WO2016056424A1

WO2016056424A1 - 錠剤印刷装置

Info

Publication number: WO2016056424A1
Application number: PCT/JP2015/077356
Authority: WO
Inventors: 史朗波多野; 敏充入谷
Original assignee: 第一実業株式会社
Priority date: 2014-10-10
Filing date: 2015-09-28
Publication date: 2016-04-14
Also published as: JP2016077345A

Abstract

　本発明に係る錠剤印刷装置（１０）は、錠剤（Ｔ）を搬送する搬送手段（１６）と、インクを貯留するインクタンク（６８）、及びインクタンク（６８）から供給されたインクの液滴を吐出する記録ヘッド（３４）が一体的に設けられた印刷ユニット（３２）と、ノズル（７７）が搬送手段（１６）に臨む位置関係下に、印刷ユニット（３２）を固定支持する固定支持手段（５０）とを備える。そして、印刷ユニット（３２）は、固定支持手段（５０）に対して着脱自在に構成される。

Description

錠剤印刷装置

　本発明は、インクの液滴をノズルから吐出する記録ヘッドを備え、該記録ヘッドを用いて錠剤に印刷を行う錠剤印刷装置に関する。

　近時、錠剤の表面に識別情報を表示させるべく、この錠剤に印刷を行う錠剤印刷装置が開発されている。例えば、搬送ベルト等の搬送手段を用いて錠剤を搬送させながら、記録ヘッドにてインクの液滴を吐出する装置が提案されている（国際公開第２００９／０２５３７１号パンフレット参照）。

国際公開第２００９／０２５３７１号パンフレット

　ところで、この種の錠剤印刷装置では、記録ヘッドを洗浄するにあたり、装置の全体動作を一旦停止した後、記録ヘッドを搭載したままの状態下にて洗浄作業が行われていた。この場合、インクタンクから供給されるインクが漏れ、このインクが付着することで搬送手段を汚してしまう不都合が生じ得る。或いは、インクタンクへのインクの補充作業を行う場合であっても、上記した不都合が同様に起こり得る。

　また、記録ヘッドの洗浄作業又はインクの補充作業が終了するまでの間、錠剤の印刷処理を中断する必要があり、錠剤の生産効率性を低下させる原因の１つにもなっていた。換言すれば、国際公開第２００９／０２５３７１号パンフレットに記載の錠剤印刷装置に関して、メンテナンス性及び生産効率性という観点で改良の余地が十分に残されていた。

　本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、記録ヘッドの洗浄作業又はインクタンクへの補充作業を行う際の取扱性を向上可能であり、且つ、これらの作業の発生にかかわらず生産効率性を格段に向上可能な錠剤印刷装置を提供することを目的とする。

　本発明に係る錠剤印刷装置は、インクの液滴をノズルから吐出する記録ヘッドを備え、該記録ヘッドを用いて錠剤に印刷を行う装置であって、前記錠剤を搬送する搬送手段と、前記インクを貯留するインクタンク、及び前記インクタンクから供給された前記インクの前記液滴を吐出する前記記録ヘッドが一体的に設けられた印刷ユニットと、前記ノズルが前記搬送手段に臨む位置関係下に、前記印刷ユニットを固定支持する固定支持手段とを備え、前記印刷ユニットは、前記固定支持手段に対して着脱自在に構成される。

　このように、インクタンク及び記録ヘッドが一体的に設けられた印刷ユニットを、固定支持手段に対して着脱自在に構成されるようにしたので、インクタンクと記録ヘッドを分離せずに取扱可能となり、取り付け又は取り外しの際にインクが搬送手段に付着することがなくなる。これにより、記録ヘッドの洗浄作業又はインクタンクへの補充作業する際の取扱性を向上できる。また、予備の印刷ユニットと交換することで錠剤の印刷処理を早急に再開可能となるので、これらの作業の発生にかかわらず生産効率性を格段に向上できる。更に、記録ヘッドとインクタンクの間の距離（供給路）が短くなるので、インクの配管を省スペース化できる利点もある。更に、錠剤の印刷に供されるインクは高価であるため、廃液量の低減による生産コストの削減にも繋がる。

