WO2018180365A1

WO2018180365A1 - 動態管理システム、動態管理方法及びプログラム

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Publication number: WO2018180365A1
Application number: PCT/JP2018/009198
Authority: WO
Inventors: 悠至高木; 洋輝中嶋
Original assignee: 本田技研工業株式会社
Priority date: 2017-03-31
Filing date: 2018-03-09
Publication date: 2018-10-04
Also published as: JP2020109354A

Abstract

動態管理システムは、テストコース内を移動する端末装置の位置を地図情報画面上に表示して、当該テストコースの利用状況を管理する。動態管理システムは、前記端末装置と、前記テストコースを使用する移動体と、該移動体に対応付けて規定される前記テストコースの利用条件と、を互いに関連付ける情報が格納される記憶部と、前記端末装置の位置を示す位置情報が含まれる端末情報を取得する端末情報取得部と、該取得された端末情報に基づいて検出される前記移動体の前記テストコースの使用状況と、前記移動体に対応する前記記憶部に格納された前記利用条件とを比較して、前記利用条件とは異なる所定の事象の有無を検出する事象検出部と、少なくとも前記事象検出部を制御する制御部と、を備える。

Description

動態管理システム、動態管理方法及びプログラム

　本発明は、動態管理システム、動態管理方法及びプログラムに関する。
　本願は、２０１７年３月３１日に出願された日本国特願２０１７－０７３１９１号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

　車両の評価や試験などに利用されるテストコースは、一般道と同等の、或いは、一般道とは異なる走行環境を提供し、その走行環境における車両の走行などについて評価したり、試験したりすることを容易にする。
　このようなテストコースの状態を管理するための技術（動態管理システム）が知られている（例えば、特許文献１参照。）。特許文献１によれば、管理サーバは、車載端末装置から収集した車速データから、所定の速度以下で走行する車両を検出し、それを異常が生じているものと判定して、その結果を表示することが開示されている。
　また、動態管理システムにおいて、スマートフォンなどの携帯型の端末装置を利用する技術が知られている（例えば、特許文献２参照。）。特許文献２によれば、管理サーバは、端末装置の位置情報を取得して、その位置の履歴情報から現時点以降の位置を推定する。管理サーバは、この位置の推定結果により衝突を予測して、その予測情報を端末装置に送信して、表示する。

特許第４１３０３４１号公報特開２０１３－１４９１９１号公報

　しかしながら、テストコースを利用した移動体の評価や試験は、製品として提供される移動体の安全性、利便性を高めるために様々な内容で実施される。そのため、評価や試験の内容によりテストコースの利用の形態が都度異なるものになることから、テストコースの利用を一律に管理することは困難である。また、テストコースに入場した車両や要員は、走行用のコース外に移動したり、移動先で停止したりする。単に、車両や端末装置の位置情報からテストコースにおける動態を推定することは困難である。

　本発明に係る態様は、上記の点に鑑みてなされたものであり、テストコースにおける状況の推定精度を高める動態管理システム、動態管理方法及びプログラムを提供することを目的とする。

　上記技術課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
（１）本発明に係る一態様の動態管理システムは、テストコース（３）内を移動する端末装置（１０）の位置を地図情報画面上に表示して、当該テストコース（３）の利用状況を管理する動態管理システム（１）であって、前記端末装置（１０）と、前記テストコース（３）を使用する移動体（２）と、該移動体（２）に対応付けて規定される前記テストコース（３）の利用条件と、を互いに関連付ける情報が格納される記憶部（２２０）と、前記端末装置（１０）の位置を示す位置情報が含まれる端末情報を取得する端末情報取得部（２１４）と、該取得された端末情報に基づいて検出される前記移動体（２）の前記テストコース（３）の使用状況と、前記移動体（２）に対応する前記記憶部（２２０）に格納された前記利用条件とを比較して、前記利用条件とは異なる所定の事象の有無を検出する事象検出部（２１５１）と、少なくとも前記事象検出部（２１５１）を制御する制御部（２１０）とを備える。

（２）上記（１）の態様において、前記事象検出部（２１５１）は、前記移動体（２）に対応付けて設定された、設定速度、利用エリア、移動コース、移動方向、移動姿勢、及び、停止状態のうちのいずれか一つ又は複数に基づいて前記利用条件とは異なる所定の事象の有無を検出してもよい。

（３）上記（１）または（２）の態様において、前記所定の事象の検出結果に対応する確認要求画面を、前記端末装置（１０）の画面に表示させるように制御する事象確認部（２１５２）と、前記確認要求画面の表示に対する返信情報の有無により、前記所定の事象に対応する特定事象を認定する認定部（２１５３）と、前記認定部（２１５３）で認定された特定事象に関する情報を、前記端末情報取得部（２１４）で取得した位置情報に対応させて前記地図情報画面上に表示するように制御する事象警報部（２１５４）と、を更に備えてもよい。

（４）上記（３）の態様において、前記制御部（２１０）は、前記端末装置（１０）の位置を２次元座標系の位置で示し、前記事象検出部（２１５１）において、前記端末装置（１０）の位置を、２次元座標を基準に前記テストコース（３）内に予め決められた範囲に基づき判定し、前記事象警報部（２１５４）において、前記判定の結果を、前記端末装置（１０）の地図情報画面上に表示するように制御してもよい。

（５）上記（３）の態様において、前記制御部（２１０）は、前記端末装置（１０）の位置を３次元座標系の位置で示し、前記事象検出部（２１５１）において、前記端末装置（１０）の位置を、３次元座標を基準に前記テストコース（３）内に予め決められた範囲に基づき判定し、前記事象警報部（２１５４）において、前記判定の結果を、前記端末装置（１０）の地図情報画面上に表示するように制御してもよい。

（６）上記（３）から（５）のいずれか１つの態様において、前記制御部（２１０）は、前記事象検出部（２１５１）において、前記所定の事象が発生していることを通知するための確認ボタンを、前記端末装置（１０）の表示部に表示するように制御して、該確認ボタンが所定時間中に操作されない場合には前記特定事象として認定してもよい。

（７）上記（３）から（６）のいずれか１つの態様において、前記制御部（２１０）は、前記端末装置（１０）の表示について制御する際に、前記事象警報部（２１５４）において、前記端末装置（１０）の位置と他の端末装置（１０）の位置及び前記端末装置（１０）と前記他の端末装置（１０）との相対速度とを示すオブジェクトを、前記端末装置（１０）の地図情報画面上に表示するように制御してもよい。

（８）上記（３）から（７）のいずれか１つの態様において、前記制御部（２１０）は、前記認定部（２１５３）における前記認定の結果情報に基づき前記テストコースの運行管理センターからの指令が決定され、前記決定された指令により、前記事象警報部（２１５４）において、前記所定の事象に関する警報を、前記端末装置（１０）と他の端末装置（１０）とに発信するように制御してもよい。

（９）上記（３）から（８）のいずれか１つの態様において、前記制御部（２１０）は、前記認定部（２１５３）における前記認定の結果情報に基づき前記テストコースの運行管理センターからの指令が決定され、前記決定された指令により、前記事象警報部（２１５４）において、前記所定の事象に関する警報の送出を中断するように制御してもよい。

（１０）上記（１）から（９）のいずれか１つの態様において、前記制御部（２１０）は、平時であることを示す表示画面に切り替えるように制御してもよい。

（１１）上記（１）から（１０）のいずれか１つの態様において、前記端末装置（１０）は、前記移動体（２）の進行方向の向きを検出可能な状態にあり、前記端末装置（１０）を前記移動体（２）に係止する支持体（１０Ｓ）を備えてもよい。

（１２）本発明に係る一態様の動態管理方法は、テストコース（３）内を移動する端末装置（１０）の位置を地図情報画面上に表示して、当該テストコース（３）の利用状況を管理する動態管理システムにおける動態管理方法であって、前記端末装置（１０）と、前記テストコース（３）を使用する移動体（２）と、該移動体に対応付けて規定される前記テストコースの利用条件と、を互いに関連付ける情報を記憶部に格納する記憶ステップと、前記端末装置（１０）の位置を示す位置情報が含まれる端末情報を取得する端末情報取得ステップと、該取得された端末情報に基づいて検出される前記移動体（２）の前記テストコース（３）の使用状況と、前記移動体に対応する前記記憶部に格納された前記利用条件とを比較して、前記利用条件とは異なる所定の事象の有無を検出する事象検出ステップと、を含む。

（１３）上記（１２）の態様において、前記所定の事象の検出結果に対応する確認要求画面を、前記端末装置（１０）の画面に表示させるように制御する事象確認ステップと、前記確認要求画面の表示に対する返信情報の有無により、前記所定の事象に対応する特定事象を認定する認定ステップと、前記認定ステップで認定された特定事象に関する情報を、前記位置情報ステップで取得した位置情報に対応させて前記地図情報画面上に表示するように制御する事象警報ステップと、を含んでもよい。

（１４）上記（１２）の態様において、前記端末情報は、前記端末装置（１０）に備えられた加速度センサからの情報を含んでもよい。

（１５）本発明に係る一態様のプログラムは、テストコース（３）内を移動する端末装置（１０）の位置を地図情報画面上に表示して、当該テストコース（３）の利用状況を管理する動態管理システム（１）のコンピュータに、前記端末装置（１０）と、前記テストコース（３）を使用する移動体（２）と、該移動体に対応付けて規定される前記テストコース（３）の利用条件と、を互いに関連付ける情報を記憶部（２２０）に格納する記憶ステップと、前記端末装置（１０）の位置を示す位置情報が含まれる端末情報を取得する端末情報取得ステップと、該取得された端末情報に基づいて検出される前記移動体（２）の前記テストコース（３）の使用状況と、前記移動体に対応する前記記憶部に格納された前記利用条件とを比較して、前記利用条件とは異なる所定の事象の有無を検出する事象検出ステップと、前記所定の事象の検出結果に対応する確認要求画面を、前記端末装置（１０）の画面に表示させるように制御する事象確認ステップと、前記確認要求画面の表示に対する返信情報の有無により、前記所定の事象に対応する特定事象を認定する認定ステップと、前記認定ステップで認定された特定事象に関する情報を、前記端末情報取得ステップで取得した位置情報に対応させて前記地図情報画面上に表示するように制御する事象警報ステップと、を含む処理を実行させる。

　上記（１）の態様によれば、テストコース（３）に入場した移動体（２）に備えた端末装置（１０）の位置情報を含む端末情報から、移動体（２）の識別や利用条件とは異なる所定の事象の有無を検出することで、平時とは異なる所定の事象の発生の確認や、それに対する警報の伝達を速やかに行える。

　上記（２）の態様によれば、前記事象検出部（２１５１）が、前記移動体（２）に対応付けて設定された、設定速度、利用エリア、移動コース、移動方向、移動姿勢、及び、停止状態のうちのいずれか一つ又は複数に基づいて、移動体（２）が置かれた状況と利用条件とを対比して、前記利用条件とは異なる所定の事象の有無を検出することができる。

　上記（３）の態様によれば、所定の事象が検出され、さらに、端末装置（１０）からの返信がない場合は、上記の所定の事象を特定事象として発報するので、短時間にコースに平時とは異なる所定の事象が生じていることを発見でき、テストコースをより安全に利用することと、テストコースの運行をより円滑にすることに貢献できる。

　上記（４）の態様によれば、制御部（２１０）は、端末装置（１０）の位置を２次元座標系の位置（緯度経度）で示してもよい。この場合、端末装置（１０）の位置を、２次元座標を基準にテストコース（３）内に予め決められた範囲に基づき判定し、判定の結果を、端末装置（１０）の地図情報画面上に表示するように制御してもよい。これにより、事象が発生した場所と警報事項とを、端末装置（１０）の地図情報画面上で確認でき、場所の把握に係る時間が短縮する。

　上記（５）の態様によれば、制御部（２１０）は、端末装置（１０）の位置を３次元座標系の位置（緯度経度高度）で示してもよい。この場合、端末装置（１０）の位置を、３次元座標を基準にテストコース（３）内に予め決められた範囲に基づき判定し、判定の結果を、端末装置（１０）の地図情報画面上に表示するように制御してもよい。これにより、高度差があるテストコース（３）における、測位の精度を高めることができる。例えば、テストコース（３）に特有の急バンク斜面や、上下方向に重なる箇所を含む走行レーンなどにおいて位置検出精度が向上する。

　上記（６）の態様によれば、制御部（２１０）は、所定の事象が発生していることを通知するための確認ボタンを、端末装置（１０）の表示部に表示するように制御してもよく、該確認ボタンが所定時間中に操作されない場合には、特定事象として認定してもよい。これにより、端末装置（１０）の画面上の確認ボタンを操作するだけで回答を送信することができ、回答に要する時間を短縮できる。

　上記（７）の態様によれば、制御部（２１０）は、端末装置（１０）の表示について制御する際に、端末装置（１０）の位置と他の端末装置（１０）の位置及び端末装置（１０）と他の端末装置（１０）との相対速度とを示すオブジェクトを（アイコン図柄で）、端末装置（１０）の地図情報画面上に表示するように制御してもよい。なお地図情報画面上にオブジェクトを、アイコンの図柄で識別可能にしてもよい。これにより、事象が発生した位置と他の移動体との相対位置情報を端末装置（１０）の画面上に表示することができ、現状の状況を容易に把握することができる。

　上記（８）の態様によれば、制御部（２１０）は、認定の結果情報に基づきテストコース（３）の運行管理センターからの指令が決定され、決定された指令により、所定の事象に関する警報を、端末装置（１０）と他の端末装置（１０）とに発信するように制御してもよい。

　上記（９）の態様によれば、制御部（２１０）は、認定の結果情報に基づきテストコース（３）の運行管理センターからの指令が決定され、決定された指令により、所定の事象に関する警報の送出を中断するように制御してもよい。

