WO2018055810A1

WO2018055810A1 - パワーステアリング装置

Info

Publication number: WO2018055810A1
Application number: PCT/JP2017/010720
Authority: WO
Inventors: 礼田代; 治吉田
Original assignee: 日立オートモティブシステムズ株式会社
Priority date: 2016-09-21
Filing date: 2017-03-16
Publication date: 2018-03-29
Also published as: JP2018047800A

Abstract

軽量化を図ることが可能なパワーステアリング装置を提供すること。　本発明のパワーステアリング装置では、ボールねじ機構を駆動する出力プーリを、樹脂材料で形成されたハブ部と、ハブ部と一体に設けられ、樹脂材料で筒状に形成された巻掛部と、を有するプーリの本体部材と、スクリュ挿入孔276を備え、ナットの回転軸周りの方向である周方向の外形寸法がナットの回転軸に対する径方向の外形寸法よりも大きく形成された座金と、から構成した。

Description

パワーステアリング装置

　本発明は、パワーステアリング装置に関する。

　この種の技術としては、下記の特許文献1に記載の技術が開示されている。特許文献1には、電動モータの駆動力を、駆動プーリ、ベルト、従動プーリを介してボールスクリュ機構に伝達し、ラック軸の軸方向駆動力とするものが開示されている。従動プーリはボールスクリュ機構にボルトによって締結されている。

特開2016-30479号公報

　特許文献１に記載の技術では、従動プーリを金属により形成しているため、軽量化が求められていた。
本発明は、上記問題に着目されたもので、その目的とするところは、軽量化を図ることが可能なパワーステアリング装置を提供することである。

　本発明の一実施形態に係るパワーステアリング装置では、ボールねじ機構を駆動する出力プーリを、樹脂材料で形成されたハブ部と、ハブ部と一体に設けられ、樹脂材料で筒状に形成された巻掛部と、を有するプーリの本体部材と、スクリュ挿入孔276を備え、ナットの回転軸周りの方向である周方向の外形寸法がナットの回転軸に対する径方向の外形寸法よりも大きく形成された座金と、から構成した。

　よって、本発明の一実施形態によれば、装置の軽量化を図ることができる。また、座金を設けることにより、締結力を向上させることができる。また、座金の周方向外形寸法を径方向外形寸法よりも大きくしたことにより、出力プーリの外形寸法を抑制しながら、伝達部材から出力プーリが受ける引っ張り力について、座金と対向する樹脂材料のハブ部の面圧を低減することができ、ハブ部の耐久性を向上できる。

実施例１のパワーステアリング装置の正面図である。実施例１のパワーステアリング装置の断面図である。実施例１のパワーステアリング装置のアシスト機構付近の拡大断面図である。実施例１の出力プーリの正面図である。実施例１の出力プーリのＡ－Ａ断面図である。実施例１の座金を表す正面図である。実施例１の座金を表すＢ－Ｂ断面図である。実施例１の出力プーリの拡大部分断面図である。

　［実施例1］
  実施例1のパワーステアリング装置1について説明する。実施例1のパワーステアリング装置1は、電動モータ40の駆動力をボールねじ機構26を介して転舵軸10に伝達することで運転者の操舵力に対するアシスト力を付与するものである。
  〔パワーステアリング装置の構成〕
  図１はパワーステアリング装置1の正面図である。図２はパワーステアリング装置1を転舵軸10の軸線上で切断した断面図である。
  パワーステアリング装置1は、運転者が操舵したステアリングホイールの回転を、転舵輪を転舵させる転舵軸10に伝達する操舵機構2と、転舵軸10にアシスト力を付与するアシスト機構3とを有している。
  パワーステアリング装置1の各構成要素は、第一ハウジング31、第二ハウジング32およびモータハウジング33からなるハウジング30内に収容されている。
  操舵機構2は、ステアリングホイールに連結する操舵入力軸80と、操舵入力軸80と一体に回転するピニオン81を有している。ピニオン81は、転舵軸10の外周に形成されたラックと噛み合っている。

