WO2016157659A1 - 作業機 - Google Patents

Abstract

　アンロードレバー以外を把持して押し下げた場合にロード状態に移行することを防ぐ。第１ガイド溝（２４）を有する支持ブラケット（１２）に第１横軸（２７）を介して回動自在に枢支された操縦ボックス（２６）と、操縦ボックスに揺動自在に支持されたアンロードレバー（３１）と、操縦ボックスに第２横軸（３２）を介して回動自在に枢支され且つカム溝を有するカム体（３３）とを備え、支持ブラケットは、アンロードレバーが押し下げ位置にあるときにカム溝の一方に、引き上げ位置にあるときにカム溝の他方に位置する第１ガイドピン（３５）を有し、アンロードレバーは、押し下げ位置にあるときは第１ガイド溝の一方に、引き上げ位置にあるときは他方に位置する第２ガイドピン（４４）を有し、第１ガイド溝は、第２ガイドピンを第１ガイド溝の一方で係止する第１係止部（２４Ａ）と、他方で係止する第２係止部（２４Ｂ）とを有する。

Description

作業機

　本発明は、建設作業や土木作業に使用されるバックホー、スキッドローダ、トラックローダ等の作業機に関する。

　従来技術として、特許文献１の開示技術が知られている。
　特許文献１に開示された作業機は、機体と、機体上に設けられた操縦台と、操縦台上に設けられた運転席と、運転席の側方に設けられた操縦装置と、操縦台に固定された支持ブラケットとを備えている。操縦装置は、支持ブラケットに横軸を介して回動自在に枢支された操縦ボックスと、操縦ボックスに設けられた操作レバーと、操縦ボックスに横軸を介して回動自在に枢支されたカム体と、カム体に固定されたアンロードレバーと、リミットスイッチからなる回動検出手段を有している。回動検出手段は、アンロードレバーの引き上げを検出したとき（リミットスイッチがオンになったとき）には操縦装置による操作が不能なアンロード状態とし、アンロードレバーの押し下げを検出したとき（リミットスイッチがオフになったとき）には操縦装置による操作が可能なロード状態（アンロード解除状態）とする。

特開２００９－２３５７９９号公報

　しかしながら、特許文献１の開示技術では、アンロードレバーを引き上げている状態（アンロード状態）において、運転者がアンロードレバー以外の部分（例えば操作レバー等）を把持して押し下げても、ロード状態に移行させることができる。そのため、運転者が不用意に操作レバーを押し下げた場合でも、操縦装置による操作が可能なロード状態となる。

　本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、アンロードレバーを引き上げている状態で、運転者がアンロードレバー以外の部分（例えば操作レバー等）を把持して押し下げた場合に、ロード状態に移行することを防止できる作業機の提供を目的とするものである。

　本発明は、上記課題を解決するために以下の技術的手段を講じた。
　第１に、作業機は、運転席と、油圧アクチュエータを有する作業装置と、前記運転席の側方に設けられ且つ第１ガイド溝を有する支持ブラケットと、前記支持ブラケットに第１横軸を介して回動自在に枢支され且つ操作レバーを有する操縦ボックスと、前記操縦ボックスに揺動自在に支持され且つ当該揺動によって前記油圧アクチュエータに作動油を供給するか否かを操作可能なアンロードレバーと、前記操縦ボックスに第２横軸を介して回動自在に枢支され且つカム溝を有するカム体と、を備え、前記支持ブラケットは、前記アンロードレバーの揺動に応じて前記カム溝内で位置を変更し、且つ前記アンロードレバーが押し下げ位置にあるときには前記カム溝の一方に位置すると共に引き上げ位置にあるときには前記カム溝の他方に位置する第１ガイドピンを有し、前記アンロードレバーは、当該アンロードレバーの揺動に応じて前記第１ガイド溝内で位置を変更し、且つ当該アンロードレバーが押し下げ位置にあるときには前記第１ガイド溝の一方に位置すると共に引き上げ位置にあるときには前記第１ガイド溝の他方に位置する第２ガイドピンを有し、前記第１ガイド溝は、前記第２ガイドピンを当該第１ガイド溝の一方で係止する第１係止部と、前記第２ガイドピンを当該第１ガイド溝の他方で係止する第２係止部とを有する。

　第２に、前記アンロードレバーは、前記カム体に対して上方の第１位置と下方の第２位置との間で回動自在に枢支され、前記第２ガイドピンは、前記アンロードレバーが前記第１位置から前記第２位置に回動したときに前記第２係止部から離脱する。
　第３に、前記カム体は、第２ガイド溝を有し、前記アンロードレバーは、当該アンロードレバーが前記第１位置にあるときには前記第２ガイド溝の一方に位置するとともに、前記第２位置にあるときには前記第２ガイド溝の他方に位置する第３ガイドピンを有している。

　第４に、前記アンロードレバーを前記第１位置に保持すべく上方に回動させる付勢力を付与する付勢部材を有している。
　第５に、作業機は、油圧アクチュエータを有する作業装置と、運転席と、前記運転席の側方に設けられた支持ブラケットと、前記支持ブラケットに第１横軸を介して回動自在に枢支された操縦ボックスと、前記操縦ボックスに設けられた操作レバーと、前記操縦ボックスに揺動自在に支持され且つ当該揺動によって前記油圧アクチュエータに作動油を供給するか否かを操作可能なアンロードレバーと、前記操縦ボックスに第２横軸を介して回動自在に枢支され且つカム溝を有するカム体と、前記アンロードレバーの揺動に応じて前記カム溝内で位置を変更し、且つ当該アンロードレバーが押し下げ位置にあるときには前記カム溝の一方に位置すると共に引き上げ位置にあるときには前記カム溝の他方に位置する第１ガイドピンと、前記カム体を前記第２横軸回りに回動させる付勢力を付与する付勢部材と、前記付勢部材による付勢力の方向を、前記カム体を一方に回動させる第１方向と、前記カム体を他方に回動させる第２方向とに切り換える切換機構とを備え、前記切換機構は、前記付勢部材による付勢方向を、前記第１ガイドピンが前記カム溝の一方にあるときには前記第１方向とし、前記第１ガイドピンが前記カム溝の他方にあるときは前記第２方向とする。

　第６に、前記切換機構は、前記支持ブラケットに第３横軸を介して回動自在に枢支されたカムリンクと、前記カム体に突設された第２ガイドピンと、を有しており、前記第２ガイドピンは、前記カム溝の下方に設けられ、前記付勢部材は、前記カムリンクと前記操縦ボックスとを連結し、前記カムリンクは、前記第２ガイドピンに係止される係止部を有し、前記カム体は、前記第２ガイドピンを介して前記カムリンクと連動して回動する。

　第７に、前記カム体は、前記カムリンクの一方向への回動に連動して下方へ回動し、前記カムリンクの他方向への回動に連動して上方に回動し、前記付勢部材は、前記第１ガイドピンが前記カム溝の他方にあるときは前記カムリンクを前記一方向に回動させる付勢力を付与し、前記第１ガイドピンが前記カム溝の一方にあるときは前記カムリンクを前記他方向に回動させる付勢力を付与する。

　第８に、前記カム溝の他方には、前記第１ガイドピンの直径に比べて幅が広く形成された拡幅部が形成されている。
　第９に、作業機は、油圧アクチュエータを有する作業装置と、運転席と、前記運転席の側方に設けられた支持ブラケットと、前記支持ブラケットに第１横軸を介して回動自在に枢支された操縦ボックスと、前記操縦ボックスに設けられた操作レバーと、前記操縦ボックスに揺動自在に支持され且つ当該揺動によって前記油圧アクチュエータに作動油を供給するか否かを操作可能なアンロードレバーと、前記操縦ボックスに第２横軸を介して回動自在に枢支され且つカム溝を有するカム体と、前記アンロードレバーの揺動に応じて前記カム溝内で位置を変更し、且つ当該アンロードレバーが押し下げ位置にあるときには前記カム溝の一方に位置すると共に引き上げ位置にあるときには前記カム溝の他方に位置する第６ガイドピンとを備え、前記アンロードレバーは、前記第６ガイドピンが前記カム溝の他方にあるときに当該ガイドピンに係止するロック部を有している。

　第１０に、前記アンロードレバーは、前記カム体に第５横軸を介して回動自在に枢支されたレバー部を有し、前記カム体には、前記レバー部と連結される連結ピンが突設されており、前記レバー部は、前記第５横軸に枢支される枢支部と、前記連結ピンが挿入される長穴を有し、前記長穴は、下部の第１位置と、上部の第２位置とを有し、前記連結ピンは、前記レバー部が前記第５横軸を支点とする上方回動位置にあるときには前記第１位置に位置し、下方回動位置にあるときには前記第２位置に位置し、前記ロック部は、前記連結ピンが前記第１位置にあるときに前記ガイドピンに係止され、前記第２位置にあるときに前記係止が解除される。

　第１１に、前記レバー部を、前記第５横軸を支点として上方に回動させる方向に付勢する付勢部材を有している。

　本発明の第一実施形態に係る作業機によれば、アンロードレバーが引き上げ位置にあるとき、アンロードレバーの第２ガイドピンが第１ガイド溝の第２係止部において係止され、アンロードレバーが引き上げ位置に維持されるため、第１ガイドピンがカム溝の他方に位置した状態で留まる。そのため、支持ブラケットに対するカム体の回動が阻止され、カム体と枢支されている操縦ボックスの回動が阻止される。これにより、アンロードレバーを操作して第２ガイドピンを第２係止部から離脱させない限り、操縦ボックスを回動させることができないため、アンロードレバー以外の部分（操作レバー等）を押し下げた場合にロード状態に移行することが防止される。

　また、アンロードレバーが押し下げ位置にある状態（ロード状態）では、アンロードレバーの第２ガイドピンが第１ガイド溝の第１係止部に係止されることにより、走行時に振動に伴うアンロードレバーの共振や、当該共振に起因してアンロードレバーが跳ね上がってアンロード状態となることを防止できる。
　また、アンロードレバーは、カム体に対して上方の第１位置と下方の第２位置との間で回動自在に枢支され、第２ガイドピンは、アンロードレバーが第１位置から第２位置に回動したときに第２係止部から離脱することにより、アンロードレバーを第１位置から第２位置に回動させることで、第２ガイドピンを第２係止部から離脱させて、ロード状態への移行を可能とすることができる。

　また、カム体は、第２ガイド溝を有し、アンロードレバーは、アンロードレバーが第１位置にあるときには第２ガイド溝の一方に位置するとともに、第２位置にあるときには第２ガイド溝の他方に位置する第３ガイドピンを有していることにより、カム体に対するアンロードレバーの回動範囲を第２ガイド溝により一定範囲（第１位置から第２位置の範囲）に規制することができる。そのため、アンロードレバーによるアンロード状態の解除操作を容易に行うことが可能となる。

　また、アンロードレバーを第１位置に保持すべく上方に回動させる付勢力を付与する付勢部材を有していることから、アンロードレバーを操作していない状態において、アンロードレバーを第１位置に確実に保持することができる。そのため、アンロードレバーが不用意に下降してロード状態に移行することが確実に防止できる。
　また、本発明の第二実施形態に係る作業機によれば、アンロードレバーが引き上げ位置にあるとき、付勢部材の付勢力によって第１ガイドピンがカム溝の他方に係止されてカム体の回動が阻止される。これにより、カム体を枢支している操縦ボックスの回動が阻止されるため、操作レバーの押し下げが阻止された状態（ロック状態）となる。これにより、アンロードレバーが引き上げ位置にあるとき、運転者が不用意に操作レバーを押し下げてしまうことを防止できる。

　また、本発明の第三実施形態に係る作業機によれば、アンロードレバーが引き上げ位置にあるとき、ロック部がガイドピンに係止されてカム体の回動が阻止される。これにより、カム体を枢支している操縦ボックスの回動が阻止されるため、操作レバーの押し下げが阻止された状態（ロック状態）となる。これにより、アンロードレバーが引き上げ位置にあるとき、運転者が不用意に操作レバーを押し下げてしまうことを防止できる。

