JPH06247845A - 微粒子性酸化ケイ素配合軟カプセル剤 - Google Patents

微粒子性酸化ケイ素配合軟カプセル剤

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JPH06247845A
JPH06247845A JP5937193A JP5937193A JPH06247845A JP H06247845 A JPH06247845 A JP H06247845A JP 5937193 A JP5937193 A JP 5937193A JP 5937193 A JP5937193 A JP 5937193A JP H06247845 A JPH06247845 A JP H06247845A
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JP
Japan
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soft capsule
silicon oxide
film
soft
particulate silicon
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JP5937193A
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Tetsuo Miura
哲男 三浦
Takashi Kondo
隆 近藤
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Fuji Capsule Co Ltd
Original Assignee
Fuji Capsule Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 軟カプセル剤において、軟カプセル皮膜が元
来有している弾力性や安定性を損なうことなく、軟カプ
セル剤の付着性をなくし、滑走性を向上すること。 【構成】 軟カプセル皮膜によって内容物を被包してな
る軟カプセル剤において、軟カプセル皮膜成分中に微粒
子性酸化ケイ素を含むこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、付着性及び滑走性を改
良した軟カプセル剤に関する。ここで、軟カプセル剤と
は、通常、ゼラチン、寒天、グリセリン、ソルビトール
等を成分とする軟カプセル皮膜により、医薬品、食品、
化粧品等の内容物を被包したものである。
【0002】
【従来の技術】軟カプセル剤は、通常皮膜成分としてゼ
ラチン、寒天等の基剤の他にグリセリン、ソルビトール
等の可塑剤を配合したものを用いており、この可塑剤が
多いものほど弾力性、カプセル強度等に非常に優れた特
性を示す反面、可塑剤が有する吸湿性のために軟カプセ
ル剤同士もしくは軟カプセル剤と容器との付着性が大き
くなり、滑走性が悪化する傾向がある。即ち、具体的に
は、下記〜の不都合がある。
【0003】高温下や高湿下において湿潤、軟化し易
く、甚しい場合には軟カプセル剤同士が互いに粘着接合
して使用時に剥せなかったり、変型して商品価値を失っ
てしまうことがあった。
【0004】近年増加してきたところの調剤作業の効
率化を目的とした各種自動調剤機における包装充填作業
において、軟カプセル剤は滑走性が劣るために作業性が
困難であった。
【0005】携帯性、密閉性の点で優れるために繁用
されているPTP包装もしくはSP包装においても上記
と同様にして製造段階で自動包装機が使用しにくく、
また包装後に軟カプセル剤が内部で付着を起こし、用時
取り出しにくくなる場合があった。
【0006】患者が1回に服用する全薬剤を、剤型の