　また、前記固定支持手段は、ベース部と、該ベース部に固定され且つ一軸上に延在する棒状部と、前記ベース部に設けられた第１係止部と、を備え、前記印刷ユニットは、前記棒状部に引っ掛け可能な鉤状部を有する引掛部と、前記第１係止部に係合可能又は前記第１係止部との係合を解除可能な第２係止部と、を含む着脱機構を更に備え、前記引掛部を前記棒状部に引っ掛けた状態下に、前記一軸を中心に前記印刷ユニットを回動させることで、前記第２係止部を前記第１係止部に係合可能であり、又は、前記第１係止部との係合を解除可能であることが好ましい。引掛部を棒状部に引っ掛けるだけで第２係止部の位置決めが可能となり、印刷ユニットの着脱作業がきわめて容易になる。

　また、前記第１係止部は、前記印刷ユニットを固定支持した状態にて、前記記録ヘッドに対応する位置又は周辺位置に配されることが好ましい。第１係止部の位置（すなわち、係合位置）に近いほど安定した固定支持が可能となり、記録ヘッドによる印字精度が維持できる。

　また、前記固定支持手段は、前記印刷ユニットを固定支持した状態にて、前記記録ヘッドに対応する位置又は周辺位置に配された緩衝部材を更に備えることが好ましい。特に、第２係止部を第１係止部に係合する際に、印刷ユニット側に衝撃が伝わる場合がある。そこで、記録ヘッドに対応する位置に緩衝部材を配することで、記録ヘッドに伝わる衝撃を緩和できる。これにより、精密部品である記録ヘッドの保護になる。

　また、前記印刷ユニットは、少なくとも前記記録ヘッドを収容する筐体を更に有し、前記インクタンクは、前記筐体に対して着脱自在であることが好ましい。これにより、インクタンクを記録ヘッドから分離した後、インクタンクの洗浄作業或いはインクの補充作業を個別に行える。

　本発明に係る錠剤印刷装置によれば、記録ヘッドの洗浄作業又はインクタンクへの補充作業を行う際の取扱性を向上できると共に、これらの作業の発生にかかわらず生産効率性を格段に向上できる。また、記録ヘッドとインクタンクの間の距離（供給路）が短くなるので、インクの配管を省スペース化できる利点もある。更に、錠剤の印刷に供されるインクは高価であるため、廃液量の低減による生産コストの削減にも繋がる。

この実施形態に係る錠剤印刷装置の全体構成図である。図１に示す印刷ユニットの分解斜視図である。図２に示す印刷ユニットの第１の取り付け状態を示す概略側面図である。図２に示す印刷ユニットの第２の取り付け状態を示す概略側面図である。

　以下、本発明に係る錠剤印刷装置において好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。

［錠剤印刷装置１０の全体構成］
　図１は、この実施形態に係る錠剤印刷装置１０の全体構成図である。錠剤印刷装置１０は、インクジェット記録方式を採用して、錠剤Ｔにモノクロ又はカラー印刷を施すための装置である。

　図１に示すように、錠剤印刷装置１０は、筐体１２と、筐体１２の内部に設けられ且つ錠剤Ｔを供給する供給手段１４と、供給手段１４により供給される錠剤Ｔを所定方向（以下、搬送方向という）に搬送する搬送手段１６と、搬送手段１６により搬送される錠剤Ｔにインクの液滴を吐出することで印刷を行う印刷手段１８と、搬送方向の下流側に配設された検査手段２０と、を基本的に備える。

　筐体１２は、各種装置を収容するための方形状の箱型部材であり、中板１２ａ、側板１２ｂ及び天板１２ｃにより区画された上部空間（破線で図示）が形成されている。天板１２ｃのうち長手方向の一端側には円形の開口１２ｄが形成されている。

　供給手段１４は、筐体１２の上部空間内であって開口１２ｄの下部に設けられている。供給手段１４は、錠剤Ｔを一時的に貯蔵する供給ホッパ２２と、供給ホッパ２２の下方に配設され排出口を有する振動フィーダ２４と、振動フィーダ２４の排出口下方に配設された整流ターンテーブル２６を含んで構成される。

　振動フィーダ２４は、供給ホッパ２２から供給された錠剤Ｔに振動を与えることで、整流ターンテーブル２６に送出させる。整流ターンテーブル２６は、振動フィーダ２４から落下した錠剤Ｔを、周壁（不図示）に沿って一列に整列させると共に搬送手段１６に移送させる。

