以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
図1は、実施形態における測色装置の概略構成を示す斜視図である。図2は、実施形態の測色装置における撮像部および測色部の配置関係を示す概略側面図である。図3は、実施形態の測色装置における撮像部および測色部の配置関係を示す概略上面である。図4は、実施形態における測色装置の電気的な構成を示すブロック図である。図5は、実施形態の測色装置における第1態様のパッチ位置補正処理部の構成を示すブロック図である。図6は、実施形態の測色装置における第2態様のパッチ位置補正処理部の構成を示すブロック図である。図7は、実施形態の測色装置における第3態様のパッチ位置補正処理部の構成を示すブロック図である。図8は、実施形態の測色装置における第4態様のパッチ位置補正処理部の構成を示すブロック図である。図9は、一例として、第1ないし第3態様のカラーチャートを示す図である。図9Aは、第1態様のカラーチャートCTaを示し、図9Bは、第2態様のカラーチャートCTbを示し、そして、図9Cは、第3態様のカラーチャートCTcを示す。図10は、一例として、第4ないし第6態様のカラーチャートを示す図である。図10Aは、第4態様のカラーチャートCTdを示し、図10Bは、第5態様のカラーチャートCTeを示し、そして、図10Cは、第6態様のカラーチャートCTfを示す。
本実施形態における測色装置CMは、測色対象である被測定物の色(色相、明度、彩度)を測定する装置であり、例えば、図1ないし図4に示すように、給紙部1と、副走査方向移動部(シート搬送部)2と、測色部3と、主走査方向移動部4と、撮像部5と、制御処理部6と、入力部7と、出力部8と、インターフェース部(IF部)9と、記憶部10とを備える。
給紙部1は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、当該測色装置CMにセットされた被測定物のシートを当該測色装置CM内に取り込むシート搬送機構である。被測定物のシートは、任意のものであってよいが、例えば印刷装置の色を調整する場合では、所定の用紙上に所定の色の領域であるパッチを複数備えるカラーチャートCTである。給紙部1は、例えば、被測定物のシートを貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留された前記被測定物のシートをピックアップして当該測色装置CM内に取り込む例えばピックアップローラ等を備えて構成される取込み部と、前記取込み部で取り込まれた被測定物のシートを副走査方向移動部2へ搬送する例えば搬送ローラ等を備えて構成される送込み部とを備える。
副走査方向移動部(シート搬送部)2は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、給紙部1から送られた被測定物のシートを、予め主走査方向として設定された第1方向と直交する副走査方向(第2方向)に、単位搬送指令(第2単位搬送指令)で所定量ごとに搬送するシート搬送機構である。副走査方向移動部2は、副走査方向に沿って順送りおよび逆送りで搬送できるように構成される。順送りは、例えば、上流側(給紙部1側)から下流側(排出側)へ被測定物のシートを搬送することであり、逆送りは、前記順送りの向きとは逆向きに、すなわち、下流側から上流側へ被測定物のシートを搬送することである。副走査方向移動部2は、例えば、複数組のシート搬送ローラ部および前記シート搬送ローラを回転駆動する駆動部等を備えて構成される。各組のシート搬送ローラ部は、前記駆動部で回転駆動される駆動ローラおよび前記駆動ローラの回転駆動に従って回転駆動する従動ローラ等を備えて構成される。前記駆動部は、例えば、ステッピングモータ(副走査ステッピングモータ)を備えて構成される。このような構成の副走査方向移動部2では、前記副走査ステッピングモータは、1パルスの駆動パルス(第2駆動パルス、前記第2単位搬送指令の一例)が入力されることで、所定の角度(第21角度)だけ回転し、この前記副走査ステッピングモータの回転によって前記駆動ローラも、所定の角度(第22角度)だけ回転し、そして、この前記駆動ローラの回転によって、被測定物のシートは、副走査方向に沿って所定量だけ搬送(移動)される。より具体的には、図2に示す例では、副走査方向移動部2は、3組の第1ないし第3シート搬送ローラ部20−1〜20−3を備える。これら第1ないし第3シート搬送ローラ部20−1〜20−3は、副走査方向に沿って上流側から下流側へ順に配設される。第1ないし第3シート搬送ローラ部20−1〜20−3それぞれは、第1ないし第3駆動ローラ21−1〜21−3および第1ないし第3従動ローラ22−1〜22−3を備える。なお、第1ないし第3駆動ローラ21−1〜21−3は、互いに同期して回転する図略の第1ないし第3ステッピングモータによって回転する。給紙部1から送られた被測定物のシートは、順送りでは、1対の第1駆動ローラ21−1と第1従動ローラ22−1との間に挟み込まれ、第1駆動ローラ21−1が前記駆動部によって正転(例えば時計回り)で回転駆動することで、第1シート搬送ローラ部20−1から第2シート搬送ローラ部20−2へ搬送される。第2シート搬送ローラ部20−2に搬送された被測定物のシートは、第2シート搬送ローラ部20−2によって同様に第2シート搬送ローラ部20−2から第3シート搬送ローラ部20−3へ搬送される。そして、第3シート搬送ローラ部20−3に搬送された被測定物のシートは、第3シート搬送ローラ部20−3によって同様に第3シート搬送ローラ部20−3から下流側へ搬送される。そして、逆送りでは、上述の順送りとは逆に、これら第1ないし第3駆動ローラ21−1〜21−3が前記駆動部によって逆転(上述の例では反時計回り)で回転駆動することで、被測定物のシートは、下流側から上流側へ搬送される。
なお、以下の説明において、主走査方向(第1方向)がX方向(水平方向)とされ、このX方向に沿って設定された座標軸がX軸とされ、副走査方向(第2方向)がY方向(垂直方向)とされ、このY方向に沿って設定された座標軸がY軸とされ、これらが適宜に用いられる。これらX軸およびY軸は、座標原点(ワールド座標原点)PO0が後述するように撮像部5で撮像された画像における予め設定された所定の位置、例えば、平面視にて画像の左上頂点(左上端)に設定されることで、ワールド座標系XYのX軸およびY軸と一致することになる(図19参照)。
測色部3は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、被測定物の色を測定する装置である。測色部3は、例えば、被測定物の色を求めるために、被測定物における所定の光学情報を取得する測色センサー等である。このような測色部3は、例えば、各波長の反射率(または透過率)を測定するための分光光学素子や光電変換素子等を備え、物体の色を各波長の反射率(または透過率)に基づいて計測する分光型測色計である。また例えば、測色部3は、RGBの3刺激値を測定するための光学フィルターや光電変換素子等を備え、物体の色を三刺激値の色差に基づいて計測する三刺激値型測色計である。測色部3は、図1に破線で示す、測定範囲の波長を高い反射率(例えば約90%〜約99%)で反射できるいわゆる白色校正板(標準白色板)を測定することによって白色校正される。
主走査方向移動部4は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、測色部3を主走査方向(第1方向)に所定の単位搬送指令(第1単位搬送指令)で所定量ごとに移動する移動機構である。主走査方向移動部4は、例えば、測色部3をガイドするガイド部材と、ガイド部材にガイドされて測色部3を移動させる例えばラックピニオン(ラックアンドピニオン)や送りねじ等の送り機構と、前記送り機構を駆動する例えばステッピングモータ(主走査ステッピングモータ)等の送り機構駆動部とを備えて構成される。例えば、図3に示すように、主走査方向移動部4は、主走査方向に沿って延びる、平板状のロッドに歯切りしたラック31と、測色部3内に設けられ、例えば主走査ステッピングモータによって回転駆動するピニオン(不図示)とを備え、前記ピニオンとラック31とが歯合する。このような構成の主走査方向移動部4では、前記主走査ステッピングモータは、1パルスの駆動パルス(第1駆動パルス、前記第1単位搬送指令の一例)が入力されることで、所定の角度(第11角度)だけ回転し、この前記主走査ステッピングモータの回転によって前記ピニオンも、所定の角度(第12角度)だけ回転し、そして、この前記ピニオンの回転によって、測色部3は、ラック31に沿って主走査方向に所定量だけ移動される。
撮像部5は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、物体の光学像を撮像する装置である。撮像部5は、例えば、一方向に沿って複数の光電変換素子を配列したラインセンサー(リニアイメージセンサー)等を備えて構成され、図3に示すように、前記複数の光電変換素子の配列方向である前記一方向を主走査方向(X方向)に一致させて、主走査方向(X方向)に沿って延びるように配設される。
図2に示すように、このような撮像部5は、第1シート搬送ローラ部20−1と第2シート搬送ローラ部20−2との間に配設され、測色部3および主走査方向移動部4は、測色部3が第2シート搬送ローラ部20−2と第3シート搬送ローラ部20−3との間で主走査方向に沿って移動するように、配設される。撮像部5は、副走査方向移動部2によって被測定物のシートを副走査方向(Y方向)に搬送しながら被測定物のシートを主走査方向(X方向)に沿った1ラインごとに撮像することで、被測定物のシートの画像(画像データ)を生成する。副走査方向移動部2によって被測定物のシートを副走査方向(Y方向)に搬送することで、副走査方向における被測定物のシートと測色部3との相対位置Yが変更でき、また、主走査方向移動部4によって測色部3自体を主走査方向(X方向)に移動することで、主走査方向における被測定物のシートと測色部3との相対位置Xが変更できる。これによって測色部3は、被測定物のシート上における任意の位置(X、Y)に移動でき、その位置(X、Y)の色を測定できる。
このように本実施形態では、測色部3は、被測定物のシートに対し、主走査方向移動部4によって主走査方向にのみ移動できる。一方、被測定物のシートの副走査方向に沿った移動は、副走査方向移動部(紙搬送部)2によって実行される。したがって、本実施形態では、主走査方向移動部4および副走査方向移動部2が、被測定物のシートに対する前記測色部の位置を相対的に移動させる移動部の一例に相当する。