異なるものも含めて1つの包装とするところの1回量包
装(unit dose packaging )において、軟カプセル剤が
他の医薬品と付着してしまう場合もあった。
【0007】そこで従来より、軟カプセル皮膜が元来有
している弾力性や安定性を損なうことなく、付着性をな
くしたり、滑走性を良くしたりすることが要求されてい
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来、軟カプセル剤の
付着性及び滑走性を改良する方法として特開昭56-15621
2 、特開平2-180815に記載される如く軟カプセル皮膜の
表面にワックス等を塗布する方法が知られているが、未
だ十分な効果は得られていない。
【0009】また、ドイツ特許 2051301号には、主に錠
剤、顆粒剤において味、色、臭いのマスキング、硬度の
増加、磨損の防止等の目的で用いられる技術であるフィ
ルムコーティングを軟カプセル皮膜の表面に施すことに
より、軟カプセル剤の付着性、滑走性を改善させ得るこ
とが示されている。然しながら、この場合のフィルムコ
ーティングを軟カプセル皮膜に施す際には、そのコーテ
ィング量は最低でも軟カプセル総重量の 1%以上、即ち
軟カプセル皮膜重量に対しておよそ 3%以上のコーティ
ングが必要なことが示されており、このことは、下記
〜の点で実用的でない。
【0010】軟カプセル皮膜の表面に大量のフィルム
コーティング層を形成するため、通常軟カプセル剤が具
備している優れた特質である光沢、易溶解性、弾力性、
透明性等を損なってしまう。
【0011】軟カプセル皮膜の表面に形成されるフィ
ルムコーティング層が大量で厚くなるのに対し、軟カプ
セル皮膜は弾力変形するものであるため、厚膜状フィル
ムコーティング層が軟カプセル皮膜自体の弾力変形に追
随できず、経時的にひび割れ、剥離することがある。
【0012】大量なフィルムコーティングは、作業時
間、原料代の増加により大幅なコストアップにつなが
る。
【0013】本発明は、軟カプセル剤において、軟カプ
セル皮膜が元来有している弾力性や安定性を損なうこと
なく、軟カプセル剤の付着性をなくし、滑走性を向上す
ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、軟カプセル皮膜によって内容物を被包してなる軟カ
プセル剤において、軟カプセル皮膜成分中に微粒子性酸
化ケイ素を含むようにしたものである。
【0015】請求項2に記載の本発明は、軟カプセル皮
膜によって内容物を被包してなる軟カプセル剤におい
て、軟カプセル皮膜を微粒子性酸化ケイ素又はその配合
物で表面処理してなるようにしたものである。
【0016】請求項3に記載の本発明は、請求項2に記
載の本発明において更に、表面処理が、軟カプセル皮膜
の表面に、固体状の微粒子性酸化ケイ素又はその配合物
を塗布するものであるようにしたものである。
【0017】請求項4に記載の本発明は、請求項2に記
載の本発明において更に、表面処理が、軟カプセル皮膜
の表面に、液体に分散した微粒子性酸化ケイ素又はその
配合物を塗布するものであるようにしたものである。
【0018】
【作用】微粒子性酸化ケイ素は、日本薬局方において
「軽質無水ケイ酸」、日本薬局方外医薬品成分規格にお
いて「含水二酸化ケイ素」、化粧品原料基準において
「無水ケイ酸」、食品添加物公定書において「微粒二酸
化ケイ素」、JISにおいて「無水ケイ酸沈降製」とし
て示されるところの化学式SiO2 で表わされる非結晶
性の微粉末二酸化ケイ素をいう。
【0019】この微粒子性酸化ケイ素は、(a) 粒子が極
めて細かいので表面積が著しく大きい、(b) 吸油量、吸
水量が極めて大きい、(c) 化学的に不活性なために安定
である、等の性質から、粉末医薬品の固結防止剤・流動