　ベルト搬送方式の搬送手段１６は、無端状の搬送ベルト２８と、搬送ベルト２８に巻回される複数のプーリ３０と、を含んで構成される。この搬送手段１６はベルト搬送方式に限られず、例えば、概略円柱状の搬送ドラムを回転させながら錠剤Ｔを搬送するドラム搬送方式を採用してもよい。

　印刷手段１８は、搬送ベルト２８に対して鉛直方向上方の位置に固定配置された、少なくとも１つ（本図例では１つ）の印刷ユニット３２から構成される。印刷ユニット３２は、錠剤Ｔに向けてインクの液滴を吐出する記録ヘッド３４（図２）と、記録ヘッド３４を駆動制御するための駆動回路基板３６（同図）を含んで構成される。

　記録ヘッド３４による液滴の吐出機構として種々の方式を採ってもよい。一例として、ピエゾ素子（圧電素子）等で構成されるアクチュエータの変形によってインクの液滴を吐出する方式を適用してもよい。また、ヒータ等の発熱体を介してインクを加熱することで気泡を発生させ、その圧力で液滴を吐出する方式を適用してもよい。

　検査手段２０は、印刷部検査ユニット３８と、印刷部検査ユニット３８と隣接して設けられた良否判別ユニット４０を備えている。印刷部検査ユニット３８は、印刷された錠剤Ｔの表面に印刷された識別情報を検出するための手段である。良否判別ユニット４０は、錠剤Ｔの印刷の良否を判別するための手段である。この結果、所定のパターンが錠剤Ｔに正しく印刷されていない場合、不良品として他の良品群とは別ルートで回収される。

［印刷ユニット３２の構成］
　図２は、図１に示す印刷ユニット３２の分解斜視図である。ここでは、印刷ユニット３２の説明に先立ち、本図左側に描画された固定支持手段５０の構成について述べる。

　固定支持手段５０は、記録ヘッド３４のノズル７７が搬送手段１６（図１）に臨む位置関係下に、印刷ユニット３２を固定支持する。固定支持手段５０は、矩形状平板のベース部５２と、ベース部５２における矢印Ｚ１側の辺縁部にてＹ方向に延びて突出する突出部５４と、突出部５４の両側面（矢印Ｙ方向）に固定された２つの取り付けバー５６、５６（棒状部）と、ベース部５２における矢印Ｚ２側の両隅部に固定された２つのラッチ５８、５８（第１係止部）と、２つのラッチ５８、５８の中間に設けられた位置決めピン６０（第１係止部）を含んで構成される。

　各取り付けバー５６は概略円柱状であり、その中央部に環状の凹溝６２が形成されている。２つの取り付けバー５６、５６は、矢印Ｙ方向に沿った一軸上に配置されている。各ラッチ５８は、後述するロックシャフト９０と係合可能であり、係合状態（ロック）を解除するための解除レバー６４が設けられている。

　矢印Ｘ１側に突出する位置決めピン６０は、後述するピン穴９１と係合可能である。位置決めピン６０のＹ方向両隣には、ゴム等の弾性体、発砲性プラスチックからなる２つの緩衝部材６５、６５が配されている。

　続いて、印刷ユニット３２の構成について説明する。印刷ユニット３２は、記録ヘッド３４及び駆動回路基板３６を含むヘッドユニット６６と、インクを貯留するインクタンク６８とから主に構成される。

　ヘッドユニット６６は、記録ヘッド３４及び駆動回路基板３６を収容する筐体７０を有する。筐体７０は、記録ヘッド３４を収容する第１ケーシング７２と、駆動回路基板３６を収容する第２ケーシング７４と、第１ケーシング７２の頂面（矢印Ｚ１側）と第２ケーシング７４の底面（矢印Ｚ２側）を連結する連結部７６とを有する。

　第１ケーシング７２は、概略直方体の形状を有する。第１ケーシング７２は、矢印Ｚ２側にて大きく開口している。記録ヘッド３４は、第１ケーシング７２に対して固定されていると共に、複数のノズル７７を含む先端部７８が外部に露呈している。また、第１ケーシング７２における矢印Ｙ２側の側面には、インクを記録ヘッド３４に供給するための供給ポート８０が設けられている。

