WO2019102558A1

WO2019102558A1 - 作業機

Info

Publication number: WO2019102558A1
Application number: PCT/JP2017/042065
Authority: WO
Inventors: 松本拓也
Original assignee: 本田技研工業株式会社
Priority date: 2017-11-22
Filing date: 2017-11-22
Publication date: 2019-05-31
Also published as: DE112017008222T5; US11585394B2; DE112017008222B4; US20200340539A1

Abstract

作業機（１０）は、駆動源（２６）とホイール（２０）との間の動力伝達経路上に設けられたクラッチ機構（４６）を備える。クラッチ機構（４６）は、駆動源（２６）からの駆動力が伝達される駆動シャフト（５２）と、駆動シャフト（５２）に対して可動に設けられたキー部材（５４）と、キー部材（５４）を介して駆動シャフト（５２）により駆動される従動部材（５６）と、キー部材（５４）を従動部材（５６）に向かって付勢する付勢部材（５８）と、係合溝（８８）及びガイド部（９０）を有し駆動シャフト（５２）と同軸に回転可能に設けられたラチェットホルダ（６０）とを備える。

Description

作業機

　本発明は、駆動シャフトとホイールとの間にクラッチ機構を備えた作業機に関する。

　作業機の一種として、例えば、ロータリ式芝刈機が知られている（例えば、米国特許出願公開第２００５／０１６６５６５号明細書参照）。ロータリ式芝刈機は、下方が開放されているハウジング内に収納されたカッタブレードを、芝草に沿って回転させることにより、芝草を刈るものである。この種の芝刈機は、エンジン等の駆動源と、駆動源の駆動力を車輪に伝達する伝達装置とを備える。伝達装置は、駆動源の駆動力により回転する駆動シャフトを有する。

　ところで、駆動源の停止時に作業者が作業機を移動させる際に、駆動シャフトとホイールとが動力伝達可能な状態に連結されていると、駆動源とホイールとが連結されている状態であるため、作業機を移動させるのに作業者に大きな負担がかかる。そこで、駆動シャフトとホイールとの間に、キー部材を備えたワンウェイクラッチ機構を配置することにより、駆動源の停止時に作業者が作業機を押してホイールを正転させた際に、駆動シャフトとホイールとの間の動力伝達が切り離される構成とすることが考えられる。この構成によれば、駆動源の停止時に作業者は作業機を容易に前進させることができる。

　しかしながら、ワンウェイクラッチ機構を採用した作業機では、駆動源の停止時にホイールを逆転させる際には、駆動シャフトとホイールとは機構的に切り離されないため、駆動シャフトに対してホイールを空転させることができない。このため、作業機を後退させる際に作業者に大きな負担がかかる。

　本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、駆動源の停止時に前進及び後進の両方向において駆動シャフトに対してホイールを空転させることが可能な作業機を提供することを目的とする。

　上記の目的を達成するため、本発明は、駆動源と、駆動源の駆動力により駆動される走行用のホイールと、前記駆動源と前記ホイールとの間の動力伝達経路上に設けられたクラッチ機構と、を備えた作業機であって、前記クラッチ機構は、前記駆動源からの駆動力が伝達される駆動シャフトと、前記駆動シャフトに対して可動に設けられたキー部材と、前記駆動シャフトと同軸に回転可能に設けられ、前記キー部材を介して前記駆動シャフトにより駆動される従動部材と、前記キー部材を前記従動部材に向かって弾性的に付勢する付勢部材と、前記キー部材と係合可能な係合溝と、前記キー部材をガイドするガイド部とを有し、前記駆動シャフトと同軸に回転可能に設けられたラチェットホルダと、を備え、前記駆動源の駆動力に基づいて前記駆動シャフトが第１回転方向に回転する際、前記従動部材は、前記駆動シャフトにより前記キー部材を介して前記第１回転方向に回転駆動され、前記従動部材が前記ホイールからの力の伝達により前記第１回転方向に回転する際、前記従動部材は、前記付勢部材の付勢力に抗して前記キー部材を前記駆動シャフトに押し込みながら、前記駆動シャフトに対して第１回転方向に回転し、前記従動部材が前記ホイールからの力の伝達により前記第１回転方向とは逆方向の第２回転方向に回転する際、前記ラチェットホルダの前記ガイド部が前記キー部材を前記駆動シャフトに押し込むことにより前記キー部材と前記従動部材との係合が解除され、前記従動部材は、前記駆動シャフトに対して前記第２回転方向に回転する。

　上記の構成を備えた作業機によれば、従動部材が第１回転方向に回転する際に、従動部材自体がキー部材を駆動シャフトに押し込むため、従動部材は駆動シャフトに対して第１回転方向に空転することができる。また、従動部材が第２回転方向に回転する際に、キー部材と従動部材との係合が解除されるため、従動部材は駆動シャフトに対して第２回転方向に空転することができる。従って、この作業機によれば、駆動源の停止時に前進及び後進の両方向において駆動シャフトに対してホイールを空転させることが可能である。これにより、駆動源の停止時に作業機の移動を容易に行うことが可能となる。