性改善剤として利用されている。即ち、粉末製品は成分
や用法に関係なく凝集して固結する傾向があり、このた
め粉末製品の製造、包装、貯蔵には困難を伴う場合があ
る。例えば医薬品において、粉末を圧縮して製造する錠
剤や、粉末を硬カプセル皮膜内に充填して製造する硬カ
プセル剤の製造時には、固結し易い原料粉末が製造機内
を円滑に流動しないために製品間の重量偏差が極めて大
きい製品を製造してしまうことがある。このような場合
の粉末原料はいわゆる滑沢剤を適量添加されることによ
り流動性を大きく改善せしめられ、製品間の重量偏差が
極めて少ない製品を得ることができる。微粒子性酸化ケ
イ素はこうした作用を有する滑沢剤の1つとして、ステ
アリン酸塩類、タルク、ポリエチレングリコール、ロウ
類、硬化油類、ショ糖脂肪酸エステル類等とともに利用
されているのである。
【0020】然しながら、微粒子性酸化ケイ素の医薬品
等における上述の如くの使用態様は、錠剤や硬カプセル
剤の原料取扱い段階でその原料粉末の固結防止、流動性
改善を図るものであるに過ぎず、製品段階での錠剤や硬
カプセル剤にはない(錠剤や硬カプセル剤は製品段階で
付着性の問題がなく、また滑走性にも優れる)軟カプセ
ル剤特有の問題であった付着性、滑走性を改善するため
の本発明における如くの最終製品段階での使用態様とは
全く本質を異にするものである。
【0021】即ち、請求項1に記載の本発明によれば、
下記の作用がある。 微粒子性酸化ケイ素を皮膜成分とする軟カプセル皮膜
を調製する方法としては、通常の軟カプセル皮膜調製法
を用いれば良い。即ち、ゼラチン、寒天、グリセリン、
ソルビトール等の軟カプセル皮膜成分に水を加え、約60
℃の加温下で混合攪拌し、溶解後水に分散した所定量の
微粒子性酸化ケイ素を添加し、攪拌、真空脱気して軟カ
プセル皮膜用溶液を得た後、軟カプセル剤充填機に仕込
んで、軟カプセル剤を成形すれば良い。
【0022】この場合の微粒子性酸化ケイ素の配合量は
特に限定されないが、軟カプセル皮膜重量の0.07%以下
では目的が十分に達成されない。また、配合量を増すほ
ど徐々に軟カプセル皮膜の不透明性が上がり、内容物が
透視しにくくなるので、透明な軟カプセル剤の場合、上
限を 2%とした方が良い。従って、好ましい配合量の範
囲は軟カプセル剤皮膜重量の0.07%〜 2%である。しか
し、後記実施例で示す如く、本発明によれば、付着性、
滑走性を改善する効果の他に配合量を上げるほど軟カプ
セル剤の溶解性を良くする効果がみられるので特に内容
物が透視できなくても良い場合や予め不透明な軟カプセ
ル剤の場合には上限を規定する必要はない。
【0023】請求項2に記載の本発明によれば、下記
の作用がある。 軟カプセル皮膜を微粒子性酸化ケイ素又はその配合物
で表面処理する方法としては、軟カプセル皮膜表面に固
体状の微粒子性酸化ケイ素又はその配合物を塗布する方
法もしくは軟カプセル皮膜表面に液体に分散した微粒子
性酸化ケイ素又はその配合物を塗布する方法がある。
【0024】この場合の「その配合物」とは、微粒子酸
化ケイ素以外に他の添加物を含む場合をいい、他の添加
物としては、(1) 賦形剤としてのデンプン類、糖類、カ
ルシウム塩類等、(2) 結合剤としてのデキストリン、プ
ルラン、ゼラチン、セラック、ツェイン、ポリビニルア
ルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセター
ルジエチルアミノアセテート、ヒドロキシプロピルセル
ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、エ
チルセルロース、アミノアルキルメタアクリレートコポ
リマーE(オイドラギットE)、メタアクリル酸コポリ
マーL(オイドラギットL)等、(3) 滑沢剤としてのス
