WO2017212883A1 - 端子付き電線及び端子付き電線の製造方法 - Google Patents
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Definitions
- the electric wire with a terminal indicated in patent documents 1 is provided with an electric wire and a terminal which has a pair of conductor barrels crimped to a conductor of an electric wire.
- the surface of the conductor barrel constituting the terminal is provided with a crimping state identification mark for determining whether the crimping degree is good or bad.
- This mark may be a mark having a shape in which the position of the inner end of the portion exposed on the front side of the terminal changes in the terminal axis direction according to the degree of crimping of the conductor barrel, or is spaced from each other in a direction perpendicular to the terminal axis direction. And may include a plurality of marks arranged.
- the core wire crimped between the inclined portion and the core wire receiving portion having such a configuration is not in contact with the entire area of the inclined portion, and is not in contact with the inclined portion on the lead-out side of the electric wire from a certain position.
- this position is referred to as a contact end position.
- This contact end position varies according to the inclination angle of the inclined portion with respect to the parallel portion.
- the contact termination position in the inclined portion tends to be more easily arranged on the lead-out side of the wire than the crimping jig used for crimping.
- the compressive force from the inclined portion cannot be sufficiently transmitted to the core wire, and there is a possibility that a sufficient fixing force between the electric wire and the terminal cannot be secured when a tensile force acts on the electric wire.
- the contact termination position in the inclined portion tends to be more easily arranged on the lead-out side of the wire than the crimping jig used for crimping.
- the contact surface 31 of the crimping jig 30 includes a parallel surface 32 that is parallel to the core wire receiving portion 25 and an inclined surface 34 that is continuous with the parallel surface 32 on the rear side (the lead-out side of the electric wire 11).
- the core wire crimping portion 26 has a shape in which the contact surface 31 of the crimping jig 30 is transferred almost as it is. That is, the shape, formation range, inclination angle, and the like of the parallel surface 32 and the inclined surface 34 constituting the contact surface 31 of the crimping jig 30 are the shape and formation of the parallel portion 27 and the inclined portion 29 in the core crimping portion 26 described above. It is almost the same as the range and the inclination angle, and the overlapping explanation is omitted.
