WO2017038145A1 - ステントおよび医療機器 - Google Patents
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Abstract
変形特性を維持しつつ、網目をより小さくすることが可能なステント等を提供する。ステント11は、1または複数の第1線材(線材W1)を用いて形成された第1網目状構造体(網目状構造体111)と、第1線材と交差する1または複数の第2線材(線材W2)を用いて形成された第2網目状構造体(網目状構造体112)とを備えている。第1網目状構造体では、第1線材同士が互いに連結されてなる連結部C1が形成されている。第2線材同士は、互いに連結されていない。
Description
本発明は、例えば消化管などの体内の管状器官に適用されるステント、およびそのようなステントを備えた医療機器に関する。
消化管に適用(留置)されるステント(消化管ステント)は、腫瘍によって狭窄した消化管の内腔を押し開けるために使用される。このようなステントは、一般に、複数の線材を用いた網目状構造を有している(例えば、特許文献1参照)。
ところで、上記したステントの留置後に、腫瘍の成長に伴って、ステントの網目(線材同士の隙間)から腫瘍が消化管の内腔に侵入し、再狭窄してしまうことがある。したがって、そのような再狭窄が生じにくくするためには、ステントの網目はできるだけ小さく(細かく)することが望ましい。
ただし、消化管ステントでは一般に、例えば以下のような変形特性(追従性、縮径性、拡径力等)が良好であることが求められている。
(1)消化管の湾曲形状に追従する特性(追従性)
(2)デリバリーシース(ステントを患部まで運ぶ際に使用されるシース)に挿入する際の縮径性
(3)消化管の狭窄部(治療対象の部位)を押し広げる拡径力
(1)消化管の湾曲形状に追従する特性(追従性)
(2)デリバリーシース(ステントを患部まで運ぶ際に使用されるシース)に挿入する際の縮径性
(3)消化管の狭窄部(治療対象の部位)を押し広げる拡径力
したがって、ステントの網目を小さくすることで、変形特性が低下してしまうのは望ましくないと言える。これらのことから、ステントの変形特性を維持しつつ、ステントの網目をより小さくすることを可能とする提案が望まれる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、変形特性を維持しつつ網目をより小さくすることが可能なステント、およびそのようなステントを備えた医療機器を提供することにある。
本発明のステントは、1または複数の第1線材を用いて形成された第1網目状構造体と、第1線材と交差する1または複数の第2線材を用いて形成された第2網目状構造体とを備えたものである。第1網目状構造体では、第1線材同士が互いに連結されてなる連結部が形成されており、第2線材同士は互いに連結されていない。なお、ここで言う「連結」とは、一の線材における屈曲部と、他の線材における屈曲部または他の線材同士の交差部とが、互いに掛け合っている(係合している)状態を意味している。
本発明の医療機器は、筒状部材と、この筒状部材の少なくとも一部分に配置された、少なくとも1つの上記本発明のステントとを備えたものである。
本発明のステントおよび医療機器では、第1網目状構造体に加えて第2網目状構造体が形成されていることにより、ステント全体の網目が小さく(細かく)なる。また、第1網目状構造体において、第1線材同士が互いに連結されている(連結部が形成されている)一方、第2線材同士は互いに連結されていない。したがって、上記第2網目状構造体の追加に伴う連結部の個数増が、回避される。
本発明のステントおよび医療機器では、上記第1網目状構造体が複数の第1単位構造により構成されていると共に、上記第2網目状構造体が複数の第2単位構造により構成されている場合において、例えば以下のようにしてもよい。
すなわち、第2単位構造におけるステントの軸方向に沿った長さが、第1単位構造における上記軸方向に沿った長さ以上となっているようにしてもよい(第1の手法)。このようにした場合、例えば以下の第2の手法の場合と比べ、少ない数の第2単位構造によって、ステント全体における第1単位構造を分割することが可能となり、ステント全体における第2線材の屈曲部の個数が少なくなる。その結果、例えば、デリバリーシース等からステントを引き抜く際に、ステントにおける各屈曲部とデリバリーシース等との間に生じる摩擦(引っかかり)が減少し、デリバリーシース等からステントが引き抜き易くなるため、操作性が向上する。また、ステント全体における屈曲部の総数が少なくなることから、ステントの変形特性(縮系性等)も向上する。
あるいは、逆に、第2単位構造における上記軸方向に沿った長さが、第1単位構造における上記軸方向に沿った長さ未満となっているようにしてもよい(第2の手法)。このようにした場合、例えば上記した第1の手法の場合と比べ、ステント全体における第2線材の屈曲部の個数が増えるものの、第1線材の連結部の形成位置とずれた位置にこの屈曲部が配置されるため、ステントの変形特性(追従性、縮径性等)が維持される。また、第2単位構造における上記軸方向の大きさが小さくなることから、ステントの網目が更に小さくなる。その結果、ステントの留置後における腫瘍の侵入による再狭窄が、更に生じにくくなる。
また、上記複数の第1単位構造がそれぞれ、第2網目状構造体によって4つ以上の領域に分割されているようにしてもよい。このようにした場合、第2網目状構造体(第2線材)による第1単位構造に対する分割数が増加するのに従って、ステントの網目が小さくなっていくことから、ステントの留置後における腫瘍の侵入による再狭窄が、更に生じにくくなる。
ここで、上記第1網目状構造体に形成された複数の連結部の少なくとも一部が、第2単位構造によって囲まれていないようにしてもよい。このようにした場合、連結部の周囲における第2単位構造の個数が少なくなることから、ステントの変形特性(追従性、縮径性等)が向上する。