テアリン酸塩類、タルク、ポリエチレングリコール、ロ
ウ類、硬化油類、ショ糖脂肪酸エステル等を挙げること
ができる。
【0025】また必要に応じて、微粒子性酸化ケイ素の
配合物として着色剤、矯味剤、矯臭剤を添加することも
可能である。
【0026】請求項3に記載の本発明によれば、下記
の作用がある。 軟カプセル皮膜表面に固体状の微粒子性酸化ケイ素又
はその配合物を塗布する具体的な方法としては、下記
(1) 〜(3) がある。
【0027】(1) 一定量の軟カプセル剤に所定量の固体
状の微粒子性酸化ケイ素又はその配合物を添加し、混合
攪拌し軟カプセル皮膜の表面に均一に塗布する。
【0028】(2) コーティングパンで、一定量の軟カプ
セル剤を転動しながら所定量の固体状である微粒子性酸
化ケイ素又はその配合物を添加し軟カプセル皮膜の表面
に均一に塗布する。
【0029】(3) ロータリー式軟カプセル剤製造方法に
おいて軟カプセル剤成形前の帯状の軟カプセル皮膜や成
形直後の軟カプセル剤におけるように乾燥工程以前の高
含水の軟カプセル皮膜に固体状である微粒子性酸化ケイ
素又はその配合物を均一に塗布する。
【0030】尚、固体状である微粒子性酸化ケイ素又は
その配合物が結果的に軟カプセル皮膜表面に均一に塗布
される方法であれば上記(1) 〜(3) に特に限定されな
い。
【0031】この場合の微粒子性酸化ケイ素の塗布量は
特に限定されないが微粒子性酸化ケイ素単独で用いた場
合、軟カプセル皮膜重量の0.0025%以下では、目的が十
分に達成しない。0.0025%〜0.15%は塗布量が増えるほ
ど付着性、滑走性は改善されるが0.15%以上では、その
効果は変わらない。また、塗布量が増えるほど、軟カプ
セル剤の艶の消失、透明性の悪化が見られ、0.075 %以
上では軟カプセル剤表面に微細な粉末が付着しているの
が認められるので、好ましい微粒子性酸化ケイ素の塗布
量の範囲は、軟カプセル皮膜重量の0.0025%〜0.075 %
である。但し、この範囲は、微粒子性酸化ケイ素単独で
用いた場合であって、他の添加剤と配合した場合には、
この範囲に限定されない。特に、目的とする付着性、滑
走性の改善効果に関すれば、同一塗布量であれば他の添
加剤を配合することは、微粒子性酸化ケイ素単独で用い
た場合に比較して、優れた効果をもたらすことはない
が、このこと自体、本発明の技術的範囲に属する。
【0032】請求項4に記載の本発明によれば、下記
の作用がある。 軟カプセル剤表面に液体に分散した微粒子性酸化ケイ
素又はその配合物を塗布する方法としては、(1) 〜(3)
がある。
【0033】(1) コーティングパンで一定量の軟カプセ
ル剤を転動しながら、水又は有機溶媒等の液体中に微粒
子性酸化ケイ素又はその配合物を分散或いは溶解した溶
液を軟カプセル皮膜の表面に噴霧する。
【0034】(2) 上記(1) の溶液に軟カプセル剤を浸漬
して引き上げた後、乾燥して液体を揮散させる。
【0035】(3) 上記(1) の溶液をロータリー式軟カプ
セル剤製造方法において軟カプセル剤成形前の帯状の軟
カプセル皮膜や成形直後の軟カプセル剤におけるように
乾燥工程以前の高含水の軟カプセル皮膜に均一に塗布す
る。
【0036】尚、液体に分散した微粒子性酸化ケイ素又
はその配合物が結果的に軟カプセル皮膜表面に均一に塗
布される方法であれば上記(1) 〜(3) に特に限定されな
い。
【0037】この場合の微粒子性酸化ケイ素又はその配
合物の塗布量は特に限定されないが微粒子性酸化ケイ素
単独を水又は有機溶媒に分散した場合は、前述の固体状
の微粒子性酸化ケイ素単独を塗布する場合と同様な理由
で、微粒子性酸化ケイ素の好ましい塗布量の範囲は、軟
カプセル皮膜重量の0.0025%〜0.075 %である。但し液
