JP2017014090A - プラスチック補強用金属被覆ガラス繊維、及びその製造方法 - Google Patents

プラスチック補強用金属被覆ガラス繊維、及びその製造方法 Download PDF

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裕也 浅川
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Abstract

【課題】本発明は、プラスチック材料に分散させた場合に、プラスチック材料の強度補強とプラスチック材料に電磁遮蔽性の付与が出来るようなガラス繊維を提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明の金属被覆ガラス繊維は、ガラス繊維と、該ガラス繊維の外周面の全体に被覆された金属被覆とを備える金属被覆ガラス繊維であり、前記金属被覆の厚みが0.3〜1.5μm、前記金属被覆ガラス繊維中の前記金属被覆が0.7〜84体積%である。該被覆繊維は、ガラス溶融炉のブッシングノズルから引き出されたガラス繊維を、金属被覆を形成するための金属の溶融炉の孔部から滲み出る金属融液に接触させる金属被覆ガラス繊維の製造方法であって、孔部から滲み出る金属融液をドーム状の液滴とし、前記ガラス繊維の前記液滴への接触時に前記ガラス繊維を前記液滴の中心方向に押し当てることで得ることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、プラスチック材料の補強材として好適に使用されるガラス繊維に関し、繊維表面に金属が被覆された物品に関する。
アルミニウム等の金属が被覆されたガラス繊維は、ガラス繊維を使用する製品に、電磁遮蔽性を付与することができるので、電磁遮蔽性を備える物品を形成するための材料として検討されてきた(例えば、特許文献1〜3等)。特許文献1では、プラスチックに、2.5μm程度の厚みの金属が被覆された直径2.5〜250μmのガラス繊維を分散させてなるプラスチックが、特許文献2では、5μm厚程度のアルミニウム金属が被覆されたガラス繊維が開示されている。また、特許文献3では、アルミニウム金属が被覆されたガラス繊維と、金属が被覆されていないガラス繊維が分散されてなるプラスチックが開示されている。特許文献3では、金属被覆ガラス繊維の引張強度は、金属が被覆されていないガラス繊維よりも低下するため、プラスチックの強度の確保のために、金属が被覆されたガラス繊維と、金属が被覆されていないガラス繊維とが併用されている。
ところで、上記したような複合材料で使用されるガラス繊維は、Eガラス等の無アルカリガラスであるが、Eガラス表面と溶融アルミニウム等の金属融液との濡れ性の悪さが報告されている。これを改善するために、特許文献4では、溶融アルミニウムを吐出するための溶融炉のスリット部に高温ガスを吹付けることで、冷却による溶融アルミニウムの流動性の低下を防止するとともに、高温ガスの吹付け圧によってガラス繊維をスリット部に近づけ、溶融アルミニウムのガラス繊維への付着性を改善している。また、ガラス繊維を金属融液に近づけるという視点で、特許文献5は、ガイドによってガラス繊維を金属融液に近づけている。
特開昭54−90596号公報 特開昭58−20750号公報 特開昭60−113996号公報 特開平1−252555号公報 実開昭61−050737号公報
金属が被覆されたガラス繊維をプラスチック材料に分散させると、プラスチック材料に電磁遮蔽性を付与することができるのでプラスチック材料の高機能化を期待できる。しかしながら、ガラス繊維に金属を溶融メッキ法で被覆すると、ガラス繊維の強度が低下することから、ガラス繊維が本来備えるべき特性であるプラスチック材料の補強や強度向上を図り難くなるという課題が生じる。
本発明は、プラスチック材料に金属被覆ガラス繊維が分散された場合に、プラスチック材料に電磁遮蔽性の付与と、プラスチック材料の強度補強が出来るようなガラス繊維を提供することを課題とする。