　上記（１０）の態様によれば、制御部（２１０）は、所定の事象に関する警報の送出の中断に伴い、平時であることを示す表示画面に切り替えるように制御してもよい。これにより、運行管理センターの情報を、正確にかつ分かり易く各端末装置（１０）に伝達できるので、テストコース（３）をより効率よく利用することが可能なる。

　上記（１１）の態様によれば、端末装置（１０）の支持体（１０Ｓ）は、端末装置（１０）が移動体（２）の進行方向の向きを検出可能な状態で、端末装置（１０）を移動体（２）に係止するので車体の向きをより精度よく把握することが可能となる。

　上記（１２）から（１４）の態様によれば、上記（１）及び（３）の態様を有する動態を管理することが行える。
　上記（１５）の態様によれば、上記（１）、（３）及び（１２）の態様を有する動態を管理することが行える。

第１の実施形態に係る動態管理システムの概要について説明するための図である。図１の動態管理システムを適用するテストコースの断面図である。実施形態に係る動態管理システムの概略構成図である。図１の動態管理システムの端末装置を移動体に搭載する事例を説明するための図である。図１の動態管理システムの端末装置を携帯する事例を説明するための図である。実施形態の端末装置の構成図である。実施形態に係る機能構成図である。実施形態のサーバ装置の構成図である。実施形態のテストコース３の動態管理に関する処理の手順の一例を示すフローチャートである。実施形態の利用予約情報ＤＢ２２３の一例を説明するための図である。実施形態の検出結果ＤＢ２２４の一例を説明するための図である。実施形態の監視項目について説明するための図である。実施形態における走行状態について説明するための図である。実施形態の監視項目に従い走行状況の判定に関する処理の手順を示すフローチャートである。実施形態に係る移動体２の「停止」を検出した場合に表示させる画像の一例を示す図である。実施形態に係る移動体２が「コースアウト」したと検出した場合に表示させる画像の一例を示す図である。実施形態に係る移動体２が「逆走」又は「バック走行」したと検出した場合に表示させる画像の一例を示す図である。実施形態に係る移動体２が停車禁止の領域で「停車」したと検出した場合に表示させる画像の一例を示す図である。実施形態に係る移動体２が制限速度を超過して走行したと検出した場合に表示させる画像の一例を示す図である。実施形態に係る移動体２をコースから退出させる場合に表示させる画像の一例を示す図である。実施形態に係る地震の発生叉を地震の到来が予測された場合に表示させる画像の一例を示す図である。実施形態に係るコース内に所定の事象が発生した場合に表示させる画像の一例を示す図である。実施形態の車両２１が停止した場合の処理を説明するための図である。実施形態の車両２１がコースアウトした場合の処理を説明するための図である。実施形態の車両２１が逆走又はバック走行した場合の処理を説明するための図である。実施形態の車両２１が指定外レーンを走行した場合又は指定外レーンで停止した場合の処理を説明するための図である。実施形態の利用条件を制限するための指令を通知する場合の処理を説明するための図である。実施形態の運行管理センターからコース退出指令を通知する場合の処理を説明するための図である。実施形態の地震により利用を中断させる場合の処理を説明するための図である。管理者端末３０の表示画面（「監視情報設定画面」）の一例を説明するための図である。管理者端末３０の表示画面（「監視情報設定画面」）の一例を説明するための図である。実施形態のコース情報ＤＢ２２２を説明するための図である。実施形態の移動体間の相対位置と相対速度に基づく判定処理の手順を示すフローチャートである。端末装置１０の設定画面と相対速度表示画面の一例を説明するための図である。実施形態の表示情報ＤＢについて説明するための図である。実施形態の相対速度差ＤＢについて説明するための図である。第２の実施形態のＧＮＳＳの信号を受信する受信装置を備える移動体の概略構成図である。

　以下、図を参照して、実施形態に係る動態管理システム、動態管理方法、及びプログラムについて説明する。

＜第１の実施形態＞
　図１は、実施形態に係る動態管理システムの概要について説明するための図である。図２は、図１の動態管理システムを適用するテストコースの標高線付き断面図である。図３は、実施形態に係る動態管理システムの概略構成図である。

［動態管理システムの概要］
　実施形態に係る動態管理システム１の概要と、それを適用するテストコースの例について説明する。動態管理システム１は、移動体２を管理対象とし、テストコース３における移動体２の動体管理を行うことで、テストコース３の運行管理の業務を支援する。

（実施形態に係るテストコース）
　テストコース３は、移動体２を走行させて試験するために利用される。テストコース３では、一般道と同等の、或いは、一般道とは異なる特別な環境が提供される。例えば、図１と図２に示すように、テストコース３は、周回コースＣ、オフロードコース（山道）ＺＭ、坂道コースＺＲ、管理センター周辺の駐車場ＰＫなどに区分される。なお、周回コースＣには、直線区間とカーブを伴うバンク区間が含まれる。そのため、テストコース３では、上記のように区分された場所々で様々なコース利用規則が設けられたり、試験内容に応じて適宜設定される走行ルールが変更されたりすることが頻繁に発生する。このような場合についても臨機応変に対応できることが運行管理上必要とされる。

（実施形態に係る動態管理システム）
　図３に示すように、実施形態の動態管理システム１は、端末装置１０と、サーバ装置２０と、管理者端末３０と、テスト責任者端末４０などを含む。動態管理システム１は、サーバ装置２０を用いて、テストコース３内を移動する移動体２に対応する端末装置１０の位置等を地図情報画面上に表示して、当該テストコース３の利用状況を提供する。端末装置１０における地図情報画面上の表示の一例を、後述する図３１（ｂ）に示す。

　サーバ装置２０から提供される情報は、端末装置１０、サーバ装置２０、管理者端末３０、テスト責任者端末４０などの各表示部に表示される。端末装置１０、サーバ装置２０、管理者端末３０、テスト責任者端末４０などの各装置は、テストコース３内を移動する移動体２に対応する端末装置１０の位置等を地図情報画面上に表示して、当該テストコース３の利用状況を閲覧可能にする。動態管理システム１は、当該テストコース３で発生する各種事象を管理して、管理者による当該テストコース３を管理（運行管理）する業務を支援する。

（管理対象の各種移動体とその位置の特定方法の概要）
　動態管理システム１の管理対象である移動体２には、テストコース３を利用して走行試験などを実施する試験対象と、試験の対象ではない非試験対象とが含まれる。

　試験対象の移動体２には、自動２輪車（原動機付き自転車からオートバイを含む。）、自動４輪車（軽自動車、小型車、中型車、大型車、スポーツカ―などと言われる所謂、自動車）などの他、園芸用作業機、農業用作業車などの汎用機、シニアカ―、さらには自動運転車や、移動する装置など、多種多様なものが含まれる。

　非試験対象の移動体２には、管理者などがテストコースを円滑に管理又は維持するために利用する車両などが含まれる。例えば、その車両は、パトロール車、救急車、消防車、工作車、レッカー車、ショベルカーなどである。

　図１に示す車両２１と車両２２と車両２３などは、試験対象の移動体２の一例である。
　以下の説明では、ドライバーである第１利用者ＰＵ１が車両２１を運転し、ライダーである第２利用者ＰＵ２が車両２２を運転し、ドライバーである第３利用者ＰＵ３が車両２３を運転するものとする。なお、第４利用者ＰＵ４は、上記の他の利用者が車両を運転するコースとは異なる領域で汎用機２４を操縦する。

　図４は、図１の動態管理システムの端末装置を移動体に搭載する事例を説明するための図である。図４に示す移動体２は、自動４輪車（例えば、車両２１。）の一例である。図４に車両２１の車体の一部の記載を省略し、その車内を俯瞰した図を示す。例えば、図４に示すように、端末装置１０は、入出力部１３０が設けられた面を、車内側、換言すればドライバー側に向けた状態で支持体１０Ｓの固定具により固定される。固定具による固定は、端末装置１０の着脱を容易とするものであってよい。支持体１０Ｓは、例えば、移動体２の窓ガラスＦＳ、内装材ＩＰ、コンソールボックスＣＢなどに係止され、移動体２に対する端末装置１０の移動を抑制する。このように固定された端末装置１０は、移動体２の進行方向の向きを検出可能な状態にある。この端末装置１０は、端末装置１０を移動体２に係止する支持体１０Ｓを備えていてもよい。図４に示す支持体１０Ｓの構造は、一例を示すものであり、端末装置１０の大きさ、重量などにより適宜変更してもよい。各移動体２は、上記のように支持された状態で端末装置１０を搭載し、テストコース３内を移動する。

　図５は、図１の動態管理システムの端末装置を携帯する事例を説明するための図である。図５に示すライダー（Ｕ２）は、移動体２としての自動２輪車（例えば、車両２２。）を運転する。図５に示すように、車両２２のライダーや、車両に搭乗困難な場合の利用者は、テスト実務者の着衣のジッパー付きポケット等に端末装置１０を確実に収納した状態で車両２２に搭乗してテストコース３内を移動する。なお、自動２輪車の場合も、端末装置１０を車両２２に支持体１０Ｓで係止してもよい。特開２０１４－０３７５３２号公報に記載の方法はその一例である。

　上記のように、端末装置１０が移動体２の移動に伴って移動すれば、端末装置１０の位置を、移動体２の位置とみなすことができる。実施形態の端末装置１０は、移動体２に代わり、その位置を検出し、サーバ装置２０に通知する。

　なお、図４と図５に示す端末装置１０は、テストコース３内において測位用の複数の衛星からの電波を受信することが可能であり、移動中に地上側設備と通信可能であると仮定する。

（適用する測位システム）
　上記の測位用の複数の衛星とは、全地球測位システム（ＧＰＳ（Global Positioning System））、準天頂衛星システム（ＱＺＳＳ（Quasi-Zenith Satellite System））などの全球測位衛星システム（ＧＮＳＳ（Global Navigation Satellite System））として知られたものであってよい。端末装置１０は、各衛星からの信号を受信することで、自端末装置１０の位置を検出する。例えば、各衛星からの信号を利用した位置の特定するための方法は、一般的な手法を適当してもよい。

　なお、本実施形態のＧＮＳＳとして、ＧＰＳのみを適用してもよく、ＧＰＳとＱＺＳＳを組み合わせて適用してもよい。ＧＰＳとＱＺＳＳを組み合わせて利用する方が、ＧＰＳのみを利用する場合に比べて位置の検出精度を高めることができる。例えば、端末装置１０の測位誤差を１メートル以内にすることが望まれるが、ＧＰＳとＱＺＳＳを組み合わせることで、それを実現できる。以下の実施形態の説明は、上記のような測位精度を得られることを前提にして説明するが、これに制限されることはなく、得られる測位精度に合わせて、位置を特定するための粒度を調整してもよい。
　また、上記とは異なる方式のＬＥＸ信号を適用してもよい。

　なお、端末装置１０がＧＮＳＳを利用しても期待する測位精度を得ることが困難な場合や、衛星の電波の受信が困難な場所での適用が含まれる場合などには、ＧＮＳＳによる測位結果を慣性航法技術（ＩＮＳ（Inertial Navigation System））を利用して補完したり、ＩＮＳの測位結果を用いて補正したり、或いは、ＩＮＳの測位結果を利用してもよい。

（各種移動体と通信するための無線通信システム）
　テストコース３の近傍、又は、その領域内には、１又は複数の無線基地局ＢＳが設けられており、テストコース３内は、無線基地局ＢＳを介した無線通信が可能である。この無線基地局ＢＳは、図１に示すように１つであることを制限するものではなく、必要数設けることができる。その際、無線通信の方式も１種類に制限するものではなく、必要種類の方式を組み合わせることができる。その方式としては、携帯電話、スマートフォンなどで利用され比較的高範囲の移動を可能とする通信方式（例えば、セルラー方式の所謂３Ｇ又は４Ｇなどと称されるもの、或いは、その後継のもの（５Ｇ）など。）、又は、無線ＬＡＮ方式などが挙げられる。端末装置１０は、ネットワークＮＷに接続された無線基地局ＢＳを介して、後述するサーバ装置２０と通信する。

（テストコース３の遠隔監視システム）
　動態管理システム１に関連する遠隔監視システムとして、テストコース３の各所に監視カメラＣＡＭが配置されている。遠隔監視システムは、監視カメラＣＡＭを利用してテストコース３の各所の画像を提供する。監視カメラＣＡＭにより生成された画像は、管理センターに設けられた管理者端末３０などで閲覧することができる。なお、監視カメラＣＡＭにより生成された画像は、例えば、移動体２と移動体２から降りた人とを識別するだけの解像度を有するものとする。管理者は、この画像を状況の判断に利用することができる。なお、この画像に基づいた画像処理の結果から、テストコース３内で発生する各種事象を検出するように構成してもよい。

　次に、実施形態の動態管理システム１に係る各装置について順に説明する。

［端末装置］
　まず、実施形態の端末装置について説明する。

（構成）
　図６Ａは、実施形態の端末装置の構成図である。
　端末装置１０は、制御部１１０と、記憶部１２０と、入出力部１３０と、ＧＮＳＳ受信部１４０と、加速度検出部１５０と、無線通信部１６０と、カメラ１７０と、マイク１８０と、スピーカ１９０とを備える。

　制御部１１０は、ソフトウエアプログラムを実行するプロセッサ等を含む。制御部１１０は、ソフトウエアプログラムを実行することにより各種処理の機能部として作用する。
　その詳細は後述する。

　記憶部１２０は、ＲＯＭ（Read Only Memory）やＲＡＭ（Random Access Memory）、ＨＤＤ（Hard Disk Drive）、フラッシュメモリ等で実現される。プロセッサが実行するソフトウエアプログラムは、予め記憶部１２０に格納されていてもよいし、外部装置や可搬型記憶媒体などから、或いは通信回線を介してダウンロードされてもよい。

