WO2017164306A1 - 脚カバーならびにそれを備える雨合羽 - Google Patents

Abstract

本発明の脚カバー（１）は、雨合羽（５）との組合わせで好適に使用される脚カバーにおいて、ファスナー（１４）で展開して、筒状の脚カバー本体（２）を使用者（６）の脚部（６３）に巻付けられるようにする。そして、その筒状の脚カバー本体（２）を、使用者（６）の肩部（６７，６８）から垂下させた懸架用紐体（３）によって吊下げる。懸架用紐体（３）は、前記肩部（６７，６８）に襷掛けの係止部（３１）と、その係止部（３１）において、使用者（６）の脇の下（６６）から垂下する垂下部（３３）とによって構成する。したがって、使用者の股の内側から下腹部および臀部は露出しており（カバーに覆われておらず）、ムレを防ぐことができる。また、雨合羽やジャンパーなどの上着との組合わせは任意となり、傷んだ場合の交換も別途に行うことができる。

Description

脚カバーならびにそれを備える雨合羽

　本発明は、釣りや自転車に乗車する際に好適に利用され、オーバーパンツなどとしてズボンの上に穿かれるなどして、風雨、汚れ、寒さなどから、使用者の脚部を保護する脚カバーに関し、好適には雨合羽と併用、たとえばセット販売されるのに関する。

　上記のような脚カバーを備える雨合羽は、特許文献１で提案されている。その特許文献１によれば、筒状の脚カバーの左右の側が上着の裏側に縫い付けられるとともに、脚カバーは、上に折り畳まれて、胸から腹の辺りに収納されている。そして、使用時は、脚カバーは、下に垂らされ、展開されている状態から内股部分がファスナーで止められることで筒にされ、脚に巻付いて、該脚をカバーするようになっている。こうして、日常的に違和感なく着衣できるととともに、歩行中や二輪車走行中の降雨に、座った状態でも、迅速かつ容易に、全身及び靴までカバーできる完全雨具としてのレインコートが提案されている。

　上述の特許文献１は、脚カバーまで雨合羽に内蔵して、必要な時は直ちに、靴を脱がなくても、脚カバーを装着できるようにした点で、優れている。しかしながら、上述のように、筒状の脚カバーの左右の側が上着の裏側に縫い付けられているので、使用者が、展開した状態の該脚カバーを脚に巻き付け、ファスナーを閉めて筒状にすると、該脚カバーの前記縫い付けてある部分で、上着（雨合羽）は使用者に密着する。このため、特に気温の高い夏季には、使用者の下腹部から臀部が、ムレて不快であるという問題がある。
特開２０１０－３７７０５号公報

　そこで本発明は、ムレ難い脚カバーならびにそれを備える雨合羽およびジャンパーを提供することを目的とする。

　本発明の脚カバーならびにそれを備える雨合羽は、オーバーパンツなどとして使用される脚カバーにおいて、脚カバー本体は着脱のために展開可能な一対の筒状に形成され、その筒状の脚カバー本体は、たとえば紐や帯状の、懸架用紐体によって使用者の肩部から、或いは支持用紐体によって使用者の腹部から、それぞれ吊下げられる。

　それゆえ、使用者の股の内側から下腹部および臀部は露出しており（カバーに覆われておらず）、ムレを防ぐことができる。

本発明の実施の第１の形態に係る脚カバーの使用方法を説明するために前記脚カバーを使用者が着用した状態の正面図である。 図１で示す脚カバーを使用者が着用した状態の側面図である。 図１で示す脚カバーを使用者が着用した状態の背面図である。 図１で示す脚カバーを雨合羽と共に使用者が着用した状態の正面図である。 図１で示す脚カバーの吊下げ状況を説明する斜視図である。 図１で示す脚カバーの吊下げ状況を説明する斜視図である。 本発明の実施の第２の形態に係る脚カバーの使用方法を説明するために前記脚カバーを使用者が着用した状態の正面図である。 図７で示す脚カバーを使用者が着用した状態の側面図である。 本発明の実施の第３の形態に係る脚カバーに用いられる吊り部材の一使用例での斜視図である。 図９で示す吊り部材の他の使用例での斜視図である。 本発明の実施の第４の形態に係る脚カバーに用いられる吊り部材の斜視図である。 図１１で示す脚カバーを使用者が着用した状態の側面図である。 本発明の実施の第５の形態に係る脚カバーに用いられる吊り部材の斜視図である。 図１３で示す吊り部材の他の斜視図である。 本発明の実施の第６の形態に係る脚カバーに用いられる吊り部材の斜視図である。 本発明の実施の第７の形態に係る脚カバーの使用方法を説明するために前記脚カバーを使用者が着用した状態の正面図である。 図１６を斜め側面から見た斜視図である。 図１６および図１７の脚カバーの他の使用方法を説明する正面図である。 図１６～図１８の脚カバーにおいて足の甲に設けられるフラップ付近を拡大して示す斜視図である。 前記フラップおよびその追加部品を拡大して示す斜視図である。

（実施形態１）
　図１は本発明の実施の第１の形態に係る脚カバー１の使用方法を説明するために前記脚カバー１を使用者６が着用した状態の正面図である。図２は、図１の側面図である。図３は、図１，図２の背面図である。図４は、図１～図３の脚カバー１を雨合羽５と共に使用者６が着用した状態の正面図である。脚カバー１は、好適には、図４で示すように、雨合羽５と併用され、たとえば釣りや２輪車（自転車、バイク）の運転の際に使用される。そして、本実施形態の脚カバー１は、使用者６が靴７を脱ぐこと無く、必要に応じて、装着する（穿く）ことができものである。雨合羽５は、図４の例では、中央部に形成された開口部５１から、使用者６の頭部６１を出して被る、いわゆるポンチョの形態のものであるが、通常の簡易のレインコートのように、前開きで、釦やファスナーで閉じるような形態のものでもよい。或いは、本実施形態の脚カバー１は、雨合羽５ではなく、厚手の生地で、防寒機能などを備えたジャンパーなどと併用されてもよく、このように本実施形態の脚カバー１は、上着との組合わせを選ばない。

　本実施形態の脚カバー１は、好適には、上記雨合羽５やジャンパーなどの上着に組合わせて使用され、オーバーパンツなどとして、ズボン８の上に穿かれるなどして、風雨、汚れ、寒さなどから、使用者６の脚部６３を保護するものである。雨合羽５において、使用者６の頭部６１を保護するフード５２や、頚部６２を覆うタートルネック５３は、適宜設けられていればよい。雨合羽５の裾５４には、左右の脚部６３の間で、前後を連結する釦などの係止部材５９が設けられており、この係止部材５９を止めることで、前記２輪車乗車時に、風圧による裾５４の捲り上がりを防止できるようになっている。

　本実施形態の脚カバー１は、使用者６の脚部６３（ズボン８）を通す左右一対の脚カバー本体２と、その脚カバー本体２を使用者６の体から吊下げる懸架用紐体３とを備えて構成される。

　脚カバー本体２は、使用者６の太股６４から足首６９付近の脚部６３を覆う筒状に形成される。そして、その筒が少なくとも周方向の１箇所（本実施形態では１箇所のみ）において、ファスナー１４によって、軸方向に分離することで、該脚カバー本体２は周方向に展開して装脱可能に構成されている。これによって、使用者６は、上着である雨合羽５を着たままで、しかも自転車のサドルなどに腰掛けたまま、靴７を脱ぐこと無く、脚部６３に巻き付けて、当該脚カバー本体２を装着できるようになっている。

