WO2017077980A1 - 電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラー、電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーの製造方法、及び、電磁遮蔽性樹脂物品 - Google Patents
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Abstract
Description
以下、本発明の電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラー(以下、単に「繊維フィラー」又は「フィラー」ともいう)、及び、該フィラーの製造方法の例を、図面を参照しながら説明する。
繊維フィラー1は、ガラス繊維2と、ガラス繊維2の長尺方向に沿って被覆された金属被覆7とを備えている。金属被覆7は、図1(a)に示すようにガラス繊維2の長尺方向の全面を被覆していてもよいし、ガラス繊維の半周を被覆したもの、1/4周を被覆したものなど、図1(b)のようにガラス繊維の長尺方向の一部を被覆していてもよい。
本発明の電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーにおいて、金属被覆は、第1の金属として亜鉛と、第2の金属として亜鉛より酸化還元電位が小さい金属とを含む合金からなる。亜鉛の酸化還元電位は-0.76Vである。
第1の金属は、亜鉛からなる。合金中の亜鉛の含有量は、50質量%以上である。合金中の亜鉛の含有量が50質量%未満の場合、接触導電性を良好にする亜鉛の効果が生じにくくなり、繊維フィラーを含む樹脂物品において、充分な電磁遮蔽性を確保しにくくなる。これらを考慮すると、合金中の亜鉛の含有量は、75質量%以上が好ましく、85質量%以上でもよい。合金中の亜鉛の含有量の上限は特に制限されるものではないが、合金中の亜鉛の含有量は、99.999質量%以下が好ましく、99.99質量%以下でもよい。
第2の金属は、亜鉛より酸化還元電位が小さい金属からなる。第2の金属としては、バリウム(-2.92V)、ストロンチウム(-2.89V)、カルシウム(-2.84V)、マグネシウム(-2.36V)、ベリリウム(-1.85V)、アルミニウム(-1.68V)、チタン(-1.63V)、ジルコニウム(-1.53V)、マンガン(-1.18V)及びタンタル(-0.81V)からなる群より選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。括弧内の数値は酸化還元電位を示す。
すなわち、本発明の第1の態様に係る電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーは、ガラス繊維の長尺方向に金属被覆を備える電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーであって、上記金属被覆が第1の金属と第2の金属とを含む合金からなり、上記合金は、上記第1の金属を50質量%以上含むことを特徴とする。上記電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーは、樹脂と複合化されて使用される。
すなわち、本発明の第2の態様に係る電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーは、ガラス繊維の長尺方向に金属被覆を備える電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーであって、上記金属被覆が金属亜鉛であり、上記ガラス繊維の長尺方向の全面又は一部を被覆することを特徴とする。上記電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーは、樹脂と複合化されて使用される。なお、金属亜鉛は、不可避の不純物成分を含んでいてもよい。
ガラス繊維の長さは、0.01~50mmであることが好ましい。ガラス繊維の長さが0.01mm未満である場合、金属被覆を、亜鉛を50質量%以上含む合金としても電磁遮蔽性樹脂物品としたときに良好な通電を得ることが難しくなりやすく、他方、50mm超の場合、電磁遮蔽性樹脂物品の成形性が悪くなる。特に下限側の理由は、繊維フィラーを含む電磁遮蔽性樹脂物品を効率的に生産するための要因ともなるので、ガラス繊維の長さは0.5~50mmでもよい。下限側の理由、上限側の理由を考慮して、ガラス繊維の長さは、0.5~30mm、1~30mm、1~15mm、1~10mm、1~5mm、1~3mmでもよい。
以下、本発明の電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーの製造方法の具体例を、図面を参照しながら詳述する。
