温度変化に起因して部品ハウジング７０Ｈ及びモータハウジング４０内の空気圧が変化することを、抑えることができる。電動二輪車１では、図４に示すように、部品ハウジング７０Ｈの前壁部７２ｊに通気孔７２ｔが形成されている。通気孔７２ｔは部品ハウジング７０Ｈの内部とアーム前部材７５（管状部材）の内部とを繋いでいる。この場合、アーム前部材７５の内部と外部（大気）とを繋ぐ通気孔がアーム前部材７５に形成されてもよい。

　通気孔７２ｔには防水構造が設けられるのが望ましい。通気孔７２ｔには、例えば防水性と通気性とを有している素材（繊維）で形成されるシール部材７４が取り付けられる。このような素材を利用することによって、アーム前部材７５から部品ハウジング７０Ｈ及びモータハウジング４０に水分が浸入するのを防止しながら、部品ハウジング７０Ｈ及びモータハウジング４０の圧力を適切に維持できる。なお、防水構造はシール部材７４に限られず、例えば、通気孔７２ｔに差し込まれるパイプであってもよい。パイプはアーム前部材７５の内側を通って車体の外装カバーの内側まで伸び、さらにシート５の下側まで伸びてもよい。こうすることによって、水分がパイプを通して部品ハウジング７０Ｈに浸入することを防ぐことができる。通気孔７２ｔの位置や防水構造は、電動二輪車１の例に限られない。

　図４に示すように、電動二輪車１では、部品ハウジング７０Ｈはアーム前部材７５よりも大きな上下方向での幅（高さ）ｈ１を有している。これによって、部品ハウジング７０Ｈに十分な容量を確保できる。また、アーム後部材７２の周壁部７２ｃは、図６に示すように、車軸３１よりも前方に位置し前方に伸びている上壁部７２ｎと下壁部７２ｐとを有している。このことによって、部品ハウジング７０Ｈに十分な容量を確保できる。図６に示す例では、上壁部７２ｎと下壁部７２ｐとの間に電装品１１が配置されている。

　電装品１１の配置や、部品ハウジング７０Ｈの形状は、電動二輪車１の例に限られない。例えば、部品ハウジング７０Ｈは、上壁部７２ｎと下壁部７２ｐとを有していなくてもよい。この場合、電装品１１は、車軸３１を取り囲むように湾曲している湾曲部７２ｍの内側に配置されてもよい。なお、図６に示す例では、湾曲部７２ｍに凹部７２ｑが形成され、この凹部７２ｑに、ブレーキ装置８０を操作するためのレバー８４が配置されている。しかしながら、湾曲部７２ｍにはこのような凹部７２ｑは形成されていなくてもよい。

　電動二輪車１はリアサスペンション１４を有している（図１参照）。図６に示すように、部品ハウジング７０Ｈにはリアサスペンション１４の下端が接続されるサスペンション接続部７２ｒが形成されている。電動二輪車１では、サスペンション接続部７２ｒは、アーム後部材７２の周壁部７２ｃ（より詳細には、湾曲部７２ｍ）に形成されている。上述したリブ７２ｉは、周壁部７２ｃの内面（湾曲部７２ｍの内面）にも繋がっている。このリブ７２ｉによって、サスペンション１４から作用する力に対する部品ハウジング７０Ｈの強度を向上できる。電動二輪車１とは異なり、サスペンション接続部７２ｒは、アーム後部材７２の周壁部７２ｃとは異なる部分に形成されてもよい。

　上述したように、アーム後部材７２には、カバー部材７３が固定されている。電動二輪車１では、このカバー部材７３は金属によって形成されている。このことによって、サスペンション１４から作用する力に対する部品ハウジング７０Ｈの強度をさらに向上できる。カバー部材７３の材料は、アルミニウムでもよいし、鉄でもよい。電動二輪車１とは異なり、カバー部材７３は樹脂で形成されてもよい。

［ステータフレーム］
　上述したように、ステータフレーム３２は車軸３１に固定されている固定部３２ａを有している（図５Ａ参照）。電動二輪車１では、固定部３２ａは環状であり、その内側に車軸３１が挿入される。固定部３２ａは、車軸３１に対して相対回転不能となるように、車軸３１に固定されている。固定部３２ａは、例えば、車軸３１の外周面に溶接される。固定部３２ａと車軸３１の相対回転の規制は、溶接ではなく、固定部３２ａの内周面と車軸３１の外周面とに形成されたスプラインや、固定部３２ａの内周面と車軸３１の外周面とに係合するキーによって、実現されてもよい。

　図５Ｂに示すように、ステータフレーム３２は、その外周部に、車軸３１を取り囲む環状のステータ取付部３２ｂを有している。電動二輪車１では、ステータ３３はステータ取付部３２ｂの外周面に固定されている。詳細には、ステータ取付部３２ｂの外周面には、複数の鉄心３３ａが取り付けられている。鉄心３３ａは、例えばステータ取付部３２ｂの外周面に溶接される。