　アシスト機構3は、電動モータ40と、電動モータ40の出力を転舵軸10に伝達するボールねじ機構26とを有している。電動モータ40は、運転者によりステアリングホイールに入力された操舵トルクおよび操舵量に応じてモータコントローラにより出力が制御されている。
ボールねじ機構26は、ナット20と出力プーリ27とを有している。出力プーリ27の外見は円筒状の部材であって、ナット20に一体回転可能に固定されている。電動モータ40の駆動軸40aには円筒状の入力プーリ35が一体に回転するように固定されている。ナット20の回転軸を第一基準軸線L1とし、入力プーリ35の回転軸を第二基準軸線L2とする。第二基準軸線L2は、第一基準軸線L1に対して径方向にオフセットするように配置される。なお、ナット20に一体に固定されている出力プーリ27も第一基準軸線L1を回転軸としている。

　入力プーリ35と出力プーリ27との間には伝達部材であるベルト28が巻回されている。ベルト28は樹脂材料によって形成されている。尚、伝達部材は、ベルトに限らずチェーン等を用いてもよい。電動モータ40の駆動力は入力プーリ35、ベルト28、出力プーリ27を介してナット20に伝達される。入力プーリ35の外径は出力プーリ27の外径より小さく形成されている。入力プーリ35、出力プーリ27およびベルト28によって減速機が構成されている。
ナット20は、転舵軸10を包囲するように円筒状に形成され、転舵軸10に対し回転自在に設けられている。ナット20の内周には、螺旋状に溝が形成されており、この溝がナット側ボールねじ溝21を構成している。転舵軸10の外周にはラックが形成されている部分とは軸方向に離れた位置に螺旋状の溝が形成されており、この溝が転舵軸側ボールねじ溝11を構成している。
転舵軸10にナット20を挿入した状態で、ナット側ボールねじ溝21と転舵軸側ボールねじ溝11とによってボール循環溝12を形成している。ボール循環溝12内には金属製の複数のボール22が充填されている。ナット20が回転するとボール循環溝12内をボール22が移動することにより、ナット20に対して転舵軸10が長手方向に移動する。

　〔ナットの構成〕
  図３はパワーステアリング装置1のアシスト機構3付近の拡大断面図である。
  ナット20は軸受24によって第一ハウジング31に回転自在に軸支されている。軸受24は、アウタレース24aとインナレース24bとを有している。アウタレース24aとインナレース24bとの間にはボール24cが設けられている。インナレース24bは、ナット20の軸方向の図中左側（操舵機構2側）に、ナット20と一体に形成されている。
  ナット20のインナレース24bよりも軸方向の図中右側は、本体部20aを構成している。本体部20aの外周には、ボール循環溝12の端部に連通する接続孔が設けられており、この接続孔にボールチューブ23が挿入されている。ボールチューブ23はボール循環溝12の両端部を繋ぎ、ボール22はボール循環溝12とボールチューブ23内を循環可能とされている。
  ナット20の図中右側の端面には雌ねじ部20cが形成されている。雌ねじ部20cは、後述する出力プーリ27のスクリュ貫通孔27fと対応する位置に形成されている。スクリュ貫通孔27fを貫通したスクリュ41が雌ねじ部20cと螺合されて、ナット20と出力プーリ27とを締結する。ナット20の軸方向の図中右側の開口部には傾斜部20bが形成されている。傾斜部20bは、内径が徐々に増大するように形成されている。

　〔出力プーリの構成〕
図４は実施例１の出力プーリを表す正面図、図５は実施例１の出力プーリのＡ－Ａ断面図、図６は実施例１の座金を表す正面図、図７は実施例１の座金を表すＢ－Ｂ断面図、図８は実施例１の出力プーリの拡大部分断面図である。出力プーリ27は、樹脂材料により成形された本体部分と、本体部分にインサート成形された金属製の座金270と、を有する。実施例１の出力プーリ27の本体部は樹脂製であり、装置の軽量化を図っている。また出力プーリ27を樹脂製としたことで、スクリュ41の締め付け力に対する耐久性が低下するおそれがある。そこで、金属製の座金270を設け、ナット20に対してスクリュ41で締め付け固定する際の台座として機能させ、耐久性を向上する。