作業機の操縦部構造を示す正面図である。 作業機の操縦部構造を示す平面図である。 第一実施形態の作業機の操縦部構造を示す左側面図である。 第一実施形態の左操縦装置の要部右側面図である。 第一実施形態の左操縦装置の左斜視図（一部省略）である。 第一実施形態の左操縦装置の平面図である。 第一実施形態の左操縦装置の正面図である。 第一実施形態の左操縦装置の左斜視図である。 第一実施形態の左操縦装置の内部構造を示す左側面図である。 第一実施形態の左操縦装置の右斜視図である。 第一実施形態の左操縦装置の内部構造を示す右側面図である。 第一実施形態のアンロードレバーとカム体の構成を示す左側面図である。 第一実施形態のアンロードレバーを引き上げ位置とした状態（ロック状態）を示す左側面図である。 第一実施形態のアンロードレバーの押し下げ操作に伴う左操縦装置の動作過程（第１段階）を示す右側面図である。 第一実施形態のアンロードレバーの押し下げ操作に伴う左操縦装置の動作過程（第２段階）を示す右側面図である。 第一実施形態のアンロードレバーの押し下げ操作に伴う左操縦装置の動作過程（第３段階）を示す右側面図である。 第一実施形態のアンロードレバーの押し下げ操作に伴う左操縦装置の動作過程（第４段階）を示す右側面図である。 第二実施形態の作業機の操縦部構造を示す左側面図である。 第二実施形態の左操縦装置の要部右側面図である。 第二実施形態の左操縦装置の平面図である。 第二実施形態の左操縦装置の正面図である。 第二実施形態の左操縦装置の左斜視図である。 第二実施形態の左操縦装置の内部構造を示す左側面図である。 第二実施形態の左操縦装置の内部構造を示す斜視図である。 第二実施形態の左操縦装置を上方回動したときの第１段階を示す左側面図である。 第二実施形態の左操縦装置を上方回動したときの第２段階を示す左側面図である。 第二実施形態の左操縦装置を上方回動したときの第３段階及びロック解除状態を示す左側面図である。 第二実施形態の左操縦装置をロック状態とした左側面図である。 第三実施形態の作業機の操縦部構造を示す左側面図である。 第三実施形態の左操縦装置の要部右側面図である。 第三実施形態の左操縦装置の平面図である。 第三実施形態の左操縦装置の正面図である。 第三実施形態の左操縦装置の左斜視図である。 第三実施形態の左操縦装置の内部構造を示す左側面図である。 第三実施形態の左操縦装置の内部構造を示す斜視図である。 第三実施形態のアンロードレバーを示す左側面図である。 第三実施形態の左操縦装置を上方回動してロック状態とした左側面図である。 第三実施形態のロック解除状態を示す左側面図である。 作業機の平面図である。 作業機の側面図である。

　以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
＜＜第一実施形態＞＞
　図３９、図４０において、１は作業機（旋回作業機）として例示するバックホーである。
　作業機１は、機体（車体）２と、走行装置３と、作業装置４とを備えている。

　機体２上には、キャビン２０が搭載されている。以下、キャビン２０の運転席８に着座した運転者の前側（図４０の左側）を前方、運転者の後側（図４０の右側）を後方、運転者の左側（図４０の手前側）を左方、運転者の右側（図４０の奥側）を右方として説明する。また、前後の方向に直交する方向である水平方向７（図３９参照）を機体幅方向として説明する。

　機体２は、走行装置３のフレーム上に支持された旋回台６を有している。旋回台６は、ベアリングを介して上下方向の軸心回りに左右に旋回自在に支持されている。旋回台６の右前部には作業装置４が装着されている。尚、図１８では、作業装置４とキャビン２０を省略している。
　キャビン２０は、旋回台６上の左部に搭載されている。キャビン２０の内部には運転席８が設けられている。図１及び図２に示すように、運転席８の左方には左操縦装置２２が設けられている。運転席８の右方には右操縦装置２３が設けられている。キャビン２０の左部であって運転席８の左方には乗降口２０ａが設けられている。乗降口２０ａにはドア２０Ａが設けられている。

　旋回台６上の後部には、エンジンルームが設けられている。エンジンルームには、エンジンＥ、油圧ポンプ、エアクリーナ等が配置されている。エンジンルームの前側は、仕切壁１１Ａによって運転席８と仕切られている。エンジンルームの後側は、リアボンネット１０Ａによって覆われている。エンジンルームの左側は、左カバー体１０Ｂによって覆われている。

　旋回台６上の右部には、タンクルームが設けられている。タンクルームには、作動油タンクＴ、コントロールバルブＱ、ラジエータ等が配置されている。タンクルームの左側は、仕切壁１１Ｂによって運転席８と仕切られている。タンクルームの上側、前側及び右側は、右カバー体１０Ｃによって覆われている。
　旋回台６の前部には、支持ブラケット１２及びスイングブラケット１３を介して作業装置４が装着されている。支持ブラケット１２は、旋回台６の前部に固着されている。スイングブラケット１３は、支持ブラケット１２により上下方向の軸心回りに左右揺動自在に支持されている。スイングブラケット１３は油圧式のスイングシリンダによって左右に揺動される。旋回台６の後部には、作業装置４との重量バランスを図るためにカウンタウエイトＷが装着されている。

　走行装置３は、クローラ式の走行装置であって、機体２の右側と左側の下方にそれぞれ設けられている。走行装置３は、油圧式の走行モータによって駆動する。走行装置３の前部にはドーザ９が設けられている。ドーザ９は、油圧シリンダからなるドーザシリンダによって上下に揺動される。
　作業装置４は、ブーム１４とアーム１５と作業具１６とを有している。また作業装置４は、これらブーム１４等の駆動機構（油圧アクチュエータ）として、ブームシリンダ１７とアームシリンダ１８と作業具シリンダ１９とを有している。ブームシリンダ１７、アームシリンダ１８及び作業具シリンダ１９は、複動型の油圧シリンダにより構成されている。

　ブーム１４は、揺動ブラケット１３に上下方向に揺動自在に支持されている。アーム１５は、基部側がブーム１４の先端側に揺動自在に支持されている。作業具１６としてのバケットは、アーム１５の先端側にスクイ・ダンプ動作可能に取り付けられている。
　旋回台６上には操縦部Ｓが設けられている。図１８に示すように、操縦部Ｓは、仕切壁１１Ａによりエンジンルームと仕切られ、仕切壁１１Ｂによりタンクルームと仕切られている。操縦部Ｓには、運転席８が設けられている。図１及び図３に示すように、運転席８は、座面となるシート８Ａと、シート８Ａの下方に設けられたシート台８Ｂとを有している。図１８に示すように、運転席８の前方には、左走行操作レバーＳＬと右走行操作レバーＳＲが配置されている。左走行操作レバーＳＬと右走行操作レバーＳＲを操作することにより、左側と右側のクローラ走行体４をそれぞれ別々に又は同時に操作することができる。運転席８の左右の足下にはベタル類が配置されている。運転席８の下方には操縦台２１が設けられている。

　図１、図２等に示すように、操縦台２１上には、左操縦装置２２及び右操縦装置２３が搭載されている。左操縦装置２２は、運転席８の左側方に設けられている。右操縦装置２３は、運転席８の右側方に設けられている。
　図１に示すように、操縦台２１は、略平坦な上面部２１Ａと、左脚部２１Ｌ及び右脚部２１Ｒとを有している。上面部２１Ａの下方で且つ左脚部２１Ｌと右脚部２１Ｒの間は、前面が開放された収納空間２１Ｂとなっている。収納空間２１Ｂには、エアコン装置Ｋ１、電気ボックスＫ２等が収納されている。電気ボックスＫ２には、交換用の電気部品等（ヒューズ、リレー等）が収納されている。

　上面部２１Ａは、載置部２１ａ、２１ｂ、２１ｃを有している。載置部２１ａには運転席８が搭載されている。載置部２１ｂには左操縦装置２２が搭載されている。載置部２１ｃには右操縦装置２３が搭載されている。
　操縦台２１は、例えば２枚の金属板で形成されており、第１部材Ｐ１と第２部材Ｐ２とを有する。第１部材Ｐ１は、上面部２１Ａの載置部２１ａ、２１ｂと、左脚部２１Ｌとを有している。第２部材Ｐ２は、上面部２１Ａの載置部２１ｃと、右脚部２１Ｒとを有している。第１部材Ｐ１と第２部材Ｐ２とは、ボルト等を介して連結されている。

　図１、図２に示すように、右操縦装置２３は、操縦ブラケット４５を有している。操縦ブラケット４５には、右側操縦バルブ（第１バルブ）４６と、作業具操作用のバルブ（第２バルブ）４７とが設けられている。操縦ブラケット４５は、縦壁４５Ａと装着部４５Ｂとを有している。縦壁４５Ａは、操縦台２１に立設されている。装着部４５Ｂは、操縦台２１の載置部２１ｃの上部にボルトで固定されている。

　右側操縦バルブ４６は、右操作レバー４８によって操作可能となっている。作業具操作バルブ４７は、作業操作レバー４９によって操作可能になっている。右側操縦バルブ４６は、ブーム・バケット用のパイロットバルブであり、右操作レバー４８によってブームシリンダ１７及びバケットシリンダ１９用の制御弁を制御することができる。作業具操作バルブ４７は、ドーザ９の駆動用のパイロットバルブであり、作業操作レバー４９によってドーザシリンダ用の制御弁を制御することができる。

　図３～図１１に示すように、左操縦装置２２は、操縦ボックス２６と、カム体３３と、アンロードレバー３１とを有している。
　操縦ボックス２６は、支持ブラケット２５に対して第１横軸２７により回動自在に枢支されている。
　図５、図１０等に示すように、支持ブラケット２５は、水平向きに配置された取付部２５Ａと、この取付部２５Ａから立ち上げられた支持部２５Ｂとを有している。取付部２５Ａは、操縦台２１の載置部２１ｂに固定されている。

　図５～図７等に示すように、操縦ボックス２６は、左板材２６ａと、右板材２６ｂと、取付板２６ｃと、軸受板２６ｄとを有し、箱形状に形成されている。左板材２６ａは、操縦ボックス２６の左側壁を形成している。尚、説明の都合上、一部の図では左板材２６ａを仮想線（二点鎖線）で示している。図５等に示すように、右板材２６ｂは、平面視Ｌ字状に屈曲されており、操縦ボックス２６の右側壁及び背壁を形成している。左板材２６ａの後部と右板材２６ｂの背壁とは固着されている。取付板２６ｃは、左板材２６ａの前部と右板材２６ｂの前部を繋ぐように固着されている。左板材２６ａと右板材２６ｂの間隔は、取付板２６ｃの幅より狭くなっている。軸受板２６ｄは、左板材２６ｂの背壁の内面（前面）に固着されている。軸受板２６ｄの左面は、左板材２６ａの内面（右側面）と対向している。軸受板２６ｄの右面は、右板材２６ｂの内面（左側面）と対向している。

　操縦ボックス２６の取付板２６ｃには、左側操縦バルブ２８の装着部２６Ａが形成されている。装着部２６Ａには左側操縦バルブ２８が装着される。装着部２６Ａは、右前部が開放された略半円形の開口２６Ｂを有している。これにより、運転席８側である前右方から装着部２６Ａの開口２６Ｂに左側操縦バルブ２８を装着することができる。左側操縦バルブ２８は、旋回・アーム操作用のパイロットバルブであり、左操作レバー３０によって操作される。左操作レバー３０は、操縦ボックス２６の装着部２６Ａの上部に取り付けられている。

　図５、図１０、図１１等に示すように、支持ブラケット２５の支持部２５Ｂには、第１横軸２７と第１ガイド溝２４とが設けられている。第１横軸２７は、横方向（機体幅方向）に延びている。第１ガイド溝２４は、第１横軸２７の上方に設けられている。図１０、図１１に示すように、第１ガイド溝２４は、前部溝２４Ａと、中間溝２４Ｂと、後部溝２４Ｃとを有している。前部溝２４Ａは、支持部２５Ｂの前部から上方且つやや前方に延びている。中間溝２４Ｂは、前部溝２４Ａの上端部から後方且つやや上方に延びている。後部溝２４Ｃは、中間溝２４Ｂの後端部から下方且つやや後方に延びている。後部溝２４Ｃの下端部は、前部溝２４Ａの下端部よりやや上方に位置している。

　第１ガイド溝２４には、後述する第２ガイドピン４４が挿入されている。前部溝２４Ａは、第２ガイドピン４４を第１ガイド溝２４の一方側（前側）で係止する第１係止部として機能する。後部溝２４Ｂは、第２ガイドピン４４を第１ガイド溝２４の他方側（後側）で係止する第２係止部として機能する。
　操縦ボックス２６の後下部には、ボス部２６Ｃが設けられている。ボス部２６Ｃは、左板材２６ａと軸受板２６ｄとを繋ぐように、横方向（機体幅方向）に延びている。ボス部２６Ｃは、第１横軸２７の外周に回動自在に嵌められている。これにより、操縦ボックス２６は、第１横軸２７を支点として（第１横軸２７回りに）、回動自在に支持されている。