　図５Ｂに示すように、ステータフレーム３２は、固定部３２ａからステータ取付部３２ｂに向かって半径方向に伸びて、両者をつなぐ連結部３２ｃを有している。連結部３２ｃは例えば円盤状である。固定部３２ａは連結部３２ｃの中心部に形成され、ステータ取付部３２ｂは連結部３２ｃの外周縁に形成されている。連結部３２ｃは、固定部３２ａとステータ取付部３２ｂとを接続する形状であれば円盤状でなくてもよい。

　上述したように、車軸３１の左端部３１ｒはリアアーム７０で支持されているものの、右端部３１ａはリアアーム７０によって支持されていない。図５Ｂに示すように、ステータフレーム３２の固定部３２ａは、左右方向における後輪２０の中心Ｃ１に対して右方にずれている。すなわち、左右方向における固定部３２ａの中心は、後輪２０の中心Ｃ１に対して右方に位置している。電動二輪車１では、固定部３２ａの全体が中心Ｃ１よりも右方に位置しており、中心Ｃ１を通る平面（車軸３１に直交する平面）と交差していない。この構造によると、車軸３１を支持するリアアーム７０の軸保持部７２ａの右端部を後輪２０の中心Ｃ１に近づけることができる。その結果、軸保持部７２ａによる車軸３１の支持強度を向上できる。上述したように、軸保持部７２ａは、側壁部７２ｂから右方に突出する右突出部７２ｅを有している。軸保持部７２ａの右端部（右突出部７２ｅの端部）は、軸方向における車軸３１の概ね中心に位置している。

　固定部３２ａと後輪２０の中心Ｃ１との位置関係は、電動二輪車１の例に限られない。例えば、固定部３２ａは中心Ｃ１を通る平面（車軸３１に直交する平面）と交差してもよい。電動二輪車１とは反対に、リアアーム７０は、車軸３１の右端部３１ａを支持し、左端部３１ｒを支持しなくてもよい。この場合、ステータフレーム３２の固定部３２ａは、後輪２０の中心Ｃ１に対して左方にずれてもよい。

　また、電動二輪車１では、固定部３２ａの右端部はステータ３３の右端部よりも左方に位置しており、固定部３２ａの全体が半径方向においてステータ３３の内側に位置している。電動二輪車１の例とは異なり、固定部３２ａの右端部はステータ３３の右端部よりも右方に位置してもよい。

　図５Ｂに示すように、ステータ３３は、ステータフレーム３２の固定部３２ａよりも左方に位置している。このことによって、ステータ３３と後輪２０との左右方向における位置ずれを低減できる。その結果、電動モータ３０及びモータハウジング４０が後輪２０に対して右方に大きく張り出すことを、抑えることができる。電動二輪車１では、左右方向におけるステータ３３の位置は、後輪２０と一致している。すなわち、左右方向におけるステータ３３の中心は、後輪２０の中心Ｃ１に位置している。電動二輪車１とは異なり、左右方向におけるステータ３３の中心は、後輪２０の中心Ｃ１より右方に位置してもよいし、或いは、後輪２０の中心Ｃ１よりも左方に位置してもよい。

　図５Ｂに示すように、ステータフレーム３２の連結部３２ｃは,車軸３１の半径方向に対して傾斜している傾斜部３２ｅを有している。ステータフレーム３２のこの形状によって、ステータ３３の位置を固定部３２ａよりも左方に位置させることができている。ステータフレーム３２は、必ずしも傾斜部３２ｅを有していなくてもよい。例えば、ステータフレーム３２の連結部３２ｃは、車軸３１の半径方向と平行であってもよい。この場合、ステータ３３の位置を固定部３２ａよりも左方向に位置させるために、連結部３２ｃの端部（連結部３２ｃとステータ取付部３２ｂとの接続部分）は、左右方向でのステータ３３の中心から右方にずれていてもよい。さらに他の例として、連結部３２ｃは、傾斜部３２ｅに替えて段差を有してもよい。

［ベアリングの配置］
　上述したように、ロータ３４は、ベアリング６１、６２によって回転可能に支持されている。図５Ｂに示すように、ベアリング６１は、ステータフレーム３２の固定部３２ａに対して左方に位置し、ベアリング６２は、ステータフレーム３２の固定部３２ａに対して右方に位置している（以下では、ベアリング６１を「左ベアリング」と称し、ベアリング６２を「右ベアリング」と称する。）。左ベアリング６１は、車軸３１の半径方向においてステータ３３の内側に位置している。言い換えれば、車軸３１に直交する方向で見たときに、ステータ３３は左ベアリング６１と重なる。すなわち、左ベアリング６１は、ステータ３３の左端部を通る平面Ｐ３よりも右方に位置している。電動二輪車１の例では、左ベアリング６１の全体が、ステータ３３の左端部を通る平面Ｐ３よりも右方に位置している。