図2に示すように、ガラス溶融炉3の下部に取り付けられたブッシングノズル31から引き出されたガラス繊維2は、ガラス繊維巻取り機5で巻き取られる。金属被覆を形成するための金属溶融炉4は、ブッシングノズル31と巻取り機5との間に配置され、ガラス繊維2と接する側には金属融液を外部に排出するための孔部41が配置され、金属融液は孔部41から滲み出て、液滴71が形成される(図3参照)。押し当て機6を用いて、ガラス繊維2を金属溶融炉4側(図2中、矢印Bの方向)に押し当てて、ガラス繊維2を液滴71に接触させる。
ガラス繊維2は、ガラスの融液をガラス溶融炉3の下部に取り付けられたブッシングノズル31から引き出し、ガラス繊維巻取り機5で巻き取ることで形成される。ブッシングノズル31は、白金や白金ロジウム合金製のものを使用できる。ブッシングノズル31のガラス融液を排出するための径は、1~5mmφ程度のものを好適に使用することができ、所望するガラス繊維の繊維径に応じて適宜調整される。繊維化する場合のガラス融液の温度はガラスの組成によっても異なるが、Eガラス組成の場合はブッシングノズルを通る時の温度が1100~1350℃となるように調整することが好ましい。
ガラス繊維2はブッシングノズル31から引き出され、巻取り機5で巻き取られるまでに金属が被覆される。金属被覆7の金属原料は、金属溶融炉4にて溶解され、金属溶融炉4内で溶湯を形成し、金属溶融炉4の壁面に備え付けた孔部41から金属融液が吐出される。孔部41の周囲と金属融液との濡れ性を悪くすると、孔部41から吐出される金属融液がドーム状の液滴71となりやすくなる。この液滴71の中をガラス繊維2が通過することで、ガラス繊維2に金属被覆7が形成された金属被覆ガラス繊維11が得られる。この金属被覆時に、ドーム状の液滴71が形成されないと、金属融液が孔部41の周辺に留まらずに、流れ出すこととなる。そのため、孔部41又は孔部41の周囲は金属融液との濡れ性が悪い方が好ましい。
ガラス繊維2は、巻取り機5に巻き取られ、金属溶融炉4の側を通過する。ガラス繊維2を金属溶融炉4の液滴71に押し当てることで、ガラス繊維2に金属被覆7を形成し、金属被覆ガラス繊維11が得られる。このときに、押し当て機6を移動させて、ガラス繊維2を金属溶融炉4側(図2中、矢印Bの方向)に移動させ、ガラス繊維2を液滴71の中心方向に押し当ててもよいし、金属溶融炉4をガラス繊維2の方向に移動させて、ガラス繊維2を液滴71の中心方向に押し当ててもよい。
M=(R×t×π×s×p)×10-6 (i)
金属被覆ガラス繊維11を所定の長さに切断することで、金属被覆ガラス繊維フィラー1を得ることができる。なお、複数本の金属被覆ガラス繊維11を集束し、集束された金属被覆ガラス繊維11を切断することで、複数本の繊維が集束された金属被覆ガラス繊維フィラー1としてもよい。フィラー1は、集束されることにより繊維の毛羽立ちやほつれなどが発生しにくくなり、良好な「金属被覆ガラス繊維フィラー1を含む樹脂物品」を作製しやすくなる。金属被覆ガラス繊維の集束は、紡糸中にオンラインでされてもよいし、紡糸後にオフラインでされてもよい。金属被覆ガラス繊維の切断は、切断機を用いるなどの既知の方法で行うことができる。また、巻取り機5の代わりにダイレクトチョッパーなどを用いて、紡糸しながらオンラインで金属被覆ガラス繊維11を切断して、金属被覆ガラス繊維フィラー1としてもよい。
本発明の電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーは、樹脂と複合化されることで、電磁遮蔽性樹脂物品とすることができる。本発明の電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーと複合化される樹脂は、既知の樹脂を用いることができる。例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ABS樹脂、メタロセン樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、液晶ポリマー、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂、ゴム、エラストマーなどが挙げられる。
作製された金属被覆ガラス繊維11をファイバークリーバー(PK-12、Photon Kinetics社製)を用いて切断し、切断面を電界放出形走査電子顕微鏡(S―4500、日立製作所社製)により観察した。繊維断面の画像から、ガラス繊維径、ガラス繊維全周に対する金属被覆の割合を観察した。また、同じく繊維断面の画像から、ガラスと金属の面積比率を測定して繊維中の金属比率を求めた。得られた繊維中の金属比率、及び、金属とガラスの比重(亜鉛:7.1g/cm3、アルミニウム:2.7g/cm3、チタン:4.5g/cm3、Eガラス:2.5g/cm3)から繊維比重を算出した。