本発明者らは、金属被覆ガラス繊維の引張強度が低い原因は、繊維の強度において、金属の特性が強く現れるからではないかと考えた。従来は、溶融メッキ法による金属被覆ガラス繊維の製造にあっては、金属融液の付着性の改善によって、金属被覆ガラス繊維の提供がなされてきた。この場合、いかにして、ガラス繊維と金属融液との接触の機会を増やすかという検討となるので、金属被覆の厚みは、厚いものとならざるを得なかった。
例えば、特許文献4では、金属融液を、金属溶融炉の十字型のスリットの内、ガラス繊維の進行方向に対して垂直方向のスリット部から滲み出るものとし、ガラス繊維の進行方向に沿った方向のスリットを長いものとしている(ガラス繊維の進行方向に沿った方向のスリットを長いものとすることで、金属融液とガラス繊維との接触機会を増やすことできる)。そして、溶融アルミニウムを吐出するための溶融炉のスリット部に高温ガスを吹付けることで、冷却による溶融アルミニウムの流動性の低下を防止するとともに、高温ガスの吹付け圧によってガラス繊維をスリット部に近づけ、溶融アルミニウムのガラス繊維への付着性を改善している。
本発明者らは、金属被覆の厚みを減らすことで、金属による導電性を確保しつつ、従来の金属被覆ガラス繊維よりも、引張強度が改善された金属被覆ガラス繊維を、本発明によって提供せしめた。すなわち、本発明の金属被覆ガラス繊維は、ガラス繊維と、該ガラス繊維の外周面の全体に溶融メッキ法で被覆された金属被覆とを備える金属被覆ガラス繊維であり、前記金属被覆の厚みが0.3〜1.5μm、前記金属被覆ガラス繊維中の前記金属被覆が0.7〜84体積%であることを特徴とするものである。
前記金属被覆ガラス繊維は、金属被覆の厚みが減少するにつれて金属の特性が現れにくくなるため、金属被覆の厚みが大きな金属被覆ガラス繊維に比べて引張強度が増加する傾向がある。他方、金属被覆の厚みが薄すぎるとガラス繊維全周に金属を被覆することが難しくなる傾向がある。これらを考慮すると、金属被覆の厚みは、0.3〜1.5μmとされる。また、金属被覆ガラス繊維中の金属被覆が0.7体積%未満の場合、ガラス繊維全周に金属を被覆することが難しくなる傾向がある。他方、84体積%超の場合、引張強度が減少する傾向がある。これらを考慮すると、金属被覆ガラス繊維中の金属被覆は、好ましくは2〜75体積%とされる。
本発明の金属被覆ガラス繊維の製造方法は、
ガラス溶融炉のブッシングノズルから引き出されたガラス繊維を、金属被覆を形成するための金属の溶融炉の孔部から滲み出る金属融液に接触させる金属被覆ガラス繊維の製造方法であって、
金属の溶融炉孔部周囲の壁面に前記孔部に通じる溝を形成することで、孔部から滲み出る金属融液をドーム状の液滴とし、且つ前記孔部からの金属融液の供給量を調節して、金属被覆の厚さを0.3〜1.5μmとし、前記ガラス繊維の前記液滴への接触時に前記ガラス繊維を前記液滴の中心方向に機械的に押し当てることを特徴とする。
従来の方法では、溶融炉の孔部から滲み出る金属融液にガラス繊維を接触させる際、ガラス繊維が金属融液内に入り込むのではなく、該金属融液がガラス繊維に押し出され、金属融液が孔部の周囲に広がる現象が生じていた。これは、金属融液の表面張力が大きいことが原因と思われる。金属融液の供給量を0.3〜1.5μmの厚みの金属被覆を作製できるような金属融液の供給量が少ない条件とした場合、前記現象より孔部に金属被覆を行うのに必要な金属融液を保持出来ないことから、ガラス繊維の外周面の全体に金属を被覆するためには、金属融液の供給量を増加させる必要があり、金属被覆を厚いものとせざるを得なかった。
本発明では、金属の溶融炉孔部の壁面周囲に前記孔部に通じる溝を形成することで、金属被覆時にガラス繊維によって押し出された金属融液は、溝に沿って広がるが、切削加工により前記孔部周辺の表面の凹凸が大きくなり、ぬれ性が低下しているため、金属融液が広がることが難しくなり、結果として孔部にドーム状の液滴が保持されやすくなる。
本発明の金属被覆ガラス繊維は、従来の金属被覆ガラス繊維よりも、引張強度が高く、且つガラス繊維に良好な電気導電性を与える。本発明の金属被覆ガラス繊維をプラスチック材料に分散させると、プラスチック材料の電磁遮蔽性の付与と、強度の向上とをもたらすことができる。
