WO2018043661A1 - 寒天皮膜カプセル - Google Patents
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Abstract
使用前の保存時にカプセルが破砕されず、皮膚上に適用後、手指で磨り潰したときにカプセルが容易に破砕されるとともに、カプセル皮膜のゲルの残渣が皮膚上に残留しない又はカプセル皮膜のゲルの残渣が減少する油状成分を内容物とするカプセルを提供することを課題とする。 油状成分を内容物とする、寒天皮膜の乾燥工程を経ない寒天皮膜カプセルであって、前記寒天皮膜にシリカが配合され、カプセルを手指で磨り潰したときに寒天皮膜のゲルの残渣が残留しない、又は減少することを特徴とする寒天皮膜カプセルを調製する。
Description
本発明は、寒天皮膜の乾燥工程を経ない寒天皮膜カプセルに関し、より詳細には、油状成分を内容物とする、寒天皮膜の乾燥工程を経ない寒天皮膜カプセルであって、寒天皮膜にシリカが配合され、カプセルを手指で磨り潰したときに寒天皮膜のゲルの残渣が残留しない又はゲルの残渣が減少する寒天皮膜カプセルに関する。
油性成分を内層部に含有するカプセルは、食品、医薬品、化粧品等の分野で広く使用されている。特に化粧品分野においては、界面活性剤等を用いることなく、油分と水分とが共存した化粧料を製造できるため、カプセルが分散する製品が開発されてきた。
従前は、十分な皮膜強度や安定性、低コスト等の理由によりゼラチンを皮膜基剤とするカプセルが広く使用されていたが、カプセルが壊れにくい場合があること、カプセル皮膜が水性媒体中で浸食されて溶融してしまう場合があること、及び水性溶媒中においてカプセルの皮膜同士が付着する場合があることから、寒天を基材とするソフトカプセル(例えば、特許文献1参照)や、化粧用基剤及び油状成分を内容物とする寒天皮膜カプセルを含有する化粧用組成物(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
寒天皮膜カプセルは、油状成分を内容物とすることができ、また水性溶媒中に分散できる点で優れているが、破裂したカプセルの皮膜のゲルの残渣が皮膚上に残留することが問題点として指摘されることがある。かかる指摘に対して、カプセル皮膜が容易に溶解するカプセルを含む化粧料として、皮膜成分としてアルギン酸カルシウムを含むカプセルを含有する第1剤、及びキレート剤を含有する第2剤からなる化粧料(例えば、特許文献3参照)が提案されている。また、カプセル皮膜のゲルの残渣を溶解除去できるキレート剤をカプセル内に配合する油相である連続相中に、キレート剤を含む水相が微小液滴として分散させられているカプセル化粧料(例えば、特許文献4参照)が提案されている。
また、皮膜形成物質として寒天を使用したカプセル剤を含む口腔用組成物(例えば、特許文献5参照)においては、カプセル剤の粒径を0.3~3mmとすることにより確実にブラッシングにより破壊し、口腔内の異物に対する感覚を弱める作用を有する香料を内容物に配合することによりカプセル剤のざらつき感を低減させることが提案されている。さらに、寒天とアルギン酸の多価金属塩により形成されるカプセルに化粧料成分を内包又は含浸させ、水酸化ナトリウム及び炭素数3~6の二価アルコールを含有する水溶性ゲル中に分散して成る、カプセル含有ゲル状化粧料(例えば、特許文献6参照)が提案されているが、ここでのカプセルは、水酸化ナトリウムを含有しない水溶性ゲルにカプセルを分散した場合カプセルのつぶれやすさについて評価が悪くなる旨等の記載があり、使用用途が限定されるおそれがある。
一方、シリカは、肌への平滑性の付与、クレンジング力や保湿力の付与等を目的として化粧料に広く使用されており、油相にコロイド状シリカを含有する、O/W型乳化組成物(例えば、特許文献7参照)や、油性物質が気相法シリカを含有するコア三層構造シームレスカプセル(例えば、特許文献8参照)等が提案されている。
本発明の課題は、皮膚上に塗布するカプセルを含む化粧料を使用した場合に、使用される前の保存時にカプセルが破砕されず、皮膚上に適用後、手指で磨り潰したときにカプセルが容易に破砕されるとともに、カプセル皮膜のゲルの残渣が皮膚上に残留しない又はカプセル皮膜のゲルの残渣が減少するカプセルを提供することにある。
本発明者らは、油状成分を内容物とし、水性溶媒中に分散できる、寒天皮膜カプセルについて、皮膚上における皮膜のゲルの残渣の減少を目的として、様々な配合組成を検討してきたが、寒天皮膜にシリカを配合することにより、カプセルを手指で磨り潰した場合に迅速に皮膜のゲルの残渣がなくなることを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)油状成分を内容物とする寒天皮膜カプセルであって、前記寒天皮膜がシリカを含有していることを特徴とする寒天皮膜カプセル。
(2)シリカが、コロイド状シリカであることを特徴とする上記(1)記載のカプセル。
(3)コロイド状シリカが、表面積が100m2/g以上であるコロイド状シリカであることを特徴とする上記(2)記載の寒天皮膜カプセル。
(4)シリカが、寒天皮膜に0.3%以上含まれていることを特徴とする上記(1)~(3)のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
