WO2019070009A1

WO2019070009A1 - 吸収パッド

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Publication number: WO2019070009A1
Application number: PCT/JP2018/037126
Authority: WO
Inventors: 白井　敦子
Original assignee: 株式会社光洋
Priority date: 2017-10-04
Filing date: 2018-10-03
Publication date: 2019-04-11
Also published as: CN111182873B; CN111182873A; JP6474169B1; US20200129346A1; EP3692964A4; JP2019063408A; EP3692964A1

Abstract

着用物への取付け及び位置合わせが容易な吸収パッドを提供する。　着用者の前後方向を長手方向とする吸収パッド１は、着用物に着脱可能に掛止するフック小片が集合した、前後方向の長さが２０ｍｍ以上５０ｍｍ以下であり且つ左右方向の幅が１０ｍｍ以上２０ｍｍ以下であるフック部材８と、フック部材８が吸収パッド１の左右方向に５０ｍｍ未満の間隔を互いに有して複数並列して固定された、前後方向の長さが２０ｍｍ以上５０ｍｍ以下であり且つ左右方向の幅が３０ｍｍを越えて７０ｍｍ未満であるフック部材固定領域と、を備え、該フック部材固定領域は、吸収体２，３の前部の前端側の領域及び後部の後端側の領域の両方であって且つ左右方向の中央領域の夫々を、着用物対向面５ｄに投影した領域である。

Description

吸収パッド

　本発明は、大人用の使い捨ておむつやパンツなどの着用物の内側表面に取付けて使用される吸収パッドに関する。

　尿取りパッド、失禁パッドなどの吸収パッドは、一般に、大人用の使い捨ておむつやパンツなどの着用物の内側表面に取付けて使用される。尿などを吸収した吸収パッドのみを交換することにより、おむつやパンツの交換頻度が減るので、労力的負担及び経済的コストが低減される。

　吸収パッドは、一般に、使い捨ておむつやパンツなどの着用物の内側表面への取付け及び取外しが可能であるフックや粘着テープなどを備えている。以下の説明では、着用者の前後方向すなわち鼠径部から臀部への方向を、吸収パッドの前後方向、長手方向及び縦方向とし、また着用者の左右方向を、吸収パッドの左右方向、幅方向及び横方向とする。

　特許文献１には、従来の吸収パッドであって、前後方向中央部の吸収コアの有る領域に大きな長方形状の掛止手段を設けたもの、が開示されている。しかし、この吸収パッドを取付けた着用物が着用者に装着されるときには、該吸収パッドの前後方向両端部が掛止されていないために着用者の脚に当たりやすいので、該吸収パッドの位置ずれや折れ曲がりが生じやすい。

　特許文献１には、改良された吸収パッドであって、吸収パッドの前後方向両端部の吸収コアの無い領域に、左右方向全体にわたって横長帯状の掛止手段を設けたもの、及び、左右方向両端部に１つずつ横長帯状の掛止手段を設けたもの、が開示されている。しかし、該掛止手段の設けられた領域は、該吸収コアが無く剛性が小さいので、該吸収パッドの製造工程や包装工程で該吸収パッドの内側或いは外側に折れ曲がりやすい。また、該吸収パッドの前後方向両端部に配置された横長の該掛止手段は、その全体を位置合わせするのが容易ではなく、位置ずれが生じやすい。さらに、着用物を履いた状態で該吸収パッドの位置ずれを直す場合や交換する場合、該掛止手段を横方向に完全に引き剥がすためには、該吸収パッドを横方向の略全体にわたって着用物から離すことが必要である。更に、該掛止手段を剥がす際に該吸収パッドがよじれるため、引き剥がした該掛止手段が誤って着用物の別の部位や該吸収パッド自体に付着してしまうことが起こりやすく、操作が容易ではない。該吸収パッドがよじれないように該吸収パッドを前後方向に引きはがすときは、横長の掛止手段を縦方向に引き剥がすため、強い力が必要であり、着用物を押さえておく必要もあるので、片手で操作することは困難であり、老人や障がい者には容易ではない。