　操縦ボックス２６の後部には、横方向（機体幅方向）に延びる第２横軸３２が設けられている。第２横軸３２は、第１横軸２７の後上方であって第１ガイド溝２４の後方に位置している。また、操縦ボックス２６の後部には、第２横軸３２を介してカム体３３の基部（後部）が枢支されている。カム体３３は第２横軸３２から前下向きに延びている。カム体３３の下部（後述する枢支部５１）には、第３横軸３６を介してアンロードレバー３１の基部（後述するレバー基部３１Ｂ）が枢支されている。

　アンロードレバー３１は、カム体３３を介して操縦ボックス２６に揺動可能に支持されている。アンロードレバー３１は、当該揺動によって、作業装置４の油圧アクチュエータに作動油を供給するか否かを操作可能である。
　カム体３３は、一方側（後部）から他方側（前部）に向けて形成されたカム溝３４を有している。図５等に示すように、支持ブラケット２５の支持部２５Ｂには、機体幅方向に延びる軸心を有する第１ガイドピン３５が突設されている。第１ガイドピン３５は、第１横軸２７の前上方であって且つ第２横軸３２と第１横軸２７との中間高さに位置している。また、図１１等に示すように、第１ガイドピン３５は、第１ガイド溝２４の前部溝２４Ａと後部溝２４Ｃの間であって且つ中間溝２４Ｂの下方に位置している。第１ガイドピン３５は、カムフォロアを介してカム溝３４に挿入されている。尚、図５ではカム体３３等を省略している。

　カム溝３４は、第１カム溝３４Ａと第２カム溝３４Ｂとを有している。第１カム溝３４Ａはカム体３３の一方側（後部）に形成されている。第２カム溝３４Ｂは、カム体３３の他方側（前部）に形成されている。具体的には、第２カム溝３４Ｂは、第１カム溝３４の前端部から前方に延びている。第１カム溝３４Ａは、第２横軸３２の軸心を中心とする円弧状に形成されている。第２カム溝３４Ｂは、第１ガイドピン３５が第２カム溝３４Ｂにある状態（図１３～図１５参照）において、第１横軸２７の軸心を中心とする円弧状となるように形成されている。カム溝３４は、操縦ボックス２６を必要角度、例えば５０°前後回動できる長さに形成されている。

　図９、図１１、図１３～図１７に示すように、アンロードレバー３１が引き上げられると、カム体３３は第２横軸３２を支点として（第２横軸３２回りに）、一方（上方）に回動する。このカム体３３の回動に伴って、第１ガイドピン３５はカム溝３４内で位置を変更する。具体的には、カム溝３４内を一方（後方）から他方（前方）へ相対的に移動する。より具体的には、第１カム溝３４Ａから第２カム溝３４Ｂへ相対的に移動する。つまり、第１ガイドピン３５は、アンロードレバー３１が押し下げ位置にあるとき（図９参照）は、カム溝３４の一方（後方）の第１カム溝３４Ａに位置し、引き上げ位置にあるとき（図１３参照）は、カム溝の他方（前方）の第２カム溝３４Ｂに位置する。尚、第１ガイドピン３５の動きについては、後ほど詳述する。

　図８、図９に示すように、カム体３３の後部（基部）の上面には、側面視が略Ｌ字状のステー３７が固着されている。ステー３７の上部と操縦ボックス２６の取付板２６ｃとの間には、付勢部材としての戻しバネ３８が介装されている。ステー３７の上部は、右板材２６ａに設けたストッパ５４（図８参照）と当接可能になっている。アンロードレバー３１は、戻しバネ３８により、押し下げ方向（図９における反時計回り方向）に付勢されている。ステー３７の前部には、後述する付勢部材としての引っ張りバネ５０の一端部を係止する係止板５３が固着されている。

　図１２に示すように、カム体３３は、一方の面から他方の面に向けて貫通する２つの貫通孔を有している。２つの貫通孔のうち、後方の貫通孔は、後述する第３横軸３６が枢支される枢支部５１を構成する。前方の貫通孔は、後述する第３ガイドピン４０の動きをガイドする第２ガイド溝５２を構成する。
　図１２に示すように、第２ガイド溝５２は、枢支部５１の前方に設けられた長穴から構成されている。第２ガイド溝５２は、上下方向に長い略楕円状に形成されており、上部の第１位置５２Ａと、下部の第２位置５２Ｂとを有している。第２ガイド溝５２には、後述する第３ガイドピン４０が挿通される。

　図９、図１２等に示すように、アンロードレバー３１は、レバー本体３１Ａとレバー基部３１Ｂとを有している。
　レバー本体３１Ａは、運転者がアンロードレバー３１を操作する際に把持する部位である。図１２に示すように、レバー本体３１Ａの後端部は、レバー基部３１Ｂの前部に固着されている。図９、図１１に示すように、レバー本体３１Ａは、レバー基部３１Ｂの前部から操縦ボックス２６の前上方に向けて延設されている。

　レバー基部３１Ｂは板状の部材から形成されており、一方の面を右側（支持ブラケット２５の支持部２５Ｂの側）に向けて、他方の面を左側（カム体３３の側）に向けて配置されている。即ち、レバー基部３１Ｂは、機体幅方向において、支持ブラケット２５の支持部２５Ｂと、カム体３３との間に配置されている。
　図５、図１２に示すように、レバー基部３１Ｂは、第３横軸３６、第２ガイドピン４４及び第３ガイドピン４０を有している。

　第３横軸３６は、レバー基部３１Ｂの後下部に設けられ、左方（カム体３３側）に向けて突出している。第３横軸３６は、第１横軸２７の前下方であって、且つカム溝３４の下方に位置している。第３横軸３６は、第３ガイドピン４０の後方に位置している。第３横軸３６は、本実施形態ではボルトからなる。
　第２ガイドピン４４は、レバー基部３１Ｂの後上部に設けられ、右方（支持部２５Ｂ側）に向けて突出している。第２ガイドピン４４は、第３横軸３６の上方に設けられている。第２ガイドピン４４の突出端（右端）は、第１ガイド溝２４に挿入されており、第１ガイド溝２４内を前部溝２４Ａから後部溝２４Ｃまで移動可能となっている。第２ガイドピン４４は、第１ガイド溝２４の前部溝（第１係止部）２４Ａに位置するときに当該前部溝２４Ａに係止され、後部溝（第２係止部）２４Ｃに位置するときに当該後部溝２４Ｃに係止される。

　第３ガイドピン４０は、レバー基部３１Ｂの前下部に設けられ、左方（カム体３３側）に向けて突出している。第３ガイドピン４０は、第２ガイドピン４４の下方且つ前方に設けられている。第３ガイドピン４０は、本実施形態では段付きボルトからなる。
　図１２に示すように、レバー基部３１Ｂの後部には、前方に向けて切り欠かれた凹状の切欠部３１ｂが形成されている。切欠部３１ｂが形成されていることにより、第１ガイドピン３５がカム溝３４に沿って移動したときに、レバー基部３１Ｂと干渉することが防がれる。

　図１２等に示すように、レバー基部３１Ｂには、付勢部材（引っ張りバネ）５０の一端部を係止するための係止部３１Ｃが設けられている。係止部３１Ｃは、レバー基部３１Ｂの前上部から上方に向けて延設されている。
　図９、図１２等に示すように、枢支部５１は、第１ガイドピン３５の前下方であって、第２ガイドピン４４の下方且つ第３ガイドピン４０の後方に位置している。アンロードレバー３１（レバー本体３１Ａ及びレバー基部３１Ｂ）は、枢支部５１（第３横軸３６）を支点として、カム体３３に対して回動可能とされている。

　図８、図１２等に示すように、第２ガイド溝５２には、第３ガイドピン４０を構成するボルトの軸部が挿通されている。第３ガイドピン４０を構成するボルトの頭部の外径は、第２ガイド溝５２の内径よりも大きく、当該頭部は第２ガイド溝５２の外部左方にてカム体３３の外面（左面）に当接している。
　第３ガイドピン４０は、アンロードレバー３１（レバー本体３１Ａ及びレバー基部３１Ｂ）を、第３横軸３６を支点として下方に回動させたときに第２ガイド溝５２の一方（第１位置５２Ａ）から他方（第２位置５２Ｂ）へと相対的に移動し、上方に回動させたときに他方（第２位置５２Ｂ）から一方（第１位置５２Ａ）へと相対的に移動する。言い換えれば、第３ガイドピン４０は、アンロードレバー３１が、第３横軸３６を支点とする上方回動位置（第１位置）にあるときには第２ガイド溝５２の一方（第１位置５２Ａ）に位置し、下方回動位置（第２位置）にあるときには第２ガイド溝５２の他方（第２位置５２Ｂ）に位置する。

　つまり、アンロードレバー３１の第３横軸３６を支点とする回動範囲は、第３ガイドピン４０が第１位置５２Ａにあるときに上限位置となり、第３ガイドピン４０が第２位置５２Ｂにあるときに下限位置となる。言い換えれば、アンロードレバー３１の第３横軸３６回りの回動範囲は、第２ガイド溝５２により規制される。
　図９、図１２等に示すように、レバー基部３１Ｂの係止部３１Ｃと、係止板５３との間には、付勢部材としての引っ張りバネ５０が介装されている。引っ張りバネ５０は、アンロードレバー３１を第３横軸３６を支点として上方に回動させる方向に付勢している。この引っ張りバネ５０による付勢力によって、アンロードレバー３１は第３横軸３６を支点として上方に回動されるが、この回動は第３ガイドピン４０が第２ガイド溝５２の第１位置５２Ａに達した時点で止まる。アンロードレバー３１を、引っ張りバネ５０の付勢力に抗して第３横軸３６を支点として下方に回動させると、第３ガイドピン４０は第１位置５２Ａから第２位置５２Ｂに移動する。

　図８、図９等に示すように、操縦ボックス２６の軸受板２６ｄの上部には、リミットスイッチからなる回動検出装置５５が設けられている。回動検出装置５５の先端のスイッチ片は、ステー３７に係合されている。回動検出装置５５は、左操縦装置２２及び右操縦装置２３の電子制御部に接続されている。回動検出装置５５は、オンからオフになることにより、各操縦装置２２、２３の油圧回路に設けられたアンロード弁を作動する。

　アンロードレバー３１が引き上げられると、カム体３３が第２横軸３２を支点として上向きに回動し、カム体３３と共にステー３７も移動（回動）する。このステー３７の移動に伴って回動検出装置５５のスイッチ片が突出する。これにより、アンロードレバー３１の引き上げ（アンロード状態）が検出され、左操縦装着２２と右操縦装置２３による旋回・アーム、ブーム・バケットの操作が不能となる。

　図８～図１１等に示すように、支持ブラケット２５の支持部２５Ｂと操縦ボックス２６との間には、付勢部材としてのガスシリンダ（ガススプリング）３９が設けられている。ガスシリンダ３９は、支持部２５Ｂの前下部に突設されたピン３９ａと、操縦ボックス２６の上部寄り位置に突設されたピン３９ｂとを連結している。ガスシリンダ３９は、伸長する方向の付勢力を有し、左操縦装置２２の上方への回動を補助する。ピン３９ａ，３９ｂとしては、頭付きピンが使用されている。これにより、ガスシリンダ３９の取り付け強度の確保と、分解及び組み立ての容易化を達成している。

　図６、図１０、図１１等に示すように、支持ブラケット２５の支持部２５Ｂには、第１当接機構４１が設けられている。第１当接機構４１は、左操縦装置２２を後述する使用位置（図８～図１１参照）に保持する。第１当接機構４１は、支持部２５Ｂの上部に固着された取付板４１Ａと、この取付板４１Ａに取り付けられた第１当接部材４１Ｂとを有している。第１当接部材４１Ｂは、左操縦装置２２が使用位置にあるとき、操縦ボックス２６の右板材２６ｂに固着された第１当接板７０に当接する。

　図８～図１１等に示すように、支持ブラケット２５の取付部２５Ａには、第２当接機構４２が設けられている。第２当接機構４２は、左操縦装置２２を後述する上方回動位置（回避位置）（図１３参照）に保持する。第２当接機構４２は、取付部２５Ａの後部に固着された取付板４２Ａと、この取付板４２Ａに取り付けられた第２当接部材４２Ｂとを有している。第２当接部材４２Ｂは、左操縦装置２２が後述する上方回動位置（図１３参照）にあるとき、操縦ボックス２６の左板材２６ａに固着された第２当接板５６に当接する。