体に分散した微粒子性酸化ケイ素に他の添加剤を配合し
た場合にはこの範囲に限定されない。
【0038】この場合、前述した固体状の微粒子性酸化
ケイ素またはその配合物を塗布する場合に比し、微粒子
性酸化ケイ素がより強く軟カプセル皮膜表面に接着する
効果が生じることがあり、このような場合には付着性、
滑走性の改善効果は更に優れたものとなる。
【0039】こうした軟カプセル皮膜表面への接着効果
は軟カプセル皮膜に対し粘着接合し易い物質を微粒子性
酸化ケイ素の他に配合するほど高くなり、このような物
質は例えば、前述した結合剤としての物質が挙げられ
る。但し、塗布溶液固形分中の微粒子性酸化ケイ素の割
合が10%以上でなければ目的とする効果が少なく、また
50%以上であれば、軟カプセル剤表面への接着効果が弱
くなる傾向がある。
【0040】また、このような液体中に微粒子性酸化ケ
イ素とともに他の添加物を配合した溶液の軟カプセル皮
膜表面への塗布量は、軟カプセル皮膜重量の0.05%以下
では、目的とする効果が少なく、それ以上では塗布量を
増すほど効果は大きくなるが、0.5 %以上では、軟カプ
セル皮膜表面に層が形成され始めるために、軟カプセル
剤が有している光沢、易溶解性、弾力性、透明性等が徐
々に失われ初め、また経時的な層のひび割れ、剥離が危
惧されるために、好ましい塗布量の範囲は軟カプセル皮
膜重量の0.05%〜0.5 %である。
【0041】尚、本発明で用いるところの微粒子性酸化
ケイ素はアエロジル(日本アエロジル製)、サイロイド
(富士ディビソン化学製)、カープレックス(シオノギ
製薬製)等の商品名で一般に市販されているものを使用
できる。また、有機ケイ素ハロゲン化物や、アルコール
類と反応させて疎水化処理を行なったり AluminiumOxid
e と混合した微粒子性酸化ケイ素の特殊処理製品が市販
されているが、これらを用いても本発明の目的は達成さ
れる。しかし、本発明の技術と比較して特別な効果をも
たらすものではなく、またこれらを用いること自体、本
発明の技術的範囲に属する。
【0042】従って、本発明によれば、下記〜の効
果がある。 本発明の軟カプセル剤は、高温下、高湿下であっても
軟カプセル剤同士が付着することがないので、夏期にお
いても室温で安定に保存でき、粘着して使用時に剥せな
かったり、変形して商品価値を失うことがない。
【0043】滑走性に優れるために各種自動調剤機や
PTP及びSP包装機に適応し易く、無理なく調剤、或
いは包装できる。
【0044】PTP或いはSP包装した後に、包装内
部で付着することがないので、使用時に取出し易い。
【0045】1回量包装(unit dose packaging )に
おいて、他の医薬品と合わせて一袋に封入しても付着す
ることがない。
【0046】本発明の技術による軟カプセル剤は、微
粒子性酸化ケイ素の皮膜成分としての配合量、或いは表
面への塗布量が極めて微量で足りるため、通常の軟カプ
セル剤が具備している優れた性質である光沢、易溶解
性、弾力性、透明性を損なうことがなく、また製造作業
や、処理作業が短時間ですむためにコスト的に有利であ
る。
【0047】本発明の技術による軟カプセル剤は、軟
カプセル剤表面へ薬剤名コード、製薬会社名、主薬含量
等を表わす文字、数字、記号、図形、図柄等を印刷する
際に通常の軟カプセル剤に比べインキの写りが良好なた
めに印刷し易い。
【0048】また予期せぬ効果として軟カプセル皮膜
中に微粒子性酸化ケイ素を配合する場合においては軟カ
プセル剤の溶解性が向上する。
【0049】
【実施例】以下、実施例をもって本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0050】(比較例1)ゼラチン20kg、グリセリン 8
