以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
図1は、実施形態における測色装置の概略構成を示す斜視図である。図2は、実施形態の測色装置における撮像部および測色部の配置関係を示す概略側面図である。図3は、実施形態の測色装置における撮像部および測色部の配置関係を示す概略上面である。図4は、実施形態における測色装置の電気的な構成を示すブロック図である。図5は、実施形態の測色装置における評価指標演算処理部の構成を示すブロック図である。
本実施形態における測色装置CMは、測色対象である被測定物の色(色相、明度、彩度)を測定する装置であり、例えば、図1ないし図5に示すように、給紙部1と、副走査方向移動部(シート搬送部)2と、測色部3と、主走査方向移動部4と、撮像部5と、制御処理部6と、入力部7と、出力部8と、インターフェース部(IF部)9と、記憶部10とを備える。
給紙部1は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、当該測色装置CMにセットされた被測定物のシートを当該測色装置CM内に取り込むシート搬送機構である。被測定物のシートは、任意のものであってよいが、例えば印刷装置の色を調整する場合では、所定の用紙上に所定の色の領域であるパッチを複数備えるカラーチャートCTである。給紙部1は、例えば、被測定物のシートを貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留された前記被測定物のシートをピックアップして当該測色装置CM内に取り込む例えばピックアップローラ等を備えて構成される取込み部と、前記取込み部で取り込まれた被測定物のシートを副走査方向移動部2へ搬送する例えば搬送ローラ等を備えて構成される送込み部とを備える。
副走査方向移動部(シート搬送部)2は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、給紙部1から送られた被測定物のシートを、予め主走査方向として設定された第1方向と直交する副走査方向(第2方向)に、単位搬送指令(第2単位搬送指令)で所定量ごとに搬送するシート搬送機構である。副走査方向移動部2は、副走査方向に沿って順送りおよび逆送りで搬送できるように構成される。順送りは、例えば、上流側(給紙部1側)から下流側(排出側)へ被測定物のシートを搬送することであり、逆送りは、前記順送りの向きとは逆向きに、すなわち、下流側から上流側へ被測定物のシートを搬送することである。副走査方向移動部2は、例えば、複数組のシート搬送ローラ部および前記シート搬送ローラを回転駆動する駆動部等を備えて構成される。各組のシート搬送ローラ部は、前記駆動部で回転駆動される駆動ローラおよび前記駆動ローラの回転駆動に従って回転駆動する従動ローラ等を備えて構成される。前記駆動部は、例えば、ステッピングモータ(副走査用ステッピングモータ)を備えて構成される。このような構成の副走査方向移動部2では、前記副走査用ステッピングモータは、1パルスの駆動パルス(第2駆動パルス、前記第2単位搬送指令の一例)が入力されることで、所定の角度(第21角度)だけ回転し、この前記副走査用ステッピングモータの回転によって前記駆動ローラも、所定の角度(第22角度)だけ回転し、そして、この前記駆動ローラの回転によって、被測定物のシートは、副走査方向に沿って所定量だけ搬送(移動)される。より具体的には、図2に示す例では、副走査方向移動部2は、3組の第1ないし第3シート搬送ローラ部20-1~20-3を備える。これら第1ないし第3シート搬送ローラ部20-1~20-3は、副走査方向に沿って上流側から下流側へ順に配設される。第1ないし第3シート搬送ローラ部20-1~20-3それぞれは、第1ないし第3駆動ローラ21-1~21-3および第1ないし第3従動ローラ22-1~22-3を備える。なお、第1ないし第3駆動ローラ21-1~21-3は、互いに同期して回転する図略の第1ないし第3ステッピングモータによって回転する。給紙部1から送られた被測定物のシートは、順送りでは、1対の第1駆動ローラ21-1と第1従動ローラ22-1との間に挟み込まれ、第1駆動ローラ21-1が前記駆動部によって正転(例えば反時計回り)で回転駆動することで、第1シート搬送ローラ部20-1から第2シート搬送ローラ部20-2へ搬送される。第2シート搬送ローラ部20-2に搬送された被測定物のシートは、第2シート搬送ローラ部20-2によって同様に第2シート搬送ローラ部20-2から第3シート搬送ローラ部20-3へ搬送される。そして、第3シート搬送ローラ部20-3に搬送された被測定物のシートは、第3シート搬送ローラ部20-3によって同様に第3シート搬送ローラ部20-3から下流側へ搬送される。そして、逆送りでは、上述の順送りとは逆に、これら第1ないし第3駆動ローラ21-1~21-3が前記駆動部によって逆転(上述の例では時計回り)で回転駆動することで、被測定物のシートは、下流側から上流側へ搬送される。
なお、以下の説明において、主走査方向(第1方向)がX方向(水平方向)とされ、このX方向に沿って設定された座標軸がX軸とされ、副走査方向(第2方向)がY方向(垂直方向)とされ、このY方向に沿って設定された座標軸がY軸とされ、これらが適宜に用いられる(以下、この2次元の座標系をワールド座標系という。)。これらX軸およびY軸は、後述するように、座標原点(ワールド座標原点)PO0が撮像部5で撮像された画像における予め設定された所定の位置、例えば、平面視にて画像の左上頂点(左上端)に設定されることで、ワールド座標系XYのX軸およびY軸と一致することになる(図8参照)。
測色部3は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、被測定物の色を測定する装置である。測色部3は、例えば、被測定物の色を求めるために、被測定物における所定の光学情報を取得する測色センサー等である。このような測色部3は、例えば、各波長の反射率(または透過率)を測定するための分光光学素子や光電変換素子等を備え、物体の色を各波長の反射率(または透過率)に基づいて計測する分光型測色計である。また例えば、測色部3は、RGBの3刺激値を測定するための光学フィルターや光電変換素子等を備え、物体の色を三刺激値の色差に基づいて計測する三刺激値型測色計である。測色部3は、図1に破線で示す、測定範囲の波長を高い反射率(例えば約90%~約99%)で反射できるいわゆる白色校正板(標準白色板)を測定することによって白色校正される。
主走査方向移動部4は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、測色部3を主走査方向(第1方向)に所定の単位搬送指令(第1単位搬送指令)で所定量ごとに移動する移動機構である。主走査方向移動部4は、例えば、測色部3をガイドするガイド部材と、ガイド部材にガイドされて測色部3を移動させる例えばラックピニオン(ラックアンドピニオン)や送りねじ等の送り機構と、前記送り機構を駆動する例えばステッピングモータ(主走査用ステッピングモータ)等の送り機構駆動部とを備えて構成される。例えば、図3に示すように、主走査方向移動部4は、主走査方向に沿って延びる、平板状のロッドに歯切りしたラック31と、測色部3内に設けられ、例えば主走査用ステッピングモータによって回転駆動するピニオン(不図示)とを備え、前記ピニオンとラック31とが歯合する。このような構成の主走査方向移動部4では、前記主走査用ステッピングモータは、1パルスの駆動パルス(第1駆動パルス、前記第1単位搬送指令の一例)が入力されることで、所定の角度(第11角度)だけ回転し、この前記主走査用ステッピングモータの回転によって前記ピニオンも、所定の角度(第12角度)だけ回転し、そして、この前記ピニオンの回転によって、測色部3は、ラック31に沿って主走査方向に所定量だけ移動される。
撮像部5は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、物体の光学像を撮像する装置である。撮像部5は、例えば、一方向に沿って複数の光電変換素子を配列したラインセンサー(リニアイメージセンサー)等を備えて構成され、図3に示すように、前記複数の光電変換素子の配列方向である前記一方向を主走査方向(X方向)に一致させて、主走査方向(X方向)に沿って延びるように配設される。