本発明の金属被覆ガラス繊維を製造するための装置を模式的に示したものである。 図1の領域Aを拡大して示したものである。 図1の領域Aを拡大したもので、図1中の矢印の方向から観察したときの要部を示す図である。(ガラス繊維の描写は省略) 本発明の金属被覆ガラス繊維の断面を電界放出形走査電子顕微鏡で観察した結果を示す図面代用写真である。
本発明の金属被覆ガラス繊維1の製造方法について、図面を用いて詳述する。図1は、本発明の金属被覆ガラス繊維を製造するための装置を模式的に示したものである。また、図2は、図1の領域Aを拡大して示したものである。ガラス溶融炉3の下部に取り付けられたブッシングノズル31から引き出されたガラス繊維2は、ガラス繊維巻取り機5で巻き取られる。金属被覆を形成するための金属溶融炉4は、ブッシングノズル31と巻取り機5との間に配置され、ガラス繊維2と面する側には金属融液を外部に排出するための孔部41が配置され、金属融液は孔部41から滲み出て、液滴7が形成される。押し当て機6で、ガラス繊維2を金属溶融炉4側(図1中のBで示した矢印の方向)に押し当てて、ガラス繊維2を液滴7の中心方向に押し当てる。
<ガラス繊維の形成>
ガラス繊維2は、ガラスの融液をガラス溶融炉3の下部に取り付けられたブッシングノズル31から引き出し、ガラス繊維巻取り機5で巻き取ることで形成される。ブッシングノズル31は、白金や白金ロジウム合金製のものを使用できる。ブッシングノズル31のガラス融液を排出するための径は、1〜5mmφ程度のものを使用でき、所望するガラス繊維の繊維径に応じて適宜調整される。繊維化する場合のガラス融液の温度はガラスの組成によって異なるが、Eガラス組成の場合はブッシングノズルを通る時の温度が1100〜1300℃となるように調整する。
<金属の溶融炉について>
ガラス繊維2はブッシングノズル31から引き出され、巻取り機5で巻き取られるまでに金属が被覆される。ガラス繊維2に被覆される金属は、金属溶融炉4にて溶解され、孔部41の周囲を金属融液との濡れ性を悪くしていることから、孔部41を通じてドーム状の液滴7となる。この液滴7の中をガラス繊維が通過することで、ガラス繊維2に金属が被覆される。この被覆時に、ガラス繊維が液滴7内に入り込むのではなく、該液滴7がガラス繊維に押し出され、液滴7が孔部41の周囲に広がり、ドーム状の形状を維持しにくくなり、孔部41、又は孔部41の周囲を金属融液との濡れ性を悪くしておくことが好ましい。
孔部41、又は孔部41の周囲を金属融液との濡れ性を悪くするためには、孔部にセラミックスが用いられることが好ましい。用いるセラミックスの例としては、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどが挙げられる。
孔部41の形状は、円形、楕円形、長方形、正方形、台形などの形状にすることができる。孔部41の開口面積は、0.75〜80mmとすることが好ましい。開口面積が0.75mmよりも小さいと金属融液が出難くなり、また80mmよりも大きくなると金属融液が多く出すぎ、本発明の目的とする薄い厚みの金属被覆が形成されたガラス繊維を得にくくなる。これらを考慮すると、前記開口面積は、さらには好ましくは、3〜60mmとされる。金属被覆ガラス繊維の製造時においては、ガラス繊維2の進行方向に対して垂直方向に振れることがある。そうした場合でも、金属被覆を確実に行えるように孔部41は、ガラス繊維2の進行方向に対して垂直方向が長くなるような長方形や楕円形状とすることが好ましい。
図3は、図1の領域Aを拡大したもので、図1中の矢印の方向から観察したときの要部を示すものである(図3では、ガラス繊維の描写は省略している。)。孔部41周囲の壁面に孔部41に通じる溝8が形成されている。溝8の幅は、0.1mm〜5mmとすることが好ましい。0.1mm未満の場合、ガラス繊維を溝に通すことが難しくなる。他方、5mm超の場合、金属融液が孔部の周囲への広がりを防ぐ効果が小さくなる傾向がある。これらを考慮すると、溝8の幅は、好適には0.5〜5.0mmとされる。また、溝8の深さは、0.2mm〜3.0mmとすることが好ましい。0.2mm未満の場合、ガラス繊維が金属融液に押し込んだ時に孔部に接触しやすくなり糸切れの原因となることがある。他方、3.0mm超の場合、金属融液が孔部の周囲への広がりを防ぐ効果が小さくなる傾向がある。これらを考慮すると、溝8の深さは、好適には0.5〜2.0mmとされる。溝8は、ガラス繊維2の進行方向に沿うように形成するようにすることが好ましい。尚、図3では、溝8は、ガラス繊維2の進行方向と同じ方向に設けたが、溝8は、この方向だけでなく、ガラス繊維2の進行方向に対して垂直方向にも形成してもよい。
