以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
図1は、実施形態における測色装置の概略構成を示す斜視図である。図2は、実施形態の測色装置における撮像部および測色部の配置関係を示す概略側面図である。図3は、実施形態の測色装置における撮像部および測色部の配置関係を示す概略上面である。図4は、実施形態における測色装置の電気的な構成を示すブロック図である。図5は、実施形態の測色装置における各態様の特徴抽出処理部の構成を示すブロック図である。図5Aないし図5Eは、第1ないし第5態様の特徴抽出処理部の構成を示す。
本実施形態における測色装置CMは、被測定物の色(色相、明度、彩度)を測定する装置であり、例えば、図1ないし図4に示すように、給紙部1と、副走査方向移動部(紙搬送部)2と、測色部3と、主走査方向移動部4と、撮像部5と、制御処理部6と、入力部7と、出力部8と、インターフェース部(IF部)9と、記憶部10とを備える。
給紙部1は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、当該測色装置CMにセットされた被測定物の紙を当該測色装置CM内に取り込む紙搬送機構である。被測定物の紙は、任意のものであってよいが、例えば印刷装置の色を調整する場合では、所定の色の領域であるパッチを複数備えるカラーチャートCT等である。給紙部1は、例えば、被測定物の紙を貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留された前記被測定物の紙をピックアップして当該測色装置CM内に取り込む例えばピックアップローラ等を備えて構成される取込み部と、前記取込み部で取り込まれた被測定物の紙を副走査方向移動部2へ搬送する例えば搬送ローラ等を備えて構成される送込み部とを備える。
副走査方向移動部(紙搬送部)2は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、給紙部1から送られた被測定物の紙を、予め主走査方向として設定された第1方向と直交する副走査方向(第2方向)に、搬送する紙搬送機構である。副走査方向移動部2は、副走査方向に沿って順送りおよび逆送りで搬送できるように構成される。順送りは、「搬送」の一例に相当し、例えば、上流側(給紙部1側)から下流側(排出側)へ被測定物の紙を搬送することであり、逆送りは、「再搬送」の一例に相当し、前記順送りの向きとは逆向きに、すなわち、下流側から上流側へ被測定物の紙を搬送することである。副走査方向移動部2は、例えば、複数組の紙搬送ローラ部および前記紙搬送ローラを回転駆動する駆動部等を備えて構成される。各組の紙搬送ローラ部は、前記駆動部で回転駆動される駆動ローラおよび前記駆動ローラの回転駆動に従って回転駆動する従動ローラ等を備えて構成される。より具体的には、図2に示す例では、副走査方向移動部2は、3組の第1ないし第3紙搬送ローラ部20−1〜20−3を備える。これら第1ないし第3紙搬送ローラ部20−1〜20−3は、副走査方向に沿って上流側から下流側へ順に配設される。第1ないし第3紙搬送ローラ部20−1〜20−3それぞれは、第1ないし第3駆動ローラ21−1〜21−3および第1ないし第3従動ローラ22−1〜22−3を備える。給紙部1から送られた被測定物の紙は、順送りでは、1対の第1駆動ローラ21−1と第1従動ローラ22−1との間に挟み込まれ、第1駆動ローラ21−1が前記駆動部によって正転(例えば時計回り)で回転駆動することで、第1紙搬送ローラ部20−1から第2紙搬送ローラ部20−2へ搬送される。第2紙搬送ローラ部20−2に搬送された被測定物の紙は、第2紙搬送ローラ部20−2によって同様に第2紙搬送ローラ部20−2から第3紙搬送ローラ部20−3へ搬送される。そして、第3紙搬送ローラ部20−3に搬送された被測定物の紙は、第3紙搬送ローラ部20−3によって同様に第3紙搬送ローラ部20−3から下流側へ搬送される。そして、逆送りでは、上述の順送りとは逆に、これら第1ないし第3駆動ローラ21−1〜21−3が前記駆動部によって逆転(上述の例では反時計回り)で回転駆動することで、被測定物の紙は、下流側から上流側へ搬送される。
なお、以下の説明において、主走査方向(第1方向)がx方向(水平方向)とされ、このx方向に沿って設定された座標軸がx軸とされ、副走査方向(第2方向)がy方向(垂直方向)とされ、このy方向に沿って設定された座標軸がy軸とされ、これらが適宜に用いられる。
測色部3は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、被測定物の色を測定する装置である。測色部3は、例えば、被測定物の色を求めるために、被測定物における所定の光学情報を取得する測色センサー等である。このような測色部3は、例えば、各波長の反射率(または透過率)を測定するための分光光学素子や光電変換素子等を備え、物体の色を各波長の反射率(または透過率)に基づいて計測する分光型測色計である。また例えば、測色部3は、RGBの3刺激値を測定するための光学フィルターや光電変換素子等を備え、物体の色を三刺激値の色差に基づいて計測する三刺激値型測色計である。測色部3は、測定範囲の波長を高い反射率(例えば約90%〜約99%)で反射できるいわゆる白色校正板(標準白色板)を測定することによって白色校正される。
主走査方向移動部4は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、測色部3を主走査方向(第1方向)に移動する移動機構である。主走査方向移動部4は、例えば、測色部3をガイドするガイド部材と、ガイド部材にガイドされて測色部3を移動させる例えばラックピニオン(ラックアンドピニオン)や送りねじ等の送り機構と、前記送り機構を駆動する例えばステッピングモータ等の送り機構駆動部とを備えて構成される。例えば、図3に示すように、主走査方向移動部4は、主走査方向に沿って延びる、平板状のロッドに歯切りしたラック31と、測色部3内に設けられ、例えばステッピングモータによって回転駆動するピニオン(不図示)とを備え、前記ピニオンとラック31とが歯合する。測色部3は、前記ピニオンが前記ステッピングモータで回転駆動することで、ラック31に沿って主走査方向に移動する。
撮像部5は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、物体の光学像を撮像する装置である。撮像部5は、例えば、一方向に沿って複数の光電変換素子を配列したラインセンサー(リニアイメージセンサー)等を備えて構成され、図3に示すように、前記複数の光電変換素子の配列方向である前記一方向を主走査方向(x方向)に一致させて、主走査方向(x方向)に沿って延びるように配設される。
図2示すように、このような撮像部5は、第1紙搬送ローラ部20−1と第2紙搬送ローラ部20−2との間に配設され、測色部3および主走査方向移動部4は、測色部3が第2紙搬送ローラ部20−2と第3紙搬送ローラ部20−3との間で主走査方向に沿って移動するように、配設される。撮像部5は、副走査方向移動部2によって被測定物の紙を副走査方向(y方向)に搬送しながら被測定物の紙を主走査方向(x方向)に沿った1ラインごとに撮像することで、被測定物の紙の画像(画像データ)を生成する。副走査方向移動部2によって被測定物の紙を副走査方向(y方向)に搬送することで、副走査方向における被測定物の紙と測色部3との相対位置yが変更でき、また、主走査方向移動部4によって測色部3自体を主走査方向(x方向)に移動することで、主走査方向における被測定物の紙と測色部3との相対位置xが変更できる。これによって測色部3は、被測定物の紙上における任意の位置(x、y)に移動でき、その位置(x、y)の色を測定できる。
入力部7は、制御処理部6に接続され、例えば、被測定物の測色を指示するコマンド等の各種コマンド、および、例えば被測定物における識別子の入力等の測色する上で必要な各種データを測色装置CMに入力する機器であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチ等である。出力部8は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、入力部7から入力されたコマンドやデータ、および、測色装置CMによって測定された被測定物の色を出力する機器であり、例えばCRTディスプレイ、LCDおよび有機ELディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
