本発明の実施形態に係る基板処理装置10について図1を参照して説明する。 本実施形態に係る基板処理装置10は、図1に示すように、円筒状の加熱装置12と、加熱装置12の内部に炉内空間14をもって収容された円筒状の反応管16と、反応管16内に処理対象の基板18を保持する基板保持具としてのボート20とを備えている。ボート20は基板18を水平状態で隙間をもって多段に装填でき、この状態で複数枚の基板18を反応管16内で保持する。ボート20はキャップ22を介して図外のエレベータ上に載置されており、このエレベータにより昇降可能となっている。したがって、基板18の反応管16内への装填および反応管16からの取り出しはエレベータの作動により行われる。
また、反応管16は基板18を収容する処理室24を形成しており、反応管16内にはガス導入管26が連通され、ガス導入管26には処理ガス供給源が接続され、上流から順に流量制御器としてのマスフローコントローラ(MFC)62、開閉弁としてのバルブ64が設置されている。また、反応管16内にはガス排気管56が連通され、処理室24内の排気を行っている。ガス排気管56には、上流側から順に圧力センサ66、圧力調整装置としてのAPCバルブ66が設置されている。
加熱装置12は、円筒形状であって、複数の断熱体が積層された構造の断熱構造体の内側に、側方から炉内空間14を加熱する側方加熱部としての側方発熱部(側部ヒータ)30と、上方から炉内空間14を加熱する上方加熱部としての上方発熱部(天井ヒータ)31を更に有する構成となっている。天井ヒータ31は、断熱構造体の上壁部33下方であって、反応管16上方に配置されている。側部ヒータ30はウエハ装填方向に複数に分割されており、例えば上から4つのゾーン30-1~30-4に分割されている。側部ヒータ30は、分割された各ゾーンで個別に加熱温度を制御可能に構成されている。天井ヒータ31の詳細については後述する。
断熱構造体は、円筒形状に形成された断熱部としての側壁部32と、側壁部32の上端を覆うように形成された断熱部としての上壁部33と、を有している。側壁部32は複数層構造に形成され、側壁部32の複数層のうち外側に形成された側壁外層32aと、複数層のうち内側に形成された側壁内層32bから構成される。側壁外層32aと側壁内層32bとの間には冷却ガス通路としての円筒空間34が形成されている。そして、側壁内層32bの内側に側部ヒータ30が設けられ、側部ヒータ30の内側が発熱領域となっている。尚、側壁部32は、複数の断熱体が積層された構造であるが、このような構造に限定されないのはいうまでもない。
側壁外層32aの上部には、冷却ガス供給口36が形成されている。また、側壁外層32aの下部には、冷却ガス排出口43が形成されている。急冷ガス排出口42及び冷却ガス排出口43は、排気管45a、45bにそれぞれ接続されて、ダクト50で合流される。ダクト50には、上流側からラジエータ52及び排気ファン54が接続されており、これらダクト50、ラジエータ52及び排気ファン54を介して加熱装置12内の熱せられた冷却ガスが装置外へ排出される。
ここで、冷却ガス供給口36及びダクト38aの近傍には、開閉可能な弁39aが設けられている。また、急冷ガス排出口42及びダクト50の近傍には、開閉可能な弁39bが設けられている。また、冷却ガス排出口43及びダクト38bの近傍には、開閉可能な弁39cが設けられている。そして、弁39b、39cをダクト50又はダクト38b近傍に配置することにより、未使用時の排出口におけるダクトからの対流の影響を少なくし、ダクト周辺での基板内温度均一性を良好にすることができる。
更に、弁39aの開閉及び排気ファン54のON/OFFにより冷却ガスの供給が操作され、弁39b又は弁39cの開閉及び排気ファン54のON/OFFにより冷却ガス通路34を閉鎖及び開放して、急冷ガス排出口42又は冷却ガス排出口43からそれぞれ冷却ガスを排出する。
図2に示すように、側部ヒータ30の各ゾーンには、温度検出器としての第1温度センサ27-1、27-2、27-3、27-4が設置されている。また、天井ヒータ31には、第2温度センサ28が設置されている。また、第3温度センサ29-1、29-2、29-3、29-4が処理室24内に設置される。第3温度センサは装置立ち上げの際のプロファイル取得時のみに設置し、成膜処理時には処理室24内から取り外しされていても良い。
次に、制御装置の構成について説明する。 図2に示すように、制御装置60は、第1温度センサ、第2温度センサ、第3温度センサ、MFC、バルブ、APCバルブ等の構成部分により、制御用コンピュータ82から設定された温度および圧力・流量の設定値に基づいて基板処理装置10としての半導体製造装置の各構成部分を制御する。