　特に、ファスナー１４は、図５で示すように、上（太股６４）側に連結基端１４１が設けられ、使用者６が下（踝）側に向けてスライダー１４２（図４図示）をずらしてエレメント（務歯）を閉じてゆくように構成されると、使用者６にとって煩雑になりがちな装着作業を、容易にできる。こうして、ファスナー１４を使用することで、展開していた脚カバー本体２を簡単に筒状にすることができるとともに、連結部分の気密性を高め、風雨の侵入を抑えることもできる。ファスナー１４は、本実施形態では、防水構造のもの（透水性が少ないもの）を採用しているが、通常のファスナーで、表面側をフラップで覆って、水が通り難く構成されていてもよい。そうすることで、ファスナー１４のコストを下げることができるとともに、該ファスナー１４が軟らかくて、脚カバー本体２を畳み易くすることもできる。

　そして、本実施形態では、その筒状の左右一対の脚カバー本体２を、懸架用紐体３によって、使用者６の体から吊下げる。詳しくは、本実施形態では、その懸架用紐体３を、襷状に使用者６の左右両肩部６７，６８にそれぞれ係止する係止部３１と、係止部３１の脇の下６６付近から垂下する垂下部３３とを備えて構成する。これに対応して、各脚カバー本体２には、筒の頂部付近において、体側部６０と大腿四頭筋６５の内側との２箇所から、垂下部３３に連結される吊下げ用紐体２１，２２が延びて形成される。本実施形態では、吊下げ用紐体２１，２２は、１本の紐体２０で形成され、その紐体２０の途中に、該紐体２０上を移動可能な連結部材２３によって、垂下部３３に連結される。

　紐体２０側の前記連結部材２３は、垂下部３３の下端に設けられた連結部材３５に嵌め込まれ、相互に嵌着する。使用者６が、連結部材３５に設けられたリリース釦３５１をプッシュ操作することで、連結部材２３を連結部材３５から切離すことができる。前記１本の紐体２０で、一方の吊下げ用紐体２２の先端には、連結部材２４が設けられており、この連結部材２４は、前記筒状の脚カバー本体２の頂部付近において、大腿四頭筋６５の内側に縫い付けられている連結部材２５と、前記連結部材２３，３５と同様な構成で、連結／解放自在となっている。同様に、前記１本の紐体２０で、他方の吊下げ用紐体２１の先端には、連結部材２６が設けられており、この連結部材２６は、前記筒状の脚カバー本体２の頂部付近において、体側部６０に縫い付けられている連結部材２７と、連結／解放自在となっている。本実施形態では、連結部材２４には、吊下げ用紐体２２を折返して、適宜長さ調整可能なフリーストップのアジャスターが設けられており、その長さ調整によって、脚カバー本体２の吊下げ高さを調整することができる。

　脚カバー１において、連結部材２４，２５；２６，２７に代えて、吊下げ用紐体２１，２２の先端に、所謂サスペンダーにおけるクリップのように、筒状の脚カバー本体２の上部を内外から挟み込んで、吊下げる部品を設けるようにしてもよい。その場合、脚カバー本体２側には、連結部材２５，２７などは何ら設けられず、該脚カバー本体２は、展開可能な筒状に形成されるだけでよい。

　図１や図２において、使用者６の左脚について示すように、連結部材２４，２５；２６，２７は、それらが設けられず、吊下げ用紐体２２，２１（２０）の端部が、直接、脚カバー本体２の上部に縫い付けられてもよい。その場合、吊下げ用紐体２１，２２下端部が、直接、脚カバー本体２にそれぞれ縫い付けられ、吊下げ用紐体２１，２２間の連結部分に、アジャスターが設けられるようにしてもよい。この吊下げ用紐体２２，２１（２０）は、伸縮性を有する材料から成ることが好ましい。そうすることで、使用者６が脚部６３を後ろに蹴る際に該吊下げ用紐体２２，２１（２０）が伸長し、脚部６３の動きがスムーズになる。

　また、本実施形態では、吊下げ用紐体２２，２１（２０）は、帯状体から成るけれども、断面が円柱状の紐から構成されてもよい。しかしながら、帯状体の場合、連結部材２４，２５；２６，２７との連結が容易であり、好ましい。詳しくは、帯状体の端部を、連結部材２４，２５；２６，２７の連結孔に通して折返し、縫い合わせることで連結を行うことができ、円柱状の紐であれば、縫い合わせに技術を要する。

　垂下部３３は、下端に前記連結部材３５が取付けられる吊下げ用紐体３３１と、図６で示すように、吊下げ用紐体３３１の上端に連結される取付け片３３２と、それらを連結する連結部材３３３と、吊下げ用紐体３３１に設けられるアジャスター３３４とを備えて構成される。吊下げ用紐体３３１の上端側は、環状の連結部材３３３を通して折返され、さらにアジャスター３３４を通して折返され、縫い合わせられている。連結部材３３３には、取付け片３３２も挿通しており、その取付け片３３２の両端部に設けられた釦３３５が相互に係止することで、該取付け片３３２が環状になり、使用者６の脇の下６６付近で、係止部３１に係止する。吊下げ用紐体３３１および取付け片３３２も、断面が円柱状の紐から構成されてもよく、また伸縮性を有する材料から形成されてもよい。

　係止部３１は、肩掛け用紐体３１１と、図６で示す連結部材３１２と、図１で示すアジャスター３１３とを、２組備えて構成される。そして、一方の組の肩掛け用紐体３１１の一端部は、アジャスター３１３で折返されて縫い合わせられて、該端部にアジャスター３１３が設けられ、他端側は連結部材３１２を通して再びアジャスター３１３を通った後、他方の組の連結部材３１２を通して縫い合わせられる。こうして、２組の肩掛け用紐体３１１は環状に成り、途中が、図３で示すようにＸ字状となるように縫い合わせられることで、該係止部３１は、前記襷掛け可能となっている。そして、アジャスター３１３による長さ（体格）調整とともに、肩掛け用紐体３１１が伸縮可能な材料から成ることで、使用者６の動きが容易になる。この肩掛け用紐体３１１も、断面が円柱状の紐から構成されてもよい。

　以上のように、本実施形態の脚カバー１は、使用者６の脚部６３を筒状の脚カバー本体２で覆い、その脚カバー本体２を使用者６の肩部６７，６８から垂下させた懸架用紐体３によって吊下げる。これによって、使用者６の股８１の内側から下腹部８２および臀部８３は露出しており（カバーに覆われておらず）、ムレを防ぐことができる。また、雨合羽５やジャンパーなどの上着との組合わせは任意となり、組合わせの制約が無く、傷んだ場合の交換も別途に行うことができる。さらにまた、使用者６がジャケットなどの上着を着用していれば、肩部６７，６８からの懸架用紐体３は該上着で覆い隠されるので、屋外内への出入りに対して、懸架用紐体３を装着したままで、該懸架用紐体３と脚カバー本体２とを連結／解放することで、脚カバー本体２を容易に着脱することができる。