あるいは、上記第1網目状構造体に形成された複数の連結部の全てが、第2単位構造によって囲まれているようにしてもよい。このようにした場合、ステント全体の網目が更に小さくなるため、ステントの留置後における腫瘍の侵入による再狭窄が、更に生じにくくなる。
本発明のステントおよび医療機器によれば、第1網目状構造体に加えて第2網目状構造体が形成されていると共に、第2線材同士が互いに連結されていないようにしたので、ステント全体の網目を小さくすることができると共に、第2網目状構造体の追加に伴う連結部の個数増を回避することができる。よって、ステントの変形特性を維持しつつ、ステントの網目をより小さくすることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(第1単位構造の軸方向の長さ<第2単位構造の軸方向の長さである例)
2.変形例
変形例1(実施の形態において第2単位構造を追加配置させた場合の例)
変形例2(第1単位構造の軸方向の長さ=第2単位構造の軸方向の長さである例)
変形例3(第1単位構造の軸方向の長さ>第2単位構造の軸方向の長さである例)
変形例4(変形例3において第2単位構造を追加配置させた場合の例)
変形例5(他の構成例の第1網目状構造体を用いた場合の例)
3.適用例(実施の形態および各変形例のステントを医療機器に適用した場合の例)
4.その他の変形例
1.実施の形態(第1単位構造の軸方向の長さ<第2単位構造の軸方向の長さである例)
2.変形例
変形例1(実施の形態において第2単位構造を追加配置させた場合の例)
変形例2(第1単位構造の軸方向の長さ=第2単位構造の軸方向の長さである例)
変形例3(第1単位構造の軸方向の長さ>第2単位構造の軸方向の長さである例)
変形例4(変形例3において第2単位構造を追加配置させた場合の例)
変形例5(他の構成例の第1網目状構造体を用いた場合の例)
3.適用例(実施の形態および各変形例のステントを医療機器に適用した場合の例)
4.その他の変形例
<1.実施の形態>
[概略構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係るステント(ステント11)の概略構成例を、模式的に斜視図で表したものである。ステント11は、例えば消化管などの体内の管状器官に適用される器具であり、後述するように、腫瘍によって狭窄した消化管の内腔を押し開けるために使用されるものである。具体的には、ステント11は、治療対象の部位(例えば大腸等の消化管内)に留置されるようになっている。
[概略構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係るステント(ステント11)の概略構成例を、模式的に斜視図で表したものである。ステント11は、例えば消化管などの体内の管状器官に適用される器具であり、後述するように、腫瘍によって狭窄した消化管の内腔を押し開けるために使用されるものである。具体的には、ステント11は、治療対象の部位(例えば大腸等の消化管内)に留置されるようになっている。
このステント11は、図1に示したように、その軸方向(Z軸方向)に沿って延在する筒状(円筒状)構造を有している。なお、ステント11の軸方向Zに沿った長さは、例えば3~20cm程度である。また、ステント11の拡張時の外径(周方向Rに沿った長さ)は、例えば10~50mm程度である。
ステント11は、線材(素線;後述する2種類の線材W1,W2)を用いて構成されており、上記したように筒状(円筒状)構造を有している。具体的には、本実施の形態では、この筒状構造が網目状構造により構成されていると共に、このような筒状の網目状構造が、所定のパターンで上記線材を編み組むことにより形成されている。なお、このステント11における網目状構造(線材の編み組みパターン)の詳細については、後述する(図2)。
ここで、上記した線材(後述する線材W1,W2)の材料としては、金属線材が好ましく、特に熱処理による形状記憶効果や超弾性が付与される、形状記憶合金が好ましく採用される。ただし、用途によっては、線材の材料として、ステンレス、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、白金(Pt)、金(Au)、タングステン(W)等を用いてもよい。上記した形状記憶合金としては、例えば、ニッケル(Ni)-Ti合金、銅(Cu)-亜鉛(Zn)-X(X=アルミニウム(Al),鉄(Fe)等)合金、Ni-Ti-X(X=Fe,Cu,バナジウム(V),コバルト(Co)等)合金などが好ましく使用される。なお、このような線材として、例えば合成樹脂などを用いるようにしてもよい。また、金属線材の表面にAu,Ptなどをメッキ等の手段で被覆したもの、あるいは、Au,Ptなどの放射線不透過性の素材からなる芯材を合金で覆った複合的な線材を、線材として用いるようにしてもよい。
[詳細構成]
続いて、図2を参照して、図1に示したステント11の詳細構成例(上記した網目状構造の構成例)について説明する。図2は、ステント11の詳細構成例を模式平面図で表したものであり、図1に示した軸方向Zおよび周方向Rの各方向に沿って表している。
続いて、図2を参照して、図1に示したステント11の詳細構成例(上記した網目状構造の構成例)について説明する。図2は、ステント11の詳細構成例を模式平面図で表したものであり、図1に示した軸方向Zおよび周方向Rの各方向に沿って表している。
このステント11は、まず、図2に示したように、軸方向Zおよび周方向Rの各々に沿って延在する2次元的な構造体である、2種類の網目状構造体111,112を有している。網目状構造体111は、1または複数の線材W1(この例では1本の線材W1)を用いて形成されており、網目状構造体112は、線材W1と交差する1または複数の線材W2(この例では1本の線材W2)を用いて形成されている。なお、線材W1,W2はそれぞれ、本発明における「第1線材」および「第2線材」の一具体例に対応し、網目状構造体111,112はそれぞれ、本発明における「第1網目状構造体」および「第2網目状構造体」の一具体例に対応している。