　記憶部１２０は、端末装置１０を通信端末として機能させるための各種設定情報と、ＯＳなどの基本プログラムを格納する。さらに、記憶部１２０は、上記の他、実施形態の端末装置１０としての機能を実現させるための各種情報とアプリケーションプログラムとを格納する。

　例えば、実施形態の端末装置１０として機能させるための各種情報には、移動体２の走行条件と使用するテストコース３の利用条件とに関する情報、端末装置１０の位置などの検出結果、テストコース３の地図情報、表示情報などの情報が含まれる。

　入出力部１３０は、各種情報を表示する液晶表示器などの表示部と操作検出部とを含む。入出力部１３０は、表示部と操作検出部とを組み合わされたタッチパネルとして構成されていてもよい。

　ＧＮＳＳ受信部１４０は、所定のＧＮＳＳ衛星が送信する信号を受信する。このＧＮＳＳ衛星が送信する信号には、この信号を受信した位置を特定するためのデータが含まれている。ここでは、ＧＮＳＳ受信部１４０は、信号を受信した位置を特定するためのデータ又は、上記データに基づいた測位結果（ＧＮＳＳ位置情報という。）を出力する。

　加速度検出部１５０は、加速度センサー（又はジャイロ）を含み、端末装置１０に掛かる力を検出する。

　無線通信部１６０は、不図示のアンテナを備えており、無線基地局ＢＳを介して通信する。例えばこの通信方式として、セルラー方式の所謂３Ｇ又は４Ｇなどと称されるもの、或いは、その後継のもの（５Ｇ）又は無線ＬＡＮ方式などの各種方式を適用できる。無線通信部１６０は、さらに、近距離通信を可能とし、比較的近傍に配置された他の無線装置と通信する。例えば、この無線通信方式は、ブルーツース（登録商標）などを適用してもよい。

　カメラ１７０は、光学系と撮像素子を含み、光学系の光軸方向を撮像する。例えば、カメラ１７０は、端末装置１０の入出力部１３０が設けられた面に設けられている。制御部１１０は、カメラ１７０を用いることで、端末装置１０と管理者端末３０との間でテレビ電話を可能にしたり、入出力部１３０の表示を確認する人を撮像したりすることに利用する。

　マイク１８０とスピーカ１９０は、例えば、端末装置１０を通話用の装置として利用する際に利用される。また、制御部１１０は、マイク１８０を、端末装置１０の周囲の音を収集するためのセンサとして利用してもよく、スピーカ１９０から、警報音や管理者端末３０からの呼び出し音を出力してもよい。

　例えば、上記のような端末装置１０には、所謂スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等の携帯型の装置を適用することができる。或いは、端末装置１０は、組み込み装置型の装置として構成されていてもよい。

　図６Ｂを参照して、端末装置１０の機能について説明する。図６Ｂは、実施形態に係る機能構成図である。
　例えば制御部１１０は、端末予約処理部１１１と、測位処理部１１２と、逆走検出部１１３と、表示要求設定処理部１１４と、表示要求送信部１１５と、表示処理部１１６と、応答処理部１１７と、地図情報処理部１１９とを備える。

　記憶部１２０は、予約情報ＤＢ１２１と、表示要求情報ＤＢ１２２と、地図情報ＤＢ１２３とを備える。

　次に、制御部１１０がプログラムを実行することで実現する端末装置１０の機能について説明する。

（設定用の端末機能）
　動態管理システム１において、端末装置１０を管理対象の装置として機能させるため、端末装置１０の制御部１１０は、入出力部１３０による操作の検出結果に基づき、サーバ装置２０の処理に係る各種情報を生成して、それをサーバ装置２０に格納させる。例えば、上記の各種情報は、動態管理システム１における利用者登録に関する情報、利用予約に関する情報などを含む。この詳細は後述する。

（位置検出と通知機能）
　端末装置１０は、例えば、位置の検出にＧＮＳＳを利用する。例えば、測位処理部１１２は、ＧＮＳＳ受信部１４０が検出したＧＮＳＳの各衛星からの信号に基づいて自端末装置１０の位置を検出する(測位処理)。逆走検出部１１３は、加速度検出部１５０により検出された加速度を取得する。この加速度を、移動体２が移動する際の姿勢を推定するために利用する(逆走検知処理)。測位処理部１１２は、自端末装置１０の位置を示す位置情報(以下、ＧＮＳＳ位置情報という。)と加速度情報とをサーバ装置２０に通知する(通知処理)。つまり、端末装置１０は、動態管理システム１において、移動体２の位置センサと姿勢のセンサとして機能して、上記の位置情報を含む端末情報をサーバ装置２０に通知する。なお、測位処理部１１２は、端末予約処理部１１１により利用予約がなされた所定の期間に、この測位処理と通知処理の組を所定の周期で間欠的に実施する。上記の所定の周期は、例えば、１秒から数秒に決定される。

（サーバ装置に情報の提供を要求するための基本情報の設定機能）
　表示要求設定処理部１１４は、サーバ装置に情報の提供を要求するための基本情報を、入出力部１３０によって受け付けて、表示要求情報ＤＢ１２２に追加する。この詳細は後述する。

（サーバ装置に情報の提供を要求する機能）
　端末装置１０は、サーバ装置に情報の提供を要求する。例えば、表示要求送信部１１５は、表示要求情報ＤＢ１２２に格納されている情報の提供を要求するための基本情報を、サーバ装置２０に対して送信して、その要求に対するサーバ装置２０の応答を待機する。
　提供を要求する情報には、コースを走行する他の車両に関する情報、テストコース３内で発生した各種事象等に関する情報などが含まれる。この詳細は後述する。

（サーバ装置から提供される情報の表示機能）
　端末装置１０は、サーバ装置から提供される情報を表示する。例えば、表示処理部１１６は、サーバ装置２０から提供される各種情報に基づいた所定の表示画面を生成して、入出力部１３０に表示する。この表示機能に関する処理は、端末装置１０からの要求により予め定められた周期で繰り返し実施してもよく、サーバ装置２０から情報が更新されるのを待って新たな画像を生成するようにしてもよい。

　なお、端末装置１０が表示する画像に、地図情報、航空写真などの比較的高精細な画像情報を含むものがある。このような比較的高精細な画像情報は、予め端末装置１０に配置するとよい。例えば、表示処理部１１６は、サーバ装置２０から提供される情報(データ)と、記憶部１２０（地図情報ＤＢ１２３）に格納されている地図情報、航空写真などの２次元情報又は３次元情報とに基づき、それらを合成した画像を生成してもよい。このように画像の合成を端末装置１０側で実施することにより、端末装置１０とサーバ装置２０間の通信の負荷を低減することができる。

　なお、上記のサーバ装置２０から提供される情報(データ)は、比較的高精細な画像に重ねて表示するオブジェクトに関するものに制限する。これにより、比較的少ないデータ容量で、移動体２の位置を示すための指標(マーカー)の画像、比較的高精細な画像に対するそのマーカーの位置を示す位置情報、移動体２の利用者（ドライバー等）の名称（識別情報）、移動体２の移動速度などを、端末装置１０に送ることができる。

（サーバ装置に対する応答）
　後述するようにサーバ装置２０は、端末装置１０から通知した位置の情報を、所定の判定基準に従い判定し、その判定の結果により、端末装置１０に応答画面を表示させて、利用者の操作を要求することが有る。上記の通り表示処理部１１６は、サーバ装置２０の要求に従い、この応答画面を入出力部１３０に表示する。応答処理部１１７は、これに対する利用者の操作を受け付けて、これをサーバ装置２０に通知する。

（地図情報の取得）
　端末装置１０が表示する画像に、地図情報、航空写真などの画像情報が含まれる場合、地図情報処理部１１９は、サーバ装置２０から地図情報、航空写真などの２次元情報又は３次元情報を、予め取得して地図情報ＤＢ１２３に格納する。

［サーバ装置］
　次に、実施形態のサーバ装置について説明する。
（構成）
　図７は、実施形態のサーバ装置の構成図である。
　サーバ装置２０は、制御部２１０と、記憶部２２０と、入出力部２３０と、通信部２６０とを備える。

　制御部２１０は、ソフトウエアプログラムを実行するプロセッサ等を含む。制御部２１０は、ソフトウエアプログラムを実行することにより各種処理の機能部として作用する。
　なお、制御部２１０は、サーバ装置２０を、ｗｅｂサーバ、データベースサーバ、認証サーバなどの機能を兼ね備えるものとして構成してもよく、その一部又は全部を分離して構成してもよい。制御部２１０の詳細は後述する。

　記憶部２２０は、ＲＯＭやＲＡＭ、ＨＤＤ、フラッシュメモリ等で実現される。プロセッサが実行するソフトウエアプログラムは、予め記憶部２２０に格納されていてもよいし、外部装置や可搬型記憶媒体などから、或いは通信回線を介してダウンロードされてもよい。

　記憶部２２０は、サーバ装置２０を処理装置として機能させるための各種設定情報と、ＯＳなどの基本プログラムを格納する。さらに、記憶部２２０は、上記の他、動態管理システム１の主たる機能を実現させるための各種情報とアプリケーションプログラムとを格納する。

　入出力部２３０は、図示しない表示部、キーボードなどを含み、サーバ装置２０に対する操作を受け付けて、制御部２１０に通知するほか、制御部２１０からの制御により制御状態を表示する。

　通信部２６０は、ネットワークＮＷに接続され、ネットワークＮＷを介して各装置と通信する。例えばこのネットワークＮＷとの間の通信方式には、一般に知られている各種方式を適用してよい。例えば、上記のようなサーバ装置２０は、ネットワークＮＷを介して通信可能であれば、物理的に配置される位置に制限されることはなく、適宜選択できる。

　前述の図６Ｂを参照して、サーバ装置２０の機能について説明する。
　サーバ装置２０において、制御部２１０は、監視情報設定部２１１と、コース情報設定部２１２と、利用予約処理部２１３と、検出結果処理部２１４（端末情報取得部）と、走行状況判定部２１５と、外部情報処理部２１６と、速度差処理部２１７と、相対速度情報処理部２１８と、地図情報共有処理部２１９とを備える。

　なお、実施形態の走行状況判定部２１５は、下記に例示する幾つかの機能部を含む。例えば、走行状況判定部２１５は、事象検出部２１５１、事象確認部２１５２、認定部２１５３、事象警報部２１５４等を含むものであってよい。

　記憶部２２０は、監視情報ＤＢ２２１と、コース情報ＤＢ２２２と、利用予約情報ＤＢ２２３と、検出結果ＤＢ２２４と、コース状態ＤＢ２２５と、履歴情報ＤＢ２２７と、相対速度差ＤＢ２２８と、地図情報ＤＢ２２９とを備える。

（動体管理）
　次に、実施形態のサーバ装置２０によるテストコース３の動態管理について説明する。
　例えば、上記の動体管理に関する処理には、例えば下記のステップ等が含まれる。

・テストコース３内の各場所の監視項目の決定。
・利用者の要求に対応するテストコース３の利用予定と利用条件などの決定。
・各端末装置１０の位置情報等（端末情報）を収集。
・収集した位置情報等から各移動体２の走行状況を推定。
・走行状況等に対する各監視項目に従った判定。
　例えば、上記の具体的な監視項目として、「停車」、「コースアウト」、「逆走」、「バック走行」、「走行レーン」、「速度違反」、「時間満了」などを含むものであってよい。
・テストコース３に係る情報を外部から取得。
・テストコース３に係る投稿情報の取得。
・テストコース３に係る突発事象の発生に伴う発報。
・基準の車両と他の車両との速度差を判定。
・閲覧情報の生成。

　上記の処理は、各処理に矛盾が生じ無い範囲で、並列に処理をしてもよく、処理の順序を変更してもよい。実施形態の説明を簡略化するために、上記の処理を一連の処理として整理した事例について説明する。

　図８は、実施形態のテストコース３の動態管理に関する処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、以下の処理が為される前に、コース情報ＤＢ２２２には、テストコース３に関するコース、レーンを識別するための情報が格納されているものとする。コース情報ＤＢ２２２の詳細については、後述する。

　まず、管理者は、テストコース３内の各場所について、その場所の監視項目を決定する。サーバ装置２０の監視情報設定部２１１は、例えば、管理者端末３０から各場所の監視項目に関する情報を受け、監視情報ＤＢ２２１に格納する（ＳＡ１０）。監視情報ＤＢ２２１の詳細については後述する。この処理は、コースの変更や各場所の監視項目の変更が無ければ、都度実施する必要はなく、省略してもよい。その場合には、以下の処理で監視情報ＤＢ２２１に既に登録されているデータを利用する。

　まず、サーバ装置２０の利用予約処理部２１３は、端末装置１０からの利用要求を受けつけて、利用者の要求に対応する利用予定を、テストコース３の利用予定に追加して、利用を予定する利用者毎の利用条件を利用予約情報ＤＢ２２３に登録する（ＳＡ２０）。

　図９は、実施形態の利用予約情報ＤＢ２２３の一例を説明するための図である。
　利用予約情報ＤＢ２２３には、端末装置ＩＤ、車両ＩＤ、車種又は機種種別情報、日時、利用者名、コース、範囲、利用形態などの項目のデータが含まれる。「端末装置ＩＤ」は、端末装置１０を識別するための識別情報を含む。「車両ＩＤ」は、利用車両を識別するための識別情報を含む。「車種又は機種種別情報」は、利用車両または利用する機種の種別情報を含む。「日時」は、テストコース３の利用が許可された期間（日付と時間帯）に関する情報を含む。「利用者名」は、車両又は機器を利用する人（ドライバー、ライダー等）の名前または団体の称号等を含む。「コース」は、利用車両を主に走行させる走行コースに関する情報である。「範囲」は、上記の走行コースの内の利用範囲を特定する情報を含む。例えば、走行コースにおいて、並行する複数のレーンが含まれる場合、レーンを特定するための情報が含まれる。「利用形態」は、利用の制限等に関する情報を含む。

