WO2016047776A1

WO2016047776A1 - 端子金具の接続構造、端子金具の接続方法、及び、ワイヤハーネス

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Publication number: WO2016047776A1
Application number: PCT/JP2015/077178
Authority: WO
Inventors: 幸成長西; 幸祐木下; 高立山本; 恵一三田; 友康寺田; 上原　建彦
Original assignee: 矢崎総業株式会社
Priority date: 2014-09-25
Filing date: 2015-09-25
Publication date: 2016-03-31

Abstract

　端子金具（１０１０）の接続構造に関し、接地面に締結固定される端子本体（１０１１）及びこの端子本体から延在された複数の端子接続部（１０２１）を有する端子金具（１０１０）と、接地用電線（Ｄ）が導通接続されると共に端子接続部（１０２１）に導通接続される中継端子（１０３０）と、を備える。省スペースで複数本の接地用電線を一括して接地面に導通させることが可能となる。

Description

端子金具の接続構造、端子金具の接続方法、及び、ワイヤハーネス

　本発明は、端子金具の接続構造、端子金具の接続方法、及び、ワイヤハーネスに関する。

　従来から、複数の端子金具を一括して所定の接地位置に接続する接続構造が提案されている。例えば、接地用電線が圧着接続される電線圧着部を有する複数の端子金具を積み重ね、これらの端子金具のボルト穴にボルトを挿通し、ボルトによって端子金具を車体の所定箇所に一括して固定することにより、接地用電線を端子金具を介して接地位置（車体の所定箇所）へ導通させる接続構造が知られている（例えば、特許文献１及び特許文献２を参照。）。

日本国特開２００５－３５３３３１号公報日本国特開２０１２－１９０７４９号公報

　ところで、上記接続構造では、接地用電線ごとに接続した端子金具を重ねてボルト締結するので、接地用電線が増えるほどに重量が増えるとともにコストが嵩んでしまい、しかも、締結が緩みやすいという問題があった。また、接地用電線が増えるほどに重ねられた端子金具の厚みが増し、接地面上方にこれらの端子金具を収容するスペースを大きく確保しなければならない。

　一方、他の接続構造として、複数本の接地用電線を束ね、これらの接地用電線の導体部を一つの端子金具へ熱溶着することも考えられる。しかし、この熱溶着の場合、複数の接地用電線の端部で外被から導体部を露出させ、それぞれの導体部の先端を揃えなければならない。そのため、その作業が極めて煩雑かつ困難であった。

　更に、他の接続構造として、ジョイント端子を収容したハウジングに、接地用電線に接続された接続端子を挿し込むことで、複数の接続端子をハウジング内で保持しつつジョイント端子によって一括して導通接続させるジョイントコネクタを用いることも考えられる。しかし、このジョイントコネクタの場合、ハウジング内に接続端子を保持させるための保持機構を設けなければならない。そのため、ハウジングの小型化が困難であり、保持機構を備えたハウジングに起因するコストアップを避けられなかった。

　なお、ボルトによる締結では、ボルトが緩むことにより、接続後における接続信頼性が低下することがある。この場合、端子金具に接続端子を圧着して締結すれば、強固な接続構造が得られる。しかし、圧着機で圧着する際に互いの姿勢が安定せず、圧着強度にばらつきが生じてしまうおそれがある。

　本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、省スペースで複数本の接地用電線を一括して接地面に導通させることが可能な端子金具の接続構造、端子金具の接続方法、及び、ワイヤハーネスを提供することにある。

　前述した目的を達成するために、本発明に係る端子金具の接続構造は、下記（１）～（９）を特徴としている。
（１）
　接地面に締結固定される端子本体と、該端子本体から延在された複数の端子接続部と、を有する端子金具と、
　接地用電線が導通接続されると共に前記端子接続部に導通接続される中継端子と、
　を備える、
　端子金具の接続構造であること。
（２）
　上記（１）に記載の端子金具の接続構造において、
　前記中継端子には、複数本の接地用電線が導通接続される、
　端子金具の接続構造であること。
（３）
　上記（１）又は上記（２）に記載の端子金具の接続構造において、
　前記中継端子には、一対の締結加締め片が形成され、
　前記一対の締結加締め片が前記端子接続部の両側部の外側を巻き込むように加締められて前記端子金具に前記中継端子が締結されることによって、前記端子金具が前記中継端子を介して前記電線に接続される、
　端子金具の接続構造であること。
（４）
　上記（３）に記載の端子金具の接続構造において、
　前記端子接続部の両側部には、該端子接続部が前記端子本体から延在する平面に対して立設する係合壁が形成され、
　加締められた前記締結加締め片が、前記係合壁に係合する、
　端子金具の接続構造であること。
（５）
　上記（４）に記載の端子金具の接続構造において、
　前記係合壁が、該係合壁の上端が内側へ折り返された係合片を有する、
　端子金具の接続構造であること。
（６）
　上記（３）～（５）の何れか一つに記載の端子金具の接続構造において、
　前記中継端子には、前記締結加締め片によって囲われた保持空間が形成され、
　前記保持空間を形成する両側面は、前記保持空間へ挿入された前記端子接続部の両側部と当接し、前記保持空間への挿入方向に沿う軸線を中心とした前記端子接続部の回転を規制する回転規制面である、
　端子金具の接続構造であること。
（７）
　上記（６）に記載の端子金具の接続構造において、
　前記保持空間を形成する底面が下方へ膨出するように湾曲している、
　端子金具の接続構造であること。
（８）
　上記（１）～（７）の何れか一つに記載の端子金具の接続構造において、
　前記端子接続部のそれぞれが、同一平面内において、放射線状に延在されている、
　端子金具の接続構造であること。
（９）
　上記（１）～（７）の何れか一つに記載の端子金具の接続構造において、
　前記端子接続部のそれぞれが、同一平面内において、互いに間隔をあけてそれぞれ同一方向へ延在されている、
　端子金具の接続構造であること。

　上記（１）の構成の端子金具の接続構造によれば、端子本体が接地面に締結固定される端子金具の複数の端子接続部に、接地用電線を導通接続させた中継端子を導通接続させる。これにより、例えば、車両のボディにおける少ない接地面に複数本の接地用電線を一括して接地させることができる。更に、それぞれの接地用電線を接続した端子金具を重ねて接地面に締結して導通させる構造と比較し、端子金具を重ねる必要がないため、接地用電線の本数が増えたとしても端子金具の重量の増加を抑制でき、材料の削減による低コスト化が図られる。更に、端子金具を重ねる必要がないため、導通接続されるべき接地用電線が増えても端子金具の厚みが増すことがなく、省スペース化が図られる。加えて、接地面へ確実に締結することができ、その後の締結の緩みも抑制できる。

　更に、複数の中継端子を端子金具の端子接続部に接続することによって複数本の接地用電線を接地させる構造であるので、上記例示の構造（一つの端子金具に複数本の接地用電線の導体部を溶着等によって直接接続する構造）とは異なり、接地用電線の導体部が解れないように束ねる整列作業を不要にできる。よって、配線作業性を大幅に向上させることができる。

　上記（２）の構成の端子金具の接続構造によれば、中継端子に対して複数の接地用電線を導通接続させることにより、端子金具を介して接地面に一括接地させる接地用電線の本数を容易にかつ大幅に増やすことができる。

　上記（３）の構成の端子金具の接続構造によれば、端子金具に設けられた複数の端子接続部に、電線に接続された接続端子の締結加締め片を加締めることにより、端子金具に接続端子を締結して複数本の電線を一括して端子金具に導通接続させることができる。これにより、それぞれの電線に接続された端子金具を重ねて締結して導通させる構造と比較し、端子金具を重ねる必要がないため、電線の本数が増えたとしても端子金具の重量の増加を抑制できる。更に、端子金具を重ねる必要がないため、導通接続されるべき電線が増えても端子金具の厚みが増すことがなく、省スペース化が図られる。

　更に、端子金具の端子接続部に接続端子を締結するので、接続端子を保持する特別な保持機構を不要にできる。これにより、ハウジング内に端子を保持する保持機構を備える必要があるジョイントコネクタと比較し、小型化及び低コスト化が図られる。

　更に、端子金具に対して別体の接続端子を締結して接続する構造であるので、径の異なるサイズの電線が接続された接続端子を端子接続部に締結して導通させることができる。換言すると、端子金具の端子接続部と接続端子の締結接続部との接続形態を変更することなく、様々なサイズの電線に対応できる。更に、端子接続部の数が異なる端子金具を用意しておくことで、導通させる電線の本数の増減に対して容易に対応できる。この結果、導通させる電線の本数やサイズの変更に対して、必要最小限のバリエーションの端子金具によって対応できる。
　更に、端子金具の複数の端子接続部に接続端子を締結する構造であるので、必要に応じて端子接続部に接続端子を締結させることができ、これにより、端子接続部の数の範囲内において一括して導通させる電線の本数を容易に増減させることができる。

　上記（４）の構成の端子金具の接続構造によれば、接続端子の締結加締め片を端子接続部に加締めることにより、締結加締め片が端子接続部の係合壁に係合する。これにより、端子接続部に締結加締め片を確実に圧着して端子接続部への接続端子の接続強度をさらに高めることができ、接続箇所における電気抵抗を安定させて電気的接続を良好にできる。

　上記（５）の構成の端子金具の接続構造によれば、端子接続部の係合壁の上端に、内側へ折り返された係合片が形成されていることにより、端子接続部に締結加締め片を確実に圧着して接続端子の締結加締め片との係合力をより高めることができる。これにより、高い接続強度を確実に得ることができる。よって、接続箇所における電気抵抗を安定させて電気的接続を良好にできる。

　上記（６）の構成の端子金具の接続構造によれば、保持空間に挿入された端子接続部は、保持空間の両側面からなる回転規制面によって挿入方向に沿う軸線を中心とした回転が規制された状態で、中継端子に保持される。これにより、中継端子に対して端子接続部を安定した姿勢に維持させることができ、締結の精度を高めることができる。よって、圧着強度のばらつきを抑えて高い接続信頼性を得ることができる。

　上記（７）の構成の端子金具の接続構造によれば、保持空間に挿入された端子接続部は、下方へ湾曲された保持空間の底面で安定した状態に保持される。これにより、中継端子に対して端子接続部をさらに安定した姿勢に維持させることができ、締結の精度を高めることができる。

　上記（８）の構成の端子金具の接続構造によれば、端子接続部が、同一平面内において、放射線状に延在されているので、端子金具の占有面積を極力抑えつつ、多くの端子接続部を設けることができる。よって、多くの接地用電線を一括して接続できる。

　上記（９）の構成の端子金具の接続構造によれば、端子金具に対する接続端子の接続方向を同一方向に揃えることができ、端子金具の端子接続部への接続端子の締結作業性を向上させることができる。更に、電線の配線方向を同一方向に揃えて幹線の流れに沿わすことができる。更に、電線の無駄な広がり及び接続端子付近における電線の屈曲を極力抑えることができる。

　更に、上述した目的を達成するために、本発明に係る端子金具の接続方法は、下記（１０）及び（１１）を特徴としている。
（１０）
　端子本体と、前記端子本体から延在する複数の端子接続部と、を有する端子金具に対して、接地用電線に接続された中継端子が有する一対の締結加締め片を前記端子接続部に加締めて接続する、端子金具の接続方法であって、
　前記締結加締め片によって前記端子接続部を挿入可能な保持空間を前記中継端子に形成する第１工程と、
　前記保持空間に前記端子接続部を挿入させることによって前記中継端子に前記端子接続部を保持させる第２工程と、
　前記締結加締め片を押し潰して前記保持空間内の前記端子接続部の両側部の外側を巻き込むように加締める第３工程と、を含む、
　端子金具の接続方法であること。
（１１）
　上記（１０）に記載の端子金具の接続方法において、
　前記中継端子には、前記第２工程よりも前に、前記接地用電線が導通接続される、
　端子金具の接続方法であること。

　上記（１０）の構成の端子金具の接続方法によれば、中継端子に予め形成した保持空間に端子接続部を挿入して保持させ、締結加締め片を押し潰して保持空間内の端子接続部の両側部の外側を巻き込むように加締めることにより、中継端子に対する端子接続部の姿勢を安定させた状態にて締結作業を行うことができる。これにより、作業性の向上を図ることができるとともに、圧着強度のばらつきを抑えて高い接続信頼性を得ることができる。

　更に、予め中継端子に保持空間を形成することにより、例えば締結加締め片が上方へ向かって広がるＵ字状に形成されたものと比較し、幅寸法を抑えることができる。これにより、圧着機で締結する際のクリンパ等の部品を小型化でき、作業スペースの削減が図れる。

　上記（１１）の構成の端子金具の接続構造によれば、例えば、まとめてサブハーネスとした複数本の接地用電線が予め導通接続された中継端子を、端子金具の端子接続部に接続することにより、極めて容易に、接地用電線を接地面に導通させることができる。これにより、接地用電線以外の電線をまとめやすくなり、先はめ率を向上させ、配線作業効率を高めることができる。

　加えて、前述した目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスは、下記（１２）を特徴としている。
（１２）
　上記（１）～（９）の何れか一つに記載の端子金具の接続構造を備えるワイヤハーネスであること。

　上記（１２）の構成のワイヤハーネスによれば、例えば、まとめてサブハーネスとした複数本の接地用電線が予め導通接続された中継端子を、端子金具の端子接続部に接続することにより、極めて容易に、接地用電線を接地面に導通させることができる。これにより、接地用電線以外の電線をまとめやすくなり、先はめ率を向上させ、配線作業効率を高めることができる。

　本発明によれば、省スペースで複数本の接地用電線を一括して接地面に導通させることが可能な端子金具の接続構造、端子金具の接続方法、及び、ワイヤハーネスを提供できる。

　以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態（以下、「実施形態」という。）を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。

図１は、実施形態１－１に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図１（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図１（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。図２は、実施形態１－１に係る端子金具の接続構造を説明する端子金具と中継端子の斜視図である。図３は、実施形態１－１に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図３（ａ）は図１（ａ）におけるＡ矢視図、図３（ｂ）は図１（ａ）におけるＢ矢視図、図３（ｃ）は図１（ａ）におけるＣ矢視図である。図４は、中継端子を説明する中継端子の斜視図である。図５は、端子金具への接地用電線の接続手順を説明する図であって、図５（ａ）は接地用電線を接続した中継端子の概略平面図、図５（ｂ）は端子金具及び中継端子の概略平面図である。図６は、参考例１－１に係る端子金具の概略平面図である。図７は、実施形態２－１に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図７（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図７（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。図８は、実施形態２－１に係る端子金具の接続構造を説明する端子金具と中継端子の斜視図である。図９は、実施形態２－１に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図９（ａ）は図７（ａ）におけるＡ矢視図、図９（ｂ）は図７（ａ）におけるＢ矢視図、図９（ｃ）は図７（ａ）におけるＣ矢視図である。図１０は、端子金具の端子接続部の断面図である。図１１は、端子接続部及び中継端子の斜視図である。図１２は、キャリアに連結された中継端子の平面図である。図１３は、中継端子を説明する図であって、図１３（ａ）は図１２におけるＤ－Ｄ断面図、図１３（ｂ）は図１２におけるＥ－Ｅ断面図、図１３（ｃ）は図１２におけるＦ－Ｆ断面図である。図１４は、中継端子及び端子接続部がセットされた圧着機の概略断面図である。図１５は、端子金具の端子接続部に対する締結接続部の締結加締め片の締結状態を示す図であって、図１５（ａ）は締結加締め片の締結前の図７（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図、図１５（ｂ）は締結加締め片の締結過程の図７（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図、図１５（ｃ）は締結加締め片の締結後の図７（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図である。図１６は、参考例２－１を説明する中継端子及び端子接続部がセットされた圧着機の概略断面図である。図１７は、参考例２－１に係る端子金具の端子接続部と締結接続部の締結加締め片との締結状態を示す図であって、図１７（ａ）は締結加締め片の締結前の図７（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図、図１７（ｂ）は締結加締め片の締結後の図７（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図である。図１８は、他の形状の端子接続部の断面図である。図１９は、他の形状の端子接続部の断面図である。図２０は、他の形状の端子接続部の断面図である。図２１は、変形例に係る端子金具の接続構造を示す接地用電線が接続された端子金具の斜視図である。図２２は、端子金具の連結部を示す図であって、図２２（ａ）は連結部の平面図、図２２（ｂ）は連結部の断面図である。図２３は、実施形態２－２に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図２３（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図２３（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。図２４は、実施形態２－２に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図２４（ａ）は端子金具と中継端子の斜視図、図２４（ｂ）は端子金具と中継端子の平面図である。図２５は、端子金具を説明する図であって、図２５（ａ）は正面図、図２５（ｂ）は側面図、図２５（ｃ）は断面図である。図２６は、端子金具の端子接続部に対する締結接続部の締結加締め片の締結状態を示す図であって、図２６（ａ）は締結加締め片の締結前の図２３（ｂ）におけるＨ－Ｈ断面図、図２６（ｂ）は締結加締め片の締結過程の図２３（ｂ）におけるＨ－Ｈ断面図、図２６（ｃ）は締結加締め片の締結後の図２３（ｂ）におけるＨ－Ｈ断面図である。図２７は、実施形態２－２の変形例に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図２７（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図２７（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。図２８は、実施形態２－２の変形例に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図２８（ａ）は端子金具と中継端子の斜視図、図２８（ｂ）は端子金具と中継端子の平面図である。図２９は、実施形態３－１に係る端子金具及びその接続構造を説明する図であって、図２９（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図２９（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。図３０は、実施形態３－１に係る端子金具の折り曲げ加工前の展開図である。図３１は、端子金具の連結部を示す図であって、図３１（ａ）は連結部の斜視図、図３１（ｂ）は図３１（ａ）におけるＪ－Ｊ断面図である。図３２は、実施形態３－２に係る端子金具及びその接続構造を説明する図であって、図３２（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図３２（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。図３３は、端子金具の連結部を示す図であって、図３３（ａ）は連結部の斜視図、図３３（ｂ）は図３３（ａ）におけるＫ－Ｋ断面図である。図３４は、実施形態３－２に係る端子金具の変形例を示す接地用電線が接続された端子金具の斜視図である。図３５は、実施形態３－３に係る端子金具及びその接続構造を示す接地用電線が接続された端子金具の斜視図である。図３６は、端子金具の連結部を示す図であって、図３６（ａ）は連結部の平面図、図３６（ｂ）は連結部の断面図である。図３７は、実施形態３－４に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図３７（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図３７（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。図３８は、実施形態３－４に係る端子金具の接続構造を説明する端子金具と接続端子の斜視図である。図３９は、実施形態３－４に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図３９（ａ）は図３７（ａ）におけるＡ矢視図、図３９（ｂ）は図３７（ａ）におけるＢ矢視図、図３９（ｃ）は図３７（ａ）におけるＣ矢視図である。図４０は、端子金具の端子接続部の断面図である。図４１は、接続端子を説明する接続端子の斜視図である。図４２は、キャリアに連結された接続端子の平面図である。図４３は、接続端子を説明する図であって、図４３（ａ）は図４２におけるＤ－Ｄ断面図、図４３（ｂ）は図４２におけるＥ－Ｅ断面図、図４３（ｃ）は図４２におけるＦ－Ｆ断面図である。図４４は、端子金具の端子接続部に対する締結接続部の締結加締め片の締結状態を示す図であって、図４４（ａ）は締結加締め片の締結前の図３７（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図、図４４（ｂ）は締結加締め片の締結開始時の図３７（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図、図４４（ｃ）は締結加締め片の締結過程の図３７（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図、図４４（ｄ）は締結加締め片の締結後の図３７（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図である。図４５は、他の形状の端子接続部の断面図である。図４６は、他の形状の端子接続部の断面図である。図４７は、他の形状の端子接続部の断面図である。図４８は、実施形態３－５に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図４８（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図４８（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。図４９は、実施形態３－５に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図４９（ａ）は端子金具と接続端子の斜視図、図４９（ｂ）は端子金具と接続端子の平面図である。図５０は、端子金具を説明する図であって、図５０（ａ）は正面図、図５０（ｂ）は側面図、図５０（ｃ）は断面図である。図５１は、端子金具の端子接続部に対する締結接続部の締結加締め片の締結状態を示す図であって、図５１（ａ）は締結加締め片の締結前の図４８（ｂ）におけるＨ－Ｈ断面図、図５１（ｂ）は締結加締め片の締結過程の図４８（ｂ）におけるＨ－Ｈ断面図、図５１（ｃ）は締結加締め片の締結後の図４８（ｂ）におけるＨ－Ｈ断面図である。図５２は、実施形態３－５の変形例に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図５２（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図５２（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。図５３は、実施形態３－５の変形例に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図５３（ａ）は端子金具と接続端子の斜視図、図５３（ｂ）は端子金具と接続端子の平面図である。図５４は、実施形態４－１に係る端子の接続構造を説明する図であって、図５４（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図５４（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。図５５は、実施形態４－１に係る端子の接続構造を説明する端子金具と接続端子の斜視図である。図５６は、実施形態４－１に係る端子の接続構造を説明する図であって、図５６（ａ）は図５４（ａ）におけるＡ矢視図、図５６（ｂ）は図５４（ａ）におけるＢ矢視図、図５６（ｃ）は図５４（ａ）におけるＣ矢視図である。図５７は、端子金具の端子接続部の断面図である。図５８は、端子接続部及び接続端子の斜視図である。図５９は、キャリアに連結された接続端子の平面図である。図６０は、接続端子を説明する図であって、図６０（ａ）は図５９におけるＤ－Ｄ断面図、図６０（ｂ）は図５９におけるＥ－Ｅ断面図、図６０（ｃ）は図５９におけるＦ－Ｆ断面図である。図６１は、端子金具の端子接続部に対する締結接続部の締結加締め片の締結状態を示す図であって、図６１（ａ）は締結加締め片の締結前の図５４（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図、図６１（ｂ）は締結加締め片の締結開始時の図５４（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図、図６１（ｃ）は締結加締め片の締結過程の図５４（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図、図６１（ｄ）は締結加締め片の締結後の図５４（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図である。図６２は、図６１（ｄ）におけるＪ－Ｊ断面図である。図６３は、変形例４－１を説明する端子接続部及び接続端子の斜視図である。図６４は、変形例４－２を説明する端子接続部及び接続端子の斜視図である。図６５は、変形例４－３を説明する端子接続部及び接続端子の斜視図である。図６６は、変形例４－４を説明する端子接続部及び接続端子の斜視図である。図６７は、他の形状の端子接続部の断面図である。図６８は、他の形状の端子接続部の断面図である。図６９は、他の形状の端子接続部の断面図である。図７０は、実施形態４－２に係る端子の接続構造を説明する図であって、図７０（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図７０（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。図７１は、実施形態４－２に係る端子の接続構造を説明する図であって、図７１（ａ）は端子金具と接続端子の斜視図、図７１（ｂ）は端子金具と接続端子の平面図である。図７２は、端子金具を説明する図であって、図７２（ａ）は正面図、図７２（ｂ）は側面図、図７２（ｃ）は断面図である。図７３は、端子金具の端子接続部に対する締結接続部の締結加締め片の締結状態を示す図であって、図７３（ａ）は締結加締め片の締結前の図７０（ｂ）におけるＨ－Ｈ断面図、図７３（ｂ）は締結加締め片の締結過程の図７０（ｂ）におけるＨ－Ｈ断面図、図７３（ｃ）は締結加締め片の締結後の図７０（ｂ）におけるＨ－Ｈ断面図、である。図７４は、実施形態４－２の変形例に係る端子の接続構造を説明する図であって、図７４（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図７４（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。図７５は、実施形態４－２の変形例に係る端子の接続構造を説明する図であって、図７５（ａ）は端子金具と接続端子の斜視図、図７５（ｂ）は端子金具と接続端子の平面図である。