網目状構造体111は、直線部および屈曲部b1を含んで波形形状を成す線材W1が、その直線部において交差することにより形成されている。したがって、この網目状構造体111では、線材W1の直線部同士が交差する部分である交差部(線材交差部)が形成されている。同様に、網目状構造体112は、直線部および屈曲部b2を含んで波形形状を成す線材W2が、その直線部において交差することにより形成されている。したがって、この網目状構造体112においても、線材W2の直線部同士が交差する部分である交差部(線材交差部)が形成されている。また、網目状構造体112は、線材W2の直線部と線材W1の直線部とが交差することで、網目状構造体111に対して編み組まれている。
また、網目状構造体111は、図2に示したように、軸方向Zおよび周方向Rの各々に沿って並んで2次元配置された、複数の単位構造U1により構成されている。同様に、網目状構造体112は、軸方向Zおよび周方向Rの各々に沿って並んで2次元配置された、複数の単位構造U2により構成されている。なお、単位構造U1,U2はそれぞれ、本発明における「第1単位構造」および「第2単位構造」の一具体例に対応している。
各単位構造U1は、この例では、2つの線材W1によって囲まれた領域により構成されている。具体的には、各単位構造U1は、軸方向Zを長軸方向とすると共に周方向Rを短軸方向とし、2つの屈曲部b1と2つの線材交差部(上記した線材W1同士の交差部)とを頂点とする、略菱形状となっている。したがってこの例では、後述する、単位構造U1における軸方向Zに沿った長さ(軸方向長L1)は、各線材W1の波高(前述した波形形状における軸方向Zの長さ)と一致している。
一方、各単位構造U2は、この例では、2つの線材W2によって囲まれた領域により構成されている。具体的には、各単位構造U2は、軸方向Zを長軸方向とすると共に周方向Rを短軸方向とし、2つの屈曲部b2と2つの線材交差部(上記した線材W2同士の交差部)とを頂点とする、略菱形状となっている。したがってこの例では、後述する、単位構造U2における軸方向Zに沿った長さ(軸方向長L2)は、各線材W2の波高と一致している。また、この例では図2に示したように、この単位構造U2における略菱形形状は、更に、略菱形形状からなる4つの領域により構成されている。
また、図2に示したように、これらの単位構造U1,U2は、軸方向Zおよび周方向Rの各々に沿って互いにずれた位置となるようにして、互いに重なり合うように配置(重畳配置)されている。これにより図2に示した例では、各単位構造U1が、網目状構造体112(2つの線材W2)によって4つ以上(この例では主に4つ)の領域に分割されている。
ここで本実施の形態では、図2に示したように、網目状構造体111において、線材W1同士が屈曲部b1において互いに連結(係合)されてなる、連結部C1(掛け合い部)が形成されている。すなわち、網目状構造体111は、直線部および屈曲部b1を含んで波形形状を成す線材W1を周方向Rに沿って進行させて形成した網目パターンが、軸方向Zに沿って連結することで構成されている。一方、線材W2同士は、互いに交差しているものの、屈曲部b2において互いに連結されていない(上記した連結部C1のような連結部が形成されていない)。
また、この網目状構造体111に形成された複数の連結部C1の少なくとも一部は、単位構造U2(線材W2)によって囲まれていない。具体的には、この例では図2に示したように、連結部C1が、単位構造U2によって囲まれている連結部C11(第1連結部)と、単位構造U2によって囲まれていない連結部C12(第2連結部)と、の2種類の連結部により構成されている。
更に、この例では図2に示したように、単位構造U1における軸方向Zに沿った長さ(軸方向長L1)と、単位構造U2における軸方向Zに沿った長さ(軸方向長L2)との間の大小関係が、以下のようになっている。すなわち、単位構造U2における軸方向長L2が、単位構造U1における軸方向長L1以上となっており(L2≧L1)、特に本実施の形態では、軸方向長L2が軸方向長L1よりも大きくなっている(L2>L1)。
なお、この例では、軸方向長L1は、例えば8~24mm程度であり、軸方向長L2は、例えば8~200mm程度である。また、軸方向長L1に対する軸方向長L2の割合((L2/L1)×100)の数値範囲としては、100~500%程度であることが望ましい。なお、軸方向長L2は、ステント11の軸方向Zに沿った長さと同じであってもよい。
[作用・効果]
(A.基本動作)
このステント11は、患者における消化管付近の腫瘍等の治療の際に、その治療対象の部位(例えば大腸等の消化管内)に留置されることで、腫瘍によって狭窄した消化管の内腔を押し開けることが可能となる。
(A.基本動作)
このステント11は、患者における消化管付近の腫瘍等の治療の際に、その治療対象の部位(例えば大腸等の消化管内)に留置されることで、腫瘍によって狭窄した消化管の内腔を押し開けることが可能となる。
このとき、具体的にはまず、所定のデリバリーシース内にステント11が縮径された状態で挿入され、このデリバリーシースが消化管内に挿入されることで、ステント11が患部付近まで運ばれる。そして、ステント11がデリバリーシース内から展開されて拡径されることで、ステント11が患部(治療対象の部位)に留置されることになる。
(B.ステント11の網目状構造について)
次いで、図2~図4を参照して、ステント11の網目状構造による作用・効果について、比較例(比較例1,2)と比較しつつ詳細に説明する。
次いで、図2~図4を参照して、ステント11の網目状構造による作用・効果について、比較例(比較例1,2)と比較しつつ詳細に説明する。
(B-1.比較例1)
図3は、比較例1に係るステント(ステント100)の構成例を、模式的に平面図で表したものである。この比較例1のステント100は、図2に示した本実施の形態のステント11とは異なり、1種類の線材W1のみを用いて構成されている。すなわち、このステント100では、線材W1を用いた網目状構造体111のみが形成されており、線材W2を用いた網目状構造体112は形成されていない。