金属被覆ガラス繊維11を、長さ1mm、3mm及び30mmとなるように切断して、金属被覆ガラス繊維フィラー1とした。各実施例及び比較例の金属被覆ガラス繊維フィラーを、直径17mm、高さ8mmの絶縁物質からなる円筒状容器に、フィラー体積が200mm3となるように量りとり、容器がフィラーで満たされるように充填した。この円筒状容器への金属被覆ガラス繊維フィラーの充填は、樹脂物品中の金属被覆ガラス繊維フィラーの含有量が11体積%の場合を模擬したものである。
本評価で電気抵抗が1Ω未満となる条件を持つものは接触導電性が良好であり、優れた電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーと考えることができる。
金属被覆ガラス繊維フィラーを、乳棒及び乳鉢を用いて手動で10回転粉砕し、金属被覆とガラスに剥離が見られないか光学顕微鏡にて観察した。10回転の粉砕で剥離が見られなかったものを金属被覆とガラス繊維との密着性が良好であるとした。
ガラス溶融炉3にて、Eガラス組成のガラスを1150℃で溶融し、ノズル31から、ガラス繊維2を引き出し、ガラス繊維2を直径3.0mmφの穴を有するグラファイト製の押し当て機6に通して巻取り機5で巻き取った。金属溶融炉4の側を通過するガラス繊維2の速度が290m/分となるように、巻取り機5の巻取り速度を調整した。金属被覆7を亜鉛90質量%、アルミニウム10質量%の合金とするため、金属融液を得るための原料を、純亜鉛(純度99.9%)90質量%、純アルミニウム(純度99.7%)10質量%の混合物とし、金属溶融炉内の溶融温度を700℃、金属供給量を1.22g/分とした。
金属被覆7を亜鉛80質量%、アルミニウム20質量%の合金とするため、金属融液を得るための原料を、純亜鉛(純度99.9%)80質量%、純アルミニウム(純度99.7%)20質量%の混合物とし、金属溶融炉内の溶融温度を700℃、金属供給量を1.12g/分とした以外は、実施例1と同じ操作にて、金属被覆ガラス繊維11を作製した。その後、前記評価(1)~(3)を実施することで、金属被覆ガラス繊維フィラー1を得て、各種評価を行った。得られた金属被覆ガラス繊維11において、ガラス繊維2の繊維径は28μmであった。その他の結果を表1に示す。得られたフィラー1は、ガラス繊維全周に対する金属被覆の割合が40%で、金属非被覆面21を備えるものであったが、意外にも評価(2)の結果が良好であり、優れた電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーであることが確認された。また、評価(3)では、金属被覆とガラス繊維との密着性が良好であることが確認された。なお、本実施例では、金属被覆ガラス繊維11を得る操業を1時間行っても、金属溶湯にスラッジは観察されなかった。
金属被覆7を亜鉛70質量%、アルミニウム30質量%の合金とするため、金属融液を得るための原料を、純亜鉛(純度99.9%)70質量%、純アルミニウム(純度99.7%)30質量%の混合物とし、金属溶融炉内の溶融温度を700℃、金属供給量を1.07g/分とした以外は、実施例1と同じ操作にて、金属被覆ガラス繊維11を作製した。その後、前記評価(1)~(3)を実施することで、金属被覆ガラス繊維フィラー1を得て、各種評価を行った。得られた金属被覆ガラス繊維11において、ガラス繊維2の繊維径は28μmであった。その他の結果を表1に示す。得られたフィラー1は、ガラス繊維全周に対する金属被覆の割合が40%で、金属非被覆面21を備えるものであったが、意外にも評価(2)の結果が良好であり、優れた電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーであることが確認された。また、評価(3)では、金属被覆とガラス繊維との密着性が良好であることが確認された。なお、本実施例では、金属被覆ガラス繊維11を得る操業を1時間行っても、金属溶湯にスラッジは観察されなかった。