　例えば、この利用予約情報ＤＢ２２３から、第１利用者（ＰＵ１）が、ＵＴ１として識別される端末装置１０を利用して、ＵＣ１として識別される自動４輪車（車両２１）を、許可された所望の日時に、周回コース（周回Ｃ）のレーン（Ｌ３）を利用する、ことの予約が読み取れる。上記の情報に基づいて、第１利用者（ＰＵ１）による利用が許可される。なお、他の利用者についても同様である。

　なお、利用予約情報ＤＢ２２３には、管理用車両に関する情報を併せて格納されている。例えば、ＳＴ１として識別される端末装置１０を利用して、ＳＣ１として識別される緊急車両を、テストコース３の走行が規制されている期間に走行が許可される。その際に走行可能なコースや範囲などに制限されないことが読み取れる。緊急車両を、試験車両と同等に扱うことにより、緊急車両の走行コース内への侵入を検出することができる。

　このような利用予約情報ＤＢ２２３には、端末装置１０とテストコース３を使用する移動体２と該移動体２に対応付けて規定されるテストコース３の利用条件とを互いに関連付ける情報が格納される。例えば、利用予約情報ＤＢ２２３に、少なくとも端末装置１０とテストコース３を使用する移動体２に対応付けて規定される利用条件を関連付けて格納されるように構成されている。

　次に、検出結果処理部２１４は、各端末装置１０からその位置を示す位置情報又は位置に関する情報等を収集して（ＳＡ３０）取得する。例えば、検出結果処理部２１４は、取得した位置情報を端末装置１０毎に識別して検出結果ＤＢ２２４に格納する。

　図１０は、実施形態の検出結果ＤＢ２２４の一例を説明するための図である。
　検出結果ＤＢ２２４には、端末装置ＩＤ、利用者名、検出位置、加速度、ブロック、コース、範囲、速度、姿勢（移動方向、車両の向き）、周回数、距離などの項目のデータが含まれる。
　検出結果ＤＢ２２４における「端末装置ＩＤ」と「利用者名」は、利用予約情報ＤＢ２２３と同様である。「検出位置」は、ＧＮＳＳなどによる測位結果の位置情報を含み、例えば、緯度経度情報に関する情報を含むものであってよく、それに図２に示すような標高を加えたものであってもよい。「加速度」は、端末装置１０の加速度検出部１５０によって検出されたデータに関する情報を含む。上記の通り、検出結果ＤＢ２２４における「端末装置ＩＤ」、「利用者名」、「検出位置」、「加速度」などの情報は、各端末装置１０から取得した情報が格納される。

　次に、検出結果処理部２１４は、各端末装置１０から収集した走行状況に関する情報に基づいて、走行状況に関する推定情報を生成して（ＳＡ３５）、検出結果ＤＢ２２４に格納する。例えば、走行状況に関する推定情報には、検出結果ＤＢ２２４における「ブロック」，「コース」、「範囲」、「速度」、「姿勢（移動方向、車両の向き）」、「周回数」、「距離」などの情報が含まれる。

　なお、図１０に示す検出結果ＤＢ２２４は、時系列データの一部として格納される。時系列データとしての検出結果ＤＢ２２４は、図に示すデータを、特定の日時のデータとして扱うように、その日時に対応する時刻情報が付与される。

　「ブロック」は、移動体２が位置する場所を示すための領域を示す。なお、この「ブロック」は、前述の監視情報ＤＢ２２１において規定された領域に対応するものである。この１又は複数の「ブロック」を組み合わせて、「ブロック」より広い面積を有する「エリア」として規定されるものであってもよい。
　「コース」は、移動体２が位置するコースを示す。
　「範囲」は、コース内の一部を示すものである。例えば、１つのコースに並行するレーンが複数設けられている場合、この「範囲」の項目を利用してレーンを特定するとよい。
　「速度」は、移動体２が移動する速度を示す。この速度は、前回検出された端末装置１０の位置情報と今回検出された同じ端末装置１０の位置情報とその時間間隔とに基づき導出される。
　「姿勢（移動方向、車両の向き）」は、移動体２の移動状況を示す。「移動方向」は、移動体２が移動する方向を示す。この方向は、前回検出された端末装置１０の位置情報と今回検出された同じ端末装置１０の位置情報とに基づき導出される。
　「車両の向き」は、移動体２が平常時に進行する方向に、移動体の前方を向けるとしたとき、移動体の前方が向けられた方角とする。例えば、移動体２が、コースの順路に従って走行していて、コースの直線区間であれば、前述の移動方向にほぼ一致する。ただし、バックしている場合には、方向が１８０度異なるものになる。
　「周回数」は、走行開始又は所定の時点から周回コースＣを周回した回数を示す。これは、履歴情報を解析することで得ることができる。
　「距離」は、走行開始又は所定の時点から走行した距離を示す。これは、履歴情報を解析することで得ることができる。

　次に、走行状況判定部２１５は、利用者毎に、その利用者の端末装置１０から収集した走行状況情報（端末情報）に基づいて、監視情報ＤＢ２２１に格納されている監視項目などの利用条件に従い走行状況を判定し（ＳＡ４０）、利用条件とは異なる所定の事象の有無を検出する。例えば、走行状況判定部２１５は、制御部２１０の制御により、制御部２１０が指定する項目、順序に従い、全利用者に対して上記の処理をする。

　監視情報ＤＢ２２１には、監視情報ＤＢ２２１の項目に対応する項目のデータが含まれる。例えば、監視情報ＤＢ２２１には、例えば、設定速度、利用エリア、移動コース、移動方向、移動姿勢、停止状態などの項目が含まれる。例えば、上記の項目は、移動体２に対応付けて設定される。

　監視情報ＤＢ２２１の設定速度、利用エリア、移動コース、移動方向、移動姿勢、停止状態の各項目は、監視情報ＤＢ２２１の「速度」、「ブロック」、「コース」、「姿勢（移動方向）」、「姿勢（車両の向き）」、「速度」と検出継続時間の情報の組に対応する。

　制御部２１０が監視対象として指定する項目には、例えば、設定速度、利用エリア、移動コース、移動方向、移動姿勢、及び、停止状態のうちのいずれか一つ又は複数が含まれる。

　例えば、走行状況判定部２１５は、「設定速度」として指定される速度範囲（例えば、上限値以下または下限値以上）で移動体２が移動しているかを、監視情報ＤＢ２２１の「速度」の情報に基づいて検出する。

　走行状況判定部２１５は、「利用エリア」として指定される領域（エリア）内を移動体２が移動しているかを、監視情報ＤＢ２２１の「位置情報」又は「範囲」に基づいて検出する。

　走行状況判定部２１５は、「移動コース」として指定されるコースを移動体２が移動しているかを、監視情報ＤＢ２２１の「位置情報」又は「コース」に基づいて検出する。

　走行状況判定部２１５は、「移動方向」として規定される方向に移動しているかを、監視情報ＤＢ２２１の「姿勢（移動方向）」に基づいて検出する。

　走行状況判定部２１５は、移動体２の移動中の姿勢が、「移動姿勢」として規定される方向に移動体の向きを向けて移動しているかを、監視情報ＤＢ２２１の「姿勢（車両の向き）」に基づいて検出する。

　走行状況判定部２１５は、「停止状態」として規定される停止時間が、規定の時間以上継続して停止しているかを、監視情報ＤＢ２２１の「位置情報」、「範囲」、「コース」などの位置に関する情報と、所定の時間とに基づいて検出する。上記の所定の時間は、全テストコースに一律に設定されていてもよく、場所ごとに、時間ごとにそれぞれ設定されてもよい。

　このような監視情報ＤＢ２２１の各項目は、監視項目の一例である。上記の項目の詳細又は他の項目については後述する。

　次に、外部情報処理部２１６は、外部システムが提供する外部情報などを取得してコース状態ＤＢ２２５に追加する（ＳＡ５０）。例えば、このような情報として、テストコース３が位置する地域の気象情報、テストコース３に影響を及ぼす地震情報などが挙げられる。

　次に、外部情報処理部２１６は、端末装置１０などの操作により通報された通報情報を、その端末装置１０等から取得してコース状態ＤＢ２２５に追加する（ＳＡ６０）。例えば、このような情報として、テストコース３内の落下物に関する情報などが挙げられる。

　次に、走行状況判定部２１５は、所定の条件を満たす突発事象が発生した場合に、その突発事象の対象の端末装置１０にアラートを通知する(発報する)（ＳＡ７０）。走行状況判定部２１５は、このような突発事象を履歴情報ＤＢ２２７に追加する。さらに走行状況判定部２１５は、他の端末装置、管理者端末３０などに対し、アラートとして扱うべき突発事象が検出されたことを発報する。

　次に、速度差処理部２１７は、車両間の速度差を導出し、相対速度差ＤＢ２２８に格納する。相対速度情報処理部２１８は、基準の車両と他の車両との速度差を導出し、判定する（ＳＡ８０）。基準の車両とは、当該端末装置１０によって指定された車両のことである。相対速度情報処理部２１８は、速度差により車両の表示が異なるように端末装置１０に表示させるとよい。

　次に、速度差処理部２１７は、上記の相対速度差に関する情報を履歴情報ＤＢ２２７に追加して、閲覧情報が最新のものになるよう配信情報を更新する（ＳＡ９０）。

　制御部２１０は、上記の処理を所定の間隔で繰り返し実施する。

　次に、図１１から図１３を参照して、端末装置１０から収集した走行状況情報に基づいて、監視項目に従い走行状況を判定に関する処理（Ｓ４０）について説明する。

　図１１は、実施形態の監視項目について説明するための図である。監視項目として、「停車」、「コースアウト」、「逆走」、「バック走行」、「走行レーン」、「速度違反」、「時間満了」などの項目を含む。
　「停車」についての検出は、所定の速度以下で移動する移動体２を検出する。ただし、上記のような移動体２を検出した時点では、事象の発生を検知したことを確定せずに、確認要求を端末装置１０に送信する。制御部２１０は、端末装置１０からの応答結果に従い、「事故」、「トラブル」について事象の発生を検知したことを確定する。或いは、制御部２１０は、事象の発生を検知したことを取り消す(キャンセル)。

　「コースアウト」についての検出は、グリーンエリア等の所定のレーンから離脱（コースアウト）した移動体２を検出する。ただし、上記のような移動体２を検出した時点では、事象の発生を検知したことを確定せずに、確認要求を端末装置１０に送信する。制御部２１０は、端末装置１０からの応答結果に従い、「コースアウト」について事象の発生を検知したことを確定する。或いは、制御部２１０は、事象の発生を検知したことを取り消す(キャンセル)。

　「走行レーン」、「速度違反」、「時間満了」については、後述する。

　ここで、図１２を参照して、実施形態における順走・逆走・バック走行の３通りの走行状態について説明する。図１２は、実施形態における走行状態について説明するための図である。例えば、移動体２として一般的に利用される状態の進行方向(白矢印の向き)を前方、進行方向とは逆方向を後方と規定する。

　図１２（ａ）に示す走行状態を「順走」という。「順走」とは、テストコース３に規定された走行順路に従って、規定の走行順路（網掛け矢印の向き）に白矢印の向きが揃うように、その方向に移動体２の前方を向けて走行する状態をいう。

　図１２（ｂ）に示す走行状態を「逆走」という。「逆走」とは、規定された走行順路（網掛け矢印の向き）に白矢印の向きが逆らうように、走行する状態をいう。
　例えば、この「逆走」状態を、次の方法を利用して検出してもよい。
　ＧＮＳＳ位置情報を利用すると、「逆走」状態の移動体２は、規定された走行順路に逆らって移動するもの（逆走方向への移動）として検出される。つまり、予め「各コースの走行順路」と、正規の移動方向とは異なる方向への移動と検出すべき方向の範囲を設定する。設定された範囲で移動する移動体を、「逆走」状態にあると判定する。

　図１２（ｃ）に示す走行状態を「バック走行」という。「バック走行」とは、規定の走行順路に従って、規定の走行順路（網掛け矢印の向き）に白矢印の向きが揃うように移動体２の向きを向けて、そのまま移動体２の後方を走行する状態をいう。変速機でバックギアを選択可能な自動４輪車やバック駆動装置付きの車両では、バック走行が可能である。

　例えば、この「バック走行」状態を、次の方法を利用して検出してもよい。端末装置１０は、加速度検出部１５０で加速度を検出する。端末装置１０に加速の内、移動体２が前方に向かって移動する際の加速度成分を正の加速度とし、それとは逆方向の加速度成分を負の加速度と定義して、それを基準の方向として端末装置１０に記憶させる。端末装置１０は、所定期間の上記の基準の方向の平均加速度が負である場合に、それを「バック走行」として検出する。これにより、端末装置１０は、変速機の情報を利用せずに、「バック走行」を検出できる。なお、端末装置１０は、バックギアが選択されている状態にあることを移動体２から受けて、「バック走行」の検出に利用してもよい。

　図１３は、実施形態の監視項目に従い走行状況の判定に関する処理の手順を示すフローチャートである。ここで示す処理は、上記の各監視項目に共通するように一般化したものである。

　まず、走行状況判定部２１５は、判定対象の移動体２の位置情報を含む情報を検出結果ＤＢ２２４から取得する（ＳＡ４０２）。このような走行状況判定部２１５は、端末情報取得部の一例である。