　以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照しながら説明する。

＜実施形態１－１＞
　図１は、実施形態１－１に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図１（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図１（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。

　図１（ａ）（ｂ）に示すように、実施形態に係る端子金具の接続構造は、端子金具１０１０と、中継端子１０３０とから構成されている。中継端子１０３０は、端子金具１０１０に接続されて導通されている。

　端子金具１０１０は、車両のボディ等の接地面と導通接続される。端子金具１０１０に接続される中継端子１０３０は、車載の回路（補機）に繋がるワイヤハーネスから分岐された接地用電線（電線）Ｄの端部に設けられている。接地用電線Ｄは、導体部１００１と、導体部１００１を覆う外被１００２とを有しており、中継端子１０３０に接続される端部において、導体部１００１が外被１００２から露出されている。接地用電線Ｄは、導体部１００１が銅または銅合金からなる銅線である。なお、接地用電線Ｄとしては、導体部１００１がアルミニウムからなるアルミニウム線が用いられる場合もあり、また、銅線とアルミニウム線とが混在される場合もある。接地用電線Ｄは、その導体部１００１が中継端子１０３０と導通されている。これにより、車載の回路の接地用電線Ｄと車両のボディ等の接地面とが端子金具１０１０を介して導通される。

　中継端子１０３０には、１本から複数本の接地用電線Ｄが接続されている。本例では、中継端子１０３０は、１本の接地用電線Ｄが接続された中継端子１０３０、２本の接地用電線Ｄが接続された中継端子１０３０、３本の接地用電線Ｄが接続された中継端子１０３０及び４本の接地用電線Ｄが接続された中継端子１０３０を備えている。

　図２は、実施形態１－１に係る端子金具の接続構造を説明する端子金具と中継端子の斜視図である。図３は、実施形態１－１に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図３（ａ）は図１（ａ）におけるＡ矢視図、図３（ｂ）は図１（ａ）におけるＢ矢視図、図３（ｃ）は図１（ａ）におけるＣ矢視図である。

　図２及び図３（ａ）～（ｃ）に示すように、端子金具１０１０は、端子本体１０１１と端子接続部１０２１とを有している。端子金具１０１０は、導電性を有する金属板のプレス成形品である。端子本体１０１１は、平面視円形状の固定板部１０１２を有している。この固定板部１０１２には、その中央に円形の取付孔１０１３が形成されている。端子本体１０１１は、固定板部１０１２の取付孔１０１３を挿通するボルト（不図示）によって、車両のボディ等の接地面に締結固定される。なお、取付孔１０１３は固定板部１０１２の中央ではなく偏心して設けられていてもよい。

　固定板部１０１２には、その周縁の約半周部分に平面視円弧状の接続板部１０１４が設けられている。接続板部１０１４は、固定板部１０１２に対して一方の面側である上面側へ立設されている。接続板部１０１４は、その中央部分が固定板部１０１２に連結されている。また、固定板部１０１２には、その周縁に、平面視円弧状の二つの支持壁部１０１６を有している。これらの支持壁部１０１６は、固定板部１０１２に対して一方の面側である上面側へ立設されており、この支持壁部１０１６の外周面に沿って接続板部１０１４が配置されている。支持壁部１０１６には、その上縁に、複数の固定片１０１６ａが形成されている。これらの固定片１０１６ａは、接続板部１０１４の外面側へ折り返されており、これにより、接続板部１０１４は、その両端側が固定片１０１６ａによって係止されて支持壁部１０１６に支持されている。

　また、固定板部１０１２における接続板部１０１４と反対側には、回り止め片１０１５が形成されている。回り止め片１０１５は、端子本体１０１１をボルト締結する接地面の周囲の段差や孔部に係合する折り曲げ部で、この回り止め片１０１５が接地面の周囲の段差や孔部に係合することで、接地面に対する端子金具１０１０の回動を規制する。

　端子接続部１０２１は、端子本体１０１１の接続板部１０１４に一体に形成されている。端子接続部１０２１は、接続板部１０１４の上縁部分に複数設けられている。具体的には、接続板部１０１４に、４つの端子接続部１０２１が形成されている。これらの端子接続部１０２１は、同一平面内において、固定板部１０１２の周縁位置から放射線状に突出して延在されている。それぞれの端子接続部１０２１は、その両側部に、一方の面側である上面側へ突出し、上端部が内側へ円弧状に湾曲されて折り返された係合壁１０２２を有している。

　図４は、中継端子を説明する中継端子の斜視図である。

　図４に示すように、中継端子１０３０は、電線接続部１０３１と締結接続部１０３２とを有している。接地用電線Ｄに設けられた中継端子１０３０は、導電性を有する金属板のプレス成形品である。中継端子１０３０の電線接続部１０３１には、接地用電線Ｄが接続される。また、中継端子１０３０の締結接続部１０３２は、端子金具１０１０の端子接続部１０２１に締結される。

　電線接続部１０３１は、導体加締め部１０３３と被覆加締め部１０３４とを有している。導体加締め部１０３３は、一対の導体加締め片１０３３ａを有したＵ字状に形成されており、これらの導体加締め片１０３３ａを加締めることにより、接地用電線Ｄの導体部１００１が導体加締め部１０３３に加締められて固定される。これにより、接地用電線Ｄの導体部１００１と中継端子１０３０とが導通される。また、導体加締め部１０３３には、その内面に、加工によって粗面化された粗面部（セレーション）１０３３ｂが設けられている。これにより、導体加締め部１０３３に加締められた接地用電線Ｄの導体部１００１が中継端子１０３０に対して確実に導通される。被覆加締め部１０３４は、一対の被覆加締め片１０３４ａを有したＵ字状に形成されており、これらの被覆加締め片１０３４ａを加締めることで、接地用電線Ｄの外被１００２の先端部分が被覆加締め部１０３４に加締められて圧着固定される。

　中継端子１０３０の締結接続部１０３２は、一対の締結加締め片１０３２ａを有したＵ字状に形成されている。中継端子１０３０のＵ字状の締結接続部１０３２内に端子金具１０１０の端子接続部１０２１を配置させた状態で、締結加締め片１０３２ａを加締めると、締結加締め片１０３２ａが端子本体１０１１の端子接続部１０２１の両側部を構成する係合壁１０２２を外側から巻き込むように加締められ、これにより、端子接続部１０２１に対して締結接続部１０３２が高い接圧で強固に圧着固定され、端子金具１０１０と中継端子１０３０とが確実に導通される。

　次いで、接地用電線Ｄを端子金具１０１０に接続する場合について説明する。

　図５は、端子金具への接地用電線の接続手順を説明する図であって、図５（ａ）は接地用電線を接続した中継端子の概略平面図、図５（ｂ）は端子金具及び中継端子の概略平面図である。

　図５（ａ）に示すように、まず、前工程として、接地用電線Ｄを中継端子１０３０の電線接続部１０３１に接続する。接地用電線Ｄを端子金具１０１０に接続するには、接地用電線Ｄの端部において、外被１００２を除去して導体部１００１を露出させる。そして、接地用電線Ｄの端部を中継端子１０３０の電線接続部１０３１上に配置させ、導体加締め部１０３３を加締めるとともに、被覆加締め部１０３４を加締める。これにより、予め接地用電線Ｄを中継端子１０３０に接続しておく。

　ここで、中継端子１０３０には、１本の接地用電線Ｄまたは複数本の接地用電線Ｄを接続する。複数本の接地用電線Ｄを接続する場合は、各補機に繋がるワイヤハーネスから引き出して束ねてサブハーネスＳＷとして中継端子１０３０に接続する。本例では、各中継端子１０３０に対して、１本、２本、３本及び４本の接地用電線Ｄを接続する。

　図５（ｂ）に示すように、端子接続部１０２１に中継端子１０３０を接続する。具体的には、接地用電線Ｄに接続した中継端子１０３０の締結接続部１０３２を端子金具１０１０の端子接続部１０２１に裏面側からあてがい、締結加締め片１０３２ａを加締め、端子金具１０１０に中継端子１０３０を圧着固定させて接続させる。これにより、複数本の接地用電線Ｄは、端子金具１０１０に一括して導通される。そして、この端子金具１０１０を、車両の接地面にボルトで固定することで、複数本の接地用電線Ｄが接地され、車両のボディを経由してバッテリの負極へ導通される。

　以上、説明したように、実施形態１－１に係る端子金具の接続構造によれば、端子本体１０１１が接地面に締結固定される端子金具１０１０の複数の端子接続部１０２１に、接地用電線Ｄを導通接続させた中継端子１０３０を導通接続させることにより、例えば、車両のボディにおける少ない接地面に複数本の接地用電線Ｄを一括して接地させることができる。これにより、それぞれの接地用電線Ｄを接続した端子金具を重ねて接地面に締結して導通させる構造と比較し、端子金具を重ねる必要がないため、接地用電線Ｄの本数が増えたとしても端子金具１０１０の重量の増加を抑制でき、材料の削減による低コスト化が図られる。また、端子金具１０１０を重ねる必要がないため、導通接続されるべき接地用電線Ｄが増えても端子金具１０１０の厚みが増すことがなく省スペース化が図られる。しかも、接地面へ確実に締結することができ、その後の締結の緩みも抑制できる。

＜参考例１－１＞
　ここで、参考例１－１に係る端子金具の接続構造を説明する。図６は、参考例１－１に係る端子金具の概略平面図である。

　図６に示すように、参考例１－１における端子金具１１００は、接地面にボルト締結される端子本体１１０１と、複数本の接地用電線Ｄの導体部１００１が熱溶着等によって導通接続される接続部１１０２とを有している。この端子金具１１００の場合も、複数本の接地用電線Ｄを一括して接地させることができる。しかし、端子金具１１００では、接続部１１０２へ熱溶着等によって接続させる際に、複数の接地用電線Ｄの端部で被覆から導体部１００１を露出させ、それぞれの導体部１００１の先端を揃えなければならず、その作業が極めて煩雑かつ困難であり、また、揃えた導体部１００１が解れ、接続作業が困難となることもある。

　これに対して、実施形態１－１では、複数の中継端子１０３０を端子金具１０１０の端子接続部１０２１に接続することによって複数本の接地用電線Ｄを接地させる構造であるので、接地用電線Ｄの導体部１００１が解れないように束ねる整列作業を不要にでき、配線作業性を大幅に向上させることができる。

　更に、中継端子１０３０に対して複数の接地用電線Ｄを導通接続させることで、端子金具１０１０を介して接地面に一括接地させる接地用電線Ｄの本数を容易にかつ大幅に増やすことができる。

　加えて、まとめてサブハーネスＳＷとした接地用電線Ｄが予め導通接続された中継端子１０３０を、端子金具１０１０の端子接続部１０２１に接続することにより、極めて容易に、接地用電線Ｄを接地面に導通させることができる。これにより、接地用電線Ｄ以外の電線をサブハーネスとしてまとめやすくなり、その結果、先はめ率を向上させ、配線作業効率を高めることができる。

　なお、中継端子１０３０と接地用電線Ｄとの接続及び端子金具１０１０の端子接続部１０２１と中継端子１０３０との接続は、圧着によるものに限らない。中継端子１０３０と接地用電線Ｄとは、例えば、超音波接続、もしくは熱溶着などによって接続しても良い。また、端子金具１０１０の端子接続部１０２１と中継端子１０３０とは、例えば、超音波接続、熱溶着、もしくは互いに嵌合して接合するオスメス嵌合などによって接続しても良い。

＜実施形態２－１＞
　次いで、実施形態２－１に係る端子金具の接続構造及び接続方法について説明する。

　図７は、実施形態２－１に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図７（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図７（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。

　図７（ａ）（ｂ）に示すように、実施形態２－１に係る端子金具の接続構造では、端子金具２０１０の端子接続部２０２１と中継端子２０３０とが接続されている。端子金具２０１０は、車両のボディ等の接地面と導通接続される。端子金具２０１０に接続される中継端子２０３０は、車載の回路（補機）の接地用電線（電線）Ｄの端部に設けられている。接地用電線Ｄは、導体部２００１と、この導体部２００１を覆う外被２００２とを有しており、中継端子２０３０に接続される端部において、導体部２００１が外被２００２から露出されている。接地用電線Ｄは、導体部２００１が中継端子２０３０と導通されている。これにより、車載の回路の接地用電線Ｄと車両のボディ等の接地面とが端子金具２０１０を介して導通される。

　図８は、実施形態２－１に係る端子金具の接続構造を説明する端子金具と中継端子の斜視図である。図９は、実施形態２－１に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図９（ａ）は図７（ａ）におけるＡ矢視図、図９（ｂ）は図７（ａ）におけるＢ矢視図、図９（ｃ）は図７（ａ）におけるＣ矢視図である。図１０は、端子金具の端子接続部の断面図である。

　図８及び図９（ａ）～（ｃ）に示すように、端子金具２０１０は、端子本体２０１１と、複数の端子接続部２０２１を有する電線接続部本体２０１９とを有している。端子金具２０１０は、導電性を有する金属板のプレス成形品である。端子本体２０１１は、平面視円形状の固定板部２０１２を有している。固定板部２０１２には、その中央に円形の取付孔２０１３が形成されている。端子本体２０１１は、固定板部２０１２の取付孔２０１３を挿通するボルト（不図示）によって、車両のボディ等の接地面に固定される。なお、取付孔２０１３は固定板部２０１２の中央ではなく偏心して設けられていてもよい。

　固定板部２０１２の一部には、回り止め片２０１５が形成されている。回り止め片２０１５は、端子本体２０１１をボルト締結する接地面の周囲の段差や孔部に係合する折り曲げ部で、回り止め片２０１５が接地面の周囲の段差や孔部に係合することにより、接地面に対する端子金具２０１０の回動を規制する。

　固定板部２０１２は、その周縁に、平面視円弧状の二つの支持壁部２０１６が形成されている。これらの支持壁部２０１６は、固定板部２０１２に対して一方の面側である上面側へ立設されている。また、電線接続部本体２０１９には、固定板部２０１２の周縁の約半周の範囲に平面視円弧状の接続板部２０１４が設けられている。接続板部２０１４は、固定板部２０１２に対して一方の面側である上面側へ立設されている。接続板部２０１４は、支持壁部２０１６の外周面に沿って配置されている。

　支持壁部２０１６には、その上縁に、複数の係止片２０１６ａが形成されている。これらの係止片２０１６ａは、接続板部２０１４の外面側へ折り返されており、これにより、接続板部２０１４は、その両端側が係止片２０１６ａによって係止されて支持壁部２０１６に支持されている。

　これにより、端子金具２０１０では、支持壁部２０１６の係止片２０１６ａによって接続板部２０１４が係止された部分が連結部２０２０とされている。つまり、端子金具２０１０は、複数の連結部２０２０を有しており、複数の連結部２０２０により、端子本体２０１１と電線接続部本体２０１９とが互いに連結されている。

　端子接続部２０２１は、端子本体２０１１の接続板部２０１４に一体に形成されている。端子接続部２０２１は、接続板部２０１４の上縁部分に複数設けられている。具体的には、接続板部２０１４に、４つの端子接続部２０２１が形成されている。これらの端子接続部２０２１は、同一平面内において、固定板部２０１２の周縁位置から放射線状に突出して延在されている。

　図１０に示すように、それぞれの端子接続部２０２１は、その両側部に、一方の面側である上面側へ突出する係合壁２０２２を有している。これにより、それぞれの端子接続部２０２１は、正面視で凹形状に形成されている。また、これらの係合壁２０２２には、その上端部に、内側へ円弧状に湾曲されて折り返された係合片２０２２ａを有している。端子接続部２０２１は、その底部が外側へ膨出するように湾曲されている。

　図１１は、端子接続部及び中継端子の斜視図である。図１２は、キャリアに連結された中継端子の平面図である。図１３は、中継端子を説明する図であって、図１３（ａ）は図１２におけるＤ－Ｄ断面図、図１３（ｂ）は図１２におけるＥ－Ｅ断面図、図１３（ｃ）は図１２におけるＦ－Ｆ断面図である。

　図１１に示すように、中継端子２０３０は、電線接続部２０３１と締結接続部２０３２とを有している。電線接続部２０３１には、接地用電線Ｄが接続される。接地用電線Ｄに設けられた中継端子２０３０は、導電性を有する金属板のプレス成形品である。締結接続部２０３２は、端子金具２０１０の端子接続部２０２１に締結される。

　図１２に示すように、中継端子２０３０は、帯状のキャリア２０３５に電線接続部２０３１側が連結されて供給され、キャリア２０３５から切り離されて用いられる。電線接続部２０３１は、導体加締め部２０３３と被覆加締め部２０３４とを有している。

　図１１及び図１３（ａ）に示すように、導体加締め部２０３３は、一対の導体加締め片２０３３ａを有したＵ字状に形成されており、導体加締め片２０３３ａを加締めることにより、接地用電線Ｄの導体部２００１が導体加締め部２０３３に加締められて固定される。これにより、接地用電線Ｄの導体部２００１と中継端子２０３０とが導通される。また、導体加締め部２０３３には、その内面に、加工によって粗面化された粗面部（セレーション）２０３３ｂが設けられている。なお、粗面部２０３３ｂは、図示される形状に限定されない。これにより、導体加締め部２０３３に加締められた接地用電線Ｄの導体部２００１が中継端子２０３０に対して確実に導通される。

　図１１及び図１３（ｂ）に示すように、被覆加締め部２０３４は、一対の被覆加締め片２０３４ａを有したＵ字状に形成されており、これらの被覆加締め片２０３４ａを加締めることにより、接地用電線Ｄの外被２００２の先端部分が被覆加締め部２０３４に加締められて固定される。

　接地用電線Ｄを中継端子２０３０に接続するには、接地用電線Ｄの端部において、外被２００２を除去して導体部２００１を露出させる。そして、接地用電線Ｄの端部をキャリア２０３５から切り離した中継端子２０３０の電線接続部２０３１上に配置させ、導体加締め部２０３３を加締めるとともに、被覆加締め部２０３４を加締める。これにより、接地用電線Ｄが中継端子２０３０に導通接続される。

　図１１及び図１３（ｃ）に示すように、中継端子２０３０の締結接続部２０３２は、一対の締結加締め片２０３２ａを有している。締結加締め片２０３２ａは、それぞれ底部から上方へ立ち上げられている。また、締結加締め片２０３２ａは、その上端部が内側へ円弧状に湾曲されて折り返されている。

　これにより、中継端子２０３０の締結接続部２０３２には、締結加締め片２０３２ａで囲われた保持空間Ｓが形成されている。この保持空間Ｓの両側面は、上方へ立ち上げられた締結加締め片２０３２ａによって略垂直面とされており、この両側面は、回転規制面２０３６とされている。また、保持空間Ｓを形成する底面２０３７は、下方へ僅かに膨出するように湾曲されている。

　締結接続部２０３２の保持空間Ｓは、正面視で端子接続部２０２１の外形よりも僅かに大きく形成されている。これにより、保持空間Ｓには、端子接続部２０２１が挿入可能とされている（図１５（ａ）参照）。そして、この保持空間Ｓに端子接続部２０２１が挿入された状態では、保持空間Ｓを形成する両側面からなる回転規制面２０３６に当接することにより、保持空間Ｓへの端子接続部２０２１の挿入方向に沿う軸線を中心とした端子接続部２０２１の回転が規制される。