- the contact end position CEP is arranged close to the rear end position of the formation range L of the inclined surface 34, so that the removal area is secured to the maximum. Note that, as the inclination angle of the inclined portion 29 decreases from 20 ° of the first embodiment, the contact end position CEP recedes and approaches the rear end position of the inclined surface 34 formation range L, but the contact end position CEP is less than the formation range L. It is considered that when the angle is further smaller than the value of the inclination angle when the rear end position is reached and approaches 10 °, the rear side of the formation range L is reached.
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Abstract
端子付き電線10は、芯線12を有する電線11と、電線11の端末に接続される端子金具20と、端子金具20を構成し、芯線12を受ける芯線受け部25と、端子金具20を構成し、芯線受け部25との間で芯線12を圧着する芯線圧着部26と、芯線圧着部26を構成し、芯線受け部25に並行する並行部27と、芯線圧着部26を構成し、並行部27に対して電線11の導出側に連なって並行部27から離れるほど芯線受け部25との間の距離が大きくなるよう傾斜した傾斜部29であって、並行部27に対してなす傾斜角度θが「10°<θ<30°」の範囲とされる傾斜部29と、を少なくとも備える。
Description
本明細書に開示される技術は、端子付き電線及び端子付き電線の製造方法に関する。
従来、端子付き電線として下記の特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載された端子付き電線は、電線と、電線の導体に圧着される一対の導体バレルを有する端子と、を備える。端子を構成する導体バレルの表面には、その圧着度合いの良否を判定するための圧着状態識別標識が設けられる。この標識は、導体バレルの圧着度合いに応じて端子表側に露出する部分の内側端の位置が端子軸方向に変化する形状を有するマークでもよいし、端子軸方向と直交する方向に互いに間隔をおいて配列される複数のマークを含むものでもよい。
上記した特許文献1に記載されたような端子付き電線では、導体バレルから電線の導体に対して付与される圧縮力が十分に伝達されなくなると、電線に引っ張り力が作用した場合における電線と端子との間の固着力を十分に確保できなくなるおそれがある。そうなると、電線が切れる、などの不具合が生じるおそれがあった。
本明細書に開示される技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、十分な固着力を得ることを目的とする。
本明細書に開示される技術の端子付き電線は、芯線を有する電線と、前記電線の端末に接続される端子と、前記端子を構成し、前記芯線を受ける芯線受け部と、前記端子を構成し、前記芯線受け部との間で前記芯線を圧着する芯線圧着部と、前記芯線圧着部を構成し、前記芯線受け部に並行する並行部と、前記芯線圧着部を構成し、前記並行部に対して前記電線の導出側に連なって前記並行部から離れるほど前記芯線受け部との間の距離が大きくなるよう傾斜した傾斜部であって、前記並行部に対してなす傾斜角度θが「10°<θ<30°」の範囲とされる傾斜部と、を少なくとも備える。
電線の端末に端子を接続するに際しては、例えば、端子を構成する芯線受け部に電線の芯線を配置した状態で圧着治具を用いて芯線圧着部をかしめ付ける。芯線圧着部は、芯線受け部に並行する並行部と、並行部に対して電線の導出側に連なる傾斜部と、を少なくとも備えており、この傾斜部は、並行部から離れるほど芯線受け部との間の距離が大きくなるよう傾斜している。このような構成の傾斜部と芯線受け部との間で圧着された芯線は、傾斜部の全域に対して接触することがなく、ある位置よりも電線の導出側では傾斜部とは非接触となっており、以下ではこの位置を接触終端位置とする。この接触終端位置は、並行部に対する傾斜部の傾斜角度に応じて変動するものとされる。
ここで、仮に並行部に対する傾斜部の傾斜角度が10°以下になると、傾斜部における接触終端位置が、圧着に際して用いられる圧着治具よりも電線の導出側の配置となり易い傾向にある。そのような配置になると、傾斜部からの圧縮力を芯線に十分に伝達できず、電線に引っ張り力が作用した場合における電線と端子との間の固着力を十分に確保できなくなるおそれがある。その一方で、仮に並行部に対する傾斜部の傾斜角度が30°以上になると、傾斜部における接触終端位置が、圧着に際して用いられる圧着治具と重畳する配置とはなるものの、圧着時に傾斜部に芯線が追従し難くなることから、接触終端位置が並行部と傾斜部との境界位置に近い配置となる。このため、傾斜部から芯線に付与される圧縮力が十分に得られなくなり、電線に引っ張り力が作用した場合における電線と端子との間の固着力を十分に確保できなくなるおそれがある。
その点、傾斜部は、並行部に対してなす傾斜角度θが「10°<θ<30°」の範囲とされているので、傾斜部における接触終端位置が圧着に際して用いられる圧着治具と重畳する配置になり、且つ接触終端位置が並行部と傾斜部との境界位置から十分な距離を空けた配置となることから、傾斜部から芯線に付与される圧縮力が十分なものとなる。これにより、電線に引っ張り力が作用した場合における電線と端子との間の固着力を十分に確保することができる。
本明細書に開示される技術の実施態様として、次の構成が好ましい。
(1)前記傾斜部は、前記並行部との並び方向についての長さ寸法Lが「0.2mm<L≦1.2mm」の範囲とされる。仮に傾斜部の上記長さ寸法Lが0.2mm以下とされる場合には、並行部と傾斜部との境界位置から傾斜部における接触終端位置までの距離が十分に確保されなくなるため、電線に引っ張り力が作用した場合における電線と端子との間の固着力が不十分となって断線が生じ易くなる。その一方、傾斜部の上記長さ寸法Lが1.2mm以上とされる場合には、芯線圧着部に占める傾斜部の長さ比率が大きくなるのに伴って並行部の長さ比率が小さくなり過ぎるため、芯線に対する接続信頼性が低下するおそれがある。その点、傾斜部の上記長さ寸法Lが「0.2mm<L≦1.2mm」の範囲とされることで、並行部と傾斜部との境界位置から傾斜部における接触終端位置までの距離が十分に確保されて電線に引っ張り力が作用した場合における電線と端子との間の固着力が十分に得られるとともに、芯線圧着部に占める並行部の長さ比率が十分に確保されて芯線に対する接続信頼性が十分に高いものとなる。
