WO2018052033A1 - 回転電機 - Google Patents
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Abstract
回転電機20は、ステータ22と、ロータ24と、を備える。ステータ22は、ステータコア40と、ステータコア40に巻装されている電機子巻線42と、を有する。ロータ24は、界磁コア50と、界磁巻線52と、筒状の短絡部材54と、を有し、ステータの内周側に径方向に対向して配置されている。界磁コアは、筒状のボス部58及びボス部の外周側に配置されて周方向に交互に異なる極性の磁極が形成される複数の爪状磁極部62を有する。界磁巻線は、ボス部の外周側に巻装されている。短絡部材は、爪状磁極部の外周側に爪状磁極部の外周面を覆うように配置されて、周方向に隣り合う爪状磁極部同士を磁気的に接続する。短絡部材の、ステータに対する対向面は、径方向に沿って突出する突部80と、径方向に沿って窪んだ溝部82とが、交互に連続して配置される凹凸形状に形成されている。
Description
本開示は、回転電機に関する。
従来、車両の電動機や発電機などに用いられる、ステータとロータとを備える回転電機が知られている(例えば、特許文献1など)。この回転電機において、ステータは、ステータコアと、ステータコアに巻装されている電機子巻線と、を有している。ロータは、界磁コアと、界磁巻線と、短絡部材と、を有している。
界磁コアは、ボス部と、ディスク部と、磁極部と、を有している。ディスク部は、ボス部の軸方向一端から径方向外側に広がる。磁極部は、ディスク部に連接してボス部の外周側に配置されると共に、軸方向に沿って突出する。磁極部は、軸回りに所定角度ごとに設けられており、周方向に交互に異なる極性の磁極が形成されるように複数設けられている。界磁巻線は、ボス部の外周側に巻装されている。短絡部材は、磁極部の外周側に、その磁極部の外周面を覆うように配置されており、周方向に隣接する磁極部同士を磁気的に接続する。短絡部材は、複数枚の軟磁性板が軸方向に沿って積層された積層部材である。従って、かかる短絡部材の構造によれば、短絡部材で発生する渦電流損を低減する。
短絡部材で発生する渦電流損の低減効果を向上させるためには、層間すなわち軟磁性板の間に、電気的絶縁層を設けることが考えられる。しかしながら、電気的絶縁層を設けた構造では、その電気的絶縁層の絶縁破壊が生じたときなどに、渦電流損の低減効果を上げることができなくなるなどの不都合が生ずる。
本開示は、短絡部材で発生する渦電流損の低減効果を向上させることが可能な回転電機を提供する。
本開示の技術の一態様である回転電機は、ステータと、ロータと、を備える。ステータは、ステータコアと、当該ステータコアに巻装されている電機子巻線と、を有する。ロータは、界磁コアと、界磁巻線と、筒状の短絡部材と、を有し、ステータの内周側に径方向に対向して配置されている。界磁コアは、筒状のボス部及びボス部の外周側に配置されて周方向に交互に異なる極性の磁極が形成される複数の磁極部を有する。界磁巻線は、ボス部の外周側に巻装されている。短絡部材は、磁極部の外周側に、磁極部の外周面を覆うように配置されて、周方向に隣り合う磁極部同士を磁気的に接続する。短絡部材の、ステータに対する対向面は、径方向に沿って突出する突部と、径方向に沿って窪んだ溝部とが、交互に連続して配置される凹凸形状に形成されている。
この構成によれば、本開示の回転電機において、短絡部材の、ステータに対する対向面は、径方向への突部と溝部とが、交互に連続して配置される凹凸形状に形成される。回転電機では、このような短絡部材の凹凸形状により、突部に磁束を集中させて他の部位に磁束飽和を生じさせない。よって、回転電機では、磁束密度が下がって渦電流損が低減される。従って、回転電機では、短絡部材の表面形状を凹凸形状とすることで、渦電流損の低減効果を向上できる。
本開示の回転電機において、突部は、径方向先端の断面形状が曲面形状又は角張った形状となるように形成されている。この構成によれば、本開示の回転電機は、短絡部材の表面に凹凸形状を形成できる。
本開示の回転電機において、突部は、径方向先端の断面形状が、短辺の上底がステータ側に、かつ、長辺の下底が前記磁極部側に、それぞれ配置される台形形状となるように形成されている。この構成によれば、本開示の回転電機は、短絡部材の表面に凹凸形状を形成できる。
本開示の回転電機において、短絡部材と磁極部とは、電気的に導通している。この構成によれば、本開示の回転電機は、短絡部材に大きな渦電流が発生しても、その渦電流によりロータの電位を上げられる。よって、回転電機は、電機子巻線に電力を供給するためのスイッチングのタイミングずれに起因する、ステータからベアリングを介したロータへの導通電流を減らせる。回転電機は、電蝕によるベアリングの寿命低下が抑えられる。
本開示の回転電機は、短絡部材と磁極部との間の隙間、及び、溝部の少なくとも何れかに樹脂が充填されている。この構成によれば、本開示の回転電機は、熱伝導体である樹脂の存在により熱容量を向上させられる。よって、回転電機は、ロータの耐熱性を向上させられる。また、回転電機は、ロータが回転しなくても、或いは、その回転数が低くても、ロータの冷却性能を十分に高められる。