　次いで、端子金具２０１０の端子接続部２０２１へ中継端子２０３０を締結する場合について説明する。
　図１４は、中継端子及び端子接続部がセットされた圧着機の概略断面図である。図１５は、端子金具の端子接続部に対する締結接続部の締結加締め片の締結状態を示す図であって、図１５（ａ）は締結加締め片の締結前の図７（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図、図１５（ｂ）は締結加締め片の締結過程の図７（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図、図１５（ｃ）は締結加締め片の締結後の図７（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図である。

　図１４に示すように、中継端子２０３０を端子接続部２０２１に圧着して締結させる圧着機２０４１は、アンビル２０４２と、アンビル２０４２に対して近接離間可能なクリンパ２０４３とを有している。アンビル２０４２は、その上面が載置面２０４２ａとされており、この載置面２０４２ａに中継端子２０３０が載置される。載置面２０４２ａは下方へ僅かに円弧状に凹んだ形状とされている。これにより、載置面２０４２ａに載置された中継端子２０３０がアンビル２０４２上に配置される。クリンパ２０４３は、アンビル２０４２へ向かって緩やかに広がる誘い面２０４３ａを有する凹状に形成されており、凹状部分の上部には、それぞれの締結加締め片２０３２ａを内側へ向かって案内しながら押圧する押圧面２０４３ｂを有している。

（仮固定工程）
　図１５（ａ）に示すように、まず、中継端子２０３０と端子接続部２０２１とを仮固定する。具体的には、中継端子２０３０の保持空間Ｓへ端子接続部２０２１を挿入する。このように、保持空間Ｓへ端子接続部２０２１を挿入すると、端子接続部２０２１は、その両側部が保持空間Ｓの両側面からなる回転規制面２０３６に当接することにより、挿入方向に沿う軸線を中心とした回転が規制された状態で、中継端子２０３０の締結接続部２０３２に保持される。これにより、端子接続部２０２１は、中継端子２０３０に対して所定の姿勢に維持される。

　また、保持空間Ｓは、その底面２０３７が下方へ凹状に湾曲されているので、保持空間Ｓに挿入された端子接続部２０２１は、底面２０３７上で安定した姿勢となる。特に、端子接続部２０２１は、その底部が外側へ膨出するように湾曲されているので、保持空間Ｓの底面２０３７に嵌り込んで安定する。

（設置工程）
　図１４に示すように、端子接続部２０２１を仮固定した中継端子２０３０を圧着機２０４１のアンビル２０４２の載置面２０４２ａに載置させる。この状態においても、端子接続部２０２１は、保持空間Ｓに挿入されているので、挿入方向に沿う軸線を中心とした回転が規制され、中継端子２０３０に対して所定の姿勢に維持される。

（締結工程）
　圧着機２０４１を作動させて圧着を開始させ、圧着機２０４１のクリンパ２０４３を下降させる。すると、クリンパ２０４３の中継端子２０３０が誘い面２０４３ａによって凹状部分に案内される。このときも、端子接続部２０２１は、保持空間Ｓ内で中継端子２０３０に対して所定の姿勢に維持される。その後、クリンパ２０４３の押圧面２０４３ｂが締結接続部２０３２の締結加締め片２０３２ａの上部に当接し、これにより、締結加締め片２０３２ａが押し潰されて加締めが開始される。

　すると、図１５（ｂ）に示すように、締結加締め片２０３２ａが端子接続部２０２１の両側部を巻き込み、その後、締結加締め片２０３２ａは、端子接続部２０２１の係合壁２０２２及びその上端の係合片２０２２ａを外側から巻き込むように加締められる。

　これにより、図１５（ｃ）に示すように、係合片２０２２ａを有する係合壁２０２２が締結加締め片２０３２ａの内側で丸まって隙間なく収容され、締結接続部２０３２内に端子接続部２０２１が充填された状態となる。したがって、端子接続部２０２１に対して締結接続部２０３２が高い接圧で強固に締結されるとともに、端子金具２０１０と中継端子２０３０とが確実に導通される。

　上記の工程によって端子金具２０１０のそれぞれの端子接続部２０２１と中継端子２０３０とを締結して接続すると、複数本の接地用電線Ｄは、端子金具２０１０に一括して導通される。そして、この端子金具２０１０を、車両の接地面にボルトで固定することにより、複数本の接地用電線Ｄが接地される。

＜参考例２－１＞
　次いで、参考例２－１について説明する。
　図１６は、参考例２－１を説明する中継端子及び端子接続部がセットされた圧着機の概略断面図である。図１７は、参考例２－１に係る端子金具の端子接続部と締結接続部の締結加締め片との締結状態を示す図であって、図１７（ａ）は締結加締め片の締結前の図７（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図、図１７（ｂ）は締結加締め片の締結後の図７（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図である。

　図１６に示すように、参考例２－１では、締結接続部２０３２の締結加締め片２０３２ａが上方へ向かって互いに離間して広がる形状とされている。このような形状の締結加締め片２０３２ａを有する中継端子２０３０に端子接続部２０２１を圧着する圧着機２０４１は、広がる締結加締め片２０３２ａをクリンパ２０４３の凹状部分へ誘い込む誘い面２０４３ａも大きく広がる形状としなければならない。したがって、圧着機２０４１の大型化によって作業スペースの占有を招いてしまう。

　また、図１７（ａ）に示すように、締結加締め片２０３２ａが上方へ向かって広がる締結接続部２０３２に端子接続部２０２１を挿入して載置させると、端子接続部２０２１の姿勢が安定せず、端子接続部２０２１が挿入方向に沿う軸線を中心として回転してしまう。そして、このように、姿勢が崩れた状態で圧着を行うと、図１７（ｂ）に示すように、締結加締め片２０３２ａの端子接続部２０２１への食い込み量のバランスが崩れ、締結不足などによる接続信頼性の低下を招いてしまう。

　以上、説明したように、本実施形態に係る端子金具の接続構造によれば、中継端子２０３０の締結加締め片２０３２ａによって囲われた保持空間Ｓに端子接続部２０２１を挿入することにより、端子接続部２０２１が中継端子２０３０に保持されるので、中継端子２０３０に端子接続部２０２１を保持させた状態で締結加締め片２０３２ａを加締めて締結させることができる。これにより、締結時における端子接続部２０２１を安定した姿勢に維持させることができ、圧着強度のばらつきを抑えて高い接続信頼性を得ることができる。

　また、本実施形態に係る端子金具の接続方法によれば、中継端子２０３０に予め形成した保持空間Ｓに端子接続部２０２１を挿入して保持させ、締結加締め片２０３２ａを押し潰して保持空間Ｓ内の端子接続部２０２１の両側部の外側を巻き込むように加締める締結加締め片２０３２ａを締結することにより、中継端子２０３０に対する端子接続部２０２１の姿勢を安定させた状態で締結作業を行うことができる。これにより、作業性の向上を図ることができるとともに、圧着強度のばらつきを抑えて高い接続信頼性を得ることができる。また、予め中継端子２０３０に保持空間Ｓを形成することにより、締結加締め片２０３２ａが上方へ向かって広がるＵ字状に形成されたもの（図１６，図１７参照）と比較し、幅寸法を抑えることができる。これにより、圧着機２０４１で締結する際のクリンパ２０４３等の部品の小型化による作業スペースの削減が図れる。例えば、図１４に示すように、上方へ向かって広がるＵ字状に形成された締結加締め片２０３２ａを加締める場合と比較し、誘い面２０４３ａを小さくできるので、クリンパ２０４３の幅寸法をＷ１から大幅に小さいＷ２とできる。

　また、保持空間Ｓに挿入された端子接続部２０２１は、保持空間Ｓの両側面からなる回転規制面２０３６によって挿入方向に沿う軸線を中心とした回転が規制された状態で、中継端子２０３０に保持される。これにより、中継端子２０３０に対して端子接続部２０２１をさらに安定した姿勢に維持させることができ、締結の精度を高めることができる。

　しかも、保持空間Ｓに挿入された端子接続部２０２１は、下方へ湾曲された保持空間Ｓの底面２０３７で安定した状態に保持される。これにより、中継端子２０３０に対して端子接続部２０２１をさらに安定した姿勢に維持させることができ、締結の精度を高めることができる。

　また、本実施形態によれば、端子金具２０１０に複数本の接地用電線Ｄを接続することにより、複数本の接地用電線Ｄを一括して端子金具２０１０に導通接続させることができるので、それぞれの接地用電線に接続された端子金具を重ねて締結して導通させる構造と比較し、端子金具２０１０を重ねる必要がないため、接地用電線Ｄの本数が増えたとしても端子金具２０１０の重量の増加を抑制できる。また、端子金具２０１０を重ねる必要がないため、導通接続されるべき接地用電線Ｄが増えても端子金具２０１０の厚みが増すことがなく省スペース化が図られる。しかも、端子金具２０１０の端子接続部２０２１に中継端子２０３０を締結するので、中継端子２０３０を保持する特別な保持機構を不要にできる。これにより、ハウジング内に端子を保持する保持機構を備える必要があるジョイントコネクタと比較し、小型化及び低コスト化が図れる。

　また、端子金具２０１０に対して別体の中継端子２０３０を締結して接続する構造であるので、異なるサイズの接地用電線Ｄが接続された中継端子２０３０を端子接続部２０２１に締結して導通させることができる。つまり、端子金具２０１０の端子接続部２０２１と中継端子２０３０の締結接続部２０３２との接続形態を変更することなく、様々なサイズの接地用電線Ｄに対応できる。また、端子接続部２０２１の数が異なる端子金具２０１０を用意しておくことにより、導通させる接地用電線Ｄの本数の増減に対して容易に対応できる。

　ここで、例えば、接地用電線Ｄを接続可能な複数の接続部が一体に形成された端子金具であっても、複数の接地用電線Ｄを一括して導通させることは可能である。しかし、このような端子金具では、接続する接地用電線Ｄの本数に応じて端子金具を用意しなければならない。また、接地用電線Ｄのサイズの変更に応じて、その接地用電線Ｄに対応した接続部を有するものを用意しなければならない。

　これに対して、実施形態２－１に係る端子金具の接続構造によれば、導通させる接地用電線Ｄの本数やサイズの変更に対して、必要最小限のバリエーションの端子金具２０１０で対応できる。

　しかも、端子金具２０１０の複数の端子接続部２０２１に中継端子２０３０を締結する構造であるので、必要に応じて端子接続部２０２１に中継端子２０３０を締結させることができ、これにより、端子接続部２０２１の数の範囲内において一括して導通させる接地用電線Ｄの本数を容易に増減させることができる。

　また、端子接続部２０２１の両側部には、締結加締め片２０３２ａに係合する係合壁２０２２が形成されている。したがって、中継端子２０３０の締結加締め片２０３２ａを端子接続部２０２１に加締めることにより、締結加締め片２０３２ａが端子接続部２０２１の係合壁２０２２に係合する。これにより、端子接続部２０２１に締結加締め片２０３２ａを確実に圧着して端子接続部２０２１への中継端子２０３０の接続強度をさらに高めることができ、接続箇所における電気抵抗を安定させて電気的接続を良好にできる。

　特に、端子接続部２０２１の係合壁２０２２の上端に、内側へ折り返された係合片２０２２ａが形成されているので、端子接続部２０２１に締結加締め片２０３２ａを確実に圧着して中継端子２０３０の締結加締め片２０３２ａとの係合力をより高めることができ、高い接続強度を確実に得ることができる。これにより、接続箇所における電気抵抗を安定させて電気的接続を良好にできる。

　しかも、端子接続部２０２１は、同一平面内において、放射線状に延在されている。したがって、端子金具２０１０の占有面積を極力抑えつつ、多くの端子接続部２０２１を設けることができ、よって、多くの接地用電線Ｄを一括して接続できる。

　また、本実施形態に係る端子金具の接続構造では、解体時には、連結部２０２０で端子本体２０１１に連結されている電線接続部本体２０１９を分離せることにより、複数本の接地用電線Ｄを一括して端子本体２０１１から分離させることができ、良好なリサイクル性を得ることができる。

　しかも、端子本体２０１１と電線接続部本体２０１９とを連結している連結部２０２０の係止片２０１６ａによる係止力を調整して連結強度を、例えば、接地用電線Ｄの径や接続本数などの配線状況に応じて調整することにより、配線時における接続強度を確実に確保しつつ解体時における良好な分離性も確保することができ、耐久性とリサイクル性とを両立させることができる。例えば、端子本体２０１１と電線接続部本体２０１９との連結強度を、接続強度として必要な強度から良好に分離可能な強度の範囲（例えば、１００Ｎ～５００Ｎ）に調整できる。

　なお、上記実施形態では、端子接続部２０２１として、両側部に係合壁２０２２を設けて断面視凹形状とし、係合壁２０２２の上端部に、内側へ円弧状に湾曲されて折り返された係合片２０２２ａを形成したが、端子接続部２０２１の断面形状は上記のものに限らない。

＜実施形態２－１の変形例＞
　図１８から図２０は、それぞれ他の形状の端子接続部の断面図である。
　図１８に示すように、端子接続部２０２１としては、その底部が平板状に形成されたものでも良い。このように、端子接続部２０２１の底部が平板状であっても、中継端子２０３０の保持空間Ｓへ挿入すれば、端子接続部２０２１の両側部が保持空間Ｓの回転規制面２０３６に当接することにより姿勢が安定し、バランス良く圧着させることができる。

　また、図１９に示すように、端子接続部２０２１としては、両側部の係合壁２０２２が上方へ向かって互いに離間する断面視Ｖ字形状とし、係合壁２０２２の上端に、内側へ屈曲させて折り返した係合片２０２２ａを形成しても良い。この形状の場合も、端子接続部２０２１の係合壁２０２２の上端の係合片２０２２ａに締結加締め片２０３２ａを強固に係合させて高い接続強度を確実に得ることができる。

　なお、端子接続部２０２１と中継端子２０３０との間における耐引張り強度があまり必要ない場合では、図２０に示すように、端子接続部２０２１としては、係合壁２０２２の上端に係合片２０２２ａを設けない断面凹形状としても良い。

　次いで、変形例について説明する。
　なお、上記実施形態２－１と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
　図２１は、変形例に係る端子金具及びその接続構造を示す接地用電線が接続された端子金具の斜視図である。図２２は、端子金具の連結部を示す図であって、図２２（ａ）は連結部の平面図、図２２（ｂ）は連結部の断面図である。

　図２１に示すように、変形例に係る端子金具２０１０Ａでは、車両のボディに締結される端子本体２０１１と、複数本の接地用電線Ｄが接続される電線接続部本体２０１９とが、複数の連結部２０２０で連結されている。端子金具２０１０Ａでは、それぞれ端子本体２０１１と電線接続部本体２０１９との間の一体的に連結された板状部が連結部２０２０とされている。

　図２２（ａ），（ｂ）に示すように、端子金具２０１０Ａでは、板状部からなる連結部２０２０に、幅方向に沿う溝部からなるノッチ２０２６が形成されている。このノッチ２０２６を有する連結部２０２０は、そのノッチ２０２６の深さ寸法ｄ、長さ寸法ｌ及び溝幅寸法ｗを調整することにより、連結部２０２０における引っ張り力、せん断力が調整可能とされている。つまり、ノッチ２０２６を有する連結部２０２０では、端子本体２０１１と電線接続部本体２０１９との連結強度を調整することが可能とされている。なお、連結部２０２０での連結強度の調整は、連結部２０２０の幅寸法、板厚を調整することでも可能である。

　端子金具２０１０Ａでは、車両の解体時に、接地用電線Ｄを把持して引っ張ると、その引っ張り力が所定値（例えば、５００Ｎ）に達することにより、端子本体２０１１と電線接続部本体２０１９との間の連結部２０２０が破断する。これにより、車両のボディに締結された端子本体２０１１と複数本の接地用電線Ｄが接続された電線接続部本体２０１９とが分離される。

　端子金具２０１０Ａでは、端子本体２０１１と電線接続部本体２０１９とを連結している連結部２０２０での連結強度を、例えば、接地用電線Ｄの径や接続本数などの配線状況に応じて調整することにより、配線時における接続強度を確実に確保しつつ解体時における良好な分離性も確保することができ、耐久性とリサイクル性とを両立させることができる。

　また、連結部２０２０を構成する板状部のノッチ２０２６の深さ寸法ｄ、長さ寸法ｌ及び溝幅寸法ｗを調整することにより、極めて容易に端子本体２０１１と電線接続部本体２０１９との連結強度を調整できる。

　なお、上記実施形態２－１では、４つの端子接続部２０２１を有する端子金具２０１０を用いた場合を例にとって説明したが、端子金具２０１０の端子接続部２０２１は、複数であれば４つに限らない。

＜実施形態２－２＞
　次いで、実施形態２－２に係る端子金具の接続構造について説明する。なお、端子金具以外は、実施形態２－１と略同一構造であるので、同一符号を付して説明を省略する。

　図２３は、実施形態２－２に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図２３（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図２３（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。図２４は、実施形態２－２に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図２４（ａ）は端子金具と中継端子の斜視図、図２４（ｂ）は端子金具と中継端子の平面図である。

　図２３（ａ）（ｂ）及び図２４（ａ）（ｂ）に示すように、本実施形態に係る端子金具の接続構造では、端子金具２１１０と中継端子２０３０とが接続されている。端子金具２１１０も、車両のボディ等の接地面と導通接続される。これにより、車載の回路の接地用電線Ｄと車両のボディ等の接地面とが端子金具２１１０を介して導通される。中継端子２０３０には、例えば、８ｓｑ（ｓｑｕａｒｅ　ｍｉｌｌｉｍｅｔｅｒ）のサイズの接地用電線Ｄが接続される。

　図２５は、端子金具を説明する図であって、図２５（ａ）は正面図、図２５（ｂ）は側面図、図２５（ｃ）は断面図である。図２６は、端子金具の端子接続部に対する締結接続部の締結加締め片の締結状態を示す図であって、図２６（ａ）は締結加締め片の締結前の図２３（ｂ）におけるＨ－Ｈ断面図、図２６（ｂ）は締結加締め片の締結過程の図２３（ｂ）におけるＨ－Ｈ断面図、図２６（ｃ）は締結加締め片の締結後の図２３（ｂ）におけるＨ－Ｈ断面図である。

　図２５（ａ）～（ｃ）に示すように、端子金具２１１０は、端子本体２１１１と端子接続部２１２１とを有している。端子金具２１１０は、導電性を有する金属板のプレス成形品である。端子本体２１１１は、平面視円形状の固定板部２１１２を有している。この固定板部２１１２には、その中央に円形の取付孔２１１３が形成されている。端子本体２１１１は、固定板部２１１２の取付孔２１１３を挿通するボルト（不図示）によって、車両のボディ等の接地面に固定される。なお、取付孔２１１３は固定板部２１１２の中央ではなく偏心して設けられていてもよい。

　固定板部２１１２には、その周縁の約半周部分に接続板部２１１４が形成されている。接続板部２１１４は、一方の面側である上面側へ張り出している。これにより、固定板部２１１２と接続板部２１１４との間に段差が形成されている。また、固定板部２１１２における接続板部２１１４以外の部分には、その周方向の中央位置に、回り止め片２１１５が形成されている。回り止め片２１１５は、端子本体２１１１をボルト締結する接地面の周囲の段差や孔部に係合する折り曲げ部で、この回り止め片２１１５が接地面の周囲の段差や孔部に係合することにより、接地面に対する端子金具２１１０の回動を規制する。

　端子接続部２１２１は、端子本体２１１１の接続板部２１１４に一体に形成されている。端子接続部２１２１は、接続板部２１１４に複数設けられている。具体的には、接続板部２１１４に、３つの端子接続部２１２１が形成されている。これらの端子接続部２１２１は、同一平面内において、固定板部２１１２の周縁からそれぞれ同一方向へ突出して延在されており、それぞれ幅方向に間隔をあけて配置されている。なお、両側の端子接続部２１２１よりも中央側の端子接続部２１２１の方が延在方向へ向かって突出されている。

　それぞれの端子接続部２１２１は、その両側部に、一方の面側である上面側へ突出する係合壁２１２２を有している。これにより、それぞれの端子接続部２１２１は、正面視で凹形状に形成されている。なお、端子接続部２１２１の互いに隣り合う係合壁２１２２同士は、固定板部２１１２側に形成された周壁部２１２３に連続的に形成されている。

　上記の端子金具２１１０に接地用電線Ｄを接続するには、まず、接地用電線Ｄの端部において、外被２００２を除去して導体部２００１を露出させる。そして、接地用電線Ｄの端部をキャリア２０３５から切り離した中継端子２０３０の電線接続部２０３１上に配置させ、導体加締め部２０３３を加締めるとともに、被覆加締め部２０３４を加締める。これにより、接地用電線Ｄに中継端子２０３０を接続する。

　次いで、接地用電線Ｄに接続した中継端子２０３０の締結接続部２０３２の保持空間Ｓに端子金具２１１０の端子接続部２１２１を挿入して仮固定し、締結加締め片２０３２ａを加締める。

　ここで、図２６（ａ）に示すように、中継端子２０３０の締結接続部２０３２保持空間Ｓ内に端子金具２１１０の端子接続部２１２１を配置させた状態で、締結加締め片２０３２ａを加締めると、その加締め開始時に、図２６（ｂ）に示すように、締結加締め片２０３２ａが端子本体２１１１の端子接続部２１２１の両側部を巻き込む。