　特許文献２には、使い捨ておむつ本体や生理用ナプキンに取付けて使用される使い捨て補助パッドであって、該パッドの前側部及び後側部における幅方向の両側縁部に、縦長の長方形状の止着部材が設けられたもの、が開示されている。４つの該止着部材は、該パッドの幅方向の側縁から１０ｍｍ以上内方にあり、かつ、吸収体の幅方向の側縁から１０ｍｍ以上内方にあり、これは該パッドの側縁をつまみやすくするためである。更に、該止着部材同士の幅方向の間隔は５０ｍｍ～９０ｍｍであり、これは該止着部材同士の間に作業者が手を差し込むことを可能にして、該パッドの幅方向中央部をつまみやすくするためである。しかし、該パッドは、幅方向の両側縁部にある２つの該試着部材同士が、両者間に手を差し込むことができるほど離れているので、両方の該試着部材を片手だけで着用物の内側表面に取り付けることができない。該パッドを着用物の内側表面に取付けるときに、該パッドの折れ曲がりやシワが生じないように該止着部材を位置合わせするのは容易でない。該パッドが折れ曲がってシワが寄った状態で止着してしまうと、排泄物が漏れるおそれがある。また、幅の広いパッドの場合、製造工程で両端部を内側に折り畳んでから、長さ方向に折りたたみ、包装するのが一般的であるが、該パッドのように両端部に止着部材があると、両端部を内側に折り畳む際に止着部分が折り畳まれてしまい、装着する際に折り目を完全に広げてから、両端の止着部をそれぞれ押さえないと止着ができないため、装着が煩雑になる。

特開２０００－１３９９８２号公報特許第５８３３３４５号公報

　本発明は、上記事情を考慮したものであり、着用物への取付け及び位置合わせが容易な吸収パッドを提供することを目的とする。

　本発明の一の態様は、着用者の前後方向を長手方向とする吸収パッドであって、前後方向を長手方向とする液保持性の吸収体と、該吸収体の上面を覆う、液透過性のトップシートと、該吸収体の下面を覆う、液不透過性のボトムシートと、該ボトムシートの該吸収体とは反対側の面にある着用物対向面と、前後方向に伸縮し且つ該トップシートの左右方向両端部に沿った領域で起立する部分を有する起立シートと、着用物に着脱可能に掛止するフック小片が集合した、前後方向の長さが２０ｍｍ以上５０ｍｍ以下であり且つ左右方向の幅が１０ｍｍ以上２０ｍｍ以下であるフック部材と、該フック部材が該吸収パッドの左右方向に５０ｍｍ未満の間隔を互いに有して複数並列して固定された、前後方向の長さが２０ｍｍ以上５０ｍｍ以下であり且つ左右方向の幅が３０ｍｍを越えて７０ｍｍ未満であるフック部材固定領域と、を備え、該フック部材固定領域は、該吸収体の前部の前端側の領域及び後部の後端側の領域の両方であって且つ該吸収体の左右方向の中央領域の夫々を、該着用物対向面に投影した領域であることを特徴とする。

　本発明の別の態様は、前記フック部材を表面に固定したシートが、前記フック部材固定領域に固定される。
　本発明のまた別の態様は、前記吸収パッドの前後中心線を折り目として、前記吸収パッドが前記フック部材を外側に配置するようにして二つ折りされている。
　本発明の更に別の態様は、前記トップシートに重なった前記起立シートの先端部の外縁に沿った折り目線を折り目として、前記吸収パッドの左右側部が前記トップシートに重なるように折り畳まれており、更に、前記吸収パッドの前後中心線を折り目として、前記吸収パッドが前記フック部材を外側に配置するようにして二つ折りされている。

　本発明の更に別の態様は、前記フック部材固定領域に接着剤で固定された前記フック部材が夫々、前記吸収パッドの左右中心線から遠い方の側縁に沿った領域全体に接着剤が塗布されており、前記吸収パッドの左右中心線に近い方の側縁に沿って、接着剤が塗布されていない領域を有する。

本発明は、前記態様に限定されない。本発明の更なる詳細、特徴、機能及び効果は、以下の本発明の好ましい例示的な実施形態の説明によって更に明らかになる。

本発明の一の実施形態である吸収パッドの弾性体が収縮力を発揮していない状態での底面図である。図１の吸収パッドのＩＩ―ＩＩ線断面を、トップシートを上方に配置して示した模式図である。図１の吸収パッドのＩＩＩ―ＩＩＩ線断面を、トップシートを上方に配置して示した模式図である。本発明の他の実施形態である吸収パッドの弾性体が収縮力を発揮していない状態での底面図である。図４の吸収パッドのＶ―Ｖ線断面を、トップシートを上方に配置して示した模式図である。本発明のまた別の実施形態である吸収パッドの弾性体が収縮力を発揮していない状態での底面図である。図６の吸収パッドのＶＩＩ―ＶＩＩ線断面を、トップシートを上方に配置して示した模式図である。

　本発明の一の実施形態である吸収パッド１について，図１ないし図３を参照しながら説明する。吸収パッド１は、図示しない大人用の使い捨ておむつやパンツなどの着用物の内側表面に取付けられ、失禁用パッド、尿取りパッドとして使用される。着用者の前後方向すなわち着用者の鼠径部から臀部への方向を、吸収パッド１の前後方向、長手方向及び縦方向とする。吸収パッド１は、上層吸収体２、下層吸収体３、トップシート４、ボトムシート５、着用物対向面５ｄ、起立シート６、弾性体７、及び、フック部材８を備えている。