kg、精製水16kgを温度60℃にて混合攪拌し、完全に溶解
した後、真空脱気して軟カプセル皮膜用ゼラチン溶液と
した。
【0051】続いて常法により、上記ゼラチン溶液を用
いロータリー式軟カプセル製造装置によりビタミンEを
250mg 内包した透明な皮膜のフットボール型軟カプセル
剤を成型し比較例1とした。
【0052】(実施例1)ゼラチン20kg、グリセリン 8
kg、精製水11kgを温度60℃にて混合攪拌し、溶解した。
【0053】次に、所定量の微粒子性酸化ケイ素(シオ
ノギ製薬製カープレックスFPS-500)を精製水 5kgに分
散し、上記溶液に投入後真空脱気して軟カプセル皮膜用
ゼラチン溶液とした。続いて、常法により上記ゼラチン
溶液を用いてロータリー式軟カプセル製造装置により、
ビタミンEを250mg 内包したフットボール型の軟カプセ
ル剤を成型し検体とした。
【0054】微粒子性酸化ケイ素の配合量は、軟カプセ
ル皮膜重量の0.07%、 0.35 %、 0.7%、2.1 %、 7%
とし計5検体を調製した。
【0055】比較例1で調製した軟カプセル剤及び微粒
子性酸化ケイ素を皮膜成分として配合した軟カプセル剤
を検体として次の試験を行なった。結果を表1に示す。
【0056】(1) 高温、高湿下での付着度合を観察する
ために、40℃、75%RHの恒温槽内にて6号ガラスサンプ
ルビンに各々50カプセルを入れ、開栓状態で48時間保存
し、保存後サンプルビンを逆さにしてカプセルの落下数
を測定した。
【0057】(2) 軟カプセル剤の溶解性が劣化しないこ
とを確認するために、日本薬局方一般試験法に示された
崩壊試験を行なった。
【0058】(3) 軟カプセル剤の滑走性を観察するため
に、PTP包装に軟カプセル剤を充填する際を想定して
角度30度で設置した内径 1cm、長さ60cmの透明な樹脂管
内に軟カプセル剤を通し、そのときの滑走性を観察し、
良、可、否として判定した。
【0059】(4) 軟カプセル剤の透明度を観察し、以下
の判定基準によって評価した。 A 透明 B わずかに曇っている C 曇りがある D かなり曇りがある
【0060】
【表1】
【0061】表1に示された如く、本発明によって得ら
れた軟カプセル剤は対照である比較例1の軟カプセル剤
に比べて付着性、滑走性が著しく改善された。また軟カ
プセル剤皮膜への含有量が多いほど、得られた軟カプセ
ル剤の崩壊性は良好であった。
【0062】軟カプセル皮膜への含有量が0.07%では、
付着性、滑走性の向上に対し効果が少なく、2.1 %以上
では、効果は大きく変わらないが透明性が悪化したので
透明性を重視する場合の好ましい範囲は0.07%〜 2%程
度であった。
【0063】(実施例2)比較例1で得た軟カプセル剤
を各3kg ずつ内径60cmの布引パンに仕込み回転させなが
ら、該軟カプセル剤の皮膜表面に微粒子性酸化ケイ素
(日本アエロジル製アエロジル200 )を少しずつふりか
けて塗布し検体とした。塗布量は軟カプセル皮膜重量の
0.0025%、0.025 %、0.1 %、0.15%、0.25%の5段階
である。
【0064】比較例1で調製した軟カプセル剤及び上記
微粒子性酸化ケイ素で表面処理した軟カプセル剤を検体
として実施例1と同様な試験を行なった。結果は表2に
示す。
【0065】
【表2】
【0066】表2に示された如く、本発明で得られた軟
カプセル剤は対照である比較例1のそれに比べ付着性及
び滑走性が著しく改善され、崩壊性には影響がなかっ
た。
【0067】塗布量が0.0025%では耐付着性、滑走性の
向上に対し効果が少なく、0.15%以上では効果は大きく
変わらないが透明性が悪化した。
【0068】よって、微粒子性酸化ケイ素を塗布した場
合の好ましい塗布量の範囲は軟カプセル剤皮膜重量の0.