　前記駆動源を制御する制御ユニットを備え、前記制御ユニットは、作業者の停止操作に基づいて前記駆動源を停止した後、前記駆動シャフトを前記第２回転方向に所定角度だけ回転させることにより前記キー部材と前記従動部材との係合が解除されるように前記駆動源を制御してもよい。

　この構成により、駆動源の停止時には常にホイールを動力系から切り離すことができるため、駆動源の停止後に作業者がホイールを逆転させる必要がない。よって、作業者の負担が一層軽減される。

　前記クラッチ機構は、前記ラチェットホルダを保持するとともに前記ラチェットホルダに所定以上の回転力が作用した際に前記ラチェットホルダの回転を許容する保持部材を備えてもよい。

　これにより、簡単な構成で、保持部材にかかる力に応じてラチェットホルダの回転・非回転をコントロールすることができる。

　前記駆動源の駆動力に基づいて前記駆動シャフトが前記第１回転方向に回転する際、前記ラチェットホルダは、前記保持部材に対して摺動しながら前記第１回転方向に回転してもよい。

　この構成により、駆動源の駆動力に基づいて駆動シャフトを第１回転方向に支障なく回転させることができる。

　前記従動部材が前記ホイールからの力の伝達により前記第２回転方向に回転する際、前記保持部材により前記ラチェットホルダの前記第２回転方向への回転が抑止されてもよい。

　この構成により、駆動シャフトの第２回転方向への回転に伴ってガイド部によりキー部材を確実に押し込むことができる。

　前記保持部材は、弾性力で前記ラチェットホルダを挟み込むフリクションスプリングであってもよい。

　これにより、簡単な構成で、ラチェットホルダの回転を所定条件下で規制することができる。

　前記キー部材と前記従動部材との係合が解除される位置まで前記駆動シャフトが移動したときに前記ラチェットホルダと前記駆動シャフトとの相対回転を停止させる規制構造が、前記ラチェットホルダと前記駆動シャフトとの間に設けられていてもよい。

　この構成により、ラチェットホルダと駆動シャフトとの回転方向の位相が維持されるため、キー部材が駆動シャフト内に押し込まれた状態を確実に保持できる。

　前記規制構造は、前記駆動シャフトから径方向外方に突出した規制突起部と、前記ラチェットホルダに設けられ前記規制突起部が挿入された円弧状溝とからなるものでもよい。

　これにより、簡単な構成で、駆動シャフトが第２回転方向に所定角度回転した時点で、ラチェットホルダと駆動シャフトとの相対回転を停止させることができる。

　前記キー部材は、前記従動部材と係合可能な第１係合部と、前記ラチェットホルダの前記係合溝と係合可能な第２係合部とを有するとともに、前記駆動シャフトに対して傾動可能に設けられ、前記キー部材の傾動支点と前記第２係合部との間に、前記第１係合部が設けられていてもよい。

　この構成により、駆動シャフトと、従動部材及びラチェットホルダとの回転方向の位相に応じて、キー部材を好適に動作させることができる。

　前記付勢部材は、前記キー部材における前記第２係合部と前記傾動支点との間の部位を付勢するように前記キー部材と前記駆動シャフトとの間に配置されていてもよい。

　この構成により、キー部材を好適に傾動させることができる。

　前記駆動シャフトには、前記傾動支点を有する傾動サポート部材が固定されていてもよい。

　これにより、簡単な構成で、駆動シャフトに対してキー部材を傾動させることができる。

　前記傾動サポート部材は、径方向内方に突出し且つ前記傾動支点として機能する内方突起を有するリング状のワッシャ部材として構成されており、前記ワッシャ部材により前記駆動シャフトからの前記従動部材の抜け止めがなされてもよい。