　次に、走行状況判定部２１５は、事象検出部２１５１としての処理を実施する。走行状況判定部２１５は、監視情報ＤＢ２２１の監視項目について、判定対象の移動体２の情報に異常な事象が存在するか否かを利用予約情報ＤＢ２１３、コース状態ＤＢ２２５などを参照して判定し（ＳＡ４０４）、判定対象の情報に異常な事象が存在していなければ、図に示す一連の処理を終える。判定対象の情報に異常な事象が存在している場合、走行状況判定部２１５は、監視項目ごとに定められた条件に従い、端末装置１０に状態の問い合わせが必要か否かを判定する（ＳＡ４１０）。例えば、上記の異常な事象とは、取得した位置情報に基づいた端末装置１０の位置と、移動体２に対応する利用予約情報ＤＢ２１３、コース状態ＤＢ２２５などに格納された利用条件とを比較して、その利用条件とは異なるものと判定すべき所定の事象のことである。

　端末装置１０に状態の問い合わせが必要な場合には、走行状況判定部２１５は、事象確認部２１５２として機能する。例えば、走行状況判定部２１５は、上記の所定の事象の検出結果に対応する確認要求画面を、端末装置１０の画面に表示させるように制御することにより、端末装置１０に状態を問い合わせて（ＳＡ４１２）、端末装置１０からの応答を待機する（ＳＡ４１４）。

　次に、走行状況判定部２１５は、応答を検出したか否かを判定し（ＳＡ４１６）、応答を検出した場合、処理をＳＡ４２０に進める。

　応答を検出しない場合、走行状況判定部２１５は、監視項目ごとにその条件として定められた所定時間が経過したか否かを判定し（ＳＡ４１８）、所定時間が経過するまでＳＡ４１４からの処理を繰り返す。所定時間が経過した場合、又は、ＳＡ４１０において端末装置１０に状態の問い合わせが必要ではないと判定された場合、走行状況判定部２１５は、
　認定部２１５３として機能する。例えば、走行状況判定部２１５は、状態判定の結果を認定して確定する（ＳＡ４２０）。

　次に、走行状況判定部２１５は、履歴情報ＤＢ２２７に判定結果の情報を追加して、閲覧情報を更新する（ＳＡ４３０）。

　次に、走行状況判定部２１５は、ＳＡ４２０において確定した状態判定の結果に基づいて、発報が必要か否かを判定し（ＳＡ４４０）、発報が必要ではない場合には、図に示す一連の処理を終える。

　発報が必要な場合、走行状況判定部２１５は、事象警報部２１５４として機能する。例えば、走行状況判定部２１５（事象警報部２１５４）は、その事象を特定事象として扱うように履歴情報ＤＢに追加して（ＳＡ４４２）、図に示す一連の処理を終える。なお、特定事象として通知される発報は、端末装置１０において表示の優先度が最も高くなるように調整される。端末装置１０は、この発報により通知された情報を最優先で表示する。

　上記の処理により、各閲覧情報と履歴情報ＤＢを最新の状態に整えることができる。

　次に、上記の処理を適用したより具体的なシーンについて説明する。

（各種アラートに関する端末装置１０に表示させる画像の例）
　図１４から図２１を参照して、実施形態のサーバ装置２０が、特定の端末装置１０に表示させる画像の一例を説明する。

　図１４は、実施形態に係る移動体２の「停止」を検出した場合に表示させる画像の一例を示す図である。図１４（ａ）の画像Ｐ１１０は、「停止」などが検出されていない平時に表示させるものである。なお、正面左下に表示されている「緊急発報」ボタンは、そのような緊急事態が発生した場合に、その緊急事態が発生したことを通報する際に使用するボタンである。図１４（ｂ）の画像は、「停止」が検出された場合に端末装置１０に表示させて、利用者に状況を問い合わせるためのものである。図１４（ｃ）から（ｅ）の画像は、利用者からの応答に基づき判断した結果を通知するためのものである。

　図１５は、実施形態に係る移動体２が「コースアウト」したと検出した場合に表示させる画像の一例を示す図である。図１５（ａ）の画像Ｐ３２２は、「コースアウト」が検出された場合に、利用者に状況を問い合わせるためのものである。図１５（ｂ）と（ｃ）の画像は、利用者からの応答に基づき判断した結果を通知するためのものである。

　図１６は、実施形態に係る移動体２が「逆走」又は「バック走行」したと検出した場合に表示させる画像の一例を示す図である。図１６（ａ）の画像Ｐ２２６－１は、「逆走」を検出した場合に表示させて、注意を促すためのものである。図１６（ｂ）の画像Ｐ２２６－２は、「バック走行」を検出した場合に表示させて、注意を促すためのものである。

　図１７は、実施形態に係る移動体２が停車禁止の領域で「停車」したと検出した場合に表示させる画像の一例を示す図である。図１７の画像Ｐ４２６は、停車禁止の領域で「停車」したことを検出した場合に表示させて、速やかに移動するように警告するためのものである。

　図１８は、実施形態に係る移動体２が制限速度を超過して走行したと検出した場合に表示させる画像の一例を示す図である。図１８の画像Ｐ５２２は、制限速度を超過して走行している車両に対して通知して、制限速度以下で走行するように警告するためのものである。

　図１９は、実施形態に係る移動体２をコースから退出させる場合に表示させる画像の一例を示す図である。図２０は、実施形態に係る地震の発生叉を地震の到来が予測された場合に表示させる画像の一例を示す図である。図２１は、実施形態に係るコース内に所定の事象が発生した場合に表示させる画像の一例を示す図である。

（シーン１：車両が停止した場合の一例）
　図１４と図２２を参照して、車両２１が停止した場合について説明する。図２２は、実施形態の車両２１が停止した場合の処理を説明するための図である。

　車両２１が停止する要因として、事故、故障などのトラブル、ドライバーの誘導による停車などの要因が挙げられる。各車両の位置や速度を遠隔でモニタしているだけでは、上記を区別することが困難である。そこで、サーバ装置２０は、上記を以下の処理により判別することにより、管理者や他の車両のドライバーが、停止した車両２１から離れた場所に居ながら上記の要因を識別可能にする。

　ここで、車両２１が停止したと仮定する（Ｓ１１１）。
　その車両２１に搭載されて車両２１と一緒に移動する端末装置１０は、車両２１の移動状態によらず、平時と同様の方法でＧＮＳＳによる測位の結果（ＧＮＳＳ位置情報）をサーバ装置２０宛に繰り返し送信する（Ｓ１２１）。ただし、その車両２１が停車していることにより、その車両２１の端末装置１０からサーバ装置２０宛に送信されてくるＧＮＳＳ位置情報は、同じ位置と判断され得る情報になる。
　なお、本実施形態では、端末装置１０が歩く程度の速度で移動する場合、例えば、利用者が車両２１から降りて端末装置１０を携行している場合は、車両２１が「停止」しているものと判断する。以下の説明では、これらをまとめて「停止」として説明する。

　サーバ装置２０は、端末装置１０からのＧＮＳＳ位置情報を受信して（Ｓ１３１）、ＧＮＳＳ位置情報から、車両２１が所定時間継続して停止したと推定される状態を検出する。この場合、サーバ装置２０は、当該端末装置１０に対して「確認要求画面」（Ｐ１２２（図１４（ｂ）））を表示されるように制御する（Ｓ１３２）。端末装置１０は、「確認要求画面」を表示する（Ｓ１２２）。

　利用者は、「確認要求画面」の表示を確認して（Ｓ１１２）、同画面に表示されたアイコンの内から状況に適したものを選択する（Ｓ１１３）。例えば、利用者は、所望のアイコンをタッピングする。

　端末装置１０は、利用者の操作を検出し、選択されたアイコンに関連する応答をサーバに送る（Ｓ１２３－１２５）。なお、端末装置１０は、「確認要求画面」を表示してから所定時間が経過しても、利用者の操作を検出できなかった場合には、「事故」を示す応答をサーバに送る（Ｓ１２３）。

　サーバ装置２０は、端末装置１０からの応答を受けて（Ｓ１３３－Ｓ１３５）、その情報を履歴情報ＤＢ２２７に追加する。

　サーバ装置２０は、上記の応答を受け付けて、事象の要因についての情報を受け付けたことを端末装置１０に通知する（Ｓ１３６）。この通知は、「事象要因表示画面」を表示させるための情報を含む。例えば、サーバ装置２０は、事故が発生したことを検出して画像Ｐ１２６－１（図１４（ｃ））を表示させる。サーバ装置２０は、トラブルが発生したことを検出して画像Ｐ１２６－２（図１４（ｄ））を表示させる。サーバ装置２０は、検出した事象が事故とトラブルとによるものではないことを検出して画像Ｐ１２６－３（図１４（ｅ））を表示させる。

　この通知の受信に応じて、端末装置１０は、受け付けた事象の要因に対応する「事象要因表示画面」を表示する（Ｓ１２６）。利用者は、「事象要因表示画面」の表示を確認する（Ｓ１１６）ことで、自身の操作がサーバに受け付けられたことを確認できる。

　また、サーバ装置２０は、上記の利用者からの申告に基づいた情報を閲覧情報に追加して、管理者端末３０に配信する。管理者は、更新された閲覧情報の表示を確認する（Ｓ１４３）。管理者は、その状況により、現場に急行し（Ｓ１４７）、救助を開始する（Ｓ１４８）。

　上記の手順に従えば、管理者が現場に向かう前に現場の状況を確認することができる。
　また、簡易な操作で利用者に応答させることができることから、利用者が現場の状況を速やかに管理者に通知することができる。なお、現場の位置は、ＧＮＳＳ位置情報により収集されているので、管理者が急行する際にも誤ることが無い。

（シーン２：コースアウトが検出された場合の一例）
　図１５と図２３を参照して、コースアウトした場合について説明する。図２３は、実施形態の車両２１がコースアウトした場合の処理を説明するための図である。

　例えば、車両２１がグリーン帯に侵入したと仮定する（Ｓ３１１）。端末装置１０は、平時と同様にＧＮＳＳ位置情報をサーバ装置２０宛に繰り返し送信する（Ｓ３２１）。

　サーバ装置２０は、端末装置１０からのＧＮＳＳ位置情報を受信して（Ｓ３３１）、ＧＮＳＳ位置情報から、車両２１が所定時間継続してコースアウトしたと推定される状態を検出する。この場合、サーバ装置２０は、当該端末装置１０に対して「確認要求画面」（Ｐ３２２（図１５（ａ）））を表示されるように制御する（Ｓ３３２）。端末装置１０は、「確認要求画面」を表示する（Ｓ３２２）。

　利用者は、「確認要求画面」の表示を確認して（Ｓ３１２）、同画面に表示されたアイコンの内から状況に適したものを選択する（Ｓ３１３）。例えば、利用者は、所望のアイコンをタッピングする。

　端末装置１０は、利用者の操作を検出し、選択されたアイコンに関連する応答をサーバに送る（Ｓ３２３－３２４）。なお、端末装置１０は、「確認要求画面」を表示してから所定時間が経過しても、利用者の操作を検出できなかった場合には、「コースアウト」を示す応答をサーバに送る（Ｓ３２３）。

　サーバ装置２０は、端末装置１０からの応答を受けて（Ｓ３３３－Ｓ３３４）、その情報を履歴情報ＤＢ２２７に追加する。

　サーバ装置２０は、上記の応答を受け付けて、事象の要因についての情報を受け付けたことを端末装置１０に通知する（Ｓ３３６）。この通知は、「事象要因表示画面」を表示させるための情報を含む。

　この通知の受信に応じて、端末装置１０は、受け付けた事象の要因に対応する「事象要因表示画面」を表示する（Ｓ３２６）。利用者は、「事象要因表示画面」の表示を確認する（Ｓ３１６）ことで、自身の操作がサーバに受け付けられたことを確認できる。

　また、サーバ装置２０は、上記の利用者からの申告に基づいた情報を閲覧情報に追加して、管理者端末３０に配信する。管理者は、更新された閲覧情報の表示を確認する（Ｓ３４３）。管理者は、その状況により、現場に急行し（Ｓ３４７）、救助を開始する（Ｓ３４８）。

　上記の手順に従えば、管理者が現場に向かう前に現場の状況を確認することができ、レッカー車の出動の要否を含めて速やかに状況を判断して現場の対応にあたることができる。なお、現場の位置は、ＧＮＳＳ位置情報により収集されているので、管理者が急行する際にも誤ることが無い。

（シーン３：逆走又はバック走行が検出された場合の一例）
　図１６と図２４を参照して、車両２１が逆走又はバック走行した場合について説明する。図２４は、実施形態の車両２１が逆走又はバック走行した場合の処理を説明するための図である。

　実施形態の端末装置１０は、逆走とバック走行とを識別可能にする加速度情報をＧＮＳＳ位置情報とともに出力する。

　例えば、車両２１が利用予定のコースに到着したと仮定する（Ｓ２１１）。端末装置１０は、平時と同様にＧＮＳＳ位置情報をサーバ装置２０宛に繰り返し送信する（Ｓ２２１）。

　サーバ装置２０は、端末装置１０からのＧＮＳＳ位置情報を受信する（Ｓ２３１）。例えば、車両２１が指定のレーンを順送していれば、ＧＮＳＳ位置情報に基づいて平時の要領でその情報を検出結果ＤＢ２２４に追加する。

　一方で、端末装置１０は、車両２１が逆走又はバック走行をした場合も、平時と同様にＧＮＳＳ位置情報をサーバ装置２０宛に繰り返し送信する（Ｓ２２３－Ｓ２２４）。ただし、端末装置１０が送信するＧＮＳＳ位置情報が逆走を示すものであったり、加速度情報からバック走行と判断さるものであったりする。