　また、本実施形態の脚カバー１は、筒状の脚カバー本体２の頂部付近で、周方向に間隔を開けた２箇所から、吊下げ用紐体２１，２２を延ばして懸架用紐体３に連結するので、１箇所で吊下げを行った場合に生じるような、斜めの引っ張り上げによるズボン８の内側の捲り上がりや、脚部６３の動きが規制（動かし難い）されるようなことが少なくなる。また、その２箇所の吊下げを、体側部６０と大腿四頭筋６５の内側とで行う、すなわち大腿四頭筋を挟んで内外で行うことで、脚部６３の動きによる脚カバー本体２の周方向の回転を、起こり難くすることができる。

　さらにまた、本実施形態の脚カバー１は、懸架用紐体３を、襷状に使用者６の左右両肩部６７，６８に係止する係止部３１と、その係止部３１の脇の下６６付近から垂下する垂下部３３とを備えて構成され、それらは、使用者６が上着を着用していれば覆い隠されるので、使用者６は、脚カバー本体２の脱着の際に該係止部３１を脱着する必要が無くなり、屋外内への出入りが頻繁な場合に好適である。そして、相対的に、吊下げ用紐体２１，２２が短く、垂下部３３が長く形成されて、垂下部３３の下端が比較的短距離で脚カバー本体２に連結されるようにすることで、該垂下部３３の下端側をスカートの中に通すことができ、使用者６がスカートを着用している場合にも、脚カバー本体２を着用できるようになる。さらにまた、係止部３１は、襷掛けすることで、ズボン吊り（サスペンダー）のように、肩部６７，６８からずり落ちる可能性も少なく、装着感が良くなる。

　そして、吊下げ用紐体２１，２２と懸架用紐体３の垂下片３３１との間は、一対の嵌着片２３，３５によって連結されるので、この嵌着片２３，３５の部分で連結／解放を行うことができる。これによって、上述のように上着を着用する場合、脚カバー本体２の着脱のために、上着を脱いだり着たりする必要が無くなり、前記屋外内への出入りが頻繁な場合に好適である。

　さらにまた、本実施形態の脚カバー１では、垂下部３３には、その長さ調整を行うアジャスター３３４を備えている。これによって、脚カバー本体２の吊下げ高さを調整することができ、脚部６３の長さ（身長）の違いを、少ないサイズで対応することができ、脚カバー１の低コスト化を図ることができる。

　また、本実施形態の脚カバー１では、吊下げ用紐体２１，２２は１本の紐体２０で形成され、その１本の紐体２０の途中に該１本の紐体２０上を移動可能な連結部材２３を設け、懸架用紐体３の垂下部３３に連結している。したがって、吊下げ用紐体２１，２２および垂下部３３は逆Ｙ字に配置されることになり、そのＹ字の２股の連結部分が相互に行き来可能になるので、装着時に連結部材２３の位置に偏りがあっても、歩いたり、或いは時間が経過することで、吊下げ用紐体２１，２２の左右の寸法配分が適性になり、好ましい。

（実施の形態２）
　図７は、本発明の実施の第２の形態に係る脚カバー４の使用方法を説明するために前記脚カバー４を使用者６が着用した状態の正面図である。図８は、図７の側面図である。この脚カバー４は、上述の脚カバー１に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。この脚カバー４は、脚カバー１における、吊下げ用紐体２１，２２を備える同一の脚カバー本体２を備えるとともに、新たに、支持用紐体４０を備えて構成される。支持用紐体４０は、懸架用紐体３における垂下部３３を備えるとともに、係止部３１に代えて、使用者６の腹部８４に巻付けられる紐体本体４１が用いられることを特徴としている。

　詳しくは、垂下部３３については、懸架用紐体３と同様であるが、吊下げ位置が肩部６７，６８から腹部８４に下がる関係で、吊下げ用紐体３３１が短くなっている。紐体本体４１は、ズボン８やスカートのベルト位置、或いは高くても腹囲となる臍の位置位までの間に巻付けられる。そして、紐体本体４１に、釦３３５を止めることで環状になった前記取付け片３３２が取付くことで、垂下部３３から吊下げ用紐体２１，２２を介して、該紐体本体４１に脚カバー本体２が吊下げられる。紐体本体４１の一端にはアジャスター付きの嵌着片４２が取付けられ、他端側の嵌着片４３と相互に嵌着することで、該紐体本体４１は前記腹部８４に係止される。

　このように構成してもまた、本実施形態の脚カバー４は、ムレを防ぐことができるとともに、雨合羽５やジャンパーなどの上着と任意に組合わせて使用することができる。

（実施の形態３）
　図９は、本発明の実施の第３の形態に係る脚カバーに用いられる吊り部材９の一使用例での斜視図である。図１０は、前記吊り部材９の他の使用例での斜視図である。注目すべきは、この吊り部材９は、前述の脚カバー１に用いられる係止部３１と、上述の脚カバー４に用いられる紐体本体４１として、共用可能となっていることである。残余の垂下部３３や、吊下げ用紐体２１，２２（２０）を備えた脚カバー本体２は、脚カバー１，４と同様である。この吊り部材９は、相互に略等しい一対の紐体９１，９２から構成される。

　各紐体９１，９２は、使用者６の身体に巻付く紐体本体９１１，９２１と、各紐体本体９１１，９２１において、一方の端部に取付けられる雌の嵌着片９１２，９２２および他方の端部に取付けられる雄の嵌着片９１３，９２３と、前記各端部を折返して取付けられるアジャスター９１４，９１５；９２４，９２５と、係止片９１６，９２６とを備えて構成される。本実施形態では、各紐体本体９１１，９２１の実際の端部は、嵌着片９１２，９１３；９２２，９２３で折返されて、アジャスター９１４，９１５；９２４，９２５に連結されているが、紐体本体９１１，９２１が充分な伸縮性を有する場合、アジャスター９１４，９２４と９１５，９２５との一方または両方が省略され、紐体本体９１１，９２１の端部に嵌着片９１２，９１３；９２２，９２３が直接取付けられていてもよい。そして、各紐体本体９１１，９２１の略中間位置には、係止片９１６，９２６が設けられている。係止片９１６，９２６の、一方は雌で、他方は雄で、相互に係止する。

　このように構成することで、図９で示すように、一対の紐体９１，９２の嵌着片９１２，９１３と９２３，９２２とを互いに連結するとともに、係止片９１６，９２６を相互に係止することで、襷状に使用者６の左右の肩部６７，６８に係止する係止部３１を構成することができる。また、図１０で示すように、一対の紐体９１，９２の一方のみを使用して、その嵌着片９１２，９２２と９１３，９２３とを連結することで、使用者６の腹部８４に巻付けられる紐体本体４１を構成することができる。こうして、脚カバー本体２とセットとする吊り部材９を１種類として、品数を減らすことができるとともに、使用者６は、状況に応じて、脚カバー本体２の吊り方を選択することができる。

　本実施形態でも、紐体本体９１１，９２１は帯状体から成るけれども、断面が円柱状の紐状体であってもよい。しかしながら、その帯状体であることで、一対の釦から成る係止片９１６，９２６や嵌着片９１２，９１３；９２２，９２３の取付けが容易であるとともに、アジャスター９１４，９１５；９２４，９２５の構造も簡略化することができる。