なお、入力部7および出力部8からタッチパネルが構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部7は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置であり、出力部8は、表示装置である。このタッチパネルでは、表示装置の表示面上に位置入力装置が設けられ、表示装置に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置を触れると、位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容として測色装置CMに入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易い測色装置CMが提供される。
IF部9は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、外部機器との間でデータの入出力を行う回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS−232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、IrDA(Infrared Data Asscoiation)規格等の赤外線通信を行うインターフェース回路、および、USB(Universal Serial Bus)規格を用いたインターフェース回路等である。
記憶部10は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、被測定物を測色するための測色プログラムや、被測定物がカラーチャートCTである場合にカラーチャートCTの位置ずれを補正する位置ずれ補正プログラム等の制御処理プログラムが含まれる。このような記憶部10は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部10は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部6のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。
制御処理部6は、測色装置CMの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、被測定物の色を求めるための回路である。制御処理部6は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部6には、制御処理プログラムが実行されることによって、制御部61、位置ずれ処理部62および色測定処理部63が機能的に構成される。
制御部61は、測色装置CMの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するためのものである。
位置ずれ処理部62は、被測定物の1つであるカラーチャートCTを副走査方向移動部(紙搬送部)2によって順送りで搬送しながら撮像部5で撮像することでカラーチャートCTの全体画像を取得し、カラーチャートCTを前記副走査方向移動部2によって逆送りで搬送しながら撮像部5で撮像することでカラーチャートCTの部分画像を取得し、これら取得した全体画像および部分画像に基づいて前記順送りと前記逆送りとの間で生じるカラーチャートCTの位置ずれ量を求めるものである。
なお、「全体画像と部分画像の位置ずれ量」を正確に記述すると、全体画像から部分画像と同じ領域を抽出した画像と、部分画像とのずれ量のことである。以下、簡単のため全体画像と記載しているが、位置ずれ検出で用いる全体画像とは、全体画像の一部、すなわち全体画像における部分画像と同じ領域のことである。
より具体的には、位置ずれ処理部62は、機能的に、特徴抽出処理部621および位置ずれ量演算処理部622を備える。特徴抽出処理部621は、前記全体画像および前記部分画像それぞれから所定の特徴を抽出した特徴抽出全体情報および特徴抽出部分情報を生成するものである。位置ずれ量演算処理部622は、特徴抽出処理部621でそれぞれ生成された前記特徴抽出全体情報と前記特徴抽出部分情報とに基づいて前記カラーチャートCTの位置ずれ量を求めるものである。本実施形態では、位置ずれ量演算処理部622は、特徴抽出処理部621でそれぞれ生成された前記特徴抽出全体情報と前記特徴抽出部分情報とに基づく相互相関演算によって前記カラーチャートCTの位置ずれ量を求めるものである。
前記特徴抽出全体情報は、好ましくは、全体画像そのものの全体画像データ、2値化エッジ全体画像データ、エッジ線全体画像データ、2値化エッジ投影全体グラフデータおよびエッジ線投影全体グラフデータのうちのいずれか1つである。前記特徴抽出全体情報が前記2値化エッジ全体画像データである場合、特徴抽出処理部621は、画像中における一方向に延びるエッジを検出するために用いられるエッジフィルターを用いて前記全体画像を2値化処理することで前記2値化エッジ全体画像データを生成する。前記特徴抽出全体情報が前記エッジ線全体画像データである場合、特徴抽出処理部621は、画像中における一方向に延びるエッジを検出するために用いられるエッジフィルターを用いて前記全体画像を2値化処理することで生成された2値化エッジ全体画像データを、さらにハフ変換することで前記エッジ線全体画像データを生成する。前記特徴抽出全体情報が前記2値化エッジ投影全体グラフデータである場合、特徴抽出処理部621は、画像中における一方向に延びるエッジを検出するために用いられるエッジフィルターを用いて前記全体画像を2値化処理することで生成された2値化エッジ全体画像データを、さらに、前記一方向に沿って各画素の画素値を積算して投影することで前記2値化エッジ投影全体グラフデータを生成する。前記特徴抽出全体情報が前記エッジ線投影全体グラフデータである場合、特徴抽出処理部621は、画像中における一方向に延びるエッジを検出するために用いられるエッジフィルターを用いて前記全体画像を2値化処理することで生成された2値化エッジ全体画像データを、さらに、ハフ変換することでエッジ線全体画像データを生成し、前記エッジ線全体画像データを、さらに、さらに、前記一方向に沿って各画素の画素値を積算して投影することで前記エッジ線投影全体グラフデータを生成する。
また好ましくは、前記特徴抽出部分情報は、前記部分画像そのものの部分画像データ、2値化エッジ部分画像データ、エッジ線部分画像データ、2値化エッジ投影部分グラフデータおよびエッジ線投影部分グラフデータのうちのいずれか1つである。前記特徴抽出部分情報が前記2値化エッジ部分画像データである場合、特徴抽出処理部621は、画像中における一方向に延びるエッジを検出するために用いられるエッジフィルターを用いて前記部分画像を2値化処理することで前記2値化エッジ部分画像データを生成する。前記特徴抽出部分情報が前記エッジ線部分画像データである場合、特徴抽出処理部621は、画像中における一方向に延びるエッジを検出するために用いられるエッジフィルターを用いて前記部分画像を2値化処理することで生成された2値化エッジ部分画像データを、さらにハフ変換することで前記エッジ線部分画像データを生成する。前記特徴抽出部分情報が前記2値化エッジ投影部分グラフデータである場合、特徴抽出処理部621は、画像中における一方向に延びるエッジを検出するために用いられるエッジフィルターを用いて前記部分画像を2値化処理することで生成された2値化エッジ部分画像データを、さらに、前記一方向に沿って各画素の画素値を積算して投影することで前記2値化エッジ投影部分グラフデータを生成する。前記特徴抽出部分情報が前記エッジ線投影部分グラフデータである場合、特徴抽出処理部621は、画像中における一方向に延びるエッジを検出するために用いられるエッジフィルターを用いて前記部分画像を2値化処理することで生成された2値化エッジ部分画像データを、さらに、ハフ変換することでエッジ線部分画像データを生成し、前記エッジ線部分画像データを、さらに、前記一方向に沿って各画素の画素値を積算して投影することで前記エッジ線投影部分グラフデータを生成する。
このような特徴抽出処理部621として、例えば、図5に示すように、第1ないし第5態様の特徴抽出処理部621A〜621Eが用いられる。