　第２ケーシング７４は、概略直方体の形状を有する。第２ケーシング７４における矢印Ｙ２側の側面には、駆動回路基板３６に電源を供給するための電源コネクタ８２が設けられている。

　扁平な直方体状である中空の連結部７６は、第１ケーシング７２の内部を第２ケーシング７４の内部に連通させる。そして、連結部７６の内部に電気ケーブル（不図示）を挿通することで、駆動回路基板３６と記録ヘッド３４を電気的に接続している。

　ところで、筐体７０の奥側（矢印Ｘ２側）には、固定支持手段５０に対して着脱自在にするための着脱機構８４が設けられている。着脱機構８４は、筐体７０に固定された概略平板状の基台８６と、基台８６における両側部の矢印Ｚ１側にそれぞれ固定された２つの引掛プレート８８、８８（引掛部）と、基台８６における両辺縁部（矢印Ｙ方向）にそれぞれ設けられた２つのロックシャフト９０、９０（第２係止部）と、２つのロックシャフト９０、９０の中間に設けられたピン穴９１（第２係止部）を含んで構成される。

　各引掛プレート８８は平板状であり、且つ、平面視にて角丸の直角三角形状を有する。各引掛プレート８８には、矢印Ｘ２側の隅部にて概略円形状の切欠部（以下、鉤状部９２という）が１つ形成されている。取り付けバー５６、５６及び引掛プレート８８、８８は、凹溝６２と鉤状部９２の間にて２箇所で同時に係合可能となる位置関係下に配されている。

　各ロックシャフト９０は円柱状であり、且つ、矢印Ｙ方向に延在している。ピン穴９１は円柱状に形成されており、且つ、矢印Ｘ方向に延在している。ラッチ５８、５８及びロックシャフト９０、９０、並びに、位置決めピン６０及びピン穴９１は、３箇所で同時に係合可能となる位置関係下に配されている。

　また、基台８６における矢印Ｘ１側の主面上であって、第１ケーシング７２の両側面（矢印Ｙ方向）の周辺に、２つの把持部９４、９４が固定されている。各把持部９４の直上には、概略矩形平板状の受け座９６が配されている。第２ケーシング７４、連結部７６及び受け座９６の存在により、ヘッドユニット６６の手前側（矢印Ｘ１側）からインクタンク６８を挿入可能なサイズの空間部１００が形成される。

　インクタンク６８は、概略矩形状である底面１０２の反対側にて開口するインク収容部１０４と、インク収容部１０４の開口側に対して嵌合可能な蓋部１０６とから主に構成される。

　インク収容部１０４の底面１０２には、インクを外部に排出するための排出ポート１０８が設けられている。チューブ１１０の一端側を排出ポート１０８に、チューブ１１０の他端側を供給ポート８０にそれぞれ取り付けることで、インクタンク６８に貯留されたインクを記録ヘッド３４に供給可能である。インク収容部１０４における矢印Ｘ１側の側面には、２つの受け金具１１２、１１２が固着されている。

　蓋部１０６の蓋面１１４における１つの隅部には、外方に膨出する膨出部１１６が形成されている。膨出部１１６には、インク収容部１０４に残存する空気を抜くための空気排出口１１８と、超音波センサ１２０を螺合可能な螺合孔１２１とが設けられている。超音波センサ１２０は、インク収容部１０４でのインクの残量を検出するためのセンサである。

　蓋面１１４上であって膨出部１１６の周辺には、インクを補充するための補充ポート１２２が更に設けられている。また、蓋部１０６における矢印Ｘ１側の側面には、２つの受け金具１１２、１１２と対応する位置関係下に、２つの止め金具１２４、１２４が固着されている。

［印刷ユニット３２の着脱動作］
　続いて、図２に示す印刷ユニット３２の着脱動作について、図３及び図４を参照しながら詳細に説明する。図３は印刷ユニット３２の第１の取り付け状態を示す概略側面図であり、図４は印刷ユニット３２の第２の取り付け状態を示す概略側面図である。