　出力プーリ27は、第一基準軸線L1方向においてナット20の一方側端面と対向するように設けられ、樹脂材料で形成されたハブ部27xと、ハブ部27xと一体に設けられ、樹脂材料で筒状に形成された巻掛部27bと、を有する。ハブ部27xは、ナット20の一方側端面と対向し、転舵軸10が貫通する貫通孔27fが形成された底面部27aと、底面部27aの外周側からナット20側に向けて円筒状に延びる円筒部27gと、円筒部27gから徐々に拡径し巻掛部27bと接続するテーパ部27dと、を有する。巻掛部27bの内周側には、出力プーリ27の強度を確保するリブ27cが形成されている（図８参照）。

　座金270は、底面部27a内において、周方向均等位置に４つ配置されている。図６に示すように、座金270は、周方向両端側に配置された円弧形状の端部272と、径方向内側に形成され、径方向内側に向かって凹形状となる内側凹部273と、径方向外側に形成され、径方向外側に向かって凸形状となる外側凸部271と、スクリュ41の頭部41a及びナット20の一方型端面と当接する側面274と、を有する。このように、座金270の外形形状を滑らかな曲線の組み合わせで構成することで、樹脂材料との間の応力集中を回避する。また、外側凸部271の曲率半径の中心と、内側凹部273の曲率半径の中心とは一致するように形成されている。よって、外側凸部271の外周側に位置する樹脂材料の肉厚変化を抑制し、更に、内側凹部273の内周側に位置する樹脂材料の肉厚変化を抑制する。言い換えると、外側凸部271の凸形状の曲率半径が、内側凹部273の凹形状の曲率半径よりも大きな曲率半径を有する。これにより、外側凸部271の外周側に位置する樹脂材料の肉厚変化を抑制し、ハブ部27x内の応力集中を緩和する。

　また、座金270の側面274には、第一基準軸線L1方向に貫通するスクリュ挿入孔276と、スクリュ挿入孔276の周方向両側であって第一基準軸線L1方向に貫通形成されたロケート孔277と、を有する。ロケート孔277は、樹脂材料によるインサート成形時において、金型に設けられた突起をロケート孔277に挿入することで、座金270を金型に位置決めする。また、図７に示すように、座金270は、第一基準軸線L1方向における外周面271の略中央に、全周に亘って外周面271よりも突出形成された抜け止め突起部275を有する。これにより、座金270がインサート成形された際、第一基準軸線L1方向において、抜け止め突起部275の両側が樹脂材料で覆われるため、出力プーリ27にこじれ力等に起因する軸方向成分の力が作用したとしても、座金270とハブ部27xとの密着性を確保する。また、図７に示すように、外周面271の略中央に抜け止め突起部275を形成することで、座金270を金型に設置する際の向きを気にする必要がなく、製造工程の簡易化を図る。

　図６に示すように、第一基準軸線L1周りの方向である周方向の外形寸法Sgは、第一基準軸線L1に対する径方向の外形寸法Srよりも大きく形成されている。すなわち、巻掛部27bにベルト28から径方向への引っ張り力が作用すると、スクリュ41により固定された座金270との間の樹脂材料に圧縮力が作用する。このとき、周方向の外形寸法Sgを径方向の外形寸法Srよりも大きくし、応力をより分散することで応力集中を回避している。

　また、図８に示すように、底面部27aと円筒部27gとの接続部分は、断面が略円弧状であって、徐々に径方向厚みが変化するように滑らかな外形形状で接続する接続部27eを有する。これにより、断面積の急激な変化を抑制し、応力集中を回避する。このとき、第一基準軸線L1方向において座金270が設けられる範囲において、接続部27eの径方向における外形寸法が、第一基準軸線L1方向において、抜け止め突起部275が設けられている部分である円筒部27gの外形寸法に比べ、抜け止め突起部275よりもスクリュ41の頭部41a側における外形寸法が小さい。よって、座金270よりも径方向外側における樹脂部の肉厚は、抜け止め突起部275が設けられる部分において抜け止め突起部275が突出している分、薄くなる。しかしながら、抜け止め突起部275と円筒部27gとを径方向から見て重なるように配置することで、外形寸法を充分確保できる。言い換えると、径方向から見て抜け止め突起部275と接続部27eとが重ならないように配置することで、抜け止め突起部275周辺における肉厚を確保し、ハブ部27xの耐久性を向上する。