　その後、図２６（ｃ）に示すように、締結加締め片２０３２ａは、端子接続部２１２１の係合壁２１２２を外側から巻き込むように加締められ、これにより、係合壁２１２２が締結加締め片２０３２ａの内側で丸まって隙間なく収容され、締結接続部２０３２内に端子接続部２１２１が充填された状態となる。また、このときも、端子接続部２１２１は、保持空間Ｓ内で中継端子２０３０に対して所定の姿勢に維持される。したがって、端子接続部２１２１に対して締結接続部２０３２が高い接圧で強固に締結されるとともに、端子金具２１１０と中継端子２０３０とがバランス良く圧着されて確実に導通される。

　端子金具２１１０のそれぞれの端子接続部２１２１に対して上記のように中継端子２０３０を締結する。これにより、複数本の接地用電線Ｄは、端子金具２１１０に一括して導通される。そして、この端子金具２１１０を、車両の接地面にボルトで固定することにより、複数本の接地用電線Ｄが接地される。

　以上、説明したように、実施形態２－２の場合も、中継端子２０３０の締結加締め片２０３２ａによって囲われた保持空間Ｓに端子接続部２１２１を挿入することにより、端子接続部２１２１が中継端子２０３０に保持されるので、中継端子２０３０に端子接続部２１２１を保持させた状態で締結加締め片２０３２ａを加締めて締結させることができる。これにより、締結時における端子接続部２１２１を安定した姿勢に維持させることができ、圧着強度のばらつきを抑えて高い接続信頼性を得ることができる。

　また、中継端子２０３０に対する端子接続部２１２１の姿勢を安定させた状態で締結作業を行うことができるので、作業性の向上を図ることができるとともに、圧着強度のばらつきを抑えて高い接続信頼性を得ることができる。また、予め中継端子２０３０に保持空間Ｓを形成することにより、締結加締め片２０３２ａが上方へ向かって広がるＵ字状に形成されたものと比較し、幅寸法を抑えることができる。これにより、圧着機２０４１で締結する際のクリンパ２０４３等の部品の小型化による作業スペースの削減が図れる。

　また、実施形態２－２に係る端子金具の接続構造の場合も、接地用電線Ｄに接続された中継端子２０３０を端子金具２１１０の端子接続部２１２１に加締めて締結させることにより、端子金具２１１０に対して複数本の接地用電線Ｄを確実かつ高い接続信頼性で一括して導通接続させることができる。

　また、実施形態２－１と同様に、端子金具２１１０に設けられた複数の端子接続部２１２１に、複数本の接地用電線Ｄに接続された中継端子２０３０の締結加締め片２０３２ａを加締めることにより、端子金具２１１０に中継端子２０３０を締結して複数本の接地用電線Ｄを一括して端子金具２１１０に導通接続させることができる。これにより、それぞれの電線に接続された端子金具を重ねて締結して導通させる構造と比較し、端子金具２１１０を重ねる必要がないため、電線の本数が増えたとしても端子金具の重量の増加を抑制できる。また、端子金具を重ねる必要がないため、導通されるべき電線が増えても厚みが増すことがなく省スペース化が図られる。しかも、端子金具２１１０の端子接続部２１２１に中継端子２０３０を締結するので、中継端子２０３０を保持する特別な保持機構を不要にできる。これにより、ハウジング内に端子を保持する保持機構を備える必要があるジョイントコネクタと比較し、小型化及び低コスト化が図れる。

　また、端子金具２１１０に対して別体の中継端子２０３０を締結して接続する構造であるので、異なるサイズの接地用電線Ｄが接続された中継端子２０３０を端子接続部２１２１に締結して導通させることができる。つまり、端子金具２１１０の端子接続部２１２１と中継端子２０３０の締結接続部２０３２との接続形態を変更することなく、様々なサイズの接地用電線Ｄに対応できる。また、端子接続部２１２１の数が異なる端子金具２１１０を用意しておくことにより、導通させる接地用電線Ｄの本数の増減に対して容易に対応できる。

　つまり、実施形態２－２に係る端子金具の接続構造の場合も、導通させる接地用電線Ｄの本数やサイズの変更に対して、必要最小限のバリエーションの端子金具２１１０で対応できる。

　しかも、端子金具２１１０の複数の端子接続部２１２１に中継端子２０３０を締結する構造であるので、必要に応じて端子接続部２１２１に中継端子２０３０を締結させることができ、これにより、端子接続部２１２１の数の範囲内において一括して導通させる接地用電線Ｄの本数を容易に増減させることができる。

　また、端子接続部２１２１の両側部には、締結加締め片２０３２ａに係合する係合壁２１２２が形成されている。したがって、中継端子２０３０の締結加締め片２０３２ａを端子接続部２１２１に加締めることにより、締結加締め片２０３２ａが端子接続部２１２１の係合壁２１２２に係合する。これにより、端子接続部２１２１に締結加締め片２０３２ａを確実に圧着して端子接続部２１２１への中継端子２０３０の接続強度をさらに高めることができ、接続箇所における電気抵抗を安定させて電気的接続を良好にできる。

　しかも、端子接続部２１２１は、同一平面内において、互いに間隔をあけてそれぞれ同一方向へ延在されている。したがって、端子金具２１１０に対する中継端子２０３０の接続方向及び接地用電線Ｄの配線方向を同一方向に揃えることができ、端子金具２１１０の端子接続部２１２１への中継端子２０３０の締結作業性を向上させることができる。また、接地用電線Ｄの配線方向を同一方向に揃えて幹線の流れに沿わすことができ、しかも、接地用電線Ｄの無駄な広がりや中継端子２０３０付近における接地用電線Ｄの屈曲を極力抑えることができる。

　また、実施形態２－２における端子金具２０１０の端子接続部２１２１においても、実施形態２－１と同様に、係合壁２１２２の上端に係合片を形成しても良く、また、断面形状をＶ字形状としても良い。

　なお、上記端子金具２０１０では、３つの端子接続部２１２１を有する場合を例にとって説明したが、端子金具２１１０の端子接続部２１２１は、複数であれば３つに限らない。

＜実施形態２－２の変形例＞
　次いで、実施形態２－２の変形例として、端子接続部２１２１の数が異なる端子金具の接続構造を説明する。なお、上記の例と同一構成部分は同一符号を付して説明を省略する。

　図２７は、実施形態２－２の変形例に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図２７（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図２７（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。図２８は、実施形態２－２の変形例に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図２８（ａ）は端子金具と中継端子の斜視図、図２８（ｂ）は端子金具と中継端子の平面図である。

　図２７（ａ）（ｂ）及び図２８（ａ）（ｂ）に示すように、この端子金具２１１０Ａは、５つの端子接続部２１２１を備えている。これらの端子接続部２１２１も同一方向へ延在されており、それぞれ幅方向に間隔をあけて配置されている。そして、この端子金具２１１０Ａの端子接続部２１２１にも、それぞれ中継端子２０３０が締結されて接地用電線Ｄが接続される。中継端子２０３０には、例えば、８ｓｑよりも細い０．５ｓｑのサイズの接地用電線Ｄが接続される。

　このように、５つの端子接続部２１２１を有する端子金具２１１０Ａを用いれば、サイズの小さいより多くの接地用電線Ｄを一括して導通させて接地させることができる。

　なお、上記第１，実施形態２－２では、車載の回路（補機）の接地用電線Ｄを端子金具２０１０，２０１０Ａ，２１１０，２１１０Ａに接続することにより、これらの接地用電線Ｄを一括して接地させたが、端子金具２０１０，２０１０Ａ，２１１０，２１１０Ａに接続させる電線は接地用に限らない。

　また、端子金具２０１０，２０１０Ａ，２１１０，２１１０Ａの端子本体２０１１，２１１１に回り止め片２０１５，２１１５を設けず、端子金具２０１０，２０１０Ａ，２１１０，２１１０Ａを接地面に取り付ける際に端子金具２０１０，２０１０Ａ，２１１０，２１１０Ａに当接して回り止めとなる段差や回り止め片を接地面側に設けても良い。

＜実施形態３－１＞
　ところで、アース線を接地させる端子金具として、固定用部材の取付用の貫通穴が形成された固定用部材締結部分と、少なくとも２つ以上の電線接続部分と、が一体に形成され、かつ該固定用部材締結部分と該２つ以上の電線接続部分との間に易破壊部が設けられた端子金具が知られている（例えば、特開２００３－１７８８２４号公報を参照。）。

　上記の端子金具によれば、解体時に複数の電線を引き上げることで、締結部分と複数本の電線の接続部との間を破断させ、複数本の電線を一度に分離させることが可能である。

　一方、アース線には、様々な径の電線が用いられる。また、車両用のワイヤハーネスでは、車両走行時等の振動に対してもアース線が確実に接地されていることが要求される。このため、アース用の端子金具には、容易に破損することがないように、十分な強度が要求されるとともに、解体時には、複数本の電線を一度に分離させてリサイクルできることが要求される。つまり、アース用の端子金具としては、易解体性を有するだけでなく、電線の接続本数や電線径、振動の有無等の配線状況に応じて締結部分と複数本の電線との連結箇所における連結強度が調整できることが要求される。

　しかし、単に固定用部材締結部分と複数の電線接続部分との間に溝状の易破壊部を形成した上記構造の端子金具では、配線状況に応じた連結強度の調整が難しく、このため、耐久性とリサイクル性との両立が困難であった。

　本発明に係る端子金具の接続構造の実施形態は、このような事情に鑑み、解体時に複数本の電線を一括して分離させることができ、しかも、配線状況に関わらず耐久性とリサイクル性との両立が可能であるように構成されてもよい。

　具体的には、図２９は、実施形態３－１に係る端子金具及びその接続構造を説明する図であって、図２９（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図２９（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。

　図２９（ａ），（ｂ）に示すように、実施形態３－１に係る端子金具３２００Ａには、複数本（本例では４本）の接地用電線Ｄが接続されている。端子金具３２００Ａは、車両のボディ等の接地面と導通接続される。この端子金具３２００Ａに接続される接地用電線Ｄは、車載の回路（補機）の接地用電線である。接地用電線Ｄは、導体部３００１と、この導体部３００１を覆う外被３００２とを有しており、端子金具３２００Ａに接続される端部において、導体部３００１が外被３００２から露出されている。接地用電線Ｄは、その導体部３００１が端子金具３２００Ａと導通されている。これにより、車載の回路の接地用電線Ｄと車両のボディ等の接地面とが端子金具３２００Ａを介して導通される。

　端子金具３２００Ａは、端子本体３２１１と、複数の電線接続部３２２１を有する電線接続部本体３２１９とを有している。端子金具３２００Ａは、導電性を有する金属板のプレス成形品である。端子本体３２１１は、平面視円形状の固定板部３２１２を有している。この固定板部３２１２には、その中央に円形の取付孔３２１３が形成されている。端子本体３２１１は、固定板部３２１２の取付孔３２１３を挿通するボルト（不図示）によって、車両のボディ等の接地面に固定される。なお、取付孔３２１３は固定板部３２１２の中央ではなく偏心して設けられていてもよい。

　固定板部３２１２の一部には、回り止め片３２１５が形成されている。回り止め片３２１５は、端子本体３２１１をボルト締結する接地面の周囲の段差や孔部に係合する折り曲げ部で、この回り止め片３２１５が接地面の周囲の段差や孔部に係合することで、接地面に対する端子金具３２００Ａの回動を規制する。

　固定板部３２１２には、その周縁に、平面視円弧状の二つの支持壁部３２１６が形成されている。これらの支持壁部３２１６は、固定板部３２１２に対して一方の面側である上面側へ立設されている。また、電線接続部本体３２１９には、固定板部３２１２の周縁の約半周の範囲に平面視円弧状の接続板部３２１４が設けられている。接続板部３２１４は、固定板部３２１２に対して一方の面側である上面側へ立設されている。接続板部３２１４は、支持壁部３２１６の外周面に沿って配置されている。

　図３０は、実施形態３－１に係る端子金具の折り曲げ加工前の展開図である。
　図３０に示すように、端子金具３２００Ａは、金属板を打ち抜いた平面状態で、端子本体３２１１となる部分と電線接続部本体３２１９となる部分とは、その一部が一体的に連結された状態とされる。そして、この平面状態の端子金具３２００Ａに対して折り曲げ加工を施すことで、端子本体３２１１側に支持壁部３２１６が立設され、電線接続部本体３２１９側に、支持壁部３２１６に沿う接続板部３２１４が形成される。

　このように、折り曲げ加工を施すことで形成された端子金具３２００Ａは、その支持壁部３２１６の端部が接続板部３２１４側へ折り返されており、この折り返し部分が係止片３２１７とされている。そして、この係止片３２１７によって接続板部３２１４の両端部が支持壁部３２１６に係止されている。

　これにより、端子金具３２００Ａでは、端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９との間の一体的に連結された部分が連結部３２２０Ａとされ、支持壁部３２１６の係止片３２１７によって接続板部３２１４の両端部が係止された部分が連結部３２２０Ｂとされている。つまり、端子金具３２００Ａは、複数の連結部３２２０Ａ，３２２０Ｂを有しており、これらの複数の連結部３２２０Ａ，３２２０Ｂで、端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９とが互いに連結されている。

　図３１は、端子金具の連結部を示す図であって、図３１（ａ）は連結部の斜視図、図３１（ｂ）は図３１（ａ）におけるＪ－Ｊ断面図である。図３１（ａ），（ｂ）に示すように、電線接続部本体３２１９の接続板部３２１４には、その両端近傍に窓部３２１８が形成されており、この窓部３２１８には、端子本体３２１１の支持壁部３２１６に形成された係止片３２１７が嵌入されている。

　係止片３２１７の係止力で端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９とを連結する連結部３２２０Ｂは、その係止片３２１７の幅寸法Ｗ、厚さＴ、窓部３２１８への嵌入量を調整することで、係止力を調整することが可能とされている。つまり、端子金具３２００Ａは、端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９とを連結する連結部３２２０Ａ，３２２０Ｂのうちの連結部３２２０Ｂが、連結強度調整機能を有している。特に、連結部３２２０Ｂでは、窓部３２１８に係止片３２１７を嵌入させることで、端子本体３２１１に対する電線接続部本体３２１９の上方側への連結強度が高められる。なお、端子本体３２１１に対する電線接続部本体３２１９の上方側の連結強度を高める必要がない場合は、窓部３２１８を形成せず、係止片３２１７を折り返して接続板部３２１４に係止させるだけでもよい。

　電線接続部３２２１は、電線接続部本体３２１９の接続板部３２１４に一体に形成されている。電線接続部３２２１は、接続板部３２１４の上縁部分に複数設けられている。具体的には、接続板部３２１４に、４つの電線接続部３２２１が形成されている。これらの電線接続部３２２１は、同一平面内において、固定板部３２１２の周縁位置から放射線状に突出して延在されている。

　電線接続部３２２１は、導体加締め部３２３３と被覆加締め部３２３４とを有している。導体加締め部３２３３は、一対の導体加締め片３２３３ａを有しており、これらの導体加締め片３２３３ａを加締めることで、接地用電線Ｄの導体部３００１が導体加締め部３２３３に加締められて固定される。これにより、端子金具３２００Ａに接地用電線Ｄの導体部３００１が導通される。また、導体加締め部３２３３には、その内面に、加工によって粗面化された粗面部（セレーション）３２３３ｂが設けられている。これにより、導体加締め部３２３３に加締められた接地用電線Ｄの導体部３００１が端子金具３２００Ａに対して確実に導通される。被覆加締め部３２３４は、一対の被覆加締め片３２３４ａを有したＵ字状に形成されており、これらの被覆加締め片３２３４ａを加締めることで、接地用電線Ｄの外被３００２の先端部分が被覆加締め部３２３４に加締められて固定される。

　それぞれの電線接続部３２２１に接続された複数本の接地用電線Ｄは、端子金具３２００Ａに一括して導通される。そして、この端子金具３２００Ａを、車両の接地面にボルトで固定することで、複数本の接地用電線Ｄが一括して接地される。

　この端子金具３２００Ａで接地用電線Ｄが車両のボディに締結された状態において、車両の解体時に、接地用電線Ｄを把持して引っ張ると、その引っ張り力が所定値（例えば、５００Ｎ）に達することで、端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９との間の連結部３２２０Ｂによる連結が外れるとともに、連結部３２２０Ａが破断する。これにより、車両のボディに締結された端子本体３２１１と複数本の接地用電線Ｄが接続された電線接続部本体３２１９とが分離される。

　このように、上記実施形態３－１に係る端子金具及びその接続構造によれば、電線接続部本体３２１９に複数本の接地用電線Ｄを接続することで、複数本の接地用電線Ｄを一括して端子金具３２００Ａに導通接続させ、車両のボディに接地させることができる。また、解体時には、連結部３２２０Ａ，３２２０Ｂで端子本体３２１１に連結されている電線接続部本体３２１９を分離せることで、複数本の接地用電線Ｄを一括して端子本体３２１１から分離させることができ、良好なリサイクル性を得ることができる。

　しかも、端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９とを連結している連結部３２２０Ａ，３２２０Ｂのうちの連結強度調整機能を有する連結部３２２０Ｂでの連結強度を、例えば、接地用電線Ｄの径や接続本数などの配線状況に応じて調整することで、配線時における接続強度を確実に確保しつつ解体時における良好な分離性も確保することができ、耐久性とリサイクル性とを両立させることができる。例えば、端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９との連結強度を、接続強度として必要な強度から良好に分離可能な強度の範囲（例えば、１００Ｎ～５００Ｎ）に調整できる。

　また、係止片３２１７の幅寸法Ｗや厚さＴなどを調整して係止片３２１７による係止力を調整することで、極めて容易に端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９との連結強度を調整できる。

　しかも、窓部３２１８へ係止片３２１７を嵌入させることで、連結部３２２０Ｂにおける係止力を高め、連結強度を高めることができる。また、係止片３２１７の窓部３２１８への嵌入量を調整することで、極めて容易に端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９との連結強度を調整できる。

　なお、上記の例では、電線接続部本体３２１９の接続板部３２１４の縁部を係止する係止片３２１７を端子本体３２１１の支持壁部３２１６に形成したが、端子本体３２１１の支持壁部３２１６の縁部を係止する係止片３２１７を電線接続部本体３２１９の接続板部３２１４に形成しても良い。

　これに対して、本実施形態によれば、電線接続部本体３２１９に複数本の接地用電線Ｄを接続することで、複数本の接地用電線Ｄを一括して端子金具３２００Ａに導通接続させて接地させることができるので、それぞれの接地用電線Ｄに接続された端子金具を重ねて締結して導通させる構造（特許文献１，２を参照。）と比較し、端子金具を重ねる必要がないため、接地用電線Ｄの本数が増えたとしても端子金具３２００Ａの重量の増加を抑制できる。また、端子金具３２００Ａを重ねる必要がないため、導通接続されるべき接地用電線Ｄが増えても端子金具３２００Ａの厚みが増すことがなく省スペース化が図られる。

＜実施形態３－２＞
　次いで、実施形態３－２に係る端子金具の接続構造について説明する。なお、上記実施形態３－１と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。

　図３２は、実施形態３－２に係る端子金具及びその接続構造を説明する図であって、図３２（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図３２（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。図３３は、端子金具の連結部を示す図であって、図３３（ａ）は連結部の斜視図、図３３（ｂ）は図３３（ａ）におけるＫ－Ｋ断面図である。

　図３２（ａ），（ｂ）に示すように、実施形態３－２に係る端子金具３２００Ｂにおいても、車両のボディに締結される端子本体３２１１と、複数本の接地用電線Ｄが接続される電線接続部本体３２１９とが、複数の連結部３２２０Ａ，３２２０Ｂで連結されている。端子金具３２００Ｂでは、端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９との間の一体的に連結された部分が連結部３２２０Ａとされている。

　また、この端子金具３２００Ｂでは、端子本体３２１１の固定板部３２１２及び電線接続部本体３２１９の接続板部３２１４に、それぞれ側方へ張り出す加締め片３２２４，３２２５が形成されている。

　図３３（ａ）に示すように、これらの加締め片３２２４，３２２５は、互いに重ね合わされてバーリング加締めによって締結されている。具体的には、図３３（ｂ）に示すように、一方の加締め片３２２５に孔部３２２５ａを形成し、他方の加締め片３２２４にバーリング加工を施すことで、円筒状のバーリング３２２４ａを形成し、一方の加締め片３２２５の孔部３２２５ａへ挿通させて外周側へ折り返している。これにより、互いの加締め片３２２４，３２２５同士をバーリング３２２４ａで締結している。そして、端子金具３２００Ｂでは、加締め片３２２４，３２２５をバーリング加締めで締結した部分が連結部３２２０Ｂとされている。

　つまり、端子金具３２００Ｂは、複数の連結部３２２０Ａ，３２２０Ｂを有しており、これらの複数の連結部３２２０Ａ，３２２０Ｂで、端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９とが互いに連結されている。

　加締め片３２２４，３２２５同士の締結力で端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９とを連結する連結部３２２０Ｂは、加締め片３２２４，３２２５同士のバーリング加締め部分におけるバーリング径ｄ１や加締め代ｄ２を調整して締結力を調整することで、連結強度を調整することが可能とされている。つまり、端子金具３２００Ｂは、端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９とを連結する連結部３２２０Ａ，３２２０Ｂのうちの連結部３２２０Ｂが、連結強度調整機能を有している。

