WO2018042497A1 - 香り発生装置およびカートリッジ - Google Patents

Abstract

使い捨てでなく、繰り返し使用することができるカートリッジを備えた香り発生装置を提供する。香り発生装置は、芳香剤を充填する充填領域を有するカートリッジ２０と、カートリッジ２０をスライド可能に収納する収納容器１０とを備える。収納容器１０はカートリッジ２０の収納空間を外部空間に通じさせるための開口１２を有し、カートリッジ２０は、充填領域を定める凹部２１と、凹部２１に収容され、芳香剤を内部に含浸する含浸部材２２とを有する。

Description

香り発生装置およびカートリッジ

　本発明は、香りを発生する装置、特に、芳香剤を充填する充填領域を有するカートリッジを用いる香り発生装置およびそのカートリッジに関する。

　従来、体や衣服等に香りを付けるものとして、香水やコロンが知られている。

　香水等の容器としては、ガラス瓶型、樹脂型のものがある。容器にスプレー機能が付属したものもある。香水等を入れて持ち運ぶことができるアトマイザーと呼ばれる噴霧器も知られている。

　いずれにせよ、体や衣服等に香りを付ける際、過度に用いると、周囲が迷惑したり、不快になったりする原因となる。

　しかし、通常、香りの放散度合は香水等の付ける量に依存し、香りの放散度合を制御、調整することが困難であり、時間とともに香りの強さが変化する。

　携帯できる香りグッズとしては、一般的に、紙、木製、樹脂、セラミック製で、香水、コロン、エッセンシャルオイル等を染み込ませて、香りを自然蒸発させるタイプのものが知られている。

　このような香りグッズの多くは使い捨てのものであり、また、香りの選択肢が限られている。ユーザが普段使用している好みの香水等が使えず、交換もできない。

　部屋に置く香りグッズとしては、据え置き型の香り発生装置の他、エッセンシャルオイルなどをルームフレグランス（デフューザー）で拡散するもの（特許文献１参照）が知られている。しかし、植物の茎のような市販デフューザースティックは、数週間で目詰りし、使い捨てされるものである。

　特許文献２には、エッセンシャルオイルを含浸可能な保湿カード（保湿紙、不織布、セラミックス薄板等）と、これを両面から挟むようにして収容するカードホルダとにより構成されるアロマカードユニットが提案されている。このカードホルダは、片面に多数の通気孔が形成された合成樹脂製のホルダ本体と、その片面に折り重ねられるフラップとで構成される。フラップはカードホルダにヒンジ結合され、通気孔を選択的に開放／閉鎖できるようになっている。フラップを半折り可能として、多数の通気孔のうち半数の通気孔だけを開放状態にする構成が示されている（特許文献２の図５）。他の実施形態として、カードホルダの片面に長手方向に延びる薄肉部が形成され、この薄肉部の一部領域に多数の通気孔が設けられ、長手方向にスライド可能に薄肉部にスライダが嵌め込まれ、スライダの突起部に指を掛けてスライドさせることにより、多数の通気孔の任意の個数だけ開放することができる構成が示されている（特許文献２の図７）。さらに、この変形例として、円形のスライダを回転させることによりホルダ本体の通気孔とスライダの通気孔とを適宜位置合わせして任意の開口面積で通気孔を開放することができる構成も開示されている（特許文献２の図９）。

特開２００４－７３７３３号公報 特開平１０－２９５４３９号公報

　上記特許文献２に開示されたアロマカードユニットは、携帯が容易であり、ユーザの好みの香水等を利用でき、かつ、香りの放散度合を調整することができる利点がある。しかしながら、この従来技術においてもなお次のような改善の余地がある。

　すなわち、この先行技術の装置は、フラップやスライダ等の部品を必要とするため、部品点数が多くなるとともに、カード型の装置としては装置全体の厚さが大きくなる欠点を有する。特に、合成樹脂を素材として用いる構成は、変形を防止し、強度を出すためには相応の厚さが必要となる。

　また、スライダの突起部はスライド操作には役立つが、装置の表面から外方へ突出しているので不使用時には邪魔であるばかりか、財布、名刺入れ、ポケット、バッグ等への収納時や収納中に誤操作の原因となりうる。カード型以外の用途においては、特に、装身具などの用途では、スライダおよびその突起部は外観を損ねるおそれがある。

　本発明はこのような背景においてなされたものであり、その目的は、使い捨てでなく、繰り返し使用することができるカートリッジを備えた香り発生装置を提供することにある。

　本発明の他の目的は、外観を損ねることなく比較的少ない部品点数で、かつ、誤操作のおそれが軽減された薄型または小型化が可能な香り発生装置を提供することにある。

　本発明のさらに他の目的は、芳香剤を保持する保持部材として耐久性が高く、繰り返して使用でき、かつ、交換作業も簡単な香り発生装置用のカートリッジを提供することにある。

　本発明による香り発生装置は、芳香剤を充填する充填領域を有するカートリッジと、前記カートリッジをスライド可能に収納する収納容器とを備え、前記収納容器は前記カートリッジの収納空間を外部空間に通じさせるための開口を有し、前記カートリッジは、前記充填領域を定める凹部を有する本体部と、前記凹部に収容され、芳香剤を内部に含浸する含浸部材とを有する。

　前記含浸部材の厚さは、好ましくは、前記本体部の凹部の深さより小さく設定されている。これにより、カートリッジのスライドの際に、含浸部材が香り発生装置の他の部分に接触することが防止される。

　前記収納容器は、その一形態において、前記収納容器内の前記カートリッジの位置に応じて、前記充填領域と前記開口との重なりの度合いによって決まる開口率が段階的またはほぼ連続的に変化する。これにより前記収納容器内の前記カートリッジの位置（すなわちスライド位置）に応じて、香りの放散の度合が段階的またはほぼ連続的に変化する。

　前記含浸部材は多孔性金属で構成することができる。これにより、芳香剤の保持力が向上する。また、その耐久性が向上し、洗浄により芳香剤を除去して、再利用することが可能となる。

　前記含浸部材は、その裏面に金属箔が施されてもよい。この金属層により含浸部材をカートリッジの凹部面に固着する際の接着性を向上させることができる。

　前記含浸部材は、外側の層および内側の層を有し、外側の層を粗構造（空隙率大）とし、内側の層を密構造（空隙率小）としてもよい。このような構成により、外側の層（表層）で、注入された液状または霧状の芳香剤を良好に吸収し、内側の層（下層）へ浸透させ、内側の層は、浸透してきた芳香剤をより強固に保持するとともに、外側の層での芳香剤の揮発に伴い、芳香剤を表層へ供給する役目を果たす。

　前記収納容器は、その内部に直接的に、前記カートリッジをスライド可能に収容するようにしてもよい。あるいは、前記収納容器は、その内部に、前記カートリッジをスライド可能に支持するためのガイド部材をさらに備えてもよい。直接的にカートリッジを収容する構成によれば、香り発生装置を携帯可能に小型化することができる。他方、ガイド部材を用いる構成によれば、同じカートリッジを、より大きな収納容器に対して利用することが可能となる。当該より大きな収納容器は、香り発生装置に専用のものであってもよいし、他の装置を構成している部品であってもよい。

　前記カートリッジと前記収納容器との間の相対的なスライド動作は、第１の実施の形態では、直線に沿って行われる動作である。

　その場合、例えば、前記カートリッジはカード状の形状を有し、前記収納容器は一端に前記カートリッジを挿入する挿入口を有するカードケース状の形状を有する。この収納容器は金属で構成することにより、カートリッジの強度および耐久性を高めるとともに、その厚さをきわめて薄く構成することができる。

　前記収納容器の裏面に、前記カートリッジをスライド操作するための操作用開口を設けてもよい。これにより、操作用の突起を外部に突出させることなく、スライド操作が行える。

　少なくとも前記操作用開口に現れうる前記カートリッジの裏面領域において、摩擦係数を増加させる表面加工が施されてもよい。これにより、スライド操作の操作性が向上する。

　前記収納容器に対してカートリッジの表裏を逆に挿入する誤挿入を防止する誤挿入防止手段を備えてもよい。

　前記カートリッジと前記収納容器との間の相対的なスライド動作は、他の実施の形態では、前記収納容器に対する前記カートリッジの回転によって行われる。

　その場合の香り発生装置は、例えば、円盤型の香り発生装置であって、前記収納容器はほぼ円形の受け皿状の基部により構成され、その底部に開口を有し、前記カートリッジは前記基部に嵌合するほぼ円形の蓋部により構成され、前記蓋部にはその内側の偏心した領域に前記充填領域を定める凹部が設けられ、前記凹部に、芳香剤を内部に含浸する含浸部材が収容される。

　あるいは、円筒型の香り発生装置であって、前記収納容器は有底の円筒形状を有するとともにその周面に開口を有し、前記カートリッジは前記収納容器に収容される円筒状の頭部および半円筒状の樋状凹部を有し、前記樋状凹部に、芳香剤を内部に含浸する含浸部材が収容される。

　円筒型の香り発生装置において、前記含浸部材は、例えば、前記樋状凹部に収容されるほぼ円筒形状または半円筒形状を有するものである。

　あるいは、前記含浸部材は、例えば、前記樋状凹部に収容される帯状の形状を有するものである。

　本発明による香り発生装置用のカートリッジは、芳香剤を充填する充填領域としての凹部を有する本体部と、前記凹部に収容され芳香剤を内部に含浸する含浸部材とを備え、前記含浸部材の厚さは、前記本体部の凹部の深さより小さく設定されているものである。

　好ましくは、前記本体部は、金属で構成され、前記含浸部材は多孔性金属で構成されうる。この構成により、比較的高い強度と耐久性を有し、比較的薄いコンパクトなカートリッジを実現することができる。

　本発明の他の特徴および作用効果については、以下、図面を参照した実施の形態の説明により、明らかとなろう。

　本発明の香り発生装置によれば、芳香剤を充填する充填領域を有するカートリッジの構成が簡単であり、使い勝手が良く、含浸部材内の芳香剤は消費した後にも補充することにより、同じカートリッジを繰り返して利用することができる。

　前記含浸部材の厚さは、好ましくは、前記本体部の凹部の深さより小さく設定されている。これにより、カートリッジのスライド操作の際に、含浸部材が香り発生装置の他の部分に接触することが防止される。