　左ベアリング６１は、固定部３２ａを後輪２０の中心Ｃ１に対して右方にずらすことによって得られたスペースに配置されている。このことによって、車軸３１を支持する軸保持部７２ａの右端を後輪２０の中心Ｃ１にさらに近づけることができ、軸保持部７２ａによる車軸３１の支持強度を向上できる。また、左ベアリング６１が、ステータ３３の左端を通る平面Ｐ３よりも右方に位置しているので、モータハウジング４０及び部品ハウジング７０Ｈの全体の左右方向での幅を低減できる。なお、左ベアリング６１の配置は、電動二輪車１の例に限られない。例えば、左ベアリング６１の一部だけが、ステータ３３の左端を通る平面Ｐ３よりも右方に位置してもよい。

　図５Ｂに示すように、左ベアリング６１は、後輪２０の中心Ｃ１に対して左方に位置し、右ベアリング６２は中心Ｃ１に対して右方に位置している。ベアリング６１、６２のこの配置によると、例えば２つベアリング６１、６２の双方が中心Ｃ１よりも右方に位置する構造に比して、電動モータ３０及び後輪２０の支持強度が確保し易くなる。電動二輪車１では、左ベアリング６１の全体が後輪２０の中心Ｃ１より左方に位置し、右ベアリング６２の全体が中心Ｃ１より右方に位置している。

　図５Ｂに示すように、左ベアリング６１から後輪２０の中心Ｃ１までの距離は、右ベアリング６２から後輪２０の中心Ｃ１までの距離よりも小さい。そのため、左ベアリング６１には、右ベアリング６２よりも大きな荷重が作用する。そこで、左ベアリング６１の左右方向での幅は、右ベアリング６２の左右方向での幅よりも大きい。言い換えれば、左ベアリング６１の定格荷重は、右ベアリング６２の定格荷重よりも大きい。「定格荷重」とは、「１００万回転の定格寿命が得られるような、方向と大きさが一定の荷重」を意味する。

［ブレーキ装置とハウジング部材の収容凹部］
　図５Ｂに示すように、左ハウジング部材４１は、部品ハウジング７０Ｈに向いた側壁部４１ｆに、凹部４１ｃを有している（以下では、この凹部４１ｃを「収容凹部」と称する。）。収容凹部４１ｃは、モータハウジング４０の内側に向かって凹んでいる。すなわち、収容凹部４１ｃはステータフレーム３２の固定部３２ａに向かって凹んでいる。収容凹部４１ｃは、側面視において車軸３１を取り囲む円筒状の壁部４１ｄと、壁部４１ｄから車軸３１に向かって伸びている壁部４１ｅとを有している（壁部４１ｄを「円筒壁部」と称し、壁部４１ｅを「内側壁部」と称する。）。収容凹部４１ｃは車軸３１が配置される位置に形成されている。すなわち、車軸３１が通される開口は内側壁部４１ｅに形成され、シール部材４４と左ベアリング６１はこの内側壁部４１ｅに設けられている。内側壁部４１ｅは、車軸３１の半径方向においてステータ３３の内側に位置している。

　上述したように、モータハウジング４０と部品ハウジング７０Ｈとの間に、後輪２０に制動力を加えるブレーキ装置８０が配置されている。図５Ａに示すように、ブレーキ装置８０は収容凹部４１ｃの内側に配置されている。すなわち、ブレーキ装置８０の少なくとも一部が、収容凹部４１ｃの円筒壁部４１ｄに対して半径方向における内側に位置している。ブレーキ装置８０のこの配置によると、車軸３１に設けられている機構（ブレーキ装置８０と電動モータ３０とを含む機構）の左右方向でのサイズを低減できる。

　電動二輪車１では、ブレーキ装置８０はドラムブレーキ装置である。ブレーキ装置８０は、一対のブレーキシュー８１ａ、８１ｂ（図８参照）と、ブレーキシュー８１ａ、８１ｂを半径方向の外側に押し広げるカム８２（図５Ａ及び図８参照）とを有している。図５Ａに示すように、カム８２は軸部８２ａを有している。軸部８２ａは、アーム後部材７２の側壁部７２ｂによって保持されている。軸部８２ａの端部にはレバー８４が取り付けられている。レバー８４には、ライダーが操作可能な操作部材（例えば、ハンドルバー４に設けられるレバー）にワイヤー（不図示）を介して接続されている。ブレーキシュー８１ａ、８１ｂは、アーム後部材７２の側壁部７２ｂによって保持されている支持軸８３（図８参照）によって支持されている。

　図５Ａ及び図５Ｂに示すように、ブレーキシュー８１ａ、８１ｂとカム８２は収容凹部４１ｃの内側に配置されている。カム８２の作用により、ブレーキシュー８１ａ、８１ｂは収容凹部４１ｃの円筒壁部４１ｄに向かって押し広げられる。電動二輪車１では、円筒壁部４１ｄの内周面には、ブレーキシュー８１ａ、８１ｂが押しつけられる円筒状の摩擦材４８が固定されている。電動二輪車１とは異なり、円筒壁部４１ｄの内周面に摩擦材４８が設けられず、ブレーキシュー８１ａ、８１ｂが円筒壁部４１ｄの内周面に接してもよい。