温度制御装置74は、第1の温度センサ27-1、27-2、27-3、27-4それぞれにより測定される温度が、制御用コンピュータ82により設定された温度になるように、ヒータ駆動装置76-1、76-2、76-3、76-4それぞれが側部ヒータ30の各ゾーン30-1~30-4それぞれに供給する電力を制御する。また、第1の温度センサ27-1および第2の温度センサ28により測定される温度が、制御用コンピュータ82により設定された温度、具体的には、上部ウエハの温度が所望の温度となるように、ヒータ駆動装置76-1、76-5それぞれがゾーン30-1と天井ヒータ31に供給する電力を制御する。
流量制御装置78は、流量センサ64が測定するガスの流量の値が、制御用コンピュータ82により設定されるガス流量の値に等しくなるように、ガス流量調整器64を制御して、処理室24の反応管16内に導入されるガスの流量を制御する。 圧力制御装置80は、圧力センサ68が測定する反応管16内部の圧力が、制御用コンピュータ82により設定される圧力の値に等しくなるように、APCバルブ66を制御して、処理室24の圧力を制御する。
[ハードウェア構成] 図3は、制御用コンピュータ82の構成を示す図である。 制御用コンピュータ82は、CPU84およびメモリ86などを含むコンピュータ本体88と、通信IF(Interface)90と、記憶装置92と、表示・入力装置94とを有する。つまり、制御用コンピュータ82は一般的なコンピュータとしての構成部分を含んでいる。
CPU(Central Precessing Unit)は、操作部の中枢を構成し、記録装置92に記憶された制御プログラムを実行し、表示・入力装置94からの指示に従って、記録装置92に記録されているレシピ(例えば、プロセス用レシピ)を実行する。
また、CPUの動作プログラム等を記憶する記録媒体96として、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク等が用いられる。ここで、RAM(Random Access Memory)は、CPUのワークエリアなどとして機能する。
本発明の実施形態において、制御用コンピュータ82を例に挙げて説明したが、これに限らず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納したフレキシブルディスク、CD-ROM、USB等の記録媒体96から当該プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行することもできる。
また、通信回線、通信ネットワーク、通信システム等の通信IF90を用いてもよい。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板に当該プログラムを掲示し、ネットワークを介して搬送波に重畳して提供してもよい。そして、このように提供されたプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行することができる。
次に、熱処理装置(基板処理装置10)を用い、基板上に膜を形成する処理(成膜処理)の一例について説明する。ここでは、ウエハ18に対して、原料ガスとしてDCS(SiH2 Cl2 :ジクロロシラン)ガスと、反応ガスとしてNH3 (アンモニア)ガスとを供給することで、ウエハ18上にシリコン窒化(SiN)膜を形成する例について説明する。
(ウエハチャージおよびボートロード) 複数枚のウエハ18がボート20に装填(ウエハチャージ)されると、ボート20は、ボートエレベータによって処理室24内に搬入(ボートロード)され、反応管16の下部開口は蓋部22によって気密に閉塞(シール)された状態となる。
(圧力調整および温度調整) 処理室24内が所定の圧力(真空度)となるように、真空ポンプによって真空排気(減圧排気)される。処理室24内の圧力は、圧力センサで測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ66が、フィードバック制御される。
(温度調整) また、処理室24内のウエハ18が所定の温度となるように、側部ヒータ30および天井ヒータ31によって処理室24内が加熱され、温度維持される。このとき、処理室24が所定の温度分布となるように、温度検出部27、28が検出した温度情報に基づき側部ヒータ30および天井ヒータ32への通電具合がフィードバック制御される。処理室24内の上部のウエハの温度に対しては、ゾーン30-1と天井ヒータ31への通電具合のフィードバック制御により制御される。また、回転機構によるボート20およびウエハ18の回転を開始する。側部ヒータ30および天井ヒータ31による処理室24内が加熱は、少なくとも成膜処理が終了するまでは継続される。天井ヒータ31の成膜処理中の加熱量が温度調整時の加熱量よりも小さくなるように、天井ヒータ31に対する印加電力を制御しても良い。