　吸収体２，３は、液保持性を有しており、尿などの体液を素早く吸収し、内部に保持する。着用者の前後方向を、吸収体２，３の前後方向、長手方向及び縦方向とする。吸収体２，３は夫々、着用者の鼠径部に対応する前部２ａ，３ａ、着用者の臀部に対応する後部２ｂ，３ｂ、及び、着用者の股間部に対応する中間部２ｃ，３ｃを有している。吸収体２，３は夫々、隅部２ｄ，２ｄ，２ｄ，２ｄ及び３ｄ，３ｄ，３ｄ，３ｄが丸みを有している。上層吸収体２の前後方向の中間部２ｃの幅は、略一定であり、且つ前部２ａ及び後部２ｂの各最大幅よりも狭い。下層吸収体３の前後方向の中間部３ｃの幅は、略一定であり、且つ前部３ａ及び後部３ｂの各最大幅よりも狭い。

　上層吸収体２の前部２ａ及び後部２ｂは、略同じ形状及び大きさである。下層吸収体３の前部３ａ及び後部３ｂも、略同じ形状及び大きさである。そのため、吸収パッド１は前後の区別なく使用することができる。これに限られず、吸収パッドの種類やサイズに応じて、吸収体２，３の前部２ａ，３ａと後部２ｂ，３ｂの形状や大きさは異なってもよい。

　下層吸収体３の前後方向の長さは、左右方向中間部の前端３ｅ及び後端３ｆ間が最も長い。下層吸収体３の左右方向の幅は、着用者の鼠径部上部に対応する前部３ａの前後方向中間部の吸収体領域、及び、着用者の臀部に対応する後部３ｂの前後方向中間部の吸収体領域が最も広い。これに限られず、前端３ｅ及び後端３ｆは前後方向中間部と同じ幅でもよい。

　上層吸収体２の全体が、下層吸収体３の輪郭の範囲内にあり、下層吸収体３の上に重なっている。本発明の吸収体は、このような二層構造に限られず、一つの吸収体のみからなる一層構造でもよく、また３つ以上の吸収体が重なった構造でもよく、また複数の吸収体が部分的に積層された構造であってもよい。

　吸収体２，３は、例えば、ロールシート状のパルプを解繊した吸水性繊維と、粉末状又は顆粒状の高吸水性ポリマーとを、吸引ドラムの周面に設置された成形型へ空気搬送し、成形型の中に吸引しながら堆積させて成形し、かかる成形物を吸水紙や不織布（図示しない）で包むことにより製造される。吸収体２，３は、材料の種類は同じであるが、これに限らず、上層吸収体２と下層吸収体３の材料の種類や配合割合を異なるものとして、夫々がより適切な機能や作用効果を奏するようにしてもよい。

　トップシート４は、吸収体２，３全体の上面を覆っている。着用者の前後方向を、トップシート４の前後方向、長手方向及び縦方向とする。トップシート４は、隅部４ａ，４ａ，４ａ，４ａが丸みを有している。トップシート４の前後方向の長さは、左右方向中央部の前端４ｂ及び後端４ｃ間が最も長い。トップシート４は、着用者の肌側に配置される。トップシート４は、液透過性を有しており、排出された尿などの液状体は、トップシート４を透過して、吸収体２，３へ移る。トップシート４は液透過性を有し、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、レーヨン等の化学繊維、綿、セルロース等の天然繊維、またはこれらの組合せからなる不織布である。トップシート４は不織布に限られず、例えば液透過可能に形成された有孔フィルム、ティシュ、もしくはそれらの積層体、又はそれらを適宜つなぎ合わせてシート状にしたものでも良い。

　ボトムシート５は、吸収体２，３全体の下面を覆っている。着用者の前後方向を、ボトムシート５の前後方向、長手方向及び縦方向とする。ボトムシート５は、隅部５ａ，５ａ，５ａ，５ａが丸みを有している。ボトムシート５の前後方向の長さは、左右方向中央部の前端５ｂ及び後端５ｃ間が最も長い。ボトムシート５は、液不透過性を有しており、例えば、ポリエチレンフィルムなどの液不透過性の材料で形成される。ボトムシート５は、トップシート４を透過した液状体や、吸収体２，３が吸収し又は保持しきれなかった液状体が、外部へ漏れるのを防止する。