　カード型の場合、財布、名刺入れ、バッグ等の身の回り品やポケットに収納または身体に装着して携帯できるだけでなく、外観を損ねることなく比較的少ない部品点数で、かつ、誤操作のおそれが軽減された薄型または小型化が可能な香り発生装置が得られる。

 　また、収納容器の中にカートリッジを収容した状態で、収納容器の外周には何ら突起部がない構成とすることができ、財布や名刺入れなどの狭い領域への収納時に何ら支障なく、誤操作のおそれもなく、外観を損ねることもない。

　カートリッジを金属で構成することにより、その強度を維持しつつ、小型化が可能となる。含浸部材も多孔性金属で形成することにより、芳香剤の良好な保持特性を得られるとともに、耐久性、再利用性が向上する。また、カートリッジをスライド挿入可能な収納容器と組み合わせて用いることにより、収納容器に対するカートリッジの装着および交換を極めて簡単かつ迅速に行うことができる。

本発明の実施の形態に係るカード型の香り発生装置を示す斜視図である。 図１に示した香り発生装置の収納容器内でのカートリッジの移動による香りの放散度合を変化させることの説明図である。 図１に示したカートリッジの変形例を示す図である。 本発明の実施の形態における、より好ましい寸法比の実際的な収納容器の試作品の外観を示す表面側斜視図と背面側斜視図である。 図４に示した収納容器の平面図、正面図、Ｂ－Ｂ線矢視端面図、底面図、Ｃ－Ｃ線矢視端面図、右側面図、および背面図である。 図５（ｂ）に示した円形領域の内部の拡大図である。 図４、図５に示した収納容器に対応したカートリッジの構成例を示す斜視図および分解斜視図である。 図７に示したカートリッジの正面図、Ａ－Ａ線矢視端面図、背面図である。 本発明の実施の形態におけるカートリッジの裏面の表面加工の例を示す図である。 図４に示した収納容器の変形例を示す図である。 本発明の第１の実施の形態における含浸部材の説明図である。 図１に示した香り発生装置の変形例を示す図である。 図１２に示した香り発生装置の動作説明図である。 本発明の第１の実施の形態におけるカートリッジの表裏逆挿入を防止するための構成例を示す図である。 本発明の第１の実施の形態におけるカートリッジの表裏逆挿入を防止するための他の構成例を示す図である。 本発明の第２の実施の形態によるカフスボタンを斜め上方向から見た斜視図である。 図１６に示したカフスボタンを斜め下方向から見た斜視図である。 本発明の第２の実施の形態における蓋部の分解斜視図、および、蓋部の斜視図である。 図１６に示したカフスボタンのＦ－Ｆ線矢視断面図である。 本発明の第２の実施の形態による香り発生装置の基部（収納容器）内での蓋部（カートリッジ）の回転により香りの放散度合が変化することの説明図である。 本発明の第２の実施の形態における蓋部と基部との連結構造を示す図である。 本発明の第２の実施の形態における現在の基部に対する蓋部の回転角度がどの程度の放散度合に相当するのかをユーザに知らしめるための指標の例を示す図である。 本発明の第３の実施の形態に係る円筒型の香り発生装置を異なる視点から見た外観を示す斜視図である。 本発明の第３の実施の形態における香り発生装置の収納容器の外観を示す斜視図と、Ｇ－Ｇ線矢視断面図である。 本発明の第３の実施の形態における香り発生装置のカートリッジの外観を示す斜視図である。 本発明の第３の実施の形態におけるカートリッジの構成例を示す図である。 本発明の第３の実施の形態における円筒型の香り発生装置の収納容器内でのカートリッジの回転による香りの放散度合が変化する様子を説明するための模式的な断面図である。 本発明の第３の実施の形態におけるカートリッジの変形例を示す断面図である。 本発明の第４の実施の形態を示す図である。 本発明の第４の実施の形態の具体的な構成例を示す図である 本発明の第４の実施の形態の動作を説明するための図である。 本発明の第４の実施の形態の変形例を示す図である。 本発明の第５の実施の形態を説明するための図である。 本発明の第６の実施の形態を説明するための図である。 本発明の第７の実施の形態を説明するための図である。 本発明の第７の実施の形態の変形例を示す図である。 本発明の第４の実施の形態の他の変形例を示す図である。

　以下、本発明の種々の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明による香り発生装置では、芳香剤を充填する充填領域を有するカートリッジは、収納容器内にスライド可能に収容される。スライド動作としては、直線的なスライドと、曲線的な、典型的には回転スライドがある。収納容器の外形としては、カード型、円盤型、円筒型、球型などが考えられる。以下では、典型的な例として、直線的なスライド動作を行う実施の形態としてカード型の香り発生装置、曲線的なスライド動作を行う実施の形態として円盤型および円筒型の香り発生装置を挙げて、具体的に説明する。また、収納容器が非携帯型、非可搬型のものについても具体的な例を挙げて説明する。なお、本明細書において、芳香剤とは、何らかの香りの基となる物質であり、香水、コロン、エッセンシャルオイル（製油）、アロマオイル等を含む。芳香剤の形態としては、典型的には液状または霧状のものを想定している。

　図１は、本発明の第１の実施の形態に係るカード型の香り発生装置の斜視図を示している。この香り発生装置は、典型的には液状または霧状の芳香剤を充填する充填領域を有する板状のカートリッジ２０と、このカートリッジ２０をスライド可能に収容するカードケース状の収納容器１０とを備える。「カートリッジ」とは、収納容器に対して交換可能に着脱できる部品を意味する。この例における収納容器１０は、その内部に直接的に、カートリッジ２０をスライド可能に収容する。すなわち、収容容器１０は、その内部に、カートリッジ２０がスライドするための最小限の空間を有する。図１（ａ）は、分離した収納容器１０とカートリッジ２０を表面側の斜め上から見た斜視図、図１（ｂ）はこれと同じものを裏面側の斜め上から見た斜視図、図１（ｃ）はカートリッジ２０を表面側の斜め上から見た分解斜視図である。第１の実施の形態では、便宜上、香りが放散する収納容器１０の面を表面と呼ぶ。図１（ａ）（ｂ）（ｃ）は、視認性向上のため、その表面サイズに比べて厚さを誇張して示している。収納容器１０の表面の一端側には、その内部に収容したカートリッジ２０の一部を開口として外部に露出するための（換言すれば、収納容器の内部空間と外部空間とを連通させるための）透孔（通気孔または開口）１２を有している。

　透孔１２の個数は典型的には複数個であるが、後述するように単一個の場合もありうる。本発明における透孔１２に必要なことは、収納容器１０内のスライド範囲内でカートリッジ２０がスライドすることにより、充填領域が透孔１２に重なる重畳面積が段階的またはほぼ連続的に変化するような幅または拡がりを透孔単体または透孔の集合が有することである。その結果、充填領域と前記開口との重なりの度合（すなわち開口率）がスライド位置によって段階的またはほぼ連続的に変化する。図１に示した例では収納容器１０に複数の透孔１２が設けられている。個々の透孔１２のサイズは、内部に位置する含浸部材２２に透孔１２を通してユーザの指や外部の物が接触することが防止される程度に、また、１つの透孔で過度の香りの放散が得られることが防止される程度に、小さいことが望ましい。透孔１２の個数は、段階的またはほぼ連続的に放散度合が変化するように、複数設けられることが好ましい。透孔の形状は円形としたが、任意の形状であってよい。例えば、文字やロゴの形状としてもよい。

　カートリッジ２０には、図１（ｃ）によく表れるように、その板状の本体部２７の一面のほぼ全面に亘って充填領域を定める所定の深さを有する凹部２１が形成されている。この凹部２１に、芳香剤を内部に含浸する含浸部材２２が固定配置される。その固定の方法は嵌着、溶接、接合、接着等、任意である。

　含浸部材２２は、典型的には液状または霧状の芳香剤を吸収含浸する多数の微細な空隙を有する多孔性の部材で構成される。含浸部材２２の厚さは凹部２１の深さより若干薄く設定される。すなわち、カートリッジ２０が収納容器１０に収容された状態で、凹部２１の周囲の表面は収納容器１０の内壁に接触（好ましくは密接）するが、凹部２１に収容された含浸部材２２は収納容器１０の内壁から離間した状態にある。これにより、凹部２１により収納容器１０の内壁との間に比較的薄い空気層（空間）が形成される。

　この実施の形態における含浸部材２２の好適な例として多孔性金属で形成されたシートを用いる例を説明する。多孔性金属は、多数の微細な空隙を有する金属材料であり、例えば、極細の金属繊維の集合がシート状に成型されたもの、あるいは、金属の粉を焼き固めて、材料の金属の粒子間に所定の隙間を形成したものであり、香水、コロン、エッセンシャルオイル（製油）、アロマオイル等の芳香剤の含浸特性に優れる。すなわち、その多数の微細な空隙構造により、注入する液体に勢いがついて流れたり、撥ねたり、溢れたりすることが抑制される。また、香り発生装置を激しく動かしても、瓶やボトル容器などのアトマイザーと異なり、液体のままの慣性力、重力の影響を受けづらく、漏れにくい。なお、金属の素材としては、耐久性、抗酸性および耐食性を有するものを採用することが好ましい。　

　図１に示した本実施の形態におけるカートリッジ２０の厚さは、約０．５ｍｍ、凹部２１の深さは約０．４ｍｍを想定している。

　香りの変更時には、カートリッジ２０の材料にもよるが、カートリッジ２０を洗浄（例えば超音波洗浄）することにより、同一のカートリッジ２０を異なる種類の芳香剤に再利用することができる。勿論、異なる種類の芳香剤毎に異なる個体のカートリッジ２０を使い分けてもよい。

　カートリッジ２０の端部（収納容器１０への挿入側と逆の端部）において、取り出し用切り欠き２３を設けている。取り出し用切り欠き２３は、収納容器１０内に収容されたカートリッジ２０を後述の操作用開口１３（スライド操作窓）からの操作によって、収納容器１０の外部へ排出する際に、カートリッジ２０の端部が収納容器１０から露出した後に、ユーザが指の爪などを引っ掛けて、カートリッジ２０をさらに引き出して完全に排出するのに役立つ。図に示した取り出し用切り欠き２３はカートリッジ２０の表裏を貫通するものであるが、少なくとも一面に設けた溝であってもよい。取り出し用切り欠き２３や溝は、カートリッジ２０が完全に収納容器１０内に収容された状態でも、スライド動作の支障とならない。