0025%〜0.15%であったが、透明性が悪化しても良い場
合は上限は規定されない。
【0069】(実施例3)比較例1で得た軟カプセル剤
について、各400gずつHCT-MINI(フロイント産業製)に
仕込み、微粒子性酸化ケイ素(日本アエロジル製アエロ
ジル200 )の配合量が塗布溶液固形分中の 0%、 2%、
10%、20%、50%である5種の処方によって、塗布量が
軟カプセル皮膜重量の0.1 %と 1%となるような表面処
理を行なった(表3参照)。
【0070】
【表3】
【0071】比較例1で調製した軟カプセル剤及び得ら
れた液体中に微粒子性酸化ケイ素の配合物を分散させた
溶液で表面処理した軟カプセル剤を検体として実施例
1、2と同様な試験を行なった。結果は表4に示す。
【0072】
【表4】
【0073】表4に示された如く、本発明による軟カプ
セル剤は比較例1の軟カプセル剤に比べ、付着性、滑走
性が著しく改善された。
【0074】予期に反してドイツ特許 2051301号に示さ
れたフィルムコーティング量よりもはるかに少ない 0.1
%の塗布量でしかも微粒子性酸化ケイ素を配合しなくと
も、ある程度の付着性の改善効果は見受けられたが、本
発明により、微粒子性酸化ケイ素を配合された検体は更
に際立った効果が見られた。
【0075】表3で示された処方によって軟カプセル皮
膜重量の0.1 %、 1%量の微粒子性酸化ケイ素及びその
配合物を塗布された軟カプセル剤の場合には、塗布溶液
固形分中の微粒子性酸化ケイ素の配合量が 2%以下では
効果が少なく、20%以上では効果は大きく変わらないが
透明度が徐々に悪化するので、好ましい配合量の範囲は
2%〜20%であった。しかし、この範囲は塗布溶液処方
及び塗布量、その軟カプセル剤の要求する透明性によっ
て異なり、特に規定されない。
【0076】また、軟カプセル剤への微粒子性酸化ケイ
素の配合物の塗布量が軟カプセル皮膜重量の0.1 %と、
従来にないほど微量であっても、微粒子性酸化ケイ素の
配合量が塗布溶液固形分中の10%以上であれば塗布量が
1%である検体に比べても耐付着性、滑走性については
遜色なく、また崩壊時間の延長が少ない点、透明度が良
い点においては、優れていた。
【0077】ドイツ特許 2051301号には、HPMCにて
胃溶性のフィルムコーティングをすることにより軟カプ
セル剤の付着防止処理をすることが記載されているが、
実施例3により、完全にフィルムとして軟カプセル剤表
面に層を形成せしめなくとも本発明によって微粒子性酸
化ケイ素が塗布されておれば、付着性、滑走性に優れた
軟カプセル剤を得ることができ、またフィルム層を形成
してないがゆえに、崩壊時間の延長、透明度の悪化、フ
ィルム層の経時的ひび割れ、剥離等の問題を生ずること
がないことが示された。
【0078】(実施例4)
【0079】比較例1で得た軟カプセル剤について、各
400gずつHCT-MINI(フロイント産業製)に仕込み、表5
に示した塗布溶液処方、即ち塗布溶液に結合剤としてエ
チルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルセルロー
ス(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(HPMC)、ポリビニルアセタールジエチルアセテー
ト(AEA)、プルランを配合し、微粒子性酸化ケイ素
を塗布溶液固形分の10%量配合した処方、また配合しな
い処方によって軟カプセル皮膜重量に対する塗布量が0.
1 %、1 %である軟カプセル剤を得た。
【0080】
【表5】
【0081】得られた軟カプセル剤を検体として実施例
1〜3と同様な試験を行なった。結果を表6に示す。
【0082】
【表6】
【0083】表6に示された如く、表5の処方の塗布溶
液によって、表面処理された軟カプセル剤は、対照であ
る比較例1の軟カプセル剤に比べ、耐付着性、滑走性の
向上が認められた。微粒子性酸化ケイ素を塗布溶液中に
配合していない軟カプセル剤もその効果が見受けられた
が、本発明により、塗布溶液中に微粒子性酸化ケイ素を
配合した軟カプセル剤は、塗布量が軟カプセル皮膜重量
の0.1 %と従来になく極めて微量であっても、更に際立
った効果が見受けられた。またそれは、塗布溶液の固形
分基剤の種類にかかわらず認められた。
【0084】(比較例2)比較例1で調製した軟カプセ
ル剤1kg について、特開昭56-156212 に示された方法に