　そして、紐体本体９１１，９２１が帯状体から成る場合、雌雄の嵌着片９１２，９２２；９１３，９２３は、帯の表裏が一致した状体でのみ相互に嵌着することが好ましい。そうすることで、着用時に不快な、帯の捻れの発生を抑えることができる。また、紐体本体９１１，９２１が帯状体から成る場合、図９で示すように、雌雄の係止片９１６，９２６は、一方が帯の表側、他方が帯の裏側に設けられることが好ましい。そうすることで、左右の係止部３１のどこかで捻れるので、使用者６の体に帯（の面）が沿い、装着感が良くなる。一方、捻れが無ければ、帯の角が体に立ち、装着感が悪くなる。

　本実施形態の吊り部材９は、襷状の係止部３１としては、ズボン８を吊下げるサスペンダーとして使用されたり、腹部８４に巻付けられる紐体本体４１としては、ウエストポーチを吊下げるために用いられたり等、脚カバー本体２の吊下げ以外にも好適に用いることができる。その場合の吊り部材は、
　相互に略等しい一対の紐体から成り、
　前記各紐体は、
　　使用者の身体に巻付く紐体本体と、
　　前記各紐体本体において、一方の端部に取付けられる雌の嵌着片および他方の端部に取付けられる雄の嵌着片と、
　　前記各紐体本体の略中間位置において、一方の紐体本体に取付けられる雌の係止片および他方の紐体本体に取付けられる雄の係止片とを備え、
　前記一対の紐体の嵌着片を互いに連結するとともに、前記係止片を相互に係止することで、該一対の紐体は襷状に前記使用者の左右両肩に係止することができ、
　前記一対の紐体の一方のみを使用して、その嵌着片を連結することで、該紐体は前記使用者の腹部に巻付けられ、
　前記紐体で任意の装身具を吊下げることを特徴とする。
（実施の形態４）
　図１１は、本発明の実施の第４の形態に係る脚カバーに用いられる吊り部材４ａの斜視図である。この吊り部材４ａは、前述の吊り部材４に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。この吊り部材４ａは、使用者６の腹部８４に巻付けて使用される。注目すべきは、この吊り部材４ａでは、紐体本体４１には、長手方向（使用者６の腹囲）に摺動可能な２つの吊下げリング４５，４６が挿通されていることである。この吊下げリング４５，４６は、より幅が広い嵌着片４２，４３によって抜け止めされている。これに対応して、吊下げ用紐体３３１には、図７で示すような釦３３５付きの取付け片３３２ではなく、図１２で示すカラビナ３９や、Ｄカンなどが取付けられる。

　このように構成することで、吊下げリング４５，４６を適切な位置にずらして、前記カラビナ３９やＤカンを止める（引っ掛ける）ことで、脚カバー本体２を容易に吊下げることができる。また、前記カラビナ３９やＤカンを用いることで、図１２で示すように、ズボン８のベルト通し８９が適切な位置にある場合、吊り部材４ａを用いることなく、脚カバー本体２をズボン８に直接吊下げることが可能になり、装着感が良くなる。

　図１１の吊り部材４ａは、係止片９１６，９２６が設けられていない単体の紐体として示しているが、それらが用いられて、図９の吊り部材９のように、２本を襷として使用するようにしてもよい。
（実施の形態５）
　図１３および図１４は、本発明の実施の第５の形態に係る脚カバーに用いられる吊り部材４ｂの斜視図である。図１３と図１４とでは、嵌着片４２，４３や紐体本体４１ｂの図示が、表裏で異なっている。上述の吊り部材４ａにおける吊下げリング４５，４６に代えて、この吊り部材４ｂでは、カラビナ３９やＤカンなどを引っ掛けるために、紐体本体４１ｂに、並行して吊下げベルト４７が設けられている。帯状の紐体本体４１ｂには、その長手方向に間隔を開けて一対の通し孔４８が穿設されており、その通し孔４８に、帯の表面から裏面に抜け、再び表面に戻るように、かつ長手方向に摺動可能に、前記吊下げベルト４７が通されている。吊下げベルト４７は、その通された状態で、参照符号４９で示すような所定の弛みをもって、両端４７ｂ１，４７ｂ２付近が、紐体本体４１ｂの両端４１ｂ１，４１ｂ２付近に固着される（本実施形態では縫い付けられている）。そして、使用者６が前記長手方向の所望の２箇所に形成した吊下げベルト４７の緩み４９に、左右の前記カラビナ３９やＤカンなどが引っ掛けられる。

　このように構成することで、使用者６の腹囲の任意の位置に緩み４９を形成し、その緩み４９に前記カラビナ３９やＤカンを引っ掛けることで、脚カバー本体２の吊下げ位置の調整を容易に行い、また吊下げ自体も容易に行うことができる。

　また、この吊り部材４ｂでは、紐体本体４１ｂの両端４１ｂ１，４１ｂ２は、嵌着片４３，４２で折返されるが、その両端４１ｂ１，４１ｂ２には、リング状の結束片４４が設けられ（本実施形態では縫い付けられている）、折返し前の紐体本体４１ｂと一体化するようになっている。この結束片４４の位置をずらすことで、使用者６の腹囲の長さ（ウエスト）に対応することができ、本実施形態では、胴太から胴細までの体型に対応可能である。こうして、前述のアジャスター９１４，９１５；９２４，９２５を不要にすることができる。この結束片４４が設けられる点は、上述の図１１で示す吊り部材４ａも同様である。
（実施の形態６）
　図１５は、本発明の実施の第６の形態に係る脚カバーに用いられる吊り部材４ｃの斜視図である。この吊り部材４ｃは、図１３および図１４で示す吊り部材４ｂに類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。注目すべきは、この吊り部材４ｃでは、前記カラビナ３９やＤカンなどを引っ掛ける吊下げベルト４７ｃは、予め定める間隔を開けて、紐体本体４１ｃに、前記参照符号４９で示すような所定の弛みをもって、縫い目５０で縫い付けられていることである。

　したがって、吊り部材４ｂにおける一対の通し孔４８を穿設する必要が無くなる。これによって、縫い目５０を形成する必要は生じるものの、通し孔４８の穿設および該通し孔４８の周囲の補強のための縁縢り、ならびに吊下げベルト４７を通す作業は不要となり、加工時間を大幅に短縮することができる。ただし、この吊り部材４ｃでは、左右に複数箇所の弛みが生じるので、上着との干渉や、使用者６の身の回りへの引っ掛かりを考慮する場合、吊り部材４ｂが採用されても良いことは勿論である。
（実施形態７）
　図１６は、本発明の実施の第７の形態に係る脚カバー４ａの使用方法を説明するために前記脚カバー４ａを使用者６が着用した状態の正面図である。図１７は、図１６を斜め側面から見た斜視図である。図１８は、他の使用方法を説明する正面図である。この脚カバー４ａは、上述の脚カバー１，４などに類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。この脚カバー４ａは、脚カバー本体２ａと、支持用紐体４０ａとを備えて構成される。

　先ず、本実施形態の脚カバー４ａは、脚カバー本体２ａの筒の頂部付近の２箇所から吊下げ用紐体２１，２２が伸びており、その２箇所が、使用者６の大腿四頭筋６５を境界として、その内外２箇所である点も、脚カバー１，４と同様である。これによって、１箇所で吊下げを行った場合に生じるような、斜めの引っ張り上げによる内側のズボン８の捲り上がりや、脚６３の動きが規制（動かし難い）されるようなことが少なくなる。また、その２箇所の吊下げを、大腿四頭筋を挟んで内外で行うことで、脚６３の動きによる該脚カバー本体２ａの周方向の回転を、起こり難くすることができる。