　この端子金具３２００Ｂの場合も、車両の解体時に、接地用電線Ｄを把持して引っ張ると、その引っ張り力が所定値（例えば、５００Ｎ）に達することで、端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９との間の連結部３２２０Ｂによる連結が外れるとともに、連結部３２２０Ａが破断する。これにより、車両のボディに締結された端子本体３２１１と複数本の接地用電線Ｄが接続された電線接続部本体３２１９とが分離される。

　この実施形態３－２の場合も、端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９とを連結している連結部３２２０Ａ，３２２０Ｂのうちの連結強度調整機能を有する連結部３２２０Ｂでの連結強度を、例えば、接地用電線Ｄの径や接続本数などの配線状況に応じて調整することで、配線時における接続強度を確実に確保しつつ解体時における良好な分離性も確保することができ、耐久性とリサイクル性とを両立させることができる。

　しかも、加締め片３２２４，３２２５同士のバーリング加締め部分におけるバーリング径ｄ１や加締め代ｄ２を調整して締結力を調整することで、極めて容易に端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９との連結強度を調整できる。

　また、この端子金具３２００Ｂでは、端子本体３２１１の固定板部３２１２及び電線接続部本体３２１９の接続板部３２１４からそれぞれ側方へ張り出す加締め片３２２４，３２２５を加締めて締結させている。したがって、この端子金具３２００Ｂでは、固定板部３２１２の面に交差する方向に作用する力に対する強度を高めることができる。

　なお、加締め片３２２４，３２２５の配置は、連結部３２２０Ｂにおいて強度を持たせたい方向に合わせて変更しても良い。

＜実施形態３－２の変形例＞
　図３４は、実施形態３－２に係る端子金具の変形例を示す接地用電線が接続された端子金具の斜視図である。

　図３４に示すように、この端子金具３２００Ｂでは、端子本体３２１１の支持壁部３２１６の一部及び電線接続部本体３２１９の接続板部３２１４の一部を加締め片３２２４，３２２５とし、これらの加締め片３２２４，３２２５をバーリング加締めで加締めることで締結している。そして、この端子金具３２００Ｂでは、加締め片３２２４，３２２５が加締められて締結された部分が、連結強度調整機能を有する連結部３２２０Ｂとされている。つまり、この端子金具３２００Ｂも、複数の連結部３２２０Ａ，３２２０Ｂを有しており、これらの複数の連結部３２２０Ａ，３２２０Ｂで、端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９とが互いに連結されている。

　この端子金具３２００Ｂでは、端子本体３２１１の固定板部３２１２に対して立設された支持壁部３２１６及び接続板部３２１４の加締め片３２２４，３２２５を締結しているので、固定板部３２１２の面に沿う方向に作用する力に対する強度を高めることができる。

＜実施形態３－３＞
　次いで、実施形態３－３に係る端子金具の接続構造について説明する。なお、上記第１，２実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。

　図３５は、実施形態３－３に係る端子金具及びその接続構造を示す接地用電線が接続された端子金具の斜視図である。図３６は、端子金具の連結部を示す図であって、図３６（ａ）は連結部の平面図、図３６（ｂ）は連結部の断面図である。

　図３５に示すように、実施形態３－３に係る端子金具３２００Ｃでは、車両のボディに締結される端子本体３２１１と、複数本の接地用電線Ｄが接続される電線接続部本体３２１９とが、複数の連結部３２２０で連結されている。端子金具３２００Ｃでは、それぞれ端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９との間の一体的に連結された板状部が連結部３２２０とされている。

　図３６（ａ），（ｂ）に示すように、端子金具３２００Ｃでは、板状部からなる連結部３２２０に、端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９との連結方向と交差する方向である幅方向に沿う溝部からなるノッチ３２２６が形成されている。このノッチ３２２６を有する連結部３２２０は、そのノッチ３２２６の深さ寸法ｄ、長さ寸法ｌ及び溝幅寸法ｗを調整することにより、連結部３２２０における引っ張り力、せん断力が調整可能とされている。つまり、ノッチ３２２６を有する連結部３２２０は、端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９との連結強度を調整可能な連結強度調整機能を有している。なお、連結部３２２０での連結強度の調整は、連結部３２２０の幅寸法、板厚を調整することでも可能である。

　この端子金具３２００Ｃでは、車両の解体時に、接地用電線Ｄを把持して引っ張ると、その引っ張り力が所定値（例えば、５００Ｎ）に達することで、端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９との間の連結部３２２０が破断する。これにより、車両のボディに締結された端子本体３２１１と複数本の接地用電線Ｄが接続された電線接続部本体３２１９とが分離される。

　この実施形態３－３の場合も、端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９とを連結している連結強度調整機能を有する連結部３２２０での連結強度を、例えば、接地用電線Ｄの径や接続本数などの配線状況に応じて調整することで、配線時における接続強度を確実に確保しつつ解体時における良好な分離性も確保することができ、耐久性とリサイクル性とを両立させることができる。

　また、連結部３２２０を構成する板状部のノッチ３２２６の深さ寸法ｄ、長さ寸法ｌ及び溝幅寸法ｗを調整することで、極めて容易に端子本体３２１１と電線接続部本体３２１９との連結強度を調整できる。

　なお、上記第３－１～実施形態３－３では、車載の回路（補機）の接地用電線Ｄを端子金具３２００Ａ，３２００Ｂ，３２００Ｃに接続することにより、これらの接地用電線Ｄを一括して接地させたが、端子金具３２００Ａ，３２００Ｂ，３２００Ｃに接続させる電線は接地用に限らない。

　また、端子金具３２００Ａ，３２００Ｂ，３２００Ｃの端子本体３２１１に回り止め片３２１５を設けず、端子金具３２００Ａ，３２００Ｂ，３２００Ｃを接地面に取り付ける際に端子金具３２００Ａ，３２００Ｂ，３２００Ｃに当接して回り止めとなる段差や回り止め片を接地面側に設けても良い。

　上記第３－１～実施形態３－３では、端子金具３２００Ａ，３２００Ｂ，３２００Ｃに複数本の接地用電線Ｄを直接接続する構造を例示したが、端子金具３２００Ａ，３２００Ｂ，３２００Ｃに接続端子を介して複数本の接地用電線Ｄを接続する構造であっても良い。

　そして、端子金具３２００Ａ，３２００Ｂ，３２００Ｃに接続端子を介して複数本の接地用電線Ｄを接続する構造では、電線接続部本体３２１９に、接地用電線Ｄに接続された接続端子を締結させることで、複数本の接地用電線Ｄを一括して端子金具３２００Ａ，３２００Ｂ，３２００Ｃに導通接続させることができる。

＜実施形態３－４＞
　次いで、接続端子を介して端子金具に複数本の電線を接続する接続構造を、実施形態３－４および実施形態３－５として説明する。

　図３７は、実施形態３－４に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図３７（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図３７（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。

　図３７（ａ），（ｂ）に示すように、実施形態３－４に係る端子金具の接続構造では、端子金具３０１０と接続端子３０３０とが接続されている。端子金具３０１０は、車両のボディ等の接地面と導通接続される。この端子金具３０１０に接続される接続端子３０３０は、車載の回路（補機）の接地用電線（電線）Ｄの端部に設けられている。接地用電線Ｄは、導体部３００１と、この導体部３００１を覆う外被３００２とを有しており、接続端子３０３０に接続される端部において、導体部３００１が外被３００２から露出されている。接地用電線Ｄは、その導体部３００１が接続端子３０３０と導通されている。これにより、車載の回路の接地用電線Ｄと車両のボディ等の接地面とが端子金具３０１０を介して導通される。

　図３８は、実施形態３－４に係る端子金具の接続構造を説明する端子金具と接続端子の斜視図である。図３９は、実施形態３－４に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図３９（ａ）は図３７（ａ）におけるＡ矢視図、図３９（ｂ）は図３７（ａ）におけるＢ矢視図、図３９（ｃ）は図３７（ａ）におけるＣ矢視図である。図４０は、端子金具の端子接続部の断面図である。

　図３８及び図３９（ａ）～（ｃ）に示すように、端子金具３０１０は、端子本体３０１１と、複数の端子接続部３０２１を有する電線接続部本体３０１９とを有している。端子金具３０１０は、導電性を有する金属板のプレス成形品である。端子本体３０１１は、平面視円形状の固定板部３０１２を有している。この固定板部３０１２には、その中央に円形の取付孔３０１３が形成されている。端子本体３０１１は、固定板部３０１２の取付孔３０１３を挿通するボルト（不図示）によって、車両のボディ等の接地面に固定される。なお、取付孔３０１３は固定板部３０１２の中央ではなく偏心して設けられていてもよい。

　固定板部３０１２の一部には、回り止め片３０１５が形成されている。回り止め片３０１５は、端子本体３０１１をボルト締結する接地面の周囲の段差や孔部に係合する折り曲げ部で、この回り止め片３０１５が接地面の周囲の段差や孔部に係合することで、接地面に対する端子金具３０１０の回動を規制する。

　固定板部３０１２は、その周縁に、平面視円弧状の二つの支持壁部３０１６が形成されている。これらの支持壁部３０１６は、固定板部３０１２に対して一方の面側である上面側へ立設されている。また、電線接続部本体３０１９には、固定板部３０１２の周縁の約半周の範囲に平面視円弧状の接続板部３０１４が設けられている。接続板部３０１４は、固定板部３０１２に対して一方の面側である上面側へ立設されている。接続板部３０１４は、支持壁部３０１６の外周面に沿って配置されている。

　支持壁部３０１６には、その上縁に、複数の係止片３０１６ａが形成されている。これらの係止片３０１６ａは、接続板部３０１４側へ折り返されており、これにより、接続板部３０１４は、係止片３０１６ａによって係止されて支持壁部３０１６に支持されている。

　これにより、端子金具３０１０では、支持壁部３０１６の係止片３０１６ａによって接続板部３０１４が係止された部分が連結部３０２０とされている。つまり、端子金具３０１０は、複数の連結部３０２０を有しており、これらの複数の連結部３０２０で、端子本体３０１１と電線接続部本体３０１９とが互いに連結されている。

　端子接続部３０２１は、端子本体３０１１の接続板部３０１４に一体に形成されている。端子接続部３０２１は、接続板部３０１４の上縁部分に複数設けられている。具体的には、接続板部３０１４に、４つの端子接続部３０２１が形成されている。これらの端子接続部３０２１は、同一平面内において、固定板部３０１２の周縁位置から放射線状に突出して延在されている。

　図４０に示すように、それぞれの端子接続部３０２１は、その両側部に、一方の面側である上面側へ突出する係合壁３０２２を有している。これにより、それぞれの端子接続部３０２１は、正面視で凹形状に形成されている。また、これらの係合壁３０２２には、その上端部に、内側へ円弧状に湾曲されて折り返された係合片３０２２ａを有している。

　図４１は、接続端子を説明する接続端子の斜視図である。図４２は、キャリアに連結された接続端子の平面図である。図４３は、接続端子を説明する図であって、図４３（ａ）は図４２におけるＤ－Ｄ断面図、図４３（ｂ）は図４２におけるＥ－Ｅ断面図、図４３（ｃ）は図４２におけるＦ－Ｆ断面図である。図４４は、端子金具の端子接続部に対する締
結接続部の締結加締め片の締結状態を示す図であって、図４４（ａ）は締結加締め片の締結前の図３７（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図、図４４（ｂ）は締結加締め片の締結開始時の図３７（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図、図４４（ｃ）は締結加締め片の締結過程の図３７（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図、図４４（ｄ）は締結加締め片の締結後の図３７（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図である。

　図４１に示すように、接続端子３０３０は、電線接続部３０３１と締結接続部３０３２とを有している。電線接続部３０３１には、接地用電線Ｄが接続される。接地用電線Ｄに設けられた接続端子３０３０は、導電性を有する金属板のプレス成形品である。締結接続部３０３２は、端子金具３０１０の端子接続部３０２１に締結される。

　図４２に示すように、接続端子３０３０は、帯状のキャリア３０３５に電線接続部３０３１側が連結されて供給され、キャリア３０３５から切り離されて用いられる。電線接続部３０３１は、導体加締め部３０３３と被覆加締め部３０３４とを有している。

　図４３（ａ）に示すように、導体加締め部３０３３は、一対の導体加締め片３０３３ａを有したＵ字状に形成されており、これらの導体加締め片３０３３ａを加締めることで、接地用電線Ｄの導体部３００１が導体加締め部３０３３に加締められて固定される。これにより、接地用電線Ｄの導体部３００１と接続端子３０３０とが導通される。また、導体加締め部３０３３には、その内面に、加工によって粗面化された粗面部（セレーション）３０３３ｂが設けられている。これにより、導体加締め部３０３３に加締められた接地用電線Ｄの導体部３００１が接続端子３０３０に対して確実に導通される。

　図４３（ｂ）に示すように、被覆加締め部３０３４は、一対の被覆加締め片３０３４ａを有したＵ字状に形成されており、これらの被覆加締め片３０３４ａを加締めることで、接地用電線Ｄの外被３００２の先端部分が被覆加締め部３０３４に加締められて固定される。

　図４３（ｃ）に示すように、接続端子３０３０の締結接続部３０３２は、一対の締結加締め片３０３２ａを有したＵ字状に形成されている。

　図４４（ａ）に示すように、接続端子３０３０のＵ字状の締結接続部３０３２内に端子金具３０１０の端子接続部３０２１を配置させた状態で、締結加締め片３０３２ａを加締めると、その加締め開始時に、図４４（ｂ）に示すように、締結加締め片３０３２ａが端子本体３０１１の端子接続部３０２１の両側部を巻き込む。その後、図４４（ｃ）に示すように、締結加締め片３０３２ａは、端子接続部３０２１の係合壁３０２２及びその上端の係合片３０２２ａを外側から巻き込むように加締められ、これにより、図４４（ｄ）に示すように、係合片３０２２ａを有する係合壁３０２２が締結加締め片３０３２ａの内側で丸まって隙間なく収容され、締結接続部３０３２内に端子接続部３０２１が充填された状態となる。したがって、端子接続部３０２１に対して締結接続部３０３２が高い接圧で強固に締結されるとともに、端子金具３０１０と接続端子３０３０とが確実に導通される。

　また、締結加締め片３０３２ａを加締める前に、別工程で締結加締め片３０３２ａを図４４（ｂ）に示すような湾曲した形状に予め曲げ加工しておき、その状態の締結加締め片３０３２ａに端子接続部３０２１を配置して、締結加締め片３０３２ａを加締めるようにしてもよい。

　接地用電線Ｄを端子金具３０１０に接続するには、まず、接地用電線Ｄの端部において、外被３００２を除去して導体部３００１を露出させる。そして、接地用電線Ｄの端部をキャリア３０３５から切り離した接続端子３０３０の電線接続部３０３１上に配置させ、導体加締め部３０３３を加締めるとともに、被覆加締め部３０３４を加締める。これにより、接地用電線Ｄに接続端子３０３０を接続する。

　次いで、接地用電線Ｄに接続した接続端子３０３０の締結接続部３０３２を端子金具３０１０の端子接続部３０２１に裏面側からあてがい、締結加締め片３０３２ａを加締める。これにより、端子金具３０１０に接続端子３０３０が強固に締結され、接地用電線Ｄの導体部３００１が端子金具３０１０に導通される。

　端子金具３０１０のそれぞれの端子接続部３０２１に対して上記のように接続端子３０３０を締結する。これにより、複数本の接地用電線Ｄは、端子金具３０１０に一括して導通される。そして、この端子金具３０１０を、車両の接地面にボルトで固定することで、複数本の接地用電線Ｄが接地される。

　以上、説明したように、実施形態３－４に係る端子金具の接続構造によれば、端子金具３０１０に設けられた複数の端子接続部３０２１に、複数本の接地用電線Ｄに接続された接続端子３０３０の締結加締め片３０３２ａを加締めることで、端子金具３０１０に接続端子３０３０を締結して複数本の接地用電線Ｄを一括して端子金具３０１０に導通接続させることができる。これにより、それぞれの電線に接続された端子金具を重ねて締結して導通させる構造と比較し、端子金具３０１０を重ねる必要がないため、電線の本数が増えたとしても端子金具の重量の増加を抑制できる。また、端子金具を重ねる必要がないため、導通されるべき電線が増えても厚みが増すことがなく省スペース化が図られる。しかも、端子金具３０１０の端子接続部３０２１に接続端子３０３０を締結するので、接続端子３０３０を保持する特別な保持機構を不要にできる。これにより、ハウジング内に端子を保持する保持機構を備える必要があるジョイントコネクタと比較し、小型化及び低コスト化が図れる。

　また、端子金具３０１０に対して別体の接続端子３０３０を締結して接続する構造であるので、異なるサイズの接地用電線Ｄが接続された接続端子３０３０を端子接続部３０２１に締結して導通させることができる。つまり、端子金具３０１０の端子接続部３０２１と接続端子３０３０の締結接続部３０３２との接続形態を変更することなく、様々なサイズの接地用電線Ｄに対応できる。また、端子接続部３０２１の数が異なる端子金具３０１０を用意しておくことで、導通させる接地用電線Ｄの本数の増減に対して容易に対応できる。

　これに対して、実施形態３－４に係る端子金具の接続構造によれば、導通させる接地用電線Ｄの本数やサイズの変更に対して、必要最小限のバリエーションの端子金具３０１０で対応できる。

　しかも、端子金具３０１０の複数の端子接続部３０２１に接続端子３０３０を締結する構造であるので、必要に応じて端子接続部３０２１に接続端子３０３０を締結させることができ、これにより、端子接続部３０２１の数の範囲内において一括して導通させる接地用電線Ｄの本数を容易に増減させることができる。

　また、端子接続部３０２１の両側部には、締結加締め片３０３２ａに係合する係合壁３０２２が形成されている。したがって、接続端子３０３０の締結加締め片３０３２ａを端子接続部３０２１に加締めることで、締結加締め片３０３２ａが端子接続部３０２１の係合壁３０２２に係合する。これにより、端子接続部３０２１に締結加締め片３０３２ａを確実に圧着して端子接続部３０２１への接続端子３０３０の接続強度をさらに高めることができ、接続箇所における電気抵抗を安定させて電気的接続を良好にできる。

　特に、端子接続部３０２１の係合壁３０２２の上端に、内側へ折り返された係合片３０２２ａが形成されているので、端子接続部３０２１に締結加締め片３０３２ａを確実に圧着して接続端子３０３０の締結加締め片３０３２ａとの係合力をより高めることができ、高い接続強度を確実に得ることができる。これにより、接続箇所における電気抵抗を安定させて電気的接続を良好にできる。

　しかも、端子接続部３０２１は、同一平面内において、放射線状に延在されている。したがって、端子金具３０１０の占有面積を極力抑えつつ、多くの端子接続部３０２１を設けることができ、よって、多くの接地用電線Ｄを一括して接続できる。

　また、実施形態３－４に係る端子金具の接続構造の場合も、解体時には、連結部３０２０で端子本体３０１１に連結されている電線接続部本体３０１９を分離せることで、複数本の接地用電線Ｄを一括して端子本体３０１１から分離させることができ、良好なリサイクル性を得ることができる。

　しかも、端子本体３０１１と電線接続部本体３０１９とを連結している連結部３０２０の係止片３０１６ａによる係止力を調整して連結強度を、例えば、接地用電線Ｄの径や接続本数などの配線状況に応じて調整することで、配線時における接続強度を確実に確保しつつ解体時における良好な分離性も確保することができ、耐久性とリサイクル性とを両立させることができる。例えば、端子本体３０１１と電線接続部本体３０１９との連結強度を、接続強度として必要な強度から良好に分離可能な強度の範囲（例えば、１００Ｎ～５００Ｎ）に調整できる。

　なお、上記実施形態では、端子接続部３０２１として、両側部に係合壁３０２２を設けて断面視凹形状とし、係合壁３０２２の上端部に、内側へ円弧状に湾曲されて折り返された係合片３０２２ａを形成したが、端子接続部３０２１の断面形状は上記のものに限らない。

＜実施形態３－４の変形例＞
　図４５から図４７は、それぞれ他の形状の端子接続部の断面図である。
　図４５に示すように、端子接続部３０２１としては、その底部が外側へ膨出するように湾曲されたものでも良い。このように、端子接続部３０２１の底部を外側へ膨出させておくと、締結加締め片３０３２ａを加締めた際に、端子接続部３０２１をより円滑に巻き込ませて良好に圧着させることができる。

　また、図４６に示すように、端子接続部３０２１としては、両側部の係合壁３０２２が上方へ向かって互いに離間する断面視Ｖ字形状とし、係合壁３０２２の上端に、内側へ屈曲させて折り返した係合片３０２２ａを形成しても良い。この形状の場合も、端子接続部３０２１の係合壁３０２２の上端の係合片３０２２ａに締結加締め片３０３２ａを強固に係合させて高い接続強度を確実に得ることができる。

　なお、端子接続部３０２１と接続端子３０３０との間における耐引張り強度があまり必要ない場合では、図４７に示すように、端子接続部３０２１としては、係合壁３０２２の上端に係合片３０２２ａを設けない断面凹形状としても良い。

　なお、上記実施形態３－４では、４つの端子接続部３０２１を有する端子金具３０１０を用いた場合を例にとって説明したが、端子金具３０１０の端子接続部３０２１は、複数であれば４つに限らない。

＜実施形態３－５＞
　次いで、実施形態３－５に係る端子金具の接続構造について説明する。なお、端子金具以外は、実施形態３－４と略同一構造であるので、同一符号を付して説明を省略する。