　本実施の形態における収納容器１０は、典型的には、ほぼクレジットカードサイズの長方形の表面形状を有する金属製の収納容器である。本明細書において金属とは、機械的加工を施すことが出来る固体物質であり、好ましくは、ステンレス鋼、チタン、金、白金等の、耐久性、抗酸性、耐食性を有する。金属には合金、金属の化合物も含むものとする。カートリッジ２０の材質も好ましくは同様の金属である。このような金属製の収納容器１０は比較的強度が高いので、後に図４で具体的な例を示すようにカートリッジの厚さをきわめて薄く構成することができる。

　収納容器１０は、その一側面（この例では、短辺側）に、カートリッジ２０の挿入口１１を有する。この挿入口１１は、カートリッジ２０が収納容器１０内にスライドして進入する空洞の端部開口である。

　図１（ｂ）に示すように、収納容器１０の背面にはほぼ長手方向に延びる操作用開口（スライド操作窓）１３が形成されている。この操作用開口１３からは、内部に挿入されたカートリッジ２０が露出して見える。このような構成の操作用開口１３は、上記空洞に通じており、収納容器１０内に収容した状態にあるカートリッジ２０をスライド操作するためのスライド操作窓を構成する。これにより、収納容器１０内にカートリッジ２０が完全に収容された状態でも（カートリッジ２０の端部が挿入口１１からはみ出さない状態においても）、ユーザは、収納容器１０に対するカートリッジ２０のスライド動作を、収納容器１０の外側から実行することができる。開口１３の存在にも拘わらず、この開口１３の周囲はカートリッジの裏面に密着しているので、ここから香りは殆ど漏れることはない。

　少なくとも操作用開口１３に現れうるカートリッジ２０の領域において、特に必須ではないが、ユーザ操作時の指との間の摩擦力を高めるために、表面の摩擦係数を増加させる表面加工を施してもよい。図１は梨子地加工の例を示している。表面加工としては、その他、スライド方向に直角の方向の複数の平行溝、複数のディンプル等を含む。

　図２（ａ）～（ｄ）に示すように、収納容器１０内でカートリッジ２０が所定のスライド範囲（すなわち第１の位置と第２の位置の間）を移動（直線的にスライド）することにより、香りの放散度合を変化させることができる。第１および第２の位置ならびにその中間の位置で、カートリッジ２０は収納容器１０の内部に完全に収容されている。より具体的には、カートリッジ２０は、図２（ａ）に示す第１の位置において含浸部材２２の充填領域が透孔１２に重なる重畳面積がゼロ（開口率０％）であり、図２（ｄ）に示す第２の位置において前記重畳面積が最大（開口率１００％）となる。図２（ｂ）（ｃ）に示すような、第１および第２の位置の中間の位置（それぞれ開口率が約６６％と約３３％）を含めて、全スライド範囲内で前記重畳面積が段階的に変化する。すなわち、収納容器１０内のカートリッジ２０の位置（スライド位置）によって開口率が段階的に変化する。

　図３（ａ）は、図１に示したカートリッジ２０の変形例としてのカートリッジ２０ａの構成例を示している。図３（ｂ）は、分離したカートリッジ２０ａの部品を表面側の斜め上から見た分解斜視図である。

　図１に示したカートリッジ２０は、その凹部２１で定まる充填領域（含浸部材２２の領域）をその表面のほぼ全面に設けたが、図３の例では、図３（ｂ）によく表れるように、板状の本体部２７ａの一面の端部寄りにより短い長さの凹部２１ａで定まる充填領域を設けている。含浸部材２２ａはこの凹部２１ａの全体に亘って収容されるサイズとしている。カートリッジ２０ａはカートリッジ２０に比べて、その面積の減少分だけ芳香剤の含浸容量（保持容量）が低下する反面、カートリッジ２０ａと収納容器１０の内壁との接触面積が大きくなるので、密閉性が向上し、挿入口１１から香りが漏れる可能性を低減することができる。

　図４（ａ）（ｂ）は、それぞれ、本実施の形態による香り発生装置の収納容器のサイズおよび厚さについて、より好ましい寸法比の実際的な収納容器１０ｂの試作品の外観を示す表面側斜視図と背面側斜視図である。収納容器１０ｂのサイズは、クレジットカードとほぼ同じ縦横サイズ（８５．５ｍｍ×５４ｍｍ）であり、厚さは約１ｍｍを想定している。挿入口１１ｂにつながる収納容器１０ｂの内部の空間の厚さは約０．５ｍｍを想定している。この厚さは、収納容器１０ｂにカートリッジ２０ｂ（図８で後述）が挿入されたとき、カートリッジ２０ｂの凹部（含浸部材）の周囲の表面と収納容器１０ｂの内壁とが密着するよう、高精度の寸法で精密加工される。

　図５（ａ）～（ｇ）は、それぞれ、図４に示した収納容器１０ｂの平面図、正面図、Ｂ－Ｂ線矢視端面図、底面図、Ｃ－Ｃ線矢視端面図、右側面図、および背面図である。図６は、図５（ｂ）に示した円形領域１５の内部の拡大図である。この例では、収納容器１０ｂには多数の透孔１２ｂが設けられている。したがって、カートリッジ２０ｂのスライドによって、香りの放散の度合はほぼ連続的に可変となる。

　図７（ａ）（ｂ）は、図４、図５に示した収納容器１０ｂに対応したカートリッジ２０ｂの構成例を示す斜視図および分解斜視図である。図７（ｂ）から分かるように、板状の本体部２７ｂの一面（表面）に設けられた凹部２１ｂに含浸部材２２ｂが収容される。この凹部２１ｂの深さは約０．４ｍｍである。図８（ａ）（ｂ）（ｃ）は、図７に示したカートリッジ２０ｂの正面図、Ａ－Ａ線矢視端面図、背面図である。このカートリッジ２０ｂの縦横サイズは５８．１ｍｍ×４６．２ｍｍであり、厚さは約０．５ｍｍである。カートリッジ２０ｂの角部には、必須ではないが、アールを施してある。

　図７、図８に示したカートリッジ２０ｂの含浸部材２２ｂとしての多孔性金属シートは、例えば、金属繊維を絡み合わせてフェルト状に構成したもの、また、金属の粉を焼き固めて、材料の金属の粒子間に所定の隙間を形成したものである。この多孔性金属シートの材質としては、例えば既存の抗耐食性を有する金属、例えばステンレス鋼、チタン、金、白金など（合金、金属の化合物も含む）を利用できる。本例では、多孔性金属シートの厚さは、０．２ｍｍ、サイズは、４６．１ｍｍ×３８．２ｍｍである。

　一般に、香りを発生する香水、コロン、エッセンシャルオイル（製油）、アロマオイルなどの液体は、オイル、アルコール等の含有成分により、粘性や毛細管現象での振る舞いに応じて、同じ含浸部材であっても浸透率（浸透しやすさ）が異なる。このような液体毎に異なる性質により、含浸部材に対して、染みすぎる（＝漏れやすい）、染みない（＝含浸、拡散しづらい）、などの課題が生じる。本実施の形態では、含浸部材の利用によりこのような課題を解決する。

　特に多孔性の金属で構成した含浸部材は、上述したとおり、芳香剤の含浸特性に優れる。すなわち、芳香剤の注入時に吸収しやすく、含浸部材の全域で芳香剤を漏れることなく保持する。特に、収納容器内にカートリッジが収納されることにより直接的に外気にさらされることが防止されるので、含浸部材からの過度な香りの放散が防止される。

　含浸部材に含浸された芳香剤は、香り発生装置の使用時に、主として外気に触れる開口部分から揮発・放散される。（この放散の度合は、外部に触れる面積（後述の開口率に相当）をスライド動作により調整することにより制御することができる。）

　芳香剤を注入して使用を開始した後は、毛細管現象により、好ましくは、芳香剤が揮発して減少した箇所へ、含浸部材の内部や他の領域から芳香剤が再拡散して補給される。

　本実施の形態の、特にカード型の香り発生装置の用途としては、（１）名刺入れに名刺と共に収納して、名刺にほのかな香りを移す、（２）財布に収納して、財布を使用する度に香るようにする、（３）身体に香水等を付けなくても、衣服のポケットや鞄等に収納して、身体の周辺から香るようにする、（４）カードスタンドに立てて置物として使用する、等が考えられる。

　図９は、カートリッジ２０ｂの裏面の表面加工の他の例として、所定の模様をエッチング加工した例を示している。カートリッジ裏面のエッチング加工は、収納容器裏のスライド操作窓である操作用開口１３（図４（ｂ））から親指などを差し込んで操作する際に、摩擦係数を増加させることにより指の滑り止めとして機能する。ここでは、装飾効果をも狙った模様の一例として、ペイズリー柄４０としている。

　図１０に、図４に示した収納容器１０ｂの変形例の外観を示す。収納容器１０ｂでは、操作用開口１３を収納容器１０ｂの裏面のほぼ中央に設けたが、この変形例では、操作用開口１３ｂの一端が収納容器１０ｂの裏面の挿入口１１ｂにつながって開放された例を示している。この場合、収納容器１０ｂに対するカートリッジ２０ｂの挿入、取り出しの操作がより容易となることが期待できる。したがって、収納容器１０ｂについては、カートリッジ２０ｂの取り出し用切り欠き２３は必ずしも設ける必要はない。

　図１１は、含浸部材２２の説明図である。第１の実施の形態に関しては、この図では、便宜上、厚さを拡大して示してある。

　図１１（ａ）に示すように、含浸部材２２はカートリッジ２０の凹部２１に装着する際、単体の含浸部材２２を凹部２１に押し込んで固定する嵌着（圧着）、溶接（例えばスポット溶接等）、微細なネジによるネジ接合などの機械的接合、ろう接、等の種々の接合手段による接合方法により単独で装着することができる。これに対して、同図（ｂ）に示すように、接着部材２９を介してカートリッジ２０の凹部２１に接着するようにしてもよい。接着部材２９としては、接着剤や両面テープなどが利用できる。含浸部材２２の形状、サイズ、厚さは後述する変形例や他の実施の形態も含めて、用途や状況に応じて変わりうる。

　図１１（ｃ）（ｄ）は、含浸部材２２をカートリッジ２０へ実装するのに適した他の形態の二例として、含浸部材ユニット３０ａ，３０ｂを示す断面図である。

　図１１（ｃ）に示した含浸部材ユニット３０ａは、含浸部材２２の裏面に金属箔２８を施したものである。金属箔２８は、含浸部材２２の裏面に例えば熱圧着のような既知の加工方法で接合される。また、必須ではないが、金属箔２８の外側面には両面接着シート２９を設け、カートリッジ２０の凹部２１の面に接着可能とする。