第1態様の特徴抽出処理部621Aは、図5Aに示すように、画像中における一方向に延びるエッジを検出するために用いられるエッジフィルターを用いて画像を2値化処理することで、2値化エッジ画像データを生成する2値化エッジ処理部6211を備えて構成される。このような第1態様の特徴抽出処理部621Aでは、2値化エッジ処理部6211によって全体画像および部分画像それぞれを処理することで、2値化エッジ全体画像データおよび2値化エッジ部分画像データが生成可能である。
第2態様の特徴抽出処理部621Bは、図5Bに示すように、上述と同様な2値化エッジ処理部6211と、2値化エッジ処理部6211で生成された2値化エッジ画像データをハフ変換することで、エッジ線画像データを生成するハフ変換処理部6212とを備えて構成される。このような第2態様の特徴抽出処理部621Bでは、2値化エッジ処理部6211によって全体画像および部分画像それぞれを処理することで、2値化エッジ全体画像データおよび2値化エッジ部分画像データが生成可能であり、これら2値化エッジ全体画像データおよび2値化エッジ部分画像データそれぞれをさらにハフ変換処理部6212で処理することで、エッジ線全体画像データおよびエッジ線部分画像データが生成可能である。
第3態様の特徴抽出処理部621Cは、図5Cに示すように、上述と同様な2値化エッジ処理部6211と、2値化エッジ処理部6211で生成された2値化エッジ画像データを、さらに、前記一方向に沿って各画素の画素値を積算投影することで前記2値化エッジ投影グラフデータを生成する2値化エッジ投影処理部6213とを備えて構成される。このような第3態様の特徴抽出処理部621Cでは、2値化エッジ処理部6211によって全体画像および部分画像それぞれを処理し、そして、それら処理結果をさらに2値化エッジ投影処理部6213で処理することで、2値化エッジ投影全体グラフデータおよび2値化エッジ投影部分グラフデータが生成可能である。
第4態様の特徴抽出処理部621Dは、図5Dに示すように、上述と同様な2値化エッジ処理部6211と、上述と同様なハフ変換処理部6212と、ハフ変換処理部6212で生成されたエッジ線画像データを、さらに、前記一方向に沿って各画素の画素値を積算投影することで前記エッジ線投影グラフデータを生成するエッジ線投影処理部6214とを備えて構成される。このような第4態様の特徴抽出処理部621Dでは、2値化エッジ処理部6211によって全体画像および部分画像それぞれを処理し、それら処理結果をさらにハフ変換処理部6212で処理し、そして、それら処理結果をさらにエッジ線投影処理部6214で処理することで、エッジ線投影全体グラフデータおよびエッジ線投影部分グラフデータが生成可能である。
第5態様の特徴抽出処理部621Eは、図5Eに示すように、上述とそれぞれ同様な2値化エッジ処理部6211、ハフ変換処理部6212、2値化エッジ投影処理部6213およびエッジ線投影処理部6214を備えて構成される。このような第5態様の特徴抽出処理部621Eでは、2値化エッジ処理部6211によって全体画像および部分画像それぞれを処理し、そして、それら処理結果をさらに2値化エッジ投影処理部6213で処理することで、2値化エッジ投影全体グラフデータおよび2値化エッジ投影部分グラフデータが生成可能である。そして、第5態様の特徴抽出処理部621Eでは、2値化エッジ処理部6211によって全体画像および部分画像それぞれを処理し、それら処理結果をさらにハフ変換処理部6212で処理し、そして、それら処理結果をさらにエッジ線投影処理部6214で処理することで、エッジ線投影全体グラフデータおよびエッジ線投影部分グラフデータが生成可能である。
ここで、相互相関演算では、同じ空間のデータ同士しか演算ができない。すなわち、異なる空間のデータ同士は、演算できない。そして、本実施形態では、カラーチャートCTの位置ずれ量は、前記特徴抽出全体情報と前記特徴抽出部分情報とに基づく相互相関演算によって求めている。したがって、特徴抽出全体情報の態様と特徴抽出部分情報の態様との組合せは、本実施形態では、次の組合せが可能である。
第1態様の組合せは、特徴抽出全体情報としての全体画像そのものの全体画像データと、特徴抽出部分情報としての部分画像そのものの部分画像データとの組である。
第2態様の組合せは、特徴抽出全体情報としての2値化エッジ全体画像データと、特徴抽出部分情報としての2値化エッジ部分画像データおよびエッジ線部分画像データのうちのいずれかとの組である。
第3態様の組合せは、特徴抽出全体情報としてのエッジ線全体画像データと、特徴抽出部分情報としての2値化エッジ部分画像データおよびエッジ線部分画像データのうちのいずれかとの組である。
第4態様の組合せは、特徴抽出全体情報としての2値化エッジ投影全体グラフデータと、特徴抽出部分情報としての2値化エッジ投影部分グラフデータおよびエッジ線投影部分グラフデータのうちのいずれかとの組である。
第5態様の組合せは、特徴抽出全体情報としてのエッジ線投影全体グラフデータと、特徴抽出部分情報としての2値化エッジ投影部分グラフデータおよびエッジ線投影部分グラフデータのうちのいずれかとの組である。
色測定処理部63は、位置ずれ処理部62で求められたカラーチャートCTの位置ずれ量で、測色部3で測定する測定位置を補正しながら、複数のパッチそれぞれの色を測色部3で測定するものである。
次に、本実施形態における測色装置の動作について説明する。図6は、一例として、カラーチャートの全体画像を示す図である。図7は、図6に示すカラーチャートにおける各パッチの実測位置(×)を示す図である。図8は、実施形態における測色装置の動作を示すフローチャートである。図9は、図6に示すカラーチャートに対し、y方向の或る位置の画像を、水平方向に沿って差分間隔N点の差分フィルターで処理した処理結果の一例を示す図である。図9の横軸は、撮像部5の画素番号(すなわち、水平方向xの位置)であり、その縦軸は、差分値である。図10は、一例として、図6に示すカラーチャートの2値化垂直エッジ全体画像を示す図である。図11は、一例として、図6に示すカラーチャートの垂直エッジ線全体画像の一部を示す図である。図12は、一例として、図6に示すカラーチャートの2値化水平エッジ全体画像を示す図である。図13は、一例として、図6に示すカラーチャートの水平エッジ線全体画像の一部を示す図である。図14は、一例として、図6に示すカラーチャートについて、垂直エッジ線全体画像および水平エッジ線全体画像から求めた各パッチの位置の一部を示す図である。図14において、実線は、垂直エッジ線または水平エッジ線を示し、破線は、垂直エッジ線間の中間線または水平エッジ線間の中間線を示し、○は、実測した各パッチの位置(実測パッチ位置)を示す。図15は、一例として、図6に示すカラーチャートの部分画像を示す図である。図16は、一例として、図15に示すカラーチャートの2値化垂直エッジ部分画像を示す図である。図17は、一例として、図15に示すカラーチャートの2値化水平エッジ部分画像を示す図である。図18は、一例として、図6に示すカラーチャートの垂直エッジ線投影全体グラフの一部を示す図である。図19は、一例として、図15に示すカラーチャートの垂直エッジ線投影部分グラフを示す図である。図18および図19において、各横軸は、水平方向(主走査方向)に沿ったx軸であり、その縦軸は、積算値である。図20は、一例として、図18に示す垂直エッジ線投影全体グラフと図19に示し垂直エッジ線投影部分グラフとの相互相関処理の結果(位置ズレ量)を示す図である。図20の横軸は、垂直方向(副走査方向)のすれ量△yであり、その縦軸は、相互相関値である。図21は、一例として、図6に示すカラーチャートの水平エッジ線投影全体グラフの一部を示す図である。図22は、一例として、図15に示すカラーチャートの水平エッジ線投影部分グラフを示す図である。図21および図22において、各横軸は、垂直方向(副走査方向)に沿ったy軸であり、その縦軸は、積算値である。図23は、一例として、図21に示す水平エッジ線投影全体グラフと図22に示し水平エッジ線投影部分グラフとの相互相関処理の結果(位置ズレ量)を示す図である。図23の横軸は、垂直方向(副走査方向)のずれ量△yであり、その縦軸は、相互相関値である。