　このようにブレーキ装置８０は収容凹部４１ｃの内側に配置され、その結果、ブレーキ装置８０の一部は車軸３１の半径方向においてステータ３３の内側に位置している。すなわち、車軸３１に直交する方向に見たときに、ブレーキ装置８０の一部はステータ３３と重なる。より詳細には、ブレーキシュー８１ａ、８１ｂの一部はコイル３３ｂと重なる。左ベアリング６１はブレーキ装置８０よりも右方に位置している。この配置によると、車軸３１に設けられている機構（ブレーキ装置８０と電動モータ３０とを含む機構）の左右方向でのサイズを低減できる。

　上述したように、軸保持部７２ａの右突出部７２ｅはアーム後部材７２の側壁部７２ｂからモータハウジング４０に向かって突出している。図５Ｂで示すように、電動二輪車１では、右突出部７２ｅは収容凹部４１ｃに位置している。詳細には、右突出部７２ｅは、収容凹部４１ｃの円筒壁部４１ｄに対して左右方向での内側に位置している。したがって、右突出部７２ｅの端面を通る平面（車軸３１に垂直な平面）Ｐ４は、収容凹部４１ｃの円筒壁部４１ｄと交差している。

　また、右突出部７２ｅの少なくとも一部は、車軸３１の半径方向においてブレーキ装置８０の内側に位置している。詳細には、車軸３１に対して直交する方向に見たときに、右突出部７２ｅの少なくとも一部は、ブレーキシュー８１ａ、８１ｂと重なる。この配置によると、軸保持部７２ａの右端が後輪２０の中心Ｃ１に近くなるので、軸保持部７２ａによる車軸１の支持強度を増すことができる。図５Ｂに示すように、右突出部７２ｅはシール部材４４を支持する環状部材３１ｆに当たっている。

　なお、左ハウジング部材４１の構造やブレーキ装置８０の配置は、電動二輪車１の例に限られない。電動二輪車１とは異なり、例えば、左ハウジング部材４１には収容凹部４１ｃは形成されていなくてもよい。この場合、ブレーキ装置８０は、左ハウジング部材４１の側壁部４１ｆより左方に位置してもよい。

　モータハウジング４０の左ハウジング部材４１とアーム後部材７２の側壁部７２ｂは、収容凹部４１ｃに入る水を低減するラビリンス構造を有している。具体的には、図５Ｂに示すように、左ハウジング部材４１は、収容凹部４１ｃの円筒壁部４１ｄからさらにアーム後部材７２に向かって突出する凸部４１ｇを有している。凸部４１ｇは、側面視において車軸３１を囲む環状である。一方、アーム後部材７２の側壁部７２ｂには、凹部７２ｓが形成されている。凸部４１ｇは凹部７２ｓの内側に位置している。凹部７２ｓの内面と凸部４１ｇとの間の隙間が屈曲するので、外部から収容凹部４１ｃに浸入する水を低減できる。すなわち、この凸部４１ｇと凹部７２ｓとによってラビリンス構造が構成されている。

　図５Ｂに示すように、車軸３１の外周面と環状部材３１ｆの内周面との間には、シール部材３９ａが配置されている。また、軸保持部７２ａの右突出部７２ｅの内周面と車軸３１の外周面との間にも、シール部材３９ｂが配置されている。このシール部材３９ａ、３９ｂによると、ラビリンス構造を通過して収容凹部４１ｃに浸入した水分が、モータハウジング４０と部品ハウジング７０Ｈと入ることを防ぐことができる。

［後輪とモータハウジングとの取付構造］
　上述したように、モータハウジング４０は左右方向において合体する左ハウジング部材４１と右ハウジング部材４２とを有している。モータハウジング４０には、左右のハウジング部材４１、４２を互いに固定する固定具（ボルトや螺子）と、後輪２０をモータハウジング４０に固定する固定具（ボルトや螺子）とが、別個に設けられている。そのため、左ハウジング部材４１と右ハウジング部材４２とが合体した状態を維持したまま、モータハウジング４０から後輪２０を取り外すことができる。このことによって、例えばタイヤのメンテナンス作業等の作業性を向上できる。上述したように、モータハウジング４０にはシール部材４３、４４が設けられている。すなわち、モータハウジング４０は、その内部への水分浸入を防止するためシールされている。左ハウジング部材４１と右ハウジング部材４２とがシールされている状態を維持したまま、モータハウジング４０から後輪２０を取り外すことができる。

　図３に示すように、左ハウジング部材４１は、その右縁に沿って、車軸３１の周方向で間隔をあけて並んでいる複数の取付部４１ｊを有している。右ハウジング部材４２は、その左縁に沿って、車軸３１の周方向で間隔をあけて並んでいる複数の取付部４２ｃを有している（以下において、取付部４１ｊ、４２ｃを「ハウジング取付部」と称する）。電動二輪車１においては、ハウジング取付部４１ｊ、４２ｃは、ハウジング部材４１、４２の縁に形成されているフランジ部４１ａ、４２ａよりも大きく半径方向に突出している。電動二輪車１とは異なり、ハウジング取付部４１ｊ、４２ｃは半径方向に突出していなくてもよい。