　注目すべきは、本実施形態の脚カバー４ａでは、吊下げ用紐体２１，２２の端部に、釦２８が設けられ、前記脚カバー本体２ａの筒の頂部付近に設けられる釦２９と付替え自在であることである。そして、吊下げ用紐体２１，２２を、一対で、図１６や図１７および図１８の右脚で示すように、内股６４０側に寄せたり、図１８の左脚で示すように、体側部６０に寄せたりできるようになっている。図１６～図１８の例では、釦２９は、４箇所設けられており、奇数番目の組または偶数番目の組を、一対で使用するようになっている。

　吊下げ用紐体２１，２２は、１本の紐体２０から成り、途中が連結部材３３７によって、吊下げ用紐体３３１に連結されている。吊下げ用紐体３３１の途中には、アジャスター３３４が設けられる。吊下げ用紐体３３１は、連結部材３５３，３５２を介して取付け片３３６に着脱自在であり、その取付け片３３６にはカラビナ３９が取付けられている。

　したがって、使用者６の脚部６３に脚カバー本体２ａを巻付け、カラビナ３９をズボン８のベルト通し８９に係止し、連結部材３５３，３５２を連結することで、使用者６は該脚カバー４ａを装着することができる。そして、上述のように、使用者６の大腿四頭筋６５を境界として、その内外２箇所において、吊下げ用紐体２１，２２の吊下げ位置が変更可能である。そのため、たとえば図１８の左脚のように、歩行の際は体側部６０を基本に、該歩行の障害とならないようにし、図１６、図１７および図１８の右脚で示すように、自転車などの乗車の際は、膝が高く上がるように内股６４０を基本とするような、使用者６の動きに合せた位置から、吊下げ用紐体２１，２２を引出すことができる。

　なお、吊下げ用紐体２１，２２の吊下げ箇所は、上述のように２組に限らず、釦２９がさらに多数設けられて、より細かく調整可能となっていてもよい。また、同様の効果を、釦２８，２９に代えて面ファスナーを用い、脚カバー本体２ａの筒の頂部付近に設けられる釦２９に代わる面ファスナーを、帯状に形成してもよい。

　さらに本実施形態の脚カバー４ａでは、各脚カバー本体２ａの筒の頂部付近において、その外周を収縮する緊縛紐３７が設けられている。緊縛紐３７は、前記脚カバー本体２ａの筒の頂部付近を折返し、縫合わせて形成された筒内を通される可撓性の紐３７１と、その紐３７１の筒内の長さを任意の位置で調整可能なアジャスター３７２とを備えて構成される。このように構成することで、個人差の大きい太股６４の太さに対応することができ、脚カバー本体２ａの不所望なずり上がりやずり下がりを抑えることができるとともに、脚カバー本体２ａのサイズ数を少なくして、コストを削減することもできる。

　また、本実施形態の脚カバー４ａでは、脚カバー本体２ａの筒の下端側には、使用者６の足の甲７０を覆うフラップ３８が設けられている。これによって、足の甲７０側からの、特に雨の際の水の浸入を抑えることができる。

　図１９は、フラップ３８付近を拡大して示す斜視図である。本実施形態の脚カバー４ａでは、フラップ３８の両側部間を、使用者６の靴７の土踏まず７１の部分を通して緊縛する連結ベルト３８１をさらに備えている。そうすることで、風などによる該フラップ３８の捲り上がりを防止することができ、特に２輪車乗車時の雨水の浸入防止に効果的である。さらに、連結ベルト３８１は、土踏まず７１の部分を通して、フラップ３８の両側を所定の張力で連結するので、フラップ３８の断面は円弧状となって、中央部分３８２は使用者６の靴７の甲に密着し、周縁部分３８３，３８４は靴７との隙間を小さくすることができる。こうして、雨水の浸入を、より抑えることができる。

　また、本実施形態の脚カバー４ａでは、図２０でも拡大して示すように、連結ベルト３８１の一端は、釦３８５で着脱自在にフラップ３８の一側部（３８３）に係止され、他端は、面ファスナー３８６によってフラップ３８の他の側部（３８４）に係止される。このように構成することで、釦３８５の係合によって、連結ベルト３８１がフラップ３８から引出される角度が変化可能であり、使用者６の靴７の大きさに応じて、土踏まず７１の位置を通過することができる。そして、面ファスナー３８６によって、連結ベルト３８１を任意の長さに調整可能である。こうして、使用者６の靴７の大きさに対応することができる。

　さらにまた、本実施形態の脚カバー４ａでは、連結ベルト３８１に関連して、図２０で示すように、該連結ベルト３８１の釦３８５とフラップ３８の釦との間に介在可能で、両端に釦３８７を有する増結ベルト３８８をさらに備えている。図２０の例では、長短２種類の増結ベルト３８８を、表裏で示している。このように増結ベルト３８８を付け足すことによって、連結ベルト３８１を長くすることができ、底の厚い、防寒靴などにも対応することができる。また、図２０の例では、連結ベルト３８１は、両端に釦３８５が設けられ、面ファスナー３８６も着脱自在となっている。これによって、増結ベルト３８８が必要になった場合に、連結ベルト３８１の、フラップ３８側と、面ファスナー３８６側との、何れの釦３８５を外しても、増結ベルト３８８を連結することができ、利便性を向上することができる。

　なお、図１６～図１８では、本実施形態の脚カバー４ａを分り易く図示するために、使用者６の体格に対して、少し小さ目の脚カバー４ａを着用した状態を示している。具体的には、脚カバー本体２ａが短く、支持用紐体４０ａを長く見せ、またフラップ３８も靴７の先７２が露出する程度に短い。

　本発明の脚カバーは、使用者の脚部を保護する脚カバーにおいて、左右の脚部をそれぞれ覆う筒状に形成され、その筒が少なくとも１箇所において展開可能な一対の脚カバー本体と、一端が前記使用者の肩部に係止し、垂下した他端が前記脚カバー本体に連結される懸架用紐体とを含むことを特徴とする。

　上記の構成によれば、オーバーパンツなどとしてズボンの上に穿かれるなどして、風雨、汚れ、寒さなどから、使用者の脚部を保護する脚カバーにおいて、その脚カバーを、通常のズボンのように、靴を脱いで両脚を通して装着するのではなく、左右の脚部をそれぞれ覆う筒状に形成される脚カバー本体を、少なくとも１箇所において軸方向に分離して周方向に展開可能として、靴を脱ぐこと無く、脚に巻き付けて、装着できるようにする。そして、その脚カバー本体の吊下げにあたって、使用者の肩部から懸架用紐体を垂下させる。

　したがって、使用者の股の内側から下腹部および臀部は露出しており（カバーに覆われておらず）、ムレを防ぐことができる。また、脚カバー本体の吊下げを、使用者の肩部に係止した、たとえば紐または帯状の懸架用紐体で行うので、雨合羽やジャンパーなどの上着との組合わせは任意となり、組合わせの制約が無く、傷んだ場合の交換も別途に行うことができる。さらにまた、使用者がジャケットなどの上着を着用していれば、肩部からの懸架用紐体は該上着で覆い隠されるので、屋外内への出入りに対して、懸架用紐体は装着したままで、それと脚カバー本体とを、連結／解放することで、該脚カバー本体を容易に着脱することができる。