　ボトムシート５の吸収体２，３とは反対側の表面は、使い捨ておむつやパンツなどの着用物に対向する、着用物対向面５ｄである。

　左右の起立シート６，６は、前後方向を長手方向とし、前後方向に伸縮する後述の弾性体７を有し、トップシート４の左右方向両端部に沿った領域で起立する部分を有する。起立シート６，６は、ボトムシート５の着用物対向面５ｄの左右方向両端部に沿った領域に接着剤などで固定される。起立シート６，６は、トップシート４及びボトムシート５の左右方向両端部に沿った折り目６ａ，６ａでトップシート４の上方へ折り返されている。起立シート６，６は，先端側の折り目６ｂ，６ｂでトップシート４側に折り返された折り返し部６ｃ，６ｃを有している。起立シート６，６は、先端側の起立する部分を除いて、トップシート４の左右方向両端部付近及び前後方向両端部付近に接着剤などで固定されている。

　起立シート６は、液不透過性を有しており、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、レーヨン等の化学繊維、綿、セルロース等の天然繊維、又はこれらの組合せなどの材料からなる不織布である。起立シート６は、不織布に限られず、例えば、樹脂フィルム、ティッシュ、伸縮材、若しくは、それらの積層体、又はそれらを適宜つなぎ合わせてシート状としたものでもよい。

　左右の起立シート６，６は、前後方向に伸縮する複数の弾性体７を有している。弾性体７ａ，７ａは、下層吸収体３の前部３ａと後部３ｂとの間隙の領域で、起立シート６，６の根本側の折り目６ａ，６ａの近傍に沿って配置される。弾性体７ｃ，７ｃは、下層吸収体３の前部３ａの前後方向中央部から後部３ｂの前後方向中央部までの範囲で、起立シート６，６の先端側の折り目６ｂ，６ｂの内縁に沿って配置される。弾性体７ｂ，７ｂは、弾性体７ｃ，７ｃと前後方向の長さが略同じであり、弾性体７ｃ，７ｃの左右方向外側に間隔を有して並列に配置される。弾性体７の数や位置は、上記のものに限られない。左右の起立シート６，６はトップシート４の左右方向両端部付近及び前後方向両端部付近で固定されているので、各弾性体７の収縮力によって各弾性体７を配置された起立シート６，６が収縮すると共に、起立シート６，６の折り目６ｂ、６ｂ側の先端部が起立して、立体ギャザー部が形成される。立体ギャザー部は、着用者の股間部に密接して、排泄物等が横漏れするのを防止する。

　弾性体７は、例えば、天然ゴム、ポリウレタン樹脂、伸縮性のホットメルト等の伸縮可能な糸状の材料により形成される。弾性体７は、糸状の弾性体だけでなく、起立シート６，６の所望の位置及び範囲で縦方向に伸縮させる帯状又はシート状の弾性体であってもよい。

　フック部材８は、使い捨ておむつやパンツなどの着用物の表面に着脱可能に掛止するフック小片が集合したものであり、面ファスナーとして知られる適切なフック部材を用いてよい。吸収パッド１には、前後方向に長い２つのフック部材８，８が、左右方向に間隔を有して並列に配置されている。並列するフック部材８の数は、２つに限らず、３つ以上でもよい。２つのフック部材８，８が左右方向に間隔を有して並列する場合、各フック部材８，８の前後方向の長さは、２０ｍｍ以上５０ｍｍ以下、好ましくは２５ｍｍ以上４０ｍｍ以下である。各フック部材８，８の左右方向の幅は、前後方向の長さより短いことを前提として、１０ｍｍ以上３０ｍｍ以下、好ましくは１０ｍｍ以上２０ｍｍ以下である。フック部材８の長手方向が吸収パッド１の前後方向と一致すれば、フック部材８の位置合わせ及び取付けが容易であり、フック部材８の取外しも小さな力で可能である。また、比較的短いフック部材８が間隔を有して並列すれば、着用物に安定して止着できると共に、取外しが容易である。

　フック部材８は、吸収パッド１の着用物対向面５ｄにあるフック部材固定領域に、接着剤や熱溶着などによって固定される。吸収パッド１の該フック部材固定領域は、下層吸収体３の前部３ａの前端３ｅ側の領域及び後部３ｂの後端３ｆ側の領域の両方であって、且つ左右方向中央部の領域の夫々を、ボトムシート５の着用物対向面５ｄに投影した領域である。該フック部材固定領域は、上層吸収体２の前部２ａの前端側の領域及び後部２ｂの後端側の領域の両方であって、且つ左右方向中央部の領域の夫々を、ボトムシート５の着用物対向面５ｄに投影した領域にも重なっている。複数の吸収体が部分的に又は全体的に積層している吸収パッドにおけるフック部材固定領域は、積層された吸収体全体の前部の前端側の領域及び後部の後端側の領域の両方であって、且つ左右方向中央部の領域の夫々を、ボトムシートの着用物対向面に投影した領域であることが好ましい。