このような測色装置CMにおいて、副走査方向移動部2によってカラーチャートCTを順送りで副走査方向(y方向)に搬送しながら主走査方向(x方向)に沿った1ラインごとにカラーチャートCTを撮像部5で撮像することで、カラーチャートCTの全体画像が生成される。このカラーチャートCTの全体画像に対し、主走査方向(x方向、水平方向)および副走査方向(y方向、垂直方向)それぞれについて、エッジを抽出して2値化する2値化エッジ処理が実施され、これによって得られた画像がハフ変換されると、主走査方向(x方向、水平方向)に沿った複数のエッジ線および副走査方向(y方向、垂直方向)に沿った複数のエッジ線が求められる。そして、主走査方向に沿った各エッジ線の各中間線と、副走査方向に沿った各エッジ線の各中間線との各交点が各パッチの位置(x、y)として求められる。例えば、図6に示す、様々な色を持つ複数の四角形のパッチを縦横(互いに直交するx方向およびy方向の2方向)に2次元アレイ状に配置することによって構成されたカラーチャートCTに対し、上述のように処理することで、例えば、図7に×印で示すように、各パッチの位置(x、y)が求められる。そして、副走査方向移動部2によってカラーチャートCTを逆送りで副走査方向(y方向)に搬送しつつ、主走査方向移動部4によって測色部3自体を主走査方向(x方向)に移動することで、このように求められた各パッチの位置(x、y)に、測色部3が移動され、各パッチの色が測定される。ここで、各パッチの位置(x、y)は、副走査方向移動部2による順送りでカラーチャートCTから求められ、この順送りで実測された各パッチの位置(x、y)に、副走査方向移動部2による逆送りでカラーチャートCTを搬送しつつ主方向移動部4によって測色部3が移動され、各パッチの測色が実施される。このため、例えば、紙の滑りやバックラッシュ等の影響で、上述のように実測された各パッチの位置(x、y)に測色部3を移動させると、位置ずれ(△x、△y)が生じる虞がある。そのため、本実施形態における測色装置CMでは、前記位置ずれ(△x、△y)を補正するために、次のように動作している。なお、前記位置ずれ△xは、主走査方向(x方向)において、実測されたパッチの位置と、後述のように補正せずに移動された測色部3の位置とのズレ量であり、前記位置ずれ△yは、副走査方向(y方向)において、実測されたパッチの位置と、後述のように補正せずに移動された測色部3の位置とのズレ量である。
図8において、カラーチャートCTが給紙部1にセットされ、入力部7から測色の開始が指示されると、まず、測色装置CMは、順送りでカラーチャートCTの全体画像を取得する(S11)。より具体的には、制御処理部6の位置ずれ処理部62は、副走査方向移動部2によってカラーチャートCTを順送りで、公知の常套手段によって予め求められたパッチ領域の一方端から他方端まで副走査方向(y方向)に搬送しながら、この副走査方向の搬送に同期させて、主走査方向(x方向)に沿った1ラインごとにカラーチャートCTを撮像部5で撮像することで、カラーチャートCTの全体画像を取得する。パッチ領域は、各パッチが存在する領域である。例えば、図6に示すカラーチャートCTの全体画像が取得される。
次に、測色装置CMは、処理S11で取得されたカラーチャートCTの全体画像に対し、所定のエッジフィルターを用いることでエッジを抽出し、そして、2値化し、これによって2値化エッジ画像の画像データ(2値化エッジ画像データ)を生成する(S12)。より具体的には、次のように動作することで、カラーチャートCTの全体画像に基づいて、垂直方向(y方向)に沿うエッジを2値で表した2値化垂直エッジ全体画像の画像データ(2値化垂直エッジ全体画像データ)、および、水平方向(x方向)に沿うエッジを2値で表した2値化水平エッジ全体画像の画像データ(2値化水平エッジ全体画像データ)が、位置ずれ処理部62の特徴抽出処理部621における2値化エッジ処理部6211によってそれぞれ生成される。
副走査方向(垂直方向、y方向)に沿ったエッジである垂直エッジを求める場合には、例えば、エッジフィルターとして、主走査方向(水平方向、x方向)に差分を取る、次式(1)の差分間隔N点の差分フィルターが用いられる。
パッチ内は、同色で濃度変化がほとんど無い。一方、パッチの境界(エッジ)は、濃度変化が大きい。このため、パッチ内では、差分値が小さくなり、パッチの境界(エッジ)では、差分値が大きくなる。図9には、図6に示すカラーチャートに対し、y方向の或る位置の画像を、x方向に沿って差分間隔N点の差分フィルターで処理した処理結果の一例が示されている。
そして、このようなエッジフィルター処理後の処理結果の絶対値が求められ、この求められた絶対値が予め設定された閾値th1と比較される。この比較の結果、前記絶対値が前記閾値th1以上である場合では、1とされ、前記絶対値が前記閾値th1未満である場合では、0とされる。これによって各画素の画素値が2値化され、2値化垂直エッジ画像データが生成される。なお、2値化後にノイズを除去して2値化垂直エッジ画像データが生成されてもよい。
一方、主走査方向(水平方向、x方向)に沿ったエッジである水平エッジを求める場合には、例えば、エッジフィルターとして、上述の式(1)に代え、副走査方向(垂直方向、y方向)に差分を取る、次式(2)の差分間隔N点の差分フィルターが用いられる。
以下、2値化垂直エッジ画像の生成と同様に処理されることで、2値化水平エッジ画像データが生成される。
例えば、図6に示すカラーチャートCTの全体画像に対し、式(1)のエッジフィルターを用いることでエッジが抽出され、そして、それが2値化されると、例えば、図10に示す2値化垂直エッジ全体画像の2値化垂直エッジ全体画像データpictVer0(x、y)が生成される。また、図6に示すカラーチャートCTの全体画像に対し、式(2)のエッジフィルターを用いることでエッジが抽出され、そして、それが2値化されると、例えば、図12に示す2値化水平エッジ全体画像の2値化水平エッジ全体画像データpictHor0(x、y)が生成される。
次に、測色装置CMは、処理S12で生成されたカラーチャートCTの2値化エッジ画像データに対し、いわゆるハフ変換による直線検出を実施することでエッジ線を検出したエッジ線画像を生成する(S13)。より具体的には、カラーチャートCTの2値化垂直エッジ全体画像データおよび2値化水平エッジ全体画像データそれぞれが位置ずれ処理部62の特徴抽出処理部621におけるハフ変換処理部6212によってハフ変換されることで、垂直エッジ線全体画像データおよび水平エッジ線全体画像データが、それぞれ生成される。
例えば、図10に示す、カラーチャートCTの2値化垂直エッジ全体画像における2値化垂直エッジ全体画像データpictVer0(x、y)がハフ変換されると、例えば、図11に示す垂直エッジ線全体画像の垂直エッジ線全体画像データpictHoughVer0(x、y)が生成される。また、図12に示す、カラーチャートCTの2値化水平エッジ全体画像における2値化水平エッジ全体画像データpictHor0(x、y)がハフ変換されると、例えば、図13に示す水平エッジ線全体画像の水平エッジ線全体画像データpictHoughHor0(x、y)が生成される。
次に、測色装置CMは、処理S13で生成されたエッジ線画像データに基づいて、各パッチの位置(x、y)を求める(S14)。より具体的には、まず、位置ずれ処理部62によって、垂直エッジ線全体画像データに基づいて、複数の垂直エッジ線それぞれにおいて、互いに隣接する垂直エッジ線間の中間線である垂直中間線が求められる。次に、位置ずれ処理部62によって、水平エッジ線全体画像データに基づいて、複数の水平エッジ線それぞれにおいて、互いに隣接する水平エッジ線間の中間線である水平中間線が求められる。そして、位置ずれ処理部62によって、これら求められた複数の垂直中間線と複数の水平中間線との交点が各パッチの位置(x、y)として求められる。
例えば、図6に示すカラーチャートCTに対して求められた垂直エッジ線全体画像データに基づいて垂直中間線が求められると、図14に破線で示す垂直中間線が求められ、水平エッジ線全体画像データに基づいて水平中間線が求められると、図14に破線で示す水平中間線が求められ、そして、これらの交点が、図14に○印で示すように、各パッチの位置(x、y)として求められる。
次に、測色装置CMは、逆送りでカラーチャートCTの部分画像を取得する(S15)。より具体的には、位置ずれ処理部62は、副走査方向移動部2によってカラーチャートCTを逆送りで副走査方向(y方向)の或る位置y1から或る位置y2まで副走査方向(y方向)に搬送しながら、この副走査方向の搬送に同期させて、主走査方向(x方向)に沿った1ラインごとにカラーチャートCTを撮像部5で撮像することで、カラーチャートCTの部分画像を取得する。例えば、図6に示すカラーチャートCTに対し、図15に示すカラーチャートCTの部分画像が取得される。