　また、本発明の脚カバーでは、前記左右の各脚カバー本体には、前記筒の頂部付近において、体側部と大腿四頭筋の内側との２箇所から、前記懸架用紐体に連結される吊下げ用紐体が延びて形成されることを特徴とする。

　上記の構成によれば、前記筒状の脚カバー本体の頂部付近で、周方向に間隔を開けた２箇所から、吊下げ用紐体を延ばして前記懸架用紐体に連結するので、１箇所で吊下げを行った場合に生じるような、斜めの引っ張り上げによる内側のズボンの捲り上がりや、脚の動きが規制（動かし難い）されるようなことが少なくなる。また、その２箇所の吊下げを、体側部と大腿四頭筋の内側とで行う、すなわち大腿四頭筋を挟んで内外で行うことで、脚の動きによる該脚カバー本体の周方向の回転を、起こり難くすることができる。

　さらにまた、本発明の脚カバーでは、前記懸架用紐体は、襷状に前記使用者の左右両肩に係止する係止部と、左右の係止部の脇の下付近から垂下する垂下部とを含むことを特徴とする。

　上記の構成によれば、襷掛けの係止部や、脇の下付近から垂下する垂下部は、前述のように、使用者が上着を着用していれば覆い隠されるので、好適である。また、たとえば前記吊下げ用紐体を短く形成して該垂下部の下端が比較的短距離で脚カバー本体に連結されるようにして、該垂下部を比較的長く形成することで、該垂下部の下端側をスカートの中に通すことができ、使用者がスカートを着用している場合にも、脚カバー本体を着用することができる。さらにまた、係止部は、襷掛けすることで、ズボン吊り（サスペンダー）のように肩からずり落ちる可能性も少なく、装着感が良くなる。

　また、本発明の脚カバーでは、前記吊下げ用紐体と懸架用紐体との間は、一対の嵌着片によって連結されることを特徴とする。

　上記の構成によれば、嵌着片の部分で、連結／解放を行うことができる。

　したがって、前記上着を着用する場合、脚カバー本体の着脱のために、上着を脱いだり着たりする必要が無くなり、前記屋外内への出入りが頻繁な場合に好適である。

　さらにまた、本発明の脚カバーでは、前記垂下部には、該垂下部の長さ調整を行うアジャスターを備えることを特徴とする。

　上記の構成によれば、脚カバー本体の吊下げ高さを調整することができる。

　したがって、脚の長さ（身長）の違いを、少ないサイズで対応することができ、脚カバーの低コスト化を図ることができる。

　また、本発明の脚カバーでは、前記筒の頂部付近の２箇所から延びる前記吊下げ用紐体は、１本の紐体で形成され、その１本の紐体の途中に、該１本の紐体上を移動可能な連結部材によって、前記懸架用紐体に連結されることを特徴とする。

　上記の構成によれば、吊下げ用紐体および懸架用紐体は、逆Ｙ字に配置されることになり、そのＹ字の２股の連結部分が、相互に行き来可能となっている。

　したがって、装着時に連結部材の位置に偏りがあっても、歩いたり、或いは時間が経過することで、吊下げ用紐体の左右の寸法配分が適性になる。

　さらにまた、本発明の脚カバーでは、少なくとも前記吊下げ用紐体は、伸縮性を有することを特徴とする。

　上記の構成によれば、吊下げ用紐体、特に大腿四頭筋の内側の吊下げ用紐体が伸縮可能であることで、脚を後ろに蹴る際に該吊下げ用紐体が伸長し、脚の動きがスムーズになる。

　また、本発明の脚カバーでは、使用者の脚部を保護する脚カバーにおいて、左右の脚部をそれぞれ覆う筒状に形成され、その筒が少なくとも１箇所において軸方向に展開可能な一対の脚カバー本体と、前記使用者の腹囲に巻付けられる支持用紐体と、前記各脚カバー本体の筒の頂部付近から延び、前記支持用紐体に連結される吊下げ用紐体とを含むことを特徴とする。

　上記の構成によれば、オーバーパンツなどとしてズボンの上に穿かれるなどして、風雨、汚れ、寒さなどから、使用者の脚部を保護する脚カバーにおいて、その脚カバーを、通常のズボンのように、靴を脱いで両脚を通して装着するのではなく、左右の脚部をそれぞれ覆う筒状に形成される脚カバー本体を、少なくとも１箇所において軸方向に分離して周方向に展開可能として、靴を脱ぐこと無く、脚に巻き付けて、装着できるようにする。そして、その脚カバー本体の吊下げにあたって、ズボンやスカートのベルト位置、或いは高くても臍の位置位までの間で、支持用紐体を使用者の腹囲に巻付け、その支持用紐体に、一対の脚カバー本体の頂部付近から延びた吊下げ用紐体を連結する。

　したがって、使用者の股の内側から下腹部および臀部は露出しており（カバーに覆われておらず）、ムレを防ぐことができる。また、脚カバー本体の吊下げを、使用者の腹部に巻付けた支持用紐体に、脚カバー本体からの吊下げ用紐体を連結して行うので、雨合羽やジャンパーなどの上着との組合わせは任意となり、組合わせの制約が無く、傷んだ場合の交換も別途に行うことができる。

　さらにまた、本発明の脚カバーでは、前記吊下げ用紐体は、１本の紐体で形成されてその両端部が前記脚カバー本体に連結されるとともに、該１本の紐体の途中に、該１本の紐体上を移動可能な連結部材が設けられ、該連結部材は、垂下部を介して前記支持用紐体に連結されることを特徴とする。

　上記の構成によれば、吊下げ用紐体および垂下部は、逆Ｙ字に配置されることになり、そのＹ字の２股の部分が、相互に行き来可能となっている。

　したがって、装着時に連結部材の位置に偏りがあっても、歩いたり、或いは時間が経過すると、吊下げ用紐体の左右の寸法配分が適性になる。また、前記吊下げ用紐体を短く形成して前記垂下部の下端が比較的短距離で脚カバー本体に連結されるようにして、該垂下部を比較的長く形成することで、該垂下部の下端側をスカートの中に通すことができ、使用者がスカートを着用している場合にも、脚カバー本体を着用することができる。

　また、本発明の脚カバーでは、前記支持用紐体には、前記使用者の腹囲に巻付けられた状態で前記使用者の腹囲を移動可能な２つの吊下げリングが挿通され、前記２つの吊下げリングに、左右の前記吊下げ用紐体がそれぞれ連結されることを特徴とする。

　上記の構成によれば、カラビナやＤカン、或いは吊下げ用紐体を引っ掛けることによる脚カバー本体の前記支持用紐体への吊下げを、該支持用紐体が通されている２つの吊下げリングの位置を適宜調整して、それに引っ掛けるだけで、行うことができる。