　図１１（ｄ）に示した含浸部材ユニット３０ｂは、含浸部材ユニット３０ａの変形例である。含浸部材ユニット３０ｂは、含浸部材ユニット３０ａの含浸部材２２に対して、その裏面と金属箔２８との間にもう一層の含浸部材２７を設け、含浸部材を２層構造としたものである。他の構成は含浸部材ユニット３０ａと同じである。含浸部材ユニット３０ｂの場合、相対的に、外側の層（表層）としての含浸部材２２を粗構造（空隙率大）とし、内側の層としての含浸部材２７を密構造（空隙率小）とする。このような空隙率の異なる層構造とすることにより、含浸部材ユニット３０ｂは、その表層の含浸部材２２で注入された液状または霧状の芳香剤を良好に吸収し、内側の層（下層）へ浸透させる。下層の含浸部材２７は、浸透してきた芳香剤をより強固に保持するとともに、表層での芳香剤の揮発に伴い、芳香剤を表層の含浸部材２２へ供給する役目を果たす。

　金属箔２８は必須ではないが、含浸部材２２（または２７）と両面接着シート２９との間に介在することにより、含浸部材２２をカートリッジ２０の凹部面に固着する際の接着性を向上させることができる。また、含浸部材ユニット３０（３０ａ，３０ｂ）として、裏面に接触する他の部材（ここではカートリッジ２０）へ芳香剤が漏れたりしみ出したりすることを防止することができる。上述したように、カートリッジ２０は洗浄により異なる種類の芳香剤について再利用できることが好ましいが、同じカートリッジ２０について、含浸部材を交換することも可能である。含浸部材を交換する場合、含浸部材２２（または２７）がカートリッジ２０に直接接触している場合に比べて、カートリッジ２０の凹部２１への芳香剤の付着が避けられる利点もある。

　図１２に、図１に示した香り発生装置の変形例を示す。この変形例でのカートリッジ２０ｃは、含浸部材２２ｃとして、上記含浸部材２２の挿入方向先端側を斜めに切除した形状のものを用いる。カートリッジ２０ｃの板状の本体部２７ｃの一面に設けられる凹部２１ｃもこの含浸部材２２ｃの形状に合わせた形状を有する。収納容器１０ｃは、その透孔１２ｃ（開口）として、カートリッジ２０ｃのスライド方向を横切る方向に延びる単一の長孔（ここでは横長透孔）の例を示している。単一の長孔の代わりに、複数の細孔を直線状に羅列した構成であってもよい。

　図１３は、図１２に示した香り発生装置の動作説明図である。カートリッジ２０ｃを収納容器１０ｃの奥方向へ挿入していく際、含浸部材２２ｃの傾斜した先端部が透孔１２ｃ（横長の長孔）をその一端側から他端側へ連続的に乗り越えていく。これにより、透孔１２ｃ(開口)と含浸部材２２ｃの重複面積が連続的に変化（増加）していく。すなわち、収納容器１０ｃに対するカートリッジ２０ｃのスライド動作に伴って、香りの放散度合が連続的に変化する。これは、実質的に開口率が連続的に変化する場合に相当する。

　ところで、上述した香り発生装置のいずれの構成も、収納容器に対してカートリッジの表裏を逆に挿入する誤操作がなされるおそれがある。収納容器の表裏や挿入方向を、カートリッジへの印刷表示等によりユーザに知らしめるとしても、構造的に表裏逆挿入を防止できれば好ましい。

　図１４（ａ）（ｂ）は、カートリッジの表裏逆挿入を防止する目的のために、収納容器の挿入口の両端の形状を異ならせるとともに、これに合わせてカートリッジの両側部の断面形状を異ならせた２例を示している。

　図１４（ａ）に示した収納容器１０ｄはその挿入口１１ｄの一端側を矩形形状とし、他端側を山形（＜）形状１４ａとしたものである。これに対応するカートリッジ２０ｄは、スライド方向に沿った両側部のうちの一方の断面形状を矩形形状とし、他方の断面形状を山形（＜）形状２４ａとしている。

　図１４（ｂ）に示した収納容器１０ｅはその挿入口１１ｅの一端側を矩形形状とし、他端側を傾斜（／）形状１４ｂとしたものである。これに対応するカートリッジ２０ｅは、スライド方向に沿った両側部のうちの一方の断面形状を矩形形状とし、他方の断面形状を傾斜（／）形状２４ｂとしている。このような特殊な形状の例として、山形形状と傾斜形状を挙げたが、挿入口の両端（およびカートリッジの両側部）の形状を互いに異ならせることができれば、これらの形状に限るものではない。

　図１５（ａ）（ｂ）は、表裏逆挿入を防止するためのさらに他の構成例を示す。図１５（ａ）はこの構成例における収納容器１０ｆとカートリッジ２０ｆの外観構成を示している。図１５（ｂ）は図１５（ａ）におけるＥ－Ｅ線矢視部分端面図を示している。収納容器１０ｆの一面（この例では裏面）の内壁において、挿入口１１の近傍で、挿入口１１の中央から偏った位置（この例では一方の側端近傍）に突起部１７を設けている（図１５（ｂ）参照）。この突起部１７は、収納容器１０ｆの表面側に凹部１６を加圧形成することにより設けることができる。勿論、凹部１６によらずに突起部１７を独立して形成してもよい。

　この収納容器１０ｆに対応するカートリッジ２０ｆの一面（この例では裏面）には、スライド時に突起部１７が通過する溝２５をスライド方向のほぼ全長に亘って設ける。この構成により、カートリッジ２０ｆは誤って表裏を逆に挿入しようとした場合、その挿入時に、カートリッジ２０ｆの先端部が突起部１７に当接することによりその進入が阻止されるので、ユーザは誤挿入に気づくことができる。

　次に、本発明の第２の実施の形態として、カフスボタン（カフリンクス）等に適した円盤型の香り発生装置について説明する。第２の実施の形態では、カートリッジと収納容器との間の相対的なスライド動作が、収納容器に対するカートリッジの回転によって行われる。

　図１６に、第２の実施の形態によるカフスボタン１００を斜め上方向から見た斜視図を示す。図は便宜上、一般的なカフスボタンの大きさより大きく示されている。カフスボタン１００は、カートリッジとしての蓋部１１０、収納容器としての基部１２０、脚部１３０、回転軸部１３５および留め具１４０を備えて構成される。蓋部１１０はほぼ円盤状の形状を有し、基部１２０に着脱（嵌合）可能である。蓋部１１０と基部１２０とによりボタン部が構成される。少なくとも、蓋部１１０および基部１２０の材質は上記と同様の材質である。脚部１３０は基部１２０の底面から突出した２本の棒状部により構成される。この２本の棒状部の間に、回転軸部１３５により回転可能に、留め具１４０が取り付けられる。このようなカフスボタン１００の外観は特に既存のものと変わらないが、以下の点で異なる。

　図１７は、図１６に示したカフスボタン１００を斜め下方向から見た斜視図である。この図から分かるように、基部１２０の底面には、そのほぼ半分の半月状の領域に、香りの放散孔として、複数の透孔１２１（開口）が設けられている。

　図１８（ａ）（ｂ）は、それぞれ、カートリッジとしての蓋部１１０の部品の分解斜視図、および、蓋部１１０の斜視図を示す。図１８（ａ）から分かるように、蓋部１１０を構成するほぼ円盤状の本体部１１３の裏面（内側の面）には、ほぼ半月状の凹部１１１が設けられている。図１８（ｂ）に示すように、この凹部１１１にほぼ同サイズ・同形状の含浸部材１１２が収容される。収容された含浸部材１１２の厚さは凹部１１１の深さより小さい。含浸部材１１２としては第１の実施の形態と同様の含浸部材を使用することができる。

　図１９に、図１６に示したカフスボタン１００のＦ－Ｆ線矢視断面図を示す。図１８で説明したように、収容された含浸部材１１２の厚さは凹部１１１の深さより小さいので、蓋部１１０の凹部１１１に収容された含浸部材１１２の表面は、蓋部１１０の裏面の面位置（すなわち、基部１２０の凹部１１１の底面）より後退して、空間１１４が形成されていることが分かる。図示の例では、空間１１４が透孔１２１に連通している場合を示しているが、連通するか否かは次に説明するように、基部１２０に対する蓋部１１０の回転角度による。

　図２０に、第２の実施形態による円盤型の香り発生装置の基部１２０（収納容器）内での蓋部１１０（カートリッジ）のスライド回転により香りの放散度合が変化することの説明図を示す。図２０（ａ）～２０（ｅ）は、それぞれ開口率が０％、約２５％、５０％、約７５％、１００％の場合を示している。これらの図は、基部１２０の背面側から、脚部および留め具を除外して見た概略図である。半月状の領域内に複数の透孔１２１を分散配置しているので、蓋部１１０の回転角度と開口率とはリニアな関係はないが、０％から１００％までほぼ連続的に開口率を変化させることができる。

　なお、蓋部１１０と基部１２０との結合は単なる摩擦力によるものであってもよいが、図２１（ａ）（ｂ）に示すような連結構造を採用してもよい。図２１（ａ）は、既知のネジ構造を示している。蓋部１１０ａの結合部の外周にネジ山１１５が形成される一方、基部１２０ａの凹部の内周にネジ溝１２５が形成されている。開口率の０％～１００％の範囲の調整は、ネジ係合の締め付けの最終の少なくとも半周で行われる。また、蓋部１１０が意図せずに基部１２０から離脱してしまうことを防止するため、ネジ山の傾斜はゆるく、締め付けは比較的多回転を要するような、ネジ構造とすることが好ましい。

　図２１（ｂ）の連結構造では、蓋部１１０ｂの結合部の外周に少なくとも一個（この例では２個）の突起部１１６が形成される一方、基部１２０ｂの凹部の内周に環状溝１２６が形成されている。蓋部１１０ｂを基部１２０ｂに係合する際、蓋部１１０ｂの結合部を基部１２０ｂの凹部に押圧挿入すると、蓋部１１０ｂの突起部１１６が基部１２０ｂの環状溝１２６に嵌合する。この状態では、蓋部１１０ｂは基部１２０ｂに対して、ユーザの操作による外力に従って、回転するとともに、回転を停止した状態でその回転角度が維持される。すなわち、開口率の０％～１００％の範囲の調整が行える。蓋部１１０ｂは基部１２０ｂに対して比較的強い力で上方へ引き上げられることにより、突起部１１６が環状溝１２６から基部１２０ｂの凹部内壁へ乗り上げる。さらに蓋部１１０ｂはさらに引き上げられることにより、基部１２０ｂから離脱する。この構成によれば、ユーザが蓋部を回転操作する際に不用意に基部１２０ｂから離脱することが防止される。