　また、円筒部27gの内周面27g1のうち、座金270の径方向外側の外周面である外側凸部271と当接する当接部27g2と、第一基準軸線L1方向において当接部27g2と隣接する部分とが同一面となるように形成されている。言い換えると、内周面27g1と同じ面に座金270の外周面である外側凸部271が当接するところまで、座金270を径方向外側に寄せて配置することで、ハブ部27xに形成された座金270の径方向内側部分27a1の肉厚を確保する。

　また、ハブ部27xは、第一基準軸線L1に対する径方向の外形寸法が、回転軸線方向においてスクリュ41の頭部41a側から巻掛部27b側に向かって徐々に増大するように形成されたテーパ部27dを有する。図８に示すように、このテーパ部27dは、径方向の外形寸法の最大値r1が、巻掛部27bの径方向の外形寸法r2よりも小さく形成されている。すなわち、プーリの本体部は、テーパ部27dの巻掛部側端部周辺が屈曲部となるように撓みやすい形状となるため、ベルト28からプーリの本体部が受ける倒れ方向の力を屈曲部で吸収する。これにより、ハブ部27xと座金270の接合部付近に発生する応力を抑制する。

　〔実施例１の効果〕
以下、実施例１にあっては、下記の作用効果が得られる。
　（１）ステアリングホイールの回転に伴い軸方向移動することにより転舵輪を転舵させる転舵軸10と、転舵軸10を包囲するように環状に設けられたナット20と、第一基準軸線L1（ナットの回転軸線）方向においてナット20に対し転舵軸10を移動させるボールねじ機構26であって、転舵軸10の外周側に設けられ、螺旋状の溝形状を有する転舵軸側ボールねじ溝11と、ナットの内周側に設けられ、螺旋状の溝形状を有し、転舵軸側ボールねじ溝11と共にボール循環溝12を構成するナット側ボールねじ溝21と、ボール循環溝12内に設けられた複数のボール22と、複数のボール22をボール循環溝12の一端側から他端側へ循環させるボールチューブ23（循環機構）と、を有するボールねじ機構26と、プーリの本体部材と座金270を有する出力プーリ27であって、プーリの本体部材は、第一基準軸線L1方向においてナット20の一方側端面と対向するように設けられ、樹脂材料で形成されたハブ部27xと、ハブ部27xと一体に設けられ、樹脂材料で筒状に形成された巻掛部27bと、を有するプーリの本体部材であって、座金270は、第一基準軸線L1方向に貫通するスクリュ挿入孔276を備え、第一基準軸線L1周りの方向である周方向の外形寸法Sgが第一基準軸線L1に対する径方向の外形寸法Srよりも大きく形成された座金270である出力プーリ27と、スクリュ挿入孔276に挿入され、ナット20と出力プーリ27とを締結するスクリュ41と、第一基準軸線L1に対し径方向にオフセットして配置された入力プーリ35と、出力プーリ27と入力プーリ35とを跨ぐように設けられ、入力プーリ35の回転を出力プーリ27に伝達するベルト28（伝達部材）と、入力プーリ35を回転駆動する電動モータ40と、を有する。　すなわち、プーリの本体部材を樹脂材料で形成することにより、装置の軽量化を図ることができる。また、出力プーリ27とナット20の締結においてスクリュ41の軸力を受ける座金270を設けることにより、締結力を向上させることができる。また、座金270の周方向外形寸法Sgを径方向外形寸法Srよりも大きくしたことにより、出力プーリ27の外形寸法を抑制しながら、ベルト28から出力プーリ27が受ける引っ張り力について、座金270と対向する樹脂材料のハブ部27xの面圧（単位面積当たりの圧力）を低減することができ、ハブ部27xの耐久性を向上させることができる。