(5)寒天皮膜が、水を85%以上含有していることを特徴とする上記(1)~(4)のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
(6)寒天のゼリー強度が、400g/cm2以上であることを特徴とする上記(1)~(5)のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
(7)寒天が、寒天皮膜液に1.0~2.0%含まれていることを特徴とする上記(1)~(6)のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
(8)寒天皮膜が、さらに冷却によりゲル化しない水溶性多糖類を含有することを特徴とする上記(1)~(7)のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
(9)油状成分が、化粧料用油性成分又は皮膚外用剤用油性成分であることを特徴とする上記(1)~(8)のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
(10)カプセルを手指で磨り潰したときに寒天皮膜のゲルの残渣が残留しない、又は減少することを特徴とする上記(1)~(9)のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
(11)以下の(A)~(C)の工程を備える寒天皮膜カプセルの製造方法。
(A)シリカが添加された寒天皮膜液を調製する工程;
(B)油状成分を準備する工程;
(C)上記(A)工程において調製された寒天皮膜液、及び(B)工程において準備された油状成分を用いて、以下の(a)、(b)のステップにより、滴下法によりカプセルを作製する工程;
(a)同心円状に配置された多重ノズルの、最外層のノズルから寒天皮膜液を、最外層よりも内側のノズルから油状成分を、それぞれ冷却溶媒中に吐出させて多層液滴を形成するステップ;
(b)多層液滴における寒天皮膜液を冷却し、カプセルを作製するステップ;
(12)寒天皮膜の乾燥工程を経ないことを特徴とする上記(11)記載の寒天皮膜カプセルの製造方法。
(13)上記(1)~(10)のいずれか記載の寒天皮膜カプセル、及び化粧用基剤を含有することを特徴とする化粧用組成物。
(14)化粧用基剤が、液状、クリーム状又は半固形状であることを特徴とする上記(13)記載の化粧用組成物。
(1)油状成分を内容物とする寒天皮膜カプセルであって、前記寒天皮膜がシリカを含有していることを特徴とする寒天皮膜カプセル。
(2)シリカが、コロイド状シリカであることを特徴とする上記(1)記載のカプセル。
(3)コロイド状シリカが、表面積が100m2/g以上であるコロイド状シリカであることを特徴とする上記(2)記載の寒天皮膜カプセル。
(4)シリカが、寒天皮膜に0.3%以上含まれていることを特徴とする上記(1)~(3)のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
(5)寒天皮膜が、水を85%以上含有していることを特徴とする上記(1)~(4)のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
(6)寒天のゼリー強度が、400g/cm2以上であることを特徴とする上記(1)~(5)のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
(7)寒天が、寒天皮膜液に1.0~2.0%含まれていることを特徴とする上記(1)~(6)のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
(8)寒天皮膜が、さらに冷却によりゲル化しない水溶性多糖類を含有することを特徴とする上記(1)~(7)のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
(9)油状成分が、化粧料用油性成分又は皮膚外用剤用油性成分であることを特徴とする上記(1)~(8)のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
(10)カプセルを手指で磨り潰したときに寒天皮膜のゲルの残渣が残留しない、又は減少することを特徴とする上記(1)~(9)のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
(11)以下の(A)~(C)の工程を備える寒天皮膜カプセルの製造方法。
(A)シリカが添加された寒天皮膜液を調製する工程;
(B)油状成分を準備する工程;
(C)上記(A)工程において調製された寒天皮膜液、及び(B)工程において準備された油状成分を用いて、以下の(a)、(b)のステップにより、滴下法によりカプセルを作製する工程;
(a)同心円状に配置された多重ノズルの、最外層のノズルから寒天皮膜液を、最外層よりも内側のノズルから油状成分を、それぞれ冷却溶媒中に吐出させて多層液滴を形成するステップ;
(b)多層液滴における寒天皮膜液を冷却し、カプセルを作製するステップ;
(12)寒天皮膜の乾燥工程を経ないことを特徴とする上記(11)記載の寒天皮膜カプセルの製造方法。
(13)上記(1)~(10)のいずれか記載の寒天皮膜カプセル、及び化粧用基剤を含有することを特徴とする化粧用組成物。