　図４８は、実施形態３－５に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図４８（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図４８（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。図４９は、実施形態３－５に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図４９（ａ）は端子金具と接続端子の斜視図、図４９（ｂ）は端子金具と接続端子の平面図である。

　図４８（ａ），（ｂ）及び図４９（ａ），（ｂ）に示すように、本実施形態に係る端子金具の接続構造では、端子金具３１１０と接続端子３０３０とが接続されている。端子金具３１１０も、車両のボディ等の接地面と導通接続される。これにより、車載の回路の接地用電線Ｄと車両のボディ等の接地面とが端子金具３１１０を介して導通される。接続端子３０３０には、例えば、８ｓｑのサイズの接地用電線Ｄが接続される。

　図５０は、端子金具を説明する図であって、図５０（ａ）は正面図、図５０（ｂ）は側面図、図５０（ｃ）は断面図である。図５１は、端子金具の端子接続部に対する締結接続部の締結加締め片の締結状態を示す図であって、図５１（ａ）は締結加締め片の締結前の図４８（ｂ）におけるＨ－Ｈ断面図、図５１（ｂ）は締結加締め片の締結過程の図４８（ｂ）におけるＨ－Ｈ断面図、図５１（ｃ）は締結加締め片の締結後の図４８（ｂ）におけるＨ－Ｈ断面図である。

　図５０（ａ）～（ｃ）に示すように、端子金具３１１０は、端子本体３１１１と、複数の端子接続部３１２１が設けられた電線接続部本体３１１９とを有している。端子金具３１１０は、導電性を有する金属板のプレス成形品である。端子本体３１１１は、平面視円形状の固定板部３１１２を有している。この固定板部３１１２には、その中央に円形の取付孔３１１３が形成されている。端子本体３１１１は、固定板部３１１２の取付孔３１１３を挿通するボルト（不図示）によって、車両のボディ等の接地面に固定される。なお、取付孔３１１３は固定板部３１１２の中央ではなく偏心して設けられていてもよい。

　端子本体３１１１と電線接続部本体３１１９との間には、その周縁の約半周部分に接続板部３１１４が形成されており、この接続板部３１１４によって端子本体３１１１と電線接続部本体３１１９とが連結されている。つまり、この端子金具３１１０では、接続板部３１１４が、端子本体３１１１と電線接続部本体３１１９との連結部３１２０とされている。接続板部３１１４は、一方の面側である上面側へ張り出している。これにより、固定板部３１１２と接続板部３１１４との間に段差が形成されている。また、固定板部３１１２における接続板部３１１４以外の部分には、その周方向の中央位置に、回り止め片３１１５が形成されている。回り止め片３１１５は、端子本体３１１１をボルト締結する接地面の周囲の段差や孔部に係合する折り曲げ部で、この回り止め片３１１５が接地面の周囲の段差や孔部に係合することで、接地面に対する端子金具３１１０の回動を規制する。

　端子接続部３１２１は、電線接続部本体３１１９に一体に形成されている。端子接続部３１２１は、電線接続部本体３１１９に複数設けられている。具体的には、電線接続部本体３１１９に、３つの端子接続部３１２１が形成されている。これらの端子接続部３１２１は、同一平面内において、固定板部３１１２の周縁からそれぞれ同一方向へ突出して延在されており、それぞれ幅方向に間隔をあけて配置されている。なお、両側の端子接続部３１２１よりも中央側の端子接続部３１２１の方が延在方向へ向かって突出されている。

　それぞれの端子接続部３１２１は、その両側部に、一方の面側である上面側へ突出する係合壁３１２２を有している。これにより、それぞれの端子接続部３１２１は、正面視で凹形状に形成されている。なお、端子接続部３１２１の互いに隣り合う係合壁３１２２同士は、固定板部３１１２側に形成された周壁部３１２３に連続的に形成されている。

　上記の端子金具３１１０に接地用電線Ｄを接続するには、まず、接地用電線Ｄの端部において、外被３００２を除去して導体部３００１を露出させる。そして、接地用電線Ｄの端部をキャリア３０３５から切り離した接続端子３０３０の電線接続部３０３１上に配置させ、導体加締め部３０３３を加締めるとともに、被覆加締め部３０３４を加締める。これにより、接地用電線Ｄに接続端子３０３０を接続する。

　次いで、接地用電線Ｄに接続した接続端子３０３０の締結接続部３０３２を電線接続部本体３１１９の端子接続部３１２１に裏面側からあてがい、締結加締め片３０３２ａを加締める。

　ここで、図５１（ａ）に示すように、接続端子３０３０のＵ字状の締結接続部３０３２内に電線接続部本体３１１９の端子接続部３１２１を配置させた状態で、締結加締め片３０３２ａを加締めると、その加締め開始時に、図５１（ｂ）に示すように、締結加締め片３０３２ａが電線接続部本体３１１９の端子接続部３１２１の両側部を巻き込む。その後、図５１（ｃ）に示すように、締結加締め片３０３２ａは、端子接続部３１２１の係合壁３１２２を外側から巻き込むように加締められ、これにより、係合壁３１２２が締結加締め片３０３２ａの内側で丸まって隙間なく収容され、締結接続部３０３２内に端子接続部３１２１が充填された状態となる。したがって、端子接続部３１２１に対して締結接続部３０３２が高い接圧で強固に締結されるとともに、端子金具３１１０と接続端子３０３０とが確実に導通される。

　また、締結加締め片３０３２ａを加締める前に、別工程で締結加締め片３０３２ａを図５１（ｂ）に示すような湾曲した形状に予め曲げ加工しておき、その状態の締結加締め片３０３２ａに端子接続部３１２１を配置して、締結加締め片３０３２ａを加締めるようにしてもよい。

　端子金具３１１０の電線接続部本体３１１９のそれぞれの端子接続部３１２１に対して上記のように接続端子３０３０を締結する。これにより、複数本の接地用電線Ｄは、端子金具３１１０に一括して導通される。そして、この端子金具３１１０を、車両の接地面にボルトで固定することで、複数本の接地用電線Ｄが接地される。

　以上、説明したように、実施形態３－５に係る端子金具の接続構造の場合も、実施形態３－４と同様に、端子金具３１１０に設けられた複数の端子接続部３１２１に、複数本の接地用電線Ｄに接続された接続端子３０３０の締結加締め片３０３２ａを加締めることで、端子金具３１１０に接続端子３０３０を締結して複数本の接地用電線Ｄを一括して端子金具３１１０に導通接続させることができる。これにより、それぞれの電線に接続された端子金具を重ねて締結して導通させる構造と比較し、端子金具３１１０を重ねる必要がないため、電線の本数が増えたとしても端子金具の重量の増加を抑制できる。また、端子金具を重ねる必要がないため、導通されるべき電線が増えても厚みが増すことがなく省スペース化が図られる。しかも、端子金具３１１０の端子接続部３１２１に接続端子３０３０を締結するので、接続端子３０３０を保持する特別な保持機構を不要にできる。これにより、ハウジング内に端子を保持する保持機構を備える必要があるジョイントコネクタと比較し、小型化及び低コスト化が図れる。

　また、端子金具３１１０に対して別体の接続端子３０３０を締結して接続する構造であるので、異なるサイズの接地用電線Ｄが接続された接続端子３０３０を端子接続部３１２１に締結して導通させることができる。つまり、端子金具３１１０の端子接続部３１２１と接続端子３０３０の締結接続部３０３２との接続形態を変更することなく、様々なサイズの接地用電線Ｄに対応できる。また、端子接続部３１２１の数が異なる端子金具３１１０を用意しておくことで、導通させる接地用電線Ｄの本数の増減に対して容易に対応できる。

　つまり、実施形態３－５に係る端子金具の接続構造の場合も、導通させる接地用電線Ｄの本数やサイズの変更に対して、必要最小限のバリエーションの端子金具３１１０で対応できる。

　しかも、端子金具３１１０の電線接続部本体３１１９の複数の端子接続部３１２１に接続端子３０３０を締結する構造であるので、必要に応じて端子接続部３１２１に接続端子３０３０を締結させることができ、これにより、端子接続部３１２１の数の範囲内において一括して導通させる接地用電線Ｄの本数を容易に増減させることができる。

　また、端子接続部３１２１の両側部には、締結加締め片３０３２ａに係合する係合壁３１２２が形成されている。したがって、接続端子３０３０の締結加締め片３０３２ａを端子接続部３１２１に加締めることで、締結加締め片３０３２ａが端子接続部３１２１の係合壁３１２２に係合する。これにより、端子接続部３１２１に締結加締め片３０３２ａを確実に圧着して端子接続部３１２１への接続端子３０３０の接続強度をさらに高めることができ、接続箇所における電気抵抗を安定させて電気的接続を良好にできる。

　しかも、端子接続部３１２１は、同一平面内において、互いに間隔をあけてそれぞれ同一方向へ延在されている。したがって、端子金具３１１０に対する接続端子３０３０の接続方向及び接地用電線Ｄの配線方向を同一方向に揃えることができ、端子金具３１１０の端子接続部３１２１への接続端子３０３０の締結作業性を向上させることができる。また、接地用電線Ｄの配線方向を同一方向に揃えて幹線の流れに沿わすことができ、しかも、接地用電線Ｄの無駄な広がりや接続端子３０３０付近における接地用電線Ｄの屈曲を極力抑えることができる。

　また、実施形態３－５に係る端子金具の接続構造の場合も、解体時には、連結部３１２０で端子本体３１１１に連結されている電線接続部本体３１１９を分離せることで、複数本の接地用電線Ｄを一括して端子本体３１１１から分離させることができ、良好なリサイクル性を得ることができる。

　しかも、端子本体３１１１と電線接続部本体３１１９とを連結している接続板部３１１４からなる連結部３１２０の板厚を調整したりノッチを形成して連結強度を、例えば、接地用電線Ｄの径や接続本数などの配線状況に応じて調整することで、配線時における接続強度を確実に確保しつつ解体時における良好な分離性も確保することができ、耐久性とリサイクル性とを両立させることができる。例えば、端子本体３１１１と電線接続部本体３１１９との連結強度を、接続強度として必要な強度から良好に分離可能な強度の範囲（例えば、１００Ｎ～５００Ｎ）に調整できる。

　また、実施形態３－５における端子金具３０１０の端子接続部３１２１においても、実施形態３－４と同様に、係合壁３１２２の上端に係合片を形成しても良く、また、断面形状をＶ字形状としても良い。

　なお、上記端子金具３０１０では、３つの端子接続部３１２１を有する場合を例にとって説明したが、端子金具３１１０の電線接続部本体３１１９の端子接続部３１２１は、複数であれば３つに限らない。

＜実施形態３－５の変形例＞
　次いで、実施形態３－５の変形例として、端子接続部３１２１の数が異なる端子金具の接続構造を説明する。なお、上記の例と同一構成部分は同一符号を付して説明を省略する。

　図５２は、実施形態３－５の変形例に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図５２（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図５２（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。図５３は、実施形態３－５の変形例に係る端子金具の接続構造を説明する図であって、図５３（ａ）は端子金具と接続端子の斜視図、図５３（ｂ）は端子金具と接続端子の平面図である。

　図５２（ａ），（ｂ）及び図５３（ａ），（ｂ）に示すように、この端子金具３１１０Ａは、電線接続部本体３１１９に５つの端子接続部３１２１を備えている。これらの端子接続部３１２１も同一方向へ延在されており、それぞれ幅方向に間隔をあけて配置されている。そして、この端子金具３１１０Ａの電線接続部本体３１１９の端子接続部３１２１にも、それぞれ接続端子３０３０が締結されて接地用電線Ｄが接続される。接続端子３０３０には、例えば、８ｓｑよりも細い０．５ｓｑのサイズの接地用電線Ｄが接続される。

　このように、５つの端子接続部３１２１を有する端子金具３１１０Ａを用いれば、サイズの小さいより多くの接地用電線Ｄを一括して導通させて接地させることができる。

　なお、上記第４，実施形態３－５では、車載の回路（補機）の接地用電線Ｄを端子金具３０１０，３１１０，３１１０Ａに接続することにより、これらの接地用電線Ｄを一括して接地させたが、端子金具３０１０，３１１０，３１１０Ａに接続させる電線は接地用に限らない。

　また、端子金具３０１０，３１１０，３１１０Ａの端子本体３０１１，３１１１に回り止め片３０１５，３１１５を設けず、端子金具３０１０，３１１０，３１１０Ａを接地面に取り付ける際に端子金具３０１０，３１１０，３１１０Ａに当接して回り止めとなる段差や回り止め片を接地面側に設けても良い。

＜実施形態４－１＞
　ところで、導電性金属材料からなる端子金具の接続部と接続部材とを互いに接続して導通させる場合、これらの接続部及び接続部材の表面に酸化被膜が形成されていると、接続後における接続信頼性が低下することがある。

　この場合、接続部と接続部材とを熱溶着で接続させることにより、高い接続信頼性が得られる。しかし、例えば、銅または銅合金とアルミニウムとの接続のように、異種金属による接続では、熱溶着が困難であった。

　本発明に係る端子金具の接続構造の実施形態は、このような事情に鑑み、導電性金属材料からなる端子同士を容易に接続して高い接続信頼性を得ることが可能であるように構成されてもよい。

　具体的には、図５４は、実施形態４－１に係る端子の接続構造を説明する図であって、図５４（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図５４（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。

　図５４（ａ）（ｂ）に示すように、実施形態４－１に係る端子の接続構造では、端子金具４０１０の端子接続部（端子）４０２１と接続端子（端子）４０３０とが接続されている。端子金具４０１０は、車両のボディ等の接地面と導通接続される。この端子金具４０１０に接続される接続端子４０３０は、車載の回路（補機）の接地用電線（電線）Ｄの端部に設けられている。接地用電線Ｄは、導体部４００１と、この導体部４００１を覆う外被４００２とを有しており、接続端子４０３０に接続される端部において、導体部４００１が外被４００２から露出されている。接地用電線Ｄは、その導体部４００１が接続端子４０３０と導通されている。これにより、車載の回路の接地用電線Ｄと車両のボディ等の接地面とが端子金具４０１０を介して導通される。

　図５５は、実施形態４－１に係る端子の接続構造を説明する端子金具と接続端子の斜視図である。図５６は、実施形態４－１に係る端子の接続構造を説明する図であって、図５６（ａ）は図５４（ａ）におけるＡ矢視図、図５６（ｂ）は図５４（ａ）におけるＢ矢視図、図５６（ｃ）は図５４（ａ）におけるＣ矢視図である。図５７は、端子金具の端子接続部の断面図である。

　図５５及び図５６（ａ）～（ｃ）に示すように、端子金具４０１０は、端子本体４０１１と、複数の端子接続部４０２１を有する電線接続部本体４０１９とを有している。端子金具４０１０は、導電性を有する金属板のプレス成形品である。端子本体４０１１は、平面視円形状の固定板部４０１２を有している。この固定板部４０１２には、その中央に円形の取付孔４０１３が形成されている。端子本体４０１１は、固定板部４０１２の取付孔４０１３を挿通するボルト（不図示）によって、車両のボディ等の接地面に固定される。なお、取付孔４０１３は固定板部４０１２の中央ではなく偏心して設けられていてもよい。

　固定板部４０１２の一部には、回り止め片４０１５が形成されている。回り止め片４０１５は、端子本体４０１１をボルト締結する接地面の周囲の段差や孔部に係合する折り曲げ部で、この回り止め片４０１５が接地面の周囲の段差や孔部に係合することで、接地面に対する端子金具４０１０の回動を規制する。

　固定板部４０１２は、その周縁に、平面視円弧状の二つの支持壁部４０１６が形成されている。これらの支持壁部４０１６は、固定板部４０１２に対して一方の面側である上面側へ立設されている。また、電線接続部本体４０１９には、固定板部４０１２の周縁の約半周の範囲に平面視円弧状の接続板部４０１４が設けられている。接続板部４０１４は、固定板部４０１２に対して一方の面側である上面側へ立設されている。接続板部４０１４は、支持壁部４０１６の外周面に沿って配置されている。

　支持壁部４０１６には、その上縁に、複数の係止片４０１６ａが形成されている。これらの係止片４０１６ａは、接続板部４０１４の外面側へ折り返されており、これにより、接続板部４０１４は、その両端側が係止片４０１６ａによって係止されて支持壁部４０１６に支持されている。

　これにより、端子金具４０１０では、支持壁部４０１６の係止片４０１６ａによって接続板部４０１４が係止された部分が連結部４０２０とされている。つまり、端子金具４０１０は、複数の連結部４０２０を有しており、これらの複数の連結部４０２０で、端子本体４０１１と電線接続部本体４０１９とが互いに連結されている。

　端子接続部４０２１は、端子本体４０１１の接続板部４０１４に一体に形成されている。端子接続部４０２１は、接続板部４０１４の上縁部分に複数設けられている。具体的には、接続板部４０１４に、４つの端子接続部４０２１が形成されている。これらの端子接続部４０２１は、同一平面内において、固定板部４０１２の周縁位置から放射線状に突出して延在されている。

　図５７に示すように、それぞれの端子接続部４０２１は、その両側部に、一方の面側である上面側へ突出する係合壁（側壁部）４０２２を有している。これにより、それぞれの端子接続部４０２１は、正面視で凹形状に形成されている。また、これらの係合壁４０２２には、その上端部に、内側へ円弧状に湾曲されて折り返された係合片４０２２ａを有している。

　図５８は、端子接続部及び接続端子の斜視図である。図５９は、キャリアに連結された接続端子の平面図である。図６０は、接続端子を説明する図であって、図６０（ａ）は図５９におけるＤ－Ｄ断面図、図６０（ｂ）は図５９におけるＥ－Ｅ断面図、図６０（ｃ）は図５９におけるＦ－Ｆ断面図である。図６１は、端子金具の端子接続部に対する締結接続部の締結加締め片の締結状態を示す図であって、図６１（ａ）は締結加締め片の締結前の図５４（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図、図６１（ｂ）は締結加締め片の締結開始時の図５４（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図、図６１（ｃ）は締結加締め片の締結過程の図５４（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図、図６１（ｄ）は締結加締め片の締結後の図５４（ｂ）におけるＧ－Ｇ断面図である。図６２は、図６１（ｄ）におけるＪ－Ｊ断面図である。

　図５８に示すように、接続端子４０３０は、電線接続部４０３１と締結接続部４０３２とを有している。電線接続部４０３１には、接地用電線Ｄが接続される。接地用電線Ｄに設けられた接続端子４０３０は、導電性を有する金属板のプレス成形品である。締結接続部４０３２は、端子金具４０１０の端子接続部４０２１に締結される。

　図５９に示すように、接続端子４０３０は、帯状のキャリア４０３５に電線接続部４０３１側が連結されて供給され、キャリア４０３５から切り離されて用いられる。電線接続部４０３１は、導体加締め部４０３３と被覆加締め部４０３４とを有している。

　図５８及び図６０（ａ）に示すように、導体加締め部４０３３は、一対の導体加締め片４０３３ａを有したＵ字状に形成されており、これらの導体加締め片４０３３ａを加締めることで、接地用電線Ｄの導体部４００１が導体加締め部４０３３に加締められて固定される。これにより、接地用電線Ｄの導体部４００１と接続端子４０３０とが導通される。また、導体加締め部４０３３には、その内面に、加工によって粗面化された粗面部（セレーション）４０３３ｂが設けられている。これにより、導体加締め部４０３３に加締められた接地用電線Ｄの導体部４００１が接続端子４０３０に対して確実に導通される。

　図５８及び図６０（ｂ）に示すように、被覆加締め部４０３４は、一対の被覆加締め片４０３４ａを有したＵ字状に形成されており、これらの被覆加締め片４０３４ａを加締めることで、接地用電線Ｄの外被４００２の先端部分が被覆加締め部４０３４に加締められて固定される。

　図５８及び図６０（ｃ）に示すように、接続端子４０３０の締結接続部４０３２は、一対の締結加締め片４０３２ａを有したＵ字状に形成されている。この締結接続部４０３２を構成するそれぞれの締結加締め片４０３２ａには、その上縁部に、食い込み歯４０３６が形成されている。食い込み歯４０３６は、先端が尖った複数の山型の突起４０３７を配列した凹凸形状に形成されている。食い込み歯４０３６は、接続端子４０３０をプレス成形する際に形成される。

　図６１（ａ）に示すように、接続端子４０３０のＵ字状の締結接続部４０３２内に端子金具４０１０の端子接続部４０２１を配置させた状態で、締結加締め片４０３２ａを加締めると、その加締め開始時に、図６１（ｂ）に示すように、締結加締め片４０３２ａが端子本体４０１１の端子接続部４０２１の両側部を巻き込む。その後、図６１（ｃ）に示すように、締結加締め片４０３２ａは、端子接続部４０２１の係合壁４０２２及びその上端の係合片４０２２ａを外側から巻き込むように加締められ、これにより、図６１（ｄ）に示すように、係合片４０２２ａを有する係合壁４０２２が締結加締め片４０３２ａの内側で丸まって隙間なく収容され、締結接続部４０３２内に端子接続部４０２１が充填された状態となる。したがって、端子接続部４０２１に対して締結接続部４０３２が高い接圧で強固に締結されるとともに、端子金具４０１０と接続端子４０３０とが確実に導通される。