本開示の回転電機において、突部及び溝部は、螺旋状に形成されつつ、軸方向に沿って延びている。この構成によれば、本開示の回転電機は、ロータの回転時に、冷媒を短絡部材の軸方向の一端側から他端側へ送り出せる。よって、回転電機は、冷媒の流れによりロータの冷却を効率良く行え、ロータの冷却性能を高められる。
本開示の回転電機において、短絡部材は、所定部材が軸方向に沿って積層された積層部材である。この構成によれば、本開示の回転電機は、短絡部材の表面に凹凸形状を容易に形成できる。
以下、本開示の技術の一態様である回転電機の具体的な実施形態について、図1~図15を参照し説明する。
<第1実施形態>
本実施形態において、回転電機20は、例えば車両などに搭載される。回転電機20は、バッテリなどの電源から電力が供給されることにより、車両を駆動するための駆動力を発生する。また、回転電機20は、車両のエンジンから動力が供給されることにより、バッテリを充電するための電力を発生する。回転電機20は、図1に示す如く、ステータ22と、ロータ24と、ハウジング26と、ブラシ装置28と、整流装置30と、電圧調整器32と、プーリ34と、を備えている。
本実施形態において、回転電機20は、例えば車両などに搭載される。回転電機20は、バッテリなどの電源から電力が供給されることにより、車両を駆動するための駆動力を発生する。また、回転電機20は、車両のエンジンから動力が供給されることにより、バッテリを充電するための電力を発生する。回転電機20は、図1に示す如く、ステータ22と、ロータ24と、ハウジング26と、ブラシ装置28と、整流装置30と、電圧調整器32と、プーリ34と、を備えている。
ステータ22は、磁路の一部を構成すると共に、ロータ24の回転による回転磁界が付与されることにより、起電力を発生する部材である。ステータ22は、ステータコア40と、電機子巻線42と、を有している。ステータコア40は、円筒状に形成された部材である。ステータコア40の径方向内径側には、ティースと、スロットと、が形成されている。ティースは、ステータコア40の径方向内側に向けて突出する。スロットは、ステータコア40の径方向外側に向けて窪んでいる。ティース及びスロットはそれぞれ、所定角度をおいて配置されるように複数設けられており、周方向において交互に連続して配置されている。
電機子巻線42は、ステータコア40(ステータコア40のティース)に巻装されている。電機子巻線42は、直線状のスロット収容部(非図示)と、湾曲状のコイルエンド部44と、を有している。スロット収容部は、ステータコア40のスロットに収容されている。コイルエンド部44は、ステータコア40の軸方向端部側から軸方向外側に突出する。電機子巻線42は、回転電機20の相数に対応した多相巻線(例えば三相巻線)を有している。
ロータ24は、ステータ22(ステータコア40のティースの先端)に対して、径方向内側に所定のエアギャップ(すなわち空隙)を空けて対向配置されている。ロータ24は、磁路の一部を構成すると共に、電流が流れることにより、磁極を形成する部材である。ロータ24は、いわゆるランデル型回転子である。ロータ24は、界磁コア50と、界磁巻線52と、短絡部材54と、永久磁石56と、を有している。
界磁コア50は、ボス部58と、ディスク部60と、爪状磁極部62と、を有している。ボス部58は、シャフト孔66を有する筒状部材である。シャフト孔66は、回転シャフト64が挿入可能な中心軸上に空いている。ボス部58は、回転シャフト64の外周側に嵌合固定される部位である。ディスク部60は、ボス部58の軸方向端部側から径方向外側に向けて延びる円盤状の部位である。
爪状磁極部62は、ディスク部60の外周端に連接する。爪状磁極部62は、その連接部から軸方向に沿って爪状に突出する部材である。爪状磁極部62は、その連接部からボス部58に沿って延びている。爪状磁極部62は、ボス部58の外周側に配置されている。ボス部58とディスク部60と爪状磁極部62とは、ポールコア(界磁鉄心)を形成する。ポールコアは、例えば鍛造成形されている。爪状磁極部62は、略円弧状に形成された外周面を有している。爪状磁極部62の外周面は、回転シャフト64の軸中心近傍を中心にした円弧を有している。具体的には、爪状磁極部62の外周面は、回転シャフト64の軸中心又はその軸中心よりも該爪状磁極部62に近い側の位置を中心にした円弧を有している。
爪状磁極部62は、互いに異なる極性(N極及びS極)の磁極が形成される第1爪状磁極部62-1及び第2爪状磁極部62-2を含む。第1爪状磁極部62-1及び第2爪状磁極部62-2は、一対のポールコアを構成する。第1爪状磁極部62-1及び第2爪状磁極部62-2は、ロータ24の軸回りに、それぞれ同じ数(例えば8個)ずつ設けられている。第1爪状磁極部62-1と第2爪状磁極部62-2とは、周方向に隙間空間68を空けて交互に配置されている。
第1爪状磁極部62-1は、ボス部58の軸方向一端側から径方向外側に広がるディスク部60の外周端に連接している。そして、軸方向他端側に向けて突出している。また、第2爪状磁極部62-2は、ボス部58の軸方向他端側から径方向外側に広がるディスク部60の外周端に連接している。そして、軸方向一端側に向けて突出している。第1爪状磁極部62-1と第2爪状磁極部62-2とは、配置位置や突出する軸方向の向きを除いて、互いに共通した形状に形成されている。第1爪状磁極部62-1と第2爪状磁極部62-2とは、軸方向根元側(又は軸方向先端側)が、互いに軸方向逆側となるように周方向に交互に配置されている。そして、互いに異なる極性に磁化される。