図2に示すように、このような撮像部5は、第1シート搬送ローラ部20-1と第2シート搬送ローラ部20-2との間に配設され、測色部3および主走査方向移動部4は、測色部3が第2シート搬送ローラ部20-2と第3シート搬送ローラ部20-3との間で主走査方向に沿って移動するように、配設される。撮像部5は、副走査方向移動部2によって被測定物のシートを副走査方向(Y方向)に搬送しながら被測定物のシートを主走査方向(X方向)に沿った1ラインごとに撮像することで、被測定物のシートの画像(画像データ)を生成する。副走査方向移動部2によって被測定物のシートを副走査方向(Y方向)に搬送することで、副走査方向における被測定物のシートと測色部3との相対位置Yが変更でき、また、主走査方向移動部4によって測色部3自体を主走査方向(X方向)に移動することで、主走査方向における被測定物のシートと測色部3との相対位置Xが変更できる。これによって測色部3は、被測定物のシート上における任意の位置(X、Y)に移動でき、その位置(X、Y)の色を測定できる。
このように本実施形態では、測色部3は、被測定物のシートに対し、主走査方向移動部4によって主走査方向にのみ移動できる。一方、被測定物のシートの副走査方向に沿った移動は、副走査方向移動部(紙搬送部)2によって実行される。したがって、本実施形態では、主走査方向移動部4および副走査方向移動部2が、被測定物のシートに対する前記測色部の位置を相対的に移動させる移動部の一例に相当する。
入力部7は、制御処理部6に接続され、例えば、被測定物の測色を指示するコマンド等の各種コマンド、および、例えば被測定物における識別子の入力等の測色する上で必要な各種データを測色装置CMに入力する機器であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチ、キーボードおよびマウス等である。出力部8(表示部)は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、入力部7から入力されたコマンドやデータ、および、測色装置CMによって測定された被測定物の色を出力する機器であり、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ等の表示装置である。
なお、入力部7および出力部8からタッチパネルが構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部7は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置であり、出力部8は、表示装置である。このタッチパネルでは、表示装置の表示面上に位置入力装置が設けられ、表示装置に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置を触れると、位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容として測色装置CMに入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易い測色装置CMが提供される。
IF部9は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、外部機器との間でデータの入出力を行う回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS-232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、IrDA(Infrared Data Asscoiation)規格等の赤外線通信を行うインターフェース回路、および、USB(Universal Serial Bus)規格を用いたインターフェース回路等である。
記憶部10は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、被測定物を測色するための測色プログラムや、被測定物がカラーチャートCTである場合にカラーチャートCTのチャート領域を求めるためのチャート領域検出プログラムや、被測定物がカラーチャートCTである場合にカラーチャートCTにおける各パッチの各位置を求めるための位置測定プログラム等の制御処理プログラムが含まれる。前記各種の所定のデータには、被測定物であるカラーチャートCTの画像データや、カラーチャートCTにおける各パッチの各位置を示すデータ等が含まれる。記憶部10は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部10は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部6のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。
制御処理部6は、測色装置CMの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、被測定物の色を求めるための回路である。制御処理部6は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部6には、制御処理プログラムが実行されることによって、制御部61、画像取得処理部62、チャート領域候補抽出処理部63、評価指標演算処理部64、チャート領域判定処理部65、パッチ位置処理部66、色測定処理部67、判定基準設定部68、チャート領域選択処理部70が機能的に構成される。
制御部61は、測色装置CMの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するためのものである。
画像取得処理部62は、例えばカラーチャートCT等の被測定物のシートにおける画像を撮像部5によって取得するものである。より具体的には、本実施形態では、撮像部5がラインセンサー等を備えて構成されているので、画像取得処理部62は、例えば、カラーチャートCT等の被測定物のシートを副走査方向移動部(紙搬送部)2によって搬送しながら撮像部5で撮像することで被測定物のシートの画像を取得するものである。
チャート領域候補抽出処理部63は、画像取得処理部62で取得したカラーチャートCTの画像に基づいて、複数のパッチが存在するチャート領域の候補となるチャート領域候補を抽出するものである。より具体的には、例えば、チャート領域候補抽出処理部63は、画像取得処理部62で取得したカラーチャートCTの画像を2値化し、この2値化によって求められた画像(2値化画像)から、予め設定された最小パッチ面積以上の領域をチャート領域候補として抽出する。
評価指標演算処理部64は、チャート領域候補抽出処理部63で抽出したチャート領域候補について、チャート領域候補の画像に基づいて、チャート領域候補がチャート領域である度合いを表す評価値を求めるものである。より具体的には、評価指標演算処理部64は、本実施形態では、例えば、図5に示すように、線画像解析線処理部641と、画素比演算処理部642とを備える。線画像解析線処理部641は、チャート領域候補の画像に基づいて、チャート領域候補の線画像を求め、この求めた線画像に含まれる直線を解析線として求めるものである。画素比演算処理部642は、画像取得処理部62で取得したカラーチャートCTの画像を構成する画素の総数である第1画素数と、線画像解析線処理部641で求めた線画像の中から線画像解析処理部641で求めた解析線から所定の範囲内で重なる部分の画素の総数である第2画素数との比を求め、この求めた比に基づいて評価値を求めるものである。前記所定の範囲は、予め適宜に設定される。なお、画素比演算処理部642は、線画像解析線処理部641で求めた線画像と解析線との重なり部分の画素の総数を前記第2画素数として求めてもよい。また、画素比演算処理部642は、前記第1画素数と前記第2画素数との比そのもの前記評価値として良く、あるいは、画素比演算処理部642は、前記第1画素数と前記第2画素数との比に対し、所定の定数(パラメータ)を加減乗除のうちの少なくとも1つの演算を施した結果を前記評価値として良い。