　これにより、傾動サポート部材は、従動部材の抜け止めとしての機能と、キー部材用の傾動支点としての機能を兼ねるため、構成の合理化が図られる。

　前記キー部材は、前記内方突起が挿入された溝部を有してもよい。

　この構成により、駆動シャフトに対するキー部材の軸方向のズレが防止される。

　前記ホイールの内周部は、内歯車として構成されており、前記従動部材は、前記ホイールの内歯車と噛み合うギヤ部材であってもよい。

　前記作業機は、芝刈機であってもよい。

本発明の実施形態に係る作業機の側面図である。ホイール及びクラッチ機構の斜視断面図である。クラッチ機構の斜視断面図である。クラッチ機構の軸方向に沿った断面図である。図５Ａは、図４におけるＶＡ－ＶＡ線に沿った断面図である。図５Ｂは、図４におけるＶＢ－ＶＢ線に沿った断面図である。図６Ａは、駆動シャフト正転時（駆動力伝達時）の駆動シャフト及び従動部材の動作説明図である。図６Ｂは、駆動シャフト正転時（駆動力伝達時）の駆動シャフト及びラチェットホルダの動作説明図である。図７Ａは、ホイール正転時の駆動シャフト及び従動部材の動作説明図である。図７Ｂは、ホイール正転時の駆動シャフト及びラチェットホルダの動作説明図である。図８Ａは、ホイール逆転時の駆動シャフト及び従動部材の動作説明図である。図８Ｂは、ホイール逆転時の駆動シャフト及びラチェットホルダの動作説明図である。図９Ａは、駆動シャフト逆転時の駆動シャフト及び従動部材の動作説明図である。図９Ｂは、駆動シャフト逆転時の駆動シャフト及びラチェットホルダの動作説明図である。

　以下、本発明に係る作業機について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。

　図１に示す本実施形態に係る作業機１０は、芝草を刈る歩行型自走式の芝刈機１２である。図１において、矢印Ｆｒは芝刈機１２の前方（作業者から見た前方と同じ）を示し、矢印Ｒｒは芝刈機１２の後方（作業者から見た後方と同じ）を示す。芝刈機１２について、「右側」及び「左側」とは、芝刈機１２を使用する作業者から見て、それぞれ右側及び左側である。

　芝刈機１２は、機体１６と、機体１６の前部に配置された左右のホイール１８（フロントホイール）と、機体１６の後部に配置された左右のホイール２０（リアホイール）と、機体１６の底部に配置された芝刈用のカッタブレード２２と、機体１６から後方に延出した操作ハンドル２４と、機体１６の後部に取り付けられた刈り芝収納体２５とを備える。

　機体１６には、機体１６の外形を構成するハウジング３２を備えるとともに、カッタブレード２２及びホイール２０の駆動源２６であるモータ２６Ａが搭載されている。ハウジング３２は、地面（芝地）に対向する部分だけが下方に開放されたケーシングである。

　ハウジング３２は、下方が開放した下部ハウジング３２Ｌと、下部ハウジング３２Ｌの上部から上方に突出した上部ハウジング３２Ｕとを有する。上部ハウジング３２Ｕ内に、モータ２６Ａと、モータ２６Ａに電力を供給するバッテリ２７と、モータ２６Ａを制御する制御ユニット３０とが配置されている。下部ハウジング３２Ｌの内側にカッタブレード２２が収容されている。

　モータ２６Ａは、下方に突出するとともにハウジング３２内まで延出した出力軸２６ａを有する。カッタブレード２２は、ブレードホルダ２３を介してモータ２６Ａの出力軸２６ａに連結されており、出力軸２６ａから回転駆動力が伝達されて回転する。カッタブレード２２は、プレート状の細長い部材（いわゆるバーブレード）である。

　モータ２６Ａで発生させた駆動力は、出力軸２６ａに連結された動力伝達機構３４及び動力方向変換機構３６を介して、走行駆動力として左右のホイール２０に伝達される。従って、左右のホイール２０は、駆動輪として構成されている。モータ２６Ａで発生させた駆動力は、前輪である左右のホイール１８に伝達されてもよい。

　本実施形態において、動力伝達機構３４は、ベルト機構３４Ａの形態を有する。ベルト機構３４Ａは、出力軸２６ａに固定された駆動プーリ３８と、動力方向変換機構３６に連結された従動プーリ４０と、駆動プーリ３８と従動プーリ４０とに巻き掛けられた駆動ベルト４２とを有する。動力方向変換機構３６は、例えば複数の傘歯車を有する機構であり、鉛直方向の軸回りの回転駆動力を、機体１６の左右方向に延びる軸回りの回転駆動力に変換する。モータ２６Ａと左側のホイール２０との間の動力伝達経路上、及び、モータ２６Ａと右側のホイール２０との間の動力伝達経路上には、それぞれ、クラッチ機構４６が設けられている。すなわち、クラッチ機構４６は、左右のホイール２０に対応して２つ設けられている。左右のクラッチ機構４６は、左右対称に構成されている以外は同じ構成であるため、以下では代表的に左側のクラッチ機構４６について説明し、右側のクラッチ機構４６の構成については説明を省略する。

　図２に示すように、駆動輪であるホイール２０は、左右方向に延在する車輪支持軸４８により回転可能に支持されている。ホイール２０の内周部は、内歯車５０として構成されている。本実施形態では、クラッチ機構４６は、ホイール２０の中心（車輪支持軸４８）に対して偏心した位置に配置されている。なお、クラッチ機構４６は、ホイール２０と同軸に配置されてもよい。

　図２及び図３に示すように、クラッチ機構４６は、モータ２６Ａからの駆動力が伝達される駆動シャフト５２と、駆動シャフト５２に対して可動に設けられたキー部材５４と、駆動シャフト５２と同軸に回転可能に設けられた従動部材５６と、キー部材５４を従動部材５６に向かって弾性的に付勢する付勢部材５８と、駆動シャフト５２と同軸に回転可能に設けられたラチェットホルダ６０と、ラチェットホルダ６０を保持する保持部材６２とを備える。