孔部41からの金属供給量は、孔形状の他、孔部41と金属溶融炉中の金属融液の液面との距離、金属融液の粘度によって適宜調整することができる。孔部41と金属溶融炉中の金属融液の液面との距離は、大きくなればなるほど金属供給量は増し、一方小さくなればなるほど金属供給量は少なくなる。金属融液の粘度は金属の種類によっても大きく変わるが、溶融温度が高くなれば粘度は小さくなり、従って金属供給量が増す。一方、溶融温度が低くなれば粘度は大きくなり、金属供給量は少ないものとなる。
液滴7が接触する金属溶融炉4の外壁面の材質は、溶融する金属の温度に応じてセラミックス、金属、ガラス、カーボンなどから適宜選択することができる。セラミックスを用いる場合は、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどが挙げられる。
金属溶融炉4はヒーターなどを用いて適宜加熱することができる。金属溶融炉の加熱温度は、溶融する金属の融点よりも高くする必要がある。一方、溶融炉の加熱温度を高くしすぎると金属溶融炉に耐熱性のある部材が必要となり、結果金属溶融炉が高価なものとなってしまうため好ましくない。これらを勘案すると、金属溶融炉の温度は溶融する金属の融点よりも+10〜+500℃であることが好ましい。
<ガラス繊維への金属の被覆について>
ガラス繊維2は、巻取り機5に巻き取られ、溶融炉4の側を通過する。押し当て機6で、ガラス繊維2を金属溶融炉4側(図1中のBで示した矢印の方向)に引いて、ガラス繊維2を液滴7の中心方向に押し当てる。特許文献4では、高温ガスの吹付け圧によってガラス繊維をスリット部に近づけている。当該文献での高温ガスの吹付け前の液滴の形状は不明であるが、ガスの吹付けによって、液滴の形状が広がる方向に作用するので、薄い金属被覆を得ることが難しいものとなる。よって、ガラス繊維2は、機械的な作用によって、液滴7の中心方向に押し当てられることが好ましい。また、ガラス繊維2への高温ガスの吹付けを行う場合は、ガラス繊維2の仮想温度の低下をもたらすことになる。そのため、ガラス繊維に機械的応力が加わったときの、ガラス内でのクラック速度の進展が速いものとなり、強度の高い金属被覆ガラス繊維が得にくいものとなる。
ガラス繊維への金属被覆に必要な単位時間当たりの金属供給量(M:g/分)はガラス繊維の繊維径(R:μm)、金属被覆の厚さ(t:μm)、巻取り速度(s:m/分)、被覆金属の比重(p:g/cm)により変化するため、孔部41に供給される金属融液の量は次の(1)式より推定することができる。
M=(R×t×π×s×p)×10−6 (1)
例えば、金属被覆の厚さが0.3〜1.5μmのアルミニウム被覆ガラス繊維の作製条件においてガラス繊維径が28μm、巻取り速度が290m/分とした場合の理想的な金属供給量は(1)式より0.2〜0.11g/分となる。しかしながら、実際に金属被覆ガラス繊維の作製において、ガラス繊維と金属融液のぬれ性が悪いために均一に金属被覆を行うことが容易でないことから、安定して金属被覆を行うためには金属供給量は多くなる傾向がある。本発明においては、金属被覆に必要な金属供給量は(1)式の条件内、又は、近似させた条件とすることが容易となっている。
ガラス繊維2の溶融炉4の側を通過するときの速度は、巻取り機5の巻取り速度によって調整することができ、その速度は、好ましくは100〜5000m/分とされる。巻取り速度はガラス繊維の繊維径にも影響するために、金属被覆ガラス繊維の形状設計の観点から決められる。巻取り速度が100m/分よりも遅いと繊維径は60μmよりも大きいものとなり、また5000m/分よりも早く引こうとすると糸切れなどが多発し、生産性が低くなる。