(14)化粧用基剤が、液状、クリーム状又は半固形状であることを特徴とする上記(13)記載の化粧用組成物。
本発明の寒天皮膜カプセルによると、カプセルを手指で磨り潰すと迅速に寒天皮膜のゲルの残渣が消滅又は大きく減少する。
本発明の寒天皮膜カプセルとしては、油状成分を内容物とするカプセルであって、寒天皮膜にシリカが配合されて、カプセルを手指で磨り潰したときに寒天皮膜のゲルの残渣が残留しない又は減少するカプセルであれば特に制限されず、寒天皮膜カプセルとは、寒天を含む皮膜が、カプセルの最外層に存在し、より内層の内容物を覆うカプセルをいう。なお、本発明のカプセルは、寒天皮膜の乾燥工程を経ないため、寒天皮膜の腐敗を防ぐために、防腐剤、殺菌剤等を皮膜や水性溶媒に添加することが望ましく、そのため、化粧料等の化粧用組成物や皮膚外用剤などを好ましい用途として挙げることができる。なお、本発明において「%」は、「質量%」を表す。
上記寒天皮膜における寒天としては、主としてテングサなどの紅藻類から得られる多糖類である天然寒天又は市販品を用いることができ、市販品としては、PS-26、PS-10、PC-6(いずれも伊那食品工業社製)、JS-1000(朝日社製)等を挙げることができる。寒天のゼリー強度(日寒水式)は、400g/cm2以上であることが好ましく、上限は特に限定されないが、例えば1500g/cm2を例示することができる。400g/cm2未満だと、カプセルの成形性が確保できないおそれがあり、また、1500g/cm2を超えると、硬くて手指で潰しにくくなるおそれがある。なお、前記寒天として精製アガロースを使用してもよい。
上記寒天皮膜における寒天の濃度としては、例えば上記PS-26を用いた場合には、1~5%、好ましくは1~2%を挙げることができ、1%未満であると化粧料等の使用前にカプセルが破砕するおそれがあり、5%を超えると手指によってカプセルを容易に磨り潰すことができなくなるおそれがある。
上記寒天皮膜に配合されるシリカとしては、肌への平滑性の付与や、保湿力の付与等の作用を有することが知られている二酸化ケイ素であれば特に制限されないが、不定形の非晶質二酸化ケイ素を好ましく挙げることができ、特に、表面積が、例えば100m2/g以上、好ましくは200m2/g以上、より好ましくは300m2/g以上、さらに好ましくは350m2/g以上であり、2000m2/g以下、好ましくは1000m2/g以下である、微細なケイ酸をゲル化させた多孔性のコロイド状シリカを好適に挙げることができ、サイリシア380(表面積380m2/g)や、サイリシア550、サイリシア780、SMB C-30(いずれも富士シリシア化学社製)等の市販品を用いることもできる。これらのうち、製造工程中の利便性(比重が大きい場合だと、沈降を防止するために、追加の措置(例:攪拌効率を向上させた特定の攪拌手段を追加する、等)を取らなければならない。)を考慮すると、比重が小さいサイリシア380が好ましい。ただし、比重の大きい原料を使用する場合には、工程中の攪拌効率を工夫するなど、工程条件等の改善検討により使用できる可能性がある。
上記シリカの寒天皮膜への配合量としては、0.3%以上を好ましく挙げることができる。サラサラ感を皮膚に付与するという効果をもたらすこともできる。シリカ配合量の上限は特に限定されないが、例えば1%を例示することができるが、シリカの配合量が多くなりすぎると、シリカが比較的多く白く残り、粉っぽく感じられることから、然る状態が使用目的や使用態様に照らして好ましくない場合もあり得る。一方、0.3%未満の濃度であると、皮膜の寒天の残存感が大となり、好適な使用感がえられないおそれがある。
本発明の油状成分を内容物とするカプセルにおいて、油状成分としては、化粧料用油性成分や皮膚外用剤用油性成分を好適に挙げることができ、具体的には、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル、長鎖・中鎖・短鎖の脂肪酸トリグリセリド、ジアシルグリセリド等のエステル類;アボカド油、アーモンド油、モクロウ、オリーブ油、カミツレ油、玄米胚芽油、米油、ヒマシ油、ミンク油、シソ油、月見草油、マカデミアンナッツ油、パーム油等の天然油脂類;ミツロウ、ゲイロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス等のロウ類;ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、オクタン酸デキストリン、ラウリン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ベヘニン酸デキストリン、ヤシ油脂肪酸デキストリン、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カリウム、12-ヒドロキシステアリン酸等の油性ゲル化剤;ビタミンA、ビタミンE等のビタミン類;炭化水素系、アルデヒド系、アルコール系、フェノール系、アセタール系、ケトン系、エーテル系、合成ムスク、ラクトン類、エステル系等の油溶性香料;油性甘草エキス、脂溶性ビタミンC誘導体等の油性美白成分などを例示することができ、油状成分の性状としては、固形、半固形、液体、揮発性等である油を挙げることができるが、常温にて又は使用時に液体である油が好ましい。