　駆動シャフト５２は、機体１６の左右方向に水平に配置されており、上述した動力方向変換機構３６（図１参照）に連結されている。従って、駆動シャフト５２は、モータ２６Ａ（図１）により回転駆動される。図４に示すように、駆動シャフト５２は、軸受６４により回転可能に支持されている。駆動シャフト５２の端部５２ａには、駆動シャフト５２の軸方向に延在するキー配置溝６６が設けられている。キー配置溝６６は、駆動シャフト５２の外周面及び軸方向の端面にて開口している。キー配置溝６６にキー部材５４が配置されている。

　キー部材５４は、棒状に構成されており、従動部材５６及びラチェットホルダ６０の内側で、駆動シャフト５２に対して傾動可能に設けられている。キー部材５４は、長手方向の第１端部５４ａと第２端部５４ｂとを有し、第１端部５４ａにおいて、駆動シャフト５２に固定された傾動サポート部材６８と係合している。図３及び図４に示すように、傾動サポート部材６８は、径方向内方に突出し且つキー部材５４の傾動支点として機能する内方突起７０を有するリング状のワッシャ部材６８Ａとして構成されている。

　ワッシャ部材６８Ａは、従動部材５６の軸方向の一端部である第１端部５６ａに当接している。ワッシャ部材６８Ａに隣接して拘束部品７２が配置されている。拘束部品７２は、駆動シャフト５２の外周部に設けられた周方向溝７４に嵌合している。ワッシャ部材６８Ａ及び拘束部品７２により駆動シャフト５２からの従動部材５６の抜け止めがなされている。

　駆動シャフト５２が回転する際、キー部材５４は、駆動シャフト５２と一体に回転する。キー部材５４は、従動部材５６と係合可能な第１係合部７５と、ラチェットホルダ６０の係合溝８８と係合可能な第２係合部７６とを有する。キー部材５４は、駆動シャフト５２のキー配置溝６６から出没するように傾動可能である。図３及び図４では、駆動シャフト５２に対してキー部材５４が傾斜し、第１係合部７５及び第２係合部７６がキー配置溝６６から突出した状態となっている。キー部材５４の傾動支点と第２係合部７６との間に、第１係合部７５が設けられている。第２係合部７６は、従動部材５６から突出している。キー部材５４は、ワッシャ部材６８Ａの内方突起７０が挿入された溝部７８を有する。溝部７８は、キー部材５４の第１端部５４ａに設けられている。

　従動部材５６は、キー部材５４を介して駆動シャフト５２により駆動される。本実施形態において、従動部材５６は、ホイール２０の内歯車５０と噛み合うギヤ部材であり、外周部には歯部５６ｃが設けられている。図５Ａに示すように、従動部材５６の内周部には、キー部材５４と係合可能な係合溝８０と、キー部材５４を径方向内方にガイドするガイド部８２とを有する第１凹形状８４が、周方向に間隔を置いて複数（本実施形態では、３個）設けられている。ガイド部８２は、係合溝８０に連なるとともに、係合溝８０の底部から周方向に離れるにつれて従動部材５６の中心に近づくように湾曲している。複数の第１凹形状８４の間には、駆動シャフト５２の外周面によって支持される支持内面８５が設けられている。

　図３及び図４に示すように、付勢部材５８は、キー部材５４における第２係合部７６と傾動支点との間の部位を付勢するようにキー部材５４と駆動シャフト５２との間に配置されている。具体的に、駆動シャフト５２には、キー配置溝６６と連通する保持溝８６が設けられており、保持溝８６に付勢部材５８が配置（挿入）されている。付勢部材５８は、圧縮スプリングの形態を有し、一端がキー部材５４に当接し、キー部材５４を従動部材５６及びラチェットホルダ６０に向かって弾性的に付勢している。

　ラチェットホルダ６０は、円形の外周部を有する。ラチェットホルダ６０は、従動部材５６に隣接して配置されている。本実施形態では、ラチェットホルダ６０は、従動部材５６の軸方向の他端部である第２端部５６ｂに当接している。図５Ｂに示すように、ラチェットホルダ６０の内周部には、キー部材５４と係合可能な係合溝８８と、キー部材５４を径方向内方にガイドするガイド部９０とを有する第２凹形状９２が設けられている。

　第２凹形状９２は、従動部材５６に設けられた第１凹形状８４と同じ形状を有する。従って、第２凹形状９２のガイド部９０は、係合溝８８に連なるとともに、係合溝８８の底部から周方向に離れるにつれてラチェットホルダ６０の中心に近づくように湾曲している。第２凹形状９２の周方向両側には、係合溝８８及びガイド部９０にそれぞれ連なって、駆動シャフト５２の外周面によって支持される支持内面９３が設けられている。