(成膜処理)[原料ガス供給工程] 処理室24内の温度が予め設定された処理温度に安定すると、処理室24内のウエハ18に対してDCSガスを供給する。DCSガスは、MFC60にて所望の流量となるように制御され、ガス導入管26を介して処理室24内に供給される。
[原料ガス排気工程] 次に、DCSガスの供給を停止し、真空ポンプにより処理室24内を真空排気する。この時、不活性ガスとしてN2ガスを処理室24内に供給しても良い(不活性ガスパージ)。
[反応ガス供給工程] 次に、処理室24内のウエハ18に対してNH3ガスを供給する。NH3ガスは、原料ガス供給工程と同様の手順にて処理室24内に供給される。
[反応ガス排気工程] 次に、NH3ガスの供給を停止し、真空ポンプにより処理室24内を真空排気する。この時、N2ガスを処理室14内に供給しても良い(不活性ガスパージ)。
上述した4つの工程を行うサイクルを所定回数(1回以上)行うことにより、ウエハ18上に、所定組成および所定膜厚のSiN膜を形成することができる。
(ボートアンロードおよびウエハディスチャージ) 所定膜厚の膜を形成した後、処理室24内にN2ガスが供給され、処理室24内がN2ガスに置換されると共に、処理室24の圧力が常圧に復帰される。その後、ボートエレベータによりキャップ22が降下されて、ボート20が反応管16から搬出(ボートアンロード)される。その後、処理済ウエハ18はボート20より取出される(ウエハディスチャージ)。
ウエハ18にSiN膜を形成する際の処理条件としては、例えば、下記が例示される。 処理温度(ウエハ温度):300℃~700℃、 処理圧力(処理室内圧力)1Pa~4000Pa、 DCSガス:100sccm~10000sccm、 NH3ガス:100sccm~10000sccm、 N2ガス:100sccm~10000sccm、 それぞれの処理条件を、それぞれの範囲内の値に設定することで、成膜処理を適正に進行させることが可能となる。
次に、処理室24内の上部ウエハの面内温度分布について説明する。 図4に示すように、上部ウエハは側部ヒータのみで加熱される場合(天井ヒータOFFの場合)、ウエハの周辺部が積極的に加熱され、また、ウエハ中央部の熱逃げの影響により、特に、中央部における加熱が不足する。これにより、面内温度分布にばらつきが生じてしまい、面内温度均一性が悪化することがあった。すなわち、側部ヒータのみで上部ウエハを加熱した場合、上部ウエハの面内温度分布は中央部の温度が低い凹分布となることがあった。
発明者らは研究の結果、天井ヒータの外径を上部ウエハの外径よりも大きく形成し、上部ウエハの温度分布を平坦に補完するように、天井ヒータの加熱分布を変化させることにより、上部ウエハの面内温度均一性および面間温度均一性を向上させることができることを見出した。
例えば、図4に示すように、側部ヒータのみで加熱したときの上部ウエハの面内温度分布が凹分布の場合、天井ヒータ自体の加熱分布を凸分布とすることにより、上部ウエハの温度が低い部分(低温部分)を積極的に加熱して上部ウエハの温度が高い部分(高温部分)に温度を合わせることができ、上部ウエハの面内温度分布を略平坦とすることができる。すなわち、上部ウエハを凸分布に加熱することができる。
比較例として、天井ヒータの外径をウエハの外径よりも小さくした場合を図5に示す。この場合、天井ヒータによる加熱の影響(図5中の白~濃色部分)は上部から約5枚程度であることが分かった。つまり、天井ヒータの外径がウエハの外径よりも小さい場合、発熱量が不足するため、温度安定時の補助加熱にしか使用することができない。
本発明例として、天井ヒータの外径を上部ウエハの外径よりも大きくした場合を図6に示す。この場合、天井ヒータによる加熱の影響(図6中の白~濃色部分)を上部から約15枚にまで広げることができることが分かった。つまり、発熱量を十分に確保することができるため、温度安定時の補助加熱のみならず、昇温時の加熱にも効果的に用いることができる。
ウエハ昇温中は側部ヒータによるウエハ周辺方向からの加熱量が増加する。上部ウエハの温度分布は、温度安定時よりも昇温時の方が、ウエハ中心部温度が低くなる凹分布が強くなるため、ウエハ昇温段階から天井ヒータをONとすることで、より上部ウエハの温度制御性を向上させることができる。天井ヒータの加熱量、言い換えれば、発熱体の発熱量は表面負荷密度[W/cm2]及び電流密度[A/mm2]等によって決定される。よって、この表面負荷密度と電流密度とを調整することにより、天井ヒータにおいて任意の加熱分布を形成することができる。
表面負荷密度は単位面積当たりに印加される電力で表され、表面負荷密度が大きいほど、天井ヒータ表面温度が高くなる。表面負荷密度は、発熱体自体への印加電力を増やしたり、発熱体の巻き込み密度を高くしたりすることにより大きくすることができる。