　図６、図１０に示すように、支持ブラケット２５の運転席８側の面（右側面）には、案内部材４３が設けられている。案内部材４３は、左側操縦バルブ２８に接続されたホースを案内する。案内部材４３は、支持ブラケット２５の取付部２５Ａよりも運転席８側へ突出している。
　上述した第１横軸２７、カム体３３、アンロードレバー３１、戻しバネ３８、回動検出装置５５、第１当接機構４１及び第２当接機構４２等によって、回動機構２９が構成されている。この回動機構２９により、左操縦装置２２を上方に回動させる（退避させる）と、運転席８の左斜め前側（即ち、左操縦装置２２の前方側）の乗降口２０ａが広く確保され、左操縦装置２２が運転者の乗降の妨げとなることが回避される。

　以下、アンロードレバー３１の揺動操作に伴う左操縦装置２２の動作について、詳しく説明する。先ず、アンロードレバー３１が押し下げ位置にある状態と引き上げ位置にある状態について夫々説明し、その後、アンロードレバー３１の押し下げ操作に伴う左操縦装置２２の動作について説明する。尚、図１３～図１７において、図の簡明化のため、ガスシリンダ３９と引っ張りバネ５０は、中心軸線のみを一点鎖線で示している。また、説明に不要な部材の図示を一部省略している。
＜アンロードレバーが押し下げ位置にある状態＞
　先ず、アンロードレバー３１が押し下げ位置にある状態について説明する。

　図８～図１１はアンロードレバー３１が押し下げ位置にある状態を示している。左操縦装置２２は、図８～図１１に示す状態が作業機１で作業をする際の使用位置（通常作業位置）となる。この使用位置においては、第１当接機構４１により操縦ボックス２６の第１横軸２７回りの下方への回動が規制され、左操縦装置２２が使用位置に保持されている。具体的には、第１当接部材４１Ｂが第１当接板７０に当接することにより、左操縦装置２２が使用位置に保持されている。

　図８、図９に示すように、使用位置では、第１ガイドピン３５は第１カム溝３４Ａの基端（後端）に位置している。図１０、図１１に示すように、第２ガイドピン４４は、第１ガイド溝２４の前部溝（第１係止部）２４Ａに係止されている。アンロードレバー３１は、第１係止部２４Ａ及びストッパ５４によって下方（図９の反時計回り方向、図１１の時計回り方向）への回動が規制されている。

　この使用位置では、回動検出装置５５はオンとなっており、アンロードレバー３１の上方回動を検出していない。つまり、アンロードレバー３１はアンロード解除位置にある。この状態においては、旋回・アーム用の左操作レバー３０を操作することにより、旋回台６の旋回とアーム１５の昇降とが作動可能とされると共に、ブーム・バケット用の右操縦装置２３による操作が作動可能とされる。
＜アンロードレバーが引き上げ位置にある状態＞
　次に、アンロードレバー３１が引き上げ位置にある状態について説明する。

　図１３はアンロードレバー３１が引き上げ位置にある状態を示している。左操縦装置２２は、図１３に示す状態が、上方回動位置（回避位置）となる。左操縦装置２２は、第２当接機構４２の第２当接部材４２Ｂが、左板材２６ａに固着された第２当接板５６に当接することによって、上方回動位置に保持される。
　この上方回動位置では、回動検出装置５５がオフになっており、アンロードレバー３１によるアンロード状態が検出されている。つまり、アンロードレバー３１はアンロード位置にある。この状態では、旋回・アーム用の左操作レバー３０を操作しても、旋回台６とアーム１５とが作動不能とされる。また、ブーム・バケット用の右操縦装置２３を操作しても、ブーム１４とバケット１６とが作動不能とされる。

　アンロードレバー３１は、引っ張りバネ５０の付勢力により、第３横軸３６を支点として上方に回動する方向に付勢されている。そのため、アンロードレバー３１のレバー基部３１Ｂに設けられた第３ガイドピン４０は、第２ガイド溝５２の上部の第１位置５２Ａに保持されている。
　第１ガイドピン３５は、第２カム溝３４Ｂの前端付近に位置している。第２ガイドピン４４は、第１ガイド溝２４の後部溝（第２係止部）２５Ｃに係止されている。第２ガイドピン４４は、アンロードレバー３１のレバー基部３１Ｂに設けられているため、アンロードレバー３１を操作しない限り、後部溝（第２係止部）２５Ｃから離脱させることはできない。そのため、アンロードレバー３１を把持せずには操縦ボックス２６を下方へ回動させることができない状態（ロック状態）となっている。これにより、運転者がアンロードレバー３１以外の部分（左操作レバー３０等）を押し下げてアンロード解除状態（ロード状態）としてしまうことが防止される。
＜アンロードレバーの押し下げに伴う左操縦装置の動作＞
＜第１段階＞
　図１３に示す状態から、運転者がロック状態を解消するためには、アンロードレバー３１を引っ張りバネ５０の付勢力に抗して少し押し下げる。具体的には、図１４に示すように、アンロードレバー３１を第１位置（第３ガイドピン４０が第１位置５２Ａにある状態）から第２位置（第３ガイドピン４０が第２位置５２Ｂにある状態）まで押し下げる。これにより、アンロードレバー３１は、第３横軸３６を支点として、第３ガイドピン４０が第１位置５２Ａに達するまで下方（図１３、図１４において時計回り方向）に回動する。この回動によって、第２ガイドピン４４が第１ガイド溝２４の上方に移動して後部溝（第２係止部）２５Ｃから離脱して中間溝２４Ｂに移行し、ロック状態が解除される（図１４参照）。これにより、アンロードレバー３１と共に操縦ボックス２６を下方へと回動させることが可能な状態となる。
＜第２段階＞
　図１４の状態からアンロードレバー３１を更に押し下げると、カム体３３の第２ガイド溝５２の下縁が第３ガイドピン４０により押されるため、図１５に示すように、カム体３３が第２横軸３２を支点として下方に回動する。このカム体３３の回動に伴って、第１ガイドピン３５はカム体３３に対して相対的に移動し、第２カム溝３４Ｂに沿って後方（第１カム溝３４Ａ側）に移動する。第２ガイドピン４４は、第１ガイド溝２４の中間溝２４Ｂ内を前方に移動する。この第１ガイドピン３５及び第２ガイドピン４４の移動に伴って、操縦ボックス２６が下方に回動する。
＜第３段階＞
　図１５の状態からアンロードレバー３１を更に押し下げると、図１６に示すように、カム体３３は、更に下方に回動する。このカム体３３の回動に伴って、第１ガイドピン３５は、第２カム溝３４Ｂと第１カム溝３４Ａの境界付近まで移動する。第２ガイドピン４４は、第１ガイド溝２４の中間溝２４Ｂと前部溝（第１係止部）２４Ａとの境界付近まで移動する。この第１ガイドピン３５及び第２ガイドピン４４の移動に伴って、操縦ボックス２６が更に下方に回動する。
＜第４段階＞
　図１６の状態からアンロードレバー３１を更に押し下げると、図１７に示すように、カム体３３は、更に下方に回動する。このカム体３３の回動に伴って、第１ガイドピン３５は、第１カム溝３４Ａに沿って上方に移動する。第２ガイドピン４４は、第１ガイド溝２４の前部溝（第１係止部）２４Ａに沿って下方に移動する。この第１ガイドピン３５及び第２ガイドピン４４の移動に伴って、操縦ボックス２６が更に下方に回動する。
＜第５段階＞
　図１７の状態からアンロードレバー３１を更に押し下げると、図９に示すように、カム体３３は、更に下方に回動する。このカム体３３の回動に伴って、第１ガイドピン３５は、第１カム溝３４Ａの上端まで移動する。また、図１１に示すように、第２ガイドピン４４は、第１ガイド溝２４の前部溝（第１係止部）２４Ａの下端に係止される。これにより、左操縦装置２２は上述した使用位置となる。

　以上説明したように、本発明の第一実施形態によれば、アンロードレバー３１が引き上げ位置にあるとき、第２ガイドピン４４が第１ガイド溝２４の後部溝（第２係止部）２４Ｃに係止された状態（ロック状態）となり、操縦ボックス２６の下方への回動が阻止される。これにより、運転者が不用意にアンロードレバー３１以外の部分（左操作レバー３０等）を押し下げてロード状態としてしまうことを防止できる。

　また、アンロードレバー３１が引き上げ位置にある状態から、アンロードレバー３１を下方に回動させて第３ガイドピン４０を第１位置５２Ａから第２位置５２Ｂに移動させることで、第２ガイドピン４４が第１ガイド溝２４の上方に移動して後部溝（第２係止部）２４Ｃから離脱し、ロック状態が解除される。つまり、運転者がアンロードレバー３１の押し下げ操作を行わない限り、ロック状態は解除されない。そのため、運転者がアンロードレバー３１以外の部分（左操作レバー３０等）を押し下げることにより、操縦ボックス２６を下方へと回動させてロード状態としてしまうことを確実に防止できる。また、ロック状態を解除する際に、アンロードレバー３１の押し下げ操作以外には、特別なロック解除操作を必要としないため、操作性に優れている。

　また、アンロードレバー３１を、第３横軸３６を支点として上方に回動させる方向（アンロードレバー３１を第１位置に保持する方向）に付勢する付勢部材（引っ張りバネ５０）を有していることにより、ロック状態を確実に維持することができる。即ち、運転者が付勢部材（引っ張りバネ５０）に抗してアンロードレバー３１を押し下げない限り、第３ガイドピン４０が第１位置５２Ａに維持されるため、第２ガイドピン４４が後部溝（第２係止部）２４Ｃに係止された状態（ロック状態）が確実に維持される。

　また、アンロードレバー３１が押し下げ位置にある状態（ロード状態）では、アンロードレバー３１の第２ガイドピン４４が第１ガイド溝２４の前部溝（第１係止部）２４Ａに係止される。そのため、走行時に振動に伴うアンロードレバー３の共振や、当該共振に起因してアンロードレバー３１が跳ね上がってアンロード状態となることを防止できる。
＜＜第二実施形態＞＞
　図１８～図２８は本発明の第二実施形態を示す図である。図１、図２、図３９、図４０に示した作業機１の基本構成は、第一実施形態と第二実施形態とで共通している。以下、第二実施形態について第一実施形態と異なる構成を中心に説明する。第一実施形態と共通する構成については、同じ符号を付し、特に必要がある場合を除き説明を省略する。

　図１８～図２４に示すように、第二実施形態の左操縦装置２２は、操縦ボックス２６と、カム体８０と、アンロードレバー３１とを有している。
　操縦ボックス２６は、支持ブラケット２５に対して回動自在に枢支されている。
　図１９に示すように、支持ブラケット２５は、水平向きに配置された取付部２５Ａと、この取付部２５Ａから立ち上げられた支持部２５Ｂとを有している。取付部２５Ａは、操縦台２１の上面部２１Ａに固定されている。

　第一実施形態と同様に、操縦ボックス２６は、左板材２６ａと、右板材２６ｂと、取付板２６ｃと、軸受板２６ｄとを有し、箱形状に形成されている。左板材２６ａは、操縦ボックス２６の左側壁を形成している。尚、説明の都合上、図２３、図２６及び図２７では左板材２６ａを仮想線（二点鎖線）で示し、図２４では左板材２６ａを省略している。
　支持ブラケット２５の支持部２５Ｂには、横方向（機体幅方向）に延びる第１横軸２７が設けられている。操縦ボックス２６の後下部には、ボス部２６Ｃが設けられている。ボス部２６Ｃは、左板材２６ａと軸受板２６ｄとを繋ぐように、横方向（機体幅方向）に延びている。ボス部２６Ｃは、第１横軸２７の外周に回動自在に嵌められている。これにより、操縦ボックス２６は、第１横軸２７を支点として（第１横軸２７回りに）、回動自在に支持されている。

　支持ブラケット２５の支持部２５Ｂには、機体幅方向に延びる軸心を有する第４ガイドピン６１が突設されている。第４ガイドピン６１は、第１横軸２７の前上方であって且つ第２横軸３２と第１横軸２７との中間高さに位置している。
　操縦ボックス２６の後部には、横方向（機体幅方向）に延びる第２横軸３２が設けられている。第２横軸３２は、第１横軸２７の後上方に位置している。また、操縦ボックス２６の後部には、第２横軸３２を介してカム体８０の基部（後部）が枢支されている。カム体８０は第２横軸３２から前下向きに延びている。カム体８０の前部には、アンロードレバー３１の基部（後部）が固着されている。

　アンロードレバー３１は、カム体８０を介して操縦ボックス２６に揺動可能に支持されている。アンロードレバー３１は、当該揺動によって、作業装置４の油圧アクチュエータに作動油を供給するか否かを操作可能である。
　カム体８０は、一方側（後部）から他方側（前部）に向けて形成されたカム溝８１を有している。カム溝８１は、第２横軸３２の前方（アンロードレバー３１側）に設けられている。第４ガイドピン６１は、カムフォロアを介してカム溝８１に挿入されている。