図3は、比較例1に係るステント(ステント100)の構成例を、模式的に平面図で表したものである。この比較例1のステント100は、図2に示した本実施の形態のステント11とは異なり、1種類の線材W1のみを用いて構成されている。すなわち、このステント100では、線材W1を用いた網目状構造体111のみが形成されており、線材W2を用いた網目状構造体112は形成されていない。
ところで、このような消化管用のステントでは一般に、以下のような再狭窄が発生してしまうケースがある。つまり、この消化管用のステントの留置後に、前述した患部付近の腫瘍の成長に伴って、ステントの網目(線材同士の隙間)から腫瘍が消化管の内腔に侵入し、再狭窄してしまうことがある。したがって、そのような再狭窄が生じにくくするためには、例えば図3中の矢印で示したように、ステントの網目はできるだけ小さく(細かく)する、つまり、ステントの網目状構造における単位構造(この例では単位構造U1)の数を増やすことが望ましいと言える。
(B-2.比較例2)
一方、図4は、比較例2に係るステント(ステント200)の構成例を、模式的に平面図で表したものである。この比較例2のステント200は、図2に示した本実施の形態のステント11と同様に、2種類の線材W1,W2を用いて構成されている。すなわち、このステント200では、線材W1を用いた網目状構造体111と、線材W102を用いた網目状構造体102とが形成されている。この網目状構造体102は、図4中の矢印P1で示したように、網目状構造体111のパターンを、周方向Rに沿って半ピッチ(単位構造U1の周方向Rの長さの半分)分だけずらして配置したものに相当する。また、この線材W102には、図2に示した線材W2と同様に、直線部および屈曲部b102を有している。
一方、図4は、比較例2に係るステント(ステント200)の構成例を、模式的に平面図で表したものである。この比較例2のステント200は、図2に示した本実施の形態のステント11と同様に、2種類の線材W1,W2を用いて構成されている。すなわち、このステント200では、線材W1を用いた網目状構造体111と、線材W102を用いた網目状構造体102とが形成されている。この網目状構造体102は、図4中の矢印P1で示したように、網目状構造体111のパターンを、周方向Rに沿って半ピッチ(単位構造U1の周方向Rの長さの半分)分だけずらして配置したものに相当する。また、この線材W102には、図2に示した線材W2と同様に、直線部および屈曲部b102を有している。
ただし、この網目状構造体102では、図2に示した網目状構造体112とは異なり、線材W102同士が屈曲部b102において互いに連結されており、連結部C102が形成されている。つまり、比較例2のステント200には、線材W1同士による連結部C1と、線材W102同士による連結部C102とがそれぞれ設けられている。
このようにステント200では、2種類の網目状構造体111,102が互いにずれた配置にて設けられていることで、図4に示したように、網目状構造体111における各単位構造U1が、網目状構造体102(2つの線材W102)によって4つの領域に分割されている。つまり、このステント200では、上記比較例1のステント100と比べ、網目状構造体102が追加的に設けられている分、ステント200全体の網目がより小さく(細かく)なっていると言える。
ただし、このような消化管用のステントでは一般に、例えば以下のような変形特性(追従性、縮径性、拡径力等)が良好であることが求められている。
(1)消化管の湾曲形状に追従する特性(追従性)
(2)前述したデリバリーシースに挿入する際の縮径性
(3)消化管の狭窄部(治療対象の部位)を押し広げる拡径力
(1)消化管の湾曲形状に追従する特性(追従性)
(2)前述したデリバリーシースに挿入する際の縮径性
(3)消化管の狭窄部(治療対象の部位)を押し広げる拡径力
また、一般に、連結部が設けられると線材の動きが制限されるため、ステントを湾曲させたときにその湾曲に反発するような力が連結部に生じ、追従性が損なわれる。更に、線材における屈曲部同士が係合することで連結部が構成されていることから、この連結部付近には線材が集中していることになるため、連結部がステントの周方向に沿って多数配置されると、縮系性も損なわれることになる。
ここで、このステント200では、図4に示したように、軸方向Zの同一位置において、周方向Rに沿って形成された連結部(連結部C1,C102)の個数が、連結部C102が追加的に形成されている分、ステント100と比べて増加(この例では2倍に増加)している。このため、ステント200では、その網目が小さくなっていることで、前述した再狭窄が生じにくくなる一方、連結部の個数増に起因して、ステント100と比べてその変形特性(例えば、上記した追従性や縮径性等)が低下してしまうことになる。これらのことから、比較例1,2のステント100,200では、その変形特性を維持しつつ、ステント100,200の網目を小さくして前述した再狭窄を生じにくくすることが困難である。
(B-3.本実施の形態)
これに対して本実施の形態のステント11では、図2に示したように、線材W1を用いた網目状構造体111に加え、線材W2を用いた網目状構造体112が形成されている。これによりステント11では、上記比較例2のステント200と同様に、網目状構造体111における各単位構造U1が、網目状構造体112(2つの線材W2)によって主に4つの領域に分割されている。つまり、このステント11では、上記比較例1のステント100と比べ、網目状構造体112が追加的に設けられている分、ステント11全体の網目がより小さく(細かく)なる。