電流密度は単位面積当たりに流れる電流で表され、電流密度が大きいほど、天井ヒータの表面温度が高くなる。電流密度は、発熱体の断面積を大きくすることにより大きくすることができる。
(第1実施形態) 次に、天井ヒータ31の構成について図7、8を用いて説明する。 図7に示すように、天井ヒータ31は、円形の石英板98と、発熱素線である発熱体100により構成される。発熱体100は円形の石英板98に設置されており、天井ヒータ31は、石英板98を反応管16上方に配置することにより設置される。天井ヒータ31および発熱体100の外径はウエハの外径以上に形成されている。
図8に示すように、発熱体100は中心から外方に向けて同心円状に旋回して渦巻状(スパイラル状)に形成されている。天井ヒータ31の中心に位置する発熱体100の端部102は給電線を接続する給電端部である。発熱体100は、端部102の一方を始点として、半円を描いた後に径方向外向きに折り返し、折り返し前の半円よりも径を大きくした半円を描いた後に再び折り返すことを繰り返しながら径方向外向きに蛇行しつつ同心円状に形成される。発熱体100が最外殻の円に差し掛かるように折り返されると、発熱体100は当該折り返し箇所近傍まで最外殻の円を形成し、当該折り返し箇所近傍にて径方向内向きに折り返される。内向きに折り返された後は、外側の円と平行に同心円状の折り返し箇所近傍まで半円を描いた後に再び内径方向に折り返すことを繰り返しながら径方向内向きに蛇行しつつ同心円状に形成され、端部102の他方の終点となる。
このように、発熱体100は、一本の発熱体を複数箇所で折り返しつつ蛇行するようにしながら、同心円状に巻くように構成されている。この際、発熱体100のそれぞれの折り返し箇所が径方向で互いに隣り合わないように、折り返し箇所が周方向に互い違いとなるように構成されている。
発熱体100の幅は、中心部C1内よりも外周部C2内の方が広くなるように設定されている。すなわち、外周部C2内の発熱体100の幅をA、中心部C1内の発熱体100の幅をBとすると、A>Bとなるように設定されている。ここで、中心部C1とは、上部ウエハの低温部分に対応する領域のことである。また、外周部C2とは、中心部C1よりも外側の領域のことであり、上部ウエハの高温部分に対応する領域のことである。このような構成にすることにより、中心部C1の電流密度を外周部C2の電流密度よりも大きくすることができ、外周部C2よりも中心部C1の発熱量を増大させることができ、中心部C1の温度を外周部C2の温度よりも高くすることができる。
また、発熱体100の間隔は、中心部C1よりも外周部C2の方が広くなるように設定されている。すなわち、外周部C2の発熱体100の間隔をC、中心部C1の発熱体100の間隔をDとすると、C>Dとなるように設定されている。このような構成にすることにより、中心部C1の表面負荷密度を外周部C2の表面負荷密度よりも高くすることができ、中心部C1の温度を外周部C2よりも高くすることができ、中心部C1の温度を外周部C2の温度よりも高くすることができる。
図9に天井ヒータ加熱時の温度分布を示す。天井ヒータの中心部の温度は、外周部の温度に比べておよそ100℃高い凸状分布であることが分かる。昇温時におけるウエハの面内温度偏差は昇温レートの約2倍であり、本発明のように凸状に加熱可能な天井ヒータにより、昇温時のウエハの面内温度偏差を吸収可能である。
中心部C1と外周部C2の面積比は、中心部C1の面積/外周部C2の面積とすると、0.5以上1.5以下とするのが好ましい。面積比が0.5より小さい場合、上部ウエハの低温部分への加熱が不足することがある。面積比が1.5より大きい場合、上部ウエハの高温部分を必要以上に加熱してしまうことがある。面積比を0.5以上1.5以下とすることにより、上部ウエハの面内温度分布に合わせて天井ヒータの加熱分布を調整することができ、上部ウエハの面内温度分布を均一にすることができる。
<本実施形態(第1実施形態)による効果> 本実施形態(第1実施形態)によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
(1)天井ヒータの外径をウエハ外径以上に形成することにより、上部ウエハを加熱するための十分な発熱量を確保することができる。これにより、上部ウエハの面間温度均一性を向上させることができるため、ウエハの温度安定時間を短縮させることができ、生産性を向上させることができる。
(2)天井ヒータの発熱体の幅を任意の箇所で変えることにより、任意の箇所で天井ヒータの電流密度を変化させることができる。すなわち、積極的に加熱させたい領域の発熱体の幅を狭くすることにより、電流密度を高くすることができ、発熱量を増加させることができる。これにより、上部ウエハの低温部分を積極的に加熱することができ、上部ウエハの温度均一性を向上させることができる。