入力部7は、制御処理部6に接続され、例えば、被測定物の測色を指示するコマンド等の各種コマンド、および、例えば被測定物における識別子の入力等の測色する上で必要な各種データを測色装置CMに入力する機器であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチ等である。出力部8は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、入力部7から入力されたコマンドやデータ、および、測色装置CMによって測定された被測定物の色を出力する機器であり、例えばCRTディスプレイ、LCDおよび有機ELディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
なお、入力部7および出力部8からタッチパネルが構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部7は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置であり、出力部8は、表示装置である。このタッチパネルでは、表示装置の表示面上に位置入力装置が設けられ、表示装置に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置を触れると、位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容として測色装置CMに入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易い測色装置CMが提供される。
IF部9は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、外部機器との間でデータの入出力を行う回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS−232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、IrDA(Infrared Data Asscoiation)規格等の赤外線通信を行うインターフェース回路、および、USB(Universal Serial Bus)規格を用いたインターフェース回路等である。
記憶部10は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、被測定物を測色するための測色プログラムや、被測定物がカラーチャートCTである場合にカラーチャートCTのチャート領域を求めるためのチャート領域検出プログラムや、被測定物がカラーチャートCTである場合にカラーチャートCTにおける各パッチの各位置を求めるための位置測定プログラム等の制御処理プログラムが含まれる。前記各種の所定のデータには、カラーチャートにおけるチャート領域の配置パターンが複数含まれ、パッチに関する所定の属性情報を記載したチャート定義情報等の各プログラムを実行する上で必要なデータ等が含まれる。このチャート定義情報は、複数のパッチの各位置を表すパッチ位置定義情報を少なくとも含む。好ましくは、前記パッチ位置定義情報は、カラーチャートCT内に予め設定された特定の点、例えば、平面視にてカラーチャートCTの左上頂点(左上端)をローカル座標原点としたチャートローカル座標系におけるパッチの位置のローカル座標値である。なお、カラーチャートCTが複数のチャート領域を含む場合には、各チャート領域ごとに、パッチ位置定義情報は、用意される。また好ましくは、前記チャート定義情報は、前記複数のパッチの個数を表すパッチ個数定義情報をさらに含む。パッチ個数定義情報は、複数のパッチの個数を表す数値そのもので直接的に表されて良いが、パッチ位置定義情報の個数で間接的に表されても良い(すなわち、この場合、制御処理部6がパッチ位置定義情報を計数することでパッチの個数が分かる)。また好ましくは、前記チャート定義情報は、前記複数のパッチが存在するチャート領域の枠を表すチャート領域枠定義情報をさらに含む。チャート領域枠定義情報は、チャート領域の枠(外輪郭線)における各頂点の座標値や、対角線分の両端点の座標値や、中心点の座標値および半径の長さ(必要に応じて中心角)等の、チャート領域枠定義情報によって閉ループを描くことができるデータである。また好ましくは、前記チャート定義情報は、前記複数のパッチそれぞれにおける色を表すパッチ色定義情報をさらに含む。パッチ色定義情報は、適宜な色座標系の色座標値である。記憶部10は、この複数の配置パターンを記憶するパターン記憶部101とこのチャート定義情報を記憶するチャート定義情報記憶部102とを機能的に備えている。このような記憶部10は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部10は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部6のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。
制御処理部6は、測色装置CMの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、被測定物の色を求めるための回路である。制御処理部6は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部6には、制御処理プログラムが実行されることによって、制御部61、画像取得処理部62、パターン判定処理部63、チャート領域検出処理部64、パッチ位置処理部65、パッチ位置補正処理部66(66a〜66d)および色測定処理部67が機能的に構成される。
制御部61は、測色装置CMの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するためのものである。
画像取得処理部62は、例えばカラーチャートCT等の被測定物のシートにおける画像を撮像部5によって取得するものである。より具体的には、本実施形態では、撮像部5がラインセンサー等を備えて構成されているので、画像取得処理部62は、例えば、カラーチャートCT等の被測定物のシートを副走査方向移動部(紙搬送部)2によって搬送しながら撮像部5で撮像することで被測定物のシートの画像を取得するものである。
パターン判定処理部63は、画像取得処理部62で取得したカラーチャートCTの画像に基づいて、パターン記憶部101に記憶されている複数の配置パターンの中から、画像取得処理部62で取得した前記カラーチャートCTに対応する配置パターンを判定するものである。より具体的には、パターン判定処理部63は、画像取得処理部62で取得したカラーチャートCTの画像から所定の光学的な特徴量または所定の幾何学的な特徴量を検出し、この検出した特徴量に基づいて、パターン記憶部101に記憶されている複数の配置パターンの中から、前記画像取得処理部62で取得した前記カラーチャートCTに対応する配置パターンを判定するものである。
このようなパターン判定処理部63は、一面では、前記画像取得処理部62で取得した前記カラーチャートCTの画像からチャート領域の候補となる候補領域を検出し、この検出した候補領域の外接矩形形状を前記所定の幾何学的な特徴量として検出することが好ましい。他の一面では、このようなパターン判定処理部63は、前記画像取得処理部62で取得した前記カラーチャートCTの画像からチャート領域の候補となる候補領域を検出し、この検出した候補領域の面積を前記所定の幾何学的な特徴量として検出することが好ましい。このような測色装置CMは、この検出した候補領域の面積と予め設定された最小パッチ面積とを比較することによって、候補領域がパッチであるか否かを判定できる。例えば、図9Aに示す第1態様のカラーチャートCTaは、複数のパッチから成る1個のチャート領域の外接図形(輪郭図形)が四角形となるように、前記複数のパッチをランダム(無作為)な色配列で配列した第1配置パターンを持ち、パターン判定処理部63は、この第1態様のカラーチャートCTaに対し、上述の処理によって、第1配置パターンであると判定できる。そして、測色装置CMは、外接図形の内側領域をチャート領域として検出できる。
他の一面では、前記画像取得処理部62で取得した前記カラーチャートCTの画像からチャート領域の候補となる候補領域を検出し、この検出した候補領域の濃度のヒストグラムを前記所定の光学的な特徴量として検出することが好ましい。このような測色装置CMは、この濃度のヒストグラムを利用することによって、チャート領域の位置を示す位置検出用バーや行位置検出用マーカーを検出できる。このため、このような測色装置CMは、この検出した位置検出用バーや行位置検出用マーカーを利用することによって、パッチ領域をより適切に判定できる。例えば、図9Bに示す第2態様のカラーチャートCTbは、1個のチャート領域の外接図形(輪郭図形)が四角形となるように、グラデーションの色配列で配列された複数のパッチを備える。そして、第2態様のカラーチャートCTbは、チャート領域の外側に、該チャート領域の一側面(図9Bに示す例では紙面上側側面)に沿って、主走査方向に沿ったチャート領域の幅を示す、黒色棒形状の幅位置検出用バー(位置検出用記号の一例)を持ち、さらに、チャート領域の外側に、当該チャート領域の互いに対向する各側面(図9Bに示す例では紙面左右両側面)に沿って、副走査方向におけるパッチの各行の位置を示す、黒色菱形状の行位置検出用マーカー(位置検出用記号の他の一例)をそれぞれ持つ第2配置パターンを持つ。すなわち、第2配置パターンは、幅位置検出用バーおよび各行位置検出用マーカーに囲まれた内側領域に各パッチを配置したものである。パターン判定処理部63は、この第2態様のカラーチャートCTbに対し、上述の処理によって、第2配置パターンであると判定できる。そして、測色装置CMは、これら幅位置検出用バーおよび各行位置検出用マーカーを検出することで、それらの内側領域をチャート領域として検出できる。
他の一面では、このようなパターン判定処理部63は、前記画像取得処理部62で取得した前記カラーチャートCTの画像からチャート領域の候補となる候補領域を検出し、この検出した候補領域の縦横比を前記所定の幾何学的な特徴量として検出することが好ましい。このような測色装置CMは、この検出した縦横比を利用することによって、チャート領域が一方に沿って長尺な配置パターン(例えば横長な配置パターンや縦長な配置パターン等)であると、判定できる。例えば、図9Cに示す第3態様のカラーチャートCTcは、1個のチャート領域の外接図形(輪郭図形)が四角形となるように、グラデーションの色配列で配列された複数のパッチを備える。そして、第3態様のカラーチャートCTcは、パッチ領域が比較的一方向に長尺となるように、前記複数のパッチを配置する第3配置パターンを持つ。パターン判定処理部63は、このような第3態様のカラーチャートCTcに対し、上述の処理によって、第3配置パターンであると判定できる。そして、測色装置CMは、チャート領域の一方の端部に位置する端部パッチから、他方の端部に位置する端部パッチまでの内側領域をチャート領域として検出できる。