本発明のカプセルの製造方法においては、寒天皮膜の乾燥工程を経ないことが大きな特徴である。「寒天皮膜の乾燥工程を経ない」とは、噴霧乾燥、凍結乾燥、熱風乾燥、真空静置乾燥、真空振動乾燥等の公知のカプセル乾燥の方法を用いることなく、寒天皮膜カプセルを作製することをいう。寒天皮膜の乾燥工程を経ないことから、通常寒天皮膜は水を85%以上含有している。
上記寒天皮膜カプセルの製造方法としては、(A)シリカが添加された寒天皮膜液を調製する工程;(B)油状成分を準備する工程;(C)上記(A)工程において調製された寒天皮膜液、及び(B)工程において準備された油状成分を用いて、滴下法によりカプセルを作製する工程;を備える方法を挙げることができる。
上記(A)工程において、寒天皮膜液を調製する際に、寒天を水に溶解するためには寒天を添加した水を加温する必要がある。加温する温度としては、80~100℃を例示することができる。シリカは、加温前の寒天を添加する水に投入することもでき、加温後の寒天水溶液に投入することもできる。
上記寒天を寒天皮膜液全体に対して添加する量としては、1~5%、好ましくは1~2%、より好ましくは1.2~1.8%、さらに好ましくは1.3~1.7%を挙げることができる。また、シリカを寒天皮膜液全体に対して添加する量としては、0.3~1%が好ましい。
上記寒天皮膜液には、上記寒天皮膜に弾力を与え柔らかくするために、増粘作用を有し、冷却してゲル化しない水溶性多糖類(例えば、アルギン酸ナトリウム)をさらに添加することができる。具体的には株式会社キミカ社製のアルギン酸ナトリウムである、キミカアルギンULV-5(10%水溶液、20℃での粘度500~600mPa・s)を使用することができる。その他の冷却してゲル化しない水溶性多糖類としては、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、ガッティガム、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、λ-カラギーナン、μ-カラギーナン、ν-カラギーナン、セルロース類、及びデンプン類等を挙げることができる。
上記冷却してゲル化しない水溶性多糖類を寒天皮膜液全体に対して添加する量としては、例えば、カプセル皮膜液に5~25mPa・s、好ましくは8~22mPa・s、さらに好ましくは10~20mPa・sの粘度を付与することができる量を挙げることができ、上記キミカアルギンULV-5を用いる場合であれば、0.05~0.15%、好ましくは0.08~0.12%を例示することができる。寒天皮膜液の粘度が5mPa・s未満の場合、シリカが寒天皮膜液中に沈殿しやすくなるおそれがある。他方、寒天皮膜液の粘度が25mPa・sを超えると、滴下法でカプセルを作製するにあたり、液滴のきれが悪くなるおそれがある。
上記寒天皮膜液には、スクラブ効果や外観的効果を付加することを主目的として、水にも油にも不溶性の、微粉砕された粉体成分又は微粉末(以下、単に「微粉末等」ということがある。)をさらに添加することもできる。微粉末等としては例えば、無機顔料類、光輝性粉体類、有機粉体類、有機顔料粉体類等を挙げることができる。具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の無機顔料類、二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、魚鱗箔等の光輝性粉体類、シルク粉末、セルロース粉末等の有機粉体類、赤色201号(英名:Lithol Rubine B,FDA名:D&C Red No.6)、赤色202号(英名:Lithol Rubine BCA,FDA名:D&C Red No.7)、赤色204号(英名:Lake Red CBA)、赤色205号(英名:Lithol Red)、赤色206号(英名:Lithol Red CA)、赤色207号(英名:Lithol Red BA)、赤色208号(英名:Lithol Red SR)、赤色218号(英名:Tetrachlorotetrabromofluorescein,FDA名:D&C Red No.27)、赤色219号(英名:Brilliant Lake Red R,FDA名:D&C Red No.31)、赤色220号(英名:Deep Maroon,FDA名:D&C Red No.34)、赤色221号(英名:Toluidine Red)、赤色223号(英名:Tetrabromofluorescein,FDA名:D&C Red No.21)、赤色226号(英名:Helindone Pink CN,FDA名:D&C Red No.30)、赤色228号(英名:Permaton Red,FDA名:D&C Red No.36)、赤色405号(英名:Permanent Red F5R)、橙色201号(英名:Dibromofluorescein,FDA名:D&C Orange No.5)、橙色203号(英名:Permanent Orange)、橙色206号(英名:Diiodofluorescein,FDA名:D&C Orange No.10)、橙色401号(英名:Hanza Orange)、青色201号(英名:Indigo)、青色204号(英名:Carbanthrene Blue)、青色404号(英名:Phthalocyanine Blue)、黄色205号(英名:Benzidine Yellow G)等の有機顔料粉体類などを例示することができる。なお、寒天カプセル皮膜に、単にこれらの微粉末等を添加しても、ゲルの残渣が消滅または減少することはない。