チャート領域判定処理部65は、チャート領域候補抽出処理部63で抽出したチャート領域候補に対応する評価指標演算処理部64で求めた評価値に基づいて、チャート領域候補抽出処理部63で抽出した当該チャート領域候補がチャート領域であるか否かを判定するものである。より具体的には、チャート領域判定処理部65は、本実施形態では、判定基準を用いることによって、チャート領域候補抽出処理部63で抽出したチャート領域候補に対応する評価指標演算処理部64で求めた評価値に基づいて、チャート領域候補抽出処理部63で抽出した当該チャート領域候補がチャート領域であるか否かを判定する。
パッチ位置処理部66は、チャート領域判定処理部65でチャート領域であると判定したチャート領域候補について、画像取得処理部62で取得したカラーチャートの画像に基づいて、複数のパッチの位置を求めるものである。より具体的には、パッチ位置処理部66は、本実施形態では、例えば、チャート領域において、画像中における一方向に延びるエッジを検出するために用いられるエッジフィルターを用いてカラーチャートCTの画像を2値化処理することで水平方向(主走査方向、X方向)および垂直方向(副走査方向、Y方向)それぞれについて2値化水平エッジ画像データおよび2値化垂直エッジ画像データを生成し、これら生成した2値化水平エッジ画像データおよび2値化垂直エッジ画像データそれぞれを、さらにハフ変換することで水平方向および垂直方向それぞれについて水平エッジ線および垂直エッジ線を検出し、これらの各中間線における各交点を各パッチの各位置として求めるものである。
色測定処理部67は、パッチ位置処理部66で求めた複数のパッチの各位置に、カラーチャートCTに対する測色部3の位置を副走査方向移動部2および主走査方向移動部4によって相対的に移動させ、複数のパッチそれぞれの色を測色部3によって測定するものである。
判定基準設定部68は、チャート領域判定処理部65で用いられる前記判定基準を設定するものである。より具体的には、判定基準設定部68は、本実施形態では、例えば、評価指標演算処理部64で求めた評価値に基づいて、前記判定基準を設定する判定基準設定部68aである。
チャート領域選択処理部70は、チャート領域判定処理部65で判定したチャート領域を示す画像(チャート領域枠)や、パッチ位置処理部66で求めた複数のパッチの各位置を示す画像(パッチマーク)等を、画像取得処理部62で取得したカラーチャートCTの画像に重ねて出力部8に表示し、色測定処理部67に測色させるパッチのチャート領域(測色対象のチャート領域)をユーザから取得するものである。
次に、本実施形態における測色装置の動作について説明する。図7は、実施形態の測色装置におけるチャート領域候補抽出処理部の動作を示すフローチャートである。図8は、実施形態の測色装置におけるチャート領域候補抽出処理部の動作を説明するための図である。図9は、実施形態の測色装置における評価指標演算処理部の動作を示すフローチャートである。図10は、実施形態の測色装置における評価指標演算処理部の動作を説明するための図である。図11は、実施形態の測色装置におけるチャート領域判定処理部の動作を示すフローチャートである。図12は、図18に示すカラーチャートに対し、Y方向の或る位置の画像を、水平方向に沿って差分間隔N点の差分フィルターで処理した処理結果の一例を示す図である。図13は、一例として、カラーチャートの2値化垂直エッジ画像を示す図である。図14は、一例として、カラーチャートの垂直エッジ線の一部を示す図である。図15は、一例として、カラーチャートの2値化水平エッジ画像を示す図である。図16は、一例として、カラーチャートの水平エッジ線の一部を示す図である。図17は、一例として、カラーチャートの垂直エッジ線および水平エッジ線から求めた各パッチの位置の一部を示す図である。図17において、実線は、垂直エッジ線または水平エッジ線を示し、破線は、垂直エッジ線間の中間線または水平エッジ線間の中間線を示し、○は、実測した各パッチの位置(実測パッチ位置)を示す。図18は、カラーチャートの他の一例を示す図である。図20は、実施形態の測色装置の出力部に表示される選択画面の一例を示す図である。図21は、実施形態の測色装置の選択画面に表示されるチャート領域およびパッチマークの表示データの構成及び内容の一例を示す図である。図22は、実施形態の測色装置におけるチャート領域選択処理部の動作を示すフローチャートである。
本実施形態における測色装置CMは、カラーチャートCTの各パッチを測色する場合、次のように動作する。カラーチャートCTが給紙部1にセットされ、入力部7からカラーチャートCTの測色開始が指示されると、測色装置CMは、図6に示すように、まず、例えば順送りでカラーチャートCTの全体画像を画像取得処理部62によって取得する(S1、画像取得処理工程)。より具体的には、制御処理部6の画像取得処理部62は、副走査方向移動部2によってカラーチャートCTを順送りで、カラーチャートCTの用紙における一方端から他方端まで副走査方向(Y方向)に搬送しながら、この副走査方向の搬送に同期させて、主走査方向(X方向)に沿った1ラインごとにカラーチャートCTを撮像部5で撮像することで、カラーチャートCTの全体画像を取得する。取得されたカラーチャートCTの全体画像は、記憶部10に記憶される。
これによって例えば図8Aに示すカラーチャートCTaの画像IMaが取得される。この図8Aに示すカラーチャートCTaは、チャート領域CA-1~CA-6を平面視にて左側部および下部に含むだけでなく、物品を写した通常画像の通常画像領域IMA-1、IMA-2を平面視にて上部に含み、そして、人物を写した通常画像の通常画像領域IMA-3を平面視にて中央やや右寄りに含む。
次に、測色装置CMは、画像取得処理部62で取得したカラーチャートCTの画像に基づいて、複数のパッチが存在するチャート領域の候補となるチャート領域候補を抽出する(S2、チャート領域候補抽出処理工程)。
より具体的には、制御処理部6のチャート領域候補抽出処理部63は、次のように動作する。図7において、チャート領域候補抽出処理部63は、画像取得処理部62によって取得されたカラーチャートCTの画像を2値化する(S11)。より詳しくは、前記カラーチャートCTの画像における各画素の明るさの画素値が、チャート領域候補抽出処理部63によって、予め設定された閾値(第1閾値)th1とそれぞれ比較される。この比較の結果、例えば、前記明るさの画素値が前記第1閾値th1以上である場合では、当該画素の画素値が0とされ、前記明るさの画素値が前記第1閾値th1未満である場合では、当該画素の画素値が1とされる。これによって各画素の画素値が2値化される。前記第1閾値th1は、種々の画像について試行し、適宜に決定される。
次に、チャート領域候補抽出処理部63は、ノイズを除去する(S12)。これによって2値化画像データが生成される。例えば、画素値が1である画素の周囲に画素値が0の画素しかない場合(例えば当該画素に隣接する全ての画素の画素値が0である場合)には、画素値が1である当該画素は、ノイズであると判定され、当該画素の画素値が0に置き換えられる。
次に、チャート領域候補抽出処理部63は、連続的に画素値が1である複数の画素(画素値が1であって互いに隣接する複数の画素)を1つに纏めることによって、画素値1の領域(有意画像領域)を生成し、この生成した有意画像領域に、互いに区別して識別し特定するための識別子(ID)として有意画像領域のラベル(例えばシリアル番号等)hを割り当てる(S13)。
次に、チャート領域候補抽出処理部63は、処理S13によって得られた有意画像領域の面積が予め設定された最小パッチ面積以上であるか否かを判定し、これによって前記最小パッチ面積以上の有意画像領域をチャート領域候補として抽出し、この抽出したチャート領域候補に外接する矩形(外接矩形)を計算し、計算結果を記憶部10に記憶させる(S14)。前記最小パッチ面積は、パッチの最小面積として予め設定された値であり、したがって、前記チャート領域候補は、複数のパッチを備えて構成される場合だけでなく、1個のパッチを備えて構成される場合を含む。前記外接矩形の計算では、例えば、チャート領域候補の外接矩形における4頂点それぞれの座標値が求められ、この求められた座標値が当該チャート領域候補のラベルiと対応付けて記憶部10に記憶される。なお、画像には、例えば、当該画像における左上の頂点を座標原点(ワールド座標原点)PO0としたXY直交座標系(ワールド座標系XY)が設定される。このワールド座標系XYは、主走査方向のX方向(水平方向)に沿ったX軸を備え、これに直交する副走査方向のY方向(垂直方向)に沿ったY軸を備えるように、設定される。