各爪状磁極部62は、周方向において所定の幅(周方向幅)を有し、径方向において所定の厚さ(径方向厚さ)を有するように形成されている。各爪状磁極部62は、ディスク部60との連接部近傍の根元側から軸方向先端側にかけて、周方向幅が徐々に小さくなり、かつ、径方向厚さが徐々に小さくなるように形成されている。すなわち、各爪状磁極部62は、軸方向先端側ほど、周方向及び径方向の双方において細くなるように形成されている。各爪状磁極部62は、周方向中心を挟んで、周方向に左右対称となるように形成されていることが好ましい。
上記の隙間空間68は、周方向に隣接する第1爪状磁極部62-1と第2爪状磁極部62-2との間ごとに設けられている。隙間空間68は、軸方向斜めに延在している。そして、軸方向一端側から軸方向他端側にかけて、ロータ24の回転軸に対して所定角度で傾斜している。すべての隙間空間68の形状は、互いに同じである。各隙間空間68は、周方向の大きさ(寸法)が、軸方向位置に応じて変化することがほとんど無いように設定されている。すなわち、各隙間空間68は、周方向寸法が、一定、若しくは、その一定値を含む極僅かな範囲内に維持されるように設定されている。つまり、第1爪状磁極部62-1と第2爪状磁極部62-2とは、隙間空間68が何れの軸方向位置においても、一定の周方向寸法を有するように形成され、かつ、周方向のすべての隙間空間68が、互いに同じ形状に形成されるように配置されている。
ロータ24において、磁気的なアンバランスが生じるのを回避するために、周方向のすべての隙間空間68は、同一形状であることが好ましい。しかし、特に、片側方向にのみ回転するロータ24においては、鉄損の低減などのために、爪状磁極部62の形状を、周方向中心を挟んで、周方向に左右非対称形状として、隙間空間68の軸方向位置ごとの周方向寸法を一定でないものとしてもよい。
爪状磁極部62の形状を、周方向に左右非対称形状とするのは、一般的に回転方向が一方向である場合や、例えば回転方向の逆方向の磁気特性を、順方向の磁気特性に比べて下げてよい場合などである。これは、次のような技術である。回転方向が一定であれば、ステータ22からの界磁作用は、爪状磁極部62の中央付近を境にして、爪状磁極部62の界磁力が作用する方向に対して、強めと弱めとに変化する。よって、強めの界磁作用が働いている爪状磁極部62を境として、爪状磁極部62の半分をステータ22から遠ざけて、ステータ22との磁気的な空隙を大きくする。これにより、渦電流が発生し易い磁束飽和を緩和させて、渦電流を大きく低下させられる。一方で、爪状磁極部62の残り半分をステータ22から遠ざけていない。これにより、空隙増加による磁束低下要因を少なくできる。本実施形態においては、後述の如く、ロータ24の外周面付近に磁束飽和を促して、渦電流損の低減効果を得る。よって、本実施形態では、爪状磁極部62の形状を、磁束を減らしてまで左右非対称とする必要はなく、左右対称とすることが望ましい。
界磁巻線52は、ボス部58と爪状磁極部62との径方向隙間に配置されている。界磁巻線52は、直流電流の流通により界磁コア50に磁束を発生させ、通電により起磁力を発生させるコイル部材である。界磁巻線52は、ボス部58の外周側において、軸回りに巻装されている。界磁巻線52により発生した磁束は、ボス部58及びディスク部60を介して爪状磁極部62に導かれる。すなわち、ボス部58及びディスク部60は、界磁巻線52にて発生した磁束が爪状磁極部62に導かれる磁路を形成する。界磁巻線52は、発生磁束により、第1爪状磁極部62-1をN極に磁化させ、かつ、第2爪状磁極部62-2をS極に磁化させる機能を有する。
短絡部材54は、爪状磁極部62(第1爪状磁極部62-1及び第2爪状磁極部62-2)の外周側に配置されている。短絡部材54は、その爪状磁極部62の外周を覆う、円筒状の部材である。短絡部材54は、爪状磁極部62のディスク部60との連接部から、その爪状磁極部62の軸方向先端までの距離程度の軸方向長さを有している。短絡部材54は、径方向において所定厚さを有する薄板部材である。所定厚さとは、例えばロータ24の機械強度と磁気性能とを両立可能な0.6[mm]~1.0[mm]程度である。短絡部材54は、爪状磁極部62の外周面側に対向して、爪状磁極部62に接する。そして、周方向に隣接する第1爪状磁極部62-1と第2爪状磁極部62-2との間の隙間空間68の径方向外側で、隙間空間68を閉じる。これにより、周方向に隣接する爪状磁極部62同士(爪状磁極部62-1,62-2同士)を磁気的に接続する。
短絡部材54は、非磁性体でも構わない。しかし、非磁性体では、ステータ22とロータ24との磁気的な空隙が増加してしまう。よって、短絡部材54は、その空隙増加を生じさせないために、磁性体であることが好ましい。短絡部材54は、その断面積が、爪状磁極部62の、ステータ22との対向面の表面積よりも小さければ、ロータ24からステータ22へ有効な磁力を送り出せる。