　フック部材８が固定されるフック部材固定領域は、一般的な大人の手のひらの大きさより小さい範囲内にあることが好ましい。該フック部材固定領域の前後方向の長さは、２０ｍｍ以上５０ｍｍ以下、好ましくは２５ｍｍ以上４０ｍｍ以下である。該フック部材固定領域の左右方向の幅は、３０ｍｍを越えて７０ｍｍ未満であり、好ましくは５０ｍｍを越えて６５ｍｍ未満である。該フック部材固定領域が、吸収体の前部の前端側の領域及び後部の後端側の領域の両方であって且つ左右方向中央部の領域に配置され、該フック部材固定領域の前後方向の長さ及び左右方向の幅が、前記範囲内であれば、吸収パッド１は、その前後の中心線を折り目として２つ折りされている場合でも、その前端側及び後端側に固定されたフック部材８を同時に片手で持って覆い隠すことができるため、パンツをおろしてパンツの内側に挿入する際などにフック部材８が引っかかることがない。さらに、着用物に位置合わせして、トップシート４側から片方の手のひらで押しつけることにより、フック部材８を着用物に容易に掛止させて、吸収パッド１を着用物に取付けることができる。また、着用物から剥がすときも、吸収パッド１の前後方向両端部の一方を片手で持って、軽い力で引き剥がすことができる。この際、着用物とは反対方向である上方へ向かって吸収パッド１を剥がす動作となるため、フック部材８が誤って着用物の別の部位に止着してしまうおそれがなく、老人や障がい者でも交換が容易である。

　本発明のフック部材は、吸収パッド１の前後方向に長い形状には限られない。例えば、略正方形状の複数のフック部材を、吸収パッド１の前後方向に互いに間隔を有して直列に並べると共に、かかる複数のフック部材を前後方向に並べたユニットを、吸収パッド１の左右方向に互いに間隔を有して並列に配置してもよい。このようなフック部材が固定されるフック部材固定領域も、一般的な大人の手のひらの大きさより小さい範囲内にあることが好ましい。

　各弾性体７が収縮力を発揮して収縮すると、起立シート６，６の弾性体７ａ，７ａが配置された部分を根元部として、弾性体７ｂ，7ｂ及び７ｃ，７ｃが配置された起立シート６，６の先端部が起立して、立体ギャザー部が形成される。また、起立シート６，６の先端部が前後方向に収縮して吸収パッド１の４つの隅部４a，５aを引っ張る。吸収パッド１は、上層吸収体２及び下層吸収体３の夫々の隅部２ｄ、３ｄが丸みを有している。そのため、吸収パッド１は、前端領域及び後端領域がボトムシート５側に凸となるように緩やかに湾曲した形状になると共に、左端領域及び右端領域がボトムシート５側に凸となるように緩やかに湾曲した形状となる。その結果、ボトムシート５の着用物対向面５ｄにあるフック部材固定領域に固定されたフック部材８，８が、着用物側に張り出す。特に、該フック部材固定領域は、下層吸収体３上に上層吸収体２全体が積層された領域に重なっているので、厚みと剛性が増している。上層吸収体２の隅部が丸みを有するので、吸収パッド１全体の湾曲がより強化される。従って、本発明の吸収パッド１は、着用物対向面５ｄのフック部材固定領域に固定されたフック部材８，８が着用物側に張り出すので、着用物への位置合わせ及び取付けが容易になる。
また、吸収体２、３の隅部２ｄ，３ｄだけでなく、吸収パッド１の前後方向両端部の隅部も丸みを有した形状にカットされている。言い換えると、トップシート４、ボトムシート５、起立シート６の隅部が各同形状の丸みを有している。これにより、例えば、使い捨ておむつの左右の起立ギャザー部間に吸収パッド１を止着する際に、その隅部が丸まったり折れたりすることがなく、手直しの手間がなくなり、装着がさらに容易になる。

　本発明の吸収パッドは、公知の様々な吸収パッドの工業的な連続的製造方法に、以下に説明するフック部材の製造方法を組み合わせることにより、製造することができる。本発明のフック部材の製造方法の一つによれば、吸収パッド１を連続的に製造する工程において、接着剤付きフック部材が連続するテープを搬送しながら、該テープを幅方向の中心線で２本に切断する。この２本の接着剤付きテープを搬送しながら、所望の長さに切断して、２つのフック部材８，８を得る。この２つの接着剤付きフック部材８，８を、ボトムシート５の着用物対向面５ｄにあるフック部材固定領域に固定する。このようにして、本発明のフック部材８を備えた吸収パッド１を容易に製造することができる。この製造方法によれば、吸収パッドの種類やサイズに応じた適切な係合強度をフック部材が得られるように、該吸収パッドに固定するフック部材の数及び長さを適宜変更することが容易である。フック部材の種類の変更により面積当たりの係合強度が変わる場合にも、フック部材の数及び長さを適宜変更することで、パッド取付けの係合力を調整することができ、またコストダウンもし易くなる。