このような各処理S11~S14を図8Aに示すカラーチャートCTaの画像IMaに実施すると、図8Bに示すように、9個のチャート領域候補CCA-1~CCA-9が得られ、これら各チャート領域候補CCA-1~CCA-9それぞれについて、4頂点の座標値(Xn、Yn)が求められ、ラベルiと対応付けて記憶部10に記憶される(i=1~9の整数)。
ここで、このように求めたチャート領域候補CCAをチャート領域CAとして検出することが考えられる。例えば、図18に示すカラーチャートCTbでは、処理S11ないし処理S14の各処理によって、図18に示す外接矩形を持つチャート領域候補CCA-bが検出され、このチャート領域候補CCA-bは、チャート領域CA-bと一致している。しかしながら、例えば図8に示すチャート領域CA-1~CA-6だけでなく通常画像領域IMA-1~IMA-3を含むカラーチャートCTaでは、処理S11ないし処理S14の各処理によって、図8Bに示すように、通常画像領域IMA-1~IMA-3に当たる領域もチャート候補領域CCA-2~CCA-4として抽出され、チャート領域候補CCAは、チャート領域CAと一致しない。このため、本実施形態における測色装置CMは、さらに、次の処理S3および処理S4の各処理を実施している。
図6に戻って、次に、測色装置CMは、チャート領域候補抽出処理部63で抽出したチャート領域候補CCAについて、チャート領域候補CCAの画像に基づいて、チャート領域候補CCAがチャート領域CAである度合いを表す評価値を求める(S3、評価指標演算処理工程)。
より具体的には、制御処理部6の評価指標演算処理部64は、次のように動作する。図9において、評価指標演算処理部64は、チャート領域候補抽出処理部63によって抽出されたチャート領域候補CCAの中から、ラベルiのチャート領域候補CCA-iを記憶部10から取得する(S21)。なお、ラベルiは、評価指標演算処理部64の処理開始時に1に初期化されているものとする。
次に、評価指標演算処理部64の線画像解析処理部641は、ラベルiのチャート領域候補CCA-iについて、チャート領域候補CCA-iの画像に基づいて、チャート領域候補CCA-iの線画像(線画の画像)を求め、この求めた線画像に含まれる直線を解析線として求める(S22)。より具体的には、線画像解析処理部641は、公知の画像処理フィルターを用いて微分処理や細線化処理をチャート領域候補CCA-iの画像に施し、細線化画像の線画像を生成する。そして、線画像解析線処理部641は、線画像にハフ(Hough)変換を施し、解析線を求める。ハフ変換は、直線を検出する公知のデジタル画像処理である。またハフ変換に代え、最小二乗法によって解析線が求められてもよい。本実施形態では、パッチは、矩形であるので、線画像解析線処理部641は、水平方向(主走査方向、X方向)に沿って延びる解析線(横解析線)と、垂直方向(副走査方向、Y方向)に沿って延びる解析線(縦解析線)とを求める。
次に、評価指標演算処理部64の画素比演算処理部642は、画像取得処理部62で取得したカラーチャートCTの画像IMを構成する画素の総数、より好ましくはチャート領域候補CCA-iを構成する画素の総数である第1画素数Pix(ALL)を求める(S23)。
次に、画素比演算処理部642は、線画像解析線処理部641によって生成された線画像と解析線(この例では横解析線および縦解析線それぞれ)とを重ね合わせる(S24)。
次に、画素比演算処理部642は、線画像のうち、解析線から所定の範囲△L以内で重なる部分の画素の総数を第2画素数Pix(Lines)として求める(S25)。本実施形態では、画素比演算処理部642は、線画像のうち、横解析線から所定の範囲△L以内で重なる部分の画素の総数を第2横画素数Pix(LinesHor)として求め、線画像のうち、縦解析線から所定の範囲△L以内で重なる部分の画素の総数を第2縦画素数Pix(LinesVer)として求める。なお、画素比演算処理部642は、線画像と解析線との重なり部分の画素の総数を第2画素数として求めてもよい。
次に、画素比演算処理部642は、第1画素数Pix(ALL)と、第2画素数Pix(Lines)との比を求め、この求めた比に基づいて評価値Eva(i)を求める(S26~S28)。より具体的には、本実施形態では、画素比演算処理部642は、第1画素数Pix(ALL)と、第2縦画素数Pix(LinesVer)との比を求め、この求めた比を縦評価値EvaVer(i)とする(EvaVer(i)=Pix(LinesVer)/Pix(ALL))(S26)。次に、画素比演算処理部642は、第1画素数Pix(ALL)と、第2横画素数Pix(LinesHor)との比を求め、この求めた比を横評価値EvaHor(i)とする(EvaHor(i)=Pix(LinesHor)/Pix(ALL))(S27)。そして、より確実な評価値を生成するために、画素比演算処理部642は、これら縦評価値EvaVer(i)と横評価値EvaHor(i)とを比較し、値の小さい方を評価値Eva(i)とし、この求めた評価値Eva(i)を記憶部10に記憶する(S28)。なお、これら縦評価値EvaVer(i)と横評価値EvaHor(i)とは、単純平均値、あるいは、カラーチャートCTの縦横比に応じた重みで重み付けた重み付け平均値が評価値Eva(i)とされてもよい。
パッチが矩形である場合、チャート領域CAの線画像および解析線は、パッチの輪郭線をほぼ表すので、線画像と解析線とは、比較的高い確率で一致することになる。しかしながら、通常画像領域IMAにおける線画像と解析線とは、通常、あまり一致しない。例えば、図8Aに示すカラーチャートCTaにおける人物を写した通常画像領域IMA-3について、線画像と横解析線とを重ねると図10Aに示す結果が得られ、線画像と縦解析線とを重ねると図10Bに示す結果が得られる。これら図10Aおよび図10Bを参照すると分かるように、通常画像領域IMA-3における線画像と解析線とは、あまり一致せず、重なる画素は、あまり無い。したがって、上述のように求められた評価値Eva(i)は、チャート領域候補CCAがチャート領域CAである度合いを表す、より良い評価値となる。
なお、上述では、縦解析線および横解析線が求められ、縦評価値EvaVer(i)および横評価値EvaHor(i)が求められたが、情報処理量を低減するために、縦および横のうちのいずれか一方が求められてもよい。すなわち、縦解析線および縦評価値EvaVer(i)のみが求められて縦評価値EvaVer(i)が評価値Eva(i)とされて良く、あるいは、横解析線および横評価値EvaHor(i)のみが求められて横評価値EvaHor(i)が評価値Eva(i)とされて良い。
次に、評価指標演算処理部64は、全てのチャート領域候補CCA-iについて評価値Eva(i)を求めたか否かを判定する(S29)。この判定の結果、評価値Eva(i)を算出していないチャート領域候補CCA-iがある場合(No)には、ラベルiを1だけインクリメントして処理を処理S21に戻す。一方、前記判定の結果、全てのチャート領域候補CCA-iについて評価値Eva(i)の算出が終了している場合(Yes)には、評価指標演算処理工程S3を終了する。
図6に戻って、次に、測色装置CMは、判定基準を用いることによって、チャート領域候補抽出部63で抽出したチャート領域候補CCAに対応する評価指標演算処理部64で求めた評価値に基づいて、チャート領域候補抽出部63で抽出した当該チャート領域候補CCAがチャート領域CAであるか否かを判定する(S4、チャート領域判定処理工程)。
より具体的には、制御処理部6のチャート領域候補処理部65は、次のように動作する。図11において、まず、チャート領域判定処理部65は、評価値Eva(i)を5段階に仕分けるために、第1ないし第4ランク閾値Thres1~Thres4を定義する(S31)。例えば、チャート領域判定処理部65は、最大の評価値Eva(i)を5等分し、この5等分する各境界値それぞれを第1ないし第4ランク閾値Thres1~Thres4とする。