寒天皮膜液の残部は、水道水、蒸留水、精製水、イオン交換水、超純水、深層海洋水、ミネラル水から選ばれる少なくとも1つの水により調製することができる。なお、かかる水は、カプセル保存液の調製にも用いることができる。
上記油状成分を準備する(B)工程において、「準備」とは、油状成分が単一原料からなる場合には、単に充填液タンクに移し入れることを指し、油状成分が複数の原料からなる場合には、当該複数の原料を適切な方法(常法)で混合・調製することを指す。油状成分には、化粧料や皮膚外用剤一般に使用される有効成分をさらに添加することもでき、例えば、コラーゲンの合成を増強する化合物、コラーゲンの分解を阻害する化合物、角質細胞の増殖性を高める薬剤等の皮膚老化防止に効果があるとされる化合物、酸化防止剤、防腐剤、美白剤、紫外線防止剤、抗炎症剤、保湿剤、香料、着色剤、抗菌剤、殺菌剤等を本発明の油状成分として配合することができる。これらは一部に親水基を含んでいてもよいが、油状成分全体として疎水性である必要がある。
上記(C)工程における滴下法としては、同心円状に配置された多重ノズルを用いて、液滴がその表面張力によって球形になる性質を利用して、最外層の皮膜液と、1又は2以上のより内層の油状成分とからなる多層性の液流を各ノズルから滴下し、一定間隔で切断することにより形成された液滴において、皮膜液が油状成分を覆い包むことにより継ぎ目のない皮膜を有する、いわゆるシームレスカプセルを形成する方法を挙げることができる。
上記滴下法によりカプセルを作製するための具体的手順としては、以下の(a)、(b)のステップを備える手順を示すことができる。
(a)同心円状に配置された多重ノズルの、最外層のノズルに寒天皮膜液を、最外層よりも内側のノズルから油状成分を、それぞれ冷却溶媒中に吐出させて多層液滴を形成するステップ;
(b)多層液滴における寒天皮膜液を冷却し、寒天皮膜カプセルを作製するステップ;
なお、こうして得られた寒天皮膜カプセルは、別途用意した水性溶媒中に浸漬して、輸送に供することも可能である。
(a)同心円状に配置された多重ノズルの、最外層のノズルに寒天皮膜液を、最外層よりも内側のノズルから油状成分を、それぞれ冷却溶媒中に吐出させて多層液滴を形成するステップ;
(b)多層液滴における寒天皮膜液を冷却し、寒天皮膜カプセルを作製するステップ;
なお、こうして得られた寒天皮膜カプセルは、別途用意した水性溶媒中に浸漬して、輸送に供することも可能である。
上記(a)ステップにおいて、多重ノズルが二重ノズルである場合、寒天皮膜液を外層ノズルから吐出し、内層ノズルから油状成分を吐出することにより、油状成分を内容物とする、二層の寒天皮膜カプセルを作製することができる。
多重ノズルが三重ノズルである場合、寒天皮膜液を三重ノズルの最外層ノズルから吐出して、油状成分を最外層ノズルに隣接する中間層ノズルから吐出し、任意の成分を最内層ノズルから吐出することにより作製された三層カプセルを、本発明の寒天皮膜カプセルに含めることができる。多重ノズルが三重ノズル以上である場合も、寒天皮膜液を最外層ノズルから吐出し、最外層に隣接する中間層ノズルから油状成分を吐出し、その他のノズルからは任意成分を吐出することにより作製された多層のカプセルを、本発明の寒天皮膜カプセルに含めることができる。
皮膜液タンク内で調製された寒天皮膜液に配合されたシリカの均一性を保持するため、多層液滴形成工程中、継続して撹拌することが好ましい。
寒天皮膜液と油状成分とをそれぞれ冷却溶媒中に吐出させる際に、一定の間隔で振動を与えて滴下することにより、一滴一滴の切れが良くなり、均一性の高い多層液滴を形成することができる。
上記(b)ステップにおいて、多層液滴における最外層の寒天皮膜を冷却する方法としては、冷却オイルや、低温の気体といった冷却媒体を用いる方法を挙げることができる。すなわち、上記多層液滴を、流下する冷却オイル中に滴下する方法や、低温の気体中に滴下する方法を挙げることができる。
上記冷却オイルとしては、カプリン酸、カプリル酸等の中鎖脂肪酸のトリグリセリド(MCT)、流動パラフィン、ヒマワリ油・ベニバナ油等の植物油、又はこれらの混合物を例示することができ、上記気体としては、空気、ヘリウム、窒素、アルゴン等を例示することができる。
上記冷却オイル又は気体の温度としては、0~25℃を例示することができる。かかる冷却処理により、寒天皮膜液がゲル化し硬化する。
本発明のカプセルの形状としては、球形を好ましく挙げることができ、球形には、真球の他、断面が略円である略球形や楕円体を含めることができる。また、上記寒天皮膜カプセルの粒子径としては、使用用途に応じて0.8~5mmを例示することができ、カプセルの粒子径が0.8mm未満であると手指でカプセルの破砕することが困難になるおそれがあり、5mmを超えると、形状にゆがみが生じたり、水性溶媒中に均一に分散させることが困難になったりするおそれがある。