押し当て機6とガラス繊維2の初期位置は離れており、押し当て機6は移動機構をもち、前記押し当て機6を移動させることでガラス繊維2の通過位置を孔部41に形成された溝に入り込むように調整しながら金属溶融炉4側(図1中のBで示した矢印の方向)に引くことで、ガラス繊維2を液滴7の中心方向に押し当てる。押し当て機は、ガラス繊維の通過位置を安定して操作可能な移動機構を持ち、耐熱性のある表面が滑らかな部材が用いられていればなんでも良い。
押し当て機の移動機構としては、例えばXYステージ、直交ロボットなどが挙げられる。耐熱性のある表面が滑らかな部材としては、例えばセラミックス、グラファイト、表面研磨した金属などが挙げられる。また、表面が滑らかな部材の形態としてはガラス繊維2の紡糸開始時に前記ガラス繊維2を通過可能であり、且つ金属被覆時にガラス繊維2と孔部41上の金属融液の液滴7の位置関係が一定することが可能なガイドとしての役割を果たす穴又は溝を有する板状、丸棒、及び角棒などの形態のものが好適に用いることができる。表面が滑らかな部材が有する穴の形状としては、円形、楕円形、長方形、正方形、台形などにすることが可能であり、また穴の辺縁を一部切削して溝として用いても良い。
前記穴の開口面積は0.2〜20mmとすることが好ましい。開口面積が0.2mmよりも小さいと、ガラス繊維の紡糸開始時にガラス繊維2を通過させることが難しくなる。他方、20mmよりも大きいと、ガラス繊維2の通過位置が変化しやすくなるため、ガラス繊維2と金属融液の液滴7との位置関係を一定にすることが難しくなる。これらを考慮すると開口面積は0.8〜7mmとすることが好ましい。
押し当て機は金属溶融炉4の下側だけでなく、上側に用いることもできる。押し当て機は、上側、下側の片方に設置しても良いし、上下の両側に設置しても良い。特に、上下の両側に設置した場合はガラス繊維を金属溶融炉に、強く、正確に押し当てることができるためにより好ましい。
<金属被覆ガラス繊維について>
以上の操作によって、本発明の金属被覆ガラス繊維を製造することができる。本発明の金属被覆ガラス繊維は、ガラス繊維と、該ガラス繊維の外周面の全体に被覆された金属被覆とを備えるものであり、前記金属被覆の厚みが0.3〜1.5μm、前記金属被覆ガラス繊維中の前記金属被覆が0.7〜84体積%、好ましくは2〜75体積%であることを特徴とするものである。
上記ガラス繊維の種類の例として、Eガラス、Cガラス、Sガラス、Dガラス、ECRガラス、Aガラス、ARガラスなどが挙げられる。これらの中ででも、特にEガラスの組成のものとすることが好ましい。Eガラスはアルカリ成分が少ない組成であるため、アルカリの溶出が発生しにくく、プラスチック材料への影響が少ないので好ましい。また、Eガラスの軟化点は840℃と比較的高く、被覆する金属の融点よりも高くなるケースが多いので好ましい。ガラス繊維の径は、好ましくは3〜60μmとされる。繊維径が60μmよりも大きいと金属被覆ガラス繊維の表面積が小さくなり、金属被覆ガラス繊維をプラスチックと複合化した時に、金属被覆ガラス繊維同士の接触点が少なくなってしまうため、好ましくない。一方で、繊維径が3μmよりも小さいと生産性が低くなるため好ましくない。これらを考慮すると、より好ましくは、4〜20μmとされる。
ガラス繊維に被覆される金属としては、電磁遮蔽性を高くするために、電気抵抗が低いものが好ましい。電気抵抗が低い金属の例としては、アルミニウム、マグネシウム、銅、亜鉛、スズ、ビスマス、鉄、ニッケル、チタン、鉛、クロム、カドミウム、アンチモン、マンガン、銀、金、及びこれらの金属を2種以上混合した合金などが挙げられる。
これらの中ででも、金属は、特に純アルミニウム、又はアルミニウムを主たる成分とする合金とすることが好ましい。アルミニウムは金属の中では比重(2.7g/cm)が軽く、導電性に優れる。また、アルミニウムの融点は660℃であり、ガラス繊維の種類にて例示した前記ガラス群の各ガラスの軟化点より低く、一方で混合する樹脂の混練温度よりは高いため、本用途に好適に用いられる。
純アルミニウムは、JIS呼称のA1000番台で表される材料であり、純度99%以上のアルミニウムからなる材料である。アルミニウムを主たる成分とする合金とは、A2000〜A8000番台で表されるアルミニウム系合金であり、2000番台では主に銅、3000番台では主にマンガン、4000番台では主にシリコン、5000番台では主にマグネシウム、6000番台では主にマグネシウムとシリコン、7000番台では主に亜鉛とマグネシウムが添加された合金を指す。