　キー部材５４と従動部材５６との係合が解除される位置まで駆動シャフト５２が移動したときにラチェットホルダ６０と駆動シャフト５２との相対回転を停止させる規制構造９４が、ラチェットホルダ６０と駆動シャフト５２との間に設けられている。具体的に、規制構造９４は、駆動シャフト５２から径方向外方に突出した規制突起部９６と、ラチェットホルダ６０に設けられ規制突起部９６が挿入された円弧状溝９８とからなる。

　本実施形態において、規制突起部９６は、駆動シャフト５２に固定（圧入）されたピンである。なお、規制突起部９６は、駆動シャフト５２に一体に設けられた突起であってもよい。円弧状溝９８は、規制突起部９６がラチェットホルダ６０に対して周方向に所定角度（本実施形態では、９０°）だけ相対移動できる長さで円弧状に延在している。円弧状溝９８は、２つの支持内面９３の間に設けられている。

　保持部材６２は、ラチェットホルダ６０に所定以上の回転力が作用した際にラチェットホルダ６０の回転を許容するようにラチェットホルダ６０を保持する。図２に示すように、保持部材６２は、機体１６に回転不可能に固定されたプレート１００に、回転不可能に取り付けられている。図３及び図５Ｂに示すように、保持部材６２は、弾性力でラチェットホルダ６０を挟み込むフリクションスプリング６２Ａである。具体的に、フリクションスプリング６２Ａは、一対のアーム部１０２を有するＵ字形状に構成されており、一対のアーム部１０２間にラチェットホルダ６０を挟持している。一対のアーム部１０２の各々は、弧状の湾曲部１０３を有し、各湾曲部１０３がラチェットホルダ６０の外周部に当接している。

　図４に示すように、ラチェットホルダ６０の外周部には外方に突出した環状フランジ１０４が設けられている。ラチェットホルダ６０に隣接してリング部材１０６が配置されている。環状フランジ１０４とリング部材１０６との間に形成された環状凹部１０８に、フリクションスプリング６２Ａの湾曲部１０３が配置されている。これにより、フリクションスプリング６２Ａとラチェットホルダ６０との軸方向のズレが防止されている。

　次に、上記のように構成された作業機１０（芝刈機１２）の作用を説明する。

　図１に示す芝刈機１２において、モータ２６Ａの駆動作用下にカッタブレード２２が平面視で時計回り方向に回転すると、カッタブレード２２によって、芝刈機１２の真下の芝地に生えた芝草が刈り取られる。この際、下部ハウジング３２Ｌ内にカッタブレード２２と同方向に旋回する空気の流れ（旋回風）が発生する。そして、刈り取られた芝草（刈り芝）は、発生した搬送風（旋回風）によって刈り芝収納体２５に送り込まれる。

　一方、モータ２６Ａの駆動力は、動力伝達機構３４、動力方向変換機構３６及びクラッチ機構４６を介して、駆動輪であるホイール２０に伝達される。これにより、ホイール２０が第１回転方向（矢印Ｒ１方向）に回転（正転）し、芝刈機１２が前進する。この場合、図６Ａに示すように、モータ２６Ａの駆動力に基づいて駆動シャフト５２が第１回転方向に回転する際、従動部材５６は、回転する駆動シャフト５２によりキー部材５４を介して第１回転方向に回転駆動される。その際、図６Ｂに示すように、キー部材５４は駆動シャフト５２のキー配置溝６６から突出してラチェットホルダ６０の係合溝８８に係合している。このため、駆動シャフト５２の回転に伴って、ラチェットホルダ６０は、保持部材６２の保持力（把持力）に抗して第１回転方向に回転（正転）する。

　モータ２６Ａが停止している状態では、クラッチ機構４６は以下のように動作する。

　図７Ａに示すように、従動部材５６がホイール２０からの力の伝達により第１回転方向に回転する際、従動部材５６は、付勢部材５８の付勢力に抗してキー部材５４を駆動シャフト５２に押し込みながら、非回転の駆動シャフト５２に対して第１回転方向に回転する。すなわち、従動部材５６が第１回転方向に回転すると、回転するガイド部８２によりキー部材５４が径方向内方に押されてキー配置溝６６内へと移動する。これにより、従動部材５６は駆動シャフト５２に対して第１回転方向に空転することができる。この際、図７Ｂに示すように、ラチェットホルダ６０は保持部材６２（フリクションスプリング６２Ａ）により保持されているため、回転することはない。

　図８Ａに示すように、従動部材５６がホイール２０からの力の伝達により第２回転方向（矢印Ｒ２方向）に回転（逆転）する際、駆動シャフト５２は、係合溝８０と係合したキー部材５４を介して、従動部材５６から第２回転方向の回転力を受ける。このため、駆動シャフト５２は、従動部材５６とともに第２回転方向に回転し始める。その際、図８Ｂに示すように、第２回転方向に回転するキー部材５４は、保持部材６２に保持されることで回転が拘束されたラチェットホルダ６０の内周形状（ガイド部９０及び支持内面９３）により径方向内方に押し込まれてキー配置溝６６内へと導かれる。