これに対して本実施の形態のステント11では、図2に示したように、線材W1を用いた網目状構造体111に加え、線材W2を用いた網目状構造体112が形成されている。これによりステント11では、上記比較例2のステント200と同様に、網目状構造体111における各単位構造U1が、網目状構造体112(2つの線材W2)によって主に4つの領域に分割されている。つまり、このステント11では、上記比較例1のステント100と比べ、網目状構造体112が追加的に設けられている分、ステント11全体の網目がより小さく(細かく)なる。
また、このステント11では、図2に示したように、網目状構造体111において、線材W1同士が屈曲部b1において互いに連結されている(連結部C1が形成されている)一方、線材W2同士は、屈曲部b2において互いに連結されていない。つまり、線材W2同士は互いに交差しているものの、線材W1同士による連結部C1のような連結部が形成されていない。これによりステント11では、上記比較例2のステント200とは異なり、網目状構造体112の追加に伴う連結部の個数増が、回避される。その結果、このステント11では、網目状構造体112における線材W2が動く(変位する)ことが可能となるため、ステント11を湾曲させたときに、その湾曲に対して反発するような力が生じにくくなると共に、周方向Rに沿って配置される連結部の個数が少なくなる。
更に、このステント11では、図2に示したように、単位構造U1における軸方向Zに沿った長さ(軸方向長L1)と、単位構造U2における軸方向Zに沿った長さ(軸方向長L2)との間の大小関係が、以下のようになっている。すなわち、単位構造U2における軸方向長L2が、単位構造U1における軸方向長L1以上となっており(L2≧L1)、特に本実施の形態では、軸方向長L2が軸方向長L1よりも大きくなっている(L2>L1)。これによりステント11では、逆に、軸方向長L2が軸方向長L1未満となっている場合(L2<L1:例えば後述する変形例3,4に相当)と比べ、以下のようになる。すなわち、少ない数の単位構造U2によって、ステント11全体における単位構造U1を分割することが可能となり、ステント11全体における線材W2の屈曲部b2の個数が少なくなる。その結果、前述したデリバリーシースからステント11を引き抜く際に、ステント11における各屈曲部b1,b2とデリバリーシースとの間に生じる摩擦(引っかかり)が減少し、デリバリーシースからステント11が引き抜き易くなるため、操作性が向上する。また、ステント11全体における屈曲部b1,b2の総数が少なくなることから、ステント11の変形特性(縮系性等)も向上する。
加えて、図2に示した例では、各単位構造U1が、網目状構造体112によって4つ以上(この例では主に4つ)の領域に分割されている。したがって、網目状構造体112(線材W2)による単位構造U1に対する分割数が増加するのに従って、ステント11の網目が小さくなっていくことから、ステント11の留置後における腫瘍の侵入による再狭窄が、更に生じにくくなる。
また、図2に示したように、網目状構造体111に形成された複数の連結部C1の少なくとも一部は、単位構造U2(線材W2)によって囲まれていない。つまり、この例では連結部C1が、単位構造U2によって囲まれている連結部C11と、単位構造U2によって囲まれていない連結部C12と、の2種類の連結部により構成されている。したがって、連結部C1の周囲における単位構造U2の個数が少なくなることから、ステント11の変形特性(追従性、縮径性等)が向上する。
以上のように本実施の形態では、ステント11において網目状構造体111に加えて網目状構造体112が形成されていると共に、線材W2同士が屈曲部b2において互いに連結されていないようにしたので、以下のようになる。すなわち、ステント11全体の網目を小さくすることができると共に、網目状構造体112の追加に伴う連結部の個数増を回避することができる。よって、ステント11の変形特性を維持しつつ、ステント11の網目をより小さくすることができ、ステント11の留置後における腫瘍の侵入による再狭窄を生じにくくすることが可能となる。
<2.変形例>
続いて、上記実施の形態の変形例(変形例1~5)について説明する。具体的には、以下の変形例1~5ではそれぞれ、本発明に係るステントの他の構成例(網目状構造の他の構成例)について説明する。なお、これらの変形例1~5において、実施の形態等における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
続いて、上記実施の形態の変形例(変形例1~5)について説明する。具体的には、以下の変形例1~5ではそれぞれ、本発明に係るステントの他の構成例(網目状構造の他の構成例)について説明する。なお、これらの変形例1~5において、実施の形態等における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
[変形例1]
図5は、変形例1に係るステント(ステント11A)の構成例を、模式的に平面図で表したものである。このステント11Aは、図2に示した実施の形態のステント11において、網目状構造体112における線材W2の配置パターンを変更したものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
図5は、変形例1に係るステント(ステント11A)の構成例を、模式的に平面図で表したものである。このステント11Aは、図2に示した実施の形態のステント11において、網目状構造体112における線材W2の配置パターンを変更したものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
具体的には、実施の形態のステント11では、図2に示したように、網目状構造体111に形成された複数の連結部C1の少なくとも一部が、単位構造U2(線材W2)によって囲まれていなかった。これに対し、本変形例のステント11Aでは、図5に示したように、網目状構造体111に形成された複数の連結部C1の全てが、単位構造U2(線材W2)によって囲まれている。つまり、このステント11Aでは図5に示したように、連結部C1が、単位構造U2によって囲まれている連結部C11のみによって構成されており、単位構造U2によって囲まれていない連結部C12(図2参照)は設けられていない。