　（２）座金270は、周方向の両端側の端部272が円弧形状を有する。よって、出力プーリ27の回転に伴う座金270からハブ部27xが受ける押圧力の急激な変化を緩和することができる。
　（３）座金270は、径方向内側に設けられ、径方向内側に向かって凹形状となる内側凹部273を有する。よって、座金270よりも径方向内側に位置するハブ部の径方向内側部分27a1の径方向肉厚の周方向における変化が抑制される。よって、ハブ部27x内の応力集中を緩和することができる。
　（４）座金270は、径方向外側に設けられ、径方向外側に向かって凸形状となる外側凸部271を有し、外側凸部271は、凸形状の曲率半径が、内側凹部273の凹形状の曲率半径よりも大きな曲率半径を有する。よって、座金270の径方向内側および外側において、周方向におけるハブ部27xの径方向肉厚変化を抑制することができる。
　（５）座金270は、第一基準軸線L1方向に対する外周側に設けられ、径方向外側に向かって突出する抜け止め突起部275を有する。すなわち、出力プーリ27がベルト28から引っ張り力を受けると、座金270周辺を回転中心として出力プーリ27が倒れる方向の力を受ける。これに反し、座金270はナット20に締結されているため、座金270とハブ部27xの間には倒れ方向における相対変位を起こす力が発生する。この力に対し、抜け止め突起部275を設けたことにより、ハブ部27xからの座金270の脱落を抑制することができる。
　（６）抜け止め突起部275は、第一基準軸線L1方向における座金270の中央部に設けられる。よって、軸方向における座金270の設置方向が任意となり、製造工程を簡易化できる。
　（７）プーリの本体部材は、第一基準軸線L1方向において座金270が設けられる範囲において、径方向における外形寸法が、第一基準軸線L1方向において、抜け止め突起部275が設けられている部分の外形寸法に比べ、抜け止め突起部275よりもスクリュ41の頭部41a側における外形寸法が小さい。すなわち、座金270よりも径方向外側における樹脂部の肉厚は、抜け止め突起部275が設けられる部分については、抜け止め突起部275の突出分、薄くなる。ここで、円筒部27gと抜け止め突起部275とが径方向において重なるように配置したため、外形寸法を充分確保することができ、抜け止め突起部275周辺におけるハブ部27xの耐久性を向上できる。
　（８）プーリの本体部材の内周面27g1のうち、座金270の径方向外側の外周面である外側凸部271と当接する当接部27g2と、第一基準軸線L1方向において当接部27g2と隣接する部分とが同一面となるように形成される。よって、内周面27g1と同じ面に座金270の外周面であり外側凸部271が当接するところまで、座金270を径方向外側に寄せて配置しているため、座金270の径方向内側部分27a1の肉厚を確保することができる。
　（９）ハブ部27xは、第一基準軸線L1に対する径方向の外形寸法が、第一基準軸線L1方向においてスクリュ41の頭部41a側から巻掛部27b側に向かって徐々に増大するように形成されたテーパ部27dを備え、テーパ部27dは、径方向の外形寸法の最大値r1が、巻掛部27bの径方向の外形寸法r2よりも小さく形成されている。すなわち、出力プーリ27の本体部は、テーパ部27dの巻掛部側端部周辺が屈曲部となるように撓みやすい形状となるため、ベルト28からプーリの本体部が受ける倒れ方向の力を屈曲部で吸収することにより、ハブ部27xと座金270の接合部付近に発生する応力を抑制することができる。