　したがって、脚カバー本体の吊下げ位置の調整を容易に行い、また吊下げ自体も容易に行うことができる。

　さらにまた、本発明の脚カバーでは、前記支持用紐体は、帯状の本体と、該本体の長手方向に間隔を開けて穿設される一対の通し孔に、帯の表面から裏面に抜け、再び表面に戻るように、かつ長手方向に摺動可能に通され、その通された状態で所定の弛みをもって両端が前記本体に固着される吊下げベルトとを備えて構成され、前記長手方向の所望の２箇所に形成された吊下げベルトの弛みに、左右の前記吊下げ用紐体がそれぞれ連結されることを特徴とする。

　上記の構成によれば、カラビナやＤカン、或いは吊下げ用紐体を引っ掛けることによる脚カバー本体の前記支持用紐体への吊下げを行うにあたって、該支持用紐体を、使用者の腹囲に巻付く帯状の本体と、その本体に並行する吊下げベルトとによって構成する。そして、吊下げベルトは、前記並行となるように、本体の所々に穿設された一対の通し孔の一方の孔に表面から通され、折返し裏面から他方の孔を抜け、表面に引出されており、この吊下げベルトは本体に摺動自在で、所定の弛みをもって、その両端が前記本体に固着されている。

　したがって、使用者の腹囲の任意の位置に弛みを形成し、その緩みに前記Ｄカンや吊下げ用紐体を引っ掛けることで、脚カバー本体の吊下げ位置の調整を容易に行い、また吊下げ自体も容易に行うことができる。

　また、本発明の脚カバーでは、前記支持用紐体は、帯状の本体と、該本体の長手方向に予め定める間隔を開けて、かつ所定の弛みをもって固着される吊下げベルトとを備えて構成され、複数の弛みの内の２箇所に、左右の前記吊下げ用紐体がそれぞれ連結されることを特徴とする。

　上記の構成によれば、カラビナやＤカン、或いは吊下げ用紐体を引っ掛けることによる脚カバー本体の前記支持用紐体への吊下げを行うにあたって、該支持用紐体を、使用者の腹部に巻付く帯状の本体と、その本体に並行する吊下げベルトとによって構成する。そして、吊下げベルトは、前記並行となるように、本体の所々に、予め定める間隔で、かつ所定の弛みをもって、縫い付けなどで固着されている。

　したがって、使用者の腹囲の任意の位置の弛みに前記Ｄカンや吊下げ用紐体を引っ掛けることで、脚カバー本体の吊下げ位置の調整を容易に行い、また吊下げ自体も容易に行うことができる。

　さらにまた、本発明の脚カバーは、使用者の脚部を保護する脚カバーにおいて、左右の脚部をそれぞれ覆う筒状に形成される一対の脚カバー本体と、前記各脚カバー本体の筒の頂部付近において、前記使用者の大腿四頭筋の内側と外側との２箇所から延び、前記使用者に係止される吊下げ用紐体とを含むことを特徴とする。

　上記の構成によれば、オーバーパンツなどとしてズボンの上に穿かれるなどして、風雨、汚れ、寒さなどから、使用者の脚部を保護する脚カバーにおいて、その脚カバーを、左右の脚部をそれぞれ覆う筒状の脚カバー本体で構成し、その脚カバー本体の吊下げを工夫する。詳しくは、各脚カバー本体の頂部付近からは２本の吊下げ用紐体を伸ばし、この吊下げ用紐体の先端に、カラビナやＤカンなどを設けておき、それらを使用者のベルトやズボンのベルト通し孔などに引っ掛けて係止する。したがって、使用者の股の内側から下腹部および臀部は露出しており（カバーに覆われておらず）、ムレを防ぐことができる。また、脚カバー本体と、雨合羽やジャンパーなどの上着との組合わせは任意となり、組合わせの制約が無く、傷んだ場合の交換も別途に行うことができる。

　さらにまた、前記筒状の脚カバー本体の頂部付近で、周方向に間隔を開けた２箇所から、吊下げ用紐体を延ばして使用者に係止させるので、１箇所で吊下げを行った場合に生じるような、斜めの引っ張り上げによる内側のズボンの捲り上がりや、脚の動きが規制（動かし難い）されるようなことが少なくなる。また、その２箇所の吊下げを、大腿四頭筋を挟んで内外で行うことで、脚の動きによる該脚カバー本体の周方向の回転を、起こり難くすることができる。

　また、本発明の脚カバーでは、前記吊下げ用紐体は、前記使用者の体側部と前記大腿四頭筋の内側との２箇所と、前記使用者の内股部と前記大腿四頭筋の外側との２箇所とで、少なくとも吊り下げ位置を切替え可能であることを特徴とする。

　上記の構成によれば、使用者の大腿四頭筋の内外２箇所から引出す吊下げ用紐体の引出し箇所を、大腿四頭筋を境界とするものの、一対で、体側に寄せたり、内股側に寄せたりできるように、釦などで引出し位置を切替え可能にする。

　したがって、歩行の際は体側部を基本に、該歩行の障害とならないようにし、自転車などの乗車の際は、膝が高く上がるように内股を基本とするような、使用者の動きに合せた位置から、吊下げ用紐体を引出すことができる。

　さらにまた、本発明の脚カバーでは、前記各脚カバー本体の筒の頂部付近において、その外周を収縮する緊縛紐が設けられていることを特徴とする。

　上記の構成によれば、個人差の大きい太股の太さに対応することができ、脚カバー本体の不所望なずり上がりやずり下がりを抑えることができるとともに、脚カバー本体のサイズ数を少なくして、コストを削減することもできる。

　また、本発明の脚カバーでは、前記脚カバー本体の筒の下端側には、前記使用者の足の甲を覆うフラップが設けられていることを特徴とする。

　上記の構成によれば、足の甲側からの、特に雨の際の水の浸入を抑えることができる。

　さらにまた、本発明の脚カバーでは、前記フラップの両側部間を、使用者の靴の土踏まずの部分を通して緊縛する連結ベルトをさらに備えることを特徴とする。

　上記の構成によれば、使用者の靴の裏側を通した連結ベルトでフラップの両側を連結することで、風などによる該フラップの捲り上がりを防止することができ、特に２輪車乗車時の雨水の浸入防止に効果的である。さらに、連結ベルトは、土踏まずの部分を通して、フラップの両側を所定の張力で連結するので、フラップの断面は円弧状となって、中央部分は使用者の靴の甲に密着し、周縁部分は靴との隙間を小さくすることができる。こうして、雨水の浸入を、より抑えることができる。

　また、本発明の脚カバーでは、前記連結ベルトの一端は、釦で着脱自在に前記フラップの一側部に係止され、他端は、面ファスナーによって前記フラップの他の側部に係止されることを特徴とする。

　上記の構成によれば、釦係合によって、連結ベルトがフラップから引出される角度が変化可能であり、使用者の靴の大きさに応じて、土踏まずの位置を通過することができる。そして、面ファスナーによって、連結ベルトが任意の長さに調整可能である。こうして、使用者の靴の大きさに対応することができる。

　さらにまた、本発明の脚カバーでは、前記連結ベルトに関連して、該連結ベルトの釦と前記フラップの釦との間に介在可能で、両端に釦を有する増結ベルトをさらに備えることを特徴とする。