(1)前記傾斜部は、前記並行部との並び方向についての長さ寸法Lが「0.2mm<L≦1.2mm」の範囲とされる。仮に傾斜部の上記長さ寸法Lが0.2mm以下とされる場合には、並行部と傾斜部との境界位置から傾斜部における接触終端位置までの距離が十分に確保されなくなるため、電線に引っ張り力が作用した場合における電線と端子との間の固着力が不十分となって断線が生じ易くなる。その一方、傾斜部の上記長さ寸法Lが1.2mm以上とされる場合には、芯線圧着部に占める傾斜部の長さ比率が大きくなるのに伴って並行部の長さ比率が小さくなり過ぎるため、芯線に対する接続信頼性が低下するおそれがある。その点、傾斜部の上記長さ寸法Lが「0.2mm<L≦1.2mm」の範囲とされることで、並行部と傾斜部との境界位置から傾斜部における接触終端位置までの距離が十分に確保されて電線に引っ張り力が作用した場合における電線と端子との間の固着力が十分に得られるとともに、芯線圧着部に占める並行部の長さ比率が十分に確保されて芯線に対する接続信頼性が十分に高いものとなる。
(2)前記傾斜部は、前記並び方向についての長さ寸法Lが「0.8mm≦L≦1.2mm」の範囲とされる。まず、電線に引っ張り力が作用した場合における電線と端子との間の固着力は、一定の範囲において上記長さ寸法Lに比例するような関係にある。ここで、例えば、傾斜部の上記長さ寸法Lを0.4mm、0.6mm、0.8mmとしたもの同士を比較すると、電線に引っ張り力が作用した場合における電線と端子との間の固着力に関しては、0.8mmとしたものと0.6mmとしたものとの差が、0.6mmとしたものと0.4mmとしたものとの差よりも格段に大きくなる。従って、傾斜部の上記長さ寸法Lが「0.8mm≦L≦1.2mm」の範囲とされることで、電線に引っ張り力が作用した場合における電線と端子との間の固着力がより高いものとなる。
(3)前記傾斜部は、前記並び方向についての長さ寸法Lが「L=1.2mm」とされる。このようにすれば、電線に引っ張り力が作用した場合における電線と端子との間の固着力が最大限近く高いものとなる。しかも、電線に引っ張り力が作用した場合に、断線に至るまでに電線に生じる変位率が最大限近く大きなものとなるから、接続信頼性がより高いものとなっている。
(4)前記電線は、前記芯線がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。このようにすれば、芯線がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる場合、芯線の表面には強固な酸化膜が形成される。このため、芯線と芯線圧着部との電気的な接続を確実にするには、芯線圧着部を芯線に対して高圧縮状態で圧着することが求められることから、芯線に断線が生じ易くなる傾向とされる。本明細書に開示された技術は、このような構成の端子付き電線において特に有効である。
次に、本明細書に開示される技術の端子付き電線の製造方法は、端子における芯線受け部に対して電線の芯線を配置する芯線配置工程と、圧着治具を用いて芯線圧着部をかしめ付けて前記芯線受け部との間で前記芯線を圧着する圧着工程であって、前記圧着治具として、前記芯線圧着部に接触する接触面が、前記芯線受け部に並行する並行面と、前記並行面に対して前記電線の導出側に連なって前記並行面から離れるほど前記芯線受け部との間の距離が大きくなるよう傾斜した傾斜面であって、前記並行面に対してなす傾斜角度θが「10°<θ<30°」の範囲となる傾斜面と、を有するものを用いる圧着工程と、を少なくとも備える。
芯線配置工程にて端子における芯線受け部に対して電線の芯線を配置したら、続いて圧着工程を行う。圧着工程では、圧着治具を用いて芯線圧着部をかしめ付けるようにしており、それにより芯線は、芯線受け部と芯線圧着部との間で圧着される。圧着工程にて用いられる圧着治具は、芯線圧着部に接触する接触面が、芯線受け部に並行する並行面と、並行面に対して電線の導出側に連なる傾斜面と、を有しており、この傾斜面は、並行面から離れるほど芯線受け部との間の距離が大きくなるよう傾斜している。このような構成の圧着治具によってかしめ付けられた芯線圧着部は、圧着治具の接触面が転写された形状となる。つまり、芯線圧着部は、芯線受け部に並行する並行部と、並行部に対して電線の導出側に連なり、並行部から離れるほど芯線受け部との間の距離が大きくなるよう傾斜する傾斜部と、を少なくとも備えることになる。芯線圧着部における傾斜部と芯線受け部との間に圧着された芯線は、傾斜部の全域に対して接触することがなく、ある位置よりも電線の導出側では傾斜部とは非接触となっており、以下ではこの位置を接触終端位置とする。この接触終端位置は、並行部に対する傾斜部の傾斜角度に応じて変動し得るものとされる。
ここで、仮に並行部に対する傾斜部の傾斜角度が10°以下になると、傾斜部における接触終端位置が、圧着に際して用いられる圧着治具よりも電線の導出側の配置となり易い傾向にある。そのような配置になると、傾斜部から芯線に付与される圧縮力を一定になるよう制御するのが困難となるため、同圧縮力が十分に得られなくなるおそれがある。このため、電線に引っ張り力が作用した場合における電線と端子との間の固着力を十分に確保できなくなるおそれがあった。その一方で、仮に並行部に対する傾斜部の傾斜角度が30°以上になると、傾斜部における接触終端位置が、圧着に際して用いられる圧着治具と重畳する配置とはなるものの、圧着に伴う傾斜部の変形に芯線が追従し難くなるため、傾斜部から芯線に付与される圧縮力が十分に得られなくなり、電線に引っ張り力が作用した場合における電線と端子との間の固着力を十分に確保できなくなるおそれがある。
その点、芯線圧着部には、圧着治具において並行面に対してなす傾斜角度θが「10°<θ<30°」の範囲とされる傾斜面を有する接触面が転写されることで、傾斜部は、並行部に対してなす傾斜角度θが「10°<θ<30°」の範囲とされる。従って、傾斜部における接触終端位置が、圧着に際して用いられる圧着治具と重畳する配置になるのに加えて、傾斜部から芯線に付与される圧縮力が十分に得られる。これにより、電線に引っ張り力が作用した場合における電線と端子との間の固着力を十分に確保することができる。
本明細書に開示される技術によれば、十分な固着力を得ることができる。
<実施形態1>
実施形態1を図1から図9によって説明する。本実施形態では、電線11の端末に雌型の端子金具(端子)20を接続してなる端子付き電線10について例示する。なお、各図面の一部にはX軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。各図面の一部では図示を省略しているが、Y軸方向は、X軸方向及びZ軸方向の双方と直交する方向である。また、前後方向については、X軸方向に沿い且つ各図に示す左側を前方、右側を後方とする。
実施形態1を図1から図9によって説明する。本実施形態では、電線11の端末に雌型の端子金具(端子)20を接続してなる端子付き電線10について例示する。なお、各図面の一部にはX軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。各図面の一部では図示を省略しているが、Y軸方向は、X軸方向及びZ軸方向の双方と直交する方向である。また、前後方向については、X軸方向に沿い且つ各図に示す左側を前方、右側を後方とする。