次に、チャート領域判定処理部65は、各チャート領域候補CCA-iの各評価値Eva(i)を、これら第1ないし第4ランク閾値Thres1~Thres4それぞれと比較し、5段階のうちのいずれかにランク付けする(S32)。
次に、チャート領域判定処理部65は、処理S32でランク付けした結果、最高のランクを基準ランクBaseRankとし、この基準ランクBaseRankより2段階下のランクを判定基準に設定する(S33)。カラーチャートCTには、必ず1つはチャート領域CAが存在するので、最高のランクが基準ランクBaseRankとされ、この基準ランクBaseRankより2段階下のランクを持つチャート領域候補CCA-iまでチャート領域CAにみなされる。
次に、チャート領域判定処理部65は、判定基準以上のランクを持つチャート領域候補CCA-iをチャート領域CAとして判定し、判定基準未満のランクを持つチャート領域候CCA-iを非チャート領域として判定し(S34)、チャート領域判定処理工程を終了する。
例えば、処理S32によって最高のランクが5である場合、処理S33によって判定基準は、3に設定され、処理S34によって3、4、5のいずれかのランクを持つチャート領域候補CCA-iがチャート領域CAと判定される。また例えば、処理S32によって最高のランクが3である場合、処理S33によって判定基準は、1に設定され、処理S34によって1、2、3のいずれかのランクを持つチャート領域候補CCA-i、すなわち、全てのチャート領域候補CCA-iがチャート領域CAと判定される。
図6に戻って、次に、測色装置CMは、チャート領域判定処理部65でチャート領域CAであると判定したチャート領域候補CCAについて、画像取得処理部62で取得したカラーチャートCTの画像IMに基づいて、複数のパッチの位置を求め、この求めた各パッチの各位置を記憶部10に記憶させる(S5、パッチ位置処理工程)。例えば、パッチ位置処理部66は、画像取得処理部62によって取得されたカラーチャートCTの全体画像に基づいて、垂直エッジ検出用の所定のエッジフィルターを用いることで垂直方向(Y方向)に沿う垂直エッジを検出し、水平エッジ検出用の所定のエッジフィルターを用いることで水平方向(X方向)に沿う水平エッジを検出する。図12には、一例として、図18に示すカラーチャートCTbに対し、Y方向の或る位置の画像を、X方向に沿って差分間隔N点の差分フィルターで処理した処理結果の一例が示されている。続いて、パッチ位置処理部65は、エッジフィルター処理後の垂直エッジの絶対値が求められ、この求められた絶対値が予め設定された閾値と比較されて2値化され、2値化垂直エッジの画像データを生成する。一例として、図18に示すカラーチャートCTbの画像に対し、エッジフィルター処理後の処理結果が2値化されると、例えば、図13に示す2値化垂直エッジ画像の画像データが生成される。同様に、パッチ位置処理部65は、エッジフィルター処理後の水平エッジの絶対値が求められ、この求められた絶対値が予め設定された閾値と比較されて2値化され、2値化水平エッジの画像データを生成する。一例として、図18に示すカラーチャートCTbの画像に対し、エッジフィルター処理後の処理結果が2値化されると、例えば、図15に示す2値化水平エッジ画像の画像データが生成される。続いて、パッチ位置処理部65は、カラーチャートCTの2値化垂直エッジの画像データおよび2値化水平エッジの画像データそれぞれをハフ変換し、垂直エッジ線および水平エッジ線それぞれを検出する。例えば、図13に示す、カラーチャートCTbの2値化垂直エッジの画像データがハフ変換されると、例えば、図14に示す垂直エッジ線が検出される。また、図15に示す、カラーチャートCTbの2値化水平エッジの画像データがハフ変換されると、例えば、図16に示す水平エッジ線が検出される。そして、パッチ位置処理部65は、複数の垂直エッジ線それぞれにおいて、互いに隣接する垂直エッジ線間の中間線である垂直中間線を求め、同様に、複数の水平エッジ線それぞれにおいて、互いに隣接する水平エッジ線間の中間線である水平中間線を求め、そして、これら求められた複数の垂直中間線と複数の水平中間線との各交点を各パッチの位置(X、Y)として求める。例えば、図18に示すカラーチャートCTbに対して求められた垂直エッジ線に基づいて垂直中間線が求められると、図17に破線で示す垂直中間線が求められ、水平エッジ線に基づいて水平中間線が求められると、図17に破線で示す水平中間線が求められ、そして、これらの各交点が、図17に○印で示すように、各パッチの各位置(X、Y)として求められる。これら各パッチの各位置(X、Y)、つまり、各パッチの各ワールド座標値(X、Y)は、記憶部10に記憶される。
次に、測色装置CMは、チャート領域選択処理部70によって、ユーザが測色を所望するチャート領域CAを取得する(S6、チャート領域選択処理工程)。より具体的には、チャート領域選択処理部70は、出力部8に、選択画面81を表示し、ユーザが選択したチャート領域CAを取得する。
図20に示すように、出力部8に表示される選択画面81には、カラーチャートCTの画像IMc、チャート領域選択開始/終了ボタン812、および、キャンセルボタン813が表示されている。チャート領域選択開始/終了ボタン812は、いわゆるトグルボタンである。チャート非選択状態の場合、ボタン812には「チャート領域選択開始」と表示されている。ユーザが、「チャート領域選択開始」と表示されているボタン812を押下すると、チャート選択状態になり、ボタン812には「チャート領域選択終了」と表示される。ユーザが、「チャート領域選択終了」と表示されているボタン812を押下すると、チャート選択状態が終了してチャート非選択状態となり、チャート領域の選択処理が終了される。キャンセルボタン813は、チャート領域の選択処理をキャンセルするためのボタンである。
図20の選択画面81に表示されているカラーチャートCTの画像IMcには、チャート領域CA-101およびチャート領域CA-102が含まれ、各チャート領域CAの4辺上に、枠が強調表示されている。強調表示された枠とは、測色装置CMが検出したチャート領域CAであることをユーザが認識できるように、予め定められた線の属性(色、太さ、線種等)でチャート領域CAを囲むように表示された線である。チャート領域CA内の各パッチの中心位置には、パッチマーク(●)が表示されている。なお、処理S4のチャート領域判定処理工程において算出されたチャート領域CAのランクに応じて、チャート領域CAの4辺(枠)の属性や、パッチマークの色等が変えられて表示されてもよく、また、図形が変えられてもよい。
実施形態では、チャート領域選択処理部70は、ユーザがチャート領域CAを認識できるように枠を表示しているが、チャート領域CAを認識できるような画像を表示すればよく、例えば、チャート領域CAの矩形の4角に所定の色の矢印や丸印等を表示する等でもよい。また、実施形態では、チャート領域選択処理部70は、丸印のパッチマークを表示しているが、パッチの位置をユーザが認識できるような画像を表示すればよい。
ユーザは、「チャート領域選択開始」と表示されているボタン812をクリックしてチャート選択状態にし、所望の1または複数のチャート領域CAを選択、追加後、「チャート領域選択終了」と表示されているボタン812をクリックしてチャート選択状態を終了する(チャート非選択状態)。例えば、チャート領域CAを選択する場合、ユーザは、入力部7のマウスによりカーソル811を、枠で囲まれたチャート領域CA、つまり、測色装置CMにより検出されたチャート領域CA内に移動しクリックする。また、枠で囲まれていないチャート領域CA、つまり、測色装置CMにより検出されなかったチャート領域CAを選択する場合、ユーザは、追加するチャート領域CAをカーソル811によりWIN指定し、WIN指定したチャート領域CA内の各パッチの測色を行う位置をクリックすることにより指定する。
以下、チャート領域選択処理部70の動作を説明する。図22は、チャート領域選択処理部70の動作を示すフローチャートである。