　左ハウジング部材４１のハウジング取付部４１ｊは、左右方向において差し込まれる固定具４９（図３参照、例えば螺子）によって、右ハウジング部材４２のハウジング取付部４２ｃに取り付けられている。電動二輪車１では、左ハウジング部材４１のハウジング取付部４１ｊに螺子穴が形成され、右ハウジング部材４２のハウジング取付部４２ｃに貫通孔が形成されている。固定具４９はハウジング取付部４１ｊ、４２ｃの穴に右側から差し込まれ、左ハウジング部材４１と右ハウジング部材４２とを互いに固定している。固定具４９の差し込み方向は、電動二輪車１の例に限られない。すなわち、ハウジング取付部４１ｊ、４２ｃは、それらの左側から固定具４９が差し込まれるように、形成されてもよい。

　図３に示すように、モータハウジング４０は、後輪２０が取り付けられる複数の取付部４１ｋを有している（以下では、取付部４１ｋを「車輪取付部」と称する）。複数の車輪取付部４１ｋは、車軸３１の周方向に間隔をあけて並んでいる。電動二輪車１においては、車輪取付部４１ｋは、ハウジング取付部４１ｊ、４２ｃと同様に、フランジ部４１ａ、４２ａよりも大きく半径方向に突出している。電動二輪車１とは異なり、車輪取付部４１ｋは、半径方向に突出していなくてもよい。電動二輪車１では、車輪取付部４１ｋは、左ハウジング部材４１に形成されている。複数の車輪取付部４１ｋと複数のハウジング取付部４１ｊは、車軸３１の周方向に交互に並んでいる。

　後輪２０は、車輪取付部４１ｋに対応する位置に、取付穴２１ｂを有し、この取付穴２１ｂに固定具４７（図５Ａ参照）が差し込まれる。これによって、後輪２０はモータハウジング４０に取り付けられる。したがって、この固定具４７を車輪取付部４１ｋから外すことによって、左ハウジング部材４１と右ハウジング部材４２とが合体した状態を維持したまま、モータハウジング４０から後輪２０を取り外すことができる。

　上述したように、リアアーム７０は後輪２０の右方に位置する部分を有していない。また、電動二輪車１では、後輪２０をモータハウジング４０に取り付ける固定具４７は、固定具４９と同様に、後輪２０の取付穴２１ｂの右側から車輪取付部４１ｋの螺子穴に差し込まれている。そのため、固定具４７を取り外す作業も簡単に行うことができる。また、電動二輪車１では、右ハウジング部材４２は、左ハウジング部材４１の車輪取付部４１ｋに対応する位置に、取付部４２ｅが形成され、この取付部４２ｅに穴が形成されている。この取付部４２ｅの穴にも固定具４７が挿入される。右ハウジング部材４２は、このような取付部４２ｅを有していなくてもよい。

　図５Ａに示すように、後輪２０は、リム部２１から半径方向の内側に向かって突出している被取付部２１ａを有している。上述した複数の取付穴２１ｂはこの被取付部２１ａに形成されている。電動二輪車１においては、被取付部２１ａは側面視において環状である。モータハウジング４０は被取付部２１ａの内側に嵌められている。後輪２０は、モータハウジング４０の右側に嵌められている。そして、被取付部２１ａは、右ハウジング部材４２のフランジ部４２ａの右方に位置し、フランジ部４２ａに当たっている。したがって、後輪２０はモータハウジング４０から右側に取り外すことができる。

　上述したように、後輪２０の被取付部２１ａは環状である。後輪２０がモータハウジング４０に取り付けられているとき、被取付部２１ａはハウジング取付部４１ｊ、４２ｃの右方に位置している。すなわち、後輪２０とモータハウジング４０とを右側から見たとき、ハウジング取付部４１ｊ、４２ｃに差し込まれている固定具４９（図３参照）は後輪２０の被取付部２１ａによって覆われ、固定具４９は右方に露出しない。そのため、作業者が後輪２０をモータハウジング４０から取り外すときに、ハウジング取付部４１ｊ、４２ｃに差し込まれている固定具４９（図３参照）を誤って外してしまうことを防止できる。

　なお、後輪２０をモータハウジング４０に取り付けるための構造は、電動二輪車１の例に限られない。例えば、左ハウジング部材４１に替えて、右ハウジング部材４２に螺子穴が形成された車輪取付部が形成されてもよい。他の例では、後輪２０の被取付部２１ａは環状でなくてもよい。例えば、後輪２０は、車軸３１の周方向に間隔をあけて並ぶ複数の被取付部２１ａを有し、各被取付部２１ａに取付穴２１ｂが形成されてもよい。さらに他の例として、車輪取付部４１ｋは、ハウジング部材４１、４２の縁に沿って形成されていなくてもよい。