　カム溝８１は、操縦ボックス２６を必要角度、例えば５０°前後回動できる長さに形成されている。カム溝８１は、中間溝部８１ａと後溝部８１ｂと前溝部８１ｃとを有している。中間溝部８１ａは、カム体８０の一方側（後部）から他方側（前部）に向かうように形成されている。具体的には、中間溝部８１ａは、第４ガイドピン６１が中間溝部８１ａに位置する状態（図２５～図２７参照）において、第１横軸２７の軸心を中心とする円弧状となるように形成されている。後溝部８１ｂは、中間溝部８１ａの後端部から上方に延びるように、第２横軸３２の軸心を中心とする円弧状に形成されている。前溝部８１ｃは、中間溝部８１ａの前端部から下方に延びるように形成されている。カム溝８１は、中間溝部８１ａと後溝部８１ｂと前溝部８１ｃにより、側面視で略Ｚ字状に形成されている。中間溝部８１ａと後溝部８１ｂの幅は、第４ガイドピン６１の直径と略等しく形成されている。前溝部８１ｃは、第４ガイドピン６１の直径に比べて幅が広く形成された拡幅部８１ｅを有している。拡幅部８１ｅは、前溝部８１ｃの内縁後部を円弧状に後方に拡張することにより形成されており、この円弧状に拡張された部分は第４ガイドピン６１が係止される係止凹部８１ｆを構成している。前溝部８１ｃが拡幅部８１ｅを有することで、図２８に示すように、第４ガイドピン６１が係止凹部８１ｆに係止された状態にて、第４ガイドピン６１の外周と前溝部８１ｃの内縁との間には、隙間Ｇが形成される。

　図２３、図２５～図２８に示すように、アンロードレバー３１が引き上げられると、カム体８０は第２横軸３２を支点として（第２横軸３２回りに）、一方（上方）に回動する。このカム体８０の回動に伴って、第４ガイドピン６１はカム溝８１内で位置を変更する。具体的には、カム溝８１内を一方から他方へと（具体的には、後溝部８１ｂから中間溝部８１ａを経て前溝部８１ｃへと）相対的に移動する。アンロードレバー３１が押し下げられると、第４ガイドピン６１は、カム溝８１内を他方から一方へと（具体的には、前溝部８１ｃから中間溝部８１ａを経て後溝部８１ｂへと）相対的に移動する。つまり、アンロードレバー３１が押し下げ位置（図２３参照）にあるときには、第４ガイドピン６１はカム溝８１の一方（後溝部８１ｂ）に位置する。アンロードレバー３１が引き上げ位置（図２８参照）にあるときには、第４ガイドピン６１はカム溝８１の他方（前溝部８１ｃ）に位置する。アンロードレバー３１が押し下げ位置と引き上げ位置の間にあるときには、第４ガイドピン６１はカム溝８１の一方と他方の間（中間溝部８１ａ）に位置する。

　カム体８０の後部（基部）の上面には、側面視が略Ｌ字状のステー３７が固着されている。ステー３７の上部は、右板材２６ａに設けたストッパ５４（図２４等参照）と当接可能になっている。
　カム体８０は、第１横軸２７の前下方において、横方向（機体幅方向）に延びる第５ガイドピン６２を有している。第５ガイドピン６２は、カム溝８１の前溝部８１ｃの下方に突設されている。

　支持ブラケット２５の支持部２５Ｂの前下部には、横方向（機体幅方向）に延びる第４横軸６３が設けられている。第４横軸６３は、第１横軸２７の前下方であって、第５ガイドピン６２の前方に位置している。また、第４横軸６３は、カム溝８１の前下方に位置している。
　支持ブラケット２５の支持部２５Ｂの前下部には、第４横軸６３を介してカムリンク６４が回動自在に枢支されている。カムリンク６４は、第５ガイドピン６２に係止される係止部６４Ａを有している。係止部６４Ａは、側面視にて略Ｕ字状の切り欠きからなる。第５ガイドピン６２は、カムリンク６４が第４横軸６３を支点として（第４横軸６３回りに）回動したとき、係止部６４Ａの切り欠きに対して相対的に移動する。つまり、第５ガイドピン６２自体は移動しないが、係止部６４Ａが移動することで、第５ガイドピン６２は係止部６４Ａの切り欠きの内側を移動する。

　カムリンク６４は、第５ガイドピン６２に係止部６４Ａが係止されることにより、第５ガイドピン６２を介してカム体８０の回動と連動して回動する。具体的には、カムリンク６４の第４横軸６３回りの一方向への回動に連動して、カム体８０が下方に回動する。また、カムリンク６４の前記一方向とは反対側の他方向への回動に連動して、カム体８０が上方に回動する。前記一方向は、カムリンク６４の係止部６４Ａが下降する方向であって、図２３の時計回り方向である。前記他方向は、カムリンク６４の係止部６４Ａが上昇する方向であって、図２３の反時計回り方向である。

　カムリンク６４と操縦ボックス２６との間には、ガスシリンダからなる付勢部材８２が設けられている。付勢部材８２は、カムリンク６４に突設されたピン８２ａと、操縦ボックス２６の上部寄り位置に突設されたピン８２ｂとを連結している。付勢部材８２は、伸長する方向の付勢力を有し、左操縦装置２２（操縦ボックス２６）の上方への回動を補助する。

　カムリンク６４と第５ガイドピン６２は、付勢部材８２による付勢力の方向を、カム体８０を一方（上方）に回動させる方向（以下、第１方向ともいう）と、カム体８０を他方（下方）に回動させる方向（以下、第２方向ともいう）に切り換える切換機構を構成している。
　切換機構は、付勢部材８２による付勢方向を、第４ガイドピン６１がカム溝８１の一方（後溝部８１ｂ）にあるときには前記第１方向とし、第４ガイドピン６１がカム溝８１の他方（前溝部８１ｃ）にあるときには前記第２方向とする。

　より具体的には、付勢部材８２は、第４ガイドピン６１がカム溝８１の一方（後溝部８１ｂ）にあるときは、カムリンク６４を前記一方向（図２３の時計回り方向）に回動させる付勢力を付与する。このカムリンク６４を一方向に回動させる付勢力は、第５ガイドピン６２を介してカム体８０に伝達され、カム体８０を他方（下方）へと回動させる方向（第２方向）の付勢力となる。

　また、付勢部材８２は、第４ガイドピン６１がカム溝８１の他方（前溝部８１ｃ）にあるときは、カムリンク６４を前記他方向（図２３の反時計回り方向）に回動させる付勢力を付与する。このカムリンク６４を他方向に回動させる付勢力は、第５ガイドピン６２を介してカム体８０に伝達され、カム体８０を一方（上方）へと回動させる方向（第１方向）の付勢力となる。この付勢力によって、第４ガイドピン６１が前溝部８１ｃの係止凹部８１ｆに係止される。

　操縦ボックス２６の右板材２６ａに固定された軸受板２６ｄの上部には、リミットスイッチからなる回動検出装置５５が設けられている。回動検出装置５５の先端のスイッチ片は、ステー３７に係合されている。回動検出装置５５は、左操縦装置２２及び右操縦装置２３の電子制御部に接続されている。回動検出装置５５は、オンからオフになることにより、各操縦装置２２、２３の油圧回路に設けられたアンロード弁を作動する。

　アンロードレバー３１が引き上げられると、カム体８０が第２横軸３２を支点として上方に回動し、カム体８０と共にステー３７も移動（回動）する。このステー３７の移動に伴って回動検出装置５５のスイッチ片が突出する。これにより、アンロードレバー３１の引き上げ（アンロード状態）が検出され、左操縦装着２２と右操縦装置２３による旋回・アーム、ブーム・バケットの操作が不能となる。

　図１９、図２２、図２３等に示すように、支持ブラケット２５の支持部２５Ｂには、第１当接機構４１が設けられている。第１当接機構４１は、左操縦装置２２を後述する使用位置（図２２、図２３参照）に保持する。第１当接機構４１は、支持部２５Ｂの上部に固着された取付板４１Ａと、この取付板４１Ａに取り付けられた第１当接部材４１Ｂとを有している。第１当接部材４１Ｂは、左操縦装置２２が使用位置にあるとき、操縦ボックス２６の右板材２６ｂに固着された第１当接板７０に当接する。

　図２２～図２４等に示すように、支持ブラケット２５の取付部２５Ａには、第２当接機構４２が設けられている。第２当接機構４２は、左操縦装置２２を後述する上方回動位置（回避位置）（図２８参照）に保持する。第２当接機構４２は、取付部２５Ａの後部に固着された取付板４２Ａと、この取付板４２Ａに取り付けられた第２当接部材４２Ｂとを有している。第２当接部材４２Ｂは、左操縦装置２２が上方回動位置（図２８参照）にあるとき、操縦ボックス２６の左板材２６ａに固着された第２当接板５６に当接する。

　上述した第１横軸２７、カム体８０、アンロードレバー３１、回動検出装置５５、第１当接機構４１及び第２当接機構４２等によって、左操縦装置２２を回動させる回動機構２９が構成されている。この回動機構２９により、左操縦装置２２を上方に回動させる（退避させる）と、運転席８の左斜め前側（即ち、左操縦装置２２の前方側）の乗降口２０ａが広く確保され、左操縦装置２２が運転者の乗降の妨げにならない。

　以下、第二実施形態の左操縦装置２２の回動操作について詳しく説明する。
　左操縦装置２２は、図２２、図２３に示す状態が作業機１で作業をする際の使用位置（通常作業位置）とされる。この使用位置においては、第１当接機構４１により操縦ボックス２６の第１横軸２７回りの下方への回動が規制され、左操縦装置２２が使用位置に保持されている。具体的には、第１当接部材４１Ｂが第１当接板７０に当接することにより、左操縦装置２２が使用位置に保持されている。

　図２３に示す使用位置では、第４ガイドピン６１はカム溝８１の後溝部８１ｂの基端（後端）に位置している。また、アンロードレバー３１は、ストッパ５４によって下方（図２３の反時計回り方向）への回動が規制されている。
　この使用位置では、回動検出装置５５はオンとなっており、アンロードレバー３１の上方回動を検出していない。つまり、アンロードレバー３１はアンロード解除位置にある。この状態においては、旋回・アーム用の左操作レバー３０を操作することにより、旋回台６の旋回とアーム１５の昇降とが作動可能とされると共に、ブーム・バケット用の右操縦装置２３による操作が作動可能とされる。

　図２３に示す使用位置からアンロードレバー３１を上方（図２３の時計回り方向）に回動すると、アンロードレバー３１に固着されたカム体８０も上方に回動する。カム体８０の回動に伴って第４ガイドピン６１は、カム体８０に対して相対的に移動し、カム溝８１内を後部から前部に移動する。
　図２５に示すように、第４ガイドピン６１は、先ず後溝部８１ｂの基端（後端）から中間溝部８１ａの後部に移動して、第１横軸２７の軸心を中心とする円弧溝の中間溝部８１ａに係合する。これにより、操縦ボックス２６の第１横軸２７回りの上方への回動が許容され、当該回動が開始される。

　図２５、図２６に示すように、操縦ボックス２６が上方に回動すると、第４ガイドピン６１は中間溝部８１ａの後部から中途部まで移動する。図２５に示す第４ガイドピン６１が後溝部８１ｂの基端（後端）にある状態（第１段階）から、図２６に示す中間溝部８１ａの中途部にある状態（第２段階）までの過程においては、カムリンク６４は、第４横軸６３を支点として前記他方向（図２３、図２５、図２６の反時計回り方向）に回動する。このカムリンク６４の他方向への回動に連動して、カム体８０は第２横軸３２を支点として上方に回動する。

　図２６、図２７に示すように、引き続きアンロードレバー３１と共に操縦ボックス２６を上方へ回動すると、カム体８０は更に上方に回動し、第４ガイドピン６１は中間溝部８１ａの中途部から前部に移動する。この第４ガイドピン６１が中間溝部８１ａの中途部から前部に移動する過程においては、カムリンク６４は、第４横軸６３を支点として前記一方向（図２３、図２５、図２６の時計回り方向）に回動する。このカムリンク６４の一方向への回動に連動して、カム体８０は第２横軸３２を支点として下方に回動する。

　図２７の状態（第３段階）から更にアンロードレバー３１と共に操縦ボックス２６を上方へ回動すると、図２８に示すように、第４ガイドピン６１は中間溝部８１ａの前部から前溝部８１ｃへ移動する。この第４ガイドピン６１が中間溝部８１ａから前溝部８１ｃに移動する過程においては、カムリンク６４は、第４横軸６３を支点として前記他方向（図２３、図２５、図２６の反時計回り方向）に回動する。このカムリンク６４の他方向への回動に連動して、カム体８０は第２横軸３２を支点として上方に回動する。