　蓋部１１０と基部１２０の結合構造は特にこれらに限定するものではなく、任意所望の構造を採用することができる。突起部１１６はバネで常時外方へ付勢されたボールベアリングのような球形部材（図示せず）であってもよい。

　ところで、上記のカード型の香り発生装置の場合、多数の透孔１２から収納容器内部が透けて見えるので、ユーザは、収納容器１０とカートリッジ２０の位置関係に基づいて、内部に収容されたカートリッジ２０がどの程度挿入されているか（すなわち香りの放散度合）が一目で認識できる。これに対して、図１６，図１７に示すようなカフスボタン１００の構造では、透孔１２１が基部１２０の背面に配置されているので、一旦、収容した後、放散度合を調整しようとした場合、透孔１２１が見えないため、調整が困難となる。そこで、図２２に、現在の基部１２０に対する蓋部１１０の回転角度がどの程度の放散度合（開口率に対応）に相当するのかをユーザに知らしめるための指標を、蓋部１１０および基部１２０に表示する例を示す。この例では、蓋部１１０の表面の周縁部の一カ所に、指標として、蓋部１１０の円周上の基準位置を表すマーク１１８を表示する。マーク１１８は逆三角マークとしたが、これに限るものではない。単なる丸印、角印であってもよい。

　対する基部１２０側の指標としては、開口率が１００％となるような基部１２０に対する回転角度に蓋部１１０が位置する際の当該逆三角マーク１１８の対応する基部１２０の周縁位置に、１００％を表すマーク１２８ａ（この例では満月印）を表示している。また、開口率が５０％となるような基部１２０に対する回転角度に蓋部１１０が位置する際の当該逆三角マーク１１８の対応する基部１２０の周縁位置に、５０％を表すマーク１２８ｂ（この例では半月印）を表示している。同様に、開口率が０％となるような基部１２０に対する回転角度に、蓋部１１０が位置する際の当該逆三角マーク１１８の対応する基部１２０の周縁位置に０％を表すマーク（図では隠れて見えないが例えば新月印１２８ｃ）を表示する。図示しないが、基部１２０には５０％を表すマーク１２８ｂと逆側に同じく５０％の半月マークを表示するようにしてもよい。（この場合、両半月マークは、上弦と下弦の関係となる。）開口率を表す指標もこれらに限るものではない。特に個別に図示はしないが、例えば、開口率に応じて長さの異なる長方形のマーク、開口率に応じて直径の異なる円形マーク、０％から１００％まで変化する傾斜線を有する横長の直角三角形マーク等も採用可能である。さらには、開口率に対応した数値やＯＮ，ＯＦＦ等を表す文字であってもよい。なお、これらの指標の表示は、印刷、刻印、貼付、等任意である。

　以上説明した円盤型の香り発生装置は、脚部１３０および留め具１４０を削除したり、用途に応じた他のアダプタ（クリップやフック等）に置換することにより、カフスボタン以外の用途、例えばペンダント、タイピン、イヤリング、ブレスレット、等の装身具、その他、キーホルダー等のアクセサリー、車載用芳香剤、などに使用することができる。また、蓋部１１０や基部１２０には適宜、加工、宝飾などの装飾を施すことができる。

　次に、本発明の第３の実施の形態について説明する。第３の実施の形態においても、カートリッジと収納容器との間の相対的なスライド動作が、収納容器に対するカートリッジの回転によって行われる。但し、第２の実施の形態の円盤型と異なり、第３の実施の形態は円筒型の形状を有する。円盤型では回転軸に垂直の面から香りが放散されるのに対して、円筒型では回転軸に平行な面（円筒曲面）から香りが放散される違いがある。

　図２３（ａ）（ｂ）は円筒型の香り発生装置２００を異なる視点から見た外観を示す斜視図である。この香り発生装置２００は、有底円筒状の収納容器２１０と、この収納容器２１０に大部分が収容されるカートリッジ２２０とにより構成される。用途にもよるが、実際の香り発生装置の大きさは、図示の大きさより十分小さいものとすることができる。収納容器２１０とカートリッジ２２０の材質は上記と同様の材質である。

　図２４（ａ）（ｂ）は、異なる視点から見た香り発生装置２００の収納容器２１０の外観を示す斜視図であり、図２４（ｃ）はＧ－Ｇ線矢視断面図である。収納容器２１０は、有底の円筒形状を有し、円筒周壁に複数の透孔２１２（開口）が設けられている。図２４（ｃ）に示すように、透孔２１２は円周のほぼ半分の領域に形成されている。但し、透孔２１２の形状、個数、配置は図示のものに限らない。

　図２５は、香り発生装置２００のカートリッジ２２０の外観を示す斜視図である。図２５（ａ）は、第３の実施の形態における含浸部材２２２の一例の外観を示し、図２５（ｂ）（ｃ）はカートリッジ２２０の一部を切り欠いたほぼ円筒状の本体部２２３を異なる視点から見た斜視図である。カートリッジ２２０の本体部２２３は、収納容器２１０とほぼ同一径の比較的短い円筒状頭部２２１と、この頭部２２１につながる小径円筒部２２４を有する。小径円筒部２２４の径は、収納容器２１０の内径とほぼ同じであり、底部２２７を有する。小径円筒部２２４は、また、その長手方向に亘って筒のほぼ半分が切除された樋状凹部２２６を有する。カートリッジ２２０の含浸部材２２２は、カートリッジ２２０の樋状凹部２２６の湾曲した凹部内壁に沿って配置されるほぼ円筒形状を有する。円筒形状の含浸部材２２２の外径は、樋状凹部２２６の内径と同じかこれより若干小さい。含浸部材２２２としては第１の実施の形態と同様の含浸部材を使用することができる。

　円筒状頭部２２１の円形表面の外周近傍にはマーク２６が設けられている。このマークは小さい円形のくぼみとして形成されている。このマーク２６は、香りの放散度合を調整する際にカートリッジ２２０の回転をユーザが認識するための指標として機能する。マーク２６はくぼみに限定されるものではなく、文字、記号、凹部、突起等、あるいは、円形面を色や濃淡で塗り分けたものであってもよい。

　図２６（ａ）（ｂ）は、カートリッジ２２０の構成例を示す。図２６（ａ）は、円筒状の含浸部材２２２が樋状凹部２２６の内部空間に収容された様子を示している。含浸部材２２２の長手方向の両端部はカートリッジ２２０の両端の小径円筒部２２４により位置決め固定される。図２６（ｂ）は図２６（ａ）のＨ－Ｈ線矢視断面図である。この状態で、上記のように円筒形状の含浸部材２２２の外径は、樋状凹部２２６の内径と同じかこれより若干小さいので、収納容器内に収容された状態で含浸部材２２２は収納容器２１０の内壁に接触することがない。

　図２７（ａ）～２７（ｅ）に、この円筒型の香り発生装置２００の収納容器２１０内でのカートリッジ２２０の回転による香りの放散度合が変化する様子を説明するための模式的な断面図を示す。図２７（ａ）～２７（ｅ）は、それぞれ開口率が０％、約２５％、５０％、約７５％、１００％の場合を示している。収納容器２１０に対して、カートリッジ２２０を回転させると、含浸部材２２２が露出した空間２２５が回転し、この空間２２５が連通した透孔２１２から外部へ香りが放散する。収納容器２１０に対するカートリッジ２２０の回転角度と開口率とはリニアな関係にあり、０％から１００％まで段階的に開口率を変化させることができる。

　図２８（ａ）（ｂ）（ｃ）（ｄ）は、カートリッジ２２０の変形例であるカートリッジ２２０ａ，２２０ｂ，２２０ｃ，２２０ｄを示す断面図である。図２８（ａ）は、カートリッジ２２０ａの細長い帯状の含浸部材２２２ａが、カートリッジ２２０の樋状凹部２２６の湾曲した凹部内壁に沿って配置される構成例を示す。図２８（ｂ）は、カートリッジ２２０ｃの帯状の含浸部材２２２ｂが、樋状凹部２２６に設けられた半円筒状アダプタ部２２８の平面上に配置される構成例を示す。図２８（ｃ）は、カートリッジ２２０ｃの帯状の含浸部材２２２ｃが、樋状凹部２２６に設けられた半円筒状アダプタ部２２９の凸湾曲面に沿って配置される構成例を示す。図２８（ｄ）は、カートリッジ２２０ｄのカマボコ型の半円筒形状の含浸部材２２２ｄが、樋状凹部２２６に設けられた半円筒状アダプタ部２２８の平面上に配置される構成例を示す。この例における含浸部材２２２ｄは中空としているが中実の構成であってもよい。逆に、アダプタ２２８，２２９は中実のものを示したが、中空の構造を有するものであってもよい。

　同じ構造および厚さの含浸部材を使用する場合、カートリッジ２２０，２２０ｄは、他のカートリッジ２２０ａ，２２０ｂ，２２０ｃに比べて、より多量の芳香剤を保持することができる。カートリッジ２２０ｂ，２２０ｃは、他のカートリッジに比べて、収納容器２１０内に収容された閉状態（開口率０％）で、含浸部材２２２の属する空間の容積が小さくなる利点を有する。これにより、不使用時の芳香剤の無駄な放散を低減することができる。他方、カートリッジ２２０，２２０ａは他のカートリッジに比べて、構造が簡単かつ軽量となる。

　円筒型の香り発生装置は、適宜、フックやピンなどのアダプタを付加したり、チェーン、ストラップ等を付属させることにより、ペンダント、タイピン、イヤリング、ブレスレット、等の装身具、その他、キーホルダー等のアクセサリー、車載用芳香剤、などに応用することができる。

　回転スライド動作を行う他の例としては、特に図示はしないが、球型のものも考えられる。球型の香り発生装置は、図１６～図２２で説明した円盤型から派生した変形例として把握できる。すなわち、半球状の蓋部（カートリッジ）の内側空間に含浸部材を配置し、この蓋部が回転可能に係合する他の半球状の基部の一部の球側面側に透孔を設ける。その動作は、回転型のものと同様である。