　サーバ装置２０は、端末装置１０からのＧＮＳＳ位置情報と加速度情報とを受けて（Ｓ２３３－Ｓ２３４）、その情報を検出結果ＤＢ２２４に追加する。
　サーバ装置２０は、上記の情報に基づいて判定して、判定結果の継続時間を評価して、逆走又はバック走行状態にあることを端末装置１０に通知して（Ｓ２３６）、画像Ｐ２２６－１（「逆走」の場合（図１６（ａ）））、又は、画像Ｐ２２６－２（「バック走行」の場合（図１６（ｂ）））を表示させる。この通知は、「事象要因表示画面」を表示させるための情報を含む。

　この通知の受信に応じて、端末装置１０は、受け付けた事象の要因に対応する「事象要因表示画面」を表示する（Ｓ２２６）。利用者は、「事象要因表示画面」の表示を確認して（Ｓ２１６）、違反行為を中断する。

　また、サーバ装置２０は、上記の事象を検出したことを閲覧情報に追加して、管理者端末３０に配信する。管理者は、更新された閲覧情報の表示を確認する（Ｓ２４３）。管理者は、その状況により、現場に急行し（Ｓ２４７）、違反者を指導する（Ｓ２４８）。

　上記の手順に従えば、管理者は、違反者の存在を早期に確認することができる。また、管理者が現場に到着する前に違反者に注意を促すことができ、危険な状況を速やかに収束させることができる。なお、現場の位置及び違反者は、ＧＮＳＳ位置情報などとともに履歴情報として管理できる。

（シーン４：指定外レーンの走行又は停止が検出された場合の一例）
　図１７と図２５を参照して、車両２１が逆走又はバック走行した場合について説明する。図２５は、実施形態の車両２１が指定外レーンを走行した場合又は指定外レーンで停止した場合の処理を説明するための図である。

　例えば、車両２１が利用予定のコースの最寄りの外周路に到着したと仮定する（Ｓ４１１）。端末装置１０は、平時と同様にＧＮＳＳ位置情報をサーバ装置２０宛に繰り返し送信する（Ｓ４２１）。

　サーバ装置２０は、端末装置１０からのＧＮＳＳ位置情報を受信する（Ｓ４３１）。例えば、車両２１が指定のレーンを順送していれば、ＧＮＳＳ位置情報に基づいて平時の要領でその情報を検出結果ＤＢ２２４に追加する。

　一方で、端末装置１０は、車両２１が指定外レーンを走行した場合又は指定外レーンで停止した場合も、平時と同様にＧＮＳＳ位置情報をサーバ装置２０宛に繰り返し送信する（Ｓ４２３－Ｓ４２４）。ただし、この場合、端末装置１０が送信するＧＮＳＳ位置情報から、車両２１が指定外レーンに侵入していることが識別できる。

　サーバ装置２０は、端末装置１０から端末装置１０の位置を示すＧＮＳＳ位置情報を取得して（Ｓ４３３－Ｓ４３４）、その情報を履歴情報ＤＢ２２７に追加する。
　なお、サーバ装置２０は、上記の情報を受け付けて、車両２１が指定外レーンを走行していることを検出した場合には、管理者端末３０にそれを表示させる（Ｓ４３３）。管理者端末３０は、指定外レーンを走行している車両２１が存在することを表示する（Ｓ４４３）。

　また、サーバ装置２０は、上記の情報を受け付けて、車両２１が指定外レーンで停止した場合には、判定結果の継続時間を評価して、端末装置１０に、停車禁止の領域で停車していることを通知して（Ｓ４３６）、画像Ｐ４２６（図１７）を表示させる。この通知は、「事象要因表示画面」を表示させるための情報を含む。

　この通知の受信に応じて、端末装置１０は、受け付けた事象の要因に対応する「事象要因表示画面」を表示する（Ｓ４２６）。利用者は、「事象要因表示画面」の表示を確認して（Ｓ４１６）、車両２１の移動を試みる。

　サーバ装置２０は、上記の事象を検出したことを閲覧情報に追加して、管理者端末３０に配信する。管理者は、更新された閲覧情報の表示を確認する（Ｓ４４４）。管理者は、その状況により、現場に急行し（Ｓ４４７）、違反者を指導する（Ｓ４４８）。

　上記の手順に従えば、管理者は、違反者の存在を早期に確認することができる。また、管理者が現場に到着する前に違反者に注意を促すことができ、危険な状況を速やかに収束させることができる。上記の実施形態によれば、車両２１が指定外レーンを走行した場合と、指定外レーンで停止した場合とを区別することができ、それぞれに適した処理を実施することができる。なお、現場の位置及び違反者は、ＧＮＳＳ位置情報などとともに履歴情報として管理できる。

（シーン５：利用条件を制限するための指令を通知する場合の一例）
　図１８と図２６を参照して、テストコース３の利用条件を制限するための指令を通知する場合について説明する。図２６は、実施形態の利用条件を制限するための指令を通知する場合の処理を説明するための図である。

　気象状況が悪化するなどの要因で速度規制値の変更することなどのように、テストコース３の利用条件を制限して運用することがある。

　ところで、現在の一般的な技術の気象予報は、その予報の対象にしている単位領域の範囲が、テストコース３の全範囲に比べても広いため、局所的な予想精度はテストコース３の利用条件を判断するような用途で利用するうえで十分なものではない。そのため、単に天気予報の情報に基づいて機械的に判定するより、テストコース３の現地の風速、風向、降雨量などの状況を、天気予報の情報に組み合わせて判断した方が、テストコース３を運営するうえでより利便性を高めることができる。なお、将来、テストコース３の全範囲を単位領域とするほど単位領域が細分化されて、その単位領域毎の予想が可能になったり、予報の精度が高まったりしたならば、サーバ装置２０が天気予報の情報を取得して、それに基づいて機械的に判定するようにしてもよい。

　上記の理由から、本実施形態では、気象予報などに基づいてテストコースの利用を制限することの要否を、管理者が判断する事例を例に挙げて、それについて説明する。

　まず、管理者が気象予報などを確認して（Ｓ５４１）、テストコースの利用を制限することの要否を判断し、必要に応じてテストコースの利用を制限する利用条件に関する情報を、管理者端末３０から登録する（Ｓ５４２）。

　サーバ装置２０は、速度規制により利用条件が一時的に制限されることを、テストコースを利用中の全車両に対して通知する（Ｓ５３２）。速度規制は、一時的に制限される利用条件の一例である。

　通知を受けた端末装置１０は、利用条件が一時的に制限され、速度規制が惹かれていることを表示する（Ｓ５２２）。

　ドライバーは、この表示を確認して（Ｓ５１２）、規制速度を遵守して（Ｓ５１６）、規制された速度以下で走行する。

　運行管理者は、各車両が規制を遵守して走行していることを確認する（Ｓ５４６）。
　なお、管理者は、さらに、他の防災を目的とする各種注意報・警報を判断の条件に加えてもよい。

（シーン６：運行管理センターからコース退出指令を通知する場合の一例）
　図１９と図２７を参照して、運行管理センターからテストコース３の利用を中断させて、コースから退出するように指令（コース退出指令）を通知する場合について説明する。
　図２７は、実施形態の運行管理センターからコース退出指令を通知する場合の処理を説明するための図である。

　利用時間の満了、利用条件違反行為の実施などの要因で、利用を中断させることが必要な場合がある。

　例えば、運行管理者は、テストコース３の利用を中断させて、テストコース３のコースから退出させる必要があると判断する。この場合、運行管理者は、利用中の車両の内の一部又は全部の対象車両について、その利用を中断させるために「退出」を指示する情報を、管理者端末３０などから登録する（Ｓ６４２）。サーバ装置２０は、それを受けて、「退出」が指示されたことを、テストコースを利用中の対象車両に対して通知する（Ｓ６３２）。通知を受けた端末装置１０は、「退出」が指示されたこと（退出規制）を表示する（Ｓ６２２）。

　ドライバーは、この表示を確認して（Ｓ６１２）、指示に従いコースを退出する（Ｓ６２６）。運行管理者は、対象の各車両が指示に従って、コースを退出したことを確認する（Ｓ６４６）。

　なお、端末装置１０がＧＮＳＳ位置情報を平時と同様にサーバに対して通知していることにより、サーバ装置２０は、通知されたＧＮＳＳ位置情報に基づいて、その対象車両がコースから退出したかを判定し、指示に従わない車両を検出して、表示してもよい。サーバ装置２０は、その対象車両がコースから退出したかの判定を、その対象車両の状況を検出することより優先させてもよい。

（シーン７：地震により利用を中断させる場合の一例）
　図２０と図２８を参照して、地震により利用を中断させる場合について説明する。図２８は、実施形態の地震により利用を中断させる場合の処理を説明するための図である。

　地震が発生した場合や予測される場合に、コースの利用を中断させることがある。例えば、緊急地震速報システムが地震を検出して、鳴動する（Ｓ７３１）。

　サーバ装置２０は、緊急地震速報システムからの地震に関する情報を取得して、必要に応じてテストコース３の利用を中断させるように、車両停止の規制が惹かれたことを発信することで、それを指示する通知を、テストコース３を利用中の全車両、及び、全端末装置１０に通知する（Ｓ７２２）。通知を受けた端末装置１０は、地震により利用の中断が指示されていることを示す画像Ｐ７２２（図２０）を表示する（Ｓ７２２）。

　ドライバーは、この表示を確認して（Ｓ７１２）、車両を停止させる（Ｓ７１６）。
　運行管理者は、テストコース３を利用している各車両が停止したことを確認する（Ｓ７４６）。

　なお、端末装置１０がＧＮＳＳ位置情報を含む端末情報を平時と同様にサーバ装置２０に対して通知していることにより、サーバ装置２０は、通知されたＧＮＳＳ位置情報などに基づいて、各車両が停止したかを判定し、指示に従わない車両を検出して、それを管理者端末３０に表示してもよい。
　上記の各シーンの事象の検出は、ＧＮＳＳ位置情報に限らず、他の検出情報を組み合わせて判定してもよい。

　次に、各端末における表示の例について説明する。

（管理者端末３０の表示画面の例）
　図２９と図３０を参照して、管理者端末３０の表示画面の一例について説明する。
　管理者端末３０に表示する表示画面には、「監視情報設定画面」、「監視画面」等が含まれている。

　図２９と図３０は、管理者端末３０の表示画面（「監視情報設定画面」）の一例を説明するための図である。図２９における符号Ｐ８３０は、「監視情報設定画面」の画像の表示領域を示す。表示領域Ｐ８３０の割り付けは、地図を表示する表示部の左領域Ｐ８３０Ｌと、表示部への操作入力を受け付ける操作入力部である右領域Ｐ８３０Ｒとを含む。右領域Ｐ８３０Ｒの画面の詳細を図３０に示す。

　表示領域Ｐ８３０内の左側に割り付けられた左領域Ｐ８３０Ｌには、テストコース３の平面図の拡大図が表示されている。一例として、図１に示す符号Ｐ８３０Ｌの範囲のものを示す。

　この例においては、テストコース３は、グリーン帯Ｌ１Ｇと、停車可能領域ＳＴと、低速レーンＬ１と、中速レーンＬ２と、高速レーンＬ３と、グリーン帯Ｌ３Ｇとを含む。低速レーンＬ１と、中速レーンＬ２と、高速レーンＬ３は、主に移動体２の走行試験や評価に利用されるコースである。グリーン帯Ｌ１Ｇと、停車可能領域ＳＴと、グリーン帯Ｌ３Ｇは、そのコースに付帯して設けられた領域である。

　低速レーンＬ１と高速レーンＬ３のそれぞれは、車種や種別に応じた走行試験などに利用される。中速レーンＬ２は、低速レーンＬ１と高速レーンＬ３を使用する走行試験の内容に応じて割り振られている。

　停車可能領域ＳＴは、上記の各レーンから、一時的に移動体を退避させる際に利用され、必要に応じて停車が許可された領域である。

　グリーン帯Ｌ１Ｇとグリーン帯Ｌ３Ｇは、侵入した車両の速度を下げて安全に停止できるようにするなどのために、移動時の抵抗を大きくするように形成された領域である。この領域は、通常時に利用される領域ではなく、この領域に侵入した車両には、侵入前に何らかのトラブルなどが生じている可能性が高い。

　上記のように、テストコース３には、テストの対象や目的に応じた各種利用形態に応じてレーンを管理するために判断条件が設けられている。

　そこで、テストコース３の周回コースにおいて、図に示すように各レーンとそれに付帯する領域を、周回コースの順路の方向にレーンごとに、又、領域ごとに複数のブロックに分割する。

　例えば、グリーン帯Ｌ１Ｇは、ＢＣＬ１Ｇ００１、ＢＣＬ１Ｇ００２、・・・、の各ブロックに分割される。停車可能領域ＳＴは、ＢＣＳＴ００１、ＢＣＳＴ００２、・・・、の各ブロックに分割される。低速レーンＬ１は、ＢＣＬ１００１、ＢＣＬ１００２、・・・、の各ブロックに分割される。他のレーンと領域も同様である。上記の分割された各ブロックは、円、楕円、多角形等を用いて近似されている。図に示す各ブロックは、４つの頂点を有する四角形で近似した一例である。例えば、停車可能領域ＳＴのブロックＢＣＳＴ００１は、頂点ＳＴ１１、ＳＴ１２、ＳＴ１３、ＳＴ１４を有する。低速レーンＬ１のブロックＢＣＬ１００１は、頂点Ｐ１１、Ｐ１２、Ｐ１３、Ｐ１４を有する。このように、各レーンと各領域のそれぞれは、矢印ＲＲ（regular route）で示す順路の方向に各ブロックを繋げて閉じることにより周回コース中の特定のレーン又は領域を、一体のものとして識別することができる。