　［他の実施例］
以上、本発明を実施例１に基づいて説明してきたが、各発明の具体的な構成は実施例1に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。以上説明した実施形態から把握しうる技術的思想について、以下に記載する。
　パワーステアリング装置は、ステアリングホイールの回転に伴い軸方向移動することにより転舵輪を転舵させる転舵軸と、前記転舵軸を包囲するように環状に設けられたナットと、前記ナットの回転軸線方向において前記ナットに対し前記転舵軸を移動させるボールねじ機構であって、前記転舵軸の外周側に設けられ、螺旋状の溝形状を有する転舵軸側ボールねじ溝と、前記ナットの内周側に設けられ、螺旋状の溝形状を有し、前記転舵軸側ボールねじ溝と共にボール循環溝を構成するナット側ボールねじ溝と、前記ボール循環溝内に設けられた複数のボールと、前記複数のボールを前記ボール循環溝の一端側から他端側へ循環させる循環機構と、を有するボールねじ機構と、プーリの本体部材と座金を有する出力プーリであって、前記プーリの本体部材は、前記ナットの回転軸線方向において前記ナットの一方側端面と対向するように設けられ、樹脂材料で形成されたハブ部と、前記ハブ部と一体に設けられ、樹脂材料で筒状に形成された巻掛部と、を有するプーリの本体部材であって、前記座金は、前記ナットの回転軸線方向に貫通するスクリュ挿入孔を備え、前記ナットの回転軸線周りの方向である周方向の外形寸法が前記ナットの回転軸線に対する径方向の外形寸法よりも大きく形成された座金である出力プーリと、前記スクリュ挿入孔に挿入され、前記ナットと前記出力プーリとを締結するスクリュと、前記ナットの回転軸線に対し前記径方向にオフセットして配置された入力プーリと、前記出力プーリと前記入力プーリとを跨ぐように設けられ、前記入力プーリの回転を前記出力プーリに伝達する伝達部材と、前記入力プーリを回転駆動する電動モータと、を有する。

　より好ましい態様では、上記態様において、前記座金は、前記周方向の両端側が円弧形状を有する。
　別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記座金は、前記径方向内側に設けられ、前記径方向内側に向かって凹形状となる内側凹部を有する。
　更に別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記座金は、前記径方向外側に設けられ、前記径方向外側に向かって凸形状となる外側凸部を有し、前記外側凸部は、前記凸形状の曲率半径が、前記内側凹部の前記凹形状の曲率半径よりも大きな曲率半径を有する。
　更に別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記座金は、前記ナットの回転軸線方向に対する外周側に設けられ、前記径方向外側に向かって突出する抜け止め突起部を有する。
　更に別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記抜け止め突起部は、前記ナットの回転軸線方向における前記座金の中央部に設けられる。
　更に別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記ナットの回転軸線方向に沿って前記座金が設けられる範囲において、前記ナットの回転軸線からの、前記プーリの本体部材の前記径方向における外形寸法に関し、前記プーリの本体部材のうち前記抜け止め突起部が設けられている部分の外形寸法よりも、前記プーリの本体部材のうち前記スクリュの頭部側における外形寸法が小さい。
　更に別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記プーリの本体部材は、前記プーリの本体部材の内周面が、前記座金の前記径方向外側の外周面と当接する当接部と、前記ナットの回転軸線方向において前記当接部と隣接する部分とが同一面となるように形成される。
　更に別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記ハブ部は、前記ナットの回転軸線に対する径方向の外形寸法が、前記回転軸線方向において前記スクリュの頭部側から前記巻掛部側に向かって徐々に増大するように形成されたテーパ部を備え、前記テーパ部は、前記径方向の外形寸法の最大値が、前記巻掛部の前記径方向の外形寸法よりも小さく形成されている。

　以上、本発明の幾つかの実施形態のみを説明したが、本発明の新規の教示や利点から実質的に外れることなく例示の実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者には容易に理解できるであろう。従って、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含むことを意図する。上記実施形態を任意に組み合わせても良い。

　本願は、２０１６年９月２１日付出願の日本国特許出願第２０１６－１８４５９９号に基づく優先権を主張する。２０１６年９月２１日付出願の日本国特許出願第２０１６－１８４５９９号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書を含む全開示内容は、参照により本願に全体として組み込まれる。

10　　転舵軸11　　転舵軸側ボールねじ溝12　　ボール循環溝20　　ナット20b　　傾斜部20c　　雌ねじ部21　　ナット側ボールねじ溝22　　ボール23　　ボールチューブ（循環機構）26　　ボールねじ機構27　　出力プーリ27x　　ハブ部27b　　巻掛部27f　　スクリュ貫通孔28　　ベルト（伝達部材）35　　入力プーリ40　　電動モータ41　　スクリュ