(3)天井ヒータの発熱体同士の間隔(ピッチ)を任意の箇所で変えることにより、任意の箇所で天井ヒータの表面負荷密度を変化させることができる。すなわち、積極的に加熱させたい領域の発熱体のピッチを狭くすることにより、表面負荷密度を高くすることができ、発熱量を増加させることができる。これにより、上部ウエハの低温部を積極的に加熱することができ、上部ウエハの温度均一性を向上させることができる。
(4)天井ヒータの発熱体の折り返し位置を周方向で互い違いとし、隣り合わないようにすることにより、天井ヒータの周方向の加熱均一性を向上させることができる。天井ヒータの折り返し位置近傍は空間が生じるため、折り返し位置が隣り合うとその部分の表面負荷密度が低下してしまう。折り返し位置が隣り合わないようにすることにより、折り返し位置近傍の空間を略囲うように発熱体が配置されるため、当該空間の表面負荷密度の低下を補完することができ、天井ヒータの加熱性能を向上させることができる。
(5)給電線に接続する発熱体の端部を中心に配置することにより、発熱体の位置ずれや劣化を抑制することができる。発熱体を加熱すると、発熱体が膨張することがある。この時、発熱体の端部を中心に配置すると、発熱体の膨張が径方向の外向きに発生するため、天井ヒータの中心位置の位置ずれが発生しない。また、膨張率も考慮して発熱体のピッチを設定することにより、接触を抑制することができ、発熱体の寿命を延ばすことができる。
(第2実施形態) 図10に示すように、発熱体100を中心部100-1と外周部100-2とで2分割にする構成としても良い。この時、外周部100-2の発熱体の端子102Aの位置は、中心部の最外殻の折り返し箇所と隣り合わない位置であり、好ましくは、最内周に配置する。
この時、第2の温度センサ28は、中心部100-1と外周部100-2の両方の温度を測定できるように構成されている。温度センサ28は中心部100-1の温度と外周部100-2の温度とを独立に測定し、ヒータ駆動装置76-5は中心部100-1および外周部100-2を独立して制御できるように構成されている。
このような構成により、中心部100-1と外周部100-2とで印加電力を異ならせることができるため、中心部100-1と外周部100-2の発熱量を異ならせることができる。これにより、天井ヒータの温度分布を凸状分布としたり凹状分布としたりすることができる。例えば、外周部100-2に印加する電力量を少なくとも中心部100-1に印加する電力量よりも大きくすることで、天井ヒータの温度分布を凹状分布とすることができる。
また、第1実施形態と同様に、2分割された天井ヒータの発熱体の幅や発熱体同士の間隔(ピッチ)を中心部100-1と外周部100-2のそれぞれで個別に変えたりすることができる。
<本実施形態(第2実施形態)による効果> 第1実施形態と同様に、上述の(1)乃至(5)に記載の効果のうち、少なくとも一つ又は複数の効果を奏することができる。特に、上部ウエハの面内温度均一性を向上させることができる。
また、中心部100-1と外周部100-2とで印加電力を異ならせることができるため、温度昇温時の天井ヒータの温度分布を凸状分布とすることができる。これにより、ウエハ昇温段階から天井ヒータをONとすることで、より上部ウエハの温度制御性を向上させることができ、上部ウエハの面間温度均一性を向上させることができる。これにより、ウエハの温度安定時間を短縮させることができ、生産性を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。しかしながら、本発明は上述の第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
(変形例) 上述の第1及び第2実施形態では、発熱体のピッチおよび幅を中心部と外周部の2箇所で変更する場合について説明したが、3箇所以上で変更しても良い。例えば、天井ヒータの加熱分布が中心から順に同心円状に低温-高温-低温となるように、発熱体のピッチや幅を変更しても良い。また、同心円状ではなく、扇状に加熱分布を異ならせたり、扇状の一部分のみ加熱分布を異ならせたりするように発熱他のピッチや幅を変更しても良い。低温にしたい部分よりも高温にしたい部分の表面負荷密度を大きくしたり、電流密度を大きくしたりすることにより、これらの変形例を実施することができる。すなわち、発熱体のピッチや幅を変更することにより、表面負荷密度の疎密と電流密度の大小とを適切に組み合わせることにより、任意の加熱分布を形成することができる。
この出願は、2016年12月1日に出願された日本出願特願2016-234166を基礎として優先権の利益を主張するものであり、その開示の全てを引用によってここに取り込む。