＜１．取り外し動作＞
　図３に示すように、ユーザが把持部９４、９４を両手で把持しながら、指を使って各解除レバー６４を所定方向に倒すことで、各ラッチ５８によるロックがそれぞれ解除される。そして、ユーザが印刷ユニット３２の矢印Ｚ２側の部位を手前側に引っ張ることで、位置決めピン６０がピン穴９１から離間されると共に、ラッチ５８がロックシャフト９０から離間される。ここで、取り付けバー５６と引掛プレート８８の間の係合状態が維持されているので、取り付けバー５６、５６がなす一軸を中心とする、矢印θ方向に沿った回動動作が行われる点に留意する。

　図４に示すように、ユーザが印刷ユニット３２を矢印Ｐ１側に沿って引っ張ることで、取り付けバー５６と引掛プレート８８の間における２箇所の係合状態が同時に解除される。その結果、印刷ユニット３２は固定支持手段５０から取り外される。

＜２．洗浄動作／補充作業＞
　次いで、ユーザは、取り外した印刷ユニット３２を搬送装置（不図示）に搭載した後に、該搬送装置を操作することでヘッド洗浄装置（不図示）に向けて搬送する。そして、ユーザは、搬送装置に搭載された印刷ユニット３２を、ヘッド洗浄装置の所定位置にセットする。これにより、記録ヘッド３４の洗浄動作が行われる。

　また、ユーザは、インクタンク６８を印刷ユニット３２から取り外して分解することで洗浄作業を効率的に行うことができる。図２に戻って、具体的には、固定螺子（不図示）を緩めることで、ヘッドユニット６６とインクタンク６８の間の固定状態が解除される。その後、インクタンク６８を矢印Ｘ１側にスライドすることで、筐体７０からインクタンク６８が取り出される。

　その後、ユーザは、蓋部１０６から超音波センサ１２０を取り外し、インク収容部１０４からチューブ１１０を取り外した後に、止め金具１２４、１２４を開放し、インク収容部１０４から蓋部１０６を取り外す。これにより、インク収容部１０４及び蓋部１０６の内壁に容易にアクセス可能となり、インクタンク６８の洗浄作業が容易になる。また、上記した手順とは逆の手順に沿って、インクタンク６８の組立作業を行うことができる。

　図２の例では、印刷ユニット３２は、少なくとも記録ヘッド３４を収容する筐体７０を更に有し、インクタンク６８は、筐体７０に対して着脱自在である。これにより、インクタンク６８を記録ヘッド３４から分離した後、インクタンク６８の洗浄作業或いはインクの補充作業を個別に行える。

　なお、上述した搬送装置又はヘッド洗浄装置（いずれも不図示）にも、図２の固定支持手段５０と同様の機構を設けることで、着脱機構８４（図２）をそのまま利用しながら印刷ユニット３２を取り扱うことができる。これにより、印刷ユニット３２における取扱性の互換性・利便性が向上する。

＜３．取り付け動作＞
　次いで、ユーザは、印刷ユニット３２の把持部９４、９４を両手で把持し、印刷ユニット３２の高さ方向をベース部５２の主面（矢印Ｚ方向）に対して傾けた状態下に、印刷ユニット３２を矢印Ｐ２側に沿って押し当てる。すなわち、印刷ユニット３２の引掛プレート８８、８８を固定支持手段５０の取り付けバー５６、５６に引っ掛けて係合させる。

　そして、ユーザが印刷ユニット３２の矢印Ｚ２側の部位を奥側に押すことで、位置決めピン６０がピン穴９１の位置に案内されると共に、ラッチ５８がロックシャフト９０の位置に案内される。ここで、取り付けバー５６と引掛プレート８８の間の係合状態が維持されているので、取り付けバー５６、５６がなす一軸を中心とする、矢印θ方向に沿った回動動作が行われる点に留意する。

　そして、印刷ユニット３２を押し当てることで、位置決めピン６０がピン穴９１に係合され、ロックシャフト９０がラッチ５８に係合され、各ラッチ５８によるロックが作動する。その結果、印刷ユニット３２は固定支持手段５０に取り付けられる。

　図３及び図４の例では、ラッチ５８及び位置決めピン６０は、印刷ユニット３２を固定支持した状態にて、記録ヘッド３４に対応する位置又は周辺位置に配されている。ラッチ５８、位置決めピン６０の位置（すなわち、係合位置）に近いほど安定した固定支持が可能となり、記録ヘッド３４による印字精度が維持できる。