まず、端子付き電線10を構成する電線11について説明する。電線11は、図1に示すように、金属細線(素線)を螺旋状に撚り合わせてなる芯線12と、この芯線12を被覆する樹脂製の絶縁被覆13と、を有している。電線11の端末部においては、絶縁被覆13が剥き取られて芯線12が露出されている。本実施形態において、芯線12は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製であるが、好ましくはAl-Mg-Si系合金(6000系合金)製とされる。
端子金具20は、金属板材を打ち抜き加工および曲げ加工して製造された部材である。端子金具20の材料となる金属板材としては、例えば、銅または銅合金製であって表面にスズめっきが施されている板材を用いることができる。
端子金具20は、図1に示すように、端子本体21と、端子本体21の後側に連なる電線接続部22と、から構成される。端子本体21は、前後に開口する略筒状をなしており、前方から内部に相手の雄型の端子金具(図示せず)を受け入れて導通接続が可能とされる。電線接続部22は、電線11の端部において露出した芯線12に固定されるワイヤバレル部(芯線固定部)23と、電線11の端部における絶縁被覆13に固定されるインシュレーションバレル部(被覆固定部)24と、を前後に繋げた構成とされる。
ワイヤバレル部23について詳しく説明する。ワイヤバレル部23は、図2に示すように、芯線12を受ける芯線受け部(底板部)25と、芯線受け部25との間で芯線12を圧着する芯線圧着部(かしめ片部)26と、を有する。芯線受け部25は、X軸方向に沿って前後に延在しており、その上に載せられた芯線12を受けている。芯線圧着部26は、図示しない圧着前の状態では、芯線受け部25におけるY軸方向についての両側縁からそれぞれZ軸方向に沿って立ち上がる形で一対が互いに対向する形で設けられており、圧着後の状態では、芯線受け部25に載せられた芯線12の外周に巻き付くとともに、先端部が芯線12におけるY軸方向についての中央部に食い込む形となる。圧着された芯線12は、芯線受け部25と芯線圧着部26との間に挟まれていて所定の圧縮力が付与されている。なお、図2では、芯線12を構成する複数の金属細線に係る断面形状に関して詳しい図示を省略している。
各芯線圧着部26は、図2に示すように、芯線受け部25に対して芯線12を挟んで対向状をなす部分(芯線押さえ部)が、芯線受け部25に並行する並行部27と、並行部27に対して後側(電線11の導出側)に連なる傾斜部29と、から構成されている。並行部27は、芯線圧着部26のうち、X軸方向についての中央部分を構成しており、X軸方向(芯線圧着部26と傾斜部29との並び方向)についての長さ寸法が傾斜部29よりも大きくなっている。言い換えると、並行部27は、芯線圧着部26に占める長さ寸法の比率が最大となっている。
傾斜部29は、図2に示すように、それぞれ並行部27からX軸方向に沿って離れるほど芯線受け部25との間に距離が大きくなるよう並行部27に対して傾斜状をなしている。傾斜部29は、芯線圧着部26のうち、X軸方向についての後側の端側部分を構成しており、X軸方向についての長さ寸法が並行部27よりも小さくなっている。傾斜部29は、並行部27に対して前傾している。このように、芯線圧着部26は、概ね前後非対称形状とされている。
上記のような構成の芯線圧着部26は、製造過程において、図3に示される構成の圧着治具(クリンパ)30を用いて芯線12に対して圧着されている。圧着治具30は、金属製とされており、端子金具20が載置される図示しない基台(アンビル)に対してZ軸方向について対向状をなす形で配され、基台との間でワイヤバレル部23を挟み込んで圧縮し、芯線圧着部26を変形させて芯線12に対する圧着を図るものである。圧着治具30は、圧着に際して、ワイヤバレル部23を構成する芯線圧着部26(芯線押さえ部)に接触する接触面31を有している。圧着治具30の接触面31は、芯線受け部25に並行する並行面32と、並行面32に対して後側(電線11の導出側)に連なる傾斜面34と、から構成されている。そして、芯線圧着部26は、圧着に伴って圧着治具30の接触面31がほぼそのまま転写された形状となる。つまり、圧着治具30の接触面31を構成する並行面32及び傾斜面34の形状、形成範囲及び傾斜角度などは、既述した芯線圧着部26における並行部27及び傾斜部29の形状、形成範囲及び傾斜角度などとほぼ同一となっており、重複する説明は割愛する。
ところで、傾斜部29と芯線受け部25との間で圧着された芯線12は、図2に示すように、傾斜部29の全域に対して接触することがなく、ある位置よりも後側(電線11の導出側)では傾斜部29とは非接触となっており、以下ではこの位置を接触終端位置CEPとする。この接触終端位置CEPは、並行部27に対する傾斜部29の傾斜角度に応じて変動するものとされる。そして、接触終端位置CEPに応じて傾斜部29から芯線12に作用する圧縮力も変動するものとされる。
本実施形態に係る傾斜部29は、並行部27に対してなす傾斜角度を「θ」としたとき、その傾斜角度θが「10°<θ<30°」の範囲とされている。具体的には、傾斜部29は、傾斜角度θが「θ=20°」とされるのが好ましいものとされる。このような構成によれば、傾斜部29における接触終端位置CEPが圧着に際して用いられる圧着治具30と重畳する配置になり、且つ接触終端位置CEPが傾斜部29の前端位置(並行部27と傾斜部29との境界位置、傾斜部29の傾斜始端位置)から十分な距離を空けた配置となることから、傾斜部29から芯線12に付与される圧縮力が十分なものとなる。これにより、電線11に引っ張り力が作用した場合における電線11と端子金具20との間の固着力を十分に確保することができるのである。
上記のような作用及び効果を実証するため、以下の比較実験1,2を行った。まず、比較実験1について説明する。比較実験1は、傾斜部29の傾斜角度を変化させたときの芯線12の圧着状態及び接触終端位置CEPなどがどのように変化するかについて知見を得るべく行われている。比較実験1では、傾斜部29の傾斜角度を「10°」とした場合を比較例1とし、傾斜部29の傾斜角度を「30°」とした場合を比較例2とし、傾斜部29の傾斜角度を「20°」とした場合を実施例1としており、これら実施例1及び比較例1,2に係るワイヤバレル部23を圧着治具30によってかしめ付けた状態の断面を撮影し、得られた写真を図4から図6に示されるように図面化した。図4が比較例1の実験結果であり、図5が比較例2の実験結果であり、図6が実施例1の実験結果である。図4から図6では、圧着治具30の接触面31を構成する傾斜面34におけるX軸方向(並行面32と傾斜面34との並び方向)についての形成範囲Lを一点鎖線により図示している。