　この結果、キー部材５４と従動部材５６との係合が解除される。この場合、駆動シャフト５２がラチェットホルダ６０に対して第２回転方向に所定角度（本実施形態では９０°）回転した時点で、規制突起部９６が円弧状溝９８の端部壁９８ａに当接することにより、ラチェットホルダ６０と駆動シャフト５２の回転方向の位相が維持される。従って、図８Ａに示すように、キー部材５４はキー配置溝６６内に押し込まれた状態で保持される。このため、従動部材５６は、駆動シャフト５２に対して第２回転方向に空転することができる。また、図８Ｂの状態が維持されている間は、従動部材５６は、駆動シャフト５２に対して第１回転方向に空転することもできる。

　図８Ａ及び図８Ｂの場合、モータ２６Ａの停止後に作業者がホイール２０を逆転させる必要がある。そこで、制御ユニット３０（図１）は、作業者の停止操作に基づいてモータ２６Ａを停止した後、駆動シャフト５２を第２回転方向に所定角度だけ回転させることによりキー部材５４と従動部材５６との係合が解除されるようにモータ２６Ａを制御してもよい。この場合、具体的には、図９Ａ及び図９Ｂに示すように、モータ２６Ａの駆動力により駆動シャフト５２を所定角度（本実施形態では、９０°）だけ第２回転方向に回転させると、キー部材５４は従動部材５６の内周形状（ガイド部８２及び支持内面８５）又はラチェットホルダ６０の内周形状（ガイド部９０及び支持内面９３）によりキー配置溝６６内に押し込まれる。

　その際、図９Ｂに示すように、駆動シャフト５２がラチェットホルダ６０に対して第２回転方向に所定角度（本実施形態では９０°）回転した時点で、規制突起部９６が円弧状溝９８の端部壁９８ａに当接することにより、ラチェットホルダ６０と駆動シャフト５２の回転方向の位相が維持される。従って、キー部材５４はキー配置溝６６内に押し込まれた状態で保持される。このため、従動部材５６は、駆動シャフト５２に対して第１回転方向及び第２回転方向の両方に空転可能である。

　本実施形態に係る作業機１０（芝刈機１２）は、以下の効果を奏する。

　作業機１０によれば、従動部材５６が第１回転方向（矢印Ｒ１方向）に回転する際に、従動部材５６自体がキー部材５４を駆動シャフト５２に押し込むため、従動部材５６は駆動シャフト５２に対して第１回転方向に空転することができる（図７Ａ、図７Ｂ）。また、従動部材５６が第２回転方向（矢印Ｒ２方向）に回転する際に、キー部材５４と従動部材５６との係合が解除されるため、従動部材５６は駆動シャフト５２に対して第２回転方向に空転することができる（図８Ａ、図８Ｂ）。従って、この作業機１０によれば、モータ２６Ａの停止時に前進及び後進の両方向において駆動シャフト５２に対してホイール２０を空転させることが可能である。これにより、モータ２６Ａの停止時に作業機１０の移動を容易に行うことが可能となる。

　制御ユニット３０は、作業者の停止操作に基づいてモータ２６Ａを停止した後、駆動シャフト５２を第２回転方向に所定角度だけ回転させることによりキー部材５４と従動部材５６との係合が解除されるようにモータ２６Ａを制御する（図９Ａ、図９Ｂ）。この構成により、モータ２６Ａの停止時には常にホイール２０を動力系から切り離すことができるため、モータ２６Ａの停止後に作業者がホイール２０を逆転させる必要がない。よって、作業者の負担が一層軽減される。

　クラッチ機構４６は、ラチェットホルダ６０を保持するとともにラチェットホルダ６０に所定以上の回転力が作用した際にラチェットホルダ６０の回転を許容する保持部材６２を備える。これにより、簡単な構成で、保持部材６２にかかる力に応じてラチェットホルダ６０の回転・非回転をコントロールすることができる。

　モータ２６Ａの駆動力に基づいて駆動シャフト５２が第１回転方向に回転する際、ラチェットホルダ６０は、保持部材６２に対して摺動しながら第１回転方向に回転する（図６Ｂ）。この構成により、モータ２６Ａの駆動力に基づいて駆動シャフト５２を第１回転方向に支障なく回転させることができる。

　従動部材５６がホイール２０からの力の伝達により第２回転方向に回転する際、保持部材６２によりラチェットホルダ６０の第２回転方向への回転が抑止される（図８Ｂ）。この構成により、駆動シャフト５２の第２回転方向への回転に伴って、ラチェットホルダ６０の内周形状によりキー部材５４を確実に押し込むことができる。