　例えば、低速レーンＬ１条を移動する移動体２は、矢印ＲＲの方向に沿って低速レーンＬ１のブロックＢＣＬ１００１、ＢＣＬ１００２、・・・、を順に移動するものとしてみなすことができる。その移動体２が、低速レーンＬ１のブロックＢＣＬ１００１、ＢＣＬ１００２、・・・、の内の何れのブロックに存在しない場合は、低速レーンＬ１からコースアウトしたと見なすことができる。

　実施形態では、テストコース３を、所定の位置に頂点が設けられた４角形のブロックの組み合わせとしてモデル化する。

　次に、図３０を参照して右領域Ｐ８３０Ｒの画像について説明する。

　図３０に示すように、右領域Ｐ８３０Ｒには、上記の各ブロックの設定並びに変更と、そのブロックで監視すべき項目の設定並びに変更を実施するための操作入力部が設けられている。この例では、「停車」、「コースアウト」、「走行レーン」、「逆走」、「バック走行」についての監視項目を指定するための操作入力部が、監視項目ごとに纏めて配置されている。

　例えば、監視項目の「停車」については、監視を有効化する（ＯＮ）と無効化する（ＯＦＦ）の何れかを択一的に選択するラジオ、停止禁止区間として設定する設定対象のブロックを特定するための「コース」、「レーン」、「ブロック」の入力欄、ブロックの頂点（Ｐ１、Ｐ２、Ｐ３、Ｐ４）の位置を特定するための緯度、経度、標高の入力欄、及び、各欄に入力した値に設定するための「設定」ボタンが設けられている。ここで設定された範囲が、当該ブロックにおける「停車」を監視するための範囲として設定される。この「停車」については、停止状態の継続を判定するための閾値（停止時間）の入力欄がさらに設けられている。

　「コースアウト」については、監視を有効化する（ＯＮ）と無効化する（ＯＦＦ）の何れかを択一的に選択するラジオ、グリーン帯として設定する設定対象のブロックを特定するための「コース」、「レーン」、「ブロック」の入力欄、ブロックの頂点（Ｐ１、Ｐ２、Ｐ３、Ｐ４）の位置を特定するための緯度、経度、標高の入力欄、及び、各欄に入力した値に設定するための「設定」ボタンが設けられている。ここで設定された範囲が、当該ブロックにおける「コースアウト」を監視するための範囲として設定される。この「コースアウト」については、継続して滞在していることを判定するための閾値（滞在時間）の入力欄がさらに設けられている。

　「走行レーン」については、監視を有効化する（ＯＮ）と無効化する（ＯＦＦ）の何れかを択一的に選択するラジオ、グリーン帯として設定する設定対象のブロックを特定するための「コース」、「レーン」、「ブロック」の入力欄、ブロックの頂点（Ｐ１、Ｐ２、Ｐ３、Ｐ４）の位置を特定するための緯度、経度、標高の入力欄、及び、各欄に入力した値に設定するための「設定」ボタンが設けられている。ここで設定された範囲が、当該ブロックが許可されていない「走行レーン」として、それを監視するための範囲として設定される。この「走行レーン」については、許可されていない走行レーンとして、そこに継続して停止するものを判定するための閾値（停止時間）の入力欄がさらに設けられている。

　また、例えば、監視項目の「逆走」については、監視を有効化する（ＯＮ）と無効化する（ＯＦＦ）の何れかを択一的に選択するラジオ、設定対象のブロックを特定するための「コース」、「レーン」、「ブロック」の入力欄、及び、各欄に入力した値に設定するための「設定」ボタンが設けられている。さらに、「逆走」と判定すべき方角の起点と終点の入力欄が設けられており、ここで設定された範囲内の方角に移動が検出された場合を「逆走」と判定するための範囲が設定される。

　同様に、監視項目の「バック走行」についても「逆走」と同様であり、ここで設定された範囲内の方角に移動が検出された場合を「バック走行」と判定するための範囲が設定される。

　管理者端末３０又はサーバ装置２０の入出力部を用いて設定された各変数は、サーバ装置２０の記憶部２２０に、制御部２１０によって書き込まれる。図３１は、実施形態のコース情報ＤＢ２２２を説明するための図である。図の表記の都合で、上段（ａ）と下段（ｂ）とに、項目を分けて記載するが、一体で構成されていてもよい。

　図３１（ａ）に示す通り、コース情報ＤＢ２２２は、ブロック、コース、レーンの他、水平位置（Ｐ１，Ｐ２、Ｐ３、Ｐ４）、標高（Ｐ１ｈ，Ｐ２ｈ、Ｐ３ｈ、Ｐ４ｈ）等の項目を含む。これらは、ブロックとその位置を特定するための情報である。

　図３１（ｂ）に示す通り、コース情報ＤＢ２２２は、停車、コースアウト、走行レーン、逆走、方角Ａ（逆走方向）、バック走行、方角Ｂ（バック走行方向）等の項目を含む。
　これらの項目のデータは、前述の図２９と図３０に示した操作入力画面の操作により決定される。つまり、これらの項目は、上記の操作入力画面に示した各監視項目に対応し、各監視項目の監視の有無と、判定に利用する閾値（継続時間「・秒」）の値を示す。例えば、ブロックＢＣＬ１Ｇ００１の「停車」に関する監視は有効（あり）であり、判定に利用する閾値（継続時間）は、「２秒」に設定した。他の項目についても管理要件に合わせて閾値を設定できる。

　なお、ここでは監視情報設定画面について述べたが、端末装置１０の監視画面に同様の表示を行うようにしてもよい。

　図３２は、実施形態の移動体間の相対位置と相対速度に基づく判定処理の手順を示すフローチャートである。

　まず、図６Ｂに示す速度差処理部２１７は、最新の各移動体２の位置情報と、履歴情報ＤＢ２２７から最新のものより過去の一又は複数の時点の各移動体２の位置情報とを取得して、図３２のフローチャートに示すように車両情報を集約する（ＳＡ９１）。例えば、速度差処理部２１７は、各移動体２の最新の速度を算出し、図３５のように相対速度差ＤＢ２２８の速度の欄に書き込む。さらに、速度差処理部２１７は、移動体間の相対速度を算出し、相対速度差ＤＢ２２８における該当する欄にその値を書き込む。

　次に、速度差処理部２１７は、基準とする移動体２（基準車）の速度を取得する（ＳＡ９２）。相対速度差ＤＢ２２８の速度の欄から読み出すことで、基準とする移動体２（基準車）の速度を取得してもよい。

　次に、速度差処理部２１７は、基準車との速度差を判定する（ＳＡ９３）。
　例えば、基準車（例えば、車両２１）との速度差が速度差高速側閾値より大きい場合、つまり、評価対象の移動体２が基準車より速い場合、その移動体に対応するマーカーの表示を第１の特徴を有するように決定する（ＳＡ９４）。

　また、基準車（例えば、車両２１）との速度差が速度差低速側閾値より大きい場合、つまり、評価対象の移動体２が基準車より遅い場合、その移動体に対応するマーカーの表示を第２の特徴を有するように決定する（ＳＡ９５）。

　また、上記以外の場合、つまり、基準の移動体２（例えば、車両２１）に対する他の移動体２の速度差が速度差低速側閾値から速度差高速側閾値までの間にある場合には、その移動体に対応するマーカーを第３の特徴を有するように決定する（ＳＡ９６）。

　次に、ＳＡ９４からＳＡ９６の処理の結果を履歴情報ＤＢ２２７に書き込むのとともに、それを出力する（ＳＡ９７）。

　次に、異常情報の集約結果を出力する（ＳＡ９８）。異常情報の集約結果とは、前述のＳＡ４０の処理から得られるものであってよい。

　上記の手順に従えば、移動体間の相対位置と相対速度に基づく判定処理を実施することができる。

（端末装置１０の設定画面と相対速度表示画面の例）
　ここでは、図３３から図３５を参照して、端末装置１０の設定画面と相対速度表示画面の例を挙げて、端末装置１０の表示について説明する。
　図３３は、端末装置１０の設定画面と相対速度表示画面の一例を説明するための図である。図３３（ａ）に設定画面の例を示す。図３３（ｂ）に相対速度表示画面の例を示す。
　図３３（ａ）と（ｂ）における符号Ｐ９１０は、画像の表示領域を示す。

　図３３（ａ）において、ＯＢＪ９１１は、相対速度表示画面中に移動体２（端末装置１０）の位置を示すマーカーの大きさを調整するための操作子である。例えば、マーカーの大きさは予め複数の段階に定められていて、大きくする操作子「△」又は小さくする操作子「▽」のそれぞれに対する操作（タップ等）により順に大きさを調整する。

　ＯＢＪ９１２は、移動体２に対応するマーカーにラベルを表示するか否かを決定するスイッチである。この図の状態は、ラベルを表示することを選択した状態を示す。ＯＢＪ９１３は、移動体２の軌跡を表示するか否かを決定するスイッチである。この図の状態は、軌跡を表示しないことを選択した状態を示す。ＯＢＪ９１４は、基準の移動体２（例えば、車両２１）に対する他の移動体２の相対速度を表示するか否かを決定するスイッチである。この図の状態は、相対速度を表示することを選択した状態を示す。ここでは、その相対速度を３段階に分けて、各段階に区分される移動体２を色分けして表示する例を示す。

　例えば、ＯＢＪ９１５は、基準の移動体２（例えば、車両２１）に対する他の移動体２の速度差が速度差高速側閾値を超えて速い場合にマーカーを視覚的に識別可能な第１の特徴を持たせて表示する例を示し、ＯＢＪ９１６にその際の速度差高速側閾値の設定値を示す。例えば、視覚的に識別可能な第１の特徴を赤色にする。その設定値は、大きくする操作子「△」又は小さくする操作子「▽」のそれぞれに対する操作（タップ等）により、その値を調整することができる。この図の状態は、基準の移動体２より時速２０キロメートルより速い速度で走行している移動体２を抽出して表示することを選択した状態を示す。

　ＯＢＪ９１６は、基準の移動体２（例えば、車両２１）に対する他の移動体２の速度差が速度差低速側閾値を超えて遅い場合にマーカーを視覚的に識別可能な第２の特徴を持たせて表示する例を示し、ＯＢＪ９１７にその際の速度差低速側閾値の設定値を示す。例えば、視覚的に識別可能な第２の特徴を青色にする。その設定値は、大きくする操作子「△」又は小さくする操作子「▽」のそれぞれに対する操作（タップ等）により、その値を調整することができる。この図の状態は、基準の移動体２より時速２０キロメートルより遅い速度で走行している移動体２を抽出して表示することを選択した状態を示す。

　なお、基準の移動体２（例えば、車両２１）に対する他の移動体２の速度差が速度差低速側閾値から速度差高速側閾値までの間にある場合には、当該移動体のマーカーを視覚的に識別可能な第３の特徴を持たせて表示し、基準の移動体のマーカーを視覚的に識別可能な第４の特徴を持たせて表示する。例えば、視覚的に識別可能な第３の特徴を緑色にし、第４の特徴を上記の３色とは異なる色又は無彩色で表示する。
　上記の表示ルールに従えば、相対速度表示画面上に表示されるマーカーの表示は、区分分けした段階の数より１つ多い４通りになる。

　図３３（ｂ）において、基準の移動体２を符号ＯＴ１とし、他の移動体２を符号ＯＴ２からＯＴ７として示す。これらは、各移動体２の位置を示したマーカーである。各マーカーの近傍に、各マーカーに対応するラベルが表示されている。例えば、ラベルには、利用者名と移動体２の絶対速度（時速）が表示されている。

　図３３（ｂ）に示すマーカーは、７個である。その内、基準の移動体２（ＯＴ１）に対して、上記の速度差低速側閾値を超える速度差があり、基準の移動体２（ＯＴ１）の後方から、その移動体２（ＯＴ１）に接近してくる他の移動体２（ＯＴ２）が１台存在することが分かる。

　また、基準の移動体２（ＯＴ１）に対して、上記の速度差高速側閾値を超える速度があり、基準の移動体２（ＯＴ１）の前方に接近している他の移動体２（ＯＴ３、ＯＴ７）が、２台存在することが分かる。そのうち、符号ＯＴ７のマーカーは、停止車両であることを示し、ラベル表示とは別に、状況を示す情報が掲載されている。

　さらに、基準の移動体２に対して、速度差が比較的少ないと区分された他の移動体が３台（ＯＴ５、ＯＴ６、ＯＴ４）存在することが分かる。

　なお、符号ＯＴ８は、落下物がコース上に存在していることを示すマーカーである。

　図３４は、実施形態の表示情報ＤＢについて説明するための図である。
　図３４に示すように、表示情報ＤＢ２２６には、端末装置ＩＤ、表示範囲、マーカーサイズ、ラベル表示、軌跡表示、相対速度表示、速度差高速側閾値、速度差低速側閾、特定情報表示等の項目のデータが含まれる。例えば、ＵＴ１で識別される端末装置１０から、端末装置１０が表示する範囲の情報（表示範囲）の他に、マーカーサイズを標準の大きさにして、ラベル表示をＰＵ１にして表示して、軌跡表示はなしとし、相対速度表示をありとすること、速度差高速側閾値と速度差低速側閾値の値をそれぞれ２０にすることが指定されたことが記憶されている。

　図３５は、実施形態の相対速度差ＤＢについて説明するための図である。相対速度差ＤＢ２２８には、図３５に示すように、車両ＩＤによって識別される車両間の相対速度が格納される。