さらには、図4から図6では、上記傾斜面34の形成範囲Lに存在する芯線12のうち、傾斜部29に接触する部分で且つ傾斜部29における芯線12との接触面29a(後述する除変領域の斜辺)と、並行部27における芯線12との接触面27aの延長線(後述する除変領域の底辺)と、に挟まれた部分を網掛け状にして図示している。この網掛け状の領域は、直角三角形となっており、その面積は、傾斜部29の前端位置(並行部27と傾斜部29との境界位置)から後側に向かう(接触終端位置CEPに近づく)のに従って徐々に増加することから、以下では上記直角三角形の領域を「除変領域」と言い、その面積を「除変面積」と言う。この除変面積は、傾斜部29の傾斜角度が大きくなるほど大きくなるとともに、傾斜面34の形成範囲L内において接触終端位置CEPが後側の配置になるほど大きくなる傾向とされる。なお、図4から図6では、芯線12を構成する複数の金属細線に係る断面形状に関して詳しい図示を省略している。
比較実験1の実験結果について説明する。まず、比較例1は、図4に示すように、接触終端位置CEPが傾斜面34の形成範囲Lよりも後側外部の配置(圧着治具30とは非重畳の配置)とされている。従って、比較例1の除変領域における3つの頂点には、接触終端位置CEPが含まれておらず、比較例1の除変領域におけるX軸方向についての長さ寸法は、傾斜面34の形成範囲Lとほぼ等しいものとされる。これにより、芯線12は、傾斜面34の形成範囲Lの全長にわたって傾斜部29に接触しており、圧着治具30の傾斜面34から全域にわたって圧縮力が付与されているものの、比較例1に係る傾斜部29の傾斜角度は10°であるため、除変面積が十分に確保されていない。それに加えて、比較例1では、接触終端位置CEPが傾斜面34の形成範囲Lよりも後側外部に配置されているため、芯線12は、傾斜面34の形成範囲Lの後側外部においても傾斜部29に接触しているものの、当該接触箇所には圧着治具30の傾斜面34からの圧縮力が伝達され難いものとなっている。つまり、比較例1では、芯線圧着部26により圧着された芯線12に、圧着治具30の傾斜面34からの圧縮力が効率的に伝達され難い傾向にある、と言える。なお、傾斜部29の傾斜角度が比較例1の10°から小さくなるほど、接触終端位置CEPが後退する(形成範囲Lから遠ざかる)傾向にあると考えられ、それに伴って圧着治具30の傾斜面34から芯線12に付与される圧縮力及び除変面積も減少する傾向にあると考えられる。
次に、比較例2は、図5に示すように、接触終端位置CEPが傾斜面34の形成範囲L内の配置(圧着治具30と重畳する配置)となるものの、接触終端位置CEPが除変領域の前端位置(並行部27と傾斜部29との境界位置、傾斜面34の形成範囲Lの前端位置)に近い配置となる。これは、比較例2に係る傾斜部29の傾斜角度が30°であることに起因して、圧着治具30によって並行部27に対して斜めに立ち上がるよう変形される傾斜部29に芯線12が追従し難くなるため、と推考される。このため、比較例2では、芯線12は、傾斜面34の形成範囲Lのごく一部でしか傾斜部29に接触されず、圧着治具30の傾斜面34から芯線12に付与される圧縮力が不十分になるおそれがある。また、比較例2では、接触終端位置CEPが除変領域の前端位置に近い配置となるため、除変面積が十分に確保されないおそれがある。なお、傾斜部29の傾斜角度が比較例2の30°から大きくなるほど、接触終端位置CEPが前進する(除変領域の前端位置に近づく)傾向にあると考えられ、それに伴って圧着治具30の傾斜面34から芯線12に付与される圧縮力及び除変面積は縮小するか変動しない傾向(少なくとも殆ど増加しない傾向)にあると考えられる。
そして、実施例1は、図6に示すように、接触終端位置CEPが傾斜面34の形成範囲L内の配置(圧着治具30と重畳する配置)となり、且つ接触終端位置CEPが除変領域の前端位置(並行部27と傾斜部29との境界位置、傾斜面34の形成範囲Lの前端位置)から十分な距離を空けた配置、具体的には、傾斜面34の形成範囲Lの後端位置に近く、上記距離が最大限近く確保された配置となっている。これは、実施例1に係る傾斜部29の傾斜角度が30°よりも小さな20°とされているので、圧着治具30によって並行部27に対して斜めに立ち上がるよう変形される傾斜部29に芯線12が良好に追従し、傾斜面34の形成範囲L内において傾斜部29によって芯線12が良好に圧縮されるため、と推考される。これにより、実施例1では、芯線12には、傾斜面34の形成範囲Lの大部分にわたって圧着治具30からの圧縮力が最大限近く付与される。また、実施例1では、接触終端位置CEPが傾斜面34の形成範囲Lの後端位置に近い配置となるため、除変面積が最大限近く確保されている。なお、傾斜部29の傾斜角度が実施例1の20°から小さくなるほど、接触終端位置CEPが後退して傾斜面34の形成範囲Lの後端位置に近づくものの、接触終端位置CEPが形成範囲Lの後端位置に達したときの傾斜角度の値よりもさらに小さくなって10°に近づくと形成範囲Lの後側外部に至るものと考えられる。接触終端位置CEPが形成範囲Lの後端位置に達したとき、圧着治具30の傾斜面34から芯線12に付与される圧縮力及び除変面積が最大化されるものと考えられる。一方、傾斜部29の傾斜角度が実施例1の20°から大きくなるほど、接触終端位置CEPが前進して除変領域の前端位置に近づく傾向にあると考えられ、それに伴って圧着治具30の傾斜面34から芯線12に付与される圧縮力及び除変面積は縮小するか変動しない傾向(少なくとも殆ど増加しない傾向)にあると考えられる。
続いて、比較実験2について説明する。比較実験2は、上記した比較実験1と同じ実施例1及び比較例1,2についてそれぞれ圧着治具30の傾斜面34の形成範囲L(傾斜部29におけるX軸方向(並行部27と傾斜部29との並び方向)についての長さ寸法L)を0.8mm~1.2mmの範囲で変化させたときに、除変面積及び固着力がどのように変化するかについて知見を得るべく行われている。比較実験2の実験結果は、傾斜面34の形成範囲Lと除変面積との関係が図7に、傾斜面34の形成範囲Lと固着力との関係が図8に、それぞれ示されている。図7は、横軸を傾斜面34の形成範囲L(単位は「mm」)とし、縦軸を除変面積(単位は「mm2」)としたグラフである。図8は、横軸を、傾斜面34の形成範囲L(単位は「mm」)とし、縦軸を、電線11に引っ張り力を作用させて電線11が断線に至るまでに要した力である固着力(無単位)としたグラフである。
比較実験2の実験結果について説明する。図7及び図8の各グラフによれば、比較例1は、傾斜面34の形成範囲Lに対して、除変面積及び固着力がほぼ比例する傾向にあるものの、その変化率は最も小さなものとされる。比較例2は、傾斜面34の形成範囲Lが0.8mmまでは、除変面積及び固着力の変化率が比較例1より大きいものの、0.8mmより大きくなると、除変面積及び固着力の変化率がほぼ0となって飽和する傾向にある。そして、実施例1は、少なくとも傾斜面34の形成範囲Lが少なくとも1.0mmまでは、除変面積及び固着力の変化率が比較例1,2よりも大きくなっていて除変面積及び固着力が最大となっており、1.0mmより大きくなると除変面積及び固着力の変化率がほぼ0となって飽和する傾向にある。従って、実施例1のように傾斜部29の傾斜角度を20°とした上で、傾斜面34の形成範囲Lを1.0mm~1.2mmの範囲とすれば、除変面積及び固着力が共に十分に得られる、と言える。なお、図7及び図8の各グラフから、除変面積及び固着力は、傾斜面34の形成範囲Lの増減に伴って概ね同様に変動する傾向である、と言える。つまり、除変面積が大きくなるほど、固着力も大きなものとなる傾向にあり、その点では、実施例1のように傾斜部29の傾斜角度を20°として除変面積を大きく確保すれば、大きな固着力が得られる、と言える。