チャート領域選択処理部70は、記憶部10から、カラーチャートCTの画像を読み出し、出力部8に表示する(S41)。この際、チャート領域選択処理部70は、カラーチャートCTの画像のワールド座標系(座標原点PO0)とスクリーン座標系(座標原点SO0)との対応付けを行い、ワールド座標とスクリーン座標とを相互に変換する関数を作成する。なお、実施形態では、説明の便宜上、カラーチャートCTの画像は、画面に対して回転していないものとする。つまり、ワールド座標系のX軸(Y軸)とスクリーン座標のX軸(Y軸)とは平行であるとする。
次に、チャート領域選択処理部70は、表示したカラーチャートCTの画像に重ねて、チャート領域CAの枠を表示する(S42)。より具体的には、チャート領域選択処理部70は、記憶部10から、処理S2のチャート領域抽出処理工程で求められて記憶された各チャート領域候補CCAの4頂点のワールド座標値(Xn、Yn)のうち、処理S4のチャート領域判定処理工程においてチャート領域CAであると判定されたチャート領域候補CCAの4頂点のワールド座標値(Xn、Yn)と、このワールド座標値と対応付けて記憶されているラベルiを読み出す。そして、チャート領域選択処理部70は、読み出したチャート領域CAごとに1レコードが登録された、図21Aに示すチャート領域枠データ1010を作成し、記憶部10に記憶させる。より具体的には、チャート領域選択処理部70は、読み出したラベルiをチャート領域ID1011として設定し、対応する4頂点のワールド座標値(Xn、Yn)のうちの左上の座標値と右下の座標値とを、上記関数を用いてスクリーン座標に変換し、変換したスクリーン座標を領域座標1012として設定したレコードを、ラベルiごとに作成し、チャート領域枠データ1010に登録する。そして、チャート領域選択処理部70は、チャート領域枠データ1010に登録されている全てのレコードの領域座標1012として設定されているスクリーン座標値を用いて、各チャート領域CAの枠を選択画面81に表示させる。
次に、チャート領域選択処理部70は、表示したカラーチャートCTの画像に重ねて、処理S5でパッチ位置処理部が求めたパッチの位置を示す画像の一例であるパッチマーク(●)を表示する(S43)。より具体的には、チャート領域選択処理部70は、記憶部10から、処理S5のパッチ位置処理工程で求められて記憶された各パッチのワールド座標値(X、Y)を読み出し、チャート領域CAごとに、図21Bに示すチャートマークデータ1020を作成し、記憶部10に記憶させる。より具体的には、チャート領域選択処理部70は、チャート領域CAのラベルiをチャート領域ID1021として設定し、このチャート領域CAに含まれるチャートの位置のワールド座標値(X、Y)を上記関数を用いてスクリーン座標に変換し、変換したスクリーン座標をパッチマーク座標1022として設定したレコードを、パッチごとに作成し、チャートマークデータ1020に登録する。そして、チャート領域選択処理部70は、チャートマークデータ1020に登録されている全てのレコードのパッチマーク座標1022として設定されているスクリーン座標値を用いて、各パッチマークを選択画面81に表示させる。
次に、チャート領域選択処理部70は、ユーザの操作を検出した入力部7から、その操作を取得し、取得した操作に応じて処理を行う。チャート領域選択処理部70は、ユーザがチャート領域選択処理を行わずに終了する操作、例えば、キャンセルボタン813を押下する操作を取得すると(S44:No)、選択画面81を消去して処理を終了する。この場合、記憶部10には、選択されたチャート領域CAは0(ゼロ)個である旨が、記憶される。
チャート領域選択処理部70は、「チャート領域選択開始」と表示されているボタン812が押下されてチャート選択状態となる操作を取得すると(S44:Yes)、「チャート領域選択終了」と表示されているボタン812が押下されてチャート選択状態の終了(チャート非選択状態)となる操作を取得するまで(S45:No)、ユーザによるチャート領域CAの選択または追加の操作を受け付ける。
より具体的には、チャート領域選択処理部70は、ユーザが画面をクリックした位置を示すスクリーン座標を取得すると(S46:クリック)、記憶部10に記憶されているチャート領域枠データ1010を参照し、そのスクリーン座標が含まれるチャート領域CAを検出する(S47)。より具体的には、チャート領域選択処理部70は、そのスクリーン座標が、チャート領域枠データ1010の各レコードの領域座標1012として設定されている座標値が示す矩形内に在るか否かを判断し、矩形内に在ると判断される座標値が設定されているレコードにチャート領域ID1011として設定されているラベルiを読み出し、選択されたチャート領域CAのIDとして記憶部10に記憶する。チャート領域選択処理部70は、チャート領域CAが選択されたことをユーザが認識できるように、選択されたチャート領域CAの枠の属性を変更して表示する。なお、このチャート領域CAが再度クリックされた場合、チャート領域選択処理部70は、チャート領域CAの枠の属性を変更前の属性に変更して表示し、このチャート領域CAのIDを記憶部10から削除することとしてもよい。
また、チャート領域選択処理部70は、ユーザが画面においてWIN指定をした位置を示すスクリーン座標、つまり、WIN指定の2つのスクリーン座標を取得すると(S46:WIN指定)、取得した2つのスクリーン座標で示される矩形領域を、追加されたチャート領域CAとして検出する(S48)。より具体的には、チャート領域選択処理部70は、取得した2つのスクリーン座標を用いて枠を表示する。チャート領域選択処理部70は、新たにID(ラベルi)を作成してチャート領域ID1011として設定し、取得した2つのスクリーン座標を領域座標1012として設定したレコードを作成し、作成したレコードをチャート領域枠データ1010に追加する。そして、チャート領域選択処理部70は、新たに作成したラベルiを、選択されたチャート領域CAのIDとして記憶部10に記憶する。次に、チャート領域選択処理部70は、ユーザがWIN指定した領域内をクリックした位置を示す1または複数のスクリーン座標を取得する。チャート領域選択処理部70は、取得したスクリーン座標にパッチマークを表示する。チャート領域選択処理部70は、新たに作成したラベルiをチャート領域ID1021として設定し、取得したスクリーン座標をパッチマーク座標1022として設定した1または複数のレコードを作成し、チャートマークデータ1020として記憶部10に追加する。
チャート領域選択処理部70は、「チャート領域選択終了」と表示されているボタン812が押下されてチャート非選択状態となる操作を取得すると(S45:Yes)、選択画面81を消去して処理を終了する。
そして、測色装置CMは、ユーザが選択したチャート領域CAのラベルiを記憶部10から読み出し、これらラベルiが示す各チャート領域CAに含まれる複数のパッチの測色を行う。なお、この際、追加したチャート領域のパッチの各位置は、パッチマーク座標1022として設定されているスクリーン座標がワールド座標に変換されることで求められる。このように求めた複数のパッチの各位置で前記複数のパッチを測色する場合には、測色装置CMは、色測定処理部67によって、パッチ位置処理部66で求めた複数のパッチの各位置に、カラーチャートCTに対する測色部3の位置を副走査方向移動部2および主走査方向移動部4によって相対的に移動し、複数のパッチそれぞれの色を測色部3によって測定し、測定結果を記憶部10に記憶する(S7、測色処理工程)。
なお、チャート領域選択処理部70は、ユーザに選択されたチャート領域CAのラベルiを、選択順(チャート領域の取得順)に記憶部10に記憶させ、測色装置CMは、その選択順(チャート領域の取得順)にチャート領域CAの測色を行ってもよい。
また、実施形態の測色装置CMは、処理S48の処理においてチャート領域CAを追加する場合に、チャートの測色位置は、ユーザが指定することで取得されることとしているが、追加されたチャート領域CAの領域に対して、処理S3から処理S5までの処理を行うことで、パッチの位置を求めることとしてもよい。この際、測色装置CMは、判定基準を所定値だけ低くし、処理S3から処理S5までの処理を行ってもよく、または、図19を用いて説明されるように、ユーザが判定基準設定用スライダ682を移動して、判断基準を変更してもよい。