　回動検出装置５５は、操縦ボックス２６が図２３に示す位置（使用位置）から上方に回動すると、オフになってアンロードレバー３１によるアンロード状態を検出する。アンロードレバー３１がアンロード状態になった後、さらに操縦ボックス２６と共に上方へ回動することにより、左操縦装置２２は図２５～図２７に示す位置を経た後、図２８に示す上方回動位置（回避位置）となる。この上方回動位置では、左操縦装置２２は乗降口２０を広くするように上方に退避している。

　この左操縦装置２２が上方回動位置にあるときは、旋回・アーム用の左操作レバー３０を操作しても、旋回台６とアーム１５とが作動不能とされる。また、ブーム・バケット用の右操縦装置２３を操作しても、ブーム１４とバケット１６とが作動不能とされる。
　前記使用位置から上方回動位置（回避位置）へアンロードレバー３１を引き上げる操作の際には付勢部材８２が伸長する。付勢部材８２は、最大伸長状態となるまで、操縦ボックス２６を第１横軸２７回りに上方に回動させる動作を補助する。

　また、付勢部材８２は、前記使用位置から上方回動位置（回避位置）へアンロードレバー３１を引き上げる操作の過程で、カムリンク６４を第４横軸６３回りに回動させる付勢力を付与している。詳しくは、付勢部材８２は、第４ガイドピン６１が前溝部８１ｃにあるときは、カムリンク６４を前記一方向に回動させる付勢力を付与している。一方、第４ガイドピン６１が後溝部８１ｂにあるときは、カムリンク６４を前記他方向に回動させる付勢力を付与している。つまり、付勢部材８２は、第４ガイドピン６１が中間溝部８１ａの後部から前部に移動する過程で、カムリンク６４に対する付勢力の方向を変化させている。

　この付勢部材８２の付勢方向の変化によって、カムリンク６４の回動方向が変化（逆転）し、カムリンク６４の回動方向が変化（逆転）に連動してカム体８０の回動方向も変化（逆転）する。この付勢部材８２の付勢方向の変化は、付勢部材８２の両端のピン８２ａとピン８２ｂの位置関係の変化により生じる。図２３、図２５、図２６に示すように、ピン８２ａがピン８２ｂより後方にあるときは、付勢部材８２は、カムリンク６４を前記他方向（係止部６４Ａが下降する方向）に付勢する。一方、図２７、図２８に示すように、ピン８２ａがピン８２ｂより前方にあるときは、付勢部材８２は、カムリンク６４を前記一方向（係止部６４Ａが上昇する方向）に付勢する。このピン８２ａとピン８２ｂの位置関係の変化は、第４ガイドピン６１が中間溝部８１ａの後部から前部に移動する過程で生じる。

　図２８に示すように、左操縦装置２２（操縦ボックス２６）が上方回動位置（回避位置）に達すると、第２当接部材４２Ｂが、左板材２６ａに固着された第２当接板５６に当接することによって、左操縦装置２２（操縦ボックス２６）は回避位置に保持される。この左操縦装置２２が上方回動位置に達した状態では、第４ガイドピン６１は前溝部８１ｃにある。この状態では、付勢部材８２は、カムリンク６４を前記一方向（係止部６４Ａが上昇する方向）に付勢している。この付勢力は、第５ガイドピン６２を介してカム体８０に伝達される。これにより、カム体８０を上方に回動させようとする力が作用し、第４ガイドピン６１は前溝部８１ｃの係止凹部８１ｆに係止される。これにより、第４ガイドピン６１の移動が阻止され、操縦ボックス２６の下方への回動が阻止された状態（ロック状態）となる。そのため、運転者が不用意に左操作レバー３０を押し下げてしまうことが防止できる。

　運転者が、ロック状態を解消するためには、左操縦装置２２（操縦ボックス２６）が上方回動位置にある状態（図２８参照）から、アンロードレバー３１を付勢部材８２の付勢力（伸長しようとする力）に抗して少し押し下げる。これにより、カム体８０が第２横軸３２を支点として下方に回動する。この回動によって、第４ガイドピン６１が前溝部８１ｃの係止凹部８１ｆを脱して中間溝部８１ａに移動し、ロック状態が解除される（図２７参照）。これにより、アンロードレバー３１を更に押し下げることが可能となる。

　図２７に示すロック解除状態から更にアンロードレバー３１を押し下げると、図２６に示すように、カム体８０が第２横軸３２を支点として上方に回動する。このカム体８０の回動に伴って、第４ガイドピン６１は中間溝部８１ａの前部から後部に移動する。
　図２６に示す状態から更にアンロードレバー３１を押し下げると、図２５及び図２３に示すように、カム体８０が第２横軸３２を支点として下方に回動する。このカム体８０の回動に伴って、第４ガイドピン６１は中間溝部８１ａの後部から後溝部８１ｂに移動する。

　上述した第４ガイドピン６１の前溝部８１ｃから後溝部８１ｂへの移動に伴って、操縦ボックス２６が下方に回動し、図２３に示すように左操縦装置２２が使用位置となる。これにより、回動検出装置５５がオンになって、アンロード状態が検出されなくなる。即ち、アンロード解除状態となる。この状態において、旋回・アーム用の左操作レバー３０を操作することにより、旋回台６の旋回とアーム１５の昇降とが作動可能とされると共に、ブーム・バケット用の右操縦装置２３による操作が作動可能とされる。

　上述したように、本発明の第二実施形態によれば、アンロードレバー３１を引き上げたときに、付勢部材８２の付勢力により、第４ガイドピン６１が前溝部８１ｃの係止凹部８１ｆに係止された状態（ロック状態）で保持され、操縦ボックス２６の下方への回動が阻止される。これにより、運転者が不用意に左操作レバー３０を押し下げてアンロード解除状態としてしまうことを防止できる。

　また、アンロードレバー３１が引き上げられた状態から、付勢部材８２の付勢力に抗してアンロードレバー３１を押し下げて、第４ガイドピン６１を前溝部８１ｃの係止凹部８１ｆから離脱させることでロック状態が解除される。つまり、運転者は、ロック状態を解除するための動作を行っていない場合、操縦ボックス２６の下方への回動が阻止されているため、左操作レバー３０を押し下げることができない。そのため、運転者が不用意に左操作レバー３０を押し下げてアンロード解除状態としてしまうことを確実に防止できる。また、ロック状態を解除する際に、アンロードレバー３１の押し下げ動作以外には特別な操作を必要としないため、操作性に優れている。

　また、運転者が付勢部材８２の付勢力に抗してアンロードレバー３１を押し下げない限り、付勢部材８２の付勢力により第４ガイドピン６１が前溝部８１ｃに係止された状態が維持されるため、ロック状態が確実に維持される。
　また、付勢部材８２は、第４ガイドピン６１が後溝部８１ｂにあるときはカムリンク６４を前記一方向に回動させる付勢力を付与する。この付勢力は、カム体８０を下方に回動させる力として作用する。これにより、アンロードレバー３１は押し下げ方向（図２３における反時計回り方向）に付勢される。

　また、カム溝８１の前溝部８１ｃが、第４ガイドピン６１の直径に比べて幅が広く形成された拡幅部８１ｅを有しているため、付勢部材８２の組み付けを容易に行うことができる。即ち、ガスシリンダ等の付勢部材８２を組み付ける際には、付勢部材８２を付勢力（伸長しようとする力）に抗して短縮させながら、組み付けなければならない。そのため、短縮させる程度が少なくなるように、付勢部材８２が最も伸長した状態（図２８参照）で組み付けることとなる。この状態においては、第４ガイドピン６１は前溝部８１ｃに位置するため、拡幅部８１ｅが組み付ける際の遊びとなる。そのため、付勢部材８２の組み付けを容易に行うことが可能となる。

　第二実施形態の変更例として、付勢部材８２とは別に、ステー３７の上部と操縦ボックス２６の取付板２６ｃとの間を連結する別の付勢部材（引っ張りバネ）を設けてもよい。この場合、別の付勢部材により、アンロードレバー３１を押し下げ方向（図２３における反時計回り方向）に付勢することができ、付勢部材８２による付勢力を補助することが可能となる。
＜＜第三実施形態＞＞
　図２９～図３８は本発明の第三実施形態を示す図である。図１、図２、図３９、図４０に示した作業機１の基本構成は、第一実施形態と第三実施形態とで共通している。以下、第三実施形態について第一実施形態と異なる構成を中心に説明する。第一実施形態と共通する構成については、同じ符号を付し、特に必要がある場合を除き説明を省略する。

　図２９～図３５に示すように、第三実施形態の左操縦装置２２は、操縦ボックス２６と、カム体９０と、アンロードレバー３１とを有している。
　操縦ボックス２６は、支持ブラケット２５に対して回動自在に枢支されている。
　図３０～図３５に示すように、支持ブラケット２５は、水平向きに配置された取付部２５Ａと、この取付部２５Ａから立ち上げられた支持部２５Ｂとを有している。取付部２５Ａは、操縦台２１の上面部２１Ａに固定されている。

　第一実施形態と同様に、操縦ボックス２６は、左板材２６ａと、右板材２６ｂと、取付板２６ｃと、軸受板２６ｄとを有し、箱形状に形成されている。左板材２６ａは、操縦ボックス２６の左側壁を形成している。尚、説明の都合上、図３４、図３７及び図３８では左板材２６ａを仮想線（二点鎖線）で示し、図３５では左板材２６ａを省略している。
　支持ブラケット２５の支持部２５Ｂには、横方向（機体幅方向）に延びる第１横軸２７が設けられている。操縦ボックス２６の後下部には、ボス部２６Ｃが設けられている。ボス部２６Ｃは、左板材２６ａと軸受板２６ｄとを繋ぐように、横方向（機体幅方向）に延びている。ボス部２６Ｃは、第１横軸２７の外周に回動自在に嵌められている。これにより、操縦ボックス２６は、第１横軸２７を支点として（第１横軸２７回りに）、回動自在に支持されている。

　操縦ボックス２６の後部には、横方向（機体幅方向）に延びる第２横軸３２が設けられている。第２横軸３２は、第１横軸２７の後上方に位置している。また、操縦ボックス２６の後部には、第２横軸３２を介してカム体９０の基部（後部）が枢支されている。カム体９０は第２横軸３２から前下向きに延びている。カム体９０の前部には、第５横軸６０を介してアンロードレバー３１の基部（後部）が枢支されている。

　アンロードレバー３１は、カム体９０を介して操縦ボックス２６に揺動可能に支持されている。アンロードレバー３１は、当該揺動によって、作業装置４の油圧アクチュエータに作動油を供給するか否かを操作可能である。
　カム体９０は、一方側（後部）から他方側（前部）に向けて形成されたカム溝９１を有している。支持ブラケット２５の支持部２５Ｂには、機体幅方向に延びる軸心を有する第６ガイドピン９２が突設されている。第６ガイドピン９２は、第１横軸２７の前上方であって且つ第２横軸３２と第１横軸２７との中間高さに位置している。第６ガイドピン９２は、カムフォロアを介してカム溝９１に挿入されている。

　カム溝９１は、第１カム溝９１Ａと第２カム溝９１Ｂとを有している。第１カム溝９１Ａはカム体９０の一方側（後部）に形成されている。第２カム溝９１Ｂは、カム体９０の他方側（前部）に形成されている。具体的には、第２カム溝９１Ｂは、第１カム溝９１Ａの前端部から前方に延びている。第１カム溝９１Ａは、第２横軸３２の軸心を中心とする円弧状に形成されている。第２カム溝９１Ｂは、第６ガイドピン９２が第２カム溝９１Ｂにある状態（図３７及び図３８参照）において、第１横軸２７の軸心を中心とする円弧状となるように形成されている。カム溝９１は、操縦ボックス２６を必要角度、例えば５０°前後回動できる長さに形成されている。

　図３４、図３６及び図３７に示すように、アンロードレバー３１が引き上げられると、カム体９０は第２横軸３２を支点として（第２横軸３２回りに）、一方（上方）に回動する。このカム体９０の回動に伴って、第６ガイドピン９２はカム溝９１内で位置を変更する。具体的には、カム溝９１内を一方（後方）から他方（前方）へ相対的に移動する。より具体的には、第１カム溝９１Ａから第２カム溝９１Ｂへ相対的に移動する。つまり、第６ガイドピン９２は、アンロードレバー３１が押し下げ位置にあるときは、カム溝９１の一方（後方）の第１カム溝９１Ａに位置し、引き上げ位置にあるときは、カム溝の他方（前方）の第２カム溝９１Ｂに位置する。