ガラス溶融炉3にて、Eガラス組成のガラスを1250℃で溶融し、金属溶融炉4の側を通過するガラス繊維2の速度が1000m/分となるように、巻取り機5の巻取り速度を調整した。金属被覆7を亜鉛99.9質量%、アルミニウム0.1質量%の合金とするため、金属融液を得るための原料を、純亜鉛(純度99.99%)99.9質量%、純アルミニウム(純度99.7%)0.1質量%の混合物とし、金属溶融炉内の溶融温度を700℃とし、孔部41からの金属の供給量を0.96g/分とした以外は、実施例1と同じ操作にて、金属被覆ガラス繊維11を作製した。その後、前記評価(1)~(3)を実施することで、金属被覆ガラス繊維フィラー1を得て、各種評価を行った。得られた金属被覆ガラス繊維11において、ガラス繊維2の繊維径は13μmであった。その他の結果を表1に示す。得られたフィラー1は、ガラス繊維全周に対する金属被覆の割合が40%で、金属非被覆面21を備えるものであったが、意外にも評価(2)の結果が良好であり、優れた電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーであることが確認された。また、評価(3)では、金属被覆とガラス繊維との密着性が良好であることが確認された。なお、本実施例では、金属被覆ガラス繊維11を得る操業を1時間行っても金属溶湯にスラッジは観察されなかった。
金属被覆7を亜鉛99.5質量%、アルミニウム0.5質量%の合金とするため、金属融液を得るための原料を、純亜鉛(純度99.99%)99.5質量%、純アルミニウム(純度99.7%)0.5質量%の混合物とした以外は、実施例4と同じ操作にて、金属被覆ガラス繊維11を作製した。その後、前記評価(1)~(3)を実施することで、金属被覆ガラス繊維フィラー1を得て、各種評価を行った。得られた金属被覆ガラス繊維11において、ガラス繊維2の繊維径は13μmであった。その他の結果を表1に示す。得られたフィラー1は、ガラス繊維全周に対する金属被覆の割合が100%であった。
金属の溶融を500℃で行った以外は、実施例5と同じ操作にて、金属被覆ガラス繊維11を作製した。その後、前記評価(1)~(3)を実施することで、金属被覆ガラス繊維フィラー1を得て、各種評価を行った。得られた金属被覆ガラス繊維11において、ガラス繊維2の繊維径は13μmであった。その他の結果を表1に示す。得られたフィラー1は、ガラス繊維全周に対する金属被覆の割合が100%であった。
繊維中の金属比率、及び、ガラス繊維全周に対する金属被覆の割合を表1に示す値に変更した以外は、実施例6と同じ操作にて、金属被覆ガラス繊維11を作製した。その後、前記評価(1)~(3)を実施することで、金属被覆ガラス繊維フィラー1を得て、各種評価を行った。得られた金属被覆ガラス繊維11において、ガラス繊維2の繊維径は13μmであった。その他の結果を表1に示す。
金属被覆7を亜鉛97質量%、アルミニウム3質量%の合金とするため、金属融液を得るための原料を、純亜鉛(純度99.99%)97質量%、純アルミニウム(純度99.7%)3質量%の混合物とし、金属供給量を0.94g/分とした以外は、実施例6と同じ操作にて、金属被覆ガラス繊維11を作製した。その後、前記評価(1)~(3)を実施することで、金属被覆ガラス繊維フィラー1を得て、各種評価を行った。得られた金属被覆ガラス繊維11において、ガラス繊維2の繊維径は13μmであった。その他の結果を表1に示す。得られたフィラー1は、ガラス繊維全周に対する金属被覆の割合が100%であった。
ガラス溶融炉3にて、Eガラス組成のガラスを1250℃で溶融し、金属溶融炉4の側を通過するガラス繊維2の速度が1000m/分となるように、巻取り機5の巻取り速度を調整した。金属被覆7を亜鉛99.9質量%、チタン0.1質量%の合金とするため、金属融液を得るための原料を、純亜鉛(純度99.99%)99.9質量%、純チタン(純度99.9%)0.1質量%の混合物とし、金属溶融炉内の溶融温度を500℃とし、孔部41からの金属の供給量を0.70g/分とした以外は、実施例1と同じ操作にて、金属被覆ガラス繊維11を作製した。その後、前記評価(1)~(3)を実施することで、金属被覆ガラス繊維フィラー1を得て、各種評価を行った。得られた金属被覆ガラス繊維11において、ガラス繊維2の繊維径は13μmであった。その他の結果を表1に示す。得られたフィラー1は、ガラス繊維全周に対する金属被覆の割合が40%で、金属非被覆面21を備えるものであったが、意外にも評価(2)の結果が良好であり、優れた電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーであることが確認された。また、評価(3)では、金属被覆とガラス繊維との密着性が良好であることが確認された。なお、本実施例では、金属被覆ガラス繊維11を得る操業を1時間行っても金属溶湯にスラッジは観察されなかった。