他の一面では、このようなパターン判定処理部63は、前記画像取得処理部62で取得した前記カラーチャートCTの画像からチャート領域の候補となる候補領域を検出し、この検出した候補領域の面積と、候補領域における縦の長さおよび横の長さのうちの少なくとも一方とを前記所定の幾何学的な特徴量としてさらに検出することが好ましい。このような測色装置CMは、この検出した候補領域の面積と予め設定された最小パッチ面積とを比較することによって、候補領域がパッチであるか否かを判定でき、候補領域がパッチではないと判定された場合に、さらに、候補領域がパッチ間のギャップであるか否か、および、候補領域がパッチ領域の端部を示す端部マーカー(例えばカギ(L)等)であるか否かのうちの少なくとも一方を判定できる。例えば、図10Aおよび図10Bに示す第4および第5態様のカラーチャートCTd、CTeは、1個のチャート領域の外接図形(輪郭図形)が一方に長尺な四角形となるように、グラデーションの色配列で配列された複数のパッチを備える。そして、この第4態様のカラーチャートCTedは、各パッチが比較的狭いギャップ(間隔)を空けて配置されている。すなわち、第4態様のカラーチャートCTdでは、端部に位置するギャップ(端部ギャップ)の外側に端部パッチが配置され、この端部ギャップがパッチ領域の端部近傍を示すことになる。第5態様のカラーチャートCTeは、例えばカギ印(L字状形状)等の端部マーカーを持つ。すなわち、第5態様のカラーチャートCTeでは、この端部マーカーがパッチ領域の端部を示す。パターン判定処理部63は、これら第4態様のカラーチャートCTdや第5態様のカラーチャートCTeに対し、上述の処理によって、このような配置パターン(第4配置パターン)であると判定できる。そして、前記測色装置CMは、端部ギャップおよび端部マーカーのいずれかを検出することで、測色装置CMは、一方に位置する端部ギャップおよび端部マーカーのいずれかから、他方に位置する端部ギャップおよび端部マーカーのいずれかまでの内側領域をパッチ領域として検出できる。
チャート領域検出処理部64は、パターン判定処理部63で判定した配置パターンに基づいて、画像取得処理部62で取得した前記カラーチャートCTの画像からチャート領域を検出するものである。
他の一面では、上述のパターン判定処理部63は、前記画像取得処理部62で取得した前記カラーチャートCTの画像から前記チャート領域の候補となる候補領域を検出し、この検出した候補領域から、前記チャート領域の端部を示す、パッチ、パッチ間のギャップおよび端部マーカーのうちの少なくとも1つを前記所定の幾何学的な特徴量として検出し、このチャート領域検出処理部64は、パターン判定処理部63で検出したパッチ、パッチ間のギャップおよび端部マーカーのうちの少なくとも1つ、および、パターン判定処理部63で判定した配置パターンに基づいて、前記画像取得処理部62で取得した前記カラーチャートCTの画像から前記チャート領域を検出することが好ましい。このような測色装置CMは、チャート領域の端部を示すパッチ、チャート領域の端部を示すパッチ間のギャップ、および、チャート領域の端部を示す端部マーカー、のうちの少なくとも1つを前記所定の幾何学的な特徴量として検出し、この検出した幾何学的な特徴量をチャート領域の検出に用いるので、例えばパッチの色が用紙の地色に近いためにチャート領域の端部が検出し難い場合でも、チャート領域をより適切に判定できる。
他の一面では、上述のパターン判定処理部63は、前記画像取得処理部62で取得した前記カラーチャートCTの画像からチャート領域の候補となる候補領域を検出し、この検出した候補領域の面積を前記所定の幾何学的な特徴量として検出し、このチャート領域検出処理部64は、パターン判定処理部63で検出した候補領域の面積およびパターン判定処理部63で判定した配置パターンに基づいて、前記画像取得処理部62で取得した前記カラーチャートCTの画像からチャート領域を検出することが好ましい。このような測色装置CMは、チャート領域の判定に候補領域の面積も利用するので、例えば、孤立しているパッチを判定でき、この孤立しているパッチを合わせることで、より適切にパッチ領域を判定できる。例えば、図10Cに示す第6態様のカラーチャートCTfは、1個のチャート領域の外接図形(輪郭図形)が四角形となるように、グラデーションの色配列で配列された複数のパッチを備える。この第6態様のカラーチャートCTfは、各パッチが比較的離れて配置されており、各パッチが孤立している第5配置パターンを持つ。第5配置パターンでは、各孤立パッチを周囲に位置する孤立パッチやカギ領域(端部マーカー)と合わせることで、これら合わせた領域をパッチ領域として検出できる。
パッチ位置処理部65は、チャート領域における複数のパッチそれぞれについて、チャート領域検出処理部64で検出したチャート領域に基づいて、画像取得処理部62で取得した前記カラーチャートCTの画像から、パッチの位置を表すパッチ位置測定情報(すなわち、パッチの位置)を求めるものである。より具体的には、パッチ位置処理部65は、チャート領域において、例えば、画像中における一方向に延びるエッジを検出するために用いられるエッジフィルターを用いて前記カラーチャートCTの画像を2値化処理することで水平方向(主走査方向、X方向)および垂直方向(副走査方向、Y方向)それぞれについて2値化水平エッジ画像データおよび2値化垂直エッジ画像データを生成し、これら生成した2値化水平エッジ画像データおよび2値化垂直エッジ画像データそれぞれを、さらにハフ変換することで水平方向および垂直方向それぞれについて水平エッジ線および垂直エッジ線を検出し、これらの各中間線における各交点を各パッチの各位置とし、前記各交点の各座標値(ワールド座標値)を各パッチ位置測定情報として求めるものである。
パッチ位置補正処理部66は、チャート定義情報記憶部102に記憶されたチャート定義情報に基づいて、パッチ位置処理部65で求めたパッチ位置測定情報を補正してパッチ位置補正情報を求めるものである。すなわち、パッチ位置補正処理部66は、パッチ位置処理部65で求めた各パッチの各位置を、チャート定義情報を用いて補正し、補正した各パッチの各位置を求める。
このようなパッチ位置補正処理部66は、一面では、図5に示すように、ローカル座標原点検出処理部661aと、座標補正処理部662aと、第1位置補正処理部663aとを備える第1態様のパッチ位置補正処理部66aである。この場合、パッチ位置定義情報は、カラーチャートCT内に予め設定された特定の点をローカル座標原点po0(図19参照)としたチャートローカル座標系xyにおけるローカル座標値(x、y)である。ローカル座標原点検出処理部661aは、画像取得処理部62で取得したカラーチャートCTの画像からローカル座標原点po0を検出するものである。座標補正処理部662aは、ローカル座標原点検出処理部661aで検出したローカル座標原点po0に基づいて、チャート定義情報記憶部102に記憶されたチャート定義情報に含まれるパッチ位置定義情報(xp、yp)を補正してパッチ位置座標補正情報(xp+△x、yp+△y;△xおよび△yは、ワールド座標原点PO0とローカル座標原点po0とのずれ量)を求めるものである。これによって、パッチ位置座標補正情報は、ワールド座標系XYでの座標値(Xp、Yp)(Xp=x+△x、Yp=y+△y)で表したパッチ位置定義情報となる。第1位置補正処理部663aは、座標補正処理部662aで補正して得られたパッチ位置座標補正情報に基づいて、パッチ位置処理部65で求めたパッチ位置測定情報を補正して前記パッチ位置補正情報を求めるものである。
一面では、このようなパッチ位置補正処理部66は、図6に示すように、パッチ個数検出処理部661bと、パッチ個数比較処理部662bと、第2位置補正処理部663bと、第3位置補正処理部664bとを備える第2態様のパッチ位置補正処理部66bである。この場合、チャート定義情報は、パッチ個数定義情報を含む。パッチ個数検出処理部661bは、パッチ位置処理部65で求めたパッチ位置測定情報に基づいてカラーチャートCTの画像から求められるパッチの個数を表すパッチ個数測定情報を求めるものである。パッチ個数比較処理部662bは、チャート定義情報記憶部102に記憶されたチャート定義情報に含まれるパッチ個数定義情報で表されたパッチの個数とパッチ個数検出処理部661bで求められたパッチ個数測定情報で表されたパッチの個数とを比較するものである。第2位置補正処理部663bは、パッチ個数比較処理部662bで比較した結果、パッチ個数測定情報で表されたパッチの個数がパッチ個数定義情報で表されたパッチの個数より少ない場合に、未検出のパッチの位置を表すパッチ位置未検出情報を補って前記パッチ位置補正情報を求めるものである。第3位置補正処理部664bは、パッチ個数比較処理部662bで比較した結果、パッチ個数測定情報で表されたパッチの個数がパッチ個数定義情報で表されたパッチの個数より多い場合に、誤検出のパッチの位置を表すパッチ位置誤検出情報を削除して前記パッチ位置補正情報を求めるものである。ここで、好ましくは、第3位置補正処理部664bは、パッチ位置処理部65で求められたパッチ位置測定情報で表されたパッチの位置が、チャート定義情報記憶部102に記憶されたチャート定義情報に含まれるチャート領域枠定義情報で表された枠の外に位置する場合に、当該パッチのパッチ位置測定情報を前記パッチ位置誤検出情報とする。この場合、チャート定義情報は、チャート領域の枠を表すチャート領域枠定義情報を含む。
一面では、このようなパッチ位置補正処理部66は、図7に示すように、第4位置補正処理部661cとを備える第4態様のパッチ位置補正処理部66cである。この場合、カラーチャートCTは、複数のチャート領域を含む。第4位置補正処理部661cは、前記複数のチャート領域のうちのいずれか1つのチャート領域における、パッチ位置処理部65で求められたパッチ位置測定情報に基づいて、前記複数のチャート領域のうちの残余の少なくともいずれか1つのチャート領域における、前記パッチ位置補正情報を求めるものである。
一面では、このようなパッチ位置補正処理部66は、図8に示すように、パッチ色検出処理部661dと、パッチ色比較処理部662dと、チャート配置方向検出処理部663dと、第5位置補正処理部664dとを備える第4態様のパッチ位置補正処理部66dである。この場合、チャート定義情報は、複数のパッチそれぞれにおける色を表すパッチ色定義情報を含む。パッチ色検出処理部661dは、画像取得処理部62で取得したカラーチャートCTの画像から、複数のパッチにおける予め設定された特定の位置に位置するパッチの色を、特定位置パッチ色測定情報として求めるものである。パッチ色比較処理部662dは、チャート定義情報記憶部102に記憶されたチャート定義情報に含まれる、前記特定の位置に位置するパッチのパッチ色定義情報で表されたパッチの色とパッチ色検出処理部661dで求められたパッチの色とを比較するものである。チャート配置方向検出処理部663dは、パッチ色比較処理部662dで比較した結果に基づいてカラーチャートCTの配置方向を求めるものである。第5位置補正処理部664dは、チャート配置方向検出処理部663dで求めたカラーチャートCTの配置方向に基づいてパッチ位置処理部65で求めたパッチ位置測定情報を補正して前記パッチ位置補正情報を求めるものである。