　図６１（ｄ）及び図６２に示すように、接続端子４０３０の締結接続部４０３２を端子金具４０１０の端子接続部４０２１に加締めると、締結接続部４０３２の締結加締め片４０３２ａが端子接続部４０２１に圧接すると、締結加締め片４０３２ａの上縁部に形成された食い込み歯４０３６が、端子接続部４０２１に食い込む。これにより、端子金具４０１０の端子接続部４０２１の表面に酸化被膜などの不純物が形成されていたとしても、加締めの際に端子接続部４０２１に締結加締め片４０３２ａの食い込み歯４０３６が食い込むことで、この食い込み歯４０３６は、端子接続部４０２１の新生面と接触することとなる。

　このように、接続端子４０３０は、高い接圧で強固に締結されるとともに、締結加締め片４０３２ａの食い込み歯４０３６が端子接続部４０２１に食い込むことで、端子接続部４０２１と接続端子４０３０とが確実かつ高い接続信頼性で導通接続される。

　なお、締結加締め片４０３２ａを加締める前に、別工程で締結加締め片４０３２ａを図６１（ｂ）に示すような湾曲した形状に予め曲げ加工しておき、その状態の締結加締め片４０３２ａに端子接続部４０２１を配置して、締結加締め片４０３２ａを加締めるようにしてもよい。

　接地用電線Ｄを端子金具４０１０に接続するには、まず、接地用電線Ｄの端部において、外被４００２を除去して導体部４００１を露出させる。そして、接地用電線Ｄの端部をキャリア４０３５から切り離した接続端子４０３０の電線接続部４０３１上に配置させ、導体加締め部４０３３を加締めるとともに、被覆加締め部４０３４を加締める。これにより、接地用電線Ｄに接続端子４０３０を接続する。

　次いで、接地用電線Ｄに接続した接続端子４０３０の締結接続部４０３２を端子金具４０１０の端子接続部４０２１に裏面側からあてがい、締結加締め片４０３２ａを加締める。これにより、端子金具４０１０に接続端子４０３０が強固に締結され、接地用電線Ｄの導体部４００１が端子金具４０１０に導通される。

　端子金具４０１０のそれぞれの端子接続部４０２１に対して上記のように接続端子４０３０を締結する。これにより、複数本の接地用電線Ｄは、端子金具４０１０に一括して導通される。そして、この端子金具４０１０を、車両の接地面にボルトで固定することで、複数本の接地用電線Ｄが接地される。

　以上、説明したように、実施形態４－１に係る端子の接続構造によれば、接続端子４０３０の締結加締め片４０３２ａを加締めて端子接続部４０２１に締結すると、圧接箇所において、食い込み歯４０３６が圧接相手に食い込む。これにより、圧接面に酸化被膜などの不純物が形成されていたとしても、食い込み歯４０３６が圧接相手の新生面と接触することとなる。したがって、手間を要する熱溶着などによって接続することなく、接続端子４０３０を端子接続部４０２１へ確実かつ高い接続信頼性で導通接続させることができる。また、熱溶着での接続が困難な、例えば、銅または銅合金とアルミニウムとの接続の場合にも、確実かつ高い接続信頼性で導通接続させることができる。

　しかも、食い込み歯４０３６は、複数の山型形状の突起４０３７を有するので、接続端子４０３０の締結加締め片４０３２ａを加締めることで、食い込み歯４０３６の複数の山型形状の突起４０３７の先端を確実に圧接相手へ食い込ませて良好な導通状態を確保できる。

　また、本実施形態に係る端子の接続構造によれば、接地用電線Ｄに接続された接続端子４０３０を端子金具４０１０の端子接続部４０２１に加締めて締結させることにより、端子金具４０１０に対して複数本の接地用電線Ｄを確実かつ高い接続信頼性で一括して導通接続させることができる。

　また、端子金具４０１０に複数本の接地用電線Ｄを接続することで、複数本の接地用電線Ｄを一括して端子金具４０１０に導通接続させることができるので、それぞれの接地用電線に接続された端子金具を重ねて締結して導通させる構造と比較し、端子金具４０１０を重ねる必要がないため、接地用電線Ｄの本数が増えたとしても端子金具４０１０の重量の増加を抑制できる。また、端子金具４０１０を重ねる必要がないため、導通接続されるべき接地用電線Ｄが増えても端子金具４０１０の厚みが増すことがなく省スペース化が図られる。しかも、端子金具４０１０の端子接続部４０２１に接続端子４０３０を締結するので、接続端子４０３０を保持する特別な保持機構を不要にできる。これにより、ハウジング内に端子を保持する保持機構を備える必要があるジョイントコネクタと比較し、小型化及び低コスト化が図れる。

　また、端子金具４０１０に対して別体の接続端子４０３０を締結して接続する構造であるので、異なるサイズの接地用電線Ｄが接続された接続端子４０３０を端子接続部４０２１に締結して導通させることができる。つまり、端子金具４０１０の端子接続部４０２１と接続端子４０３０の締結接続部４０３２との接続形態を変更することなく、様々なサイズの接地用電線Ｄに対応できる。また、端子接続部４０２１の数が異なる端子金具４０１０を用意しておくことで、導通させる接地用電線Ｄの本数の増減に対して容易に対応できる。

　これに対して、実施形態４－１に係る端子の接続構造によれば、導通させる接地用電線Ｄの本数やサイズの変更に対して、必要最小限のバリエーションの端子金具４０１０で対応できる。

　しかも、端子金具４０１０の複数の端子接続部４０２１に接続端子４０３０を締結する構造であるので、必要に応じて端子接続部４０２１に接続端子４０３０を締結させることができ、これにより、端子接続部４０２１の数の範囲内において一括して導通させる接地用電線Ｄの本数を容易に増減させることができる。

　また、端子接続部４０２１の両側部には、締結加締め片４０３２ａに係合する係合壁４０２２が形成されている。したがって、接続端子４０３０の締結加締め片４０３２ａを端子接続部４０２１に加締めることで、締結加締め片４０３２ａが端子接続部４０２１の係合壁４０２２に係合する。これにより、端子接続部４０２１に締結加締め片４０３２ａを確実に圧着して端子接続部４０２１への接続端子４０３０の接続強度をさらに高めることができ、接続箇所における電気抵抗を安定させて電気的接続を良好にできる。

　特に、端子接続部４０２１の係合壁４０２２の上端に、内側へ折り返された係合片４０２２ａが形成されているので、端子接続部４０２１に締結加締め片４０３２ａを確実に圧着して接続端子４０３０の締結加締め片４０３２ａとの係合力をより高めることができ、高い接続強度を確実に得ることができる。これにより、接続箇所における電気抵抗を安定させて電気的接続を良好にできる。

　しかも、端子接続部４０２１は、同一平面内において、放射線状に延在されている。したがって、端子金具４０１０の占有面積を極力抑えつつ、多くの端子接続部４０２１を設けることができ、よって、多くの接地用電線Ｄを一括して接続できる。

　また、本実施形態に係る端子の接続構造では、解体時には、連結部４０２０で端子本体４０１１に連結されている電線接続部本体４０１９を分離せることで、複数本の接地用電線Ｄを一括して端子本体４０１１から分離させることができ、良好なリサイクル性を得ることができる。

　しかも、端子本体４０１１と電線接続部本体４０１９とを連結している連結部４０２０の係止片４０１６ａによる係止力を調整して連結強度を、例えば、接地用電線Ｄの径や接続本数などの配線状況に応じて調整することで、配線時における接続強度を確実に確保しつつ解体時における良好な分離性も確保することができ、耐久性とリサイクル性とを両立させることができる。例えば、端子本体４０１１と電線接続部本体４０１９との連結強度を、接続強度として必要な強度から良好に分離可能な強度の範囲（例えば、１００Ｎ～５００Ｎ）に調整できる。

　なお、接続端子４０３０の締結加締め片４０３２ａに形成した食い込み歯４０３６は、複数の山型の突起４０３７を配列させた凹凸形状に限らない。また、上記実施形態では、接続端子４０３０側に食い込み歯４０３６を形成したが、食い込み歯４０３６は、端子接続部４０２１側に形成しても良く、また、接続端子４０３０側及び端子接続部４０２１の両方に形成しても良い。

＜変形例４－１＞
　次いで、各種の変形例について説明する。
　図６３は、変形例４－１を説明する端子接続部及び接続端子の斜視図である。
　図６３に示すように、この変形例４－１では、接続端子４０３０の締結加締め片４０３２ａに形成する食い込み歯４０３６が、複数の矩形状の突起４０３８を配列させた凹凸形状とされている。

　この変形例４－１の場合も、接続端子４０３０の締結接続部４０３２の締結加締め片４０３２ａを端子金具４０１０の端子接続部４０２１に加締めると、複数の矩形状の突起４０３８を配列させた食い込み歯４０３６が、端子接続部４０２１に食い込む。これにより、食い込み歯４０３６を、端子接続部４０２１の新生面と接触させ、端子接続部４０２１と接続端子４０３０とを高い接続信頼性で導通接続させることができる。

　また、食い込み歯４０３６は、複数の矩形状の突起４０３８を有するので、接続端子４０３０の締結加締め片４０３２ａを加締めることで、食い込み歯４０３６の複数の矩形状の突起４０３８の角部を確実に圧接相手へ食い込ませて良好な導通状態を確保できる。

＜変形例４－２＞
　図６４は、変形例４－２を説明する端子接続部及び接続端子の斜視図である。
　図６４に示すように、この変形例４－２では、端子接続部４０２１は、係合壁４０２２の上端に係合片４０２２ａを設けない断面凹形状とされている。そして、この端子接続部４０２１の係合壁４０２２の上縁部に、複数の山型形状の突起４０３７を配列させた凹凸形状の食い込み歯４０３６が形成されている。

　この変形例４－２では、接続端子４０３０の締結接続部４０３２の締結加締め片４０３２ａを端子接続部４０２１に加締めると、締結加締め片４０３２ａの内面側に、端子接続部４０２１に形成された、複数の山型形状の突起４０３７を配列させた食い込み歯４０３６が食い込む。これにより、食い込み歯４０３６を、接続端子４０３０の新生面と接触させ、端子接続部４０２１と接続端子４０３０とを高い接続信頼性で導通接続させることができる。

＜変形例４－３＞
　図６５は、変形例４－３を説明する端子接続部及び接続端子の斜視図である。
　図６５に示すように、この変形例４－３においても、端子接続部４０２１は、係合壁４０２２の上端に係合片４０２２ａを設けない断面凹形状とされている。そして、この端子接続部４０２１の係合壁４０２２の上縁部に、複数の矩形状の突起４０３８を配列させた凹凸形状の食い込み歯４０３６が形成されている。

　この変形例４－３では、接続端子４０３０の締結接続部４０３２の締結加締め片４０３２ａを端子接続部４０２１に加締めると、締結加締め片４０３２ａの内面側に、端子接続部４０２１に形成された、複数の矩形状の突起４０３８を配列させた食い込み歯４０３６が食い込む。これにより、食い込み歯４０３６を、接続端子４０３０の新生面と接触させ、端子接続部４０２１と接続端子４０３０とを高い接続信頼性で導通接続させることができる。

　しかも、食い込み歯４０３６は、複数の矩形状の突起４０３８を有するので、接続端子４０３０の締結加締め片４０３２ａを加締めることで、食い込み歯４０３６の複数の矩形状の突起４０３８の角部を確実に圧接相手へ食い込ませて良好な導通状態を確保できる。

＜変形例４－４＞
　図６６は、変形例４－４を説明する端子接続部及び接続端子の斜視図である。
　図６６に示すように、この変形例４－４においても、端子接続部４０２１は、係合壁４０２２の上端に係合片４０２２ａを設けない断面凹形状とされている。変形例４－４では、端子接続部４０２１の上縁部近傍における外面側に、複数の溝部４０３９が形成されている。これらの溝部４０３９は、端子接続部４０２１に締結加締め片４０３２ａを加締める際に互いに圧接しながら摺動する方向に沿って形成されている。具体的には、溝部４０３９は、端子接続部４０２１と接続端子４０３０との接続方向と直交する方向に沿って形成されている。そして、これらの溝部４０３９が食い込み歯４０３６とされている。

　この変形例４－４では、接続端子４０３０の締結接続部４０３２の締結加締め片４０３２ａを端子接続部４０２１に加締めることで、端子接続部４０２１の外面と締結加締め片４０３２ａの内面とが圧接すると、締結加締め片４０３２ａの内面側に、端子接続部４０２１に形成された、複数の溝部４０３９からなる食い込み歯４０３６が食い込む。これにより、食い込み歯４０３６を、接続端子４０３０の新生面と接触させ、端子接続部４０２１と接続端子４０３０とを高い接続信頼性で導通接続させることができる。

　しかも、食い込み歯４０３６は、複数の溝部４０３９を有するので、接続端子４０３０の締結加締め片４０３２ａを加締めることで、食い込み歯４０３６の複数の溝部４０３９の縁部を確実に圧接相手へ食い込ませて良好な導通状態を確保できる。

　なお、上記実施形態４－１では、端子金具４０１０に形成された端子接続部４０２１に、接地用電線Ｄに接続された接続端子４０３０を締結する場合を例示して説明したが、本発明は、それぞれ電線に接続された端子同士を締結して接続する場合にも適用できるのは勿論である。

　また、上記実施形態では、端子接続部４０２１として、両側部に係合壁４０２２を設けて断面視凹形状とし、係合壁４０２２の上端部に、内側へ円弧状に湾曲されて折り返された係合片４０２２ａを形成したが、端子接続部４０２１の断面形状は上記のものに限らない。

　図６７から図６９は、それぞれ他の形状の端子接続部の断面図である。
　図６７に示すように、端子接続部４０２１としては、その底部が外側へ膨出するように湾曲されたものでも良い。このように、端子接続部４０２１の底部を外側へ膨出させておくと、締結加締め片４０３２ａを加締めた際に、端子接続部４０２１をより円滑に巻き込ませて良好に圧着させることができる。

　また、図６８に示すように、端子接続部４０２１としては、両側部の係合壁４０２２が上方へ向かって互いに離間する断面視Ｖ字形状とし、係合壁４０２２の上端に、内側へ屈曲させて折り返した係合片４０２２ａを形成しても良い。この形状の場合も、端子接続部４０２１の係合壁４０２２の上端の係合片４０２２ａに締結加締め片４０３２ａを強固に係合させて高い接続強度を確実に得ることができる。

　なお、端子接続部４０２１と接続端子４０３０との間における耐引張り強度があまり必要ない場合では、図６９に示すように、端子接続部４０２１としては、係合壁４０２２の上端に係合片４０２２ａを設けない断面凹形状としても良い。

　なお、上記実施形態４－１では、４つの端子接続部４０２１を有する端子金具４０１０を用いた場合を例にとって説明したが、端子金具４０１０の端子接続部４０２１は、複数であれば４つに限らない。

＜実施形態４－２＞
　次いで、端子の接続構造の他の実施形態について説明する。なお、端子金具以外は、実施形態４－１と略同一構造であるので、同一符号を付して説明を省略する。

　図７０は、実施形態４－２に係る端子の接続構造を説明する図であって、図７０（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図７０（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。図７１は、実施形態４－２に係る端子の接続構造を説明する図であって、図７１（ａ）は端子金具と接続端子の斜視図、図７１（ｂ）は端子金具と接続端子の平面図である。

　図７０（ａ）（ｂ）及び図７１（ａ）（ｂ）に示すように、本実施形態に係る端子の接続構造では、端子金具４１１０と接続端子４０３０とが接続されている。端子金具４１１０も、車両のボディ等の接地面と導通接続される。これにより、車載の回路の接地用電線Ｄと車両のボディ等の接地面とが端子金具４１１０を介して導通される。接続端子４０３０には、例えば、８ｓｑのサイズの接地用電線Ｄが接続される。

　図７２は、端子金具を説明する図であって、図７２（ａ）は正面図、図７２（ｂ）は側面図、図７２（ｃ）は断面図である。図７３は、端子金具の端子接続部に対する締結接続部の締結加締め片の締結状態を示す図であって、図７３（ａ）は締結加締め片の締結前の図７０（ｂ）におけるＨ－Ｈ断面図、図７３（ｂ）は締結加締め片の締結過程の図７０（ｂ）におけるＨ－Ｈ断面図、図７３（ｃ）は締結加締め片の締結後の図７０（ｂ）におけるＨ－Ｈ断面図、である。

　図７２（ａ）～（ｃ）に示すように、端子金具４１１０は、端子本体４１１１と端子接続部（端子）４１２１とを有している。端子金具４１１０は、導電性を有する金属板のプレス成形品である。端子本体４１１１は、平面視円形状の固定板部４１１２を有している。この固定板部４１１２には、その中央に円形の取付孔４１１３が形成されている。端子本体４１１１は、固定板部４１１２の取付孔４１１３を挿通するボルト（不図示）によって、車両のボディ等の接地面に固定される。なお、取付孔４１１３は固定板部４１１２の中央ではなく偏心して設けられていてもよい。

　固定板部４１１２には、その周縁の約半周部分に接続板部４１１４が形成されている。接続板部４１１４は、一方の面側である上面側へ張り出している。これにより、固定板部４１１２と接続板部４１１４との間に段差が形成されている。また、固定板部４１１２における接続板部４１１４以外の部分には、その周方向の中央位置に、回り止め片４１１５が形成されている。回り止め片４１１５は、端子本体４１１１をボルト締結する接地面の周囲の段差や孔部に係合する折り曲げ部で、この回り止め片４１１５が接地面の周囲の段差や孔部に係合することで、接地面に対する端子金具４１１０の回動を規制する。

　端子接続部４１２１は、端子本体４１１１の接続板部４１１４に一体に形成されている。端子接続部４１２１は、接続板部４１１４に複数設けられている。具体的には、接続板部４１１４に、３つの端子接続部４１２１が形成されている。これらの端子接続部４１２１は、同一平面内において、固定板部４１１２の周縁からそれぞれ同一方向へ突出して延在されており、それぞれ幅方向に間隔をあけて配置されている。なお、両側の端子接続部４１２１よりも中央側の端子接続部４１２１の方が延在方向へ向かって突出されている。

　それぞれの端子接続部４１２１は、その両側部に、一方の面側である上面側へ突出する係合壁（側壁部）４１２２を有している。これにより、それぞれの端子接続部４１２１は、正面視で凹形状に形成されている。なお、端子接続部４１２１の互いに隣り合う係合壁４１２２同士は、固定板部４１１２側に形成された周壁部４１２３に連続的に形成されている。

　上記の端子金具４１１０に接地用電線Ｄを接続するには、まず、接地用電線Ｄの端部において、外被４００２を除去して導体部４００１を露出させる。そして、接地用電線Ｄの端部をキャリア４０３５から切り離した接続端子４０３０の電線接続部４０３１上に配置させ、導体加締め部４０３３を加締めるとともに、被覆加締め部４０３４を加締める。これにより、接地用電線Ｄに接続端子４０３０を接続する。

　次いで、接地用電線Ｄに接続した接続端子４０３０の締結接続部４０３２を端子金具４１１０の端子接続部４１２１に裏面側からあてがい、締結加締め片４０３２ａを加締める。

　ここで、図７３（ａ）に示すように、接続端子４０３０のＵ字状の締結接続部４０３２内に端子金具４１１０の端子接続部４１２１を配置させた状態で、締結加締め片４０３２ａを加締めると、その加締め開始時に、図７３（ｂ）に示すように、締結加締め片４０３２ａが端子本体４１１１の端子接続部４１２１の両側部を巻き込む。その後、図７３（ｃ）に示すように、締結加締め片４０３２ａは、端子接続部４１２１の係合壁４１２２を外側から巻き込むように加締められ、これにより、係合壁４１２２が締結加締め片４０３２ａの内側で丸まって隙間なく収容され、締結接続部４０３２内に端子接続部４１２１が充填された状態となる。したがって、端子接続部４１２１に対して締結接続部４０３２が高い接圧で強固に締結されるとともに、端子金具４１１０と接続端子４０３０とが確実に導通される。

　図７３（ｃ）に示すように、接続端子４０３０の締結接続部４０３２を端子金具４１１０の端子接続部４１２１に加締めると、締結接続部４０３２の締結加締め片４０３２ａの上縁部が端子接続部４１２１に圧接し、締結加締め片４０３２ａの上縁部に形成された食い込み歯４０３６が、端子接続部４１２１に食い込む。これにより、端子金具４１１０の端子接続部４１２１の表面に酸化被膜などの不純物が形成されていたとしても、加締めの際に端子接続部４１２１に締結加締め片４０３２ａの食い込み歯４０３６が食い込むことで、この食い込み歯４０３６は、端子接続部４１２１の新生面と接触することとなる。

　このように、接続端子４０３０は、高い接圧で強固に締結されるとともに、締結加締め片４０３２ａの食い込み歯４０３６が端子接続部４１２１に食い込むことで、端子接続部４１２１と接続端子４０３０とが確実かつ高い接続信頼性で導通接続される。

　なお、締結加締め片４０３２ａを加締める前に、別工程で締結加締め片４０３２ａを図７３（ｂ）に示すような湾曲した形状に予め曲げ加工しておき、その状態の締結加締め片４０３２ａに端子接続部４１２１を配置して、締結加締め片４０３２ａを加締めるようにしてもよい。

　端子金具４１１０のそれぞれの端子接続部４１２１に対して上記のように接続端子４０３０を締結する。これにより、複数本の接地用電線Ｄは、端子金具４１１０に一括して導通される。そして、この端子金具４１１０を、車両の接地面にボルトで固定することで、複数本の接地用電線Ｄが接地される。