このようにして本変形例では、全ての連結部C1の周囲に単位構造U2が配置されることとなるように網目状構造体112が構成されている(線材W2が追加的に配置されている)ことで、以下のようになる。すなわち、ステント11A全体の網目が更に小さくなる結果、ステント11Aの留置後における腫瘍の侵入による再狭窄を、更に生じにくくすることが可能となる。
[変形例2]
図6は、変形例2に係るステント(ステント11B)の構成例を、模式的に平面図で表したものである。このステント11Bは、図5に示した変形例1のステント11Aにおいて、網目状構造体112における線材W2の配置パターンを変更したものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
図6は、変形例2に係るステント(ステント11B)の構成例を、模式的に平面図で表したものである。このステント11Bは、図5に示した変形例1のステント11Aにおいて、網目状構造体112における線材W2の配置パターンを変更したものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
具体的には、実施の形態および変形例1のステント11,11Aではそれぞれ、図2,図5に示したように、単位構造U2における軸方向長L2が、単位構造U1における軸方向長L1よりも大きくなっていた(L2>L1)。これに対し、本変形例のステント11Bでは、図6に示したように、単位構造U2における軸方向長L2が、単位構造U1における軸方向長L1と等しくなっている(L2=L1)。これは、本変形例における各単位構造U2が、これまでに挙げてきた各単位構造U2(4つの略菱形形状の領域が並列配置されてなる略菱形形状)とは異なり、3つの略菱形形状の領域が並列配置された形状となっているためである。
このような構成の本変形例においても、基本的には変形例1と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能である。
[変形例3]
図7は、変形例3に係るステント(ステント11C)の構成例を、模式的に平面図で表したものである。このステント11Cは、図2に示した実施の形態のステント11において、網目状構造体112における線材W2の配置パターンを変更したものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
図7は、変形例3に係るステント(ステント11C)の構成例を、模式的に平面図で表したものである。このステント11Cは、図2に示した実施の形態のステント11において、網目状構造体112における線材W2の配置パターンを変更したものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
具体的には、実施の形態および変形例1,2のステント11,11A,11Bではそれぞれ、図2,図5,図6に示したように、単位構造U2における軸方向長L2が、単位構造U1における軸方向長L1以上となっていた(L2≧L1)。これに対し、本変形例のステント11Cでは、図7に示したように、単位構造U2における軸方向長L2が、単位構造U1における軸方向長L1未満となっている(L2<L1)。これは、本変形例における各単位構造U2が、これまでに挙げてきた各単位構造U2(3つまたは4つの略菱形形状の領域が並列配置されてなる形状)とは異なり、1つの略菱形形状のみからなる形状となっているためである。
なお、本変形例においては、軸方向長L2は、例えば2~23mm程度であり、軸方向長L1に対する軸方向長L2の割合((L2/L1)×100)の数値範囲としては、25~95%程度であることが望ましい。
このような構成により本変形例では、例えば上記した実施の形態および変形例1,2のステント11,11A,11Bと比べ、以下のようになる。すなわち、ステント11C全体における線材W2の屈曲部b2の個数が増えるものの、線材W1の連結部C1の形成位置とずれた位置にこの屈曲部b2が配置されるため、ステント11Cの変形特性(追従性、縮径性等)が維持される。また、単位構造U2における軸方向長L2が短くなることから、ステント11Cの網目が更に小さくなる。その結果、ステント11Cの留置後における腫瘍の侵入による再狭窄を、更に生じにくくすることが可能となる。
[変形例4]
図8は、変形例4に係るステント(ステント11D)の構成例を、模式的に平面図で表したものである。このステント11Dは、図7に示した変形例3のステント11Cにおいて、網目状構造体112における線材W2の配置パターンを変更したものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
図8は、変形例4に係るステント(ステント11D)の構成例を、模式的に平面図で表したものである。このステント11Dは、図7に示した変形例3のステント11Cにおいて、網目状構造体112における線材W2の配置パターンを変更したものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
具体的には、変形例3のステント11Cでは、図7に示したように、網目状構造体111に形成された複数の連結部C1の全て(各連結部C12)が、単位構造U2(線材W2)によって囲まれていなかった。これに対し、本変形例のステント11Dでは、図8に示したように、前述した変形例1と同様にして、網目状構造体111に形成された複数の連結部C1の全てが、単位構造U2(線材W2)によって囲まれている。つまり、このステント11Dでは、連結部C1が、単位構造U2によって囲まれている連結部C11のみによって構成されており、単位構造U2によって囲まれていない連結部C12(図7参照)は設けられていない。これは、このステント11Dでは、図7に示したステント11Cに対して、図8中の矢印P2で示したラインに位置する単位構造U2(便宜上、破線にて図示)が追加的に配置されるようになっているからである。