　また、固定支持手段５０は、印刷ユニット３２を固定支持した状態にて、記録ヘッド３４に対応する位置又は周辺位置に配された緩衝部材６５を更に備えている。特に、ロックシャフト９０をラッチ５８に係合する際に、印刷ユニット３２側に衝撃が伝わる場合がある。そこで、記録ヘッド３４に対応する位置に緩衝部材６５を配することで、記録ヘッド３４に伝わる衝撃を緩和できる。これにより、精密部品である記録ヘッド３４の保護になる。

＜４．外段取り＞
　更に、インクタンク６８及び記録ヘッド３４を一体的に設けることで、オフラインでの事前準備作業（いわゆる、外段取り）を実行できる。具体的には、ユーザは、予備の印刷ユニット３２を事前に準備しておき、洗浄作業等が必要になった印刷ユニット３２と即時に交換することで、錠剤Ｔの印刷処理を早急に再開可能となる。一方、回収された印刷ユニット３２に関しては、上記した手順に沿って洗浄作業等を行った上で、新たな予備として待機させておく。このように、複数の印刷ユニット３２を準備して外段取りを行うことで、錠剤Ｔの印刷処理（生産）を停止する時間が大幅に短縮される。

［錠剤印刷装置１０による効果］
　以上のように、錠剤印刷装置１０は、インクの液滴をノズル７７から吐出する記録ヘッド３４を備え、記録ヘッド３４を用いて錠剤Ｔに印刷を行う装置である。そして、錠剤印刷装置１０は、錠剤Ｔを搬送する搬送手段１６と、インクを貯留するインクタンク６８及び供給されたインクの液滴を吐出する記録ヘッド３４が一体的に設けられた印刷ユニット３２と、ノズル７７が搬送手段１６に臨む位置関係下に、印刷ユニット３２を固定支持する固定支持手段５０とを備え、印刷ユニット３２は、固定支持手段５０に対して着脱自在に構成される。

　このように構成したので、インクタンク６８と記録ヘッド３４を分離せずに取扱可能となり、取り付け又は取り外しの際にインクが搬送手段１６に付着することがなくなる。これにより、記録ヘッド３４の洗浄作業又はインクタンク６８への補充作業を行う際の取扱性を向上できる。また、予備の印刷ユニット３２と交換することで錠剤Ｔの印刷処理を早急に再開可能となるので、これらの作業の発生にかかわらず生産効率性を格段に向上できる。更に、記録ヘッド３４とインクタンク６８の間の距離（供給路）が短くなるので、チューブ１１０を省スペース化できる利点もある。更に、錠剤Ｔの印刷に供されるインクは高価であるため、廃液量の低減による生産コストの削減にも繋がる。

　また、固定支持手段５０は、ベース部５２と、ベース部５２に固定され且つ一軸上に延在する取り付けバー５６（棒状部）と、ベース部５２に設けられた第１係止部（ラッチ５８、５８又は位置決めピン６０）とを備えてもよい。印刷ユニット３２は、取り付けバー５６に引っ掛け可能な鉤状部９２を有する引掛プレート８８（引掛部）と、ラッチ５８に係合可能又はその係合を解除可能な第２係止部（ロックシャフト９０、９０又はピン穴９１）と、を含む着脱機構８４を更に備えてもよい。そして、引掛プレート８８を取り付けバー５６に引っ掛けた状態下に、一軸を中心に印刷ユニット３２を回動させることで、第２係止部を第１係止部に係合可能であり又はその係合を解除可能であってもよい。引掛プレート８８を取り付けバー５６に引っ掛けるだけで第１係止部の位置決めが可能となり、印刷ユニット３２の着脱作業がきわめて容易になる。

［補足］
　なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。

　例えば、この実施形態では、取り付けバー５６及び引掛プレート８８は２つ設けられているが、棒状部及び引掛部の個数はこれに限られない。具体的には、１つ或いは３つ以上であってもよい。同様に、第１係止部及び第２係止部の各総数は３つに限られることなく、１つ、２つ、或いは４つ以上であってもよい。