色測定処理部67は、パッチ位置補正処理部66で求めたパッチ位置補正情報で表された複数のパッチの各位置に、カラーチャートCTに対する測色部3の位置を副走査方向移動部2および主走査方向移動部4によって相対的に移動させ、複数のパッチそれぞれの色を測色部3によって測定するものである。
次に、本実施形態における測色装置の動作について説明する。図11は、実施形態における測色装置の概略動作を示すフローチャートである。図12は、図9Aに示すカラーチャートに対し、Y方向の或る位置の画像を、水平方向に沿って差分間隔N点の差分フィルターで処理した処理結果の一例を示す図である。図13は、一例として、カラーチャートの2値化垂直エッジ画像を示す図である。図14は、一例として、カラーチャートの垂直エッジ線の一部を示す図である。図15は、一例として、カラーチャートの2値化水平エッジ画像を示す図である。図16は、一例として、カラーチャートの水平エッジ線の一部を示す図である。図17は、一例として、カラーチャートの垂直エッジ線および水平エッジ線から求めた各パッチの位置の一部を示す図である。図17において、実線は、垂直エッジ線または水平エッジ線を示し、破線は、垂直エッジ線間の中間線または水平エッジ線間の中間線を示し、○は、実測した各パッチの位置(実測パッチ位置)を示す。
本実施形態における測色装置CMは、カラーチャートCTの各パッチを測色する場合、大略、次のように動作する。カラーチャートCTが給紙部1にセットされ、入力部7からカラーチャートCTの測色開始が指示されると、測色装置CMは、図11に示すように、まず、例えば順送りでカラーチャートCTの全体画像を画像取得処理部62によって取得する(S1)。より具体的には、制御処理部6の画像取得処理部62は、副走査方向移動部2によってカラーチャートCTを順送りで、カラーチャートCTの用紙における一方端から他方端まで副走査方向(Y方向)に搬送しながら、この副走査方向の搬送に同期させて、主走査方向(X方向)に沿った1ラインごとにカラーチャートCTを撮像部5で撮像することで、カラーチャートCTの全体画像を取得する。
次に、測色装置CMは、上述のように画像取得処理部62で取得したカラーチャートCTの画像に基づいて、パターン記憶部101に記憶されている複数の配置パターンの中から、前記画像取得処理部62で取得した前記カラーチャートCTに対応する配置パターンをパターン判定処理部63によって判定する(S2、パターン判定処理工程)。例えば、パターン判定処理部63は、画像取得処理部62によって取得されたカラーチャートCTの画像を所定の明るさを閾値として2値化し、続いて、ノイズを除去し、続いて、パッチの最小面積として予め設定された最小パッチ面積以上の、チャート領域の候補領域(ラベル(識別子ID))の外接矩形を計算し、そして、上述した種々の手法によって、画像取得処理部62によって取得されたカラーチャートCTの配置パターンを判定する。
次に、測色装置CMは、パターン判定処理部63で判定した配置パターンに基づいて、前記画像取得処理部62で取得した前記カラーチャートCTの画像からチャート領域をチャート領域検出処理部64によって検出し、この検出結果を記憶部10に記憶する(S3、チャート領域検出処理工程)。チャート領域は、複数のパッチが比較的1つに纏まって存在する1群のパッチの領域である。
次に、測色装置CMは、チャート領域検出処理部64で検出したチャート領域に基づいて、複数のパッチそれぞれについて、前記画像取得処理部62で取得した前記カラーチャートCTの画像からパッチの位置を表すパッチ位置測定情報(パッチの位置)を求め、この求めたパッチ位置測定情報を記憶部10に記憶する(S4、パッチ位置処理工程)。例えば、パッチ位置処理部65は、画像取得部62によって取得されたカラーチャートCTの全体画像に基づいて、垂直エッジ検出用の所定のエッジフィルターを用いることで垂直方向(Y方向)に沿う垂直エッジを検出し、水平エッジ検出用の所定のエッジフィルターを用いることで水平方向(X方向)に沿う水平エッジを検出する。図12には、図9Aに示すカラーチャートに対し、Y方向の或る位置の画像を、X方向に沿って差分間隔N点の差分フィルターで処理した処理結果の一例が示されている。続いて、パッチ位置処理部65は、エッジフィルター処理後の垂直エッジの絶対値が求められ、この求められた絶対値が予め設定された閾値と比較されて2値化され、2値化垂直エッジの画像データを生成する。例えば、図9Aに示すカラーチャートCTaの画像に対し、エッジフィルター処理後の処理結果が2値化されると、例えば、図13に示す2値化垂直エッジ画像の画像データが生成される。同様に、パッチ位置処理部65は、エッジフィルター処理後の水平エッジの絶対値が求められ、この求められた絶対値が予め設定された閾値と比較されて2値化され、2値化水平エッジの画像データを生成する。例えば、図9Aに示すカラーチャートCTaの画像に対し、エッジフィルター処理後の処理結果が2値化されると、例えば、図15に示す2値化水平エッジ画像の画像データが生成される。続いて、パッチ位置処理部65は、カラーチャートCTの2値化垂直エッジの画像データおよび2値化水平エッジの画像データそれぞれをハフ変換し、垂直エッジ線および水平エッジ線それぞれを検出する。例えば、図13に示す、カラーチャートCTaの2値化垂直エッジの画像データがハフ変換されると、例えば、図14に示す垂直エッジ線が検出される。また、図15に示す、カラーチャートCTaの2値化水平エッジの画像データがハフ変換されると、例えば、図16に示す水平エッジ線が検出される。そして、パッチ位置処理部65は、複数の垂直エッジ線それぞれにおいて、互いに隣接する垂直エッジ線間の中間線である垂直中間線を求め、同様に、複数の水平エッジ線それぞれにおいて、互いに隣接する水平エッジ線間の中間線である水平中間線を求め、そして、これら求められた複数の垂直中間線と複数の水平中間線との各交点を各パッチの位置(X、Y)として求める。例えば、図9Aに示すカラーチャートCTaに対して求められた垂直エッジ線に基づいて垂直中間線が求められると、図17に破線で示す垂直中間線が求められ、水平エッジ線に基づいて水平中間線が求められると、図17に破線で示す水平中間線が求められ、そして、これらの各交点が、図17に○印で示すように、各パッチの各位置(X、Y)として求められる。これら各パッチの各位置(X、Y)は、本実施形態では、パッチ位置測定情報となる。
次に、測色装置CMは、チャート定義情報記憶部102に記憶されたチャート定義情報に基づいて、パッチ位置処理部65で求めたパッチ位置測定情報を補正してパッチ位置補正情報を求め、この求めたパッチ位置補正情報を記憶部10に記憶する(S5、パッチ位置補正処理工程)。このパッチ位置補正処理工程については、後に、より詳しく説明する。
そして、このように求めた複数のパッチの各位置で前記複数のパッチを測色する場合には、測色装置CMは、色測定処理部67によって、パッチ位置補正処理部66で求められたパッチ位置補正情報で表された複数のパッチの各位置に、前記カラーチャートCTに対する測色部3の位置を副走査方向移動部2および主走査方向移動部4によって相対的に移動させ、複数のパッチそれぞれの色を測色部3によって測定し、この測定結果を記憶部10に記憶する(S6、測色処理工程)。
そして、測色装置CMは、色測定処理部67によって、最後のパッチを測色すると、制御処理部6の制御部61は、これら計測した各パッチの各色を出力部8に出力し、処理を終了する(S7)。なお、必要に応じて、制御処理部6の制御部61は、これら計測した各パッチの各色をIF部9に出力してもよい。
次に、上述のパッチ位置補正処理工程S5について、以下に、より具体的に説明する。このパッチ位置補正処理工程S5は、次に示す第1ないし第4態様のパッチ位置補正処理工程のうちのいずれか、あるいは、これらのうちの複数の組合せによって実行される。
(第1態様のパッチ位置補正処理工程)
図18は、第1態様のパッチ位置補正処理部の動作を示すフローチャートである。図19は、第1態様のパッチ位置補正処理部の動作を説明するための図である。
第1態様のパッチ位置補正処理工程を実行する場合、測色装置CMは、図5に示す上述のパッチ位置補正処理部66aを備えて構成される。
第1態様のパッチ位置補正処理工程では、図18において、まず、ローカル座標原点検出処理部661aは、画像取得処理部62で取得したカラーチャートCTの画像からローカル座標原点po0を検出し、ワールド座標系XYでの座標値(X0、Y0)を取得する(S11)。ワールド座標系XYは、撮像部5で撮像された画像における、予め設定された所定の位置を座標原点(ワールド座標原点)とするXY直交座標系である。例えば、図19に示す例では、ワールド座標系XYは、撮像部5で撮像されたカラーチャートCTgの画像における、平面視にて画像の左上頂点(左上端)に設定されたワールド座標原点PO0(0、0)を備え、主走査方向のX方向に沿ったX軸を備え、これに直交する副走査方向のY方向に沿ったY軸を備えるように、設定される。
このように設定されたワールド座標系XYでのローカル座標原点po0(X0、Y0)は、より具体的には、次のように検出される。すなわち、ローカル座標原点po0(X0、Y0)は、カラーチャートCTの左上頂点に設定さているので、図19に示すように、カラーチャートCTgの画像(全体画像)IMgから、チャート領域の部分(チャート領域部分)の輪郭を検出してその輪郭の左上頂点を検出することによって、検出できる。このため、ローカル座標原点検出処理部661aは、まず、画像取得処理部62で取得したカラーチャートCTの画像に対し、輪郭(エッジ)を検出する公知の画像フィルターを用いて画像処理し、これによってカラーチャートCTgの画像IMgから、チャート領域を撮像したチャート領域部分の輪郭を検出する。前記公知の画像フィルターとして、種々のフィルターが知られており、例えば、Sobelフィルター、PrewittフィルターおよびCannyフィルター等の画像フィルターが挙げられる。一例として、Sobelフィルターは、空間の1次微分を計算し、画像に変化の生じた部分を抽出するフィルターである。ローカル座標原点検出処理部661aは、カラーチャートCTgの画像IMgにおける平面視にて上端線(X=0の線分)から、Y軸に沿って平面視にて下方向へ(Y=0からYの最大値まで)、式1のSobelフィルターを用いて画像処理する。これによってカラーチャートCTgの画像IMgにおいて、チャート領域部分の輪郭における上端線lxが検出される。ローカル座標原点検出処理部661aは、カラーチャートCTgの画像IMgにおける平面視にて左端線(Y=0の線分)から、X軸に沿って平面視にて右方向へ(X=0からXの最大値まで)、式2のSobelフィルターを用いて画像処理する。これによってカラーチャートCTgの画像IMgにおいて、チャート領域部分の輪郭における左端線lyが検出される。そして、ローカル座標原点検出処理部661aは、これらの処理によって検出した上端線lxと左端線lyとの交点を求める。この交点は、ワールド座標系XYでのローカル座標原点po0(X0、Y0)であり、これによってワールド座標系XYでのローカル座標原点po0(X0、Y0)が求められる。