このようにして本変形例では、前述した変形例1と同様にして、以下のようになる。すなわち、ステント11D全体の網目が更に小さくなる結果、ステント11Dの留置後における腫瘍の侵入による再狭窄を、更に生じにくくすることが可能となる。
[変形例5]
図9は、変形例5に係るステント(ステント11E)の構成例を、模式的に平面図で表したものである。このステント11Eは、これまでに説明してきたステント11,11A~11Dにおいて、網目状構造体111における線材の配置パターンを変更したものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。すなわち、本変形例のステント11Eは、以下説明する本変形例の網目状構造体111と、実施の形態および変形例1~4のうちのいずれかに対応する網目状構造体112とを有している。
図9は、変形例5に係るステント(ステント11E)の構成例を、模式的に平面図で表したものである。このステント11Eは、これまでに説明してきたステント11,11A~11Dにおいて、網目状構造体111における線材の配置パターンを変更したものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。すなわち、本変形例のステント11Eは、以下説明する本変形例の網目状構造体111と、実施の形態および変形例1~4のうちのいずれかに対応する網目状構造体112とを有している。
本変形例の網目状構造体111は、具体的には図9に示したように、直線部および屈曲部b1を含んで波形形状を成す線材W11(W11a,W11b),W12(W12a,W12b),W13(W13a,W13b)によって形成されている。より具体的には、線材W11aと線材W11bとが、それらの直線部において互いに交差する(線材交差部を形成する)ように配置されている。また、線材W13aと線材W13bとが、それらの直線部において互いに交差する(線材交差部を形成する)ように配置されている。更に、線材W12aと線材W12bとが、それらの直線部において互いに交差する(線材交差部を形成する)ように配置されている。なお、これらの線材W11(W11a,W11b),W12(W12a,W12b),W13(W13a,W13b)はそれぞれ、本発明における「第1線材」の一具体例に対応している。
ここで、図9に示したように、本変形例の網目状構造体111では、線材W11a,W11b同士の交差部(線材交差部)と、線材W12aまたは線材W12bの屈曲部b1とが、互いに連結されることで、連結部C1が形成されている。また、線材W13a,W13b同士の交差部(線材交差部)と、線材W12aまたは線材W12bの屈曲部b1とが、互いに連結されることで、連結部C1が形成されている。更に、線材W12a,W12b同士の交差部(線材交差部)と、線材W11a,W13aまたは線材W11b,W13bの屈曲部b1とが、互いに連結されることで、連結部C1が形成されている。すなわち、本変形例においても、網目状構造体111は、直線部および屈曲部b1を含んで波形形状を成す線材W11,W12,W13を周方向Rに沿って進行させて形成した網目パターンが、軸方向Zに沿って連結することで構成されている。なお、線材W11aにおける屈曲部b1と、線材W13aにおける屈曲部b1とは、互いに隣接するように配置されている。同様に、線材W11bにおける屈曲部b1と、線材W13bにおける屈曲部b1とは、互いに隣接するように配置されている。一方、図9中には図示されていないが、本変形例においても、線材W2同士は互いに交差しているものの、互いに連結されていない(上記した連結部C1のような連結部が形成されていない)。
また、本変形例における各単位構造U1は、図9に示したように、6つの線材(線材W11a,W11b,W12a,W12b,W13a,W13b)によって囲まれた領域により構成されている。具体的には、各単位構造U1は、軸方向Zを長軸方向とすると共に周方向Rを短軸方向とし、2つの屈曲部b1と2つの線材交差部とを頂点とする、略菱形状となっている。したがって本変形例では、単位構造U1における軸方向長L1は、各線材W11,W12,W13の波高と一致している。
このような構成の本変形例においても、基本的には、実施の形態および変形例1~4と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能である。
<3.適用例>
続いて、上記した実施の形態および変形例1~5に係るステント(ステント11,11A~11E)、医療機器への適用例について説明する。
続いて、上記した実施の形態および変形例1~5に係るステント(ステント11,11A~11E)、医療機器への適用例について説明する。
図10は、本適用例に係る医療機器(医療機器1)の概略構成例を、模式的に斜視図で表したものである。この医療機器1は、ステント11,11A~11Eのうちのいずれか1つと、以下説明する筒状部材12とを備えており、これまでに説明したステント11,11A~11Eと同様に、例えば消化管などの体内の管状器官に適用される機器である。
(筒状部材12)
筒状部材12は、図10に示したように筒状(円筒状)の形状を有しており、ステント11(11A~11E)の少なくとも一部分を覆う(被覆する)ように配置されている。具体的には、この例では、筒状部材12がステント11(11A~11E)の外周側を覆うように配置されている。
筒状部材12は、図10に示したように筒状(円筒状)の形状を有しており、ステント11(11A~11E)の少なくとも一部分を覆う(被覆する)ように配置されている。具体的には、この例では、筒状部材12がステント11(11A~11E)の外周側を覆うように配置されている。
また、この筒状部材12は、例えば縫着や接着、溶着等の手段によってステント11(11A~11E)に連結されており、このステント11(11A~11E)を被覆するようになっている。なお、このような筒状部材12とステント11(11A~11E)との連結部は、例えば、ステント11(11A~11E)の両端部や中間部などに適宜設けられている。