次に、測色装置CMは、処理S15で取得されたカラーチャートCTの部分画像に対し、所定のエッジフィルターを用いることでエッジを抽出し、そして、2値化し、これによって2値化エッジ画像の画像データ(2値化エッジ画像データ)を生成する(S16)。より具体的には、全体画像の2値化エッジ画像の生成の処理と同様に、カラーチャートCTの部分画像に基づいて、垂直方向(y方向)に沿うエッジを2値で表した2値化垂直エッジ部分画像の画像データ(2値化垂直エッジ部分画像データ)、および、水平方向(x方向)に沿うエッジを2値で表した2値化水平エッジ部分画像の画像データ(2値化水平エッジ部分画像データ)が、位置ずれ処理部62の特徴抽出処理部621における2値化エッジ処理部6211によってそれぞれ生成される。
例えば、図15に示すカラーチャートCTの部分画像に対し、式(1)のエッジフィルターを用いることでエッジが抽出され、そして、それが2値化されると、例えば、図16に示す2値化垂直エッジ部分画像の2値化垂直エッジ部分画像データpictVer1(x、y)が生成される。また、図15に示すカラーチャートCTの部分画像に対し、式(2)のエッジフィルターを用いることでエッジが抽出され、そして、それが2値化されると、例えば、図17に示す2値化水平エッジ部分画像の2値化水平エッジ部分画像データpictHor1(x、y)が生成される。
次に、測色装置CMは、処理S11で取得された全体画像および処理S15で取得された部分画像に基づいて、前記順送りと前記逆送りとの間で生じるカラーチャートCTの位置ズレ量を求める(S17)。より具体的には、まず、位置ずれ処理部62の特徴抽出処理部621によって、処理S11で取得された全体画像および処理S15で取得された部分画像それぞれから所定の特徴を抽出した特徴抽出全体情報および特徴抽出部分情報が生成される。そして、位置ずれ処理部62の位置ずれ量演算処理部622によって、特徴抽出処理部621でそれぞれ生成された前記特徴抽出全体情報と前記特徴抽出部分情報とに基づく相互相関演算が実行され、相互相関演算の結果からカラーチャートCTの位置ずれ量が求められる。
カラーチャートCTの位置ずれ量(△x、△y)は、上述した、特徴抽出全体情報の態様と特徴抽出部分情報の態様との種々の組合せで、求めることができる。
一例として、特徴抽出全体情報がエッジ線投影全体グラフデータであって、特徴抽出部分情報が2値化エッジ投影部分グラフデータである場合について、以下に、説明する。
水平方向(x方向)の位置ズレ量△xは、次のように求められる。まず、特徴抽出処理部621のエッジ線投影処理部6214によって、前記y方向に沿って各画素の画素値を積算投影することで、前記垂直エッジ線投影全体グラフデータが生成される。より詳しくは、エッジ線投影処理部6214は、前記垂直エッジ線全体画像データにおいて、x軸上の各座標値xごとに、座標値xが同じであるy=y1からy2までの各画素の画素値を全て積算する。これによって、y方向に沿って各画素の画素値を積算した積算値が算出される。そして、エッジ線投影処理部6214は、この積算した積算値を、当該座標値xに対する値とする。これによって、垂直エッジ線投影全体グラフデータが生成される。なお、全体画像のうちの部分画像に相当する領域で上述の処理が実行される。
次に、特徴抽出処理部621の2値化エッジ投影処理部6213によって、前記y方向に沿って各画素の画素値を積算投影することで、前記2値化垂直エッジ投影部分グラフデータが生成される。より詳しくは、2値化エッジ投影処理部6213は、前記2値化垂直エッジ部分画像データにおいて、x軸上の各座標値xごとに、座標値xが同じであるy=y1からy2までの各画素の画素値を全て積算する。これによって、y方向に沿って各画素の画素値を積算した積算値が算出される。そして、2値化エッジ投影処理部6213は、この積算した積算値を、当該座標値xに対する値とする。これによって、2値化垂直エッジ投影部分グラフデータが生成される。
そして、このように求められた垂直エッジ線投影全体グラフデータと2値化垂直エッジ投影部分グラフデータとが、位置ずれ量演算処理部622によって相関演算され、カラーチャートCTにおける水平方向(x方向)の位置ズレ量△xが求められる。
例えば、図11に示す垂直エッジ線全体画像の垂直エッジ線全体画像データpictHoughVer0(x、y)が、次式(3)を用いてエッジ線投影処理部6214によって投影されると、図18に示す垂直エッジ線投影全体グラフの垂直エッジ線投影全体グラフデータvecHoughVer0(x)が生成される。図16に示す2値化垂直エッジ部分画像の2値化垂直エッジ部分画像データpictVer1(x、y)が、次式(4)を用いて2値化エッジ投影処理部6213によって投影されると、図19に示す2値化垂直エッジ投影部分グラフの2値化垂直エッジ投影部分グラフデータvecVer1(x)が生成される。そして、これら各グラフデータvecHoughVer0(x)、グラフデータvecVer1(x)間の相互相関φver(k)が、次式(5)を用いて位置ずれ量演算処理部622によって演算されると、図20に示す相互相関演算結果が得られる。この相互相関演算結果において、最も高い相関値を与えるズレ量が、カラーチャートCTにおける水平方向(x方向)の位置ズレ量△xとして求められる。
一方、垂直方向(y方向)の位置ズレ量△yは、次のように求められる。まず、特徴抽出処理部621のエッジ線投影処理部6214によって、前記x方向に沿って各画素の画素値を積算投影することで、前記水平エッジ線投影全体グラフデータが生成される。より詳しくは、エッジ線投影処理部6214は、前記水平エッジ線全体画像データにおいて、y軸上の各座標値yごとに、座標値yが同じである各画素の画素値を全て積算する。これによって、x方向に沿って各画素の画素値を積算した積算値が算出される。全体画像のうちの部分画像に相当する領域で上述の処理が実行される。
次に、特徴抽出処理部621の2値化エッジ投影処理部6213によって、前記x方向に沿って各画素の画素値を積算投影することで、前記2値化水平エッジ投影部分グラフデータが生成される。より詳しくは、2値化エッジ投影処理部6213は、前記2値化水平エッジ部分画像データにおいて、y軸上の各座標値yごとに、座標値yが同じである各画素の画素値を全て積算する。これによって、x方向に沿って各画素の画素値を積算した積算値が算出され、2値化水平エッジ投影部分グラフデータが生成される。
そして、このように求められた水平エッジ線投影全体グラフデータと2値化水平エッジ投影部分グラフデータとが、位置ずれ量演算処理部622によって相関演算され、カラーチャートCTにおける垂直方向(y方向)の位置ズレ量△yが求められる。
例えば、図13に示す水平エッジ線全体画像の水平エッジ線全体画像データpictHoughHor0(x、y)が、次式(6)を用いてエッジ線投影処理部6214によって投影されると、図21に示す水平エッジ線投影全体グラフの水平エッジ線投影全体グラフデータvecHoughHor0(y)が生成される。図17に示す2値化水平エッジ部分画像の2値化水平エッジ部分画像データpictHor1(x、y)が、次式(7)を用いて2値化エッジ投影処理部6213によって投影されると、図22に示す2値化水平エッジ投影部分グラフの2値化水平エッジ投影部分グラフデータvecHor1(y)が生成される。そして、これら各グラフデータvecHoughHor0(y)、vecHor1(y)間の相互相関φhor(k)が、次式(8)を用いて位置ずれ量演算処理部622によって演算されると、図23に示す相互相関演算結果が得られる。この相互相関演算結果において、最も高い相関値を与えるズレ量が、カラーチャートCTにおける垂直方向(y方向)の位置ズレ量△yとして求められる。
図8に戻って、次に、測色装置CMは、制御処理部6の色測定処理部63によって、処理S17で求められたカラーチャートCTの位置ずれ量(△x、△y)で、処理S14で求められたカラーチャートCTの各パッチの位置(x、y)を補正し、その補正した各パッチの位置(x+△x、y+△y)に測色部3を移動させて各パッチの各色を測色部3で測定する(S18)。
そして、各パッチの各色を測定すると、測色装置CMは、副走査方向で最終の行のパッチであるか否かを判定する(S19)。この判定の結果、最終の行ではない場合(No)には、処理が処理S15に戻される。すなわち、処理が、再度、部分画像の取得に戻り、新たに得られた部分画像を追加して次の行のパッチ位置の位置ずれ量が算出される。