次に、座標補正処理部662aは、ローカル座標原点検出処理部661aで検出したローカル座標原点po0(X0、Y0)に基づいて、チャート定義情報記憶部102に記憶されたチャート定義情報に含まれるパッチ位置定義情報(xp、yp)を補正してパッチ位置座標補正情報(Xp、Yp)を求める(S12)。より具体的には、チャートローカル座標系xyでのパッチ位置定義情報(xp、yp)は、ワールド座標系XYでは、ワールド座標原点PO0(0、0)とローカル座標原点po0(X0、Y0)とのずれ量△x(=X0)、△y(=Y0)だけずれている。このため、座標補正処理部662aは、パッチ位置定義情報における座標値(xp、yp)それぞれに、ワールド座標系XYでのローカル座標原点po0の座標値(X0、Y0)それぞれを加算する。これによって、ワールド座標系XYでのパッチ位置定義情報(すなわち、パッチ位置座標補正情報)における座標値(Xp、Yp)が求められる(Xp=xp+X0、Yp=yp+Y0)。
そして、第1位置補正処理部663aは、座標補正処理部662aで補正して得られたパッチ位置座標補正情報に基づいて、パッチ位置処理部65で求めたパッチ位置測定情報を補正して前記パッチ位置補正情報を求め(S13)、第1態様のパッチ位置補正処理工程を終了する。
パッチ位置処理部65によって求めた実測のパッチ位置測定情報は、撮像部5で撮像された画像に設定されたワールド座標系XYにおけるワールド座標値(X、Y)である。このワールド座標系XYのワールド座標原点PO0と、チャートローカル座標系xyのローカル座標原点po0とが互いに一致する場合には、ローカル座標値(x、y)は、ワールド座標値(X、Y)と一致するため、パッチ位置定義情報の補正は、必要ない。多くの場合、撮像部5を介して画像取得処理部62によって取得されたカラーチャートCTの画像IMは、例えば図19に示すように、画像全体IMgの中に、複数のパッチが存在するチャート領域の画像部分を含む画像となるため、ワールド座標原点PO0とローカル座標原点po0とは、互いに一致しない。上記測色装置CMは、ローカル座標原点検出処理部661aによってカラーチャートCTの画像IMからローカル座標原点po0を検出し、ローカル座標原点po0のワールド座標値(X0、Y0)を取得できる。そして、上記測色装置CMは、座標補正処理部662aによって、ワールド座標値(X0、Y0)で表されたローカル座標原点po0に基づいてパッチ位置定義情報(xp、yp)を補正するので、この補正によって求められたパッチ位置座標補正情報(xp+X0、yp+Y0)は、ワールド座標原点PO0とローカル座標原点po0とのズレを補正したパッチ位置定義情報(Xp、Yp)となる。このため、上記測色装置CMは、第1位置補正処理部663aによってパッチ位置座標補正情報に基づいてパッチ位置測定情報を補正してパッチ位置補正情報を求めるので、複数のパッチそれぞれについて、より正確な各位置を求めることができる。
(第2態様のパッチ位置補正処理工程)
図20は、第2態様のパッチ位置補正処理部の動作を示すフローチャートである。図21は、実施形態の測色装置において、パッチの未検出状態を説明するための図である。図21Aは、一例のカラーチャートCThを示し、図21Bは、図21AのカラーチャートCThを処理した結果、検出できた各パッチの各位置を示す。図22は、第2態様のパッチ位置補正処理部の動作を説明するための図である。図22Aは、X方向で未検出のパッチの位置を補完する補完処理を説明するための図であり、図22Bは、未検出のパッチの位置を補完した後の各パッチの位置を説明するための図であり、そして、図22Cは、X方向で誤検出のパッチの位置を削除する削除処理を説明するための図である。図21および図22において、■は、パッチ位置処理部65によって検出されたパッチの位置を示し、□は、第2パッチ位置補正処理部663bによって補完されたパッチの位置を示し、そして、○は、パッチ位置定義情報によるパッチの位置を示す。
第2態様のパッチ位置補正処理工程では、図20において、まず、パッチ個数検出処理部661bは、パッチ位置処理部65で求めたパッチ位置測定情報に基づいてカラーチャートCTの画像から求められるパッチの個数を表すパッチ個数測定情報を求める(S21)。例えば、図21Aに示す4行6列の2次元アレイ状にグラデーションの色配列で配列されたカラーチャートCThに対し、制御処理部6によって上述した処理S1ないし処理S5の各処理が実施されることによって、図21Bに示すように、パッチの色と地色と差が少ないために、4行5列で各パッチの位置PP−11〜PP−45が検出されたとする。この場合、パッチ個数検出処理部661bによって、パッチ位置処理部65で求めた4行5列の各パッチの位置PP−11〜PP−45が計数され、これによって、カラーチャートCThの画像から求められるパッチの個数は、20個であると求められ、パッチ個数測定情報(この例では20)が求められる。
次に、パッチ個数比較処理部662bは、チャート定義情報記憶部102に記憶されたチャート定義情報に含まれるパッチ個数定義情報で表されたパッチの個数とパッチ個数検出処理部661bで求められたパッチ個数測定情報で表されたパッチの個数とを比較する(S22)。例えば、チャート定義情報記憶部102には、図21Aに示すカラーチャートTChに対応するパッチ個数定義情報として、4行6列で24個のパッチであると記憶されているとする。この場合、パッチ個数比較処理部662bは、行方向(X方向)に沿った列数を、各行ごとに比較する。より具体的には、パッチ個数比較処理部662bは、1行目において、パッチ個数定義情報で表されたパッチの個数6個とパッチ個数検出処理部661bで求められたパッチ個数測定情報で表されたパッチの個数5個とを比較し、パッチ個数測定情報で表されたパッチの個数5個がパッチ個数定義情報で表されたパッチの個数6個より1個だけ少なく、1行目に1列補完する必要があると、判定し、比較結果とする。2行目において、パッチ個数比較処理部662bは、パッチ個数定義情報で表されたパッチの個数6個とパッチ個数検出処理部661bで求められたパッチ個数測定情報で表されたパッチの個数5個とを比較し、パッチ個数測定情報で表されたパッチの個数5個がパッチ個数定義情報で表されたパッチの個数6個より1個だけ少なく、2行目に1列補完する必要があると、判定し、比較結果とする。3行目および4行目も同様に、処理され、パッチ個数比較処理部662bは、3行目が1個少なく、3行目に1列補完の必要ありと判定し、4行目が1個少なく、4行目に1列補完の必要ありと判定する。
また例えば、パッチ個数比較処理部662bは、列方向(Y方向)に沿った行数を、各列ごとに比較してもよい。例えば、パッチ個数比較処理部662bは、1列目において、パッチ個数定義情報で表されたパッチの個数4個とパッチ個数検出処理部661bで求められたパッチ個数測定情報で表されたパッチの個数4個とを比較し、パッチ個数測定情報で表されたパッチの個数4個がパッチ個数定義情報で表されたパッチの個数4個と同数であり、過不足がなく補完の必要がないと、判定し、比較結果とする。他の列も同様に処理され、パッチ個数比較処理部662bは、2列目が同数で、2列目に補完の必要なしと判定し、3列目が同数で、3列目に補完の必要なしと判定し、4列目が同数で、4列目に補完の必要なしと判定し、5列目が同数で、5列目に補完の必要なしと判定し、そして、6列目が4個少なく、6列目に4行補完の必要ありと判定する。
次に、第2位置補正処理部663bは、パッチ個数比較処理部662bで比較した結果、パッチ個数測定情報で表されたパッチの個数がパッチ個数定義情報で表されたパッチの個数より少ないに場合に、未検出のパッチの位置を表すパッチ位置未検出情報を補って前記パッチ位置補正情報を求める(S23)。例えば、第2位置補正処理部663bは、各列で未検出のパッチの位置を各行ごとに推定してパッチ位置未検出情報を求め、この求めたパッチ位置未検出情報によって、パッチ位置処理部65で求めたパッチ位置測定情報を補ってパッチ位置補正情報を求める。上述の例では、第2位置補正処理部663bは、1行目において、図22Aに示すように、パッチ位置処理部65で求めたパッチ位置測定情報から、行方向(X方向)に沿って互いに隣接する各パッチ間の間隔αを求め、1行5列目のパッチの位置におけるX座標X15に間隔αを加算することによって1行6列目のパッチの位置におけるX座標X16を求め、1行5列目のパッチの位置におけるY座標Y15をそのまま用いることによって1行6列目のパッチの位置におけるY座標Y16を求める(X16=X15+α、Y16=Y15)。これによって1行目のパッチ位置未検出情報PP−16(X15+α、Y15)が求められる。前記パッチ間の間隔αにばらつきがある場合には、その最大値、最小値、中央値および平均値等の各種の値で代表され、補完に用いられる間隔αとされる。2行目ないし4行目も同様に処理され、2行目のパッチ位置未検出情報PP−26(X25+α、Y25)が求められ、3行目のパッチ位置未検出情報PP−36(X35+α、Y35)が求められ、そして、4行目のパッチ位置未検出情報PP−46(X45+α、Y45)が求められる。これによって図22Bに示すように、未検出のパッチの位置も含めて全てのパッチの位置が求められる。なお、4行目のパッチ位置未検出情報PP−46(X46、Y46)を求める場合に、第2位置補正処理部663bは、パッチ位置処理部65で求めたパッチ位置測定情報から、列方向(Y方向)に沿って互いに隣接する各パッチ間の間隔βを求め、3行6列目のパッチの位置におけるY座標Y36に間隔βを加算することによって4行6列目のパッチの位置におけるY座標X46を求め、3行6列目のパッチの位置におけるX座標X36をそのまま用いることによって4行6列目のパッチの位置におけるX座標X46を求めてもよい(X46=X36、Y46=Y36+β)。また、未検出のパッチを5列目に対する+X方向に、すなわち6列目に補完するか、あるいは、未検出のパッチを1列目に対する−X方向に、すなわち、0列目に補完するかの判断は、後述の誤検出のパッチを削除する場合と同様に、パッチ位置定義情報とパッチ位置測定情報とを比較してその差を求めることで実行でき、また、パッチ色定義情報と実測したパッチ色測定情報とを比較することによって実行できる。