本発明のカプセルの皮膜率としては、カプセル形状が保てる限り制限はないが、通常40~90%が対応可能で、50~70%が好ましい。かかるカプセルの皮膜率は、カプセル全質量に対する寒天皮膜の質量を百分率で表したものとして算出される。二重カプセルの場合、一又は複数の寒天皮膜カプセルの質量を測定し、カプセルを潰して、寒天皮膜以外の内容物を、ヘキサンを用いて洗い流し、次いで、内容物を回収したヘキサン溶液からエバポレーターを用いてヘキサンを除去して、内容物の質量(内容物質量)を測定し、以下の式1及び式2により求めることができる。
内容物率(%)= 内容物質量÷カプセル全体の質量×100・・[式1]
カプセルの皮膜率(%)=100%-内容物率(%)・・・・・・[式2]
本発明のカプセルの化粧品組成物への使用態様としては、特に限定されないが、化粧水やジェル等の液状、クリーム状又は半固形状である化粧用基剤にカプセルを分散させる態様を好ましく挙げることができる。化粧品組成物の使用時にカプセルを磨り潰すことによりカプセル皮膜が破砕され、適用箇所に放出された内容物が、液状、クリーム状又は半固形状である化粧用基剤とフレッシュな状態で混合される。したがって、油状成分を安定した状態で肌に送り込むことができる。また、カプセルの内容物が着色されている場合、視覚効果を高めた化粧品組成物として用いることができ、カプセルの内容物に香料が配合されている場合は香料の効果をより顕著に奏することができる。さらに化粧料使用時にカプセルを使用者自らが皮膚上で潰して内容物を放出させることにより、有効成分の浸透効果をより感じるという心理的な効果をもたらすことができる。
本発明において、「手指で磨り潰す」行為としては、例えば、使用時に皮膚等の適用箇所に化粧品組成物や皮膚外用剤を塗布する行為であって、手や指を用いて本発明のカプセルの皮膜を破砕して内容物をカプセルの外側に放出させる行為や、破砕された皮膜を磨る行為が含まれる。具体的には、カプセルに手や指で上方から圧力をかける行為や、皮膚表面と略平行に左右、前後等に2~7回程度手指を動かす行為等を挙げることができる。さらに、本発明のカプセルを含む化粧品組成物等が充填されているポンプ容器等から使用時に吐出されたときに寒天皮膜に損傷を与える行為を便宜上含めることができる。
本発明のカプセルは、例えば、カプセルを含む化粧品組成物を皮膚等に適用した場合に、破砕された寒天皮膜のゲルの残渣が視認されることがほとんどなく、また、手や指や皮膚上に皮膜の感触がほとんど残らなくなることが特徴である。かかる作用機構は明確に解明されているわけではないが、皮膚上で磨り潰された寒天皮膜の断片が、同じく皮膜の破砕により皮膚上に分散した多孔性のシリカに吸着されるからであると推測される。
以下、実施例により、本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[寒天皮膜カプセルの作製]
カプセルの内容物として脂肪酸(C8,C10)トリグリセライドを用い、2mm径の寒天皮膜のシームレスカプセルの作製を行った。寒天としては、「寒天1.5%溶液をつくり、20℃にて15時間放置凝固せしめたゲルについて、その表面1cm2当り20秒間耐えうる最大重量(g数)をもってJS(ゼリー強度)とする」(寒天ハンドブック、p.333(1970))との定義に従い、1.5%ゲルのゼリー強度を、レオメーター@20℃(日寒水式)にて算出した場合に、ゼリー強度(g/cm2)が600±20であったPS-26と、1030±30であったPS-10とを用いた。手順を以下に示す。
カプセルの内容物として脂肪酸(C8,C10)トリグリセライドを用い、2mm径の寒天皮膜のシームレスカプセルの作製を行った。寒天としては、「寒天1.5%溶液をつくり、20℃にて15時間放置凝固せしめたゲルについて、その表面1cm2当り20秒間耐えうる最大重量(g数)をもってJS(ゼリー強度)とする」(寒天ハンドブック、p.333(1970))との定義に従い、1.5%ゲルのゼリー強度を、レオメーター@20℃(日寒水式)にて算出した場合に、ゼリー強度(g/cm2)が600±20であったPS-26と、1030±30であったPS-10とを用いた。手順を以下に示す。
(寒天皮膜液の調製)
カプセル調製の前日に、仕込みタンクに以下に示す処方によりカプセル原料を、精製水、アルギン酸ナトリウムとしてキミカアルギンULV-5、シリカとしてサイリシア380、寒天の順に入れ、混合・撹拌後、タンク温度を97℃に設定して加温を開始した。約9時間後に液温が95℃に達した時点で、目視で溶解を確認する。二酸化チタン被覆雲母を使用する処方では、ここで投入し、混合攪拌する。その後メッシュで濾過を行い、その後85℃にて保温し、寒天皮膜液を各10050g調製した。かかる実施例1,2及び比較例1の寒天皮膜液の比重は73℃にて0.990であり、粘度はC型粘度計(東機産業社製)による測定で、11mPa・sで、実施例3,4及び比較例2の寒天皮膜液は72℃にて比重1.035、粘度は58mPa・sであった。
カプセル調製の前日に、仕込みタンクに以下に示す処方によりカプセル原料を、精製水、アルギン酸ナトリウムとしてキミカアルギンULV-5、シリカとしてサイリシア380、寒天の順に入れ、混合・撹拌後、タンク温度を97℃に設定して加温を開始した。約9時間後に液温が95℃に達した時点で、目視で溶解を確認する。二酸化チタン被覆雲母を使用する処方では、ここで投入し、混合攪拌する。その後メッシュで濾過を行い、その後85℃にて保温し、寒天皮膜液を各10050g調製した。かかる実施例1,2及び比較例1の寒天皮膜液の比重は73℃にて0.990であり、粘度はC型粘度計(東機産業社製)による測定で、11mPa・sで、実施例3,4及び比較例2の寒天皮膜液は72℃にて比重1.035、粘度は58mPa・sであった。