金属被覆7を亜鉛99.8質量%、チタン0.2質量%の合金とするため、金属融液を得るための原料を、純亜鉛(純度99.99%)99.8質量%、純チタン(純度99.9%)0.2質量%の混合物とした以外は、実施例12と同じ操作にて、金属被覆ガラス繊維11を作製した。その後、前記評価(1)~(3)を実施することで、金属被覆ガラス繊維フィラー1を得て、各種評価を行った。得られた金属被覆ガラス繊維11において、ガラス繊維2の繊維径は13μmであった。その他の結果を表1に示す。得られたフィラー1は、ガラス繊維全周に対する金属被覆の割合が40%で、金属非被覆面21を備えるものであったが、意外にも評価(2)の結果が良好であり、優れた電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーであることが確認された。また、評価(3)では、金属被覆とガラス繊維との密着性が良好であることが確認された。なお、本実施例では、金属被覆ガラス繊維11を得る操業を1時間行っても金属溶湯にスラッジは観察されなかった。
金属被覆7を亜鉛99.7質量%、チタン0.3質量%の合金とするため、金属融液を得るための原料を、純亜鉛(純度99.99%)99.7質量%、純チタン(純度99.9%)0.3質量%の混合物とした以外は、実施例12と同じ操作にて、金属被覆ガラス繊維11を作製した。その後、前記評価(1)~(3)を実施することで、金属被覆ガラス繊維フィラー1を得て、各種評価を行った。得られた金属被覆ガラス繊維11において、ガラス繊維2の繊維径は13μmであった。その他の結果を表1に示す。得られたフィラー1は、ガラス繊維全周に対する金属被覆の割合が40%で、金属非被覆面21を備えるものであったが、意外にも評価(2)の結果が良好であり、優れた電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーであることが確認された。また、評価(3)では、金属被覆とガラス繊維との密着性が良好であることが確認された。なお、本実施例では、金属被覆ガラス繊維11を得る操業を1時間行っても金属溶湯にスラッジは観察されなかった。
金属被覆7を亜鉛99.5質量%、チタン0.5質量%の合金とするため、金属融液を得るための原料を、純亜鉛(純度99.99%)99.5質量%、純チタン(純度99.9%)0.5質量%の混合物とした以外は、実施例12と同じ操作にて、金属被覆ガラス繊維11を作製した。その後、前記評価(1)~(3)を実施することで、金属被覆ガラス繊維フィラー1を得て、各種評価を行った。得られた金属被覆ガラス繊維11において、ガラス繊維2の繊維径は13μmであった。その他の結果を表1に示す。得られたフィラー1は、ガラス繊維全周に対する金属被覆の割合が40%であった。
繊維中の金属比率、及び、ガラス繊維全周に対する金属被覆の割合を表1に示す値に変更した以外は、実施例15と同じ操作にて、金属被覆ガラス繊維11を作製した。その後、前記評価(1)~(3)を実施することで、金属被覆ガラス繊維フィラー1を得て、各種評価を行った。得られた金属被覆ガラス繊維11において、ガラス繊維2の繊維径は13μmであった。その他の結果を表1に示す。
金属被覆7を亜鉛99.0質量%、チタン1.0質量%の合金とするため、金属融液を得るための原料を、純亜鉛(純度99.99%)99.0質量%、純チタン(純度99.9%)1.0質量%の混合物とし、金属の溶融を700℃で行った以外は、実施例12と同じ操作にて、金属被覆ガラス繊維11を作製した。その後、前記評価(1)~(3)を実施することで、金属被覆ガラス繊維フィラー1を得て、各種評価を行った。得られた金属被覆ガラス繊維11において、ガラス繊維2の繊維径は13μmであった。その他の結果を表1に示す。得られたフィラー1は、ガラス繊維全周に対する金属被覆の割合が40%であった。
ガラス溶融炉3にて、Eガラス組成のガラスを1250℃で溶融し、金属溶融炉4の側を通過するガラス繊維2の速度が1000m/分となるように、巻取り機5の巻取り速度を調整した。金属被覆7を亜鉛99.45質量%、アルミニウム0.05質量%、チタン0.5質量%の合金とするため、金属融液を得るための原料を、純亜鉛(純度99.99%)99.45質量%、純アルミニウム(純度99.7%)0.05質量%、純チタン(純度99.9%)0.5質量%の混合物とし、金属溶融炉内の溶融温度を600℃とし、孔部41からの金属の供給量を0.67g/分とした以外は、実施例1と同じ操作にて、金属被覆ガラス繊維11を作製した。その後、前記評価(1)~(3)を実施することで、金属被覆ガラス繊維フィラー1を得て、各種評価を行った。得られた金属被覆ガラス繊維11において、ガラス繊維2の繊維径は13μmであった。その他の結果を表1に示す。得られたフィラー1は、ガラス繊維全周に対する金属被覆の割合が80%で、金属非被覆面21を備えるものであったが、評価(2)の結果が良好であり、優れた電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーであることが確認された。また、評価(3)では、金属被覆とガラス繊維との密着性が良好であることが確認された。なお、本実施例では、金属被覆ガラス繊維11を得る操業を1時間行っても金属溶湯にスラッジは観察されなかった。