　以上説明した実施の形態による香り発生装置によれば次のような顕著な効果が得られる。

　（１）収納容器から取り出したカートリッジは、含浸部材に芳香剤を補充することにより、使い捨てでなく、繰り返して利用することができる。また、充填領域の含浸部材が広く開放されているので、香水やコロン、エッセンシャルオイル（製油）、アロマオイル等の瓶等から液滴やスプレーを受け止める十分な大きさが確保されている。したがって、ユーザは、手や周囲を汚すことなく、芳香剤の充填を容易に行うことができる。

　（２）多数の微細な空隙を有する多孔性の材料で形成された含浸部材を用いることにより、香り発生装置の携帯時にも芳香剤を漏らすことなく保持することができる。また、含浸部材の表層からの香りの放散に伴って消費された芳香剤を、毛細管現象で自動的に内部から表層へ、または、一領域から他領域へ補給することができる。

　（３）カートリッジが収納容器に収容された状態で凹部の周囲の表面が収納容器の内壁に接触（好ましくは密接）することにより構成される収納容器とカートリッジの密閉構造により、不使用時には、芳香剤を比較的長時間、保持することができる。また、この状態で、中空の収納容器に対して内蔵されたカートリッジが構造フレームとして機能するので、香り発生装置の構造強度が高まる。

　（４）芳香剤の注入→保持→密閉→供給→拡散の一連の機能により、長期間に良質の香りを保持し、楽しむことができる。

　（５）香水の香り立ちは、時間とともに香りの質が変化することが知られている。一般的に、次のように３段階で香りの変化が表現される。

　トップノート：　～１０分程度。香水の第一印象
　ミドルノート：　～３時間程度。香水のボディ（中核）
　ラストノート：　～１２時間程度。香水の余韻 

　そこで、香水のボディとなるミドルノートを継続させるため、本実施の形態では、注入した香水等が一度に揮発しないように、注入後、完全にまたは部分的に密閉する仕組みを設けている。すなわち、収納容器内でのカートリッジのスライド動作によって、放散に寄与する面積を０から最大までほぼ連続的または段階的に変化させることにより、香りの放散の度合を調整することができる。放散の度合は、カートリッジが収納容器内に収容された状態で、カートリッジと収納容器の位置関係（直視または上述したマーク）によってユーザが認識することができる。

　（６）収納容器にカートリッジを収容した状態で、収納容器の外周には香り発生装置の操作等の要請上何ら突起部を設ける必要なく、財布や名刺入れなどの狭い領域への収納時に支障なく、誤操作のおそれもなく、使用することができる。特に、カートリッジが収納容器内に収容された状態での全スライド範囲内で香り発生装置の全体形状および体積は変わらず、場所をとらない。ユーザが身につけたり、携帯する以外に、置物として利用することもできる。その設置場所としては、浴室、台所、洗面所、トイレなど、設置場所も選ばない。

　（７）収納容器やカートリッジを特に金属で構成することにより、剛性を維持しつつ、精密プレス加工や微細穴加工の技術を利用して、比較的密閉性の高い、薄型または小型が可能な香り発生装置を実現することができる。上記の効果（３）と相俟って、剛性が高まることにより、収納容器の変形が防止され、意図しない香りの漏れが防止される。香り発生装置を薄型または小型に構成できるので、その設置場所、収納場所、挿入場所の自由度が高くなる。また、金属ならではの高級感、肌触り、質感、耐久性が得られる。

　（８）収納容器やカートリッジの材料として金属を用いた場合、合成樹脂や木材、紙等の他の材料にくらべて高い熱伝導率を有するので、外気温が低く、香りの揮発・放散が低下したような場合でも、収納容器に手で触れたり、着衣のポケットで暖めたりすることにより、電気、超音波などによるヒータ、ローソクの火などの特別な熱源を必要とすることなく（但し、熱源の併用を排除するものではない）、短時間で香りの放散量を増加させることができる。

　（９）ある芳香剤のカートリッジを他の芳香剤のカートリッジに交換することにより、同じ収納容器について香りの切り替えが行える。

（１０）カートリッジおよび含浸部材を金属製とすることにより、紙製や布製などの繊維質や木製のものに比べて、洗浄により芳香剤を除去することが容易となり、同じカートリッジを違う香りの香水等について繰り返して使用することもできる。

（１１）カートリッジが収納容器に収容された状態で、凹部に収容された含浸部材は収納容器の内壁から離間した状態にあり、凹部により収納容器の内壁との間に薄い空気層が形成されるので、芳香剤が収納容器の透孔から外部へ浸み出したり、漏れたりすることが回避される。

（１２）カード型の場合、外観・形状的には、あたかもクレジットカードと同様に扱うことができる。透孔のある面と反対の収納容器の裏面に、カートリッジの操作用開口（スライド操作窓）を設けることにより、カートリッジの操作時に手が汚れることがなく、また、操作用開口が直接的に香りの放散の度合に影響することが避けられる。少なくとも操作用開口に現れうるカートリッジの領域において、摩擦係数を増加させる表面加工を施すことにより、カートリッジのスライド操作を容易にすることができる。この表面加工としては自由度が高く、種々の異なる態様を採用することができる。

（１３）円盤型の場合、脚部等を付加することにより、外観・形状的には、既存のカフスボタンと同様に扱うことができる。透孔は基部（収納容器）の側に設けられているので、使用時には死角に入り、香り発生装置であることを外観上あからさまに主張しない構成とすることができる。円筒型の場合も、透孔の存在する側の収納容器２１０を裏側とするようアダプタを付加することにより、同様の効果が得られる。円盤型および円筒型の香り発生装置は、上述したような各種の装身具に適用して好適である。

（１４）芳香剤の代わりに防虫剤や動物の忌避剤を充填して、防虫や忌避の用途に利用することも可能である。

　次に、より大きなサイズの収納容器に対してカートリッジをスライド挿入する他の実施の形態について説明する。

　図２９（ａ）（ｂ）に示した第４の実施の形態では、比較的大きな内部空間を有する収納容器１０ｇに対して、カード状のカートリッジ２０ｇを着脱可能に挿入するものである。収納容器１０ｇは、香り発生装置の専用の部品である必要はない。例えば、空気清浄機、乗用車のダッシュボード、エアコン、電子機器などの他の装置の筐体であってもよい。収納容器１０ｇの形状は、ここでは、直方体として示しているが、その形状は図示のものに限らない。その表面は必ずしも平面である必要はなく、湾曲していてもよい。サイズも任意である。

　収納容器１０ｇには、その一壁面に、カートリッジ２０ｇを挿入する挿入口１１ｇが設けられている。カートリッジ２０ｇは上述したカード状の形態と同等の構成を有する。含浸部材２２ｇの材料および構造は上述した含浸部材２２と同様である。図２９には明確に表れていないが、上記と同様、カートリッジ本体部に設けられた凹部の深さに対して含浸部材２２の厚さは若干薄く設定される。すなわち、カートリッジ２０ｇが収納容器１０に対して挿抜される際、および収容された状態で、含浸部材２２ｇの表面が収納容器１０のいずれの部分にも接触することはない。但し、カートリッジ本体部の凹部以外の表面が収納容器１０ｇの挿入口１１ｇの内壁に接触（好ましくは密接）する。すなわち、カートリッジ２０ｇをスライド挿入させた状態では、挿入口１１ｇはカートリッジ自体によって塞がれる。

　図２９に示した例では、収納容器１０ｇの上面に、その内部の空間と通じる複数の通気孔１２ｇ（開口）が設けられている。通気孔１２ｇの形状は円形のものを示しているが、円形に限るものではない。カートリッジ２０ｇの含浸部材２２ｇの芳香剤の香り成分は一旦、収納容器１０ｇの内部空間に拡散・充満した後、通気孔１２ｇから外部へ放散される。また、収納容器内にカートリッジが収納されることにより直接的に外気にさらされることが防止されるので、含浸部材からの過度な香りの揮発・放散が防止される。

　図３０（ａ）は、図２９に示した実施の形態におけるカートリッジ２０ｇの具体的な構成例を示し、図３０（ｂ）は、ガイド部材６０ａを介して、収納容器１０ｇ内にカートリッジ２０ｇを設置した状態を示す。便宜上、図３０（ｂ）では収納容器１０ｇの輪郭を破線で示し、その内部のカートリッジ２０ｇを実線で示している。ガイド部材６０ａは、収納容器１０ｇの内部において、カートリッジ２０ｇをスライド可能に支持するための機構または手段である。ガイド部材６１を使用する場合、そのカートリッジ挿入口６１が挿入口１１ｇにとって代わる。収納容器１０ｇの正面には、ガイド部材６０ａの大きさに合致した開口を通して、ガイド部材６０ａの正面端部が露出する。ガイド部材６０ａの材質は特に限定するものではないが、例えば合成樹脂、金属等の剛性を有する材料である。ガイド部材６０ａを収納容器１０ｇ内にどのように設置するかは任意であり、特にそのための具体的な記載は省略する。

　この例のガイド部材６０ａは、図１に示したカートリッジ２０の収納容器１０と同様に、カートリッジ２０ｇと協働して、そのスライド位置に応じて香りの放散度合を制御する機能を有する。この例では、ガイド部材６０ａを収納容器とみなすこともできる。ガイド部材６０ａのスライド範囲内の位置に応じて含浸部材２２ｇ（芳香剤の充填領域）が通気孔６２（開口）に重なる重畳面積が段階的に変化する。すなわち、スライド位置によって、充填領域と前記開口との重なりの度合いによって決まる開口率が段階的に変化する。図１の香り発生装置と異なり、カートリッジ２０ｇはその動作時に一部が収納容器１０から突出した状態となる。そこで、使用時のカートリッジ挿入口６１での密閉性を維持するため、図３０（ａ）から分かるように、カートリッジ２０ｇの含浸部材２２ｇは挿入方向の長さを短く設定されている。

　なお、収納容器１０ｇにおける挿入口１１ｇの位置は、図示の位置に限るものではない。例えば、図の例では収納容器１０ｇの正面のほぼ中央部に設けたが、正面の他の位置（例えば下端）であってもよい。あるいは、正面以外の他の面であってもよい。

　図３１（ａ）（ｂ）（ｃ）に示すように、収納容器１０ｇ（およびガイド部材６０ａ）に対するカートリッジ２０ｇの挿入量に応じて、ガイド部材６０ａに対するカートリッジ２０ｇの位置（スライド位置）が変わり、これにより開口率が変化し、その結果として、香りの放散の度合が変わる。