<金属被覆ガラス繊維のプラスチック材料への適用について>
作製された金属被覆ガラス繊維は、プラスチックと複合化されることで、電磁遮蔽性を備える物品とすることができる。金属被覆ガラス繊維は、プラスチック材料と複合化されるに先立って、複数本の金属被覆ガラス繊維として集束されることが好ましい。集束されることにより、繊維の毛羽立ちやほつれなどが発生しにくくなり、良好な複合材料を作製しやすくなる。金属被覆ガラス繊維の集束は、紡糸中にオンラインでされても良いし、紡糸後にオフラインでされても良い。集束された金属被覆ガラス繊維は、連続繊維としてそのままプラスチックと複合化しても良いし、1〜100mmの長さに切断してチョップドストランド化した後、プラスチックと複合化しても良い。また、集束された金属被覆ガラス繊維を織ってガラスクロスとしても良い。
金属被覆ガラス繊維と複合化されるプラスチックは、既知のプラスチックを用いることができる。例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ABS樹脂、メタロセン樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、液晶ポリマー、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂、ゴム、エラストマーなどが挙げられる。
金属被覆ガラス繊維とプラスチックとの複合化には、複合化する樹脂の特性に合わせて、既知の混練方法及び装置を用いることができる。熱可塑性樹脂であれば、加熱溶融式の混練機を用いることが好ましく、単軸押出機、二軸押出機、加熱装置を備えたニーダーやミキサーなどを用いることができる。
混練された金属被覆ガラス繊維とプラスチックは、複合体の特性や形状に合わせて、既知の成形方法を用いることができる。熱可塑性樹脂であれば射出成形法やブロー成形法、熱硬化性樹脂であればハンドレイアップ法、スプレーアップ法、引抜成形法、SMC法、BMC法などが挙げられる。
成形された複合体は、電磁遮蔽性が要求される自動車、電子機器などの部品や筐体として用いることができる。金属被覆ガラス繊維を含む複合体であるため、電磁波を遮蔽し、電磁波ノイズによる干渉や機器の誤作動、電磁波による健康被害などを抑えることができる。
以下、本発明について、実施例及び比較例を示してさらに具体的に説明するが本発明はこれらに何ら制限されるものではない。本実施例で得られた金属被覆ガラス繊維は、以下に述べる方法にて評価された。
(1)ガラス繊維径と金属被覆層の厚みの測定
作製した金属被覆ガラス繊維はファイバークリーバー(PK−12、PhotonKinetics)を用いて切断し、切断面を電界放出形走査電子顕微鏡(S―4500、日立製作所)により、ガラス繊維径と金属被覆の厚みを測定した。
(2)金属被覆ガラス繊維の引張強度
作製した金属被覆ガラス繊維は、炭素繊維−単繊維の引張特性の試験方法(JIS R 7606:2000)に準拠して引張強度を測定した。ただし、支点間距離を10mm、クロスヘッドスピードを20mm/分の条件とした。各実施例、比較例の試験片数は30本とし、平均値をそれぞれの引張強度とした。
(3)金属被覆ガラス繊維の導電性
作製した金属被覆ガラス繊維を長さ3mmに切断した後、金属被覆ガラス繊維の体積が400mmになるように計りとり、直径17mm、高さ2mmの空隙を持つアクリル樹脂製容器に充填した。空隙の直径間の抵抗を測定するために、容器の側面から空隙まで直径2mmの穴を両端から2個開けて、そこにテスター(TM−86、TENMARS)の電極を差し込んで、電気抵抗の測定を行った。
金属被覆ガラス繊維を、チョップドストランド等のように短い繊維として用いる場合、当材料は、媒体中に分散されて使用されることが多いので、金属被覆ガラス繊維同士の接触点での電気抵抗が低いことが好ましいものとなる。本測定は、金属被覆ガラス繊維同士間の接触抵抗をも考慮した金属被覆ガラス繊維の評価方法となる。
(4)金属とガラスの密着性