(油状成分の準備)
カプセル調製の当日に、仕込みタンクに以下に示す処方により、脂肪酸(C8,C10)トリグリセライドとしてココナードMT、無水エタノールの順に入れ、混合・撹拌後、メッシュで濾過を行い、静置して、カプセル内容液として油状成分を10000g準備した。以上の作業は室温にて行った。かかるカプセル内容液の比重は室温にて0.950であった。
カプセル調製の当日に、仕込みタンクに以下に示す処方により、脂肪酸(C8,C10)トリグリセライドとしてココナードMT、無水エタノールの順に入れ、混合・撹拌後、メッシュで濾過を行い、静置して、カプセル内容液として油状成分を10000g準備した。以上の作業は室温にて行った。かかるカプセル内容液の比重は室温にて0.950であった。
(カプセル保存液の調製)
カプセルを作製する前日に、仕込みタンクに以下に示す処方により、精製水に1,3-ブチレングリコールを添加し、混合・撹拌後、殺菌剤としてフェノキシエタノール-Sをさらに添加して、カプセル保存液を6000g調製した。
カプセルを作製する前日に、仕込みタンクに以下に示す処方により、精製水に1,3-ブチレングリコールを添加し、混合・撹拌後、殺菌剤としてフェノキシエタノール-Sをさらに添加して、カプセル保存液を6000g調製した。
(寒天皮膜カプセルの作製)
上記寒天皮膜液と上記油状成分とを用いて同心二重ノズル方式による滴下法によりシリカ入り寒天皮膜カプセルを作製した。寒天皮膜液と油状成分とを同時に吐出し、10℃に設定したミリトール318((カプリン酸/カプリル酸)トリグリセリド;BASF社製)を冷却オイルとして用いることによりカプセルを冷却し、カプセルを回収後、4℃の冷蔵室中で約1時間冷却することで、硬化処理を行った。
上記寒天皮膜液と上記油状成分とを用いて同心二重ノズル方式による滴下法によりシリカ入り寒天皮膜カプセルを作製した。寒天皮膜液と油状成分とを同時に吐出し、10℃に設定したミリトール318((カプリン酸/カプリル酸)トリグリセリド;BASF社製)を冷却オイルとして用いることによりカプセルを冷却し、カプセルを回収後、4℃の冷蔵室中で約1時間冷却することで、硬化処理を行った。
(カプセルの洗浄)
寒天皮膜カプセルは、周りに付着している冷却オイルを除去するために、適宜洗剤を用いて洗浄することができる。
寒天皮膜カプセルは、周りに付着している冷却オイルを除去するために、適宜洗剤を用いて洗浄することができる。
(カプセルの形状)
このようにして得られたカプセルについて20球を採取し、マイクロスコープ(顕微鏡)観察を行い、10個のカプセルの粒径を測定したところ、以下の表4に示すとおりであった。
このようにして得られたカプセルについて20球を採取し、マイクロスコープ(顕微鏡)観察を行い、10個のカプセルの粒径を測定したところ、以下の表4に示すとおりであった。
(分散溶媒への浸漬)
上記洗浄されたカプセルは、前記カプセル保存液に浸漬させた。カプセル保存液に浸漬された寒天カプセルは、輸送に供することが可能で、その後の工程にて、必要に応じて液切りした後、水性の化粧品などに配合できる。
上記洗浄されたカプセルは、前記カプセル保存液に浸漬させた。カプセル保存液に浸漬された寒天カプセルは、輸送に供することが可能で、その後の工程にて、必要に応じて液切りした後、水性の化粧品などに配合できる。
(皮膜率)
上記得られたカプセルを2015.2mg(20球)を精秤した。かかるカプセルをすりつぶしながらヘキサンで内容物を回収した。かかる回収した内容物含有ヘキサンからエバポレーターでヘキサンを減圧留去し、留去された内容物の質量を秤量した結果に基づき、前記式1及び式2を用いて算出された皮膜率を次表に示す。また、液切りしたカプセルを約1gとり、乾燥減量を測定した場合の赤外水分計(ケット社製;105℃15分間)によるカプセルの平均含水率を表5に示す。
上記得られたカプセルを2015.2mg(20球)を精秤した。かかるカプセルをすりつぶしながらヘキサンで内容物を回収した。かかる回収した内容物含有ヘキサンからエバポレーターでヘキサンを減圧留去し、留去された内容物の質量を秤量した結果に基づき、前記式1及び式2を用いて算出された皮膜率を次表に示す。また、液切りしたカプセルを約1gとり、乾燥減量を測定した場合の赤外水分計(ケット社製;105℃15分間)によるカプセルの平均含水率を表5に示す。
(カプセルの磨り潰し)
上記作製された実施例1~4及び比較例1,2の各カプセルを上記保存液とともに左前腕内側部の皮膚に適用し、通常化粧品を塗布するのと同じように皮膚上に塗布テストにて評価を行った。
上記作製された実施例1~4及び比較例1,2の各カプセルを上記保存液とともに左前腕内側部の皮膚に適用し、通常化粧品を塗布するのと同じように皮膚上に塗布テストにて評価を行った。
実施例1は、カプセルに手指で上から多少圧力をかけることにより、又は皮膚表面と略平行に左右、前後に数秒間手指を動かすことにより、カプセルは破損し、内容物が放出された。さらに数秒間手指で皮膚上を磨ることにより、カプセルの皮膜部分は見えなくなるともに、皮膜のゲルの残渣を視認することができなくなり、手指において皮膜の感触を感じることもなくなった。