次に、傾斜部29の傾斜角度を20°に固定した上で、圧着治具30の傾斜面34の形成範囲L(傾斜部29におけるX軸方向についての長さ寸法L)を0mm~1.2mmの範囲で異なるものを用意し、それらの圧着治具30を用いて圧着した端子付き電線10の電線11の変位率と相対強度との関係について知見を得るべく比較実験3を行った。具体的には、比較実験3では、傾斜面34の形成範囲Lを0mm、0.2mm、0.4mm、0.6mm、0.8mm、1.0mm、1.2mmとしたものをそれぞれ用意し、これらの圧着治具30を用いて端子付き電線10の圧着作業をそれぞれ行っている。そして、圧着された端子付き電線10の電線11に引っ張り力を作用させて電線11が断線に至った相対強度と、断線に至るまでに伸びた電線11の変位率(伸び率)と、をそれぞれ測定した。その結果を図9に示す。図9は、横軸を、電線11に引っ張り力を作用させて電線11が断線に至るまでに伸びた電線11の変位率(単位は「%」)とし、縦軸を、電線11に引っ張り力を作用させて電線11が断線に至った相対強度(無単位)としたグラフである。この電線11の変位率は、例えば断線に至った電線11の長さを、引っ張り力を付与する前の電線11の長さにて除した比率により求められる。また相対強度は、端子金具20の圧着前後の電線11の強度比(圧着後の電線11の固着力を圧着前の電線11の強度で除した比率)である。なお、図9には、参考のため、端子金具20を圧着していない電線11のみを用いて上記のような引っ張り力の付与を行った場合のデータを二点鎖線にて示されており、図9の凡例中には「電線のみ」と記されている。
比較実験3の実験結果について説明する。図9のグラフによれば、傾斜面34の形成範囲Lが0mm、0.2mmとされた場合では、十分な相対強度に達する前の段階で電線11が断線しているのに対し、傾斜面34の形成範囲Lが0.4mm~1.2mmとされた場合では、十分な相対強度に達した後に電線11が断線している。従って、少なくとも傾斜面34の形成範囲Lを0.2mmよりも大きな値とすれば、十分な相対強度が得られる、と言える。そして、傾斜面34の形成範囲Lが0.0mmから1.0mmに至るまでの範囲において、相対強度は、傾斜面34の形成範囲Lに概ね比例するような関係にある。ここで、傾斜面34の形成範囲Lを0.4mm、0.6mm、0.8mmとしたもの同士を比較すると、相対強度に関しては、0.8mmとしたものと0.6mmとしたものとの差が、0.6mmとしたものと0.4mmとしたものとの差よりも格段に大きくなっていることが分かる。従って、傾斜面34の形成範囲Lが「0.8mm≦L≦1.2mm」の範囲とされることで、相対強度がより高いものとなる。さらには、傾斜面34の形成範囲Lが1.0mmから1.2mmの範囲とされると、相対強度が最大限近く高いものとなる。特に、傾斜面34の形成範囲Lが1.2mmとされる場合には、電線11の変位率が最大限近く大きなものとなるから、接続信頼性がより高いものとなっている。また、傾斜面34の形成範囲Lが1.2mm以上とされる場合には、圧着治具30の接触面31に占める傾斜面34(芯線圧着部26に占める傾斜部29)の長さ比率が大きくなるのに伴って平行面32(並行部27)の長さ比率が小さくなり過ぎるため、芯線12に対する接続信頼性が低下するおそれがあることから、傾斜面34の形成範囲Lは、最大値を1.2mmとするのが好ましいものとされる。
本実施形態に係る端子付き電線10の構成は以上のような構造であり、続いて端子付き電線10の製造方法を説明する。端子付き電線10の製造方法は、端子金具20における芯線受け部25に対して電線11の芯線12を配置する芯線配置工程と、圧着治具30を用いて芯線圧着部26をかしめ付けて芯線受け部25との間で芯線12を圧着する圧着工程と、を少なくとも備える。
芯線配置工程では、端子金具20を基台上に載置した上で、電線11の端末部の被覆13を除去することで露出した芯線12を、端子金具20におけるワイヤバレル部23を構成する芯線受け部25上にセットする。また、電線11の被覆13の端部を、インシュレーションバレル部24上にセットしておく。
圧着工程では、圧着治具30を用いて芯線圧着部26をかしめ付けるようにしており、それにより芯線12は、芯線受け部25と芯線圧着部26との間で圧着される。この圧着工程にて用いられる圧着治具30は、図6に示すように、芯線圧着部26に接触する接触面31が、芯線受け部25に並行する並行面32と、並行面32に対して後側(電線11の導出側)に連なって並行面32から離れるほど芯線受け部25との間の距離が大きくなるよう傾斜した傾斜面34と、を有していることから、かしめ付けられた芯線圧着部26は、圧着治具30の接触面31が転写された形状となる。つまり、芯線圧着部26は、芯線受け部25に並行する並行部27と、並行部27に対して後側に連なり、並行部27から離れるほど芯線受け部25との間の距離が大きくなるよう傾斜する傾斜部29と、を少なくとも備えることになる。芯線圧着部26における傾斜部29と芯線受け部25との間に圧着された芯線12は、傾斜部29の全域に対して接触することがなく、接触終端位置CEPよりも後側では傾斜部29とは非接触となっている。
そして、芯線圧着部26には、圧着治具30において並行面32に対してなす傾斜角度θが「10°<θ<30°」の範囲、好ましくは「θ=20°」とされる傾斜面34を有する接触面31が転写されることで、傾斜部29は、並行部27に対してなす傾斜角度θが「10°<θ<30°」の範囲、好ましくは「θ=20°」とされる。従って、傾斜部29における接触終端位置CEPが、圧着に際して用いられる圧着治具30と重畳する配置になるのに加えて、傾斜部29から芯線12に付与される圧縮力が十分に得られる。これにより、電線11に引っ張り力が作用した場合における電線11と端子金具20との間の固着力を十分に確保することができる。
以上説明したように本実施形態の端子付き電線10は、芯線12を有する電線11と、電線11の端末に接続される端子金具(端子)20と、端子金具20を構成し、芯線12を受ける芯線受け部25と、端子金具20を構成し、芯線受け部25との間で芯線12を圧着する芯線圧着部26と、芯線圧着部26を構成し、芯線受け部25に並行する並行部27と、芯線圧着部26を構成し、並行部27に対して電線11の導出側に連なって並行部27から離れるほど芯線受け部25との間の距離が大きくなるよう傾斜した傾斜部(傾斜部)29であって、並行部27に対してなす傾斜角度θが「10°<θ<30°」の範囲とされる傾斜部29と、を少なくとも備える。