短絡部材54は、例えば鉄やケイ素鋼からなる電磁鋼板などの軟磁性材により構成されている。短絡部材54は、円筒状に形成されたパイプ状部材である。又は、短絡部材54は、所定部材が軸方向に沿って積層された積層部材である。短絡部材54は、焼き嵌めや圧入,溶接或いはそれらの組み合わせなどによって、爪状磁極部62に対して固定される。短絡部材54が積層部材である場合は、その積層は、打ち抜き加工した電磁鋼板などの複数枚の軟磁性の薄板部材が、軸方向に沿って積層された構造を有していてもよい。この際、薄板部材はそれぞれ、渦電流損を抑制するために、軸方向に隣接する薄板部材に対して層間絶縁されていてもよい。また、その積層は、一本の線状部材、又は、一帯の帯状部材が、螺旋状に延在して、軸方向に沿って積層されていてもよい。この線状部材や帯状部材は、強度や磁気性能の観点から、断面矩形状の角材であってもよく、また、丸線或いは角部が湾曲した形状であってもよい。
短絡部材54は、ロータ24の外周面を滑らかにして、ロータ24の外周面に形成される凹凸に起因する風切り音を低減する機能を有する。また、短絡部材54は、周方向に並んだ複数の爪状磁極部62を互いに連結して、各爪状磁極部62の変形(特に径方向への変形)を抑える機能を有する。
永久磁石56は、短絡部材54の内周側に収容されている。永久磁石56は、周方向に隣接する爪状磁極部62の間(第1爪状磁極部62-1と第2爪状磁極部62-2との間)に、その隙間空間68を埋めるように配置されている磁極間磁石である。永久磁石56は、隙間空間68ごとに配置されており、隙間空間68と同じ数だけ設けられている。各永久磁石56は、隙間空間68の形状に合わせて、ロータ24の回転軸に対して斜めに傾斜して延在している。そして、概ね直方体形状に形成されている。永久磁石56は、爪状磁極部62の間における磁束の漏れを低減して、爪状磁極部62とステータ22のステータコア40との間の磁束を強化する機能を有している。
永久磁石56は、周方向に隣接する爪状磁極部62の間の漏れ磁束を減少させる向きの磁極が形成されるように配置されている。永久磁石56は、起磁力が周方向に向くように着磁されている。具体的には、永久磁石56は、N極に磁化される第1爪状磁極部62-1に対向する周方向の面の磁極がN極となる。そして、S極に磁化される第2爪状磁極部62-2に対向する周方向の面の磁極がS極となる。永久磁石56は、このように構成されている。尚、永久磁石56は、着磁された後に、ロータ24に組み込まれる構成に適用してもよい。また、永久磁石56は、ロータ24に組み込まれた後に着磁される構成に適用してもよい。
ハウジング26は、ステータ22及びロータ24を収容するケース部材である。ハウジング26は、回転シャフト64(すなわちロータ24)を、ベアリング69を介して軸回りに回転可能に支持する。そして、ステータ22を固定する。
ブラシ装置28は、スリップリング70と、ブラシ72と、を有している。スリップリング70は、回転シャフト64の軸方向一端に固定されている。スリップリング70は、ロータ24の界磁巻線52に直流電流を供給する機能を有している。ブラシ72は、2個一対に設けられている。そして、ハウジング26に取り付け固定されたブラシホルダに保持されている。ブラシ72は、その径方向内側の先端がスリップリング70の表面に摺動するように、回転シャフト64側に押圧されつつ配置されている。ブラシ72は、スリップリング70を介して界磁巻線52に直流電流を流す。
整流装置30は、ステータ22の電機子巻線42に電気的に接続されている。整流装置30は、電機子巻線42により生じた交流を直流に整流して出力する装置である。電圧調整器32は、界磁巻線52に流す界磁電流を制御することにより、回転電機20の出力電圧を調整する。電圧調整器32は、電気負荷や発電量に応じて変化する出力電圧を、略一定に維持させる機能を有している。プーリ34は、車両エンジンの回転を回転電機20のロータ24に伝達する。プーリ34は、回転シャフト64の軸方向他端に締め付け固定されている。
このような構造を有する回転電機20においては、電源からブラシ装置28を介してロータ24の界磁巻線52に直流電流が供給される。すると、その電流の通電により界磁巻線52を貫いて、ボス部58、ディスク部60、及び爪状磁極部62を流通する磁束が発生する。この磁束は、例えば、一方のポールコアのボス部58→ディスク部60→第1爪状磁極部62-1→ステータコア40→第2爪状磁極部62-2→他方のポールコアのディスク部60→ボス部58→一方のポールコアのボス部58の順に流れる磁気回路を形成する。この磁気回路は、ロータ24の逆起電力を発生する。
上記の磁束は、第1爪状磁極部62-1及び第2爪状磁極部62-2に導かれる。その結果、第1爪状磁極部62-1はN極に磁化される。そして、第2爪状磁極部62-2はS極に磁化される。このような爪状磁極部62の磁化が行われた状態で、電源から供給される直流は、例えば三相交流に変換されて電機子巻線42に供給される。これにより、ロータ24がステータ22に対して回転する。従って、本実施形態に係る構成では、回転電機20を、電機子巻線42への電力供給により回転駆動させる電動機として機能させることができる。