フック部材固定領域に３つのフック部材８，８，８を固定した吸収パッドを製造する場合は、上記の製造工程において、接着剤付きフック部材が連続するテープを幅方向に３等分して、その３本の接着剤付きテープを所望の長さに切断して、３つのフック部材を得ることができる。

本発明の吸収パッドの製造方法の別の１つによれば、吸収パッド１を連続的に製造する工程において、フック部材が連続するテープを搬送しながら、該テープの裏面に、幅方向両端部から１から３ｍｍ程度内側の範囲で、接着剤を塗布する。この幅方向両端領域を除いた範囲に接着剤を塗布したテープを搬送しながら、該テープを幅方向の中心線で２本に切断する。この２本のテープを搬送ライン上でクロスさせて左右を入れ替えて、２本のテープの接着剤を塗布した領域が搬送ラインの幅方向両端側に配置されるようにする。この２本のテープを搬送しながら、所望の長さに切断して、２つのフック部材８，８を得る。そして、この２つのフック部材８，８を、ボトムシート５の着用物対向面５ｄにあるフック部材固定領域に、接着剤を塗布した領域がフック部材固定領域の幅方向両端側に配置されるようにして、固定する。

このフック部材の製造方法によれば、高価な接着剤付きフックテープを用いないので、製造コストをダウンできる。フックテープの裏面に幅方向両端部から１から３ｍｍ程度内側の範囲で接着剤を塗布するので、テープから接着剤がはみ出すことを避けることができる。更に、この製造方法によれば、フック部材固定領域に接着剤で固定されたフック部材は夫々、吸収パッドの左右中心線から遠い方の側縁に沿った領域全体に接着剤が塗布されており、吸収パッドの左右中心線に近い方の側縁に沿って、接着剤が塗布されていない領域を有する。そのため、各フック部材は、接着剤が全面的に塗布された領域が外側にあり、接着剤が塗布されていない領域は内側になるので、各フック部材の接着剤が塗布されていない部分が、浮き上がったり剥がれたり、着用者の肌に触れて傷つけたりするリスクを軽減できる。

　次に、本発明の他の実施形態である吸収パッド１０について、図４及び図５を参照しながら説明する。吸収パッド１０は、吸収パッド１と同様、図示しない大人用使い捨ておむつやパンツなどの着用物の内側表面に取付けて、失禁用パッド、尿取りパッドとして使用される。吸収パッド１０は、上層吸収体２、下層吸収体３、トップシート４、ボトムシート５、着用物対向面５ｄ、起立シート６、弾性体７、及び、フック部材８を備えており、これらの構造及び機能は吸収体１のものと同じなので説明を省略する。吸収パッド１０は、吸収パッド１とは異なり、フック部材用シート９を備えている。

　図４及び図５に示すように、吸収パッド１０は、フック部材用シート９の表面に、２つの前後方向に長いフック部材８，８が間隔を有して並列して固定されている。該フック部材８，８を固定されたフック部材用シート９が、吸収パッド１０の着用物対向面５ｄのフック部材固定領域に接着剤などで固定される。フック部材用シート９は、フック部材８が前述したフック部材固定領域内に配置されるように、着用物対向面５ｄに固定される。フック部材８及びフック部材固定領域の形状、数、構造、配置、及び機能は、吸収パッド１のものと同じにすることができるので、説明を省略する。

フック部材用シート９は、例えば、ポリエチレンフィルムなどの樹脂フィルムや不織布などで形成される。これに限らず、フック部材用シート９は、フック部材８とボトムシート５の両方と接着剤などで接着可能であり、さらにフック部材を着用物から取り外す際に破断や剥離が起らない強度を有する素材で形成すれば良い。

　吸収パッド１０の製造方法としては、例えば、フック部材用シート９の材料となる長いシートの表面に、フック部材８の材料となる２本の長い接着剤付きフックテープを、所望の間隔を有して並列して固定した、フック部材付きシートを予め準備する。このフック部材付きシートを吸収パッドの種類やサイズに応じた所望の長さに切断して、２本のフック部材８，８の固定されたフック部材用シート９を得て、これをボトムシート５のフック部材固定領域に接着剤などで固定して、吸収パッド１０を製造する。この製造方法によれば、並列する複数のフック部材を固定したフック部材用シート９を予め準備して、ボトムシート５に接着することで、吸収パッド１０を容易に製造することができる。