また例えば、第2位置補正処理部663bは、各行で未検出のパッチの位置を各列ごとに推定してパッチ位置未検出情報を求め、この求めたパッチ位置未検出情報によって、パッチ位置処理部65で求めたパッチ位置測定情報を補ってパッチ位置補正情報を求めてもよい。
そして、第3位置補正処理部664bは、パッチ個数比較処理部662bで比較した結果、パッチ個数測定情報で表されたパッチの個数がパッチ個数定義情報で表されたパッチの個数より多い場合に、誤検出のパッチの位置を表すパッチ位置誤検出情報を削除して前記パッチ位置補正情報を求め(S24)、第2態様のパッチ位置補正処理工程を終了する。例えば、第3位置補正処理部664bは、各列で誤検出のパッチの位置を各行ごとに推定してパッチ位置誤検出情報を求め、この求めたパッチ位置誤検出情報によって、パッチ位置処理部65で求めたパッチ位置測定情報から削除して、あるいは、第2位置補正処理部663bで求めたパッチ位置補正情報から削除して、パッチ位置補正情報を求める。例えば、図21Aに示すカラーチャートCThに対し、制御処理部6によって上述した処理S1ないし処理S5の各処理が実施されることによって、例えば汚損等のカラーチャートCThの故障(異常)に起因して図22Cに示すように、1行目において、7列で各パッチの位置PP−11〜PP−17が検出されたとする。カラーチャートCTにおける各パッチの実際の位置とパッチ位置定義情報で表される各パッチの位置との相違は、比較的少ないと考えられる。この考えの下に、第3位置補正処理部664bは、パッチ位置定義情報で表される各パッチの位置(各パッチの座標値)と、パッチ位置測定情報で表される各パッチの位置(各パッチの座標値)とを比較し、パッチ位置測定情報で表される各パッチの中から、パッチ位置定義情報で表されるパッチの位置(パッチの座標値)に最も近いパッチを、パッチ位置定義情報で表される当該パッチと推定する。すなわち、パッチ位置定義情報で表される当該パッチに対し、相対的に遠いパッチ位置測定情報で表される各パッチは、パッチ位置定義情報で表される当該パッチにとって誤検出のパッチであると判定される。例えば、図6Cにおいて、1行1列のパッチは、そのパッチ位置定義情報で表されるパッチの位置DPP−11に対し最も近いパッチ位置測定情報で表されるパッチの位置PP−11を持つパッチであると判定される。同様に、1行2列、1行3列、1行4列および1行5列の各パッチは、それぞれ、順に、位置測定情報で表されるパッチの位置PP−12、パッチの位置PP−13、パッチの位置PP−14、パッチの位置PP−15を持つ各パッチであると判定される。そして、1行6列のパッチは、そのパッチ位置測定情報で表されるパッチの位置DPP−11に対し、パッチ位置測定情報で表されるパッチの位置PP−17を含む他のパッチの位置より、パッチ位置測定情報で表されるパッチの位置PP−16が最も近いので、このパッチ位置測定情報で表されるパッチの位置PP−16を持つパッチとされる。したがって、パッチ位置測定情報で表されるパッチの位置PP−17がパッチ位置誤検出情報と判定される。
ここで、パッチ位置定義情報は、上述の図18に示す各処理によって補正されたパッチ位置補正情報であることが好ましい。
また例えば、第3位置補正処理部664bは、各行で誤検出のパッチの位置を各列ごとに推定してパッチ位置誤検出情報を求め、この求めたパッチ位置誤検出情報によって、パッチ位置処理部65で求めたパッチ位置測定情報から削除してパッチ位置補正情報を求めてもよい。
なお、上述の場合において、情報処理量を低減するために、各パッチの位置の比較において、X座標値およびY座標値のうちの一方のみが用いられても良い。
また、上述の場合において、第3位置補正処理部664bは、好ましくは、パッチ位置処理部65で求められたパッチ位置測定情報で表されたパッチの位置が、チャート定義情報記憶部102に記憶されたチャート定義情報に含まれるチャート領域枠定義情報で表された枠の外に位置する場合に、当該パッチのパッチ位置測定情報を前記パッチ位置誤検出情報とする。チャート領域の枠の外で検出されたパッチは、誤検出のパッチである。したがって、このように測色装置CMは、パッチ位置処理部65で求められたパッチ位置測定情報で表されたパッチの位置がチャート領域の枠以内であるか、枠の外であるかを判定することで、パッチ位置測定情報がパッチ位置誤検出情報であるか否かを容易に判定でき、誤検出のパッチ位置測定情報を容易に削除できる。
このような測色装置CMは、パッチ個数定義情報で表されたパッチの個数より、パッチ個数検出処理部で求められたパッチ個数測定情報で表されたパッチの個数が少なく、カラーチャートCThの画像IMhから求められるパッチの個数が不足し、未検出のパッチが存在する場合に、第2位置補正処理部663bによって、この未検出のパッチの位置を表すパッチ位置未検出情報を補ってパッチ位置補正情報を求めるので、複数のパッチそれぞれについて、より正確な各位置を求めることができる。
このような測色装置CMは、パッチ個数定義情報で表されたパッチの個数より、パッチ個数検出処理部で求められたパッチ個数測定情報で表されたパッチの個数が多く、カラーチャートCThの画像IMhから求められるパッチの個数が過剰であり、誤検出のパッチが存在する場合に、第3位置補正処理部664bによって、誤検出のパッチの位置を表すパッチ位置誤検出情報を削除してパッチ位置補正情報を求めるので、複数のパッチそれぞれについて、より正確な各位置を求めることができる。
(第3態様のパッチ位置補正処理工程)
図23は、第3態様のパッチ位置補正処理部の動作を示すフローチャートである。図24は、第3態様のパッチ位置補正処理部の動作を説明するための図である。
第3態様のパッチ位置補正処理工程では、図23において、第4位置補正処理部661cは、複数のチャート領域のうちのいずれか1つのチャート領域における、パッチ位置処理部65で求められたパッチ位置測定情報に基づいて、前記複数のチャート領域のうちの残余の少なくともいずれか1つのチャート領域における、パッチ位置補正情報を求め(S31)、第3態様のパッチ位置補正処理工程を終了する。例えば、カラーチャートCTiが2個の第1および第2チャート領域CA1、CA2を備え、このカラーチャートCTiにおける第1および第2チャート領域CA1、CA2それぞれに対し、制御処理部6によって上述した処理S1ないし処理S5の各処理が実施されることによって、図24に示すように、第1チャート領域CA1における各パッチの位置が検出されたとする。この場合に、第4位置補正処理部661cは、第1チャート領域CA1における、パッチ位置処理部65で求められたパッチ位置測定情報に基づいて、第2チャート領域CA2における、パッチ位置補正情報を求める。より具体的には、第4位置補正処理部661cは、第1チャート領域CA1における、パッチ位置処理部65で求められたパッチ位置測定情報とチャート定義情報記憶部102に記憶されているパッチ位置定義情報とを比較し、パッチ位置定義情報を基準に、パッチ位置測定情報の拡大率または縮小率、並進量(平行移動量)および回転量を公知の画像処理技術を用いて求める。そして、第4位置補正処理部661cは、第1チャート領域CA1におけるチャート定義情報記憶部102に記憶されているパッチ位置定義情報を、この求めた拡大率または縮小率、並進量(平行移動量)および回転量を用いて補正し、これによって第2チャート領域CA2における各パッチの位置を推定し、第2チャート領域CA2におけるパッチ位置補正情報を求める。ここで、パッチ位置定義情報は、上述の図18に示す各処理によって補正されたパッチ位置補正情報であることが好ましい。なお、情報処理量を低減するために、上述の拡大率または縮小率、並進量(平行移動量)および回転量のうちの1または複数が省略されても良い。
このような測色装置CMは、パッチ位置処理部65によって各パッチの各パッチ位置測定情報における全部または一部が求められない場合でも、このパッチ位置処理部65によって求められなかったパッチ位置情報を、第4位置補正処理部661cによって、複数のチャート領域CAのうちのいずれか1つのチャート領域CAにおける、パッチ位置処理部65で求められたパッチ位置測定情報に基づいて、推定して求めることができる。したがって、このような測色装置CMは、複数のパッチそれぞれについて、より正確な各位置を求めることができる。
(第4態様のパッチ位置補正処理工程)
図25は、第4態様のパッチ位置補正処理部の動作を示すフローチャートである。図26は、第4態様のパッチ位置補正処理部の動作を説明するための図である。図26Aは、誤った配置方向に置かされたカラーチャートCTjを示し、図26Bは、正しい配置方向に置かされたカラーチャートCTjを示す。
第4態様のパッチ位置補正処理工程では、図25において、まず、パッチ色検出処理部661dは、画像取得処理部62で取得したカラーチャートCTの画像から、複数のパッチにおける予め設定された特定の位置に位置するパッチの色を、特定位置パッチ色測定情報として求める(S41)。前記特定の位置は、複数のパッチが存在するチャート領域の外接図形(輪郭図形)の形状に応じて適宜に設定され、例えばチャート領域の外接図形が多角形である場合には、複数の頂点のうちの1つの頂点を含むパッチの位置に設定される。例えば、カラーチャートCTが、図26に示すように、チャート領域の外接図形が四角形となるように6行6列で2次元アレイ状にグラデーションの色配列で配列されたカラーチャートCTjである場合、左上頂点(すなわち、ローカル座標原点po0)を含む左上端に位置するパッチの位置が前記特定の位置に設定される。
このカラーチャートCTjは、図26Bに示すように、測色装置CMの副走査方向移動部(シート搬送部)2に正しい配置方向で配置された場合、すなわち、カラーチャートCTjの各パッチの配置位置がチャート定義情報における各パッチの配置位置と一致する配置方向で、測色装置CMの副走査方向移動部(シート搬送部)2に配置された場合、1列目の各パッチPb−11〜Pb−61は、1行1列のパッチPb−11から6行1列のパッチPb−61へ黄色が徐々に薄くなるグラデーションとなるように、各色を持ち、2列目の各パッチPb−12〜Pb62は、1行2列のパッチPb−12から6行2列のパッチPb−62へ肌色が徐々に薄くなるグラデーションとなるように、各色を持ち、3列目の各パッチPb−13〜Pb−63は、1行3列のパッチPb−13から6行3列のパッチPb−63へ水色が徐々に薄くなるグラデーションとなるように、各色を持ち、4列目の各パッチPb−14〜Pb64は、1行4列のパッチPb−14から6行4列のパッチPb−64へ青色が徐々に薄くなるグラデーションとなるように、各色を持ち、5列目の各パッチPb−15〜Pb−65は、1行5列のパッチPb−15から6行5列のパッチPb−61へ緑色が徐々に薄くなるグラデーションとなるように、各色を持ち、6列目の各パッチPb−16〜Pb66は、1行6列のパッチPb−16から6行6列のパッチPb−66へ赤色が徐々に薄くなるグラデーションとなるように、各色を持つ。