　図２で説明した第１の実施の形態の動作と異なり、本実施形態では、使用状態において、カートリッジ２０ｇの一部は収納容器１０ｇから突出する。その突出量によって、香りの放散度合を調整できる。カートリッジ２０ｇは最も奥深く挿入された図３１（ａ）の状態でも、カートリッジ２０ｇの一部が収納容器１０ｇの外へ突出している。これは、カートリッジ２０ｇを収納容器１０ｇから取り出す際にその端部をユーザが摘むのに好都合である。

　特に図示しないが、この構造に代えて、収納容器１０ｇまたはガイド部材６０ａのカートリッジ挿入口６１の中央部に、ユーザの指が入る程度の凹部を形成し、この凹部にカートリッジ２０ｇの一部が露出するようにしてもよい。

　図３０（ａ）に示すように、カートリッジ２０ｇにマークＭを設けるようにしてもよい。このマークＭは、長さの異なる互いに平行なラインであり、図３１（ａ）（ｂ）（ｃ）に示すように、カートリッジ２０ｇの香りの放散の度合の各段階に合わせて、カートリッジ２０ｇの挿入量を示す指標である。マークＭはこのようなラインに限るものではなく、段階的なカートリッジ２０ｇの挿入量が分かるものであれば足りる。

　カートリッジ２０ｇの段階的な位置決めを行う手段として、特に図示しないが、各位置でクリック感をもってカートリッジ２０ｇが安定的に停止させる機構（クリック機構）を設けてもよい。

　図３２（ａ）（ｂ）（ｃ）は、図２９（ａ）（ｂ）に示した実施の形態の変形例として、そのカートリッジ２０ｇと、これに対する他のガイド部材６０ｂの構成例、およびカートリッジ２０ｇの収納容器１０ｇへの装着状態を示している。ガイド部材６０ｂは収納容器１０ｇの内部において、カートリッジ２０ｇをスライド可能に支持するための機構である。このガイド部材６０ｂは、図２９に示したカートリッジ２０ｇのガイド部材６０ａと異なり、ガイド部材６０ａの上面に大きな開口６４を有する構成となっている。よって、ガイド部材６０ｂは、カートリッジ２０ｇのスライド位置に応じた香りの放散度合を制御する機能は有さない。すなわち、カートリッジ２０ｇの含浸部材２２ｇは収納容器１０ｇ内で露出したままとなるが、収納容器１０ｇの存在により、収納容器１０ｇの外部の空気の流れの影響を最小限に抑え、カートリッジからの香り成分の過度の放散を防止することができる。

　図３３（ａ）（ｂ）（ｃ）（ｄ）は、図３０（ａ）（ｂ）に示した香り発生装置のカード状のカートリッジ２０ｇを円盤状のカートリッジ２０ｈに変更した第５の実施の形態を示している。具体的には、図３３（ａ）は円盤状のカートリッジ２０ｈを示し、図３３（ｂ）はその支持機構としてのガイド部材６０ｃの構成を示している。また、図３３（ｃ）はガイド部材６０ｃを収納容器１０ｈ内に設置した状態を示し、図３３（ｄ）はこのガイド部材６０ｃ内でカートリッジ２０ｈが回転した状態を示す。

　図３３（ａ）の円盤状のカートリッジ２０ｈは半月状の含浸部材２２ｈを収容する半月状の凹部を有する。この図には明確に表れていないが、上記と同様、この凹部の深さに対して含浸部材２２ｈの厚さは若干薄く設定される。

　図３３（ｂ）に示すように、ガイド部材６０ｃは、コンパクトディスク（ＣＤ）の収納容器と類似した外形を有し、円盤状のカートリッジ２０ｈが収納される凹部６８を有する。この凹部６８は、ガイド部材６０ｃの最奥部側（図の左側）が半円形を有するが、手前側（図の右側）は挿入口６１ｃに繋がるように拡がっている。凹部６８の手前側の半分はカバー６９により被覆されている。カバー６９の外側の長い側辺に沿って、カートリッジ２０ｈの挿入口６１ｃが設けられている。カートリッジ２０ｈは、挿入口６１ｃからガイド部材６０ｃ内へ挿入され、最奥部に当接して停止する。カートリッジ２０ｈの奥部６８以外の表面部はカバー６９の内面と密着する。

　図３３（ｃ）に示すように、円盤状のカートリッジ２０ｈはガイド部材６０ｃ内に完全に収納された状態で、カートリッジ２０ｈの周縁の一部が外部へ露出する。この状態で、ユーザはカートリッジ２０ｈの露出した周縁部を左右に移動操作することにより、カートリッジ２０ｈをその中心を軸として、ガイド部材６０ｃ内で回転させることができる。これにより、図３３（ｄ）に示すように、ガイド部材６０ｃ内での半月状の含浸部材２２ｈに対する開口率を０％から１００％まで連続的に可変操作することができる。

　特に図示しないが、カートリッジ２０ｈの周縁に、色の濃淡、異なる色、マーク、記号、文字等で、開口率の指標を記録しておいてもよい。これにより、ユーザは現在の開口率を認識することができる。

　図３４（ａ）（ｂ）（ｃ）（ｄ）は、図３０（ａ）（ｂ）に示した香り発生装置のカード状のカートリッジ２０ｇを円筒状のカートリッジ２０ｉに変更した第６の実施の形態を示している。具体的には、図３４（ａ）は円筒状のカートリッジ２０ｉを示し、図３４（ｂ）はその支持機構としてのガイド部材６０ｄの構成を示している。また、図３４（ｃ）はガイド部材６０ｄを収納容器１０ｉ内に設置した状態を示し、図３４（ｄ）はこのガイド部材６０ｄ内でのカートリッジ２０ｉを回転した状態を示す。　

　図３４（ａ）に示した円筒状のカートリッジ２０ｉは、円筒状の本体部２７ｉの中に、その円筒の仮想的な外周面位置から中心軸方向へ若干量後退した位置に湾曲した含浸部材２２ｉが配置している。この含浸部材２２ｉは図２５（ａ）（ｂ）（ｃ）に示したカートリッジ２２０の本体部２２３と同様、円筒状の含浸部材２２２を用いる構造であってもよい。カートリッジ２０ｉの円形の一端面にはその中心から離れた所定の基準位置にマーク２６が設けられている。このマーク２６は、図２５に示したものと同等のくぼみであり、カートリッジ２０ｉが収納容器１０ｉに収納された状態で、現在、カートリッジ２０ｉの円周方向におけるどの位置に含浸部材２２ｉが位置しているかをユーザに知らしめるためのものである。すなわち、放散度合を調整する際にカートリッジ２２０の回転をユーザが認識するための指標として機能する。このマーク２６はくぼみに限定されるものではなく、文字、記号、凹部、突起等、あるいは、円形面を色や濃淡で塗り分けたものであってもよい。

　また、収納容器１０ｉの側には、カートリッジ２０ｉの周囲において、カートリッジ２０ｉのマークがその回転位置に来たときの開口率を表すマーク１９を記録してもよい。このマーク１９は、図２２に示したマーク１２８ａ，１２８ｂ，１２８ｃと同様のものでありうる。

　図３４（ｂ）に示すように、ガイド部材６０ｄは、カートリッジ２０ｉが収納される円筒状外形を有し、円筒の一部側面に樋状凹部６２ｄを有する。ガイド部材６０ｄの一端は有底であり、他端はカートリッジ２０ｉが挿入される開口６１ｄとなっている。この樋状凹部６２ｄの代わりに、樋状凹部６２ｄの領域に分散して、図２４（ａ）（ｂ）（ｃ）に示した収納容器２１０に示したような多数の透孔２１２を形成してもよい。

　円筒状のカートリッジ２０ｉの長さ（稜方向）はガイド部材６０ｄ内の挿入深さより若干長く設定されている。これにより、ガイド部材６０ｄ内の最も奥まで挿入された状態で、カートリッジ２０ｉの端部が収納容器１０ｉの端面から若干量、突出する。この突出部分は、ユーザがカートリッジ２０ｉの回転や挿抜の操作に供される。すなわち、ユーザはカートリッジ２０ｉの突出部を操作することにより、カートリッジ２０ｉをその中心を軸として、ガイド部材６０ｄ内で回転させることができる。これにより、図３４（ｄ）に示すように、ガイド部材６０ｄ内での半月状の含浸部材２２ｈに対する開口率を０％から１００％まで連続的に可変操作することができる。

　図３５（ａ）（ｂ）は、第７の実施の形態を示す。図２９（ａ）に示した第４の実施の形態（変形例を含む）と基本的には同じである。すなわち、収納容器１０ｋは、図２９に示した収納容器１０ｇと同様、カード状のカートリッジ２０ｇを着脱可能に挿入するものである。ただし、収納容器は、円盤状または円筒状のカートリッジを用いるものであってもよい。

　第４の実施の形態と異なる点は、収納容器１０ｋの、カートリッジ２０ｇの挿入口１１ｇと異なる面（この例では背面）に、弁付きダクト口１８ａを設けている点である。弁付きダクト口１８ａはダクト（通風管）を着脱できる開口部材であり、ダクトの装着時に弁が開き、離脱時に弁が閉じるものである。収納容器１０ｋの上面に互いに平行に配置された複数の線状の開口１２ｋは、図２９（ａ）に示した収納容器１０ｇの透孔１２ｇと同じく、収納容器内に充満した香り成分を外部へ放散させるためのものである。この実施形態において開口１２ｋに代えて透孔１２ｇを設けてもよい。また、逆に収納容器１０ｇにおいて開口１２ｋを設けてもよい。

　図３５（ｂ）に示すように、弁付きダクト口１８ａは他の装置７０から排出された空気流を収納容器１０ｋ内に取り込むためのものである。この構成によって、他の装置７０から空気流が発生したとき、収納容器１０ｋ内のカートリッジ２０ｇからの一層の香りの揮発・放散が促される。収納容器１０ｋの内部にファン（図示せず）が存在する場合には、そのファンの動作によっても同様の作用が生じうる。

　図３６（ａ）（ｂ）は、図３５（ａ）に示した第７の実施の形態の変形例を示している。すなわち、図３６（ａ）に示した香り発生装置は基本的には図３５（ａ）に示した香り発生装置と同じである。異なる点は、図３６（ａ）の香り発生装置の収納容器１０Ｌがその平行に配置された線状の開口１２Ｌを、ダクト５１に接続された弁付きダクト口１８ａの対向する、収納容器１０Ｌの面（挿入口１１ｇと同じ面）に配置されていることである。