　以上、説明したように、実施形態４－２に係る端子の接続構造の場合も、接続端子４０３０の締結加締め片４０３２ａを加締めて端子接続部４１２１に締結すると、圧接箇所において、食い込み歯４０３６が圧接相手に食い込む。これにより、圧接面に酸化被膜などの不純物が形成されていたとしても、食い込み歯４０３６が圧接相手の新生面と接触することとなる。したがって、手間を要する熱溶着などによって接続することなく、接続端子４０３０を端子接続部４１２１へ確実かつ高い接続信頼性で導通接続させることができる。また、熱溶着での接続が困難な、例えば、銅または銅合金とアルミニウムとの接続の場合にも、確実かつ高い接続信頼性で導通接続させることができる。

　また、実施形態４－２に係る端子の接続構造の場合も、接地用電線Ｄに接続された接続端子４０３０を端子金具４１１０の端子接続部４１２１に加締めて締結させることにより、端子金具４１１０に対して複数本の接地用電線Ｄを確実かつ高い接続信頼性で一括して導通接続させることができる。

　また、実施形態４－１と同様に、端子金具４１１０に設けられた複数の端子接続部４１２１に、複数本の接地用電線Ｄに接続された接続端子４０３０の締結加締め片４０３２ａを加締めることで、端子金具４１１０に接続端子４０３０を締結して複数本の接地用電線Ｄを一括して端子金具４１１０に導通接続させることができる。これにより、それぞれの電線に接続された端子金具を重ねて締結して導通させる構造と比較し、端子金具４１１０を重ねる必要がないため、電線の本数が増えたとしても端子金具の重量の増加を抑制できる。また、端子金具を重ねる必要がないため、導通されるべき電線が増えても厚みが増すことがなく省スペース化が図られる。しかも、端子金具４１１０の端子接続部４１２１に接続端子４０３０を締結するので、接続端子４０３０を保持する特別な保持機構を不要にできる。これにより、ハウジング内に端子を保持する保持機構を備える必要があるジョイントコネクタと比較し、小型化及び低コスト化が図れる。

　また、端子金具４１１０に対して別体の接続端子４０３０を締結して接続する構造であるので、異なるサイズの接地用電線Ｄが接続された接続端子４０３０を端子接続部４１２１に締結して導通させることができる。つまり、端子金具４１１０の端子接続部４１２１と接続端子４０３０の締結接続部４０３２との接続形態を変更することなく、様々なサイズの接地用電線Ｄに対応できる。また、端子接続部４１２１の数が異なる端子金具４１１０を用意しておくことで、導通させる接地用電線Ｄの本数の増減に対して容易に対応できる。

　つまり、実施形態４－２に係る端子の接続構造の場合も、導通させる接地用電線Ｄの本数やサイズの変更に対して、必要最小限のバリエーションの端子金具４１１０で対応できる。

　しかも、端子金具４１１０の複数の端子接続部４１２１に接続端子４０３０を締結する構造であるので、必要に応じて端子接続部４１２１に接続端子４０３０を締結させることができ、これにより、端子接続部４１２１の数の範囲内において一括して導通させる接地用電線Ｄの本数を容易に増減させることができる。

　また、端子接続部４１２１の両側部には、締結加締め片４０３２ａに係合する係合壁４１２２が形成されている。したがって、接続端子４０３０の締結加締め片４０３２ａを端子接続部４１２１に加締めることで、締結加締め片４０３２ａが端子接続部４１２１の係合壁４１２２に係合する。これにより、端子接続部４１２１に締結加締め片４０３２ａを確実に圧着して端子接続部４１２１への接続端子４０３０の接続強度をさらに高めることができ、接続箇所における電気抵抗を安定させて電気的接続を良好にできる。

　しかも、端子接続部４１２１は、同一平面内において、互いに間隔をあけてそれぞれ同一方向へ延在されている。したがって、端子金具４１１０に対する接続端子４０３０の接続方向及び接地用電線Ｄの配線方向を同一方向に揃えることができ、端子金具４１１０の端子接続部４１２１への接続端子４０３０の締結作業性を向上させることができる。また、接地用電線Ｄの配線方向を同一方向に揃えて幹線の流れに沿わすことができ、しかも、接地用電線Ｄの無駄な広がりや接続端子４０３０付近における接地用電線Ｄの屈曲を極力抑えることができる。

　また、実施形態４－２における端子金具４０１０の端子接続部４１２１においても、実施形態４－１と同様に、係合壁４１２２の上端に係合片を形成しても良く、また、断面形状をＶ字形状としても良い。

　なお、上記端子金具４０１０では、３つの端子接続部４１２１を有する場合を例にとって説明したが、端子金具４１１０の端子接続部４１２１は、複数であれば３つに限らない。

＜実施形態４－２の変形例＞
　次いで、実施形態４－２の変形例として、端子接続部４１２１の数が異なる端子の接続構造を説明する。なお、上記の例と同一構成部分は同一符号を付して説明を省略する。

　図７４は、実施形態４－２の変形例に係る端子の接続構造を説明する図であって、図７４（ａ）は接地用電線が接続された端子金具の斜視図、図７４（ｂ）は接地用電線が接続された端子金具の平面図である。図７５は、実施形態４－２の変形例に係る端子の接続構造を説明する図であって、図７５（ａ）は端子金具と接続端子の斜視図、図７５（ｂ）は端子金具と接続端子の平面図である。

　図７４（ａ）（ｂ）及び図７５（ａ）（ｂ）に示すように、この端子金具４１１０Ａは、５つの端子接続部４１２１を備えている。これらの端子接続部４１２１も同一方向へ延在されており、それぞれ幅方向に間隔をあけて配置されている。そして、この端子金具４１１０Ａの端子接続部４１２１にも、それぞれ接続端子４０３０が締結されて接地用電線Ｄが接続される。接続端子４０３０には、例えば、８ｓｑよりも細い０．５ｓｑのサイズの接地用電線Ｄが接続される。

　このように、５つの端子接続部４１２１を有する端子金具４１１０Ａを用いれば、サイズの小さいより多くの接地用電線Ｄを一括して導通させて接地させることができる。

　なお、上記実施形態４－１，実施形態４－２では、車載の回路（補機）の接地用電線Ｄを端子金具４０１０，４１１０，４１１０Ａに接続することにより、これらの接地用電線Ｄを一括して接地させたが、端子金具４０１０，４１１０，４１１０Ａに接続させる電線は接地用に限らない。

　また、端子金具４０１０，４１１０，４１１０Ａの端子本体４１１１に回り止め片４０１５，４１１５を設けず、端子金具４０１０，４１１０，４１１０Ａを接地面に取り付ける際に端子金具４０１０，４１１０，４１１０Ａに当接して回り止めとなる段差や回り止め片を接地面側に設けても良い。

　なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。

　ここで、上述した本発明に係る実施形態の特徴（主として、実施形態１－１，実施形態２－１，実施形態２－２の特徴）を、それぞれ以下（１）～（１２）に簡潔に纏めて列記する。
（１）
　接地面に締結固定される端子本体（１０１１）と、該端子本体から延在された複数の端子接続部（１０２１）と、を有する端子金具と、
　接地用電線（Ｄ）が導通接続されると共に前記端子接続部に導通接続される中継端子（１０３０）と、を備える、
　端子金具の接続構造。
（２）
　上記（１）に記載の端子金具の接続構造において、
　前記中継端子（１０３０）には、複数本の接地用電線が導通接続される、
　端子金具の接続構造。
（３）
　上記（１）又は上記（２）に記載の端子金具の接続構造において、
　前記中継端子（１０３０）には、一対の締結加締め片（１０３２ａ）が形成され、
　前記一対の締結加締め片が前記端子接続部（１０２１）の両側部の外側を巻き込むように加締められて前記端子金具（１０１０）に前記中継端子が締結されることによって、前記端子金具が前記中継端子を介して前記接地用電線（Ｄ）に接続される、
　端子金具の接続構造。
（４）
　上記（３）に記載の端子金具の接続構造において、
　前記端子接続部（１０２１）の両側部には、該端子接続部が前記端子本体（１０１１）から延在する平面に対して立設する係合壁（１０２２）が形成され、
　加締められた前記締結加締め片（１０３２ａ）が、前記係合壁に係合する、
　端子金具の接続構造。
（５）
　上記（４）に記載の端子金具の接続構造において、
　前記係合壁（１０２２）が、該係合壁の上端が内側へ折り返された係合片（１０２２ａ）を有する、
　端子金具の接続構造。
（６（７））
　上記（３）～（５）の何れか一つに記載の端子金具の接続構造において、
　前記中継端子（２０３０）には、前記締結加締め片（２０３２ａ）によって囲われた保持空間（Ｓ）が形成され、
　前記保持空間を形成する両側面は、前記保持空間へ挿入された前記端子接続部（２０２１）の両側部と当接し、前記保持空間への挿入方向に沿う軸線を中心とした前記端子接続部の回転を規制する回転規制面（２０３６）である、
　端子金具の接続構造。
（７（８））
　上記（６）に記載の端子金具の接続構造において、
　前記保持空間（Ｓ）を形成する底面（２０３７）が下方へ膨出するように湾曲している、
　端子金具の接続構造。
（８）
　上記（１）～（７）の何れか一つに記載の端子金具の接続構造において、
　前記端子接続部（１０２１，２０２１）のそれぞれが、同一平面内において、放射線状に延在されている、
　端子金具の接続構造。
（９）
　上記（１）～（７）の何れか一つに記載の端子金具の接続構造において、
　前記端子接続部（１０２１，２０２１）のそれぞれが、同一平面内において、互いに間隔をあけてそれぞれ同一方向へ延在されている、
　端子金具の接続構造であること。
（１０）
　端子本体（２０１１）と、前記端子本体から延在する複数の端子接続部（２０２１）と、を有する端子金具（２０１０）に対して、接地用電線（Ｄ）に接続された中継端子（２０３０）が有する一対の締結加締め片（２０３２ａ）を前記端子接続部に加締めて接続する、端子金具の接続方法であって、
　前記締結加締め片によって前記端子接続部を挿入可能な保持空間（Ｓ）を前記中継端子（２０３０）に形成する第１工程と、
　前記保持空間（Ｓ）に前記端子接続部（２０２１）を挿入させることによって前記中継端子（２０３０）に前記端子接続部を保持させる第２工程と、
　前記締結加締め片（２０３２ａ）を押し潰して前記保持空間内の前記端子接続部（２０２１）の両側部の外側を巻き込むように加締める第３工程と、を含む、
　端子金具の接続方法。
（１１）
　上記（１０）に記載の端子金具の接続方法において、
　前記中継端子（２０３０）には、前記第２工程よりも前に、前記接地用電線（Ｄ）が導通接続される、
　端子金具の接続方法。
（１２（４））
　上記（１）～（９）の何れか一つに記載の端子金具（１０１０，２０１０）の接続構造を備えるワイヤハーネスであること。

　更に、上述した本発明に係る実施形態の他の特徴（主として、実施形態３－１～３－５の特徴）を、それぞれ以下［１］～［１２］に簡潔に纏めて列記する。
［１］　端子本体（３２１１）と、複数本の電線（接地用電線Ｄ）が接続される電線接続部本体（３２１９）と、前記端子本体と前記電線接続部本体とを複数個所で連結する複数の連結部（３２２０Ａ，３２２０Ｂ）と、を有し、
　少なくとも一つの前記連結部は、前記端子本体と前記電線接続部本体との連結強度を調整可能な連結強度調整機能を有する、端子金具。
［２］　前記端子本体または前記電線接続部本体には、前記電線接続部本体または前記端子本体の縁部で折り返されて前記電線接続部本体または前記端子本体の縁部を係止する係止片（３２１７）を有し、
　前記係止片による係止力で前記端子本体と前記電線接続部本体とが連結される連結箇所が前記連結強度調整機能を有する前記連結部とされている、［１］に記載の端子金具。
［３］　前記係止片で係止される前記電線接続部本体または前記端子本体の縁部には、前記係止片が嵌入可能な窓部（３２１８）が形成されている、［２］に記載の端子金具。
［４］　前記端子本体及び前記電線接続部本体は、互いに重なり合う加締め片（３２２４，３２２５）を有し、前記加締め片をバーリング加締めで締結することで前記端子本体と前記電線接続部本体とが連結される連結箇所が前記連結強度調整機能を有する前記連結部とされている、［１］に記載の端子金具。
［５］　前記端子本体と前記電線接続部本体との間には、前記端子本体及び前記電線接続部本体をそれぞれ一体に連結する複数の板状部が形成され、該板状部は、前記端子本体と前記電線接続部本体との連結方向と交差する方向に沿う溝部からなるノッチ（３２２６）を形成することで、前記連結強度調整機能を有する前記連結部とされている、［１］に記載の端子金具。
［６］　上記［１］から［５］のいずれかの端子金具の前記電線接続部本体に、複数本の前記電線が圧着されて導通接続されている
　ことを特徴とする端子金具の接続構造。
［７］　上記［１］から［５］のいずれかの端子金具の前記電線接続部本体に、前記電線が導通接続された複数の接続端子（３０３０）が締結されて接続されている、端子金具の接続構造。
［８］　前記電線接続部本体には、前記接続端子が締結されて接続される複数の端子接続部（３０２１）が延在され、
　前記接続端子には、一対の締結加締め片（３０３２ａ）が形成され、
　前記一対の締結加締め片が前記端子接続部の両側部の外側を巻き込むように加締められて前記端子金具の前記電線接続部本体に前記接続端子が締結されることによって、前記端子金具が前記接続端子を介して前記電線に接続される、［７］に記載の端子金具の接続構造。
［９］　前記端子接続部の両側部には、該端子接続部が前記電線接続部本体から延在する平面に対して立設する係合壁（３０２２）が形成され、
　加締められた前記締結加締め片が、前記係合壁に係合する、［８］に記載の端子金具の接続構造。
［１０］　前記係合壁は、該係合壁の上端が内側へ折り返された係合片（３０２２ａ）を有する、［９］に記載の端子金具の接続構造。
［１１］　前記端子接続部（３０２１）のそれぞれは、同一平面内において、放射線状に延在されている、［８］から［１０］のいずれか一つに記載の端子金具の接続構造。
［１２］　前記端子接続部（３１２１）のそれぞれは、同一平面内において、互いに間隔をあけてそれぞれ同一方向へ延在されている、［８］から［１０］のいずれか一つに記載の端子金具の接続構造。

　更に、上述した本発明に係る実施形態の他の特徴（主として、実施形態４－１，実施形態４－２の特徴）を、それぞれ以下〈１〉～〈１０〉に簡潔に纏めて列記する。
〈１〉　導電性金属材料からなる一対の端子（端子接続部４０２１，接続端子４０３０）の接続構造であって、
　一方の端子（接続端子４０３０）は、他方の端子（端子接続部４０２１）の両側部の側壁部（係合壁４０２２）の外側を巻き込むように加締められる一対の締結加締め片（４０３２ａ）を有し、
　前記一方の端子及び前記他方の端子の少なくとも一方には、前記締結加締め片を加締める際に互いに圧接される圧接箇所に、圧接相手に食い込む食い込み歯（４０３６）が形成されている、端子の接続構造。
〈２〉　前記食い込み歯は、複数の山型形状の突起（４０３７）を有する、〈１〉に記載の端子の接続構造。
〈３〉　前記食い込み歯は、複数の矩形状の突起（４０３８）を有する、〈１〉に記載の端子の接続構造。
〈４〉　前記食い込み歯は、複数の溝部（４０３９）を配列させてなる、〈１〉に記載の端子の接続構造。
〈５〉　前記一方の端子が接続された複数本の電線（接地用電線Ｄ）と、複数の前記他方の端子が一体に形成された端子金具（３０１０）と、を備え、
　前記一方の端子を前記他方の端子に締結することによって、複数本の前記電線が前記端子金具に接続される、〈１〉から〈４〉のいずれか一つに記載の端子の接続構造。
〈６〉　電線（接地用電線Ｄ）に接続された前記一方の端子としての接続端子（４０３０）と、端子本体（４０１１）と、前記端子本体から延在する複数の端子接続部（４０２１）と、を有する前記他方の端子としての端子金具（４０１０）と、を備え、
　前記接続端子は、前記一対の締結加締め片（４０３２ａ）が形成され、
　前記一対の締結加締め片が前記端子接続部の両側部の外側を巻き込むように加締められて前記端子金具に前記接続端子が締結されることによって、前記端子金具が前記接続端子を介して前記電線に接続される、〈１〉から〈４〉のいずれか一つ記載の端子の接続構造。
〈７〉　前記端子接続部の両側部には、該端子接続部が前記電線接続部本体から延在する平面に対して立設する係合壁（４０２２）が形成され、加締められた前記締結加締め片が、前記係合壁に係合する、〈６〉に記載の端子の接続構造。
〈８〉　前記係合壁は、該係合壁の上端が内側へ折り返された係合片（４０２２ａ）を有する、上記〈７〉に記載の端子の接続構造。
〈９〉　前記端子接続部（４０２１）のそれぞれは、同一平面内において、放射線状に延在されている、〈６〉から〈８〉のいずれか一つに記載の端子の接続構造。
〈１０〉　前記端子接続部（４１２１）のそれぞれは、同一平面内において、互いに間隔をあけてそれぞれ同一方向へ延在されている、〈６〉から〈８〉のいずれか一つに記載の端子の接続構造。

　本出願は、２０１４年９月２５日出願の日本特許出願（特願２０１４－１９５６５８）、２０１５年４月２４日出願の日本特許出願（特願２０１５－０８９８４８）、２０１５年４月２４日出願の日本特許出願（特願２０１５－０８９８４９）、２０１５年４月２４日出願の日本特許出願（特願２０１５－０８９８５０）及び２０１５年４月２４日出願の日本特許出願（特願２０１５－０８９８５１）に基づくものであり、それらの内容はここに参照として取り込まれる。

　本発明によれば、極めて容易に、省スペースで複数本の接地用電線を一括して接地面に導通させることが可能である。この効果を奏する本発明は、端子金具の接続構造及びワイヤハーネスに関して有用である。

１０１０　端子金具
１０１１　端子本体
１０２１　端子接続部
１０３０　中継端子
２０１０，２０１０Ａ，２１１０，２１１０Ａ　端子金具
２０１１，２１１１　端子本体
２０２１，２１２１　端子接続部
２０２２，２１２２　係合壁
２０２２ａ　係合片
２０３０　中継端子
２０３２　締結接続部
２０３２ａ　締結加締め片
２０３６　回転規制面
２０３７　底面
Ｄ　接地用電線
Ｓ　保持空間

Claims

　接地面に締結固定される端子本体と、該端子本体から延在された複数の端子接続部と、を有する端子金具と、
　接地用電線が導通接続されると共に前記端子接続部に導通接続される中継端子と、
　を備える、
　端子金具の接続構造。
　請求項１に記載の端子金具の接続構造において、
　前記中継端子には、複数本の接地用電線が導通接続される、
　端子金具の接続構造。
　請求項１又は請求項２に記載の端子金具の接続構造において、
　前記中継端子には、一対の締結加締め片が形成され、
　前記一対の締結加締め片が前記端子接続部の両側部の外側を巻き込むように加締められて前記端子金具に前記中継端子が締結されることによって、前記端子金具が前記中継端子を介して前記接地用電線に接続される、
　端子金具の接続構造。
　請求項３に記載の端子金具の接続構造において、
　前記端子接続部の両側部には、該端子接続部が前記端子本体から延在する平面に対して立設する係合壁が形成され、
　加締められた前記締結加締め片が、前記係合壁に係合する、
　端子金具の接続構造。
　請求項４に記載の端子金具の接続構造において、
　前記係合壁が、該係合壁の上端が内側へ折り返された係合片を有する、
　端子金具の接続構造。
　請求項３～５の何れか一項に記載の端子金具の接続構造において、
　前記中継端子には、前記締結加締め片によって囲われた保持空間が形成され、
　前記保持空間を形成する両側面は、前記保持空間へ挿入された前記端子接続部の両側部と当接し、前記保持空間への挿入方向に沿う軸線を中心とした前記端子接続部の回転を規制する回転規制面である、
　端子金具の接続構造。
　請求項６に記載の端子金具の接続構造において、
　前記保持空間を形成する底面が下方へ膨出するように湾曲している、
　端子金具の接続構造。
　請求項１～７の何れか一項に記載の端子金具の接続構造において、
　前記端子接続部のそれぞれが、同一平面内において、放射線状に延在されている、
　端子金具の接続構造。
　請求項１～７の何れか一項に記載の端子金具の接続構造において、
　前記端子接続部のそれぞれが、同一平面内において、互いに間隔をあけてそれぞれ同一方向へ延在されている、
　端子金具の接続構造。
　端子本体と、前記端子本体から延在する複数の端子接続部と、を有する端子金具に対して、接地用電線に接続された中継端子が有する一対の締結加締め片を前記端子接続部に加締めて接続する、端子金具の接続方法であって、
　前記締結加締め片によって前記端子接続部を挿入可能な保持空間を前記中継端子に形成する第１工程と、
　前記保持空間に前記端子接続部を挿入させることによって前記中継端子に前記端子接続部を保持させる第２工程と、
　前記締結加締め片を押し潰して前記保持空間内の前記端子接続部の両側部の外側を巻き込むように加締める第３工程と、を含む、
　端子金具の接続方法。
　請求項１０に記載の端子金具の接続方法において、
　前記中継端子には、前記第２工程よりも前に、前記接地用電線が導通接続される、
　端子金具の接続方法。
　請求項１～９の何れか一項に記載の端子金具の接続構造を備えるワイヤハーネス。