金属被覆ガラス繊維を、乳棒及び乳鉢を用いて手動で100回転粉砕し、金属被覆とガラスに剥がれがみられないか光学顕微鏡にて観察した。
実施例1
ガラス溶融炉3にて、Eガラス組成のガラスを1150℃で溶融し、ノズル31から、ガラス繊維2を引出し、ガラス繊維2を直径3.0mmφの穴を有するカーボン製の押し当て機6に通してから巻取り機5で巻き取った。金属溶融炉4の側を通過するガラス繊維の速度は、290m/分となるように、巻取り機5の巻取り速度を調整した。
純アルミニウム(純度99.7%)を金属溶融炉内で、850℃で溶融し、直径2mmφの孔部41から、金属融液の液滴7を排出した。金属溶融炉内の金属融液の液面から孔部までの距離は30〜35mmとし、孔部41からの金属供給量を0.02〜0.11g/分に調整した。孔部41の周辺は、窒化ホウ素で形成し、孔部41の周辺であって、外壁面、すなわち、液滴7が接する面には、ガラス繊維2の進行方向に沿った幅0.5mm、深さ0.5mmの孔部41に通じる溝8を設けた。
巻取り機5でガラス繊維2の巻取りを開始した後、XYステージを用いてカーボン製の押し当て機6を、図1のBで記した矢印の方向に押し出し、ガラス繊維2の通過位置を溝8に入り込む位置に調整した状態で、ガラス繊維2を液滴7内に押し当て、金属被覆ガラス繊維1を得た。
得られた金属被覆ガラス繊維は、繊維径が28μmφ、金属被覆層の厚みは0.3〜1.4μmで、金属被覆ガラス繊維中の金属は4〜18体積%であった。図3に、金属被覆ガラス繊維の断面を電界放出形走査電子顕微鏡で観察したときの結果を示す。
得られた金属被覆ガラス繊維の評価結果を表1に示す。
比較例1
金属溶融炉内の金属融液の液面から孔部までの距離は36〜40mmとして、孔部41からの金属供給量を、0.12〜0.21g/分に調整した以外は、実施例1と同じ操作にて、金属被覆ガラス繊維を得た。得られた金属被覆ガラス繊維1の評価結果を表1に示す。
比較例2
溝8を設けなかった以外は、実施例1と同じ操作にて、金属被覆ガラス繊維を得ようとしたが、金属を外周面全体には被覆することはできなかった。
1 金属被覆ガラス繊維
2 ガラス繊維
3 ガラス溶融炉
31 ブッシングノズル
4 金属溶融炉
41 金属融液を外部に排出するための孔部
5 巻取り機
6 押し当て機
7 金属融液の液滴
8 溝

Claims (7)

  1. ガラス繊維と、該ガラス繊維の外周面の全体に被覆された金属被覆とを備える金属被覆ガラス繊維であり、前記金属被覆の厚みが0.3〜1.5μm、前記金属被覆ガラス繊維中の前記金属が2〜75体積%であることを特徴とする金属被覆ガラス繊維。
  2. ガラス繊維の直径が3〜60μmであることを特徴とする請求項1に記載の金属被覆ガラス繊維。
  3. 金属がアルミニウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属被覆ガラス繊維。
  4. ガラス繊維がEガラスからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の金属被覆ガラス繊維。
  5. ガラス溶融炉のブッシングノズルから引き出されたガラス繊維を、金属被覆を形成するための金属の溶融炉の孔部から滲み出る金属融液に接触させる金属被覆ガラス繊維の製造方法であって、
    金属の溶融炉孔部周囲の壁面に前記孔部に通じる溝を形成することで、孔部から滲み出る金属融液をドーム状の液滴とし、且つ前記孔部からの金属融液の供給量を金属被覆ガラス繊維の金属被覆の厚さが0.3〜1.5μmとなるように調整し、前記ガラス繊維の前記液滴への接触時に前記ガラス繊維を前記液滴の中心方向に機械的に押し当てることを特徴とする金属被覆ガラス繊維の製造方法。
  6. 前記ガラス繊維が前記液滴内を通過する速度を100〜5000m/分とする請求項5に記載の金属被覆ガラス繊維の製造方法。
  7. 溶融炉の孔部から滲み出る金属融液の温度を、金属の融点の+10℃〜+500℃とすることを特徴とする請求項5又は6に記載の金属被覆ガラス繊維の製造方法。
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