Claims

　パワーステアリング装置であって、該パワーステアリング装置は、
　ステアリングホイールの回転に伴い軸方向移動することにより転舵輪を転舵させる転舵軸と、
　前記転舵軸を包囲するように環状に設けられたナットと、
　前記ナットの回転軸線方向において前記ナットに対し前記転舵軸を移動させるボールねじ機構であって、前記転舵軸の外周側に設けられ、螺旋状の溝形状を有する転舵軸側ボールねじ溝と、前記ナットの内周側に設けられ、螺旋状の溝形状を有し、前記転舵軸側ボールねじ溝と共にボール循環溝を構成するナット側ボールねじ溝と、前記ボール循環溝内に設けられた複数のボールと、前記複数のボールを前記ボール循環溝の一端側から他端側へ循環させる循環機構と、を有する前記ボールねじ機構と、
　プーリの本体部材と座金を有する出力プーリとを備え、
　前記プーリの本体部材は、前記ナットの回転軸線方向において前記ナットの一方側端面と対向するように設けられ、樹脂材料で形成されたハブ部と、前記ハブ部と一体に設けられ、樹脂材料で筒状に形成された巻掛部と、を有し、
　前記座金は、前記ナットの回転軸線方向に貫通するスクリュ挿入孔を備え、前記ナットの回転軸線周りの方向である周方向の外形寸法が前記ナットの回転軸線に対する径方向の外形寸法よりも大きく形成されており、
　前記パワーステアリング装置は、さらに、
　前記スクリュ挿入孔に挿入され、前記ナットと前記出力プーリとを締結するスクリュと、
　前記ナットの回転軸線に対し前記径方向にオフセットして配置された入力プーリと、
　前記出力プーリと前記入力プーリとを跨ぐように設けられ、前記入力プーリの回転を前記出力プーリに伝達する伝達部材と、
　前記入力プーリを回転駆動する電動モータと、
　を備えたことを特徴とするパワーステアリング装置。
　請求項１に記載のパワーステアリング装置において、
　前記座金は、該座金の前記周方向の両端側が円弧形状を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
　請求項１に記載のパワーステアリング装置において、
　前記座金は、前記径方向の内側に設けられ、前記径方向の内側に向かって凹形状となる内側凹部を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
　請求項３に記載のパワーステアリング装置において、
　前記座金は、前記径方向の外側に設けられ、前記径方向の外側に向かって凸形状となる外側凸部を有し、
　前記外側凸部は、前記凸形状の曲率半径が、前記内側凹部の前記凹形状の曲率半径よりも大きな曲率半径を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
　請求項１に記載のパワーステアリング装置において、
　前記座金は、前記ナットの回転軸線方向に対する外周側に設けられた抜け止め突起部であって、前記径方向外側に向かって突出する前記抜け止め突起部を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
　請求項５に記載のパワーステアリング装置において、
　前記抜け止め突起部は、前記ナットの回転軸線方向における前記座金の中央部に設けられることを特徴とするパワーステアリング装置。
　請求項５に記載のパワーステアリング装置において、
　前記ナットの回転軸線方向に沿って前記座金が設けられる範囲において、
　前記ナットの回転軸線からの、前記プーリの本体部材の前記径方向における外形寸法に関し、
　前記プーリの本体部材のうち前記抜け止め突起部が設けられている部分の外形寸法よりも、前記プーリの本体部材のうち前記スクリュの頭部側における外形寸法が、小さいことを特徴とするパワーステアリング装置。
　請求項１に記載のパワーステアリング装置において、
　前記プーリの本体部材は、
　前記プーリの本体部材の内周面が、前記座金の前記径方向外側の外周面と当接する当接部と、前記ナットの回転軸線方向において前記当接部と隣接する部分と、が同一面となるように
　形成されることを特徴とするパワーステアリング装置。
　請求項１に記載のパワーステアリング装置において、
　前記ハブ部は、前記ナットの回転軸線に対する径方向の外形寸法が、前記回転軸線方向において前記スクリュの頭部側から前記巻掛部側に向かって徐々に増大するように形成されたテーパ部を備え、
　前記テーパ部は、前記径方向の外形寸法の最大値が、前記巻掛部の前記径方向の外形寸法よりも小さく形成されていることを特徴とするパワーステアリング装置。