このようなカラーチャートCTjにおいて、図26Aに示すように、1行目の各パッチPa−11〜Pa−16は、1行1列のパッチPa−11から1行6列のパッチPa−16へ赤色が徐々に薄くなるグラデーションとなるように、測色装置CMの副走査方向移動部(シート搬送部)2に配置されたとする。この場合では、上述の処理S41において、パッチ色検出処理部661dによって、画像取得処理部62で取得したカラーチャートCTjの画像IMjから、6行6列の36個のパッチにおける左上端(1行1列)に位置するパッチPa−11の色、すなわち、赤色が、特定位置パッチ色測定情報として求められる。
次に、パッチ色比較処理部662dは、チャート定義情報記憶部102に記憶されたチャート定義情報に含まれる、前記特定の位置に位置するパッチのパッチ色定義情報で表されたパッチの色とパッチ色検出処理部661dで求められたパッチの色とを比較する(S42)。この図26に示す例では、パッチ色比較処理部662dは、チャート定義情報記憶部102に記憶されたチャート定義情報に含まれる、1行1列の位置に位置するパッチPb−11のパッチ色定義情報で表されたパッチの色(この例では黄色)とパッチ色検出処理部661dで求められたパッチPa−11の色(この例では赤色)とを比較する。
次に、チャート配置方向検出処理部663dは、パッチ色比較処理部662dで比較した結果に基づいてカラーチャートCTの配置方向を求める(S43)。この例では、パッチ色比較処理部662dで比較した結果、パッチ色定義情報は、黄色である一方、パッチ色検出処理部661dで求められたパッチPa−11の色は、赤色であるので、これら各パッチPb−11、Pa−11は、互いに相違する色であるので、チャート配置方向検出処理部663dは、測色装置CMの副走査方向移動部(シート搬送部)2に配置されたカラーチャートCTjは、正しく配置方向で配置されていないと判定する。そして、チャート配置方向検出処理部663dは、パッチ色検出処理部661dで求められたパッチPa−11の赤色と同じ色を、パッチ色定義情報の中から検索(探索)し、パッチPa−11の赤色と同じ色を持つパッチの位置を判定し、これら各パッチの各位置を比較することによって、反時計回りに90度回転した配置方向であると判定し、カラーチャートCTjの配置方向を求める。あるいは、チャート配置方向検出処理部663dは、1行1列の位置に位置するパッチPb−11のパッチ色定義情報で表されたパッチの黄色と同じ色を、カラーチャートCTjの各パッチを測色することによって得られた各パッチの各色の中から検索(探索)し、パッチPb−11の黄色と同じ色を持つパッチの位置を判定し、これら各パッチの各位置を比較することによって、反時計回りに90度回転した配置方向であると判定し、カラーチャートCTjの配置方向を求める。
なお、この配置方向の判定において、前記特定の位置は、1つであって良く、また、複数であっても良い。特に、前記特定の位置が複数とされることで、1つの特定の位置では、配置方向が判定し難い場合でも、配置方向の判定が可能となる。複数の特定の位置は、互いに隣接するパッチ(例えばX方向に沿って互いに隣接するパッチや、Y方向に沿って互いに隣接するパッチ等)であることが好ましい。
また、上述では、各パッチの色の比較は、色相で比較されたが、濃度(輝度)等の他の色に関する指標で比較されても良い。
そして、第5位置補正処理部664dは、チャート配置方向検出処理部663dで求めたカラーチャートCTの配置方向に基づいてパッチ位置処理部65で求めたパッチ位置測定情報を補正して前記パッチ位置補正情報を求め(S44)、第4態様のパッチ位置補正処理工程を終了する。例えば、第5位置補正処理部664dは、正しい配置方向となるように、すなわち、チャート定義情報における各パッチの配置位置と一致するように、パッチ位置測定情報で表される各パッチの位置を回転して補正し、前記パッチ位置補正情報を求める。
このような測色装置CMは、パッチ色比較処理部662dによって、予め設定された特定の位置(例えば1行1列の位置等)に位置するパッチに対する、パッチ色検出処理部661dで求めたパッチ(上述の例ではパッチPa−11)の色とパッチ色定義情報で表されたパッチ(上述の例ではパッチPb−11)の色とを比較し、チャート配置方向検出処理部663dによって、前記比較結果に基づいてカラーチャートCTjの配置方向を求め、第5位置補正処理部664dによって、この求めたカラーチャートCTjの配置方向に基づいてパッチ位置測定情報を補正してパッチ位置補正情報を求めている。このため、このような測色装置CMは、カラーチャートCTjの配置方向がチャート定義情報の想定している所定の配置方向と一致していない場合でも、複数のパッチそれぞれについて、より正確な各位置を求めることができる。
なお、上述の実施形態では、測色装置CMは、一方向に沿って複数の光電変換素子を配列したラインセンサー等を備えて構成された撮像部5を備えたが、撮像部5に代え、互いに線形独立な2方向(例えば互いに直交する2方向等)に複数の光電変換素子を2次元配列したエリアセンサー(2次元画像センサー)等を備えて構成された撮像部を備えても良い。このようなエリアセンサー等を備えて構成される前記撮像部は、上述のようにカラーチャートCTを搬送しなくても、カラーチャートCTの全体画像を撮像できる。
上述の本実施形態では、被測定物のシートに対する測色部3の位置の移動は、主走査方向に沿って主走査方向移動部4による測色部3の移動によって実現され、副走査方向に沿って副走査方向移動部2による被測定物のシートの移動によって実現されたが、これに限定されるものではない。被測定物のシートに対する測色部3の位置を相対的に移動させる移動部は、例えば、静止状態でステージ上に載置される被測定物のシートに対し、主走査方向および副走査方向の2方向に測色部3を移動する移動機構であって良く、また例えば、被測定物のシートを載置し、固定された測色部3に対して主走査方向および副走査方向の2方向に移動するXYステージであって良い。また例えば、前記移動部は、測色部3を主走査方向および副走査方向のうちの一方方向に移動し、ステージをその他方向に移動するように構成されても良い。このような構成の移動部では、上述のエリアセンサー等を備えて構成される前記撮像部が好適である。
上述の実施形態において、パターン判定処理部63は、画像取得処理部62で取得したカラーチャートCTの画像から所定の色の領域を除いた残余の領域から前記所定の光学的な特徴量または前記所定の幾何学的な特徴量を検出するように構成されても良い。
このような測色装置CMは、前記所定の色として例えば通常チャート領域とならない色を予め設定することによって、前記所定の光学的な特徴量または前記所定の幾何学的な特徴量を検出する対象領域から、通常チャート領域とならない領域が除外されるので、チャート領域のみに関し、前記所定の光学的な特徴量または前記所定の幾何学的な特徴量を検出できる。この結果、通常チャート領域とならない領域が除外されてチャート領域が判定されることになるので、上記測色装置CMは、チャート領域の誤判定をより低減でき、チャート領域をより適切に判定できる。
上述の実施形態において、入力部7は、パターン記憶部101に記憶されている複数の配置パターンの中から、パターン判定処理部63が用いる配置パターンとしてユーザが複数選択した結果を入力できるように構成され、パターン判定処理部63は、画像取得処理部62で取得したカラーチャートCTの画像に基づいて、パターン記憶部101に記憶されかつ入力部7で入力された複数の配置パターンの中から、前記画像取得処理部62で取得した前記カラーチャートCTに対応する配置パターンを判定するように構成されても良い。例えば、入力部7および出力部8は、上述のタッチパネルを構成し、パターン記憶部101に記憶されている複数の配置パターンを出力部8に表示する。そして、ユーザは、これら表示された複数の配置パターンの中から、パターン判定処理部63が用いる配置パターンを複数選択し、その複数選択した各配置パターンの各表示位置をタッチする。これによって、パターン判定処理部63が用いる配置パターンとしてユーザが複数選択した配置パターンが、入力部7を介して測色装置CMに入力され、設定される。このような測色装置CMは、パターン判定処理部63が用いる配置パターンを複数選択して入力できるので、ユーザが利用するカラーチャートの種類が異なる場合でも、ユーザに応じて配置パターンを選択できる。
本明細書は、上記のように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
一態様にかかる測色装置は、色を測定する測色部と、画像を取得する撮像部と、被測定物のシートに対する前記測色部の位置を相対的に移動させる移動部と、所定の色の領域であるパッチを複数備えるカラーチャートにおける前記複数のパッチの各位置を表すパッチ位置定義情報を少なくとも含むチャート定義情報を記憶するチャート定義情報記憶部と、前記カラーチャートの画像を前記撮像部によって取得する画像取得処理部と、前記画像取得処理部で取得した前記カラーチャートの画像に基づいて、前記パッチの位置を表すパッチ位置測定情報を求めるパッチ位置処理部と、前記チャート定義情報記憶部に記憶された前記チャート定義情報に基づいて、前記パッチ位置処理部で求めた前記パッチ位置測定情報を補正してパッチ位置補正情報を求めるパッチ位置補正処理部と、前記パッチ位置補正処理部で求めたパッチ位置補正情報で表された前記複数のパッチの各位置に、前記カラーチャートに対する前記測色部の位置を前記移動部によって相対的に移動させ、前記複数のパッチそれぞれの色を前記測色部によって測定する色測定処理部とを備える。
このような測色装置は、画像取得処理部で実際に取得したカラーチャートの画像に基づいてパッチ位置処理部によって求めた実測のパッチ位置測定情報を、チャート定義情報に基づいて補正するので、複数のパッチそれぞれについて、より正確な各位置を求めることができる。そして、上記測色装置は、このより正確な各位置に、カラーチャートに対する測色部の位置を移動部によって相対的に移動させ、複数のパッチそれぞれの色を測色部によって測定する。このため、上記測色装置は、各パッチをより適切な位置で測色できる。