回転電機20のロータ24は、車両エンジンの回転トルクが、プーリ34を介して回転シャフト64に伝達されることにより回転する。ロータ24の回転は、ステータ22の電機子巻線42に回転磁界を付与することによって、電機子巻線42に交流の起電力を発生させる。電機子巻線42で発生した交流の起電力は、整流装置30を通って直流に整流された後、バッテリに供給される。従って、本実施形態に係る構成では、回転電機20を、電機子巻線42の起電力発生によりバッテリを充電させる発電機として機能させることができる。
次に、本実施形態の回転電機20の特徴部について説明する。
本実施形態において、回転電機20は、径方向に所定のエアギャップを空けて対向配置されたステータ22及びロータ24を備えている。ロータ24は、周方向に複数配設された爪状磁極部62の外周側に、その爪状磁極部62の外周面を覆う円筒状の短絡部材54を有している。短絡部材54の、ステータ22に対する対向面は、凹凸形状に形成されている。
短絡部材54は、図7に示す如く、径方向に沿って突出する突部80と、径方向に沿って窪んだ溝部82と、を有している。すなわち、突部80は、ステータ22側に向けて突出する。溝部82は、爪状磁極部62側に向けて窪んでいる。突部80及び溝部82は共に、短絡部材54の外周面に形成されている。短絡部材54の、ステータ22に対する対向面(短絡部材54の外周面)は、突部80と溝部82とが、交互に連続して配置される凹凸形状に形成されている。
上記した短絡部材54の凹凸形状は、突部80と溝部82とが、軸方向に沿って交互に連続して配置され形成されている。尚、短絡部材54は、薄板部材が軸方向に沿って積層された積層部材であってもよい。また、短絡部材54は、線状部材や帯状部材が螺旋状に延在して、軸方向に沿って積層された積層部材であってもよい。更には、円筒状に形成されたパイプ状部材であってもよい。短絡部材54が上記の積層部材である場合は、上記の凹凸形状は、各層の薄板部材や線状部材,帯状部材の径方向外端部により、突部80が形成され、2つの層の間の空隙により、溝部82が形成される。短絡部材54の凹凸形状は、このように形成されればよい。
一般的に、信号周波数が高くなるほど、導体表面に電流が集中する表皮効果が知られている。回転電機20において、ロータ24の表面から、短絡部材54で渦電流が発生する地点までの深さ(表皮深さ)δ〔mm〕は、次式(1)で表される。また、渦電流損We〔W〕は、次式(2)で表される。但し、μは透磁率である。σは導電率である。fは信号周波数である。Keは短絡部材54などの材料によって決まる渦電流損係数である。Bは磁束密度である。αは短絡部材54などの材料によって決まる値であって、一般的に四捨五入によって「2」になる数である。
δ=√(1/(π・μ・σ・f))・・・(1)
We=Ke・Bα・f2 ・・・(2)
δ=√(1/(π・μ・σ・f))・・・(1)
We=Ke・Bα・f2 ・・・(2)
Ke及びαはそれぞれ、上記の如く、短絡部材54などの材料によって決まる値である。よって、材料を決めたうえで、渦電流損Weを低減させるためには、磁束密度Bを低減させる必要がある。磁束密度Bは、回転電機20の磁力上昇に伴って、材料自体の磁束密度まで上昇する値である。磁束密度Bが高いと磁束飽和が生じて透磁率μは下がってしまう。しかし、磁束密度Bは、渦電流損Weに対して概ね2乗で作用するパラメータである。よって、磁束密度Bを下げることは、渦電流損Weを低減させて高効率化を図るうえで有効である。
渦電流は、突部80同士の間を通過することができない。よって、各突部80の表皮深さδは小さい。また、磁束密度Bの小さい箇所では、渦電流の発生量が著しく少ない。よって、渦電流損Weは小さい。上記の如く、短絡部材54は、突部80と溝部82とが、軸方向に沿って交互に連続して配置された凹凸形状に形成されている。このような短絡部材54の凹凸形状においては、短絡部材54の突部80の径方向先端ほど、磁束飽和が生じ易い。よって、磁束密度Bは高く、渦電流損Weは大きい。一方、短絡部材54の爪状磁極部62寄りの部位やポールコアを形成する爪状磁極部62などの大部分は、磁束飽和しない。よって、磁束密度Bは低く、渦電流損Weは小さい。
このように、渦電流損Weが大きい箇所は、短絡部材54の径方向先端部にある狭小の突部80に限られる。その結果、短絡部材54は、当該部材全体としての渦電流損Weを低減できる。すなわち、回転電機20は、短絡部材54の、ステータ22に対する対向面に、磁束が集中するように、突部80を設ける。これにより、回転電機20では、渦電流損Weが大きい箇所を少なく、或いは、狭くして、短絡部材54全体での渦電流損Weを低減できる。本実施形態の回転電機20によれば、短絡部材54の表面形状を凹凸形状とすることによって、その渦電流損Weの低減効果を向上させられる。
仮に、短絡部材54が、次のような分割層で構成されているとする。分割層は、同一の厚みを有する平板で構成された薄板部材などが、軸方向に積層されている。このような場合において、各分割層の厚みが(表皮深さδ×2)以上であると、各分割層に渦電流のループが生じてしまう。各分割層に渦電流のループを生じさせないためには、各分割層の厚みを(表皮深さδ×2)未満として、絶縁する必要がある。これに対して、本実施形態の回転電機20においては、短絡部材54の径方向先端側の表面形状を、突部80と溝部82とからなる凹凸形状としている。これにより、回転電機20では、渦電流のループを生じさせないために、分割層の厚みを一律に小さくする必要がない。また、回転電機20では、短絡部材54に細かいピッチで電気的絶縁層を設ける必要もない。また、回転電機20では、その電気的絶縁層が破れ、或いは、絶縁破壊されたときの損失増加を抑制できる。