　香り成分は、通常、その発生源から四方八方に拡散するが、特に、空気流に乗って排出される場合には、開口（または透孔）が設けられた面によってある程度の拡散の方向付けがなされる。

　図３６（ｂ）は、さらなる変形例を示している。すなわち、この香り発生装置の収納容器１０Ｌでは、開口１２Ｌに代えて、もうひとつの弁付きダクト口１８ｂを設けている。この弁付きダクト口１８ｂは他のダクト５２につながる。

　図２９以降に示した収納容器内またはダクトで連結された他の装置内にヒータ等の熱源がある場合、その熱源により加熱された空気流でカートリッジを暖めて、香り成分の揮発・放散を促進することもできる。

　図３７（ａ）（ｂ）は、図２９（ａ）（ｂ）に示した第４の実施の形態の他の変形例を示す。これらの変形例は、カートリッジの含浸部材からの芳香剤の揮発・放散を促す手段を収納容器１０ｇ内に備えたものであり、第５～第７の実施の形態に適用することも可能である。図３７（ａ）は、収納容器１０ｇ内にファン８１を備えている場合を示している。ファン８１は、典型的には排気用ファンであるが、吸気用ファンまたは発熱デバイスの放熱用ファンであってもよい。このようなファンは、収納容器１０ｇ内に空気流を発生させ、カートリッジ２０ｇの含浸部材２２ｇに含浸された芳香剤の揮発・放散を促すよう働く。ファン８１の駆動は、芳香剤の揮発・放散の増加を目的とするものであってもよいし、本発明の香り発生装置の応用される装置に備わっているファンが、その装置の稼働時に駆動されるものであってもよい。

　図３７（ｂ）は、収納容器１０ｇ内に熱源８２を備えている場合を示している。熱源８２は、典型的にはヒータであるが、家電製品や電子機器に備わっている電源、プロセッサ等の半導体デバイス等、動作時に発熱するデバイスであってもよい。このような熱源８２は、カートリッジ２０ｇの周囲温度を上昇させ、カートリッジ２０ｇの含浸部材２２ｇに含浸された芳香剤の揮発・放散を促すよう働く。通常、金属は熱伝導性が高いので、カートリッジが金属製の場合には一層の効果が期待できる。熱源８２の駆動は、芳香剤の揮発・放散の増加を目的とするものであってもよいし、本発明の香り発生装置の応用される装置に備わっている熱源８２が、その装置の稼働時に動作するものであってもよい。なお、本明細書における「熱源」は負の熱を発生するもの（すなわち冷却機能を有するもの、冷気を発生するもの）をも含むものとする。

　以上、本発明の実施の形態について説明したが、上記で言及した以外にも種々の変形、変更を行うことが可能である。

　上述した各部の寸法、材質、形状、数量等はあくまで説明のための例示であり、本発明はそれらに限定されるものではない。例えば、カードケース状の収納容器とカートリッジの典型的な材質は金属としたが、その他、セラミックなどの耐水性、耐久性、耐食性のあるものも利用可能である。また、含浸部材の材質は多孔性金属で構成する例を示したが、ガラス、炭素などの耐久性、抗酸性および耐食性のある他の繊維で構成することもできる。

　１つの収納容器における開口としての透孔の形状やサイズは一定の場合を示したが、ランダムに、あるいは条件に応じて（たとえばスライド位置に応じて）、透孔の形状および／またはサイズを変更するようにしてもよい。

　上述した複数の実施の形態の構成例や変形例は、特に支障がない限り、相互に組み合わせて採用することが可能である。

１０，１０ａ，１０ｂ，１０ｃ，１０ｄ，１０ｅ，１０ｆ，１０ｇ，１０ｈ，１０ｉ，１０ｋ　収納容器
１１，１１ｂ，１１ｄ，１１ｅ，１１ｇ　挿入口
１２，１２ｂ，１２ｃ，１２ｇ　透孔（通気孔または開口）
１２ｋ，１２Ｌ　開口
１３，１３ｂ　操作用開口（スライド操作窓）
１４ａ　山形形状
１４ｂ　傾斜形状
１５　円形領域
１６　凹部
１７　突起部
１８ａ，１８ｂ　弁付きダクト口
１９　マーク
２０，２０ａ，２０ｂ，２０ｃ，２０ｄ，２０ｅ，２０ｆ，２０ｇ，２０ｈ，２０ｉ　カートリッジ
２１，２１ａ，２１ｂ，２１ｃ　凹部
２２，２２ａ，２２ｂ，２２ｃ，２２ｇ，２２ｈ，２２ｉ　含浸部材
２３　取り出し用切り欠き
２４ａ　山形形状
２４ｂ　傾斜形状
２５　溝
２６　マーク（くぼみ）
２７，２７ａ，２７ｂ，２７ｃ，２７ｉ　本体部（カートリッジ）
２８　金属箔
２９　接着部材
３０ａ，３０ｂ　含浸部材ユニット
４０　ペイズリー柄
５１，５２　ダクト
６０ａ，６０ｂ，６０ｃ，６０ｄ　ガイド部材
６１ｃ　挿入口
６１ｄ　開口
６２　通気孔（または開口）
６２ｄ　樋状凹部
６４　開口
６８　凹部
６９　カバー
７０　装置
８１　ファン
８２　熱源
１００　円盤型香り発生装置（カフスボタン）
１１０，１１０ａ，１１０ｂ　蓋部（カートリッジ）
１１１　凹部
１１２　含浸部材
１１３　本体部（カートリッジ）
１１４　空間
１１５　ネジ山
１１６　突起部
１１８　逆三角マーク
１２０，１２０ａ，１２０ｂ　基部（収納容器）
１２１　透孔
１２５　ネジ溝
１２６　環状溝
１２８ａ，１２８ｂ，１２８ｃ　マーク
１３０　脚部
１３５　回転軸部
１４０　留め具
２００　円筒型香り発生装置
２１０　収納容器
２１２　透孔
２２０，２２０ａ，２２０ｂ，２２０ｃ，２２０ｄ　カートリッジ
２２１　円筒状頭部
２２２，２２２ａ，２２２ｂ，２２２ｃ，２２２ｄ　含浸部材
２２３　本体部（カートリッジ）
２２４　小径円筒部
２２５　空間
２２６　樋状凹部
２２７　底部
２２８，２２９　半円筒状アダプタ部

Claims (20)

1. 　芳香剤を充填する充填領域を有するカートリッジと、
   　前記カートリッジをスライド可能に収納する収納容器とを備え、
   　前記収納容器は前記カートリッジの収容空間を外部空間に通じさせるための開口を有し、
   　前記カートリッジは、前記充填領域を定める凹部を有する本体部と、前記凹部に収容され、芳香剤を内部に含浸する含浸部材とを有する
   　香り発生装置。
2. 　前記含浸部材の厚さは、前記本体部の凹部の深さより小さく設定されている請求項１に記載の香り発生装置。
3. 　前記収納容器内の前記カートリッジの位置に応じて、前記充填領域と前記開口との重なりの度合いによって決まる開口率が段階的またはほぼ連続的に変化する請求項１または２に記載の香り発生装置。
4. 　前記含浸部材は多孔性金属で構成された請求項１、２または３に記載の香り発生装置。
5. 　前記含浸部材は、その裏面に金属箔が施されている請求項１～４のいずれかに記載の香り発生装置。
6. 　前記含浸部材は、外側の層および内側の層を有し、外側の層を粗構造とし、内側の層を密構造とした請求項１～５のいずれかに記載の香り発生装置。
7. 　前記収納容器は、その内部に直接的に、前記カートリッジをスライド可能に収容する請求項１～６のいずれかに記載の香り発生装置。
8. 　前記収納容器は、その内部に、前記カートリッジをスライド可能に支持するためのガイド部材をさらに備えた請求項１～６のいずれかに記載の香り発生装置。
9. 　前記カートリッジと前記収納容器との間の相対的なスライド動作は直線に沿って行われる動作である請求項１～８のいずれかに記載の香り発生装置。
10. 　前記カートリッジはカード状の形状を有し、前記収納容器は一端に前記カートリッジを挿入する挿入口を有するカードケース状の形状を有する請求項９に記載の香り発生装置。
11. 　前記収納容器の裏面に、前記カートリッジをスライド操作するための操作用開口を有する請求項１０に記載の香り発生装置。
12. 　前記収納容器に対してカートリッジの表裏を逆に挿入する誤挿入を防止する誤挿入防止手段を備えた請求項１０または１１に記載の香り発生装置。
13. 　前記カートリッジと前記収納容器との間の相対的なスライド動作は前記収納容器に対する前記カートリッジの回転によって行われる請求項１～８のいずれかに記載の香り発生装置。
14. 　円盤型の香り発生装置であって、
    　前記収納容器はほぼ円形の受け皿状の基部により構成され、その底部に開口を有し、
    　前記カートリッジは前記基部に嵌合するほぼ円形の蓋部により構成され、
    　前記蓋部にはその内側の偏心した領域に前記充填領域を定める凹部が設けられ、
    　前記凹部に、芳香剤を内部に含浸する含浸部材が収容される
    　請求項１３に記載の香り発生装置。
15. 　円筒型の香り発生装置であって、
    　前記収納容器は有底の円筒形状を有するとともにその周面に開口を有し、
    　前記カートリッジは前記収納容器に収容される円筒状の頭部および半円筒状の樋状凹部を有し、
    　前記樋状凹部に、芳香剤を内部に含浸する含浸部材が収容される
    　請求項１３に記載の香り発生装置。
16. 　ファンまたは熱源をさらに備えた請求項８のいずれかに記載の香り発生装置。
17. 　芳香剤を充填する充填領域としての凹部を有する本体部と、
    　前記凹部に収容され芳香剤を内部に含浸する含浸部材とを備え、
    　前記含浸部材の厚さは、前記本体部の凹部の深さより小さく設定されている
    　香り発生装置用のカートリッジ。
18. 　前記本体部は金属で構成され、前記含浸部材は多孔性金属で構成された請求項１７に記載のカートリッジ。
19. 　前記含浸部材は、その裏面に金属箔が施されている請求項１７または１８に記載のカートリッジ。
20. 　前記含浸部材として、外側の層および内側の層を有し、外側の層を粗構造とし、内側の層を密構造とした請求項１７，１８または１９に記載のカートリッジ。

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