一方、前記判定の結果、最終の行である場合(Yes)には、制御処理部6の制御部61によって、処理S18で計測した各パッチの各色を出力部8に出力し(S20)、処理を終了する。なお、必要に応じて、制御処理部6の制御部61は、処理S18で計測した各パッチの各色をIF部9に出力してもよい。
なお、上述では、特徴抽出全体情報がエッジ線投影全体グラフデータvecHoughVer0(x)、vecHoughHor0(y)であって、特徴抽出部分情報が2値化エッジ投影部分グラフデータvecVer1(x)、vecHor1(x)であったが、上述のように、特徴抽出全体情報の態様と特徴抽出部分情報の態様との組合せは、他の態様であってもよい。
一例では、特徴抽出全体情報が2値化エッジ投影全体グラフデータ(2値化垂直エッジ投影全体グラフデータvecVer0(x)および2値化水平エッジ投影全体グラフデータvecHor0(y))であって、特徴抽出部分情報が2値化エッジ投影部分グラフデータ(2値化垂直エッジ投影部分グラフデータvecVer1(x)および2値化水平エッジ投影部分グラフデータvecHor1(y))である場合には、カラーチャートCTの位置ずれ量(△x、△y)は、次の式(9)および式(10)それぞれで与えられる相互相関φver(k)、φhor(k)を用いることで、求められる。
一例では、特徴抽出全体情報がエッジ線全体画像データ(垂直エッジ線全体画像データpictHoughVer0(x、y)および水平エッジ線全体画像データpictHoughHor0(x、y))であって、特徴抽出部分情報が2値化エッジ部分画像データ(2値化垂直エッジ部分画像データpictVer1(x、y)および2値化水平エッジ部分画像データpictHor1(y))である場合には、カラーチャートCTの位置ずれ量(△x、△y)は、次の式(11)および式(12)それぞれで与えられる相互相関φver(k)、φhor(k)を用いることで、求められる。
一例では、特徴抽出全体情報が2値化エッジ全体画像データ(2値化垂直エッジ全体画像データpictVer0(x、y)および2値化水平エッジ全体画像データpictHor0(x、y))であって、特徴抽出部分情報が2値化エッジ部分画像データ(2値化垂直エッジ部分画像データpictVer1(x、y)および2値化水平エッジ部分画像データpictHor1(x、y))である場合には、カラーチャートCTの位置ずれ量(△x、△y)は、次の式(13)および式(14)それぞれで与えられる相互相関φver(k)、φhor(k)を用いることで、求められる。
一例では、特徴抽出全体情報が全体画像そのものの画像データpict0(x、y)であって、特徴抽出部分情報が部分画像そのものの画像データpict1(x、y)である場合には、カラーチャートCTの位置ずれ量(△x、△y)は、次の式(15)および式(16)それぞれで与えられる相互相関φver(k)、φhor(k)を用いることで、求められる。
他の態様の組合せも、これら上述と同様な算出式で与えられる相互相関φver(k)、φhor(k)を用いることで、カラーチャートCTの位置ずれ量(△x、△y)は、求められる。
以上、説明したように、本実施形態における測色装置CMおよびこれに実装された測色方法では、副走査方向移動部(紙搬送部)2によってカラーチャートCTを順送りすることでカラーチャートCTの全体画像が取得され、前記副走査方向移動部(紙搬送部)2によってカラーチャートCTを逆送りすることでカラーチャートCTの部分画像が取得される。したがって、本実施形態における測色装置CMおよびこれに実装された測色方法は、この順送りによる全体画像と逆送りによる部分画像とを利用することで、順送りと逆送りとの間で生じるカラーチャートCTの位置ずれ量(△x、△y)を検出でき、順送りで実測したパッチの位置と逆送りでの測定位置とのずれを補正できる。このため、本実施形態における測色装置CMおよびこれに実装された測色方法は、カラーチャートCTの一方方向に沿った順送りとその逆送りとで生じるカラーチャートCTの位置ずれを補正してより適切な位置で各パッチを測色できる。
本実施形態における測色装置CMおよびこれに実装された測色方法は、全体画像および部分画像それぞれから所定の特徴を抽出した特徴抽出全体情報および特徴抽出部分情報を生成し、これら特徴抽出全体情報と特徴抽出部分情報とに基づく相互相関演算によってカラーチャートCTの位置ずれ量(△x、△y)を求めている。したがって、本実施形態における測色装置CMおよびこれに実装された測色方法は、前記所定の特徴で全体画像および部分画像を比較してパターンマッチングするので、前記順送りと前記逆送りとの間で生じるカラーチャートCTの位置ずれ量(△x、△y)をより適切に求めることができる。
本実施形態における測色装置CMおよびこれに実装された測色方法において、2値化エッジ投影全体グラフのデータまたはエッジ線投影全体グラフのデータが前記特徴抽出全体情報として用いられる場合では、相互相関演算の演算処理量が低減できる。本実施形態における測色装置CMおよびこれに実装された測色方法において、2値化エッジ投影部分グラフのデータまたはエッジ線投影部分グラフのデータが前記特徴抽出部分情報として用いられる場合では、相互相関演算の演算処理量が低減できる。
そして、本実施形態における測色装置CMおよびこれに実装された測色方法では、カラーチャートCTにおけるパッチ自体の境界(エッジ)が前記所定の特徴として用いられているので、本実施形態における測色装置CMおよびこれに実装された測色方法は、より正確にカラーチャートCTの位置ズレ量(△x、△y)を求めることができる。
なお、上述の実施形態において、測色装置CMは、位置ずれ処理部62が部分画像を複数mの領域に分割し、前記複数mの領域ごとに、カラーチャートCTの位置ずれ量(△x(m)、△y(m))を求めるように、構成されても良い。このような測色装置は、カラーチャートCTに歪みが生じている場合でも、より適切なカラーチャートCTの位置ズレ量(△x(m)、△y(m))を求めることができる。
図24は、一例として、複数の領域に分割された部分画像を示す図である。図25は、一例として、第1領域における2値化水平エッジ部分画像および前記第1領域に当たる水平エッジ線全体画像の一部を示す図である。図25Aは、第1領域における2値化水平エッジ部分画像を示し、図25Bは、前記第1領域に当たる水平エッジ線全体画像の一部を示す。図26は、一例として、カラーチャートに歪みがある場合において、各パッチの位置を説明するための図である。図26Aは、部分画像を複数の領域に分割した場合における位置ズレ量で補正した各パッチの位置を示し、図26Bは、部分画像を複数の領域に分割しない場合の各パッチの位置を示す。
例えば、図26Bに示すように、カラーチャートCTが、水平方向(x方向)に対し湾曲して歪んでいる場合、上述の処理S14が実行されることによって各パッチの位置(x、y)が求められると、歪んだエッジ曲線に対し最も適合した直線が検出されるため、各パッチの位置(x、y)は、図26Bに○印で示すように、端部(紙面左端および紙面右端)に近づくに従って大きくずれてしまう。このため、上述の処理S17が実行されることによって、位置ずれ量(△x、△y)が求められても、1つの位置ずれ量(△x、△y)しか求められないので、或る部分のパッチでは、位置が補正できても、他の部分のパッチでは、位置が十分に補正できていない虞がある。
そこで、位置ずれ処理部62は、部分画像にて得られた2値化エッジ画像を複数の領域に分割する。例えば、図24に示す部分画像では、x方向に長尺な部分画像であるため、この図24に示す部分画像は、x方向に複数の領域に分割される。この図24に示す例では、部分画像は、3つの第1ないし第3領域AR1〜AR3に分割される。部分画像の2値化エッジ画像も3つの領域に分割される。そして、全体画像のエッジ画像も対応する領域に分割される。図25Aには、一例として、第1領域AR1における2値化水平エッジ部分画像が示され、図25Bには、前記第1領域AR1に当たる水平エッジ線全体画像の一部が示されている。このように各領域ARmごとに(m=1、2、3)、カラーチャートCTの位置ずれ量(△x(m)、△y(m))が求められると、図26Aに示すように、各領域ARmごとに、最適なカラーチャートCTの位置ずれ量(△x(m)、△y(m))が求められる。このため、このような測色装置CMは、カラーチャートCTに歪みが生じている場合でも、より適切なカラーチャートCTの位置ズレ量(△x(m)、△y(m))を求めることができる。したがって、処理S17で各パッチの各色が測定される場合、より適切な補正位置に測色部3が移動されるから、このような測色装置CMは、適切に各パッチの各色測色できる。