渦電流は、短絡部材54の凹凸形状により、磁束飽和が生じ易いロータ24の表面側(ステータ22に対する対向面側)で打ち消される。一方、渦電流は、磁束飽和が生じ難いロータ24の裏面側(爪状磁極部62側)で少ない。このため、短絡部材54は、ロータ24の表面側だけでなくロータ24の裏面側にも、別部材や空隙,酸化被膜などによる電気的絶縁層を設ける必要がない。その結果、回転電機20では、短絡部材54に電気的絶縁層を設けることなく、短絡部材54での渦電流損の低減効果を向上させられる。また仮に、短絡部材54に電気的絶縁層を設けるとしても、回転電機20では、局所的に磁束飽和が生じる分割層の厚みを大きくできる。これにより、回転電機20では、短絡部材54の各分割層を構成する部材の厚みを小さくする必要がなく、製造時の工数などを低減できる。
尚、突部80は、軸方向に沿って切断した場合の径方向先端の断面形状が、図8に示す如き曲面形状となるように形成されてもよい。例えば短絡部材54が、次のような積層部材で構成されているとする。積層部材は、薄板部材や線状部材などの所定部材90が、軸方向に積層されている。このような場合において、突部80の曲面形状を形成するためには、短絡部材54を構成する所定部材90を、断面形状が円形となる丸線により構成すればよい。所定部材90は、爪状磁極部62と電気的に導通して短絡するように、爪状磁極部62に接触している。そして、各層の所定部材90同士も接触している。所定部材90の接触は、断面において、点接触であればよく、又は、それに準じた接触であればよい。
所定部材90が丸線により構成された構造では、各層の所定部材90において、径方向外側へ突出する円形面により突部80が形成される。また、軸方向に並んだ2つの層(2つの所定部材90)の円形面の間に溝部82が形成される。かかる構成によれば、上記の如く、短絡部材54に生じる渦電流損の低減効果を向上させられる。
また、突部80は、軸方向に沿って切断した場合の径方向先端の断面形状が、図9、図10、及び図11に示す如き角張った形状となるように形成されてもよい。例えば短絡部材54が、次のような積層部材で構成されているとする。積層部材は、薄板部材や線状部材などの所定部材92,94,96が、軸方向に積層されている。このような場合において、突部80の角張った形状を形成するためには、短絡部材54を構成する所定部材92,94,96を、断面形状が例えば正方形,長方形,六角形などの多角形となる角線により構成すればよい。具体的には、各層の角線が斜めに配置され、角線の角部がステータ22側に向けて突出するように、軸方向に沿って積層する構成とすればよい。所定部材92,94,96は、爪状磁極部62と電気的に導通して短絡するように、爪状磁極部62に接触している。そして、各層の所定部材92,94,96同士も接触している。所定部材92,94,96の接触は、断面において、点接触や線接触であればよく、又は、それに準じた接触であればよい。
所定部材92,94,96が角線により構成され、かつ、各層の角線を斜めに配置した状態で軸方向に沿って積層された構造では、各層の所定部材92,94,96において、径方向外側へ突出する角部により突部80が形成される。また、軸方向に並んだ2つの層の角部の間に溝部82が形成される。かかる構成においても、上記の如く、短絡部材54に生じる渦電流損の低減効果を向上させられる。
また、突部80は、軸方向に沿って切断した場合の径方向先端の断面形状が、図12に示す如き台形形状となるように形成されてもよい。具体的には、断面形状は、短辺の上底がステータ22側に、かつ、長辺の下底が爪状磁極部62側に、それぞれ配置される台形形状となるように形成されてもよい。例えば短絡部材54が、次のような積層部材で構成されているとする。積層部材は、薄板部材や線状部材などの所定部材98が、軸方向に積層されている。このような場合において、突部80の台形形状を形成するためには、短絡部材54を構成する所定部材98を、断面形状が径方向先端にかけて細くなる台形となるように形成すればよい。所定部材98は、爪状磁極部62と電気的に導通して短絡するように、爪状磁極部62に断面において線接触している。そして、各層の所定部材98同士も断面において点接触している。所定部材98の接触は、それらの接触に準じたものであってもよい。
所定部材98が台形形状に形成された構造では、各層の所定部材98において、台形の上底部により突部80が形成される。また、軸方向に並んだ2つの層の上底部の間(台形形状の相対する側面の間)に溝部82が形成される。かかる構成においても、上記の如く、短絡部材54に生じる渦電流損の低減効果を向上させられる。
また、回転電機20において、短絡部材54の、ステータ22に対する対向面は、突部80と溝部82とが、交互に連続して配置される凹凸形状に形成されている。短絡部材54は、ロータ24の表面側に配置されている。つまり、短絡部材54は、ロータ24内で最も磁束をやり取りする量が多い領域(磁束が集中する領域)に配置されている。この短絡部材54によれば、凹凸形状が形成されていない短絡部材に比べて、放熱面積を確保でき、高い冷却性能を発揮する。