　カム体９０の後部（基部）の上面には、側面視が略Ｌ字状のステー３７が固着されている。ステー３７の上部と操縦ボックス２６の取付板２６ｃとの間には、戻しバネ３８が介装されている。ステー３７の上部は、右板材２６ａに設けたストッパ５４（図３５参照）と当接可能になっている。アンロードレバー３１は、戻しバネ３８により、押し下げ方向（図３４における反時計回り方向）に付勢されている。ステー３７の前部には、後述する引っ張りバネ９３の一端部を係止する係止板５３が固着されている。

　第５横軸６０は、第１横軸２７の前下方であって、且つカム溝９１の前下方に位置している。第５横軸６０は、本実施形態ではボルトからなる。
　カム体９０は、第５横軸６０の前方に、機体幅方向に延びる連結ピン９４を有している。連結ピン９４は、本実施形態ではボルトからなり、カム体９０の左方に突出している。
　図３４、図３６等に示すように、アンロードレバー３１は、レバー部３１Ｄとロック部３１Ｅとを有している。レバー部３１Ｄは、レバー本体３１Ｆとレバー基部３１Ｇとを有している。

　レバー本体３１Ｆは、運転者がアンロードレバー３１を操作する際に把持する部位である。レバー本体３１Ｆの後端部は、レバー基部３１Ｇの前部に固着されている。レバー本体３１Ｆは、レバー基部３１Ｇの前部から操縦ボックス２６の前上方に向けて延設されている。レバー本体３１Ｆには、後述する引っ張りバネ９３の一端部を係止するための係止部３１Ｉが設けられている。係止部３１Ｉは、レバー本体３１Ｆの長さ方向の中途部から上方に向けて延設されている。

　レバー基部３１Ｇは板状の部材から形成されており、一方の面を右側（カム体９０の側）に向けて、他方の面を左側（カム体９０と反対側）に向けて配置されている。図３６に示すように、レバー基部３１Ｇは、一方の面から他方の面に向けて貫通する２つの貫通孔を有している。一方（後方）の貫通孔は、第５横軸６０が枢支される枢支部９６を構成する。他方（前方）の貫通孔は、カム体９０と連結ピン９４を介して連結される連結部９５を構成する。

　図３４、図３５等に示すように、枢支部９６は、連結ピン９４の後方であって、第６ガイドピン９２の前下方に設けられている。レバー部３１Ｄ（レバー本体３１Ｆ及びレバー基部３１Ｇ）は、枢支部９６（第５横軸６０）を支点として回動可能とされている。
　図３６に示すように、連結部９５は、枢支部９６の前方に設けられた長穴から構成されている（以下、長穴９５ともいう）。長穴９５は、上下方向に長い略楕円状に形成されており、下部の第１位置９５Ａと、上部の第２位置９５Ｂとを有している。長穴９５には、連結ピン９４を構成するボルトの軸部が挿通されている。連結ピン９４を構成するボルトの頭部の外径は、長穴９５の内径よりも大きく、当該頭部は長穴９５の外部左方にてレバー基部３１Ｇの他方の面に当接している。

　連結ピン９４は、レバー部３１Ｄを、第５横軸６０を支点として下方に回動させたときに長穴９５の第１位置９５Ａから第２位置９５Ｂへと相対的に移動し、上方に回動させたときに第２位置９５Ｂから第１位置９５Ａへと相対的に移動する。言い換えれば、連結ピン９４は、レバー部３１Ｄが、第５横軸６０を支点とする上方回動位置にあるときには第１位置９５Ａに位置し、下方回動位置にあるときには第２位置９５Ｂに位置する。

　つまり、レバー部３１Ｄの第５横軸６０を支点とする回動範囲は、連結ピン９４が第１位置９５Ａにあるときに下限位置となり、連結ピン９４が第２位置９５Ｂにあるときに上限位置となる。言い換えれば、レバー部３１Ｄの第５横軸６０回りの回動範囲は、長穴９５により規制される。
　ロック部３１Ｅは板状の部材から形成されており、一方の面を右側（カム体９０の側）に向けて、他方の面を左側（カム体９０と反対側）に向けて配置されている。ロック部３１Ｅの前部は、一方の面（右側面）がレバー基部３１Ｇの他方の面（左側面）の上部に固着されている。ロック部３１Ｅの後部は、第６ガイドピン９２に近づく方向に延びており、係止爪３１Ｈとガイド部３１Ｊを有している。係止爪３１Ｈは、ロック部３１Ｅの後端部から鉤爪状に下方に曲がっており、第６ガイドピン９２に対して上方から係止可能となっている。係止爪３１Ｈは、第６ガイドピン９２がカム溝９１の他方（前方）の第２カム溝９１Ｂにあるとき、第６ガイドピン９２に係止される。より詳しくは、係止爪３１Ｈは、後述する上方回動位置において、連結ピン９４が第１位置９５Ａにあるとき（レバー部３１Ｄが第５横軸６０を支点とする上方回動位置にあるとき）、第６ガイドピン９２に係止され（図３７参照）、第１位置９５Ａから第２位置９５Ｂに移動したときに第６ガイドピン９２への係止が解除される（図３８参照）。係止爪３１Ｈが第６ガイドピン９２に係止された状態（図３７参照）では、操縦ボックス２６の下方への回動が阻止される。

　図３６に示すように、ガイド部３１Ｊは、係止爪３１Ｈの先端（下端）から上方且つ後方に向けて延びる傾斜面に形成されている。ガイド部３１Ｊは、係止爪３１Ｈが第６ガイドピン９２に係止される過程で、係止爪３１Ｈを係止位置（図３７参照）に導くガイドとして機能する。具体的には、ガイド部３１Ｊは、第６ガイドピン９２が第１カム溝９１Ａから第２カム溝９１Ｂに移動する過程で、図３４の仮想線（二点鎖線）で示すように、第６ガイドピン９２の外周面に当接しながら滑る。これにより、係止爪３１Ｈは第６ガイドピン９２を乗り越えて、図３７に示すように上方から第６ガイドピン９２に係止される。

　尚、本実施形態では、アンロードレバー３１のレバー部３１Ｄとロック部３１Ｅとを、別々の部材で形成して一体化しているが、１つの部材で形成してもよい。また、レバー本体３１Ｆとレバー基部３１Ｇとを１つの部材で形成してもよい。また、アンロードレバー３１の全体を１つの部材で形成してもよい。
　図３４等に示すように、レバー部３１Ｄの係止部３１Ｉと、係止板５３との間には、付勢部材としての引っ張りバネ９３が介装されている。引っ張りバネ９３は、レバー部３１Ｄを第５横軸６０を支点として上方に回動させる方向に付勢している。この引っ張りバネ９３による付勢力によって、レバー部３１Ｄは第５横軸６０を支点として上方に回動されるが、この回動は連結ピン９４が長穴９５の第１位置９５Ａに達した時点で止まる。レバー３１Ｄを、引っ張りバネ９３の付勢力に抗して第５横軸６０を支点として下方に回動させると、連結ピン９４は第１位置９５Ａから第２位置９５Ｂに移動する。

　操縦ボックス２６の軸受板２６ｄの上部には、リミットスイッチからなる回動検出装置５５が設けられている。回動検出装置５５の先端のスイッチ片は、ステー３７に係合されている。回動検出装置５５は、左操縦装置２２及び右操縦装置２３の電子制御部に接続されている。回動検出装置５５は、オンからオフになることにより、各操縦装置２２、２３の油圧回路に設けられたアンロード弁を作動する。

　アンロードレバー３１が引き上げられると、カム体９０が第２横軸３２を支点として上向きに回動し、カム体９０と共にステー３７も移動（回動）する。このステー３７の移動に伴って回動検出装置５５のスイッチ片が突出する。これにより、アンロードレバー３１の引き上げ（アンロード状態）が検出され、左操縦装着２２と右操縦装置２３による旋回・アーム、ブーム・バケットの操作が不能となる。

　支持ブラケット２５の支持部２５Ｂと操縦ボックス２６との間には、付勢部材としてのガスシリンダ３９が設けられている。ガスシリンダ３９は、支持部２５Ｂの前下部に突設されたピン３９ａと、操縦ボックス２６の上部寄り位置に突設されたピン３９ｂとを連結している。ガスシリンダ３９は、伸長する方向の付勢力を有し、左操縦装置２２の上方への回動を補助する。

　図３０、図３３等に示すように、支持ブラケット２５の支持部２５Ｂには、第１当接機構４１が設けられている。第１当接機構４１は、左操縦装置２２を後述する使用位置（図３３、図３４参照）に保持する。第１当接機構４１は、支持部２５Ｂの上部に固着された取付板４１Ａと、この取付板４１Ａに取り付けられた第１当接部材４１Ｂとを有している。第１当接部材４１Ｂは、左操縦装置２２が使用位置にあるとき、操縦ボックス２６の右板材２６ｂに固着された第１当接板７０に当接する。

　図３３～図３５等に示すように、支持ブラケット２５の取付部２５Ａには、第２当接機構４２が設けられている。第２当接機構４２は、左操縦装置２２を後述する上方回動位置（回避位置）（図３７参照）に保持する。第２当接機構４２は、取付部２５Ａの後部に固着された取付板４２Ａと、この取付板４２Ａに取り付けられた第２当接部材４２Ｂとを有している。第２当接部材４２Ｂは、左操縦装置２２が後述する上方回動位置（図３７参照）にあるとき、操縦ボックス２６の左板材２６ａに固着された第２当接板５６に当接する。

　上述した第１横軸２７、カム体９０、アンロードレバー３１、戻しバネ３８、回動検出装置５５、第１当接機構４１及び第２当接機構４２等によって、回動機構２９が構成されている。この回動機構２９により、左操縦装置２２を上方に回動させる（退避させる）と、運転席８の左斜め前側（即ち、左操縦装置２２の前方側）の乗降口２０ａが広く確保され、左操縦装置２２が運転者の乗降の妨げにならない。

　以下、第三実施形態の左操縦装置２２の回動操作について詳しく説明する。
　左操縦装置２２は、図３３、図３４に示す状態が作業機１で作業をする際の使用位置（通常作業位置）とされる。この使用位置において、第１当接機構４１により操縦ボックス２６の第１横軸２７回りの下方への回動が規制され、左操縦装置２２が使用位置に保持されている。具体的には、第１当接部材４１Ｂが第１当接板７０に当接することにより、左操縦装置２２が使用位置に保持されている。

　使用位置では、第６ガイドピン９２は第１カム溝９１Ａの基端（後端）に位置している。また、アンロードレバー３１は、ストッパ５４によって下方（図３４の反時計回り方向）への回動が規制されている。レバー部３１Ｄは、引っ張りバネ９３によって、第５横軸６０を支点として上方（図３４の時計回り方向）に付勢されている。これにより、連結ピン９４は長穴９５の下部の第１位置９５Ａに保持される。

　この使用位置では、回動検出装置５５はオンとなっており、アンロードレバー３１の上方回動を検出していない。つまり、アンロードレバー３１はアンロード解除位置にある。この状態においては、旋回・アーム用の左操作レバー３０を操作することにより、旋回台６の旋回とアーム１５の昇降とが作動可能とされると共に、ブーム・バケット用の右操縦装置２３による操作が作動可能とされる。

　使用位置からアンロードレバー３１を上方（図３４の時計回り方向）に回動すると、アンロードレバー３１の連結部９５と連結されたカム体９０が第２横軸３２を支点として上方に回動する。このカム体９０の回動に伴って、第６ガイドピン９２は、カム体９０に対して相対的に移動し、第１カム溝９１Ａから第２カム溝９１Ｂに移動し、第１横軸２７の軸心を中心とする円弧溝の第２カム溝９１Ｂに係合する。これにより、操縦ボックス２６の第１横軸２７回りの上方への回動が許容され、当該回動が開始される。操縦ボックス２６が上方に回動すると、回動検出装置５５がオフになって、アンロードレバー３１によるアンロード状態を検出する。アンロードレバー３１がアンロード状態になった後に、さらに操縦ボックス２６と共に上方へ回動することにより、左操縦装置２２は図３７に示す上方回動位置（回避位置）となる。この上方回動位置では、左操縦装置２２は乗降口２０を広くするように上方に退避している。

　この左操縦装置２２が上方回動位置にある状態では、旋回・アーム用の左操作レバー３０を操作しても、旋回台６とアーム１５とが作動不能とされる。また、ブーム・バケット用の右操縦装置２３を操作しても、ブーム１４とバケット１６とが作動不能とされる。
　前記使用位置から上方回動位置（回避位置）へアンロードレバー３１を引き上げる操作の際には、ガスシリンダ３９が伸長する。ガスシリンダ３９は、最大伸長状態となるまで、操縦ボックス２６を第１横軸２７回りに上方に回動させる動作を補助する。そして、第２当接機構４２の第２当接部材４２Ｂが、左板材２６ａに固着された第２当接板５６に当接することによって、左操縦装置２２は回避位置に保持される。