より軟カプセル皮膜重量100 部に対し0.15部のカルナウ
バロウ(特開昭56-156212 に示された上限量)で被覆し
て比較例2とした。
【0085】(比較例3)特開平2-180815に示された方
法により、軟カプセル皮膜基剤であるゼラチンに対し40
%量の結晶セルロースを含有する軟カプセル皮膜用ゼラ
チン溶液を調製して、ロータリー式軟カプセル製造装置
によりビタミンEを250mg 内包した透明な外皮のフット
ボール型軟カプセル剤1kg を得て比較例3とした。
【0086】(比較例4)透明な皮膜の硬カプセル4号
を硬カプセル充填装置ELANCO-FILL (日本エランコ製)
に仕込み、炭酸水素ナトリウム250mg を充填して硬カプ
セル剤1kg を得て比較例4とした。
【0087】尚、硬カプセル剤は、通常耐付着性及び滑
走性について軟カプセル剤よりも遥かに優れているとさ
れている。
【0088】(比較例5)比較例1で得た軟カプセル剤
400gについてドイツ特許 2051901号に示された方法によ
りHCT-MINI(フロイント産業製)に仕込み、HPMC 9
g 、プロピレングリコール 1.5g 、メチレンクロライド
130ml、メタノール 130mlの組成のフィルムコーティン
グ用溶液を噴霧し、フィルムコーティング量が軟カプセ
ル剤の皮膜重量の約 7%であるフィルムコーティング軟
カプセル剤を得て比較例5とした。
【0089】(実施例5)比較例1、2、3、4、5及
び本発明の軟カプセル剤であるところの実施例1で製し
た微粒子性酸化ケイ素の皮膜への配合量が0.7 %である
軟カプセル剤、実施例2で製した微粒子性酸化ケイ素の
塗布量が0.1 %である軟カプセル剤、実施例3で製した
微粒子性酸化ケイ素の配合量が10%の塗布溶液によって
0.1 %量の表面処理を行なった軟カプセル剤を検体とし
て実施例1〜5と同様な試験を行なった。即ち、(1) 付
着試験、(2) 崩壊試験、(3) 滑走性試験、(4) 透明性試
験である。結果は表7に示す。
【0090】
【表7】
【0091】表7に示された如く、付着試験及び滑走性
試験において本発明の軟カプセル剤は従来技術である比
較例1、2、3に比べ、遥かに優れていた。また、従来
軟カプセル剤に比べ優れているとされる硬カプセル剤
(比較例4)や軟カプセル剤表面に完全にフィルム層を
形成させた軟カプセル剤(比較例5)と同等な性能を有
していた。
【0092】また、比較例5の検体はフィルム層が形成
されているために、崩壊時間の延長や透明性の悪化が見
られ、また経時的なフィルム層の剥離、ひび割れが危惧
されたが、本発明の技術による軟カプセル剤は、微粒子
性酸化ケイ素の表面処理量或いは皮膜配合量が極めて微
量なために、通常の軟カプセル剤が具備している優れた
性質である光沢、易溶解性、弾力性、透明性等を損なう
ことがなく、また、コストの点でも有利であった。
【0093】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、軟カプセ
ル剤において、軟カプセル皮膜が元来有している弾力性
や安定性を損なうことなく、軟カプセル剤の付着性をな
くし、滑走性を向上することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟カプセル皮膜によって内容物を被包し
    てなる軟カプセル剤において、軟カプセル皮膜成分中に
    微粒子性酸化ケイ素を含むことを特徴とする軟カプセル
    剤。
  2. 【請求項2】 軟カプセル皮膜によって内容物を被包し
    てなる軟カプセル剤において、軟カプセル皮膜を微粒子
    性酸化ケイ素又はその配合物で表面処理してなることを
    特徴とする軟カプセル剤。
  3. 【請求項3】 表面処理が、軟カプセル皮膜の表面に、
    固体状の微粒子性酸化ケイ素又はその配合物を塗布する
    ものである請求項2に記載の軟カプセル剤。
  4. 【請求項4】 表面処理が、軟カプセル皮膜の表面に、
    液体に分散した微粒子性酸化ケイ素又はその配合物を塗
    布するものである請求項2に記載の軟カプセル剤。
JP5937193A 1993-02-25 1993-02-25 微粒子性酸化ケイ素配合軟カプセル剤 Pending JPH06247845A (ja)

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