ところで、ステータ22の電機子巻線42に直流電源から交流電力を供給するためには、インバータ回路が有するMOSトランジスタ等をスイッチングさせる必要がある。例えば電機子巻線42が三相巻線であるとする。この場合、U相,V相,W相のスイッチングタイミングは、所望のタイミングからずれることがある。このようなタイミングのずれが生じると、ステータ22に、軸方向間の電位差が発生する。そして、その電位差に起因して、ハウジング26及びベアリング69を介して、ステータ22からロータ24へ電流が流れる。このような導通電流が流れると、ベアリング69に電蝕が発生する。その結果、ベアリング69の寿命低下を招くおそれがある。
これに対して、本実施形態の回転電機20においては、短絡部材54、或いは、短絡部材54を構成する所定部材90,92,94,96,98は、爪状磁極部62に接して、その爪状磁極部62と電気的に導通している。このような回転電機20において、短絡部材54に電気的絶縁層が設けられていない場合は、その短絡部材54に渦電流が発生し易くなる。しかし、ロータ24において渦電流による電位差が発生する。よって、渦電流が小さい、或いは、渦電流が発生しないときに比べて、ロータ24の電位は上がる。その結果、ロータ24とステータ22との間の電位差は減少する。このため、回転電機20では、電機子巻線42に電力を供給するためのスイッチングのタイミングにずれが生じ、かつ、大きな渦電流が発生しても、ステータ22からベアリング69を介したロータ24への導通電流を減らせる。回転電機20は、電蝕によるベアリング69の寿命低下が抑えられる。
以上、説明したことから明らかなように、本実施形態の回転電機20は、ステータ22と、ロータ24と、を備える。ステータ22は、ステータコア40と、当該ステータコア40に巻装されている電機子巻線42と、を有する。ロータ24は、界磁コア50と、界磁巻線52と、筒状の短絡部材54と、を有し、ステータ22の内周側に径方向に対向して配置されている。界磁コア50は、筒状のボス部58及びボス部58の外周側に配置されて周方向に交互に異なる極性の磁極が形成される複数の爪状磁極部62を有する。界磁巻線52は、ボス部58の外周側に巻装されている。短絡部材54は、爪状磁極部62の外周側に、爪状磁極部62の外周面を覆うように配置されて、周方向に隣り合う爪状磁極部62同士を磁気的に接続する。短絡部材54の、ステータ22に対する対向面は、径方向に沿って突出する突部80と、径方向に沿って窪んだ溝部82とが、交互に連続して配置される凹凸形状に形成されている。
この構成によれば、回転電機20において、短絡部材54の、ステータ22に対する対向面は、径方向への突部80と溝部82とが、交互に連続して配置される凹凸形状に形成される。回転電機20では、このような短絡部材54の凹凸形状により、突部80に磁束を集中させて他の部位に磁束飽和を生じさせない。よって、回転電機20では、磁束密度が下がって渦電流損が低減される。従って、回転電機20では、短絡部材54の表面形状を凹凸形状とすることで、渦電流損の低減効果を向上できる。
また、回転電機20において、突部80は、径方向先端の断面形状が曲面形状又は角張った形状となるように形成されてもよい。又は、突部80は、径方向先端の断面形状が、短辺の上底がステータ22側に、かつ、長辺の下底が爪状磁極部62側に、それぞれ配置される台形形状となるように形成されてもよい。これらの構成によれば、回転電機20は、短絡部材54の表面に凹凸形状を形成できる。
また、回転電機20において、短絡部材54と爪状磁極部62とは、電気的に導通している。この構成によれば、回転電機20は、短絡部材54に大きな渦電流が発生しても、その渦電流によりロータ24の電位を上げられる。よって、回転電機20は、電機子巻線42に電力を供給するためのスイッチングのタイミングずれに起因する、ステータ22からベアリング69を介したロータ24への導通電流を減らせる。回転電機20は、電蝕によるベアリング69の寿命低下が抑えられる。
また、回転電機20において、短絡部材54は、所定部材90,92,94,96,98が軸方向に沿って積層された積層部材であってもよい。この構成によれば、回転電機20は、短絡部材54の表面に凹凸形状を容易に形成できる。
ところで、上記実施形態においては、ロータ24の短絡部材54を、円筒状に形成されたパイプ状部材である場合を例示した。又は、短絡部材54を、所定部材90,92,94,96,98が軸方向に沿って積層された積層部材である場合を例示した。本開示の技術は、これに限定されない。例えばロータ24の冷却性能を高めるためには、ロータ24の回転時に、冷媒に流れを付与できるように、短絡部材54を螺旋状に形成することが望ましい。
すなわち、短絡部材54は、例えば図13に示す如く、線状部材100が螺旋状に延在して、軸方向に沿って積層された積層部材であってもよい。この場合、突部80及び溝部82は、螺旋状に形成されつつ、軸方向に沿って延びている。これにより、本変形例では、ロータ24の回転時に、冷媒を短絡部材54の軸方向の一端側から他端側へ送り出せる。よって、回転電機20は、冷媒の流れによりロータ24の冷却を効率良く行え、ロータ24の冷却性能を高められる。特に、回転電機20では、次のような3つの方向を一致させることによって、ロータ24の冷却性能をより一層高められる。具体的には、ロータ24の回転方向を一方向に限定したうえで、ロータ24の回転シャフト64が延びる方向と、ロータ24の回転により冷媒が送り出される方向と、ガイドベーン,ファン,ポンプなどにより冷媒が送り出される方向と、を一致させる。