　保持部材６２は、弾性力でラチェットホルダ６０を挟み込むフリクションスプリング６２Ａである。これにより、簡単な構成で、ラチェットホルダ６０の回転を所定条件下で規制することができる。

　キー部材５４と従動部材５６との係合が解除される位置まで駆動シャフト５２が移動したときにラチェットホルダ６０と駆動シャフト５２との相対回転を停止させる規制構造９４が、ラチェットホルダ６０と駆動シャフト５２との間に設けられている。この構成により、キー部材５４と従動部材５６との係合が解除される位置まで駆動シャフト５２が移動した時点で、ラチェットホルダ６０と駆動シャフト５２との回転方向の位相が維持される（図８Ｂ、図９Ｂ）。このため、キー部材５４が駆動シャフト５２内に押し込まれた状態を確実に保持できる。

　規制構造９４は、駆動シャフト５２から径方向外方に突出した規制突起部９６と、ラチェットホルダ６０に設けられ規制突起部９６が挿入された円弧状溝９８とからなる。これにより、簡単な構成で、駆動シャフト５２が第２回転方向に所定角度回転した時点で、ラチェットホルダ６０と駆動シャフト５２との相対回転を停止させることができる。

　キー部材５４は、従動部材５６と係合可能な第１係合部７５と、ラチェットホルダ６０の係合溝８８と係合可能な第２係合部７６とを有するとともに、駆動シャフト５２に対して傾動可能に設けられている。そして、キー部材５４の傾動支点と第２係合部７６との間に、第１係合部７５が設けられている。この構成により、駆動シャフト５２と、従動部材５６及びラチェットホルダ６０との回転方向の位相に応じて、キー部材５４を好適に動作させることができる。

　付勢部材５８は、キー部材５４における第２係合部７６と傾動支点との間の部位を付勢するようにキー部材５４と駆動シャフト５２との間に配置されている。この構成により、キー部材５４を好適に傾動させることができる。

　駆動シャフト５２には、傾動支点を有する傾動サポート部材６８が固定されている。これにより、簡単な構成で、駆動シャフト５２に対してキー部材５４を傾動させることができる。

　傾動サポート部材６８は、径方向内方に突出し且つ傾動支点として機能する内方突起７０を有するリング状のワッシャ部材６８Ａとして構成されており、ワッシャ部材６８Ａにより駆動シャフト５２からの従動部材５６の抜け止めがなされる。これにより、傾動サポート部材６８は、従動部材５６の抜け止めとしての機能と、キー部材５４用の傾動支点としての機能を兼ねるため、構成の合理化が図られる。