　また、この実施形態では、図２に着脱機構８４の形態が示されているが、これに限られない。すなわち、印刷ユニット３２が固定支持手段５０に対して着脱自在であれば、任意の形態を採用できることは言うまでもない。印刷手段１８が複数の印刷ユニット３２で構成される場合に、印刷ユニット３２の個数分だけの着脱機構を設ければよい。

　また、この実施形態では、１色のインクで印刷を行う単色印刷用の錠剤印刷装置１０を例示しているが、これに限られない。具体的には、２色以上のインクで印刷可能である複色印刷用の錠剤印刷装置にも適用できる。

１０‥錠剤印刷装置　　　　　　　　　　　１６‥搬送手段
３２‥印刷ユニット　　　　　　　　　　　３４‥記録ヘッド
５０‥固定支持手段　　　　　　　　　　　５２‥ベース部
５６‥取り付けバー（棒状部）　　　　　　５８‥ラッチ（第１係止部）
６０‥位置決めピン（第１係止部）　　　　６５‥緩衝部材
６６‥ヘッドユニット　　　　　　　　　　６８‥インクタンク
７０‥筐体　　　　　　　　　　　　　　　７２‥第１ケーシング
７４‥第２ケーシング　　　　　　　　　　７６‥連結部
７７‥ノズル　　　　　　　　　　　　　　８４‥着脱機構
８８‥引掛プレート（引掛部）
９０‥ロックシャフト（第２係止部）
９１‥ピン穴（第２係止部）　　　　　　　９６‥受け座
１０４‥インク収容部　　　　　　　　　　１０６‥蓋部

Claims

　インクの液滴をノズル（７７）から吐出する記録ヘッド（３４）を備え、該記録ヘッド（３４）を用いて錠剤（Ｔ）に印刷を行う錠剤印刷装置（１０）であって、
　前記錠剤（Ｔ）を搬送する搬送手段（１６）と、
　前記インクを貯留するインクタンク（６８）、及び前記インクタンク（６８）から供給された前記インクの前記液滴を吐出する前記記録ヘッド（３４）が一体的に設けられた印刷ユニット（３２）と、
　前記ノズル（７７）が前記搬送手段（１６）に臨む位置関係下に、前記印刷ユニット（３２）を固定支持する固定支持手段（５０）と
　を備え、
　前記印刷ユニット（３２）は、前記固定支持手段（５０）に対して着脱自在に構成される
　ことを特徴とする錠剤印刷装置（１０）。
　前記固定支持手段（５０）は、
　ベース部（５２）と、該ベース部（５２）に固定され且つ一軸上に延在する棒状部（５６）と、前記ベース部（５２）に設けられた第１係止部（５８、６０）と、を備え、
　前記印刷ユニット（３２）は、
　前記棒状部（５６）に引っ掛け可能な鉤状部（９２）を有する引掛部（８８）と、前記第１係止部（５８、６０）に係合可能又は前記第１係止部（５８、６０）との係合を解除可能な第２係止部（９０、９１）と、を含む着脱機構（８４）を更に備え、
　前記引掛部（８８）を前記棒状部（５６）に引っ掛けた状態下に、前記一軸を中心に前記印刷ユニット（３２）を回動させることで、前記第２係止部（９０、９１）を前記第１係止部（５８、６０）に係合可能であり、又は、前記第１係止部（５８、６０）との係合を解除可能である
　ことを特徴とする請求項１に記載の錠剤印刷装置（１０）。
　前記第１係止部（５８、６０）は、前記印刷ユニット（３２）を固定支持した状態にて、前記記録ヘッド（３４）に対応する位置又は周辺位置に配されることを特徴とする請求項２に記載の錠剤印刷装置（１０）。
　前記固定支持手段（５０）は、前記印刷ユニット（３２）を固定支持した状態にて、前記記録ヘッド（３４）に対応する位置又は周辺位置に配された緩衝部材（６５）を更に備えることを特徴とする請求項２に記載の錠剤印刷装置（１０）。
　前記印刷ユニット（３２）は、少なくとも前記記録ヘッド（３４）を収容する筐体（７０）を更に有し、
　前記インクタンク（６８）は、前記筐体（７０）に対して着脱自在である
　ことを特徴とする請求項１－４のいずれか１項に記載の錠剤印刷装置（１０）。