また、実施形態の測色装置CMは、処理S41の処理においてカラーチャートCTの画像を画面に表示する場合に、カラーチャートCTの画像は画面に対して回転していないものとして、チャート領域の左上のワールド座標値と右下のワールド座標値とをスクリーン座標に変換して記憶している(チャート領域枠データ1010の領域座標1012)。カラーチャートCTが画面に対して回転している場合を考慮して、測色装置CMは、チャート領域の4頂点のワールド座標値(Xn、Yn)をスクリーン座標値に変換して記憶してもよい。この場合、処理S46の処理において、WIN指定によりチャート領域を追加する際には、ユーザは、指定するチャート領域の4頂点、または、3頂点を入力する。
そして、測色装置CMは、色測定処理部67によって、最後のパッチを測色すると、制御処理部6の制御部61は、これら測色した各パッチの各色を出力部8に出力し、処理を終了する(S8)。なお、必要に応じて、制御処理部6の制御部61は、これら計測した各パッチの各色をIF部9に出力してもよい。
以上説明したように、本実施形態における測色装置CMおよびこれに実装された測色方法は、チャート領域候補抽出処理部63(チャート領域候補抽出処理工程S2)によってチャート領域CAの候補となるチャート領域候補CCAをカラーチャートCTの画像IMから抽出し、このチャート領域候補CCAの評価値Evaを評価指標演算処理部64(評価指標演算処理工程S3)によって求め、この求めた評価値Evaに基づいてチャート領域候補CCAがチャート領域CAであるか否かをチャート領域判定処理部65(チャート領域判定処理工程S4)によって判定し、この判定の結果、チャート領域CAであると判定したチャート領域候補CCAについて、複数のパッチの各位置を求め、これら求めた複数のパッチの各位置で測色部3によって各パッチを測色する。したがって、本実施形態における測色装置CMおよびこれに実装された測色方法は、チャート領域CAを適切に判定し、自動的に適切な位置で測色できる。特に、本実施形態における測色装置CMおよびこれに実装された測色方法は、図18に示すチャート領域CA-bのみを含むカラーチャートCTbだけでなく、図8Aに示すチャート領域CA-1~CA-6に加えて通常画像領域IMA-1~IMA-3を含むカラーチャートCTaも適切にチャート領域CAを判定できる。本実施形態における測色装置CMおよびこれに実装された測色方法は、判定基準を適宜に設定することによって、汚損等のパッチを測色から除去でき、カラーチャートCTの汚損等の領域をパッチの位置として誤検出することを低減できる。
パッチが矩形である場合、チャート領域CAでは、線画像と解析線とは、多くの画素で重なり、通常画像領域IMAでは、線画像と解析線との重なり画素は、少ないと考えられる。このため、本実施形態における測色装置CMおよびこれに実装された測色方法は、カラーチャートCTの画像全体の画素数、より好ましくはチャート領域候補CCA-iの画像全体の画素数である第1画素数Pix(ALL)と、線画像の中から解析線また解析線の近傍で重なる部分の画素数である第2画素数Pix(Lines)との比に基づいて評価値Evaを求めるので、より適切な評価値Evaを生成できる。
本実施形態における測色装置CMおよびこれに実装された測色方法は、判定基準設定部68aを備えるので、より適切な判定基準を設定でき、この判定基準を用いることで、チャート領域候補CCAがチャート領域CAであるか否かを簡単な処理で判定できる。
本実施形態における測色装置CMおよびこれに実装された測色方法では、評価値に基づいて判定基準設定部68aによって判定基準が求められるので、本実施形態における測色装置CMおよびこれに実装された測色方法は、判定基準設定部68aによって自動的に判定基準を設定できる。
なお、上述の実施形態では、判定基準設定部68には、評価指標演算処理部64で求めた評価値Evaに基づいて判定基準を設定する判定基準設定部68aが用いられたが、この判定基準設定部68aに代え、外部から前記判定基準を受け付ける判定基準設定部68bが用いられても良い。
図19は、実施形態の測色装置における他の判定基準設定部を説明するための図である。より具体的には、上述の評価指標演算処理工程S3の実行後であってチャート領域判定処理工程S4の実行前に、判定基準設定部68bは、画像取得処理部62によって取得されたカラーチャートCTの画像IMと、判定基準設定用バー681と、判定基準設定用スライダ682とを出力部8に表示する。例えば、図19に示すように、判定基準設定部68bは、カラーチャートCTaの画像IMaを出力部8における略中央の表示領域に表示し、出力部8における、カラーチャートCTaの画像IMaを表示した表示領域の下部の表示領域に、判定基準設定用バー681および判定基準設定用スライダ682を表示する。判定基準設定用バー681は、判定基準の高低(大小)を表すためのパーツであり、図19に示す例では、判定基準設定用バー681は、平面視にてX方向に延びる棒状に表示されたパーツである。判定基準は、左端側から右端側へ順次に高く(大きく)なるように判定基準設定用バー681に対応付けられている。判定基準設定用スライダ682は、判定基準設定用バー681上を例えばマウス等の入力部7からの入力によって移動され、所望の判定基準を測色装置CMに入力するためのパーツである。ユーザ(オペレータ)は、判定基準設定用スライダ682を、入力部7を介して判定基準設定用バー681上を移動させる。判定基準設定用スライダ682が移動されると、判定基準設定部68bは、判定基準設定用スライダ682の判定基準設定用バー681上の位置を取得し、この取得した位置に応じた値で判定基準を受け付けて判定基準を設定する。そして、この受け付けた判定基準によってチャート領域判定処理部65は、チャート領域判定処理工程S4を実行する。判定基準設定部68bは、チャート領域判定処理工程S4の実行の結果、チャート領域CAであると判定したチャート領域候補CCAに所定の判定マークMkcを重ねて出力部8に表示する。このため、ユーザは、表示部8に表示された判定マークMkcを参照しながら、判定基準設定用スライダ682を、判定基準設定用バー681上を移動させることによって、適宜な判定基準に設定できる。
例えば、図19Aでは、判定基準設定用スライダ682は、判定基準設定用バー681の右端の位置に、入力部7を介してユーザによって位置され、この結果、判定基準が最も高く設定される(例えば5段階設定で5)。この最も高い判定基準では、左側に位置するチャート領域候補CCA-1のみに判定マークMkc(○)が重ねられて表示され、このチャート領域候補CCA-1のみがチャート領域CA-1であると判定されている。なお、判定マークMkcは、図19に示す例では、チャート領域CA-1であると判定されたチャート領域候補CCA-1における各パッチごとに重ねて表示されている。一方、図19Bでは、判定基準設定用スライダ682は、判定基準設定用バー681の略中央の位置に、入力部7を介してユーザによって位置され、この結果、判定基準が中程度に設定される(例えば5段階設定で3)。この中程度の判定基準では、左側に位置するチャート領域候補CCA-1だけでなく、下部に位置するチャート領域候補CCA-5~CCA-9にも判定マークMkc(○)が重ねられて表示され、これらチャート領域候補CCA-1、CCA-5~CCA-9がチャート領域CA-1、CA-2~CA-6であると判定されている。
このような判定基準設定部68bを備えて構成された測色装置CMは、判定基準設定部68bが外部から判定基準を受け付けるので、ユーザによって適宜な判定基準を設定できる。
また、上述の実施形態では、測色装置CMは、一方向に沿って複数の光電変換素子を配列したラインセンサー等を備えて構成された撮像部5を備えたが、撮像部5に代え、互いに線形独立な2方向(例えば互いに直交する2方向等)に複数の光電変換素子を2次元配列したエリアセンサー(2次元画像センサー)等を備えて構成された撮像部を備えても良い。このようなエリアセンサー等を備えて構成される前記撮像部は、上述のようにカラーチャートCTを搬送しなくても、カラーチャートCTの全体画像を撮像できる。