　キー部材５４は、内方突起７０が挿入された溝部７８を有する。この構成により、駆動シャフト５２に対するキー部材５４の軸方向のズレが防止される。

　本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。

Claims

　駆動源（２６）と、
　駆動源（２６）の駆動力により駆動される走行用のホイール（２０）と、
　前記駆動源（２６）と前記ホイール（２０）との間の動力伝達経路上に設けられたクラッチ機構（４６）と、を備えた作業機（１０）であって、
　前記クラッチ機構（４６）は、
　前記駆動源（２６）からの駆動力が伝達される駆動シャフト（５２）と、
　前記駆動シャフト（５２）に対して可動に設けられたキー部材（５４）と、
　前記駆動シャフト（５２）と同軸に回転可能に設けられ、前記キー部材（５４）を介して前記駆動シャフト（５２）により駆動される従動部材（５６）と、
　前記キー部材（５４）を前記従動部材（５６）に向かって付勢する付勢部材（５８）と、
　前記キー部材（５４）と係合可能な係合溝（８８）と、前記キー部材（５４）をガイドするガイド部（９０）とを有し、前記駆動シャフト（５２）と同軸に回転可能に設けられたラチェットホルダ（６０）と、を備え、
　前記駆動源（２６）の駆動力に基づいて前記駆動シャフト（５２）が第１回転方向（Ｒ１）に回転する際、前記従動部材（５６）は、前記駆動シャフト（５２）により前記キー部材（５４）を介して前記第１回転方向（Ｒ１）に回転駆動され、
　前記従動部材（５６）が前記ホイール（２０）からの力の伝達により前記第１回転方向（Ｒ１）に回転する際、前記従動部材（５６）は、前記付勢部材（５８）の付勢力に抗して前記キー部材（５４）を前記駆動シャフト（５２）に押し込みながら、前記駆動シャフト（５２）に対して前記第１回転方向（Ｒ１）に回転し、
　前記従動部材（５６）が前記ホイール（２０）からの力の伝達により前記第１回転方向（Ｒ１）とは逆方向の第２回転方向（Ｒ２）に回転する際、前記ラチェットホルダ（６０）の前記ガイド部（９０）が前記キー部材（５４）を前記駆動シャフト（５２）に押し込むことにより前記キー部材（５４）と前記従動部材（５６）との係合が解除され、前記従動部材（５６）は、前記駆動シャフト（５２）に対して前記第２回転方向（Ｒ２）に回転する、
　ことを特徴とする作業機（１０）。
　請求項１記載の作業機（１０）において、
　前記駆動源（２６）を制御する制御ユニット（３０）を備え、
　前記制御ユニット（３０）は、作業者の停止操作に基づいて前記駆動源（２６）を停止した後、前記駆動シャフト（５２）を前記第２回転方向（Ｒ２）に所定角度だけ回転させることにより前記キー部材（５４）と前記従動部材（５６）との係合が解除されるように前記駆動源（２６）を制御する、
　ことを特徴とする作業機（１０）。
　請求項１記載の作業機（１０）において、
　前記クラッチ機構（４６）は、前記ラチェットホルダ（６０）を保持するとともに前記ラチェットホルダ（６０）に所定以上の回転力が作用した際に前記ラチェットホルダ（６０）の回転を許容する保持部材（６２）を備える、
　ことを特徴とする作業機（１０）。
　請求項３記載の作業機（１０）において、
　前記駆動源（２６）の駆動力に基づいて前記駆動シャフト（５２）が前記第１回転方向（Ｒ１）に回転する際、前記ラチェットホルダ（６０）は、前記保持部材（６２）に対して摺動しながら前記第１回転方向（Ｒ１）に回転する、
　ことを特徴とする作業機（１０）。
　請求項３記載の作業機（１０）において、
　前記従動部材（５６）が前記ホイール（２０）からの力の伝達により前記第２回転方向（Ｒ２）に回転する際、前記保持部材（６２）により前記ラチェットホルダ（６０）の前記第２回転方向（Ｒ２）への回転が抑止される、
　ことを特徴とする作業機（１０）。
　請求項３記載の作業機（１０）において、
　前記保持部材（６２）は、弾性力で前記ラチェットホルダ（６０）を挟み込むフリクションスプリング（６２Ａ）である、
　ことを特徴とする作業機（１０）。
　請求項１記載の作業機（１０）において、
　前記キー部材（５４）と前記従動部材（５６）との係合が解除される位置まで前記駆動シャフト（５２）が移動したときに前記ラチェットホルダ（６０）と前記駆動シャフト（５２）との相対回転を停止させる規制構造（９４）が、前記ラチェットホルダ（６０）と前記駆動シャフト（５２）との間に設けられている、
　ことを特徴とする作業機（１０）。
　請求項７記載の作業機（１０）において、
　前記規制構造（９４）は、前記駆動シャフト（５２）から径方向外方に突出した規制突起部（９６）と、前記ラチェットホルダ（６０）に設けられ前記規制突起部（９６）が挿入された円弧状溝（９８）とからなる、
　ことを特徴とする作業機（１０）。
　請求項１記載の作業機（１０）において、
　前記キー部材（５４）は、前記従動部材（５６）と係合可能な第１係合部（７５）と、前記ラチェットホルダ（６０）の前記係合溝（８８）と係合可能な第２係合部（７６）とを有するとともに、前記駆動シャフト（５２）に対して傾動可能に設けられ、
　前記キー部材（５４）の傾動支点と前記第２係合部（７６）との間に、前記第１係合部（７５）が設けられている、
　ことを特徴とする作業機（１０）。
　請求項９記載の作業機（１０）において、
　前記付勢部材（５８）は、前記キー部材（５４）における前記第２係合部（７６）と前記傾動支点との間の部位を付勢するように前記キー部材（５４）と前記駆動シャフト（５２）との間に配置されている、
　ことを特徴とする作業機（１０）。
　請求項９記載の作業機（１０）において、
　前記駆動シャフト（５２）には、前記傾動支点を有する傾動サポート部材（６８）が固定されている、
　ことを特徴とする作業機（１０）。
　請求項１１記載の作業機（１０）において、
　前記傾動サポート部材（６８）は、径方向内方に突出し且つ前記傾動支点として機能する内方突起（７０）を有するリング状のワッシャ部材（６８Ａ）として構成されており、
　前記ワッシャ部材（６８Ａ）により前記駆動シャフト（５２）からの前記従動部材（５６）の抜け止めがなされる、
　ことを特徴とする作業機（１０）。
　請求項１２記載の作業機（１０）において、
　前記キー部材（５４）は、前記内方突起（７０）が挿入された溝部（７８）を有する、
　ことを特徴とする作業機（１０）。
　請求項１記載の作業機（１０）において、
　前記ホイール（２０）の内周部は、内歯車（５０）として構成されており、
　前記従動部材（５６）は、前記ホイール（２０）の前記内歯車（５０）と噛み合うギヤ部材である、
　ことを特徴とする作業機（１０）。
　請求項１記載の作業機（１０）において、
　前記作業機（１０）は、芝刈機（１２）である、
　ことを特徴とする作業機（１０）。