［エアバルブ］
　図５Ｂに示すように、後輪２０は後タイヤ１３に空気を入れるためのエアバルブ２２を有している。エアバルブ２２は、リム部２１から半径方向の内側に突出している。上述したように、左右のハウジング部材４１、４２のフランジ部４１ａ、４２ａの間にはシール部材４３が設けられている。エアバルブ２２とリム部２１との接続部２１ｃは、シール部材４３に対して左方に位置している。電動二輪車１においては、左右方向におけるリム部２１の中心に、エアバルブ２２の接続部２１ｃが位置している。エアバルブ２２は屈曲して、接続部２１ｃから左方に伸びている。この構造によると、エアバルブ２２とシール部材４３とが交差しない。そのため、例えば、シール部材４３とエアバルブ２２とが交差する場合（エアバルブ２２が右方に伸びている場合）に比して、モータハウジング４０及び電動モータ３０の半径を十分に確保することが容易となり、電動モータ３０から高い出力トルクを得ることができる。

　図５Ａに示すように、左右のハウジング部材４１，４２のフランジ部４１ａ、４２ａの外径Ｒ１は、車軸３１の中心線からエアバルブ２２までの距離Ｌ１よりも大きい。そのため、エアバルブ２２の一部は、後輪２０の側面視において、フランジ部４１ａ、４２ａと重なる。この位置関係によると、電動モータ３０に十分な径が確保され得る。

　図４に示すように、モータハウジング４０の外周面（左ハウジング部材４１の外周面）には、エアバルブ２２の位置に対応する溝４１ｈが形成されている。このことによって、電動モータ３０に十分な径を確保することが、さらに容易となる。なお、図４に示す例では、左ハウジング部材４１の外周面には、１つの溝４１ｈが形成されている。図４の例とは異なり、左ハウジング部材４１の外周面には複数の溝４１ｈが形成され、各溝４１ｈは隣り合う２つのハウジング取付部４１ｊと車輪取付部４１ｋの間に形成されてもよい。これによれば、任意の溝４１ｈにエアバルブ２２を配置できる。

　図５Ｂに示すように、エアバルブ２２の端部（キャップ）２２ａは、左ハウジング部材４１の外周面の左縁４１ｉ（左ハウジング部材４１の角）よりも左方に位置している。この構造によると、後輪２０がモータハウジング４０に取り付けられている状態でタイヤ１３に空気を入れる際、空気ポンプから伸びているチューブの先端と左ハウジング部材４１の外周面との干渉を抑えることができる。また、エアバルブ２２が、車軸３１を支持しているリアアーム７０の左アーム７１側に伸びているので、エアバルブ２２の不使用時に不要な外力がエアバルブ２２に作用することを防止できる。

［変形例］
　なお、本明細書で提案する鞍乗型電動車両は、図１乃至図８を参照して説明した電動二輪車１に限られない。

　図９は電動二輪車１の変形例を説明するための断面図である。この図において、これまで説明した箇所と同一の箇所には同一の符号を付し、それらの説明は省略する。車軸３１には、上述したように、ケーブル通路３１ｂが形成されている。図９に示すように、部品ハウジング７０Ｈに位置しているケーブル通路３１ｂのバッテリ側開口端３１ｄは、車軸３１の外周面に形成されてもよい。図９の例では、車軸３１の左端部と軸保持部７２ａの左突出部７２ｆの一部７２ｕとが切りかかれている。切りかかれた部分から部品ハウジング７０Ｈ内に向かって電気ケーブル３５が伸びている。

　図１０は電動二輪車１のさらに別の変形例を説明するための断面図である。この図において、これまで説明した箇所と同一の箇所には同一の符号を付し、それらの説明は省略する。図１０に示すように、電動二輪車１は、ブレーキ装置１８０を有してもよい。ブレーキ装置１８０はディスクブレーキ装置であり、モータハウジング４０の左ハウジング部材４１に取り付けられているディスク１８１と、ディスク１８１を挟むパッド１８２と、ピストン１８３と、キャリバー１８４とを有している。キャリパー１８４は、例えば、部品ハウジング７０Ｈに取り付けられる。

［まとめ］
　（１）上述したように、電動二輪車１は、車軸３１の左端部３１ｒを支持し、右端部３１ａを支持していないリアアーム７０と、車軸３１によって支持されているステータ３３と、車軸３１によって回転可能に支持されているロータ３４とを有している電動モータ３０と、ロータ３４とステータ３３とを収容し且つ外部から区画されている収容室を構成し、ロータ３４が内側に固定されているモータハウジング４０と、を有している。後輪２０は、モータハウジング４０の外側に取り付けられており、且つモータハウジング４０から右方に取り外し可能である。これによると、車軸２０の２つの端部のうち一方はリアアーム７０によって支持されていないので、後輪２０を取り外す作業が容易となり、補修やメンテナンスなどの作業の作業性を向上できる。

　（２）モータハウジング４０は、左右方向で組み合わされる左ハウジング部材４１と右ハウジング部材４２とを有し、左ハウジング部材４１と右ハウジング部材４２は、固定具４９によって互いに取り付けられ、後輪２０は、固定具４７によって左ハウジング部材４１と右ハウジング部材４２のうち少なくとも一方に取り付けられている。この車両によると、固定具４７を外すことによって後輪２０をモータハウジング４０から外した場合でも、モータハウジング４０が閉じた状態が維持され得る。固定具４９、４７は、例えば螺子やボルトである。