また、上述の本実施形態では、被測定物のシートに対する測色部3の位置の移動は、主走査方向に沿って主走査方向移動部4による測色部3の移動によって実現され、副走査方向に沿って副走査方向移動部2による被測定物の測色装置CMは、シートの移動によって実現されたが、これに限定されるものではない。被測定物のシートに対する測色部3の位置を相対的に移動させる移動部は、例えば、静止状態でステージ上に載置される被測定物のシートに対し、主走査方向および副走査方向の2方向に測色部3を移動する移動機構であって良く、また例えば、被測定物のシートを載置し、固定された測色部3に対して主走査方向および副走査方向の2方向に移動するXYステージであって良い。また例えば、前記移動部は、測色部3を主走査方向および副走査方向のうちの一方方向に移動し、ステージをその他方向に移動するように構成されても良い。このような構成の移動部では、上述のエリアセンサー等を備えて構成される前記撮像部が好適である。
本明細書は、上記のように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
一態様にかかる測色装置は、表示部と、色を測定する測色部と、画像を取得する撮像部と、被測定物のシートに対する前記測色部の位置を相対的に移動させる移動部と、所定の色の領域であるパッチを複数備えるカラーチャートの画像を前記撮像部によって取得する画像取得処理部と、前記画像取得処理部が取得した前記カラーチャートの画像に基づいて、前記複数のパッチが存在するチャート領域を抽出するチャート領域抽出処理部と、前記チャート領域抽出処理部が抽出したチャート領域について、前記画像取得処理部が取得した前記カラーチャートの画像に基づいて、前記複数のパッチの位置を求めるパッチ位置処理部と、前記画像取得処理部が取得したカラーチャートの画像を前記表示部に表示し、表示したチャート領域からユーザが選択したチャート領域を、測色対象のチャート領域として取得するチャート領域選択処理部と、前記チャート領域選択処理部が取得した測色対象のチャート領域において、前記パッチ位置処理部が求めた前記複数のパッチの各位置に、前記カラーチャートに対する前記測色部の位置を前記移動部によって相対的に移動させ、前記複数のパッチそれぞれの色を前記測色部によって測定する色測定処理部とを備える。
このような測色装置は、チャート領域抽出処理部によって抽出されたチャート領域のうち、ユーザが選択したチャート領域について、これらのチャート領域内の複数のパッチの各位置で測色部によって各パッチを測色する。したがって、上記測色装置は、ユーザが所望しないチャート領域で測色しないので、効率が良く適切な位置で測色できる。チャート領域抽出処理部がチャート領域ではない領域、例えば、カラーチャート上の汚れや文字列等をチャート領域として抽出したとしても、このようなチャート領域は、ユーザにより選択されないので、上記測色装置は、無駄無く測色できる。なお、チャート領域抽出処理部は、一例の実施形態では、そのチャート領域候補抽出処理部、評価指標演算処理部、チャート領域判定処理部により実現される。
他の一態様では、上述の測色装置において、前記チャート領域選択処理部は、前記チャート領域抽出処理部が抽出した前記チャート領域を示す画像を、前記画像取得処理部が取得したカラーチャートの画像に重ねて前記表示部に表示し、前記チャート領域を示す画像を重ねて表示した前記チャート領域からユーザにより選択されたチャート領域を、測色対象のチャート領域として取得する。
このような測色装置は、抽出されたチャート領域を示す画像、例えば、チャート領域を囲む枠の画像等が、カラーチャートの画像に重ねて表示されるので、抽出されたチャート領域を容易に認識できる。
他の一態様では、これら上述の測色装置において、前記色測定処理部は、前記チャート領域選択処理部が複数の測定対象のチャート領域を取得した場合には、取得した順番と同じ順番で、測色対象のチャート領域に存在する複数のパッチそれぞれの色を測定する。
このような測色装置は、チャート領域の選択順序でチャート領域が測色されるので、ユーザは、所望の順序を容易に指定できる。
他の一態様では、これら上述の測色装置において、前記チャート領域選択処理部は、前記パッチ位置処理部が求めたパッチの位置を示す画像を、前記カラーチャートの画像に重ねて前記表示部に表示する。
このような測色装置では、パッチの位置を示す画像、例えば、パッチの中心位置の丸印の画像等が、カラーチャートの画像に重ねて表示されるので、パッチを容易に認識できる。
他の一態様では、上述の測色装置において、前記画像取得処理部で取得した前記カラーチャートの画像に基づいて、前記複数のパッチが存在するチャート領域の候補となるチャート領域候補を抽出するチャート領域候補抽出処理部と、前記チャート領域候補抽出処理部で抽出したチャート領域候補について、前記チャート領域候補の画像に基づいて、チャート領域候補がチャート領域である度合いを表す評価値を求める評価指標演算処理部と、前記チャート領域候補抽出処理部で抽出したチャート領域候補に対応する前記評価指標演算処理部で求めた評価値に基づいて、前記チャート領域候補抽出処理部で抽出した当該チャート領域候補がチャート領域であるか否かを判定するチャート領域判定処理部とを、更に備え、前記チャート領域抽出処理部は、前記チャート領域判定処理部がチャート領域であると判定したチャート領域を抽出し、前記チャート領域選択処理部は、前記評価指標演算処理部が求めた評価値に応じた前記パッチの位置を示す画像を、前記カラーチャートの画像に重ねて前記表示部に表示する。
このような測色装置は、チャート領域の評価値に応じたパッチの位置を示す画像が表示されるので、ユーザは、評価値を参照してチャート領域を選択することが可能となる。
他の一態様では、これら上述の測色装置において、前記チャート領域選択処理部は、前記カラーチャートの画像に存在するチャート領域であって、前記チャート領域抽出処理部が抽出した前記チャート領域以外のチャート領域をユーザが選択した場合には、ユーザにより選択されたチャート領域を、測色対象のチャート領域として取得する。
このような測色装置は、チャート領域抽出処理部によって抽出されなかったチャート領域であっても、ユーザが選択できるので、ユーザが所望するチャート領域すべてについて、適切な位置で測色できる。
他の一態様にかかる測色方法は、表示部と、色を測定する測色部と、画像を取得する撮像部と、被測定物のシートに対する前記測色部の位置を相対的に移動させる移動部と、前記測色部、前記撮像部および前記移動部を制御する制御処理部とを備える測色装置の測色方法であって、所定の色の領域であるパッチを複数備えるカラーチャートの画像を前記撮像部によって取得する画像取得処理工程と、前記画像取得処理工程で取得した前記カラーチャートの画像に基づいて、前記複数のパッチが存在するチャート領域を抽出するチャート領域抽出処理工程と、前記チャート領域抽出処理工程で抽出したチャート領域について、前記画像取得処理工程で取得した前記カラーチャートの画像に基づいて、前記複数のパッチの位置を求めるパッチ位置処理工程と、前記画像取得処理工程で取得したカラーチャートの画像を前記表示部に表示し、表示したチャート領域からユーザが選択したチャート領域を、測色対象のチャート領域として取得するチャート領域選択処理工程と、前記チャート領域選択処理工程で取得した測色対象のチャート領域において、前記パッチ位置処理工程で求めた前記複数のパッチの各位置に、前記カラーチャートに対する前記測色部の位置を前記移動部によって相対的に移動させ、前記複数のパッチそれぞれの色を前記測色部によって測定する色測定処理工程とを備える。
このような測色方法は、チャート領域抽出処理工程で抽出されたチャート領域のうち、ユーザが選択したチャート領域について、これらのチャート領域内の複数のパッチの各位置で測色部によって各パッチが測色される。したがって、上記測色方法は、ユーザが所望しないチャート領域で測色しないので、効率の良く適切な位置で測色できる。チャート領域抽出処理工程でチャート領域ではない領域がチャート領域として抽出されたとしても、このようなチャート領域はユーザにより選択されないので、無駄無く測色できる。
この出願は、2015年3月26日に出願された日本国特許出願特願2015-63720を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。