上記実施形態においては、短絡部材54の突部80と突部80との間にある溝部82が、空隙であると共に、短絡部材54と爪状磁極部62との間に樹脂等が充填されていない構成を例示した。本開示の技術は、これに限定されない。溝部82には、樹脂が充填されてもよい。また、短絡部材54と爪状磁極部62との間には、樹脂が充填されてもよい。すなわち、ロータ24において、例えば図14に示す如く、短絡部材54と爪状磁極部62との間の隙間と、溝部82との双方に、樹脂110が充填されてもよい。尚、樹脂110が充填される短絡部材54と爪状磁極部62との間の隙間は、短絡部材54と爪状磁極部62とに囲まれる空間を主に含む。この空間は、短絡部材54と爪状磁極部62との電気的導通を確保した状態で形成される空間である。
樹脂110は、短絡部材54において、軸方向に沿って積層されるすべての層を一体的に覆うように、短絡部材54と爪状磁極部62との間の隙間と、溝部82との双方に、充填されればよい。樹脂110を構成する樹脂剤は、例えば熱伝導率の高いエポキシや液晶ポリマーなどの樹脂を用いればよい。本変形例の構成によれば、回転電機20は、熱伝導体である樹脂の存在により熱容量を向上させられる。よって、回転電機20は、ロータ24の耐熱性を向上させられる。また、回転電機20は、ロータ24が回転しなくても、或いは、その回転数が低くても、ロータ24の冷却性能を十分に高められる。
尚、上記には、樹脂110が、溝部82に充填されると共に、短絡部材54と爪状磁極部62との間に充填される構成を例示したが、これに限定されない。例えば、短絡部材54と爪状磁極部62との間の隙間、及び、溝部82のうち少なくとも何れかに充填されればよい。
回転電機20において、短絡部材54を、線状部材100が螺旋状に延在して、軸方向に沿って積層された積層部材としたことによる冷却効果と、樹脂110を充填したことによる冷却効果とを、併せ持つ構成とする。そのためには、例えば図15に示す如く、樹脂120の充填を、短絡部材54と爪状磁極部62との間の隙間に対して行い、ロータ24の表面側にある溝部82に対しては行わない構成が好ましい。すなわち、樹脂120は、短絡部材54と爪状磁極部62との間の隙間にのみ充填される構成が好ましい。本変形例の構成によれば、回転電機20は、ロータ24の回転時に、冷媒を短絡部材54の軸方向の一端側から他端側へ送り出せる。そして、樹脂120の存在により熱容量を向上させられる。
本開示の技術は、上述した実施形態や変形例に限定されない。本開示の回転電機20は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
20・・・回転電機、22・・・ステータ、24・・・ロータ、40・・・ステータコア、42・・・電機子巻線、50・・・界磁コア、52・・・界磁巻線、54・・・短絡部材、58・・・ボス部、62・・・爪状磁極部、80・・・突部、82・・・溝部、90,92,94,96,98・・・所定部材、100・・・線状部材、110,120・・・樹脂。
Claims (7)
- ステータコア(40)と、前記ステータコアに巻装されている電機子巻線(42)と、を有するステータ(22)と、
筒状のボス部(58)及び前記ボス部の外周側に配置されて周方向に交互に異なる極性の磁極が形成される複数の磁極部(62)を有する界磁コア(50)と、前記ボス部の外周側に巻装されている界磁巻線(52)と、前記磁極部の外周側に、前記磁極部の外周面を覆うように配置されて、周方向に隣り合う前記磁極部同士を磁気的に接続する筒状の短絡部材(54)と、を有し、前記ステータの内周側に径方向に対向して配置されたロータ(24)と、
を備える回転電機(20)であって、
前記短絡部材の、前記ステータに対する対向面は、径方向に沿って突出する突部(80)と、径方向に沿って窪んだ溝部(82)とが、交互に連続して配置される凹凸形状に形成されている、回転電機。 - 前記突部は、径方向先端の断面形状が曲面形状又は角張った形状となるように形成されている、請求項1に記載の回転電機。
- 前記突部は、径方向先端の断面形状が、短辺の上底が前記ステータ側に、かつ、長辺の下底が前記磁極部側に、それぞれ配置される台形形状となるように形成されている、請求項1に記載の回転電機。
- 前記短絡部材と前記磁極部とは、電気的に導通している、請求項1乃至3の何れか一項に記載の回転電機。
- 前記短絡部材と前記磁極部との間の隙間、及び、前記溝部の少なくとも何れかに樹脂(110,120)が充填されている、請求項1乃至4の何れか一項に記載の回転電機。
- 前記突部及び前記溝部は、螺旋状に形成されつつ、軸方向に沿って延びている、請求項1乃至5の何れか一項に記載の回転電機。
- 前記短絡部材は、所定部材(90,92,94,96,98)が軸方向に沿って積層された積層部材である、請求項1乃至6の何れか一項に記載の回転電機。
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