　（３）後輪２０は、モータハウジング４０の右側面を見たときに、ハウジング部材４１、４２を互いに固定する固定具４９を覆う部分（被取付部２１ａ）を有している。この車両によると、後輪２０を取り外す際に、後輪２０を取り付けている固定具４７を誤って外してしまうことを防ぐことができる。

　（４）後輪２０は、リム部３１と、リム部３１から内側に突出しモータハウジング４０に取り付けられる被取付部２１ａとを有し、モータハウジング４０は、左右方向において互いに組み合わされる左ハウジング部材４１と右ハウジング部材４２とを有し、左ハウジング部材４１と右ハウジング部材４２は、互いに固定されるフランジ部４１ａ、４２ａをそれぞれ有し、後輪２０の被取付部２１ａは、モータハウジング４０のフランジ部４１ａ、４２ａに対して右向に位置している。これによると、後輪２０をモータハウジング４０から取り外す際に後輪２０の被取付部２１ａがモータハウジング４０のフランジ部４１ａに干渉することを防ぐことができる。

　（５）後輪２０は、リム部２１と、リム部２１から内側に突出しているエアバルブ２２とを有している。モータハウジング４０は、左右方向において互いに組み合わされる右ハウジング部材４２と左ハウジング部材４１とを有している。右ハウジング部材４２と左ハウジング部材４１との間にはシール部材４３が配置され、車軸３１に直交する方向で見たときに、エアバルブ２２とシール部材４３は交差していない。この車両によると、電動モータ２０に十分な径を確保することが容易となる。

　（６）モータハウジングは４０、左右方向において互いに組み合わされる右ハウジング部材４２と左ハウジング部材４１とを有し、右ハウジング部材４２と左ハウジング部材４１は、互いに固定されるフランジ部４２ａ、４１ａをそれぞれ有し、後輪２０の側面視において、フランジ部４１ａ、４２ａの少なくとも一部はエアバルブ２２と重なっている。これによると、半径方向のサイズが大きな電動モータ（出力トルクが大きい電動モータ）を実現できる。

　（７）エアバルブ２２の端部はモータハウジング４０の外周面よりも左方に位置している。これによると、後輪２０がモータハウジング４０に取り付けられている状態でタイヤに空気を入れるために、空気ポンプから伸びているチューブの先端をエアバルブ２２に接続したとき、チューブの先端とモータハウジング４０の外周面との干渉を抑えることができる。

　（８）後輪２０は、リム部２１と、リム部２１から内側に突出しモータハウジング４０に取り付けられる被取付部２１ａとを有している。モータハウジング４０は、左右方向において互いに組み合わされる右ハウジング部材４２と左ハウジング部材４１とを有し、右ハウジング部材４２と左ハウジング部材４１は、互いに固定されるフランジ部４２ａ、４１ａをそれぞれ有し、エアバルブ２２はフランジ部４２ａ、４１ａよりも左方に位置し、被取付部２１ａはフランジ部４２ａ、４１ａに対して右方に位置してもよい。これによると、エアバルブ２２はフランジ部４２ａ、４１ａよりも左方に位置しているので、エアバルブ２２とフランジ部４２ａ、４１ａとが交差しないため、モータハウジング４０の半径方向でのサイズを大きくできる。「被取付部２１ａはフランジ部４２ａ、４１ａよりも右方に位置している」ので、後輪２０をモータハウジング４０から取り外す際に後輪２０の被取付部２１ａがモータハウジング４０のフランジ部４１ａ、４２ａに干渉することを防ぐことができる。

　１　電動二輪車、２　前輪、３　フロントフォーク、４　ハンドルバー、４ａ　グリップ、５　シート、６　フットボード、９　ピボット軸、１１　電装品、１３　タイヤ、１４　リアサスペンション、２０　後輪、２１　リム部、２１ａ　被取付部、２１ｂ　取付穴、２１ｃ　接続部、２２　エアバルブ、３０　電動モータ、３１　車軸、３１ａ　右端部、３１ｂ　ケーブル通路、３１ｃ　開口端、３１ｄ　開口端、３１ｅ　直線部、３１ｇ
　傾斜部、３１ｆ　環状部材、３１ｒ　左端部、３２　ステータフレーム、３２ａ　固定部、３２ｂ　ステータ取付部、３２ｃ　連結部、３２ｅ　傾斜部、３３　ステータ、３３ａ　鉄心、３３ｂ　コイル、３４　ロータ、３４ａ　永久磁石、３５　電気ケーブル、３５ａ　電線、３６　センサ基板、３７ａ　電線、３８　係合部材、３９ａ　シール部材、３９ｂ　シール部材、４０　モータハウジング、４１　左ハウジング部材、４１ａ　フランジ部、４１ｃ　収容凹部、４１ｄ　円筒壁部、４１ｅ　内側壁部、４１ｆ　側壁部、４１ｈ　溝、４１ｉ　左縁、４１ｊ　ハウジング取付部、４１ｋ　車輪取付部、４２　右ハウジング部材、４２ａ　フランジ部、４２ｂ　凹部、４２ｃ　ハウジング取付部、４２ｅ
　取付部、４３　シール部材、４４　シール部材、４５　ロータフレーム、４７　固定具、４８　摩擦材、４９　固定具、６１　左ベアリング、６２　右ベアリング、７０　リアアーム、７０Ｈ　部品ハウジング、７１　左アーム、７２　アーム後部材、７２ｉ　リブ、７２ｈ　リブ、７２ａ　軸保持部、７２ｂ　側壁部、７２ｃ　周壁部、７２ｅ　右突出部、７２ｆ　左突出部、７２ｊ　前壁部、７２ｋ　穴、７２ｎ　上壁部、７２ｐ　下壁部、７２ｑ　凹部、７２ｒ　サスペンション接続部、７２ｓ　凹部、７３　カバー部材、７３ａ　右縁部、７５　アーム前部材、７５ａ　取付部、７８　連結バー、７９　右アーム、８０　ブレーキ装置、８１ａ　ブレーキシュー、８１ｂ　ブレーキシュー、８２　カム、８２ａ　軸部、８３　支持軸、８４　レバー、１８０　ブレーキ装置、１８１　ディスク、１８２　パッド、１８３　ピストン、１８４　キャリパー。