　また、左操縦装置２２（操縦ボックス２６）が上方回動位置にあって、レバー部３１Ｄが第５横軸６０を支点とする上方回動位置にあるとき、ロック部３１Ｅの係止爪３１Ｈが第６ガイドピン９２に対して上方から係止される（図３７参照）。これにより、操縦ボックス２６の下方への回動が阻止された状態（ロック状態）となる。そのため、運転者が不用意に左操作レバー３０を押し下げてしまうことが防止できる。このロック状態では、引っ張りバネ９３の付勢力により、連結ピン９４は長穴９５の第１位置９５Ａに保持される。

　運転者が、ロック状態を解消するためには、左操縦装置２２が上方回動位置にある状態（図３７参照）から、アンロードレバー３１を引っ張りバネ９３の付勢力に抗して少し押し下げる。これにより、アンロードレバー３１は、第５横軸６０を支点として、連結ピン９４が長穴９５の第２位置９５Ｂに達するまで下方（図３７において反時計回り方向）に回動する。この回動によって、係止爪３１Ｈが上方に移動して第６ガイドピン９２から離れ、ロック状態が解除される（図３８参照）。これにより、アンロードレバー３１を更に押し下げることが可能となる。

　アンロードレバー３１を更に押し下げると、カム体９０が第２横軸３２を支点（中心）として下方に回動する。このカム体９０の回動に伴って、第６ガイドピン９２はカム体９０に対して相対的に移動し、第２カム溝９１Ｂから第１カム溝９１Ａに移動する。この第６ガイドピン９２の移動に伴って、操縦ボックス２６が下方に回動し、左操縦装置２２が使用位置となる（図３４参照）。これにより、回動検出装置５５がオンになって、アンロード状態が検出されなくなる。即ち、アンロード解除状態となる。この状態において、旋回・アーム用の左操作レバー３０を操作することにより、旋回台６の旋回とアーム１５の昇降とが作動可能とされると共に、ブーム・バケット用の右操縦装置２３による操作が作動可能とされる。

　上述したように、本発明の第三実施形態によれば、アンロードレバー３１を引き上げたときに、ロック部３１Ｅの係止爪３１Ｈが第６ガイドピン９２に係止された状態（ロック状態）となり、操縦ボックス２６の下方への回動が阻止される。これにより、運転者が不用意に左操作レバー３０を押し下げてアンロード解除状態としてしまうことを防止できる。

　また、アンロードレバー３１が引き上げられた状態から、レバー本体３１Ｆを下方に回動させて連結ピン９４を第１位置９５Ａから第２位置９５Ｂに移動させることで、第６ガイドピン９２に対する係止爪３１Ｈの係止が解除される（ロック状態が解除される）。つまり、運転者は、ロック状態を解除する操作（レバー本体３１Ｆの押し下げ操作）を行っていない場合、操縦ボックス２６の下方への回動が阻止されているため、左操作レバー３０を押し下げることができない。そのため、運転者が不用意に左操作レバー３０を押し下げてアンロード解除状態としてしまうことを確実に防止できる。また、ロック状態を解除する際に、レバー本体３１Ｆの押し下げ動作以外には、特別なロック解除操作を必要としないため、操作性に優れている。

　また、レバー本体３１Ｆを、第５横軸６０を支点として上方に回動させる方向に付勢する付勢部材（引っ張りバネ９３）を有していることにより、ロック状態を確実に維持することができる。すなわち、運転者が付勢部材（引っ張りバネ９３）に抗してレバー本体３１Ｆを押し下げない限り、連結ピン９４が第２位置９５Ｂに維持されるため、ロック部３１Ｅの係止爪３１Ｈが第６ガイドピン９２に係止された状態（ロック状態）が確実に維持される。

　以上本発明について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。

１　　　作業機
４　　　作業装置
８　　　運転席
２４　　第１ガイド溝
２４Ａ　第１係止部（前部溝）
２４Ｃ　第２係止部（後部溝）
２５　　支持ブラケット
２６　　操縦ボックス
２７　　第１横軸
３０　　操作レバー（左操作レバー）
３１　　アンロードレバー
３１Ｄ　レバー部
３１Ｅ　ロック部
３１Ｈ　係止爪
３２　　第２横軸
３３　　カム体
３４　　カム溝
３５　　第１ガイドピン
３６　　第３横軸
４０　　第３ガイドピン
４４　　第２ガイドピン
５０　　付勢部材（引っ張りバネ）
５２　　第２ガイド溝
５２Ａ　第１位置
５２Ｂ　第２位置
６０　　第５横軸
６１　　第４ガイドピン
６２　　第５ガイドピン
６４　　カムリンク
６４Ａ　係止部
８０　　カム体
８１　　カム溝
８１ａ　中間溝部
８１ｂ　後溝部
８１ｃ　前溝部
８１ｅ　拡幅部
８２　　付勢部材
９０　　カム体
９１　　カム溝
９２　　第６ガイドピン
９３　　付勢部材（引っ張りバネ）
９４　　連結ピン
９５　　連結部（長穴）
９５Ａ　第１位置
９５Ｂ　第２位置
９６　　枢支部

Claims (11)

1. 　運転席（８）と、
   　油圧アクチュエータを有する作業装置（４）と、
   　前記運転席の側方に設けられ且つ第１ガイド溝（２４）を有する支持ブラケット（２５）と、
   　前記支持ブラケットに第１横軸（２７）を介して回動自在に枢支され且つ操作レバー（３０）を有する操縦ボックス（２６）と、
   　前記操縦ボックスに揺動可能に枢支され且つ当該揺動によって前記油圧アクチュエータに作動油を供給するか否かを操作可能なアンロードレバー（３１）と、
   　前記操縦ボックスに第２横軸（３２）を介して回動自在に枢支され且つカム溝（３４）を有するカム体（３３）と、を備え、
   　前記支持ブラケットは、前記アンロードレバーの揺動に応じて前記カム溝内で位置を変更し、且つ前記アンロードレバーが押し下げ位置にあるときには前記カム溝の一方に位置すると共に引き上げ位置にあるときには前記カム溝の他方に位置する第１ガイドピン（３５）を有し、
   　前記アンロードレバーは、当該アンロードレバーの揺動に応じて前記第１ガイド溝内で位置を変更し、且つ当該アンロードレバーが押し下げ位置にあるときには前記第１ガイド溝の一方に位置すると共に引き上げ位置にあるときには前記第１ガイド溝の他方に位置する第２ガイドピン（４４）を有し、
   　前記第１ガイド溝は、前記第２ガイドピンを当該第１ガイド溝の一方で係止する第１係止部（２４Ａ）と、前記第２ガイドピンを当該第１ガイド溝の他方で係止する第２係止部（２４Ｃ）とを有する作業機。
2. 　前記アンロードレバーは、前記カム体に対して第３横軸（３６）を介して上方の第１位置（５２Ａ）と下方の第２位置（５２Ｂ）との間で回動自在に枢支され、
   　前記第２ガイドピンは、前記アンロードレバーが前記第１位置から前記第２位置に回動したときに前記第２係止部から離脱する請求項１に記載の作業機。
3. 　前記カム体は、第２ガイド溝（５２）を有し、
   　前記アンロードレバーは、当該アンロードレバーが前記第１位置にあるときには前記第２ガイド溝の一方に位置するとともに、前記第２位置にあるときには前記第２ガイド溝の他方に位置する第３ガイドピン（４０）を有している請求項２に記載の作業機。
4. 　前記アンロードレバーを前記第１位置に保持すべく上方に回動させる付勢力を付与する付勢部材（５０）を有している請求項２又は３に記載の作業機。
5. 　運転席（８）と、
   　油圧アクチュエータを有する作業装置（４）と、
   　前記運転席の側方に設けられた支持ブラケット（２５）と、
   　前記支持ブラケットに第１横軸（２７）を介して回動自在に枢支され且つ操作レバー（３０）を有する操縦ボックス（２６）と、
   　前記操縦ボックスに揺動自在に支持され且つ当該揺動によって前記油圧アクチュエータに作動油を供給するか否かを操作可能なアンロードレバー（３１）と、
   　前記操縦ボックスに第２横軸（３２）を介して回動自在に枢支され且つカム溝（８１）を有するカム体（８０）と、
   　前記アンロードレバーの揺動に応じて前記カム溝内で位置を変更し、且つ当該アンロードレバーが押し下げ位置にあるときには前記カム溝の一方に位置すると共に引き上げ位置にあるときには前記カム溝の他方に位置する第４ガイドピン（６１）と、
   　前記カム体を前記第２横軸回りに回動させる付勢力を付与する付勢部材（８２）と、
   　前記付勢部材による付勢力の方向を、前記カム体を一方に回動させる第１方向と、前記カム体を他方に回動させる第２方向とに切り換える切換機構と、を備え、
   　前記切換機構は、前記付勢部材による付勢方向を、前記第４ガイドピンが前記カム溝の一方にあるときには前記第１方向とし、前記第４ガイドピンが前記カム溝の他方にあるときは前記第２方向とする作業機。
6. 　前記切換機構は、前記支持ブラケットに第４横軸を介して回動自在に枢支されたカムリンク（６４）と、前記カム体に突設された第５ガイドピン（６２）と、を有しており、
   　前記第５ガイドピンは、前記カム溝の下方に設けられ、
   　前記付勢部材は、前記カムリンクと前記操縦ボックスとを連結し、
   　前記カムリンクは、前記第５ガイドピンに係止される係止部（６４Ａ）を有し、
   　前記カム体は、前記第５ガイドピンを介して前記カムリンクと連動して回動する請求項５に記載の作業機。
7. 　前記カム体は、前記カムリンクの一方向への回動に連動して下方へ回動し、前記カムリンクの他方向への回動に連動して上方に回動し、
   　前記付勢部材は、前記第４ガイドピンが前記カム溝の他方にあるときは前記カムリンクを前記一方向に回動させる付勢力を付与し、前記第４ガイドピンが前記カム溝の一方にあるときは前記カムリンクを前記他方向に回動させる付勢力を付与する請求項６に記載の作業機。
8. 　前記カム溝の他方には、前記第４ガイドピンの直径に比べて幅が広く形成された拡幅部（８１ｅ）が形成されている請求項５～７のいずれかに記載の作業機。
9. 　運転席（８）と、
   　油圧アクチュエータを有する作業装置（４）と、
   　前記運転席の側方に設けられた支持ブラケット（２５）と、
   　前記支持ブラケットに第１横軸を介して回動自在に枢支され且つ操作レバー（３０）を有する操縦ボックス（２６）と、
   　前記操縦ボックスに揺動自在に支持され且つ当該揺動によって前記油圧アクチュエータに作動油を供給するか否かを操作可能なアンロードレバー（３１）と、
   　前記操縦ボックスに第２横軸（３２）を介して回動自在に枢支され且つカム溝（９１）を有するカム体（９０）と、
   　前記アンロードレバーの揺動に応じて前記カム溝内で位置を変更し、且つ当該アンロードレバーが押し下げ位置にあるときには前記カム溝の一方に位置すると共に引き上げ位置にあるときには前記カム溝の他方に位置する第６ガイドピン（９２）と、を備え、
   　前記アンロードレバーは、
   　前記第６ガイドピンが前記カム溝の他方にあるときに当該第６ガイドピンに係止するロック部（３１Ｅ）を有している作業機。
10. 　前記アンロードレバーは、前記カム体に第５横軸（６０）を介して回動自在に枢支されたレバー部（３１Ｄ）を有し、
    　前記カム体には、前記レバー部と連結される連結ピン（９４）が突設されており、
    　前記レバー部は、前記第５横軸に枢支される枢支部（９６）と、前記連結ピンが挿入される長穴（９５）を有し、
    　前記長穴は、下部の第１位置（９５Ａ）と、上部の第２位置（９５Ｂ）とを有し、
    　前記連結ピンは、前記レバー部が前記第５横軸を支点とする上方回動位置にあるときには前記第１位置に位置し、下方回動位置にあるときには前記第２位置に位置し、
    　前記ロック部は、前記連結ピンが前記第１位置にあるときに前記第６ガイドピンに係止され、前記第２位置にあるときに前記係止が解除される請求項９に記載の作業機。
11. 　前記レバー部を、前記第５横軸を支点として上方に回動させる方向に付勢する付勢部材（９３）を有している請求項１０に記載の作業機。

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