電線11の端末に端子金具20を接続するに際しては、例えば、端子金具20を構成する芯線受け部25に電線11の芯線12を配置した状態で圧着治具30を用いて芯線圧着部26をかしめ付ける。芯線圧着部26は、芯線受け部25に並行する並行部27と、並行部27に対して電線11の導出側に連なる傾斜部29と、を少なくとも備えており、この傾斜部29は、並行部27から離れるほど芯線受け部25との間の距離が大きくなるよう傾斜している。このような構成の傾斜部29と芯線受け部25との間で圧着された芯線12は、傾斜部29の全域に対して接触することがなく、ある位置よりも電線11の導出側では傾斜部29とは非接触となっており、以下ではこの位置を接触終端位置CEPとする。この接触終端位置CEPは、並行部27に対する傾斜部29の傾斜角度に応じて変動するものとされる。
ここで、仮に並行部27に対する傾斜部29の傾斜角度が10°以下になると、傾斜部29における接触終端位置CEPが、圧着に際して用いられる圧着治具30よりも電線11の導出側の配置となり易い傾向にある。そのような配置になると、傾斜部29からの圧縮力を芯線12に十分に伝達できず、電線11に引っ張り力が作用した場合における電線11と端子金具20との間の固着力を十分に確保できなくなるおそれがある。その一方で、仮に並行部27に対する傾斜部29の傾斜角度が30°以上になると、傾斜部29における接触終端位置CEPが、圧着に際して用いられる圧着治具30と重畳する配置とはなるものの、圧着時に傾斜部29に芯線12が追従し難くなることから、接触終端位置CEPが並行部27と傾斜部29との境界位置に近い配置となる。このため、傾斜部29から芯線12に付与される圧縮力が十分に得られなくなり、電線11に引っ張り力が作用した場合における電線11と端子金具20との間の固着力を十分に確保できなくなるおそれがある。
その点、傾斜部29は、並行部27に対してなす傾斜角度θが「10°<θ<30°」の範囲とされているので、傾斜部29における接触終端位置CEPが圧着に際して用いられる圧着治具30と重畳する配置になり、且つ接触終端位置CEPが並行部27と傾斜部29との境界位置から十分な距離を空けた配置となることから、傾斜部29から芯線12に付与される圧縮力が十分なものとなる。これにより、電線11に引っ張り力が作用した場合における電線11と端子金具20との間の固着力を十分に確保することができる。
また、傾斜部29は、傾斜角度θが「θ=20°」とされる。このようにすれば、並行部27と傾斜部29との境界位置から傾斜部29における接触終端位置CEPまでの距離を最大限近くまで確保することができるので、傾斜部29から芯線12に付与される圧縮力を最大限近くにすることができる。これにより、電線11に引っ張り力が作用した場合における電線11と端子金具20との間の固着力を最大限近くまで確保することができる。
また、傾斜部29は、並行部27との並び方向についての長さ寸法Lが「0.2mm<L≦1.2mm」の範囲とされる。仮に傾斜部29の上記長さ寸法Lが0.2mm以下とされる場合には、並行部27と傾斜部29との境界位置から傾斜部29における接触終端位置CEPまでの距離が十分に確保されなくなるため、電線11に引っ張り力が作用した場合における電線11と端子金具20との間の固着力が不十分となって断線が生じ易くなる。その一方、傾斜部29の上記長さ寸法Lが1.2mm以上とされる場合には、芯線圧着部26に占める傾斜部29の長さ比率が大きくなるのに伴って並行部27の長さ比率が小さくなり過ぎるため、芯線12に対する接続信頼性が低下するおそれがある。その点、傾斜部29の上記長さ寸法Lが「0.2mm<L≦1.2mm」の範囲とされることで、並行部27と傾斜部29との境界位置から傾斜部29における接触終端位置CEPまでの距離が十分に確保されて電線11に引っ張り力が作用した場合における電線11と端子金具20との間の固着力が十分に得られるとともに、芯線圧着部26に占める並行部27の長さ比率が十分に確保されて芯線12に対する接続信頼性が十分に高いものとなる。
また、傾斜部29は、並び方向についての長さ寸法Lが「0.8mm≦L≦1.2mm」の範囲とされる。まず、電線11に引っ張り力が作用した場合における電線11と端子金具20との間の固着力は、一定の範囲において上記長さ寸法Lに比例するような関係にある。ここで、例えば、傾斜部29の上記長さ寸法Lを0.4mm、0.6mm、0.8mmとしたもの同士を比較すると、電線11に引っ張り力が作用した場合における電線11と端子金具20との間の固着力に関しては、0.8mmとしたものと0.6mmとしたものとの差が、0.6mmとしたものと0.4mmとしたものとの差よりも格段に大きくなる。従って、傾斜部29の上記長さ寸法Lが「0.8mm≦L≦1.2mm」の範囲とされることで、電線11に引っ張り力が作用した場合における電線11と端子金具20との間の固着力がより高いものとなる。
また、傾斜部29は、並び方向についての長さ寸法Lが「L=1.2mm」とされる。このようにすれば、電線11に引っ張り力が作用した場合における電線11と端子金具20との間の固着力が最大限近く高いものとなる。しかも、電線11に引っ張り力が作用した場合に、断線に至るまでに電線11に生じる変位率が最大限近く大きなものとなるから、接続信頼性がより高いものとなっている。
また、電線11は、芯線12がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。このようにすれば、芯線12がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる場合、芯線12の表面には強固な酸化膜が形成される。このため、芯線12と芯線圧着部26との電気的な接続を確実にするには、芯線圧着部26を芯線12に対して高圧縮状態で圧着することが求められることから、芯線12に断線が生じ易くなる傾向とされる。本明細書に開示された技術は、このような構成の端子付き電線10において特に有効である。
また、本実施形態の端子付き電線10の製造方法は、端子金具20における芯線受け部25に対して電線11の芯線12を配置する芯線配置工程と、圧着治具30を用いて芯線圧着部26をかしめ付けて芯線受け部25との間で芯線12を圧着する圧着工程であって、圧着治具30として、芯線圧着部26に接触する接触面31が、芯線受け部25に並行する並行面32と、並行面32に対して電線11の導出側に連なって並行面32から離れるほど芯線受け部25との間の距離が大きくなるよう傾斜した傾斜面(傾斜面)34であって、並行面32に対してなす傾斜角度θが「10°<θ<30°」の範囲となる傾斜面34と、を有するものを用いる圧着工程と、を少なくとも備える。