 

Claims (8)

1. 　車輪と、
   　右方と左方のうち一方の方向である第１の方向にある第１の端部と、右方と左方のうち他方の方向である第２の方向にある第２の端部とを有している車軸と、
   　車体フレームに連結され、前記車軸の前記第１の端部を支持し、前記車軸の前記第２の端部を支持していないアームと、
   　前記車軸によって支持されているステータと、前記車軸によって回転可能に支持されているロータとを有している電動モータと、
   　前記ロータと前記ステータとを収容し且つ外部から区画されている収容室を構成し、前記ロータが内側に固定されているモータハウジングと、を有し、
   　前記車輪は、前記モータハウジングの外側に取り付けられており、且つ前記モータハウジングから前記第２の方向に取り外し可能である
   　ことを特徴とする鞍乗型電動車両。
2. 　前記モータハウジングは、左右方向で組み合わされる第１ハウジング部材と第２ハウジング部材とを有し、
   　前記第１ハウジング部材と前記第２ハウジング部材は、第１の固定具によって互いに取り付けられ、
   　前記車輪は、前記第１の固定具とは異なる第２の固定具によって前記第１ハウジング部材と前記第２ハウジング部材のうち少なくとも一方に取り付けられている
   　ことを特徴とする請求項１に記載の鞍乗型電動車両。
3. 　前記車輪は前記第１の固定具を覆う部分を有している
   　ことを特徴とする請求項２に記載の鞍乗型電動車両。
4. 　前記車輪は、リム部と、前記リム部から内側に突出し前記モータハウジングに取り付けられる被取付部とを有し、
   　前記モータハウジングは、左右方向において互いに組み合わされる右ハウジング部材と左ハウジング部材とを有し、
   　前記右ハウジング部材と前記左ハウジング部材は、互いに固定されるフランジ部をそれぞれ有し、
   　前記車輪の前記被取付部は、前記モータハウジングの前記フランジ部に対して前記第２の方向に位置している
   　ことを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の鞍乗型電動車両。
5. 　前記車輪は、リム部と、前記リム部から内側に突出しているエアバルブとを有し、
   　前記モータハウジングは、左右方向において互いに組み合わされる右ハウジング部材と左ハウジング部材とを有し、
   　前記右ハウジング部材と前記左ハウジング部材との間にシール部材が配置され、
   　前記車軸に直交する方向で見たときに、前記エアバルブと前記シール部材は交差しない
   　ことを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載の鞍乗型電動車両。
6. 　前記モータハウジングは、左右方向において互いに組み合わされる右ハウジング部材と左ハウジング部材とを有し、
   　前記右ハウジング部材と前記左ハウジング部材は、互いに固定されるフランジ部をそれぞれ有し、
   　前記車輪の側面視において、前記フランジ部の少なくとも一部は前記エアバルブと重なっている
   　ことを特徴とする請求項５に記載の鞍乗型電動車両。
7. 　前記エアバルブの端部は前記モータハウジングの外周面よりも前記第１の方向に位置している
   　ことを特徴とする請求項５に記載の鞍乗型電動車両。
8. 　前記車輪は、リム部と、前記リム部から内側に突出し前記モータハウジングに取り付けられる被取付部とを有し、
   　前記モータハウジングは、左右方向において互いに組み合わされる右ハウジング部材と左ハウジング部材とを有し、
   　前記右ハウジング部材と前記左ハウジング部材は、互いに固定されるフランジ部をそれぞれ有し、
   　前記エアバルブは前記フランジ部よりも前記第１の方向に位置し、
   　前記被取付部は前記フランジ部に対して前記第２の方向に位置している
   　ことを特徴とする請求項１に記載の鞍乗型電動車両。
   
    

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