金属被覆7をアルミニウムとするため、金属融液を得るための原料を、純アルミニウム(純度99.7%)とし、金属溶融炉内の溶融温度を700℃、金属供給量を0.49g/分とした以外は、実施例1と同じ操作にて、金属被覆ガラス繊維11を作製した。その後、前記評価(1)~(3)を実施することで、金属被覆ガラス繊維フィラー1を得て、各種評価を行った。得られた金属被覆ガラス繊維11において、ガラス繊維2の繊維径は28μmであった。その他の結果を表1に示す。得られたフィラー1は、ガラス繊維全周に対する金属被覆の割合が40%であった。
金属被覆7を亜鉛10質量%、アルミニウム90質量%の合金とするため、金属融液を得るための原料を、純亜鉛(純度99.9%)10質量%、純アルミニウム(純度99.7%)90質量%の混合物とし、金属溶融炉内の溶融温度を700℃、金属供給量を0.57g/分とした以外は、実施例1と同じ操作にて、金属被覆ガラス繊維11を作製した。その後、前記評価(1)~(3)を実施することで、金属被覆ガラス繊維フィラー1を得て、各種評価を行った。得られた金属被覆ガラス繊維11において、ガラス繊維2の繊維径は28μmであった。その他の結果を表1に示す。得られたフィラー1は、ガラス繊維全周に対する金属被覆の割合が40%であった。
金属被覆7を亜鉛とするため、金属融液を得るための原料を、純亜鉛(純度99.9%)とし、金属溶融炉内の溶融温度を700℃、金属供給量を1.28g/分とした以外は、実施例1と同じ操作にて、金属被覆ガラス繊維11を作製した。その後、前記評価(1)~(3)を実施することで、金属被覆ガラス繊維フィラー1を得て、各種評価を行った。得られた金属被覆ガラス繊維11において、ガラス繊維2の繊維径は28μmであった。その他の結果を表1に示す。得られたフィラー1は、ガラス繊維全周に対する金属被覆の割合が40%であった。
ガラス溶融炉3にて、Eガラス組成のガラスを1250℃で溶融し、金属溶融炉4の側を通過するガラス繊維2の速度が1000m/分となるように、巻取り機5の巻取り速度を調整し、純亜鉛(純度99.99%)を500℃で溶融し、孔部41からの金属の供給量を0.96g/分とした以外は、参考例1と同じ操作にて、金属被覆ガラス繊維11を作製した。その後、前記評価(1)~(3)を実施することで、金属被覆ガラス繊維フィラー1を得て、各種評価を行った。得られた金属被覆ガラス繊維11において、ガラス繊維2の繊維径は13μmであった。その他の結果を表1に示す。得られたフィラー1は、ガラス繊維全周に対する金属被覆の割合が40%であった。
亜鉛の融点近傍の500℃で溶融した純亜鉛を被覆した金属被覆ガラス繊維は、参考例2が示すように、金属被覆とガラス繊維との密着性が劣る。一方、亜鉛-アルミニウム合金又は亜鉛-チタン合金を亜鉛の融点近傍の500℃で溶融し被覆したものは、ガラス繊維と金属被覆との密着性が良好であった(実施例6~19)。
表1の結果から、亜鉛-アルミニウム合金又は亜鉛-チタン合金で被覆され、合金中の亜鉛の含有量が50質量%以上である実施例1~21の金属被覆ガラス繊維の接触導電性は、純アルミニウムで被覆した比較例1の金属被覆ガラス繊維、及び、亜鉛-アルミニウム合金中の亜鉛の含有量が10質量%である比較例2の金属被覆ガラス繊維の接触導電性と比較して良好であった。
実施例4、5、12、15及び21に対しては、80℃で相対湿度95%RHの雰囲気で24時間及び48時間保持する耐湿試験後、評価(2)を行った。表2の結果から、実施例12、15及び21の金属被覆ガラス繊維の接触導電性は耐湿試験後においても良好であった。この結果から、亜鉛-チタン合金による金属被覆ガラス繊維は、高温高湿下の保持でも初期の接触導電性を維持し、高温高湿に対して良好な耐久性を示すものであることがわかった。この評価結果を考慮すると、亜鉛-チタン合金は、チタンを0.1~1.0質量%含むものとしてもよい。
11 金属被覆ガラス繊維
2 ガラス繊維
21 金属非被覆面
3 ガラス溶融炉
31 ブッシングノズル
4 金属溶融炉
41 金属融液を外部に排出するための孔部
5 巻取り機
6 押し当て機
7 金属被覆
71 金属融液の液滴
Claims (16)
- 樹脂と複合化されて使用される電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーであって、
ガラス繊維の長尺方向に金属被覆を備え、
前記金属被覆が、亜鉛からなる第1の金属と、亜鉛より酸化還元電位が小さい金属からなる第2の金属とを含む合金からなり、
前記第2の金属が、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム、ベリリウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、マンガン及びタンタルからなる群より選ばれる少なくとも1つであり、