　次に、本発明の更に別の実施形態である吸収パッド２０について、図６及び図７を参照しながら説明する。吸収パッド２０は、吸収パッド１と同様、図示しない大人用の使い捨ておむつやパンツなどの着用物の内側表面に取付けられ、失禁用パッド、尿取りパッドとして使用される。着用者の前後方向すなわち着用者の鼠径部から臀部への方向を、吸収パッド２０の前後方向、長手方向及び縦方向とする。図６において、Ｘは吸収パッド２０の前後の中心線、Ｙは吸収パッド２０の左右の中心線、Ｗ，Ｗは吸収パッド２０の左右の折り目線である。吸収パッド２０は、上層吸収体２１、下層吸収体２２、トップシート２３、ボトムシート２４、着用物対向面２４ｄ、起立シート２５、弾性体２６、及び、フック部材２７を備えている。吸収パッド２０の各構成部材については、吸収パッド１の同じ名称の構成部材との相違点を主に説明し、共通点は説明を省略する。

　上層吸収体２１の全体が、下層吸収体２２の輪郭の範囲内にあり、下層吸収体２２の上に重なっている。吸収体２１，２２は夫々、着用者の鼠径部に対応する前部２１ａ，２２ａ、着用者の臀部に対応する後部２１ｂ，２２ｂ、及び、着用者の股間部に対応する中間部２１ｃ，２２ｃを有している。吸収体２１，２２は夫々、隅部２１ｄ，２１ｄ，２１ｄ，２１ｄ及び２２ｄ，２２ｄ，２２ｄ，２２ｄが丸みを有している。下層吸収体２２の前端２２ｅ及び後端２２ｆは夫々、左右方向の幅が狭くなっている。吸収体２１，２２は夫々、前部２１ａ，２２ａの前後方向の長さが後部２１ｂ，２２ｂの前後方向の長さの半分以下である。上層吸収体２１は、前部２１ａの左右方向の最大幅が、後部２１ｂの左右方向の最大幅と略同じである。前後方向中間部の左右方向の幅は、略一定で、且つ前部２１ａ及び後部２１ｂの左右方向の最大幅のいずれよりも狭い。下層吸収体２２は、前部２２ａの左右方向の最大幅が、後部２２ｂの左右方向の最大幅よりも狭い。前後方向中間部の左右方向の幅は、略一定で、且つ前部２２ａ及び後部２２ｂの左右方向の最大幅のいずれよりも狭い。吸収体２１，２２は、吸収体２，３と同様の材料及び製造方法により製造することができる。

　トップシート２３は、トップシート４と同様に液透過性を有し、同様の材料により製造することができる。トップシート２３は、前後方向に長い略長方形状であり、吸収体２１，２２の上面を覆っており、着用者の肌側に配置される。ボトムシート２４は、前後方向中間部が細くなった略ひょうたん形状であり、吸収体２１，２２全体の下面を覆っており、着用物側に配置される。ボトムシート２４は、隅部２４ａ，２４ａ，２４ａ，２４ａが丸みを有している。ボトムシート２４は、ボトムシート５と同様に液不透過性を有し、同様の材料により製造することができる。ボトムシート２４の吸収体２１，２２と反対側の表面は、使い捨ておむつやパンツなどの着用物に対向する着用物対向面２４ｄである。

　左右の起立シート２５，２５は、前後方向に伸縮する後述の弾性体２６を有し、トップシート２３の左右方向両端部に沿った領域で起立する部分を有する。起立シート２５，２５は、ボトムシート２４の着用物対向面２４ｄの左右方向両端部に沿った領域に接着剤などで固定される。起立シート２５，２５は、先端側の折り目２５ｂ，２５ｂでトップシート２３側に折り返された折り返し部２５ｃ，２５ｃを有している。起立シート２５，２５は、先端側の起立する部分を除いて、トップシート２３及びボトムシート２４の左右方向両端部付近及び前後方向両端部付近に接着剤などで固定されている。起立シート２５は、起立シート６と同様に液不透過性を有し、起立シート６と同様の材料により製造することができる。

　左右の起立シート２５，２５の先端部付近と各折り返し部２５ｃ，２５ｃとの間には、前後方向に伸縮する複数の弾性体２６が接着剤などで固定されている。弾性体２６の収縮力によって起立シート２５，２５が収縮すると、起立シート２５，２５の先端部が起立して、立体ギャザー部が形成される。立体ギャザー部は、着用者の股間部に密接して、排泄物等が横漏れするのを防止する。弾性体２６は、弾性体７と同様の伸縮性を有し、弾性体７と同様の材料により製造することができる。

　吸収パッド２０のフック部材８及びフック部材固定領域は、吸収パッド１のものと同じ形状、構造及び配置であり、同じ材料により製造することができる。吸収パッド２０を着用部の内側表面に取り付けるときは、トップシート２３に重なった左右の起立シート２５，２５の各先端部の外縁に沿った左右の折り目線Ｗ，Ｗを折り目として、吸収パッド２０の左右側部がトップシート２４に重なるように折り畳まれる。更に、吸収パッド２０の前後中心線Ｘ又はその付近を折り目として、吸収パッド２０がフック部材８を外側に配置するようにして二つ折りされる。吸収パッド２０はこのように折り畳まれた状態で販売されることが好ましい。