［１］上記の実施形態によれば、動態管理システム１は、テストコース３内を移動する端末装置１０の位置を地図情報画面上に表示して、当該テストコース３の利用状況を管理する。
　動態管理システム１における記憶部２２０には、端末装置１０とテストコース３を使用する移動体２と該移動体２に対応付けて規定されるテストコース３の利用条件とを互いに関連付ける情報が格納されている。
　端末情報取得部（２１４）は、端末装置１０の位置を示す位置情報を含む端末情報を取得する。例えば、検出結果処理部２１４は、端末情報取得部の一例である。検出結果処理部２１４は、端末装置１０の位置を示す位置情報を含む端末情報を、端末装置１０から取得する。なお、測位処理部１１２と逆走検出部１１３の組は、端末情報取得部の一例である。例えば、測位処理部１１２は、端末装置１０の位置を示す位置情報を端末装置１０のＯＳなどから取得する。また、逆走検出部１１３は、端末装置１０に掛かる力を示す加速度情報を加速度検出部１５０から取得する。例えば、上記の位置情報と加速度情報をとを端末情報としてもよい。
　事象検出部２１５１は、上記の端末情報取得部により取得された端末情報に基づいて移動体（２）のテストコース（３）の使用状況を検出する。事象検出部２１５１は、移動体２に対応する記憶部２２０に格納された利用条件とを比較して、その利用条件とは異なる所定の事象の有無を検出する。制御部２１０は、少なくとも事象検出部２１５１を制御する。
　上記の実施形態によれば、テストコースにおける状況の推定精度を高める動態管理システム、動態管理方法、及びプログラムを提供することができる。
　さらに、上記の実施形態によれば、テストコース３に入場した移動体２（車両）に備えた端末装置１０の端末情報から、移動体２の識別や使用条件とは異なる所定の事象の有無を検出することで、平時とは異なる所定の事象の発生の確認や、それに対する警報の伝達を速やかに行える。

［２］事象検出部２１５１は、移動体２に対応付けて設定された、設定速度、利用エリア、移動コース、移動方向、移動姿勢、及び、停止状態のうちのいずれか一つ又は複数に基づいて、移動体２が置かれた状況と利用条件とを対比して、前記利用条件とは異なる所定の事象の有無を検出することができる。

［３］事象確認部２１５２は、前記所定の事象の検出結果に対応する確認要求画面を、端末装置１０の画面に表示させるように制御する。認定部２１５３は、前記確認要求画面の表示に対する返信情報の有無により、前記所定の事象に対応する特定事象を認定する。事象警報部２１５４は、認定部２１５３によって認定された特定事象に関する情報を、検出結果処理部２１４で取得した位置情報に対応させて地図情報画面上に表示するように制御する。これにより、テストコースにおける状況の推定精度を高めることができる。

　さらに、事象確認部２１５２は、平時とは異なる所定の事象が検出され、さらに、端末装置からの返信がない場合は、上記の所定の事象を特定事象として発報するので、短時間にコースに平時とは異なる所定の事象が生じていることを発見でき、テストコースをより安全に利用することと、テストコースの運行をより円滑にすることに貢献できる。

［４］制御部２１０は、端末装置１０の位置を２次元座標系の位置（緯度経度）で示してもよい。この場合、事象検出部２１５１において、端末装置１０の位置を、２次元座標を基準にテストコース３内に予め決められた範囲に基づき判定し、事象警報部２１５４において、判定の結果を、端末装置１０の地図情報画面上に表示するように制御してもよい。これにより、事象が発生した場所と警報事項とを、端末装置１０の地図情報画面上で確認でき、場所の把握に係る時間が短縮する。

［５］制御部２１０は、端末装置１０の位置を３次元座標系の位置（緯度経度高度）で示してもよい。この場合、事象検出部２１５１において、端末装置１０の位置を、３次元座標を基準にテストコース３内に予め決められた範囲に基づき判定し、事象警報部２１５４において、判定の結果を、端末装置１０の地図情報画面上に表示するように制御してもよい。これにより、高度差があるテストコース３における、測位の精度を高めることができる。例えば、テストコース３に特有の急バンク斜面や、上下方向に重なる箇所を含む走行レーンなどにおいて位置検出精度が向上する。

［６］制御部２１０は、事象検出部２１５１において、所定の事象が発生していることを通知するための確認ボタンを、端末装置１０の表示部に表示するように制御してもよく、該確認ボタンが所定時間中に操作されない場合には、特定事象として認定してもよい。これにより、端末装置１０の画面上の確認ボタンを操作するだけで回答を送信することができ、回答に要する時間を短縮できる。

［７］制御部２１０は、端末装置１０の表示について制御する際に、事象警報部２１５４において、端末装置１０の位置と他の端末装置１０の位置及び端末装置１０と他の端末装置１０との相対速度とを示すオブジェクトを（アイコン図柄で）、端末装置１０の地図情報画面上に表示するように制御してもよい。なお地図情報画面上にオブジェクトを、アイコンの図柄で識別可能にしてもよい。これにより、事象が発生した位置と他の移動体との相対位置情報を端末装置１０の画面上に表示することができ、現状の状況を容易に把握することができる。

［８］制御部２１０は、認定部２１５３における認定の結果情報に基づきテストコース３の運行管理センターからの指令が決定され、事象警報部２１５４において、決定された指令により、所定の事象に関する警報を、端末装置１０と他の端末装置１０とに発信するように制御してもよい。

［９］制御部２１０は、認定部２１５３における認定の結果情報に基づきテストコース３の運行管理センターからの指令が決定され、事象警報部２１５４において、決定された指令により、所定の事象に関する警報の送出を中断するように制御してもよい。

［１０］制御部２１０は、所定の事象に関する警報の送出の中断に伴い、平時であることを示す表示画面に切り替えるように制御してもよい。これにより、運行管理センターの情報を、正確にかつ分かり易く各端末装置１０に伝達できるので、テストコース３をより効率よく利用することが可能なる。

［１１］端末装置１０の支持体１０Ｓは、端末装置１０が移動体２の進行方向の向きを検出可能な状態で、端末装置１０を移動体２に係止するので車体の向きをより精度よく把握することが可能となる。

＜第２の実施形態＞
　第２の実施形態では、ＧＮＳＳの信号を受信する受信装置と端末装置１０とは別に設けた事例について説明する。

　図３６は、実施形態のＧＮＳＳの信号を受信する受信装置を備える移動体の概略構成図である。例えば、端末装置１０がＧＰＳの衛星からの信号を受信できるが、準天頂衛星システム（ＱＺＳＳ）の衛星からの信号を受信できない場合などに、端末装置１０とは別体の受信装置２２００を設けるとよい。受信装置２２００は、ＧＰＳとＱＺＳＳとに対応するものであり、所望の精度の測位結果を出力する。受信装置２２００の出力は、移動体２のＥＣＵ２１００（制御装置）に接続されている。端末装置１０は、ＥＣＵ２１００を介して測位結果を受信する。

　なお、ＥＣＵ２１００は、エンジンＥと変速機Ｍに対する制御指令値の情報を有する。
　この場合、変速機Ｍにおいてバックギアを選択しているか否かの情報を端末装置１０は取得してもよい。この場合、加速度に基づいたバック走行の判定を、変速機Ｍに対するギアの選択指令値に基づく判定に代えることができる。

　上記の実施形態によれば、第１の実施形態と同様の効果を奏することができる。

　以上、本発明の実施形態及びその変形を説明したが、これらの実施形態及びその変形は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態及びその変形は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

　なお、上述の各装置は内部にコンピュータを有している。そして、上述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、ＣＤ－ＲＯＭ、ＤＶＤ－ＲＯＭ、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。

　また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
　さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル（差分プログラム）であってもよい。

　１…動態管理システム、２…移動体、３…テストコース、１０…端末装置、１０Ｓ…支持体、１５０…加速度検出部、２０…サーバ装置、２１０…制御部、２１５１…事象検出部、２１５２…事象確認部、２１５３…認定部、２１５４…事象警報部、２２０…記憶部、３０…管理者端末

Claims

　テストコース内を移動する端末装置の位置を地図情報画面上に表示して、当該テストコースの利用状況を管理する動態管理システムであって、
　前記端末装置と、前記テストコースを使用する移動体と、該移動体に対応付けて規定される前記テストコースの利用条件と、を互いに関連付ける情報が格納される記憶部と、
　前記端末装置の位置を示す位置情報が含まれる端末情報を取得する端末情報取得部と、
　該取得された端末情報に基づいて検出される前記移動体の前記テストコースの使用状況と、前記移動体に対応する前記記憶部に格納された前記利用条件とを比較して、前記利用条件とは異なる所定の事象の有無を検出する事象検出部と、
　少なくとも前記事象検出部を制御する制御部と
　を備えることを特徴とする動態管理システム。
　前記事象検出部は、
　前記移動体に対応付けて設定された、設定速度、利用エリア、移動コース、移動方向、移動姿勢、及び、停止状態のうちのいずれか一つ又は複数に基づいて前記利用条件とは異なる所定の事象の有無を検出する、
　ことを特徴とする請求項１に記載の動態管理システム。
　前記所定の事象の検出結果に対応する確認要求画面を、前記端末装置の画面に表示させるように制御する事象確認部と、
　前記確認要求画面の表示に対する返信情報の有無により、前記所定の事象に対応する特定事象を認定する認定部と、
　前記認定部で認定された特定事象に関する情報を、前記端末情報取得部で取得した位置情報に対応させて前記地図情報画面上に表示するように制御する事象警報部と、
　を、更に備えることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の動態管理システム。
　前記制御部は、
　前記端末装置の位置を２次元座標系の位置で示し、
　前記事象検出部において、前記端末装置の位置を、２次元座標を基準に前記テストコース内に予め決められた範囲に基づき判定し、
　前記事象警報部において、前記判定の結果を、前記端末装置の地図情報画面上に表示するように制御する、
　ことを特徴とする請求項３に記載の動態管理システム。
　前記制御部は、
　前記端末装置の位置を３次元座標系の位置で示し、
　前記事象検出部において、前記端末装置の位置を、３次元座標を基準に前記テストコース内に予め決められた範囲に基づき判定し、
　前記事象警報部において、前記判定の結果を、前記端末装置の地図情報画面上に表示するように制御する、
　ことを特徴とする請求項３に記載の動態管理システム。
　前記制御部は、
　前記事象検出部において、前記所定の事象が発生していることを通知するための確認ボタンを、前記端末装置の表示部に表示するように制御して、
　該確認ボタンが所定時間中に操作されない場合には前記特定事象として認定する、
　ことを特徴とする請求項３から請求項５の何れか１項に記載の動態管理システム。
　前記制御部は、
　前記端末装置の表示について制御する際に、前記事象警報部において、前記端末装置の位置と他の端末装置の位置及び前記端末装置と前記他の端末装置との相対速度とを示すオブジェクトを、前記端末装置の地図情報画面上に表示するように制御する
　ことを特徴とする請求項３から請求項６の何れか１項に記載の動態管理システム。
　前記制御部は、
　前記認定部における前記認定の結果情報に基づき前記テストコースの運行管理センターからの指令が決定され、前記決定された指令により、
　前記事象警報部において、
　前記所定の事象に関する警報を、前記端末装置と他の端末装置とに発信するように制御する、
　ことを特徴とする請求項３から請求項７の何れか１項に記載の動態管理システム。
　前記制御部は、
　前記認定部における前記認定の結果情報に基づき前記テストコースの運行管理センターからの指令が決定され、前記決定された指令により、
　前記事象警報部において、
　前記所定の事象に関する警報の送出を中断するように制御する、
　ことを特徴とする請求項３から請求項８の何れか１項に記載の動態管理システム。
　前記制御部は、
　平時であることを示す表示画面に切り替えるように制御する、
　ことを特徴とする請求項１から請求項９の何れか１項に記載の動態管理システム。
　前記端末装置は、前記移動体の進行方向の向きを検出可能な状態にあり、前記端末装置を前記移動体に係止する支持体を備える、
　ことを特徴とする請求項１から請求項１０の何れか１項に記載の動態管理システム。
　テストコース内を移動する端末装置の位置を地図情報画面上に表示して、当該テストコースの利用状況を管理する動態管理システムにおける動態管理方法であって、
　前記端末装置と、前記テストコースを使用する移動体と、該移動体に対応付けて規定される前記テストコースの利用条件と、を互いに関連付ける情報を記憶部に格納する記憶ステップと、
　前記端末装置の位置を示す位置情報が含まれる端末情報を取得する端末情報取得ステップと、
　該取得された端末情報に基づいて検出される前記移動体の前記テストコースの使用状況と、前記移動体に対応する前記記憶部に格納された前記利用条件とを比較して、前記利用条件とは異なる所定の事象の有無を検出する事象検出ステップと、
　を含むことを特徴とする動態管理方法。
　前記所定の事象の検出結果に対応する確認要求画面を、前記端末装置の画面に表示させるように制御する事象確認ステップと、
　前記確認要求画面の表示に対する返信情報の有無により、前記所定の事象に対応する特定事象を認定する認定ステップと、
　前記認定ステップで認定された特定事象に関する情報を、前記位置情報ステップで取得した位置情報に対応させて前記地図情報画面上に表示するように制御する事象警報ステップと、
　を含むことを特徴とする請求項１２に記載の動態管理方法。
　前記端末情報は、前記端末装置に備えられた加速度センサからの情報を含む、
　ことを特徴とする請求項１２に記載の動態管理方法。
　テストコース内を移動する端末装置の位置を地図情報画面上に表示して、当該テストコースの利用状況を管理する動態管理システムのコンピュータに、
　前記端末装置と、前記テストコースを使用する移動体と、該移動体に対応付けて規定される前記テストコースの利用条件と、を互いに関連付ける情報を記憶部に格納する記憶ステップと、
　前記端末装置の位置を示す位置情報が含まれる端末情報を取得する端末情報取得ステップと、
　該取得された端末情報に基づいて検出される前記移動体の前記テストコースの使用状況と、前記移動体に対応する前記記憶部に格納された前記利用条件とを比較して、前記利用条件とは異なる所定の事象の有無を検出する事象検出ステップと、
　を含む処理を実行させるプログラム。