他の一態様では、上述の測色装置において、前記パッチ位置定義情報は、前記カラーチャート内に予め設定された特定の点をローカル座標原点としたチャートローカル座標系におけるローカル座標値であり、前記パッチ位置補正処理部は、前記画像取得処理部で取得した前記カラーチャートの画像から前記ローカル座標原点を検出するローカル座標原点検出処理部と、前記ローカル座標原点検出処理部で検出したローカル座標原点に基づいて、前記チャート定義情報記憶部に記憶された前記チャート定義情報に含まれる前記パッチ位置定義情報を補正してパッチ位置座標補正情報を求める座標補正処理部と、前記座標補正処理部で補正して得られたパッチ位置座標補正情報に基づいて、前記パッチ位置処理部で求めた前記パッチ位置測定情報を補正して前記パッチ位置補正情報を求める第1位置補正処理部とを備える。
パッチ位置処理部によって求めた実測のパッチ位置測定情報は、撮像部で撮像された画像に設定されたワールド座標系におけるワールド座標値である。前記ワールド座標系のワールド座標原点と、チャートローカル座標系のローカル座標原点とが互いに一致する場合には、ローカル座標値は、ワールド座標値と一致するため、パッチ位置定義情報の補正は、必要ない。多くの場合、例えば、ワールド座標原点は、平面視にて画像の左上頂点(左上端)に設定され、ローカル座標原点は、平面視にてカラーチャートの左上頂点(左上端)に設定される。そして、多くの場合、撮像部を介して画像取得処理部によって取得されたカラーチャートの画像は、画像全体の中に、複数のパッチが存在するチャート領域の画像部分を含む画像となるため、ワールド座標原点とローカル座標原点とは、互いに一致しない。上記測色装置は、ローカル座標原点検出処理部によってカラーチャートの画像からローカル座標原点を検出し、ローカル座標原点のワールド座標値を取得できる。そして、上記測色装置は、座標補正処理部によって、ワールド座標値で表されたローカル座標原点に基づいてパッチ位置定義情報を補正するので、この補正によって求められたパッチ位置座標補正情報は、ワールド座標原点とローカル座標原点とのズレを補正したパッチ位置定義情報となる。このため、上記測色装置は、第1位置補正処理部によってパッチ位置座標補正情報に基づいてパッチ位置測定情報を補正してパッチ位置補正情報を求めるので、複数のパッチそれぞれについて、より正確な各位置を求めることができる。
他の一態様では、これら上述の測色装置において、前記チャート定義情報は、前記複数のパッチの個数を表すパッチ個数定義情報をさらに含み、前記パッチ位置補正処理部は、前記パッチ位置処理部で求めたパッチ位置測定情報に基づいて前記カラーチャートの画像から求められるパッチの個数を表すパッチ個数測定情報を求めるパッチ個数検出処理部と、前記チャート定義情報記憶部に記憶された前記チャート定義情報に含まれる前記パッチ個数定義情報で表されたパッチの個数と前記パッチ個数検出処理部で求められたパッチ個数測定情報で表されたパッチの個数とを比較するパッチ個数比較処理部と、前記パッチ個数比較処理部で比較した結果、前記パッチ個数測定情報で表されたパッチの個数が前記パッチ個数定義情報で表されたパッチの個数より少ない場合に、未検出のパッチの位置を表すパッチ位置未検出情報を補って前記パッチ位置補正情報を求める第2位置補正処理部とを備える。
このような測色装置は、パッチ個数定義情報で表されたパッチの個数より、パッチ個数検出処理部で求められたパッチ個数測定情報で表されたパッチの個数が少なく、カラーチャートの画像から求められるパッチの個数が不足し、パッチ位置処理部によって未検出のパッチが存在する場合に、第2位置補正処理部によって、この未検出のパッチの位置を表すパッチ位置未検出情報を補ってパッチ位置補正情報を求めるので、複数のパッチそれぞれについて、より正確な各位置を求めることができる。
他の一態様では、これら上述の測色装置において、前記チャート定義情報は、前記複数のパッチの個数を表すパッチ個数定義情報をさらに含み、前記パッチ位置補正処理部は、前記パッチ位置処理部で求めたパッチ位置測定情報に基づいて前記カラーチャートの画像から求められるパッチの個数を表すパッチ個数測定情報を求めるパッチ個数検出処理部と、前記チャート定義情報記憶部に記憶された前記チャート定義情報に含まれる前記パッチ個数定義情報で表されたパッチの個数と前記パッチ個数検出処理部で求められたパッチ個数測定情報で表されたパッチの個数とを比較するパッチ個数比較処理部と、前記パッチ個数比較処理部で比較した結果、前記パッチ個数測定情報で表されたパッチの個数が前記パッチ個数定義情報で表されたパッチの個数より多い場合に、誤検出のパッチの位置を表すパッチ位置誤検出情報を削除して前記パッチ位置補正情報を求める第3位置補正処理部とを備える。
このような測色装置は、パッチ個数定義情報で表されたパッチの個数より、パッチ個数検出処理部で求められたパッチ個数測定情報で表されたパッチの個数が多く、カラーチャートの画像から求められるパッチの個数が過剰であり、パッチ位置処理部によって誤検出のパッチが存在する場合に、第3位置補正処理部によって、誤検出のパッチの位置を表すパッチ位置誤検出情報を削除してパッチ位置補正情報を求めるので、複数のパッチそれぞれについて、より正確な各位置を求めることができる。
他の一態様では、上述の測色装置において、前記チャート定義情報は、前記複数のパッチが存在するチャート領域の枠を表すチャート領域枠定義情報をさらに含み、前記第3位置補正処理部は、前記パッチ位置処理部で求められた前記パッチ位置測定情報で表されたパッチの位置が、前記チャート定義情報記憶部に記憶された前記チャート定義情報に含まれる前記チャート領域枠定義情報で表された枠の外に位置する場合に、当該パッチのパッチ位置測定情報を前記パッチ位置誤検出情報とする。
チャート領域の枠の外で検出されたパッチは、誤検出のパッチである。したがって、上記測色装置は、パッチ位置処理部で求められたパッチ位置測定情報で表されたパッチの位置がチャート領域の枠以内であるか、枠の外であるかを判定することで、パッチ位置測定情報がパッチ位置誤検出情報であるか否かを容易に判定でき、誤検出のパッチ位置測定情報を容易に削除できる。
他の一態様では、これら上述の測色装置において、前記カラーチャートは、前記複数のパッチが存在するチャート領域を複数含み、前記パッチ位置補正処理部は、前記複数のチャート領域のうちのいずれか1つのチャート領域における、前記パッチ位置処理部で求められた前記パッチ位置測定情報に基づいて、前記複数のチャート領域のうちの残余の少なくともいずれか1つのチャート領域における、前記パッチ位置補正情報を求める第4位置補正処理部を備える。
このような測色装置は、パッチ位置処理部によって各パッチの各パッチ位置測定情報における全部または一部が求められない場合でも、このパッチ位置処理部によって求められなかったパッチ位置情報を、第4位置補正処理部によって、複数のチャート領域のうちのいずれか1つのチャート領域における、パッチ位置処理部で求められたパッチ位置測定情報に基づいて、推定して求めることができる。
他の一態様では、これら上述の測色装置において、前記チャート定義情報は、前記複数のパッチそれぞれにおける色を表すパッチ色定義情報をさらに含み、前記パッチ位置補正処理部は、前記画像取得処理部で取得した前記カラーチャートの画像から、前記複数のパッチにおける予め設定された特定の位置に位置するパッチの色を、特定位置パッチ色測定情報として求めるパッチ色検出処理部と、前記チャート定義情報記憶部に記憶された前記チャート定義情報に含まれる、前記特定の位置に位置するパッチのパッチ色定義情報で表されたパッチの色と前記パッチ色検出処理部で求められたパッチの色とを比較するパッチ色比較処理部と、前記パッチ色比較処理部で比較した結果に基づいて前記カラーチャートの配置方向を求めるチャート配置方向検出処理部と、前記チャート配置方向検出処理部で求めた前記カラーチャートの配置方向に基づいて前記パッチ位置処理部で求めた前記パッチ位置測定情報を補正して前記パッチ位置補正情報を求める第5位置補正処理部を備える。前記特定の位置は、1つであって良く、また、複数であっても良い。前記特定の位置が複数である場合では、前記特定の位置は、順次に互いに隣接していることが好ましい。
測色装置に配置されたカラーチャートの配置方向は、チャート定義情報が想定している所定の配置方向と一致していない場合が生じ得る。上記測色装置は、パッチ色比較処理部によって、予め設定された特定の位置に位置するパッチに対する、パッチ色検出処理部で求めたパッチの色とパッチ色定義情報で表されたパッチの色とを比較し、チャート配置方向検出処理部によって、前記比較結果に基づいてカラーチャートの配置方向を求め、第5位置補正処理部によって、前記求めたカラーチャートの配置方向に基づいてパッチ位置測定情報を補正してパッチ位置補正情報を求めている。このため、上記測色装置は、カラーチャートの配置方向がチャート定義情報の想定している所定の配置方向と一致していない場合でも、複数のパッチそれぞれについて、より正確な各位置を求めることができる。
そして、他の一態様にかかる測色方法は、色を測定する測色部と、画像を取得する撮像部と、被測定物のシートに対する前記測色部の位置を相対的に移動させる移動部と、前記測色部、前記撮像部および前記移動部を制御する制御処理部と、所定の色の領域であるパッチを複数備えるカラーチャートにおける前記複数のパッチの各位置を表すパッチ位置定義情報を少なくとも含むチャート定義情報を記憶するチャート定義情報記憶部と、を備える測色装置の測色方法であって、前記カラーチャートの画像を前記撮像部によって取得する画像取得処理工程と、前記画像取得処理工程で取得した前記カラーチャートの画像に基づいて、前記パッチの位置を表すパッチ位置測定情報を求めるパッチ位置処理工程と、前記チャート定義情報記憶部に記憶された前記チャート定義情報に基づいて、前記パッチ位置処理工程で求めた前記パッチ位置測定情報を補正してパッチ位置補正情報を求めるパッチ位置補正処理工程と、前記パッチ位置補正処理工程で求めたパッチ位置補正情報で表された前記複数のパッチの各位置に、前記カラーチャートに対する前記測色部の位置を前記移動部によって相対的に移動させ、前記複数のパッチそれぞれの色を前記測色部によって測定する色測定処理工程とを備える。
このような測色方法は、画像取得処理工程で実際に取得したカラーチャートの画像に基づいてパッチ位置処理工程によって求めた実測のパッチ位置測定情報を、チャート定義情報に基づいて補正するので、複数のパッチそれぞれについて、より正確な各位置を求めることができる。そして、上記測色方法は、このより正確な各位置に、カラーチャートに対する測色部の位置を移動部によって相対的に移動させ、複数のパッチそれぞれの色を測色部によって測定する。このため、上記測色方法は、各パッチをより適切な位置で測色できる。
この出願は、2014年11月14日に出願された日本国特許出願特願2014−231863を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。