前記合金は、前記第1の金属を50質量%以上含むことを特徴とする電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラー。 - 前記ガラス繊維の体積割合が5~95体積%、前記金属被覆の体積割合が5~95体積%である請求項1に記載の電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラー。
- 前記ガラス繊維がEガラス組成からなる請求項1又は2に記載の電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラー。
- 前記合金は、前記第2の金属を0.01質量%以上含有する請求項1~3のいずれかに記載の電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラー。
- 前記合金は、前記第2の金属を30質量%以下含有する請求項1~4のいずれかに記載の電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラー。
- 前記合金は実質的に前記第1の金属と前記第2の金属からなる請求項1~5のいずれかに記載の電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラー。
- 前記第2の金属がアルミニウム及びチタンからなる群より選ばれる少なくとも1つである請求項1~6のいずれかに記載の電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラー。
- 前記ガラス繊維の長尺方向に金属非被覆面を備える請求項1~7のいずれかに記載の電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラー。
- 前記金属非被覆面上にシランカップリング処理層を備える請求項8に記載の電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラー。
- 前記ガラス繊維の長さが0.01~50mmである請求項1~9のいずれかに記載の電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラー。
- 前記ガラス繊維の径が1~100μmである請求項1~10のいずれかに記載の電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラー。
- 前記ガラス繊維全周に対する前記金属被覆の割合が5%以上である請求項1~11のいずれかに記載の電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラー。
- 前記金属被覆は、溶融メッキにて形成されている請求項1~12のいずれかに記載の電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラー。
- 樹脂と複合化されて使用される電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーの製造方法であって、
金属溶融炉内で金属原料を溶融することにより溶湯を形成する工程と、
前記金属溶融炉に備え付けられた、金属融液を外部に排出するための孔部から前記金属融液を排出することにより金属融液の液滴を形成する工程と、
ガラス溶融炉のブッシングノズルから引き出されたガラス繊維を、前記液滴に接触させる工程と、
金属被覆ガラス繊維を切断する工程とを備え、
前記金属原料が、亜鉛からなる第1の金属と、亜鉛より酸化還元電位が小さい金属からなる第2の金属とを含み、
前記第2の金属が、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム、ベリリウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、マンガン及びタンタルからなる群より選ばれる少なくとも1つであり、
前記金属原料は、前記第1の金属を50質量%以上含むことを特徴とする電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーの製造方法。 - 請求項1~13のいずれかに記載の金属被覆ガラス繊維フィラーを含むことを特徴とする電磁遮蔽性樹脂物品。
- 電磁遮蔽性金属被覆ガラス繊維フィラーの含有量が0.01~30体積%である請求項15に記載の電磁遮蔽性樹脂物品。
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