また、上述の実施形態では、前記所定の特徴として、カラーチャートCTのパッチの境界(エッジ)が用いられ、このパッチの境界(エッジ)に基づいてカラーチャートCTの位置ずれ量(△x、△y)が求められたが、これに限定されるものではなく、例えば、パッチの位置を示すための位置検出用マーカーを含む前記カラーチャートの場合では、前記所定の特徴として、カラーチャートCTにおける前記位置検出用マーカーが用いられ、この位置検出用マーカーに基づいてカラーチャートCTの位置ずれ量(△x、△y)が求められてもよい。このような測色装置CMでは、カラーチャートCTに在る位置検出用マーカーが前記所定の特徴に流用される。
図27は、他の一例として、位置検出用マーカーを含むカラーチャートの全体画像を示す図である。図28は、一例として、図27に示すカラーチャートにおいて、或る位置検出用マーカーの水平線への投影グラフを示す図である。図29は、一例として、図27に示すカラーチャートにおいて、位置検出用マーカーの垂直線への投影グラフを示す図である。
このような位置検出用マーカーを前記所定の特徴として流用する場合では、上述の処理S16では、位置ずれ処理部62によって、全体画像から位置検出用マーカーの中心位置(X0、Y0)が求められ、部分画像から位置検出用マーカーの中心位置(X1、Y1)が求められ、これら全体画像から求めた位置検出用マーカーの中心位置(X0、Y0)と部分画像から求めた位置検出用マーカーの中心位置(X1、Y1)との差がカラーチャートCTの位置ずれ量(△x、△y)として求められる(△x=X1−X0、△y=Y1−Y0)。
より具体的には、水平方向(x方向)の位置ずれ量△xを求める場合、位置ずれ処理部62は、まず、全体画像の全体画像データにおいて、各位置検出用マーカーが存在する領域ごとにx軸上の各座標値xごとに、座標値xが同じである各画素の画素値を全て積算する。これによって、y方向に沿って各画素の画素値を積算した積算値が算出される。そして、位置ずれ処理部62は、この水平線への投影全体グラフのピークを与えるx軸上の座標値を、全体画像から求めた水平方向における位置検出用マーカーの中心位置X0として求める。
例えば、図27に示すカラーチャートCTaには、パッチ領域の両側それぞれに、y方向に沿って複数の位置検出用マーカーが配列されており、その全体画像における各位置検出用マーカーが存在する領域のデータが投影されると、図28に示す水平線への投影全体グラフが求められる。そして、この図28に示す水平線への投影全体グラフのピーク(図28で○印で示す)を与えるx軸上の座標値が、全体画像から求めた水平方向における位置検出用マーカーの中心位置X0として求められる。
また、位置ずれ処理部62は、部分画像の画像データを、上述と同様に処理することによって、部分画像から、水平方向における位置検出用マーカーの中心位置X1を求める。
そして、位置ずれ処理部62は、これら全体画像から求めた水平方向の位置検出用マーカーの中心位置X0と部分画像から求めた水平方向の位置検出用マーカーの中心位置X1との差がカラーチャートCTの水平方向の位置ずれ量△xとして求める。位置ずれ量△xは、各マーカーごとに求められる。
一方、垂直方向(y方向)の位置ずれ量△yを求める場合、位置ずれ処理部62は、まず、全体画像の全体画像データにおいて、y軸上の各座標値yごとに、位置検出用マーカーが存在する領域において座標値yが同じである各画素の画素値を全て積算する。これによって、x方向に沿って各画素の画素値を積算した積算値が算出される。そして、位置ずれ処理部62は、この垂直線への投影全体グラフのピークを与えるy軸上の座標値を、全体画像から求めた垂直方向における位置検出用マーカーの中心位置Y0として求める。
例えば、図27に示すカラーチャートCTaの全体画像の位置検出用マーカーが存在する領域においてデータが投影されると、図29に示す垂直線への投影全体グラフが求められる。そして、この図29に示す垂直線への投影全体グラフのピーク(図29で○印で示す)を与えるy軸上の座標値が、全体画像から求めた垂直方向における位置検出用マーカーの中心位置Y0として求められる。図27に示す例では、位置検出用マーカーは、y方向に複数配列されているので、全体画像から求めた垂直方向における位置検出用マーカーの中心位置Y0は、複数となる。
また、位置ずれ処理部62は、部分画像の画像データを、上述と同様に処理することによって、部分画像から、垂直方向における位置検出用マーカーの中心位置Y1を求める。
そして、位置ずれ処理部62は、これら全体画像から求めた垂直方向の位置検出用マーカーの中心位置Y0と部分画像から求めた垂直方向の位置検出用マーカーの中心位置Y1との差がカラーチャートCTの垂直方向の位置ずれ量△yとして求める。
なお、図27に示す例では、位置検出用マーカーは、y方向に複数配列されているので、例えば、各位置検出用マーカーごとに、カラーチャートCTの垂直方向の位置ずれ量△yが求められてもよく、また例えば、これらの平均値がカラーチャートCTの垂直方向の位置ずれ量△yとされてもよい。
また、上述では、カラーチャートCTの位置ずれ量(△x、△y)は、全体画像から求めた位置検出用マーカーの中心位置(X0、Y0)と部分画像から求めた位置検出用マーカーの中心位置(X1、Y1)との差から求められたが、カラーチャートCTの位置ずれ量(△x、△y)は、上述と同様に、垂直投影全体グラフデータと垂直投影部分グラフデータとの相互相関演算、および、水平投影全体グラフデータと水平投影部分グラフデータとの相互相関演算によって求められてもよい。あるいは、カラーチャートCTの位置ずれ量(△x、△y)は、位置検出用マーカーの有る領域において、全体画像と部分画像との相互相関演算によって求められてもよい。
なお、上述の実施形態では、「搬送」および「再搬送」に関し、理解しやすいように、全体画像がカラーチャートCTの順送り(搬送の一例)で取得され、部分画像がカラーチャートCTの逆送り(再搬送の一例)で取得されたが、全体画像がカラーチャートCTの順送り(搬送の一例)で取得され、カラーチャートCTが元の位置に戻された後に、部分画像がカラーチャートCTの順送り(再搬送の一例)で取得されてもよい。
本明細書は、上記のように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
一態様にかかる測色装置は、色を測定する測色部と、前記測色部を所定の第1方向に沿って移動する移動部と、所定の色の領域であるパッチを複数備えるカラーチャートを前記第1方向に直交する第2方向に沿って搬送および再搬送で搬送できる搬送部と、画像を取得する撮像部と、前記カラーチャートを前記搬送部によって前記搬送しながら前記撮像部で撮像することで前記カラーチャートの全体画像を取得し、前記カラーチャートを前記搬送部によって前記再搬送しながら前記撮像部で撮像することで前記カラーチャートの部分画像を取得し、前記取得した前記全体画像および前記部分画像に基づいて前記搬送と前記再搬送との間で生じる前記カラーチャートの位置ずれ量を求める位置ずれ処理部と、前記位置ずれ処理部で求められた前記カラーチャートの位置ずれ量で、前記測色部で測定する測定位置を補正しながら、前記複数のパッチそれぞれの色を前記測色部で測定する色測定処理部とを備える。
このような測色装置では、搬送部によってカラーチャートを搬送することで前記カラーチャートの全体画像が取得され、搬送部によってカラーチャートを再搬送することで前記カラーチャートの部分画像が取得される。したがって、このような測色装置は、この搬送による全体画像と再搬送による部分画像とを利用することで、前記搬送と前記再搬送との間で生じる前記カラーチャートの位置ずれ量を検出でき、前記搬送で実測したパッチの位置と前記再搬送での測定位置とのずれを補正できる。このため、このような測色装置は、カラーチャートの一方方向に沿った前記搬送と前記再搬送とで生じるカラーチャートの位置ずれを補正してより適切な位置で各パッチを測色できる。