芯線配置工程にて端子金具20における芯線受け部25に対して電線11の芯線12を配置したら、続いて圧着工程を行う。圧着工程では、圧着治具30を用いて芯線圧着部26をかしめ付けるようにしており、それにより芯線12は、芯線受け部25と芯線圧着部26との間で圧着される。圧着工程にて用いられる圧着治具30は、芯線圧着部26に接触する接触面31が、芯線受け部25に並行する並行面32と、並行面32に対して電線11の導出側に連なる傾斜面34と、を有しており、この傾斜面34は、並行面32から離れるほど芯線受け部25との間の距離が大きくなるよう傾斜している。このような構成の圧着治具30によってかしめ付けられた芯線圧着部26は、圧着治具30の接触面31が転写された形状となる。つまり、芯線圧着部26は、芯線受け部25に並行する並行部27と、並行部27に対して電線11の導出側に連なり、並行部27から離れるほど芯線受け部25との間の距離が大きくなるよう傾斜する傾斜部29と、を少なくとも備えることになる。芯線圧着部26における傾斜部29と芯線受け部25との間に圧着された芯線12は、傾斜部29の全域に対して接触することがなく、ある位置よりも電線11の導出側では傾斜部29とは非接触となっており、以下ではこの位置を接触終端位置CEPとする。この接触終端位置CEPは、並行部27に対する傾斜部29の傾斜角度に応じて変動し得るものとされる。
ここで、仮に並行部27に対する傾斜部29の傾斜角度が10°以下になると、傾斜部29における接触終端位置CEPが、圧着に際して用いられる圧着治具30よりも電線11の導出側の配置となり易い傾向にある。そのような配置になると、傾斜部29から芯線12に付与される圧縮力を一定になるよう制御するのが困難となるため、同圧縮力が十分に得られなくなるおそれがある。このため、電線11に引っ張り力が作用した場合における電線11と端子金具20との間の固着力を十分に確保できなくなるおそれがあった。その一方で、仮に並行部27に対する傾斜部29の傾斜角度が30°以上になると、傾斜部29における接触終端位置CEPが、圧着に際して用いられる圧着治具30と重畳する配置とはなるものの、圧着に伴う傾斜部29の変形に芯線12が追従し難くなるため、傾斜部29から芯線12に付与される圧縮力が十分に得られなくなり、電線11に引っ張り力が作用した場合における電線11と端子金具20との間の固着力を十分に確保できなくなるおそれがある。
その点、芯線圧着部26には、圧着治具30において並行面32に対してなす傾斜角度θが「10°<θ<30°」の範囲とされる傾斜面34を有する接触面31が転写されることで、傾斜部29は、並行部27に対してなす傾斜角度θが「10°<θ<30°」の範囲とされる。従って、傾斜部29における接触終端位置CEPが、圧着に際して用いられる圧着治具30と重畳する配置になるのに加えて、傾斜部29から芯線12に付与される圧縮力が十分に得られる。これにより、電線11に引っ張り力が作用した場合における電線11と端子金具20との間の固着力を十分に確保することができる。
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に開示される技術に含まれる。
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に開示される技術に含まれる。
(1)上記した実施形態では、傾斜部(傾斜面)の傾斜角度θを「θ=20°」とした場合を示したが、同傾斜角度θを「10°<θ<30°」の範囲において適宜に変更することも勿論可能である。
(2)上記した実施形態では、傾斜面の形成範囲L(傾斜部の長さ寸法L)を「0.2mm<L≦1.2mm」の範囲とした場合を示したが、例えば電線の太さ、材質、構造(例えば芯線を構成する金属細線の巻き方など)や端子金具の板厚、材質などを変更した場合には、傾斜面の形成範囲Lの数値範囲は上記以外に変更することが可能である。
(3)上記した実施形態では、電線の芯線に係る材料であるアルミニウム合金の一例としてAl-Mg-Si系合金(6000系合金)を例示したが、これ以外の種類のアルミニウム合金を用いることも可能である。
(4)上記した実施形態では、電線の芯線に係る材料をアルミニウムまたはアルミニウム合金とした場合を示したが、電線の芯線に係る材料を銅または銅合金とすることも可能である。その場合、銅合金にアルミニウムが含有されていても構わない。
(5)上記した実施形態では、端子金具を銅または銅合金製とした場合を示したが、それ以外の材料を用いることも可能である。
(6)上記した実施形態では、前側傾斜部の傾斜角度や長さ寸法が傾斜部の傾斜角度や長さ寸法とほぼ同じとされた場合を示したが、前側傾斜部の傾斜角度や長さ寸法が傾斜部の傾斜角度や長さ寸法とは異なっていても構わない。つまり芯線圧着部は、前後非対称形状でもよい。
(7)上記した実施形態では、雌型の端子金具を例示したが、雄型の端子金具を用いることも可能である。
(8)上記した実施形態では、比較実験3において傾斜部の傾斜角度を20°に固定した場合を例示したが、傾斜部の傾斜角度θが「10°<θ<30°」の範囲内であれば、上記比較実験3の実験結果と概ね同様の結果が得られるものと推考される。
10:端子付き電線、11:電線、12:芯線、20:端子金具(端子)、25:芯線受け部、26:芯線圧着部、27:並行部、29:傾斜部、30:圧着治具、31:接触面、32:平行面、34:傾斜面、X軸:並び方向
Claims (6)
- 芯線を有する電線と、
前記電線の端末に接続される端子と、
前記端子を構成し、前記芯線を受ける芯線受け部と、
前記端子を構成し、前記芯線受け部との間で前記芯線を圧着する芯線圧着部と、
前記芯線圧着部を構成し、前記芯線受け部に並行する並行部と、
前記芯線圧着部を構成し、前記並行部に対して前記電線の導出側に連なって前記並行部から離れるほど前記芯線受け部との間の距離が大きくなるよう傾斜した傾斜部であって、前記並行部に対してなす傾斜角度θが「10°<θ<30°」の範囲とされる傾斜部と、を少なくとも備える端子付き電線。 - 前記傾斜部は、前記並行部との並び方向についての長さ寸法Lが「0.2mm<L≦1.2mm」の範囲とされる請求項1記載の端子付き電線。
- 前記傾斜部は、前記並び方向についての長さ寸法Lが「0.8mm≦L≦1.2mm」の範囲とされる請求項2記載の端子付き電線。
- 前記傾斜部は、前記並び方向についての長さ寸法Lが「L=1.2mm」とされる請求項3記載の端子付き電線。
- 前記電線は、前記芯線がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の端子付き電線。
- 端子における芯線受け部に対して電線の芯線を配置する芯線配置工程と、
圧着治具を用いて芯線圧着部をかしめ付けて前記芯線受け部との間で前記芯線を圧着する圧着工程であって、前記圧着治具として、前記芯線圧着部に接触する接触面が、前記芯線受け部に並行する並行面と、前記並行面に対して前記電線の導出側に連なって前記並行面から離れるほど前記芯線受け部との間の距離が大きくなるよう傾斜した傾斜面であって、前記並行面に対してなす傾斜角度θが「10°<θ<30°」の範囲となる傾斜面と、を有するものを用いる圧着工程と、を少なくとも備える端子付き電線の製造方法。
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