　座った状態の着用者が着ている着用物の内側表面に吸収パッド２０を取り付ける場合には、着用者の膝まで着用物を下した状態で、吸収パッド２０を折った状態のまま前端部と後端部を片手で持って、パッド２０を着用物の中に差し入れる。その際、その端部にあるフック部材８，８を片手で覆い隠せるので、フック部材８を着用物に途中で引っ掛けることなく、着用物の内側表面にフック部材８を対向させて配置することができる。その後、パッド２０を着用物の内側表面に広げて、フック部材８を着用物に位置合わせして、トップシート４側から片方の手のひらで押しつけることにより、フック部材８を着用物に容易に掛止させて、吸収パッド２０を着用物に取付けることができる。

　本発明は、前記の各実施形態に限定されない。本発明の範囲は、少なくとも、前記の各実施形態から自明な変形例、本発明の本質を変更しない変形例を含む。例えば、吸収パッド２０は、左右の折り目線Ｗ，Ｗで左右側部をトップシート２４に重なるように折り畳むことをせずに、前後中心線Ｘ又はその付近を折り目として、前記吸収パッドが前記フック部材を外側に配置するようにして二つ折りされているだけであってもよい。

　本発明の吸収パッドは、大人用の使い捨ておむつやパンツなどの着用物の内側表面に取付けて、失禁用パッド、尿取りパッドとして使用することができる。

１、１０、２０：吸収パッド、
２、２１：上層吸収体、
２ａ、２１ａ：前部、　２ｂ、２１ｂ：後部、
２ｃ、２１ｃ：前後方向中間部、　２ｄ、２１ｄ：隅部、
３、２２：下層吸収体、
３ａ、２２ａ：前部、　３ｂ、２２ｂ：後部、
３ｃ、２２ｃ：前後方向中間部、　３ｄ、２２ｄ：隅部、
３ｅ：前端、　３ｆ：後端、
４、２３：トップシート、　４ａ：隅部、
５、２４：ボトムシート、　５ａ：隅部、
５ｄ、２４ｄ：着用物対向面、
６、２５：起立シート、
６ａ、６ｂ：折り目、　６ｃ、２５ｃ：折り返し部
７、７ａ、７ｂ、７ｃ、２６：弾性体、
８、２７：フック部材、　９：フック部材用シート、
Ｘ：前後中心線、　Ｙ：左右中心線、　Ｗ：左右の折り目線

Claims

　着用者の前後方向を長手方向とする吸収パッドであって、
　前後方向を長手方向とする液保持性の吸収体と、
　該吸収体の上面を覆う、液透過性のトップシートと、
　該吸収体の下面を覆う、液不透過性のボトムシートと、
　該ボトムシートの該吸収体とは反対側の面にある着用物対向面と、
　前後方向に伸縮し且つ該トップシートの左右方向両端部に沿った領域で起立する部分を有する起立シートと、
　着用物に着脱可能に掛止するフック小片が集合した、前後方向の長さが２０ｍｍ以上５０ｍｍ以下であり且つ左右方向の幅が１０ｍｍ以上２０ｍｍ以下であるフック部材と、
　該フック部材が該吸収パッドの左右方向に５０ｍｍ未満の間隔を互いに有して複数並列して固定された、前後方向の長さが２０ｍｍ以上５０ｍｍ以下であり且つ左右方向の幅が３０ｍｍを越えて７０ｍｍ未満であるフック部材固定領域と、を備え、
　該フック部材固定領域は、該吸収体の前部の前端側の領域及び後部の後端側の領域の両方であって且つ該吸収体の左右方向の中央領域の夫々を、該着用物対向面に投影した領域であることを特徴とする吸収パッド。
　前記フック部材を表面に固定したシートが、前記フック部材固定領域に固定されることを特徴とする請求項１記載の吸収パッド。
　前記吸収パッドの前後中心線を折り目として、前記吸収パッドが前記フック部材を外側に配置するようにして二つ折りされていることを特徴とする請求項１記載の吸収パッド。
　前記トップシートに重なった前記起立シートの先端部の外縁に沿った折り目線を折り目として、前記吸収パッドの左右側部が前記トップシートに重なるように折り畳まれており、更に、前記吸収パッドの前後中心線を折り目として、前記吸収パッドが前記フック部材を外側に配置するようにして二つ折りされていることを特徴とする請求項１記載の吸収パッド。
　前記フック部材固定領域に接着剤で固定された前記フック部材は夫々、前記吸収パッドの左右中心線から遠い方の側縁に沿った領域全体に接着剤が塗布されており、前記吸収パッドの左右中心線に近い方の側縁に沿って、接着剤が塗布されていない領域を有することを特徴とする請求項１記載の吸収パッド。