ここで、この例では、筒状部材12の軸方向Zに沿った全ての領域に、ステント11(11A~11E)が配置されている。ただし、これには限られず、筒状部材12の軸方向Zに沿った一部の領域にのみ、ステント11(11A~11E)が配置されているようにしてもよい。つまり、医療機器1がその軸方向Zに沿って、ステント11(11A~11E)が配置された領域(ステント配置領域)と、ステント11(11A~11E)が配置されていない領域(ステント非配置領域)とを有しているようにしてもよい。
このような筒状部材12としては、例えば、熱可塑性樹脂を押出し成形やブロー成形などの成形方法で筒状に形成したもの、筒状に形成した熱可塑性樹脂の繊維や極細な金属線からなる編織物、筒状に形成した熱可塑性樹脂や極細な金属からなる不織布、筒状に形成した可撓性樹脂のシートや多孔質シート、溶剤に溶解された樹脂をエレクトロスピニング法によって肉薄の筒状に形成した構造体、などを用いることができる。
ここで、上記した編織物としては、平織、綾織などの公知の編物や織物を用いることができる。また、クリンプ加工などのヒダの付いたものを使用することもできる。なお、これらのうち、特に円筒状に形成した熱可塑性樹脂の繊維の編織物、更には筒状に形成した熱可塑性樹脂の繊維の平織りの織物が、強度や有孔度、生産性が優れるため、好ましいと言える。
また、上記した熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-α-オレフィン共重合体などのポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレートなどのポリエステル、ポリフッ化エチレンやポリフッ化プロピレンなどのフッ素樹脂等、耐久性および組織反応の少ない樹脂などを用いることができる。なお、これらのうち、特に、化学的に安定で耐久性が大きく、かつ組織反応の少ない、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリフッ化エチレンやポリフッ化プロピレンなどのフッ素樹脂を好ましく用いることができる。
本適用例の医療機器1においても、基本的には、実施の形態および変形例1~5と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能である。
<4.その他の変形例>
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態等において説明した各部材の形状や配置位置、サイズ、個数、材料等は限定されるものではなく、他の形状や配置位置、サイズ、個数、材料等としてもよい。具体的には、例えば、筒状部材が、ステントの内周側を覆っていたり、ステントの内周側および外周側の双方を覆っていたりするようにしてもよい。また、ステントにおける各線材の配置形状(編み組みパターン)は、上記実施の形態で挙げたものには限られず、他の配置形状としてもよい。更に、上記適用例では、医療機器内に1つのステントのみが配置されている場合を例に挙げて説明したが、これには限られず、医療機器内に2つ以上のステントが個別に(例えば、軸方向Zに沿って互いに分離した状態で)配置されているようにしてもよい。
また、上記実施の形態等では、主に、大腸等の消化管についての治療に適用されるステントおよび医療機器を例に挙げて説明したが、これには限られない。すなわち、本発明のステントおよび医療機器はそれぞれ、大腸以外の他の消化管や、消化管以外の他の体内の管状器官についての治療にも適用することが可能である。
Claims (7)
- 1または複数の第1線材を用いて形成された第1網目状構造体と、
前記第1線材と交差する1または複数の第2線材を用いて形成された第2網目状構造体と
を備え、
前記第1網目状構造体では、前記第1線材同士が互いに連結されてなる連結部が形成されており、
前記第2線材同士は、互いに連結されていない
ステント。 - 前記第1網目状構造体は、複数の第1単位構造により構成されていると共に、
前記第2網目状構造体は、複数の第2単位構造により構成されており、
前記第2単位構造における前記ステントの軸方向に沿った長さが、前記第1単位構造における前記軸方向に沿った長さ以上である
請求項1に記載のステント。 - 前記第1網目状構造体は、複数の第1単位構造により構成されていると共に、
前記第2網目状構造体は、複数の第2単位構造により構成されており、
前記第2単位構造における前記ステントの軸方向に沿った長さが、前記第1単位構造における前記軸方向に沿った長さ未満である
請求項1に記載のステント。 - 前記複数の第1単位構造がそれぞれ、前記第2網目状構造体によって4つ以上の領域に分割されている
請求項2または請求項3に記載のステント。 - 前記第1網目状構造体に形成された複数の前記連結部の少なくとも一部が、前記第2単位構造によって囲まれていない
請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載のステント。 - 前記第1網目状構造体に形成された複数の前記連結部の全てが、前記第2単位構造によって囲まれている
請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載のステント。 - 筒状部材と、
前記筒状部材の少なくとも一部分に配置された、少なくとも1つのステントと
を備え、
前記ステントは、
1または複数の第1線材を用いて形成された第1網目状構造体と、
前記第1線材と交差する1または複数の第2線材を用いて形成された第2網目状構造体と
を有し、
前記第1網目状構造体では、前記第1線材同士が互いに連結されてなる連結部が形成されており、
前記第2線材同士は、互いに連結されていない
医療機器。
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