実施例2は、カプセルに手指で上から多少圧力をかけることにより、又は皮膚表面と略平行に左右、前後に2~3回手指を動かすことにより、カプセルは破損し、内容物が放出された。さらに2~3回手指で皮膚上を磨ることにより、カプセルの皮膜部分は白色を呈するとともに、皮膜の粉状物(シリカ)の残渣を視認することができ、手指において寒天皮膜の感触を感じることはなく、粉状シリカの残渣によるサラサラ感のある状態となった。
比較例1は、カプセルに手指で上から多少圧力をかけることにより、又は皮膚表面と略平行に左右、前後に数秒間手指を動かすことにより、カプセルは破損し、内容物が放出された。さらに数秒間手指で皮膚上を磨っても、カプセルの皮膜部分は見えなくならずに、皮膜のゲルの残渣を視認することができ、手指において寒天ゲルの不快な感触が残った。
実施例3は、カプセルに手指で上から多少圧力をかけることにより、又は皮膚表面と略平行に左右、前後に数秒間手指を動かすことにより、カプセルは破損し、内容物が放出された。さらに数秒間手指で皮膚上を磨ることにより、カプセルの皮膜部分は二酸化チタン被覆雲母に由来するパール状の光沢を除いては見えなくなるとともに、皮膜のゲルの残渣を視認することができなくなり、手指において皮膜の感触を感じることもなくなった。
実施例4は、カプセルの触感はやや硬く感じられるものの、手指で上から多少圧力をかけることにより、又は皮膚表面と略平行に左右、前後に2~3秒間手指を動かすことにより、カプセルは破損し、内容物が放出された。さらに10秒間程度手指で皮膚上を磨ることにより、カプセルの皮膜部分はパール状の光沢色を呈するとともに、皮膜の粉状物(シリカ及び二酸化チタン被覆雲母)の残渣を視認することができ、手指において寒天皮膜の感触を感じることはなく、粉状物の残渣によるサラサラ感のある状態となった。
比較例2は、カプセルに手指で上から多少圧力をかけることにより、又は皮膚表面と略平行に左右、前後に数秒間手指を動かすことにより、カプセルは破損し、内容物が放出された。さらに20秒間程度手指で皮膚上を磨っても、カプセルの皮膜部分はパール状の光沢色を呈する寒天ゲルが見える状態で、皮膜のゲルの残渣を視認することができ、手指において寒天ゲルの不快な感触が残った。
本発明は、化粧品分野や医薬品分野(特に外用薬)において特に有用である。
Claims (14)
- 油状成分を内容物とする寒天皮膜カプセルであって、前記寒天皮膜がシリカを含有していることを特徴とする寒天皮膜カプセル。
- シリカが、コロイド状シリカであることを特徴とする請求項1記載のカプセル。
- コロイド状シリカが、表面積が100m2/g以上であるコロイド状シリカであることを特徴とする請求項2記載の寒天皮膜カプセル。
- シリカが、寒天皮膜に0.3%以上含まれていることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
- 寒天皮膜が、水を85%以上含有していることを特徴とする請求項1~4のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
- 寒天のゼリー強度が、400g/cm2以上であることを特徴とする請求項1~5のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
- 寒天が、寒天皮膜液に1.0~2.0%含まれていることを特徴とする請求項1~6のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
- 寒天皮膜が、さらに冷却によりゲル化しない水溶性多糖類を含有することを特徴とする請求項1~7のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
- 油状成分が、化粧料用油性成分又は皮膚外用剤用油性成分であることを特徴とする請求項1~8のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
- カプセルを手指で磨り潰したときに寒天皮膜のゲルの残渣が残留しない、又は減少することを特徴とする請求項1~9のいずれか記載の寒天皮膜カプセル。
- 以下の(A)~(C)の工程を備える寒天皮膜カプセルの製造方法。
(A)シリカが添加された寒天皮膜液を調製する工程;
(B)油状成分を準備する工程;
(C)上記(A)工程において調製された寒天皮膜液、及び(B)工程において準備された油状成分を用いて、以下の(a)、(b)のステップにより、滴下法によりカプセルを作製する工程;
(a)同心円状に配置された多重ノズルの、最外層のノズルから寒天皮膜液を、最外層よりも内側のノズルから油状成分を、それぞれ冷却溶媒中に吐出させて多層液滴を形成するステップ;
(b)多層液滴における寒天皮膜液を冷却し、カプセルを作製するステップ; - 寒天皮膜の乾燥工程を経ないことを特徴とする請求項11記載の寒天皮膜カプセルの製造方法。
- 請求項1~10のいずれか記載の寒天皮膜カプセル、及び化粧用基剤を含有することを特徴とする化粧用組成物。
- 化粧用基剤が、液状、クリーム状又は半固形状であることを特徴とする請求項13記載の化粧用組成物。
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