　上記の構成によれば、増結ベルトを付け足すことによって、連結ベルトを長くすることができる。これによって、底の厚い、防寒靴などにも対応することができる。

　また、本発明の雨合羽は、前記の脚カバーの何れかを備えることを特徴とする。

　上記の構成によれば、ムレ難い雨合羽を実現することができる。

　本発明に係る脚カバーならびにそれを備える雨合羽は、左右の脚部をそれぞれ覆う筒状に形成される脚カバー本体を、少なくとも１箇所において軸方向に分離して周方向に展開可能として、靴を脱ぐこと無く、脚に巻き付けて、装着できるようにするとともに、その脚カバー本体の吊下げを、使用者の肩部から垂下させたり、ズボンのベルト通しなどから吊下げた懸架用紐体によって行う。

　したがって、使用者の股の内側から下腹部および臀部は露出しており、ムレを防ぐことができ、特に雨合羽やジャンパーなどと併用される脚カバーに好適である。

Claims (23)

1. 　使用者の脚部を保護する脚カバーにおいて、
   　左右の脚部をそれぞれ覆う筒状に形成され、その筒が少なくとも１箇所において展開可能な一対の脚カバー本体と、
   　一端が前記使用者の肩部に係止し、垂下した他端が前記脚カバー本体に連結される懸架用紐体とを含むことを特徴とする脚カバー。
2. 　前記左右の各脚カバー本体には、前記筒の頂部付近において、前記使用者の体側部と大腿四頭筋の内側との２箇所から、前記懸架用紐体に連結される吊下げ用紐体が延びて形成されることを特徴とする請求項１記載の脚カバー。
3. 　前記懸架用紐体は、襷状に前記使用者の左右両肩に係止する係止部と、左右の係止部の脇の下付近から垂下する垂下部とを含むことを特徴とする請求項１または２記載の脚カバー。
4. 　前記吊下げ用紐体と懸架用紐体との間は、一対の嵌着片によって連結されることを特徴とする請求項２記載の脚カバー。
5. 　前記垂下部には、該垂下部の長さ調整を行うアジャスターを備えることを特徴とする請求項３記載の脚カバー。
6. 　前記筒の頂部付近の２箇所から延びる前記吊下げ用紐体は、１本の紐体で形成され、その１本の紐体の途中に、該１本の紐体上を移動可能な連結部材によって、前記懸架用紐体に連結されることを特徴とする請求項２または４記載の脚カバー。
7. 　少なくとも前記吊下げ用紐体は、伸縮性を有することを特徴とする請求項２、４または６記載の脚カバー。
8. 　使用者の脚部を保護する脚カバーにおいて、
   　左右の脚部をそれぞれ覆う筒状に形成され、その筒が少なくとも１箇所において展開可能な一対の脚カバー本体と、
   　前記使用者の腹囲に巻付けられる支持用紐体と、
   　前記各脚カバー本体の筒の頂部付近から延び、前記支持用紐体に連結される吊下げ用紐体とを含むことを特徴とする脚カバー。
9. 　前記吊下げ用紐体は、１本の紐体で形成されてその両端部が前記脚カバー本体に連結されるとともに、該１本の紐体の途中に、該１本の紐体上を移動可能な連結部材が設けられ、該連結部材は、垂下部を介して前記支持用紐体に連結されることを特徴とする請求項８記載の脚カバー。
10. 　前記請求項３における係止部および前記請求項８における支持用紐体として共用可能な吊り部材を備える脚カバーであって、
    　前記吊り部材は、相互に略等しい一対の紐体から成り、
    　前記各紐体は、
    　　前記使用者の身体に巻付く紐体本体と、
    　　前記各紐体本体において、一方の端部に取付けられる雌の嵌着片および他方の端部に取付けられる雄の嵌着片と、
    　　前記各紐体本体の略中間位置において、一方の紐体本体に取付けられる雌の係止片および他方の紐体本体に取付けられる雄の係止片とを備え、
    　前記一対の紐体の嵌着片を互いに連結するとともに、前記係止片を相互に係止することで、前記襷状に前記使用者の左右両肩に係止する係止部を構成し、
    　前記一対の紐体の一方のみを使用して、その嵌着片を連結することで、前記使用者の腹部に巻付けられる支持用紐体を構成することを特徴とする脚カバー。
11. 　前記紐体本体は、帯状体から成り、
    　前記雌雄の嵌着片は、前記帯の表裏が一致した状態でのみ相互に嵌着することを特徴とする請求項１０記載の脚カバー。
12. 　前記雌雄の係止片は、一方が前記帯の表側、他方が前記帯の裏側に設けられることを特徴とする請求項１１記載の脚カバー。
13. 　前記支持用紐体には、前記使用者の腹囲に巻付けられた状態で前記使用者の腹囲を移動可能な２つの吊下げリングが挿通され、
    　前記２つの吊下げリングに、左右の前記吊下げ用紐体がそれぞれ連結されることを特徴とする請求項８または９記載の脚カバー。
14. 　前記支持用紐体は、帯状の本体と、該本体の長手方向に間隔を開けて穿設される一対の通し孔に、帯の表面から裏面に抜け、再び表面に戻るように、かつ長手方向に摺動可能に通され、その通された状態で所定の弛みをもって両端が前記本体に固着される吊下げベルトとを備えて構成され、
    　前記長手方向の所望の２箇所に形成された吊下げベルトの弛みに、左右の前記吊下げ用紐体がそれぞれ連結されることを特徴とする請求項８または９記載の脚カバー。
15. 　前記支持用紐体は、帯状の本体と、該本体の長手方向に予め定める間隔を開けて、かつ所定の弛みをもって固着される吊下げベルトとを備えて構成され、
    　複数の弛みの内の２箇所に、左右の前記吊下げ用紐体がそれぞれ連結されることを特徴とする請求項８または９記載の脚カバー。
16. 　使用者の脚部を保護する脚カバーにおいて、
    　左右の脚部をそれぞれ覆う筒状に形成される一対の脚カバー本体と、
    　前記各脚カバー本体の筒の頂部付近において、前記使用者の大腿四頭筋の内側と外側との２箇所から延び、前記使用者に係止される吊下げ用紐体とを含むことを特徴とする脚カバー。
17. 　前記吊下げ用紐体は、前記使用者の体側部と前記大腿四頭筋の内側との２箇所と、前記使用者の内股部と前記大腿四頭筋の外側との２箇所とで、少なくとも吊り下げ位置を切替え可能であることを特徴とする請求項１６記載の脚カバー。
18. 　前記各脚カバー本体の筒の頂部付近において、その外周を収縮する緊縛紐が設けられていることを特徴とする請求項１６または１７記載の脚カバー。
19. 　前記脚カバー本体の筒の下端側には、前記使用者の足の甲を覆うフラップが設けられていることを特徴とする請求項１、８または１６記載の脚カバー。
20. 　前記フラップの両側部間を、使用者の靴の土踏まずの部分を通して緊縛する連結ベルトをさらに備えることを特徴とする請求項１９記載の脚カバー。
21. 　前記連結ベルトの一端は、釦で着脱自在に前記フラップの一側部に係止され、他端は、面ファスナーによって前記フラップの他の側部に係止されることを特徴とする請求項１９記載の脚カバー。
22. 　前記連結ベルトに関連して、該連結ベルトの釦と前記フラップの釦との間に介在可能で、両端に釦を有する増結ベルトをさらに備えることを特徴とする請求項２１記載の脚カバー。
23. 　前記請求項１～２２の何れか１項に記載の脚カバーを備えることを特徴とする雨合羽。

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