他の一態様では、上述の測色装置において、前記位置ずれ処理部は、前記全体画像および前記部分画像それぞれから所定の特徴を抽出した特徴抽出全体情報および特徴抽出部分情報を生成する特徴抽出処理部と、前記特徴抽出処理部でそれぞれ生成された前記特徴抽出全体情報と前記特徴抽出部分情報とに基づいて前記カラーチャートの位置ずれ量を求める位置ずれ量演算処理部とを備える。
このような測色装置は、全体画像および部分画像それぞれから所定の特徴を抽出した特徴抽出全体情報および特徴抽出部分情報を生成し、これら特徴抽出全体情報と特徴抽出部分情報とに基づいて前記カラーチャートの位置ずれ量を求める。したがって、このような測色装置は、前記所定の特徴で全体画像および部分画像を比較するので、前記搬送と前記再搬送との間で生じる前記カラーチャートの位置ずれ量をより適切に求めることができる。
他の一態様では、上述の測色装置において、前記特徴抽出全体情報は、前記全体画像そのものの全体画像データ、2値化エッジ全体画像データ、エッジ線全体画像データ、2値化エッジ投影全体グラフデータおよびエッジ線投影全体グラフデータのうちのいずれか1つであり、前記特徴抽出全体情報が前記2値化エッジ全体画像データである場合、前記特徴抽出処理部は、画像中における一方向に延びるエッジを検出するために用いられるエッジフィルターを用いて前記全体画像を2値化処理することで前記2値化エッジ全体画像データを生成し、前記特徴抽出全体情報が前記エッジ線全体画像データである場合、前記特徴抽出処理部は、画像中における一方向に延びるエッジを検出するために用いられるエッジフィルターを用いて前記全体画像を2値化処理することで生成された2値化エッジ全体画像データを、さらにハフ変換することで前記エッジ線全体画像データを生成し、前記特徴抽出全体情報が前記2値化エッジ投影全体グラフデータである場合、前記特徴抽出処理部は、画像中における一方向に延びるエッジを検出するために用いられるエッジフィルターを用いて前記全体画像を2値化処理することで生成された2値化エッジ全体画像データを、さらに、前記一方向に沿って各画素の画素値を積算投影することで前記2値化エッジ投影全体グラフデータを生成し、前記特徴抽出全体情報が前記エッジ線投影全体グラフデータである場合、前記特徴抽出処理部は、画像中における一方向に延びるエッジを検出するために用いられるエッジフィルターを用いて前記全体画像を2値化処理することで生成された2値化エッジ全体画像データを、さらに、ハフ変換することでエッジ線全体画像データを生成し、前記エッジ線全体画像データを、さらに、前記一方向に沿って各画素の画素値を積算投影することで前記エッジ線投影全体グラフデータを生成する。
これによれば、全体画像そのものデータ、2値化エッジ全体画像のデータ、エッジ線全体画像のデータ、2値化エッジ投影全体グラフのデータおよびエッジ線投影全体グラフのデータのうちのいずれか1つを前記特徴抽出全体情報とする測色装置が提供できる。そして、2値化エッジ投影全体グラフのデータまたはエッジ線投影全体グラフのデータを前記特徴抽出全体情報とする場合には、相互相関演算の演算処理量が低減できる。
他の一態様では、これら上述の測色装置において、前記特徴抽出部分情報は、前記部分画像そのものの部分画像データ、2値化エッジ部分画像データ、エッジ線部分画像データ、2値化エッジ投影部分グラフデータおよびエッジ線投影部分グラフデータのうちのいずれか1つであり、前記特徴抽出部分情報が前記2値化エッジ部分画像データである場合、前記特徴抽出処理部は、画像中における一方向に延びるエッジを検出するために用いられるエッジフィルターを用いて前記部分画像を2値化処理することで前記2値化エッジ部分画像データを生成し、前記特徴抽出部分情報が前記エッジ線部分画像データである場合、前記特徴抽出処理部は、画像中における一方向に延びるエッジを検出するために用いられるエッジフィルターを用いて前記部分画像を2値化処理することで生成された2値化エッジ部分画像データを、さらにハフ変換することで前記エッジ線部分画像データを生成し、前記特徴抽出部分情報が前記2値化エッジ投影部分グラフデータである場合、前記特徴抽出処理部は、画像中における一方向に延びるエッジを検出するために用いられるエッジフィルターを用いて前記部分画像を2値化処理することで生成された2値化エッジ部分画像データを、さらに、前記一方向に沿って各画素の画素値を積算投影することで前記2値化エッジ投影部分グラフデータを生成し、前記特徴抽出部分情報が前記エッジ線投影部分グラフデータである場合、前記特徴抽出処理部は、画像中における一方向に延びるエッジを検出するために用いられるエッジフィルターを用いて前記部分画像を2値化処理することで生成された2値化エッジ部分画像データを、さらに、ハフ変換することでエッジ線部分画像データを生成し、前記エッジ線部分画像データを、さらに、前記一方向に沿って各画素の画素値を積算投影することで前記エッジ線投影部分グラフデータを生成する。
これによれば、部分画像そのもののデータ、2値化エッジ部分画像のデータ、エッジ線部分画像のデータ、2値化エッジ投影部分グラフのデータおよびエッジ線投影部分グラフのデータのうちのいずれか1つを前記特徴抽出部分情報とする測色装置が提供できる。そして、2値化エッジ投影部分グラフのデータまたはエッジ線投影部分グラフのデータを前記特徴抽出部分情報とする場合には、相互相関演算の演算処理量が低減できる。
他の一態様では、上述の測色装置において、前記所定の特徴は、前記カラーチャートにおける前記パッチの境界である。
このような測色装置は、前記カラーチャートにおける前記パッチ自体の境界を前記所定の特徴として用いるので、より正確にカラーチャートの位置ズレ量を求めることができる。
他の一態様では、上述の測色装置において、前記カラーチャートは、パッチの位置を示すための位置検出用マーカーを含み、前記所定の特徴は、前記カラーチャートにおける前記位置検出用マーカーである。
これによれば、カラーチャートに在る位置検出用マーカーを前記所定の特徴に流用した測色装置が提供される。
他の一態様では、これら上述の測色装置において、前記位置ずれ処理部は、さらに前記部分画像を複数の領域に分割し、前記複数の領域ごとに、前記カラーチャートの位置ずれ量を求める。
このような測色装置は、前記部分画像を複数の領域に分割し、前記複数の領域ごとに、前記カラーチャートの位置ずれ量を求めるので、カラーチャートに歪みが生じている場合でも、より適切なカラーチャートの位置ズレ量を求めることができる。
そして、他の一態様にかかる測色方法は、所定の色の領域であるパッチを複数備えるカラーチャートを搬送部によって所定の第1方向と直交する第2方向に沿って搬送して前記各パッチの位置を求め、前記カラーチャートを前記搬送部によって再搬送しつつ測色部を前記第1方向に沿って移動させることで、前記求めた前記各パッチの位置に前記測色部を移動させて各パッチの色を測定する測色方法であって、前記カラーチャートを前記搬送部によって前記第2方向に沿って搬送しながら撮像部で撮像することで前記カラーチャートの全体画像を取得する全体画像取得工程と、前記カラーチャートを前記搬送部によって前記第2方向に沿って再搬送しながら前記撮像部で撮像することで前記カラーチャートの部分画像を取得する部分画像取得工程と、前記全体画像取得工程で取得した前記全体画像および前記部分画像取得工程で取得した前記部分画像に基づいて、前記搬送と前記再搬送との間で生じる前記カラーチャートの位置ずれ量を求める位置ずれ処理工程と、前記位置ずれ処理工程で求められた前記カラーチャートの位置ずれ量で、測色部で測定する測定位置を補正しながら、前記複数のパッチそれぞれの色を前記測色部で測定する色測定処理工程とを備えることを特徴とする。
このような測色方法は、搬送部によってカラーチャートを搬送することで前記カラーチャートの全体画像が取得され、搬送部によってカラーチャートを再搬送することで前記カラーチャートの部分画像が取得される。したがって、このような測色方法は、この搬送による全体画像と再搬送による部分画像とを利用することで、前記搬送と前記再搬送との間で生じる前記カラーチャートの位置ずれ量を検出でき、前記搬送で実測したパッチの位置と前記再搬送での測定位置とのずれを補正できる。このため、このような測色方法は、カラーチャートの一方方向に沿った前記搬送と前記再搬送とで生じるカラーチャートの位置ずれを補正してより適切な位置で各パッチを測色できる。
この出願は、2014年4月28日に出願された日本国特許出願特願2014−92621を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。